(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20250604BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20250604BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250604BHJP
【FI】
B65H29/52
B65H5/06 P
G03G15/00 107
(21)【出願番号】P 2021106717
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】手塚 誠二
(72)【発明者】
【氏名】右田 孝司
【審査官】岸本 和真
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254892(JP,A)
【文献】特開2004-175534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/52
B65H 5/06
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を湾曲させながら反転させる反転経路の内側を構成する第1ユニットと、
前記反転経路の外側を構成する第2ユニットであって、前記第1ユニットに対して退避されることで前記媒体の搬送方向における前記反転経路の一部を開放する前記第2ユニットと、
前記搬送方向の前記第2ユニットより下流において前記反転経路の外側を構成する第3ユニットであって、前記第1ユニットに対して進退可能となるように第1回転軸を中心に回転可能に設けられる前記第3ユニットと、
前記第1ユニットに回転可能に設けられる内側ローラーであって、前記媒体を前記搬送方向の下流へ搬送する前記内側ローラーと、
前記反転経路の外側に位置する外側ローラーであって、前記内側ローラーと共に回転されることで前記媒体を搬送可能な少なくとも1つの前記外側ローラーと、
前記外側ローラーを回転可能に支持する少なくとも1つの支持ユニットであって、第2回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記反転経路の外側を構成する前記支持ユニットと、
を備え、
前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与可能であり、
前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転可能であり、
前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1ユニットに対して退避する方向に回転可能であり、
前記支持ユニットは、
前記第2回転軸から一方に延び前記外側ローラーを支持する第1延長部と、
前記第2回転軸から他方に延び前記第2ユニットと接触可能な第2延長部と、
を有し、
前記第2延長部が前記第2ユニットから押圧力を受ける状態において、前記第2延長部は前記内側ローラーに向けて移動され、前記第1延長部は前記内側ローラーから離れる方向に移動され、
前記支持ユニットは、前記第1延長部と前記第3ユニットとで挟まれる弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記第2ユニットが前記反転経路の外側を構成する閉状態において、前記外側ローラーが前記内側ローラーに近づくように、前記支持ユニットに弾性力を付与する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体を湾曲させながら反転させる反転経路の内側を構成する第1ユニットと、
前記反転経路の外側を構成する第2ユニットであって、前記第1ユニットに対して退避されることで前記媒体の搬送方向における前記反転経路の一部を開放する前記第2ユニットと、
前記搬送方向の前記第2ユニットより下流において前記反転経路の外側を構成する第3ユニットであって、前記第1ユニットに対して進退可能となるように第1回転軸を中心に回転可能に設けられる前記第3ユニットと、
前記第1ユニットに回転可能に設けられる内側ローラーであって、前記媒体を前記搬送方向の下流へ搬送する前記内側ローラーと、
前記反転経路の外側に位置する外側ローラーであって、前記内側ローラーと共に回転されることで前記媒体を搬送可能な少なくとも1つの前記外側ローラーと、
前記外側ローラーを回転可能に支持する少なくとも1つの支持ユニットであって、第2回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記反転経路の外側を構成する前記支持ユニットと、
を備え、
前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与可能であり、
前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転可能であり、
前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1ユニットに対して退避する方向に回転可能であり、
