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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】ブロー成形装置及び中空体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/56 20060101AFI20250602BHJP
   B29C 49/36 20060101ALI20250602BHJP
【FI】
B29C49/56
B29C49/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2025012912
(22)【出願日】2025-01-29
【審査請求日】2025-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594082648
【氏名又は名称】株式会社フロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100213388
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】祢津 陽一
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-526690(JP,A)
【文献】国際公開第2014/146332(WO,A1)
【文献】特開平8-66950(JP,A)
【文献】特開2020-78897(JP,A)
【文献】特開昭62-116125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/56
B29C 49/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転盤の外周縁に沿って複数組の金型と、前記複数組の金型を開閉する複数組の開閉機構とを備えるブロー成形装置であって、
前記複数組の金型のそれぞれは、中空体の胴部を形成する第1型及び第2型と、前記中空体の底部を形成する底型と、を含み、
前記複数組の開閉機構のそれぞれは、前記回転盤に設けられた、揺動機構、第1型締め機構及び第2型締め機構を含み、
前記揺動機構は、前記第1型が固定される固定盤と、前記第2型が固定される揺動盤と、前記回転盤に回転可能に支持された開閉ロッドと、を備え、
前記固定盤は、前記開閉ロッドに支持されると共に、前記回転盤に固定され、
前記揺動盤は、前記開閉ロッドに固定されると共に、前記開閉ロッドを軸回転させることで前記第2型を前記第1型に対して開閉可能に設置され、
前記第1型締め機構は、型閉じした前記第1型及び前記第2型に対して進退可能な第1ブロックを備え、
前記第2型締め機構は、前記第1型及び前記第2型を挟んで前記第1ブロックとは対向する位置に、型閉じした前記第1型及び前記第2型に対して進退可能な第2ブロックを備え、
型閉じした前記第1型及び前記第2型は、前記第1ブロック及び前記第2ブロックと対向する位置に2つの環状の傾斜面を形成し、
前記第1ブロックは、一方の前記傾斜面と係合する第1内周面を有し、
前記第2ブロックは、前記底型が固定されると共に、前記底型を囲むように配置されかつ他方の前記傾斜面と係合する第2内周面を有することを特徴とする、ブロー成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブロー成形装置において、
前記固定盤及び前記揺動盤は、それぞれ内部に熱媒が流れる流路を備え、
前記第1型は、前記固定盤に直接接触することで加熱又は冷却され、
前記第2型は、前記揺動盤に直接接触することで加熱又は冷却されることを特徴とする、ブロー成形装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブロー成形装置において、
前記揺動機構は、前記回転盤に沿って設けられたガイド部と、前記開閉ロッドに固定される被ガイド部と、をさらに備え、
前記開閉ロッドは、前記回転盤が回転して前記被ガイド部が前記ガイド部に案内されることで軸回転することを特徴とする、ブロー成形装置。
【請求項4】
