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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】トイレットペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/36 20060101AFI20250602BHJP
【FI】
A47K10/36 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2025035066
(22)【出願日】2025-03-06
【審査請求日】2025-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525082871
【氏名又は名称】中澤 辰郎
(73)【特許権者】
【識別番号】525082882
【氏名又は名称】加藤 美方子
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】中澤 辰郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美方子
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-016893(JP,U)
【文献】登録実用新案第3176144(JP,U)
【文献】登録実用新案第3146221(JP,U)
【文献】特開2013-146566(JP,A)
【文献】特開2024-018110(JP,A)
【文献】特開2022-142007(JP,A)
【文献】特開2016-129597(JP,A)
【文献】特開2003-000472(JP,A)
【文献】特開2007-330728(JP,A)
【文献】特開2005-144112(JP,A)
【文献】実開昭62-024796(JP,U)
【文献】特開2022-111809(JP,A)
【文献】国際公開第2013/164723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36-10/38
B65H 16/00-16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体と、
前記ホルダー本体に固定されている軸と、
前記軸を中心に回転可能に前記軸に固定されており、ロール状のトイレットペーパーの芯を保持可能な芯ホルダーと、
前記芯ホルダーに保持されている前記トイレットペーパーの上側を覆う蓋部と、を有しており、
前記蓋部は、
前記ホルダー本体に対して上下方向に回動可能に取り付けられている第1部分と、
前記第1部分の第1前端部とヒンジを介して固定されており、前記第1部分に対して上下回動可能な第2部分であって、前記ヒンジに備えられているヒンジ用バネによって前記第1前端部に対して下方に回動する方向に付勢されている、前記第2部分と、
前記第1部分の裏側に備えられている板バネ材であって、後端が前記第1部分の裏側に固定され、先端が前記芯ホルダーに保持されている前記トイレットペーパーの上側に当接され、前記第1部分を前記トイレットペーパーの上方に持ち上げるように付勢する、前記板バネ材と、を備えており、
前記第1部分に下向きの力が加わっておらず、前記第1部分が前記板バネ材によって前記トイレットペーパーの上方に持ち上げられ、前記第2部分が前記第1前端部に対して下方に回動している保持状態と、前記第1部分に下向きの力が加わっており、前記板バネ材が撓むとともに、前記板バネ材の先端が前記トイレットペーパーを繰り出し方向である順方向に所定長押し、かつ、前記ヒンジ用バネが撓んで前記第2部分が前記第1前端部に対して上方に回動するとともに、前記第2部分の第2前端部が前記トイレットペーパーの上面に接する押下状態と、の間で切り替え可能である、
トイレットペーパーホルダー。
【請求項2】
ワイヤーと、足踏み用のペダルと、をさらに備え、
前記ワイヤーの一端は前記第1部分に固定され、前記ワイヤーの他端は前記ペダルに固定され、
前記ペダルは床面に設置され、
前記ペダルが踏圧される場合に、前記ワイヤーを介して前記第1部分に下向きの力が加わり、前記ペダルの踏圧が解除される場合に、前記第1部分への力の付加が解除される、請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項3】
前記ペダルは、ペダル用ヒンジを介して床面に設置されており、
前記ペダルは、床面上に配置されて踏圧可能な第1位置と、床面から離れてはね上げられている第2位置と、の間で回動可能である、請求項2に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項4】
