(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】錠システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20250529BHJP
【FI】
E05B49/00 R
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2021145997
(22)【出願日】2021-09-08
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】小林 春輝
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 研
【審査官】杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045684(JP,A)
【文献】特開2015-169008(JP,A)
【文献】特開2006-099683(JP,A)
【文献】特開2021-127618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を施解錠する電気錠と、
利用者が所持する携帯器と、
生体認証情報取得部から取得した生体認証情報を認証する生体認証部、前記携帯器から出力されるキー認証情報を認証するキー認証部、前記携帯器以外に配置される第3信号入力部から入力された第3認証信号を認証する第3信号認証部、および前記電気錠を施解錠操作する錠操作部を備えて前記電気錠を制御する錠制御部とを有し、
前記携帯器は前記錠制御部から出力される認証情報出力要求に応答してキー認証情報を出力可能に
形成され、
前記錠制御部は、前記生体認証部における認証成立を条件に出力される前記認証情報出力要求に対する携帯器からのキー認証情報に対する認証成立により電気錠を施解錠動作
させるとともに、
前記生体認証情報に対する認証成立後のキー認証情報に対する認証不成立時には、前記第3信号認証部における認証成立時に解錠動作させ、
かつ、前記第3信号認証部は、前記第3信号入力部が予め定められた操作方法により操作された際に認証成立信号を出力する錠システム。
【請求項2】
人感センサを有し、
前記生体認証部は、前記人感センサによる人体検出により、動作開始するとともに、
前記生体認証部は、前記人感センサによる人体検出により動作開始する生体認証情報取得部としてのカメラにより取得した顔画像をもとにした顔認証を実行する請求項1記載の錠システム。
【請求項3】
利用者の操作により前記携帯器からキー認証情報を出力させるキー認証情報出力操作手段を有し、
前記錠制御部は、生体認証部における認証不成立時に、前記キー認証情報出力操作手段への操作により出力されたキー認証情報のキー認証部での認証成立により錠操作部を解錠動作させる請求項1または2記載の錠システム。
【請求項4】
前記第3信号入力部が扉、またはその周囲に配置される請求項1、2または3記載の錠システム。
【請求項5】
前記第3信号入力部は、前記携帯器からキー認証情報を出力させるキー認証情報出力操作手段である請求項4記載の錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
玄関扉1の解錠操作用認証手段に顔認証等の生体認証手段と、利用者の所持する携帯キーからの認証信号とを併用する錠システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、錠システムは、無線信号により施解錠操作されるスマートロック装置と、スマートロック装置に施解錠用の無線信号を送出する携帯電話と、カメラを備えたインターホン子機と、インターホン子機により取得した顔画像を認証する顔認証部を備えたクラウドサーバとを有する。
【0004】
スマートロック装置に対する施解錠操作は、インターホン子機により取得された顔画像に対する認証成立を条件に行われ、顔画像に対する認証が成立すると、スマートロック装置に対する解錠動作が許可され、許可された状態で携帯電話から施解錠信号を出力すると、スマートロック装置が施解錠動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、顔認証が成立した状態で、さらに、携帯電話への操作が必要となるために、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、使い勝手の良好な錠システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
扉1を施解錠する電気錠2と、
利用者が所持する携帯器3と、
