(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】リング発振器ベースのイジングマシンシステムのためのレイアウト
(51)【国際特許分類】
G06N 99/00 20190101AFI20250602BHJP
G06F 17/11 20060101ALI20250602BHJP
H03K 3/03 20060101ALI20250602BHJP
H03K 3/86 20060101ALI20250602BHJP
【FI】
G06N99/00 180
G06F17/11
H03K3/03
H03K3/86
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107132
(22)【出願日】2024-07-03
【審査請求日】2024-07-16
(32)【優先日】2023-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ケネス エム.ジック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョージ ファーガソン
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11545963(US,B1)
【文献】米国特許第8195596(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2021/0152125(US,A1)
【文献】特開2015-207032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00 - 99/00
G06F 17/11
H03K 3/00 - 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムであって、前記イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を備えており、前記複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含んでおり、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、他のリング発振器の各々の前記複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有しており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、それぞれのリング発振器に関連する前記発振信号を介して、前記他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、前記複数のリング発振器の各々が、前記他のリング発振器の各々に前記複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される、イジングマシンシステム。
【請求項2】
所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と、次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の前記発振信号の伝搬距離は、前記複数のリング発振器の各々に関して等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のリング発振器の各々のマンハッタン距離は、前記他のリング発振器の各々のマンハッタン距離と等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のリング発振器の前記複数の結合段は、2次元アレイに配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の前記複数の結合段は、前記2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する前記複数の結合段は、前記第1の軸と直交する前記2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの前記第1のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内で同じ位相インデックス番号を有する前記複数のリング発振器のうちの前記第2のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形状に作製されており、前記複数のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内の同じ位相インデックス番号を有する前記他のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記残りのリング発振器の各々の前記物理的なL字形状の頂点にある結合段は、前記複数のリング発振器のうちの他のリング発振器の他の結合段に結合されていない、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記2次元アレイは、複数のアレイ部分を備えており、前記複数のアレイ部分の各々は、別個の複数のリング発振器を備えており、第1のアレイ部分内の前記複数のリング発振器の各々は、第2のアレイ部分内の前記複数のリング発振器のうちの1つにクロス結合されて、前記第1のアレイ部分の前記複数のリング発振器と前記第2のアレイ部分の前記複数のリング発振器との間に位相結合を提供する、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のアレイ部分は、前記複数のアレイ部分が1次元アレイに物理的に配置されており、前記複数のアレイ部分のうちの1つの前記複数のリング発振器の各々における前記発振信号は、前記複数のアレイ部分の前記1次元アレイにおいて次に連続するアレイ部分の前記複数のリング発振器の各々における前記発振信号に対して反対の方向に伝搬する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のアレイ部分は、前記複数のアレイ部分が2次元アレイに物理的に配置されており、前記複数のリング発振器の各々は、前記複数のアレイ部分の2次元アレイにおいて直交して隣接する各アレイ部分内の1つのリング発振器に結合段を介してクロス結合されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記イジング問題のパラメータに対応する複数の制御信号を生成して、前記複数のリング発振器の各々の前記他のリング発振器への相対的な位相結合を制御するように構成されたイジングマシンコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムであって、前記イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を備えており、前記複数のリング発振器の各々は、2次元アレイに配置された複数の結合段を含んでおり、前記複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の前記複数の結合段は、前記2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する前記複数の結合段は、前記第1の軸と直交する前記2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形に作製されており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、前記2次元アレイ内の他のリング発振器の各々の前記複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有しており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、前記他のリング発振器と交差することに基づいて、それぞれの前記複数の結合段に関連する前記発振信号を介して、前記他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、前記複数のリング発振器の各々が、前記他のリング発振器の各々に前記複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される、イジングマシンシステム。
