(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-30
(45)【発行日】2025-06-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、生体検知システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/87 20060101AFI20250602BHJP
G01S 13/90 20060101ALI20250602BHJP
【FI】
G01S13/87
G01S13/90
(21)【出願番号】P 2025518927
(86)(22)【出願日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2023032769
【審査請求日】2025-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 尭之
(72)【発明者】
【氏名】松島 勲旺
(72)【発明者】
【氏名】影目 聡
(72)【発明者】
【氏名】大島 正資
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377705(US,A1)
【文献】特開2009-110688(JP,A)
【文献】特開2020-173940(JP,A)
【文献】特開2013-080689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
A61B 5/024
A61B 5/11- 5/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、
を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する照明制御部と、を備え
、
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置の時間変化に基づいて、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向前方に位置する照明装置の明るさが、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向後方に位置する照明装置の明るさよりも大きくなるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する照明制御部と、を備え、
前記推定部は、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報及び前記第2距離情報の変化に基づいて、前記生体のバイタル情報を推定し、
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置と、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報と、に基づいて、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を、点灯状態と点滅状態との間で切換えるように制御する
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、前記複数の照明装置のうち照射範囲が前記生体の位置から最も近い照明装置の明るさを、第1状態と前記第1状態とは明るさが異なる第2状態との間で切換えるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする請求項
1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報に基づいて前記生体が睡眠中であるか否かを判定し、前記生体が睡眠中であると判定された場合、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、前記複数の照明装置のうち照射範囲が前記生体の位置から最も近い照明装置の明るさが、前記生体が睡眠中でないと判定された場合よりも小さくなるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする請求項
2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記第1距離情報及び前記第2距離情報を、電力線通信を介して取得する
ことを特徴とする請求項1
または2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記第1距離情報及び前記第2距離情報を、無線通信を介して取得する
ことを特徴とする請求項1
または2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の照明装置は、第1照明装置と、第2照明装置と、を含み、
請求項
1または2記載の情報処理装置と、
前記第1照明装置と、前記第1アンテナと、前記第1アンテナから電磁波を送信させるための信号を生成する第1レーダ装置と、を有する第1照明ユニットと、
前記第2照明装置と、前記第2アンテナと、前記第2アンテナから電磁波を送信させるための信号を生成する第2レーダ装置と、を有する第2照明ユニットと、を備えた
ことを特徴とする生体検知システム。
【請求項8】
前記第1レーダ装置及び前記第1照明装置は、前記第1照明ユニットが有する共通の電力供給路を介して電力が供給される
ことを特徴とする請求項
7記載の生体検知システム。
【請求項9】
情報取得部と、推定部と、
照明制御部と、を備えた装置が行う情報処理方法であって、
前記情報取得部が、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、
を取得するステップと、
前記推定部が、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定するステップと、
前記照明制御部が、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御するステップと、を備え
、