請求項1に記載のブロー成形装置を用いて前記中空体を製造する方法であって、
前記回転盤によって運ばれる前記金型が開いている状態でプリフォームを前記第1型の所定位置に配置し、
前記開閉ロッドを軸回転させて前記揺動盤を前記固定盤に向けて揺動させて前記第2型と前記第1型とを型閉じし、
型閉じした前記第1型及び前記第2型に前記第1ブロック及び前記第2ブロックを係合し、
前記第1型、前記第2型及び前記底型により形成するキャビティで前記プリフォームを前記中空体にブロー成形し、
前記開閉ロッドを軸回転させて前記揺動盤を前記固定盤から離間させて前記第1型から前記中空体を取り出すことを特徴とする、中空体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形装置及び中空体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転盤の外周縁に沿って複数組の金型を備えるブロー成形装置は、1組の揺動盤と、揺動盤のぞれぞれに取付盤を介して取り付けられる1組のブロー成形型を備える(特許文献1)。そして、従来のブロー成形装置における開閉機構において揺動盤は、開閉中心シャフトには固定されず、単に開閉中心シャフトに回転可能に支持されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-72972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなブロー成形装置は、開閉中心シャフトのさらに外側にブロー成形型を開閉するための回転シャフトや連結用アームなどが必要になるため開閉機構の小型化は難しい。また、特許文献1のようなブロー成形装置は、型締め力を発生させるためにブロー成形型と揺動盤との間に取付盤が必要となり、開閉機構が重くなる。
【0005】
そこで、本発明は、開閉機構が小型化・軽量化したブロー成形装置を提供することを目的とする。また、本発明は、生産性を向上できる中空体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0007】
[1]本発明に係るブロー成形装置の一態様は、
回転盤の外周縁に沿って複数組の金型と、前記複数組の金型を開閉する複数組の開閉機構とを備えるブロー成形装置であって、
前記複数組の金型のそれぞれは、中空体の胴部を形成する第1型及び第2型と、前記中空体の底部を形成する底型と、を含み、
前記複数組の開閉機構のそれぞれは、前記回転盤に設けられた、揺動機構、第1型締め機構及び第2型締め機構を含み、
前記揺動機構は、前記第1型が固定される固定盤と、前記第2型が固定される揺動盤と、前記回転盤に回転可能に支持された開閉ロッドと、を備え、
前記固定盤は、前記開閉ロッドに支持されると共に、前記回転盤に固定され、
前記揺動盤は、前記開閉ロッドに固定されると共に、前記開閉ロッドを軸回転させることで前記第2型を前記第1型に対して開閉可能に設置され、
前記第1型締め機構は、型閉じした前記第1型及び前記第2型に対して進退可能な第1ブロックを備え、
前記第2型締め機構は、前記第1型及び前記第2型を挟んで前記第1ブロックとは対向する位置に、型閉じした前記第1型及び前記第2型に対して進退可能な第2ブロックを備え、
型閉じした前記第1型及び前記第2型は、前記第1ブロック及び前記第2ブロックと対
向する位置に2つの環状の傾斜面を形成し、
前記第1ブロックは、一方の前記傾斜面と係合する第1内周面を有し、
前記第2ブロックは、前記底型が固定されると共に、前記底型を囲むように配置されかつ他方の前記傾斜面と係合する第2内周面を有することを特徴とする。
【0008】
[2]前記一態様に記載のブロー成形装置において、
前記固定盤及び前記揺動盤は、それぞれ内部に熱媒が流れる流路を備え、
前記第1型は、前記固定盤に直接接触することで加熱又は冷却され、
前記第2型は、前記揺動盤に直接接触することで加熱又は冷却されることができる。
【0009】
[3]前記一態様のいずれかに記載のブロー成形装置において、
前記揺動機構は、前記回転盤に沿って設けられたガイド部と、前記開閉ロッドに固定される被ガイド部と、をさらに備え、
前記開閉ロッドは、前記回転盤が回転して前記被ガイド部が前記ガイド部に案内されることで軸回転することができる。
