IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 後藤 将彦の特許一覧

特許7689352内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具および傾斜角度調整治具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-29
(45)【発行日】2025-06-06
(54)【発明の名称】内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具および傾斜角度調整治具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/18 20060101AFI20250530BHJP
   F16B 7/14 20060101ALI20250530BHJP
【FI】
F16B7/18 D
F16B7/18 F
F16B7/14 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024533933
(86)(22)【出願日】2024-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2024002537
【審査請求日】2024-06-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】705000640
【氏名又は名称】後藤 将彦
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 将彦
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7369944(JP,B1)
【文献】実開昭58-089605(JP,U)
【文献】実開昭54-069633(JP,U)
【文献】実開昭51-020444(JP,U)
【文献】特開2003-135182(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197810(JP,U)
【文献】特開2010-285860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3243748(JP,U)
【文献】特開2017-124727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/18
F16B 7/14
E01F 7/00
E01F 7/02
E04H 17/00- 17/26
H02S 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ネジ部と、該雌ネジ部から所定範囲内に少なくとも1つの貫通穴と を外周面に備える管状部と、該管状部の延び方向に対して所定角度で延び、下端が接地される第1支持バーと、該第1支持バーの上端と該 管状部とを連結する枢軸とを有し、該第1支持バーの上端が前記管状部に対して前記枢軸を中心に回動可能に連結され、さらに、前記管状部に摺動自在に内嵌し、管状部の延び方向に沿って延び、下端が接地される第2支持バーと、前記管状部の外周面から該貫通穴を貫通して、前記第2支持バーの外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、前記押付部を前記第2支持バーの外周面に向かって押付け固定可能な 締付ネジ部とを有し、該押付け部の先端面は、前記第2支持バーの外周面に対して面接触可能なように、前記第2支持バーの外周面に沿う形状とされ、該締付ネジ部は、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有し、前記押付部は、前記雄ネジ部が貫通可能なバカ穴を有し、前記第1支持バーを両支持バーの構成する平面内で両支持バーの下端間の距離が変わるように移動することにより、前記第1支持バーの上端が前記管状部に対して前記枢軸を中心に回動しつつ、前記管状部の前記第2支持バーに対する嵌合位置を調整したうえで、前記締付ネジ部により、前記雄ネジ部を前記バカ穴を介して雌ネジ部に螺合させつつ、前記押付部をして前記貫通穴を貫通させて、前記先端面を前記第2支持バーの外周面に面接触の仕方で押付固定することにより、前記第2支持バーの接地面に対する傾斜角度を調整可能とする、ことを特徴とする傾斜角度調整治具。
【請求項2】
前記管状部は、それぞれ、その外表面から前記管状部の延び方向に交差する向きに張り出す、互いに対向する一対の張り出しフランジをさらに有し、前記一対の張り出しフランジはそれぞれ、前記枢軸の対応する端部を受入れ可能な第1貫通穴を有し、前記第1支持バーの前 記上端には、前記第1支持バーの延び方向に交差する向きに、前記枢 軸が貫通可能な第2貫通穴が設けられ、前記第1貫通穴および前記第 2貫通穴が整列するように、前記一対の張り出しフランジ間に前記第1支持バーの前記上端が位置決めされ、前記枢軸は、前記第1貫通穴それぞれおよび前記第2貫通穴を貫通して設けられる、請求項1に記載の傾斜角度調整治具。
【請求項3】
請求項1に記載の前記傾斜角度調整治具が、前記両支持バーの構成する前記平面が平行となるように一対設けられ、矩形板状重量物の対向縁それぞれが、前記傾斜角度調整治具のそれぞれの前記第2支持バーにより支持されつつ、矩形板状重量物が前記傾斜角度調整治具のそれぞれの前記第1支持バーの下端および前記第2支持バーの下端により4点支持され、前記傾斜角度調整治具のそれぞれの前記管状部の対応する前記第2支持バーに対する嵌合位置を調整して、前記傾斜角度調整治具のそれぞれの対応する前記第2支持バーの傾斜角度を調整することにより、矩形板状重量物の矩形面の傾斜角度が調整される、ことを特徴とする 矩形板状重量物の支持傾斜角度調整装置。
【請求項4】
互いに嵌合する、中実状、または中空状の内管と中空状の外管とにおいて、外管の嵌合部に相当する外表面に一対の貫通スリットを機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工する段階と、内管に向かう荷重を受ける荷重受け面と、それぞれ、荷重受け面の反対側の面から荷重受け面の反対側に向かって延びる一対の押付体とを有する押付けプレートであって、一対の押付体それぞれは、先端部に内管の外周面に当接可能な押付け面を有する押付けプレートを準備する段階において、前記一対の押付体の先端部間の間隔が変わるように前記一対の押付体を変形させることにより、前記一対の押付体それぞれに対して対応する貫通スリットの内側面または外側面が案内面を形成しつつ、前記一対の押付体それぞれが圧入可能なように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、一対押付体それぞれの先端部における曲げ剛性を設定し、所定嵌合位置で、手力により前記押付面を前記内管の外周面に向けて 前記内管の外周面に面接触の仕方で押付固定するとともに、前記押付面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管を一体固定保持する内外管の一体固定保持治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成する段階とを有する、ことを特徴とする内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項5】
互いに嵌合する、中実状、または中空状の内管と中空状の外管とにおいて、外管の嵌合部に相当する外表面に一対の貫通スリットを機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工する段階と、内管に向かう荷重を受ける荷重受け面と、それぞれ、荷重受け面の反対側の面から荷重受け面の反対側に向かって延びる一対の押付体とを 有する押付けプレートであって、一対の押付体それぞれは、先端部に内管の外周面に当接可能な押付け面を有する押付けプレートを準備する段階において、前記一対の押付体それぞれに対して対応する貫通スリットの内側面または外側面が案内面を形成することにより、前記一対の押付体それぞれが圧入可能なように、一対の押付体それぞれの先端部への延び方向の荷重受け面に対する第1角度が、対応する貫通スリットの延び方向の内管の外周面に対する第2角度と相違するように 設定し、手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、一対押付体それぞれの先端部における曲げ剛性を設定し、所定嵌合位置で、手力により前記押付面を前記内管の外周面に向けて 前記内管の外周面に面接触の仕方で押付固定するとともに、前記押付面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外 管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管を一体固定保持する内外管の一体固定保持治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成する段階とを有する、ことを特徴とする内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項6】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハ の字状である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項7】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面が湾 曲ハの字断面である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項8】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコ の字状である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項9】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面が湾曲ハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面 がコの字状である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法 。
【請求項10】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項11】
前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面が、コの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面が コの字状である、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項12】
前記一対の押付体は、互いに交差する向きに構成され、いずれか一方または両方の押付体について、手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、押付体の先端部における曲げ剛性を設定する、請求項5に記載の内外管の一体構造物の製造方法。
【請求項13】
外管が内管に対して管の長手方向に相対移動可能に外嵌する場合において、内管に向かう荷重を受ける荷重受け面と、それぞれ、荷重受け面の反対側の面から荷重受け面の反対側に向かって延びる一対の押付体とを有する押付けプレートとを有し、一対の押付体それぞれは、先 端部に内管の外周面に当接可能な押付け面を有し、外管は、それぞれ、一対の押付体の一つが、貫通可能な、厚み方向に 貫通する貫通スリットを一対有し、一対の押付体は、それぞれの押付面の少なくとも一部が、対応する貫通スリットの外管の外周面に形成される開口内に位置するように、互いに間隔を隔て、前記一対の押付体それぞれに対して対応する貫通スリットの内周面が案内面を形成することにより、前記一対の押付体それぞれが圧入可能なように、一対の押付体それぞれの先端部への延び方向の荷重受け面に対する第1角度が、対応する貫通スリットの延び方向の内管の外周面に対する第2角度と相違するように設定され、手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、一対押付体それぞれの先端部における曲げ剛性が設定され、それにより、荷重負荷中、押付け面が内管の外周面に当接することにより、外管が内管に対して管の長手方向に相対移動不能とされ、荷重除荷の際、外管が内管に対して管の長手方向に相対移動可能でありながら、一対の押付け体は自身の原形への弾性復元力により一対の貫通スリット内に圧入保持される、ことを特徴とする、内外管の一体固定保持治具。
【請求項14】
互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、内外管を固定保持する固定保持治具であって、該外管の外表面には、互いに間隔を隔てた一対の貫通スリットとが設けられ、前記外管の外周面から該貫通スリットを貫通して、前記内管の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、を有し、該押付部は、前記内管の外周面に対する2か所の面接触により押付可能な、互いに間隔を隔てた一対の押付体と、該一対の押付体を前記内管の外周面に向かって押し付ける荷重受け面とを有し、前記一対の押付体はそれぞれ、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、前記一対の押付体のうち、前記外管の前記外管と前記内管との嵌合部側の端部に近い側の押付体において、該押付体を構成する対向する一対の側面のうち外管の端部に近い側の側面から押付体の厚み方向に差し込み用穴が設けられ、前記外管の嵌合部側の端面には、該端面に円形開口を有し前記外管の端部に近い側の前記側面まで貫通して延びる円形断面の細長穴が設けられ、前記円形開口から前記細長穴に挿入可能な差し込みロッドをさらに有し、前記一対の押付体を前記一対の貫通スリット内に挿入することにより、前記細長穴が前記差し込み用穴に連通し、前記差し込みロッドの先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより、前記一対の押付体は、前記一対の貫通スリット内に保持される、ことを特徴とする 内外管の一体固定保持治具。
【請求項15】
前記細長穴は、雌ネジ部を有し、前記差し込みロッドは、前記細長穴の前記雌ネジ部に螺合可能なイモネジであり、前記イモネジが前記細長穴に螺合しながら、先端部が前記差し込み 用穴に差し込まれることにより、前記一対の押付体は、前記一対の貫通スリット内に着脱自在に保持される、請求項14に記載の内外管の一体固定保持治具。
【請求項16】
前記細長穴は、前記イモネジの前記差し込み用穴への差し込みに対して、前記押付体が所定範囲で移動可能なように前記押付体の移動方向に縦長向きの楕円状断面を有する、請求項15に記載の内外管の一体固定保持治具。
【請求項17】
前記雌ネジ部は、前記細長穴において、前記外管の前記端部に近い側 の前記側面近傍から前記側面までに亘って設けられる、請求項15または請求項16に記載の内外管の一体固定保持治具。
【請求項18】
互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、内外管を固定保持する固定保持治具であって、該外管の外表面には、互いに間隔を隔てた一対の貫通スリットとが設けられ、前記外管の外周面から該貫通スリットを貫通して、前記内管の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、を有し、該押付部は、前記内管の外周面に対する2か所の面接触により押付可能な、互いに間隔を隔てた一対の押付体と、該一対の押付体を前記内管の外周面に向かって押し付ける荷重受け面とを有し、前記一対の押付体はそれぞれ、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、さらに、前記荷重受け面に当接しながら、前記荷重受け面に平行な軸線を中心に回転する環状周面を有する押付けレバーを有し、該環状周面は、軸線からの半径が第1半径から拡径して第2半径まで変化する湾曲状で、押付けレバーの回転により、前記一対の押付体が 対応する前記貫通スリット内でスリットの厚み方向に移動可能であり、前記外管の外周面から所定高さに設けられた軸線を中心に該押付けレバーを回転させることにより、前記第1半径と前記第2半径との中間半径に相当する回転位置で、前記押付体が前記内管の外周面に向かって押付開始するとともに、前記第2半径に相当する回転位置で、前記押付体が前記内管の外周面に向かって押付終了し、前記押付端面を前 記内管の外周面に面接触させるとともに、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して押付固定され、
前記一対の貫通スリットは、前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部に設けられ、前記内管は、該管状ベース部を介して 前記外管に嵌合し、
前記外管または前記管状ベース部の外周面から直立するピンと、該ピンに固定され、前記外周面に平行に延びる枢軸とをさらに有し、前記押付けレバーは、該枢軸に対して回動可能に枢支される回動部と、該回動部の外縁から延びる把持部とを有し、該回動部が、荷重受け面に当接する前記環状周面を備え、
前記押付レバーが前記中間半径に相当する位置に回転する際、前記把持部の先端部と前記枢軸とを結ぶ方向が略直立位置となり、前記押付レバーが前記第2半径に相当する位置に回転する際、前記把持部の先端部と前記枢軸とを結ぶ方向が押し下げ位置となるように、前記回動部が前記枢軸に枢支され、
