(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】複合床構造およびその構築方法
(51)【国際特許分類】
E04B 5/02 20060101AFI20250529BHJP
【FI】
E04B5/02 G
E04B5/02 M
E04B5/02 F
(21)【出願番号】P 2021167046
(22)【出願日】2021-10-11
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 和成
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-025524(JP,A)
【文献】特開昭64-029551(JP,A)
【文献】特開平07-331737(JP,A)
【文献】特開平06-073781(JP,A)
【文献】特開2020-84729(JP,A)
【文献】特開2019-39177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/02
E04B 1/58
E04B 1/16
E04C 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨梁と木質板とを備える複合床構造であって、
前記鉄骨梁は、水平方向に延びる
上下のフランジと、前記
上下のフランジ
同士を連結して鉛直方向に延びるウエブと、を備え、
前記木質板の側端面は、前記ウエブの側面に当接して配置され、
前記木質板は、ひき板を積層して形成されたCLTを含んで構成され、
前記木質板のCLTの側端面全体は、前記上下のフランジで挟み込まれており、
前記鉄骨梁のウエブには、側方に突出する突出部が設けられ、
前記木質板
のCLTの側端面には、前記突出部が挿入される凹部が形成され、
前記凹部の内部には、充填材が充填されていることを特徴とする複合床構造。
【請求項2】
前記木質板を支持する鉄筋コンクリート造の梁をさらに備え、
前記梁には、前記鉄骨梁の端部および前記木質板の鉄骨梁に接合されていない端部が接合されていることを特徴とする請求項1に記載の複合床構造。
【請求項3】
鉄骨梁、鉄筋コンクリート造の梁、および木質板を備える複合床構造を構築する方法であって、
前記鉄骨梁には、前記木質板の端部が接合され、
前記鉄筋コンクリート造の梁には、前記鉄骨梁の端部および前記木質板の鉄骨梁に接合されていない端部が接合され、
前記鉄骨梁は、水平方向に延びるフランジと、前記フランジから鉛直方向に延びるウエブと、を備え、
前記木質板の側端面は、前記ウエブの側面に当接して配置され、
前記鉄骨梁のウエブには、側方に突出する突出部が設けられ、
前記木質板の側端面には、前記突出部が挿入される凹部が形成され、
前記凹部の内部には、充填材が充填され、
前記鉄骨梁および前記木質板を一体化させた複合床パネルを用意しておき、仮設梁を架設して、前記仮設梁の上に前記複合床パネルを配置する工程と、
前記複合床パネルの側端面に沿って梁型枠を建て込む工程と、
前記梁型枠の内側にコンクリートを打設することで、前記複合床パネルに一体化して梁を構築する工程と、を備えることを特徴とする複合床構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁と木質板とを備える複合床構造、および、この複合床構造の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨梁と木質板とを組み合わせた複合床構造がある(特許文献1~3参照)。
特許文献1には、鉄骨梁と、鉄骨梁に上に縁が載るように敷設された直交集成板と、直交集成板の上面および端面を覆うように直交集成板の上に打設されて硬化されたコンクリートと、を備える床CLT構造が示されている。
特許文献2には、上面からスタッドが突出した梁と、梁に支持されてスタッドが挿入される貫通孔が形成された木質床版と、木質床版の貫通孔に充填されたスラブコンクリートと、を備えた接合構造が示されている。
特許文献3には、上面からボルトが突出した梁と、梁の上面に支持された木質床版と、ボルトおよび木質床版に固定されてボルトと木質床版との間で水平力を伝達する鋼製プレートと、を備えた接合構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-105694号公報