生体認証情報取得部4から取得した生体認証情報を認証する生体認証部5、前記携帯器3から出力されるキー認証情報を認証するキー認証部6、前記携帯器3以外に配置される第3信号入力部7から入力された第3認証信号を認証する第3信号認証部8、および前記電気錠2を施解錠操作する錠操作部9を備えて前記電気錠2を制御する錠制御部10とを有し、
前記携帯器3は前記錠制御部10から出力される認証情報出力要求に応答してキー認証情報を出力可能に形成され、
前記錠制御部10は、前記生体認証部5における認証成立を条件に出力される前記認証情報出力要求に対する携帯器3からのキー認証情報に対する認証成立により電気錠2を施解錠動作させるとともに、
前記生体認証情報に対する認証成立後のキー認証情報に対する認証不成立時には、前記第3信号認証部8における認証成立時に解錠動作させ、
かつ、前記第3信号認証部8は、前記第3信号入力部7が予め定められた操作方法により操作された際に認証成立信号を出力する錠システムを提供することにより達成される。
【0009】
錠システムは、利用者が所持する携帯器3と、電気錠2と、電気錠2を制御する錠制御部10を有し、錠制御部10は、生体認証情報取得部4で取得した指紋、顔、静脈画像等を認証する生体認証部5と、携帯器3が出力するキー認証情報を認証するキー認証部6とを有し、生体認証部5において認証が成立すると、携帯器3に対してキー認証情報の出力要求を出力する。
【0010】
携帯器3は錠制御部10が認証情報出力要求を出力した際には、これに対する応答信号としてキー認証情報を出力可能に形成され、施錠状態において認証情報出力要求を出力した錠制御部10が携帯器3からの応答信号を受信した際には、応答信号内のキー認証情報をキー認証部6において認証動作を行い、認証が成立すると、錠操作部9に施解錠動作命令を出力し、電気錠2が施解錠される。
【0011】
したがって本発明において、生体認証部5での認証が成立すると、自動的に携帯器3のキー認証情報を取得した後、このキー認証情報に対する認証動作を実行し、認証が成立した場合には、電気錠2を施解錠させることができるために、携帯器3の取り出し、操作等を要せず、使い勝手が向上する。
【0012】
また、生体認証が成立したあと、携帯器3に対する認証が成立しなかった場合には、携帯器3とは異なる第3信号入力部7から所定の第3認証信号を入力し、この第3認証信号が認証されると、解錠操作がなされる。
【0013】
このため、携帯器3の携帯忘れ、あるいはバッテリ切れがあっても、締め出されることがなく、さらに、第3認証信号の認証成立による解錠動作は、生体認証による認証成立を条件とするために、防盗性能は確保される。
【0014】
また、錠システムは、
人感センサ11を有し、
前記生体認証部5は、前記人感センサ11による人体検出により、動作開始するとともに、
前記生体認証部5は、前記人感センサ11による人体検出により動作開始する情報取得部としてのカメラにより取得した顔画像をもとにした顔認証を実行するように構成することができる。
【0015】
このように構成すると、錠制御部10は人感センサ11による人体の検出により自動的にカメラにより撮像、および制御を開始し、顔認証を実行する。認証方式に顔認証を採用することにより、例えば、指をセンサ上に載せる操作が必要となる指紋認証等とは異なり、カメラによる撮像可能な位置に顔を近づけるだけで認証動作が行われるために、より使い勝手が向上する。
【0016】
さらに、
利用者の操作により前記携帯器3からキー認証情報を出力させるキー認証情報出力操作手段12を有し、
前記錠制御部10は、生体認証部5における認証不成立時に、前記キー認証情報出力操作手段12への操作により出力されたキー認証情報のキー認証部6での認証成立により錠操作部9を解錠動作させる錠システムを構成すると、顔認証画像が登録されていない利用者に対しても解錠権限を付与することができるために、使い勝手が向上する。
【0017】
また、
前記第3信号認証部8は、前記第3信号入力部7が予め定められた操作方法により操作された際に認証成立信号を出力するために、特別なアクセス手段を要することなく第3信号入力部7への入力操作が可能になるために、使い勝手が悪化することがなく、かつ、第3信号認証部8は、第3信号入部への所定の操作方法、例えば、長押し、あるいはモールス信号状の長押しと短押しとの組み合わせ等があった場合にのみ認証を成立させるために、防盗性能を低下させることがない。
【0018】
このように、第3信号入力部7への入力方式を暗号化することにより、第三者が操作可能な位置、すなわち、扉1、またはその周囲に配置しても防盗性能が低下することがなく、その上、第三者に知られない位置に第3信号入力部7を配置する必要がないために、使い勝手が向上する。
【0019】
