(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-29
(45)【発行日】2025-06-06
(54)【発明の名称】香味吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20250530BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2023512543
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014599
(87)【国際公開番号】W WO2022215156
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-05-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】桝田 雄気
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 則善
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 竜二
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0239568(US,A1)
【文献】特表2021-500032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0273383(US,A1)
【文献】実開平04-122213(JP,U)
【文献】特開2016-152180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0295890(US,A1)
【文献】特表2021-500006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと接続される第2ハウジングと、
マグネット及び前記マグネットに引き寄せられる磁性体と、を有し、
前記第1ハウジングは、第1パネル部と、第1パネル部の周縁から第1パネル部に対して角度を有して延びる第1周壁部と、前記第1周壁部によって画定される開口と、を有し、
前記第1周壁部は、前記第2ハウジングと当接する第1当接面を有し、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの前記開口を覆うように前記第1ハウジングに接続され、
前記第1当接面と平行な第1方向における前記第2ハウジングの長さは、前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の前記第1方向における長さよりも小さ
く、
前記マグネット及び前記磁性体のいずれか一方は、前記第1ハウジングに直接的又は間接的に保持され、
前記マグネット及び前記磁性体の他方は、前記第2ハウジングに直接的又は間接的に保持され、
前記マグネット及び前記磁性体は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態を維持するように構成される、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記第1当接面と直交する第2方向からみて、前記第1方向における前記第2ハウジングの外縁は、前記第1方向における前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の内側に位置する、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
消費材のための霧化部を有し、
前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに接続されていない状態において、前記第1ハウジングは前記霧化部を保持するように構成される、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1当接面と直交する第2方向からみて、前記第2ハウジングの外縁は、前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の内側に位置する、香味吸引器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの前記第1当接面と対向する第2当接面を有し、
前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態において、前記第2ハウジングの前記第2当接面を除いて、前記第2ハウジングは前記第1ハウジングから離間している、香味吸引器。
【請求項6】
請求項
1から5のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記マグネット及び前記磁性体は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態において、互いに離間している、香味吸引器。
【請求項7】
請求項
1から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記マグネットを取り囲むヨークを有し、
前記マグネットは、前記磁性体と対向する第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有し、
前記ヨークは、前記マグネットの前記第2面と、前記マグネットの前記側面の少なくとも一部と、を覆う、香味吸引器。
【請求項8】
請求項
7に記載された香味吸引器において、
前記ヨークは、前記マグネットの前記側面の一部を覆う側壁部を有し、
前記マグネットは、前記ヨークの前記側壁部より前記磁性体に向けて突出する、香味吸引器。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを互いに位置決めするための凹部及び凸部を有し、
前記第1ハウジングは、前記凹部又は前記凸部のいずれか一方を有し、
前記凸部は前記凹部に嵌合するように構成される、香味吸引器。
【請求項10】
請求項
1から5のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1ハウジングに設けられた第1収容部と、
前記第2ハウジングに設けられ、前記第1収容部と対向する第2収容部と、を有し、
前記マグネットは、前記第1収容部又は前記第2収容部の一方に配置され、
前記磁性体は、前記第1収容部又は前記第2収容部の他方に配置され、
前記マグネットと前記磁性体との間の第1距離は、前記第1収容部及び前記第2収容部のそれぞれの周縁部間の第2距離より大きい、香味吸引器。
