(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】煙センサ及び煙監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20250529BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20250529BHJP
【FI】
G08B17/10 K
G08B17/00 C
(21)【出願番号】P 2021047233
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】戸丸 卓真
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-066469(JP,A)
【文献】特開平09-288779(JP,A)
【文献】特開2017-129975(JP,A)
【文献】特開2002-352348(JP,A)
【文献】特開2013-105370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0266678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/10
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を取得する取得部と、
前記実行指示に従って、前記複数の警報レベルのそれぞれでの前記火災試験を実行する試験部と、
前記火災試験の結果を出力する出力部とを備え
、
前記試験部は、前記複数の警報レベルのそれぞれにおける閾値以上の煙の濃度に相当するデータで前記火災試験を実行する
煙センサ。
【請求項2】
煙警報盤と、前記煙警報盤に接続されている煙センサとを備え、
前記煙警報盤は、煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を前記煙センサに送信し、
前記煙センサは、
前記実行指示を取得する取得部と、
前記実行指示に従って、前記複数の警報レベルのそれぞれでの前記火災試験を実行する試験部と、
前記火災試験の結果を前記煙警報盤に出力する出力部とを有
し、
前記試験部は、前記複数の警報レベルのそれぞれにおける閾値以上の煙の濃度に相当するデータで前記火災試験を実行する
煙監視システム。
【請求項3】
監視装置と、前記監視装置に接続されている煙センサとを備え、
前記監視装置は、煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を前記煙センサに送信し、
前記煙センサは、
前記実行指示を取得する取得部と、
前記実行指示に従って、前記複数の警報レベルのそれぞれでの前記火災試験を実行する試験部と、
前記火災試験の結果を前記監視装置に出力する出力部とを有
し、
前記試験部は、前記複数の警報レベルのそれぞれにおける閾値以上の煙の濃度に相当するデータで前記火災試験を実行する
煙監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙センサ及び煙監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
煙感知器の試験を行う技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
煙センサの中には、煙センサにより測定された煙の濃度に応じて、複数の警報レベルのうち、該当する警報レベルに応じた警報を出力するものがある。そのような煙センサについて、複数の警報レベルのそれぞれについて正常に警報が行われるかを確認するために、複数の警報レベルのそれぞれについて別々に煙センサの火災試験を行いたいという要望がある。
【0005】
本発明は、複数の警報レベルについて別々に煙センサの火災試験を行うことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を取得する取得部と、前記実行指示に従って、前記複数の警報レベルのそれぞれでの前記火災試験を実行する試験部と、前記火災試験の結果を出力する出力部とを備える煙センサを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の警報レベルについて別々に煙センサの火災試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る煙監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】従属型煙センサの構成の一例を示す図である。
【
図5】独立型煙センサの構成の一例を示す図である。
【
図6】煙警報盤から従属型煙センサの火災試験の実行を指示する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図8】別の警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。
【
図9】さらに別の警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。
【
図10】監視装置から従属型煙センサ又は独立型煙センサの火災試験の実行を指示する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図11】監視装置から従属型煙センサ又は独立型煙センサの火災試験の実行を指示する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図12】監視装置に表示される監視画面の一例を示す図である。
【
図13】監視装置に表示される確認画面の一例を示す図である。
【
図14】監視装置に表示される通知画面の一例を示す図である。
【
図15】別の警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。
【
図16】さらに別の警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
構成
図1は、実施形態に係る煙監視システム10の構成の一例を示す図である。煙監視システム10は、サーバー室、データセンター、クリーンルーム等の防火対象物に設置される。煙監視システム10は、防火対象物の環境空気の状態を監視することにより火災の予兆を検知する。このように、火災の予兆を検知することにより、初期段階で迅速に対処することが可能となる。
【0010】
煙監視システム10は、複数の煙警報盤100と、監視装置200と、複数の従属型煙センサ300と、複数の独立型煙センサ400とを備える。各煙警報盤100には、第1信号線500を介して複数の従属型煙センサ300が接続されている。複数の煙警報盤100、監視装置200、及び複数の独立型煙センサ400は、LAN(Local Area Network)等の第2信号線510を介して接続されている。
【0011】
煙監視システム10においては、設置時や保守時等の所定の時に従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400に対して火災試験が行われる。この火災試験とは、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400が正常に動作するかを確認する試験である。
【0012】
煙警報盤100は、従属型煙センサ300から煙の検出結果を受信し、この煙の検出結果に応じて警報を出力する装置である。また、煙警報盤100は、従属型煙センサ300に火災試験の実行を指示する機能を有する。
【0013】
監視装置200は、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400を一括して監視するのに用いられる。また、監視装置200は、独立型煙センサ400及び従属型煙センサ300に火災試験の実行を指示する機能を有する。
【0014】