前記第1部分は、前記第1前端部から前方に突出する舌片部を備える、請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項5】
前記芯ホルダーが前記軸を中心に前記順方向に回転することを許容するとともに、前記順方向と反対の逆方向に回転することを抑制する逆転防止機構をさらに備える、請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項6】
前記芯ホルダーは、前記トイレットペーパーの前記芯を内側から突っ張る方向に付勢する付勢機構を備える、請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【請求項7】
前記第2前端部の幅は、前記トイレットペーパーの幅よりも小さい、請求項1に記載のトイレットペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、トイレットペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレットペーパーホルダーは、例えば、ホルダー本体と、ロール状のトイレットペーパーの芯を軸支する軸と、カバー兼カッターとを有する。使用者は、ロール部分のペーパーを所望長だけ繰り出した後、繰り出されたペーパーをカバー兼カッターで切断して使用する。
【0003】
特に、特許文献1は、軸に軸支されたペーパーとカバー兼カッターとの間に所定の空隙が形成されるように、カバー兼カッターを押し上げた状態で支持可能なカバー押し上げプレートが設けられているトイレットペーパーホルダーを開示している。特許文献1のホルダーでは、軸に軸支されたペーパーは、カバー押し上げプレートとカバー兼カッターの間の隙間を通過させて繰り出される。この特許文献1の技術は、カバー押し上げプレートを備えることで、切断後のペーパー端部がロール部分にくっつくことを抑制し、次回使用時のペーパー端部のつまみ出しの容易化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3215898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のホルダーによると、切断後のペーパー端部はカバー兼カッターで覆われてしまうと考えられる。使用者が次回使用時にペーパー端部をつまもうとする際、ペーパー端部がカバー兼カッターで隠れているため、カバー兼カッターを持ち上げてペーパー端部を探さなければならない場合がある。使用者が簡単にペーパー端部をつまみ出せない場合がある。
【0006】
本明細書では、使用者がペーパー端部を簡単につまみ出し得るトイレットペーパーホルダーを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される一のトイレットペーパーホルダーは、ホルダー本体と、前記ホルダー本体に固定されている軸と、前記軸を中心に回転可能に前記軸に固定されており、ロール状のトイレットペーパーの芯を保持可能な芯ホルダーと、前記芯ホルダーに保持されている前記トイレットペーパーの上側を覆う蓋部と、を有している。前記蓋部は、前記ホルダー本体に対して上下方向に回動可能に取り付けられている第1部分と、前記第1部分の第1前端部とヒンジを介して固定されており、前記第1部分に対して上下回動可能な第2部分であって、前記ヒンジに備えられているヒンジ用バネによって前記第1前端部に対して下方に回動する方向に付勢されている、前記第2部分と、前記第1部分の裏側に備えられている板バネ材であって、後端が前記第1部分の裏側に固定され、先端が前記芯ホルダーに保持されている前記トイレットペーパーの上側に当接され、前記第1部分を前記トイレットペーパーの上方に持ち上げるように付勢する、前記板バネ材と、を備えており、前記第1部分に下向きの力が加わっておらず、前記第1部分が前記板バネ材によって前記トイレットペーパーの上方に持ち上げられ、前記第2部分が前記第1前端部に対して下方に回動している保持状態と、前記第1部分に下向きの力が加わっており、前記板バネ材が撓むとともに、前記板バネ材の先端が前記トイレットペーパーを繰り出し方向である順方向に所定長押し、かつ、前記ヒンジ用バネが撓んで前記第2部分が前記第1前端部に対して上方に回動するとともに、前記第2部分の第2前端部が前記トイレットペーパーの上面に接する押下状態と、の間で切り替え可能である。
【0008】