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置の時間変化に基づいて、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向前方に位置する照明装置の明るさが、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向後方に位置する照明装置の明るさよりも大きくなるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
情報取得部と、推定部と、照明制御部と、を備えた装置が行う情報処理方法であって、
前記情報取得部が、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、を取得するステップと、
前記推定部が、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定するステップと、
前記照明制御部が、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御するステップと、を備え、
前記推定部は、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報及び前記第2距離情報の変化に基づいて、前記生体のバイタル情報を推定し、
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置と、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報と、に基づいて、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を、点灯状態と点滅状態との間で切換えるように制御する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、生体検知システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街灯柱の照明ユニットに組み込まれた複数のレーダ探知機によって、人間等の移動する物体を検出するシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一のレーダ装置等によって人間等の生体の位置を検知する場合、生体とレーダの位置関係、生体の大きさ、衣類の種類等によって、十分な検知精度が得られない場合が考えられ、生体の位置を検知する際の検知精度の向上が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであって、従来よりも、生体の位置を検知する際の検知精度を向上させることができる情報処理装置、生体検知システム及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、第1アンテナ及び第2アンテナで受信することによって得られた、第1アンテナから生体までの距離に関する第1距離情報と、第2アンテナから生体までの距離に関する第2距離情報と、を取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された第1距離情報と、情報取得部によって取得された第2距離情報と、に基づいて、生体の位置を推定する推定部と、推定部によって推定された生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する照明制御部と、を備、照明制御部は、推定部によって推定された生体の位置の時間変化に基づいて、複数の照明装置のうち生体の移動方向前方に位置する照明装置の明るさが、複数の照明装置のうち生体の移動方向後方に位置する照明装置の明るさよりも大きくなるように、生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、生体に対して異なる相対位置関係にある複数のアンテナから送信された電磁波の生体による反射波から得られた、複数のアンテナと生体との距離に基づいて生体の位置を推定するので、生体の位置を検知する際の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る生体検知システムの構成を示す模式図。
【
図2】実施の形態1に係る生体検知システムの構成を示すブロック図。
【
図3】実施の形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図4】実施の形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図5】実施の形態1に係る情報処理装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態2に係る生体検知システムの構成を示すブロック図。
【
図7】実施の形態1に係る情報処理装置が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、
図1及び
図2を参照して、実施の形態1に係る生体検知システム1の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る生体検知システム1の構成を示す模式図であり、
図2は、実施の形態1に係る生体検知システム1の構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る生体検知システム1は、複数の照明ユニットとしての照明ユニット11、12、・・・、1Nと、情報処理装置100と、データベースDB1と、を備えており、照明ユニット11、12、・・・、1N(Nは、2以上の自然数)、及び情報処理装置100には、電力線PL1を介して電力が供給されている。生体検知システム1は、生体検知システム1の周囲に存在する生体を検知するためのシステムである。生体検知システム1が検知する生体は、移動する生体であれば動物その他の生体であってもよいが、以下、生体検知システム1について、生体が人間である場合を例に説明する。なお、実施の形態1において、照明ユニット11は、第1照明ユニットを構成し、照明ユニット12は、第2照明ユニットを構成する。
【0010】