従属型煙センサ300は、通信タイプの煙センサとも呼ばれ、煙警報盤100に従属する煙センサである。ここでいう「従属」とは、煙警報機能の一部を煙警報盤100が担うことをいう。従属型煙センサ300は、周囲の煙を検出し、煙の検出結果を煙警報盤100に送信する。また、従属型煙センサ300は、煙警報盤100又は監視装置200の指示に従って火災試験を実行する。
【0015】
独立型煙センサ400は、スタンドアローンタイプの煙センサとも呼ばれ、煙警報盤100を要さずに独立して動作する煙センサである。ここでいう「独立して動作」とは、他の装置によらず煙警報機能を実現し得ることをいう。独立型煙センサ400は、周囲の煙を検出し、煙の検出結果に応じて警報を出力する。また、従属型煙センサ300は、監視装置200の指示に従って火災試験を実行する。
【0016】
図2は、煙警報盤100の構成の一例を示す図である。煙警報盤100は、制御部101と、記憶部102と、第1通信部103と、第2通信部104と、操作部105と、表示部106とを備える。煙警報盤100の各部は、バスを介して接続されている。
【0017】
制御部101は、自装置の各部の制御及び各種の処理を行うプロセッサである。制御部101には、例えばCPU(Central Processing Unit)が含まれる。記憶部102は、自装置の機能を実現するためのプログラム及び各種のデータを記憶するメモリである。記憶部102には、例えばROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)のうち少なくとも一つが含まれる。
【0018】
第1通信部103は、自装置を第1信号線500に接続するための通信インターフェースである。第1通信部103は、例えば第1信号線500を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。第2通信部104は、自装置を第2信号線510に接続するための通信インターフェースである。第2通信部104は、例えば第2信号線510を介して接続された他の装置と通信を行うために用いられる。
【0019】
操作部105は、自装置の操作に用いられる。この操作には、火災試験の実行を指示する操作が含まれる。操作部105には、例えば操作ボタンが含まれる。表示部106は、各種の情報を表示する。表示部106には、例えば7セグメントディスプレイ及びLED(Light Emitting Diode)が含まれる。
【0020】
制御部101は、送信部111と、受信部112と、表示制御部113と、転送部114として機能する。これらの機能は、制御部101が記憶部102に記憶されたプログラムを実行して、制御部101が演算を行い又は煙警報盤100の各部を制御することにより実現される。
【0021】
送信部111は、操作部105を用いた操作に応じて、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を従属型煙センサ300に送信する。複数の警報レベルは、煙の濃度がそれぞれ異なる閾値以上であることを示す。一の例において、複数の警報レベルは、「アラーム1」~「アラーム3」という三段階の警報レベルである。「アラーム1」は最も低い警報レベルである。「アラーム2」は2番目に低い警報レベルである。「アラーム3」は最も高い警報レベルである。
【0022】
受信部112は、送信部111から送信された実行指示に従って従属型煙センサ300により実行された火災試験の結果を受信する。
【0023】
表示制御部113は、受信部112にて受信された火災試験の結果を表示部106に表示する。
【0024】
転送部114は、監視装置200から送られてきたデータを従属型煙センサ300に転送する。また、転送部114は、従属型煙センサ300から送られてきたデータを監視装置200に転送する。
【0025】
図3は、監視装置200の構成の一例を示す図である。監視装置200には、例えば汎用のコンピュータが用いられる。監視装置200は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、操作部204と、表示部205とを備える。監視装置200の各部は、バスを介して接続されている。
【0026】
制御部201、記憶部202、通信部203、操作部204、及び表示部205は、それぞれ、煙警報盤100の制御部101、記憶部102、第2通信部104、操作部105、及び表示部106と同様である。ただし、記憶部202には、監視装置200の機能を実現するためのプログラムが記憶される。操作部204には、例えばキーボード及びマウスが含まれる。表示部205には、例えば液晶ディスプレイが含まれる。
【0027】
制御部201は、送信部211と、受信部212と、表示制御部213として機能する。これらの機能は、制御部201が記憶部202に記憶されたプログラムを実行して、制御部201が演算を行い又は監視装置200の各部を制御することにより実現される。
【0028】
送信部211は、操作部204を用いた操作に応じて、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に送信する。
【0029】
受信部212は、送信部211から送信された実行指示に従って従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400により実行された火災試験の結果を受信する。
【0030】
表示制御部213は、受信部212にて受信された火災試験の結果を表示部205に表示する。
【0031】
図4は、従属型煙センサ300の構成の一例を示す図である。従属型煙センサ300は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、煙検出部304とを備える。従属型煙センサ300の各部は、バスを介して接続されている。
【0032】
制御部301、記憶部302、及び通信部303は、それぞれ、煙警報盤100の制御部101、記憶部102、及び第1通信部103と同様である。ただし、記憶部302には、従属型煙センサ300の機能を実現するためのプログラムが記憶される。
【0033】
煙検出部304は、周囲の空気を吸引して煙濃度を測定する。これにより、煙検出部304は、周囲の空気中に存在する煙を検出する。煙検出部304が測定し得る煙濃度の範囲は、例えば0.0001%/mから20.0%/mである。煙の検出には、例えば総散乱光方式や二受光方式が用いられる。ただし、煙を検出する方法はこれらの方式に限定されず、他の方式であってもよい。
【0034】
制御部301は、取得部311と、試験部312と、判定部313と、出力部314として機能する。これらの機能は、制御部301が記憶部302に記憶されたプログラムを実行して、制御部301が演算を行い又は従属型煙センサ300の各部を制御することにより実現される。
【0035】
取得部311は、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を煙警報盤100又は監視装置200から取得する。
【0036】
試験部312は、取得部311により取得された実行指示に従って、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験を実行する。従属型煙センサ300には、複数の警報レベルについてそれぞれ異なる閾値が予め設定されている。例えば「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値は、0.01%/mから20.0%/mの範囲において、「アラーム1」という警報レベルの閾値、「アラーム2」という警報レベルの閾値、「アラーム3」という警報レベルの閾値の順に大きくなるように設定される。このようにして設定された閾値は、記憶部302に記憶される。試験部312は、煙の濃度を疑似的に対象の警報レベルの閾値まで上げることにより対象の警報レベルでの火災試験を実行する。
【0037】
