(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】インダクタを製造する複合材料、インダクタ、およびインダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20250602BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20250602BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20250602BHJP
H01F 1/153 20060101ALI20250602BHJP
【FI】
H01F41/02 C
H01F41/04 B
H01F17/04 F
H01F1/153 108
(21)【出願番号】P 2023181007
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】2023103378232
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523399175
【氏名又は名称】中国商中山市設科電子有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523399186
【氏名又は名称】中国商中山新聿科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523399197
【氏名又は名称】中国商中山新聿電子有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523399201
【氏名又は名称】新聿科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】秦良俊
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170304(JP,A)
【文献】特開平11-307357(JP,A)
【文献】特開2022-060775(JP,A)
【文献】特開2004-281777(JP,A)
【文献】特開平07-034183(JP,A)
【文献】特開2004-197218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 41/04
H01F 17/04
H01F 1/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量パーセンテージで、
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder) 70~75%、
アモルファス粉末(amorphous powder) 20~25%、
エポキシ樹脂(epoxy resin) 2~5%、
カップリング剤(coupling agent) 0.3~0.5%、
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate) 0.1~1.5%、
の成分を含
み、
前記アモルファス粉末(amorphous powder)が、質量パーセンテージで、
Si 1.8~3.8%、
B 2~4%、
C 0.2~1.0%、
P 0.02~0.20%、
S 0.01~0.03%、
残りはFe、
の成分を含む複合材料は、インダクタのT型鉄芯(T-core)およびU型鉄芯(U-core)の製造に使用され、これらの鉄芯を製造する際の条件は以下の通り、
冷間プレス成型の条件は、冷間プレス圧力が3.5~4.0T/cm
2
であり、且つ/又は冷間プレス時間が1~2sであり、
熱間プレス成型の条件は、熱間プレス温度が160~180℃であり、且つ/又は熱間プレス圧力が5.0~6.0T/cm
2
であり、且つ/又は熱間プレス時間が50~80sであり、
T型鉄芯およびU型鉄芯は熱間プレス成型後に焼成を行い、焼成プロセスは、先ず段階的に昇温して焼成し、次に段階的に降温して焼成し、具体的には、
第1段階、焼成温度80±5℃、焼成時間30±3min;
第2段階、焼成温度100±5℃、焼成時間30±3min;
第3段階、焼成温度120±5℃、焼成時間30±3min;
第4段階、焼成温度140±5℃、焼成時間30±3min;
第5段階、焼成温度160±5℃、焼成時間120±3min;
第6段階、焼成温度140±5℃、焼成時間15±3min;
第7段階、焼成温度120±5℃、焼成時間15±3min;
第8段階、焼成温度100±5℃、焼成時間15±3min;
であることを特徴とするインダクタを製造する複合材料。
【請求項2】
以下のステップを含むことを特徴とするインダクタの製造方法、
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線を有するコイルを得て、2本のリード線を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線部分を剥離する、
S2、請求項
1に記載の
インダクタを製造する複合材料を使用しT型鉄芯(T-core)およびU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造し、
前記エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)を溶媒に加え、第一の混合物を得て、次に、前記カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)とアモルファス粉末(amorphous powder)を第一の混合物に加え、均一に混合し、第二の混合物を得て、前記第二の混合物を造粒し、粒子を形成し、前記ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を前記粒子に加え、均一に混合して第三の混合物を得て、前記第三の混合物を型に充填して冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ得て、前記T型鉄芯(T-core)は、ベースとベース上に配置された凸部を含み、前記凸部は前記コイルの空間に適合し、前記U型鉄芯(U-core)の内部には凹溝が設けられ、前記凹溝はコイルに適合することを含む、
S3、ステップS1で得られたコイルをU型鉄芯(U-core)の凹溝に配置し、リード線を凹溝の外部に延ばす、
S4、コイルの空間にT型鉄芯(T-core)を配置し、ベースが凹溝口を覆い、リード線を折り曲げる、