この場合、第3信号入力部7として、携帯器3からキー認証情報を出力させるキー認証情報出力操作手段12を利用すると、別途第3信号入力部7を設定する必要がないために、構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生体認証部における認証が成立すると、利用者は何らの操作をすることなく携帯器の認証動作が自動的に実行されるために、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】錠制御システムに使用する扉を示す図である。
【
図3】錠制御システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】人体検出時プロセスのフローチャートである。
【
図5】認証用操作による携帯器認証プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、錠システムは、電気錠2と、電気錠2の施解錠状態を制御する錠制御部10と、錠制御部10を遠隔制御するための携帯器3とを有して構成される。
【0023】
図2に示すように、電気錠2は扉1内に組み込まれ、電動アクチュエータにより施錠体を動作させて施解錠状態間を遷移する。
【0024】
携帯器3は、通信部3aと、キー認証情報出力操作手段12としての施錠ボタン3b、および解錠ボタン3cとを有し、通信部3aはLF帯の電波を受信可能なLF受信部3a1と、UHF帯の電波を送信するUHF送信部3a2と、これらを制御する制御部3dとからなる。
【0025】
この携帯器3は、後述する錠制御部10から出力される認証情報出力要求(リクエスト信号)に応答して携帯器3毎に設定されたキー認証情報(ID情報)を出力するパッシブ動作に加え、上記施解錠ボタン3b、3cを操作することにより施解錠種別信号とともにキー認証情報を出力するアクティブ動作も可能であり、通信部3aのLF受信部3a1が錠制御部10からのリクエスト信号を受信すると、制御部3dは、リクエスト信号の出力要求に自局が含まれていることを判定した後、UHF送信部3a2からキー認証情報を出力するパッシブ動作を実行する。
【0026】
これに対し、施解錠ボタン3b、3cへの操作が検出されると、制御部3dは、キー認証情報をUHF送信部3a2から出力するアクティブ動作を実行する。
【0027】
錠制御部10は、通信部10a、認証部13、生体認証情報取得部4、キー認証情報出力操作手段12、第3信号入力部7、人感センサ11、錠操作部9、電気錠2の施解錠状態を検出する施解錠状態検出部10b、扉1の開閉状態を検出する扉状態検出部10c、施解錠状態への移行等の利用者への告知、または必要な操作指示を表示するための表示部10d、制御プロセスの時間制限を計測するための計時部10e、および上述した各部を制御する制御部10fを備える。
【0028】
通信部10aは、UHF受信部10a1とLF送信部10a2からなり、制御部10fは、UHF受信部10a1が所定の信号を受信すると、携帯器3のIDキー認証情報、および施解錠種別信号が含まれている場合には、施解錠種別信号を抽出してキー認証部6に出力する。
【0029】
図2に示すように、携帯器3の通信部3aとの交信を可能にするために、ドアハンドル14内には図外のアンテナが組み込まれており、さらに、このドアハンドル14にはリクエストスイッチ15が扉1外部から操作可能な位置に配置される。本例においてリクエストスイッチ15は押し釦スイッチ、あるいは静電容量センサにより形成される。
【0030】
上記リクエストスイッチ15は、キー認証情報出力操作手段12として機能し、制御部10fはキー認証情報出力操作手段12としてのリクエストスイッチ15への操作を検出すると、LF送信部10a2からリクエスト信号を出力して携帯器3からの応答を待ち受ける。所定のレスポンス時間内にUHF受信部10aが応答信号を受信すると、キー認証情報を抽出してキー認証部6で認証の可否を判定する。
【0031】
認証部13は、上述したように携帯器3によるアクセス権限を認証するためのキー認証部6、生体認証部5、および第3信号認証部8を備えており、各々認証対象情報を図外の記憶部に格納した認証用登録情報と比較し、一致する際に認証成立情報を出力する。
【0032】
生体認証には静脈認証、指紋認証等を採用することが可能であり、採用した生体認証の種類により、所定の生体認証情報を取得するための生体認証情報取得部4には、静脈認証である場合には静脈スキャナ等が使用される。
【0033】
本例において、生体認証には、生体認証情報取得部4への接触等を要することなく認証情報が取得できる顔認証が使用され、
図2に示すように、扉1表面には生体認証情報取得部4としてのカメラ16が配置される。
【0034】
