(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】分注デバイスを組み立てる方法及び分注デバイス
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20250529BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20250529BHJP
B05B 1/32 20060101ALI20250529BHJP
A61M 11/00 20060101ALN20250529BHJP
【FI】
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
B05B11/10 101G
B05B11/10 101E
B05B1/32
A61M11/00 D
(21)【出願番号】P 2022555758
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2021056511
(87)【国際公開番号】W WO2021185751
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-02-20
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503277020
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム マイクロパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim microParts GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauert 7,D-44227 Dortmund,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ハウスマン マティアス
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0282276(US,A1)
【文献】特表2009-514577(JP,A)
【文献】特表2014-521369(JP,A)
【文献】特表2017-520332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0145436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B05B 1/00
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物(2)を分注するための分注デバイス(1)を組み立てる方法であって、密封要素(24)
が前記分注デバイス(1)の受け入れ空間(27)に配置
され、又は密封要素(24)が前記分注デバイス(1)の前記受け入れ空間(27)と同じ寸法を有する試験システム内の受け入れ空間(27)に配置され、
前記受け入れ空間(27)に配置された前記密封要素(24)は変形され、組立パラメータ(M)が、
前記受け入れ空間(27)内の該変形中の該密封要素(24)の変形挙動及び/又は摩擦挙動に基づいて
該変形中に決定され、
前記密封要素(24)又は設置されることになる異なる密封要素(24)が、前記組立パラメータ(M)を使用して分注デバイス(1)の受け入れ空間(27)に固定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
組み立てられる前記分注デバイス(1)は、
前記薬物(2)を搬送するために移動することができる搬送要素(9)と、
前記搬送要素(9)を案内するための案内要素(23)と、
前記搬送要素(9)を前記案内要素(23)に対して密封するための前記密封要素(24)と、
前記案内要素(23)に締結される固定要素(25)又は接触要素(26)と、を備え、
前記案内要素(23)は、前記密封要素(24)を受け入れるための前記分注デバイス(1)の前記受け入れ空間(27)の境界を少なくとも部分的に定め、前記密封要素(24)は、固定要素(25)又は接触要素(26)を用いて前記受け入れ空間(27)内に固定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記密封要素(24)はリング形状である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の密封要素(24)が、バッチで提供され、組立パラメータ(M)が、所与の該バッチの密封要素(24)のランダムサンプルを使用して各バッチに対して別々に決定され、このバッチに対して決定された該組立パラメータ(M)は、受け入れ空間(27)内の該バッチの密封要素(24)の各固定に対して使用されることを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組立パラメータ(M)は、前記密封要素(24)の同じ変形値が密封要素(24)の異なるバッチに対する完全に組み立てられた分注デバイス(1)に対してもたらされるように各場合に選択され
ることを特徴とする
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変形値は、前記密封要素(24)がどれほど多く変形されるか又は圧縮されるかの尺度であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
バッチの前記組立パラメータ(M)を決定するために、組立パラメータ(M)が、前記ランダムサンプル内の各密封要素(24)に対して最初に別々に決定され、別々に決定されたこれらの組立パラメータ(M)の平均値が、このバッチの全ての密封要素(24)に対する該組立パラメータ(M)として定められることを特徴とする
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組立パラメータ(M)を決定するために、中心要素(30)が、前記密封要素(24)内の開口部(24a)を通して及び/又は前記受け入れ空間(27)を通して案内され、該受け入れ空間(27)の容積が、該中心要素(30)によって低減される又は境界が定められることを特徴とする
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ランダムサンプル内の密封要素(24)の個数が、前記バッチの密封要素(24)の個数の50‰よりも少なく、
及び/又は
バッチの前記密封要素(24)の容積の、該バッチの該密封要素(24)の平均容積からの逸脱が、10%よりも
小さい、
ことを特徴とする
請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ランダムサンプル内の密封要素(24)の個数が、前記バッチの密封要素(24)の個数の20‰よりも少ないことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ランダムサンプル内の密封要素(24)の個数が、前記バッチの密封要素(24)の個数の10‰よりも少ないことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ランダムサンプル内の密封要素(24)の個数が、前記バッチの密封要素(24)の個数の5‰よりも少ないことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ランダムサンプル内の密封要素(24)の個数が、前記バッチの密封要素(24)の個数の2‰よりも少ないことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
バッチの前記密封要素(24)の容積の、該バッチの該密封要素(24)の平均容積からの逸脱が、5%よりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
バッチの前記密封要素(24)の容積の、該バッチの該密封要素(24)の平均容積からの逸脱が、4%よりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記密封要素(24)は、該密封要素(24)に対して作用する固定要素(25)又は接触要素(26)を用いて前記変形及び前記組立パラメータ(M)の決定の直後に前記受け入れ空間(27)に恒久的に固定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記組立パラメータ(M)は、設置されることになる各密封要素(24)に対して別々に決定され、該組立パラメータ(M)は、該組立パラメータ(M)の決定の対象である該密封要素(24)を固定する時にのみ各場合に使用されることを特徴とする
請求項1又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組立パラメータ(M)は、前記分注デバイス(1)の組立に対して事前指定される及び/又は組立に実施される
、調節可能及び/又は幾何学的な値で
ある、
ことを特徴とする
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記組立パラメータ(M)は、組立工程の構成において可変方式で事前指定することができることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組立パラメータ(M)は、前記分注デバイス(1)の前記受け入れ空間(27)に及び/又は案内要素(23)に対する固定要素(25)又は接触要素(26)の位置
であり、又は
前記分注デバイス(1)の前記受け入れ空間(27)に及び/又は案内要素(23)に対する固定要素(25)又は接触要素(26)の位置は、該組立パラメータ(M)によって
定められることを特徴とする
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記位置は、前記受け入れ空間(27)に及び/又は案内要素(23)に対する前記固定要素(25)又は接触要素(26)の軸線方向位置である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記案内要素(23)は、前記受け入れ空間(27)の境界を少なくとも部分的に定め、前記固定要素(25)又は接触要素(26)は、前記受け入れ空間(27)に前記密封要素(24)を固定するのに使用されることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組立パラメータ(M)は、
前記密封要素(24)の容積圧縮の開始の際の、前記受け入れ空間(27)の容積に及び/又は変形値に
対応することを特徴とする
請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記組立パラメータ(M)は、前記密封要素(24)が前記受け入れ空間(27)に固定される時に該密封要素(24)の変形に対応する変形値が閾値に達する又はそれを超える方式で選択又は決定され
、該閾値は、該密封要素(24)の容積圧縮の開始に対応することを特徴とする
請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
異なる変形を有する前記密封要素(24)の各々の前記変形挙動及び/又は摩擦挙動を決定するために、該密封要素(24)の変形値に対応する及び/又は該密封要素(24)の該変形値をそこから計算、決定、及び/又は導出することができる固有値が各場合に測定されることを特徴とする
請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記固有値は、力
、圧力、又は位置であることを特徴とする
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記固有値は、摩擦力又は圧縮力であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記密封要素(24)の各々の前記変形挙動を決定するために、変形に必要な力が、異なる変形に対して各場合に決定されることを特徴とする
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記密封要素(24)の各々の前記摩擦挙動を決定するために、該密封要素(24)と前記受け入れ空間(27)の境界とが、互いに対して移動され、該密封要素(24)と該境界の間の摩擦力が、異なる変形に対して各場合に決定されることを特徴とする
請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
力/変位曲線が、前記変形挙動又は摩擦挙動を決定するために及び/又は前記組立パラメータ(M)を決定するために記録
されることを特徴とする
請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記組立パラメータ(M)は、前記力/変位曲線のプロファイル及び/又は曲率に基づいて決定されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記密封要素(24)は、前記薬物(2)を搬送するための搬送要素(9)を前記受け入れ空間(27)を備えて又は形成して該搬送要素(9)がその中で案内される案内要素(23)に対して密封するように設計されることを特徴とする
請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
薬物(2)を搬送するために
移動することができる搬送要素(9)と
、
該搬送要素(9)を案内するための案内要素(23)と
、
該搬送要素(9)を該案内要素(23)に対して密封するための
密封要素(24)と
、
前記案内要素(23)に締結される固定要素(25)又は接触要素(26)と、を有し
、
該案内要素(23)が、該密封要素(24)を受け入れるための受け入れ空間(27)の境界を少なくとも部分的に定め、
前記固定要素(25)又は接触要素(26)を用いて該密封要素(24)
が該受け入れ空間(27)に固定
される、該薬物(2)を分注するための分注デバイス(1)であって、
前記案内要素(23)、前記固定要素(25)及び/又は前記接触要素(26)は、前記固定要素(25)及び/又は前記接触要素(26)を前記案内要素(23)に締結するための異なる離散位置を定める幾何学形状を有し、
前記密封要素(24)は、
これらの離散位置を使用し、固定される前の変形中の該密封要素(24)の変形挙動及び/又は摩擦挙動に基づいて該変形中に決定された組立パラメータ(M)を用いて固定
される、
ことを特徴とする分注デバイス(1)。
【請求項34】
前記固定及び/又は接触要素(25、26)は、
異なる離散位置で
前記案内要素(23)上にロックすることができ
、前記異なる離散位置は、前記案内要素(23)に対する前記固定及び/又は接触要素(25、26)の異なる軸線方向位置であることを特徴とする
請求項33に記載の分注デバイス。
【請求項35】
前記固定及び/又は接触要素(25、26)及び/又は前記案内要素(23)は、該案内要素(23)に対して該固定及び/又は接触要素(25、26)を位置決めするための位置決めデバイス(31)を有することを特徴とする
請求項33又は請求項34に記載の分注デバイス。
【請求項36】
前記位置決めデバイス(31)は、1又は2以上のロッキング要素(31b)を有する又はそれによって形成されることを特徴とする
請求項35に記載の分注デバイス。
【請求項37】
前記位置決めデバイス(31)は、傾斜平面又は螺旋構造(31a)を有する又はそれによって形成されることを特徴とする
請求項35又は請求項36に記載の分注デバイス。
【請求項38】
前記位置決めデバイス(31)は、前記固定及び/又は接触要素(25、26)の端面上に及び/又は前記案内要素(23)の端面上に配置されることを特徴とする
請求項35から請求項37のいずれか1項に記載の分注デバイス。
【請求項39】
前記案内要素(23)又は分注デバイス(1)に対する前記固定及び/又は接触要素(25、26)の回転位置が、該固定及び/又は接触要素(25、26)の前記軸線方向位置を定めることを特徴とする
請求項33から請求項38のいずれか1項に記載の分注デバイス。
【請求項40】
前記固定及び/又は接触要素(25、26)の前記位置は、前記密封要素(24)の変形及び/又は前記受け入れ空間(27)のサイズを該固定要素(25)又は接触要素(26)の該位置を変えることによって該密封要素(24)の該変形及び/又は該受け入れ空間(27)の該サイズを変更することができるように定めることを特徴とする
請求項33から請求項39のいずれか1項に記載の分注デバイス。
【請求項41】
前記固定及び/又は接触要素(25、26)は、それが望ましい前記位置に固定される前に異なる程度まで前記受け入れ空間(27)の中に移動することができることを特徴とする
請求項33から請求項40のいずれか1項に記載の分注デバイス。
【請求項42】
前記密封要素(24)は、前記受け入れ空間(27)の中に挿入することができる密封リング及び/又は個別の構成要素
であることを特徴とする
請求項33から請求項41のいずれか1項に記載の分注デバイス。
【請求項43】
前記密封要素(24)は、100MPaよりも小さい弾性率を有する弾性材料で作られることを特徴とする請求項42に記載の分注デバイス。
【請求項44】
前記密封要素(24)は、50MPaよりも小さい弾性率を有する弾性材料で作られることを特徴とする請求項42に記載の分注デバイス。
【請求項45】
前記密封要素(24)は、10MPaよりも小さい弾性率を有する弾性材料で作られることを特徴とする請求項42に記載の分注デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による薬物を分注するための分注デバイスを組み立てる方法、及び請求項19の前文による薬物を分注するための分注デバイスに関する。
【0002】
特に、本発明は、密封要素に割り当てられた分注デバイスの受け入れ空間内の密封要素の配置又は組立に関する。好ましくは、密封要素は、薬物を分注デバイスの容器から搬送するのに使用される搬送要素を密封するのに使用される。この目的に対して、完全に組み立てされた分注デバイス内の密封要素は、搬送要素と密封接触している。好ましくは、搬送要素は、密封要素に対して移動可能である。特に、搬送要素は、薬物を搬送するために密封要素に対して移動される。