【文献】特開2019-31787号公報
【文献】特開2019-39177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、軽量かつ床厚を薄くできる複合床構造、およびその構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鉄骨梁と木質板とが接合された複合床構造として、鉄骨梁のウエブの側面に木質板を取り付けることで、コンクリート造の床構造と比べて軽量であり、かつ、鉄骨梁の上面に木質板を敷設した複合床構造と比べて、床構造の厚さを薄くできる点に着眼し、本発明に至った。
第1の発明の複合床構造(例えば、後述の複合床構造1、1A)は、鉄骨梁(例えば、後述の鉄骨梁30)と木質板(例えば、後述の木質板40)とを備える複合床構造であって、前記鉄骨梁は、水平方向に延びるフランジ(例えば、後述の下フランジ31、上フランジ32)と、前記フランジから鉛直方向に延びるウエブ(例えば、後述のウエブ33)と、を備え、前記木質板の側端面(例えば、後述の側端面40A)は、前記ウエブの側面に当接して配置され、前記鉄骨梁のウエブには、側方に突出する突出部(例えば、後述のスタッド35)が設けられ、前記木質板の側端面には、前記突出部が挿入される凹部(例えば、後述の凹部44)が形成され、前記凹部の内部には、充填材(例えば、後述のグラウト材46)が充填されていることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、床構造として、鉄骨梁のウエブの側面に木質板を取り付けて形成したので、鉄筋コンクリート造の床構造と比べて軽量化できるうえに、鉄骨梁の上に木質板を載置した複合構造に比べて、床厚を薄くできる。
また、鉄骨梁のウエブに設けた突出部を木質板の凹部に挿入し、この凹部の内部に充填材を充填することで、突出部周りの隙間を塞いで、突出部の一面せん断接合により鉄骨梁と木質板とを接合する。よって、従来のように鉄骨梁と木質板との接合部分に建設現場でコンクリートを打設する湿式工法ではなく、工場で鉄骨梁と木質板とを一体化する乾式工法とすることで、鉄骨梁と木質板との一体性を短期間で確保することができる。
【0007】
第2の発明の複合床構造は、前記木質板を支持する鉄筋コンクリート造の梁(例えば、後述の大梁20)をさらに備え、前記梁には、前記鉄骨梁の端部および前記木質板の鉄骨梁に接合されていない端部(例えば、後述の側端面40B)が接合されていることを特徴とする。
この発明によれば、木質板の鉄骨梁に接合されていない端部を、鉄筋コンクリート造の梁に接合したので、鉄骨梁、木質板、および鉄筋コンクリート梁が接合された複合床構造を実現できる。
【0008】
第3の発明の複合床構造の構築方法は、上述の複合床構造を構築する方法であって、前記鉄骨梁および前記木質板を一体化した複合床パネルを用意しておき、仮設梁(例えば、後述の仮設梁61)を架設して、前記仮設梁の上に前記複合床パネルを配置する工程(例えば、後述のステップS1、S2)と、前記複合床パネルの側端面に沿って梁型枠(例えば、後述の底型枠62、側型枠63)を建て込む工程(例えば、後述のステップS3、S4)と、前記梁型枠の内側にコンクリートを打設することで、前記複合床パネルに一体化して梁を構築する工程(例えば、後述のステップS5)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、仮設梁の上に複合床パネルを配置して、仮設梁で複合床パネルを下から支持し、この状態で、複合床パネルの側端面に沿って梁型枠を建て込んでコンクリートを打設することで、複合床パネルと鉄筋コンクリート梁とを容易に一体化できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽量かつ床厚を薄くできる複合床構造、およびその構築方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る複合床構造の平面図である。
【
図3】
図1の複合床構造のII-II断面図である。
【
図4】複合床構造を構成する複合床パネルの平面図である。
【
図5】
図4の複合床パネルのIII-III断面図である。