【請求項13】
所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と、次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の前記発振信号の伝搬距離は、前記複数のリング発振器の各々に関して等しい、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記残りのリング発振器の各々の前記物理的なL字形状の頂点にある前記結合段は、前記複数のリング発振器のうちの他のリング発振器の他の結合段に結合されていない、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記2次元アレイは、複数のアレイ部分を備えており、第1のアレイ部分は、第2のアレイ部分にリンクされて、前記第1および第2のアレイ部分の各々の前記複数のリング発振器の各々の結合段のクロス結合に基づいて、前記第1のアレイ部分の前記複数のリング発振器と前記第2のアレイ部分の前記複数のリング発振器との間の位相結合を提供する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンピュータシステムに関し、具体的には、リング発振器ベースのイジングマシンシステムのためのレイアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
イジングマシンは、イジング問題または非決定的多項式時間困難(NP困難:non-deterministic polynomial-time hard)問題として知られる様々な特殊問題を解くための特殊コンピュータシステムの一種である。その一例が、最適化問題の総称である「巡回セールスマン問題」である。このようなイジング問題は、イジングモデルの原理、即ち、イジング問題ハミルトニアン:H(σ)=-Σhiσi-ΣJijσiσjに基づいて評価される。このような特殊なイジングマシンは、多数の変数を実装することに基づいて動作して、特定の組み合せ最適化問題に対する高品質の回答を極めて迅速に提供する。典型的なイジングマシンは、いくつかの要素(例えば、発振器)を実装しており、これらの要素は、イジングマシンにおいて他の要素と相互作用してクロス結合効果(cross-coupled effects)を提供する。クロス結合効果は、そのようなクロス結合の結合効果に基づいてイジング問題を解決するために実装され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8195596号明細書
【文献】米国特許第11545963号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】クレメンツ他著(CLEMENTS, ET AL.)、「ユニバーサルマルチポート干渉計の最適設計(An Optimal Design for Universal Multiport Interferometers)」、[2023年7月19日検索]、インターネット(URL: https://www.arxiv-vanity.com/papers/1603.08788/)
【発明の概要】
【0005】
一例は、イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムを含む。システムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を含む。複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含む。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、他のリング発振器の各々の複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有することができる。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、それぞれのリング発振器に関連する発振信号を介して、他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、複数のリング発振器の各々が、他のリング発振器の各々に複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される。
【0006】
別の例は、イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムを含む。システムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を含む。複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含む。複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の複数の結合段は、2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製され得る。複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する複数の結合段は、第1の軸と直交する2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製され得る。残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形に作製され得る。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、他のリング発振器の各々の複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有することができる。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、2次元アレイ内の他のリング発振器の各々と交差することに基づいて、それぞれの複数のリング発振器に関連する発振信号を介して、他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、複数のリング発振器の各々は、他のリング発振器の各々に複数の結合段のうちの単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される。
【0007】
別の例は、イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムを含む。システムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を含む。複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含む。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、他のリング発振器の各々の複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有することができる。複数の結合段の各々は、複数のリング発振器の各々のうちの1つの結合段を除いて、それぞれのリング発振器に関連する発振信号を介して、他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、複数のリング発振器の各々が、他のリング発振器の各々に複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される。所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と、次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の発振信号の伝搬距離は、複数のリング発振器の各々に関して等しい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的なイジングマシンのブロック図である。