【背景技術】
【0003】
密封要素を用いて搬送要素を密封する時に、様々な要件が満足されなければならない。一方では、分注デバイスが長期にわたって格納されるか又は長い使用寿命を有する場合であっても、確実なシールが保証されなければならない。言い換えれば、密封要素により、搬送要素の恒久的かつ確実な「静的密封」が達成されなければならない。他方で、分注デバイスが使用される時、特に搬送要素が密封要素に対して移動する時に確実なシールが保証されなければならない。すなわち、いわゆる「動的密封」が達成されなければならない。
【0004】
密封要素が搬送要素に対して静止している静的な場合及び搬送要素が密封要素に対して移動される動的な場合の両方の場合での望ましい密封は、異なる互いに相反する要件を課す場合がある。特に良好な静的密封は、可能な限り大きい面積にわたって及び/又は可能な限り剛的に密封要素が搬送要素に対して静止することで達成することができる。しかし、これは、搬送要素が密封要素に対して移動される時に搬送要素の大きい面積にわたる密封要素の堅固な接触が密封要素に対する増大する摩耗又は損傷及び増大する力の消費を招く又は搬送要素の遅い移動を招く可能性があるので、動的密封に対して不利である。
【0005】
更に、良好な静的密封に対して、密封要素による搬送要素の密封は、可能な限り対拡散性であるべきである。従って、密封要素を通る拡散は、防止されるか又は少なくとも最小にされなければならない。
【0006】
WO 2004/053362 A1は、案内チューブ内で案内されて長手軸線に沿って昇降移動を実行することができるピストンを有し、溝に保持されたOリングシールが案内チューブに設けられてピストンを密封するピストンポンプシステムに関連している。溝内のシールの充填度が最適に調節される場合に良好な密封を達成することができることが認識されている。「充填度」は、溝の容積に対する(未変形)シールの容積の比に対応する。90%よりも高い充填度を使用すること、すなわち、十分にボリュームのある密封リングを使用することが提案されている。
【0007】
分注デバイスの搬送要素の確実なシールが達成されることになる方法は、例えば、WO 2007/051536 A1又はUS 2007/0282276 A1から公知である。密封要素がある一定の製造公差を受け、その結果、異なるバッチの密封要素のサイズが異なり、そのために確実なシールが問題となることは認識されている。この問題を排除するために、特に容積に対応する密封要素のサイズが、密封要素の各バッチに対して決定される。密封要素の各バッチは、分注デバイスの特定の構成要素群に割り当てられ、構成要素の各々は、密封要素に対する溝状受け入れ空間を形成し、異なる構成要素群は、受け入れ空間のサイズが異なっている。次に、密封要素の各バッチは、望ましい充填度及び従って密封要素による良好なシールが達成されるように分注デバイスの特定の構成要素群と組み合わされる。
【0008】
上述の方法では、密封要素の異なるバッチ及び異なる構成要素群を格納するための増大する格納要件が存在する。これに加えて、この方法は、異なる密封材料に対して柔軟に使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO 2004/053362 A1
【文献】WO 2007/051536 A1
【文献】US 2007/0282276 A1
【文献】WO 96/06011 A2
【文献】WO 00/49988 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
薬物を分注するための分注デバイスの搬送要素を確実かつ恒久的に密封するための簡単かつ柔軟なソリューションを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、請求項1に記載の方法又は請求項19に記載の分注デバイスによって達成される。有利な精緻化は、従属請求項の主題である。
【0012】
本提案により、密封要素は、予め決定された組立パラメータを用いて分注デバイスの分注チャンバに設置される。
【0013】
組立パラメータは、各密封要素に対して個々に又は密封要素のバッチに対してランダムに決定することができる。
【0014】
組立パラメータは、分注デバイスの受け入れ空間内で又は特にランダム決定の場合は試験システム内でそのいずれかで決定することができる。この目的に対して、好ましくは、試験システムは、特に分注デバイスの受け入れ空間と同じ寸法を有する受け入れ空間を有する。
【0015】
特に、本発明は、薬物を分注するための分注デバイスを組み立てる方法、及び薬物を分注するための分注デバイスに関連し、特定の組立パラメータを有する密封要素は、分注デバイスの受け入れ空間に配置及び固定される。
【0016】
分注デバイス又は試験システムの受け入れ空間に配置された密封要素は、好ましくは変形され、組立パラメータは、変形中の密封要素の変形挙動及び/又は摩擦挙動に基づいてこの工程で決定される。
【0017】
組立パラメータが決定された後に、密封要素又は設置されることになる更に別の密封要素は、組立パラメータを利用して分注デバイスの受け入れ空間に固定される。
【0018】
組み立てられた又は密封要素が固定された分注デバイスは、組立パラメータを決定するためにそこに又はその受け入れ空間に密封要素が配置された同じ分注デバイスとすることができる。しかし、組み立てられた又は密封要素が固定された分注デバイスが、組立パラメータの決定に使用された分注デバイス又は受け入れ空間とは異なる分注デバイス又は同じ分注デバイスの異なる複製物であるか、又は同じ受け入れ空間の異なる複製物を有することも可能である。これは、特に、下記でより詳細に説明するバッチ方法の場合である。
【0019】
変形挙動及び/又は摩擦挙動に基づいて組立パラメータを決定すること及び/又は組立パラメータを使用することにより、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0020】
好ましくは、組立パラメータは、分注デバイスが組み立てられる時に観察しなければならない及び/又は完全に組み立てされた分注デバイスに実施される調節可能で特に幾何学的な値である。好ましくは、組立パラメータは、組立工程の構成において可変的に事前指定される。好ましくは、組立パラメータは、例えば、構成要素の幾何学パラメータ、特に、好ましくは、相対的な位置、又は分注デバイスの受け入れ空間の高さのような寸法である。特に、組立パラメータは、案内要素に対する固定要素の位置であり、密封要素は、案内要素内又はその受け入れ空間に固定要素を用いて固定される。
【0021】
複数の密封要素は、好ましくは、バッチで提供される。好ましくは、各バッチに対する組立パラメータは、このバッチのランダムサンプルを使用して別々に決定される。バッチに対して決定されるこの組立パラメータは、好ましくは、バッチの密封要素が受け入れ空間に固定される度に使用される。
【0022】
好ましくは、バッチに対する組立パラメータは、好ましくは、密封要素又は分注デバイスの組立とは異なるシステム内で密封要素又は分注デバイスの組立とは別々に又は独立に、特に、時間及び/又は空間に関して別々に決定される。言い換えれば、組立パラメータの決定と分注デバイスの組立は、好ましくは、互いに別々に実施される。下記ではこの方法を特に「バッチ方法」とも呼ぶ。
【0023】
好ましくは、組立パラメータは、各々、完全に組み立てされた分注デバイスでは異なるバッチに対して又はバッチとは独立に受け入れ空間内で密封要素の同じ変形値がもたらされるように選択される。変形値は、特に、密封要素がどれほど多く変形、特に圧縮されるかの尺度である。その結果、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0024】
組み立て中に、好ましくは、変形値は、密封要素を変形するのに使用する固定要素及び/又は接触要素の位置、特に軸線方向位置によって調節される。特に、この場合に、密封要素の特定の変形値が組立パラメータを用いて実施される。
【0025】
バッチの組立パラメータを決定するために、好ましくは、最初にランダムサンプル内の各密封要素に対する組立パラメータが別々に決定され、別々の又は個々の密封要素に対して決定されたこれらの組立パラメータの平均値が、このバッチの全ての密封要素に対する組立パラメータとして定められる。言い換えれば、好ましくは、バッチに対して決定された組立パラメータは、複数の組立パラメータからの平均値である。その結果、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0026】
組立パラメータの決定中に、好ましくは、密封要素の開口部に中心要素が通され、中心要素によって受け入れ空間の容積が低減又は制限される。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における容易な組立及び一貫した品質に寄与する。
【0027】
好ましくは、中心要素は、密封要素が定位置に固定された後に受け入れ空間及び/又は密封要素の開口部から取り出される。中心要素の使用は、組立パラメータの決定中の密封要素の変形が、分注デバイスが完全に組み立てられた時に密封要素が有する変形に対応し、組立パラメータを決定する時に搬送要素を組み立てる必要がないという利点を提供する。従って、中心要素の使用は、組立パラメータの簡単で確実な決定に寄与し、及び/又は確実なシール及び/又は密封効果を保証することに寄与する。更に、中心要素の使用は、密封要素の組立とは独立に又は密封要素の組立の前に、及び/又は密封要素の組立とは異なるシステム内で組立パラメータを決定することを可能にする。これは、特に自動工程での組立パラメータの決定及び/又は密封要素の組立中の最適な工程に寄与する。
【0028】
薬物を特に分注デバイスの容器から搬送するように設計された及び/又はエアロゾルを発生させるための分注デバイスの放出デバイスに割り当てられた又は接続した分注デバイスの搬送要素の直径に中心要素の直径が対応することが好ましい。これは、確実なシール及び/又は密封効果に寄与する。
【0029】
ランダムサンプル内の密封要素の個数は、バッチの密封要素の個数の好ましくは50‰よりも少なく、好ましくは20‰よりも少なく、特に10‰よりも少なく、特に好ましくは5‰よりも少なく、非常に好ましくは2‰よりも少ない。これは、組立パラメータの決定における最小限度の難度と組立パラメータの効率的な決定とを可能にする。
【0030】
これに代えて又はこれに加えて、好ましくは、バッチの密封要素の容積の、バッチの密封要素のターゲット容積又は平均容積からの逸脱は、10%よりも小さく、好ましくは5%よりも小さく、特に好ましくは4%よりも小さい。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0031】
上述した特徴は、特に、密封要素をバッチで製造し、又はバッチで利用可能であり、最初に各バッチに対する組立パラメータをランダムサンプルに基づいて決定し、この組立パラメータを後にバッチの各密封要素の設置に使用する下記で「バッチ方法」とも呼ぶ方法に関するものである。
【0032】
しかし、最初に、密封要素を設置する度に当該密封要素に対する組立パラメータを決定し、次に、特に組立パラメータを決定した直後に決定された組立パラメータを用いて密封要素を受け入れ空間に固定することができる。特に、この決定及び固定は、密封要素がバッチで提供されるか否か、及び/又はバッチで製造されたか否か、及び/又は個々の密封要素が互いに有意に異なるか否かには関係がない。従って、更に別の説明では「個別方法」とも呼ぶ下記で説明する方法は、個々の密封要素が互いに有意に異なる場合に特に有利であるが、あらゆる密封要素に対して特にバッチ内で非常に類似したものに対して実行することができる。
【0033】
上述のように、受け入れ空間に配置した密封要素を好ましくは同じく変形させ、この変形中に組立パラメータを決定する個別方法では、密封要素は、固定要素及び/又は接触要素が密封要素に対して作用することによって密封要素を変形させ、組立パラメータを決定した直後に受け入れ空間に固定される。その結果、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0034】
密封要素を変形させて組立パラメータを決定した直後に密封要素を受け入れ空間に固定する個別方法では、好ましくは、組立パラメータは、設置される各密封要素に対して別々に決定され、各場合に当該組立パラメータが決定された当該密封要素を固定する時にのみ使用される。これは、互いに有意に異なる密封要素の場合に確実なシール及び/又は密封効果を保証するのに有利である。
【0035】
好ましくは、下記でより詳細に説明する態様は、バッチの全ての密封要素に対する組立パラメータを最初にランダムサンプルを使用して決定し、組立(組立パラメータを用いた)を組立パラメータの決定とは別々に実施する方法(バッチ方法)と、各密封要素に対する組立パラメータを別々に決定し、組立パラメータの決定の直後にこの組立パラメータを用いて密封要素を受け入れ空間に固定する方法(個別方法)との両方に適用される。
【0036】
組立パラメータが、分注デバイスの案内要素に対する固定要素及び/又は接触要素の位置、特に軸線方向位置を表すか又はそれに対応すること、又は固定要素及び/又は接触要素の(相対)位置が、組立パラメータによって定義又は指定されることが好ましい。この場合に、案内要素は、受け入れ空間を好ましくは少なくとも部分的に備える又は形成する。更に、受け入れ空間は、好ましくは、固定要素及び/又は接触要素によって境界が定められる。
【0037】
好ましくは、固定要素及び/又は接触要素は、密封要素を受け入れ空間に固定するように設計される及び/又は密封要素を受け入れ空間に固定する。特に好ましくは、接触要素は、密封要素と固定要素の間に配置されるか又はそうすることができ、密封要素に直接的に接触してそれを受け入れ空間に固定する。好ましくは、接触要素は、固定要素を用いて固定されるか又はそうすることができる。従って、特に、接触要素は、固定要素を用いて直接的に固定され、従って、密封要素は、受け入れ空間に間接的に固定される。これに代えて、接触要素は、固定要素と共に単一部品として設計することができる。その結果、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0038】
好ましくは、異なる組立パラメータは、受け入れ空間の異なる容積、又は密封要素の容積と受け入れ空間の容積の間の可変的な差に対応する。従って、受け入れ空間の容積は、密封要素及び/又は受け入れ空間の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを補償することができるように組立パラメータによって調節又は変更することができる。これは、確実なシール及び/又は密封効果、並びに複数の分注デバイスの特に自動工程での製造での一貫した品質に寄与する。
【0039】
好ましくは、組立パラメータは、密封要素が固定される時に、密封要素の変形に対応する変形値が閾値に達する又はそれを超えるように選択又は決定される。好ましくは、例えば、外形及び/又は作られる材料が異なる密封要素に対して異なる閾値が設けられる。閾値は、好ましくは、事前指定されるか又はそうすることができる。このようにして、複数の分注デバイスの製造での確実なシール及び/又は密封効果、従って、一貫した品質を簡単な方式で達成することができる。更に、本方法は、異なる密封要素に適応させることができ、従って、柔軟に使用することができる。
【0040】
好ましくは、変形値は、密封要素がどれほど多く変形されるかの尺度である。密封要素が、特にリング形の受け入れ空間内で、例えば、プランジャによって変形される時に、好ましくは、密封要素の特に弾性の変形が最初に発生する。この変形中に、好ましくは、密封要素の容積は少なくとも近似的に一定に留まり、密封要素の少なくとも実質的に外形のみが変化する。密封要素のこの変形により、密封要素の形状は受け入れ空間の形状に適応し、それを徐々に充填する。この適応及び充填は、密封要素が受け入れ空間を少なくとも近似的に完全充填するまで、及び/又は密封要素の形状が受け入れ空間の形状に少なくとも近似的に対応するまで続く。
【0041】
次に、密封要素が受け入れ空間内で更に変形、圧縮、又は押圧された場合に、好ましくは、密封要素の容積圧縮が発生する。(弾性)変形とは対照的に、容積圧縮は、密封要素の容積を低減する。
【0042】
要約すると、受け入れ空間内で変形中の密封要素の挙動は、2つのフェーズに少なくとも近似的に分割することができ、第1のフェーズでは実質的に一定の容積で変形が発生し、それに対して第2のフェーズでは容積圧縮が発生する。
【0043】
当然ながら、第1のフェーズの終点の近くで及び/又は変形中に(小さい)容積圧縮が既に発生することになることを無視することはできない。
【0044】
上述の閾値及び/又は変形値に対する閾値、すなわち、組立パラメータを決定及び/又は選択するのに利用される閾値は、好ましくは、密封要素の容積圧縮の開始に対応する。言い換えれば、この閾値は、好ましくは、密封要素の容積圧縮が始まる時の変形値の値である。このようにして、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。更に、過度の摩耗又摩滅が防止される。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0045】
特に好ましくは、密封要素は、それに対するプランジャ、及び/又は接触要素又は固定要素の移動によって変形される。プランジャは、接触要素及び/又は固定要素に対して作用し、それによって間接的に接触要素及び/又は固定要素を密封要素に対して移動し、こうして密封要素を接触要素及び/又は固定要素によって変形させることができる。しかし、プランジャが密封要素に対して直接的に作用すること、及び/又は密封要素を変形させることも可能である。
【0046】
