(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-02
(45)【発行日】2025-06-10
(54)【発明の名称】透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ、内視鏡装置、及びカテーテル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20250603BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250603BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/00 715
(21)【出願番号】P 2023559781
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2021014448
(87)【国際公開番号】W WO2022220350
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047702
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】(Jigok-dong) 77, Cheongam-ro, Nam-gu, Pohang-si, Gyeongsangbuk-do 37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】キム、 チョル-ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヒュン-ハム
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジョン―ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 ソン―ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェ-ウ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、 ダ―ソム
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ビュル―イ
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-151245(JP,A)
【文献】特開2019-216951(JP,A)
【文献】国際公開第2012/096778(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0034466(KR,A)
【文献】特開2005-224399(JP,A)
【文献】特開昭60-088531(JP,A)
【文献】特開昭57-180948(JP,A)
【文献】特開昭62-043617(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0076119(US,A1)
【文献】特表2011-519281(JP,A)
【文献】特開平07-031617(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145635(WO,A1)
【文献】特開平09-135833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出する光ファイバレーザ部と、
測定しようとする対象物と前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部から放出される光を透過させ、前記光ファイバレーザ部から放出される光と同軸整列され、前記対象物に超音波を放射して反射された超音波を受信する透明超音波センサと、
前記透明超音波センサを介して対象物の画像を獲得するカメラと
、
前記透明超音波センサと前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部からの光の特性を調節する光学レンズと
を含む、透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項2】
事前に設定された物質を吸入するサクション部と、
事前に設定された医療機能を行う複数の鉗子孔と、
ウォーターを噴出する複数のウォーターノズルのうちの少なくとも一つと
をさらに含む、請求項1に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項3】
前記光ファイバレーザ部からの光の経路を事前に設定された角度に変更させる反射板をさらに含む、請求項1に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項4】
前記光学レンズは複数個備えられる、請求項
1に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項5】
前記透明超音波センサは、
光学インピーダンス整合を行って透明な材料からなる整合部と、
前記整合部の後ろに位置し、透明な材料からなる圧電層と、
前記圧電層の後面と前面にそれぞれ位置して、それぞれ透明な導電性物質からなる第1電極層及び第2電極層と、
前記第1電極層に連結されている第1ハウジングと、
前記第2電極層に連結されている第2ハウジングと
を含む、請求項1に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項6】
前記第1ハウジングと前記第
2ハウジングとの間に位置し、透明な絶縁物質からなる絶縁部をさらに含む、請求項
5に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項7】
前記整合部の前に位置し、音響インピーダンス整合を行う保護層をさらに含む、請求項
5に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項8】
前記整合部の後ろに位置しており、前記整合部を通過した光の焦点を調節し、透明な材料からなる補正レンズをさらに含む、請求項
5に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ。
【請求項9】
事前に設定された対象体に挿入されるプローブと、
前記プローブにケーブルを介して光出力を提供し、前記プローブによって獲得した画像を信号処理するフロントエンド部と
を含み、
前記プローブは、
光を放出する光ファイバレーザ部と、
測定しようとする対象物と前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部から放出される光を透過させ、前記光ファイバレーザ部から放出される光と同軸整列され、前記対象物に超音波を放射して反射された超音波を受信する透明超音波センサと、
前記透明超音波センサを介して対象物の画像を獲得するカメラと
、
前記透明超音波センサと前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部からの光の特性を調節する光学レンズと
を含む、透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置。
【請求項10】
前記光学レンズは複数個備えられる、請求項
9に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置。
【請求項11】
前記プローブと前記ケーブルで連結されて前記プローブの動きを制御する操作部をさらに含み、
前記操作部は、
ユーザの操作に応じて前記プローブの動きを制御するノブ部と、
前記プローブに設けられたサクション部のサクション動作を制御するサクションバルブと、
前記プローブに設けられたウォーターノズル機器の動作を制御するエア/ウォーターバルブと、
前記プローブに設けられた鉗子孔を介した医療機器の動作を制御するインスツルメントポートと
を含む、請求項
9に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置。
【請求項12】
前記ケーブルによって前記プローブと連結されて前記プローブのスキャニング動作を制御するスキャニング部をさらに含み、
前記スキャニング部は、
前記プローブを回転させるトルクを提供するモータと、
前記モータのトルクに応じて回転される前記プローブに連結されて回転する前記光ファイバレーザ部と前記フロントエンド部に連結されて固定された光ファイバレーザ部との間の同軸整列を提供する光ファイバ回転関節部と、
前記フロントエンド部に連結されて固定された信号線と前記モータによって回転するプローブ間に連結されて回転する信号線との間の電気的連結を提供するスリップリングと
を含む、請求項
9に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置。