前記回動部は、前記一対の押付体による前記内管の外周面への所望押付力に応じて、前記枢軸に対する所定中心角度範囲に亘って、前記第2半径となる前記環状周面を有し、
前記ピンは、前記外管または前記管状ベース部の前記外周面にねじ込み固定され、ねじ込み量の調整により、前記枢軸の高さが調整可能である、ことを特徴とする内外管の一体固定保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具および傾斜角度調整治具に関し、より詳細には、手力のみにより強固に支持可能な固定支持治具を備えた内外管の一体構造物の製造方法、およびシンプルな構造で過度な締付力を要することなく簡便な操作により、内管と外管との嵌合位置を調整することにより、重量物の所定傾斜角度向きを調整可能な傾斜角度調整治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに嵌合する内外管の嵌合長さを調整することにより、内外管の全体長さを調整可能な内外管部材が、日用品を所望の高さで支持するスタンド、物干竿、掃除機の吸引管、自転車のサドルの高さ調整等多用途に用いられている。
このような長さを調整可能な内外管部材は、通常、手作業により、内管の外管に対する嵌合長さを調整することにより、スタンドの長さを調整したり、洗濯物の数に応じて竿の長さを調整したり、サドルの高さを調整したりしている。
より具体的には、内管の一端部の外周面が、外管の一端開口部から内周面に対して嵌
合され、嵌合長さを適宜調整したうえで、外管の外周面に設けられた円形貫通穴の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を有する締結ネジを回転することにより、雄ネジ部の先端部が内管の一端部の外周面に当たり、締付固定され、嵌合長さが固定されるようにしている。
場合により、このような締付固定により、内外管を鉛直方向に配置し、内管または外管により、重量物を支持し、重量物を所定高さに保持して、内外管をスタンドとして活用することが可能である。
【0003】
しかしながら、このような従来の内外管部材の長さ調整治具には、以下のような技術的問題点が存する。
第1に、内外管部材の長さの調整は可能であるとしても、調整した内外管部材の長さ保持
が、不十分である点である。
より詳細には、締結ねじは、雄ネジの長手方向を中心として回転させることにより、外管の雌ネジ部にねじ込む以上、締結ネジ部の先端部を内管の外周面の湾曲形状に沿った形状にするとしても、内管の外周面に当たる際の先端部の回転位置次第で、締結ネジ部の先端部と内管の外周面とが、たまたま面接触になることがあるに過ぎない。
内外管が円形断面のように、湾曲状外周面の場合には、締結ねじの先端部と内管の外周面との間は、点または線接触となり、内管の外管に対する固定保持が不十分となり、内外管部材の長さ保持が、困難となる。
【0004】
第2に、重量物を支持するスタンドとして活用する場合には、締付固定力が不十分となる
傾向があり、不意に嵌合固定が外れ、重量物が落下することがある。
より詳細には、重量物の重さは、嵌合位置における締結ネジ部の雄ネジ部の先端と内管の外周面との間の摩擦力により支持されるところ、摩擦力の一部を構成する雄ネジ部の先端の内管の外周面に対する抗力が、ネジの緩み等により時間経過とともに低下することがある。
だからといって、固定保持の不十分さをカバーするために、たとえば、スタンドのように、重量物の支持の場合、複数の締結ネジをそれぞれ締結するのでは、時間、手間を要し、不便で実用的でないし、締付固定力を確保しようとすると、雄ネジ部の先端部が内管の一端部の外周面に跡または凹みを残すことがあり、機能上、美観上の観点から劣化を引き起こすことがある。
特に、樹脂製の内外管の場合、締付固定力が強過ぎるために、内管の外周面にひびが入ったり、割れたりすることがある。
【0005】
第3に、たとえば、上下方向に向けられた内外管自体が比較的長い状態で、重量物を支持
する場合のように、その分、管の厚み、特に外管の厚みが厚い場合には、雄ネジ部は外管の厚みを貫通して、内管の外周面に到達する必要があり、雄ネジ部の長さが自ずと必要となり、その分、ねじ込みの時間、手間を要し、不便で実用的でない。
以上、締結ネジを外管の外表面側から外管にねじ込んで、先端部で内管の外周面に固定するのでは、内外管の嵌合長さが調整可能であるとしても、内外管の嵌合長さの調整自体の実用性も含め、ほんの限られた用途にしか有用とはいえない。
【0006】
この点、内外管部材の長さを調整するのに、外管に管の長手方向に対向する一対の張り出しフランジを設け、各張り出しフランジに設けた雌ネジ部に対して、ネジ部を締め付けることにより、一対の張り出しフランジ間のクリアランスを狭め、以て、外管の内周面を内管の外周面に対して押付けることにより行う内外管部材の長さ調整治具が知られている。このような内外管部材の長さ調整治具によれば、ネジ部の先端が内管の外周面に当たることなく、外管の内周面を内管の外周面に対して押付ける方式であるが、ネジ部により十分な締付力を得るのが困難である。
より詳細には、ネジ部は、ヘッド部とヘッド部から延びる雄ネジ部を有するところ、ヘッド部を指で回すことにより、締付力を付与するが、ヘッド部は、外管の外表面近傍に設けるので、拡径するのが困難で、手でグリップして回すというより、指で摘まんで回す態様となり、力を入れにくい。ネジ部に長いシャンク部を設けることにより、ヘッド部は、外管の外表面から離して拡径するのは可能であるが、外観上見栄えが悪く、デザイン的に好ましくない。
【0007】
さらに、内外管部材の長さを調整するのに、外管の雌ネジ部に雄ネジ部を有するネジをねじ込む点では、上述と同様であるが、外管に外方に突出する突出部を設け、突出部により形成される内部スペース内にスペーサを配置し、スペーサを介してネジの締付力により、内管の外周面に対して固定する内外管部材の長さ調整治具が知られている。
このような内外管部材の長さ調整治具によれば、ネジ部の先端が内管の外周面に直接当たることなく、外管の内周面を内管の外周面に対して間接的に押付ける方式であるが、上述と同様、外管に外方に突出する突出部を設ける点において、旋盤加工では加工ができないので、ロストワックスなどの加工方法が必要であるとともに、外観上見栄えが悪く、デザイン的に好ましくない。
【0008】
以上の点は、内外管嵌合部材の長さ調整治具、内外管嵌合部材による重量物支持治具だけでなく、内外管嵌合部材を利用して、内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じて相対傾斜角度を調整する傾斜角度調整治具についても、同様に当ては技術的問題点である。
ここに、内管と外管の嵌合部の位置を調整して、嵌合部を固定保持する治具は、内外管の一体構造物の一要素であるとともに、内外管全体から見れば、内外管の全体長さの長さ調整治具でもあり、内外管が一体で管の長手方向に固定保持される点では、内外管の一体固定保持治具でもあり、内外管が上下方向に向き、内外管のいずれかで重量物を支持する場合には、内外管による固定支持治具でもあり、用途に応じて内外管の一体構造物が、音楽関連、医療関連等一般的スタンド、自転車、台車等移動体の構成フレーム、仮設テント、仮設建設足場等向けの骨組フレーム、杖、刺股、地震対策用つっかえ棒等として活用可能である点は明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、手力のみにより強固に支持可能な固定支持治具を備えた内外管の一体構造物の製造方法内、外管の一体固定保持治具を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、シンプルな構造で簡便な操作により、内管と外管との全体長さを調整可能である、内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、内管と外管との嵌合構造を通じて、重量物を所定高さで支持する場合において、シンプルな構造で簡便な操作により、内管と外管との全体長さを調整することにより、重量物の高さ位置を調整可能な内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、内管と外管との嵌合構造を通じて、内外管いずれかにより重量物を所定傾斜角度向きに支持する場合において、シンプルな構造で簡便な操作により、内管と外管との嵌合位置を調整することにより、重量物の所定傾斜角度向きを調整可能な内外管の一体構造物の製造方法、内外管の一体固定保持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の一体構造物の製造方法は、
互いに嵌合する、中実状、または中空状の内管と中空状の外管とにおいて、外管の嵌合部に相当する外表面に一対の貫通スリットおよび雌ネジ部を機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工する段階と、
前記外表面の外方から前記一対の貫通スリットに貫通して、2か所の面接触により前記内管の外周面に対して密着式に押付け可能な、コの字側断面の押付部であって、バカ穴を有する押付部、および前記雌ネジ部に螺合可能な雌ネジ部および該雄ネジ部の延び方向を中心に回転を与えるトルク付与グリップを具備する締付ネジ部とを準備する段階であって、手力のみにより強固に支持可能なように、支持荷重に応じて、トルク付与グリップの径を選択し、
所定嵌合位置で、トルク付与グリップを介しての手力による前記締付ネジ部の締付により、前記雄ネジ部を前記バカ穴を介して前記雌ネジ部に螺合させることにより、前記押付部を前記内管の外周面に向けて前記内管の外周面に面接触の仕方で押付固定するとともに、前記押付部の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管を一体固定保持する内外管の一体固定保持治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成する段階とを有する、構成としている。
【0011】
以上の構成を有する内外管の一体構造物の製造方法によれば、互いに嵌合する内外管、バカ穴を有する押付部、および雌ネジ部に螺合可能な雌ネジ部およびトルク付与グリップを具備する締付ネジ部を準備する際、内外管の一体構造物を長さ調整治具、または傾斜角度調整治具、またはスタンド向け固定支持治具のいずれかの用途に応じて定まる支持荷重に応じて、トルク付与グリップの径を選択し、内外管の所定嵌合位置で、トルク付与グリップを介しての手力による締付ネジ部の締付により、雄ネジ部をバカ穴を介して雌ネジ部に螺合させることにより、押付部を内管の外周面に向けて内管の外周面に面接触の仕方で押付固定するとともに、押付部の内管に対する面接触部の反対側の内管の外周面を外管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管を一体固定保持する内外管の一体固定保持治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成することにより、種々の用途に応じて、手力のみにより内外管同士を強固に支持可能である内外管の一体構造物の製造方法を提供することが可能である。
【0012】
上記課題を達成するために、本発明の傾斜角度調整治具は、
雌ネジ部と、該雌ネジ部から所定範囲内に少なくとも1つの貫通穴とを外周面に備える管状部と、該管状部の延び方向に対して固定所定角度で延び、下端が接地される第1支持バーと、該第1支持バーの上端と該管状部とを連結する枢軸とを有し、該第1支持バーの上端が前記管状部に対して前記枢軸を中心に回動可能に連結固定され、
さらに、前記管状部に摺動自在に内嵌し、管状部の延び方向に沿って延び、下端が接地される第2支持バーと、
前記管状ベース部の外周面から該貫通穴を貫通して、前記第2支持バーの外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、
前記押付部を前記第2支持バーの外周面に向かって押付け固定可能な締付ネジ部とを有し、
該押付け部の先端面は、前記第2支持バーの外周面に対して面接触可能なように、前記第2支持バーの外周面に沿う形状とされ、
該締付ネジ部は、前記雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有し、
前記押付部は、前記雄ネジ部が貫通可能なバカ穴を有し、
前記第1支持バーを両支持バーの構成する平面内で両支持バーの下端間の距離が変わるように移動することにより、前記第1支持バーの上端が前記管状部に対して前記枢軸を中心に回動しつつ、前記管状ベース部の前記第2支持バーに対する嵌合位置を調整したうえで、前記締付ネジ部により、前記雄ネジ部を前記バカ穴を介して雌ネジ部に螺合させつつ、前記押付部をして前記貫通穴を貫通させて、前記先端面を前記第2支持バーの外周面に面接触の仕方で押付固定することにより、前記第2支持バーの接地面に対する傾斜角度を調整可能とする、構成としている。
【0013】
以上の構成を有する傾斜角度調整治具によれば、管状部に対して、管の長手方向に移動自在に内嵌する第2支持バーと、管状部に対して、枢軸を介して連結され、枢軸を中心に回動可能な第1支持バーとにおいて、管状部の外周面には、雌ネジ部と、雌ネジ部から所定範囲内に少なくとも1つの貫通穴とが設けられ、管状ベース部の外周面から貫通穴を貫通して、第2支持バーの外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、押付部を第2支持バーの外周面に向かって押付け固定可能な締付ネジ部とを有し、押付け部の先端面は、第2支持バーの外周面に対して面接触可能なように、第2支持バーの外周面に沿う形状とされ
締付ネジ部は、雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有するとともに、押付部は、雄ネジ部が貫通可能なバカ穴を有することから、第1支持バーを両支持バーの構成する平面内で両支持バーの下端間の距離が変わるように移動することにより、第1支持バーの上端が管状部に対して枢軸を中心に回動しつつ、管状ベース部の第2支持バーに対する嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部により、雄ネジ部をバカ穴を介して雌ネジ部に螺合させつつ、押付部をして貫通穴を貫通させて、先端面を第2支持バーの外周面に面接触の仕方で押付固定することにより、シンプルな構造で過度な締付力を要することなく簡便な操作により、第2支持バーの接地面に対する傾斜角度、たとえば、矩形状重量物を第2支持バーによって支持する場合には、矩形面の傾斜角度を調整可能である。
さらに、雄ネジ部を具備する締付ネジ部を有し、前記外管には、雄ネジ部が螺合可能な雌ネジ部が形成されるのでもよい。
【0014】
さらに、前記管状部は、それぞれ、その外表面から前記管状部の延び方向に交差する向きに張り出す、互いに対向する一対の張り出しフランジをさらに有し、前記一対の張り出しフランジはそれぞれ、前記枢軸の対応する端部を受入れ可能な第1貫通穴を有し、前記第1支持バーの前記上端には、前記第1支持バーの延び方向に交差する向きに、前記枢軸が貫通可能な第2貫通穴が設けられ、前記第1貫通穴および前記第2貫通穴が整列するように、前記一対の張り出しフランジ間に前記第1支持バーの前記上端が位置決めされ、前記枢軸は、前記第1貫通穴それぞれおよび前記第2貫通穴を貫通して設けられるのがよい。
【0015】
また、請求項1に記載の前記傾斜角度調整具が前記両支持バーの構成する前記平面が平行となるように一対設けられ、
矩形板状重量物の対向縁それぞれが、前記傾斜角度調整具のそれぞれの前記第2支持バーにより支持されつつ、前記傾斜角度調整具のそれぞれの前記第1支持バーの下端および前記第2支持バーの下端により4点支持され、
前記傾斜角度調整具のそれぞれの前記管状ベース部の対応する前記第2支持バーに対する嵌合位置を調整して、前記傾斜角度調整具のそれぞれの対応する前記第2支持バーの傾斜角度を調整することにより、矩形板状重量物の矩形面の傾斜角度が調整される、矩形板状重量物の支持および傾斜角度調整装置とするのもよい。
【0016】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の一体構造物の製造方法は、
互いに嵌合する、中実状、または中空状の内管と中空状の外管とにおいて、外管の嵌合部に相当する外表面に一対の貫通スリットを機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工する段階と、
内管に向かう荷重を受ける荷重受け面と、それぞれ、荷重受け面の反対側の面から荷重受け面の反対側に向かって延びる一対の押付体とを有する押付けプレートであって、一対の押付体それぞれは、先端部に内管の外周面に当接可能な押付け面を有する押付けプレートを準備する段階において、前記一対の押付体それぞれに対して対応する貫通スリットの内側面または外側面が案内面を形成することにより、前記一対の押付体それぞれが圧入可能なように、一対の押付体それぞれの先端部への延び方向の荷重受け面に対する第1角度が、対応する貫通スリットの延び方向の内管の外周面に対する第2角度と相違するように設定し、
手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、一対押付体それぞれの先端部における曲げ剛性を設定し、
所定嵌合位置で、手力により前記押付部を前記内管の外周面に向けて前記内管の外周面に面接触の仕方で押付固定するとともに、前記押付部の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管を一体固定保持する内外管の一体固定保持治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成する段階とを有する、構成としている。
【0017】
また、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状でもよい。