上記のトイレットペーパーホルダーによると、蓋部の保持状態と押下状態が交互に切り替わることで、ペーパー端部をつまみやすい位置に露出させることができる。詳しく言うと、まず、蓋部が保持状態から押下状態に移行すると、撓んだ板バネ材の先端が、芯ホルダーに保持されているトイレットペーパーを順方向に所定長だけ押し出す。このため、保持状態から押下状態への移行が連続して行われることで、トイレットペーパーを所定長ずつ回転させることができ、その結果、ペーパー端部をつまみ出し可能な位置まで露出させることができる。使用者は、露出しているペーパー端部をつまみ出して、トイレットペーパーを繰り出すことができる。そして、蓋部が押下状態にある間は、第2前端部がペーパーの上面に接するため、使用者は、押下状態の間に、第2前端部をカッターとして用いて繰り出されたペーパーをカットすることができる。ペーパーをカットした後で、蓋部が押下状態から保持状態に戻ると、板バネ材によって第1部分が持ち上げられるとともに、ヒンジ用バネによって第2部分が下方に回動する。これにより、直前にカットされた部分(ペーパー端部)が、蓋部から覆われていない位置に露出する。このように、保持状態ではペーパー端部が既に露出しているため、使用者は、次回使用時にペーパー端部を探す必要がない。使用者は、トイレットペーパーのロール部分に触れなくても容易にペーパー端部をつまみ出すことができる。従って、上記のトイレットペーパーホルダーによると、使用者がペーパー端部を簡単につまみ出すことができる。
【0009】
上記のトイレットペーパーホルダーは、ワイヤーと、足踏み用のペダルと、をさらに備えていてもよい。前記ワイヤーの一端は前記第1部分に固定され、前記ワイヤーの他端は前記ペダルに固定されていてもよい。前記ペダルは床面に設置されていてもよい。前記ペダルが踏圧される場合に、前記ワイヤーを介して前記第1部分に下向きの力が加わり、前記ペダルの踏圧が解除される場合に、前記第1部分への力の付加が解除されてもよい。
【0010】
この構成によると、使用者は、ペダルを足で踏圧することで、蓋部を保持状態から押下状態に移行させることができる。そして使用者は、ペダルの踏圧を解除することで、蓋部を押下状態から保持状態に戻すことができる。使用者は、手を使わずに保持状態と押下状態を切り替えることができる。使用者は、トイレットペーパーや蓋部に触れずにペーパー端部をつまみ出すことができる状態を実現できる。使用者は衛生的にトイレットペーパーを使用することができる。
【0011】
前記ペダルは、ペダル用ヒンジを介して床面に設置されていてもよい。前記ペダルは、床面上に配置されて踏圧可能な第1位置と、床面から離れてはね上げられている第2位置と、の間で回動可能であってもよい。
【0012】
この構成によると、ペダルを第2位置にはね上げることで、床面の清掃の際にペダルが邪魔になることを抑制することができる。床面が衛生的に保たれやすくなる。
【0013】
前記第1部分は、前記第1前端部から前方に突出する舌片部を備えていてもよい。
【0014】
この構成によると、使用者は、舌片部を押すことで第1部分に下向きの力を加えることができる。使用者は、舌片部を手で操作することで、保持状態と押下状態とを切り替えることができる。使用者はトイレットペーパーホルダーを容易に操作することができる。
【0015】
上記のトイレットペーパーホルダーは、前記芯ホルダーが前記軸を中心に前記順方向に回転することを許容するとともに、前記順方向と反対の逆方向に回転することを抑制する逆転防止機構をさらに備えていてもよい。
【0016】
この構成によると、逆転防止機構により、トイレットペーパーが逆方向に回転することが抑制される。このため、トイレットペーパーが意図せずに逆方向に回転することで、露出しているはずのペーパー端部が蓋部で覆われる部分に隠れる事態の発生が抑制される。ペーパー端部が露出する状態が維持され得る。使用者がペーパー端部をより簡単につまみ出すことができる。
【0017】
前記芯ホルダーは、前記トイレットペーパーの前記芯を内側から突っ張る方向に付勢する付勢機構を備えていてもよい。
【0018】
この構成によると、トイレットペーパーがガタツキなく芯ホルダーに保持され得る。トイレットペーパーの空転も抑制することができる。トイレットペーパーが意図せずに空転して、露出しているはずのペーパー端部が蓋部で覆われる部分に隠れてしまう事態の発生が抑制される。保持状態と押下状態が交互に切り替わることで、ペーパー端部をつまみやすい位置に適切に露出させることができる。
【0019】
前記第2前端部の幅は、前記トイレットペーパーの幅よりも小さくてもよい。
【0020】
この構成によると、使用者は、ペーパーをカットする際に、第2前端部の角部をトイレットペーパーの一部に当てることができる。使用者は、ペーパーに当てられた角部をきっかけにしてペーパーをカットすることができる。使用者はより簡単にペーパーをカットし得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例のトイレットペーパーホルダー(保持状態)を示す斜視図。
