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特許7690626吻合を補助するために別個のポケット内にバイオ接着剤を有する腹腔鏡ステープラ
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  • 特許-吻合を補助するために別個のポケット内にバイオ接着剤を有する腹腔鏡ステープラ 図1
  • 特許-吻合を補助するために別個のポケット内にバイオ接着剤を有する腹腔鏡ステープラ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-02
(45)【発行日】2025-06-10
(54)【発明の名称】吻合を補助するために別個のポケット内にバイオ接着剤を有する腹腔鏡ステープラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20250603BHJP
   A61B 17/115 20060101ALN20250603BHJP
【FI】
A61B17/068
A61B17/115
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018614
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2020525940の分割
【原出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2024036692
(43)【公開日】2024-03-15
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/110510
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ル・シンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チン・ミンヤン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-110325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0085032(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/127039(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/110958(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/165559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
A61B 17/115
A61B 17/04
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織をステープル留めするための腹腔鏡ステープラであって、ステープルをアンビルアセンブリに向かって駆動して前記組織のステープル留めを行うように動作可能なステープルハウジングアセンブリを備え、前記ステープルハウジングアセンブリが、
バイオ接着剤を収容するための接着剤ポケットと、
前記ステープルを収容するためのステープルポケットと、
組織切断用のブレードと、
前記ステープル、前記バイオ接着剤、及び前記ブレードを押し出すためのステップ駆動部と、
を備え、
前記ブレードは、前記ブレードの遠位端が前記バイオ接着剤及び前記ステープルに対して遠位側に位置するように配設され、前記ステップ駆動部が近位側に作動されると、前記ステップ駆動部が最初に前記ステープル及び前記バイオ接着剤を各々のポケットから前記組織へと押し出して、ステープル留め及び接着をし、前記ステップ駆動部が更に近位側に作動されると、前記ステップ駆動部が前記ブレードを駆動して組織切断を達成する、腹腔鏡ステープラ。
【請求項2】
前記ステープルハウジングアセンブリが、前記アンビルアセンブリに対して移動可能な別個のアセンブリである、請求項1に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項3】
前記ステープルハウジングアセンブリが、ステープルハウジングと、前記ステープルハウジングから近位側に延在するハウジングシャフトと、を備え、前記アンビルアセンブリは、アンビルと、前記アンビルから近位側に延在するアンビルシャフトと、を備える、請求項2に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項4】
前記ステープルハウジングアセンブリが前記接着剤ポケットと対応する前記ステープルポケットとの組み合わせを複数含む、請求項3に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項5】