判定部313は、記憶部302に記憶された煙の濃度と「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値とを比較することにより、該当する警報レベルを判定する。例えば判定部313は、煙の濃度が「アラーム1」という警報レベルの閾値未満である場合には、「アラーム1」~「アラーム3」のいずれの警報レベルにも該当しないと判定する。判定部313は、煙の濃度が「アラーム1」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定する。判定部313は、煙濃度が煙の濃度が「アラーム2」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム2」という警報レベルに該当すると判定する。判定部313は、煙濃度が「アラーム3」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム3」という警報レベルに該当すると判定する。
【0038】
出力部314は、試験部312により実行された火災試験の結果を煙警報盤100又は監視装置200に出力する。火災試験の結果は、記憶部302に記憶された煙の濃度と、判定部313により判定された該当する警報レベルとを示す。
【0039】
図5は、独立型煙センサ400の構成の一例を示す図である。独立型煙センサ400は、制御部401と、記憶部402と、通信部403と、煙検出部404と、操作部405と、表示部406とを備える。独立型煙センサ400の各部は、バスを介して接続されている。
【0040】
制御部401、記憶部402、通信部403、操作部405、及び表示部406は、それぞれ、煙警報盤100の制御部101、記憶部102、第2通信部104、操作部105、及び表示部106と同様である。ただし、記憶部402には、独立型煙センサ400の機能を実現するためのプログラムが記憶される。
【0041】
煙検出部404は、従属型煙センサ300の煙検出部304と同様に、周囲の空気を吸引して煙の濃度を測定する。煙検出部404により測定された煙の濃度は記憶部402に記憶される。
【0042】
制御部401は、取得部411と、試験部412と、判定部413と、出力部414として機能する。これらの機能は、制御部401が記憶部402に記憶されたプログラムを実行して、制御部401が演算を行い又は独立型煙センサ400の各部を制御することにより実現される。
【0043】
取得部411は、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行指示を監視装置200から取得する。
【0044】
試験部412は、従属型煙センサ300の試験部312と同様に、取得部411により取得された実行指示に従って、複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験を実行する。従属型煙センサ300と同様に、独立型煙センサ400にも、複数の警報レベルについてそれぞれ異なる閾値が予め設定され、記憶部402に記憶されている。
【0045】
判定部413は、従属型煙センサ300の判定部313と同様に、記憶部402に記憶された煙の濃度と「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの閾値とを比較することにより、該当する警報レベルを判定する。
【0046】
出力部414は、試験部412により実行された火災試験の結果を監視装置200に出力する。火災試験の結果は、記憶部402に記憶された煙の濃度と、判定部413により判定された該当する警報レベルとを示す。
【0047】
動作
図6は、煙警報盤100から従属型煙センサ300の火災試験の実行を指示する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【0048】
ステップS11において、作業員は、煙警報盤100の操作部105を用いて、火災試験の対象となる従属型煙センサ300を選択し、複数の警報レベルのうちいずれかでの火災試験の実行を指示する操作を行う。
【0049】
図7は、煙警報盤100の盤面150の一例を示す図である。盤面150は、操作領域150aと、表示領域150bとを有する。操作領域150aは、火災試験の対象となる従属型煙センサ300を選択し、複数の警報レベルのうちいずれかでの火災試験の実行を指示する操作を受け付ける。この例では、操作領域150aには、「試験」ボタン151が含まれる。
【0050】
「試験」ボタン151は、「アラーム1」~「アラーム3」の中から火災試験の対象となる警報レベル(以下、「対象の警報レベル」という。)を指定し、火災試験の実行を指示する操作を受け付ける。対象の警報レベルの指定は、例えば「試験」ボタン151の押下回数を異ならせることにより実現される。
【0051】
例えば「アラーム1」という警報レベルでの火災試験の実行を指示する場合には、「試験」ボタン151を1回押す操作が行われる。「アラーム2」という警報レベルでの火災試験の実行を指示する場合には、「試験」ボタン151を2回押す操作が行われる。「アラーム3」という警報レベルでの火災試験の実行を指示する場合には、「試験」ボタン151を3回押す操作が行われる。
【0052】
操作領域150aには、さらに「試験」ボタン151の表示灯153と、「スイッチ注意」という表示灯154とが含まれる。これらの表示灯153及び154は、例えばLEDにより実現される。「試験」ボタン151が押下されると、「試験」ボタン151の表示灯153が点灯するとともに、「スイッチ注意」という表示灯154が点滅する。表示灯154の点滅は、火災試験中であることを示す。
【0053】
ステップS12において、煙警報盤100の送信部111は、ステップS11において行われた操作に応じて、火災試験の対象となる従属型煙センサ300に対象の警報レベルでの火災試験の開始を指示する試験開始コマンドを送信する。この試験開始コマンドには、対象の警報レベルが含まれる。従属型煙センサ300の取得部311は、煙警報盤100から試験開始コマンドを受信する。
【0054】
ステップS13において、従属型煙センサ300は、試験開始コマンドを受信すると、火災試験モードに移行する。火災試験モードに移行すると、通常の警報動作は行われない。
【0055】
ステップS14において、従属型煙センサ300の試験部312は、試験開始コマンドに従って対象の警報レベルでの火災試験を実行する。具体的には、試験部312は、記憶部302に記憶された煙の濃度を対象の警報レベルの閾値に書き換える。これにより、煙の濃度が対象の警報レベルの閾値まで疑似的に上がる。
【0056】
判定部313は、記憶部302に記憶された煙の濃度と「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルの各閾値とを比較して、「アラーム1」~「アラーム3」の少なくともいずれかの警報レベルに該当するか否かを判定する。ここで、記憶部302に記憶された煙の濃度は対象の警報レベルの閾値に書き換えられているため、この煙の濃度は対象の警報レベルの閾値以上になる。記憶部302に記憶された煙の濃度が対象の警報レベルの閾値以上になると、判定部313は、記憶部302に記憶された所定の蓄積時間だけ蓄積動作を行う。ここでは、蓄積時間が20秒であるものとする。この場合、判定部313は、記憶部302に記憶された煙の濃度が最初に対象の警報レベルの閾値以上になった時点から20秒間、蓄積動作を行う。記憶部302に記憶された煙の濃度は対象の警報レベルの閾値のまま維持されるため、蓄積時間が経過した後、判定部313は、対象の警報レベルに該当すると判定する。なお、対象の警報レベルより低い警報レベルが存在する場合には、対象の警報レベルに該当するときは対象の警報レベルより低い警報レベルにも該当することになる。
【0057】
ステップS15において、従属型煙センサ300の出力部314は、ステップS14において実行された火災試験が終了すると、従属型煙センサ300を一意に識別する識別子とこの火災試験の結果とを煙警報盤100に送信する。この火災試験の結果には、記憶部302に記憶された煙の濃度と、アラーム情報とが含まれる。煙の濃度は、アナログ値である。アラーム情報は、該当する警報レベルを示す。アラーム情報には、例えば該当する警報レベルを示す1ビットの値が用いられてもよい。煙警報盤100の受信部112は、従属型煙センサ300から火災試験の結果を受信する。
【0058】