図2】実施例のトイレットペーパーホルダー(押下状態)を示す斜視図。
図3】芯ホルダーと逆転防止機構周辺部分を示す斜視説明図。
図4】逆転防止機構を模式的に示す説明図。
図5】トイレットペーパーホルダーの保持状態と押下状態を示す説明図。
図6】ペダルを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例)
図1図6を参照して、実施例のトイレットペーパーホルダー2について説明する。図1図2に示されるように、実施例のトイレットペーパーホルダー2は、ロール状のトイレットペーパー100を保持するためのホルダーである。以下ではトイレットペーパーホルダー2のことを単にホルダー2と呼ぶ場合がある。図1図3に示されるように、本実施例のホルダー2は、ホルダー本体4と、軸10と、芯ホルダー20と、蓋部30と、逆転防止機構60と、ワイヤー80と、ペダル90とを備える。なお図3では、図1図2のホルダー2のうち、蓋部30、ワイヤー80、ペダル90及びトイレットペーパー100を省略した様子が示されている。
【0023】
ホルダー本体4は、側板6と背板8とを備える。側板6は背板8の幅方向一端に固定されている。側板6は背板8と直交する向きに固定される。ホルダー2の使用時には、側板6と背板8の少なくとも一方がトイレの壁面等にねじ止め等で固定される。ホルダー本体4は、背板8の幅方向一端のみに側板6が設けられているが、他の例では、背板8の幅方向両端に側板6が設けられていてもよい。側板6と背板8は、金属、樹脂、木等、任意の素材で形成されている。また、本実施例のホルダー本体4の形状、構造はあくまで一例であり、ホルダー本体は他の任意の形状、構造を有していてもよい。例えば、他の例では、ホルダー本体は側板6と背板8以外の部材を有していてもよい。
【0024】
図3に示されるように、軸10は、ホルダー本体4の側板6に固定されている棒状部材である。軸10は、芯ホルダー20の回転軸として機能する。
【0025】
芯ホルダー20は、ロール状のトイレットペーパー100の芯110を保持するための保持部材である。芯ホルダー20は、軸10を中心に回転可能に軸10に固定されている。芯ホルダー20は、軸10から抜けないように固定されている。本実施例の芯ホルダー20は、2個のプーリー22と複数本の針金材24とを有する。2個のプーリー22は、長手方向両端部に配置される。複数本の針金材24は、それぞれ2個のプーリー22を連結している。各針金材24は、プーリー22の外周よりやや外側方向に向けて突出するように湾曲している。これにより、芯ホルダー20は、長手方向の中央部付近で外周が外側に向かってやや膨らんだ形状に形成される。芯ホルダー20は、長手方向の中央部付近で外周が外側に向かって例えば2mm程度膨らんでいてもよい。この結果、芯ホルダー20をトイレットペーパー100の芯110に挿入すると、外側に膨らんだ各針金材24が、芯110を内側から外側に向けて突っ張る方向に芯110を付勢することができる(図1図2参照)。即ち、各針金材24が、芯110を内側から突っ張る方向に付勢する付勢機構として機能する。この結果、トイレットペーパー100がガタツキなく芯ホルダー20に保持される。トイレットペーパー100の空転も抑制される。図3に示す芯ホルダー20の形状、構造はあくまで一例であり、芯ホルダーは他の任意の形状、構造を有していてもよい。例えば、他の例では、芯ホルダーは円筒状、円柱状、角筒状、角柱状等に形成されていてもよい。
【0026】
図3図4に示されるように、逆転防止機構60は、プーリー62と、板バネ68とを備える。プーリー62は、円盤状の部材である。プーリー62は芯ホルダー20の一方のプーリー22に固定されており、芯ホルダー20と同軸回転可能である。プーリー62は、他部分より径が大きいエッジ部64を有する。図4に示されるように、エッジ部64の外周には複数個の溝66が形成されている。一方、板バネ68は弾性を有する板状部材である。板バネ68の後端はブロック70を介して側板6に固定されている。板バネ68の先端はエッジ部64に接している。板バネ68の弾性により、板バネ68の先端はエッジ部64を抑える方向に付勢されている。そのため、プーリー62が回転すると、板バネ68の先端はエッジ部64及び溝66の形状に沿うように推移する。
【0027】
図4に示されるように、エッジ部64に形成されている各溝66は、プーリー62及び芯ホルダー20が順方向(図中矢印方向)に回転する場合は、板バネ68の先端が回転の抵抗とならないような角度に形成されている。ここで言う「順方向」は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100が繰り出される方向(繰り出し方向)と同じ方向である。同時に、各溝66は、プーリー62及び芯ホルダー20が逆方向(図中矢印方向と反対方向)に回転する場合は、板バネ68の先端が回転を抑制するように引っかかる角度に形成されている。即ち、プーリー62及び芯ホルダー20を逆方向に回転させようとすると、板バネ68の先端が溝66に引っ掛かり、逆方向への回転が抑制される。以上の構造を有する逆転防止機構60を備えることで、芯ホルダー20の順方向への回転が許容される一方、芯ホルダー20の逆方向への回転が抑制される。