【請求項11】
請求項
10に記載された香味吸引器において、
前記マグネットの磁気を検出する磁気検出素子と、
前記マグネットを収容するとともに、前記マグネットと前記磁気検出素子との間に位置するヨークと、を備え、
前記ヨークは、前記マグネットを取り囲む側壁部を有し、
前記側壁部と前記磁性体との間の第3距離は、前記第2距離より大きい、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する。また、このような香味吸引器において、装置の保護又はカスタマイズ等を目的として、装置の外部に着脱可能に取り付けられる部材が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、上記部材は、磁石によって香味吸引器に着脱可能に取り付けられ得る。このような着脱可能な部材は、ユーザが香味吸引器を取り扱っているときに外部から力が加わって意図せず香味吸引器から外れてしまうことが想定される。具体的には例えば、ユーザが香味吸引器をバッグや衣服のポケットに出し入れするときに、バッグや衣服が部材に引っかかり、この部材が意図せず香味吸引器から外れる恐れがある。
【0005】
本発明の目的の一つは、香味吸引器の部材が香味吸引器から外れることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1形態によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、第1ハウジングと、前記第1ハウジングと接続される第2ハウジングと、を有する。前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングと当接する第1当接面を有する。前記第1当接面と平行な第1方向における前記第2ハウジングの長さは、前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の前記第1方向における長さよりも小さい。
【0007】
第1形態によれば、第2ハウジングが第1ハウジングの第1当接面において当接し、第2ハウジングの第1方向における長さが、第1ハウジングの第1当接面の外縁の第1方向における長さよりも短い。これにより、第1方向において第2ハウジングが第1当接面からはみ出ないように第2ハウジングを第1ハウジングに装着できるので、第2ハウジングに何らかの部材が引っかかって第1ハウジングから外れることが抑制され得る。
【0008】
第2形態は、第1形態において、前記第1当接面と直交する第2方向からみて、前記第1方向における前記第2ハウジングの外縁は、前記第1方向における前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の内側に位置する、ことを要旨とする。
【0009】
第2形態によれば、第1当接面と平行な所定の第1方向において、第2ハウジングが第1当接面からはみ出ないので、第2ハウジングに何らかの部材が引っかかって第1ハウジングから外れることが一層抑制され得る。
【0010】
第3形態は、第1形態又は第2形態において、消費材のための霧化部を有し、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに接続されていない状態において、前記第1ハウジングは前記霧化部を保持するように構成される、ことを要旨とする。
【0011】
第3形態によれば、霧化部を保持する第1ハウジングから、第2ハウジングが外れることが抑制され得る。また、第2ハウジングが仮に第1ハウジングから外れても、第1ハウジングから霧化部が脱離することが抑制され得る。
【0012】
第4形態は、第1形態から第3形態のいずれかにおいて、前記第1当接面と直交する第2方向からみて、前記第2ハウジングの外縁は、前記第1ハウジングの前記第1当接面の外縁の内側に位置する、ことを要旨とする。
【0013】
第4形態によれば、第1当接面と平行な任意の方向において、第2ハウジングが第1当接面からはみ出ないので、第2ハウジングに何らかの部材が引っかかって第1ハウジングから外れることが一層抑制され得る。
【0014】
第5形態は、第1形態から第4形態のいずれかにおいて、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの前記第1当接面と当接する第2当接面を有し、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態において、前記第2ハウジングの前記第2当接面を除いて、前記第2ハウジングは前記第1ハウジングから離間している、ことを要旨とする。
【0015】
第5形態によれば、第2ハウジングの第2当接面以外の部分が第1ハウジングと接触することにより第1当接面と第2当接面との間に隙間が形成されることが防止され得る。言い換えれば、第2ハウジングに対して第1ハウジングが浮くように接続されることが抑制され得る。これにより、第1当接面と第2当接面との隙間から塵等の異物が香味吸引器内に入り込むことが防止され得る。
【0016】
第6形態は、第1形態から第5形態のいずれかにおいて、マグネット及び前記マグネットに引き寄せられる磁性体を有し、前記マグネット及び前記磁性体のいずれか一方は、前記第1ハウジングに直接的又は間接的に保持され、前記マグネット及び前記強磁性体の他方は、前記第2ハウジングに直接的又は間接的に保持され、前記マグネット及び前記磁性体は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態を維持するように構成される、ことを要旨とする。
【0017】
第6形態によれば、第1ハウジングと第2ハウジングとが、磁力によって接続されるので、第2ハウジングを第1ハウジングに容易に着脱することができる。
【0018】
第7形態は、第6形態において、前記マグネット及び前記磁性体は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態において、互いに離間している、ことを要旨とする。
【0019】
仮にマグネットと磁性体が互いに接触すると、第1ハウジングと第2ハウジングの設計精度によっては、第2ハウジングと第1ハウジングの第1当接面との間に隙間が生じる恐れがある。第7形態によれば、マグネット及び磁性体が互いに接触せずに、互いに引き付けあうことにより第1ハウジングと第2ハウジングとが接続された状態を維持するので、第2ハウジングと第1ハウジングの第1当接面との間に隙間が生じることを抑制することができる。さらに、例えば、霧化部を備える場合に当該霧化部からマグネットに伝わった熱は、当該隙間に熱伝導率が小さい空気が介在しているので、磁性体へは伝わりにくくなる。その結果、第2ハウジングが高温になること抑制し得る。