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)、コイル、T型鉄芯(T-core)を熱間プレス成型し、成形部材を得る、
S6、成形部材を焼成する、
S7、焼成後の前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る、
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。
【請求項3】
ステップS5において、熱間プレス温度は160~180℃であり、且つ/又は熱間プレス圧力は5.0~6.0T/cm
2であり、且つ/又は熱間プレス時間は50~80sであることを特徴とする請求項
2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項4】
ステップS2において、冷間プレスの圧力は3.5~4.0T/cm
2であり、且つ/又は冷間プレス時間は1~2sであることを特徴とする請求項
2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項5】
ステップS8において、銅層の厚さは2~4μmであり、ニッケル層の厚さは1~3μmであり、錫層の厚さは6~8μmであることを特徴とする請求項
2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項6】
ステップS6において、焼成プロセスは、先ず段階的に昇温して焼成し、次に段階的に降温して焼成し、具体的には、
第1段階、焼成温度80±5℃、焼成時間30±3min;
第2段階、焼成温度100±5℃、焼成時間30±3min;
第3段階、焼成温度120±5℃、焼成時間30±3min;
第4段階、焼成温度140±5℃、焼成時間30±3min;
第5段階、焼成温度160±5℃、焼成時間120±3min;
第6段階、焼成温度140±5℃、焼成時間15±3min;
第7段階、焼成温度120±5℃、焼成時間15±3min;
第8段階、焼成温度100±5℃、焼成時間15±3min;
であることを特徴とする請求項
2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項7】
請求項
2~6のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されるインダクタ。
【請求項8】
U型鉄芯(U-core)、コイル、T型鉄芯(T-core)から形成される成形部材を含み、前記U型鉄芯(U-core)にはコイルに適合する凹溝があり、前記T型鉄芯(T-core)は、ベースとベース上に設置された凸部を含み、前記凸部は、前記コイルの内径に適合し、前記コイルには、2本の平行なリード線が設けられ、前記コイルは、前記凹溝内に配置され、且つ前記リード線は凹溝の外部に位置し、前記T型鉄芯(T-core)の凸部は、前記コイルの空間内に配置され、ベースは凹溝口に適合し、前記リード線は、前記ベースの表面に折り曲げられ、前記成形部材の表面のリード線以外の部分には、絶縁塗料層が塗布され、リード線の表面には内から外へ順に銅層、ニッケル層、錫層が塗布されることを特徴とする請求項
7に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記T型鉄芯(T-core)のベースには2つの角に切り欠きが設けられ、前記コイルのリード線は切り欠きを通り抜けることを特徴とする請求項
8に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ技術分野に関連し、具体的には、インダクタの製造に関する複合材料、インダクタ、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インダクタは、電力を磁力に変換して蓄積できるデバイスであり、インダクタの構造は変圧器に類似しているが、1つの巻線しか持たず、インダクタは、一定のインダクタンスを有し、電流の変化を阻害するのみであり、インダクタは、電流が通過していない状態において、回路が接続されるとそこに流れる電流を阻害しようとし、電流が通過していない状態において、回路が切断されると電流を変化させずに維持しようとし、インダクタは、チョーク、リアクトル、ダイナミックリアクトルとも称される。
【0003】
従来技術における一体成型のインダクタは、圧縮成型された金属磁性粉ブロックとコイルを含み、コイルは、コイル本体と2つの端子を含み、コイル本体は、金属被覆線で作られ、金属磁性粉ブロックに埋め込まれ、端子は金属磁性粉ブロックの両側に位置し、コイル本体は、双方向螺旋構造である。
【0004】
現在における一体成型のインダクタは、以下の数種の異なる構造を有し、
図2に示すように、Aシリーズのインダクタは、まずコイルを巻き、次にコイルを金型に配置し、均一な複合材料を充填して一度に冷間プレス成型される。
図4に示すように、Bシリーズのインダクタは、まずコイルを巻き、次にコイルを金型に配置し、均一な複合材料を充填して一度に熱間プレス成型される。
図4に示すように、Cシリーズのインダクタは、まずT型鉄芯(T-core)を冷間プレス成型し、その後T型鉄芯(T-core)の凸台にコイルを巻き、次に金型に配置し、均一な複合材料を充填して一度に熱間プレス成型される。
【0005】
上記のAおよびBシリーズのインダクタは、コイルの影響を受け、コイル中心部の成形密度が低く、プレス成型時にコイルが圧縮され、変形し易く、磁感応効果に影響を及ぼし、それによりインダクタの性能に影響を及ぼす。
上記のCシリーズのインダクタは、コイルの中心部がT型鉄芯(T-core)の凸台構造であり、密度が低くないが、T型鉄芯(T-core)の外の密度は高くなく、プレス成型時にコイルは依然として圧縮され、変形が生じ、磁感応効果に影響を及ぼし、それによりインダクタの性能に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する上記技術的問題に基づき、本発明は、インダクタを製造する複合材料を提供し、前記材料を特定のプロセスと組み合わせて製造したインダクタは、優れた性能を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するため、本発明の技術案は、以下のとおりである。
インダクタを製造する複合材料であって、質量パーセンテージに基づいて、以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder) 70~75%