【0028】
なお、本実施例では、プーリー62は5mm~20mm程度の厚みを有している。エッジ部64は、プーリー62の厚み方向の側板6寄りの面に形成されている。そのため、仮に、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の端部がプーリー62の一部に当接する場合であっても、トイレットペーパー100の端部がエッジ部64、溝66及び板バネ68に干渉することがない。芯ホルダー20に装着されるトイレットペーパー100の端部が逆転防止機構60の動作を阻害することがない。
【0029】
図1図2に示されるように、蓋部30は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の上側を覆うカバー部品である。同時に蓋部30は、繰り出されたトイレットペーパーをカットするためのカッターとしても機能する。蓋部30は、第1部分32と、ヒンジ36と、第2部分40と、ヒンジ44と、ヒンジ用バネ46と、板バネ材50と、を備えている。
【0030】
第1部分32は、トイレットペーパー100の上側に配置される板状部材である。第1部分32は、金属、樹脂、木等の任意の素材で形成されている。第1部分32は、ヒンジ36を介して、ホルダー本体4の背板8に対して上下回動可能に取り付けられている。例えば、芯ホルダー20へのトイレットペーパー100の着脱時等は、第1部分32は上方に回動され(跳ね上げられ)てもよい。第1部分32の幅W1は例えば100mm~130mm程度である。トイレットペーパー100の幅が115mm程度である場合、第1部分32の幅W1は100mm程度であることが好ましい。第1部分32の長さL1は例えば60mm~65mm程度である。また、第1部分32は、ヒンジ36と反対側の第1前端部34から前方に突出する舌片部38も備えている。舌片部38は、第1部分32と同一平面上に形成されている。舌片部38の突出長は、例えば20mm~30mm程度である。舌片部38の幅は、例えば30mm~60mm程度である。なお上記の各寸法はあくまで一例であり、実際の第1部分32及び舌片部38の寸法は上記以外の寸法であってもよい。以下本明細書で開示される各部品の寸法についても同様である。
【0031】
第2部分40も、トイレットペーパー100の上側に配置される板状部材である。第2部分40は、第1部分32と同じ素材で形成されている。第2部分40は、第1部分32の第1前端部34とヒンジ44を介して固定されている。第2部分40は、ヒンジ44を中心に第1部分32に対して上下回動可能である。第2部分40のうち、第2前端部42近傍部分は、トイレットペーパー100側(下側)に向けてやや曲がっている(図5参照)。図1図2図5に示されるように、第2部分40は、ヒンジ44に備えられるヒンジ用バネ46によって、第1前端部34に対して下方に回動する方向に付勢されている。また本実施例では、第2前端部42の幅は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の幅よりも小さい。第2部分40の幅W2は例えば100mm~130mm程度である。トイレットペーパー100の幅が115mm程度である場合、第2部分40の幅W1は100mm程度であることが好ましい。第2部分40の長さL2は例えば30~50mm程度である。第2部分40の長さL2は40mm程度であることが好ましい。
【0032】
図1図2図5に示されるように、板バネ材50は、第1部分32の裏側に備えられている弾性部材である。第1部分32の裏側とは、第1部分32のうち、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の上側と対面する側の面である。第1部分32の裏側のことを第1部分32の下側と呼んでもよい。板バネ材50の後端は第1部分32に固定されている。板バネ材50の先端は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の上側に当接されている。板バネ材50は、第1部分32をトイレットペーパー100の上方に持ち上げるように付勢している。板バネ材50の長さ(先端から後端までの長さ)は、例えば40~60mm程度である。板バネ材50の長さは50mm程度であることが好ましい。板バネ材50の幅は、例えば10~20mm程度である。板バネ材50の幅は15mm程度であることが好ましい。
