(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】水/ディーゼル分離フィルター用高性能ファブリック
(51)【国際特許分類】
B01D 17/04 20060101AFI20250602BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20250602BHJP
B01D 39/18 20060101ALI20250602BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20250602BHJP
D03D 9/00 20060101ALI20250602BHJP
D03D 15/20 20210101ALI20250602BHJP
D03D 15/527 20210101ALI20250602BHJP
D03D 15/533 20210101ALI20250602BHJP
D03D 15/67 20210101ALI20250602BHJP
【FI】
B01D17/04 501D
B01D39/16 Z
B01D39/18
D03D1/00 Z
D03D9/00
D03D15/20
D03D15/20 100
D03D15/527
D03D15/533
D03D15/67
(21)【出願番号】P 2021531350
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2019060308
(87)【国際公開番号】W WO2020115625
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】102018000010762
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】593197248
【氏名又は名称】サーティ・エッセ・ピ・ア
【氏名又は名称原語表記】SAATI S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カノニコ、パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ルチニャーノ、カルミネ
(72)【発明者】
【氏名】モメンテ、ロベルト
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】金 公彦
【審判官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-514179号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0023883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 17/04
B01D 39/00-39/20
D03D 1/00-27/18
F02M 37/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ディーゼル燃料濾過システムにおける、水/ディーゼルエマルションから水を分離するフィルター用ファブリックの使用であって、
前記ファブリックは、長方形メッシュ(11)を有し、その辺(12、13)がそれぞれの糸(thread)(26、27)によって形成され、
前記長方形メッシュ(11)が水滴(3)をとどめながら、前記水滴(3)近傍の制限されないままの部分(16)をディーゼル流が通過することを可能にし、
前記長方形メッシュ(11)の短辺と長辺とのサイズ比が、0.38
~0.92の範囲であり、
前記長方形メッシュ(11)が、濾過されるディーゼル流から、前記長方形メッシュ(11)の短辺(13)の長さに匹敵する直径を有する水滴(3)を受け取るとき、前記水滴(3)は前記長方形メッシュ(11)に保持され、前記長方形の開口部の部分(16)は、ディーゼル流を通過させるために形成されることを特徴とする、ファブリックの使用。
【請求項2】
前記長方形メッシュの短辺が、5~150μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【請求項3】
前記糸(26、27)が、直径10~90μmの合成モノフィラメント又はマルチフィラメントであることを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【請求項4】
1cm当たりの糸の数が23~350の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【請求項5】