また、生体検知システム1は、2以上の照明ユニットを備えていればよく、例えば、生体検知システムは、2つの照明ユニットのみを備えるものであってもよいし、3つ以上の照明ユニットを備えるものであってもよい。また、生体検知システムが3つ以上の照明ユニットを備える場合、これら複数の照明ユニットは、互いに距離を存して直線状に配置されていてもよいし、互いに距離を存して平面状に配置されていてもよいし、互いに距離を存して立体的に配置されていてもよい。言い換えると、生体検知システムが第1照明ユニット、第2照明ユニット及び第3照明ユニットを備えている場合、これら第1照明ユニット、第2照明ユニット及び第3照明ユニットは、所定方向に距離を存して直線状に配置されていてもよいし、第1照明ユニットと第2照明ユニットとは、互いに第1方向に距離を存して配置され、かつ第1照明ユニットと第3照明ユニットとは、互いに第1方向とは異なる第2方向に距離を存して、平面状に配置されていてもよい。
【0011】
照明ユニット11、12、・・・、1Nは、それぞれ、照明装置1aと、レーダ装置1bと、アンテナ1cと、同期部1dと、信号処理部1eと、信号出力部1fと、を有している。照明ユニット11、12、・・・、1Nは、互いに距離を存して配置されている。例えば、照明装置1aは、住居、店舗、オフィス等の居室R1の天井C1における互いに異なる位置に配置されている。また、例えば、照明ユニット11、12、・・・、1Nは、それぞれ、天井、床面、壁面等に対して、照明装置1aと、レーダ装置1bと、アンテナ1cと、同期部1dと、信号処理部1eと、信号出力部1fと、が一体的に着脱可能に構成されている。また、例えば、照明ユニット11、12、・・・、1Nは、照明装置1a及びレーダ装置1bを含む照明ユニットの各部に対して電力を供給する共通の電力供給路を有している。また、照明ユニット11、12、・・・、1Nは、電力線PL1を介した電力線通信により、互いに通信可能に接続されている。照明ユニット11、12、・・・、1Nが行う通信の内容については、後述する。
【0012】
照明装置1aは、電力線PL1から供給された電力を消費して発光し、所定の照射範囲に光を照射する。例えば、照明装置1aは、LED(LIGHT-EMITTING DIODE)、白熱灯又は蛍光灯を有しており、天井C1から下方に向けて所定の照射範囲に光を照射する。
【0013】
レーダ装置1bは、アンテナ1cから電磁波を送信させるための信号である送信信号を生成する。例えば、レーダ装置1bは、電磁波を生成するための発信器を有している。また、例えば、レーダ装置1bは、電磁波としてミリ波を生成する。なお、実施の形態1において、照明ユニット11が有するレーダ装置1bは、第1レーダ装置を構成し、照明ユニット12が有するレーダ装置1bは、第2レーダ装置を構成する。
【0014】
アンテナ1cは、レーダ装置1bが生成した信号を電磁波として外部に向けて送信する。例えば、アンテナ1cは、レーダ装置1bが生成した送信信号を居室R1内部の空間に向けて電磁波として送信する。また、アンテナ1cは、送信した電磁波が人物S1を含む周囲に存在する物体によって反射された際の反射波を受信する。なお、以下の説明において、アンテナ1cから送信された電磁波を反射した物体を、反射物体ともいう。また、実施の形態1において、照明ユニット11が有するアンテナ1cは、第1アンテナを構成し、照明ユニット12が有するアンテナ1cは、第2アンテナを構成する。
【0015】
同期部1dは、照明ユニット11、12、・・・、1Nが有する各レーダ装置1bの動作を同期させる。例えば、同期部1dは、電力線PL1を介して他の同期部1dと通信を行うことによって各レーダ装置1bの動作を同期させ、時分割処理によって照明ユニット11、12、・・・、1Nが有する各アンテナ1cから順次電磁波を送信させる。これにより、同期部1dは、各アンテナ1cから送信される電磁波同士の干渉を抑制している。
【0016】
信号処理部1eは、アンテナ1cが受信した反射波に基づく信号である受信信号に対する処理を行い、アンテナ1cと反射物体との距離に関する距離情報を取得する。例えば、信号処理部1eは、受信信号に対して、フィルタリング、アップサンプリング、ダウンサンプリング等の処理を含むコヒーレント処理を行い、距離情報として、第1アンテナと反射物体との距離を示す距離スペクトルの算出を行う。なお、実施の形態1において、第1アンテナと反射物体との距離に関する距離情報を第1距離情報、第2アンテナと反射物体との距離に関する距離情報を第2距離情報ともいう。
【0017】
信号出力部1fは、信号処理部1eによって取得されたアンテナ1cと反射物体との距離情報を、電力線PL1を介して情報処理装置100に出力する。
【0018】
データベースDB1は、レーダ位置記憶部DB1aと、時刻情報記憶部DB1bと、を有しており、情報処理装置100と通信可能に接続されている。レーダ位置記憶部DB1aは、照明ユニット11、12、・・・、1Nが有する各アンテナ1cの位置を示す情報であるレーダ位置情報を記憶している。時刻情報記憶部DB1bは、時刻に関する時刻情報を記憶している。例えば、時刻情報記憶部DB1bは、時刻情報として現在の時刻を示す情報を記憶している。また、例えば、時刻情報記憶部DB1bは、時刻情報として、各アンテナ1cから電磁波が送信された時刻と、各アンテナ1cが反射波を受信した時刻と、を情報処理装置100を介して取得し、これらの時刻情報を記憶している。なお、データベースDB1は、情報処理装置100と一体的に構成されていてもよいし、情報処理装置100の機能の一部として構成されていてもよい。
【0019】
情報処理装置100は、情報取得部としての信号取得部110と、推定部120と、照明制御部140と、を備えており、電力線PL1を介した電力線通信により、照明ユニット11、12、・・・、1Nと通信可能に接続されている。信号取得部110は、照明ユニット11、12、・・・、1Nの各信号出力部1fからの情報を取得する。
【0020】