【0010】
[4]本発明に係る中空体の製造方法の一態様は、
前記ブロー成形装置の一態様を用いて前記中空体を製造する方法であって、
前記回転盤によって運ばれる前記金型が開いている状態でプリフォームを前記第1型の所定位置に配置し、
前記開閉ロッドを軸回転させて前記揺動盤を前記固定盤に向けて揺動させて前記第2型と前記第1型とを型閉じし、
型閉じした前記第1型及び前記第2型に前記第1ブロック及び前記第2ブロックを係合し、
前記第1型、前記第2型及び前記底型により形成するキャビティで前記プリフォームを前記中空体にブロー成形し、
前記開閉ロッドを軸回転させて前記揺動盤を前記固定盤から離間させて前記第1型から前記中空体を取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るブロー成形装置によれば、揺動盤が開閉ロッドに固定されると共に、第1型及び第2型がそれぞれ取付盤を介することなく固定盤及び揺動盤に直接固定されるため、型締め機構が小型化・軽量化したブロー成形装置を提供することができる。本発明に係る中空体の製造方法によれば、開閉機構が小型化・軽量化したブロー成形装置を用いて中空体を製造するため、動作速度を高速化して生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るブロー成形装置の概略平面図である。
図2】ブロー成形部の一部を拡大して示す斜視図である。
図3】型閉状態のブロー成形部の斜視図である。
図4】型開状態のブロー成形部の斜視図である。
図5】型閉状態のブロー成形部の図3におけるA-A断面図である。
図6】型締め状態のブロー成形部の図3におけるB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.ブロー成形装置
図1を用いて本実施形態に係るブロー成形装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るブロー成形装置1の概略平面図である。
【0015】
図1に示すように、ブロー成形装置1は、例えば、ベース2上に配置される加熱部4、第1移送部5、ブロー成形部6、及び第2移送部7を備える。ブロー成形装置1のブロー成形部6は、回転盤10の外周縁に沿って複数組の金型30と、複数組の金型30を開閉する複数組の開閉機構20とを備える。ブロー成形装置1は、さらに、供給機3及び排出部8を備えることができる。
【0016】
ベース2は、例えば、筐体状またはフレーム状である。ベース2は、中空体の製造工場の床面に設置される。ベース2の上には加熱部4及びブロー成形部6を含む各部の構成要素が配置される。
【0017】
供給機3は、プリフォーム62を加熱部4に供給する。供給機3は、加熱部4に隣接するベース2上に配置される。供給機3は、公知の機構を採用できる。プリフォーム62は、例えば開口する口部と、口部に接続する略円筒状の胴部と、胴部を閉塞する底部とを備える。プリフォーム62は、合成樹脂製であり、一般に射出成形で製造されるが、押出成形や圧縮成形で製造したものを用いてもよい。供給機3は、例えば、ベース2の側方に配置されるホッパー、傾斜コンベア、整列機及びシュートを備える。供給機3は、整列したプリフォーム62を口部付近で支持して吊り下げた状態で順次加熱部4にプリフォーム62を供給する。ブロー成形装置1は、供給機3から加熱部4にプリフォーム62を引き渡す供給ホイールを備えてもよい。供給ホイールは、例えば特開2012-229114号公報に開示の機構を用いることができる。供給ホイールは、口部を下にした倒立状態に反転させる機構をさらに備えてもよい。
【0018】
加熱部4は、プリフォーム62を搬送する搬送路と、搬送路に沿って配置された複数のヒータとを備える。加熱部4は、公知の機構を採用できる。搬送路は、例えば長円形循環路であり、図示しないプリフォームキャリアが一定の間隔で搬送路に沿って配列される。プリフォームキャリアは、例えば、供給機3から受け取ったプリフォーム62の口部を保持して、搬送路に沿ってプリフォーム62を搬送する。加熱部4は、搬送路に沿ってプリフォームを移動する間にヒータでプリフォーム62をブロー成形に適した温度に加熱する。