【請求項13】
事前に設定された対象体に挿入されるカテーテルと、
前記カテーテルにケーブルを介して光出力を提供し、前記カテーテルによって獲得した画像を信号処理するフロントエンド部と
を含み、
前記カテーテルは、
前記フロントエンド部からの光を放出する光ファイバレーザ部と、
測定しようとする対象物と前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部から放出される光を透過させ、前記光ファイバレーザ部から放出される光と同軸整列され、前記対象物に超音波を放射して反射された超音波を受信して前記フロントエンド部に伝達する透明超音波センサと
、
前記透明超音波センサと前記光ファイバレーザ部との間に配置され、前記光ファイバレーザ部からの光の特性を調節する光学レンズと
を含む、透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【請求項14】
前記カテーテルは、前記光ファイバレーザ部からの光の経路を事前に設定された角度に変更させる反射板をさらに含む、請求項
13に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【請求項15】
前記光学レンズは複数個備えられる、請求項
13に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【請求項16】
前記透明超音波センサは、
光学インピーダンス整合を行い、透明な材料からなる整合部と、
前記整合部の後ろに位置し、透明な材料からなる圧電層と、
前記圧電層の後面と前面にそれぞれ位置して、それぞれ透明な導電性物質からなる第1電極層及び第2電極層と、
前記第1電極層に連結されている第1ハウジングと、
前記第2電極層に連結されている第2ハウジングと
を含む、請求項
13に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【請求項17】
前記カテーテルと前記ケーブルで連結され、前記カテーテルの動きを制御する操作部をさらに含み、
前記操作部は、
ユーザの操作に応じて前記カテーテルの動きを制御するノブ部と、
前記カテーテルに設けられたサクション部のサクション動作を制御するサクションバルブと、
前記カテーテルに設けられたウォーターノズル機器の動作を制御するエア/ウォーターバルブと、
前記カテーテルに設けられた鉗子孔を介した医療機器の動作を制御するインスツルメントポートと
を含む、請求項
13に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【請求項18】
前記カテーテルと前記ケーブルで連結され、前記カテーテルのスキャニング動作を制御するスキャニング部をさらに含み、
前記スキャニング部は、
前記カテーテルを回転させるトルクを提供するモータと、
前記モータのトルクに応じて回転される前記カテーテルに連結されて回転する光ファイバレーザ部と、前記フロントエンド部に連結されて固定された光ファイバレーザ部との間の同軸整列を提供する光ファイバ回転関節部と、
前記フロントエンド部に連結されて固定された信号線と、前記モータによって回転するカテーテル間に連結されて回転する信号線との間の電気的連結を提供するスリップリングと
を含む、請求項
13に記載の透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ、内視鏡装置、及びカテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサやトランスデューサは、圧電物質の特徴を利用して電気エネルギーを音響エネルギーに変換した後、このエネルギーを対象物である物体に伝達し、反射された音響エネルギーを再び電気的信号に変換する原理で物体との物理的距離測定及び物体の画像獲得を可能にするセンサである。
【0003】
最近では、高精度な感知動作、高解像度の画像及びユーザの便宜のために、光学カメラ、レーザなどの光学機器及び超音波センサが融合された技術が活発に開発されている。
【0004】
特に、医療診断において正確性を向上させることができる利点があり、従来の超音波画像システムと光学画像システムとを組み合わせるか、超音波画像システムと光干渉断層撮影画像システムを組み合わせるか、または超音波画像システムと蛍光画像システムを組み合わせるなどの研究が進められた。
【0005】
しかしながら、従来の超音波センサは不透明であるため、透明な媒質が要求される光学機器との融合が不可能であり、また照射されるレーザと超音波センサを同一軸に配列することが不可能であった。
【0006】
このような軸外配置は、様々な理由で画像を撮影する上で不利な点がある。例えば、システムの整列が不良になるか、複雑度が増加するか、システムの大きさが大きくなるか、信号に対する雑音比(SNR)が低くなるなどの問題があった。
【0007】
このような不透明超音波センサの問題を解決するために、米国特許US8,784,321号では、不透明超音波センサの断面の一部を穿孔して光経路を形成することにより、光経路と超音波経路が同じ軸に位置するようにすることもあった。しかし、この場合にも、超音波センサの断面の一部のみで光が透過することができるため、超音波センサの光不透過性による問題点が十分に解決できなかった。
【0008】
一方、本発明者は、韓国特許出願第10-2020-0039208号(「透明超音波センサ及びその製造方法」)において、ニオブ酸リチウム(LNO:Lithium niobate)基盤の単結晶透明超音波センサ構造及びその製造方法を提示しており、韓国特許出願第10-2020-0110777号(「透明超音波センサ基盤の超音波光学複合画像システム」)において、透明超音波センサを用いた超音波光学複合画像システムを提示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国登録特許公報第8,784,321号
【文献】韓国特許出願第10-2020-0039208号
【文献】韓国特許出願第10-2020-0110777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施例によると、超音波経路と光経路の同軸化を可能にする透明超音波センサを活用してSNRを改善し、機器を小型化することができる透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ、内視鏡装置、及びカテーテル装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した本発明の課題を解決するために、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブは、光を放出する光ファイバレーザ部、測定しようとする対象物と上記光ファイバレーザ部との間に配置され、上記光ファイバレーザ部から放出される光を透過させ、上記光ファイバレーザ部から放出される光と同軸整列され、上記対象物に超音波を放射して反射された超音波を受信する透明超音波センサ、上記透明超音波センサを介して対象物の画像を獲得するカメラを含むことができ、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置は、上述したプローブ、上記プローブとケーブルで連結されて上記プローブのスキャニング動作を制御するスキャニング部;及び上記プローブに上記ケーブルを介して光出力を提供し、上記プローブによって獲得した画像を信号処理するフロントエンド部を含むことができ、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置は、事前に設定された対象体に挿入されるカテーテル、上記カテーテルとケーブルで連結され、上記カテーテルのスキャニング動作を制御するスキャニング部、上記カテーテルに上記ケーブルを介して光出力を提供し、上記プローブによって獲得した画像を信号処理するフロントエンド部を含み、上記カテーテルは、上記フロントエンド部からの光を放出する光ファイバレーザ部、測定しようとする対象物と上記光ファイバレーザ部との間に配置され、上記光ファイバレーザ部から放出される光を透過させ、上記光ファイバレーザ部から放出される光と同軸整列され、上記対象物に超音波を放射し、反射された超音波を受信して上記フロントエンド部に伝達する透明超音波センサを含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施例によると、超音波経路と光経路との同軸化を可能にする透明超音波センサを活用してSNRを改善し、プローブまたはカテーテルを小型化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置の概略的な構成図である。
【
図2】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【