前記ステープルハウジングは前記アンビルに対向する表面を含み、前記表面が長円形であり、複数の前記組み合わせが、前記表面上に複数の長円形のポケット列を形成するように配設されている、請求項4に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項6】
前記ステップ駆動部が、前記ステープル、前記バイオ接着剤、及び前記ブレードを順に押し出す、請求項2に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項7】
前記ステープルハウジングアセンブリは、前記ステープルハウジングアセンブリを近位側に前記アンビルアセンブリに向かって移動させると、前記アンビルアセンブリに対して開放位置から、前記ステープルハウジングアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間に前記組織がクランプされる閉鎖位置へと移動する、請求項3に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項8】
前記ステップ駆動部は、前記ステープルポケット内に収容される前記ステープル及び前記接着剤ポケットの遠位側に位置合わせされる第1の部分と、前記ブレードの遠位端の遠位側に位置合わせされる第2の部分とを含む、請求項1に記載の腹腔鏡ステープラ。
【請求項9】
前記バイオ接着剤が前記組織をステープル留めするときに放出され、組織接着のために前記ステープルハウジングアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間にクランプされた前記組織内に送達される、請求項1に記載の腹腔鏡ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、外科用ステープラに関する。より具体的には、本発明は、吻合を補助するために、別個のポケット内にバイオ接着剤を有する腹腔鏡ステープラに関する。
【背景技術】
【0002】
状況によっては、外科医は患者の体に形成された開口部を通して外科用器具を位置合わせし、その器具を使用して患者体内の組織の調整、位置合わせ、装着、及び/又は代わりに組織との相互作用を行いたいことがある。例えば、いくつかの外科処置では、望ましくない組織を排除するか又は他の理由で、消化管の一部分を切り離し除去することがある。一旦所望の組織が除去されると、その組織の残りの部分を互いに再結合させることが必要になる場合がある。円形ステープラは、これらの吻合処置を達成するためのツールのうちの1つである。
【0003】
腹腔鏡手法の侵襲性は最小限であるため、腹腔鏡手術は一部の患者にとって最良と見なされている。しかしながら、既存の円形ステープラは、現代の低侵襲性腹腔鏡手術にとって適した選択肢ではない。具体的には、既存の円形ステープラは腹腔鏡手術に必要である一般的な12mmのトロカールに対して大きすぎるため、腹腔鏡補助下手術でのみ使用でき、完全腹腔鏡下手術では使用できない。
【0004】
また、外科医は、組織が側端吻合又は側々吻合よりも良好に治癒するため、腹腔鏡手技における端々吻合の可能性をより好む。しかしながら、今日の完全腹腔鏡下手術に利用可能な端々吻合システムは存在しない。そのうえ、信頼性の低い吻合は、出血及び漏出につながる。したがって、外科医は、ステープル留め後に、縫合で吻合を補強して漏出を回避する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を念頭に置いて、完全腹腔鏡下手術及び漏出が発生しない端々吻合の両方に適合される新しいステープラを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、より少ない漏出を伴うより良好な吻合及び改善された組織治癒のための腹腔鏡ステープラを提供することである。
【0007】
したがって、組織をステープル留めするための腹腔鏡ステープラが提供される。腹腔鏡ステープラは、ステープルをアンビルアセンブリに向かって駆動して組織のステープル留めを行うように動作可能なステープルハウジングアセンブリを備え、ステープルハウジングアセンブリが、バイオ接着剤を収容するためのポケットを備え、これにより、組織をステープル留めするときに、バイオ接着剤が放出され、組織接着のためにステープルハウジングアセンブリとアンビルアセンブリとの間にクランプされた組織内に送達される。
【0008】
一実施形態において、ステープルハウジングアセンブリは、アンビルアセンブリに対して選択的に移動可能な別個のアセンブリである。
【0009】
一実施形態において、ステープルハウジングアセンブリ及びアンビルアセンブリの両方が、実質的にT字形のアセンブリである。
【0010】