【0019】
第1移送部5は、加熱されたプリフォーム62を加熱部4の搬送路から受け取り、ブロー成形部6に順次引き渡す。第1移送部5は、ベース2上であって、加熱部4とブロー成形部6の間に配置される。第1移送部5は、公知の機構を採用できる。例えば、第1移送部5は、特開2004-155147号公報に開示の機構を用いることができる。ブロー成形部6の構成に合わせて例えば口部を下にした倒立状態に反転させる機構をさらに備えてもよい。
【0020】
ブロー成形部6は、詳細は後述するが、回転盤10に所定間隔で複数組の開閉機構20が搭載される。ブロー成形部6は、第1移送部5を挟んで加熱部4に隣接してベース2上に配置される。回転盤10は、例えば、平面視で略円環状(図1)であって、側面視で略平板形状(図2)である。回転盤10は、所定速度で連続回転する。各開閉機構20には一組の金型30が取り付けられる。回転盤10の回転により、各開閉機構20に取り付けられている金型30は、円形循環路に沿って循環する。金型30は、開閉機構20により円形循環路の所定の位置で型開し、また円形循環路の他の所定の位置で型閉する。第1移送部5から受け取ったプリフォーム62は、金型30に送り込まれて円形循環路に沿って搬送されながらブロー成形されて所定の中空体に成形される。ブロー成形部6で成形され
る中空体は、開口部が上にある正立状態である。本実施形態では中空体60が正立状態になる例について説明するが、金型30を上下逆にして開口部が下にある倒立状態で成形してもよい。
【0021】
第2移送部7は、ブロー成形部6から中空体60を受け取り、排出部8に順次受け渡す。第2移送部7は、ベース2上であって、ブロー成形部6と排出部8の間に配置される。第2移送部7は、公知の機構を採用でき、例えば複数のアームがそれぞれ中空体60を保持する機構を備える。開閉機構20は、第2移送部7の手前で型開し、第1移送部5を過ぎてから型閉する。ブロー成形部6が倒立状態の中空体60を成形する場合、第2移送部7は中空体60を正立状態に反転する機構を備えてもよい。
【0022】
排出部8は、第2移送部7から中空体60を受け取り、ブロー成形装置1の外へ中空体60を移動させる。排出部8は、第2移送部7を挟んでブロー成形部6に隣接して配置される。排出部8は、公知の機構を採用でき、例えば連続運転するベルトコンベアである。排出部8からブロー成形装置1の外へ送り出された中空体60は、図示しない次工程、例えば梱包工程や充填工程へ移される。
【0023】
2.ブロー成形部
図2図6を用いて本実施形態に係るブロー成形装置1のブロー成形部6について説明する。図2は、ブロー成形部6の一部を拡大して示す斜視図であり、図3は、型閉状態のブロー成形部6の斜視図であり、図4は、型開状態のブロー成形部6の斜視図であり、図5は、型閉状態のブロー成形部6の図3におけるA-A断面図であり、図6は、型締め状態のブロー成形部6の図3におけるB-B断面図である。なお、図3及び図4で底型34は型閉じしていない。
【0024】
図2は、ブロー成形部6の回転盤10、一組の金型30及び一組の開閉機構20を拡大して示し、隣接する金型30及び開閉機構20は省略して示している。図2において金型30は型開状態を示す。型開状態とは、図示しないプリフォームを金型30内に受け入れる前または図示しない中空体を金型30外へ取り出した後の状態である。図3及び図4は回転盤10の上下にある構成要素の位置関係を明確に示すために回転盤10を省略して示す。また、図5は、金型30内にプリフォーム62が配置された状態を示し、図6は、金型30内で中空体60が成形された状態を示す。
【0025】
回転盤10は、開閉機構20の位置に合わせて上下に貫通する複数の貫通孔が形成される。回転盤10の上面には、全ての開閉機構20が設置される位置に当該上面から上方へ延びる第1支柱11が固定される。回転盤10の下面には、全ての開閉機構20が設置される位置に当該下面から下方へ延びる第2支柱12が固定される。開閉ロッド234が回転盤10に形成された貫通孔を上下に貫いて回転可能に配置される。
【0026】