図3a】本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【
図3b】本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【
図3c】本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【
図3d】本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【
図4a】フロントビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図4b】フロントビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図4c】フロントビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図5a】フロントビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図5b】フロントビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図5c】フロントビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6a】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6b】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6c】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6d】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6e】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6f】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6g】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6h】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図6i】サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【
図7a】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された反射板の実施例を示した図面である。
【
図7b】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された反射板の実施例を示した図面である。
【
図7c】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された反射板の実施例を示した図面である。
【
図7d】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された反射板の実施例を示した図面である。
【
図8】本発明の他の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置の概略的な構成図である。
【
図9a】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの正面図である。
【
図9b】本発明の一実施例による透明超音波センサの背面図である。
【
図10】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの概略的な一方向の断面図である。
【
図11】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの概略的な分解斜視図である。
【
図12a】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサにおいて、平凹状の平凹音響レンズが用いられる際の光の経路を例示的に示した例である。
【
図12b】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサにおいて、平凸状の平凸音響レンズが用いられる際の光の経路を例示的に示した例である。
【
図13a】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサにおいて、補正レンズが使用されないときの光の経路を例示的に示した例である。
【
図13b】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサにおいて、補正レンズが使用されたときの光の経路を例示的に示した例である。
【
図14】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置によって獲得した光音響画像の結果を示した図面である。
【
図15】本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置によって獲得した光音響画像の結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように好ましい実施例を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置の概略的な構成図である。
【0016】
図1を参照すると、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置100は、内視鏡プローブまたはカテーテル110、操作部120、及びフロントエンド部130を含むことができる。
【0017】
内視鏡プローブまたはカテーテル110は、事前に設定された対象体に挿入されて撮影しようとする対象物の超音波画像、光音響画像などを獲得することができる。内視鏡プローブまたはカテーテル110は、上述したように、事前に設定された対象体に挿入されて撮影しようとする対象物の超音波画像、光音響画像などを獲得することができるが、例えば、身体の胃、大腸などのような臓器に挿入される内視鏡プローブの場合、外径は5~15mm程度であることができ、心血管、微細血管などの狭い所に挿入されるカテーテルの場合、外径が0.5~1mm程度であることができる。
【0018】
操作部120は、ケーブルを介して連結された内視鏡プローブまたはカテーテル110の動きを制御することができる。操作部120は、ノブ部121、サクションバルブ122、エア/ウォーターバルブ123、及びインスツルメントポート124を含むことができる。
【0019】
ノブ部121は、ユーザの操作に応じて内視鏡プローブまたはカテーテル110の動きを制御することができ、サクションバルブ122は、後述する内視鏡プローブまたはカテーテル110に設けられたサクション部のサクション動作を制御することができ、エア/ウォーターバルブ123は、後述する内視鏡プローブまたはカテーテル110に設けられたウォーターノズル機器の動作を制御することができ、インスツルメントポート124は、後述する内視鏡プローブまたはカテーテル110に設けられた鉗子孔による医療機器の動作を制御することができる。
【0020】
フロントエンド部130は、光ファイバケーブルを介してレーザを提供するレーザソース131と、信号線を介して内視鏡プローブまたはカテーテル110に超音波信号を送信し、反射された超音波信号を受信して信号処理し、獲得した光音響画像などを信号処理してディスプレイする信号処理部132を含むことができる。
【0021】
図2は、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【0022】
図1と共に
図2を参照すると、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ110は、超音波センサ111、光ファイバレーザ部112、及びカメラ113を含むことができる。
【0023】
光ファイバレーザ部112は、フロントエンド部130のレーザソース131からレーザを受け取り、プローブ110の外部に光を放出することができる。光ファイバレーザ部112は、光音響、OCT、NIRF(Near Infra Fluorescence)、NIRS(Near Infra Spectroscopy)、蛍光画像のための様々な波長のレーザ機器になり得る。また、レーザ以外にも、小型カメラ(CCD、CMOSセンサ)、LEDなどになり得る。光ファイバレーザ部112は、1つのみを示したが、限られた大きさ内で複数個配置して複数個の光学画像を同時に獲得することもできる。
【0024】