【
図3】一例のイジングマシン結合ネットワークを示す図である。
【
図5】別の例のイジングマシン結合ネットワークを示す図である。
【
図6】別の例のイジングマシン結合ネットワークを示す図である。
【
図7】別の例のイジングマシン結合ネットワークを示す図である。
【
図8】別の例のイジングマシン結合ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、概して、コンピュータシステムに関し、具体的には、リング発振器ベースのイジングマシンシステムのためのレイアウトに関する。イジングマシンシステムは、最適化問題(例えば、「巡回セールスマン問題」)などの複雑なイジング問題を解くために、様々な用途のいずれかにおいて実施することができる。イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を含む。一例として、複数のリング発振器の各々は、特定用途向け集積回路(ASIC)および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)から形成された論理ゲートを含むCMOS製造技法から形成され得る。複数のリング発振器はそれぞれ、他のリング発振器のうちの1つから発振信号を受信し、同様に、他のリング発振器に発振信号を提供するようにそれぞれ構成された複数の結合段を含むことができる。所与のリング発振器の発振信号は、それぞれのリング発振器間の相対的な位相関係に影響を及ぼし得る。従って、複数のリング発振器の各々は、少なくとも1つの他のリング発振器にクロス結合方式で結合されて、それぞれのリング発振器間にそれぞれの動的位相結合を提供することができる。
【0010】
また、イジングマシンシステムは、複数のリング発振器に提供される複数の組の制御信号を生成するように構成されたイジングマシンコントローラを含むことができる。一例として、イジングマシンコントローラは、複数のリング発振器の各々の複数の結合段の各々に一組の制御信号を供給することができる。一例として、制御信号は、複数のリング発振器の各々の少なくとも1つの他のリング発振器の各々に対する相対的な動的位相結合を制御するために、リング発振器の可変伝搬遅延を設定することができる遅延選択信号を含むことができる。
【0011】
一例として、複数のリング発振器の各々は、同じように製造することができ、従って、同じ数の結合段を含むことができる。複数のリング発振器のうちの所与の1つにおける複数の結合段の各々は、一意の位相インデックス番号を有することができる。従って、別個のリング発振器における結合段のクロス結合は、複数のリング発振器のそれぞれのペアにおいて同じ位相インデックス番号を有する結合段の間で生じ得る。例えば、複数の結合段は、2次元アレイで配置することができ、2つのリング発振器は、互いに対して直交する直線的な物理的配置で作製された複数の結合段を含むことができる。残りのリング発振器は、それぞれ、頂点に結合段を有するL字形として配置され得る。従って、所与の1つのリング発振器は、複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、2次元アレイ内の他のリング発振器の各々と同じ位相インデックス番号の結合段を介して交差することができる。複数のリング発振器の各々の発振信号は、発振信号間の正確な位相関係を提供するために、結合段の同じ位相インデックス番号のペア間の伝搬距離が等しくなっている。さらに、複数の結合段の2次元アレイ配置に基づいて、イジングマシンシステムは、発振信号における遅延が少なく、電力消費が少なくなるようにコンパクトな方法で作製され得、それによって、イジング問題をより迅速に解決することができるより効率的な設計を提供する。
【0012】
図1は、イジングマシンシステム100の例示的なブロック図を示す。イジングマシンシステム100は、多数の変数の評価を必要とするイジング問題を解くために、様々な特殊コンピューティング環境のいずれかで実装され得る。一例として、イジングマシンシステム100は、複雑な最適化問題(例えば、「巡回セールスマン問題」)を解くために実装され得る。
【0013】
イジングマシンシステム100は、複数のリング発振器102と、イジングマシンコントローラ104とを備える。リング発振器102は、様々な異なるタイプのリング発振器のいずれかとして実装され得る。一例として、リング発振器102は、特定用途向け集積回路(ASIC)および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)から形成された論理ゲートを含むCMOS製造技法から形成され得る。従って、複数のリング発振器102の各々は、
図1の例において概して一組の発振信号OSCとして示されている発振信号を伝搬することができる。一例として、複数のリング発振器102の各々は、それぞれの発振信号OSCを介して別の1つのリング発振器102にクロス結合され得るため、それぞれのクロス結合されたリング発振器102の間で動的な位相結合を提供することができる。
【0014】
本明細書で説明するように、「位相結合」という用語は、複数のリング発振器102のうちの所与の1つの位相特性が、複数のリング発振器102のうちの別の1つの位相特性に依存することを意味する。一例として、位相結合は、クロス結合されたリング発振器102のそれぞれの発振信号OSC間の位相整合または位相反整合に向かう傾向を含むことができる。また、本明細書で説明するように、イジングマシンシステム100は、リング発振器間の位相関係に関して実質的に常に変化する方式で動作するため、位相結合は動的と呼ばれる。一例として、リング発振器102は、所与のリング発振器の発振の遅延量、従って所与のリング発振器の発振周期を制御することができる遅延選択信号などの様々な制御信号によって制御され得る。本明細書で説明するように、「発振周期」という用語は、それぞれのリング発振器の所与のノードが第1の論理状態から第2の論理状態に変化し、第2の論理状態から第1の論理状態に戻るように変化する合計時間を意味する。例えば、リング発振器102は、1周する間に奇数回の論理反転を提供するように作製され得る。
【0015】
一例として、複数のリング発振器102の各々は、ほぼ同じように作製することができ、従って、各リング発振器は同じ数の結合段を含むことができる。複数のリング発振器102のうちの所与の1つにおける複数の結合段の各々は、それぞれのリング発振器102がクロス結合される別のリング発振器102の一致する位相インデックス番号に対応する一意の位相インデックス番号を有することができる。従って、別個のリング発振器102における結合段のクロス結合は、リング発振器102のそれぞれのペアにおいて同じ位相インデックス番号を有する結合段の間で生じ得る。
【0016】
例えば、複数の結合段は、2次元アレイに配置され得る。一例として、少なくとも2つのリング発振器102は、互いに対して直交する直線的な物理的配置で作製された複数の結合段を含むことができ、その結果、それぞれの2つのリング発振器は、同じ位相インデックス番号を有する結合段のクロス結合されたセットにおいて交差する。残りのリング発振器102はそれぞれ、頂点に結合段を有するL字形として配置され得る。本明細書で説明されるように、「L字形」という用語は、リング発振器102が頂点から直角に延在する部分を有し、結合段が頂点に配置された構成を意味する。しかしながら、L字形リング発振器102の脚部は、互いに対して同じ長さかまたは異なる長さを有することができることが理解されよう。さらに、L字形リング発振器102の脚部は、互いにほぼ直交して延在するものとして説明したが、脚部は、代替的に、それらの間に鋭角または鈍角を画定するように、互いに対して横方向に延在することができる。
【0017】
従って、残りのリング発振器102がL字形として配置されることに基づいて、所与の1つのリング発振器102は、複数のリング発振器102の各々の1つの結合段を除いて、2次元アレイ内の他のリング発振器102の各々と同じ位相インデックス番号の結合段を介して交差することができる。例えば、L字形リング発振器102の各々の頂点における結合段および直線的なリング発振器102の一端における結合段は、他の結合段に対して結合が解除され得る。一例として、結合されていない複数の結合段の各々は、リング発振器102の間で一意である位相インデックス番号を有することができる。