アモルファス粉末(amorphous powder) 20~25%
エポキシ樹脂(epoxy resin) 2~5%
カップリング剤(coupling agent) 0.3~0.5%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate) 0.1~1.5%
【0009】
一部の実施形態では、前記アモルファス粉末(amorphous powder)は以下の成分を含む。
Si 1.8~3.8%
B 2~4%
C 0.2~1.0%
P 0.02~0.2%
S 0.01~0.03%
残りはFe。
【0010】
また、本発明は、インダクタの製造方法を更に提供し、その方法は以下のステップを含む。
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線を有するコイルを得て、2本のリード線を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線部分を剥離する。
S2、請求項1又は2に記載の複合材料を使用しT型鉄芯(T-core)およびU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造する。具体的には、以下のステップを含む。
前記エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)を溶媒に加え、第一の混合物を得る。次に、前記カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)とアモルファス粉末(amorphous powder)を第一の混合物に加え、均一に混合し、第二の混合物を得る。前記第二の混合物を造粒し、粒子を形成する。前記ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を前記粒子に加え、均一に混合して第三の混合物を得る。前記第三の混合物を型に充填して冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ得る。前記T型鉄芯(T-core)は、ベースとベース上に配置された凸部を含み、前記凸部は前記コイルの空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)の内部には凹溝が設けられ、前記凹溝はコイルに適合する。 S3、ステップS1で得られたコイルをU型鉄芯(U-core)の凹溝に配置し、リード線を凹溝の外部に延ばす。
S4、コイルの空間にT型鉄芯(T-core)を配置し、ベースが凹溝口を覆い、リード線を折り曲げる。
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)、コイル、T型鉄芯(T-core)を熱間プレス成型し、成形部材を得る。
S6、成形部材を焼成する。
S7、焼成後の前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。
【0011】
一部の実施形態では、ステップS2において、成型の圧力は3.5~4.0T/cm2である。
【0012】
一部の実施形態では、ステップS2において、冷間プレス時間は1~2sである。
【0013】
一部の実施形態では、ステップS4において、前記リード線の折り曲げ角度は45~90°であり、より好ましくは、ステップS4において、前記リード線の折り曲げ角度は55~60°であり、前記リード線は前記ベースの表面との角度が30~35°になり、ステップS5での熱間プレス成型が容易になり、リード線がさらにベースの表面に折り曲げられる。
【0014】
一部の実施形態では、ステップS5において、熱間プレス温度は160~180℃である。
【0015】
一部の実施形態では、ステップS5において、熱間プレス圧力は5.0~6.0T/cm2である。
【0016】
一部の実施形態では、ステップS5において、熱間プレス時間は50~80sである。
【0017】
一部の実施形態では、ステップS6において、焼成プロセスは、先ず段階的に昇温して焼成し、次に段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80±5℃、焼成時間30±3min;
第2段階、焼成温度100±5℃、焼成時間30±3min;
第3段階、焼成温度120±5℃、焼成時間30±3min;
第4段階、焼成温度140±5℃、焼成時間30±3min;
第5段階、焼成温度160±5℃、焼成時間120±3min;
第6段階、焼成温度140±5℃、焼成時間15±3min;
第7段階、焼成温度120±5℃、焼成時間15±3min;
第8段階、焼成温度100±5℃、焼成時間15±3min。
【0018】
一部の実施形態では、ステップS7において、ロールスプレーは、絶縁塗料を前記成形部材の表面に均等に塗布する。
【0019】
一部の実施形態では、ステップS7において、ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線をペイント剥離処理し、銅線を表面に露出させる。
【0020】
一部の実施形態では、ステップS8において、銅層の厚さは2~4μmであり、ニッケル層の厚さは1~3μmであり、錫層の厚さは6~8μmである。
【0021】
一部の実施形態では、前記側面に前記複合層をめっきする位置は、前記インダクタ上面から側面までの上から下に1/6の位置である。
【0022】
一部の実施形態では、前記溶媒は、アセトンおよび/またはエタノールである。
【0023】
本発明は、上記のいずれかの実施形態の製造方法によって得られるインダクタを更に提供する。
【0024】
一部の実施形態では、前記インダクタは、U型鉄芯(U-core)、コイル、T型鉄芯(T-core)から形成される成形部材を含み、前記U型鉄芯(U-core)にはコイルに適合する凹溝があり、前記T型鉄芯(T-core)は、ベースとベース上に設置された凸部を含み、前記凸部は、前記コイルの内径に適合し、前記コイルには、2本の平行なリード線が設けられ、前記コイルは、前記凹溝内に配置され、且つ前記リード線は凹溝の外部に位置し、前記T型鉄芯(T-core)の凸部は、前記コイルの空間内に配置され、ベースは凹溝口に適合し、前記リード線は、前記ベースの表面に折り曲げられ、前記成形部材の表面のリード線以外の部分には、絶縁塗料層が塗布され、リード線の表面には内から外へ順に銅層、ニッケル層、錫層が塗布される。
【0025】
一部の実施形態では、前記T型鉄芯(T-core)のベースには2つの角に切り欠きが設けられ、前記コイルのリード線は切り欠きを通り抜ける。