前記糸(26、27)の材料が、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、パーフルオロカーボン、ポリウレタン、又はポリ塩化ビニルのファミリーに属する合成テクノポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【請求項6】
前記糸(26、27)が、セルロース又はビスコースファミリーに属する人工ポリマーからできている、又は金属糸からなることを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【請求項7】
前記糸(26、27)が、撥水コーティングを有することを特徴とする、請求項1に記載のファブリックの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景技術)
本発明は、水/ディーゼルエマルションから水を分離する機能を発現するディーゼル燃料フィルターに使用することができる高性能ファブリックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用のディーゼル燃料等のディーゼルは、エマルジョン中に水を含み、これは噴射システムの寿命及びエンジン効率に害を及ぼすことが知られている。従って、噴射システムに入るディーゼルから水性フラクションを分離する必要がある。
【0003】
前記目的のため、水滴を止めるようにサイズが選択される正方形メッシュファブリックを含むフィルターを使用することが知られている。前記フィルターは、典型的には、異なる機能を有する2つか3つの濾過媒体から形成され、本発明の主題のファブリックは、最後の濾過段階を占める。第1の濾過媒体は、典型的には、固体粒子を濾過する機能を実行する不織布又は紙である。第2の濾過媒体もまた、液滴の引き続くブロックを容易にするために、ディーゼルに分散された水滴の合体効果(coalescence effect)を得るような方法で特定の材料を使用して適切に表面処理又は製造された、同様の材料で構成される。いずれの場合も、ランダムに分布した繊維状材料とランダムに分布した細孔で製造される安価な材料が通常使用される。合体段階の後、重量差のために大きな液滴がフィルターの底に沈殿し、そこで排出されるが、小さな液滴は流れ続ける。これらの液滴が車両の油圧機械回路の繊細な部品と接触するのを防ぐために、それらは、第3の濾過段階を表す本発明の主題のファブリックの手段によってブロックされる。この場合、前の2つの段階とは異なり、メッシュ開口部の特徴的なサイズ(すべて互いに同一)よりも大きいサイズのすべての液滴がブロックされることを合理的に確実にするために、空間と時間で均一な細孔(メッシュ)サイズの精密濾過媒体の使用が好ましい。このため、適切なポリマーで形成され、適切に処理され、正方形のメッシュを備えた合成精密ファブリックは、この種の用途に理想的な媒体である。
【0004】
ディーゼル燃料から水を分離する問題は、次の2つの理由でますます重要になっている:
1.バイオディーゼル中における、エマルジョンを安定させる物質の使用、
2.ますます高いエンジン性能を達成するために、水滴を粉砕してそのサイズを小さくするポンプを使用し、その結果それらをブロックすることがより困難になる。
【0005】
フィルターに到達する水/ディーゼルエマルジョン中に存在する水の総量に対するファブリックによって止められた水のパーセンテージとして定義されるフィルターの分離効率を高める目的で、使用するファブリックの正方形メッシュの辺の長さを短くすることが知られており、その結果、ますます小さいメッシュを有するファブリックが得られる。前記プラクティスは、明らかに、ファブリックの濾過媒体に入る水滴のサイズに従って調整されなければならない。
【0006】
メッシュサイズを小さくするには、2つの方法がある。1つ目は、同じ直径を維持しながら、ファブリックの糸の数を増やして挿入することである。2つ目は、より大きい直径の糸を使用して、同じ数の糸を使用する方法である。どちらの場合も、空/フル比(empty to full ratio)が減少することは明らかである。従って、空/フル比を一定に保ちながらメッシュサイズを小さくするには、糸の数を増やし、同時に糸の直径を小さくすることが唯一の解決策であると考えられる。ただし、この一見理想的な3番目の方法には、次の2つの限界がある:
-糸処理段階での技術的な限界により、特定の直径未満ではモノフィラメントを押し出したり織り込んだりすることができない;
-織り段階での技術的な限界により、特定の基準値を超えて糸の数/cmを増やすことはできない:糸の直径をより小さくすると、非常に小さなメッシュサイズを得ることができない。従って、特定の基準値を超えると、自由(空/フル)表面の減少が避けられない。
【0007】