透明超音波センサ111は、測定しようとする対象体と光ファイバレーザ部112との間に配置され、光ファイバレーザ部112から放出される光と同軸整列され、光ファイバレーザ部112から放出される光を透過させ、信号線を介してフロントエンド部130の信号処理部132に連結されて上記対象物に超音波を放射し、反射された超音波を受信して超音波画像を獲得することができる。カメラ113は、信号線によりフロントエンド部130の信号処理部132に連結されて透明超音波センサ111を介して対象物の画像を獲得し、獲得した画像を信号処理部132に伝達することができる。
【0025】
上述したように、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ110は、光ファイバレーザ部112からの光を透明超音波センサ111の後面に通過させて光と超音波が同じ位置で光学/超音波画像または信号を獲得することができ、機器の体積が減って機器の余分の部分に鉗子孔の個数を増やして様々な手術道具などを追加することができ、超音波/光学が正確に同じ位置情報を共有することができるため、従来の超音波画像及び光学画像間の位置不一致の問題を克服することができる。
【0026】
図3a~
図3dは、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブの概略的な正面斜視図である。
【0027】
図2と共に
図3a~
図3dを参照すると、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ110は、事前に設定された物質を吸入するサクション部114、鉗子孔115及びウォーターを噴出するウォーターノズル機器116をさらに含むことができる。上述したように、機器の体積が減って機器の余分の部分に鉗子孔の個数を増やして、切開、縫合などの事前に設定された医療機能を行う複数の鉗子孔115を備えることができる。
【0028】
まず、
図3aを参照すると、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブ110は、透明超音波センサ111を介して対象物の超音波画像(a)を獲得することができ、
図3bを参照すると、カメラ113を介して対象物の画像(b)を獲得することができ、
図3cを参照すると、光ファイバレーザ部112と透明超音波センサ111を用いて光音響画像(a、c)を獲得することができ、
図3dを参照すると、光ファイバレーザ部112を単独で用いて蛍光画像(d)を獲得することができる。
【0029】
なお、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置100に採用されたカテーテルは、上述した内視鏡プローブからカメラを除いた構成以外の動作及び構成が類似するため、詳細な説明は省略する。
【0030】
本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、フロントビューイング(front viewing)タイプまたはサイドビューイング(side viewing)タイプであることができる。
【0031】
後述する図面に示された透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110において、透明超音波センサは超音波信号をフォーカシングまたは放射することができる。
【0032】
図4a~
図4cは、フロントビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【0033】
図4aを参照すると、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、端から正面に超音波aを送受信する透明超音波センサ111の後面に光ファイバレーザ部112が位置して、透明超音波センサ111を介して光cを放出することができる。
【0034】
図4bを参照すると、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、透明超音波センサ111と光ファイバレーザ部112との間に光学レンズ117を配置して光ファイバレーザ部112からの光cをフォーカシングすることができる。光学レンズ117は、GRINレンズ、ballレンズ、convexレンズなど多様であることができる。
【0035】
図4cを参照すると、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、透明超音波センサ111と光ファイバレーザ部112との間に複数の光学レンズ117を配置して光ファイバレーザ部112からの光cを広げる角度及び距離を調節することができる。このときの光学レンズ117は、光を広げることができる全てのレンズまたはディフューザなどが該当されることができる。
【0036】
一方、本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、反射板をさらに含むことができる。
【0037】
図5a~
図5cは、フロントビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【0038】
図5a~
図5cを参照すると、フロントビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、反射板118をさらに含み、透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110の側面に超音波を送受信することができ、光を放出することができる。同様に、カメラ(図示せず)が含まれる場合、対象物の画像を獲得することができる。反射板118は、透明超音波センサ111の前端に配置され、透明超音波センサ111の超音波と光ファイバレーザ部112からの光の角度を変更させることができる。
【0039】
図6a~
図6iは、サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルに反射板が追加された本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテルの概略的な構成図である。
【0040】
図6a~
図6iを参照すると、サイドビューイングタイプの本発明の様々な実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡プローブまたはカテーテル110は、超音波aを送受信する透明超音波センサ111の後面に光ファイバレーザ部112が位置して、透明超音波センサ111を介して光cを放出することができ、透明超音波センサ111と光ファイバレーザ部112との間に光ファイバレーザ部112からの光の角度を変更させることができる反射板118を含むことができる。さらに、反射板118と光ファイバレーザ部112との間に光学レンズ117を配置して光ファイバレーザ部112からの光cをフォーカシングするか、複数の光学レンズ117を配置して光ファイバレーザ部112からの光cを広げる角度及び距離を調節することができる。
【0041】
図7a~
図7dは、それぞれの本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された反射板の実施例を示した図面である。
【0042】
図7a~
図7dを参照すると、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置には、様々な形態の反射板が用いられることができる。反射板の例示としては、反射鏡、プリズム、ビームスプリッタ、ダイクロイック鏡などが代表的であり、光または超音波を反射させることができるあらゆる形態の反射板を含むことができる。
【0043】
図8は、本発明の他の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置の概略的な構成図である。
【0044】
図8を参照すると、本発明の他の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置200は、サイドビューイングタイププローブまたはカテーテルである場合、内視鏡プローブまたはカテーテル210、スキャニング部220及びフロントエンド部230を含むことができる。
【0045】
内視鏡プローブまたはカテーテル210は、事前に設定された対象体に挿入され、撮影しようとする対象物の超音波画像、光音響画像などを獲得することができる。
【0046】
スキャニング部220は、ケーブルを介して連結された内視鏡プローブまたはカテーテル210のスキャニングを制御することができる。すなわち、スキャニング部220は、内視鏡プローブまたはカテーテル210を360度回転させて対象物の超音波画像、光音響画像などを獲得するスキャニング動作を制御することができる。
【0047】
スキャニング部220は、モータ221、光ファイバ回転関節部222、及びスリップリング(slipring)223を含むことができる。
【0048】
