(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】改良されたスワーラベーン構造を有する燃料ノズル
(51)【国際特許分類】
F23R 3/14 20060101AFI20250602BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20250602BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20250602BHJP
【FI】
F23R3/14
F02C7/232 B
F23R3/28 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021035884
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2024-02-22
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド・ビアジオリ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャーノ・ソラト
(72)【発明者】
【氏名】テラサ・マルチョーニ
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336996(JP,A)
【文献】特開2013-231582(JP,A)
【文献】米国特許第06141967(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0028728(KR,A)
【文献】国際公開第2015/136609(WO,A1)
【文献】特開2016-017739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/14
F02C 7/232
F23R 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ノズル(60)であって、
前記燃料ノズル(60)のスワーラ部分(100)の中心線(200)に対して軸方向に延在する中央本体(102)と、
前記中央本体(102)の半径方向外側の閉じ込め管(104)と、
前記中央本体(102)と前記閉じ込め管(104)との間に配置された複数のスワーラベーン(106)と、
を含み、前記複数のスワーラベーン(106)の各々は、
半径方向内側基部(114)および半径方向外側先端部(116)と、
前縁(122)から延在する上流部分(130)と、
前記上流部分(130)から後縁(124)まで延在する下流部分(132)であって、前記下流部分(132)は、前記上流部分(130)と前記後縁(124)との間の屈曲長さ(134)を画定し、前記半径方向外側先端部(116)での前記屈曲長さ(134)は、前記半径方向内側基部(114)での前記屈曲長さ(134)よりも大きい、下流部分(132)と、
を含
み、
前記複数のスワーラベーン(106)の各スワーラベーン(106)は、正圧側(118)および負圧側(120)を含み、
前記複数のスワーラベーン(106)の各スワーラベーン(106)の前記後縁(124)は、前記燃料ノズル(60)の前記中心線(200)とキャンバーライン(131)との間に画定された出口流れ角(136)をさらに含み、
前記出口流れ角(136)は、前記複数のスワーラベーン(106)の各スワーラベーン(106)の半径(108)に沿って一定であり、前記半径(108)の方向に変化しない、燃料ノズル(60)。
【請求項2】
各スワーラベーン(106)の前記上流部分(130)は、ほぼ平坦であり、前記スワーラ部分(100)の前記中心線(200)に対して軸方向に配向されている、請求項1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項3】
前記スワーラ部分(100)の前記中心線(200)と前記閉じ込め管(104)との間に最大半径方向距離が画定され、前記半径方向内側基部(114)での前記屈曲長さ(134)と前記最大半径方向距離との間の比は0.4より大きい、請求項1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項4】
前記半径方向内側基部(114)における前記屈曲長さ(134)は、前記半径方向外側先端部(116)における前記屈曲長さ(134)の約40%~約90%である、請求項1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項5】
前記複数のスワーラベーン(106)の各スワーラベーン(106)の前記屈曲長さ(134)は、前記半径方向内側基部(114)から前記半径方向外側先端部(116)までほぼ直線的に増加する、請求項1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項6】
前記複数のスワーラベーン(106)におけるスワーラベーン(106)の前記下流部分(132)は、前記複数のスワーラベーン(106)における隣接するスワーラベーン(106)の前記前縁(122)を越えて円周方向に延在する、請求項1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項7】
前記出口流れ角(136)は、約30°~約60°である、請求項