【
図6】
図4の複合床パネルのIV-IV断面図である。
【
図7】複合床構造を構築する手順のフローチャートである。
【
図8】複合床構造の構築手順の説明図(その1、複合床パネルの配置を示す平面図)である。
【
図9】複合床構造の構築手順の説明図(その2、複合床パネル同士の接合部の縦断面図)である。
【
図10】複合床構造の構築手順の説明図(その3、大梁の底型枠を建て込んだ状態を示す縦断面図)である。
【
図11】複合床構造の構築手順の説明図(その4、大梁の側型枠を建て込んだ状態を示す縦断面図)である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る複合床構造の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、鉄骨梁のウエブの側面に木質板が取り付けられた複合床構造である。この複合床構造では、鉄骨梁の上に木質板を敷設するのではなく、鉄骨梁の梁せいとなるウエブの側面に木質板を設置して、鉄骨梁に接合させた。本発明の複合床構造によれば、鉄骨梁の上面に木質板を敷設する場合に比べて、床構造の厚さを低く抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る複合床構造1の平面図である。
図2は、
図1の複合床構造1のI-I断面図である。
図3は、
図1の複合床構造1のII-II断面図である。
複合床構造1は、柱10と、柱10同士の間に架設された鉄筋コンクリート造の大梁20と、大梁20同士の間に架設された鉄骨造の小梁である鉄骨梁30と、大梁20および鉄骨梁30で囲まれた部分に設けられた木質の木質板40と、木質板40の大梁20に接合される周縁部の下面に沿って設けられた鋼製または木製の枠材50と、を備える。
【0013】
鉄骨梁30は、水平方向に延びる下フランジ31および上フランジ32と、下フランジ31と上フランジ32とを連結して鉛直方向に延びるウエブ33と、ウエブ33の側面に設けられて水平方向に延びる支持フランジ34と、を備える。
鉄骨梁30のウエブ33のうち支持フランジ34の上側には、ウエブ33の長さ方向に沿って所定間隔おきに、側方に突出する突出部としてのスタッド35が設けられている(
図4参照)。ウエブ33のスタッド35の近傍には、後述のグラウト材を充填する際の空気抜き孔36が形成されている。
また、鉄骨梁30のウエブ33のうち支持フランジ34の下側には、ウエブ33の長さ方向に沿って所定間隔おきに、隣り合う鉄骨梁30同士をボルトで連結するためのボルト挿通孔37が形成されている。隣り合う鉄骨梁30のボルト挿通孔37には、高力ボルト38が挿通されて、ナット39が締め付けられている。この高力ボルトによる摩擦接合により、隣り合う鉄骨梁30同士が連結されている(
図3、
図8参照)。
【0014】
木質板40は、平面視で矩形状であり、ひき板(ラミナ)を7層積層したCLT(Cross Laminated Timber)41と、このCLT41の上に積層された木製の型枠合板42と、CLT41の下面に設けられた木質の天井下地43と、を備える。
以下、この木質板40の鉄骨梁30に接合される側端面を側端面40Aとし、残る大梁20に接合される側端面(木質板40の鉄骨梁30に接合されない側端面)を側端面40Bとする。
木質板40の側端面40Aは、鉄骨梁30のウエブ33の側面に当接して配置されており、この木質板40のCLT41の側端面40A側の端部は、鉄骨梁30の支持フランジ34と上フランジ32との間に介装されている。また、型枠合板42の上面は、鉄骨梁30の上フランジ32の上面と面一となっている。また、天井下地43の下面および枠材50の下面は、鉄骨梁30の下フランジ31の下面と面一となっている。
【0015】
木質板40の側端面40Aには、鉄骨梁30のスタッド35が挿入される凹部44が形成されている。また、木質板40の下面には、外部からこの凹部44に至るグラウト注入孔45が形成されている。鉄骨梁30のスタッド35が凹部44に挿入した状態で、グラウト注入孔45を通して充填材としてのグラウト材46が凹部44内に充填されており、これにより、木質板40が鉄骨梁30に接合されて一体化している。
また、木質板40の側端面40Bには、防水塗装が施されており、この側端面40Bの長さ方向に沿って所定間隔おきに、雌ねじ部47が埋設されている(