モータ221は、内視鏡プローブまたはカテーテル210を回転させるトルクを提供することができる。光ファイバ回転関節部222は、モータ221のトルクに応じて回転される内視鏡プローブまたはカテーテル210に連結されて回転する光ファイバケーブル(fiber b)とフロントエンド部230に連結されて固定された光ファイバケーブル(fiber a)との間の同軸整列を提供することができる。固定された光ファイバケーブル(fiber a)とモータによって回転する光ファイバケーブル(fiber b)との間は、約数μm離隔しており、点線のように固定された光ファイバケーブル(fiber a)から回転する光ファイバケーブル(fiber b)にレーザが伝達されることができ、光ファイバ回転関節部222は、モータ221のトルクに応じて回転される内視鏡プローブまたはカテーテル210に連結されて回転する光ファイバケーブル(fiber b)とフロントエンド部230に連結されて固定された光ファイバケーブル(fiber a)との間に同軸整列を提供して、点線のように固定された光ファイバケーブル(fiber a)から回転する光ファイバケーブル(fiber b)にレーザが伝達されるようにすることができる。スリップリング223は、フロントエンド部230に連結されて固定された信号線(line b)とモータ221によって回転する内視鏡プローブまたはカテーテル110に連結されて回転する信号線(line b)との間の電気的連結を提供することができる。
【0049】
フロントエンド部230は、光ファイバケーブル(fiber a)を介してレーザを提供するレーザソース231と、信号線(line a)を介して内視鏡プローブまたはカテーテル210に超音波信号を送信し、反射された超音波信号を受信して信号処理し、獲得した光音響画像などを信号処理してディスプレイする信号処理部232を含むことができる。
【0050】
図9aは、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの正面図であり、
図9bは、本発明の一実施例による透明超音波センサの背面図であり、
図10は、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの概略的な一方向の断面図であり、
図11は、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合内視鏡装置またはカテーテル装置に採用された透明超音波センサの概略的な分解斜視図である。
【0051】
図9a及び
図9bに示したように、本発明の一実施例による透明超音波センサ111は、円形の平面形状を有する円形形態を有するが、これに限定されない。
【0052】
図9a、
図9b及び
図10を参照すると、本発明の一実施例による透明超音波センサ111は、右側から保護層111-1、保護層111-1の後ろに位置する音響レンズを有する整合部111-3、整合部111-3の後ろに位置する圧電部111-5、圧電部111-5と連結されている第1及び第2ハウジング111-7a、111-7b、圧電部111-5の後ろに位置する後面層111-6、第1及び第2ハウジング111-7a、111-7bの間に位置する絶縁部111-8、そして第2ハウジング111-7bの後ろに位置する補正レンズ部111-9を備えることができる。
【0053】
保護層111-1は、透明超音波センサ111を物理的及び電気的に保護し、超音波信号を照射しようとする媒質、すなわち対象物との音響インピーダンス(acoustic impedance)の差を減らすためのものである。したがって、保護層111-1は、保護機能を備えており、液体(例えば、水)と生体との間の音響インピーダンス整合を実施する整合層として動作することができる。
【0054】
このような保護層111-1は透明な物質からなることができる。一例として、保護層111-1は透明なポリマー(polymer)であるパリレン(parylene)を含有することができる。
【0055】
本例において、保護層111-1の音響インピーダンスは、約284Mraylsであることができる。
【0056】
このような保護層111-1は、
図10及び
図11に示したように、圧電部111-5の前面及び側面、そして透明超音波センサ111の最端に位置している第2ハウジング111-7bの側面に配置することができる。
【0057】
よって、保護層111-1は結果的に、透明超音波センサ111の前面及び側面を構成することができる。
【0058】
保護層111-1の後ろに位置する整合部111-3は、圧電部111-5で発生される超音波信号を照射しようとする媒質、すなわち、対象物との音響インピーダンス(acoustic impedance)の差を減らすためのものである。
【0059】
すなわち、圧電部111-5の動作によって超音波信号が生成されるときに、空気ではなく水、生体組織または他の媒質内での効率的な超音波信号の伝達のためには、該当媒質の音響インピーダンスを最大限調整してこそ、超音波エネルギーの損失を最小限に抑えることができる。
【0060】
本例の整合部111-3の各音響レンズは、光及び超音波信号の焦点調節が可能な音響レンズを用いたフォーカシングタイプ(focused type)であることができる。
【0061】
このように、整合部111-3が焦点調節機能を備えているため、対象物によって反射されて透明超音波センサ111に入射される超音波信号は、正確に圧電部111-5の所望の位置で結ばれるようになる。
【0062】
したがって、このような整合部111-3の焦点調節機能によって、圧電部111-5から出力される超音波信号によって獲得される超音波画像の焦点調節が行われて鮮明な超音波画像が獲得されることができる。
【0063】
これにより、透明超音波センサ111の動作によって獲得される画像の鮮明度が向上して、超音波信号が照射された対象物の所望の部位に対する鮮明な画像獲得が行われることができる。
【0064】
また、整合部111-3が音響レンズを用いるため、表面の曲率が一定であり、表面の透明度が向上して対象物に照射されるか、対象物から反射される超音波信号の送受信時の超音波信号の損失量を減少させることができる。
【0065】
また、必要に応じて整合部111-3に追加的な透過膜や遮断膜を形成して所望の波長帯の信号のみを透過または遮断することができる。
【0066】
整合部111-3に設けられた音響レンズは、透明なガラス類、透明なエポキシ類及び透明なシリコン類の少なくとも一つからなることができる。
【0067】
このような音響レンズは、音響レンズの機能に応じて選択されることができる。
【0068】
例えば、音響レンズが音響インピーダンスの整合機能を実施する整合層として機能する場合、圧電部111-5に備えられている圧電物質がPVDFやPVDF-TrFEなどのポリマー(polymer)形状ではない場合には、音響レンズはガラス類で作られることがより好ましい。
【0069】
すなわち、圧電物質がLNO(lithium niobite)やPMN-PTからなる場合、音響インピーダンスが30~40Mraylsと高いが、ガラス類の場合には10~15Mraylsと低くて音響インピーダンスの整合に容易な音響インピーダンス数値を有しており、また、透明度が非常に良く、圧電物質がポリマー形状ではない場合には、音響レンズをガラス類で製作することができる。
【0070】
しかしながら、音響インピーダンスの整合機能を行う整合層が既に製作されている場合、音響レンズは透明なエポキシ類や透明なシリコン類で製作されることができる。
【0071】
すなわち、約30~40Mraylsの音響インピーダンスを有する圧電物質と約1~2Mraylsの音響インピーダンスを有する生体組織や水(すなわち、超音波を照射しようとする媒質)の間で整合機能を行う整合層(約7~20Mrayls)が既に存在すると、別途の音響インピーダンス整合動作が不要であるため、生体組織や水と類似した音響インピーダンスを有するエポキシ類やシリコン類(約1~3Mrayls)が適切である。すなわち、エポキシ類及びシリコン類の音響インピーダンスは、生体組織や水とほぼ類似した音響インピーダンスを有しているため、別途の音響インピーダンス整合が不要である。
【0072】
また、音速(speed of sound)及び音響レンズの材料に対する音速を考慮して、音響レンズの曲面に対する曲率と凹面または凸面であるかを決定することができる。
【0073】
例えば、音響レンズをガラス類で製作する場合、光学レンズを用いることができる。このとき、ガラス類は水よりも光束が速くて、平凹状(plano-concave)のような凹状に音響レンズが設計されることができる(
図12a参照)。
【0074】
音響レンズが透明なエポキシ類で製作される場合、1次的に製作された音響レンズに研磨工程を行って、最大限透明度を向上させて、最終的に音響レンズを完成する必要がある。このように、音響レンズがエポキシ類からなる場合にも、エポキシ類が水よりも光束が速くて音響レンズも平凹状に製作されることができる。
【0075】
音響レンズが透明なシリコン類で製作される場合にも、エポキシ類の場合のように、別途の研磨工程を行って完成された音響レンズを最大限に向上させる必要がある。この場合、シリコン類は水よりも光速が遅いため、ガラス類やエポキシ類の場合とは異なって音響レンズは平凸状(plano-convex)のような凸状に製作されることができる(