前記支持ユニットは、前記搬送方向と交差する交差方向に複数設けられ、
複数の前記支持ユニットは、第1被接触部を備え前記交差方向の中央側に位置する第1支持ユニットと、第2被接触部を備え前記第1支持ユニットに対して前記交差方向の外側に位置する第2支持ユニットと、を有し、
前記第2ユニットは、前記第1被接触部と接触可能な第1接触面と、前記第2被接触部と接触可能な第2接触面と、を有し、
前記第2ユニットが前記第1支持ユニット及び前記第2支持ユニットに近づく移動方向において、前記第1接触面は前記第2接触面より下流に位置する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の媒体搬送装置において、
前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面の一部には、シート部材が設けられ、
前記シート部材は、隣り合う前記支持ユニットの間に位置する部位から前記搬送方向において前記第3ユニットより下流へ延びる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体を湾曲させながら反転させる反転経路の内側を構成する第1ユニットと、
前記反転経路の外側を構成する第2ユニットであって、前記第1ユニットに対して退避されることで前記媒体の搬送方向における前記反転経路の一部を開放する前記第2ユニットと、
前記搬送方向の前記第2ユニットより下流において前記反転経路の外側を構成する第3ユニットであって、前記第1ユニットに対して進退可能となるように第1回転軸を中心に回転可能に設けられる前記第3ユニットと、
前記第1ユニットに回転可能に設けられる内側ローラーであって、前記媒体を前記搬送方向の下流へ搬送する前記内側ローラーと、
前記反転経路の外側に位置する外側ローラーであって、前記内側ローラーと共に回転されることで前記媒体を搬送可能な少なくとも1つの前記外側ローラーと、
前記外側ローラーを回転可能に支持する少なくとも1つの支持ユニットであって、第2回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記反転経路の外側を構成する前記支持ユニットと、
を備え、
前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与可能であり、
前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転可能であり、
前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1ユニットに対して退避する方向に回転可能であり、
前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記支持ユニットの前記搬送方向の下流端部は、前記第1ユニットに対して、前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面より近い位置にある、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記支持ユニットの前記搬送方向の上流端部は、前記第1ユニットに対して、前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面より遠い位置にある、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記第2ユニットは、第3回転軸を中心に回転可能に設けられ、
前記第1回転軸及び前記第3回転軸をそれぞれ回転可能に支持するフレーム部材を備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記支持ユニットが、前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転される場合、前記支持ユニットの回転量を制限する制限部が設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、
前記第1ユニット、前記第2ユニット、前記第3ユニット及び前記支持ユニットを含む開閉ユニットが、前記開閉ユニットを支持するベースユニットに開閉可能に連結され、
前記開閉ユニットが前記ベースユニットを閉じ且つ前記第2ユニットが前記反転経路を構成する状態を第1設定状態とし、
前記開閉ユニットが前記ベースユニットを閉じ且つ前記第2ユニットが前記反転経路を開放する状態を第2設定状態とし、
前記開閉ユニットが前記ベースユニットを開放し且つ前記第2ユニットが前記反転経路を開放する状態を第3設定状態として、
前記第1ユニットと前記第3ユニットとで構成される前記反転経路の間隔は、前記第2設定状態における第2間隔が、前記第1設定状態における第1間隔より広く、前記第3設定状態における第3間隔が、前記第2間隔より広い、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