【0018】
図1の例では、イジングマシンコントローラ104は、「CTL」として示される複数の制御信号をリング発振器102に提供するように構成される。一例として、複数の制御信号CTLは、イジングマシンシステム100によって解かれるべきイジング問題のパラメータに複数の制御信号CTLが対応するように、複数のリング発振器102の各々にセットとして供給され得る。一例として、複数の制御信号CTLは、複数のリング発振器102の各々に供給される遅延選択信号を含むことができる。別の例として、別個の遅延選択信号が、複数のリング発振器102の各々の複数の結合段の各々に提供されて、所与の瞬間におけるリング発振器102の各々の正味発振周期が、所与のリング発振器102のそれぞれの複数の結合段の各々に提供される遅延選択信号の各々の集合的寄与に基づいて設定され得るようになっている。複数の制御信号CTLは、他のリング発振器(単数または複数)102への結合の位相結合の選択的な有効化、および/または基準クロックおよび/またはシミュレートされた雑音信号への位相整合のために結合段に基準クロックおよび/またはシミュレートされた雑音信号を選択的に提供することなど、追加の信号を含むこともできる。
【0019】
一例として、遅延選択信号によって設定される、複数のリング発振器102の各々の複数の結合段の各々の可変遅延は、それぞれのリング発振器102間のクロス結合に可変強度または重みを与えることができる。イジングマシンシステム100は、位相サンプラ106をさらに含む。位相サンプラ106は、所与のイジング問題を解くことを促進するために、複数のリング発振器102の各々の複数の発振信号の各々の論理状態を監視するように構成され得る。例えば、所与のイジング問題の解を提供するために、イジングマシンシステム100は、(例えば、経験的観察および/またはリアルタイム制約などの様々なマシンパラメータまたは他の状況のいずれかによって決定されるような)持続時間にわたって動作することができ、リング発振器102の位相は、(例えば、発振信号OSCを介して)位相サンプラ106によってサンプリングされ得る。リング発振器102のサンプリングされた位相は、イジング問題の解を表すことができる1組のデータとして位相サンプラ106によって読み取られ得る。リング発振器102の複数の結合段の各々に対して可変遅延を設定する方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第11,545,963号明細書に記載されているような様々な方法で提供することができる。
【0020】
複数のリング発振器102の複数の結合段の2次元アレイ配置に基づいて、イジングマシンシステム100は、発振信号における遅延が少なく、イジングマシンシステム100の電力消費が少なくなるようにコンパクトな方法で製造され得る。例えば、複数のリング発振器102の各々の複数の発振信号は、発振信号間の正確な位相関係を提供するために、リング発振器102間の結合段の同じ位相インデックス番号のペア間の伝搬距離が等しくなっている。従って、リング発振器102は、任意の2つの位相インデックス番号の結合段の間で互いに対してほぼ等しいマンハッタン距離を有することができる。従って、イジングマシンシステム100のコンパクトな設計は、イジング問題をより迅速に、より少ない電力消費で解くことができるより効率的な設計を提供することができる。
【0021】
図2は、例示的なリング発振器200の図を示す。リング発振器200は、
図1の例における複数のリング発振器102のうちの1つに対応し得る。従って、
図2の例の以下の説明では、
図1の例を参照する。
【0022】
リング発振器200は、複数のN個の結合段202を含み、Nは正の整数である。複数の結合段202はそれぞれ、CMOSインバータ(例えば、相補的プルアップおよびプルダウントランジスタスイッチを備える)として実装され得るインバータ204によって相互接続されている。リング発振器200は、発振信号OSCを伝搬するように構成される。一例として、Nは、発振信号OSCがリング発振器200の1周の間に奇数回の論理反転を示すように、奇数の整数とすることができる。
【0023】
図2の例では、複数の発振信号OSC
1~OSC
Nが複数の結合段202から供給され、複数の発振信号OSC
1’~OSC
N’が複数のインバータ204から供給される。従って、所与のY番目の発振信号OSC
Y’は、それぞれのY番目の発振信号OSC
Yの反転バージョンに対応する。さらに、Y番目の結合段202から供給される所与のY番目の発振信号OSC
Yは、それぞれのY番目の結合段202への入力として供給される発振信号OSC
Y-1’に対応する。一例として、結合段202は、発振信号OSC
Yを提供するために、発振信号OSC
Y-1’の可変伝搬遅延を提供することができる。
【0024】
さらに、複数の結合段202の各々は、CTL1~CTLNとして示される一組の制御信号CTLを受信するものとして示されている。複数の制御信号CTLは、イジングマシンコントローラ104から提供される一組の制御信号CTLに対応するか、または一組の制御信号CTLを含むことができる。上述したように、制御信号CTLは、結合段202を通る発振器信号OSCの伝搬遅延に影響を及ぼすことができる遅延選択信号を含むことができる。従って、遅延選択信号は、発振信号OSCY-1’と発振信号OSCYとの間の遅延量に影響を及ぼすことができ、従って、複数の結合段202のそれぞれの1つを通る発振信号OSCの伝搬遅延量に影響を及ぼすことができる。また、上述したように、制御信号CTLは、複数の結合段202の各々、従ってリング発振器200の動作を制御するための様々な追加の信号を含むことができる。従って、制御信号CTLは、同様に、複数の結合段202の各々、従ってリング発振器200の動作を制御するための様々な追加の信号を含むことができる。
【0025】
図2の例では、(例えば、インバータ204を介して)それぞれの結合段202から提供される複数の発振信号OSC
1’~OSC
N’は、複数の出力発振信号OSC
OUT1~OSC
OUTNとして提供される。さらに、
図2の例では、また、複数の結合段の各々は、OSC
IN1~OSC
INNとして示される別のリング発振器102から入力発振器信号OSC
INを受信するものとして示されている。
図2の例では、複数の結合段202の各々は、一意の位相インデックス番号に基づいて番号付けされ、従って「1」~「N」と番号付けされ得る。従って、複数の結合段202のうちの所与の1つに供給される発振器信号OSC
INは、異なるリング発振器102内の同じ位相インデックス番号を有する結合段から供給される発振器信号OSC
OUTに対応することができる。同様に、リング発振器102の所与の結合段202から供給される発振器信号OSC
OUTは、異なるリング発振器200内の同じ位相インデックス番号を有する結合段に供給される。従って、発振器信号OSC
INおよびOSC
OUTは、複数の結合段202のうちの所与の1つの、異なるリング発振器102の結合段へのクロス結合を提供することができる。一例として、複数の結合段202は全て、異なるリング発振器102にクロス結合され得、本明細書でより詳細に説明するように、複数の結合段202のうちの1つは、別のリング発振器の任意の他の結合段に結合されない(クロス結合されない)。
【0026】
さらに、
図2の例では、リング発振器200は、N番目の結合段202と第1の結合段202とを相互接続するNANDゲート206を含む。NANDゲート206は、第1の入力で発振信号OSC
Nを受信し、第2の入力でリング発振器のイネーブル信号RENを受信する。リング発振器のイネーブル信号RENは、リング発振器200全体に対するイネーブル信号に対応することができ、従って、リング発振器200は、発振信号OSCを伝搬することに関して選択的に有効および無効にされ得る。一例として、リング発振器のイネーブル信号RENは、イジングマシン制御システム104からリング発振器200に供給される複数の制御信号CTLの1つとして供給され得る。従って、リング発振器のイネーブル信号RENのアサートに応答して、リング発振器200は、本明細書で説明されるような発振信号OSCを提供することができる。しかしながら、リング発振器のイネーブル信号RENのデアサートに応答して、リング発振器200は、発振信号OSCが伝搬を停止する(例えば、複数の結合段202の各々の間で静的な論理状態を維持する)ように、無効にされ得る。