図12b参照)。このように、音響レンズが平凸状に製作される場合に、音響レンズは光を集める機能を有することができる。
【0076】
圧電部111-5は、
図10及び
図11に示されたように、圧電層111-5a、圧電層111-5aの後面及び前面にそれぞれ位置する第1及び第2電極層111-5b、111-5cを備えることができる。
【0077】
圧電層111-5aは、圧電効果及び逆圧電効果が発生する層であり、既に記述したように、LNO(lithium niobite)、PMN-PT、PVDF及びPVDF-TrFEの少なくとも一つである圧電物質を含有することができる。
【0078】
LNOの電気機械結合係数(electromechanical coupling coefficient)は約0.49と非常に高くて、その分、電気-機械エネルギー変換効率が非常に良い。
【0079】
また、LNOは誘電率(dielectric permittivity)が低くて、圧電層111-5aがLNOからなる場合、大きな開口部を有する単一素子トランスデューサ(large aperture single element transducer)に透明超音波センサの使用が適合であることができる。
【0080】
また、LNOはキュリ温度(Curie temperature)が高くて、高温でもよく耐えることができ、耐熱性が良好な透明超音波センサ111の開発が行われることができる。
【0081】
これに加えて、圧電層111-5aをLNOで形成する場合、10~400MHzの中心周波数を有する単一素子超音波センサの開発も容易に行われることができる。
【0082】
圧電層111-5aがPMN-PTを含有する場合、PMN-PTの圧電性能(piezoelectric performance)(d33~1500-2800pC/N)及び電気機械結合係数(k>09)が非常に高いため、透明超音波センサ111の性能が向上し得る。
【0083】
このようなPMN-PTはLNOとは異なり、誘電率が高くて小さな口径の単一またはアレイ超音波トランスデューサ(small aperture single or array ultrasound transducer)に適した透明超音波センサ111の開発が行われることができる。
【0084】
また、圧電層111-5aがPVDF及びPVDF-TrFEの少なくとも一つを含有する場合、以下のような特徴を有することができる。
【0085】
PVDF及びPVDF-TrFEは、ポリマー膜(Polymer film)形態を有しており、可撓性(flexible)を有し、伸張可能な(stretchable)圧電層111-5aの製作が可能であることができ、これによって圧電層111-5aの厚さを減少させることができ、薄くなった厚さの分だけ約100MHz帯の高い周波数帯域の信号のための透明超音波センサ111に製作することができる。
【0086】
また、PVDF及びPVDF-TrFEは、比較的低い電気機械結合係数及び高い受信定数(receiving constant)を有しており、他の圧電物質に比べて広い帯域幅を有しており、単一素子やアレイ形態の素子の全ての製作が容易である。
【0087】
ここで、単一素子(例えば、単一の超音波トランスデューサ)は、圧電物質を含む全ての構成の個数が1つである超音波トランスデューサを意味することができる。また、アレイ状の素子(例えば、アレイ超音波トランスデューサ)は、圧電物質を含む全ての構成の個数が複数個(n個)である超音波トランスデューサであることができ、一般的に病院で主に使用される形態で構成されることができる。このとき、形状はリニア(linear)形状、凸(convex)形状、2Dマトリックス(matrix)などであることができる。
【0088】
本例の場合、PMN-PTと類似に小さい口径の単一またはアレイ超音波トランスデューサの全ての製作が可能であることができる。
【0089】
これらの圧電層111-5aの物質特徴は、次の表のように要約することができる。
【0090】
【0091】
圧電層111-5aの前面及び後面にそれぞれ位置する第1及び第2電極層111-5b、111-5cは、図示しない駆動信号の発生器から(+)駆動信号及び(-)駆動信号をそれぞれ受信して圧電層111-5aに逆圧電効果を発揮して、超音波信号が対象物200側に伝達されるようにし、逆に、対象物によって反射されて受信される超音波信号による圧電層111-5aの圧電効果によって生成される電気信号を受信して外部に出力することができるようにする。
【0092】
このような第1及び第2電極層111-5b、111-5cは、既に記述したように透明な導電性物質からなることができ、例えば、AgNW(銀ナノワイヤ)、ITO、炭素ナノチューブ及びグラフェン(graphene)の少なくとも1つを含有することができる。
【0093】
図10に示したように、第1ハウジング111-7aと第2ハウジング111-7bの容易な結合のために、第1電極層111-5bの大きさと第2電極層111-5cの大きさは、互いに相違することができる。
【0094】
したがって、
図10に示したように、円形の平面形状を有する第1及び第2電極層111-5b、111-5cにおいて、第2電極層111-5cの直径は第1電極層111-5bの直径と相違して、第2電極層111-5cの一部(例えば、端部)は、第1電極層111-5bの端部から外部に導出されることができる。
【0095】
圧電物質に電気的信号(例えば、パルス信号)を加えると、圧電物質(すなわち、圧電層111-5a)が前後に振動して超音波信号を発生するが、対象物に向かっている圧電層111-5aの前面だけでなく、その反対である後面でも超音波信号が発生する。
【0096】
このとき、後面に発生した超音波信号は対象物に向かわないため、このように後面で発生する超音波信号は、ノイズ信号として作用するようになる。
【0097】
また、対象物によって反射されて戻ってくる超音波信号の一部は、整合部111-5を通過して補正レンズ部111-9の側に出力されることができる。
【0098】
したがって、後面層111-6は、圧電部111-5の後面に位置して、圧電部111-5の後面で発生する超音波信号を減衰させ、対象体によって反射される超音波信号を減衰する役割を果たすことができる。
【0099】
このように、後面層111-6が圧電部111-5の後面(すなわち、反射される超音波信号が入射される圧電部111-5の前面の反対側に位置した面)に位置するため、入射される超音波信号は、圧電部111-5の後面を通過しなくなる。
【0100】
これにより、圧電部111-5の後面を通過する超音波信号による不要な信号干渉を防止し、圧電部111-5に反射される超音波信号の損失を防止してリングダウン信号(ring down signal)を減少させてリングダウン現象を減らすことができる。
【0101】
リングダウンとは、不要な信号が時間軸に長く延びている現象であり、画像生成に悪影響を及ぼす要因である。
【0102】
したがって、後面層111-6は、このようなリングダウン現象を減らすために音響インピーダンスと厚さの少なくとも一つを調整して適切な後面層111-6を製作することができる。
【0103】
高い音響インピーダンスを有する物質で後面層111-6を製作すると、リングダウン現象が減少し、時間軸でリングダウン現象が少なくなるということは、周波数領域で帯域幅が広くなるという意味と類似する。しかし、その代わりに、超音波信号を送受信する際に全体の超音波信号の大きさも、後面層111-6によって減衰することがある。
【0104】
逆に、比較的低い音響インピーダンスを有する物質で後面層111-6を製造すると、リングダウン現象を大きく減少せずに帯域幅が減少するが、超音波信号の送受信量を増加させることができる。
【0105】
後面層111-6も透明な非導電性物質からなることができ、例えば、透明なエポキシ類(例えば、Epotek301)や透明なガラス類からなることができる。
【0106】
後面層111-6がEpotek301からなる場合、音響インピーダンスが31Mraylsと低い音響インピーダンスを有する場合、低い信号減衰(damping)が行われて、透明超音波センサ111は比較的高い信号獲得が可能となる。
【0107】
また、Epotek301は、380nm~2000nm波長で約95%以上の透明度を有しているように非常に高い透明度を有しており、常温で硬化が行われるため、後面層111-6の製造が容易である。
【0108】
後面層111-6がガラスからなる場合、透明度と平坦度が高くて別途の硬化工程が不要である。
【0109】
ガラスが約13Mraylsの音響インピーダンスを有する場合、後面層111-6で高い信号減衰作用によってパルス長さ(pulse length)が短くなって、リングダウン効果が減少するが、透明超音波センサ111の周波数の帯域幅を増加させる効果が発揮できる。