1に記載の燃料ノズル(60)。
【請求項8】
ターボ機械(10)であって、
圧縮機セクション(14)と、
タービンセクション(18)と、
請求項1乃至7のいずれかに記載の複数の燃料ノズル(60)を含む燃焼セクションと
、
を含む、ターボ機械(10)。
【請求項9】
各スワーラベーン(106)の前記下流部分(132)は、ほぼ円弧状である、請求項
8に記載のターボ機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ターボ機械燃料ノズルに関する。特に、本開示は、ターボ機械燃料ノズルに使用するためのスワーラベーン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギー伝達の目的で様々な産業および用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションと、を含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに入る作動流体の圧力を徐々に上昇させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(例えば、天然ガス)は、燃焼セクション内で混合され、燃焼チャンバ内で燃焼して高圧および高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼セクションからタービンセクションに流れ、そこで膨張して仕事を発生する。例えば、タービンセクションにおける燃焼ガスの膨張は、例えば、発電機に接続されたロータシャフトを回転させ、電気を発生することができる。次いで、燃焼ガスは、排気セクションを介してガスタービンから排出される。
【0003】
ターボ機械は、通常、燃焼器セクションに燃料ノズルを含む。各燃料ノズルは、点火のために燃料と空気の混合物を燃焼チャンバに送達するための1つまたは複数の通路を有する構成要素である。燃料ノズルは、点火前に燃料と空気との混合を一貫した均一な混合物に改善するためのスワーラを含むことが多い。燃料ノズルのスワーラ部分は、ノズルの中央本体から半径方向に、かつノズルの中央本体の周りに円周方向に延在する複数の空力ベーンを含む。スワーラベーンは、スワーラベーンの表面に画定された燃料孔を通して燃料を供給する内部通路を含むことが多い。燃料が燃料孔を出ると、燃料は、スワーラベーン間を通過する流体、典型的には空気と混合する。次いで、燃料/空気混合物は、燃焼チャンバ内で点火されて、タービンセクションに動力を供給する燃焼ガスを生成する。
【0004】
多くの場合、排出物を削減し、および/またはターンダウン能力を改善するために、古いターボ機械モデルは、二次燃焼段を含むように改造され、二次燃焼段は、一般に一次燃焼段、例えば燃料ノズルの下流に配置される1つまたは複数の軸方向燃料噴射器を含む。典型的には、軸方向燃料噴射器は、動作するために、燃料ノズルのみを通って以前に送られた圧縮空気の大部分を必要とする。一次燃料ノズルへの圧縮空気流の減少の結果として、従来のスワーラベーンは、スワーラまたはスワーラの下流で流れの剥離を生じさせる可能性があり、これは、燃料ノズルの性能、例えば保炎に悪影響を及ぼす可能性がある。一般に、圧縮空気流の減少は、スワーラを横切る空気流のバルク速度の減少を伴うことが多く、スワーラ表面での保炎のリスクを増加させる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、適切な保炎マージンを維持しながら、低減された空気流で動作することができる改良されたスワーラベーン構造を有する燃料ノズルが、当技術分野において望まれている。
【0006】
本開示によるスワーラアセンブリ、およびターボ機械の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されており、または説明から明らかとなり、または本技術の実施を通して学ぶことができる。
【0007】
一実施形態によれば、燃料ノズルが提供される。燃料ノズルは、燃料ノズルの中心線に対して軸方向に延在する中央本体を含む。閉じ込め管は、中央本体の半径方向外側に配置される。複数のスワーラベーンが、中央本体と閉じ込め管との間に配置される。複数のスワーラベーンの各々は、半径方向内側基部および半径方向外側先端部を含む。スワーラベーンの各々は、前縁からほぼ軸方向に延在する上流部分をさらに含む。下流部分は、上流部分から後縁まで延在する。下流部分は、上流部分と後縁との間の屈曲長さを画定する。半径方向外側先端部における屈曲長さは、半径方向内側基部における屈曲長さよりも大きい。
【0008】
別の実施形態によれば、ターボ機械が提供される。ターボ機械は、圧縮機セクションと、タービンセクションと、複数の燃料ノズルを含む燃焼セクションと、を含む。複数の燃料ノズルの各燃料ノズルは、燃料ノズルの中心線に対して軸方向に延在する中央本体を含む。閉じ込め管は、中央本体の半径方向外側に配置される。複数のスワーラベーンが、中央本体と閉じ込め管との間に配置される。複数のスワーラベーンの各々は、半径方向内側基部および半径方向外側先端部を含む。スワーラベーンの各々は、前縁からほぼ軸方向に延在する上流部分をさらに含む。下流部分は、上流部分から後縁まで延在する。下流部分は、上流部分と後縁との間の屈曲長さを画定する。半径方向外側先端部における屈曲長さは、半径方向内側基部における屈曲長さよりも大きい。