【0020】
第8形態は、第6形態又は第7形態において、前記マグネットを取り囲むヨークを有し、前記マグネットは、前記磁性体と対向する第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する側面と、を有し、前記ヨークは、前記マグネットの前記側面の少なくとも一部と、前記マグネットの前記第2面と、を覆う、ことを要旨とする。
【0021】
第8形態によれば、ヨークによってマグネットの磁束を第1面側、即ち磁性体側に向けることができるので、より強力に第1ハウジングと第2ハウジングとを接続することができる。また、香味吸引器に磁気センサが設けられる場合には、磁気センサへのマグネットの影響が発生することを抑制することができる。
【0022】
第9形態は、第8形態において、前記ヨークは、前記マグネットの前記側面の一部を覆う側壁部を有し、前記マグネットは、前記ヨークの前記側壁部より前記磁性体に向けて突出する、ことを要旨とする。
【0023】
ヨークは例えばフェライト系ステンレス鋼板等で形成され得る。第9形態によれば、マグネットは、ヨークの側壁部より磁性体に向けて突出するので、ヨークの側壁部がマグネットより突出して露出されることが抑制される。これにより、ヨーク材料を加工するときにヨークの側壁部の磁性体側の端部をきれいに加工する手間を省くことができる。
【0024】
第10形態は、第1形態から第9形態のいずれかにおいて、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを互いに位置決めするための凹部及び凸部を有し、前記第1ハウジングは、前記凹部又は凸部のいずれか一方を有し、前記凸部は前記凹部に嵌合するように構成される、ことを要旨とする。
【0025】
第10形態によれば、香味吸引器が凹部及び凸部を有するので、凹部に凸部が嵌合するように第2ハウジングを第1ハウジングに接続することで、第1ハウジングと第2ハウジングの相対的な位置を容易に決定することができる。また、第2ハウジングが第1ハウジングに接続された状態で、第2ハウジングの位置が第1ハウジングに対してずれることが抑制され得る。
【0026】
第11形態によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、霧化部と、前記霧化部を収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングと接続される第2ハウジングと、前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングの一方に配置されるマグネットと、前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングの他方に配置される磁性体と、を有する。前記マグネット及び前記磁性体は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングと接続された状態を維持するように構成される。前記第1ハウジングが前記第2ハウジングに接続された状態において、前記マグネットは、前記磁性体から離間している。
【0027】
第11形態によれば、第1ハウジングと第2ハウジングとが、磁力によって接続されるので、第2ハウジングを第1ハウジングに容易に着脱することができる。仮にマグネットと磁性体が互いに接触すると、第1ハウジングの収容される霧化部の熱が、マグネットと磁性体を通じて第2ハウジングに伝達されやすくなる。第11形態によれば、マグネットが磁性体から離間しているので、霧化部の熱は、マグネットと磁性体の間に空気が介在することにより、第2ハウジングに伝達されにくくなる。その結果、第2ハウジングが高温になること抑制し得る。
【0028】
第12形態によれば、第11形態において、香味吸引器は、前記第1ハウジングに設けられた第1部分と、前記第2ハウジングに設けられ、前記第1部分と対向する第2部分を有してもよい。前記マグネットと前記磁性体との間の第1距離は、前記第1部分と前記第2部分との間の距離より大きいことが好ましい。第1部分と第2部分は、マグネットと磁性体とが対向する方向において、互いに対向し得る。
【0029】
第12形態によれば、マグネットが磁性体から離間しているので、霧化部の熱は第2ハウジングに伝達されにくくなる。その結果、第2ハウジングが高温になること抑制し得る。また、第2ハウジングの外表面に力が加えられると第2ハウジングが撓むことがある。この点に関して、マグネットと磁性体との間の距離が、第1部分と第2部分との間の距離より大きいので、第2ハウジングが磁性体とマグネットとが対向する方向に撓んでも、マグネットが磁性体と接触する前に第1部分と第2部分とが接触する。したがって、マグネットが磁性体と接触することを防止できる。
【0030】
第13形態によれば、前記第1部分は、前記第1ハウジングに設けられた第1収容部であり、前記第2部分は、前記第2ハウジングに設けられ、前記第1収容部と対向する第2収容部であってもよい。マグネットは、前記第1収容部又は前記第2収容部の一方に配置され得る。磁性体は、前記第1収容部又は前記第2収容部の他方に配置され得る。前記マグネットと前記磁性体との間の第1距離は、前記第1収容部及び前記第2収容部のそれぞれの周縁部間の第2距離より大きいことが好ましい。
【0031】
第13形態によれば、マグネットが磁性体から離間しているので、霧化部の熱は第2ハウジングに伝達されにくくなる。その結果、第2ハウジングが高温になること抑制し得る。また、第2ハウジングの外表面に力が加えられると第2ハウジングが撓むことがある。この点に関して、マグネットと磁性体との間の距離が、第1収容部及び前記第2収容部のそれぞれの周縁部間の第2距離より大きいので、第2ハウジングがマグネットと磁性体とが対向する方向に撓んでも、マグネットが磁性体と接触する前に第1収容部と第2収容部とが接触する。したがって、マグネットが磁性体と接触することを防止できる。その結果、マグネットが磁性体と接触することによる熱の伝達を防止できる。
【0032】
第14形態によれば、第11形態から第13形態のいずれかにおいて、前記マグネットの磁気を検出する磁気検出素子と、前記マグネットを収容するとともに、前記マグネットと前記磁気検出素子との間に位置するヨークと、を備え、前記ヨークは、前記マグネットを取り囲む側壁部を有し、前記側壁部と前記磁性体との間の第3距離は、前記第2距離より大きい、ことを要旨とする。側壁部と磁性体との第3距離は、マグネットと磁性体の対向する方向における隙間の大きさであり得る。
【0033】