一実施形態において、ポケットは、複数のポケットを含み、これらのポケットの各々が、ステープルハウジングアセンブリ内に配置された複数のステープルポケットのうちの1つに対応する。
【0011】
一実施形態において、複数のポケットは、ステープルポケットと同様に複数の長円形の列に配設されている。
【0012】
一実施形態において、ステープルハウジングアセンブリは、組織切断用のブレードを更に備える。
【0013】
一実施形態において、ステープルハウジングアセンブリは、ステープル、バイオ接着剤、及びブレードを順に押し出すためのステップ駆動部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
図1】本発明による例示的な腹腔鏡ステープラの斜視図である。
図2図1の腹腔鏡ステープラで使用されるステープルハウジングアセンブリを示す。
図3図1の腹腔鏡ステープラで使用されるアンビルアセンブリを示す。
図4】本発明によるステープルハウジングアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0016】
図1は、アンビルアセンブリ30、シャフトアセンブリ40、及びアクチュエータハンドルアセンブリ50を有する例示的な腹腔鏡ステープル留め器具10を図示する。別個のステープルハウジングアセンブリ20は、器具の閉鎖システム及びトリガシステムに動作可能に結合可能であるように構成される。ステープルハウジングアセンブリ20は、結合位置にあるときに、ステープルをアンビルアセンブリ30に向かって駆動して、ステープルを形成するように動作可能である。シャフトアセンブリ40は、アクチュエータハンドルアセンブリ50から遠位側に延在し、アンビルアセンブリ30は、シャフトアセンブリ40の遠位端部に結合される。一実施例では、アクチュエータハンドルアセンブリ50は、ステープルハウジングアセンブリ20のプッシュトリガを作動させて、器具の遠位端部に結合されたステープルハウジングアセンブリ20から複数のステープルを駆動して出すように動作可能である。ステープルは、アンビルアセンブリ30によって屈曲されて、完成したステープルを形成する。したがって、結合され閉鎖されたステープルハウジングアセンブリ20とアンビルアセンブリ30との間の組織が、器具10を利用してステープル留めされ得る。
【0017】
図2に示すように、ステープルハウジングアセンブリ20は、別個の撥ね上げ可能なT字形アセンブリである。一実施例では、ステープルハウジングアセンブリ20は、ステープルハウジング21と、ステープルハウジング21から近位側に延在するハウジングシャフト22と、を備える。通常の円形ステープリングヘッドとは異なり、本発明によるステープルハウジング21は、円みを帯びた矩形又は楕円形の外形などの、横長又は長円形の外形を有する。ステープルハウジング21は、例えば、ヘッド枢動部23を介してハウジングシャフト22にリンクされ、ハウジングシャフト22は、ステープルハウジングアセンブリ20を器具の閉鎖システムに選択的に結合するためのものである。実施形態では、ステープルハウジングアセンブリ20は、送達のための第1の線形構成と、結合及びステープル留めのために示されるような第2の垂直構成との間で、ヘッド枢動部23の長手方向軸を中心に回転可能である。線形構成の場合、ステープルハウジングアセンブリ20は、アセンブリ全体が、腹腔鏡手術で一般的に使用される12mmのトロカールを通過できるように非常に低い外形を有し、垂直構成の場合、ステープルハウジング21は、高い外形を呈するようにハウジングシャフト22に対して垂直であるように枢動可能であることが理解されよう。ステープルハウジングアセンブリ20は、この文脈において閉鎖システムに選択的に結合可能であるものとして説明されているが、近位シャフトは、一旦装着されると、ステープルハウジングアセンブリ20を器具10から取り外すことができないように、一方向結合機構を含み得る。
【0018】
本実施例のアンビルアセンブリ30も、実質的にT字形に撥ね上げ可能であり、シャフトアセンブリ40の遠位端部に結合されている。図3に示すように、アンビルアセンブリ30は、アンビル31と、アンビル31から近位側に延在するアンビルシャフト32と、を備える。アンビル31は、中央開口部と、遠位端部にある長円形ステープル成形表面と、を有する。ステープルハウジングアセンブリ20のハウジングシャフト22は、器具の閉鎖システムに結合されるように開口部を通過し得る。アンビル31も、例えば、ヘッド枢動部33を介してアンビルシャフト32にリンクされ得る。ステープルハウジングアセンブリ20と同様に、アンビルアセンブリ30も、第1の線形構成と第2の垂直構成との間でヘッド枢動部33の長手方向軸を中心に回転可能であるように構成される。また、線形構成の場合、アンビルアセンブリ30は、アセンブリ全体が12mmのトロカールを通過できるように非常に低い外形を有し、垂直構成の場合、アンビル31は、アンビルシャフト32に対して垂直になるように枢動して、T字形で高い外形を呈する。