【0027】
図3は、イジングマシン結合ネットワーク300の例を示す。イジングマシン結合ネットワーク300は、
図1の例におけるイジングマシンシステム100の一部に対応することができる。
図3の例で説明する際に、イジングマシン結合ネットワーク300は、
図2の例におけるリング発振器200などの複数のリング発振器を含む。従って、
図3の例の以下の説明では、
図1および
図2の例を参照されたい。
【0028】
イジングマシン結合ネットワーク300は、2次元アレイで作製された複数の制御段302を含む。複数の制御段302は、行304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、および列324、326、328、330、332、334、336、338、340、342として示される行および列に配置される。複数の制御段302の各々は、
図3の例では1から10までの番号が付けられた、各制御段に関連する位相インデックス番号を含む。本明細書でより詳細に説明されるように、複数の制御段302の大部分は、異なるリング発振器に各々が含まれる制御段302のペアを表すことができる。
【0029】
図3の例では、複数のリング発振器は、複数の結合段302を接続する線によって表されており、線は、異なるリング発振器、従って所与のリング発振器の周りを伝搬する発振器信号を表すために、実線、点線、破線、点線と破線、ならびに二重点線と破線である。
図3の例では、イジングマシン結合ネットワーク300は、各タイプのラインが1回ずつ複製されて、2つの異なるリング発振器を示すように、10個の異なるリング発振器を含む。複数のリング発振器の各々は、位相インデックス番号「1」を有する結合段から始まり、連続する位相インデックス番号を有する結合段に沿って、位相インデックス番号「10」を有する10番目の最終結合段まで接続される。従って、
図3の例では、複数のリング発振器の各々は、1つの結合段を除いて、同じ位相インデックス番号を有する結合段302の各々において異なる1つのリング発振器と交差する。従って、2つのリング発振器の各交点における結合段302は、2つのそれぞれのリング発振器の各々に対して1つずつ、2つの結合段302に対応する。一例として、2つのリング発振器の所与の交点にある結合段302は、それぞれのリング発振器間のクロス結合のための発振器信号の相互接続を最小限に抑えるために一緒に作製され得る。
【0030】
従って、イジングマシン結合ネットワーク300は、X個のリング発振器のセットを示し、X個のリング発振器のセットは、X個の結合段302を各々が有するとともに、残りのX-1個のリング発振器に各々がクロス結合されたものである。Xは
図3の例では数量を10として示されているが、Xは1より大きい任意の数量とすることができる。
図3の例では、複数の結合段302の2次元アレイは、行320および列332において「1」の位相インデックス番号を有する結合段302を有する第1のリング発振器を含む。第1のリング発振器は、行304および列332において「10」の位相インデックス番号を有する結合段302まで、第1の方向に(
図3の例では垂直方向に)結合段302に対して直線的に延びる。複数の結合段302の2次元アレイは、行314および列324において「1」の位相インデックス番号を有する結合段302を有する第2のリング発振器を含む。第1のリング発振器は、行314および列342において「10」の位相インデックス番号を有する結合段302への第1の方向に直交する第2の方向(
図3の例では水平方向)に結合段302に対して直線的に延びる。
【0031】
イジングマシン結合ネットワーク300の残りのリング発振器は、L字形に作製されて、複数のリング発振器の各々が、それぞれの同じ位相インデックス番号の結合段302において他のリング発振器の各々と交差し、従ってクロス結合されるようになっている。従って、複数のリング発振器の各々は、他のリング発振器の各々とクロス結合されて、他のリング発振器の各々との動的位相結合を提供する。他のリング発振器の各々との適切な位相関係を提供するために、複数のリング発振器の各々は、複数の結合段302のうちの所与の1つから他の結合段302の全てを通って複数の結合段302のうちの所与の1つに戻る、それぞれのリング発振器によって形成されるループの全体についてほぼ等しい伝搬長を有することができる。例えば、イジングマシン結合ネットワーク300内の複数のリング発振器の各々の発振信号は、発振信号間の正確な位相関係を提供するために、イジングマシン結合ネットワーク300内のリング発振器間の結合段の同じ位相インデックス番号のペア間の伝搬距離が等しい。従って、イジングマシン結合ネットワーク300内のリング発振器は、任意の2つの位相インデックス番号の結合段の間で互いに対してほぼ等しいマンハッタン距離を有することができる。
【0032】
図4は、リング発振器の図例400を示す。リング発振器は、
図4の例では、第1のリング発振器402および第2のリング発振器404として示されている。第1および第2のリング発振器402および404は、
図3の例におけるイジングマシン結合ネットワーク300内の2つのリング発振器に対応することができる。特に、第1のリング発振器402は、行322および列332において「1」の位相インデックス番号を有する結合段302を有する
図3の例におけるリング発振器に対応することができる。第1のリング発振器402は、L字形の第1の脚部に沿って第1の方向に、行322および列334の頂点にある「2」の位相インデックス番号を有する結合段にまで延び、次いで、L字形の第2の脚部に沿って第1の方向に直交する第2の方向に、行306および列334にある「10」の位相インデックス番号を有する結合段にまで延びる。また、第1のリング発振器402は、「10」の位相インデックス番号を有する結合段を「1」の位相インデックス番号を有する結合段に戻って結合する、発振信号のための戻り経路を含む。
図3の例をさらに参照すると、第1のリング発振器402は、従って、L字形状の頂点における位相インデックス番号「2」における結合段を除いて、別個のそれぞれの位相インデックス番号における複数の結合段302の各々において他のリング発振器の各々と交差し、従ってクロス結合することができる。
【0033】
第2のリング発振器404は、行318および列328において「1」の位相インデックス番号を有する結合段302を有する
図3の例におけるリング発振器に対応することができる。第2のリング発振器404は、L字形の第1の脚部に沿って第1の方向に、行318および列338の頂点にある「6」の位相インデックス番号を有する結合段にまで延び、次いで、L字形の第2の脚部に沿って第1の方向に直交する第2の方向に、行310および列338にある「10」の位相インデックス番号を有する結合段にまで延びる。また、第2のリング発振器404は、「10」の位相インデックス番号を有する結合段を「1」の位相インデックス番号を有する結合段に戻って結合する、発振信号のための戻り経路を含む。
図3の例をさらに参照すると、第2のリング発振器404は、従って、L字形状の頂点における位相インデックス番号「6」における結合段を除いて、別個のそれぞれの位相インデックス番号における複数の結合段302の各々において他のリング発振器の各々と交差し、従ってクロス結合することができる。従って、第2のリング発振器404は、第1のリング発振器402および第2のリング発振器404の両方に共通である行318および列334にある位相インデックス番号「4」を有するそれぞれの結合段において第1のリング発振器402と交差することができる。
【0034】
第1および第2のリング発振器402および404は、第1および第2のリング発振器402および404の各々における発振信号の往復に関してほぼ等しい距離を有することができ、従って、これは、