さらに、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面が湾曲ハの字断面でもよい。
さらにまた、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状でもよい。
加えて、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面が湾曲ハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状でもよい。
また、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がハの字状でもよい。
さらに、前記押付けプレートは、前記内外管の延び方向に沿う断面が、コの字状、前記一対の貫通スリットは、前記内外管の延び方向に沿う断面がコの字状でもよい。
【0018】
さらにまた、前記一対の押付体は、互いに交差する向きに構成され、いずれか一方または両方の押付体について、手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、押付体の先端部における曲げ剛性を設定するのがよい。
【0019】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の一体固定保持治具は、
外管が内管に対して管の長手方向に相対移動可能に外嵌する場合において、内管に向かう荷重を受ける荷重受け面と、それぞれ、荷重受け面の反対側の面から荷重受け面の反対側に向かって延びる一対の押付体とを有する押付けプレートとを有し、一対の押付体それぞれは、先端部に内管の外周面に当接可能な押付け面を有し、
外管は、それぞれ、一対の押付体の一つが、貫通可能な、厚み方向に貫通する貫通スリットを一対有し、
一対の押付体は、それぞれの押付面の少なくとも一部が、対応する貫通スリットの外管の外周面に形成される開口内に位置するように、互いに間隔を隔て、
前記一対の押付体それぞれに対して対応する貫通スリットの内周面が案内面を形成することにより、前記一対の押付体それぞれが圧入可能なように、一対の押付体それぞれの先端部への延び方向の荷重受け面に対する第1角度が、対応する貫通スリットの延び方向の内管の外周面に対する第2角度と相違するように設定され、
手力により一対の押付体それぞれの変形により第1角度を変えて、対応する貫通スリットに対して圧入可能となるように、押付けプレートの材質、一対押付体それぞれの先端部までの長さおよび押付面それぞれの面積に応じて、一対押付体それぞれの先端部における曲げ剛性が設定され、
それにより、荷重負荷中、押付け面が内管の外周面に当接することにより、外管が内管に対して管の長手方向に相対移動不能とされ、荷重除荷の際、外管が内管に対して管の長手方向に相対移動可能でありながら、一対の押付け体は自身の原形への弾性復元力により一対の貫通スリット内に圧入保持される、構成としている。
【0020】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の一体固定保持治具は、
互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、内外管を固定保持する固定保持治具であって、
該外管の外表面には、互いに間隔を隔てた一対の貫通スリットとが設けられ、
前記外管の外周面から該貫通スリットを貫通して、前記内管の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、を有し、
該押付部は、前記内管の外周面に対する2か所の面接触により押付可能な、互いに間隔を隔てた一対の押付体と、該一対の押付体を前記内管の外周面に向かって押し付ける荷重受け面とを有し、
前記一対の押付体はそれぞれ、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、前記一対の押付体のうち、前記外管の前記外管と前記内管との嵌合部側の端部に近い側の押付体において、該押付体を構成する対向する一対の側面のうち外管の端部に近い側の側面から押付体の厚み方向に差し込み用穴が設けられ、
前記外管の嵌合部側の端面には、該端面に円形開口を有し前記外管の端部に近い側の前記側面まで貫通して延びる円形断面の細長穴が設けられ、
前記円形開口から前記細長穴に挿入可能な差し込みロッドをさらに有し、
前記一対の押付体を前記一対の貫通スリット内に挿入することにより、前記細長穴が前記差し込み用穴に連通し、前記差し込みロッドの先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより、前記一対の押付体は、前記一対の貫通スリット内に保持される、構成としている。
また、該細長穴は、雌ネジ部を有し、
前記差し込みロッドは、前記細長穴の前記雌ネジ部に螺合可能なイモネジであり、
前記イモネジが前記細長穴に螺合しながら、先端部が前記差し込み用穴に差し込まれることにより、前記一対の押付体は、前記一対の貫通スリット内に着脱自在に保持されるのがよい。
【0021】
さらに、前記第1細長穴は、前記イモネジの前記差し込み用穴への差し込みに対して、前記押付体が所定範囲で移動可能なように前記押付体の移動方向に縦長向きの楕円状断面を有するのがよい。
さらにまた、前記雌ネジ部は、前記細長穴において、前記外管の前記端部に近い側の前記側面近傍から前記側面までに亘って設けられるのがよい。
【0022】
上記課題を達成するために、本発明の内外管の一体固定保持治具は、
互いに嵌合する内管と外管との間に介在し、内外管を固定保持する固定保持治具であって、
該外管の外表面には、互いに間隔を隔てた一対の貫通スリットとが設けられ、
前記外管の外周面から該貫通スリットを貫通して、前記内管の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部と、を有し、
該押付部は、前記内管の外周面に対する2か所の面接触により押付可能な、互いに間隔を隔てた一対の押付体と、該一対の押付体を前記内管の外周面に向かって押し付ける荷重受け面とを有し、
前記一対の押付体はそれぞれ、前記内管の外周面に対して押付け可能な押付端面を備え、さらに、前記荷重受け面に当接しながら、前記荷重受け面に平行な軸線を中心に回転する環状周面を有する押付けレバーを有し、
該環状周面は、軸線からの半径が第1半径から拡径して第2半径まで変化する湾曲状で、
押付けレバーの回転により、前記一対の押付体が対応する前記貫通スリット内でスリットの厚み方向に移動可能であり、
前記外管の外周面から所定高さに設けられた軸線を中心に該押付けレバーを回転させることにより、前記第1半径と前記第2半径との中間半径に相当する回転位置で、前記押付体
が前記内管の外周面に向かって押付開始するとともに、前記第2半径に相当する回転位置で、前記押付体が前記内管の外周面に向かって押付終了し、前記押付端面を前記内管の外周面に面接触させるとともに、前記押付端面の前記内管に対する面接触部の反対側の前記内管の外周面を前記外管の内周面に対して押付固定する、構成としている。
【0023】
また、前記一対の貫通スリットは、前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部に設けられ、前記内管は、該管状ベース部を介して前記外管に嵌合するのでもよい。さらに、前記外管または前記管状ベース部の外周面から直立するピンと、
該ピンに固定され、前記外周面に平行に延びる枢軸とをさらに有し、
前記押付けレバーは、該枢軸に対して回動可能に枢支される回動部と、該回動部の外縁から延びる把持部とを有し、
該回動部が、荷重受け面に当接する前記環状周面を備えるのがよい。
【0024】
さらにまた、前記押付レバーが前記中間半径に相当する位置に回転する際、前記把持部の先端部と前記枢軸とを結ぶ方向が略直立位置となり、前記押付レバーが前記第2半径に相当する位置に回転する際、前記把持部の先端部と前記枢軸とを結ぶ方向が押し下げ位置となるように、前記回動部が前記枢軸に枢支されるのがよい。
加えて、前記回動部は、前記一対の押付体による前記内管の外周面への所望押付力に応じて、前記枢軸に対する所定中心角度範囲に亘って、前記第2半径となる前記環状周面を有するのがよい。
また、前記ピンは、前記外管または前記管状ベース部の前記外周面にねじ込み固定され、ねじ込み量の調整により、前記枢軸の高さが調整可能であるのがよい。
さらに、前記回動部は、前記枢軸に交差する向きに切り欠きを有し、該切り欠きを介して対向する一対の回動部位を備え、前記ピンは、該切り欠き内に配置され、前記枢軸が貫通可能な第1貫通孔を有し、各回動部は、前記枢軸が回転自在に貫通可能な第2貫通孔を有し、該第1貫通孔および該第2貫通孔とは、前記枢軸が貫通可能なように整列して位置決め可能であるのがよい。
さらにまた、前記環状周面は、楕円状であり、楕円の長径が前記第2半径を構成するのでもよい。
【0025】
加えて、譜面台が内外管いずれかに固定支持され、内外管または前記内管と前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部との嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有する譜面台用スタンドでもよい。
また、テーブル本体が内外管いずれかに固定支持され、内外管または前記内管と前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部とのがテーブル本体の脚部を構成し、内外管の嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有するテーブルでもよい。
さらに、サドルおよび/またはハンドルが内外管いずれかに固定支持され、内外管または
前記内管と前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部との嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有する乗り物でもよい。
【0026】
さらにまた、複数組の内外管の嵌合により立体骨組が構成される仮設テント用フレームにおいて、内外管または前記内管と前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部との嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有する仮設テント用フレームでもよい。
加えて、U字部が内外管いずれかの先端に固定支持され、内外管または前記内管と前記外
管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部との嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有する刺股でもよい。
互いに嵌合する内外管の一方にキャスターが設けられ、他方に荷台が設けられ、内外管または前記内管と前記外管の一端部の外周面に装着固定される管状ベース部との嵌合部に請求項1、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16、請求項20いずれか1項に記載の内外管の固定支持治具を有する台車でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の長さ調整治具10の第1実施形態について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1ないし図6に示すように、長さ調整治具10は、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在し、内管12の外周面15に押付可能な押付面54を有する押付体22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とから、概略構成される。
内管12および外管14それぞれの長さ、厚みおよび断面形状は、用途に応じて、選択されるのがよく、後に説明するように、内管12と外管14との嵌合長さが調整され、内管12および外管14の全体長さが調整されるようにしている。
【0028】
たとえば、内管12および外管14それぞれは、中空円筒状であり、外管14の内周面17を一端開口から内管12の外周面15の一端開口に挿入することにより、外管14が内管12に対して外嵌するようにしている。
外管14を内管12に内嵌する際の外管14の内周面17と内管12の外周面15とは、後に説明するように、締付ネジ部24により押付体22を介して、外管14を内管12に対して、長手方向に固定保持される限りにおいて、若干のクリアランスが設けられてもよい。若干のクリアランスは、たとえば、0.05ミリないし0.1ミリである。
外管14の外周面16には、互いに間隔Dを隔てた、一対の貫通スリット18が設けられ
、一対の貫通スリット18の間には、雌ネジ部20が設けられ、一対の貫通スリット18間の間隔Dは、後に説明するように、長さ調整治具10の用途に応じて選択すればよい。
【0029】
一対の貫通スリット18は、互いに内外管12,14の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管12,14の長手方向に延在するように設けられる。
より具体的には、一対の貫通スリット18それぞれは、細長開口であり、開口の幅は、押付部22が厚み方向に貫通可能であればよく、後に説明するように、締結ネジ部24を介して押付体は外管14に締付固定されることから、外管14の外周面16に設けられる一対の貫通スリット18に対して、押付部22が締まり嵌め状に貫通する必要はない。
【0030】
押付部22は、外管14の外周面16に位置決めされ、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たるようにしてある。
より詳細には、締付ネジ部24の雄ネジ部26が、厚み方向に貫通するバカ穴部32と、互いにバカ穴部32から逆方向に延在する、2つの押付部22とを備えた、縦断面略コの字状の押付体34を構成する。
押付体34は、バカ穴部32が設けられる中央部48を有し、一対の押付部22はそれぞれ、中央部48の対応する端部全体から下方に延在する傾斜部56を有し、一対の押付部22それぞれは、傾斜部56の下端全体から延在し、下面38に押付面54が設けられる。押付部22の先端面である押付面54それぞれは、内管12の外周面15に対して面接触可能なように、内管12の外周面15に沿う形状とされ、たとえば、内管12の外周面15が円筒の外表面であれば、押付面54は、断面がその径の円弧状とする。この場合、締付ネジ部24とは異なり、押付体34自体は、内管12の外周面15に向かって回転させる必要がないので、円弧状断面を内管12の外周面15に合う向きで押付面54を内管12の外周面15に押付けることが可能である。
【0031】
押付体34は、上面44に突起部42を有し、突起部42には、バカ穴部32が設けられ、
雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合させることにより、シャンク部36の下面38と押付体34の突起部42の上面44とが当接することにより、締結ネジ部24と押付体34とが一体で、内管12に対して押付固定するとともに、外管14に対してねじ込み固定する。
押付体34は、外管14の上方に位置し、雄ネジ部26がバカ穴部32を貫通し、雌ネジ部20に対して締め付けられることにより、押付部22を介して外管14を内管12に対して固定可能とする。
【0032】
押付体34の中央部48には、裏面に、外管14の外周面16に当接可能な当接面46が設けられる。
より具体的には、バカ穴部32の下端開口のまわりに平面状の当接面46が設けられ、締結ネジ部24により、シャンク部36の下面が押付体34の環状面に当接するまで、雄ネジ部26を外管14の外周面16の雌ネジ部20にねじ込むことにより、当接面46が外管14の外周面16に当接した状態で、押付面54が内管12の外周面15に締付固定されるようにしている。
これにより、締結ネジ部24および押付体34を介して、内外管12,14は、所定嵌合長さにおいて、固定保持される。
【0033】
締付ネジ部24は、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な構成であり、締付ネジ部24は、シャンク部36と、シャンク部36の下面38から下方に延びる雄ネジ部26とを有し、雄ネジ部26は雌ネジ部20に螺合可能であり、下面38には、雄ネジ部26のまわりを囲む環状面40が形成される。
外管14に対する内管12の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部24により、雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合させつつ、押付部22を一対の貫通スリット18を貫通させて、内管12の外周面15に押付固定する。
締付ネジ部24は、シャンク部36の雄ネジ部側端部と逆側の端部には、指で摘まんで回転可能なヘッド部58を有する。ヘッド部58の径は、指で小さい力で摘まんでヘッド部58を回転させるのに、なるべく、拡径が好ましく、滑り防止の観点から、周方向に間隔を隔てた複数の浅溝を設けるのでもよい。この意味において、ヘッド部58は、雄ネジ部26の延び方向を中心に回転を与えるトルク付与グリップ132を構成する。
【0034】
図7に示すように、締付ネジ部24の雄ネジ部26を外管14の雌ネジ部20に螺合させ
ることにより、押付端面54を外管14のスリットを介して内管12の外周面に押付け、内管12の外周面の直径方向反対側の部分が外管14の内周面に当たるまで、内管12を移動させることを通じて、2か所の押付端面54(C2)と、1か所の管の長手方向に延びる線接触(C1)の計3か所の支持により、内管12は外管14に対して、強固に固定支