第14形態によれば、ヨークを用いることで、第1ハウジングに対して第2ハウジングを引き寄せる力を大きくしながら、マグネットの磁気が磁気検出素子に検出されないように磁気シールドが行うことができる。さらに、第3距離が第2距離より大きいので、第2ハウジングが磁性体とマグネットとが対向する方向に撓んでも、磁性体がヨークと接触する前に第1収容部と第2収容部とが接触する。したがって、磁性体がヨークと接触することを防止できる。その結果、霧化部が生じる熱を第2ハウジングの表面まで伝わる伝熱量を小さくすることができる。その結果、磁性体がヨークと接触することによる熱の伝達を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の概略正面図である。
【
図1B】本実施形態に係る香味吸引器の概略上面図である。
【
図1C】本実施形態に係る香味吸引器の概略底面図である。
【
図2】アウタパネルを外した香味吸引器の正面図である。
【
図5】
図1Bに示した矢視5-5における香味吸引器の断面図である。
【
図6】
図1Aに示した矢視6-6における香味吸引器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0036】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略正面図である。
図1Bは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略上面図である。
図1Cは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略底面図である。本明細書で説明する図面においては、説明の便宜のためにX-Y-Z直交座標系を付することがある。この座標系において、Z軸は鉛直上方を向いており、X-Y平面は香味吸引器100を水平方向に切断するように配置されており、Y軸は香味吸引器100の正面から裏面へ延出するように配置されている。Z軸は、後述する霧化部30のチャンバ50に収容される消費材110の挿入方向ということもできる。また、X軸方向は、消費材110の挿入方向に直交する面におけるデバイス長手方向、又は加熱部と電源部とが並ぶ方向ということもできる。Y軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス短手方向ということもできる。
【0037】
本実施形態に係る香味吸引器100は、消費材を加熱可能に構成される。具体的には、香味吸引器100は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有するスティック型の消費材を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0038】
図1Aから
図1Cに示されるように、香味吸引器100は、アウタハウジング101と、スライドカバー102と、スイッチ部103と、を有する。アウタハウジング101は、香味吸引器100の最外のハウジングを構成し、ユーザの手に収まるようなサイズを有する。ユーザが香味吸引器100を使用する際は、アウタハウジング101を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。
【0039】
図1B及び
図1Cに示すように、アウタハウジング101は、Y軸方向に分割されるように、アウタパネル70(第2ハウジングを構成する部材の少なくとも一部に相当する)と、アウタケース80(第1ハウジングを構成する部材の少なくとも一部に相当する)と、を有する。言い換えれば、アウタケース80に対してアウタパネル70をY軸方向に接続することでアウタハウジング101が形成され得る。アウタパネル70は、アウタケース80に対して着脱可能に構成され得る。
【0040】
スライドカバー102は、消費材を挿入するための図示しない開口部を閉じるようにアウタハウジング101にスライド可能に取り付けられる。具体的には、スライドカバー102は、アウタハウジング101の図示しない開口部を閉じる閉位置(
図1A及び
図1Bに示す位置)と、図示しない開口部を開放する開位置との間を、アウタハウジング101の外表面に沿って移動可能に構成される。例えば、ユーザがスライドカバー102を手動で操作することにより、スライドカバー102を閉位置と開位置とに移動させることができる。これにより、スライドカバー102は、香味吸引器100の内部への消費材のアクセスを許可または制限することができる。
【0041】
スイッチ部103は、香味吸引器100の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、ユーザは、消費材を香味吸引器100に挿入した状態でスイッチ部103を操作することで、図示しない加熱部に図示しない電源から電力が供給され、消費材を燃焼させずに加熱することができる。なお、スイッチ部103は、アウタハウジング101の外部に設けられるスイッチを有してもよいし、アウタハウジング101の内部に位置するスイッチを有してもよい。スイッチがアウタハウジング101の内部に位置する場合、アウタハウジング101の表面のスイッチ部103を押下することで、間接的にスイッチが押下される。本実施形態では、スイッチ部103のスイッチがアウタハウジング101の内部に位置する例を説明する。
【0042】
香味吸引器100はさらに、図示しない端子を有してもよい。端子は、香味吸引器100を例えば外部電源と接続するインターフェースであり得る。香味吸引器100が備える電源が充電式バッテリである場合は、端子に外部電源を接続することで、外部電源から電源に電流を流し、電源を充電することができる。また、端子にデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器100の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0043】
図2は、アウタパネル70を外した香味吸引器100の正面図である。
図3は、アウタパネル70の内面側の正面図である。
図2に示すように、香味吸引器100は、アウタケース80の内部にインナパネル10(第1ハウジングを構成する部材の少なくとも一部に相当する)を有する。即ち、アウタハウジング101の内部にインナパネル10が収容される。アウタハウジング101は、アウタパネル70が香味吸引器100から外された状態においても、インナパネル10がアウタケース80から脱離しないようにインナパネル10を保持することができる。したがって、アウタケース80とインナパネル10は、共に、第2ハウジングを構成し得るアウタパネル70が着脱される、第1ハウジングを構成し得る。
【0044】