図3の例におけるイジングマシン結合ネットワーク300内の残りのリング発振器と同じ距離とすることができる。従って、イジングマシン結合ネットワーク300のリング発振器は、所与のイジング問題を解く際に、それぞれの発振信号間の正確な公称位相関係を提供することができる。
図3の例に示されるように、イジングマシン結合ネットワーク300は、10個のリング発振器を含むが、本明細書で説明される設計原理は、本明細書でより詳細に説明されるように、数十、数十、またはそれ以上のリング発振器を含むはるかに大規模のイジングマシンを提供するように拡張され得る。さらに、イジングマシン結合ネットワーク300は、CMOS製造プロセスで製造することができる。しかし、
図5の例で説明するように、列ベースのFPGA実装を使用して、同様のイジングマシンを製造することができる。
【0035】
図5は、別の例のイジングマシン結合ネットワーク500を示す。イジングマシン結合ネットワーク500は、
図1の例におけるイジングマシンシステム100の一部に対応することができる。
図5の例で説明する際に、イジングマシン結合ネットワーク500は、
図2の例におけるリング発振器200などのリング発振器を含む。従って、
図5の例の以下の説明では、
図1および
図2の例を参照されたい。
図5の例で説明したように、イジングマシン結合ネットワーク500は、列ベースのCMOS FPGAを使用して実装され得る。
【0036】
図3の例では、リング発振器は、複数の結合段502を接続する線によって表され、線は、異なるリング発振器、従って所与のリング発振器の周りを伝搬する発振器信号を表すために、実線、点線、破線、および点線と破線である。
図5の例では、イジングマシン結合ネットワーク500は、4個の異なるリング発振器を含む。複数のリング発振器の各々は、位相インデックス番号「1」を有する結合段502から始まり、連続する位相インデックス番号を有する結合段に沿って、位相インデックス番号「4」を有する第10の最終結合段にまで接続される。
図5の例では、複数の結合段502は、位相インデックス番号のそれぞれ1つに各々が対応する列に設けられる。従って、複数のリング発振器の各々は、1つの結合段を除いて、同じ位相インデックス番号を有する複数の結合段の各々において異なる1つのリング発振器と交差する。結果として、2つのリング発振器の各交点における結合段502は、2つのそれぞれのリング発振器の各々に対して1つずつ、2つの結合段502に対応する。一例として、2つのリング発振器の所与の交点における結合段502は、それぞれのリング発振器間のクロス結合のための発振器信号の相互接続を最小限に抑えるために一緒に作製され得る。
【0037】
従って、イジングマシン結合ネットワーク500は、
図3の例におけるイジングマシン300に関して上述したのと同様に動作することができる。従って、イジングマシン結合ネットワーク500は、
図3の例に示されたイジングマシン300の代替実施形態を表す。イジングマシン結合ネットワーク500は、著しく多数のリング発振器を含むように拡張することができ、従って、それぞれの位相インデックス番号を有する結合段の数を増加させることができる。
【0038】
上述したように、本明細書に記載される設計原理は、数十、数十、またはそれ以上のリング発振器を含むはるかに大規模のイジングマシンを提供するように拡張され得る。
図6は、別の例のイジングマシン結合ネットワーク600を示す。イジングマシン結合ネットワーク600は、2次元アレイ内の非常に多数のY個のリング発振器を有するように作製され、各リング発振器はY個の結合段を含む。
図3の例において上述したのと同様に、複数のリング発振器の各々は、同じ位相インデックス番号において他のリング発振器の各々とクロス結合され得る。そのような多数のリング発振器は、著しくより複雑なイジング問題の計算を提供することができる。しかしながら、各リング発振器は、単一の発振信号のみを伝搬するように構成されているため、各発振信号と別のリング発振器の発振信号との間の位相関係の決定の間の遅延量は、各発振信号がそれぞれのリング発振器の各々を1往復するのに要する時間の量に基づいて大きくなり得る。
【0039】
例えば、
図6の例では、複数のリング発振器のうちの1つは、602において点線によって輪郭が描かれている。リング発振器602は、イジングマシン結合ネットワーク600内の他の全てのリング発振器と同様に、30個の結合段を含んでおり、その結果、発振信号がリング発振器602の周りを1回転伝搬するのにかなりの時間がかかり、従って、リング発振器602と他のリング発振器の各々との位相関係に基づいてイジング問題を解くのにかなりの時間がかかる可能性がある。従って、本明細書で説明されるイジングマシンの設計原理は、結合段間の発振信号の待ち時間の低減および関連する電力消費の削減に基づいて、イジング問題に対する著しくより効率的な解を提供することができるが、他の変更を行わずに、リング発振器の数量が著しくより多いイジングマシンに拡張することは、限界利益の減少をもたらす可能性がある。
【0040】
図7は、別の例のイジングマシン結合ネットワーク700を示す。イジングマシン結合ネットワーク700は、
図6の例におけるイジングマシン結合ネットワーク600の変形バージョンであるイジングマシン結合ネットワークに対応することができる。
図7の例では、イジングマシン結合ネットワーク700は、イジングマシンの少なくとも一部に集合的に対応する別個のアレイ部分702、704、および706を含む。
図7の例では、アレイ部分702、704、および706は、1次元アレイに配置される。
【0041】
一例として、イジングマシン結合ネットワーク700は、
図6の例におけるイジングマシン結合ネットワーク600などの大きなイジングマシン内の複数のリング発振器のそれぞれを、アレイ部分702、704、および706などのアレイ部分のうちの1つにそれぞれ含まれるいくつかの部分に分割することによって形成され得る。従って、各アレイ部分内のリング発振器は、戻り経路を有する専用のリング発振器とすることができ、次の連続するアレイ部分内のリング発振器との接続は、中間結合段708を介して行われる。従って、イジングマシン結合ネットワーク600などの大規模イジングマシン結合ネットワーク内の複数のリング発振器の各々は、別個のリング発振器に分割することができる。
【0042】
さらに、イジングマシン結合ネットワーク700は、アレイ部分702および706の端部にある、他のどのリング発振器に結合されていない追加の結合段710を含む。中間結合段708および追加の結合段710は、より大規模のリング発振器(例えば、リング発振器602)と等価なものを集合的に形成する個々のリング発振器の動作のバランスをとるために設けられている。従って、中間結合段708は、(例えば、第2のアレイ部分704内のリング発振器のための)他の中間結合段708または(例えば、第1および第3のアレイ部分702および706内のリング発振器のための)追加の結合段710のいずれかへの戻り経路を含むように、隣接するアレイ部分の両方におけるリング発振器における第1の結合段に対応している。
【0043】
図7の例では、アレイ部分702、704、および706のうちの所与の1つの複数のリング発振器は、それぞれの発振信号を、次の隣接するアレイ部分の複数のリング発振器に対して反対方向に伝搬することができる。
図7の例に示されるように、アレイ部分702内の複数のリング発振器は、発振信号を時計回りに伝搬し、アレイ部分704内の複数のリング発振器は、発振信号を反時計回りに伝搬し、アレイ部分706内の複数のリング発振器は、発振信号を時計回りに伝搬する。従って、アレイ部分702、704、および706の各々における複数のリング発振器の複数の発振信号は、互いに相互作用して、アレイ部分702、704、および706の各々における複数のリング発振器間の位相関係を提供することができる。このようにして、アレイ部分702、704、および706の各々における所与の1つのリング発振器は、大規模のイジングマシン結合ネットワークの全体にわたって1つの大規模のリング発振器と同じように動作することができるが、大規模のイジングマシン結合ネットワークのそれぞれの発振信号よりも著しく短い伝搬時間(例えば、伝搬時間の約3分の1)で動作することができる。
【0044】