第3信号認証部8は、第3信号入力部7から入力された認証情報を認証する。本例において、上記リクエストスイッチ15は、上述したキー認証情報出力操作手段12としての機能に加えて、第3信号入力部7としての機能を有しており、リクエストスイッチ15への所定時間に渡る継続的操作(本例においては長押し操作)が第3信号認証部8における認証可能な第3認証信号とされる。
【0035】
したがって、制御部10fがリクエストスイッチ15への押下操作を検出すると、第3信号認証部8による認証動作が開始され、計時部10eでの押下操作時間の計測によりリクエストスイッチ15への所定の押下継続時間が観測されると、第3信号認証部8が認証成立信号を出力する。
【0036】
なお、本例においては、第3信号認証部8での認証可能な操作として、リクエストスイッチ15への長押し操作が採用されているが、この他、例えば、ドアハンドル14の適宜時間に渡る引張操作、あるいは、モールス信号状の引張、押し込み操作等、適宜操作を採用することができる。
【0037】
人感センサ11は、
図2に示すように、検出部が扉1表面に設置され、制御部10fは、人感センサ11が人体検出信号を出力すると、カメラ16を起動して生体認証部5での認証動作を開始し、生体認証部5での認証が成立すると、自動的にリクエスト信号を生成して通信部10aから出力する。
【0038】
錠操作部9は、電気錠2に施錠、あるいは解錠ドライブ信号を出力することにより電気錠2の電動アクチュエータを施錠動作側、あるいは解錠動作側に駆動し電気錠2の状態を遷移させる。
【0039】
また、錠制御部10は電気錠2の施解錠状態を検出する施解錠状態検出部10bを備え、制御部10fは、パッシブ動作下で携帯器3からのキー認証情報がキー認証部6で認証されると、施解錠状態検出部10bにおいて検出された施解錠状態を反転させるドライブ信号を錠操作部9にセットし、電気錠2の状態を反転させる。
【0040】
図3に錠制御部10の制御フローを示す。まず、扉1の前に人が立ったことを人感センサ11が検出し、人体検出信号を出力すると(ステップS1)、人体検出時プロセスが実行され(ステップS2)、後述するように、顔認証動作、および携帯器3のパッシブ動作によるキー認証動作が連続で実行され、次いで、後述する認証用操作による携帯器認証プロセスが実行される(ステップS3)。
【0041】
ステップS3が終了すると、扉1の前に人がいないか、すなわち、人感センサ11の人体検出出力がOFFになっているか否かが判定され(ステップS4)、OFFであることが検出されると、ステップS1に復帰する。
【0042】
一方、ステップS1において人体が検出されなかった場合には、ステップS3と同様の認証用操作による携帯器認証プロセスが実行され(ステップS5)、終了後、ステップS1に復帰する。
【0043】
図4に人体検出時プロセスの詳細を示す。人体検出時プロセスは、人感センサ11の人体の検出により自動実行される顔情報取得、すなわち、カメラの起動から開始される(ステップ20)。顔認証は予め設定された時間内で取得された顔画像を認証情報として使用し、顔情報の取得時間を所定の設定時間内に制限するために、ステップ20に続いて計時部10eを使用した顔認証タイマによる計測を開始し(ステップS21)、設定時間内に顔認証が成立しなかった場合(ステップS22、S23)、人体検出時プロセスを終了し、
図3の携帯器3のアクティブ動作によるキー認証動作が実行される(ステップS5)。
【0044】
これに対し、ステップS22で顔認証が成立した場合、制御部10fは施解錠状態検出部10bの状態を確認し、施錠状態である場合(ステップ220)、制御部10fは通信部10aに解錠リクエスト信号をセットしてLF送信部10a2から出力する(ステップS221)。解錠リクエスト信号は、リクエスト信号自体に解錠命令を含むものであっても、あるいは解錠命令であることを錠制御部10にフラグとして保持し、リクエスト信号のみを出力するものであってもよい。
【0045】
本発明において、ステップS220で施錠状態と判定された場合、すなわち、解錠を目的とする場合には、携帯器3のバッテリ切れ、携帯忘れ等による締め出しを防止するための第3認証プロセスが用意されており、第3認証プロセスの実行時間を制限するために、ステップS221に続いて非常解錠タイマによる計時を開始し(ステップS222)、その後、携帯器3の認証を実行する(ステップS223)。
【0046】
ステップS222で携帯器3に対する認証が成立した場合、制御部10fは錠操作部9に解錠ドライブ信号をセットし、電気錠2を解錠動作させて人体検出時プロセスを終了させる(ステップS2231)。
【0047】