好ましくは、密封要素に対するプランジャ、及び/又は接触要素又は固定要素の移動は、軸線方向及び/又は半径方向に発生する。特に、密封要素は、プランジャ、及び/又は接触要素又は固定要素を用いて密封要素に対して作用される力又は圧力が受け入れ空間内で密封要素の変形及び/又は圧縮を達成するように受け入れ空間に配置される。
【0047】
密封要素の各々の変形挙動を決定又は検査するために、密封要素の異なる変形又は変形値に関して各場合に変形に必要とされる力が決定され(直接的又は間接的に)、特に測定される。このようにして、特定の変形値に必要とされる力を決定することができる。変形に必要とされ、決定又は測定される力は、特に、変形値をそこから決定、計算、又は導出するか又はそうすることができる固有値を構成する。これに代えて、変形を達成する力は、指定することができ、変形及び/又はそれに対応するプランジャ及び/又は接触要素又は固定要素の移動経路又は軸線方向位置又は特に受け入れ空間の高さを決定、特に測定することができる。
【0048】
密封要素の変形挙動を決定又は検査することに代えて又はこれに加えて、上述のように、密封要素の摩擦挙動を決定及び/又は精査することができる。密封要素の各々の摩擦挙動を決定及び/又は精査するために、好ましくは、密封要素と受け入れ空間の境界とは、互いに対して移動され、密封要素の異なる変形又は変形値に関して各場合に密封要素と境界の間の摩擦力が決定、特に測定される。好ましくは、力測定値は、変形値をそこから決定、計算、又は導出するか又はそうすることができる固有値を構成する。密封要素に対して移動される受け入れ空間の境界は、好ましくは、組立パラメータの決定中に受け入れ空間及び/又は密封要素のレセプタクルを通して案内される上述の中心要素である。この場合に、好ましくは、中心要素又は境界は、密封要素に対して軸線方向に特に往復移動又は往復運動移動で移動される。しかし、密封要素は、受け入れ空間又は境界、特に中心要素に対して回転させることができる。この場合に、密封要素と境界の間の摩擦力は、好ましくは、捻転摩擦力である。従って、この場合に、固有値及び/又は変形を決定するために測定される力は、好ましくは捻転摩擦力である。
【0049】
変形中の異なる時点で、好ましくは、密封要素は、受け入れ空間内で各場合に異なる程度まで変形される。従って、好ましくは、異なる時点は、固定要素及び/又は接触要素の異なる移動距離又は位置に対応する。
【0050】
特に、変形挙動又は摩擦挙動を決定するために及び/又は組立パラメータを決定するために、力/変位曲線が記録される。好ましくは、組立パラメータは、力/変位曲線のプロファイルを用いて決定される。そのような決定は、組立パラメータの簡単、迅速、及び/又は正確な決定に寄与する。
【0051】
好ましくは、力/変位曲線での力は、密封要素を変形させるのに使用される力、及び/又は密封要素とそれに対して移動される受け入れ空間の境界との間の摩擦力である。
【0052】
好ましくは、力/変位曲線での変位は、プランジャ又は固定要素及び/又は接触要素の移動距離、受け入れ空間の高さ、又はそれに対応する変位である。
【0053】
好ましくは、密封要素は、受け入れ空間を備える又は形成して搬送要素がそこで案内される案内要素に対して薬物を搬送するための搬送要素を密封するように設計される。
【0054】
密封要素は、好ましくは、リング形の及び/又は成形されたシール、又は密封リング、特にOリングである。
【0055】
好ましくは、密封要素は、受け入れ空間の中に挿入することができる個別の構成要素である。密封要素は、好ましくは、弾性材料から構成される。好ましくは、本発明の意味の範囲の弾性材料は、100MPaよりも小さく、好ましくは50MPaよりも小さく、特に10MPaよりも小さい弾性率を有する材料である。
【0056】
異なるバッチの密封要素は、異なる材料で構成することができ、及び/又は異なる変形特性、異なる圧縮永久歪み、及び/又は異なるクリープ挙動又はクリープ弾性率を有することができる。各バッチに対する組立パラメータを別々に決定する方法は、そのような異なる密封要素又はそのバッチに対してさえも各場合に確実なシール及び/又は密封効果が提供されることを保証する。特に、本方法を使用することで可能な受け入れ空間容積の正確な調節に起因して、部分的に可塑性を有するか又は熱可塑性エラストマー(TPE)のような比較的高いクリープ挙動を有する材料を密封要素に対して使用することができる。そのような密封要素は、密封要素の各々に対して特に正確に設計又は適合された受け入れ空間を必要とする。
【0057】
独立に実行することもできる更に別の態様により、本発明は、薬物を分注するための分注デバイスに関する。分注デバイスは、薬物を分注デバイスの容器から搬送するための搬送要素、特に軸線方向に移動可能な搬送要素と、搬送要素を案内するための案内要素と、案内要素の受け入れ空間内への配置に適する特にリング形状の密封要素とを有する。好ましくは、密封要素は、搬送要素を案内要素に対して密封するように、特に密封リングとして設計される。更に、好ましくは、密封要素は、案内要素に締結することができる固定要素及び/又は接触要素を用いて受け入れ空間に固定することができる。好ましくは、案内要素は、ピストンポンプの圧力チャンバを形成するか又は圧力チャンバを備え、搬送要素が、ピストンポンプのピストンを形成する。
【0058】
好ましくは、固定要素及び/又は接触要素は、案内要素に対する異なる軸線方向位置で案内要素に締結することができる。その結果、密封要素は、適合する特定の組立パラメータを用いて固定するか又はそうすることができ、かつそれを意図している。その結果、密封要素の製造公差、並びにサイズ及び/又は材料の違いを簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0059】
好ましくは、固定要素及び/又は接触要素は、案内要素に対する異なる軸線方向位置で案内要素上にロックすることができる。このロックは、固定要素及び/又は接触要素の適正な又は望ましい位置決めを容易にし、従って、簡単で間違いのない組立に寄与する。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0060】
これに代えて又はこれに加えて、好ましくは、固定要素及び/又は接触要素、及び/又は案内要素は、固定要素及び/又は接触要素を案内要素に対して配置するための位置決めデバイスを有する。好ましくは、位置決めデバイスは、1又は2以上のロッキング要素、特にロッキングカムを有するか又はこれらから形成される。これは、固定要素及び/又は接触要素の容易な組立及び/又は位置決定に寄与する。その結果、密封要素の製造公差を簡単な方式で考慮又は補償することができ、確実なシール及び/又は密封効果を保証することができる。これは、複数の分注デバイスの特に自動工程での製造又は組立における一貫した品質に寄与する。
【0061】
好ましくは、位置決めデバイスは、傾斜平面又は螺旋構造を有するか又はこれらから形成される。これは、案内要素に対する固定要素及び/又は接触要素の位置の簡単な調節に寄与する。
【0062】
好ましくは、位置決めデバイスは、固定要素及び/又は接触要素、及び/又は案内要素の端面上に配置される。
【0063】
特に案内要素又は分注デバイスに対する固定要素及び/又は接触要素の回転位置が固定要素及び/又は接触要素の軸線方向位置を定めることが好ましい。特に、位置決めデバイスは、相応に設計される。
【0064】
固定要素の位置を変更することによって密封要素の変形、及び/又は受け入れ空間のサイズ又は容積を変更するか又は互いに適応させることができるように、好ましくは、密封要素の特定の変形又は変形値、及び/又は受け入れ空間のサイズ又は容積は、案内要素に対する固定要素及び/又は接触要素の位置によって定められる。
【0065】
本発明の以上及び以下の態様及び特徴は、異なる組合せで互いに組み合わせることができるが、互いに独立に実行することもできる。
【0066】
本発明の更に別の態様、特徴、利点、及び特質は、特許請求の範囲に及び図面を参照する以下の好ましい実施形態の説明に見出される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】第1の状態にある本発明による分注デバイスの概略断面図である。
【
図2】
図1と比較して90°回転させた第2の状態にある分注デバイスの概略断面図である。
【
図3】分注デバイスの圧力発生器の概略断面図である。
【
図4A】組立パラメータの決定における第1の状況中の圧力発生器の概略断面図である。
【
図4B】組立パラメータの決定における第2の状況中の圧力発生器の概略断面図である。
【
図4C】密封要素が
図4Aとは異なるサイズを有する組立パラメータの決定における第1の状況中の
図4Aに記載の圧力発生器の概略断面図である。
【
図4D】組立パラメータの決定における第2の状況中の
図4Cに記載の圧力発生器の概略断面図である。
【
図4E】密封要素を固定した後の圧力発生器の概略断面図である。
【
図5A】変形中及び/又は組立パラメータの決定中の測定値のプロファイルの概略図である。
【
図6】更に別の実施形態による圧力発生器の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
一部が正確な縮尺のものではなく概略的なものに過ぎないこれらの図面では、同等又は類似の部分に対して同じ参照記号を使用する。明瞭化の目的で重複説明を省いている場合であっても、対応するか又は同等の特性及び利点を提供することができる。
【0069】
図1及び
図2は、薬物2を分注するための本提案の分注デバイス1を示している。特に、分注デバイス1は、ネブライザとして及び/又は薬物2を噴霧するように設計される。薬物2は、好ましくは、流体、特に液体である。
【0070】
図1は、第1の状態、この場合はトリガ非待機状態にある分注デバイス1を概略断面図に示しており、
図2は、第2の状態、この場合はトリガ待機状態にある分注デバイス1を示している。
【0071】
分注デバイス1は、好ましくは、携帯可能、可搬式、及び/又は移動式の分注デバイス1として設計される。
【0072】
薬物2が分注デバイス1を用いて噴霧される時に、好ましくは、エアロゾル14が形成され、特に、エアロゾル14は、図示していないユーザが吸息又は吸入することができる。従って、分注デバイス1は、好ましくは、吸入器として設計される。
【0073】
通常、この吸入は、例えば、患者の病気に依存して好ましくは事前指定期間で1日に少なくとも1回、特に1日に数回行われる。
【0074】
好ましくは、エアロゾル14は、特に好ましくは呼吸に適し、すなわち、直径が特に少なくとも部分的に又は平均で5μmよりも小さい固体粒子及び/又は液体粒子との粒子/空気混合物である。
【0075】
分注デバイス1は、好ましくは、噴射ガス不要であり、すなわち、好ましくは、噴射ガスを用いずに作動する。代わりに、分注デバイス1は、好ましくは、機械的圧力発生器5及び/又はエアロゾル14を発生させるための機構を用いて作動する。特に、薬物2を圧力下に置き、その結果、薬物2が放出ノズル12から放出される時にエアロゾル14を発生させるのは機械的に作動されるポンプである。しかし、原理的には、分注デバイス1は、異なる、好ましくは、機械的な方式で駆動するか又は作動させることができる。
【0076】
分注デバイス1は、物質及び/又は薬物2を有する好ましくは挿入可能で好ましくは交換可能な容器3を有する。好ましくは、容器3は、噴霧される薬物2に対するリザーバを形成する。
【0077】
好ましくは、容器3は、例えば、200投与単位までを供給することができ、すなわち、例えば、200回までの噴霧又は適用を可能にする十分な量の薬物2を閉じ込める。WO 96/06011 A2又はWO 00/49988 A2に開示されている典型的な容器3は、約2mlから10mの容積を有する。
【0078】
容器3は、好ましくは、実質的に円筒形又はカートリッジ状である。図示の例では、容器3は、分注デバイス1が開けられた後に分注デバイス1の中に下方から挿入すること、及び任意的に交換することができる。しかし、容器3は交換不能とすることができ、分注デバイス1を使い捨て可能とすることができる。
【0079】
容器3は、好ましくは、少なくとも実質的に剛質のものである。容器3は、特に好ましくはプラスチック材料、特に熱可塑性材料、非常に好ましくはポリプロピレンで作られる。容器3は、好ましくは、その底面に平坦な面を有するか又は平坦な容器底面21を有する。
【0080】
好ましくは、薬物2は、容器3内で圧潰性ポーチ(pouch、袋)によって形成された流体空間4内に受け入れられる。
【0081】
好ましくは、分注デバイス1はまた、各場合に事前指定され、任意的に調節可能な投与量の薬物2を搬送して噴霧するための好ましくは機械的な圧力発生器5を備える。好ましくは、圧力発生器5は、高精度ポンプ又は投与ポンプ、特にピストンポンプを形成する。
【0082】
好ましくは、圧力発生器5は、この例では部分的にのみ示し、圧力発生器5を駆動するための駆動バネ7を有する。好ましくは、駆動バネ7は、圧力発生器5が薬物2を加圧し、その結果、薬物2が放出ノズル12から放出される時に薬物2からエアロゾル14が形成されるように、エネルギを特に機械的に蓄積して圧力発生器5に送出するように設計される。従って、圧力発生器5は、駆動バネ7又はそれによって利用可能になるエネルギによって駆動される。
【0083】
好ましくは、圧力発生器5は、容器3、部分的にのみ示す特に駆動バネ7の形態にある付属の駆動ユニット、並びに特に管状の搬送要素9、逆止弁10、及び/又はポンプチャンバ及び/又は圧力チャンバ11に対するホルダ6を有する。
【0084】
好ましくは、分注デバイス1は、駆動バネ7内へのエネルギ注入の後に駆動バネ7を好ましくは自動的にロックするように設計されたクランプ機構及び/又はロッキング要素8を有する。好ましくは、駆動バネ7内へのエネルギ注入は、駆動バネ7を伸張する、引張する、押圧する、又は特に圧縮することによって行われる。簡略化の目的で、下記ではこの操作を駆動バネ7の「引張」という用語で要約し、この引張によって得られる駆動バネ7の状態に「引張」という属性を割り当てる(特定の実施形態での特定の駆動バネがこの目的で伸張されたか又は圧縮されたかに関わらず)。引張又は圧縮の後に、好ましくは、駆動バネ7は、特に手動で作動させることができるロッキング要素8によってエネルギ的に高い状態及び/又は負荷状態又は引張状態に保たれる。特に引張によって駆動バネ7内に蓄積されたエネルギは、圧力発生器5内に圧力を発生させるためにロッキング要素8の作動(直接又は好ましくはトリガボタン8aを通じたそのいずれか)によって放出及び/又は利用される。
【0085】
駆動バネ7は、好ましくは、渦巻バネ又は螺旋バネであり、駆動バネ7の軸線方向圧縮によってエネルギが蓄積又は導入される。
【0086】
好ましくは、分注デバイス1及び/又は圧力発生器5は、特に任意的なマウスピース13の領域内に放出ノズル12を有する。
【0087】
好ましくは、容器3は、搬送要素9が容器3の中に入り込むようにホルダ6によって特にロッキング方式で分注デバイス1内に固定されるか又は搬送要素9に流体接続される。ホルダ6は、容器3を切り離して交換することができるように設計することができる。
【0088】
エネルギが駆動バネ7の中に注入される時、及び/又は駆動バネ7が引張される時に、ホルダ6は、容器3及び搬送要素9と共に図の下方に移動され(すなわち、図示の例では駆動バネ7が軸線方向に圧縮され)、薬物2が容器3から逆止弁10を通して圧力発生器5の圧力チャンバ11の中に吸引される。
【0089】
阻止要素8の作動によるトリガ後の駆動バネ7のその後の負荷除去又は減張中に、圧力チャンバ11内の薬物2が搬送要素9によって加圧され、搬送要素9のこの時点では閉じている逆止弁10によって上向きに押され、及び/又は駆動バネ7によって圧力チャンバ11の中に移し入れられ、従って、搬送要素9はプランジャとして機能する。この圧力は、放出ノズル12を通して薬物2を排出し、そこで、
図1に示すように噴霧されてエアロゾル14が形成される。
【0090】
搬送要素9又は逆止弁10はプランジャとして作用するので、搬送要素9又は容器3の移動は、圧力チャンバ11内で変位した容積又は放出される及び/又は放出可能な薬物量に対応する。
【0091】
図示していないユーザ又は患者は、噴霧された薬物2及び/又はエアロゾル14を吸入することができ、好ましくは、少なくとも1つの任意的な給気開口部15を通してマウスピース13の中に給気を吸引することができる。
【0092】
図示の例では、好ましくは、分注デバイス1は、上側ハウジング部品16と、それに対して回転可能であり、上側部品17a及び下側部品17b(
図1を参照されたい)を有する内側部品17(内側ハウジング部品)(
図2を参照されたい)を有する。この内側部品17には、特に手動で作動又は回転させることができる下側ハウジング部品18及び/又はキャップが、保持要素19によって分離可能又は切り離し不能な方式で好ましくは締結、特に装着される。
【0093】
容器3を挿入する及び/又は交換するために、好ましくは、下側ハウジング部品18を分注デバイス1から切り離すことができる。しかし、容器3は、交換不能とすることができる。
【0094】
下側ハウジング部品18は、好ましくは、図にある内側部品17の下側部品17bを帯同させながら上側ハウジング部品16に対して又は上側ハウジング部品16に関して回転させることができる。
【0095】
特に、下側ハウジング部品18は、内側部品17上に回転固定方式で配置され、好ましくは、内側部品17に確動嵌合によって結合される。このようにして、下側ハウジング部品18を用いて内側部品17をハウジング部品16に対して又はそれに関して回転させることができる。しかし、この場合に、他の案も可能である。
【0096】
上側ハウジング部品16を下側ハウジング部品18又は内側部品17に対して回転させる結果として駆動バネ7がホルダ6に対して作用するギア機構(図示せず)によって軸線方向に負荷、特に圧縮される。クランプにより、好ましくは、容器3は、
図2に示す末端位置を占めるまで軸線方向下向きに移動される。この状態で、駆動バネ7は負荷されており、及び/又は分注デバイス1は分注に向けて待機している。噴霧工程中に、好ましくは、容器3は、駆動バネ7によって開始位置に引き戻される(上向きに)。
【0097】