【0009】
本燃料ノズルおよびターボ機械のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであるが、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
当業者へと向けられた本システムおよび方法の作製および使用の最良の態様を含む、本スワーラアセンブリ、およびターボ機械の完全かつ実施可能な開示が本明細書に記載されており、それは添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態による、ターボ機械の概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1のターボ機械と共に使用するのに適した燃焼器を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図2の燃焼器内で使用するための燃料ノズルの断面側面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図3の燃料ノズルの一部の側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図3および
図4の燃料ノズルからの複数のスワーラベーンを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図5のスワーラベーンのうちの単一のスワーラベーンの側面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図6のようなスワーラベーンの半径方向内側基部を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図6のようなスワーラベーンの半径方向外側先端部を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態による、
図6のようなスワーラベーンの斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態による、スワーラベーン上の半径方向位置とスワーラベーンの屈曲長さとの間の関係をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、改良されたスワーラベーン構造を有する本燃料ノズルおよびそのような燃料ノズルを有するターボ機械の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本技術の説明のために提供するものであって、本技術を限定するものではない。実際、特許請求される技術の範囲または趣旨を逸脱せずに、修正および変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正および変更を包含することを意図している。
【0013】
詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似または同様の符号は、本発明の類似または同様の部分を指して使用されている。本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用する場合、「上流」(または「前方」)、および「下流」(または「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向を指し、「下流」は流体が流れていく方向を指す。
【0015】
「半径方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対的な方向を指し、「軸方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行および/または同軸に整列する相対的な方向を指し、「円周方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線の周囲に延在する相対的な方向を指す。
【0016】
「ほぼ」、または「約」などの近似の用語は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲内の値を含む。角度または方向の文脈で使用されるとき、そのような用語は、記載された角度または方向のプラスマイナス10度の範囲を含む。例えば、「ほぼ垂直」は、任意の方向、例えば、時計回りまたは反時計回りの垂直から10度の範囲内の方向を含む。
【0017】
ここで図面を参照すると、
図1は、ターボ機械の一実施形態の概略図を示しており、これは、図示の実施形態ではガスタービン10である。産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示されて説明されているが、本開示は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、陸上用および/または産業用ガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載のスワーラアセンブリは、限定はしないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン、または船舶用ガスタービンを含む任意のタイプのターボ機械に使用することが可能である。