ステップS16において、煙警報盤100の受信部112は、受信した識別子と火災試験の結果とを関連付けて記憶部102に記憶させる。
【0059】
ステップS17において、煙警報盤100の表示制御部113は、記憶部102から火災試験の結果を読み出して表示部106に表示する。火災試験の結果は、関連付けられた識別子に基づいて、従属型煙センサ300毎に表示される。
【0060】
ステップS18において、煙警報盤100の送信部111は、警報レベルを変更して次の火災試験を行うか否かを判定する。例えば作業員により「試験」ボタン151が用いられて他の警報レベルでの火災試験の実行を指示する操作が行われた場合には、送信部211は、警報レベルを変更して次の火災試験を行うと判定する(ステップS18の判定がYES)。この場合、上述したステップS12に戻り、変更後の警報レベルを対象の警報レベルとしてステップS12以降の処理が行われる。
【0061】
一方、例えば作業員により煙警報盤100の盤面150上で火災試験の終了を指示する操作が行われた場合には、送信部211は、次の火災試験を行わないと判定する(ステップS18の判定がNO)。この場合、処理はステップS19に進む。
【0062】
ステップS19において、煙警報盤100の送信部111は、対象の従属型煙センサ300に火災試験の終了を指示する試験終了コマンドを送信する。従属型煙センサ300の取得部311は、煙警報盤100から試験終了コマンドを受信する。
【0063】
ステップS20において、従属型煙センサ300は、試験終了コマンドを受信すると、火災試験モードから通常の警報モードに戻る。これにより、通常の警報動作が再開される。通常の警報モードにおいては、所定の時間間隔で煙検出部304により煙の濃度が測定され、この煙の濃度が記憶部302に記憶される。続いて、記憶部302に記憶された煙の濃度に応じて「アラーム1」~「アラーム3」のうち少なくともいずれかの警報レベルに該当するかが判定される。そして、記憶部302に記憶された煙の濃度と該当する警報レベルを示すアラーム情報とを含む煙の検出結果が煙警報盤100に送信される。従属型煙センサ300から受信した煙の検出結果にアラーム情報が含まれる場合には、そのアラーム情報により示される警報レベルに応じた警報が煙警報盤100から出力される。
【0064】
次に、具体的な動作例について説明する。ここでは、複数の従属型煙センサ300には従属型煙センサ300Aが含まれるものとする。例えば従属型煙センサ300Aに対して最初に「アラーム1」という警報レベルでの火災試験を行う場合、作業員は、煙警報盤100の盤面150上で従属型煙センサ300Aを選択する操作を行い、「試験」ボタン151を1回押す。この操作に応じて、煙警報盤100から従属型煙センサ300Aに「アラーム1」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。
【0065】
従属型煙センサ300Aは、試験開始コマンドを受信すると火災試験モードに移行し、「アラーム1」という警報レベルでの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム1」という警報レベルの閾値が0.04%/mであるものとする。この場合、従属型煙センサ300Aの記憶部302に記憶された煙の濃度が0.04%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」という警報レベルに該当すると判定される。そして、0.04%/mという煙濃度と、「アラーム1」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が従属型煙センサ300Aから煙警報盤100に送信される。煙警報盤100は、この火災試験の結果を記憶部102に記憶して、表示部106に表示する。
【0066】
図7に示されるように、表示領域150bには、煙警報盤100に接続されている従属型煙センサ300の数だけ、センサ領域156が設けられる。各センサ領域156には、煙濃度領域157と、バーグラフ158と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報灯161~163とが含まれる。警報灯161~163は、例えばLEDにより実現される。
【0067】
煙濃度領域157には、従属型煙センサ300により測定された煙濃度が表示される。バーグラフ158には、この煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」~「アラーム3」という警報灯161~163は、それぞれ、「アラーム1」~「アラーム3」に該当すると判定された場合に点灯される。
【0068】
従属型煙センサ300Aの火災試験の結果は、従属型煙センサ300Aに対応するセンサ領域156-1に表示される。上述したように、従属型煙センサ300Aの火災試験の結果に0.04%/mという煙濃度と、「アラーム1」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域156-1の煙濃度領域157には、0.04%/mという煙濃度が表示される。センサ領域156-1のバーグラフ158には、0.04%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」という警報灯161は点灯される。「アラーム2」という警報灯162及び「アラーム3」という警報灯163は消灯される。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム1」という警報レベルの警報動作が正常に行われたことが確認できる。
【0069】
続いて「アラーム2」という警報レベルでの火災試験を行う場合、作業員は、「試験」ボタン151を2回押す。この操作に応じて、煙警報盤100から従属型煙センサ300Aに「アラーム2」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。
【0070】
従属型煙センサ300Aは、試験開始コマンドを受信すると火災試験モードを継続し、「アラーム2」という警報レベルの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム2」という警報レベルの閾値が0.06%/mであるものとする。この場合、従属型煙センサ300Aの記憶部302に記憶された煙の濃度が0.06%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルに該当すると判定される。そして、0.06%/mという煙濃度と、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が従属型煙センサ300Aから煙警報盤100に送信される。煙警報盤100は、この火災試験の結果を記憶部102に記憶して、表示部106に表示する。
【0071】
図8は、「アラーム2」という警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。上述したように、従属型煙センサ300Aの火災試験の結果に0.06%/mという煙濃度と、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域156-1の煙濃度領域157には、0.06%/mという煙濃度が表示される。センサ領域156-1のバーグラフ158には、0.06%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」という警報灯161及び「アラーム2」という警報灯162は点灯される。「アラーム3」という警報灯163は消灯される。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム2」という警報レベルの警報動作が正常に行われたことが確認できる。
【0072】
続いて「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を行う場合、作業員は、「試験」ボタン151を3回押す。この操作に応じて、煙警報盤100から従属型煙センサ300Aに「アラーム3」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。