【0033】
上記の構成を有する蓋部30は、図1及び図5の(A)に示される保持状態と、図2及び図5の(B)に示される押下状態と、の2つの間で切り替え可能である。図1及び図5の(A)に示されるように、保持状態では、蓋部30の第1部分32に下向きの力が加わっていない。保持状態では、板バネ材50は撓んでいない。第1部分32は、板バネ材50によって、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の上方に持ち上げられている。そして、第2部分40が第1部分32の第1前端部34に対して下方に回動している。使用者は、この時点で蓋部30から露出しているペーパー端部104をつまみ出して、所望の長さのトイレットペーパー100を繰り出すことができる。一方、図2及び図5の(B)に示されるように、押下状態では、蓋部30の第1部分32に下向きの力が加わっている。第1部分32への下向きの力は、例えば、使用者によって舌片部38が下方に押されることによって加えられてもよいし、後述の通り使用者によってペダル90が踏圧されることによってワイヤー80を介して加えられてもよい。押下状態では、板バネ材50が撓んでいる。保持状態から押下状態に移行する際に板バネ材50が撓むことで、板バネ材50の先端がトイレットペーパー100を順方向に所定長だけ押す。即ち、撓んだ板バネ材50で押されてロール部分102が順方向(図5の矢印方向参照)に所定長だけ回転する。トイレットペーパー100が所定長だけ繰り出される。さらに押下状態では、ヒンジ用バネ46が撓んで第2部分40が第1前端部34に対して上方に回動するとともに、第2部分40の第2前端部42がトイレットペーパー100の上面に接する。この際、使用者は、第2前端部42をカッターとして用いて、繰り出したペーパーをカットすることができる。ペーパーをカットした後で、蓋部30が押下状態から保持状態に戻ると、再び板バネ材50によって第1部分32が持ち上げられるとともに、ヒンジ用バネ46によって第2部分40が下方に回動する。これにより、直前にカットされた部分(ペーパー端部104)が、蓋部30で覆われていない位置に露出する。このように、保持状態ではペーパー端部104が既に露出しているため、使用者は、次回使用時にペーパー端部104を探す必要がない。使用者は、蓋部30やトイレットペーパー100のロール部分102に触れなくても容易にペーパー端部104をつまみ出すことができる。使用者は、露出しているペーパー端部をつまみ出して、トイレットペーパーを繰り出すことができる。
【0034】
ワイヤー80及びペダル90は、蓋部30の第1部分32に下向きの力を加えるための伝達機構である。ワイヤー80は、その一端が第1部分32の一部に固定されており、他端はペダル90に固定されている。ワイヤー80の途中部分は、トイレットペーパー100等に干渉しないように適宜ガイドされている。ペダル90は足踏み用のペダルである。ペダル90は床面に設置されている。ペダル90が踏圧されると、ワイヤー80を介して第1部分32に力が加わり、蓋部30が保持状態から押下状態に移行する。ペダル90の踏圧が解除されると、第1部分32への力の付加が解除される。即ち、使用者は、ペダル90を足で踏圧することで、蓋部30を保持状態から押下状態に移行させることができる。そして使用者は、ペダル90の踏圧を解除することで、蓋部30を押下状態から保持状態に戻すことができる。また本実施例では、ワイヤー80はバネ82によって、第1部分32に力が加わらない方向に付勢されている。そのため、ペダル90が踏圧されていない場合、ペダル90の踏圧部分はワイヤー80で引っ張られて持ち上げられている。
【0035】
また、ペダル90は、ペダル用ヒンジ92を介して床面に設置されている。このため、ペダル90は、図6の(A)に示されるように、床面上に配置されて踏圧可能な第1位置と、図6の(B)に示されるように、床面から離れてはね上げられている第2位置と、の間で回動可能である。ペダル90を第2位置にはね上げることで、床面の清掃の際にペダル90が邪魔になることを抑制することができる。
【0036】
以上の構成を有する本実施例のトイレットペーパーホルダー2の動作と作用効果を説明する。上記の通り、本実施例では、使用者がペダル90又は舌片部38を操作することで、蓋部30の第1部分32に下向きの力が加わる状態と、第1部分32に下向きの力が加わらない状態とを切り替えることができる。即ち、本実施例では、使用者のペダル90又は舌片部38の操作に伴い、蓋部30が保持状態(第1部分32に下向きの力が加わる状態)と押下状態(第1部分32に下向きの力が加わらない状態)の間で交互に切り替わる(図5参照)。これにより、本実施例のトイレットペーパーホルダー2は、ペーパー端部104をつまみやすい位置に露出させることができる。