搬送される媒体の面を読み取る読取部と、
前記読取部に向けて前記媒体を搬送する請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の原稿送り装置は、ニップを形成する給紙ローラー及び従動コロと、従動コロを有し揺動自在なコロ取付部材と、回転自在な原稿カバーと、原稿を画像読取手段の方向に案内する固定ガイドとを備える。原稿カバーが開けられた場合、原稿カバーの一部がコロ取付部材に当接されることでコロ取付部材が回転される。これにより、コロ取付部材が給紙ローラーから遠ざかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成のように、媒体を反転させる反転経路において、媒体がニップされる部位の周辺に固定ガイドが設けられている構成では、反転経路に媒体が詰まった状態である、所謂ジャム状態においてニップが解除されても、固定ガイドにおける反転経路の大きさが変わらない。このため、媒体がジャムした状態において反転経路から媒体を取り除きにくくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る媒体搬送装置は、媒体を湾曲させながら反転させる反転経路の内側を構成する第1ユニットと、前記反転経路の外側を構成する第2ユニットであって、前記第1ユニットに対して退避されることで前記媒体の搬送方向における前記反転経路の一部を開放する前記第2ユニットと、前記搬送方向の前記第2ユニットより下流において前記反転経路の外側を構成する第3ユニットであって、前記第1ユニットに対して進退可能となるように第1回転軸を中心に回転可能に設けられる前記第3ユニットと、前記第1ユニットに回転可能に設けられる内側ローラーであって、前記媒体を前記搬送方向の下流へ搬送する前記内側ローラーと、前記反転経路の外側に位置する外側ローラーであって、前記内側ローラーと共に回転されることで前記媒体を搬送可能な少なくとも1つの前記外側ローラーと、前記外側ローラーを回転可能に支持する少なくとも1つの支持ユニットであって、第2回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記反転経路の外側を構成する前記支持ユニットと、を備え、前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与可能であり、前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転可能であり、前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1ユニットに対して退避する方向に回転可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】原稿搬送装置及びカバーユニットの両方が閉じられた状態のスキャナーの斜視図。
【
図2】原稿搬送装置が閉じられ且つカバーユニットが開放された状態のスキャナーの斜視図。
【
図3】原稿搬送装置が開放された状態のスキャナーを模式的に示す側面図。
【
図4】原稿搬送装置及びカバーユニットの両方が閉じられた状態の原稿の反転経路を示す図。
【
図5】原稿搬送装置の側板及び側板に設けられた各部を示す斜視図。
【
図6】原稿搬送装置のガイドフレームを取り除いた状態を示す斜視図。
【
図7】カバーユニットの上ガイドフレームを示す斜視図。
【
図9】第3ユニット、支持ユニット及び搬送ローラーを示す斜視図。
【
図10】第3ユニット、支持ユニット及び従動ローラーを示す斜視図。
【
図11】第3ユニット、支持ユニット及び従動ローラーを拡大した斜視図。
【
図12】原稿搬送装置及びカバーユニットの両方が閉じられた状態の原稿搬送装置の一部の縦断面図。
【
図13】原稿搬送装置が閉じられた状態で且つカバーユニットが開放された状態の原稿搬送装置の一部の縦断面図。
【
図14】原稿搬送装置及びカバーユニットの両方が開放された状態の原稿搬送装置の一部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体搬送装置は、媒体を湾曲させながら反転させる反転経路の内側を構成する第1ユニットと、前記反転経路の外側を構成する第2ユニットであって、前記第1ユニットに対して退避されることで前記媒体の搬送方向における前記反転経路の一部を開放する前記第2ユニットと、前記搬送方向の前記第2ユニットより下流において前記反転経路の外側を構成する第3ユニットであって、前記第1ユニットに対して進退可能となるように第1回転軸を中心に回転可能に設けられる前記第3ユニットと、前記第1ユニットに回転可能に設けられる内側ローラーであって、前記媒体を前記搬送方向の下流へ搬送する前記内側ローラーと、前記反転経路の外側に位置する外側ローラーであって、前記内側ローラーと共に回転されることで前記媒体を搬送可能な少なくとも1つの前記外側ローラーと、前記外側ローラーを回転可能に支持する少なくとも1つの支持ユニットであって、第2回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