【0073】
従属型煙センサ300Aは、試験開始コマンドを受信すると火災試験モードを継続し、「アラーム3」という警報レベルの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム3」という警報レベルの閾値が0.08%/mであるものとする。この場合、記憶部302に記憶された煙の濃度が0.08%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルに該当すると判定される。そして、0.08%/mという煙濃度と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が従属型煙センサ300Aから煙警報盤100に送信される。煙警報盤100は、この火災試験の結果を記憶部102に記憶して、表示部106に表示する。
【0074】
図9は、「アラーム3」という警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。上述したように、従属型煙センサ300Aの火災試験の結果に0.08%/mという煙濃度と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域156-1の煙濃度領域157には、0.08%/mという煙濃度が表示される。センサ領域156-1のバーグラフ158には、0.08%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」~「アラーム3」という警報灯161~163は点灯される。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム3」という警報レベルの警報動作が正常に行われたことが確認できる。
【0075】
上述した動作例では、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験は、それぞれ異なる時に実行される。また、「アラーム1」~「アラーム3」の各々の警報レベルでの火災試験が終了する度に、この警報レベルでの火災試験の結果が送信され、煙警報盤100に表示される。
【0076】
「アラーム3」という警報レベルでの火災試験の結果が表示された後、保守員により煙警報盤100の盤面150上で火災試験の終了を指示する操作が行われた場合、この操作に応じて、煙警報盤100から従属型煙センサ300Aに試験終了コマンドが送信され、従属型煙センサ300Aは警報モードに戻る。
【0077】
図10及び
図11は、監視装置200から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の火災試験の実行を指示する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【0078】
ステップS31において、作業員は、監視装置200の操作部204を用いて、火災試験の対象となる従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400を選択し、火災試験の実行を指示する操作を行う。
【0079】
図12は、監視装置200の表示部205に表示される監視画面250の一例を示す図である。この監視画面250は、例えば作業員の操作に応じて表示部205に表示される。
図12に示されるように、監視画面250は、操作領域250aと、選択領域250bと、表示領域250cとを有する。操作領域250aには、「試験」ボタン251が含まれる。「試験」ボタン251は、「アラーム1」~「アラーム3」の中から対象の警報レベルを指定し、火災試験の実行を指示する操作を受け付ける。この操作は、操作部204により実現される。例えば「アラーム1」という警報レベルの火災試験を実行する場合には、作業員は、「試験」ボタン251を用いて、「アラーム1」という警報レベルでの火災試験の実行を指示する操作を行う。
【0080】
図13は、監視装置200の表示部205に表示される確認画面265の一例を示す図である。火災試験の実行を指示する操作が行われると、表示部205には
図13に示される確認画面265が表示される。確認画面265は、火災試験を開始してもよいかを確認するメッセージと「はい」ボタン266とが含まれる。火災試験を開始する場合、作業員は、「はい」ボタン266を押す。
【0081】
ステップS32において、監視装置200の送信部211は、ステップS31において行われた操作において選択された火災試験の対象は、従属型煙センサ300であるか独立型煙センサ400であるかを判定する。例えば独立型煙センサ400が選択された場合、火災試験の対象は独立型煙センサ400であるため(ステップS32の判定が「独立型煙センサ」)、処理はステップS33に進む。
【0082】
ステップS33において、監視装置200の送信部211は、ステップS31において行われた操作に応じて、火災試験の対象となる独立型煙センサ400に対象の警報レベルでの火災試験の開始を指示する試験開始コマンドを送信する。この試験開始コマンドには、対象の警報レベルが含まれる。独立型煙センサ400の取得部411は、監視装置200から試験開始コマンドを受信する。
【0083】
ステップS34において、独立型煙センサ400は、試験開始コマンドを受信すると、火災試験モードに移行する。火災試験モードに移行すると、通常の警報動作は行われない。
【0084】
ステップS35において、独立型煙センサ400の試験部412は、上述したステップS14と同様に、試験開始コマンドに従って対象の警報レベルでの火災試験を実行する。
【0085】
ステップS36において、独立型煙センサ400の出力部414は、上述したステップS15と同様に、ステップS35において実行された火災試験が終了すると、独立型煙センサ400の識別子と火災試験の結果とを監視装置200に送信する。監視装置200の受信部212は、独立型煙センサ400から識別子と火災試験の結果とを受信する。
【0086】
ステップS37において、監視装置200の受信部212は、独立型煙センサ400から受信した識別子と火災試験の結果とを関連付けて記憶部202に記憶させる。
【0087】
ステップS38において、監視装置200の表示制御部213は、記憶部202から火災試験の結果を読み出して、表示部205に表示する。火災試験の結果は、関連付けられた識別子に基づいて、独立型煙センサ400毎に表示される。
【0088】
ステップS39において、監視装置200の送信部211は、警報レベルを変更して次の火災試験を行うか否かを判定する。例えば作業員により警報レベルを変更して次の火災試験の実行を指示する操作が行われた場合には、送信部211は、警報レベルを変更して次の火災試験を行うと判定する(ステップS39の判定がYES)。この場合、上述したステップS33に戻り、変更後の警報レベルを対象の警報レベルとしてステップS33以降の処理が行われる。
【0089】
一方、作業員により火災試験の終了を指示する操作が行われた場合には、送信部211は、次の火災試験を行わないと判定する(ステップS39の判定がNO)。この場合、処理はステップS40に進む。
【0090】
ステップS40において、監視装置200の送信部211は、対象の独立型煙センサ400に火災試験の終了を指示する試験終了コマンドを送信する。独立型煙センサ400の取得部411は、監視装置200から試験終了コマンドを受信する。
【0091】
ステップS41において、独立型煙センサ400は、試験終了コマンドを受信すると、火災試験モードから通常の警報モードに戻る。これにより、通常の警報動作が再開される。
【0092】
次に、具体的な動作例について説明する。ここでは、複数の独立型煙センサ400には独立型煙センサ400Aが含まれるものとする。例えば独立型煙センサ400Aに対して最初に「アラーム1」という警報レベルでの火災試験を行う場合、作業員は、
図12に示される監視画面250において「試験」ボタン251を用いて、独立型煙センサ400Aを選択し、「アラーム1」という警報レベルでの火災試験の実行を指示する操作を行った後、