【0037】
詳しく言うと、まず、蓋部30が保持状態(図5の(A))から押下状態(図5の(B))に移行することで、板バネ材50が撓む。そして、撓んだ板バネ材50の先端が芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100を順方向に所定長だけ押し出す。即ち、撓んだ板バネ材50で押されてロール部分102が順方向(矢印方向参照)に所定長だけ回転する。このため、仮にその時点でペーパー端部104が蓋部30から露出していない場合であっても、保持状態から押下状態への移行が繰り返し連続して行われることで、トイレットペーパー100を所定長ずつ回転させることができ、その結果、ペーパー端部104をつまみ出し可能な位置まで露出させることができる。使用者は、露出しているペーパー端部104をつまみ出して、所望の長さのトイレットペーパー100を繰り出すことができる。そして、蓋部30が押下状態にある間は第2前端部42がペーパーの上面に接するため、使用者は、押下状態の間に、第2前端部42をカッターとして用いて繰り出されたペーパーをカットすることができる。ペーパーをカットした後で、蓋部30が押下状態から保持状態に戻ると、撓みが解除された板バネ材50によって第1部分32が持ち上げられるとともに、ヒンジ用バネ46によって第2部分40が下方に回動する。これにより、直前にカットされた部分(ペーパー端部104)が、蓋部30で覆われていない位置に露出する。このように、本実施例のホルダー2によると、蓋部30が保持状態にある場合にペーパー端部104が既に露出している状態を実現できるため、使用者は、次回使用時にペーパー端部104を探す必要がない。使用者は、トイレットペーパー100のロール部分102に触れなくても容易にペーパー端部104をつまみ出すことができる。特に、第2部分40の長さL2が40mm程度である場合、蓋部30が押下状態から保持状態に戻った際に露出するペーパー端部104の長さが適切な長さ(数10mm程度)となる。使用者がペーパー端部104をつまみ出しやすくなる。従って、本実施例のトイレットペーパーホルダー2によると、使用者がペーパー端部104を簡単につまみ出すことができる。使用者がペーパー端部104を探すためにロール部分102等に触れる必要もないため、使用者は衛生的にトイレットペーパー100を使用することができる。
【0038】
そして、仮に蓋部30が保持状態である間に何らかの事情でペーパー端部104が蓋部30から露出していない状態に移行した場合であっても、上述の通り、使用者は、蓋部30を保持状態と押下状態の間で連続して切り替えることで、トイレットペーパー100を所定長ずつ回転させることができる。その結果、使用者は、トイレットペーパー100のロール部分102等に触れることなく、再びペーパー端部104をつまみ出し可能な位置まで露出させることができる。使用者は、このように露出させたペーパー端部104をつまみ出して、所望の長さのトイレットペーパー100を繰り出すことができる。
【0039】
本実施例のホルダー2は、第1部分32に下向きの力を加えるための伝達機構であるワイヤー80及びペダル90を備えている(図1図2参照)。使用者は、ペダル90を足で踏圧することで、蓋部30を保持状態から押下状態に移行させることができる。そして使用者は、ペダル90の踏圧を解除することで、蓋部30を押下状態から保持状態に戻すことができる。使用者は、手を使わずに保持状態と押下状態を切り替えることができる。使用者は、トイレットペーパー100や蓋部30に触れずにペーパー端部104をつまみ出すことができる状態を実現できる。使用者は衛生的にトイレットペーパー100を使用することができる。
【0040】
上記の通り、本実施例では、ペダル90はペダル用ヒンジ92を介して床面に設置されている。そのため、ペダル90を第2位置(図6の(B)参照)にはね上げることで、床面の清掃の際にペダル90が邪魔になることを抑制することができる。床面が衛生的に保たれやすくなる。
【0041】
上記の通り、第1部分32は舌片部38を有する(図1図2参照)。使用者は、舌片部38を押すことで第1部分32に下向きの力を加えることもできる。使用者は、舌片部38を手で操作することで、保持状態と押下状態とを切り替えることができる。使用者はトイレットペーパーホルダー2を容易に操作することができる。
【0042】
また、上記の通り、本実施例のホルダー2は、逆転防止機構60を備えている(図3図4参照)。逆転防止機構60により、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100が順方向に回転することは許容されるが、逆方向に回転することは抑制される。このため、トイレットペーパー100が意図せずに逆方向に回転することで、露出しているはずのペーパー端部104が蓋部30で覆われる部分に隠れる事態の発生が抑制される。ペーパー端部104が露出する状態が維持され得る。使用者がペーパー端部104をより簡単につまみ出すことができる。