好ましくは、容器3は、エネルギの付加中に、及び/又はクランプ工程中に、及び/又は流体を除去するために、及び/又は薬物2の噴霧又は分注中に軸線方向移動又は昇降移動を実施する。
【0098】
好ましくは、駆動バネ7が最初に負荷又は引張される時に、容器3の換気開口部が開かれる。好ましくは、この開口は、好ましくは、ハウジング部品18に配置された及び/又は容器3及び/又はその底面上のシールを穿通するための穿通要素22を有するデバイスを用いて、最初の接触の際に通気のため行われる。好ましくは、穿通要素22は、最初に負荷される時に容器底面21との接触状態になる軸線方向作用バネ20上に配置される。
【0099】
図3には、分注デバイス1の圧力発生器5をより詳細に示すが、正確な縮尺では示していない。
【0100】
好ましくは、分注デバイス1及び/又は圧力発生器5は、薬物2、好ましくは液体を分注する、特にポンプ給送又は投与するように設計される。特に好ましくは、圧力発生器5は、ピストンポンプとして設計される。特に、分注デバイス1及び/又は圧力発生器5は、非常に小さいポンプ容積又は投与量に合わせて設計される。図示の例では、ポンプ容積は、ピストンストローク毎に好ましくは1μlよりも大きく、特に5μlよりも大きく、及び/又は1mlよりも小さく、特に500μl、特に好ましくは100μl、非常に好ましくは30μlであり、特に実質的に10から20μlである。
【0101】
特に長期にわたる不使用後に初めて分注デバイス1が作動される時に望ましい容積の正確な搬送及び投与を保証することができるように、特に圧力発生器5が使用状態にない時に圧力発生器5に空気が侵入しないことが必要である。そうでなければ、投与は、以後望ましい精度を持たなくなる。
【0102】
分注デバイス1及び/又は圧力発生器5は、好ましくは、軸線Aを有する。好ましくは、軸線Aは、圧力発生器5又は搬送要素第9の主軸線、長手軸線、及び/又は対称軸線、及び/又は搬送要素9の移動軸線に対応する。特に、圧力発生器5は、軸線Aに沿って実質的に長手方向に延びる。
【0103】
「軸線方向」及び「半径方向」という表示は、特に軸線Aを参照したものである。従って、「軸線方向」の方向、延伸、又は移動などは、好ましくは、軸線Aと平行であり、「半径方向」の方向、延伸、又は移動などは、好ましくは、軸線Aに対して半径方向である。
【0104】
好ましくは、分注デバイス1及び/又は圧力発生器5は、搬送要素9を案内するための案内要素23、密封要素24、密封要素24を受け入れるための受け入れ空間27、及び特に受け入れ空間27内で密封要素24を固定又はクランプする及び/又は変形させるための固定要素25及び/又は接触要素26を有する。
【0105】
(完全に組み立てられた)分注デバイス1では、密封要素24は、受け入れ空間27に配置される。
【0106】
好ましくは、固定要素25は、案内要素23に固定及び/又は締結され、及び/又は完全に組み立てられた分注デバイス1内で案内要素23に固定又は締結することができる。
【0107】
好ましくは、固定要素25は、密封要素24を受け入れ空間27内に固定するか又は着座させるように設計される。
【0108】
好ましくは、接触要素26は、密封要素24に接触するように、及び/又は密封要素24との接触状態に入れられるように設計される。好ましくは、接触要素26は、密封要素24と固定要素25の間に配置することができるか又は配置される。
【0109】
好ましくは、接触要素26の位置は、固定要素25によって固定又は決定することができる。好ましくは、固定要素25は、例えば、圧着、ネジ止め、糊着、又は溶接などによって接触要素26に締結することができる。この締結を
図3に示している。
【0110】
図示の例では、固定要素25と接触要素26とは、2つの個別の構成要素によって形成される。
【0111】
固定要素25と接触要素26との二部品設計は、例えば、固定要素25と接触要素26とをこれらの要件の各々に合うようにより的確に最適化することができるという利点を有する。例えば、接触要素26に対しては、低い公差しか伴わない受け入れ空間27内への特に良好な嵌合が、良好な密封を確かに保証するのに重要である。従って、接触要素26は、固定要素25に対してそれほど重要ではない可能な最小の製造公差を有するべきである。その一方で固定要素25は、例えば、圧力発生器5又は案内要素23又は別の構成要素、特に軸線方向位置を固定するための構成要素との材料結合、確動接続、又は非確動接続に合うように最適化することができる。
【0112】
更に、一実施形態では、接触要素26と固定要素25は、異なる材料から個別の構成要素として製造することができる。例えば、接触要素26は、固定要素25よりも寸法的により安定した及び/又は強靱又は硬質な材料で作ることができ、及び/又は固定要素25は、接触要素26よりも軟質又は延性の材料で作ることができる。「より延性の材料」は、特により高い延性を有する材料であり、「延性」という用語は、せん断応力下で破断の前に恒久的に変形し、特に可塑的に変形する材料特性を表している。全体的に、製造及び/又は個別の構成要素の使用での柔軟性が高まり、製造工程を最適化することができる。
【0113】
個別の構成要素としての接触要素26及び固定要素25の更に別の利点は、これらの構成要素に対して異なる材料を選択することによって構成要素に対する要件をより的確に満足することができる点である。接触要素26に対するより硬質及び/又は寸法的により安定した材料は、密封要素24を受け入れ空間27内に恒久及び/又は不変に固定することを可能にし、従って、密封要素24による恒久及び/又は不変な密封を保証することで好ましい。固定要素25に対するより軟質及び/又は延性の材料は、押圧又は圧着による案内要素23への固定要素25の好ましくは変形による締結を容易又は可能にすることで好ましい。従って、全体的に、接触要素26と固定要素25とに対して異なる材料の選択は、それらの要件を満足するのに有利である。
【0114】
しかし、接触要素26を固定要素25を有する単一部品として又は固定要素25を接触要素26を有する単一部品として設計すること、及び/又は接触要素26が固定要素25の一部分を構成するか又は形成することも可能である。単一部品設計はより少ない構成要素を達成するが、1つのオプションに過ぎない。
【0115】
好ましくは、案内要素23は、案内チューブとして設計され、及び/又は好ましくは搬送要素9を長手方向に変位可能な方式で受容又は案内するための特に細長及び/又は真っ直ぐなチャネル23bを形成する。好ましくは、搬送要素9は、案内要素23に配置するか又は完全に組み立てられた圧力発生器5又は分注デバイス1の場合は案内要素23内で配置又は案内することができる。好ましくは、搬送要素9は、案内要素23に対して移動する、特に案内要素23又はチャネル23b内で長手方向又は軸線方向に変位可能な方式で案内することができる。
【0116】
好ましくは、搬送要素9はピストンを形成し、及び/又は案内要素23はシリンダ及び/又は中空シリンダを形成する。好ましくは、案内要素23と搬送要素9とは、合わさってシリンダ/ピストン配置、特にピストンポンプ又はその一部を形成する。
【0117】
好ましくは、搬送要素9は、
図3に示すように、案内要素23内でポンプ空間及び/又は圧力チャンバ11の境界を定める。好ましくは、搬送要素9には、特に、圧力チャンバ11に対面する搬送要素9の端部上に配置された逆止弁10が設けられる。
【0118】
図示の例では、好ましくは、中空の搬送要素9が、薬物2に対する供給チャネル28を形成するか又は供給チャネル28を含む。対応する軸線方向移動により、供給チャネル28を通過し、入口弁又は逆止弁10を通して圧力チャンバ11の中に薬物2を搬送、特に吸引することができる。
【0119】
圧力側又は排出側では、圧力発生器5は、出口弁(図示せず)と、特に、薬物2を分注し、任意的に噴霧するための放出ノズル12とを任意的に有する。
【0120】
提案による圧力発生器5又は提案による分注デバイス1は、特に、図示の例ではネブライザ又は吸入器として設計される。薬物2は、交互に、搬送要素9によって供給チャネル28を通して圧力チャンバ11の中に対応する往復移動によって吸引されるか、又は圧力チャンバ11内で加圧されて放出ノズル12を通して放出され、それによって投与、好ましくは、噴霧される。すなわち、
図3に示すように、薬物2からスプレーミスト又はエアロゾル14が形成される。
【0121】
図1に示すトリガ非待機状態では、好ましくは、圧力チャンバ11は、
図2に示すトリガ待機状態又は負荷状態と比較して縮小又は最小にされている。言い換えれば、好ましくは、搬送要素9及び/又はピストンは、圧力チャンバ11がトリガ非待機状態にある時に圧力チャンバ11の中に入り込んでいる。トリガ待機状態又は負荷状態では、好ましくは、搬送要素9及び/又はピストンは、
図1に示すトリガ非待機状態と比較して放出ノズル12から遠く離れている、及び/又は圧力チャンバ11から後退する。
【0122】
好ましくは、分注デバイス1、圧力発生器5、及び/又は案内要素23は、密封要素24に対する受け入れ空間27を有するか又は特に接触要素26と共に受け入れ空間27を形成するか又はその境界を定める。
【0123】
案内要素23は、特に、好ましくは、分注端部、圧力チャンバ11、及び/又は放出ノズル12に対面する外面及び/又は軸線方向の端部又は端面上に受け入れ空間27を(少なくとも部分的に)有するか又は形成するか又は少なくとも部分的にその境界を定めることが好ましい。
【0124】
必要に応じて、受け入れ空間27は、案内要素23とは別々に形成することができ、この場合に、好ましくは、受け入れ空間27及び/又はそれを有するか又は形成する構成要素は、案内要素23と接触しているか又はそれを取り囲む。
【0125】
受け入れ空間27は、特に案内要素23内の凹部として、特に好ましくは溝又は環状溝、環状ショルダー部、又はブッシングとして設計される。
【0126】
好ましくは、受け入れ空間27の容積は、案内要素23内の受け入れ空間27の半径方向広がり及び/又は幅Bと受け入れ空間27の軸線方向高さHとによって確立される。
【0127】
好ましくは、受け入れ空間27は、案内要素23と接触要素26及び/又は固定要素25とによって少なくとも部分的に境界が定められる。案内要素23は、接触要素26及び/又は固定要素25に対する円筒形又は中空円筒形のガイド又はレセプタクルを形成することができる。
【0128】
好ましくは、受け入れ空間27は、搬送要素9を半径方向及び/又は環状に取り囲む。
【0129】
好ましくは、搬送要素9は、受け入れ空間27の内側半径方向境界を形成する。
【0130】
好ましくは、案内要素23は、受け入れ空間27に対する軸線方向及び/又は半径方向の外側境界を形成する。
【0131】
図示の例では、、搬送要素9は、0.25mmよりも大きく、好ましくは0.5mmよりも大きく、特に0.75mmよりも大きく、及び/又は4mmよりも小さく、好ましくは3mmよりも小さく、特に2.25mmよりも小さい直径を有する円形断面を有する。
【0132】
好ましくは、搬送要素9は、金属、特にステンレス鋼で作られる。搬送要素9は、特に中空要素又は毛細管として設計される。
【0133】
好ましくは、搬送要素9は引き出され、従って、その直径に関して比較的小さい公差を有する。
【0134】
好ましくは、密封要素24は、少なくとも部分的に変形可能である。好ましくは、密封要素24の変形の程度及び/又は方式は、変形値によって指定される。
【0135】
好ましくは、密封要素24は、特に受け入れ空間27内に受け入れられるように適応された連続リングの形態で又は成形シール又は密封リングとして設計される。
【0136】
好ましくは、密封要素24は、開口部24a、特に中心開口部を有する。
【0137】
特に、密封要素24は、
図5Bに示すように、非設置状態又は非変形状態で少なくとも実質的に円形の断面を有するOリングである。しかし、密封要素24は、特に、非変形状態で非円形断面を有するいずれかの他の形態のシールとして具現化することができる。
【0138】
非変形状態では、好ましくは、密封要素24は、(完全に組み立てられた)分注デバイス1の受け入れ空間27とは異なる断面又は異なる容積を有する。従って、密封要素24は、好ましくは、分注デバイス1の組立中、特に、接触要素26及び/又は固定要素25が案内要素23に締結された時に変形される。密封要素24の変形に起因して密封要素24の弾性引張がもたらされ、この弾性引張は、密封要素24の最適な密封効果に寄与し、及び/又は密封要素24を用いた密封を達成するか又は達成することを可能にする。
【0139】
好ましくは、密封要素24の変形又は変形値は、直接定義可能又は調節可能ではなく、特にこれらに相関する固有値を用いて決定されるか、又は固有値から導出される。組立パラメータMを使用することにより、特に、完全に組み立てられた分注デバイス1では密封要素24の望ましい変形が提供されること、及び/又は密封要素24の変形値が望ましい値を取ることを保証することができる。
【0140】
好ましくは、複数の密封要素24が、バッチで、すなわち、群で製造される。特に、バッチは、可能な限り均一な特定量の開始材料から製造される。好ましくは、1つのバッチの密封要素24は、小さい変化のみを有する、及び/又はリング径又は有効リング径、断面積、容積、又は圧縮性などのような重要な変数に関して高レベルの再現性を有する。
【0141】
特に好ましくは、1つのバッチの密封要素24の容積の、これらの密封要素の平均容積又はターゲット容積からの逸脱は、10%よりも小さく、特に5%よりも小さく、特に好ましくは、4%又は2%よりも小さい。
【0142】
特定の例では、密封要素24は、5mm3よりも大きく、及び/又は10mm3よりも小さく、特に好ましくは、約7mm3から8mm3までのターゲット容積又は平均容積を有し、バッチの全ての密封要素24が、このターゲット容積又は平均容積から最大でも0.3mm3しか外れない容積を有する。
【0143】
密封要素24は、好ましくは、射出成形により、特に複数のキャビティを有する射出成形ツール(図示せず)を用いて製造される。従って、各射出成形工程中に複数の密封要素24が製造される。
【0144】
好ましくは、密封要素24は、特にOリング又は密封リングの形態にある個々の部品及び/又は個別の構成要素である。しかし、これに代えて、密封要素24は、特に二構成要素射出成形を用いて案内要素23又は接触要素26の上に直接に形成することができる。この場合に、従って、バッチは、上述のように密封要素24だけではなく、密封要素24が中又は上に形成された案内要素23又は接触要素26から構成されると考えられる。
【0145】
密封要素24は、特に、リング径又は有効リング径、断面積、容積、又は圧縮性などのような重要な変数に関してバッチ毎に異なることが可能である。材料又は技術によって決定される圧縮性、並びにツールによって決定される量(リング径、厚み、容積、面特性)のような変数は可変である。
【0146】
好ましくは、異なるバッチの密封要素24は、異なるバッチでの製造の得られる製造公差に関してのみ異なる。
【0147】
しかし、異なるバッチの密封要素は、互いに有意に異なり、特に、根本的に異なる(公称)寸法を有すること、異なる材料から構成されること、異なる変形特性、例えば、異なる圧縮弾性率、弾性率、圧縮硬度、及び/又は押込硬度を有すること、及び/又は異なる圧縮永久歪みを有することも可能である。
【0148】
好ましくは、密封要素24は、搬送要素9を案内要素23から特に気密方式又は対拡散密封方式で密封するように設計される。特に、密封要素24は、いずれの薬物2又は流体も、特にいずれのガス及び/又は液体も圧力チャンバ11から及び/又は案内要素23と搬送要素9との間で漏出しないように設計又は配置される。
【0149】
図示の例では、非設置密封要素24の断面積又は(有効)厚みDは、好ましくは0.3mmよりも大きく、特に0.5mmよりも大きく、特に好ましくは1mm又はそれよりも大きく、及び/又は3mmよりも小さく、2mmよりも小さく、より好ましくは1.5mmよりも小さい。好ましくは、密封要素24の中心開口部24aの内径又はサイズは、ほぼ搬送要素9の外径に対応する。
【0150】
好ましくは、密封要素24は、弾性材料から構成される。好ましくは、本発明の意味の範囲の弾性材料は、100MPaよりも小さく、好ましくは50MPaよりも小さく、特に10MPaよりも小さい弾性率を有する材料である。
【0151】
好ましくは、密封要素24は、医薬品又は食品に適するゴム弾性材料又は天然ゴムから構成される。好ましくは、密封要素24は、シリコーン、フッ素化ゴム(FKM)、熱可塑性エラストマー(TPE)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロ-イソブテン-イソプレンゴム又はクロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、ポリウレタン(PUR)、及び/又はニトリルゴム(NBR)で作られる。
【0152】
密封要素24に対して考察することができる異なる材料は、異なる特性を有する。その一方で高温及び/又は高圧で医薬品と接触状態になる時に高い漏れ率及び/又は低い対拡散密封性を有する材料が存在する。従って、言い換えれば、高温又は高圧で医薬品と接触した時に、密封要素24を通る高い拡散量が存在するので密封要素24の密封効果が低減する。
【0153】
そのような材料から構成された密封要素24を使用すると、物質が密封材料又は密封要素24を貫通して拡散することができることによって静的密封又は良好な格納密封性が困難になる。この場合に、好ましくは、拡散損失は、特に、空き面のサイズに比例し、及び/又は密封要素24の拡散方向の広がりに反比例する。
【0154】
更に、密封要素24の密封面、すなわち、特に、受け入れ空間27の境界との接触している面に対する接触応力が高温及び/又は高圧で低下する材料が存在する。言い換えれば、これらの材料では高圧及び/又は高温下で材料又は密封要素24のクリープが観察される。
【0155】
この場合に、特に、対向面、この場合は特に搬送要素9の面に対する密封材料又は密封要素24の圧縮応力が過度に低い場合はこの面の粗度又は孔隙率が漏れを引き起こすので、格納漏れ及び/又は静的密封不足がもたらされる。
【0156】