【0110】
このような後面層111-6は、必要に応じて省略することができる。
【0111】
第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bは、既に説明したように、それぞれ第1電極層111-5b及び第2電極層111-5cに連結されている。したがって、このような第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bは、電気信号の伝達が行われる導電性物質(例えば、銅)を含有した透明な導電性物質からなることができる。
【0112】
したがって、第1ハウジング111-7aは、
図3に示したように、第1信号線L1により該当信号を受信して第1電極層111-5bに伝達し、逆に第1電極層111-5bから印加される信号を第1信号線L1に出力することができる。
【0113】
第2ハウジング111-7bも第1信号線L1とは別の信号線である第2信号線L2により該当信号を受信して第2電極層111-5cに伝達し、逆に第2電極層111-5cから印加される信号を第2信号線L2に出力することができる。
【0114】
本例において、第1信号線L1に入力される信号はパルス信号であることができ、第2信号線L2に流入される信号が接地信号やシールド信号(-)であることができるため、第1ハウジング111-7aはパルス信号を第1電極層111-5bに伝達し、第2ハウジング111-7bは接地信号を第2電極層111-5cに伝達することができる。
【0115】
このような第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bは、
図4に示したようにリング(ring)状を有しており、それぞれ接している該当電極層111-5b、111-5cの端部、すなわち、円形の側面と接するように位置することができる。
【0116】
すなわち、第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bの内部に位置した空隙に第1電極層111-5b及び第2電極層111-5cが挿入されて装着されることができる。
【0117】
したがって、
図9に示したように、第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bは、透明超音波センサ111が実際のアクティブ領域AR1の周りを囲まれるように位置し、第1及び第2ハウジング111-7a、111-7b、実質的には第1ハウジング111-7aによるアクティブ領域AR1の減少を最小限に抑えることができる。
【0118】
このように、第1ハウジング111-7a及び第2ハウジング111-7bは、電気信号を該当電極層111-5b、111-5cに伝達する役割を果たすため、導電性が良好な物質を含有することができる。
【0119】
第1ハウジング111-7aは、光の受信が行われる圧電層111-5aの後面全体に位置している第1電極層111-5aの端部(すなわち、縁部)に位置するため、最大限薄い幅W11を有することがよく、配線抵抗などによる信号の損失率を最小化するために、最大限厚い厚さを有することができる。
【0120】
第2ハウジング111-7bは、
図9及び
図10に示したように、第1電極層111-5bよりも大きい直径を有する第2電極層111-5cと結合されるため、第1ハウジング111-7aより大きい直径を有している。
【0121】
また、第2ハウジング111-7bは、第1ハウジング111-7aより外側に位置して透明超音波センサ111を保護する役割を果たすため、第1ハウジング111-7aの幅と厚さよりも大きい幅と厚さを有することができる。
【0122】
したがって、
図10に示したように、第2ハウジング111-7b内に第1電極層111-5b及び第1ハウジング111-7aが位置することができる。
【0123】
また、既に記述したように、外部に露出される第2ハウジング111-7bの外側面は保護層111-1で覆われているため、ノイズ信号が第2ハウジング111-7bを介して透明超音波センサ111に流入されないようにする。
【0124】
図10及び
図11に示したように、第2ハウジング111-7bは圧電層111-5aの光受信面積に影響を及ぼさないため、大きさは必要に応じて増加させることができる。
【0125】
また、第2ハウジング111-7bにねじ線111-7b1やコネクタなどを形成して第2ハウジング111-7bに所望の光学部品を結合することができる。この場合、第2ハウジング111-7bは他の部品との結合のための結合部として機能することができる。
【0126】
絶縁部111-8は、それぞれに該当する電気信号を該当電極層111-5b、111-5cに伝達する第1ハウジング111-7aと第2ハウジング111-7bとの間に該当ハウジング111-7a、111-7bと接して位置して、第1ハウジング111-7aと第2ハウジング111-7bを絶縁して電気的な合線やショート(short)を防止することができるようにし、第1ハウジング111-7aと第2ハウジング111-7bの位置を固定する役割を果たすことができる。
【0127】
このような絶縁部111-8は、非導電性エポキシのように透明な絶縁物質からなることができる。整合部111-3が一例として、平凹状(plano-concave)の音響レンズを用いる場合、対象体から反射して入射される光と超音波信号は整合部111-3の音響レンズによって焦点が調節されるが、整合部111-3を通過した後には、光漏れ現象が発生することがある(
図13a参照)。
【0128】
したがって、整合部111-3に用いられた音響レンズの形状とは反対である平凸状(plano-convex)の補正レンズ部111-9を後面層111-7の前に位置させ、このような光の屈折現象を補償して光漏れ現象を防止することができる(
図13b参照)。
【0129】
このとき、補正レンズ部111-9の曲率は、最終的に光をどの位置に位置させるかに応じて選択的に用いることができる。
【0130】
このように、補正レンズ部111-9は超音波信号の焦点に関係なく光の焦点にのみ影響するが、整合部111-3の音響レンズは超音波信号の焦点と光の焦点の全てに影響を及ぼすことがある。
【0131】
このような補正レンズ部111-9は必要に応じて省略でき、また、補正レンズ部111-9を変更して光の焦点距離を調整することもできる。
【0132】
また、補正レンズ部111-9は、反射して受信される超音波信号の焦点と光の焦点を同時に調節する共焦点機能を有することができる。しかしながら、補正レンズ部111-9が共焦点機能を備える場合、透明超音波センサ111を通過する前の光の形態を考慮して補正レンズ部111-9を設計する必要がある。
【0133】
本例において、補正レンズ部111-9は、1枚のレンズを備えるが、これに限定されず、平凸レンズなどの1枚のレンズ以外にも収差補正のためのレンズをさらに備えて、複数枚のレンズを備えることができる。
【0134】
このような構造を有し、透明超音波センサ111のアクティブ領域AR1に位置する全ての構成要素(例えば、111-1~111-6、111-9)が光の透過が行われる透明な材料からなる本例の透明超音波センサ111の特徴は、以下のとおりであることができる。
【0135】
まず、整合部111-3の動作によって光学インピーダンス整合、すなわち整合が行われるため、透明超音波センサ111から出力される信号の信頼性が向上し得る。
【0136】
また、整合部111-3に用いられた焦点調節機能を備えた音響レンズの使用により、対象物によって反射される光と超音波信号の焦点調節が行われて、圧電部111-5の所望の位置で正確に光と超音波信号が結ばれるようにすることができる。これにより、透明超音波センサ111から出力される信号によって獲得される超音波画像の鮮明度が大幅に向上して、該当対象物の存在有無だけでなく、感知された対象物の正確な形状も把握することができる。
【0137】
また、既に記述したように、透明超音波センサ111をなす構成要素(例えば、11-16、19)が透明なガラス類、透明なエポキシ類、透明なシリコン類などのように全て透明な物質からなっており、光ファイバレーザ部112から出力される光は、すぐ透明超音波センサ111を通過して該当対象物側に照射されることができる。
【0138】
これにより、透明超音波センサ111を備えた光学システムの配置が自由であり、光学システムが設置される空間の活用度が向上し得る。
【0139】
また、使用者の必要に応じて補正レンズ部111-9を選択的に用いることができ、補正レンズ部111-9を変更して光の焦点距離を調節することができる。
【0140】
また、音響レンズとして400~1000nm用のコーティングを行った平凹状の光学レンズが用いられる場合、400~1000nmで光の透過が良好であって、超音波画像の鮮明度が向上し得る。
【0141】