持される。
この場合、雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合させることにより、シャンク部36の下面38と押付体34の突起部42の上面44とが当接することにより、締結ネジ部24と押付体34とが一体で、内管12に対して押付固定するとともに、外管14に対してねじ込み固定するために、押付部22のコの字の高さHは、外管14の厚み+内外管14のクリアランスdより大きいことが必要である。
なお、上下方向に延在する内外管14により重量物を所定高さに固定支持する場合には、押付部22の一対の押付体34において、内外管12,14の周方向に間隔を隔てる場合より、内外管12,14の延び方向に間隔を隔てる方が、固定支持効果が高く、押付体34の押付端面54の面積が一定の場合、締付ネジ部24による締付力を基礎とする押付端面54と内管12の外周面との間の摩擦力が、固定支持に重要であるところ、単位面積当たりの締付力が大きい方が好ましく、この意味においても、押付端面54を複数設けるのがよい。
【0035】
長さ調整治具10の用途に関し、一対の貫通スリット18は、互いに内外管12,14の長手方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管12,14の周方向に延在するように設けられ、内外管12,14は、鉛直方向に向けられ、内外管12,14のいずれかにより、重量物を所定高さで支持する。
特に、長さ調整治具10を用いて、上下方向に延在する内外管12,14の嵌合長さを調整することにより、重量物を所定高さに固定保持する場合には、重量物の重量を押付部22の押し付け面と内管12の外周面15との摩擦力による支持する観点から、押付部22の押し付け面の内管12の外周面15に対する抗力、すなわち、締結ネジ部24による締付力が大きいほど好ましく、このため、大きな締付力に耐える強度が必要であることから、長さ調整治具10を構成する押付部22、および締結ネジ部24、並びに内外管12,14は、金属製が好ましい。
長さ調整治具10は、日用品を所定高さで支持するスタンド、またはサドルを所定高さに支持する乗り物に用いられるのでもよい。
【0036】
変形例として、長さ調整治具10は、軽量性の観点から樹脂製でもよく、特に、一対のスリット部、雌ネジ部20の開口を設けても、そのまわりの強度を確保する観点から、厚みを確保するのがよい。
この場合、一対の貫通スリット18は、互いに内外管12,14の周方向に所定間隔を隔てて、それぞれ内外管12,14の周方向に延在するように設けるのがよい。
長さ調整治具10は、たとえば、内外管12,14の全体長さを調整する物干し竿に用いられる。
物干し竿の場合には、干す洗濯物の数に応じて、内外管12,14からなる物干し竿の全体長さを調整するのに、長さ調整治具10により、内外管12,14の嵌合長さを調整すればよい。
軽量性の観点から、内外管を樹脂製とする場合、特に、内管を樹脂製とする場合には、締結ネジによる締付により押付体の押付面が内管の外周面に押付られることから、押付面の面積が小さすぎると、内管の外周面に対する押付圧力が高まり、内外管の長手方向の荷重を支持する際、内管の厚みを確保して内管自体の変形を防止可能であるとしても、内管の外周面に引っかき傷が付いたり、場合により凹みが発生することがあることから、内管の樹脂の硬度を考慮して、手力で締結ネジを締付けても押付圧力が内管の外周面の損傷を防止可能な範囲となるように、押付体の押付面の面積を調整するのがよい。
【0037】
さらなる、変形例として、図23に示すように、一対の貫通スリット18は、一方は、内外管12,14の長手方向に沿う縦向きスリット、他方は内外管12,14の周方向に沿う横向きスリットとして、押付体は、それ応じて、一方は、縦向きスリットを貫通可能な縦向き押付面、他方は、横向きスリットを貫通可能な横向き押付面とするのでもよい。これにより、縦向き押付面による内外管12,14の長手方向の荷重付加に対する支持だけでなく、横向き押付面による内外管12,14の長手方向を中心とする内外管12,14の一方の他方に対する相対回転の抑制にも利用可能である。または、一対の押付体を設け、それぞれの押付面積は増大することなく、一方の内外管12,14に設ける位置に対して直径方向反対側に、他方を設けるのでもよい。
【0038】
さらなる変形例として、図33および図34に示すように、内外管12、14の想定嵌
合部の内管12の外表面には、管の長手方向に、互いに間隔を隔てて複数の孔128が、外管14の雌ネジ部22と対向する周方向位置に設けられる。複数の孔128の各々は、締結ネジ24の雄ネジ部26が挿入可能な大きさを有するとともに、雄ネジ部26は、締結ネジ24を外管14の雌ネジ部20にねじ込む際、内管12の厚みを貫通する程度の長さを有する。
これにより、互いに嵌合する、内外管12、14を固定支持する際、内外管12、14の嵌合位置において、コの字断面の押付部22の一対の押付体34それぞれを、外管14の対応する貫通スリット18に通したうえで、押付部22のバカ穴32に締付ネジ24の雄ネジ部26を通して、外管14の表面に設けた雌ネジ部20に螺合させることにより、押付部22の内外管12、14の長手方向に離間する一対の押付面54それぞれの面が内管12の外周面19に沿う形状とされていることから、内管12の外周面19に当接して、内外管12、14を固定支持するとともに、締結ネジ24の雄ネジ部26は、複数の孔128のいずれかに挿入されるようにしている。
隣接する孔128同士の間隔は、押付け部22それぞれを、外管14の対応する貫通スリット18に通す際に、締付ネジ24の雄ネジ部26が複数の孔128のいずれかに挿入されるように設定される。
たとえば、松葉杖のように、利用者が杖の上端が脇に当たるように、杖の長さを調整しつつ、手で杖を握って体重を支持する場合には、松葉杖には、長さ調整機能とともに、荷重支持機能が要求されるところ、特に、荷重支持機能を不意に喪失する場合には、利用者がバランスを失い、転倒等身体の安全性に直結することから、万全な荷重支持機能を担保することが要求される。
本実施形態においては、締結ネジ24の雄ネジ部26が挿入される孔128を選択することにより、内外管12、14の全体長さ、すなわち杖の長さを調整したうえで、押付部22により内外管12、14を固定支持するとともに、締結ネジ24の雄ネジ部26が孔128に挿入保持されることから、万が一、過大荷重負荷により、押付部による内外管12、14の固定支持が損なわれるとしても、万全な荷重支持機能を確保することが可能となる。
【0039】
さらなる変形例として、図35に示すように、内外管12、14の想定嵌合部の内管1
2の外表面には、管の長手方向に、細長溝130が外管14の雌ネジ部22と対向する周方向位置に設けられる。細長溝130の幅は、締結ネジ24の雄ネジ部26が挿入可能な大きさを有するとともに、雄ネジ部26は、締結ネジ24を外管14の雌ネジ部20にねじ込む際、内管12の厚みを貫通する程度の長さを有する。
これにより、互いに嵌合する、内外管12、14を固定支持する際、内外管12、14の嵌合位置において、コの字断面の押付部22の一対の押付体34それぞれを、外管14の対応する貫通スリット18に通したうえで、押付部22のバカ穴32に締付ネジ24の雄ネジ部26を通して、外管14の表面に設けた雌ネジ部20に螺合させることにより、押付部22の内外管12、14の長手方向に離間する一対の押付面54それぞれの面が内管12の外周面19に沿う形状とされていることから、内管12の外周面19に当接して、内外管12、14を固定支持するとともに、締結ネジ24の雄ネジ部26は、細長溝130内に挿入されるようにしている。
本実施形態においては、内外管12、14の嵌合位置を調整することにより、内外管12、14の全体長さを調整したうえで、押付部22により内外管12、14を固定支持するとともに、締結ネジ24の雄ネジ部26が細長溝130内に挿入保持されることから、内外管12、14間において、管の長手方向を中心とする相対回転が生じるような荷重が負荷される場合に、このような相対回転の発生を防止することが可能である。
細長溝130の深さは、このような観点から、外管14の外周面16に切削加工により設ければよい。
【0040】
以上の構成を有する長さ調整治具によれば、それぞれ外管14の外周面16に設けられた、雌ネジ部20と、雌ネジ部20から所定範囲内に少なくとも一つの貫通スリット18と、外管14の外周面16から貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる、少なくとも1つの押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とにより、互いに嵌合する内外管12,14の嵌合部の長さを調整する際、押付部22の先端面が、内管12の外周面15に対して面接触可能なように、内管12の外周面15に沿う形状としておくことにより、外管14に対する内管12の嵌合位置を調整したうえで、外管14の内周面17に臨む開口を有し、外管14の外側に突出する、押付部収納スペースを設けることなしに、締付ネジ部24の回転により、雄ネジ部26を外管14の外周面16に設けられた雌ネジ部20に螺合させつつ、締付ネジ部のねじ込みにより、雌ネジ部20から所定範囲内の押付部22をして貫通スリット18を貫通させて、先端面を内管12の外周面15に面接触の仕方で押付固定することが可能であり、シンプルな構造で過度な締付力を要することなく簡便な操作により、内管12と外管14との全体長さを固定保持可能に調整可能である。
なお、内外管12,14が断面円形のものとして説明し、押付体34の押付面54が内管12の外表面に密着するように、内管12の径と同じ断面円弧状のものであり、内外管12,14の径が異なる場合には、それに応じた押付面54を有する押付体34を用意する旨説明したが、それに限らず、内外管12,14が矩形断面等平面を有する場合には、押付体34の押付面54が内管12の外表面に密着するように、断面平面状でよく、種々の矩形断面を有する内外管12,14に対して、汎用可能である。
【0041】
以下に、特に互いに嵌合する既存の内外管12,14において、内外管12,14の長さを調整する方法について、説明すれば、
外管14の一端側の外周面16に、互いに間隔を隔てた、一対の貫通スリット18と、一対の貫通スリット18の間に雌ネジ部20とを穴あけ加工する段階と、
外管14の外周面16に位置決めされ、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有し、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを準備する段階とを有し、
外管14に対する内管12の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部24により、雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合させつつ、押付部22を一対の貫通スリット18を貫通させて、内管12の外周面15に押付固定すればよい。
以上の方法によれば、既存の内外管12,14において、外管14の一端部に穴開け加工を行うことにより、内管12と外管14との既存嵌合構造に対して、内管12と外管14との全体長さを汎用的に調整可能である。
【0042】
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図8ないし図10を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、外管14に設ける管状ベース部30にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、外管14の外周面16に、一対の貫通スリット18を設け、一対の貫通スリット18の間に雌ネジ部20を設けていたが、本実施形態においては、外管14の一端部に装着固定される管状ベース部30を設け、管状ベース部30の外周面16に互いに間隔を隔てた、一対の貫通スリット18と、一対の貫通スリット18の間に設けられる雌ネジ部20とを設けている点である。
【0043】
より詳細には、管状ベース部30は、外管14の一端部28に、一端が外嵌可能な中空円筒状であり、他端には、内管12が管状ベース部30の外周面16と所定クリアランスを以て挿入される。
以上の構成によれば、管状ベース部30に対する内管12の嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部24により、雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合させつつ、押付部22を一対の貫通スリット18を貫通させて、内管12の外周面15に押付固定する。
なお、管状ベース部30の外管14の一端部への装着固定は、外管14に対して強固に固定される限り、たとえば、ネジ固定でもよいし、締まり嵌めによる固定でもよい。
既存の内外管12,14に対して、押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを準備するとともに、外周面16に、一対の貫通スリット18と、一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20とを有する管状ベース部30を準備することにより、内外管12,14の嵌合長さの調整が可能である。
【0044】
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図11を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第3実施形態の特徴は、外管14の外周面に設ける管状突起部65にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、外管14の外周面16には、一対の貫通スリット18と、その間の雌ネジ部20とを有するのに対して、本実施形態においては、雌ネジ部20の相当位置に、外管14の外周面16に対して直交外側向きに管状突起部65を設けている点である。
より詳細には、管状突起部65は、所定高さhの円形の環状断面であり、雌ネジ部20と
整列するように、内部に雌ネジ部20が形成されており、締付ネジ部24の雄ネジ部26が、螺合可能となっている。管状突起部65は、外管14と別個に、外周面16に対して、たとえば、溶接固定するのでもよい。なお、管状突起部65の外形は、円筒状である必要はなく、雌ネジ部20と整列するように、内部に雌ネジ部20が形成される限り、任意の形状でよい。
本実施形態によれば、外管14の厚みが薄く、雄ネジ部26のねじ込み長さが十分に確保できない場合に有効であり、所定高さhは、このような観点から定めればよい。なお、押
付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定する際、雄ネジ部26の先端が、内管12の外周面15に当たらないように、雄ネジ部26の長さを設定する点は、第1実施形態と同様である。
なお、変形例として、逆に、外管14の厚みが厚い場合には、外管14の外周面16の一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20まわりについて、内方に向かって外周面16を研削し、底面を有する浅溝部(図示せず)を形成し、底面に雌ネジ部20を有する貫通穴を設けるのでもよい。浅溝部の深さ、すなわち、外周面16を研削深さは、外管14の厚みおよび/または雄ネジ部26の長さに応じて、適宜設定すればよく、これにより、内外
管12,14、締付ネジ部24の条件に係わらず、汎用性を確保することが可能となる。
【0045】
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図12および図13を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第4実施形態の特徴は、締付ネジ部24にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、締付ネジ部24が、雄ネジ部26を有する一方、外管14の外周面16に、一対の貫通スリット18と、一対の貫通スリット18の間に雌ネジ部20を設けていたが、本実施形態においては、それとは逆に、締付ネジ部24が、雌ネジ部72を具備するナット部70を有する一方、外管14の外周面16に、雄ネジ部74を有する点である。
より詳細には、ナット部70は、その中心部に、雄ネジ部74に螺合可能な雌ネジ部72が貫通して設けられ、外周面には、手で締め付ける際の滑り止め防止の観点から浅溝が設けられている。一方、外管14の外周面16の雌ネジ部20の位置に、雄ネジ部74を外管14の外周面16に対して直交外側向きに設け、雌ネジ部20を省略している。雄ネジ部74は、外周面16に対して、たとえば、溶接固定するのでもよい。
本実施形態によれば、ナット部70を緩める際、押付体34自体は、雄ネジ部74に対してバカ穴32を介して差し込まれた状態が保持されることから、第1実施形態のように、締付ネジ部24を緩める際、押付体34自体が不意に外れ、バラバラになる事態を防止することが可能である。
【0046】
以下に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図14を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第5実施形態の特徴は、外管14の外周面16と押付部22との間に設けるコイルバネ76にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、このようなコイルバネ76は設けていない。
より詳細には、押付部22のバカ穴32を介して締付ネジ部24の雄ネジ部26に挿入可能であり、雌ネジ部20の径より大きな径を有するコイルバネ76が設けられ、コイルの巻き数は、押付部22のコの字高さに応じて、適宜設定すればよい。