複数組の金型30のそれぞれは、中空体60(図4参照)の胴部を形成する第1型31及び第2型32と、中空体60の底部を形成する底型34と、を含む。第1型31及び第2型32は、型閉じ状態で上端に開口が形成されるように構成される。当該開口に例えばプリフォーム62及び中空体60における例えば口部(開口部)付近が保持可能である。第1型31及び第2型32は、型閉じ状態で下端に開口が形成されるように構成される。当該開口は底型34を受け入れることができる。金型30は、さらに鉛直方向に延びる延伸ロッド33を備えてもよい。延伸ロッド33は、型閉じ状態の金型30に保持されたプリフォーム62の口部に上方から挿入される。
【0027】
複数組の開閉機構20のそれぞれは、回転盤10の所定位置に設けられた、揺動機構23、第1型締め機構21及び第2型締め機構22を含む。第1型締め機構21は、回転盤
10の上方であって、第1支柱11に設けられる。第2型締め機構22は、回転盤10の下方であって、第2支柱12に設けられる。揺動機構23は、回転盤10を挟んで回転盤10の上下わたって設けられる。
【0028】
揺動機構23は、第1型31が固定される固定盤40と、第2型32が固定される揺動盤50と、回転盤10に回転可能に支持された開閉ロッド234と、を備える。
【0029】
固定盤40は、開閉ロッド234に支持されると共に、回転盤10に固定される。固定盤40が開閉ロッド234に支持されることにより、開閉ロッド234で揺動する揺動盤50に対して正確な固定盤40の位置を設定できる。固定盤40の下端は回転盤10の上面に固定される。固定盤40は、揺動盤50側の側面に第1型31が固定される。固定盤40は、第1型31のキャビティが形成された側面を除いて第1型31の側面の略全体を覆う構造を有する。この構造により、固定盤40は第1型31の側面と直接密着する。
【0030】
固定盤40は、開閉ロッド234を超えて第1支柱11に向けて延びる2つの支持部41a,41bを備える。支持部41aは、固定盤40の上端付近から側方へ延びて第1支柱11の側面に固定される。支持部41bは、固定盤40の下端付近から側方へ延びて第1支柱11の側面に固定される。図6に示すように、開閉ロッド234が支持部41a,41bを上下に貫通するように延びる。支持部41a,41bと開閉ロッド234との間には軸受42a,42bが設けられ、開閉ロッド234は支持部41a,41bに対して回転可能である。
【0031】
揺動盤50は、開閉ロッド234に固定されると共に、開閉ロッド234を軸回転させることで第2型32を第1型31に対して開閉可能に配置される。揺動盤50は、揺動盤50の側方から開閉ロッド234に向かって延びる固定部51を備える。固定部51は、略円筒状であって、開閉ロッド234と一体に固定される。固定部51は、上下の支持部41a,41bの間にある。固定部51と開閉ロッド234との固定は、例えば摩擦式締結具などを採用できる。揺動盤50は、固定盤40側の面に第2型32が固定される。揺動盤50は、第2型32のキャビティが形成された側面を除いて、第2型32の側面の略全体を覆う構造を有する。この構造により、揺動盤50は第2型32の側面と直接密着する。
【0032】
開閉ロッド234は、回転盤10を上下に貫通して延在する。回転盤10より上にある開閉ロッド234は、固定盤40及び揺動盤50より高い位置まで延びる。開閉ロッド234の上端は、支持部41aの上に突出した部分にナットが締結されて下方への移動が制限される。回転盤10より下にある開閉ロッド234は、開閉ロッド234の段部で上方への移動が制限される。
【0033】
開閉ロッド234は、軸受13を介して回転盤10に回転可能に支持される。開閉ロッド234の中心軸は回転盤10に対して鉛直方向に延び、この中心軸を中心に開閉ロッド234が回転する。開閉ロッド234の中心軸は、第2型32に隣接して設けられる。開閉ロッド234の中心軸は、型閉じした第1型31と第2型32によって形成される中空体60のキャビティの中心軸(口部の中心軸)と平行であってもよい。
【0034】
揺動機構23は、回転盤10に沿って設けられたガイド部233と、開閉ロッド234に固定される被ガイド部232と、をさらに備えることができる。ガイド部233は、回転盤10の下方に設けられる。開閉ロッド234には、開閉ロッド234の下端から水平方向へ延びる開閉アーム230が固定される。開閉アーム230の先端には、被ガイド部232が固定される。被ガイド部232は、例えばカムフォロアである。ガイド部233は、例えばカムフォロアが接触しながら転がるガイド面である。開閉ロッド234は、回