【0018】
示すように、ガスタービン10は、一般に、入口セクション12と、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14と、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16内の複数の燃焼器17(
図2示す)と、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18と、タービンセクション18の下流に配置された排気セクション20と、を含む。加えて、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18との間に結合された1つまたは複数のシャフト22を含むことができる。
【0019】
圧縮機セクション14は、一般に、複数のロータディスク24(そのうちの1つが示されている)と、各ロータディスク24から半径方向外向きに延在し、各ロータディスク24に接続されている複数のロータブレード26とを含むことができる。次に、各ロータディスク24は、圧縮機セクション14を通って延在するシャフト22の一部に結合されるか、またはその一部を形成してもよい。
【0020】
タービンセクション18は、一般に、複数のロータディスク28(そのうちの1つが示されている)と、各ロータディスク28から半径方向外向きに延在し、各ロータディスク28に接続されている複数のロータブレード30とを含むことができる。次に、各ロータディスク28は、タービンセクション18を通って延在するシャフト22の一部に結合されるか、またはその一部を形成してもよい。タービンセクション18は、シャフト22の一部およびロータブレード30を円周方向に囲む外側ケーシング31をさらに含み、それによってタービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に画定する。
【0021】
動作中、空気などの作動流体が入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流入し、ここで空気が徐々に圧縮され、それにより加圧空気27を燃焼器セクション16の燃焼器に提供する。加圧空気27は燃料と混合され、各燃焼器内で燃焼されて燃焼ガス34を発生する。燃焼ガス34は、高温ガス経路32を通って燃焼器セクション16からタービンセクション18に流入し、ここでエネルギー(運動エネルギーおよび/または熱エネルギー)が燃焼ガス34からロータブレード30に伝達されることにより、シャフト22が回転する。次いで、機械的回転エネルギーを圧縮機セクション14への動力供給および/または発電に使用することができる。タービンセクション18から排出された燃焼ガス34は次に、排気セクション20を介してガスタービン10から排気され得る。
【0022】
図2に示すように、燃焼器17は、圧縮機吐出ケーシングと呼ぶことができる外側ケーシング31によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。外側ケーシング31は、燃焼器17の様々な構成要素を少なくとも部分的に囲む高圧プレナム35を少なくとも部分的に画定することができる。高圧プレナム35は、圧縮機14(
図1)と流体連通し、圧縮空気27をそこから受け取ることができる。エンドカバー36は、外側ケーシング31に結合されてもよい。特定の実施形態では、外側ケーシング31およびエンドカバー36は、燃焼器17のヘッドエンド容積部またはヘッドエンド部分38を少なくとも部分的に画定することができる。
【0023】
特定の実施形態では、ヘッドエンド部分38は、高圧プレナム35および/または圧縮機14と流体連通する。1つまたは複数のライナまたはダクト40は、燃料空気混合物を燃焼させるための燃焼チャンバまたはゾーン42を少なくとも部分的に画定することができ、かつ/または燃焼ガス34をタービン18の入口に向けて導くための、矢印43で示すように燃焼器を通る高温ガス経路を少なくとも部分的に画定することができる。
【0024】
様々な実施形態において、燃焼器17は、ヘッドエンド部分38に少なくとも1つの燃料ノズル60を含む。
図2に示すように、燃料ノズル60は、燃焼器17のエンドカバー36の下流および/またはそこから離間し、燃焼チャンバ42の上流で外側ケーシング31内に配置することができる。特定の実施形態では、燃料ノズルアセンブリ60は、1つまたは複数の流体導管50を介して燃料供給源48と流体連通してもよい。多くの実施形態では、流体導管50は、エンドカバー36に流体結合され、かつ/または一端で接続されてもよい。
【0025】
図3は、本明細書で説明される燃料ノズル60の一例を示す。燃料ノズル60は、燃焼器17などと共に使用することができる。図示するように、燃料ノズル60は、スワーラ部分100を含むことができる。燃料ノズル60は、閉じ込め管104から半径方向に離間したハブまたは中央本体102を含むことができる。図示するように、中央本体102は、1つまたは複数のスワーラベーン106によって閉じ込め管に接続することができる。スワーラベーン106は、ほぼ空気力学的な輪郭を有することができ、燃料ノズル60を通過する空気に旋回を与えるように構成することができる。各スワーラベーン106は、それを通る1つまたは複数の燃料供給通路58を含むことができる。これらの燃料供給通路58は、気体燃料を気体燃料噴射孔(図示せず)に分配することができる。気体燃料は、燃料供給通路58に供給する1つまたは複数の環状通路61を通ってスワーラアセンブリ100に入ることができる。気体燃料は、燃料および空気がスワーラ部分100を通って移動するときに圧縮空気27と混合することができ、燃料ノズル60の閉じ込め管104内で混合した後に、燃料/空気混合物は、燃焼が行われる燃焼ゾーン42(