引用された従来のプラクティス、すなわち、前記説明に基づくメッシュサイズを小さくする方法は、メッシュの自由表面もまた縮小するという欠点を有する。実際、従来技術の正方形メッシュが小さすぎるか狭すぎると、保持された液滴の本体又はフットプリントによりメッシュ表面が塞がれるため、フィルター又はディーゼル供給部の上流部において流体の圧力が増加する。ディーゼル供給領域でのこのタイプの圧力上昇は、水滴を変形させ、メッシュを通過できるようになるまで水滴を押し込み、フィルターの分離効率を低下させる可能性がある。
【0008】
狭いメッシュの存在はさらに、濾過されたディーゼルのエンジンへの流量を低下させ、従ってその効率を低下させるという欠点を有する。
【0009】
従って、場合によっては、メッシュサイズの縮小の利点が、自由表面の平行縮小によって無効になる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主な目的は、既知のファブリックとは異なり、より優れた水/ディーゼル分離効率を有する、水/ディーゼル分離フィルター用の高性能ファブリックを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、高い分離効率を有しながら、ファブリックを通るディーゼルの所望の通過の障害とはならず、従って、燃料流量を過度に低下させたり、圧力降下を大幅に増加させたりすることを回避する、前述のタイプのファブリックを提供することである。
【0012】
これら及び他の目的は、請求項1の主題によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、残りの請求項に開示されている。
【0013】
従来技術の水/ディーゼルフィルターの用ファブリックと比較して、本発明のファブリックは、より高い分離効率を有するという利点を提供し、従って、フィルターの下流におけるより低い残留水分含有量のディーゼルの分離を可能にする。
【0014】
本発明のファブリックのさらなる利点は、高い分離効率を示しながら、ディーゼル流量を過度に低下させず、従ってエンジン効率を損なうことがないことである。
【0015】
(図面の簡単な説明)
添付の図面の図中の非限定的な例示によって示される本発明のファブリックの好ましい実施態様の説明により、これら及び他の目的、利点及び特徴が示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明のファブリックを備えた最新の水/ディーゼル分離フィルターの断面図である。
【
図3-4】
図3、4a、4bは従来技術のファブリックの正方形メッシュの図である。
【
図5】
図5は、水滴によって塞がれたときの
図3のメッシュの図である。
【
図6-7】
図6、7a、7bは本発明のファブリックの長方形メッシュの図である。
【
図8】
図8は、水滴によって塞がれたときの
図6のメッシュの図である。
【
図9】
図9は、水/ディーゼルファブリックの分離効率を決定するために使用されるテストベンチの概略図である。
【
図10-11】
図10、11は、
図9のテストベンチで実行されたテストの結果を示すグラフの図である。
【
図12】
図12は、従来のファブリックと本発明のファブリックのそれぞれについて、エマルジョンの比流量と圧力の関係を示すグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示される例示では、水/ディーゼル分離用フィルター1が図示されており、その内部に濾過ファブリック2が収容された本体を備えている。
【0018】
図2に示すように、フィルターの動作において、ファブリック2の方向にディーゼル流(矢印F1)が運ばれ、下流側にディーゼル流F2が得られ、上流側の流れF1に存在する水滴3が濾過される。
【0019】
図3、4a、4bで図示される従来技術では、ファブリック2のメッシュ4は正方形であり、正方形メッシュ4のそれぞれの辺6を形成する糸5から構成される。
【0020】
図4a、4bで図示される従来技術のメッシュ4の自由表面は、メッシュ4の辺6を形成する糸5の輪郭(profile)又は内縁間で形成されるより小さい正方形7の表面と、糸5の太さの中心線の範囲で測定されたより大きい正方形8の表面のパーセンテージ比として計算される。
【0021】
従来技術のメッシュ4が、濾過されるディーゼル流F1から、前記正方形メッシュの辺6の長さに匹敵する直径を有する水滴3を受け取ると、後者の開口部が塞がれ、メッシュ4のより小さい正方形7の表面の小さい部分10のみがディーゼル流の通過のために自由になる(
図5)。
【0022】
説明した現象の結果として、ファブリック2の上流部分で流体の圧力の増加する可能性があり(