【0019】
ステープルハウジングアセンブリ20は別個の結合可能な構成要素であるため、ステープルハウジングアセンブリ20は、器具に結合される前に、線形構成で組織の一部分に挿入され得る。ほんの一例として、ステープルハウジングアセンブリ20は、食道などの組織の第1の管状部分に挿入されてもよく、一方、器具10は、ジュジュン(jujune)などの組織の第2の管状部分に挿入される。そして、ステープルハウジングアセンブリ20及びアンビルアセンブリ30の両方は、線形構成で12mmのトロカールを通過できるため、本発明によるステープラは、完全腹腔鏡下手術で使用され得、したがって、腹腔鏡ステープラと呼ばれ得る。そのうえ、T字形のステープルハウジングアセンブリ及びアンビルアセンブリによって提供される高い外形により、本発明によるステープラは、比較的大きな管腔、例えば、直径26mm、28mm、30mm、34mm、36mm、38mm、40mm、又は42mmの管腔の接合に適合されることを可能にする。
【0020】
上記のように、ステープルハウジングアセンブリ20は、ステープルハウジングアセンブリ20とアンビルアセンブリ30との間にクランプされた材料をステープル留めするために、器具10の閉鎖システム及び発射システムに動作可能に結合可能である。ステープルハウジングアセンブリ20が結合された後、閉鎖システムは、アンビルアセンブリ30に対してステープルハウジングアセンブリ20を長手方向に並進させて、それらの間に組織をクランプするように動作可能である。一旦適切な状態になると、トリガ54を備える発射システムは、ステープルをステープルハウジングアセンブリから駆動及び発射するために、ユーザによって作動され得る。
【0021】
図4に示すように、本実施例のステープルハウジング21は、外側ケーシング24と、内側ケーシング25と、を備える。プッシュトリガ26は、ステープルハウジング21内に配置され、トリガ54の作動に応答して近位側に駆動されるように構成され、次に、ステップ駆動部27を近位側に駆動し得る。ステープルハウジング21は、ステップ駆動部27が近位側に作動したときに、組織を切断するように構成されるブレード28を更に備える。ステープルポケット内に収容される複数のステープル66は、ステップ駆動部27の近位作動も、ステープルを近位側に駆動するように、ステップ駆動部27の近位に位置合わせされる。
【0022】
本発明によれば、ステープルハウジング21は、バイオ接着剤を収容するための複数の接着剤ポケット29を更に備える。ステップ駆動部27がステープル66を駆動して組織をステープル留めするように、接着剤ポケットが提供され、バイオ接着剤も同じ駆動部によってステープルハウジング21から組織に押し出され得る。図4から分かるように、接着剤ポケット29及びステープルポケットは、一対の同心長円形列内に配置される。ブレード28は、バイオ接着剤及びステープルに対して遠位側に配設される。そのため、ステップ駆動部27が近位側に作動されると、最初にステープルを押し出し、バイオ接着剤を各々のポケットから組織へと押し出して、ステープル留め及び接着をする。このようなバイオ接着剤の組織への送達は、漏出を防止し、組織治癒を促進し、したがって改善された吻合を提供し得る。ステップ駆動部27が更に近位側に作動されると、ブレード28を駆動して組織切断を達成する。
【0023】
ここで、本発明による腹腔鏡ステープラの動作について、例示的なジュジュン吻合及び食道吻合に関して説明する。
【0024】
この腹腔鏡法では、吻合は12mmのトロカールによって提供される送達チャネルを用いて、準備された状態で行われ、ジュジュン及び食道の端部は、例えば線形ステープラで閉鎖される。第1の工程では、食道の準備され閉鎖された端部に開口部が作製され、把持具で安定化され得る。上述したステープルハウジングアセンブリ20などのステープルハウジングアセンブリが、作製された開口部を通って線形構成で挿入され、次いで、アセンブリ20を作動させてT字形構成にし、ステープルハウジングアセンブリ20が結合する準備を整えるために、ハウジングシャフトを開口部から食道端部の外に突出させる。任意選択的に、アセンブリ20は、例えば、把持具で安定化され得る。次の工程では、器具10を、12mmのトロカール手術デバイスを通して及び準備されたジュジュンの開口部に線形構成でアンビルアセンブリ30を用いて挿入し、次いで、器具をT字形構成に作動させる。ジュジュン壁は、ここで、T字形のアンビルによって長円形に作製される。次の工程において、ステープルハウジングアセンブリ20は、器具の閉鎖システムに結合され、ステープルハウジングアセンブリ20は、アンビルアセンブリ30に向かって近位側に作動されて、それらの間の間隙距離を閉鎖する。一旦器具10が動作範囲内に入ると、ユーザは器具10のトリガ54を作動させて、ステップ駆動部27を近位側に駆動する。ステップ駆動部27の作動は、ステープル留め及び接着のために、ステープル及びバイオ接着剤を組織に押し出し、食道及びジュジュンの重なり合う組織を切断するためにブレードをも押し出す。このように端々吻合が完了すると、外科医は、ステープルハウジングアセンブリ20及びアンビルアセンブリ30を線形構成に戻し得、次いで、ステープラは、12mmのトロカールを通って患者から取り外され得る。