図2)に入ることができる。
【0026】
図4は、本開示の実施形態による、燃料ノズル60の閉じ込め管104の一部が切り取られたスワーラ部分100を示し、スワーラベーン106を示している。スワーラベーン106は、中央本体102と閉じ込め管104との間に半径方向に配置されてもよい。図示するように、スワーラ部分100は、燃料/空気の混合を促進し、火炎安定化を改善するように機能する複数のスワーラベーン106を含むことができる。
図4および
図5に示す実施形態では、スワーラ部分100は、円周方向に離間した10個のスワーラベーン106を含む。他の実施形態では、スワーラベーン106の数は変化してもよい。
【0027】
圧縮機セクション14からの圧縮空気27は、中央本体102と閉じ込め管104との間の環状空間105を通って流れることができ、空気27はスワーラベーン106に遭遇する。スワーラベーン106は、円周方向Cに時計回りまたは反時計回りの方向に空気中で旋回運動を誘発することができる。スワーラ部分100はまた、スワーラベーン106を通して画定された複数の燃料噴射ポート(図示せず)を含むことができる。燃料噴射ポートは、燃料が空気と接触して混合するスワーラ部分100(すなわち、隣り合うスワーラベーン106の間)の環状空間105に燃料を導くことができる。スワーラベーン106は、燃料/空気混合物が閉じ込め管104を通って燃焼ゾーン42に移動するときに、燃料/空気混合物に旋回運動を誘発することができる。
【0028】
図4に示すように、スワーラ部分100は、軸方向A、および軸方向Aの周りに延在する円周方向Cを画定することができる。スワーラ部分100はまた、軸方向Aに垂直な半径方向Rを画定することができる。
【0029】
図4に示すように、スワーラ部分100は、最大半径方向距離またはR
max値をさらに含むことができる。図示するように、R
max値は、スワーラ部分100の軸方向中心線200から閉じ込め管104まで半径方向Rに測定することができる。具体的には、R
max値は、軸方向中心線200から閉じ込め管104の内面107まで測定することができる。さらに、本明細書で使用される場合、R/R
max値は、半径方向の位置を示すために使用され得るR
max値のパーセントおよび/または部分であり得る。例えば、
図4に示すように、R/R
maxが0.5(またはR
max値の50%)に等しい場合、半径方向Rに沿った位置は、中央本体102の外面103および/またはスワーラベーン106の半径方向内側基部114(
図6に示す)である。
【0030】
図5は、本開示の実施形態による、中央本体102および閉じ込め管104から分離されたスワーラベーン106を示す。
図4および
図5に示すように、スワーラベーン106はそれぞれ、中央本体102と閉じ込め管104との間に延在する半径108を含むことができる。スワーラベーン106の各々は、上流端110に画定された前縁122と、下流端112に画定された後縁124と、を含む。空気および/または燃料は、一般に、上流端110から下流端112に流れる。
【0031】
多くの実施形態では、スワーラベーン106は、中央本体102に結合された半径方向内側基部114を含む。スワーラベーン106は、半径方向内側基部114と半径方向外側先端部116との間に半径方向に延在することができる。スワーラベーン106はそれぞれ、正圧側118および負圧側120を含むことができる。正圧側118は、前縁122から後縁124まで延在し、正圧側表面126を形成することができる。正圧側表面126は、ほぼ空気力学的な輪郭を有してもよく、多くの実施形態では、実質的に弓形であってもよい。空気および/または燃料は、一般に、正圧側118に対して流れることができ、正圧側表面126に対応する経路をとることができる。同様に、負圧側120もまた、前縁122から後縁124まで延在し、負圧側表面128を形成する。正圧側表面126は、負圧側表面128とは異なっていてもよく、すなわち、異なる空気力学的輪郭を有してもよい。したがって、表面126、128は、スワーラベーン106の半径108に沿って変化して、スワーラベーン106の下流および/またはスワーラ部分100の下流に変化した空気旋回角度を形成することができる。
【0032】
図4および
図5に示すように、正圧側118および負圧側120は、上流端110で互いに向かって収束して、前縁122を少なくとも部分的に形成することができる。同様に、正圧側118および負圧側120も下流端112で互いに向かって収束し、後縁124を少なくとも部分的に形成する。正圧側118および負圧側120の表面形状は、スワーラベーン106に沿って変化して、任意の半径方向位置で前縁122から後縁124への滑らかな移行を確実にすることができる。
【0033】
本開示の実施形態により、
図6は、単一のスワーラベーン106の側面図を示し、