図2に示すように、香味吸引器100は、アウタパネル70がアウタケース80に接続された状態を維持するためのマグネット62を有する。図示の例では、マグネット62は、アウタケース80に保持されたインナパネル10に保持される。即ち、マグネット62は、アウタケース80によって間接的に保持される。これに限らず、マグネット62は、アウタケース80に直接的に保持されてもよい。マグネット62が1つである場合、アウタパネル70がアウタケース80に対して吸引される力が弱く、容易に接続が解消されてしまう恐れがある。このため、マグネット62は、香味吸引器100に2つ以上設けられることが好ましい。
図2に示す例では、2つのマグネット62が、Z方向に離間するようにインナパネル10に保持される。マグネット62は、永久磁石であってもよいし、電源を利用した電磁石であってもよい。
【0045】
図3に示すように、アウタパネル70は、マグネット62に引き寄せられる吸引部材64(磁性体の一例に相当する)を有する。吸引部材64は、マグネット62に引き寄せられる任意の材料、例えばフェライト系ステンレスや冷間圧延鋼板などの磁性体材料で形成され得る。また吸引部材64は、マグネット62に引き寄せられるように方向づけられたマグネットであってもよい。図示の例では、吸引部材64は、アウタパネル70に直接的に保持されるが、これに限らず、アウタパネル70とは別の部材を介してアウタパネル70によって間接的に保持されてもよい。吸引部材64は、アウタパネル70をアウタケース80に接続したときに、マグネット62に対向するようにアウタパネル70に取り付けられ得る。
【0046】
以上で説明したように、マグネット62及び吸引部材64は、アウタパネル70がアウタケース80と接続された状態を維持するように構成される。即ち、アウタパネル70とアウタケース80とが機械的結合手段(例えば、ねじ締結や粘着材による接続)ではなく、磁力によって接続されるので、ドライバなどの工具を用いたり粘着を解消させるための大きな力を与えなくても、アウタパネル70をアウタケース80に対して容易に着脱することができる。したがって、好みのアウタパネル70に交換したいユーザにとって、香味吸引器100は好適な構造を有する。
図2及び
図3に示す例では、マグネット62がアウタケース80に設けられ、吸引部材64がアウタパネル70に設けられているが、マグネット62がアウタパネル70に設けられ、吸引部材64がアウタケース80に設けられてもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る香味吸引器100で使用される消費材について説明する。
図4は、消費材110の概略側断面図である。本実施形態において、香味吸引器100と消費材110とにより喫煙システムが構成され得る。
図4に示す例においては、消費材110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113が省略され、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結されてもよい。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消費材110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消費材110の吸口として機能する。また、消費材110において冷却セグメント機能を果たす筒状部材114の周方向に、同心状に開孔Vが設けられていてもよい。筒状部材114に設けられる開孔Vは、通常、ユーザの吸引による外部からの空気の流入を促進するための孔であり、この空気の流入により喫煙可能物111から流入する成分や空気の温度を下げることができる。
【0048】
喫煙可能物111は、例えばたばこ等の香味源と、エアロゾル源とを含み得る。また、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。図示の例では、消費材110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消費材110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116が省略され、筒状部材114とフィルタ部115とを互いに隣接配置されてもよい。また、消費材110の1本当たりの長軸方向の通気抵抗は、特段制限されないが、吸い易さの観点から、通常8mmH2O以上であり、10mmH2O以上であることが好ましく、12mmH2O以上であることがより好ましく、また、通常100mmH2O以下であり、80mmH2O以下であることが好ましく、60mmH2O以下であることがより好ましい。
【0049】
次に、香味吸引器100の内部構造について説明する。
図5は、
図1Bに示した矢視5-5における香味吸引器100の断面図である。
図5に示すように、香味吸引器100のアウタハウジング101の内部には、インナパネル10が収容される。インナパネル10は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。耐熱性や強度の観点からは、インナパネル10はPEEKで形成されることが好ましい。しかしながら、インナパネル10の材料は特に限定されない。インナパネル10の内部空間には、電源部20と、消費材110のための霧化部30と、が設けられる。また、アウタハウジング101は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。
【0050】
電源部20は、電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、図示しないPCB(Printed Circuit board)等を介して霧化部30と電気的に接続される。これにより、電源21は、消費材110を適切に加熱するように、霧化部30に電力を供給することができる。
【0051】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50と、チャンバ50の一部を囲う加熱部40と、断熱部32と、略筒状の挿入ガイド部材34と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。チャンバ50は、耐熱性を有し、且つ熱膨張率が小さい材料で形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等の金属、PEEK等の樹脂、ガラス、又はセラミック等で形成され得る。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る。底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。