記反転経路の外側を構成する前記支持ユニットと、を備え、前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与可能であり、前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転可能であり、前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1ユニットに対して退避する方向に回転可能であることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記反転経路において変形した前記媒体が詰まる、所謂ジャム状態となった場合、前記第2ユニットが前記第1ユニットに対して退避されることで、前記反転経路の一部が開放される。このとき、前記第2ユニットは、開放動作に伴って前記支持ユニットに押圧力を付与する。
前記支持ユニットは、前記第2ユニットから力を受けることで前記第2回転軸を中心に回転される。これにより、前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる。
前記第3ユニットは、前記支持ユニットから力を受けることで前記第1回転軸を中心に回転される。これにより、前記第3ユニットは、前記第1ユニットから退避する。
以上のように、前記第2ユニットの開放動作に伴って前記支持ユニットが回転され、さらに、前記支持ユニットに対して前記第3ユニットが相対的に回転されるので、前記支持ユニット及び前記第3ユニットの少なくとも一方が固定された構成に比べて、ジャム状態の前記媒体を前記反転経路から取り除き易くすることができる。
【0009】
第2の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様において、前記支持ユニットは、前記第2回転軸から一方に延び前記外側ローラーを支持する第1延長部と、前記第2回転軸から他方に延び前記第2ユニットと接触可能な第2延長部と、を有し、前記第2延長部が前記第2ユニットから押圧力を受ける状態において、前記第2延長部は前記内側ローラーに向けて移動され、前記第1延長部は前記内側ローラーから離れる方向に移動されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1延長部が前記第2回転軸に対して一方に位置し、前記第2延長部が前記第2回転軸に対して他方に位置するので、前記第2延長部が前記第2ユニットから押圧力を受ける方向と、前記第1延長部及び前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向とを、逆方向に設定することができる。
【0010】
第3の態様に係る媒体搬送装置は、第2の態様において、前記支持ユニットは、前記第1延長部と前記第3ユニットとで挟まれる弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記第2ユニットが前記反転経路の外側を構成する閉状態において、前記外側ローラーが前記内側ローラーに近づくように、前記支持ユニットに弾性力を付与することを特徴とする。
本態様によれば、前記閉状態において、前記弾性部材が前記支持ユニットに弾性力を付与することで、前記外側ローラーが前記内側ローラーに近づく。これにより、前記外側ローラーと前記内側ローラーとで構成されるニップにおいて、前記媒体に作用するニップ圧が確保されるので、前記ニップにおける前記媒体の搬送不良を抑制できる。
【0011】
第4の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記支持ユニットは、前記搬送方向と交差する交差方向に複数設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記外側ローラーが1本の場合、前記外側ローラーが前記交差方向の複数箇所で支持されるので、前記外側ローラーの撓みを抑制できる。前記外側ローラーが複数本の場合、前記外側ローラーが前記支持ユニットによって支持される支点の前記交差方向の間隔が、前記支持ユニットが1つの場合に比べて短くなるので、前記外側ローラーの撓みを抑制できる。
【0012】
第5の態様に係る媒体搬送装置は、第4の態様において、前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面の一部には、シート部材が設けられ、前記シート部材は、隣り合う前記支持ユニットの間に位置する部位から前記搬送方向において前記第3ユニットより下流へ延びることを特徴とする。
本態様によれば、搬送される前記媒体の前記搬送方向の下流端は、前記第3ユニットの前記反転経路を形成する部位を通過する場合、前記シート部材に案内される。これにより、前記第3ユニットから前記搬送方向の下流へ搬送される前記媒体の姿勢を安定させることができる。
【0013】