図7は、スワーラベーン106の半径方向内側基部114の側面輪郭図を示し、
図8は、スワーラベーン106の半径方向外側先端部116の側面輪郭図を示す。
図6~
図8に示すように、スワーラベーン106は、キャンバライン131を含むことができる。キャンバライン131は、正圧側表面126と負圧側表面128との間の中間に画定されてもよい。
【0034】
図示するように、正圧側表面126、負圧側表面128、およびキャンバライン131はそれぞれ、上流部分130および下流部分132をさらに含むことができる。多くの実施形態では、表面126、128の上流部分130は、前縁122から下流部分132まで延在してもよい。同様に、下流部分132は、上流部分130から後縁124まで延在してもよい。図示するように、表面126、128の上流部分130およびキャンバライン131は、実質的に平坦であり、ほぼ軸方向に整列していてもよい。下流部分132は、スワーラ部分100内を移動する空気および/または燃料に旋回を誘発するように機能する、円周方向Cの空気力学的輪郭および/または曲率を含むことができる。
【0035】
図示するように、上流部分130は、前縁122から軸方向に延在し、表面126、128が曲率および/または輪郭を有し始めると、すなわち下流部分132が始まるところで終端することができる。表面126、128の曲率は、半径方向の位置に応じて、スワーラベーン106に沿った異なる位置で始まることができる。したがって、正圧側表面126、負圧側表面128、およびキャンバライン131の上流部分130および下流部分132の長さは、スワーラベーン106の半径108に沿って変化してもよい。
【0036】
図5に最もよく示されているように、いくつかの実施形態では、複数のスワーラベーン106におけるスワーラベーン106’の下流部分132は、複数のスワーラベーン106における隣接するスワーラベーン106’’の前縁122を超えて円周方向に延在することができる。例えば、スワーラベーン106’の後縁124および下流部分132の少なくとも一部分は、複数のスワーラベーン106の隣接するスワーラベーン106’’の前縁122および上流部分130と軸方向に重なっていてもよい。さらに、多くの実施形態では、後縁124は、前縁122から円周方向にオフセットされてもよい。
【0037】
図6~
図8にまとめて示すように、スワーラベーン106は、屈曲長さ134またはL(
図9および
図10)をさらに含むことができる。屈曲長さ134は、下流部分132の長さ、すなわち、実質的に弓形で、湾曲した、および/または空気力学的に輪郭付けられたスワーラベーン106の長さであってもよい。具体的には、屈曲長さ134は、正圧側表面126の下流部分132の長さ、負圧側表面128の下流部分132の長さ、またはキャンバライン131の下流部分132の長さであってもよい。本明細書で使用する場合、「屈曲長さ134」は、特に明記しない限り、一般にキャンバライン131の屈曲長さ134を指す。様々な実施形態では、正圧側表面126の屈曲長さ134、負圧側表面128の屈曲長さ134、およびキャンバライン131の屈曲長さ134は、同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
図6に示され、上述されたように、正圧側表面126、負圧側表面128、およびキャンバライン131の各々の屈曲長さ134は、スワーラベーン106の半径108に沿って変化してもよい。例えば、多くの実施形態では、正圧側表面126、負圧側表面128、およびキャンバライン131のそれぞれの屈曲長さ134は、半径方向内側基部114(
図7)の屈曲長さ134と比較して、半径方向外側先端部116(
図8)で実質的に長くてもよい。しかしながら、他の実施形態では、正圧側表面126、負圧側表面128、およびキャンバライン131のそれぞれの屈曲長さ134は、半径方向外側先端部116および半径方向内側基部114で同じであってもよい。
【0039】
多くの実施形態では、半径方向内側基部114におけるキャンバライン131の屈曲長さ134は、半径方向外側先端部116におけるキャンバライン131の屈曲長さ134の約40%~約90%であってもよい。他の実施形態では、半径方向内側基部114におけるキャンバライン131の屈曲長さ134は、半径方向外側先端部116におけるキャンバライン131の屈曲長さ134の約45%~約85%であってもよい。いくつかの実施形態では、半径方向内側基部114におけるキャンバライン131の屈曲長さ134は、半径方向外側先端部116におけるキャンバライン131の屈曲長さ134の約50%~約80%であってもよい。様々な実施形態では、半径方向内側基部114におけるキャンバライン131の屈曲長さ134は、半径方向外側先端部116におけるキャンバライン131の屈曲長さ134の約55%~約75%であってもよい。
【0040】
多くの実施形態では、屈曲長さ134は、半径方向内側基部114から半径方向外側先端部116までほぼ直線的に増加してもよい。したがって、屈曲長さ134は、半径方向内側基部114から半径方向外側先端部116まで一定の変化率で増加してもよい。
【0041】
図7および