【0052】
加熱部40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。具体的には、加熱部40は、例えばヒーティングトラック等の加熱要素と、加熱要素の少なくとも一方の面を覆う電気絶縁シートと、を有し得る。
【0053】
断熱部32は、全体として略筒状であり、チャンバ50を囲うように配置される。断熱部32は、例えばエアロゲルシートを含み得る。挿入ガイド部材34は、例えばPEEK、PC、又はABS等の樹脂材料により形成され、閉位置にあるスライドカバー102とチャンバ50との間に設けられる。また、香味吸引器100は、断熱部32を保持するための第1保持部37及び第2保持部38を有する。第1保持部37及び第2保持部38は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーで形成することができる。
図5に示すように、第1保持部37は、Z軸正方向側の断熱部32の端部を保持する。また、第2保持部38は、断熱部32のZ軸負方向側の端部を保持する。
【0054】
挿入ガイド部材34は、消費材110の挿入をガイドする機能を有する。具体的には挿入ガイド部材34は、スライドカバー102が開位置にあるときに、消費材110を挿入ガイド部材34に挿入することで、チャンバ50への消費材110の挿入を案内する。本実施形態では、挿入ガイド部材34がチャンバ50と接触し得るので、挿入ガイド部材34は、耐熱性の観点からPEEKで形成されることが好ましい。
図5に示すように、スライドカバー102は、方向D1において開位置と閉位置との間を移動可能である。
【0055】
香味吸引器100は、電源21と霧化部30との間をZ軸方向に延びる第1シャシー22と、電源21のスライドカバー102側を覆うように延びる第2シャシー23とを有する。第1シャシー22及び第2シャシー23は、インナパネル10内に電源21が収容される空間を区画するように構成される。なお、不図示ではあるが、香味吸引器100には、制御部を備えるプリント基板を収容しており、当該制御部には電源21と、加熱部40と、スライドカバー102が開位置に移動したことを検出するスライドカバーの位置検出部(図示せず)と、電源21の残容量を点灯によって報知する光源部(図示せず)と、スイッチ部103と、後述する磁気検出素子と、が接続されている。
【0056】
続いて、アウタパネル70とアウタケース80の具体的な構造について説明する。
図6は、
図1Aに示した矢視6-6における香味吸引器100の断面図である。
図6に示すように、アウタケース80は、第1パネル部80aと、第1パネル部80aの周縁から第1パネル部80aに対して角度を有して延びる第1周壁部80bと、を有する。また、アウタケース80は、第1周壁部80bによって画定される開口81を有する。即ち、アウタケース80は全体として開口81を有する箱型に形成され得る。図示のように、アウタケース80の開口81を通じて、アウタケース80には、霧化部30、電源21が収納され得る。また、インナパネル10は開口81を塞ぐように構成される。
【0057】
図6に示すように、アウタパネル70は、アウタケース80と接続される。アウタパネル70は、アウタケース80の第1パネル部80aと対向するように位置する第2パネル部70aと、第2パネル部70aの周縁から第2パネル部70aに対して角度を有して延びる第2周壁部70bと、を有する。アウタパネル70は、第2パネル部70aのみから形成されてもよい。即ち、アウタパネル70は全体として略平坦なパネルであってもよい。
【0058】
第1シャシー22とインナパネル10とは、ねじ24によって締結される。ねじ24の頭部はマグネット62に覆われる。すなわち、ねじ24はマグネット62を取り除かないと工具によって取り外すことができないようになっているので、ユーザによる香味吸引器100の分解が容易にできないようになっている。
【0059】
図7Aは、
図6に示す枠7Aの拡大図である。
図7Bは、
図6に示す枠7Bの拡大図である。
図7A及び
図7Bに示すように、アウタケース80の第1周壁部80bは、アウタパネル70と当接する第1当接面82を有する。アウタパネル70の第2周壁部70bは、第1当接面82と当接する第2当接面72を有する。本明細書において、「当接」とは、2つの部材が確実に互いに接触している場合だけでなく、製造誤差によりわずかな(例えば5mm以下の)隙間が2つの部材の間に存在する場合も含む。したがって、第1当接面82と第2当接面72との間には、製造誤差によるわずかな隙間が存在していてもよい。
【0060】
アウタパネル70のようにアウタケース80から着脱可能な部材は、ユーザが香味吸引器100を取り扱っているときに外部から力が加わって意図せず香味吸引器100から外れてしまうことが想定される。そこで、本実施形態では、第1当接面82と平行な第1方向(X-Z平面と平行な方向)におけるアウタパネル70の長さが、アウタケース80の第1当接面82の外縁の第1方向における長さよりも小さい。言い換えれば、例えば、
図7Aに示すアウタパネル70の第1方向における第1端部74aから、
図7Bに示すアウタパネル70の第1方向における第2端部74bまでの長さが、
図7Aに示す第1当接面82の第1方向における第1端部82aから
図7Bに示す第1当接面82の第1方向における第2端部82bまでの長さより小さい。これにより、
図7A及び
図7Bに示すように、第1方向においてアウタパネル70が第1当接面82からはみ出ないようにアウタパネル70をアウタケース80に装着できるので、アウタパネル70に何らかの部材が引っかかってアウタケース80から外れることが抑制され得る。なお、
図7A及び
図7Bに示す例では、
図6に示す断面において第1当接面82と平行な方向を第1方向として説明しているが、これに限らず、上記第1方向は第1当接面82と平行な任意の方向とすることができる。また、第1方向とは、例えば、香味吸引器100を、アウタケース80にアウタパネル70が重ねられている断面と平行な任意の方向とも言うことができる。
【0061】
アウタパネル70がアウタケース80に接続されていない状態において、アウタケース80は霧化部30を保持するように構成されることが好ましい。即ち、アウタパネル70がアウタケース80から外れたとしても、アウタケース80から霧化部30が脱離することが抑制され得る。本実施形態では、
図6に示すように、アウタケース80はインナパネル10を内部に保持するように構成されるので、アウタパネル70がアウタケースに接続されていない状態でも、インナパネル10、電源部20、及び霧化部30を保持することができる。
【0062】