図2の矢印F1)、水滴3を変形させて、メッシュ4を通過させることができる。このようにして、フィルターに供給されるディーゼルに存在する水の総量に対するファブリックによってブロックされた水のパーセンテージとして計算されるファブリックの分離効率は、フィルターの設計値と比較して減少する。
【0023】
さらに、従来技術の正方形メッシュ4の前記閉塞は、濾過ファブリックの圧力降下を増大させ、その結果、エンジンへの同じ流量を維持するために必要なエネルギーが増大する。
【0024】
これらの欠点を克服するために、本発明のファブリック25は、長辺12と短辺13を有する長方形メッシュ11を有する(
図6)。メッシュ11の自由表面は、メッシュ11の内側に面し、かつ、それぞれの辺12、13を形成する糸26、27の輪郭(profile)又は内縁の間で測定されるより小さい長方形14の表面と、糸26、27の厚さの中心線の範囲で測定されるより大きな長方形15の表面のパーセンテージ比で計算される。本発明のファブリックの長方形メッシュの辺は、短辺と長辺の比が0.38~1である。
【0025】
本発明のファブリックは、直径が10~90μmの合成モノフィラメント又はマルチフィラメントからなる糸26、27を織ることによって得られることが好ましく、ファブリックのメッシュの短辺は5~150μmの間で変化する長さを有することが好ましい。
【0026】
本発明においては、前記糸26、27は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、パーフルオロカーボン、ポリウレタン、又はポリ塩化ビニルのファミリーに属する合成テクノポリマーで形成されている。あるいは、前記糸は、セルロース又はビスコースファミリーに属する人工ポリマーからなる。本発明のファブリックは、金属糸から形成することもできる。
【0027】
本発明のファブリック25のメッシュ11が、濾過されるディーゼル流F1から、前記長方形メッシュ11の短辺13の長さに匹敵する直径を有する水滴3を受け取るとき、後者の開口部は、従来の正方形メッシュ4の場合のように完全に塞がれることはなく、ディーゼル流が通過するとき、前記メッシュ11の自由表面の大部分16は塞がれないままである(
図8)。
【0028】
このようにして、ディーゼル流が自由部分16を通過することを可能にしながら、メッシュ11上に水滴3を保持するという二重の目的が達成される。これは、従来技術のファブリック2を使用するときに液滴3を正方形メッシュ4を越えて押し込むことができる、水/ディーゼルエマルションの流れF1における圧力増加を回避できる。
【0029】
より高い分離効率を提供するために、本発明のファブリックは、そのまま使用するか、又はフルオロカーボン又はシリコーン撥水剤、及び/又は撥水剤/撥油剤処理を実施することができる。
【0030】
本発明のファブリックを形成する糸26、27は、縦糸及び横糸の方向の一方又は両方で、10~90μmの直径を有する。本発明のファブリックは、さらに、23から350まで変化する1cmあたりの糸の数を必要とする繊維構造で製造することができる。
【0031】
前記ファブリックは、さまざまなテキスタイル構造を使用し、横糸と縦糸にさまざまなタイプ又はさまざまな直径の糸を使用して形成することができる。本発明のファブリックのメッシュ開口部は、5~150μmの範囲の短辺を有することができる。
【0032】
本発明によって、従来技術のファブリック2の正方形メッシュ4の辺6よりもさらに短い短辺13を有する長方形メッシュ11を形成することがさらに可能であり、従って、本発明のファブリック25の分離効率をさらに高めることができる。長方形メッシュの最小サイズは、明らかに変形した液滴が通過できないようなサイズでなければいけない。同様に、長方形の長辺のサイズを無限にすることはできない。これは、明らかに、液滴が変形すると、長方形メッシュの長い辺を通過する傾向があるためである。従って、長方形11の短辺13のサイズと長辺12のサイズとの間の比0.38~1は、フィルターの動作パラメータの関数として、前述の範囲内で定義される。
【0033】
本発明の説明から、長方形メッシュの長辺と短辺の比率を前記範囲内で調整することにより、以下を得ることが可能であることが分かる:
-正方形の辺のサイズと長方形の短辺のサイズを同じにすることで、正方形メッシュと比較して大きな自由表面が得られる;例えば、糸の直径を24μmに固定し、正方形の辺が18μmの場合、自由表面は18%になるが、長方形の辺が18×20μmの場合、自由表面は20%になる。
-同じ自由表面の場合に、正方形の辺のサイズと比べてより短い長方形の短辺にすることができる;具体的には、糸の直径を24μmの固定した場合、18%の自由表面を有する正方形の一辺は18μmであるが、18%の自由表面を有する長方形の辺は、16×20μmになる;