平凹状の光学レンズを音響レンズ111-3として用いる場合、音響レンズによる光漏れ現象は発生するが、補正レンズ部111-9による光漏れ現象が補完されて所望の地点に光の焦点を調整することができる。このように、補償レンズの使用によって音響レンズの選択の幅が広くなることができる。
【0142】
このような音響レンズ111-3と補正レンズ部111-9による焦点調節によって光の形状(shape)が維持され、これにより、微細なフォーカスが維持されることができ、高解像度の光学画像(例えば、光音響画像や光干渉断層撮影画像)を獲得することができる。
【0143】
また、透明超音波センサ111のハウジングを構成する第1及び第2ハウジング111-7a、111-7bにそれぞれ第1及び第2信号線L1、L2を連結して透明超音波センサ111の第1及び第2電極111-5b、111-5cとしての電気信号を印加するため、信号線L1、L2の連結を容易に行うことができる。
【0144】
さらに、外側ハウジングである第2ハウジング111-7bにねじ線111-7b1などを形成して他の光学素子との連結や結合を容易にすることができる。このように、光学モジュール100から出射される光の経路と全く関係のない部分に位置している第2ハウジング111-7bに必要な光学素子の結合がなされるため、光は正常的に損失なく透明超音波センサ111の圧電部111-5に入射され、また透明超音波センサ111の中心を法線方向に通過するため、光と超音波信号との整列が容易に行われることができる。
【0145】
ここで、垂直の意味は、光が透明超音波センサ(例えば、透明超音波トランスデューサ)の入射面と垂直をなす方向に直進するという意味であることができる。
【0146】
このように、垂直に光を超音波センサに入射させる場合、光と超音波信号の焦点位置が正確に一致することができ、透明超音波センサから得られる画像の鮮明度はさらに向上し得る。
【0147】
既に記述したように、空気と媒質との間の音響インピーダンスの違いによる媒質内での超音波エネルギー損失を最小限に抑えるための整合層が存在することができる。
【0148】
このような整合層は1つ以上であることができる。
【0149】
比較例において、このような整合層の形成を以下のようにすることができる。
【0150】
超音波信号の媒質が水や生体組織(15Mrayls)であるとき、圧電層がLNO(345Mrayls)またはPMN-PT(371Mrayls)の場合、超音波エネルギーの最大送受信の効率のために音響インピーダンス整合が必要である。この場合、371Mraylsから15Mraylsの間となる物質の1つ以上が整合層である必要がある。
【0151】
このとき、KLM simulation tool(PiezoCAD、PZFLEXなど)を用いて特定の整合層を生成したとき、水や生体組織から伝達される超音波信号の波形をシミュレーションによって確認し、適切な整合層の物質を見つける必要があり、生成された整合層の厚さも超音波波形の影響を及ぼすため、厚さも波形に大きく影響するため、整合層の厚さを調節して適切な厚さを見つける必要がある。理論的に波動エネルギーの最小損失の厚さは、波動方程式によって所望のλ/4の厚さで最小損失になる(c=λ*f、c:音速、約1480m/s、λ:波長、f:所望の中心周波数)。
【0152】
通常的な超音波センサでは、シルバーパウダー(silver powder)とエポキシ(epoxy)との混合物(79Mrayls)で一番目の整合層をよく生成する。このとき、シルバーパウダーとエポキシの混合比率に応じて音響インピーダンスの調節が可能であり、一例として、シルバーパウダー:エポキシ=3:125であることができる。
【0153】
次に、パリレン(28Mrayls)コーティングによって二番目の整合層を生成することができる。
【0154】
圧電層がPVDFまたはPVDF-TrFEである場合(約4Mrayls)、パリレンコーティングのみを用いて1つの整合層を生成することができる。ここで、パリレンコーティングにより形成された整合層は、整合層の役割だけでなく、外部からの保護及び絶縁の役割も果たすことができる。
【0155】
しかし、本例による透明超音波センサ111の場合には、アクティブ領域AR1に位置する構成要素(例えば、11-16、19)が透明であるため、圧電層を構成するLNOやPMN-PTの場合、ガラスを用いて整合層111-3を生成することができる。この時、ガラスの原材料(例えば、borosilicate glass=13Mrayls、Crown glass=142Mrayls、Quartz=145Mrayls、plate glass=107Mrayls、sodalime glass=13Mrayls)によって少しずつ異なるため、所望のガラスを適切に選択して用いることができる。
【0156】
次いで、二番目の整合層(例えば、2~6Mralys)としては、透明なエポキシ類やシリコン類(例えば、PDMS)を用いて生成することができ、三番目の整合層としては、パリレンコーティングを用いて生成することができる。このとき、二番目の整合層の生成は省略し、すぐにパリレンコーティングを用いて一番目の整合層(例えば、13)上に二番目の整合層(例えば、11)を形成することができる。この場合にも、KLMシミュレーションによる結果シミュレーション波形を用いて所望の整合層の生成を行うことができる。
【0157】
本例による透明超音波センサ111においては、一例としてborosilicateで製作された工学レンズを一番目の整合層として使用し、パリレンコーティングを介して一番目の整合層上に二番目の整合層を形成して、音響インピーダンス整合と外部から保護及び信号絶縁を行った。
【0158】
既に記述したように、この光学レンズは、音響インピーダンス整合の機能だけでなく、圧電層で発生された超音波信号を集束、すなわち、フォーカシングする役割も果たすことができる。
【0159】
透明超音波センサ111は、主に画像獲得用途として用いられたため、超音波信号の集束は、高い解像度及び高い敏感度(sensitivity)に大きな影響を与える要因である。
【0160】
図14及び
図15は、本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置によって得られた光音響画像の結果を示した図面である。
【0161】
図14を参照すると、4.0mm孔に髪の毛を付着し、4.0mm孔に本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置のカテーテルを挿入して光音響画像獲得が可能であるかを実験した。図示したように、カテーテルを前後に動かして回転させながら獲得した3Dデータを断面画像、X-Y平面(plane)、X-Z平面などで表現したものである。髪の毛で測定した側面解像度は282μmと確認された。
【0162】
図15を参照すると、4.5mm孔にリーフスケルトン(leaf skeleton)ファントムを巻いて付着し、4.0mm孔に本発明の一実施例による透明超音波センサ基盤の光学-超音波融合カテーテル装置のカテーテルを挿入して光音響画像獲得が可能であるかを実験した。図示したように、カテーテルを前後に動かして回転させながら獲得した3DデータをX-Z平面、Y-Z平面、X-Y平面などで表現したものである。
【0163】
従来の不透明超音波センサを用いた超音波-光音響内視鏡及び血管内カテーテルは、限られた空間内で光ファイバ及び超音波センサの全てを位置させることが非常に困難であるだけでなく、レーザ視野と超音波視野を同時に一致させることが非常に困難である。また、血管内疾病に対する正確な診断のためにOCT、蛍光、赤外線など様々な方法も用いられることができるが(各システムで観察されるものが異なる)、制限的な大きさでシステムを開発することが非常に困難である。上述のように、本発明による透明超音波センサを用いると、限られた空間を最大限活用することができ、様々な光学モジュールを組み合わせるにも容易である。また、従来の超音波センサを用いる場合、光経路上に存在する光学系の使用に制限がある場合があるが、透明超音波センサを用いると、どの位置においても光学系を用いることが容易である。さらに、透明超音波センサは、様々な一般光学画像装備とも組み合わせて総合的な情報を提供することができる。特に、内視鏡やカテーテルは、すでに超音波及び光学画像(光音響/OCT/蛍光/NIRS/NIRF画像など)を結合する研究が多く行われている。しかし、体内管や血管などに直接画像機器を挿入する必要があるため、その大きさが非常に制限される。透明超音波センサと光学画像装備との結合は、大きさを最小化するのに最適である。
【0164】
以上で説明した本発明は、上述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、後述する特許請求の範囲によって限定され、本発明の構成は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内でその構成を多様に変更及び訂正することができることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者には自明である。