本実施形態によれば、締付ネジ部24の雄ネジ部26を雌ネジ部20に螺合する際、押付部22は、コイルバネ76の上面に支持されることから、押付端面54が対応する貫通スリット18から内管12の外周面15に向かって突出し、内管12と外管14との嵌合位置を調整するのに、内管12を外管14に対して、管の延び方向に移動させる際の邪魔になるのを防止することが可能である。
さらに、コイルバネ76を付勢力を強くすることにより、外管14の外周面16と押付部22との間に設けるコイルバネ76が、圧縮される際、押付部22は締付ネジ部24側の上向きに押され、雄ネジ部26と雌ネジ部20との螺合状態が強固となり、たとえば、時間経過とともに、締付ネジ部24の締付が緩み、互いに嵌合する内管12と外管14との間の固定支持が不安定となるのを事前に防止することも可能である。
【0047】
以下に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図15ないし図17を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第6実施形態の特徴は、内管12と外管14との間に設ける保護板78にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、このような保護板78を設けていない。
より詳細には、保護板78は、一対の貫通スリット18の長さより長い幅W、一対の貫通スリット18の内外管14の延び方向の間隔より長い長さLを有し、内管12の外周面15より柔軟な材質からなり、図16に示すように、一対の貫通スリット18が設けられる外管14の内周面に、保護板78が嵌り込み可能な大きさの浅溝80が設けられ、保護板78を浅溝80に嵌め込んだ状態で、外管14の内周面から内方に若干突出することにより、締付ネジ部24を締め付けることにより、押付部22が内管12の外周面15に向かって押付け固定される際、保護板78も押し潰され、押付端面54が内管12の外周面15に直接当たることにより、内管12の外周面15が傷ついたり、凹んだりするのを防止することが可能である。なお、保護板78を摩擦係数の高いゴム製とすることにより、保護板78と内管12の外周面15との摩擦力を確保することにより、内管12と外管14との間の固定支持をさらに強固にすることも可能である。
なお、図17は、一対の保護板82を設け、各保護板82を対応する貫通スリット18に嵌り込み可能に設ける変形例であり、押付部22が内管12の外周面15に向かって押付け固定される際、各保護板82も押し潰され、内管12の外周面15が傷ついたり、凹んだりするのを防止するとともに、保護板82と内管12の外周面15との摩擦力を確保する点では、共通であるが、外管14の内周面に設ける浅溝80は省略可能としている。
【0048】
以下に、本発明の第7実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図18を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第7実施形態の特徴は、一対の貫通スリット18および一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20の向きにあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、一対の貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、外管14の外周面16に設ける、一対の貫通スリット18および一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20の向きが、内管12と外管14の延び方向に沿っていたのに対し、本実施形態においては、一対の貫通スリット18および一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20の向きが、内管12と外管14の延び方向に対して斜めであり、それに応じて、一対の貫通スリット18を介して設ける押付体34の向きが斜めになっている点である。
本実施形態によれば、内管12と外管14の、内管12と外管14の延び方向に対する固定支持に加え、内管12と外管14との間の内管12と外管14の延び方向を中心とする回転に対して、固定保持するのにも有効である。一対の貫通スリット18および一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20の、内管12と外管14の延び方向に対する斜めの角度は、このような観点から定めるのがよい。
【0049】
以下に、本発明の第8実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図21を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第8実施形態の特徴は、外管14に設ける押付体34にあり、互いに嵌合する内管12と外管14との間に介在する長さ調整治具10であって、貫通スリット18を貫通して、内管12の外周面15に当たる押付部22と、押付部22を内管12の外周面15に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部26を有する点では、第1実施形態と共通であるが、第1実施形態においては、外管14の外周面16に、一対の貫通スリット18を設け、それに応じて、押付体34が中央にバカ穴部32を有し、一対の押付面54を有していたが、本実施形態においては、単一の貫通スリット18を設け、それに応じて、単一の押付体34を設けている点である。
【0050】
より詳細には、単一の貫通スリット18に嵌合可能な中実状の押付体34を設け、単一の貫通スリット18の外管14の外周面16の位置は、雌ネジ部20から締付ネジ部24のヘッド部58の径の範囲内であり、これにより、締付ネジ部24のヘッド部58を手で回転し、雄ネジ部26を雌ネジ部20に対して、内管12の外周面15に向かってねじ込む際、第1実施形態と同様に、ヘッド部58の下面が、押付体34の上面40に当たり、押付体34を内管12の外周面15に向かって押し込むことが可能としている。押付体34の押付面54が、内管12の外周面15に対して面接触可能なように、内管12の外周面15に沿う形状としている点も第1実施形態と同様である。
本実施形態は、第1実施形態に比べて、長さ調整治具10を上下方向の内外管12,14に適用して、重量物を所定高さに支持する場合よりは、物干竿等のように、内外管12,14の全体長さを調整する場合に用いるのに適する。
【0051】
以下に、本発明の第9実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図22を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第9実施形態の特徴は、長さ調整治具10の用途にあり、いわゆる地震対策用つっかえとする点にある。
より詳細には、たとえば、地震時の家具、たとえば、棚の転倒防止用に、長さ調整治具10の内管12の上端面98側に設ける天井側固定部90と、長さ調整治具10の外管14の下端面96側に設ける棚側固定部84とを有し、天井側固定部90と棚側固定部84との間に長さ調整治具10が介在する。
天井側固定部90は、天井面に当接可能な当接面92を有し、上端面98を受入れ可能な受け入れ部94を有する。
棚側固定部84は、直交に交差する壁の隅部において、壁と棚とのクリアランスに装着可能なように、互いに直交する当接面89と、棚の天面に当接可能な当接面86を有するとともに、下端面96を受入れ可能な受け入れ部88を有する。このような構成により、天井側固定部90の当接面92が天井面に当接し、棚側固定部84の当接面86が棚の天面に当接するように、内管12と外管14との嵌合位置を調整して、内管12および外管14の全長を調整したうえで、締付ネジ部24を用いて、押付部22を介して外管14の内周面を内管12の外周面に対して強固に固定支持することが可能である。たとえば、このような長さ調整治具10を天井と棚との間に複数設けて、棚を天井に対して強固に固定することが可能となる。
【0052】
以下に、本発明の第10実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図24ないし図26を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第10実施形態の特徴は、太陽光パネルを例に、太陽光パネルを支持するとともに、傾斜角度を調整するのに、傾斜角度調整治具として適用した点である。
【0053】
より詳細には、傾斜角度調整治具は、雌ネジ部20と、雌ネジ部20から所定範囲内に少なくとも1つの貫通穴18とを外周面16に備える管状部102と、管状部102の延び方向に対して所定角度で延び、下端103が接地される第1支持バー104と、第1支持バー104の上端106と管状部102とを連結する枢軸108とを有し、第1支持バー104の上端106が管状部102に対して枢軸108を中心に回動可能に連結される。
さらに、管状部102に摺動自在に内嵌し、管状部102の延び方向に沿って延び、下端103が接地される第2支持バー112と、管状ベース部の外周面16から貫通穴18を貫通して、第2支持バー112の外周面16に当たる、少なくとも1つの押付部22と、押付部22を第2支持バー112の外周面16に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、押付部22の先端面は、第2支持バー112の外周面16に対して面接触可能なように、第2支持バー112の外周面16に沿う形状とされ、締付ネジ部24は、雌ネジ部20に螺合可能な雄ネジ部を有し、押付部22は、雄ネジ部26が貫通可能なバカ穴32を有する。
第1支持バー104を両支持バーの構成する平面P内で両支持バーの下端103間の距離
が変わるように移動することにより、第1支持バー104の上端106が管状部102に対して枢軸108を中心に回動しつつ、管状ベース部の第2支持バー112に対する嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部24により、雄ネジ部26をバカ穴32を介して雌ネジ部20に螺合させつつ、押付部22をして貫通穴18を貫通させて、先端面を第2支持バー112の外周面16に面接触の仕方で押付固定することにより、第2支持バー112の接地面に対する傾斜角度を調整可能とする。
管状部102は、それぞれ、その外表面から管状部102の延び方向に交差する向きに張り出す、互いに対向する一対の張り出しフランジ116をさらに有し、一対の張り出しフランジ116はそれぞれ、枢軸108の対応する端部118を受入れ可能な第1貫通穴120を有し、第1支持バー104の上端106には、第1支持バー104の延び方向に交差する向きに、枢軸108が貫通可能な第2貫通穴122が設けられ、第1貫通穴120および第2貫通穴122が整列するように、一対の張り出しフランジ116間に第1支持バー104の上端106が位置決めされ、枢軸108は、第1貫通穴120それぞれおよび第2貫通穴122を貫通して設けられる。
このような傾斜角度調整治具が、両支持バーの構成する平面Pが平行となるように一対設
けられ、矩形板状重量物Wの対向縁それぞれが、傾斜角度調整具のそれぞれの第2支持バ
ー112により支持されつつ、傾斜角度調整具のそれぞれの第1支持バー104の下端103および第2支持バー112の下端103により4点支持され、傾斜角度調整具のそれぞれの管状ベース部の対応する第2支持バー112に対する嵌合位置を調整して、傾斜角度調整具のそれぞれの対応する第2支持バー112の傾斜角度を調整することにより、矩形板状重量物Wの矩形面の傾斜角度θが調整され、これにより、矩形板状重量物Wの支持および傾斜角度調整装置が構成される。なお、 一対の傾斜角度調整治具が、X字交差部材124により連結されている。
【0054】
以上の構成を有する傾斜角度調整治具によれば、管状部102に対して、管の長手方向に移動自在に内嵌する第2支持バー112と、管状部102に対して、枢軸108を介して連結され、枢軸108を中心に回動可能な第1支持バー104とにおいて、管状部102の外周面には、雌ネジ部と、雌ネジ部72から所定範囲内に少なくとも1つの貫通穴とが設けられ、管状ベース部102の外周面から貫通穴を貫通して、第2支持バー112の外周面に当たる、少なくとも1つの押付部22と、押付部22を第2支持バー112の外周面に向かって押付け固定可能な締付ネジ部24とを有し、押付部22の先端面は、第2支持バー112の外周面に対して面接触可能なように、第2支持バー112の外周面に沿う形状とされ 締付ネジ部24は、雌ネジ部72に螺合可能な雄ネジ部26を有するとともに、押付部22は、雄ネジ部26が貫通可能なバカ穴部32を有することから、第1支持バー104を両支持バーの構成する平面内で両支持バーの下端間の距離が変わるように移動することにより、第1支持バー104の上端が管状部102に対して枢軸108を中心に回動しつつ、管状ベース部102の第2支持バー112に対する嵌合位置を調整したうえで、締付ネジ部24により、雄ネジ部26をバカ穴部32を介して雌ネジ部72に螺合させつつ、押付部22をして貫通穴を貫通させて、先端面を第2支持バー112の外周面に面接触の仕方で押付固定することにより、シンプルな構造で過度な締付力を要することなく簡便な操作により、第2支持バー112の接地面に対する傾斜角度θ、たとえば、矩形状重量物を第2支持バー112によって支持する場合には、矩形面の傾斜角度θを調整可能である。
なお、太陽光パネルの各脇に支持スタンドを設ける際、支持スタンドごとに枢軸108
を設けるのでなく、太陽光パネルの横方向を貫く単一の枢軸108を共用枢軸108とすることにより、冬季から夏季に向けて、または、一日中の日の出から日の入までの太陽の移動に応じて、太陽光パネルの傾斜角度θを大から小へ調整する際、一方の側だけに設けたトルク付与グリップを用いて、手で締結を緩め、再度締めることにより、太陽光パネルの自重が作用して、単一の枢軸108がその間に自動的に回転することから、締結弛緩の時間幅に応じて、太陽光パネルの傾斜角度θを連続的に調整することが可能である。
【0055】
以下に、本発明の第11実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図27および図28を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第11実施形態の特徴は、上述の実施形態においては、内外管14の嵌合位置の調整により、内外管14の長さ調整のみに用いたり、内外管14いずれかで重量物を支持しつつ、内外管14の嵌合位置の調整により、スタンドのみに用いたり、内外管14いずれかで矩形重量物を支持しつつ、矩形重量物の矩形面の傾斜角度θのみを調整する場合であったが、本実施形態においては、交通標識に適用するために、交通標識の傾斜角度θ、横方向位置、および高さのすべてが調整可能なようにしている点にある。
【0056】
より詳細には、地面から鉛直に直立する内外管12、14、外管14の上端に交差して設けられる管状部102、管状部102に内嵌する斜め管126、斜め管126の上端部に設けられる交通標識Tとを有し、内外管12、14の高さを調整可能とし、管状部102
に対する斜め管126の位置を調整することにより、横方向位置を調整可能とし、交通標識Tの斜め管126の上端部に対する傾斜角度θを調整可能とするのに、それぞれ、本発
明について、内外管12、14いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具、内外管12、14の全体長さ調整治具、内管12と外管14とを枢軸108を介して回転自在に連結し、内管12と外管14との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具として、適用している。
各調整治具の構成自体は、上述の実施形態と同様であるので、詳しい説明は、省略する。以上の構成によれば、恒常的に屋外に配置され、数十キロに及ぶことがある交通標識Tに
ついて、安定的に支持しつつ、簡易に、向きおよび/または位置を調整することが可能で
ある。
【0057】
以下に、本発明の第12実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図19図36ないし図37を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第12実施形態の特徴は、上述の実施形態においては、内外管14の嵌合位置の調整により、内外管14の長さ調整のみに用いたり、内外管14いずれかで重量物を支持しつつ、内外管14の嵌合位置の調整により、スタンドのみに用いたり、内外管14いずれかで矩形重量物を支持しつつ、矩形重量物の矩形面の傾斜角度θのみを調整する場合であったが、本実施形態においては、交通標識に適用するために、交通標識の傾斜角度θ、横方向位置、および高さのすべてが調整可能なようにしている点にある。
図19図36ないし図37に示すように、長さ調整治具により互いに嵌合する内外管12,14が、互いに所定間隔を隔てて平行に斜め上方に延びるにように、一対設けられ、一対の内外管12,14の外管14の下部同士が、部材Y3およびY5により連結され、一対の内外管12,14の内管12の上部同士の間には、所定高さに支持すべきスチールパン(楽器)が配置され、各内管12の上端から斜めに吊り下げされ、斜め上方に延設する一対の内外管12,14それぞれをつっかえ支持するように、部材Y1およびY2が一対の内外管12,14の外管14それぞれの下部に連結され、スチールパン(楽器)が4点支持されている。