-正方形の辺に比べて長方形の短辺のサイズが小さく、自由表面がさらに大きくなる;具体的には、糸の直径を24μmに固定した場合、18%の自由表面を有する正方形の辺は18μmであるが、19%の自由表面を有する長方形は16×22μmの辺を有する。
【0034】
以上によれば、分離効率は、メッシュサイズに反比例し、自由表面に正比例する。これによると、長方形メッシュの長辺と短辺の比を0.38~1に調整することで、フィルターの分離効率を最適化することができる。例えば、23×25μm(従って、比は0.92)の長方形メッシュは、3.33l/h/cm2の比流量、20μmの液滴サイズで試験した場合、35%の分離効率を有する。一方、15×21μm(従って、比は0.7)の長方形メッシュは、3.33l/h/cm2の比流量、20μmの液滴サイズで試験した場合、48%の分離効率を有する。
【0035】
図9は、従来技術のファブリック2と本発明のファブリック25の分離効率を測定するためのテストベンチの図を示し、分離効率は、濾過ファブリックによって流出することを阻止された水の体積と、ファブリックに供給された水/ディーゼルエマルジョン中に存在する水の総体積とのパーセンテージ比として計算される。
【0036】
試験は、ISO16332規格に従って実施され、水3及びディーゼル9のエマルジョン17を濾過ファブリック2、25に通すことを必要とする。ファブリックの上流のステージ19で分離された水18は、適切な測定装置20に集められる。
【0037】
図10に示すグラフは、正方形のメッシュを有する従来技術のファブリック2と、長方形のメッシュを有する本発明のファブリック25に対して実施された試験の結果を示す。
【0038】
特に:
-従来技術のファブリック2は、18×18μmのサイズと18%のメッシュの自由表面とを有する正方形メッシュから形成され;
-本発明のファブリック25は、15×20μmのサイズと22%のメッシュの自由表面とを有する長方形メッシュから形成される。
【0039】
試験は、水滴の寸法分布を変化させながら、表面が9cm2(3.33l/h/cm2の比流量)のろ過ファブリックのサンプルに対して、30l/hの特定の水/ディーゼルエマルジョン流量で実施した。
【0040】
参照番号21は、従来技術の正方形メッシュファブリック2によって達成される分離効率値を示し、22は、本発明の長方形メッシュファブリック25の分離効率値を示す。
【0041】
実施された試験は、以下のことを示す:
-液滴直径20μmでの液滴分布について、分離効率は、従来技術のファブリック2については45%であり、本発明のファブリック25については51%である;
-液滴直径30μmでの液滴分布について、分離効率は、従来技術のファブリック2については59%であり、本発明のファブリック25については66%である;
-液滴直径45μmでの液滴分布について、分離効率は、従来技術のファブリック2については78%であり、本発明のファブリック25については82%である。
【0042】
図11のグラフは、
図10の試験を参照して既に説明したタイプの、従来技術の正方形メッシュファブリックと本発明の長方形メッシュファブリックについて実施した試験の結果を示す。今回は、水滴の寸法分布を30μmの値で一定に維持し、代わりに水/ディーゼルエマルジョンの比流量を変化させて試験を実施した。参照番号23は、正方形メッシュファブリック2の分離効率曲線を示し、一方、24は、本発明の長方形メッシュファブリック25を用いて得られた分離効率曲線を示す。
【0043】
試験では、以下のことが示される:
-1.7l/h/cm2の比流量に対して、分離効率は、従来技術のファブリック2については68%であり、本発明のファブリック25については74%である;
-6.7l/h/cm2の比流量では、分離効率は、従来技術のファブリック2では50%であり、本発明のファブリック25では57%である。
【0044】
フィルターに入る水/ディーゼルエマルジョンが同じ比流量である場合、本発明のファブリックの圧力降下は、従来技術のファブリックの圧力降下より小さい。特に:
-0.07l/min cm2の比流量の場合、本発明のファブリックの圧力降下は1.70kPaであり、一方、従来技術のファブリックの圧力降下は1.98kPaである;
-0.21l/min cm2の比流量の場合、本発明のファブリックの圧力降下は3.92kPaであり、一方、従来技術のファブリックの圧力降下は4.89kPaである。
【0045】
図12は、それぞれ、(I)本発明の長方形メッシュファブリック及び(PA)従来技術の正方形メッシュファブリックについての、前記比流量/圧力曲線の傾向を示す。