推定部120は、信号取得部110によって取得された距離情報に基づいて、検知の対象である人物S1の位置を推定する。例えば、推定部120は、信号取得部110によって取得された各アンテナ1cから反射物体までの距離を示す距離スペクトルとレーダ位置記憶部DB1aから取得した各アンテナ1cの位置情報に基づいて、居室R1内部の空間を合成開口処理によって画像化する合成開口処理部122と、検知の対象である各人物S1の位置を合成開口処理によって得られた画像(合成開口画像)をもとに推定する位置推定部121を有している。
【0021】
例えば、合成開口処理部122は、各アンテナ1cのレーダ位置情報と、照明ユニット11、12、・・・、1Nから出力された距離情報と、に基づいて居室R1内部の空間を合成開口処理によって画像化する。また、位置推定部121は再生した合成開口画像に基づいて、居室R1内部の空間に人物S1が含まれること、及び当該人物S1の特定時刻における位置及び姿勢を推定する。例えば、位置推定部121は、再生した合成開口画像の入力によって反射物体の形状を画像出力する学習済みモデルによって、人物S1の位置及び姿勢を推定する。
【0022】
照明制御部140は、位置推定部121による推定結果に基づいて、各照明装置1aの発光態様を制御する。例えば、照明制御部140は、位置推定部121による推定結果に基づいて、各照明装置1aの光度、発光色、点灯状態及び消灯状態等の発光態様を制御する。照明制御部140による照明装置1aの制御内容については、後述する。
【0023】
このように構成されて、生体検知システム1は、照明ユニット11、12、・・・、1Nが有する複数のアンテナ1cが素子アンテナとして機能することにより、生体を検知するための合成開口レーダとして機能する。
【0024】
次に、
図3及び
図4を参照して、情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。
図3は、実施の形態1に係る情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、
図4は、実施の形態1に係る情報処理装置100の
図3とは異なるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図3に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ100a、メモリ100b及びI/Oポート100cを有し、メモリ100bに格納されているプログラムをプロセッサ100aが読み出して実行するように構成されている。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又はこれらの組合せによって構成されている。また、メモリ100bは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等であってもよい。さらにメモリ100bは、HDD又はSSDであってもよい。
【0025】
また、例えば、
図4に示すように、情報処理装置100は、専用のハードウェアである処理回路100d及びI/Oポート100cを有している。処理回路100dは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、システムLSI(Large-Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらの組み合わせによって構成されている。情報処理装置100の各機能は、これらプロセッサ100a又は専用のハードウェアである処理回路100dがソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組合せであるプログラムを実行することによって実現される。
【0026】
次に、
図5を参照して、実施の形態1に係る情報処理装置100が生体の位置を検知するために行う処理の詳細について説明する。
図5は、実施の形態1に係る情報処理装置100が行う処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、情報処理装置100は、処理を開始すると、データベースDB1から各アンテナ1cのレーダ位置情報を取得する(ステップST1)。
【0027】
ステップST1の処理を行うと、情報処理装置100は、データベースDB1から時刻情報を取得する(ステップST2)。ステップST2の処理を行うと、情報処理装置100は、信号取得部110によって照明ユニット11、12、・・・、1Nから距離情報を取得する(ステップST3)。
ステップST3の処理を行うと、情報処理装置100は、推定部120によって、居室R1内部の空間の合成開口画像を再生することで、居室R1内部の空間の反射物体に人物S1が含まれているか否かを判定し、反射物体に人物S1が含まれていると判定された場合、当該人物S1の特定時刻における位置を推定する(ステップST4)。
【0028】
ステップST4の処理を行うと、情報処理装置100は、推定された人物S1の位置に基づいて、照明ユニット11、12、・・・、1Nの照明装置1aの発光態様を制御する(ステップST5)。言い換えると、情報処理装置100は、照明制御部140によって、複数の照明装置1aのうち人物S1の位置に応じた照明装置1aの発光態様を制御する。例えば、照明制御部は、複数の照明装置1aのうち人物S1の位置に応じた照明装置1aの明るさを、第1状態と第1状態とは明るさが異なる第2状態との間で切換えるように、生体の位置に応じた照明装置1aの発光態様を制御する。また、例えば、照明制御部は、複数の照明装置1aのうち人物S1の位置に応じた照明装置1aを、点灯している点灯状態と、点滅している点滅状態と、消灯している消灯状態と、の間で切換えるように、生体の位置に応じた照明装置1aの発光態様を制御する。
【0029】
例えば、情報処理装置100は、複数の照明装置1aのうち特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aを点灯させ、他の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の位置から最も遠い照明装置1aを含む一部又は全部の照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0030】