図7の例では、イジングマシン結合ネットワーク700は、第1のアレイ部分702内の第1のリング発振器712と、第2のアレイ部分704内の第2のリング発振器714と、第3のアレイ部分706内の第3のリング発振器716とを含む。また、リング発振器712は、追加の結合段710のうちの1つと中間結合段708のうちの1つとを含み、また、リング発振器714は、中間結合段708のうちの2つを含み、リング発振器また、716は、追加の結合段710のうちの1つと中間結合段708のうちの1つとを含む。
図7の例では、中間結合段708は、リング発振器712、714、および716を境界付ける点線によって示されるように、単一の1つの中間結合段708が第1のリング発振器712と第2のリング発振器714の両方に含まれ、別の単一の1つの中間結合段708が第2のリング発振器714と第3のリング発振器716の両方に含まれるように、隣接するアレイ部分の間で共有されるものとして示される。従って、リング発振器712、714、および716は、
図6の例におけるリング発振器602に集合的に対応することができる。
【0045】
第1のリング発振器712は、第1のアレイ部分702内で時計回り方向に伝搬することができ、第2のリング発振器714は、第2のアレイ部分704内を反時計回り方向に伝搬することができ、第3のリング発振器716は、第3のアレイ部分706内で時計回り方向に伝搬することができる。従って、第1のリング発振器712は、1つの中間結合段708を介して第2のリング発振器714にクロス結合され得、第2のリング発振器714は、別の1つの中間結合段708を介して第3のリング発振器716にクロス結合され得る。従って、リング発振器712、714、および716は、30個の結合段を含むリング発振器602に集合的に対応することができる。しかし、リング発振器712、714、および716はそれぞれ、各回転でクロス結合を提供するためにそれぞれの発振信号を伝搬するため、リング発振器712、714、および716は、イジングマシン結合ネットワーク700の他のリング発振器との位相関係を、イジングマシン結合ネットワーク600内のリング発振器602の約3分の1の時間で提供することができる。従って、イジングマシン結合ネットワーク700は、イジングマシン結合ネットワーク600と比較してより高速で効率的なイジングの解を提供することができる。
【0046】
図8は、別の例のイジングマシン結合ネットワーク800を示す。イジングマシン結合ネットワーク800は、
図6および
図7のそれぞれの例におけるイジングマシン結合ネットワーク600および700に対するような、変形されたイジングマシン結合ネットワークに対応することができる。
図8の例では、イジングマシン結合ネットワーク800は、イジングマシンの少なくとも一部に集合的に対応する別個のアレイ部分802、804、806、および808を含む。
図8の例では、アレイ部分802、804、および806は、2次元アレイに配置されている。
【0047】
イジングマシン結合ネットワーク800は、イジングマシン結合ネットワーク(例えば、アレイ部分802、804、806、および808)を、垂直および水平の鏡像対称を含むアレイに複数回コピーすることによって形成することができる。従って、各アレイ部分内のリング発振器は、戻り経路を有する専用のリング発振器とすることができる。しかしながら、アレイ部分802、804、806、808のうちの所与の1つにおける複数のリング発振器の各々は、アレイ部分802、804、806、808と中間結合段810との間のクロス結合によって示されるように、少なくとも1つの直交して隣接するアレイ部分における1つのリング発振器にクロス結合され得る。イジングマシン結合ネットワーク800内のアレイ部分802、804、806、808は、例によって示されており、
図8の例において示されているよりも著しく多くのリング発振器、結合段、および/またはアレイ部分を含むことができる。
【0048】
イジングマシン結合ネットワーク800は、異なるタイプのイジングマシンアーキテクチャとして動作することができ、このアーキテクチャでは、イジングマシン結合ネットワーク800は、部分間のクロス結合が制限された完全に接続された部分のアレイとして動作する。一例として、イジングマシン結合ネットワーク800と同様に構成されたイジングマシン結合ネットワークは、10×10アレイの部分を有することができ、各部分は、それぞれ16個のリング発振器を含む。従って、イジングマシン結合ネットワークは、1600個の発振器を有することになり、その結果、イジングマシン結合ネットワークは、1600個の一意の変数を実装することができる。従って、各変数が他の変数に接続し得る数は著しく少なくなる(例えば、わずか15~18個)。従って、イジングマシン結合ネットワーク800は、イジングマシン結合ネットワーク700の代替を表す。
【0049】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは可能ではないが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのような全ての変更、修正および変形を包含することが意図されている。加えて、本開示または特許請求の範囲が「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、もしくは「別の(another)」構成要素、またはそれらの均等物を列挙する場合、それは、1つまたは2つ以上のそのような構成要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような構成要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムであって、前記イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を備えており、前記複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含んでおり、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、他のリング発振器の各々の前記複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有しており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、それぞれのリング発振器に関連する前記発振信号を介して、前記他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、前記複数のリング発振器の各々が、前記他のリング発振器の各々に前記複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される、イジングマシンシステム。
[付記2]
所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と、次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の前記発振信号の伝搬距離は、前記複数のリング発振器の各々に関して等しい、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記複数のリング発振器の各々のマンハッタン距離は、前記他のリング発振器の各々のマンハッタン距離と等しい、付記1に記載のシステム。
[付記4]
前記複数のリング発振器の前記複数の結合段は、2次元アレイに配置されている、付記1に記載のシステム。
[付記5]
前記複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の前記複数の結合段は、前記2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する前記複数の結合段は、前記第1の軸と直交する前記2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの前記第1のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内で同じ位相インデックス番号を有する前記複数のリング発振器のうちの前記第2のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、付記4に記載のシステム。