【0025】
記載された例に対しては、多くの修正がなされ得る。ステープルハウジングアセンブリ20が閉鎖システムに結合されるとき、ステープルハウジングアセンブリ20の近位面とアンビルアセンブリ30の遠位面との間の間隙距離が短くなり得ることが想定される。この点に関して、閉鎖システムは、アクチュエータハンドルアセンブリ50の近位端部に位置する調節ノブ58を介して、アンビルアセンブリ30に対して長手方向に並進可能であり得る。したがって、ステープルハウジングアセンブリ20が閉鎖システムに結合されると、調節ノブ54の回転は、ステープルハウジングアセンブリ20をアンビルアセンブリ30に対して作動させることによって間隙距離を短くする。例えば、ステープルハウジング20は、初めの開放位置から閉鎖位置へアンビルアセンブリ30に対して近位側に作動され、これによって、間隙距離及び組織の接合されるべき2つの部分間の距離が短くなる。一旦間隙距離が所定の範囲内になると、アクチュエータハンドルアセンブリ50のトリガ54をユーザが枢動させることによって、ステープルハウジングアセンブリ20が発射され得る。
【0026】
上述のように、間隙距離は、ステープルハウジングアセンブリ20とアンビルアセンブリ30との間の距離に対応する。ステープラが患者に挿入されるとき、この間隙距離は容易に視認できないことがある。したがって、可動インジケータバーは、アクチュエータハンドルアセンブリ50の上部に位置合わせされたインジケータウィンドウを通して視認可能であるように提供され得る。例えば、インジケータバーは、インジケータバーの位置が間隙距離を表すように、調節ノブ58の回転に応答して移動するように動作可能である。そのうえ、インジケータウィンドウ51は、間隙が所望の動作範囲内にあることを示すスケールと、スケールの各端部にある対応するステープル圧縮表現と、を更に備え得る。したがって、ユーザは、インジケータバー及びスケールを介して、アンビルアセンブリ30に対する結合されたステープルハウジング20の位置を視認できる。
【0027】
本発明による更なる実施形態では、図1に示されるように、アンビルアセンブリ30のそのT字形構成への作動及びアンビルアセンブリ30のその元の線形構成への非作動に対応するアンビル制御ボタン52、53が、アクチュエータハンドルアセンブリ50に提供される。この構成により、ユーザは、ステープラをトロカールチャネルを通して除去するために低い外形に容易に戻し得る。
【0028】
好ましい実施形態を示し、説明してきたが、このような開示によって本発明を限定しようとするものではなく、むしろ本発明の趣旨及び範囲内のすべての改変及び代替的構成を網羅しようとするものであることが理解されるであろう。
【0029】
〔実施の態様〕
(1) 組織をステープル留めするための腹腔鏡ステープラであって、ステープルをアンビルアセンブリに向かって駆動して組織のステープル留めを行うように動作可能なステープルハウジングアセンブリを備え、前記ステープルハウジングアセンブリが、バイオ接着剤を収容するためのポケットを備え、これにより、組織をステープル留めするときに、前記バイオ接着剤が放出され、組織接着のために前記ステープルハウジングアセンブリと前記アンビルアセンブリとの間にクランプされた組織内に送達される、腹腔鏡ステープラ。
(2) 前記ステープルハウジングアセンブリが、前記アンビルアセンブリに対して移動可能な別個のアセンブリである、実施態様1に記載の腹腔鏡ステープラ。
(3) 前記ステープルハウジングアセンブリ及び前記アンビルアセンブリの両方が、実質的にT字形のアセンブリである、実施態様2に記載の腹腔鏡ステープラ。
(4) 前記ポケットが複数のポケットを含み、これらのポケットの各々が、前記ステープルハウジングアセンブリ内に配置された複数のステープルポケットのうちの1つに対応する、実施態様3に記載の腹腔鏡ステープラ。
(5) 前記複数のポケットが、前記ステープルポケットと同様に複数の長円形の列に配設されている、実施態様4に記載の腹腔鏡ステープラ。
【0030】
(6) 前記ステープルハウジングアセンブリが、組織切断用のブレードを更に備える、実施態様2に記載の腹腔鏡ステープラ。
(7) 前記ステープルハウジングアセンブリが、前記ステープル、前記バイオ接着剤、及び前記ブレードを順に押し出すためのステップ駆動部を備える、実施態様6に記載の腹腔鏡ステープラ。
図1
図2
図3
図4