また、例えば、情報処理装置100は、推定部120によって反射物体に複数の人物S1が含まれることが推定されている場合、複数の照明装置1aのうち各人物S1の位置に最も近い照明装置1aを点灯させ、他の照明装置1aのうちいずれの人物S1からも予め設定された距離以上離れている照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0031】
また、例えば、情報処理装置100は、複数の照明装置1aのうち照射範囲が特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aを点灯させ、他の照明装置1aのうち照射範囲が当該特定の人物S1の位置から最も遠い照明装置1aを含む一部又は全部の照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0032】
また、例えば、情報処理装置100は、推定部120によって反射物体に複数の人物S1が含まれることが推定されている場合、複数の照明装置1aのうち照射範囲が各人物S1の位置に最も近い照明装置1aを点灯させ、他の照明装置1aのうち照射範囲がいずれの人物S1からも予め設定された距離以上離れている照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0033】
なお、情報処理装置100は、予め設定された距離以上離れている照明装置1aを消灯させる代わりに、予め設定された照明装置1aの個数分以上離れている照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御するように構成されていてもよい。
【0034】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向を推定し、特定の人物S1の位置及び移動方向に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向前方に位置する照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置するいずれかの照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0035】
具体的には、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向を推定し、特定の人物S1の位置及び移動方向に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向前方に位置して、かつ当該特定の人物S1から予め設定された距離以内に位置している照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置して、かつ予め設定された距離以上離れた位置に位置している照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0036】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向を推定し、特定の人物S1の位置及び移動方向に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向前方に位置する照明装置1aを点灯させ、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置するいずれかの照明装置1aを消灯させるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0037】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向を推定し、特定の人物S1の位置及び移動方向に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の位置に最も近い照明装置1a及び当該特定の人物S1の移動方向前方に位置する照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置するいずれかの照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの明るさを制御する。
【0038】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向及び移動速度を推定し、特定の人物S1の位置、移動方向及び移動速度に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向前方に位置して、かつ予め設定された時間以内に当該特定の人物S1から予め設定された距離内になる照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置して、かつ当該特定の人物S1からの距離が予め設定された距離以上離れてから予め設定された時間を経過した照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0039】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向を推定し、特定の人物S1の位置及び移動方向に基づいて、複数の照明装置1aのうち照射範囲が当該特定の人物S1の位置に最も近い照明装置1a及び照射範囲が当該特定の人物S1の移動方向前方に位置する照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち照射範囲が当該特定の人物S1の移動方向後方に位置するいずれかの照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの明るさを制御する。
【0040】
また、例えば、情報処理装置100は、照明制御部140によって、各人物S1の位置の時間変化に基づいて各人物S1の移動方向及び移動速度を推定し、特定の人物S1の位置、移動方向及び移動速度に基づいて、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向前方に位置して、かつ予め設定された時間以内に当該特定の人物S1が照射範囲内に達する照明装置1aの明るさが、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の移動方向後方に位置して、かつ当該特定の人物S1が照射範囲内でなくなってから予め設定された時間を経過した照明装置1aの明るさよりも大きくなるように、複数の照明装置1aの発光態様を制御する。