一方、ステップS223で携帯器3の認証が成立しなかった場合、第3認証動作の有無を判定するために、第3信号入力部7としてのリクエストスイッチ15の状態遷移を検出する。第3信号認証部8がリクエストスイッチ15のOFF状態からON状態への遷移を検出すると(ステップS224)、リクエストスイッチ15への操作が当該第3信号認証部8での認証可能な信号であるか、すなわち、所定時間の長押し操作であるかを判定するために、長押し検出タイマを開始する(ステップS225)。
【0048】
リクエストスイッチ15への押下操作が所定時間継続されて長押しタイマがタイムアップすると(ステップS226)、第3信号認証部8は認証成立信号を出力し、認証成立信号を受けた制御部10fは錠操作部9に解錠ドライブ信号をセットし、電気錠2を解錠動作させて人体検出時プロセスを終了させる(ステップS2231)。
【0049】
また、ステップS226でタイムアウトしていない場合には、長押し操作の途中終了を検出するために、リクエストスイッチのONからOFFへの遷移を判定し(ステップS227)、リクエストスイッチの遷移が検出された場合、解錠リクエスト信号を送信する(ステップS228)。
【0050】
これに対し、ステップS227でリクエストスイッチの遷移が検出されなかった場合には、ステップS222で設定した非常解錠タイマのタイムアウトを判定し(ステップS229)、設定時間内であるときにはステップS223に復帰し、タイムアウトしているときには人体検出時プロセスを終了する。
【0051】
一方、ステップS220で解錠状態と判定された場合、施錠リクエスト信号を出力し(ステップS2201)、キー認証部6において携帯器3の認証を実行する(ステップS2202)。
【0052】
ステップS2202で認証が成立しなかった場合には、解錠操作時のような利用者の締め出しが生じる虞がないために、第3信号認証部8における認証動作を行うことなく人体検出時プロセスを終了し、認証が成立した場合、施錠動作を実行して人体検出時プロセスを終了する(ステップS2203)。
【0053】
以上の人体検出時プロセスが終了すると、認証用操作による携帯器認証プロセスが実行される。
【0054】
認証用操作による携帯器認証プロセスは、主として、顔画像を顔認証用画像として登録していない利用者の便宜のために設定されるもので、上述した人体検出時プロセスが第3認証動作以外は利用者の特別な操作を要することなく順次実行されるのに対し、利用者の携帯器3へのアクティブ操作、あるいは利用者によるキー認証情報出力操作手段12(本例においてはリクエストスイッチ15)への操作による携帯器3の認証動作が行われる。
【0055】
まず、上述した人体検出時プロセスが終了すると、制御部10fはキー認証情報出力操作手段12としてのリクエストスイッチ15への操作を監視し(ステップS30)、操作があった場合、LF送信部10a2にリクエスト信号をセットして携帯器3からの応答信号をキー認証部6で認証する(ステップS31)。
【0056】
ステップS31で携帯器3の認証が成立すると、施解錠状態検出部10bから施解錠状態を検出し(ステップS32)、施錠状態であるとき、解錠動作を行って(ステップS33)、本プロセスを終了し、ステップS32で解錠状態が検出された際には施錠動作を行って(ステップS34)、本プロセスを終了する。
【0057】
一方、ステップS30でリクエストスイッチ15の操作が検出されなかった場合には、利用者による携帯器3への操作による認証動作(アクティブ動作)により携帯器3から出力されるキー認証情報を監視し(ステップS300)、UHF受信部10a1が携帯器3からのキー認証情報を受信しなかった場合には本プロセスを終了する。
【0058】
また、ステップS300でキー認証情報を受信した場合には、キー認証部6での認証を行い(ステップS301)、認証が成立しなかった場合には本プロセスを終了し、成立した場合には、キー認証情報とともに送信される施解錠種別信号を解析し(ステップS302)、施解錠種別信号が携帯器3の解錠ボタン3cを操作することにより送信される解錠命令である場合には解錠動作を(ステップS303)、施錠命令である場合には施錠動作を実行した後(ステップS304)、本プロセスを終了する。
【0059】
上述したように、ステップS1において人体検出がされなかった場合、すなわち、利用者が扉1周りにいない場合、あるいは人感センサ11の故障時にも、
図3に示すように、認証用操作による携帯器認証プロセスが実行され、このプロセスは、人体検出時プロセスに続いて実行されるプロセス(S3)と全く同一であるために、説明を省略する。
【符号の説明】
【0060】
1 扉
2 電気錠
3 携帯器
4 生体認証情報取得部
5 生体認証部
6 キー認証部
7 第3信号入力部
8 第3信号認証部
9 錠操作部
10 錠制御部
11 人感センサ
12 キー認証情報出力操作手段