従って、密封要素24による搬送要素9の密封に関連付けられた問題は、特に2つの実効的に相反する要件を満足することである。一方で格納漏れが回避される限り、及び/又は静的密封を改善することができる限り、受け入れ空間27内の密封要素24の高い引張圧又は強い変形が望ましいか又は有利である。しかし、他方で、密封要素24の高い前負荷圧又は激しい変形は、前負荷圧が増大すると共に材料のクリープ及び/又は流れが増加し、更に搬送要素9と密封要素24の間の相対移動に起因する摩耗も増加するので、密封要素24に対する搬送要素9の移動中に動的密封、すなわち、搬送要素9の密封が劣化することを意味する。更に、過度に高い前負荷圧は、摩耗の増加を招くだけではなく、搬送要素9のより困難な作動又は移動も招く。これは、移動しないか又は望むように移動しない搬送要素9を招き、従って、例えば、送出ストロークでは過度に少ない用量の薬物2が放出される及び/又は不十分な噴霧しか発生しない場合がある。
【0157】
特に、変形値は、密封要素24がどれほど多く変形されるか、及び/又は完全に組み立てられた分注デバイス1での(変形した)密封要素24の断面積又は容積と受け入れ空間27の断面積又は容積との間の比がどの程度であるかの尺度である。従って、変形値は、特に、受け入れ空間27での密封要素24の弾性引張がどれほど強いかの尺度である。
【0158】
密封要素24は、特に、上述の相反する要件が可能な限り最適に満足されるように変形しなければならず、及び/又はそのように密封要素24の変形値を選択又は調節しなければならない。一方で変形は、密封要素24内に弾性引張が存在し、その結果、格納漏れを防止することができるほど十分に大きくなければならない。他方で、変形は、良好な動的密封が確実にされる及び/又は材料のクリープが防止されるほど十分に小さくなければならない。
【0159】
密封要素24を設置するための本提案の方法及び本提案の分注デバイス1は、特に、良好な静的密封と動的密封の両方を実施又は達成することを可能にする前負荷圧を用いて密封要素24が受け入れ空間27に配置されること又は受け入れ空間27内に固定されることを保証することを目的とする。更に、好ましくは、本提案の方法は、多数の材料及び/又は異なる材料に適している。
【0160】
組立状態、すなわち、圧力発生器5が設置された状態では、密封要素24は、
図3に示すように、受け入れ空間27内に少なくとも実質的に受け入れられる。好ましくは、接触要素26又は固定要素25は、軸線方向に密封要素24上に載置され、密封要素24を受け入れ空間27内で軸線方向に固定する。更に、好ましくは、密封要素24は、それを通る搬送要素9と半径方向に密封接触している。密封要素24は、設置状態で受け入れ空間27内に特にクランプ又は圧縮され、すなわち、変形される。設置状態では、好ましくは、密封要素24は、実質的に矩形の断面形状、又は搬送要素9に対面する少なくとも1つの平坦な接触側面を有する。
【0161】
良好な密封及び対応する正確な投与を達成することができるように、望ましい充填度、すなわち、「ターゲット充填度」は、特に、4%、2%、又はそれ未満の公差しか伴わずに平均で好ましくは90%よりも大きく、特に95%よりも大きく、及び/又は110%よりも小さく、特に105%よりも小さく、特に好ましくは少なくとも実質的に100%である。
【0162】
「充填度」は、未変形の密封要素24(特に
図5Bに示す)の容積を受け入れ空間27の容積で割り算した比に対応する。好ましくは、本発明による方法及び本提案の分注デバイス1は、この充填度又はいずれかの他の望ましい充填度を実施又は再現するように設計される。
【0163】
好ましくは、受け入れ空間27の容積は、可変方式で及び/又は組立によって又は組立中に調節及び/又は固定することができる。
【0164】
図示の例では、好ましくは、接触要素26は、特に、固定要素25が密封要素24に対して軸線方向に引張される位置で固定要素25によって案内要素23に固定又は締結される。接触要素26の定められた位置、従って、密封要素24に対する受け入れ空間27の定められた軸線方向長さ又は高さHは、対応する軸線方向及び/又は端面の接触面を用いて達成することができる。
【0165】
受け入れ空間27の高さHは、
図3に示すように、特に、案内要素23によって形成された受け入れ空間27の底面27a、環状面、又は環状ショルダー部と、底面27a及び/又は密封要素24に対面する接触要素26の端面、及び/又は接触要素26の接触部分26aの端面との間の(軸線方向)間隔である。
【0166】
好ましくは、固定要素25は、キャップ方式で設計される及び/又は接触要素26に端面上又は自由端上で重なる。
【0167】
好ましくは、接触要素26は少なくとも実質的にリング形である。好ましくは、接触要素は中心開口部を有する。好ましくは、中心開口部の直径は、チャネル23bの直径に対応するか又はチャネル23b及び/又は搬送要素9の直径よりも大きい。
【0168】
好ましくは、接触要素26は、密封要素24との直接接触に向けて設計された接触部分26aを有する。接触部分26aは、特に、軸線方向端部にある接触要素26の部分によって形成される。完全に組み立てられた分注デバイス1では、好ましくは、接触部分26aは、密封要素24に接触し、及び/又は密封要素24を受け入れ空間27内に固定するか又は密封要素24aを受け入れ空間27内にクランプする。
【0169】
密封要素24に対面する接触部分26aの端面は、好ましくは、半径方向に湾曲し、及び/又は密封リング又は密封要素24の形状に適合される。このようにして、空所、特に受け入れ空間27のうちで密封要素24が充填されない領域を低減又は最小にすることができる。好ましくは、接触部分26aは、密封要素24に対面する密封リップ部を有する。好ましくは、密封リップ部は、突出障壁として機能する、及び/又は密封要素24がチャネル23bの中にクリープして入り込むことを防止するように設計される。
【0170】
好ましくは、接触部分26aは、断面(すなわち、軸線Aに対して垂直な断面)がリング形であり、特に円形リングの形態にある。
【0171】
好ましくは、接触要素26は、固定要素25に対する接触面及び/又はストップ26bを有する。特に、ストップ26bは、固定要素25の環状ショルダー部又はフランジによって形成される。
【0172】
好ましくは、固定要素25は、ストップ26bに接触するように及び/又はストップ26b、従って、接触要素26を軸線方向に保持又は固定するようにストップ26bに割り当てられた対向面25aを有する。
【0173】
好ましくは、接触要素26は、その内部への搬送要素9の挿入を容易にする特に円錐形の挿入部分26cを有する。これに代えて又はこれに加えて、組立パラメータMの決定中のプランジャ29又は中心要素30の挿入も、挿入部分26cによって容易になる。好ましくは、挿入部分26cは、ベベル及び/又は丸めを有するか又はこれらから形成される。特に、接触要素26の中心開口部は、挿入部分26c及び/又は接触要素26の自由端に向うベベル/丸めによって拡幅又は拡大される。
【0174】
好ましくは、固定要素25の位置、特に軸線方向位置は可変である。好ましくは、固定要素25は、案内要素23に対する様々である特に軸線方向の位置で案内要素23に締結することができる。この目的に対して、好ましくは、案内要素23は締結部分23aを有する。好ましくは、締結部分23aは、案内要素23の周囲側面上に配置又は形成される。
【0175】
図4に示す例では、好ましくは、締結部分23aは、凹部23c又はネジ切りのような1又は2以上の係合オプションを有する。しかし、締結部分23aは、異なる設計を有することができ、例えば、接着面を有するか又はそれによって形成することができる。
【0176】
好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26は、案内要素23に対する異なる離散位置で案内要素23に締結することができる。本発明の意味の範囲の「離散位置」は、特に、固定要素25、接触要素26、及び/又は案内要素23及び/又は締結部分23aの形状によって定義又は固定される位置である。
【0177】
固定要素25は、例えば、
図3に示すようにネジ止め又は糊着により、又は例えば、特に1又は複数の線条痕を同時に形成しながらの変形によって固定され、及び/又は
図4Eに示すように、好ましくは、案内要素23の1又は2以上の凹部23c内に特に半径方向に係合することによって案内要素23に締結することができる。特に、案内要素23及び/又は締結部分23aは、異なる軸線方向位置に配置された複数の凹部23cを有することができる。
【0178】
特に、案内要素23に対する固定要素25及び/又は接触要素26の複数の離散位置は、複数の凹部23cによって定義又は実施される。言い換えれば、固定要素25及び/又は接触要素26は、案内要素23に対する異なる離散位置で好ましくは、凹部23cによって案内要素23に締結することができる。特に、固定要素25及び/又は接触要素26の軸線方向位置、従って、高さH、最終的に受け入れ空間27の容積は、調節又は変更することができる。
【0179】
言い換えれば、完全に組み立てられた分注デバイス1では、固定要素25を案内要素23及び/又は締結部分23a上の固定位置又は定位置に締結すること、及び/又は固定要素25及び/又は接触要素26を案内要素23に対する固定位置及び/又は変更不能位置に固定することが好ましいが、固定要素25及び/又は接触要素26の固定及び/又は締結中に案内要素23に対する異なる、特に軸線方向位置及び/又は離散位置を選択及び/又は実行することができる。このようにして、特に、受け入れ空間27の容積及び/又は密封要素24の容積に対する受け入れ空間27の容積の比を密封要素24に対して選択する及び/又はそれに適応させることができる。組立中に固定要素25及び/又は接触要素26の位置を変更する機能は、特に、独立に実行することができる本発明の態様を形成する。
【0180】
特に、固定要素25及び/又は接触要素26の位置は、密封要素24の変形及び/又は受け入れ空間27のサイズ又は容積を固定要素25及び/又は接触要素26の支持を変更することによって変更することができるように密封要素24の変形及び/又は受け入れ空間27のサイズ又は容積を定める。
【0181】
好ましくは、固定要素25を案内要素23に締結するための異なるオプションが存在する。固定要素25は、非確動方式、確動方式、及び/又は材料結合方式で案内要素23に締結することができる。
【0182】
固定要素25を締結するための好ましいオプションは、固定要素25のネジ止め、ピンを用いた(確動)締結、1次成形締結(例えば、成形、又は硬化性樹脂、特にUV硬化性樹脂及び/又は接着剤を用いた材料結合)、形成による締結(例えば、圧着又は熱かしめ)、フライス加工、溶接、又は半田などによる締結である。
【0183】
一例により、固定要素25は、ナット又はユニオンナットとして設計することができ、組立パラメータMによって指定された位置で特に定められたトルクによるネジ止めによって案内要素23に締結することができる。好ましくは、この場合に使用されるネジ山は、粗いネジ山として及び/又は自動ロッキング機能を持たないように設計される。これを
図3に記載の例によって示している。
【0184】
更に別の例により、固定要素25は圧着スリーブとして設計することができ、案内要素23及び/又は締結部分23a上で組立パラメータMによって指定される位置に剛的に圧着することができる。
【0185】
この目的に対して、案内要素23は、1又は2以上の凹部23cを有するか又はそれによって形成することができる。好ましくは、凹部23cは、案内要素23の外面上に配置される。特に、凹部23cは、固定要素25の異なる(軸線方向)位置及び/又は離散位置に対応し、及び/又は固定要素25及び/又は接触要素26の異なる軸線方向位置及び/又は離散位置を定める。これを
図4A~
図4Eに従って例によって示している。
【0186】
好ましくは、凹部23cは、溝又は線条痕として設計される。凹部23c、特に溝又は線条痕は切れ目のないものとすることができ、及び/又は案内要素23は、外周を一周するように形成することができ、及び/又は外周方向に互いに個別の複数の凹部23cによって形成することができる。
【0187】
図4A~
図4Eに示す複数の凹部23cを有する実施形態では、好ましくは、固定要素25は、特に個々の凹部23cに対応する異なる離散位置で案内要素23上に締結又は固定することができる。
【0188】
これに代えて又はこれに加えて、1つのみ又は厳密に1つのそのような凹部23c又は溝又は線条痕を設けることができ、異なる組立パラメータMが異なる固定要素25に対応するように、及び/又は異なる軸線方向長さを有する圧着スリーブが異なる固定要素25によって実施されるように異なる軸線方向長さを有する複数の圧着スリーブが設けられる。
【0189】
固定要素25は、例えば、凹部23cに係合するために、周囲縁部を有するか又はいずれかの他の手法で凹部23cに対応するように設計された縁部を有することによって凹部23cとの係合に適するように事前形成することができる。しかし、この事前形成は必須ではない。固定要素25及び/又は接触要素26の離散位置は、凹部23cと組み合わせた固定要素25のそのような変形によっても定められる。固定要素25がそのような事前形成形状を持たず、案内要素23及び/又は締結部分23aのみが1又は2以上の凹部23cを有し、固定要素25が案内要素23及び/又は締結部分23aに対して連続的に変位可能であり、固定要素25を締結又は固定するために変形ツールが固定要素25を変形させて凹部23cの中に入れることも可能である。
【0190】
更に別の例により、固定要素25は、組立パラメータMによって指定された位置で案内要素23に糊着又は溶接、特に、レーザ溶接、超音波溶接、及び/又は摩擦溶接によって固定することができる。
【0191】
任意的に、固定要素25は、接触要素26に締結することができ、この場合に、締結要素25は、それが案内要素23に締結されるのと同じ手法で接触要素26に締結することができる。従って、案内要素23への固定要素25の締結に関する以上の説明は、接触要素26への固定要素25の締結に同じく適用される。好ましくは、接触要素26が配置された後に初めて接触要素26と固定要素25の間の堅固な接続部が製造される。
【0192】
図4Eに図示の実施形態では、接触要素26又はそのストップ26bは、半径方向外面上に溝又は線条痕を有し、固定要素25は、圧着してこの溝又は線条痕の中に入れること又は接触要素26に締結することによって変形される。
【0193】
図6は、更に別の好ましい実施形態による分注デバイス1及び/又は圧力発生器5の一部を略示している。
図6は、固定要素25を省略し、接触要素26及び案内要素23のみを示す
図4Eに記載の断面図に示す圧力発生器5の側面図である。
【0194】
図6に図示の実施形態により、好ましくは、固定要素及び/又は接触要素25、26は、案内要素23に対する異なる軸線方向位置及び/又は離散位置で案内要素23上にロックすることができる。特に、案内要素23に対する固定要素及び/又は接触要素25、26の異なる離散位置は、このようにして定められるか又はそうすることができる。
【0195】
好ましくは、固定要素及び/又は接触要素25、26、及び/又は案内要素23は、案内要素23に対して固定要素及び/又は接触要素25、26を配置するための位置決めデバイス31を有する。好ましくは、位置決めデバイス31は、接触要素26と案内要素23との互いに対応する面又は部分によって形成されるか又はそのような面を有する。
【0196】
好ましくは、位置決めデバイス31は、案内要素23に割り当てられた又は対面する接触要素26の端面上に、及び/又は接触要素26に割り当てられた又は対面する案内要素23の端面上に配置される。
【0197】
図示の例では、位置決めデバイス31は、特に1又は2以上の螺旋構造31aによって形成されるか又はこれらを含む。好ましくは、接触要素26と案内要素23の両方が螺旋構造31aを含む。
【0198】
案内要素23に対する接触要素26の(特に軸線方向)位置は、好ましくは、螺旋構造31aを用いて調節又は変更することができる。特に、案内要素23に対する接触要素26の位置は、軸線Aの周りに接触要素26を回転させることにより、又は案内要素23に対して接触要素26を回転させることによって変化させることができる。そのような回転中に、好ましくは、接触要素26の螺旋構造31aと案内要素23の螺旋構造31aとは互いに沿って摺動し、それによって案内要素23と接触要素26との互いに対する軸線方向位置を変化させる。
【0199】
しかし、螺旋構造31aの代わりに、傾斜平面又は傾斜面などしか設けないことが可能である。
【0200】
好ましくは、特に案内要素23に対する固定要素25及び/又は接触要素26の軸線方向位置は、固定要素25及び/又は接触要素26の回転位置によって固定されるか又はそうすることができる。好ましくは、この軸線方向位置の固定は、位置決めデバイス31により、特に傾斜平面又は傾斜面又は螺旋構造31aによって可能になる又は実施される。
【0201】
好ましくは、位置決めデバイス31は、1又は2以上のロッキング要素31bを有するか又はこれらによって形成される。特に、接触要素26は、案内要素23に対する(定められた)軸線方向位置で案内要素23上にロッキング要素31bによってロックすることができる。
【0202】
好ましくは、接触要素26と案内要素23とは、互いに対応するロッキング要素31bを有する。
【0203】
特に、接触要素26のロッキング要素31bと案内要素23のロッキング要素31bとは、互いに係合又は相互作用するように設計される。
【0204】
特に好ましくは、ロッキング要素31bは、案内要素23に対する接触要素26の回転が軸線Aの周りに1つの回転方向にしか可能ではなく、この回転方向と反対の方向の回転が防止されるように設計される。
図6に示すように、この設計は、斜面面及び垂直面を有するロッキング要素31Bを適切に設計することによって行うことができる。
【0205】
接触要素26が案内要素23の中にロックされた時、及び/又は分注デバイス1が組み立てられた後に、好ましくは、接触要素26の位置決めデバイス31、螺旋構造31a、及び/又はロッキング要素31bと、案内要素23の位置決めデバイス31、螺旋構造31a、及び/又はロッキング要素31bとは互いに接触する及び/又は互いに当接する。