【発明の効果】
【0026】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである。
本発明は、特定の複合材料を使用して磁性体を製造し、特定の工程を組み合わせてインダクタを製造することにより、優れた電感性能を持つインダクタを得ることができる。具体的には、特定の複合材料を使用し、特定の冷間プレス成形プロセスを使用して、特定の構造のT型鉄芯(T-core)およびU型鉄芯(U-core)を製造し、次にコイルをU型鉄芯(U-core)の凹溝に配置し、T型鉄芯(T-core)をコイルの空間に配置し、ベースがU型鉄芯(U-core)の凹溝口を直接覆い、特定の熱間プレス成形プロセスを使用して成形部材を製造する。これにより、従来のインダクタの、粉末密度の低さ、コイルの変形によるインダクタンス性能の劣化、高い損失の問題を効果的に解決し、本発明で製造されたインダクタは、成形密度が高く、且つコイルが変形し難く、インダクタンス性能に優れ、変換効率が高く、損失が低く、また、本発明は、ピークベーキング(段階的な焼成)を採用することにより、製品の割れのリスクを効果的に減少させ、急激な高温固化による熱膨張の問題を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明のインダクタの構造図と製造フローチャートである。
【
図2】従来の比較例4~6のAシリーズインダクタの説明図である。
【
図3】従来の比較例4~6のBシリーズインダクタの説明図である。
【
図4】従来の比較例4~6のCシリーズインダクタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の具体的な実施例を組み合わせて、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、ここで説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要しない前提で得られる他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0029】
以下の実施例および比較例では、以下の材料が使用される。
エポキシ樹脂:永康化学社製の型番NF552のエポキシ樹脂である。
カップリング剤(coupling agent):シランカップリング剤(coupling agent)であり、天緯社製の型番KH-550のシランカップリング剤(coupling agent)である。
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):セノバ新材料社の製品である。
【0030】
下記の実施例および比較例では、用いるコイルの寸法は、同じである。インダクタは、いずれも2つのサイズで製造され、それぞれ以下である。サイズ1:長さ×幅×高さが5.1mm×5.3mm×3.0mm;サイズ2:長さ×幅×高さが6.0mm×6.0mm×3.1mmであり、比較例4~6では、構造の違いから寸法が調整され、高さは変わらず、長さと幅はそれぞれ0.3mm増加している。
【0031】
実施例1:
図1に示す通り、インダクタの製造方法は、以下のステップを含む。
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0032】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):70%
アモルファス粉末(amorphous powder):25%
エポキシ樹脂(epoxy resin):4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):0.7%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0033】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含み、ベース(21)は、四角形で、その2つの角に切り欠きが設けられ、コイル(3)のリード線(31)が切り欠きを通り易くする。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0034】
S3、ステップS1で得られたコイル(3)をU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0035】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0036】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、180℃であり、熱間プレス圧力は、5.5T/cm2であり、熱間プレス時間は、50sである。
【0037】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0038】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0039】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは3μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは7μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0040】
図1に示すように、本実施例の方法により得られるインダクタの構造は、具体的に以下である。
インダクタは、U型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)から成る成形部材を含み、前記U型鉄芯(U-core)(1)にはコイル(3)に適合する凹溝(11)が設けられ、T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含み、凸部(22)は、コイル(3)の空間に適合し、コイル(3)には2本の平行なリード線(31)が設けられ、コイル(3)は凹溝(11)の内に配置され、リード線(31)は凹溝(11)の外部に位置し、T型鉄芯(T-core)(2)の凸部(22)は、コイル(3)の空間に位置し、且つベース(21)は、凹溝口と適合し、リード線(31)は、ベース(21)の表面に折れ曲がる。成形部材の表面のリード線(31)の表面以外の他の位置に絶縁塗料が塗布され、リード線(31)の表面は、内側から外側に銅層、ニッケル層、錫層が順に塗布される。T型鉄芯(T-core)(2)のベース(21)には2つの角に切り欠きが設けられ、コイル(3)のリード線(31)は切り欠きを通り抜けることができる。