第6の態様に係る媒体搬送装置は、第4の態様又は第5の態様において、複数の前記支持ユニットは、第1被接触部を備え前記交差方向の中央側に位置する第1支持ユニットと、第2被接触部を備え前記第1支持ユニットに対して前記交差方向の外側に位置する第2支持ユニットと、を有し、前記第2ユニットは、前記第1被接触部と接触可能な第1接触面と、前記第2被接触部と接触可能な第2接触面と、を有し、前記第2ユニットが前記第1支持ユニット及び前記第2支持ユニットに近づく移動方向において、前記第1接触面は前記第2接触面より下流に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記第1支持ユニット及び前記第2支持ユニットを支持する部材の撓みなどにより、前記第1支持ユニットが前記第2支持ユニットより前記移動方向の下流に位置することがあっても、前記第1接触面が前記第2接触面より下流に位置しているので、前記第1接触面が前記第1被接触部に接触する時点と、前記第2接触面が前記第2被接触部に接触する時点とを合わせることができる。
【0014】
第7の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記支持ユニットの前記搬送方向の上流端部は、前記第1ユニットに対して、前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面より遠い位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記支持ユニットの前記搬送方向の上流端部が、前記第1ユニットに対して前記経路面より遠い位置にあるので、前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記上流端部が前記経路面より近い位置にある構成に比べて、前記媒体の前記搬送方向の下流端が前記支持ユニットに引っ掛かることを抑制できる。
【0015】
第8の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記支持ユニットの前記搬送方向の下流端部は、前記第1ユニットに対して、前記第3ユニットの前記反転経路を構成する経路面より近い位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記支持ユニットの前記搬送方向の下流端部が、前記第1ユニットに対して前記経路面より近い位置にあるので、前記媒体が前記反転経路に沿って搬送される場合、前記下流端部が前記経路面より遠い位置にある構成に比べて、前記媒体の前記搬送方向の上流端部が高い位置で支持され易くなる。これにより、前記媒体の前記搬送方向の上流端部が前記経路面から離れるときに前記媒体の前記上流端部が振動又は跳ね上がることを抑制できる。
【0016】
第9の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つにおいて、前記第2ユニットは、第3回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記第1回転軸及び前記第3回転軸をそれぞれ回転可能に支持するフレーム部材を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1回転軸及び前記第3回転軸が共通する前記フレーム部材によって支持されるので、前記第1回転軸及び前記第3回転軸が異なる部材に支持される構成に比べて、前記第1回転軸と前記第3回転軸との相対的な位置精度が高まる。これにより、前記第3ユニットに支持される前記支持ユニットと、前記第2ユニットとの相対的な位置精度も高められるので、前記第2ユニットと前記支持ユニットとの接触における位置ずれを抑制できる。
【0017】
第10の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記支持ユニットが、前記外側ローラーが前記内側ローラーから離れる方向に回転される場合、前記支持ユニットの回転量を制限する制限部が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記制限部が前記支持ユニットの回転量を制限することで、前記支持ユニットの一部が前記第1ユニットに過剰に近づくことが制限される。これにより、前記支持ユニットの回転に伴って前記反転経路の一部が必要以上に狭くなることを抑制できる。
【0018】
第11の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つにおいて、前記第1ユニット、前記第2ユニット、前記第3ユニット及び前記支持ユニットを含む開閉ユニットが、前記開閉ユニットを支持するベースユニットに開閉可能に連結され、前記開閉ユニットが前記ベースユニットを閉じ且つ前記第2ユニットが前記反転経路を構成する状態を第1設定状態とし、前記開閉ユニットが前記ベースユニットを閉じ且つ前記第2ユニットが前記反転経路を開放する状態を第2設定状態とし、前記開閉ユニットが前記ベースユニットを開放し且つ前記第2ユニットが前記反転経路を開放する状態を第3設定状態とし、前記第1ユニットと前記第3ユニットとで構成される前記反転経路の間隔を第1間隔、第2間隔、第3間隔として、前記第2設定状態における前記第2間隔が、前記第1設定状態における前記第1間隔より広く、前記第3設定状態における前記第3間隔が、前記第2間隔より広いことを特徴とする。