図4参照)。
【0016】
大梁20には、鉄骨梁30の端部と、木質板40の鉄骨梁30に接合されていない端部である側端面40Bとが接合されている。この大梁20には、木質板40の側端面40Bを構成する枠材50を下から支持する顎部21が設けられている。この大梁20は、梁主筋22と、梁主筋22を囲んで設けられたあばら筋23と、顎部21に配筋されたふかし筋24と、これら梁主筋22、あばら筋23、ふかし筋24が埋設されたコンクリート体25と、を備える。
木質板40の雌ねじ部47にはボルト(ラグスクリューボルト)48が螺合されており、このボルト48が大梁20のコンクリート体25に埋設されることで、木質板40が大梁20に接合されている。なお、本実施形態では、木質板40の側端面40Bに雌ねじ部47を設け、この雌ねじ部47にボルト48を螺合したが、これに限らず、木質板40の側端面40Bに側方に突出する平鋼や形鋼を設けてもよい。
【0017】
本発明では、鉄骨梁30、木質板40、および枠材50を一体化して複合床パネル60とし、この複合床パネル60を敷設して鉄筋コンクリート造の大梁20と一体化することで、複合床構造1を構築する。
図4は、複合床パネル60の平面図である。
図5は、
図4の複合床パネル60のIII-III断面図である。
図6は、
図4の複合床パネル60のIV-IV断面図である。
複合床パネル60では、鉄骨梁30のスタッド35を木質板40の凹部44に挿入し、この状態で、木質板40の下面に設けたグラウト注入孔45から充填材としてのグラウト材46を注入して、凹部44内に充填する。このグラウト材46の注入は、空気抜き孔36からグラウト材46が溢れるまで行う。これにより、木質板40が鉄骨梁30に接合される。
【0018】
以下、複合床パネル60を用いて複合床構造1を構築する手順について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
すなわち、ステップS1では、
図8および
図9に示すように、複合床パネル60を支持するための仮設梁61を架設して、この仮設梁61上に複合床パネル60を配置する。これにより、複合床パネル60の木質板40の側端面40Bは、大梁20の側面に位置することになる(
図10参照)。
ステップS2では、
図8および
図9に示すように、隣り合う複合床パネル60同士を連結する。具体的には、隣り合う複合床パネル60の鉄骨梁30のボルト挿通孔37に高力ボルト38を挿通して、ナット39を締め付けることで、隣り合う複合床パネル60同士を連結する。
【0019】
ステップS3では、
図10に示すように、複合床パネル60の側端面40Bに沿って大梁20の底型枠62を建て込んで、大梁20および顎部21の配筋を行う。具体的には、梁主筋22とあばら筋23とを地組みして、この地組みした梁主筋22およびあばら筋23を大梁20の底型枠62上に落し込む。その後、ふかし筋24を配筋する。
ステップS4では、
図11に示すように、大梁20の側型枠63を建て込む。その後、複合床パネル60の側端面40Bの雌ねじ部47にボルト48を螺合する。
ステップS5では、底型枠62および側型枠63の内側にコンクリートを打設することで、複合床パネル60に一体化して大梁20を構築する。このとき、木質板40の防水塗装が施された側端面40Bは、梁型枠として機能する。その後、側型枠63、底型枠62、および仮設梁61を解体する。
【0020】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)複合床構造1として、鉄骨梁30のウエブ33の側面に木質板40を取り付けて形成したので、鉄筋コンクリート造の床構造と比べて軽量化できるうえに、鉄骨梁の上に木質板を載置した複合構造に比べて、床厚を薄くできる。
また、鉄骨梁30のウエブ33に設けたスタッド35を木質板40の凹部44に挿入し、この凹部44の内部にグラウト材46を充填することで、スタッド35周りの隙間を塞いで、スタッド35の一面せん断接合により鉄骨梁30と木質板40とを接合する。よって、従来のように鉄骨梁と木質板との接合部分に建設現場でコンクリートを打設する湿式工法ではなく、工場で鉄骨梁と木質板とを一体化する乾式工法とすることで、鉄骨梁と木質板との一体性を短期間で確保することができる。また、隣り合う複合床パネル60の鉄骨梁30同士を高力ボルト38およびナット39による高力ボルト摩擦接合で接合したので、隣り合う複合床パネル60同士を強固に一体化することができる。