【0041】
実施例2:
図1に示すように、インダクタの製造方法は以下のステップを含む。
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0042】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):75%
アモルファス粉末(amorphous powder):20%
エポキシ樹脂(epoxy resin):4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):0.7%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0043】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含む。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0044】
S3、ステップS1で得られたコイルをU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0045】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0046】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、180℃であり、熱間プレス圧力は、5.5T/cm2であり、熱間プレス時間は、50sである。
【0047】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0048】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0049】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは3μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは7μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0050】
本実施例のインダクタの構造は、実施例1と同じである。
【0051】
実施例3:
図1に示すように、インダクタの製造方法は、以下のステップを含む。
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0052】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):73%
アモルファス粉末(amorphous powder):23%
エポキシ樹脂(epoxy resin):3%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):0.7%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0053】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含む。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0054】
S3、ステップS1で得られたコイル(3)をU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0055】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0056】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、180℃であり、熱間プレス圧力は、5.5T/cm2であり、熱間プレス時間は、50sである。
【0057】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0058】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0059】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは3μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは7μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0060】
本実施例のインダクタの構造は、実施例1と同じである。
【0061】
比較例1:
図1に示すように、コイルの製造方法は以下のステップを含む。
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0062】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):70%
アモルファス粉末(amorphous powder):25%
エポキシ樹脂(epoxy resin):4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):0.7%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0063】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含む。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0064】
S3、ステップS1で得られたコイル(3)をU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0065】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0066】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、180℃であり、熱間プレス圧力は、5.5T/cm2であり、熱間プレス時間は、50sである。