本態様によれば、前記第2設定状態では、前記第2間隔が前記第1間隔より広いことで、前記反転経路から前記媒体を取り除き易くなる。前記第3設定状態では、前記第3間隔が前記第2間隔より広いことで、前記反転経路から前記媒体をさらに取り除き易くなる。
【0019】
第12の態様に係る画像読取装置は、搬送される媒体の面を読み取る読取部と、前記読取部に向けて前記媒体を搬送する請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、ジャム状態となった前記媒体を前記反転経路から取り除いた場合、前記反転経路に前記媒体の一部が残留することが抑制されるので、前記読取部において次の読み取り動作を行った場合、読み取り不良が生じることを抑制できる。
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例に係るスキャナー10及び原稿搬送装置20を具体的に説明する。
図1に示されるように、スキャナー10は、媒体の一例としての原稿Gを読み取る装置である。各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系である。
X方向は、原稿Gの幅方向且つ装置奥行き方向の一例であり、原稿Gの搬送方向と交差する交差方向の一例でもある。本実施形態では、-X方向が装置前面側となり、+X方向が装置背面側となる。
Y方向は、装置幅方向の一例であり、ユーザーから見て+Y方向が左側となり、-Y方向が右側となる。
Z方向は、装置高さ方向の一例及び鉛直方向の一例である。+Z方向が上側となり、-Z方向が下側となる。
スキャナー10を装置前面側から+X方向に見た状態において、時計回りの回転方向を+R方向とし、反時計回りの回転方向を-R方向とする。
【0021】
図1及び
図2には、スキャナー10が示される。
スキャナー10は、原稿Gを読み取る画像読取装置の一例である。スキャナー10は、スキャナー10のZ方向の下部を構成する下部装置12と、スキャナー10のZ方向の上部を構成し且つ原稿Gを搬送する原稿搬送装置20とを備える。
下部装置12は、ベースユニットの一例であり、原稿搬送装置20を支持する。
【0022】
図4に示されるように、後述する原稿搬送装置20では、原稿Gが反転経路Tに沿って搬送される。原稿Gが搬送される方向を原稿Gの搬送方向とする。なお、反転経路Tは、直線状の部分だけでなく、後述する半円形状の部分も含む。このため、原稿Gの搬送方向は一定の方向ではない。
反転経路Tは、後述する分離ローラー対45から排出ローラー対58までに至る経路であり、且つ原稿Gが搬送される経路である。反転経路Tは、X方向から見た場合、+Y方向に凸形状となる半円形状の部分を含んで構成される。反転経路Tは、原稿Gを湾曲させながら原稿Gの表面と裏面を反転させる。以後の説明では、反転経路Tの半円形状の部分を円弧部Trと称する。
【0023】
下部装置12は、不図示の骨格となるフレームと、本体カバー13と、原稿台ガラス15と、第1読取部16とを含んで構成される。
本体カバー13は、枠状に形成される。本体カバー13の+Z方向の端面を上面14とする。
原稿台ガラス15は、本体カバー13の内側に設けられる。
第1読取部16は、原稿台ガラス15に対する-Z方向において、Y方向に沿って移動可能に設けられる。第1読取部16には、例えばCIS方式やCCD方式などの光学式センサーが用いられる。第1読取部16は、読取部の一例であり、反転経路Tにおいて搬送される原稿G又は原稿台ガラス15上に載置された原稿Gの一方の面を読み取る。
【0024】
原稿搬送装置20は、第1読取部16又は後述する第2読取部27に向けて原稿Gを搬送する媒体搬送装置の一例である。原稿搬送装置20は、一例として、装置本体部21と、搬送ローラー52と、従動ローラー54とを備える。
装置本体部21は、本体ユニット22と、カバーユニット34と、可動ユニット78と、ローラー支持ユニット102とを含んで構成される。
【0025】
図3に示されるように、下部装置12の+Z方向の端部における+X方向の端部と、装置本体部21の-Z方向の端部における+X方向の端部とは、ヒンジ部18により連結される。ヒンジ部18は、Y方向に延びる軸部19を有する。
装置本体部21が軸部19を中心として回転されることで、原稿搬送装置20が下部装置12に対して開閉される。このように、装置本体部21は、下部装置12に開閉可能に連結される。
原稿搬送装置20の開状態では、下部装置12の上面14が露出される。原稿搬送装置20の閉状態では、上面14が装置本体部21によって覆われる。
【0026】
ここで、原稿搬送装置20と下部装置12とのZ方向の間隔Z1とする。間隔Z1は、具体的には、上面14と、後述する可動ユニット78の底壁79A(
図12)における最も-Z方向に位置する面との間隔に相当する。