[付記6]
残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形状に作製されており、前記複数のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内の同じ位相インデックス番号を有する前記他のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、付記5に記載のシステム。
[付記7]
前記残りのリング発振器の各々の前記物理的なL字形状の頂点にある結合段は、前記複数のリング発振器のうちの他のリング発振器の他の結合段に結合されていない、付記6に記載のシステム。
[付記8]
前記2次元アレイは、複数のアレイ部分を備えており、前記複数のアレイ部分の各々は、別個の複数のリング発振器を備えており、第1のアレイ部分内の前記複数のリング発振器の各々は、第2のアレイ部分内の前記複数のリング発振器のうちの1つにクロス結合されて、前記第1のアレイ部分の前記複数のリング発振器と前記第2のアレイ部分の前記複数のリング発振器との間に位相結合を提供する、付記5に記載のシステム。
[付記9]
前記複数のアレイ部分は、前記複数のアレイ部分が1次元アレイに物理的に配置されており、前記複数のアレイ部分のうちの1つの前記複数のリング発振器の各々における前記発振信号は、前記複数のアレイ部分の前記1次元アレイにおいて次に連続するアレイ部分の前記複数のリング発振器の各々における前記発振信号に対して反対の方向に伝搬する、付記8に記載のシステム。
[付記10]
前記複数のアレイ部分は、前記複数のアレイ部分が2次元アレイに物理的に配置されており、前記複数のリング発振器の各々は、前記複数のアレイ部分の2次元アレイにおいて直交して隣接する各アレイ部分内の1つのリング発振器に結合段を介してクロス結合されている、付記8に記載のシステム。
[付記11]
前記イジング問題のパラメータに対応する複数の制御信号を生成して、前記複数のリング発振器の各々の前記他のリング発振器への相対的な位相結合を制御するように構成されたイジングマシンコントローラをさらに備える、付記1に記載のシステム。
[付記12]
イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムであって、前記イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を備えており、前記複数のリング発振器の各々は、2次元アレイに配置された複数の結合段を含んでおり、前記複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の前記複数の結合段は、前記2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する前記複数の結合段は、前記第1の軸と直交する前記2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形に作製されており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器のそれぞれの1つ内で、前記2次元アレイ内の他のリング発振器の各々の前記複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有しており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、前記他のリング発振器と交差することに基づいて、それぞれの前記複数の結合段に関連する前記発振信号を介して、前記他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、前記複数のリング発振器の各々が、前記他のリング発振器の各々に前記複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供される、イジングマシンシステム。
[付記13]
所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と、次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の前記発振信号の伝搬距離は、前記複数のリング発振器の各々に関して等しい、付記12に記載のシステム。
[付記14]
前記残りのリング発振器の各々の前記物理的なL字形状の頂点にある前記結合段は、前記複数のリング発振器のうちの他のリング発振器の他の結合段に結合されていない、付記12に記載のシステム。
[付記15]
前記2次元アレイは、複数のアレイ部分を備えており、第1のアレイ部分は、第2のアレイ部分にリンクされて、前記第1および第2のアレイ部分の各々の前記複数のリング発振器の各々の結合段のクロス結合に基づいて、前記第1のアレイ部分の前記複数のリング発振器と前記第2のアレイ部分の前記複数のリング発振器との間の位相結合を提供する、付記12に記載のシステム。
[付記16]
イジング問題を解くように構成されたイジングマシンシステムであって、前記イジングマシンシステムは、発振信号を伝搬するようにそれぞれ構成された複数のリング発振器を備えており、前記複数のリング発振器の各々は、複数の結合段を含んでおり、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器のそれぞれの1つの内で、他のリング発振器の各々の前記複数の結合段の位相インデックス番号に一致する一意の位相インデックス番号を有しており、前記複数の結合段の各々は、前記複数のリング発振器の各々の1つの結合段を除いて、それぞれのリング発振器に関連する前記発振信号を介して、前記他のリング発振器のうちの1つの同じ位相インデックス番号を有する結合段にクロス結合されて、前記複数のリング発振器の各々が、前記他のリング発振器の各々に前記複数の結合段の単一のそれぞれの1つでクロス結合されて、それぞれのクロス結合されたリング発振器間にそれぞれの位相結合が提供され、所与の位相インデックス番号を有する第1の結合段と次の連続する位相インデックス番号を有する第2の結合段との間の前記発振信号の伝搬距離は、前記複数のリング発振器の各々に関して等しい、イジングマシンシステム。
[付記17]
前記複数のリング発振器の前記複数の結合段は、2次元アレイに配置されており、前記複数のリング発振器のうちの第1のリング発振器の前記複数の結合段は、前記2次元アレイの第1の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの第2のリング発振器に関連する前記複数の結合段は、前記第1の軸と直交する前記2次元アレイの第2の軸に沿って直線的な物理的配置で作製されており、前記複数のリング発振器のうちの前記第1のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内で同じ位相インデックス番号を有する前記複数のリング発振器のうちの前記第2のリング発振器の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、付記16に記載のシステム。
[付記18]
残りのリング発振器の各々は、物理的なL字形に作製されており、前記複数のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つは、前記2次元アレイ内の同じ位相インデックス番号を有する前記他のリング発振器の各々の前記複数の結合段のうちの1つと物理的に交差している、付記17に記載のシステム。
[付記19]
前記残りのリング発振器の各々の前記物理的なL字形状の頂点にある前記結合段は、前記複数のリング発振器のうちの他のリング発振器の他の結合段に結合されていない、付記18に記載のシステム。
[付記20]
前記2次元アレイは、複数のアレイ部分を備えており、第1のアレイ部分は、第2のアレイ部分にリンクされて、前記第1および第2のアレイ部分の各々の前記複数のリング発振器の各々の結合段のクロス結合に基づいて、前記第1のアレイ部分の前記リング発振器と前記第2のアレイ部分の前記リング発振器との間の位相結合を提供する、付記17に記載のシステム。