また、第1当接面82と直交する第2方向(Y軸方向)からみて、上記第1方向におけるアウタパネル70の外縁が、上記第1方向におけるアウタケース80の第1当接面82の外縁の内側に位置することが好ましい。これにより、第1当接面82と平行な所定の第1方向において、アウタパネル70が第1当接面82からはみ出ないので、アウタパネル70に何らかの部材が引っかかってアウタケース80から外れることが一層抑制され得る。
【0063】
さらに、第1当接面82と直交する第2方向(Y軸方向)からみて、アウタパネル70の外縁は、アウタケース80の第1当接面82の外縁の内側に位置することが好ましい。言い換えれば、第1当接面82と平行な任意の方向(X-Z平面内の任意の方向)において、この方向におけるアウタパネル70の長さが、アウタケース80の第1当接面82の外縁の長さよりも小さいことが好ましい。これにより、第1当接面82と平行な任意の方向において、アウタパネル70が第1当接面82からはみ出ないので、アウタパネル70に何らかの部材が引っかかってアウタケース80から外れることが一層抑制され得る。
【0064】
本実施形態では、アウタパネル70がアウタケース80と接続された状態において、アウタパネル70の第2当接面72を除いて、アウタパネル70がアウタケース80と接触しないことが好ましい。これにより、アウタパネル70の第2当接面72以外の部分がアウタケース80と接触することにより第1当接面82と第2当接面72との間に隙間が形成されることが防止され得る。言い換えれば、アウタケース80に対してアウタパネル70の外縁が浮くように接続されることが抑制され得る。これにより、第1当接面82と第2当接面72との隙間から塵等の異物が香味吸引器100内に入り込むことが防止され得る。同様に、アウタパネル70がアウタケース80と接続された状態において、アウタパネル70がインナパネル10と接触しないことが好ましい。
【0065】
次に、マグネット62と吸引部材64について説明する。
図7Cは、
図6に示す枠7Cの拡大図である。
図7Cに示すように、マグネット62は、インナパネル10に形成された凹状の収容部10aに収容され、吸引部材64は、アウタパネル70に形成される凹状の収容部70cに収容され、接着剤により固定され得る。
図7Cに示すように、本実施形態では、マグネット62及び吸引部材64は、アウタパネル70がアウタケース80と接続された状態において、互いに接触しないように離間させることが好ましい。仮にマグネット62と吸引部材64が互いに接触すると、アウタパネル70とアウタケース80の製作精度によっては、アウタパネル70とアウタケース80の第1当接面82との間に隙間が生じる恐れがある。本実施形態によれば、マグネット62及び吸引部材64が互いに接触せずに、互いに引き付けあうことによりアウタパネル70とアウタケース80とが接続された状態を維持することができる。したがって、アウタパネル70とアウタケース80の第1当接面82との間に隙間が生じることを抑制することができる。しかしながら、本件明細書においては、上述したように、第1当接面82と第2当接面72との間にわずかな製造誤差に起因する隙間が生じてもよい。
【0066】
マグネット62は、例えば、両面着磁磁石である。吸引部材64に対向する対向面がN極またはS極の一方であり、対向面とは反対側の反対面がN極またはS極の他方であるとき、ヨーク55を用いることが好ましい。マグネット62の片面が多極であれば、ヨーク55は不要である。
図7Cに示すように、香味吸引器100は、マグネット62を取り囲むヨーク55を有することが好ましい。マグネット62は、吸引部材64と対向する第1面62aと、第1面62aの反対面である第2面62bと、第1面62aと第2面62bとを接続する側面62cとを有する。
図7Cに示すように、ヨーク55は、マグネット62の側面62cの少なくとも一部と、第2面62bと、を覆うことが好ましい。これにより、ヨーク55によってマグネット62の磁束を第1面62a側、即ち吸引部材64側に向けることができるので、より強力にアウタパネル70とアウタケース80とを接続することができる。また、香味吸引器100に磁気センサ(磁気検出素子)が設けられてもよい。この場合には、ヨーク55によって、磁気センサへのマグネット62の影響が発生することを抑制する(即ち、磁気センサによるマグネット62の磁気の検出を防止する)ことができる。
【0067】
図7Dはヨーク55の斜視図である。
図7C及び
図7Dに示すように、ヨーク55は、側壁部55aと、キャップ部55bと、側壁部55aに形成された爪部55cと、を有する。キャップ部55bは、接着剤を介してマグネット62の第2面62bと密着して固定される。側壁部55aは、マグネット62を取り囲む。具体的には、側壁部55aは、マグネット62の側面62cの全部を覆ってもよいが、側面62cの一部を覆うことが好ましい。また、
図7Cに示すように、マグネット62は、ヨーク55の側壁部55aより吸引部材64に向けて突出することが好ましい。ヨーク55は例えばフェライト系ステンレス鋼板や冷間圧延鋼板などの磁性体材料等で形成され得る。本実施形態では、マグネット62は、ヨーク55の側壁部55aより吸引部材64に向けて突出するので、ヨーク55の側壁部55aがマグネット62より突出して露出されることが抑制される。これにより、ヨーク55の材料を加工するときにヨーク55の側壁部55aの吸引部材64側の端部をきれいに加工する手間を省くことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、第1面62aをN極、第2面62bをS極としている。磁力線は第1面62aから吸引部材64へ向かい、及び吸引部材64から吸引部材64に近接するヨーク55の側壁部55a先端に向かうことで、マグネット62による吸引部材64を引き寄せる力を大きくしている。本実施形態では、この作用を確実にするために、吸引部材64の直径を側壁部55aの直径より大きくしている。より具体的には、吸引部材64のヨーク55と対向する面の幅又は直径を、ヨーク55の側壁部55aの幅又は直径より大きくしている。これにより、アウタパネル70がアウタケース80に接続された状態において組付誤差があった場合でも、吸引部材64をヨーク55の側壁部55a先端に対面させられるので、マグネット62による吸引部材64の引き寄せる効果の低減を回避できる。
【0069】
アウタパネル70の有無を検出するためには、上述した磁気センサを用いることができる。具体的には、アウタパネル70の内面にマグネット62を設け、インナパネル10又はインナパネル10に覆われる部分に磁気センサを設け、磁気センサとマグネット62の間にヨーク55の側壁部55aが位置するように配置することができる。これにより、磁気センサがマグネット62の磁気を検出しにくくなるので、磁気センサを配置する際の制約条件が緩和される。