原稿搬送装置20によって下部装置12の+Z方向の端部が覆われる状態では、間隔Z1が比較的、狭く設定されていることで、可動ユニット78が下部装置12の+Z方向の端部と接触する。これにより、可動ユニット78の開放が規制される。
一方、原稿搬送装置20によって下部装置12の+Z方向の端部が開放される状態では、下部装置12による可動ユニット78の規制状態が解消されるため、可動ユニット78が開放可能となる。
【0027】
図4に示されるように、本体ユニット22は、第1ユニットの一例である。本体ユニット22は、円弧部Trの内側の部分を構成する。本体ユニット22は、フレーム部材24を備える。また、本体ユニット22には、原稿載置部23と、原稿排出部25と、第2読取部27とが設けられる。
原稿載置部23は、板状に形成される。原稿載置部23は、反転経路Tに向けて傾斜した状態で位置する。原稿載置部23には、搬送前の原稿Gが載置される。原稿載置部23において、+X方向の端部にはエッジガイド23Aが設けられ、-X方向の端部にはエッジガイド23B(
図1)が設けられる。エッジガイド23A、23Bは、互いに接近し或いは離間する方向にスライド可能に設けられ、複数の原稿GのX方向の両端部を揃える。
【0028】
原稿排出部25は、原稿載置部23に対する-Z方向に位置する。原稿排出部25には、搬送が終了した原稿Gが載置される。
第2読取部27には、例えばCIS方式やCCD方式などの光学式センサーが用いられる。第2読取部27は、搬送される原稿Gの他方の面を読み取る読取部の一例である。つまり、スキャナー10は、第1読取部16及び第2読取部27によって、原稿Gの両面を読み取り可能である。
【0029】
図5に示されるように、フレーム部材24は、X-Y面に沿って広がる底部26と、底部26のX方向の両端部においてZ方向に直立する板状の側壁部28とを含んで構成される。
底部26には、原稿台ガラス15(
図4)に載置された原稿Gを押さえるマット29(
図4)が設けられる。本体ユニット22における+Y方向の端部には、マット29は設けられていない。
側壁部28は、一例として、後述する第1回転軸86及び第3回転軸42(
図6)をそれぞれ回転可能に支持する。
また、フレーム部材24には、制限部32が設けられる。
【0030】
制限部32は、一例として、側壁部28を切り起こすことで形成される。換言すると、制限部32は、フレーム部材24からX方向の中央に向けて突出された部位である。制限部32は、後述するローラー支持ユニット102(
図4)が、後述する従動ローラー54が搬送ローラー52から離れる方向に回転される場合、後述する突出部93(
図6)が制限部32と接触されることで、ローラー支持ユニット102の回転量を間接的に制限する。制限部32は、ローラー支持ユニット102の回転量を制限することで、反転経路T(
図4)の一部の間隔の大きさが、原稿Gの厚さに相当する大きさ以下となることを制限する。
【0031】
図6に示されるように、搬送ローラー52は、反転経路Tの内側において本体ユニット22(
図5)に設けられる内側ローラーの一例である。搬送ローラー52は、不図示のモーターにより駆動されることで、原稿Gを搬送方向の下流へ搬送する。搬送ローラー52は、一例として、X方向に延びるほぼ円柱状の回転軸部52Aと、回転軸部52Aより外径が大きい円筒状の弾性部52Bとを備える。弾性部52Bは、一例として、回転軸部52Aにおいて、X方向に間隔をあけて6つ設けられる。
【0032】
図10に示されるように、従動ローラー54は、反転経路Tの外側において後述するローラー支持ユニット102に設けられる外側ローラーの一例である。従動ローラー54は、一例として、X方向に間隔をあけて6つ配置される。従動ローラー54は、円弧部Tr(
図4)において外側に位置する。従動ローラー54は、搬送ローラー52(
図4)の回転に伴って回転されることで、原稿Gを搬送可能である。従動ローラー54は、一例として、X方向に延びる円柱状の回転軸部54Aと、回転軸部54Aより外径が大きい円筒部54Bとを備える。
【0033】
図6に示されるように、カバーユニット34は、第2ユニットの一例であり、円弧部Trの外側を構成する。具体的には、カバーユニット34は、X方向から見てL字形状の断面を有するカバー35と、カバー35の内側に設けられたカバー本体36とを含んで構成される。
カバー本体36は、X方向に延びる直方体の一部が円弧状に切り取られた形状の部材から成る。カバー本体36のX方向の両端部には、X方向の外側に向けて開口する円筒状で且つ有底の第3回転軸42が設けられる。
第3回転軸42は、X方向に沿った軸中心を有する。第3回転軸42は、本体ユニット22に設けられたピン39(
図5)が挿入されることで、本体ユニット22に回転可能に支持される。このように、カバーユニット34は、第3回転軸42を中心に回転可能に設けられる。
【0034】
図1及び
図2に示されるように、カバーユニット34は、反転経路T(
図2)を形成する閉状態と、反転経路Tを開放する開状態とを取り得る。
図2に示されるように、カバーユニット34には、ロック部材38及びロック解除レバー41が設けられる。ロック解除レバー41が引き起こされることで、カバーユニット34の閉状態におけるロックが解除され、カバーユニット34が開状態となる。