この場合、一対の内外管12,14それぞれにおいて、長さ調整治具により、内外管12,14の嵌合長さを同じ長さに調整することにより、スチールパン(楽器)を水平向きで所望高さに支持固定されるようにしてある。
さらに、X状交差具Y3、Y4と外管14との連結部にも、本発明の固定支持治具が適用され、スティールパンを所定高さに支持するのに、内外管12、14の嵌合部に対して、本発明の固定支持具を利用するとともに、使い終わって、スタンドを折り畳む際、X状交差具Y3、Y4を直線状にするのに、固定支持治具の締結ネジ部24を緩めて、固定支持治具を外管14に沿って上部に移動すればよい。これにより、スティールパンのような大型重量物を支持する大型スタンドを運搬する際、折り畳むことにより、かさばらず、たとえば、車で運搬するのにも便利であるとともに、片手で可搬可能であり、一方、使用現場でワンタッチでスタンドとして展開することが可能である。なお、固定支持治具の構造は、第11実施形態と同様であるので、その詳しい説明は、省略する。
また、変形例として、図20に示すように、マイクスタンドとして用いる場合、マイク
を一端に固定して高さ調整する斜めバーの外周面に対して、外管全体が嵌合し、この嵌合位置に対して、長さ調整治具10を用いれば、マイクの高さだけでなく横位置を簡易に調整することが可能である。
【0058】
以上、第1実施形態ないし第9実施形態において、長さ調整治具、第10実施形態ないし第12実施形態において、重量物を支持するスタンドとしての固定支持調整治具、第12実
施形態において、傾斜角度調整治具として、説明したが、いずれも内外管12、14同士の嵌合位置において、これらの治具を構成する内外管12、14の一体構造物として共通であり、内外管12、14の一体構造物の製造方法としては、
互いに嵌合する、中実状、または中空状の内管12と中空状の外管14とにおいて、外管14の嵌合部に相当する外表面に一対の貫通スリット18および雌ネジ部72を機械加工、または3Dプリンター造形またはロストワックス加工する段階と、
外表面の外方から一対の貫通スリット18に貫通して、2か所の面接触により内管12の外周面15に対して密着式に押付け可能な、コの字側断面の押付部22であって、バカ穴部32を有する押付部22、および雌ネジ部72に螺合可能な雌ネジ部72およびトルク付与グリップ132を具備する締付ネジ部24とを準備する段階であって、手力のみにより強固に支持可能なように、支持荷重に応じて、トルク付与グリップ132の径を選択し、所定嵌合位置で、トルク付与グリップ132を介しての手力による締付ネジ部24の締付により、雄ネジ部26を前記バカ穴部32を介して雌ネジ部72に螺合させることにより、押付部22を内管12の外周面15に向けて内管12の外周面15に面接触の仕方で押付固定するとともに、押付部22の前記内管12に対する面接触部の反対側の内管12の外周面15を外管14の内周面に対して押付固定することにより、内外管12、14の全体長さ調整治具、または内管12と外管14とを枢軸108を介して回転自在に連結し、内管12と外管14との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管12、14いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管12と外管14とを管の長手方向に対して一体固定して完成する段階とを有するのがよい。
押付部22について、荷重受け面の広さに対して厚みが薄い場合、押付プレートと称してもよく、荷重受け面の広さに対して厚みが厚い場合、いるが、押付ブロックと称してもよい。
【0059】
より詳細には、内管12、外管14について、材質は金属、樹脂のいずれでもよく、固形材料か、溶融材料かを基礎に製造するのでもよく、材質に応じて、製造方法は、以下に大別される。
材質が金属の場合、固形材料の場合には、プレス、切削、穴開け加工等の機械加工、溶融材料の場合には、鋳造、3Dプリンターによる造形、材質が樹脂の場合、固形材料の場合には、機械加工、溶融材料の場合には、射出成形、ブロー成型等の成形、3Dプリンターによる造形による。
特に、金属の鋳造による場合は、ロストワックス法またはフルモールド法が好ましく、金属の3Dプリンターによる造形の場合は、金属粉を用いる。
なお、内管12、外管14について、軽量性の観点から樹脂製が好ましいが、締結ネジの雄ネジ部26および雄ネジ部26が螺合する雌ネジ部72はいずれも、耐久性の観点から、金属製が好ましく、樹脂製外管14の開口を雄ネジ部26とする場合、雄ネジ部26を有する金属製ナットを樹脂製外管14の開口に嵌合したり、樹脂製外管14の厚みが薄い場合には、雌ネジ部72の厚みを確保するために、局所的に厚みを確保するのでもよい。
【0060】
3Dプリント造形物は、3Dプリンタを用いて、熱溶解積層法という公知の方法で造形される。製造方法は、具体的には、樹脂組成物またはフィラメントを溶融する工程と、得られた溶融体を3Dプリント造形物製造装置のノズルから押し出し3Dプリント造形物を造形する工程を有する。
溶融工程は、3Dプリンタ用プロピレン樹脂組成物、または3Dプリンタ用フィラメントである3Dプリント造形用材料を溶融する。3Dプリント造形用材料を溶融する加熱手段は、特に制限されず、公知の加熱手段が適用できる。溶融工程では、例えば電気ヒーター等の加熱手段を備えた3Dプリント造形物製造装置を用いることが好ましい。
3Dプリント造形用材料を溶融する温度は、特に制限されず、熱可塑性樹脂の性質に応じて適宜設定すればよい。3Dプリント造形用材料を溶融する温度は、例えば、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度(Tg)のいずれか高い温度を基準として、+10~150℃の温度としてもよい。
溶融工程では、例えば、3Dプリント造形用材料を溶融し、かつ混練してもよい。3Dプリント造形用材料が溶融及び混練されたことにより、3Dプリント造形用材料はより均一に混ざる傾向にある。そのため、得られた3Dプリント造形物の材料のムラが生じることが抑制され易い。その結果、3Dプリント造形物の変形がより抑制される傾向にある。
【0061】
造形工程は、溶融工程で溶融された3Dプリント造形用材料をノズルから押し出し、3Dプリント造形物を造形する。造形工程では、例えば、溶融された3Dプリント造形用材料を3Dプリント造形物製造装置のノズルから押し出し、複数の2Dデータをもとに、2D層を基板の上に順次積層することにより、3Dプリント造形物を造形することができる。複数の2Dデータは、スライサーソフトウェアによって、造形される3Dプリント造形物の3Dの座標データが輪切りにされて、生成される。
3Dプリント造形物製造装置は、材料押出方式の3Dプリント造形物製造装置を用いることができる。材料押出方式の3次元造形物製造装置は、特に制限はなく、公知の装置又は公知の装置構成を適用することができる。3Dプリント造形物製造装置としては、例えば、シリンダーと、ノズルと、加熱手段と、を備えた装置であってもよい。シリンダーには、3Dプリント造形用材料が供給される。ノズルは、シリンダーの3Dプリント造形用材料の吐出方向下流側の部位に設けられる。ノズルは、3Dプリント造形用材料を吐出する。加熱手段は、シリンダーに設けられる。加熱手段は、3Dプリント造形用材料を加熱し溶融する。
3Dプリント造形物製造装置は、加熱溶融された3Dプリント造形用材料をノズルから押し出し、ノズルから押し出された3Dプリント造形用材料を積層造形する。これにより、3Dプリント造形物が造形される。なお、3Dプリント造形用材料に対して、従来既知の光造形法により、紫外線を当てて固形させるのでもよい。
【0062】
シリンダーは、その内部にスクリューを有していてもよい。スクリューは、3Dプリント造形材料を混練する。
3Dプリント造形物製造装置は、テーブル装置をさらに備えていてもよい。テーブル装置は、ノズルに対向して配置される。テーブル装置上には、ノズルから押し出される溶融状態の3Dプリント造形用材料が積層される。
3Dプリント造形物製造装置は、制御手段をさらに備えていてもよい。制御手段は、基板及びノズルの空間座標、並びに、ノズルから押し出される3Dプリント造形用材料の量を制御する。制御手段は、ノズルから押し出される溶融状態の3Dプリント造形用材料の吐出を制御し、かつ、ノズル及び/又はテーブル装置の、基準面に対するX軸,Y軸,Z軸方向への移動を制御することが好ましい。
なお、紫外線により溶融状態の3Dプリント造形用材料を固める光造形法を用いてもよい。
【0063】
一方、ロストワックス法について、鋳造を製法別に大きく2つに分類すると、鋳型を作成するのに使用する模型を溶出もしくは焼失させることで鋳型から除去し、その隙間の空間に金属溶湯を充填して鋳物を鋳造する方法(ロストワックス法、フルモールド法などの焼失模型法)と、模型そのものは焼失させず、鋳型から脱型(物理的に抜きとる)して鋳型形状を作成する、もしくは鋳型そのものを機械加工等により作成し、鋳物を鋳造する方法(ショウプロセス、ダイキャスト法などの非焼失模型法)である
【0064】
ロストワックス法は、模型材をワックス(ロウ)とし、金型等を用いて成形した模型にスラリー状の鋳型材を積層硬化させた後、脱ロウ(加熱溶出、焼失)し、元の模型のあった空間に金属溶湯を充填し、鋳物を作るという方法である。また、フルモールド法は、模型材を発泡スチロール等の樹脂材とし、金型成形もしくは直接加工して作成した模型を鋳型材中に埋没させ、そのまま金属溶湯を流し込み、模型を消失させながら、金属溶湯を充填していき鋳物を作成する方法である。
【0065】
押付面は外形は細長矩形状であり、ネジの締結力による押付圧力の増減の観点から、細長矩形の面積を定めるのがよく、たとえば、内外管12、14、特に内管12が樹脂状の場合には、内管12の外周面15保護の観点から、細長矩形の面積を確保するのがよい。面形状は、内管12の外周面15に密着して当接可能なように、内管12の外周面15に沿う形状とするのが好ましく、たとえば、内管12が円形断面の場合には、円弧状曲面、内管12が矩形断面の場合には、矩形断面の1つの面に当接させる場合には、平面、矩形断面の隅部に当接させる場合には、隣接交差する2つの面を跨るように、折れ線状に内方に屈曲し、それぞれが平面であるのがよい。
【0066】
以上の構成を有する内外管の一体構造物の製造方法によれば、互いに嵌合する内外管、バカ穴部32を有する押付部22、および雌ネジ部に螺合可能な雌ネジ部およびトルク付与グリップ132を具備する締付ネジ部を準備する際、内外管の一体構造物を長さ調整治具、または傾斜角度調整治具、またはスタンド向け固定支持治具のいずれかの用途に応じて定まる支持荷重に応じて、トルク付与グリップ132の径を選択し、内外管の所定嵌合位置で、トルク付与グリップ132を介しての手力による締付ネジ部の締付により、雄ネジ部をバカ穴部32を介して雌ネジ部に螺合させることにより、押付部22を内管12の外周面15に向けて内管12の外周面15に面接触の仕方で押付固定するとともに、押付部22の内管12に対する面接触部の反対側の内管12の外周面15を外管の内周面に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、または内管12と外管とを枢軸を介して回転自在に連結し、内管12と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または内外管いずれかで重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管12と外管とを管の長手方向に対して一体固定して完成することにより、種々の用途に応じて、手力のみにより内外管同士を強固に支持可能である内外管の一体構造物の製造方法を提供することが可能である。
【0067】
以下に、本発明の第13実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形
態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図38ないし図40を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第13実施形態の特徴は、上述の実施形態においては、締結ネジ24を緩め過ぎて、押付部22が対応する貫通スリット18から完全に抜ける場合があるが、本実施形態においては、そのような事態を未然に防止するようにしている点にある。
【0068】
より詳細には、内外管12、14の嵌合部における締結ネジ24による固定支持を緩める際、締結ネジ24の締結を緩めるのに、締結ネジ24を逆回しすることにより、押付体34の押付面54の内管12の外表面への当接を解除する必要があるところ、締結ネジ24を緩め過ぎて、押付部22が対応する貫通スリット18から完全に抜けることにより、押付部が内外管12、14から脱落し、場合により、小さい部品である押付部22が行方不明となることすら起こり得る。
この場合、コの字状側断面の押付部22の脚部を構成する押付体34の傾斜角度と、押付体34が挿入される貫通スリット18の傾斜角度との間に差を設けることにより、押付体34を変形させながら貫通スリット18に圧入することにより、締結ネジ24を緩め過ぎて、押付部22が対応する貫通スリット18から完全に抜ける場合でも、押付部22が一対の貫通スリット18において係合保持されることにより、脱落を有効に防止することが可能である。
【0069】
以下、外管14の端部に管状ベース部30を、たとえば、ネジ止め固定により嵌合固定している場合として、説明する。
図38ないし図40において、押付体34は、上面44から押付面54に沿う断面が、ハの字状である一方、一対の貫通スリット18の内外管12,14の厚み方向の断面は、ハの字状であり、貫通スリット18はそれぞれ、押付体34が外管14の厚み方向に挿入可能な貫通孔として、互いに対向する傾斜内側面150と傾斜外側面152を有し、一対の押付体34それぞれの傾斜外側面35の上面44に対する第1角度θ2が、対応する貫通スリット18の傾斜面の内管12の外周面15に対する第2角度θ1より大きい場合である。なお、貫通スリット18を構成する傾斜内側面150と傾斜外側面152とは平行に設定されている。たとえば、第1角度θ2と第2角度θ1との差は、1°の二十分の一ないし十分の一である。
【0070】
まず、図38に示すように、内管12が外管14に内嵌した状態で、押付体34の各押付面54を対応する貫通スリット18の開口154に位置決めする。この場合、開口154の幅T2は、傾斜部56の厚みT1より大きく設定されており、開口154における傾斜外側面152の上縁同士の間隔L2は、傾斜部56の押付面54の外縁同士の間隔L1より所定値小さく設定されている。
【0071】
次いで、図39に示すように、締付ネジ部24を締め付けることにより、押付体34の荷重受け面である上面44を介して、押付体34を内管12の外周面15に向かって移動させ、各傾斜部56の押付面54が対応する貫通スリット18の傾斜内側面150に当たるまで押付体34を貫通スリット18内を内管12に向かって移動する。
【0072】
この場合、第1角度θ2が第2角度θ1より大きいことから、締付ネジ部24をさらに締め付けることにより、第1角度θ2が小さくなるように各傾斜部56を強制的に変形させながら、対応する貫通スリット18の傾斜内側面150を案内面として利用しつつ、圧入して、押付体34を貫通スリット18内を内管12に向かって移動する。
【0073】
次いで、図40に示すように、各傾斜部56の押付面54が内管12の外周面15に当接し、締付ネジ部24をさらに締め付けることにより、押付体34により、外管14が内管12に対して、管の長手方向に対して固定保持される。
より詳細には、締付ネジ部24の雄ネジ部26を外管14の雌ネジ部24に螺合させることにより、押付端面54を外管14の貫通スリット18を介して内管12の外周面15に押付け、内管12の外周面15の直径方向反対側の部分が外管14の内周面に当たるまで、内管12を移動させることを通じて、2か所の押付端面54と、1か所の管の長手方向に延びる線接触の計3か所の支持により、内管12は外管14に対して、強固に固定支持される。
なお、押付部34の上面44から押付面54までの長さlは、各傾斜部56の押付面54
が内管12の外周面15に当接可能なように設定しておく。
間隔L2と間隔L1との差である所定値について、締付ネジ部24を手力で締め付ける範囲で、第1角度θ2が小さくなるように各傾斜部56を変形させつつ、対応する貫通スリット18の傾斜内側面150を案内面として利用しつつ、圧入可能な観点から定めればよく、そのために、押付体34の材質、傾斜部56の厚みT1および押付部34の上面44から押付面54までの長さlに応じて、押付体34の曲げ剛性を設定すればよい。
たとえば、押付部34の上面44から押付面54までの長さlを長く設定する際には、
傾斜部56の厚みT1を確保するものよく、押付体34の材質によりヤング率が大きい場合には、押付部34の上面44から押付面54までの長さlを長く、あるいは、傾斜部5
6の厚みT1を小さく設定するのでもよい。
押付体34および貫通スリット18のハの字形状について、押付体34が貫通スリット18に圧入可能である限り、斜め直線状の構成でなく、湾曲状の構成でもよく、その際、圧入面の反対側である傾斜外側面152は、押付体34の貫通スリット18内の移動中にクリアランスが確保可能である限り、自由曲面形状でもよい。
【0074】
以上の構成により、締付ネジ部24を緩めることにより、各傾斜部56の押付面54の内管12の外周面15への当接部における押付力は弱まり、外管14が内管12に対する管の長手方向への固定保持は解除され、外管14が内管12に対する管の長手方向の移動は可能となるものの、押付体34は、各傾斜部56は、原形への復元力により対応する傾斜内側面150に対して押付け保持されるので、締付ネジ部24が脱落しても、押付体34を貫通スリット18から上方に抜こうとしても、傾斜外側面152に当たり、押付部22は、貫通スリット18内に保持され、小物である押付部34が内外管12,14とバラバラになるのを防止可能である。