【0067】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0068】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0069】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは4μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは6μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0070】
本比較例のインダクタの構造は、実施例1と同じである。
【0071】
比較例2:
図1に示すように、インダクタの製造方法は、以下のステップを含む。
【0072】
S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0073】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):70%
アモルファス粉末(amorphous powder):25%
エポキシ樹脂(epoxy resin):3%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):1%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):1%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0074】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含む。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0075】
S3、ステップS1で得られたコイル(3)をU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0076】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0077】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、180℃であり、熱間プレス圧力は、5.5T/cm2であり、熱間プレス時間は、50sである。
【0078】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0079】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0080】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは4μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは6μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0081】
本比較例のインダクタの構造は、実施例1と同じである。
【0082】
比較例3:
図1に示すように、インダクタの製造方法は、以下のステップを含む。S1、コイルの製作:巻線機を使用して銅の平線を巻き、水平方向に2本の平行なリード線(31)を有するコイル(3)を得て、2本のリード線(31)を同じ方向に折り曲げて巻線部分に垂直にし、リード線(31)部分に対してレーザ装置を用いて三方向のペイント剥離を行う。
【0083】
S2、複合材料を使用してT型鉄芯(T-core)とU型鉄芯(U-core)をそれぞれ製造し、複合材料の質量パーセンテージで以下の成分を含む。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder):70%
アモルファス粉末(amorphous powder):25%
エポキシ樹脂(epoxy resin):4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent):0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):0.7%
アモルファス粉末(amorphous powder)の元素組成は、以下のとおりである。
Si 3.0%
B 4.0%
C 1.0%
P 0.03%
S 0.01%
残りはFe
【0084】
U型鉄芯(U-core)(1)とT型鉄芯(T-core)(2)の具体的な製造手順は以下の通りである。
エポキシ樹脂(epoxy resin)とカップリング剤(coupling agent)をエタノールに加え、第一の混合物を作成し、次にカルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)と非晶粉末を第一の混合物に加え、均一に攪拌してエタノールを揮発させ、ゲル状の第二の混合物を作成する。第二の混合物を造粒機(スクリーンメッシュは100メッシュである)に入れて粒子状に造粒し、45℃で2時間加熱し、その後、篩にかけ(スクリーンメッシュは、100メッシュである)、微粒子にステアリン酸亜鉛(zinc stearate)を加え、100r/minの回転速度で0.5時間攪拌し、材料を均一に混合した後、金型に入れて冷間プレス成型し、T型鉄芯(T-core)(2)とU型鉄芯(U-core)(1)を得る。前記T型鉄芯(T-core)(2)は、ベース(21)とベース(21)の上に設置された凸部(22)を含む。前記凸部(22)は、前記コイル(3)の空間に適合する。前記U型鉄芯(U-core)(1)内部には凹溝(11)が設けられ、前記凹溝(11)は、前記コイル(3)に適合する。ここでは、冷間プレス圧力は、3.5T/cm2であり、冷間プレス時間は2sであり、冷間プレスは、常温で圧制される。溶剤の添加量は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、カップリング剤(coupling agent)、カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder)、およびアモルファス粉末の総質量の25%である。
【0085】
S3、ステップS1で得られたコイルをU型鉄芯(U-core)(1)の凹溝(11)に配置し、リード線(31)を凹溝の外部に延ばす。
【0086】
S4、コイル(3)の空間にT型鉄芯(T-core)(2)を配置し、ベース(21)が凹溝(11)口を覆い、リード線(31)を55°折り曲げ、リード線と前記ベース(21)の表面の挟み角を35°にする。
【0087】