図13に示される確認画面265において「はい」ボタン266を押す。この操作に応じて、監視装置200から独立型煙センサ400Aに「アラーム1」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。
【0093】
独立型煙センサ400Aは、この試験開始コマンドを受信すると、火災試験モードに移行し、「アラーム1」という警報レベルでの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム1」という警報レベルの閾値が0.04%/mであるものとする。この場合、記憶部402に記憶された煙の濃度が0.04%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」という警報レベルが判定される。そして、0.04%/mという煙濃度と、「アラーム1」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が独立型煙センサ400Aから監視装置200に送信される。監視装置200は、この火災試験の結果を記憶部202に記憶して、表示部205に表示する。
【0094】
図12に示される選択領域250bには、選択ボタン252~254が含まれる。ここでは、煙警報盤100には煙警報盤100A及び100Bが含まれるものとする。選択ボタン252は、煙警報盤100Aを選択する操作を受け付ける。選択ボタン253は、煙警報盤100Bを選択する操作を受け付ける。選択ボタン254は、独立型煙センサ400を選択する操作を受け付ける。
【0095】
表示領域250cには、表示対象となる従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の数だけ、センサ領域255が表示される。各センサ領域255には、状態表示領域256と、煙濃度領域257と、バーグラフ258と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報シンボル261~263とが含まれる。
【0096】
状態表示領域256には、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の状態が表示される。火災試験が行われている間は、状態表示領域256には「火災試験」という状態が表示される。
【0097】
煙濃度領域257には、従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400により測定された煙濃度が表示される。バーグラフ258には、この煙濃度を示すバーが表示される。
【0098】
「アラーム1」~「アラーム3」という警報シンボル261~263は、それぞれ「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルに該当する場合に点灯表示される。この点灯表示とは、赤色等の点灯色で目立つように表示することをいう。
【0099】
独立型煙センサ400Aの火災試験の結果は、独立型煙センサ400Aに対応するセンサ領域255-1に表示される。上述したように、独立型煙センサ400Aの火災試験の結果に0.04%/mという煙濃度と、「アラーム1」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域255-1の煙濃度領域257には、0.04%/mという煙濃度が表示される。センサ領域255-1のバーグラフ258には、0.04%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」という警報シンボル261は点灯表示される。「アラーム2」という警報シンボル262及び「アラーム3」という警報シンボル263は消灯表示される。この消灯表示とは、グレー等の消灯色で目立たないように表示することをいう。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム1」という警報レベルの警報動作が正常に行われたことが確認できる。
【0100】
図14は、火災試験が行われている間、監視装置200の表示部205に表示される通知画面270の一例を示す図である。「アラーム1」という警報レベルでの火災試験が行われている間には、
図14(a)に示される通知画面270Aが表示される。通知画面270Aには、「アラーム1」という警報レベルと火災試験の実行中であることを示すメッセージとが含まれる。また、通知画面270Aは、「アラーム1」の次に高い警報レベルである「アラーム2」での火災試験の開始を指示する操作を受け付ける。この例では、通知画面270Aには、「アラーム2」という警報レベルに変更するかを問い合わせるメッセージと、「はい」ボタン271とが含まれる。
【0101】
続いて「アラーム2」という警報レベルでの火災試験を開始する場合、作業員は、「はい」ボタン271を押す。この操作に応じて、監視装置200から独立型煙センサ400Aに「アラーム2」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。
【0102】
独立型煙センサ400Aは、試験開始コマンドを受信すると火災試験モードを継続し、「アラーム2」という警報レベルでの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム2」という警報レベルの閾値が0.06%/mであるものとする。この場合、記憶部302に記憶された煙の濃度が0.06%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルに該当すると判定される。そして、0.06%/mという煙濃度と、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が独立型煙センサ400Aから監視装置200に送信される。監視装置200は、この火災試験の結果を記憶部202に記憶して、表示部205に表示する。
【0103】
図15は、「アラーム2」という警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。上述したように、独立型煙センサ400Aの火災試験の結果に0.06%/mという煙濃度と、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域255-1の煙濃度領域257には、0.06%/mという煙濃度が表示される。センサ領域255-1のバーグラフ258には、0.06%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」という警報シンボル261及び「アラーム2」という警報シンボル262は点灯表示される。「アラーム3」という警報シンボル263は消灯表示される。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム2」という警報レベルの警報動作が正常に行われたことが確認できる。
【0104】
「アラーム2」という警報レベルでの火災試験が行われている間、監視装置200の表示部205には、
図14(b)に示される通知画面270Bが表示される。通知画面270Bには、「アラーム2」という警報レベルと火災試験の実行中であることを示すメッセージとが含まれる。また、通知画面270Bは、「アラーム2」の次に高い警報レベルである「アラーム3」での火災試験の開始を指示する操作を受け付ける。この例では、通知画面270Bには、「アラーム3」という警報レベルに変更するかを問い合わせるメッセージと、「はい」ボタン272とが含まれる。
【0105】