なお、押付部22が圧入により八の字が変形する際、押付面54が内管12の外周面15に当接するように、変形前に押付面54の向きも考慮して加工しておく必要がある。
【0075】
変形例として、第1角度θ2が第1角度θ2より大きくなるように設定することにより、押付体34を貫通スリット18内に挿入する際、傾斜外側面152に当たり、傾斜外側面152を案内面として、第1角度θ2が小さくなるように圧入するのでもよい。
別の変形例として、外管14の外周面16において、雌ネジ部20の直径方向反対側に開口を設けたうえで、締結ネジ24の雄ネジ部26を押付けプレートのバカ穴部32を介して雌ネジ部20にねじ込み、雄ネジ部26の先端部が外管14の内周面から突出した際、開口から外管14の内部に加工具を挿入して、内外管12、14の嵌合部における管長手方向の相対移動の障害にならない限度で、雄ネジ部26の先端部をカシメて、貫通スリット18の外管14の内周面側開口のまわりに張り出し部を形成することにより、締結ネジ24を緩め過ぎて、押付部の押付部22が対応する貫通スリット18から完全に抜けるのを防止するのでもよい。
【0076】
以下に、本発明の第14実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形
態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図41を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第14実施形態の特徴は、第13実施形態においては、押付部22を対応する貫通スリット18内に圧入することにより、締結ネジ24を緩め過ぎて、押付部の押付部22が対応する貫通スリット18から完全に抜ける場合でも、押付部22が一対の貫通スリット18において係合保持されることにより、脱落を有効に防止することが可能としたが、本実施形態においては、押付部22の脱落を防止する点は共通であるが、押付部22の押付体34に対して、差し込みロッドを差し込む点にある。以下、外管14の端部に管状ベース部30を、たとえば、ネジ止め固定により嵌合固定している場合として、説明する。
より詳細には、図41に示すように、一対の押付体34のうち、外管14の外管14と内管12との嵌合部側の端部に近い側の押付体34において、押付体34を構成する対向する一対の側面のうち外管14の端部に近い側の側面から押付体34の厚み方向に差し込み用穴204が設けられ、外管14の嵌合部側の端面201には、端面201に円形開口を有し外管14の端部に近い側の側面まで貫通して延びる円形断面の細長穴202が設けられ、円形開口から細長穴202に挿入可能な差し込みロッド200をさらに有し、押付プレートを一対の貫通スリット18内に挿入することにより、細長穴202が差し込み用穴204に連通し、差し込みロッド200の先端部208が差し込み用穴204に差し込まれることにより、押付プレートは、一対の貫通スリット18内に保持される。
細長穴202は、雌ネジ部206を有し、差し込みロッド200は、細長穴202の雌ネジ部206に螺合可能な一定径のイモネジ200であり、イモネジ200が細長穴202に螺合しながら、先端部208が差し込み用穴204に差し込まれることにより、押付プレートは、一対の貫通スリット18内に着脱自在に保持される。
差し込み用穴204は、イモネジ200の差し込み用穴204への差し込みに対して、押付体34が所定範囲で移動可能なように押付体34の移動方向に縦長向きの楕円状断面を有し、押付体34の厚み方向には、貫通しなくてもよい。
雌ネジ部206は、細長穴202の長さ方向全体に亘って設けられ、イモネジ200を細長穴202の円形開口より挿入し、先端部が差し込み用穴204内に突出するまで、雌ネジ部206に螺合させるようにしている。
変形例として、雌ネジ部206は、細長穴202の長さ方向全体に亘って設けず、細長穴202の円形開口から途中までイモネジ200を挿入可能なバカ穴を設け、外管14の端部に近い側の側面近傍から側面までに亘って設けるのでもよく、これにより、イモネジ200の取り付けを簡便に行うことが可能である。
また、雄ネジ部を有するイモネジ200ではなく、単に細長穴202に挿入可能な差し込みロッド200でもよく、この場合、差し込みロッド200の径は、細長穴202に締まり嵌め可能にする必要がある。
以上の構成によれば、第13実施形態においては、押付部22について、荷重受け面を構成する上面44から押付面54に向かって末広がりのハの字状側断面としていたが、金属製押付部22の場合、機械加工にそれなりの手間を有するところ、本実施形態においては、コの字状側断面の押付部22でよく、機械加工も単純でありながら、押付部22の脱落を有効に防止することが可能である。
【0077】
以下に、本発明の第15実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形
態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について、図42ないし図46を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第15実施形態の特徴は、上述の実施形態においては、押付体34を内管12の外周面15に対して押付けるのに、締結ネジ部24によるネジ込み式の回転によって行っていたが、本実施形態においては、押付体34を内管12の外周面15に対して押付けるのに、締結ネジ部24の代替として、押付レバー機構300を採用した点にある。
【0078】
以下、外管14の端部に管状ベース部30を、たとえば、ネジ止め固定により嵌合固定している場合として、説明する。
押付レバー機構300は、押付体34を内管12の外周面15に対して押付ける押付レバー301と、押付レバー301を非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動可能とする、外管14と平行に延びる枢軸306と、枢軸306を外管14(管状ベース部)の外周面から所定高さに保持するピン304と、を有する。
押付レバー301は、略おたまじゃくし断面の一体構造品であり、指で把持するグリップレバー部302と、グリップレバー部302と一体で枢軸306を中心に回動する回動部303とを有し、回動部303の中心部に枢軸306が設けられる。より詳細には、回動部303には、切り欠き310が設けられ、互いに対向する回動部位に分離され、切り欠き310内にピン304が位置決めされ、ピン304を貫通する枢軸306が、各回動部位に設けた円形断面の貫通孔を貫通し、各回動部位、すなわち、押付レバー301が枢軸306を中心に非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動可能としている。押付レバー301は、軽量性の観点から樹脂製でもよい。グリップレバー部302の枢軸306の中心Oからの腕の長さLは、てこの原理により、手力で十分に押付レバー301を押し下げられるように定めるのがよい。
各回動部位は、湾曲周面308を有し、押付レバー301を枢軸306を中心に非押付周方向位置と押付周方向位置との間で回動する間、湾曲周面308のいずれかの部位が、押付体34の上面44に当接保持され、それにより、押付レバー301の回動により、押付体34が貫通スリット18内で外管14の厚み方向に移動するようにしている。
【0079】
より詳細には、図44に示すように、湾曲周面308は、非押付周方向位置においては、枢軸306の中心Oと押付体34の上面44との距離はR1、押付開始周方向位置(図42)においては、枢軸306の中心Oと押付体34の上面との距離はR2で、押付終了周方向位置においては、枢軸306の中心Oと押付体34の上面との距離はR3で、R1>R2>R3と設定され、それにより、R2とR3との差分により、押付体34が内管12の外周面15に対して押付けられるようにしている。
R2とR3との差分量は、押付体34による押付力が内外管12,14の固定保持に十分なように設定すればよく、たとえば、外管14の厚みが数ミリである場合、R2とR3との差分量は、その二十分の一ないし十分の一程度である。
湾曲周面308は、 R1から滑らかにR3になるように設定され、押付レバー30
1が押付周方向位置に固定保持されるように、押付レバー301の押付開始周方向位置に相当する湾曲周面部位から、枢軸306の中心Oに対する中心角度範囲として、たとえば、90度、R3一定となる円弧部位を形成し、そこから徐々に小さくなるように設定するのがよい。湾曲周面308の全体は、互いに滑らかに接続する複数の円弧部の組み合わせから構成してもよく、または長径がR3に相当する楕円状でもよい。
押付レバー301を押付開始周方向位置に位置決めした際、手力により押し下げがしやすいように、グリップレバー部302は略直立向きとなり、押付レバー301を押付終了周方向位置に位置決めした際、グリップレバー部302が外管14の外周面から出っ張って邪魔とならないように、外管14の外周面に近接する向きとなるように、かつ、グリップレバー部302の内面316と外管14の外周面との間に指を入れるスペース314が形成されるように、グリップレバー部302の湾曲形状を定めるのがよい。
【0080】
ピン304は、下端が外管14の外周面16にネジ固定されて直立し、途中に枢軸306が貫通可能な貫通孔(図示せず)が設けられる。下端部でのねじ込み量を調整することにより、枢軸306の外管14の外周面16からの高さが調整可能となっている。
以上の構成によれば、ピン304の外管14に対するねじ込み量を調整することにより、枢軸306の外管14の外周面16に対する高さを調整したうえで、押付レバー301を枢軸306を中心として非押付周方向位置から押付周方向位置まで回動させることにより、押付体34は回動部303の湾曲周面308を介して内管12の外周面15に対して押付けられ、締結ネジ部24によるネジ込み式の回転による第1実施形態ないし第11実施形態に比べて、押付レバー301の非押付周方向位置から押付周方向位置までのワンタッチの押し下げにより、押付レバー301の押付周方向位置を保持した状態で、内外管12,14を固定保持することが可能であり、逆に、押付レバー301の押付周方向位置から非押付周方向位置までのワンタッチの押し上げにより、内外管12,14の管の長手方向の相対移動が可能である。
変形例として、ピン304と枢軸306とを一体構造としてもよい。すなわち、ピン304に枢軸306の貫通孔を設けることなしに、ピン304の外周面において、直径方向反対同士の位置から、互いに逆方向に延びる枢軸306を別々に設けてよい。
なお、枢軸306の外管14の外周面16からの高さが調整不要の場合には、ピン304の下端に回転可能にネジ部を設けずに、固定するのでもよい。
【0081】
ピン304について、変形例を図47に示す。図47において、図47(A)は、雄ネジ
部310と本体部322とが一体の場合であり、図47(B)は、雄ネジ部310と本体
部322とが別個の場合である。いずれも、雄ネジ部310の、外管14または外管14に嵌合する管状ベース部30の雌ネジ部326へのねじ込み量を調整することにより、本体部322、すなわち貫通孔318に嵌合する枢軸306の外管14または外管14に嵌合する管状ベース部30の外周面16に対する高さを調整可能であり、以て、押付レバー300の押し下げによる押付け体の内管12の外周面15に対する押付力および押付レバー300による押付完了の際の先端部312と外管14または外管14に嵌合する管状ベース部30の外周面16との間隔を調整可能であることは共通であるが、以下の点で相違する。
【0082】
図47(A)においては、ねじ込み量を調整するためには、ピン304を回転し、それに
より、枢軸306を介してピン304に固定される押付レバー300の設置向きが変動するので、ねじ込み調整量が小さい場合に適する。一方、図47(B)においては、雄ねじ部310は、本体部322の中空部320に挿入され、本体部322の底面324のバカ穴328から突出し、雌ネジ部326へのねじ込みにより、本体部322は雄ねじ部310に対して回転自在に支持される。雄ねじ部310の径は、中空部320内に挿入可能なように、中空部320の径より小さく設定される。この場合、押付レバー300を押し下げることにより、枢軸306を介して本体部322は逆に上方に引っ張られ、本体部322の底面324が雄ねじ部310のヘッド部330の下面に当接することから、これにより、本体部322は、雄ネジ部310の回転により共回りすることなく、雄ネジ部310に対して強固に固定可能である。よって、ねじ込み調整量が大きい場合であっても、押付レバー300の設置向きを変動させることなく、押付レバー300を押し下げの際には、雄ネジ部310に対して強固に上下方向に固定可能である。
【0083】
以上、本実施形態は、荷重受け面に当接しながら、荷重受け面に平行な軸線を中心に回転する環状周面308を有する押付けレバー機構300を有し、環状周面308は、軸線からの半径が第1半径から拡径して第2半径まで変化する湾曲状で、押付けレバー300の
レバーの回転により、一対の押付体34が対応する貫通スリット18内でスリットの厚み方向に移動可能であり、外管14の外周面16から所定高さに設けられた軸線を中心に押付けレバー機構300のレバーを回転させることにより、第1半径と第2半径との中間半
径に相当する回転位置で、押付体34が内管12の外周面15に向かって押付開始するとともに、第2半径に相当する回転位置で、押付体34が内管12の外周面15に向かって押付終了し、押付端面を内管12の外周面15に面接触させるとともに、押付端面の内管12に対する面接触部の反対側の内管12の外周面15を外管14の内周面に対して押付固定するので、第1実施形態の締結ネジ部24のヘッド部58の径を大きくすることなく、第13実施形態の押付体34をハの字タイプとする高度な機械加工が不要であり、ねじ込みの手間を要する第14実施形態のイモネジ200を省いても、部品がバラバラにならずに、ワンタッチで人力で大きなトルクで押付可能である。
【0084】
なお、押付レバー機構300は、第1実施形態の図23のように、一対の押付体34の一方と他方の設置向きが異なる場合にも適用可能であり、ピン304に対して、上述のねじ込みタイプを採用する場合には、第13実施形態のハの字断面タイプの一対の押付体34、または第14実施形態のイモネジ200を採用することにより、ピン304が万が一外管14から外れた場合でも、一対の押付体34が外管14から脱着してバラバラになることを有効に防止することが可能である。
【0085】
第9実施形態においては、地震対策用つっかえ、第10実施形態においては、太陽光パネル向けスタンド、第11実施形態においては、交通標識、第12実施形態においては、スチールパンまたはマイク用スタンドに、それぞれ内外管の長さ調整治具、一体固定支持治具、一体固定保持治具として適用する場合を説明したが、その他の適用事例を以下に示す。
【0086】
図48は、譜面用スタンド400に適用した例である。内外管の固定支持治具は、第13実施形態を採用している。
すなわち、手力で締め付け可能な締付ネジ部24とともにハの字状断面の押付体34を採用することにより、外観上目立つことなく、締付ネジ部24の締付により、内外管12,14の嵌合部を固定保持可能であり、たとえば、演奏中に譜面台402が下方にずれ落ちることを確実に防止可能であるとともに、譜面台402の高さ調整の際、締付ネジ部24を緩め、締付ネジ部24が外管14の雌ネジ部から外れた場合でも、押付体34は、貫通スリット18内に保持された状態となる。また、スタンド400の支持部の三脚部404それぞれの一端と外管14との間に内外管の固定支持治具を適用することにより、三脚部404それぞれを開閉式にすることが可能であり、演奏使用時には、三脚部404それぞれの一端を外管14に対して下方に移動することにより、三脚部404それぞれを開き、スタンドとして支持可能とし、一方、保管、運搬時には、三脚部404それぞれの一端を外管14に対して上方に移動することにより、三脚部404それぞれを閉じて、かさばらないようにすることが可能である。
【0087】
図49は、自転車に適用した例である。内外管12,14の固定支持治具は、第15実施形態を採用している。
すなわち、手力で押し下げ可能な押付けレバー機構300を採用することにより、サドル502および/またはハンドル504の高さ調整の際、内外管12,14の嵌合長さを調
整して、ワンタッチで内外管12,14の嵌合部を固定保持可能であり、たとえば、自転車運転中にサドル502および/またはハンドル504が下方にずれ落ちることを確実に
防止可能であるとともに、再度、サドル502および/またはハンドル504の高さを調
整する際にも、押付けレバー機構300のレバーをワンタッチで逆方向に押し上げることにより、内外管12,14の相対移動が自由となり、押付けレバー機構300のレバーの押し下げによる外管14の内管12に対する押付力は、押付けレバー機構300の回動部303の形状またはピン304の外管14または管状べ―ス部30に対するねじ込み量により調整可能である。
【0088】
図50は、テーブルに適用した例である。内外管12,14の固定支持治具は、第13実施形態を採用している。
すなわち、テーブル本体602の4本の脚部604それぞれにおいて、手力で締め付け可能な締付ネジ部24とともにハの字状断面の押付体34を採用することにより、締付ネジ部24はテーブル下方において、内方に向けることにより外観上目立つことなく、締付ネジ部24の締付により、内外管12,14の嵌合部を固定保持可能であり、屋内の装飾的テーブルにも適するし、屋外において、テントによるアウトドアアクティビティの際にも仮設食卓用テーブルとして、現地への搬送の際は、脚部の長さを短くすることにより、かさばらずに搬送可能である。
【0089】
図51は、仮設テントフレームに適用した例である。内外管12,14の固定支持治具は、第15実施形態を採用している。