図6には、接触要素26と案内要素23の間隔を単に明瞭化の目的で示している。
【0206】
好ましくは、位置決めデバイス31、特に傾斜平面又は螺旋構造31a、及び/又はロッキング要素31bは、案内要素23に対する固定要素及び/又は接触要素25、26の異なる離散位置を定める。言い換えれば、位置決めデバイス31、特に傾斜平面又は螺旋構造31a、及び/又はロッキング要素31bは、固定要素25及び/又は接触要素26を案内要素23に対する異なる離散位置で案内要素23上に締結、特にロックするのに使用することができる。分注デバイス1を組み立てるための又は(複数の)分注デバイス1を組み立てるための本提案の方法を特に下記で説明する。
【0207】
特に、下記では、最初に密封要素24がバッチで存在する組立方法を説明する。この場合に、好ましくは、密封要素24の重要な寸法に関する分散(variance)がバッチ内で低い。本方法では、好ましくは、最初に組立パラメータMが、バッチの少数の密封要素24のランダムサンプルを使用して決定され、次に、この組立パラメータMが、後にバッチの密封要素24の設置中に各密封要素24に対して使用される。特に、組立パラメータMは、密封要素24の実際の設置の前に又はそれとは独立に決定される(バッチ毎に)。本方法を特にバッチ方法と呼ぶ。
【0208】
バッチ方法の後の以下に説明する更に別の組立方法では、好ましくは、組立パラメータMは、設置される各密封要素24に対して個々に又は別々に決定され、密封要素24は、この組立パラメータMを用いて設置される。特に、密封要素24の設置又は固定は、組立パラメータMの決定中又はその直後に行われる。本方法では、密封要素24は、それらの重要な寸法に関して互いにかなり異なることが可能であり、及び/又は異なるバッチからのものとすることができる。それにも関わらず、本方法は、バッチで利用可能であり、重要な寸法に関して低い変化を有する密封要素24に適用することができる。本方法を特に個別方法と呼ぶ。
【0209】
しかし、最初にバッチ方法をより詳細に議論する。
【0210】
好ましくは、組立パラメータMは、密封要素24の各バッチに対して別々に決定される。下記では、全体のバッチ方法の概要を提示した後に、組立パラメータMを決定するための手順をより詳細に説明する。
【0211】
好ましくは、バッチは、複数の密封要素24、好ましくは、10,000個よりも多く、好ましくは100,000個よりも多く、特に200,000個よりも多い、及び/又は1,000,000個よりも少なく、特に800,000個よりも少ない密封要素24を有する。
【0212】
好ましくは、組立パラメータMは、バッチの密封要素24のランダムサンプル又は部分集合(subset、サブセット)を用いて決定される。
【0213】
特に、ランダムサンプルは、バッチの密封要素24のうちの少数、好ましくは少なくとも10個、好ましくは少なくとも50個、特に少なくとも80個、及び/又は多くとも250個、好ましくは多くとも150個、特に多くとも125個の密封要素24を有する。好ましくは、ランダムサンプルのサイズは、バッチのサイズに依存し、特により大きいバッチに対して多めのランダムサンプルを使用する。
【0214】
好ましくは、ランダムサンプルは、バッチの密封要素24のうちの50‰よりも少なく、好ましくは20‰よりも少なく、特に10‰よりも少なく、特に好ましくは5‰よりも少なく、非常に好ましくは2‰よりも少ない密封要素24を有する。
【0215】
好ましくは、組立パラメータM又はその値は、密封要素24又は分注デバイス1の実際の組立とは別々に特に試験システム(図示せず)内で決定される。
【0216】
好ましくは、試験システムの受け入れ空間27は、分注デバイス1の受け入れ空間27と同じ寸法を有する。しかし、簡略化の目的で、下記では、上述の方法を分注デバイス1の受け入れ空間27を参照して説明する。
【0217】
同様に、接触要素は、分注デバイス1の接触要素26である必要はなく、試験システムの試験要素によって形成することができる。この場合に、好ましくは、試験要素は、接触要素26と同様又は同等に設計される。
【0218】
好ましくは、試験システムは、完全な分注デバイス1及び/又は完全な圧力発生器5を持たず、分注デバイス1及び/又は圧力発生器5の受け入れ空間27と同じ寸法を有する受け入れ空間27のみを有する。好ましくは、試験システムの受け入れ空間も、分注デバイス1の受け入れ空間27と同じ材料で作られる。
【0219】
試験システムが分注デバイス1の案内要素23(受け入れ空間27を有するか又は形成する)と構造的に同等の案内要素を有することも、試験システムの受け入れ空間を分注デバイス1に使用される案内要素と構造的に同等の案内要素23によって形成することも必須ではない。むしろ、分注デバイス1のシミュレーション及び/又は分注デバイス1及び/又は受け入れ空間27での密封要素24の変形のシミュレーションに関して重要なことは、単純に、試験システム内でシミュレートされる受け入れ空間が寸法及び/又は材料に関して分注デバイス1の受け入れ空間27に可能な限り正確に対応することである。従って、上述のように、好ましくは、試験システムの試験要素は、接触要素26と同様又は同等に設計される。好ましくは、試験要素は、接触要素26と同じ材料で作られ、及び/又は軸線Aと垂直に接触要素26と同じ直径及び/又は断面積を有する。
【0220】
更に、試験システムは、プランジャ29及び/又は中心要素30を有することが好ましい。好ましくは、搬送要素9は、プランジャ29及び/又は中心要素30によってシミュレートされる。プランジャ29及び/又は中心要素30が、搬送要素9と同じ材料で作られること、及び/又は軸線Aと垂直に搬送要素9と同じ直径及び/又は断面積を有することが好ましい。プランジャ29及び中心要素30に対しては、後により詳細に説明する。
【0221】
試験システムでは、受け入れ空間27の密封に関連のない分注デバイス1及び/又は圧力発生器5の構成要素、例えば、放出ノズル12、又は圧力発生器5の一部ではない全ての部分は、好ましくは省略され、及び/又は試験システムは、そのような構成要素を持たない。
【0222】
この意味では、受け入れ空間27、及び/又は圧力発生器5及び/又は分注デバイス1は、好ましくは、試験システムでのみシミュレートされる。
【0223】
バッチ方法及び/又は組立パラメータMのバッチ毎の決定では、好ましくは、最初に、ランダムサンプルの全ての密封要素24に関する組立パラメータMが下記で説明する方式で決定される。好ましくは、次に、ランダムサンプルの密封要素24に対して別々に決定された組立パラメータMから平均値が見出される。この場合に、好ましくは、この平均値は、バッチの組立パラメータMの構成要素となり、特にバッチの密封要素24の各設置に使用される。
【0224】
好ましくは、組立パラメータMは、密封要素24の異なるバッチに対して受け入れ空間27の容積と受け入れ空間27内の密封要素24の容積との間の少なくとも実質的に同じ比、及び/又は密封要素24の同じ変形値がもたらされるように選択又は設定される。言い換えれば、好ましくは、組立パラメータMは、分注デバイス1が組み立てられる度に受け入れ空間27での密封要素24の同じ変形値又は充填度がもたらされるように選択される。密封及び/又は密封効果は、異なるバッチの密封要素24の間に違いがある場合であっても確実なシールを達成することができるように、ほぼ変形値及び/又は充填度によって決定される。
【0225】
好ましくは、「等しい」又は「少なくとも実質的に同じ」変形値又は充填度は、互いに僅かしか異ならない及び/又は公差内で同等である充填度又は変形値を意味すると理解される。従って、この点に関して同じ変形値又は充填度は、正確には一致せず、又は互いに若干外れる場合がある。特に、2つの変形値又は充填度は、互いに10%よりも小さく、好ましくは5%よりも小さく、特に2%よりも小さく、非常に好ましくは1%よりも小さくしか外れない場合と同じである。
【0226】
好ましくは、組立パラメータMは、分注デバイス1が組み立てられる時に観察しなければならない及び/又は完全に組み立てられた分注デバイス1で満たされる調節可能で特に幾何学的な値である。好ましくは、組立パラメータMは、組立工程の構成において可変的に事前指定することができる。好ましくは、組立パラメータMは、案内要素23に対する固定要素25及び/又は接触要素26の相対位置を表している。好ましくは、組立パラメータMは幾何学パラメータである。特に、組立パラメータM又はその値は、固定要素25及び/又は接触要素26の軸線方向位置である。言い換えれば、好ましくは、この位置は、組立パラメータM又はその値によって定められる。固定要素25及び/又は接触要素26の位置は、上述のように好ましくは受け入れ空間27の容積と相関し、従って、好ましくは、密封要素24の変形とも相関するので、組立パラメータMの(バッチ毎の)使用又は指定は、密封要素24の異なるバッチに属する密封要素24によって搬送要素9の確実なシールが提供されることを簡単な方式で保証することを可能にする。
【0227】
例えば、分注デバイス1を組み立てるのに及び/又は固定要素25を案内要素23に締結するのに使用される装置の一部が移動する経路の距離によって組立パラメータMを定義又は形成することにより、組立パラメータMが固定要素25及び/又は接触要素26の位置に間接的にしか対応しないことも可能である。
【0228】
組立パラメータMが固定要素25及び/又は接触要素26の位置に間接的にしか対応しない更に別の例により、締結される、特にネジによって締結される構成要素の回転角又はネジ移動位置などによって組立パラメータMを定義又は形成することができる。特に、上記で例として上述したように固定要素25がナット又はキャップナットとして設計される場合に、組立パラメータMは、回転角又はネジ移動位置などによって形成することができる。回転角又はネジ移動位置を指定することにより、構成要素又はナットの縁部位置を定め、従って、その軸線方向位置及び/又は受け入れ空間27の高さを間接的に定めることができる。
【0229】
好ましくは、異なる組立パラメータM又はその異なる値は、受け入れ空間27の異なる容積及び/又は受け入れ空間27の異なる高さHに対応する。言い換えれば、好ましくは、各組立パラメータM又はその各値は、受け入れ空間27の特定の容積又は受け入れ空間27の特定の高さHに対応する。
【0230】
しかし、これに代えて又はこれに加えて、組立パラメータMは、受け入れ空間27内に固定される密封要素24を変形させる及び/又は固定する特定の力に対応することも可能である。好ましくは、受け入れ空間27の容積又は受け入れ空間27の高さHは、各場合に密封要素24を受け入れ空間27内で変形させる特定の力又は圧力と直接に相関させることができる。従って、接触要素26の位置又は受け入れ空間27の高さHのような幾何学パラメータの代わりに、特定の力を組立パラメータMを定めるのに使用することができ、又は組立パラメータMとして使用することができる。特に、この場合に、この力は、受け入れ空間27の特定の容積又は特定の高さHに対応する。
【0231】
好ましくは、受け入れ空間27の容積又は高さHは、組立パラメータMを用いて設定又は固定することができる。特に、受け入れ空間27の容積は、密封要素24の各々又は密封要素24のそれぞれのバッチに適応させることができ、異なる密封要素24又は密封要素24の異なるバッチに対して同じ充填度又は同じ密封効果又はシールが提供されるように、異なる組立パラメータM、より正確には組立パラメータMの異なる値を異なる密封要素24又は密封要素24の異なるバッチに対して選択することができる。
【0232】
好ましくは、バッチに対する組立パラメータMは、最初にバッチの密封要素24の部分集合又はランダムサンプルを使用して決定される。その後に、好ましくは、分注デバイス1が組み立てられる度に、又は所与のバッチの密封要素24が受け入れ空間27内に固定される度に特定の又は選択された組立パラメータMが使用される。特に、組立パラメータMは、分注デバイス1の組立中に設定することができる(一度だけの)値であり、及び/又は測定又は決定しない場合があり、従って、複数の分注デバイス1を特に自動方式で迅速かつ効率的に組み立てることができる。
【0233】
好ましくは、密封要素24又は分注デバイス1は、組立パラメータMの決定とは個別の工程で及び/又は組立パラメータMの決定とは異なるシステムで組み立てられる。
【0234】
好ましくは、密封要素24又は分注デバイス1は、完全自動工程で組み立てられる。この場合に、特に、多数の分注デバイス1が高速で組み立てられる。特に、数百個又は数千個の分注デバイス1が1時間毎に組み立てられる。
【0235】
組立に向けて、最初に密封要素24が分注デバイス1の受け入れ空間27に配置される。次に、固定要素25及び/又は接触要素26が受け入れ空間27の中に挿入される。上述したように、固定要素25と接触要素26は、互いに個別の異なる構成要素によって形成されること、又は単一構成要素の異なる部分を構成することのいずれかが可能である。上述の複数の図にも示す好ましい実施形態では、固定要素25と接触要素26は、2つの個別の構成要素によって形成される。この場合に、接触要素26は、受け入れ空間27の中に挿入される。
【0236】
好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26は、密封要素24が変形される、特に密封要素24の変形値が閾値に達するか又は超えるほど十分に深くまで受け入れ空間27の中に移動される。特に、先に決定された組立パラメータMがこの目的に使用され、好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26を受容要素27の中にどれほど深くまで移動するか、又は固定要素25及び/又は接触要素26、特に接触要素26を固定要素25によってどの位置に固定することになるかを定める。
【0237】
好ましくは、接触要素26は、スタンプ又はプランジャを用いて望ましい位置に移動される。スタンプ又はプランジャは、例えば、原理的にプランジャ29と類似の方式で設計することができ、プランジャ29に対しては後により詳細に説明するが、組立パラメータMを決定するのに使用され、
図4A~
図4Dに示している。しかし、好ましくは、組立中に使用されるスタンプ又はプランジャは中心要素30を持たず、及び/又は組立中に接触要素26及び/又は密封要素24を貫通しない。
【0238】
好ましくは、固定要素25は、接触要素26が組立パラメータMに対応するか又は組立パラメータMによって定められた位置に配置された後に接触要素26及び/又は案内要素23にわたって押される。
【0239】
しかし、固定要素25と接触要素26とが密封要素24の方向に同時に移動されるように、接触要素26が配置される時に固定要素25が既に接触要素26にわたって押される及び/又は接触要素26と接触していることも可能である。この場合に、接触要素26は、密封要素24の方向に固定要素25によって間接的に移動される。この場合に、固定要素25及び接触要素26を移動するためのスタンプ又はプランジャは、好ましくは、固定要素25に接触し、固定要素25を通して間接的にしか接触要素26に対して作用しない。
【0240】
固定要素25及び/又は接触要素26が、望ましい位置、及び/又は組立パラメータMによって定められた又は組立パラメータMに対応する位置に達すると、固定要素25は、好ましくは、案内要素23に締結又は固定される。
【0241】
固定要素25は、これに加えて接触要素26にも固定又は締結されることが好ましい。
【0242】
密封要素24を「固定」することは、特に、密封要素24が受け入れ空間27内で移動することができないように、及び/又は変形解除することができず、すなわち、特に、密封要素24の未変形の原形状に戻ることができないように密封要素24を受け入れ空間27内に固定又はクランプすることを意味すると理解される。好ましくは、この固定又はクランプは、固定要素25により、更に任意的に接触要素26によって密封要素24が受け入れ空間27内に固定又はクランプされ、密封要素24が全ての側面上で大きい面積にわたって又は可能な限り深くまで受け入れ空間27の境界に、特に案内要素23、固定要素25、及び/又は接触要素26に圧接するように固定要素25及び/又は接触要素26が密封要素24を押圧し、それによって密封要素24を変形させることで達成される。完全に組み立てられた分注デバイス1では、好ましくは、密封要素24は、それを通して案内される搬送要素9に当接する。受け入れ空間27及び/又は案内要素23、固定要素25及び/又は接触要素26、並びに好ましくは搬送要素9は、好ましくは、組立後に密封要素24の境界を定めるか又は密封要素24の更に別の変形を防止する。
【0243】
従って、好ましくは、密封要素24は、接触要素26を案内要素23に固定すること、及び/又は固定要素25を案内要素23及び/又は接触要素26に締結することによって固定される。好ましくは、受け入れ空間27の高さH及び/又は容積は、固定要素25を案内要素23に締結することによって定義及び/又は固定又は決定される。
【0244】
固定要素25及び/又は接触要素26が固定された後に、好ましくは、搬送要素9が設置される。この目的に対して、搬送要素9は、固定要素25を貫通し、接触要素26及び/又は密封要素24を通るチャネル23bの中に挿入される。しかし、原理的には、固定要素25及び/又は接触要素26を固定する前に搬送要素9を設置又は挿入することができる。
【0245】
分注デバイスの組立中に、好ましくは、案内要素23に対する固定要素25及び/又は接触要素26の相対位置を組立パラメータMを用いて指定又は調節することができる。好ましくは、組立中に測距又は高さ測定が行われ、これらの測定により、受け入れ空間27の高さH、及び/又は特に受け入れ空間27又はその底面27a及び/又は案内部分23に対する固定要素25及び/又は接触要素26の相対位置が直接的又は間接的に検証可能及び/又は制御可能である。この場合に、好ましくは、全ての一般的経路測定方法、例えば、触覚方法、光学方法、又は誘導方法などを使用することができる。
【0246】