【0041】
なお、上述した情報処理装置100が行う照明装置1aの発光態様の各制御は、自由な組み合わせ及び任意の制御の省略が可能である。
【0042】
ステップST5の処理を行うと、情報処理装置100は、処理をステップST2に戻し、ステップST2乃至ST5の処理を繰り返す。
【0043】
以上のように、実施の形態1に係る生体検知システム1は、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、第1アンテナ及び第2アンテナで受信することによって得られた、第1アンテナから生体までの距離に関する第1距離情報と、第2アンテナから生体までの距離に関する第2距離情報と、取得する情報取得部と、情報取得部によって取得された第1距離情報と、情報取得部によって取得された第2距離情報と、に基づいて、生体の位置を推定する推定部と、を備えた情報処理装置を備えている。
【0044】
これにより、生体検知システム1は、複数のアンテナから送信された電磁波の生体による反射波から得られた、複数のアンテナと生体との距離に基づいた合成開口画像から生体の位置を推定するので、単一のアンテナと生体との距離に基づいて生体の位置を推定する場合よりも、生体の位置を検知する際の検知精度を向上させることができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る情報処理装置100は、推定部によって推定された生体の位置に基づいて、第1照明装置及び第2照明装置を含む複数の照明装置のうち生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する照明制御部を備えている。これにより、例えば、実施の形態1に係る生体検知システム1は、生体の位置に応じて相対的に重要度が低い照明装置の明るさを小さくすることが可能になり、照明装置による消費電力を抑制することが可能になる。
【0046】
なお、実施の形態1に係る生体検知システム1は、照明ユニット11、12、・・・、1Nと、情報処理装置100と、が電力線PL1を介した電力線通信により、互いに通信可能に接続されており、信号取得部110は、各照明ユニットからの距離情報を電力線通信を介して取得する。これにより、生体検知システム1は、照明ユニット11、12、・・・、1Nの移設、追加及び削除が容易になり、照明ユニット11、12、・・・、1Nの移設、追加又は削除の作業負担を軽減することが可能になる。
【0047】
なお、実施の形態1に係る生体検知システム1は、照明ユニット11、12、・・・、1Nと、情報処理装置100と、が電力線PL1を介した電力線通信により、互いに通信可能に接続されているが、これに限定されない。例えば、生体検知システムは、複数の照明ユニットの間、及び複数の照明ユニットと情報処理装置との間が無線通信により互いに通信可能に接続されていてもよい。例えば、このように生体検知システムが構成されている場合、複数の照明ユニットの間、及び複数の照明ユニットと情報処理装置との間の通信をOFDMレーダ通信により互いに通信可能に接続し、周囲のモニタリングのためにアンテナから送信するOFDMレーダ信号に、複数の照明ユニットの間の同期信号と、過去(前回)の受信信号と、をエンコードして送信することで、同期信号とOFDMレーダ信号等の信号を異なる時間に送信するよりも、モニタリングの周期を短縮することが可能になる。
【0048】
実施の形態2.
次に、
図6及び
図7を参照して、実施の形態2に係る生体検知システム2について説明する。実施の形態2に係る生体検知システム2は、実施の形態1に係る生体検知システム1と比較して、情報処理装置が生体の位置に加えて生体のバイタル情報を推定し、推定した生体の位置及び生体のバイタル情報に基づいて照明装置1aの制御を行う構成が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図6は、実施の形態2に係る生体検知システム2の構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る生体検知システム1は、複数の照明ユニットとしての照明ユニット11、12、・・・、1Nと、情報処理装置200と、データベースDB1と、を備えている。情報処理装置200は、信号取得部110と、推定部220と、健康状態判定部130と、照明制御部140と、を備えており、電力線PL1を介した電力線通信により、照明ユニット11、12、・・・、1Nと通信可能に接続されている。
【0050】
推定部220は、位置推定部221と、バイタル情報推定部222と、合成開口処理部223、を有している。バイタル情報推定部222は、位置推定部121による推定結果に基づいて、反射物体に含まれる人物S1のバイタル情報を推定する。バイタル情報推定部222は、位置推定部121による特定の人物S1の形状の、時間変化の推定結果に基づいて、当該人物S1のバイタル情報を推定する。言い換えると、バイタル情報推定部222は、信号取得部110によって取得された距離情報の時間変化に基づいて、反射物体に含まれる人物S1のバイタル情報を推定する。例えば、バイタル情報推定部222は、特定の人物S1の形状の時間変化に基づいて、当該特定の人物S1の脈拍、心拍、呼吸数、血圧値等のバイタル情報を推定する。例えば、バイタル情報推定部222は、レーダ位置情報及び距離情報の入力によって反射物体に含まれる人物S1に起因するマイクロドップラー情報をもとに、各人物S1のバイタル情報を推定する。合成開口処理部223が行う処理については、実施の形態1に係る合成開口処理部122が行う処理と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