図8に示すように、スワーラベーン106は、出口流れ角136をさらに含むことができる。出口流れ角136は、燃料ノズル60の軸方向中心線200と、後縁124でキャンバライン131に接する線202と、の間で画定され得る。空気および/または燃料は、表面126、128の上流部分130によって画定されたほぼ軸方向の流路から、表面126、128の下流部分132によって出口流れ角136に向かって偏向されてもよい。さらに、出口流れ角136は半径108に沿って一定であってもよい、すなわち、出口流れ角136は半径方向Rに変化しない。したがって、空気および/または燃料をほぼ軸方向の流路から線202に沿った流れ方向にずらす、すなわち、出口流れ角136の量だけ軸方向をオフセットするのに必要な距離は、スワーラベーン106上の空気/燃料の半径方向位置に応じて変化し得る。例えば、燃料および/または空気が中央本体102に近いほど、すなわち半径方向内側にあるほど、空気/燃料を出口流れ角136に向かってずらすために利用される屈曲長さ134が短くなる。
【0042】
多くの実施形態では、出口流れ角は、約30°~約60°であってもよい。他の実施形態では、出口流れ角は、約35°~約55°であってもよい。いくつかの実施形態では、出口流れ角136は、約40°~約50°であってもよい。特定の実施形態では、出口流れ角136は約45°であってもよい。
【0043】
図9は、本開示の実施形態によるスワーラベーン106の斜視図である。
図9では、R/R
max値、すなわち、スワーラベーン106に沿った半径方向位置は、0.1の増分で示されており、半径方向外側先端部116は、斜視図を示すために
図9では透明である。図示するように、屈曲長さL(
図6~
図8の134)は、半径方向Rに沿ってほぼ直線的に増加する。
【0044】
図10は、スワーラベーン106の半径方向位置と屈曲長さLとの間の関係をプロットしたグラフ300である。
図10に示すように、屈曲長さLは、キャンバライン131の下流部分132の長さを指す。具体的には、
図10は、L/R
max値、すなわち最大半径方向距離R
maxに関して正規化された屈曲長さLとR/R
max値との間の関係を示す線302のグラフを示す。プロットによって示されるように、屈曲長さLは、半径Rが増加するにつれて直線的に増加する。同様に、プロットによって示されるように、屈曲長さLは、線302のほぼ均一な勾配に起因して一定の(正の)変化率で増加することができる。
【0045】
図9および
図10にまとめて示すように、屈曲長さLと最大半径方向距離R
maxとの間の比は、
図10の点304によって表される半径方向内側基部114ではほぼ0.65に等しい。同様に、屈曲長さLと最大半径方向距離R
maxとの間の比は、
図10の点306によって表される半径方向外側先端部116ではほぼ1.45に等しい。他の実施形態では、L/R
max値は、半径方向内側基部114で0.4程度に低くなり得る。半径方向内側基部114におけるL/R
max値は、0.4未満であるべきではない。そうでなければ、スワーラベーン106上の流れ剥離が発生する可能性がある。
【0046】
動作中、スワーラベーン106の屈曲長さLを直線的に増加させることは、全体的な保炎マージンを増加させるように機能し、それによってより大量のより反応性の燃料(水素およびダイカーボンが豊富な燃料)を利用することを可能にする。本明細書に記載のスワーラベーン106の改善された構造は、有利には、燃料ノズル(または一次燃焼システム)の保炎マージンに悪影響を与えることなく、軸方向燃料ステージングシステム(または二次燃焼システム)の使用を可能にすることができる。具体的には、スワーラベーン106の構造は、そうでなければ燃焼器17のヘッドエンド部分38への総空気流容積の大部分が二次燃焼のために下流の軸方向燃料ステージング噴射器(図示せず)に迂回される場合に発生する可能性がある一次燃料ノズル60における流れの剥離を防止する。
【0047】
本明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは特許請求の範囲の文言との実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0048】
10 ガスタービン
12 入口セクション
14 圧縮機セクション
16 燃焼器セクション
17 燃焼器
18 タービンセクション
20 排気セクション
22 シャフト
24 ロータディスク
26 ロータブレード
27 圧縮空気、加圧空気
28 ロータディスク
30 ロータブレード
31 外側ケーシング
32 高温ガス経路
34 燃焼ガス
35 高圧プレナム
36 エンドカバー
38 ヘッドエンド部分
40 ライナ、ダクト
42 燃焼ゾーン、燃焼チャンバ
43 矢印
48 燃料供給源
50 流体導管
58 燃料供給通路
60 燃料ノズル、燃料ノズルアセンブリ
61 環状通路
100 スワーラ部分、スワーラアセンブリ
102 中央本体
103 外面
104 閉じ込め管
105 環状空間
106 スワーラベーン
106’ スワーラベーン
106’’ スワーラベーン
107 内面
108 半径
110 上流端
112 下流端
114 半径方向内側基部
116 半径方向外側先端部
118 正圧側
120 負圧側
122 前縁
124 後縁
126 正圧側表面
128 負圧側表面
130 上流部分
131 キャンバライン
132 下流部分
134 屈曲長さ
136 出口流れ角
200 軸方向中心線
202 線
300 グラフ
302 線
304 点
306 点