転盤10が回転して被ガイド部232がガイド部233に案内されることで軸回転する。
【0035】
従来のブロー成形部は、左右のブロー型を共に開閉動作させていたが、本実施形態では揺動盤50及び第2型32だけを開閉動作させればよいので、軽量化による高速化が可能となり、生産性の向上が期待できる。また、揺動機構23に従来のような型閉じ後のロック機構がないので、型締め力を負担する必要が無く、その結果揺動盤50が軽量化できる。開閉動作する部材が軽量化したため、開閉ロッド234を回転軸として揺動盤50を直接揺動させることができ、従来より簡略化しさらに揺動機構23を軽量化できる。また、揺動機構23によれば、第1型31は型開動作しないので、第1型31に合わせて第2型32、第1ブロック212及び第2ブロック222を確実に位置決めすることができる。
【0036】
固定盤40及び揺動盤50は、例えば、それぞれ内部に熱媒が流れる流路36を備える。流路36は、流路36以外の例えば電気ヒータであってもよいし、他の熱交換具であってもよい。固定盤40と第1型31の側面との間には従来のような取付盤を介していない。また、揺動盤50と第2型32の側面との間には従来のような取付盤を介していない。そのため、第1型31は、固定盤40に直接接触することで加熱又は冷却され、第2型32は、揺動盤50に直接接触することで加熱又は冷却される。すなわち、固定盤40及び揺動盤50は、第1型31と第2型32の熱交換部である。従来のような取付盤がないので、流路36により金型30を適切な温度に調整することができる。また、従来のような取付盤がないので、固定盤40及び揺動盤50が小型化・軽量化できる。この小型化により、隣接する開閉機構20同士の間隔を狭くできるため、回転盤10に設置できる金型30の数を増やすことができる。
【0037】
第1型31は、上端に第1外周面311と、揺動盤50に対向しない側面にある一方のキャビティと、下端に第2外周面312とを備える。第2型32は、上端に第1外周面321と、揺動盤50に対向しない側面にある他方のキャビティと、下端に第2外周面322とを備える。第1外周面311,321は、それぞれ平面視で略円弧状であり、側面視で上方に向かって縮径する傾斜面である。第2外周面312,322は、それぞれ平面視で略円弧状であり、側面視で下方に向かって縮径する傾斜面である。
【0038】
型閉じした第1型31及び第2型32は、第1ブロック212及び第2ブロック222と対向する位置に2つの環状の傾斜面を形成する。金型30の上端に形成される環状の傾斜面は、第1外周面311,321で構成される略円錐台形状の外周面である。当該環状の傾斜面の中心にはプリフォーム62を受け入れる開口が形成される。金型30の下端に形成される環状の傾斜面は、第2外周面312,322で構成される略円錐台形状の外周面である。当該環状の傾斜面の中心には底型34を受け入れる開口が成形される。
【0039】
第1型締め機構21は、第1駆動部210と、第1ブロック212とを備える。第1駆動部210は、第1支柱11に固定される。第1駆動部210は、第1ブロック212を金型30の上端に対して昇降移動させることができる。第1ブロック212は、型閉じした第1型31及び第2型32に対して進退可能である。第1ブロック212は、中心にロッド33を挿通する貫通孔と、下方に向けて開口する凹部とを有する。当該凹部のプリフォーム62と当接する部分にシール部材214が設けられる。第1ブロック212は、一方の傾斜面である金型30の上端に形成される環状の傾斜面と係合する第1内周面213を有する。第1内周面213は、第1ブロック212の下面に設けられた凹部の内周面である。第1内周面213は、下方に向かって拡径する。金型30上端の環状の傾斜面と第1内周面213が係合することで、第1型31から第2型32が離れる移動を防止する。特に、ブロー成形時に高圧エアが吹き込まれると、第1外周面311と第2外周面312を第1内周面213へ押し付ける力が働くことで金型30が開く力に抗すると共に、第1ブロック212が上昇するのを抑えてエアシールを維持できる。