すなわち、複数組の内外管12,14の嵌合により立体骨組が構成される仮設テント用フレームにおいて、手力で押し下げ可能な押付けレバー機構300を採用することにより、仮設テントの組立の際、内外管12,14の嵌合長さを調整して、ワンタッチで内外管12,14の嵌合部を固定保持可能であり、たとえば、悪天候で強風の場合であっても、立体骨組がくずれるのを確実に防止可能であるとともに、分解の際、押付けレバー機構300のレバーをワンタッチで逆方向に押し上げることにより、内外管12,14の相対移動が自由となり、複数組の内外管12,14であっても、手間を要せずに分解可能である。その際、押付けレバー機構300のレバー押し下げによる外管14の内管に対する押付力は、押付けレバー機構300の回動部303の形状またはピン304の外管14または管状べ―ス部30に対するねじ込み量により調整可能である。さらに、現地への搬送の際は、内外管12,14の嵌合長さの調整による仮設テント用フレームの小型化により、かさばらずに搬送可能である。
【0090】
図52および図53は、刺股に適用した例である。内外管12,14の固定支持治具は、第15実施形態を採用している。
すなわち、互いに嵌合する内外管12,14であって、外管14の先端にグリップ部804を有し、内管12の先端にU字部802を設けた刺股において、手力で押し下げ可能な
押付けレバー機構300を採用することにより、刺股の全長の調整の際、内外管12,14の嵌合長さを調整して、ワンタッチで内外管12,14の嵌合部を固定保持可能であり、たとえば、刺股の内管の先端に設けたU字部802を攻撃相手に押し付ける際、内外管
12,14の嵌合部を確実に固定保持可能であるとともに、再度、刺股の全長を調整する際にも、押付けレバー機構300のレバーをワンタッチで逆方向に押し上げることにより、内外管12,14の相対移動が自由となる。特に、刺股の場合、たとえば、U字部80
2を攻撃相手の体に挟んでねじることがあり、内外管12,14の長手方向の相対回転を防止することが重要であり、押付けレバー機構300のレバー押し下げによる外管14の内管に対する押付力を、押付けレバー機構300の回動部303の形状またはピン304の外管14または管状べ―ス部30に対するねじ込み量により増大することが可能である。この点、さらに、内外管12,14の長手方向の相対回転を防止するために、第1実施形態のように、内管12の外周面15に長溝130または互いに長手方向に間隔を隔てた複数の穴128を設けて、締付ネジ部24の先端を長溝130または所定の穴128に挿入することにより、補強してもよい。なお、図53は、押付けレバー機構300の向きを内外12、14の延び方向に直交する向きから内外12、14の延び方向に沿う向きにした変形例である。
【実施例
【0091】
本発明者は、本発明の効果を確認するために、試作品を製造して、限界荷重試験を行った。
試作品は、金属製または樹脂製の内管12と、内管12に嵌合する外管14と、外管14の端部に強固に固定され、雌ネジ部72と、雌ネジ部72を挟んで設けられる一対の貫通スリット18を具備する管状部102と、バカ穴部32を有するコの字側断面の金属製押付け体と、押付け体のバカ穴部32を介して外管14の雌ネジ部72に螺合する雄ネジ部26を有する締結ネジとからなる。なお、比較対象として、従来品として、管状部102に管の長手方向に対向する一対の張り出しフランジ116を設け、各張り出しフランジ116に設けた雌ネジ部72に対して、締結ネジを締め付けることにより、一対の張り出しフランジ116間のクリアランスを狭め、以て、外管14の内周面を内管12の外周面15に対して押付けることにより行う治具を準備した。
具体的な試験方法は、スクリューに対してハンマートレンチにより所定トルクを付与することにより、押付け体の押付け面により、内管12の外周面15に押付けた状態で、外管14の下端を水平試験台に載置することにより、管状部102を介しての内外管12、14の一体構造物を直立固定して、内管12の上端から圧縮荷重を内外管の延び方向である鉛直方向に付与して、外管14が内管12に対して移動し始める限界圧縮荷重を測定した。
数種類の試作品各々に対して、所定トルクをパラメータに、限界圧縮荷重の変化を把握した。
【0092】
試験条件を図29に、試験結果を図30ないし図32に示す。いずれの場合も、荷重負荷とともに、試作品の材料固有のわずかな圧縮が生じ、試作品による内外管12、14の固定支持が限界となる限界荷重に達し、それ以降は、移動とともに荷重の減少が生じており、本試験では、所定トルク下での限界荷重を測定している。
【0093】
図29によれば、外管14 真鍮製、32φ、肉厚4ミリ 内管12 真鍮製、ネジ M
10(ピッチ1.5ミリ)を前提に、トルクは約30Nにより、限界支持荷重約400KGであり、機械的にトルクを付与すれば、日用品のスタンドのみならず、屋外設置の工業用スタンド、たとえば、太陽光パネル向けスタンドにも十分適用可能であることを確認した。
また、本結果によれば、支持荷重が100KGの場合、必要なトルクは約30Nの4分の1の約7.5Nであり、手力による最大トルク1.6Nに対して約5倍であるところ、グリップ径を5倍に拡径すれば、手でグリップして手力を使って、支持荷重が100KGに耐えるトルクを付与するのは実用的に十分可能であることを確認した。
図30ないし図32によれば、手力による最大トルク1.6Nに対して、従来品の限界支持荷重が約200Nに対して、今回の試作品は、約4倍の800Nである点、手力範囲内のトルク0.8Nに対して、ABS樹脂の内外管12、14の限界支持荷重が約90Nに対して、今回の試作品は、約3倍の270Nである点であり、ABS樹脂の内外管12、14の場合、内管12の外表面の押付面の当接部には、管の長手方向にひっかき傷状の浅い凹部が形成されている点を確認した。なお、内管12を樹脂製とする場合には、締結ネジによる締付により押付体34の押付面が内管12の外周面15に押付られることから、押付面の面積が小さすぎると、内管12の外周面15に対する押付圧力が高まり、内外管12、14の長手方向の荷重を支持する際、内管12の厚みを確保して内管12自体の変形を防止可能であるとしても、内管12の外周面15に引っかき傷が付いたり、場合により凹みが発生することがあることから、内管12の樹脂の硬度を考慮して、手力で締結ネジを締付けても押付圧力が内管12の外周面15の損傷を防止可能な範囲となるように、押付体34の押付面の面積を調整するのがよいと推察される。
以上、本試験によれば、支持荷重に応じて、トルク付与グリップ132の径を選択することにより、実用的な範囲で手力により安定的な荷重支持が可能である点を確認した。
【0094】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、第1実施形態において、内管12の外表面の保護の観点から、締結ネジ部24の雄ネジ部26の先端が外管14または管状ベース部102の雌ネジ部20を貫通して、内管12の外表面に当たらないようにするものと説明したが、それに限定されることなく、内外管12、14が金属製の場合には、押付体34の押付面54に加えて、締結ネジ部24の雄ネジ部26の先端が内管12の外表面に当たることにより、外管14の内管12に対する位置固定をより強固にすることが可能であり、内外管12、14を鉛直向きとして、内外管12、14いずれかにより、重量物を所定高さで支持するのに有効である。
たとえば、第3実施形態において、外管14の外周面1616に、単一の貫通スリット18を雌ネジ部20から所定間隔内に設けていたが、それに限定されることなく、第2実施形態のように、外管14の一端部に装着固定される管状ベース部30を設け、管状ベース部30の外周面16に単一の貫通スリット18を雌ネジ部20から所定間隔内に設けるのでもよい。
【0095】
たとえば、第1実施形態において、締付ネジ部24が雄ネジ部26と、指で摘まんで回転させるヘッド部58と有するのに対して、外管14の外周面1616に雌ネジ部20を設けるものと説明したが、それに限定されることなく、外管14の外周面1616に雄ネジ部26を設けるのに対して、締付ネジ部24が、雄ネジ部26に螺合するナット状であってもよい。
たとえば、第1実施形態において、内外管12、14の所定位置に単一の長さ調整治具を設けるものと説明したが、それに限定されることなく、たとえば、一対の貫通スリット18を内外管12、14の長手方向に間隔を隔てて設ける場合に、このような一対の貫通スリット18を、内外管12、14の周方向に複数組、設け、それに応じて、複数の押付部22を設けるのでもよい。
なお、第2実施形態ないし第7実施形態において、任意に組み合わせるのもよく、たとえば、外管14の厚みが薄く、内管12の外周面が滑る場合には、外管14の外周面1616に管状突起部65を設けつつ、内管12と外管14との間に保護板78を設けるのでもよく、たとえば、長時間、内外管12、14同士の延び方向の相対回転を抑制しつつ、固定保持する場合には、外管14の外周面1616と押付部22との間にコイルバネ76を設けつつ、一対の貫通スリット18および一対の貫通スリット18の間の雌ネジ部20の向きを内管12と外管14の延び方向に対して斜めとするのでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の外管14の部分斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の締結ネジ部24の斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の押付体34の斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の押付体34の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の横断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の縦断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の断面模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る長さ調整治具の斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る長さ調整治具の斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る長さ調整治具の図6と同様な図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図15】本発明の第6実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図16】本発明の第6実施形態に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図17】本発明の第6実施形態の変形例に係る長さ調整治具の分解斜視図である。
図18】本発明の第7実施形態に係る長さ調整治具の斜視図である。
図19】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具を楽器用スタンド用途として適用した場合の斜視図である。
図20】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具をマイクスタンド用途として適用した場合の斜視図である。
図21】本発明の第8実施形態に係る長さ調整治具の図1と同様な図である。
図22】本発明の第9実施形態に係る長さ調整治具を地震つっかえ用途として適用した場合の斜視図である。
図23】本発明の第1実施形態に係る長さ調整治具の変形例の斜視図である。
図24】本発明の第10実施形態に係る矩形板状重量物の支持および傾斜角度調整装置の斜視図である。
図25】本発明の第10実施形態に係る矩形板状重量物の支持および傾斜角度調整装置の傾斜角度調整治具の部分拡大斜視図である。
図26】本発明の第10実施形態に係る矩形板状重量物の支持および傾斜角度調整装置の傾斜角度調整治具の線A―Aに沿う部分断面図である。
図27】本発明の第11実施形態に係る交通標識Tの向きおよび位置調整装置の斜視図である。
図28】本発明の第11実施形態に係る交通標識Tの向きおよび位置調整装置の変形例の斜視図である。
図29】限界支持荷重測定試験の試験条件を示す表である。
図30】限界支持荷重測定試験の結果を、縦軸を支持荷重、横軸を変位として示すグラフである。
図31】限界支持荷重測定試験の結果を、縦軸を支持荷重、横軸を変位として示すグラフである。
図32】限界支持荷重測定試験の結果を、縦軸を支持荷重、横軸を変位として示すグラフである。
図33】本発明の第1実施形態の変形例に係る長さ調整治具まわりの内外管の斜視図である。
図34】本発明の第1実施形態の変形例に係る長さ調整治具まわりの内外管の側断面図である。
図35】本発明の第1実施形態の別の変形例に係る長さ調整治具まわりの内外管の斜視図である。
図36図19の長さ調整治具まわりの部分拡大斜視図である。
図37図19のスタンドを折り畳んだ状態の斜視図である。
図38】本発明の第13実施形態の長さ調整治具まわりの内外管の部分側断面図である。
図39】本発明の第13実施形態の長さ調整治具まわりの内外管の部分側断面図である。
図40】本発明の第13実施形態の長さ調整治具まわりの内外管の部分側断面図である。
図41】本発明の第14実施形態の長さ調整治具まわりの内外管の部分側断面図である。
図42】本発明の第15実施形態の長さ調整治具まわりの部分斜視図である。
図43】本発明の第15実施形態の長さ調整治具まわりの部分斜視図である。
図44】本発明の第15実施形態の長さ調整治具まわりの正面図である。
図45】本発明の第15実施形態の図42の線A-Aに沿う断面図である。
図46】本発明の第15実施形態の変形例の図44に相当する正面図である。
図47】本発明のピン304の変形例の部分断面図および部分斜視図である。
図48】本発明の固定保持治具を譜面スタンドに適用した全体斜視図である。
図49】本発明の固定保持治具を自転車に適用した全体斜視図である。
図50】本発明の固定保持治具をテーブルに適用した全体斜視図である。
図51】本発明の固定保持治具をテント用フレームに適用した全体斜視図である。
図52】本発明の固定保持治具を刺股に適用した全体斜視図である。
図53】本発明の固定保持治具を刺股に適用した変形例の全体斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
D 一対のスリット部の間隔
W 矩形板状重量物
P 両支持バーの構成する平面
θ 傾斜角度
R1 最小半径
R2 中間半径
R3 最大半径
L 押付レバーの長さ
10 長さ調整治具
12 内管
14 外管
15 外周面
16 外周面
17 内周面
18 貫通スリット
20 雌ネジ部
22 押付部
24 締付ネジ部
26 雄ネジ部
28 一端部
30 管状ベース部
32 バカ穴部
34 押付体34
36 シャンク部
38 下面
40 環状面
42 突起部
44 上面
46 当接面
48 中央部
50 端部
54 押付面
56 傾斜部
58 ヘッド部
65 管状突起部
70 ナット部
72 雌ネジ部
74 雄ネジ部
76 コイルバネ
78 保護板
80 浅溝
82 弾性部
84 棚側固定部
86 当接面
88 受け入れ部
89 当接面
90 天井側固定部
92 当接面
94 受け入れ部
96 下端面
98 上端面
100 矩形板状重量物の支持および傾斜角度調整装置
101 傾斜角度調整治具
102 管状部
104 第1支持バー
106 上端
108 枢軸
110 下端
112 第2支持バー
114 先端面
116 一対の張り出しフランジ
118 端部
120 第1貫通穴
122 第2貫通穴
124 X字交差部材
126 斜め管
128 孔
130 細長溝
132 トルク付与グリップ
140 内周面
142 外側面
154 開口
200 イモネジ
201 端面
202 細長穴
204 差し込み用穴
206 雌ネジ部
208 先端部
300 押付レバー機構
302 グリップレバー部
303 回動部
304 ピン
306 枢軸
308 湾曲周面
310 切り欠き
312 先端
314 スペース
316 内面
318 貫通孔
320 中空部
324 底面
326 雌ネジ部
328 バカ穴
330 ヘッド部
332 凹部
334 開口
400 譜面台用スタンド
402 譜面台
404 三脚部
500 自転車
502 サドル
600 テーブル
602 テーブル面
700 仮設テント用フレーム
702 脚部
704 屋根部
800 刺股
802 U字部
804 グリップ部

【要約】
互いに嵌合する、内管(12)と外管(14)とにおいて、外管に一対の貫通スリット(18)および雌ネジ部(72)を加工する段階と、一対の貫通スリットに貫通して、2か所で内管に押付け可能な、コの字側断面であって、バカ穴部(32)を有する押付部(22)、および雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部(26)およびトルク付与グリップ(132)を具備する締付ネジ部(24)とを準備し、所定嵌合位置で、トルク付与グリップを介しての手力による締付ネジ部の締付により、雄ネジ部をバカ穴部を介して雌ネジ部に螺合させ、押付部を内管に押付固定するとともに、内管を外管に対して押付固定することにより、内外管の全体長さ調整治具、内管と外管との嵌合位置の調整を通じての傾斜角度調整治具、または重量物を支持固定するスタンド向け固定支持治具を構成しつつ、内管と外管とを管の長手方向に対して一体固定する段階とを有する、ことを特徴とする内外管の一体構造物の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図19
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53