特に、組立パラメータM又はその値をバッチで決定することにより、分注デバイス1を組み立てる度に組立パラメータM又はその値を再決定又は再調節する必要はなく、組立パラメータM又はその値は、各バッチに対して好ましくは最初に決定され(バッチの密封要素24の部分集合又はランダムサンプルに基づいて)、次に、このバッチの各密封要素24に対して使用される。その結果、分注デバイス1を組み立てる方法を簡素化し、迅速化することができる。
【0247】
次に、組立パラメータMの決定を特に
図4Aから
図4D及び
図5を参照して下記でより詳細に説明する。
【0248】
組立パラメータMを決定するために、最初に密封要素24の各々は、受け入れ空間27に配置されるか又はその中に配置される。次に、好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26は、密封要素24上に配置されるか又はそれとの接触状態にされる。
【0249】
これらのことを
図4A~
図4Dに示している。
図4Aは、接触要素26が既に受け入れ空間27の中に挿入されているが、依然として密封要素24との接触状態にない場所を示している。
図4Bでは、接触要素26は、密封要素24と接触状態になるほど十分に深くまで受け入れ空間27の中に移動されている。
【0250】
【0251】
次に、好ましくは、密封要素24は、特に固定要素25及び/又は接触要素26によって受け入れ空間27内で変形されるか又はその中に押し込まれる。これらのことは、特に、特に固定要素25及び/又は接触要素26によって密封要素24に対して力又は圧力を作用することによって行われる。組立パラメータMの決定中に組立パラメータMを決定するための接触要素26による密封要素24の変形を特に
図4Dに示している。
【0252】
好ましくは、密封要素24は、密封要素24に対して軸線方向に作用する力により、又は密封要素24に対して軸線方向に作用する圧力によって変形される。しかし、原理的には、これに代えて又はこれに加えて、半径方向力を用いて密封要素24を変形させることができる。好ましくは、この場合に、受け入れ空間27の境界が軸線方向に定められた後(すなわち、特に、固定要素25及び/又は接触要素26が受け入れ空間27上に配置された後)に半径方向内向きに作用する力が使用される。
【0253】
力又は圧力は、好ましくは、密封要素24に対して作用され、及び/又は密封要素24は、好ましくは、プランジャ29によって変形される。特に、固定要素25及び/又は接触要素26は、密封要素24に接触し、それに対して力又は圧力を作用することによって密封要素24を変形させるようにプランジャ29によって密封要素24の方向に又は受け入れ空間27の中に移動される。プランジャ29を
図4A~
図4Dに示している。
【0254】
プランジャ29は、好ましくは、密封要素24に対して間接的にのみ作用する。好ましくは、プランジャ29は、固定要素25及び/又は接触要素26に対して特に軸線方向に作用又は押圧するものとする。特に、プランジャ29は、固定要素25及び/又は接触要素26が軸線方向に密封要素24の方向に移動され、それによって密封要素24が変形されるように固定要素25及び/又は接触要素26に関する軸線方向に移動される。
【0255】
プランジャ29は、好ましくは、分注デバイス1の一部ではなく、組立パラメータMが決定される試験システムの部分である。
【0256】
組立パラメータMの決定に向けて又は決定中に、好ましくは、中心要素30は、チャネル23bの中に及び/又は密封要素24の(中心)開口部24aを通して案内される。受け入れ空間27の容積は、好ましくは、中心要素30によって低減されるか又は境界が定められる。中心要素30を
図4A~
図4Dに示している。
【0257】
特に、中心要素30は、組立パラメータMの相関度測定及び/又はその決定中に受け入れ空間27の内側半径方向境界を構成する。
【0258】
好ましくは、中心要素30は、半径方向に搬送要素9と同じ直径又は同じ外寸を有する。
【0259】
好ましくは、中心要素30は、プランジャ29の一部分であり、又はプランジャ29を有する単一部品として形成される。しかし、中心要素30は、プランジャ29とは別々に形成すること及び/又は個別の構成要素を形成することができる。
【0260】
中心要素30が軸線方向に向けて押される時に、中心要素30によって境界が定められた受け入れ空間27の半径方向広がり又は幅Bが低減されるように、中心要素30は、その少なくとも1つの部分が先細形、円錐形、及び/又は丸形である。このようにして、チャネル23bの中への又は密封要素24の開口部24aを通じた中心要素30の挿入を容易にすることができ、及び/又は密封要素24への損壊を防止することができる。
【0261】
原理的には、中心要素30は、搬送要素9によって形成することができる。
【0262】
組立パラメータMの相関度測定又はその決定中に、密封要素24は、好ましくは、中心要素30に対して押圧され、特にこの工程では変形される。
【0263】
組立パラメータMの決定後に、好ましくは、中心要素30は、チャネル23b又は密封要素24の開口部24aから再度取り出される。
【0264】
好ましくは、組立パラメータMは、密封要素24が固定される時に、密封要素24の変形に対応する変形値が閾値に達する又はそれを超えるように選択される。
【0265】
閾値を「超える」変形値は、最初に変形値が閾値よりも小さく、次に、閾値よりも大きい値に到達する状況、及びその逆、すなわち、最初に変形値が閾値よりも大きく、次に、閾値よりも小さい値に達する状況を意味すると理解される。
【0266】
複数の閾値は、指定することができ、好ましくは、組立パラメータMは、変形値がこれらの閾値の間に収まるように選択される。従って、特に、これらの閾値は、変形値に対する最大値及び最小値を表すことができる。
【0267】
変形値は、好ましくは、密封要素24の変形及び/又は圧縮に対応する。言い換えれば、好ましくは、変形値は、密封要素24がどの程度及び/又はどのように変形及び/又は圧縮されるかの値又は尺度である。下記でより詳細に説明するように、変形値は、好ましくは、固有値を用いて間接的に決定される。
【0268】
【0269】
図5Bは、特に受け入れ空間27に配置される前の未変形密封要素24を示している。
図5Bの例では、密封要素24は、直径又は厚みDを有する円形の断面を有する。しかし、原理的には、密封要素24又はその断面は、あらゆる形状とすることができる。
【0270】
図5Cには変形密封要素24を示している。特に、
図5Cの図は、完全に組み立てられた分注デバイス1及び/又はその受け入れ空間27内に挿入及び固定された密封要素24に対応する。
図5Cから見ることができるように、密封要素24は、
図5Bの初期状況と比較して変形されており、特にその外形が受け入れ空間27の形状に適合されている。
【0271】
密封要素24が変形される時に、最初に好ましくは、弾性の変形が発生し、この変形では、密封要素24の容積は(有意には)変化せず、又は密封要素24の外形のみが変更されるか又は受け入れ空間27に適合される。一般的に、単純な形状変化に続く圧力及び/又は力の作用、及び/又は密封要素24の変形の更に別の増大により、特に主として純粋な形状変化に加えて、密封要素24の容積圧縮、すなわち、容積の変化又は低減が始まる。
【0272】
特に好ましくは、閾値は、密封要素24の容積圧縮のこの開始に対応する変形値、又は容積圧縮が始まるか又は開始する変形値に対応する。しかし、密封要素24の材料に依存して容積圧縮が開始する値を具体的に超えるか又は下回る値を閾値として選択することは、望ましいこと又は有利とすることができる。例えば、高いクリープ挙動を有する材料、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)では、容積圧縮が依然として開始しないような閾値を設定することを有利とすることができる。
【0273】
好ましくは、組立パラメータMは、受け入れ空間27での密封要素24の変形中の密封要素24の変形挙動及び/又は摩擦挙動に基づいて決定される。
【0274】
変形挙動及び/又は摩擦挙動の検査又は決定は、
図4A~
図4D及び
図5を参照して下記でより詳細に説明する。
【0275】
変形挙動を検査又は決定するために、好ましくは、プランジャ29、固定要素25、及び/又は接触要素26によって(増大する)力が密封要素24に対して作用され、それによって密封要素24が変形される。特に、密封要素24の複数の異なる変形又は変形値に関して、このような変形又は変形値を達成するのに必要とされる力が各場合に決定される。好ましくは、この力に対応する変位も決定される。
【0276】
摩擦挙動を検査又は決定するために、受け入れ空間27の境界、特に中心要素30と密封要素24とが、好ましくは、互いに対して移動され、各場合に変形中のいくつかの時点では密封要素24と境界の間の摩擦力が決定される。
【0277】
好ましくは、変形値は、少なくとも間接的に密封要素24の変形挙動及び/又は摩擦挙動の検査又は決定によって又はその検査又は決定中に決定される。しかし、変形値自体は、直接的に決定される又は既知である必要はない場合がある。例えば、この決定に必要とされる密封要素24と境界の間の力及び/又は摩擦力に対応する特定の変形値は、過去の試験から知ることが可能である。
【0278】
固有値は、好ましくは、変形挙動及び/又は摩擦挙動を検査するために測定される。特に、固有値によって変形値に関する結論を引き出すことができ、又は変形値を決定することができる。言い換えれば、好ましくは、固有値は、そこから変形値を決定、計算、及び/又は導出するために決定又は測定される変数又は値である。固有値は、好ましくは、変形値と相関される。従って、特定の変形値は、好ましくは、固有値の各値に対応する。
【0279】
好ましくは、固有値は、変形の目的で密封要素24に対して作用される力及び/又は圧力、及び/又は密封要素24を変形させるのに使用するプランジャ29の位置、特に軸線方向位置である。言い換えれば、好ましくは、密封要素24を変形させる力及び/又は圧力が測定され、及び/又は密封要素24を変形させるプランジャ29の位置が測定される。特に、この力は、プランジャ29の位置から間接的に知ることができる。その結果、異なる密封要素24に対して望ましい変形値、又はその結果として確実なシール及び/又は密封効果を達成することができる。
【0280】
各場合に、この力は、好ましくは、特定の面積、特に受け入れ空間27及び/又は底面27aの面積に関連付けられる。この点に関して、この力は、各場合に圧力に直接的に対応するか又は各場合に面積に対して正規化されるか又は関連付けられる。「力」という用語は、好ましくは、「圧力」という用語と交換可能でもある。
【0281】
好ましくは、変形挙動は、変形に向けて密封要素24に対して作用される力又は圧力を用いて決定される。これに代えて又はこれに加えて、変形挙動は、プランジャ29、及び/又は固定要素及び/又は接触要素25、26の位置、特に軸線方向位置を用いて決定される(間接的に)。プランジャ29、及び/又は固定要素及び/又は接触要素25、26の位置、特に受け入れ空間27の高さH。
【0282】
特に、受け入れ空間27の高さH又はそれに相関された変数、例えば、プランジャ29、及び/又は固定要素及び/又は接触要素25、26の移動経路又は軸線方向位置は、指定又は設定することができ、それに対応する力は、決定又は測定することができる。しかし、この原理とは逆に、力を指定又は設定し、各場合に設定又は指定される特定の力に対応するか又はこの力に相関された変数に対応する受け入れ空間27の高さHを決定又は測定することも可能である。
【0283】
プランジャ29の力、圧力、及び/又は位置は、好ましくは測定される。しかしながら、力、圧力、及び/又は位置は、プランジャ29を移動するのに使用される制御パラメータ、例えば、プランジャ29によって作用される力を制御又は調整する(電気)電圧などのような大きさからの明確な測定値を用いずに、既知である、事前指定される、又は計算可能又は決定可能とすることもできる。
【0284】
変形中の密封要素24の変形挙動を決定することに代えて又はこれに加えて、上述したように、密封要素24が変形されている間の摩擦挙動を決定することができる。受け入れ空間27での密封要素24の変形は、補助的な測定変数、例えば、密封要素24とそれと接触してそれに対して移動される受け入れ空間27の境界との間で発生する摩擦力を測定することによって測定することができる(間接的に)。摩擦力は、境界に対する密封要素24の接触圧力が増大する時に増大し、摩擦力の増大は、密封要素24内で発生する変形、及び/又は密封要素24と受け入れ空間27の境界との間の接触面のサイズに依存する。特に、接触圧力は、密封要素24の変形の増大と共に増大し、これは、密封要素24と受け入れ空間27の境界との間の摩擦力の変化、特に増大をもたらす。最初に、密封要素24の少なくとも主として弾性の変形が発生する。この弾性変形は、変形の増大時に密封要素24の圧縮に徐々に変わる。特に、摩擦力の増大及び/又は勾配は、密封要素24が弾性変形を受ける時よりも圧縮される時の方が大きい。従って、摩擦挙動を通して密封要素24の変形又は変形挙動に関する結論を引き出すこと、特に密封要素24の変形又は変形挙動を(間接的に)決定することができる。
【0285】
摩擦挙動を決定するために、好ましくは、密封要素24が受け入れ空間27の境界に対して移動される。この移動は、例えば、プランジャ29又は中心要素30を密封要素24に対して、特に軸線方向に又は軸線Aに沿って移動することによって行うことができる。この場合に、中心要素30は受け入れ空間27の境界を形成し、この境界が密封要素24に対して移動される。この場合に、プランジャ29又は中心要素30は、好ましくは、往復又は前後に移動される。特に、プランジャ29又は中心要素30を移動するのに必要とされる力が測定される。この力測定値は、好ましくは、プランジャ29又は中心要素30と密封要素24の間の摩擦力に対応するか又はそれと相関される。(特に間接的な)軸線方向測定値としての固有値は、好ましくは、力測定値及び/又は摩擦力を表している。これらから変形値及び従って特に閾値も、決定、計算、又は導出される。
【0286】
本方法では、好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26は、更に別のプランジャ(
図4A~
図4Dに示していない)を用いて受け入れ空間27の中に固定、移動、又は押圧される。
【0287】
しかし、原理的には、この摩擦力はまた、別の方法で測定され、例えば、プランジャ29又は中心要素30を密封要素24に対して及び/又は軸線Aの周りに回転させて、発生する捻転摩擦又は捻転摩擦力を測定することによって測定することができる。
【0288】
密封要素24の変形中に摩擦挙動を決定する利点は、分注デバイス1での密封要素24の長期挙動を短期試験、すなわち、摩擦力の測定によって予想することができる点である。
【0289】
密封要素24の変形中に摩擦挙動を決定する更に別の利点は、分注デバイス1を用いて発生されたエアロゾル14の特性に対する効果を有するパラメータ又は固有値、すなわち、摩擦力を用いて閾値及び/又は組立パラメータMが直接的に決定される点である。搬送要素9を移動してエアロゾル14を発生させる時に発生する密封要素24と搬送要素9の間の摩擦力が大きいほど、利用可能な全エネルギの一部が摩擦によって失われるので、流体からエアロゾル14を発生させるのに利用可能なエネルギは少ない。従って、過度の摩擦力は、生成されるエアロゾル14の小滴がより不均等な及び/又はより小さいサイズを有する及び/又はスプレーバーストの持続時間が影響を受ける、特に短縮されることを意味する。これらのことは、分注デバイス1を用いてエアロゾル14としてスプレーされる薬の効果及び正確な投薬に悪影響を及ぼす。
【0290】
特に、変形挙動又は摩擦挙動を検査又は決定するために及び/又は組立パラメータMを決定するために力/変位曲線が記録される。組立パラメータMは、非常に好ましくは、力/変位曲線のプロファイルを用いて決定される。
【0291】
図5Aに力/変位曲線を示している。この図では、x軸線上に変位がプロットされ、y軸線上に力Fがプロットされている。
【0292】
図5Aでは、変位は、受け入れ空間27の高さHで表されている。しかし、この変位は、密封要素24を変形させるのに使用するプランジャ29、及び/又は固定要素及び/又は接触要素25、26の移動距離又は位置に対応することも可能である。この変位は、測定されるか又はいずれかの他の方法で、例えば、プランジャ29、及び/又は固定要素及び/又は接触要素25、26の移動距離を制御又は調整するのに使用する電圧などのような制御パラメータから知ることができる。特に、変位又は高さHの特定の値は、受け入れ空間27の特定の容積に対応する。
【0293】
力Fは、例えば、変形の目的で密封要素24に対して作用される上述の力又はそれに対応する変数、例えば、作用圧力、及び/又は密封要素24と受け入れ空間27の境界又は中心要素30との間の相対移動中に発生する摩擦力である。
【0294】
好ましくは、密封要素24の特定の変形又は変形値は、この変形又はこの変形値を達成するのに必要とされる特定の力、及び/又はこの変形又は変形値に達する時の受け入れ空間27の特定の高さH又はそれに相関された変数に対応する。従って、特に、変形値は、力及び/又は高さHによって決定することができる。
【0295】
図5Aには、2つの異なる力F1、F2、並びに関連の変位及び/又は高さH1、H2を示している。好ましくは、変位又は高さHは、密封要素24を変形させるのに使用するプランジャ29の移動距離及び/又は位置と相関される。
【0296】
下記では
図5Aを「右から左に」説明し、すなわち、Hの大きい値で始める。力/変位曲線は、高さHに対する値Dで始まり、Dは、例えば
図5Bに示す、未変形の密封要素24の軸線方向高さ、特にリング形密封要素24の軸線方向高さ及び/又は断面高さ、特に好ましくはドーナツ形密封要素24の厚みである。この時点では、固定要素25及び/又は接触要素26は、例えば、
図4Bに示すように、依然として未変形の密封要素24に接触する。この時点では、依然として変形が発生しておらず、及び/又は密封要素24に対していずれの力も作用されていないので、力Fはゼロ値を有する。
【0297】
密封要素24の変形又は(弾性)変形では、最初に、好ましくは、少量の力しか必要とされない。