【0070】
また、香味吸引器100は、アウタパネル70とアウタケース80とを互いに位置決めするための凹部及び凸部を有することが好ましい。具体的には例えば、アウタパネル70は、凹部又は凸部のいずれか一方を有し、凸部は凹部に嵌合するように構成されることが好ましい。本実施形態では、
図7Cに示すように、アウタパネル70は、吸引部材64の収容部70cを画定する凸部66(又は周縁部66)を有する。凸部66は第1当接面82に対して略直交する方向に突出する。また、インナパネル10は、凸部66が嵌合する凹部68を有する。凹部68に凸部66が嵌合するようにアウタパネル70をアウタケース80に接続することで、アウタパネル70とアウタケース80との相対的な位置を容易に決定することができる。また、アウタパネル70がアウタケース80に接続された状態で、アウタパネル70の位置がアウタケース80に対してずれることが抑制され得る。言い換えれば、アウタパネル70がアウタケース80に対して第1当接面82と平行に移動することが制限され得る。本実施形態では、アウタパネル70は凸部66を有するが、これに加えて又はこれに代えてインナパネル10に設けられる凸部が嵌合するための凹部を有してもよい。
【0071】
また、
図7Dに示したように、ヨーク55の側壁部55aには複数の爪部55cが設けられる。複数の爪部55cは、収容部10aの外側に形成されており、これらの爪部55cによって画定されるヨーク55の側壁部55aの外径は、収容部10aの直径(内径)よりも大きい。したがって、ヨーク55は、キャップ部55bを収容部10aに向けて収容部10a内に差し込まれると、爪部55cが収容部10a内に圧入される。これにより、ヨーク55が収容部10aから抜け出ないように保持される。
【0072】
本実施形態では、ヨーク55が収容部10aから抜け出さないように、キャップ部55bと収容部10aの底面10bとが接着剤によって固定され得る。また、マグネット62の露出する第1面62aから吸引部材64の露出する面64a(つまりマグネット62に対向する面64a)までの間の距離をL1、吸引部材64の面64aからヨーク55の側壁部55aまでの距離をL2、アウタパネル70の収容部70cの周縁部66からインナパネル10の収容部10aの周縁部10cまでの距離をL3やL4とする。この場合、本実施形態では、L1及びL2のうちいずれか小さい方はL3及びL4のいずれか小さい方よりも大きくしてある。アウタパネル70の外表面から外力が付与されたときには、L1、L2、L3、L4が小さくなる方向にアウタパネル70が撓んでしまう。このとき、L3及びL4のいずれか小さい方(本実施形態ではL3<L4でありL3)は、L1及びL2のいずれか小さい方(本実施形態ではL1)よりも小さくしてあるので、マグネット62が吸引部材64又はヨーク55に当接する前に、アウタパネル70の収容部70cがインナパネル10の収容部10aの周縁部10cに当接する。したがって、吸引部材64はマグネット62及びヨーク55のいずれにも当接しないようになっている。なお、これに限らず、任意の場所におけるアウタパネル70とインナパネル10の距離が、マグネット62と吸引部材64又はヨーク55との距離L1又はL2よりも小さくてもよい。これにより、アウタパネル70が撓んでも、マグネット62が吸引部材64又はヨーク55と接触する前にアウタパネル70とインナパネル10とが接触するので、マグネット62が吸引部材64又はヨーク55と接触することを防止することができる。
【0073】
また、霧化部30は加熱部40を有しているので、霧化部30の熱がマグネット62に伝達され得る。その後、マグネット62に伝わった熱は、アウタパネル70へと伝わる。ヨーク55やマグネット62は、樹脂部材に比べて熱伝導率が大きい金属で構成される。このため、ヨーク55やマグネット62が吸引部材64と密着又は接触してしまうと、同じく金属で形成された吸引部材64は短時間で昇温し、吸引部材64からアウタパネル70へと熱が伝達され得る。アウタパネル70はユーザに把持されるので、できるだけ昇温しないほうが望ましい。そこで、本実施形態では、マグネット62が吸引部材64から離間しているので、マグネット62からの熱は空気(空間)を介して吸引部材64に伝わる。その結果、マグネット62が吸引部材64と接触する場合に比べて、アウタパネル70に熱が伝わりにくくすることができる。また、本実施形態では、L3及びL4のいずれか小さい方(本実施形態ではL3)をL1及びL2のいずれか小さい方(本実施形態ではL1)よりも小さくしてあるので、アウタパネル70の外表面から力が付与されたときでもマグネット62から吸引部材64への伝熱は、空間(空気)を介して伝わるので、アウタパネル70を昇温し難くさせることができる。
【0074】
なお、上述したように、磁性体64とマグネット62の間には部品を介在させない構造として説明したが、例えば、シリコーンスポンジやウレタンスポンジ等の、独立発泡層、連続発泡層、又は半連続発泡層を有する発泡部材は熱伝導率が小さいので、磁性体64とマグネット62の間に配置してもよい。これにより、外部からいかなる力が付与されても、発泡部材の厚みがゼロにはならないので、より確実に磁性体64とマグネット62の当接が回避できる。なお、発泡部材は
図7Cに示すL3やL4に示される部分に配置されないようにし、磁性体64とマグネット62の間にのみ介在するような形状が好ましい。
【0075】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、加熱部40は、抵抗加熱型に限らず、誘導加熱型であってもよい。その場合、加熱部40は、誘導加熱によってチャンバ50を加熱することができる。また、消費材110がサセプタを有する場合には、加熱部40が誘導加熱によって消費材110のサセプタを加熱することができる。さらに、加熱部40は、消費材110を内部から加熱する内部加熱式のヒータを有してもよい。消費材110は、液体を収容したタンクであってもよい。この場合、加熱部40は、タンク内の液体を霧化するように構成され得る。
【符号の説明】
【0076】
10 :インナパネル
10a :収容部
10c :周縁部
30 :霧化部
55 :ヨーク
55a :側壁部
62 :マグネット
62a :第1面
62b :第2面
62c :側面
64 :吸引部材
66 :凸部、周縁部
68 :凹部
70 :アウタパネル
70c :収容部
72 :第2当接面
74a :第1端部
74b :第2端部
80 :アウタケース
82 :第1当接面
100 :香味吸引器
101 :アウタハウジング
110 :消費材