健康状態判定部130は、バイタル情報推定部222による推定結果に基づいて、各人物S1の健康状態を推定する。例えば、健康状態判定部130は、バイタル情報推定部222によって推定された各人物S1の脈拍、心拍、呼吸数、血圧値等に基づいて、各人物S1の健康状態として、睡眠状態であるか否か、医療行為を含むサポートが求められる要サポート状態であるか否か等の健康状態を判定する。例えば、健康状態判定部130は、バイタル情報推定部222によって推定された各人物S1のバイタル情報が、予め設定されている閾値内であるか否かに基づいて、各人物S1の健康状態を判定する。なお、情報処理装置200は、レーダ位置情報及び距離情報の入力によって各人物S1の健康状態を出力する学習済みモデルによって、各人物S1の健康状態を推定するように構成されていてもよい。
【0052】
実施の形態2に係る照明制御部140は、位置推定部221による推定結果及び健康状態判定部130による判定結果に基づいて、各照明装置1aの発光態様を制御する。例えば、照明制御部140は、位置推定部221による推定結果及び健康状態判定部130による判定結果に基づいて、各照明装置1aの光度、発光色、点灯及び消灯の切換え、照射範囲等の、発光態様を制御する。なお、健康状態判定部130は、バイタル情報推定部222によって推定された人物S1のバイタル情報に基づいて当該人物S1の健康状態を判定するので、照明制御部140は、位置推定部221による推定結果及びバイタル情報推定部222による推定結果に基づいて、各照明装置1aの発光態様を制御するといえる。実施の形態2に係る照明制御部140による照明装置1aの制御内容については、後述する。
【0053】
実施の形態2に係る情報処理装置200のハードウェア構成については、実施の形態1に係る情報処理装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
図7は、実施の形態2に係る情報処理装置200が行う処理を示すフローチャートである。情報処理装置200が行う処理において、ステップST1乃至ステップST4までの処理は、実施の形態1に係る情報処理装置100が行う処理と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
ステップST4の処理を行うと、情報処理装置200は、バイタル情報推定部222によって反射物体に含まれる人物S1のバイタル情報を推定する(ステップST6)。ステップST6の処理を行うと、情報処理装置200は、健康状態判定部130によって反射物体に含まれる人物S1の健康状態を判定する(ステップST7)。
【0056】
ステップST7の処理を行うと、情報処理装置200は、推定した人物S1の位置及び判定した健康状態に基づいて、照明ユニット11、12、・・・、1Nの照明装置1aの発光態様を制御する(ステップST8)。言い換えると、情報処理装置100は、照明制御部140によって、複数の照明装置1aのうち人物S1の位置に応じた照明装置1aの発光態様が、当該人物S1の健康状態に応じた発光態様になるように、当該照明装置1aの発光態様を制御する。
【0057】
例えば、情報処理装置100は、特定の人物S1が睡眠状態である場合、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aの明るさを、特定の人物S1が睡眠状態である場合よりも暗くするように、当該照明装置1aの発光態様を制御する。
【0058】
また、例えば、情報処理装置100は、特定の人物S1が睡眠状態である場合、複数の照明装置1aのうち照射範囲が当該特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aの明るさを、特定の人物S1が睡眠状態である場合よりも暗くするように、当該照明装置1aの発光態様を制御する。このように構成されることで、実施の形態2に係る生体検知システム2は、睡眠状態である人物S1の睡眠の質を向上させると共に、照明装置1aによる消費電力を抑制することが可能になる。
【0059】
また、例えば、情報処理装置100は、特定の人物S1が要サポート状態でない場合、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aを点灯させ、特定の人物S1が要サポート状態である場合、複数の照明装置1aのうち当該特定の人物S1の位置から最も近い照明装置1aを点滅させるように、当該照明装置1aの発光態様を制御する。なお、情報処理装置100は、特定の人物S1の健康状態に応じて照明装置1aを点滅させる場合、照明装置1aを点灯させている状態とは異なる発光色で点滅させるように構成されていてもよい。例えば、情報処理装置100は、特定の人物S1の健康状態に応じて照明装置1aを点滅させている状態の発光色が赤色又は黄色、照明装置1aを点灯させている状態の発光色が白色又は白色に近い暖色となるように、照明装置1aを制御するように構成されていてもよい。このように構成されることで、実施の形態2に係る生体検知システム2は、特定の人物S1が要サポート状態であることを周囲に報知することが可能になる。
【0060】
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示に係る情報処理装置は、例えば、居室内にいる人物の位置の推定に利用することができる。
【0062】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0063】
(付記1)
互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定する推定部と、を備えた
ことを特徴とする情報処理装置。
(付記2)
前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、複数の照明装置のうち前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する照明制御部と、を備えた
ことを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
(付記3)
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、前記複数の照明装置のうち照射範囲が前記生体の位置から最も近い照明装置の明るさを、第1状態と前記第1状態とは明るさが異なる第2状態との間で切換えるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする付記1又は2記載の情報処理装置。