【0021】
(2)木質板40の鉄骨梁に接合されていない側端面40Bを、鉄筋コンクリート造の大梁20の側面に接合したので、鉄骨梁30、木質板40、および大梁20が一体化された複合床構造1を実現できる。また、複合床構造1では、複合床パネル60を先行して取り付けた後、複合床パネル60の端部を大梁20梁型枠62、63の内側に配置して、この状態でコンクリートを打設したので、鉄筋コンクリート造の大梁を先行して構築し、その後、この大梁に複合床パネルを接合する場合に比べて、型枠材の低減が可能であり、複合床パネル60と大梁20とを一体化させることができる。
(3)仮設梁61で複合床パネル60を下から支持し、この状態で、複合床パネル60の側端面40Bに沿って底型枠62および側型枠63を建て込んでコンクリートを打設することで、複合床パネル60と大梁20とを容易に一体化できる。
(4)複合床パネル60は、建設現場で製作するのではなく、工場にて、H形鋼またはコの形状の鋼材を鉄骨梁30とし、この鉄骨梁30に木質板40を接合して製作して、建設現場に搬入することで、工期短縮が可能である。
【0022】
〔第2実施形態〕
図12は、本発明の第2実施形態に係る複合床構造1Aの縦断面である。
本実施形態では、当階の床を防振二重床とし、下階の天井を遮音天井とした点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、大梁20、鉄骨梁30、および木質板40の上面には、強化石膏ボード70が3層積層されており、この積層された強化石膏ボード70の上面には、支持脚71が配置され、支持脚71の上には、床材72が設置されている。
また、鉄骨梁30および木質板40の下面には、強化石膏ボード80が3層積層されている。天井下地43には、吊りボルト81が取り付けられており、吊りボルト81は、強化石膏ボード80を貫通して下方に延びている。この吊りボルト81には、天井材82が支持されており、天井材82の天井裏側には、遮音材83が設けられている。
本実施形態によれば、上述の(1)~(4)と同様の効果がある。
【0023】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、仮設梁61を架設し、この仮設梁61の上に複合床パネル60を配置した後、大梁20の底型枠62を建て込んだが、これに限らず、大梁20の底型枠62を建て込んだ後に、仮設梁61を架設して、複合床パネル60の配置や大梁20の配筋を行ってもよい。
また、上述の各実施形態では、鉄骨梁30のウエブ33に突出部としてスタッド35を設けたが、これに限らず、突出部として平鋼や形鋼を設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、木質板40の下面に設けたグラウト注入孔45から木質板40の凹部44にグラウト材46を注入し、空気抜き孔36から空気を抜いたが、これに限らず、
図3に示す空気抜き孔36から木質板40の凹部44にグラウト材46を注入し、
図3に示すグラウト注入孔45から空気を抜いてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1、1A…複合床構造 10…柱
20…大梁 21…顎部 22…梁主筋 23…あばら筋
24…ふかし筋 25…コンクリート体
30…鉄骨梁 31…下フランジ 32…上フランジ 33…ウエブ
34…支持フランジ 35…スタッド(突出部) 36…空気抜き孔
37…ボルト挿通孔 38…高力ボルト 39…ナット
40…木質板 40A…木質板の鉄骨梁に接合される側端面
40B…木質板の大梁に接合される側端面(木質板の鉄骨梁に接合されていない端部)
41…CLT 42…型枠合板
43…天井下地 44…凹部 45…グラウト注入孔
46…グラウト材(充填材) 47…雌ねじ部 48…ボルト
50…枠材 60…複合床パネル 61…仮設梁 62…底型枠(梁型枠)
63…側型枠(梁型枠)
70…強化石膏ボード 71…支持脚 72…床材
80…強化石膏ボード 81…ボルト 82…天井材 83…遮音材