【0040】
第2型締め機構22は、第2駆動部220と、第2ブロック222とを備える。第2駆動部220は、第2支柱12に取り付けられる。第2駆動部220は、第2ブロック222を金型30の下端に対して昇降移動させることができる。第2駆動部220は、第2支柱12の側面に固定されたガイドレールと、当該ガイドレールに沿って案内されるリニアガイドと、リニアガイド及び第2駆動部220と一体のカムフォロアと、当該カムフォロアを案内するガイド面とをさらに備えてもよい。回転盤10の下方に設けられるガイド面にカムフォロアが案内されて第2駆動部220及び第2ブロック222が昇降移動することで、第2駆動部220の昇降ストロークを短縮できる。
【0041】
本実施形態において第1駆動部210及び第2駆動部220は、エアシリンダを採用しているが、第1ブロック212及び第2ブロック222を昇降できれば他の公知の駆動機構例えばカム機構、リンク機構、電動モータ、油圧シリンダなどを採用してもよい。
【0042】
第2ブロック222は、第1型31及び第2型32を挟んで第1ブロック212とは対向する位置に配置される。第2ブロック222は、型閉じした第1型31及び第2型32に対して進退可能である。第2ブロック222は、底型34が固定されると共に、底型34を囲むように配置されかつ他方の傾斜面である金型30の下端に形成される環状のと係合する第2内周面223を有する。第2内周面223は、第2ブロック222の上面に設けられる凹部の内周面である。第2内周面223は、上方に向かって拡径する。第2ブロック222と底型34は一体である。金型30下端の環状の傾斜面と第2内周面223が係合することで、第1型31から第2型32が離れる移動を防止する。また、ブロー成形時に高圧エアが吹き込まれると、第1外周面321と第2外周面322を第2内周面223へ押し付ける力が働くことで金型30が開く力に抗すると共に、第2ブロック222が下降するのを抑える。
【0043】
揺動機構23は、小型化・軽量化による高速化により、ブロー成形装置1の生産能力を向上できる。また、揺動機構23の小型化により、金型30の設置個数を増やすことができるため、設置面積が同じであってもブロー成形装置1の生産能力を向上できる。
【0044】
3.中空体の製造方法
図1図6を用いて、本実施形態に係る中空体60の製造方法を説明する。本実施形態に係る中空体60の製造方法は、ブロー成形装置1を用いて中空体60を製造する方法である。
【0045】
中空体60の製造方法は、配置する工程と、型閉じする工程と、係合する工程と、ブロー成形する工程と、取り出す工程と、を含む。中空体の製造方法は、配置する工程の前に、供給する工程と、加熱する工程と、をさらに含むことができる。
【0046】
供給する工程は、プリフォーム62を供給機3が加熱部4へ順次供給する工程である。
【0047】
加熱する工程は、加熱部4でプリフォーム62を所定温度まで加熱する工程である。
【0048】
配置する工程は、回転盤10によって運ばれる金型30が開いている状態でプリフォーム62を第1型31の所定位置に配置する工程である。配置する工程は、例えば第1移送部5が所定温度に加熱されたプリフォーム62を第1型31の所定位置に配置する。
【0049】
型閉じする工程は、開閉ロッド234を軸回転させて揺動盤50を固定盤40に向けて揺動させて第2型32と第1型31とを型閉じする工程である。型閉じする工程は、回転盤10が回転することで被ガイド部232が回転盤10の下方に設けられるガイド部23
3に当接して開閉アーム230を旋回させることで開閉ロッド234を軸回転させる。開閉ロッド234が軸回転すると、開閉ロッド234と一体の揺動盤50が固定盤40に向かって揺動し、第2型32が第1型31に当接するまで高速で移動する。
【0050】