図5Aに示すように、変形が増大する時に、力は最初に若干増大する。これは、点H=Dから点H=H1への力Fのごく僅かな増大から見ることができる。Hのより低い値、及びそれに対応する密封要素24及び/又は受け入れ空間27の方向のプランジャ29の軸線方向移動経路では、受け入れ空間27の容積は低減され、それに従って密封要素24は、受け入れ空間27の中に更に深く又はより強固に押圧され、それによって変形されるので、この場合のHのより低い値は、密封要素24のより大きい変形に対応する。
【0298】
密封要素24の弾性に起因して、純粋に形状変化又は変形に必要とされる力は比較的小さい。
【0299】
高さHが減少する時に、受け入れ空間27の容積は減少し、従って、充填度、すなわち、受け入れ空間27に対する密封要素24の容積の比が減少する。
【0300】
力Fは、高さHが減少する及び/又は受け入れ空間27の容積が減少すると共に増大する。
【0301】
特に、高さHが減少し続けると、上述したように密封要素24の圧縮が始まる。圧縮が始まると、密封要素24を圧縮するために純粋な形状変化に対する力よりも大きい力を必要とするので、力/変位曲線の勾配は特に大きくなる。
【0302】
従って、特に、力/変位曲線及び/又はそのプロファイル、特にその勾配及び/又は曲率から変形、特に圧縮開始を読み取るか又は決定することができる。
【0303】
特に、力/変位曲線の勾配及び/又は曲率は、密封要素24の容積圧縮が始まる時に変化する。
図5Aに示す例では、この変化は、特に、ほぼ図面に示す位置H1とH2の間及び/又は値F1とF2の間で発生する。高さHが更に低減された場合に、容積圧縮は、大きく又は圧倒的に発生する。この容積圧縮には強い力が必要とされ、従って、
図5Aの左手領域内で強い力Fに達し、力/変位曲線は、強い勾配を有するか又は急勾配で増大する(Hのより小さい値に向けて)。
【0304】
容積圧縮の開始は、好ましくは、力/変位曲線の最も強い曲率に対応する。容積圧縮が始まると、力/変位曲線は、変曲点などを有することができる。従って、特に、容積圧縮の開始は、力/変位曲線の導出により、例えば、容積圧縮が始まる時にプロファイルの不連続点又は他の鋭い変化を有する力/変位曲線の導出によって確実かつ正確に決定することができる。
【0305】
組立パラメータMを決定するために、好ましくは、力/変位曲線を用いて密封要素24の容積圧縮が始まる時点が決定又は確立され、及び/又は密封要素24の容積圧縮が始まる時の及び/又は容積圧縮の開始に対応する特定の固有値Kが決定される。
【0306】
言い換えれば、特定の固有値Kは、特に、密封要素24の容積圧縮が始まる時の固有値の値である。
【0307】
以上の説明により、容積圧縮は、特に、力/変位曲線が最も強い曲率及び/又は変曲点を有する点で始まる。従って、好ましくは、特定の固有値Kは、力/変位曲線が(少なくとも実質的に)最も強い曲率及び/又は変曲点を有する時の力に対応し、更に
図5Aの例では組立で望ましいか又は好ましい高さHMと相関し、更にこの高さHMは、望ましい組立パラメータMと相関する。
【0308】
異なる密封要素24又はそのバッチに対して異なる力/変位曲線プロファイルがもたらされ、従って、異なる特定の固有値K、高さHM、及び/又は組立パラメータMがもたらされる場合がある。
【0309】
好ましくは、組立パラメータMは、密封要素24の容積圧縮の開始に対応するように選択又は決定される。従って、以上の説明により、好ましくは、組立パラメータMは、完全に組み立てられた分注デバイス1での受け入れ空間27の高さが、力/変位曲線が最も強い曲率及び/又は変曲点を有する時に高さHMに少なくとも実質的に対応するように選択される。特に、この組立パラメータMは、(変形された)密封要素24の容積が受け入れ空間27の容積に対応する時、又は少なくとも実質的に100%の充填度に達した時の受け入れ空間27の高さHMに対応する。
【0310】
しかし、密封要素24の異なる変形又は変形値、例えば、容積圧縮が依然として開始していないか、又は密封要素24が依然として圧縮されておらず、及び/又は密封要素24が弾性変形しか受けていないか又は少なくとも主として弾性変形しか受けていない時の変形値に対応するような組立パラメータMを選択又は決定することができる。好ましくは、組立パラメータMに対応する変形値と容積圧縮の開始に対応する変形値との間で定められた差を選択することができる。同様に、容積圧縮が既に開始されている及び/又は密封要素24が既に圧縮されている時の密封要素24の変形又は変形値に対応するような組立パラメータMを選択又は決定することができる。
【0311】
従って、組立パラメータMは、他の充填度に対応すること、又は100%以外の充填度、例えば、95%よりも高い及び/又は105%よりも低い(いずれかの)充填度に対応することも可能である。密封要素24の材料に依存してこれらの充填度は、100%の充填度よりも有利であるか又は良好な密封及び/又は使用寿命を達成する場合がある。
【0312】
好ましくは、各バッチに対してランダムサンプルを使用して、変形値が望ましい閾値に達するか又は超える条件、及び/又はその時の特定の固有値、特に力/変位曲線での力が決定される。次に、バッチの密封要素24が設置される時に変形値が閾値に達する又はそれを超えるような組立パラメータMが選択される。従って、組立パラメータMは、特に、対応する高さHM及び/又は特定の固有値Kに対応する。好ましくは、組立パラメータMの選択が、固定要素25が案内要素23に締結される位置に又はその位置を通って受け入れ空間27の同じ容積が設けられて、及び/又はプランジャ29の変形によって組立パラメータMが決定される時の閾値に変形値が対応する場合のように、接触要素26がある位置に固定されて、及び/又は変形値が閾値であると仮定して、行われる。言い換えれば、好ましくは、組立パラメータMは、完全に組み立てられた分注デバイス1の受け入れ空間27の高さ(従って、特に容積)が、力/変位曲線では特定の固有値Kに対応する移動経路又は高さHMと同じ値を有するように選択される。
【0313】
組立パラメータMの決定では及び/又はその決定中に、選択又は決定組立パラメータMに対応する変形値は、好ましくは超えられる。例えば、
図5Aに示す値F2は、組立パラメータMが決定される時に密封要素24に対して作用される最大の力とすることができ、
図5Aに示す組立パラメータMは、選択又は決定組立パラメータMとすることができる。従って、好ましくは、組立パラメータMの決定は、力/変位曲線に沿って組立パラメータMが対応する高さHよりも大きくなるまで進行する。特に、これは、最も高い曲率又は勾配は、その最も強い曲率又は勾配の点を超えてしまってからでのみ、確実に決定することができることに起因する。
【0314】
これまでに説明したバッチ方法では、上述のように、最初に密封要素24のバッチに対する組立パラメータMが個別の工程で特にランダムサンプルを使用して決定され、その後に、このバッチの密封要素24の組立中に使用される。
【0315】
しかし、組立パラメータMを決定する段階と分注デバイス1の実際の組立との分離は必須ではない。
【0316】
独立に実行することもできる下記で説明する更に別の態様では、本発明は、更に、最初に密封要素24に対する組立パラメータMを決定し、この決定の直後に密封要素24を受け入れ空間27内に固定し、及び/又はこの決定の直後に分注デバイス1の組立を行う分注デバイス1を組み立てる方法に関する。この場合に、上述したバッチ方法とは対照的に、組立パラメータMを決定された分注デバイス1又は受け入れ空間27内に密封要素24も固定される。特に、組立パラメータMの決定と分注デバイス1の組立は、次々に即座に、及び/又は同じシステム内で行われる。本方法を特に個別方法と呼ぶ。
【0317】
個別方法は、特に組立時に有利であり、特に、組立パラメータMの事前の決定なしで分注デバイス1の自動組立又は連続組立が実施されることになる。個別方法は、特に、バッチの密封要素24又はそれらの重要な寸法が互いに有意に逸脱する(外れる)場合とすることができる。この場合に、バッチの全ての密封要素24に対して共通の組立パラメータMを決定することができず、及び/又はバッチの全ての密封要素24に対して単一組立パラメータMを決定することによって確実なシール及び/又は密封効果を保証することができない場合がある。
【0318】
それにも関わらず、原理的には、下記でより詳細に説明する個別方法は、密封要素24がバッチで存在し、バッチの密封要素24が互いに僅かに外れるだけであり、従って、原理的にバッチ方法を使用することができると考えられる場合にも使用することもできる。
【0319】
個別方法では、好ましくは、組立パラメータMは、バッチ方法に関して
図4A~
図4E及び
図5に関して上述したものと少なくとも実質的に類似に、特に、受け入れ空間27での変形中の密封要素24の変形挙動及び/又は摩擦挙動の決定、及び/又は力/変位曲線のプロファイルに基づいて決定される。
【0320】
従って、組立パラメータMの決定に関する以上の説明は、好ましくは、個別方法にも適用される。
【0321】
バッチ方法で使用される
図4A~
図4Dに示すプランジャ29とは対照的に、個別方法では、プランジャ29は、好ましくは、中心要素30を持たず、及び/又は接触要素26及び/又は密封要素24を貫通しない。
【0322】
しかし、好ましくは、中心要素30の代わりに、搬送要素9は、組立パラメータMの決定中に接触要素26及び/又は密封要素24を通して既に案内される及び/又はチャネル23bの中に挿入されている。この意味で、中心要素30は、好ましくは、搬送要素9と交換される。従って、好ましくは、中心要素30に関する以上の説明は、中心要素30の代わりに搬送要素9を使用する方法に同じく適用される。
【0323】
バッチ方法に関して上述したように、個別方法でも組立パラメータMを決定するために密封要素24が変形され、組立パラメータMが決定される時に密封要素24の望ましい変形又は密封要素24の望ましい変形値よりも大きい。
【0324】
従って、組立パラメータMの決定が行われた又は完了した後に、好ましくは、プランジャ、従って、固定要素25及び/又は接触要素26が若干引き戻され、すなわち、固定要素25及び/又は接触要素26の、密封要素24から離れる方向に引き戻される。これにより、特に、固定要素25及び/又は接触要素26は、この組立パラメータMが実施されるように、及び/又は固定要素25及び/又は接触要素26の位置がこの特定の組立パラメータMに対応するように配置される。その結果、密封要素24は望ましい変形値を取る及び/又は望ましい変形値が実施される。
【0325】
次に、好ましくは、固定要素25及び/又は接触要素26又は密封要素24は、特に、固定要素25を案内要素23又は案内部分23a、及び/又は接触要素26に固定又は締結することによってこの位置に固定される。好ましくは、固定要素25は、例えば、圧着によって上述したように締結される。
【0326】
特に、個別方法の場合に、密封要素24又は分注デバイス1の固定又は組立は、組立パラメータMの決定の直後に及び/又は組立パラメータMの決定と同じシステム内で行われる。
【0327】
バッチ方法とは対照的に、個別方法では、固定要素25は、好ましくは、組立パラメータMの決定中に組み込まれる。バッチ方法では、図示のように、個別の部品としての固定要素25と接触要素26の実施形態では、上述のように、好ましくは、接触要素26のみが受け入れ空間27の中に挿入され、及び/又は密封要素24は、接触要素26だけによって変形される。それに対して個別方法の場合に、好ましくは、固定要素25は、組立パラメータM及び/又は密封要素24の変形が接触要素26を用いて決定される時に組み込まれ、従って、組立パラメータMが決定された及び/又は接触要素26及び/又は固定要素25が正しく配置された直後に、固定要素25は、この位置に固定するか又は案内要素23に締結することができる。
【0328】
本発明の意味の範囲内の「薬物」は、ヒト又は動物の身体内又は身体上に使用すること及びヒト又は動物の疾患又は病態を治癒、軽減、又は防止するのに適する特性を有する薬剤であるように意図した物質又はその製剤、又は薬理効果、免疫効果、又は代謝効果によって生理機能を回復させること、矯正すること、又はそれに影響を及ぼすことのいずれかを目的として又は医学的診断を行うことを目的としてヒト又は動物の身体に適用又は投与すること又はヒト又は動物に投与することができる物質又はその製剤である。
【0329】
本発明の意味の範囲内の「組立パラメータ」は、好ましくは、事前指定され、及び/又は分注デバイスの組立中に観察しなければならない、又は完全に組み立てられた分注デバイスに実行することができる又は実施される調節可能値及び/又は幾何学値である。好ましくは、組立パラメータは、組立工程の構成では可変方式で事前指定することができる。好ましくは、組立パラメータは、幾何学パラメータ、特に、好ましくは、相対的な構成要素の位置又は直線寸法、例えば、分注デバイスの受け入れ空間の高さである。特に、組立パラメータは、密封要素が固定要素を用いて案内要素内及び/又はその受け入れ空間に固定される場合の案内要素に対する固定要素の位置である。言い換えれば、この位置は、好ましくは、組立パラメータ又はその値によって定められる。同様に、例えば、分注デバイスを組み立てるために及び/又は固定要素を案内要素に締結するために装置の一部が移動するなどを行う変位経路によって組立パラメータを定義又は形成することにより、組立パラメータが固定要素及び/又は接触要素の位置に間接的にのみ対応することも可能である。
【0330】
好ましくは、本発明の意味の範囲内の「変形値」は、密封要素がどれほど激しい変形、特に圧縮を受けるかの尺度である。特に、変形値は、密封要素の変形に対応する値であり、又は密封要素の変形を示している。変形値は、例えば、1又は2以上の測定値又は固有値から決定、計算、及び/又は導出することができる。好ましくは、変形値は、密封要素が(弾性の)変形及び/又は圧縮を受けるか否か及び/又はどの程度受けるかを示している。特に、変形値は、直接的に測定又は決定することはできないが、好ましくは、測定固有値から決定、計算、又は導出される密封要素の(一時的な)特性又は一時的な状態である。
【0331】
好ましくは、本発明の意味の範囲内の「閾値」は、組立パラメータを選択又は決定するのに使用される値又は限度値である。閾値は、特に変形値の特定値又は限度値である。好ましくは、組立パラメータは、密封要素が固定される時に変形値が閾値に達する又はそれを超えるように選択又は決定される。好ましくは、閾値は、事前指定されるか又はそうすることができる。好ましくは、閾値は、密封要素の容積圧縮の開始に対応する及び/又は密封要素の容積圧縮が始まる時の変形値の値である。しかし、密封要素の材料に依存して容積圧縮が始まる時の値を特に超えるか又は下回る値を閾値として選択することが望ましいか又は有利である場合もある。
【0332】
好ましくは、本発明の意味の範囲内の「固有値」は、この値から変形値を決定、計算、及び/又は導出するために決定又は測定される値である。固有値は、例えば、特に測定される力(特に圧力又は摩擦力)、圧力、又は位置とすることができる。従って、特に、固有値は、変形値に関する結論を引き出すことを可能にする測定値である。
【0333】
好ましくは、本発明の意味の範囲内の「圧縮永久歪み」は、密封要素を作る材料の材料特性である。特に、圧縮永久歪みは、この材料、特にエラストマーが、長期非一時的及び/又は定常的な圧縮変形時及び好ましくはその後の弛緩時にどのような挙動を示すかの尺度である。好ましくは、圧縮永久歪みは、DIN ISO 815-1:2016-09に従って決定される。圧縮永久歪みを決定するために、好ましくは、円筒形の試験片が特に25%だけ圧縮され、特定の温度で特定の期間にわたって格納される。負荷除去の後、好ましくは、負荷除去の30分後に、試験片の恒久変形が、圧縮前の試験片の高さと負荷除去後の試験片の高さの間の比較から決定される。特に、0%の圧縮永久歪みは、試験片が、その元の高さを完全に取り戻したことを意味する。100%の圧縮永久歪みは、この試験体が、試験中に完全に変形して回復を示さなかったことを意味する。特に、圧縮永久歪みは、L0が試験前の試験片の高さであり、L1が試験中の試験片の高さであり、L2が試験後の試験片の高さである時に(L0-L2)/(L0-L1)という比である。
【0334】
本発明の意味の範囲内の材料又は密封要素の「クリープ挙動」又は「クリープ」は、特に、定負荷の下での材料又は密封要素の挙動である。特に、クリープ挙動又はクリープは、定負荷の下での時間依存及び/又は温度依存の塑性変形である。クリープ挙動又はクリープは、特にクリープ弾性率によって決定又は特徴付けられる。
【0335】
本発明の意味の範囲内の受け入れ空間内への密封要素の「固定」は、特に、受け入れ空間内の密封要素が更に別の変形を受けないか又は受けることができないような受け入れ空間内への密封要素の固定又は固着である。
【0336】
上述した態様及び特徴は、互いに独立に実施することができるが、様々な組合せでも実施することができる。特に、バッチ方法と個別方法は、互いに組み合わせることができる。言い換えれば、バッチ方法に関して説明した段階は、個別方法の段階を構成することもでき、逆も同様である。
【0337】
参照符号のリスト
1 分注デバイス
2 薬物
3 容器
4 流体空間
5 圧力発生器
6 ホルダ
7 駆動バネ
8 ロッキング要素
8a トリガボタン
9 搬送要素
10 逆止弁
11 圧力チャンバ
12 放出ノズル
13 マウスピース
14 エアロゾル
15 給気開口部
16 (上側)ハウジング部品
17 内側部品
17a 上側部品(内側部品)
17b 下側部品(内側部品)
18 (下側)ハウジング部品
19 保持要素
20 バネ
21 容器底面
22 穿通要素
23 案内要素
23a 締結部分
23b チャネル
23c 凹部
24 密封要素
24a 開口部
25 固定要素
25a 対向面
26 接触要素
26a 接触部分
26b ストップ
26c 挿入部分
27 受け入れ空間
27a 底面
28 供給チャネル
29 プランジャ
30 中心要素
31 位置決めデバイス
31a 螺旋構造
31b ロッキング要素
A 軸線
B 幅
D 厚み
F 力
K 特定の固有値
H 高さ
HM 組立に適する高さ
M 組立パラメータ