【0043】
上記の通り、本実施例では、芯ホルダー20の複数本の針金材24は、プーリー22の外周よりやや外側方向に向けて突出するように湾曲している(図3参照)。これにより、芯ホルダー20は、長手方向の中央部付近で外側に向かってやや膨らんだ形状に形成される。この結果、芯ホルダー20をトイレットペーパー100の芯110に挿入すると、外側に膨らんだ各針金材24が、芯110を内側から外側に向けて突っ張る方向に芯110を付勢することができる。即ち、各針金材24が、芯110を内側から突っ張る方向に付勢する付勢機構として機能する。この結果、トイレットペーパー100がガタツキなく芯ホルダー20に保持される。トイレットペーパー100の空転も抑制することができる。トイレットペーパー100が意図せずに空転して、露出しているはずのペーパー端部104が蓋部30で覆われる部分に隠れてしまう事態の発生が抑制される。そのため、保持状態と押下状態が交互に切り替わることで、ペーパー端部104をつまみやすい位置に適切に露出させることができる。本実施例の複数本の針金材24が、「付勢機構」の一例である。
【0044】
また、本実施例では、第2前端部42の幅は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の幅よりも小さい(図1図2参照)。そのため、使用者は、第2前端部42をカッターとして用いてペーパーをカットする際に、第2前端部42の角部をペーパーの一部に当てることができる。使用者は、ペーパーに当てられた角部をきっかけにしてペーパーをカットすることができる。使用者はより簡単にペーパーをカットすることができる。
【0045】
以上、実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0046】
(変形例1)第2前端部42の幅は、芯ホルダー20に保持されているトイレットペーパー100の幅以上であってもよい。
【0047】
(変形例2)第2前端部42は、例えば鋸刃状、ギザギザ状等、ペーパーの切断を補助可能な形状に形成されていてもよい。第2前端部42に刃部材が取り付けられていてもよい。
【0048】
(変形例3)芯ホルダー20は、芯110を内側から突っ張る付勢機構を備えていなくてもよい。
【0049】
(変形例4)ペダル用ヒンジ92が省略されてもよい。その場合、ペダル90は、床面上に常時固定されていてもよい。
【0050】
(変形例5)ワイヤー80及びペダル90が省略されてもよい。その場合、別の方法で第1部分32に下向きの力を加えられればよい。例えば、使用者が第1部分32を直接押し下げてもよい。
【0051】
(変形例6)第1部分32の舌片部38が省略されてもよい。この場合も、別の方法で第1部分32に下向きの力を加えられればよい。
【0052】
(変形例7)逆転防止機構60が省略されてもよい。
【0053】
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0054】
2:トイレットペーパーホルダー
4:ホルダー本体
10:軸
20:芯ホルダー
24:針金材
30:蓋部
32:第1部分
34:第1前端部
36:ヒンジ
38:舌片部
40:第2部分
42:第2前端部
44:ヒンジ
46:ヒンジ用バネ
50:板バネ材
60:逆転防止機構
80:ワイヤー
90:ペダル
92:ペダル用ヒンジ
100:トイレットペーパー
102:ロール部分
104:ペーパー端部
110:芯
【要約】
【課題】使用者がペーパー端部を簡単につまみ出し得る技術を提供する。
【解決手段】トイレットペーパーホルダーは、ホルダー本体と、軸と、ペーパーの芯を保持可能な芯ホルダーと、ペーパーの上側を覆う蓋部とを有する。蓋部は、ホルダー本体に対して上下方向に回動可能に取り付けられている第1部分と、第1部分の第1前端部に固定され、第1部分に対して上下回動可能であって、ヒンジ用バネによって第1前端部に対して下方に回動する方向に付勢されている第2部分と、第1部分の裏側に備えられ、後端が第1部分の裏側に固定され、先端が芯ホルダーに保持されているトイレットペーパーの上側に当接され、第1部分をトイレットペーパーの上方に持ち上げるように付勢する板バネ材とを備えている。蓋部は、第1部分に力が加わっていない保持状態と、第1部分に下向きの力が加わっている押下状態との間で切り替え可能である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6