係合する工程は、型閉じした第1型31及び第2型32に第1ブロック212及び第2ブロック222を係合し、第1型31、第2型32及び底型34により形成するキャビティでプリフォーム62を中空体60にブロー成形する工程である。型閉じした状態の金型30の上端には図3に示すような第1外周面311,321により円錐台形状の傾斜面が形成される。同様に、型閉じした状態の金型30の下端には第2外周面312,322により円錐台形状の傾斜面が形成される。これらの傾斜面と第1ブロック212の第1内周面213及び第2ブロック222の第2内周面223とは同じ傾斜角度を有している。そのため、当該傾斜面に当該内周面が接触することにより、第1型31と第2型32に対して上下で型締め力を発生して型開を防止する。開閉ロッド234は型締め力を負担する必要が無い。また、第2ブロック222を上昇させることで型閉じした第1型31及び第2型32の下端から底型34が挿入される。そして、口部からプリフォーム62の内部へ延伸ロッド33が挿入されて下降すると共に高圧エアが導入されて中空体60が成形される。ブロー成形前及びブロー成形中に第1外周面311,321による円錐台の傾斜面に第1内周面213が押しつけられ、かつ、第2外周面312,322による円錐台の傾斜面に第2内周面223が押しつけられることで、第1型31と第2型32の型開が防止されると共に、第1ブロック212及び第2ブロック222の移動が制限される。その結果、第1ブロック212のシール部材214と中空体60の口部とは接触が維持されてエアシールできる。
【0051】
取り出す工程は、開閉ロッド234を軸回転させて揺動盤50を固定盤40から離間させて第1型31から中空体60を取り出す工程である。第1ブロック212及び延伸ロッド33を上昇させると共に、第2ブロック222及び底型34を下降させることで、第1型31と第2型32の型締め状態を解除することができる。揺動盤50が揺動すれば、第2型32から中空体60が離型する。一方で固定盤40は回転盤10と一定の位置であるので、第2移送部7は第1型31から中空体60を取り出せばよい。中空体60を保持した第2移送部7は、中空体60を排出部8へ受け渡す。排出部8は、成形された中空体60をブロー成形装置1の外へ順次排出する。
【0052】
本実施形態に係る中空体60の製造方法によれば、従来よりも高速生産が可能であり、ブロー成形装置1の設置面積に対する生産性が向上する。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能であり、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0054】
1…ブロー成形装置、2…ベース、3…供給機、4…加熱部、5…第1移送部、6…ブロー成形部、7…第2移送部、8…排出部、10…回転盤、11…第1支柱、12…第2支柱、13…軸受、20…開閉機構、21…第1型締め機構、210…第1駆動部、212…第1ブロック、213…第1内周面、214…シール部材、22…第2型締め機構、220…第2駆動部、222…第2ブロック、223…第2内周面、23…揺動機構、230…開閉アーム、232…被ガイド部、233…ガイド部、234…開閉ロッド、30…金型、31…第1型、311…第1外周面、312…第2外周面、32…第2型、32
1…第1外周面、322…第2外周面、33…延伸ロッド、34…底型、36…流路、40…固定盤、41a,41b…支持部、42a,42b…軸受、50…揺動盤、51…固定部、60…中空体、62…プリフォーム
【要約】
【課題】本発明は、取付盤を用いない型締め機構により軽量化したブロー成形装置を提供する。
【解決手段】ブロー成形装置1は、回転盤10の外周縁に沿って複数組の金型30と、複数組の金型30を開閉する複数組の開閉機構20とを備える。揺動機構23は、固定盤40と、揺動盤50と、開閉ロッド234と、を備える。揺動盤50は、開閉ロッド234に固定されると共に、開閉ロッド234を軸回転させることで第2型32を第1型31に対して開閉可能に配置される。型閉じした第1型31及び第2型32は、第1ブロック212及び第2ブロック222と対向する位置に2つの環状の傾斜面を形成する。第1ブロック212は、一方の傾斜面と係合する第1内周面を有する。第2ブロック222は、底型34が固定されると共に、底型34を囲むように配置されかつ他方の傾斜面と係合する第2内周面を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6