(付記4)
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置の時間変化に基づいて、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向前方に位置する照明装置の明るさが、前記複数の照明装置のうち前記生体の移動方向後方に位置する照明装置の明るさよりも大きくなるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記5)
前記推定部は、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報及び前記第2距離情報の変化に基づいて、前記生体のバイタル情報を推定する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記6)
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置と、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報と、に基づいて、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記7)
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報に基づいて前記生体が睡眠中であるか否かを判定し、前記生体が睡眠中であると判定された場合、前記推定部によって推定された前記生体の位置に基づいて、前記複数の照明装置のうち照射範囲が前記生体の位置から最も近い照明装置の明るさが、前記生体が睡眠中でないと判定された場合よりも小さくなるように、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を制御する
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記8)
前記照明制御部は、前記推定部によって推定された前記生体の位置と、前記推定部によって推定された前記生体のバイタル情報と、に基づいて、前記生体の位置に応じた照明装置の発光態様を、点灯状態と点滅状態との間で切換えるように制御する
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記9)
前記情報取得部は、前記第1距離情報及び前記第2距離情報を、電力線通信を介して取得する
ことを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記10)
前記情報取得部は、前記第1距離情報及び前記第2距離情報を、無線通信を介して取得する
ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項記載の情報処理装置。
(付記11)
前記複数の照明装置は、第1照明装置と、第2照明装置と、を含み、
付記1乃至10のいずれか1項記載の情報処理装置と、
前記第1照明装置と、前記第1アンテナと、前記第1アンテナから電磁波を送信させるための信号を生成する第1レーダ装置と、を有する第1照明ユニットと、
前記第2照明装置と、前記第2アンテナと、前記第2アンテナから電磁波を送信させるための信号を生成する第2レーダ装置と、を有する第2照明ユニットと、を備えた
ことを特徴とする生体検知システム。
(付記12)
前記第1レーダ装置及び前記第1照明装置は、前記第1照明ユニットが有する共通の電力供給路を介して電力が供給される
ことを特徴とする付記11記載の生体検知システム。
(付記13)
情報取得部と、推定部と、を備えた装置が行う情報処理方法であって、
前記情報取得部が、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ及び第2アンテナから送信された電磁波の生体による反射波を、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナで受信することによって得られた、前記第1アンテナから前記生体までの距離に関する第1距離情報と、前記第2アンテナから前記生体までの距離に関する第2距離情報と、取得するステップと、
前記推定部が、前記情報取得部によって取得された前記第1距離情報と、前記情報取得部によって取得された前記第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに前記生体の位置を推定するステップと、を備えた
ことを特徴とする情報処理方法。
【符号の説明】
【0064】
1 生体検知システム、1a 照明装置(第1照明装置、第2照明装置)、1b レーダ装置、1c アンテナ(第1アンテナ、第2アンテナ)、1d 同期部、1e 信号処理部、1f 信号出力部(情報出力部)、2 生体検知システム、11 照明ユニット(第1照明ユニット)、12 照明ユニット(第2照明ユニット)、1N 照明ユニット、100 情報処理装置、110 信号取得部(情報取得部)、120 推定部、121 位置推定部、122 合成開口処理部、130 健康状態判定部、140 照明制御部、200 情報処理装置、220 推定部、221 位置推定部、222 バイタル情報推定部、223 合成開口処理部、C1 天井、DB1 データベース、DB1a レーダ位置記憶部、DB1b 時刻情報記憶部、PL1 電力線、R1 居室、S1 人物。
【要約】
情報処理装置(100、200)は、互いに異なる位置に配置された第1アンテナ(1c)及び第2アンテナ(1c)から送信された電磁波の生体(S1)による反射波を、第1アンテナ及び第2アンテナで受信することによって得られた、第1アンテナから生体までの距離に関する第1距離情報と、第2アンテナから生体までの距離に関する第2距離情報と、を取得する情報取得部(110)と、情報取得部によって取得された第1距離情報と、情報取得部によって取得された第2距離情報と、各アンテナの位置情報と、に基づいて観測空間の合成開口画像を再生し、合成開口画像をもとに生体の位置を推定する推定部(120、220)と、を備えた。