続いて「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を行う場合、作業員は、「はい」ボタン272を押す。この操作に応じて、監視装置200から独立型煙センサ400Aに「アラーム3」という警報レベルを含む試験開始コマンドが送信される。独立型煙センサ400Aは、試験開始コマンドを受信すると火災試験モードを継続し、「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を実行する。ここでは、「アラーム3」という警報レベルの閾値が0.08%/mであるものとする。この場合、記憶部202に記憶された煙の濃度が0.08%/mに書き換えられる。続いて、所定の蓄積時間だけ蓄積動作が行われた後、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルに該当すると判定される。そして、0.08%/mという煙濃度と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報とを含む火災試験の結果が独立型煙センサ400Aから監視装置200に送信される。監視装置200は、この火災試験の結果を記憶部202に記憶して、表示部205に表示する。
【0106】
図16は、「アラーム3」という警報レベルでの火災試験の結果の表示例を示す図である。上述したように、独立型煙センサ400Aの火災試験の結果に0.08%/mという煙濃度と、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルを示すアラーム情報とが含まれる場合、センサ領域255-1の煙濃度領域257には、0.08%/mという煙濃度が表示される。センサ領域255-1のバーグラフ258には、0.08%/mという煙濃度を示すバーが表示される。「アラーム1」~「アラーム3」という警報シンボル261~263は点灯される。この表示により、作業員は、火災試験において「アラーム3」という警報レベルの警報動作が正常に行われることが確認できる。
【0107】
上述した動作例では、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験は、それぞれ異なる時に実行される。また、「アラーム1」~「アラーム3」の各々の警報レベルでの火災試験が終了する度に、この警報レベルでの火災試験の結果が送信され、監視装置200に表示される。
【0108】
「アラーム3」という警報レベルでの火災試験が行われている間、監視装置200の表示部205には、
図14(c)に示される通知画面270Cが表示される。通知画面270Cには、「アラーム3」という警報レベルと火災試験の実行中であることを示すメッセージとが含まれる。また、通知画面270Cは、火災試験の終了を指示する操作を受け付ける。この例では、通知画面270Cには、「試験終了」ボタン273が含まれる。火災試験を終了する場合、作業員は「試験終了」ボタン273を押す。この操作に応じて、監視装置200から独立型煙センサ400Aに試験終了コマンドが送信され、独立型煙センサ400Aは警報モードに戻る。
【0109】
図10に戻り、火災試験の対象が従属型煙センサ300である場合の動作について説明する。火災試験の対象として従属型煙センサ300が選択された場合、火災試験の対象は従属型煙センサ300であるため(ステップS32の判定が「従属型煙センサ」)、処理は
図11に示されるステップS51に進む。
【0110】
ステップS51において、監視装置200の送信部211は、ステップS31において行われた操作に応じて、火災試験の対象となる従属型煙センサ300が接続されている煙警報盤100に、火災試験の対象となる従属型煙センサ300の識別子と、対象の警報レベルでの火災試験の開始を指示する試験開始コマンドとを送信する。煙警報盤100の転送部114は、煙警報盤100から識別子と試験開始コマンドとを受信する。
【0111】
ステップS52において、煙警報盤100の転送部114は、受信した試験開始コマンドを火災試験の対象となる従属型煙センサ300に送信する。この試験開始コマンドの送信先は、試験開始コマンドとともに受信された識別子を用いて特定される。従属型煙センサ300は、煙警報盤100から試験開始コマンドを受信する。ステップS53及びS54の処理は、
図6に示されるステップS13及びS14の処理と同様である。
【0112】
ステップS55において、従属型煙センサ300の出力部314は、ステップS54において実行された火災試験が終了すると、従属型煙センサ300の識別子とこの火災試験の結果とを、従属型煙センサ300が接続されている煙警報盤100に送信する。煙警報盤100の転送部114は、従属型煙センサ300から識別子と火災試験の結果とを受信する。
【0113】
ステップS56において、煙警報盤100の転送部114は、受信した識別子と火災試験の結果とを監視装置200に送信する。監視装置200の受信部212は、煙警報盤100から識別子と火災試験の結果とを受信する。なお、煙警報盤100が従属型煙センサ300から火災試験の結果を受信した際に、
図7~
図9に示されるように、煙警報盤100の盤面150にこの火災試験の結果が表示されてもよい。
【0114】
ステップS57~S59の処理は、
図10に示されるステップS37~S39の処理と同様である。例えば、火災試験の対象となる従属型煙センサ300が煙警報盤100Aに接続されている場合には、
図12に示される監視画面250において、作業員が選択領域250bの選択ボタン252を押すと、表示領域250cには、煙警報盤100Aに接続されている従属型煙センサ300の数だけセンサ領域255が表示される。これらのセンサ領域255のうち火災試験の対象となる従属型煙センサ300に対応するセンサ領域255に火災試験の結果が表示される。
【0115】
ステップS60において、監視装置200の送信部211は、火災試験の対象となる従属型煙センサ300が接続されている煙警報盤100に、火災試験の対象となる従属型煙センサ300の識別子と、火災試験の終了を指示する試験終了コマンドとを送信する。煙警報盤100の転送部114は、煙警報盤100から識別子と試験終了コマンドとを受信する。
【0116】
ステップS61において、煙警報盤100の転送部114は、受信した試験終了コマンドを火災試験の対象となる従属型煙センサ300に送信する。上述したステップS52と同様に、この試験終了コマンドの送信先は、試験終了コマンドとともに受信された識別子を用いて特定される。従属型煙センサ300は、煙警報盤100から試験終了コマンドを受信する。ステップS62の処理は、
図6に示されるステップS20の処理と同様である。
【0117】
上述した実施形態によれば、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルについて別々に従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の火災試験を行うことができる。また、煙警報盤100から従属型煙センサ300の火災試験の実行指示を行うことができるだけでなく、監視装置200からも「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルについて別々に従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の火災試験の実行指示を行うことができる。さらに、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験がそれぞれ異なる時に実行され、各々の警報レベルでの火災試験が終了する度に、その火災試験の結果が送信され煙警報盤100又は監視装置200に表示されるため、「アラーム1」~「アラーム3」という複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の結果を個別に確認することができる。
【0118】
変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。実施形態と変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。同様に、以下の変形例は、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0119】