S5、組み立てられたU型鉄芯(U-core)(1)、コイル(3)、T型鉄芯(T-core)(2)を熱間プレス成型し、成形部材を得て、熱間プレス温度は、160℃であり、熱間プレス圧力は、7.0T/cm2であり、熱間プレス時間は、80sである。
【0088】
S6、前記成形部材をオーブンに入れ、先ず段階的に昇温して焼成し、それから段階的に降温して焼成する。具体的には、以下である。
第1段階、焼成温度80℃、焼成時間30min;
第2段階、焼成温度100℃、焼成時間30min;
第3段階、焼成温度120℃、焼成時間30min;
第4段階、焼成温度140℃、焼成時間30min;
第5段階、焼成温度160℃、焼成時間120min;
第6段階、焼成温度140℃、焼成時間15min;
第7段階、焼成温度120℃、焼成時間15min;
第8段階、焼成温度100℃、焼成時間15min。
【0089】
S7、前記成形部材に対して、ロールスプレーとペイント剥離処理を行い、インダクタを得る。ロールスプレーは、具体的に以下である。絶縁塗料を成形部材の表面に均等に塗布する。ペイント剥離は、ロールスプレー後の成形部材のリード線部分の銅線にペイント剥離処理を行い、銅線を表面に露出させる。
【0090】
S8、表面処理:前記インダクタの表面のペイント剥離位置、インダクタのリード線と平行な2つの側面に複合層をめっきし、前記複合層は内側から外側に向けて銅層、ニッケル層、錫層の順に積層され、インダクタ最終製品を得る。銅層の厚さは4μmであり、ニッケル層の厚さは2μmであり、錫層の厚さは6μmである。側面に複合層をめっきする位置は、インダクタの表面から上から下に1/6の位置である。
【0091】
本比較例のインダクタの構造は、実施例1と同じである。
【0092】
比較例4:
本比較例では、磁石を製造するために使用される複合材料の原料組成は、質量パーセンテージで、以下のとおりである。
合金粉 95%
エポキシ樹脂(epoxy resin) 4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent) 0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate) 0.7%
ここで、合金粉は通常の市販品で、例えば、安泰社のFeSiCr-C軟磁性合金粉である。
【0093】
本比較例のインダクタの構造は、
図2のAシリーズインダクタの構造に示すようであり、従来の方法で製造される。具体的には、以下である。
【0094】
実施例1の方法に従い、先ず複合材料を均一に混合し、次にコイルを金型に配置し、均一に混合された複合材料を充填し、一度に冷間プレス成型を行い、冷間プレスの圧力は、6.0T/cm2であり、時間は3sである。
【0095】
比較例5:
本比較例では、磁石を製造するために使用される複合材料の原料組成は、質量パーセンテージで、以下である。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder) 95%
エポキシ樹脂(epoxy resin) 4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent) 0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate) 0.7%
【0096】
本比較例のインダクタの構造は、
図3のBシリーズインダクタの構造に示すようであり、従来の方法で製造される。具体的には、以下である。
【0097】
実施例1の方法に従い、複合材料を均一に混合し、次にコイルを金型に配置し、均一に混合された複合材料を充填し、一度に熱間プレス成型を行い、熱間プレスの温度は160℃/cm2であり、圧力は5.0Tであり、時間は8sである。
【0098】
比較例6:
本比較例では、磁石を製造するために使用される複合材料の原料組成は、質量パーセンテージで、以下である。
カルボニル鉄粉(carbonyl iron powder) 95%
エポキシ樹脂(epoxy resin) 4%
シランカップリング剤(Silane coupling agent) 0.3%
ステアリン酸亜鉛(zinc stearate) 0.7%
【0099】
本比較例のインダクタ構造は、
図4のCシリーズインダクタの構造に示すようであり、従来の方法で製造される。具体的には、以下である。
【0100】
実施例1方法に従い、先ず複合材料を均一に混合し、冷間プレス成型でT型鉄芯(T-core)を得て、冷間プレスの温度は常温であり、圧力は4.0T/cm2であり、時間は2sである。次に、T型鉄芯(T-core)の凸部にコイルを巻き、金型に配置し、均一に混合された複合材料を充填し、一度に熱間プレス成型を行い、熱間プレスの温度は160℃であり、圧力は、5.0T/cm2であり、時間は60sである。
【0101】
実施例1-3および比較例1-6のインダクタを参照して関連性能テストを行い、具体的な測定方法は次の通りである。
【0102】
インダクタ、電流測定:LCRテスタを使用して、サンプルをテストし、パラメータを周波数:1MHz、バイアス電流(初期通電)に設定し、インダクタンスおよび電流値を測定した。
【0103】
損失:CHROMA1810テスタを使用して、テストパラメータを100mT、周波数:100KHzに設定した。
【0104】
テスト結果は、表1に示すとおりである。
表1 各インダクタの関連性能テスト結果
【表1】
【0105】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能であり、簡潔な説明のために、上記の実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについて説明されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせは矛盾しない限り、何れも本明細書に記載された範囲に含むとみなされるべきである。
【0106】
上記の実施例は、本発明の技術的な方法を説明するために提供されるものであり、制限されるものではなく、好適な実施例を参照して、本発明を詳細に説明しており、当業者は、本発明の技術案に対する修正又は均等な置き換えが、本技術案の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、何れも本発明の保護範囲に含まれることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0107】
1 U型鉄芯(U-core)
11 凹溝
2 T型鉄芯(T-core)
21 ベース
22 凸部
3 コイル
31 リード線