上述した実施形態において、独立型煙センサ400については監視装置200を用いずに単体で火災試験が行われてもよい。この場合、作業員は、独立型煙センサ400の操作部405を用いて対象の警報レベルを指定し、火災試験の実行を指示する操作を行う。取得部411は、この操作に応じて対象の警報レベルでの火災試験の実行指示を取得する。試験部412は、取得部411により取得された実行指示に従って、対象の警報レベルでの火災試験を実行する。出力部414は、試験部412により実行された火災試験の結果を表示部406又は第2信号線510を介して接続された外部装置に出力する。
【0120】
上述した実施形態において、火災試験の実行を指示する操作は必ずしも警報レベル毎に行われなくてもよい。例えば「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を順番に実行するよう指示する操作が一回だけ行われてもよい。この操作に応じて、煙警報盤100又は監視装置200から従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400に「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を順番に実行するよう指示する試験開始コマンドが送信される。従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400は、この試験開始コマンドに従って、「アラーム1」~「アラーム3」という警報レベルでの火災試験を順番に実行する。具体的には、まず「アラーム1」という警報レベルでの火災試験が開始される。「アラーム1」という警報レベルでの火災試験が終了すると、「アラーム2」という警報レベルでの火災試験が開始される。「アラーム2」という警報レベルでの火災試験が終了すると、「アラーム3」という警報レベルでの火災試験が開始される。各警報レベルでの火災試験の結果は、各警報レベルでの火災試験が終了する度に送信される。この変形例によれば、作業員が警報レベル毎に火災試験の実行を指示する操作を行わなくても、複数の警報レベルでの火災試験を連続して行うことができる。
【0121】
上述した実施形態において、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400では、火災試験だけでなく、異常試験等の他の試験が行われてもよい。
【0122】
上述した実施形態において、複数の従属型煙センサ300又は複数の独立型煙センサ400に対して一斉に火災試験の実行指示が行われてもよい。この変形例では、作業員は、火災試験の対象として複数の従属型煙センサ300又は複数の独立型煙センサ400を選択し、「アラーム1」~「アラーム3」という複数の警報レベルのそれぞれでの火災試験の実行を指示する操作を行う。この操作に応じて、火災試験の対象となる複数の従属型煙センサ300又は複数の独立型煙センサ400に火災試験の試験開始コマンドが送信され、複数の従属型煙センサ300又は複数の独立型煙センサ400において並行して火災試験が実行される。特に、監視装置200から煙警報盤100単位で、その煙警報盤100に接続されている複数の従属型煙センサ300に対して一斉に火災試験の実行指示が行われると、これらの従属型煙センサ300の火災試験が一括して行えるので簡便でよい。また、この変形例において、同一の回線に接続されている複数の従属型煙センサ300又は複数の独立型煙センサ400に限り、並行して火災試験が実行されてもよい。同一回線とは、例えば同一の煙警報盤100に接続されている第1信号線500又は第2信号線510をいう。一の煙警報盤100に接続されている第1信号線500と他の煙警報盤100に接続されている第1信号線500とは、別の回線であり、同一回線ではない。この場合、或る回線に接続されている従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の火災試験の実行中に、他の回線に接続されている従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の火災試験が開始されると、或る回線に接続されている従属型煙センサ300又は独立型煙センサ400の火災試験が強制的に終了されてもよい。
【0123】
上述した実施形態において、煙の濃度が「アラーム2」という警報レベルの閾値以上である場合、「アラーム1」という警報レベルには必ずしも該当しなくてもよい。例えば煙の濃度が「アラーム2」という警報レベルの閾値以上である場合には、「アラーム2」という警報レベルだけに該当すると判定されてもよい。同様に、煙の濃度が「アラーム3」という警報レベルの閾値以上である場合、「アラーム1」及び「アラーム2」という警報レベルには必ずしも該当しなくてもよい。煙の濃度が「アラーム3」という警報レベルの閾値以上である場合、「アラーム3」という警報レベルだけに該当すると判定されてもよい。
【0124】
上述した実施形態において、警報レベルの数は三つに限定されない。警報レベルの数は、二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0125】
上述した実施形態において、監視装置200は設定ツールとして使用されてもよい。この場合、監視装置200は、煙警報盤100、従属型煙センサ300、又は独立型煙センサ400に、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の第3信号線を介して個別に接続される。第3信号線を介して接続されると、監視装置200は、接続先の装置と第3信号線を介して各種のデータのやり取りを行う。
【0126】
上述した実施形態において、煙警報盤100の盤面150及び監視装置200に表示される各種の画面の構成は上述した例に限定されない。盤面150及び監視画面250は、従属型煙センサ300及び独立型煙センサ400の少なくとも一方の火災試験の結果を表示し得るものであれば、どのような構成を有していてもよい。この構成には、色、配置、形状、構成要素、及び画面遷移が含まれる。また、盤面150及び監視画面250は、火災試験の実行を指示する操作を受け付けるものであれば、どのように構成を有していてもよい。例えば盤面150には、上述した実施形態で説明した操作ボタンとは異なる操作ボタンを含むように構成されていてもよいし、一部のボタンを含まずに構成されてもよい。同様に、監視画面250は、上述した実施形態で説明した操作画像とは異なる操作画像を含むように構成されてもよいし、一部の操作画像を含まずに構成されてもよい。
【0127】
上述した実施形態において、煙監視システム10の構成は上述した例に限定されない。煙監視システム10は、上述した装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。例えば煙監視システム10は、煙警報盤100と従属型煙センサ300だけを備えていてもよい。或いは、煙監視システム10は、監視装置200と独立型煙センサ400だけを備えていてもよい。また、煙監視システム10の機能を有する主体は、上述した例に限定されない。
【0128】
上述した実施形態において、煙監視システム10の動作は上述した例に限定されない。煙監視システム10の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、煙監視システム10の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0129】
本発明の別の形態は、煙監視システム10、煙警報盤100、監視装置200、従属型煙センサ300、及び独立型煙センサ400のうち少なくともいずれかにおいて行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、煙警報盤100、監視装置200、従属型煙センサ300、又は独立型煙センサ400において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10:煙監視システム、100:煙警報盤、111:送信部、112:受信部、113:表示制御部、114:転送部、200:監視装置、211:送信部、212:受信部、213:表示制御部、300:従属型煙センサ、311:取得部、312:試験部、313:判定部、314:出力部、400:独立型煙センサ、411:取得部、412:試験部、413:判定部、414:出力部