カバーユニット34は、本体ユニット22に対して退避されることで、原稿Gの搬送方向における反転経路Tの一部を+Z方向に開放する。カバーユニット34は、後述するように、カバーユニット34の開放動作に伴ってローラー支持ユニット102(
図4)に押圧力を付与可能である。
【0035】
図4に示されるように、カバーユニット34には、ピックローラー44と、給送ローラー46とが設けられる。
ピックローラー44は、原稿載置部23に載置された原稿Gを回転に伴って送り出す。
給送ローラー46は、本体ユニットに設けられた分離ローラー47と共に分離ローラー対45を構成する。反転経路Tにおける分離ローラー対45より下流には、第1ローラー対48が設けられる。
第1ローラー対48は、不図示のモーターにより駆動される下ローラー48Aと、従動回転が可能な上ローラー48Bとで構成される。
【0036】
反転経路Tにおける第1ローラー対48より下流では、原稿Gは下向きに湾曲させられる。第1ローラー対48の下流には、第2ローラー対51が設けられる。
第2ローラー対51は、既述の搬送ローラー52と、従動ローラー54とで構成される。第2ローラー対51は、反転経路Tにおいて下向きの原稿Gの面が上向きに変化する位置、即ち反転経路Tにおいて最も+Y方向の位置よりも下流で原稿Gをニップして搬送する。
【0037】
原稿載置部23から送り出された原稿Gは、反転経路Tによって下向きに湾曲された後、原稿載置部23からの送り出し方向とは反対の方向に反転される。反転された原稿Gは、停止している第1読取部16と対向する領域を通り、第3ローラー対56に到達する。
第3ローラー対56は、不図示のモーターにより駆動される駆動ローラー56Aと、従動回転が可能なローラー56Bとで構成される。第3ローラー対56によって搬送された原稿Gは、第2読取部27と対向する領域を通り、排出ローラー対58に到達する。
排出ローラー対58は、不図示のモーターにより駆動される駆動ローラー58Aと、従動回転が可能なローラー58Bとで構成される。原稿Gは、排出ローラー対58によって原稿排出部25へ排出される。
【0038】
図7に示されるように、カバー本体36は、反転経路TのZ方向の中央より上側且つ外側の壁面を構成する曲面62を有する。カバー本体36における-Z方向の端部には、第1延出部64と、第2延出部68、74とがそれぞれ2組設けられる。
2組の第1延出部64及び第2延出部68、74は、カバー本体36のX方向の中央に対して、+X方向と-X方向とに対称に位置する。また、2組の第1延出部64及び第2延出部68、74は、カバー本体36における曲面62に対する+Y方向且つ-Z方向の位置にある部位から、-Z方向に延出される。なお、カバー本体36における各部の位置は、カバーユニット34が閉状態にあるものとして説明する。
【0039】
第1延出部64は、カバー本体36から-Z方向に延びる板状の部位である。第1延出部64は、カバー本体36におけるX方向の中央側に位置する。第1延出部64は、一例として、X方向に間隔をあけて位置する3つのリブ64Aによって補強される。第1延出部64の-Z方向の端部には、後述するローラー支持ユニット102(
図4)と接触可能な2つの第1接触部66が設けられる。
【0040】
第1接触部66は、第1延出部64の-Z方向の端部から-Z方向に突出された突起部である。第1接触部66は、一例として、曲面状の第1接触面67を有する。
第1接触面67は、カバーユニット34が回転されて開状態となった場合、後述する第1被接触部135(
図10)と接触する面である。
【0041】
第2延出部68は、カバー本体36から-Z方向に延びる板状の部位である。第2延出部68は、第1延出部64に対してX方向の外側に位置する。第2延出部68は、一例として、X方向に間隔をあけて位置する3つのリブ68Aによって補強される。第2延出部68の-Z方向の端部には、後述するローラー支持ユニット102(
図4)と接触可能な2つの第2接触部72が設けられる。
【0042】
第2接触部72は、第2延出部68の-Z方向の端部から-Z方向に突出された突起部である。第2接触部72は、一例として、曲面状の第2接触面73を有する。
第2接触面73は、カバーユニット34が回転されて開状態となった場合、後述する第2被接触部142(
図10)と接触する面である。
【0043】
第2延出部74は、カバー本体36から-Z方向に延びる板状の部位である。第2延出部74は、第2延出部68に対してX方向の外側に位置する。第2延出部74は、一例として、X方向に間隔をあけて位置する3つのリブ74Aによって補強される。第2延出部74の-Z方向の端部には、後述するローラー支持ユニット102(
図4)と接触可能な2つの第2接触部76が設けられる。
【0044】
第2接触部76は、第2延出部74の-Z方向の端部から-Z方向に突出された突起部である。第2接触部76は、一例として、曲面状の第2接触面77を有する。
第2接触面77は、カバーユニット34が回転されて開状態となった場合、後述する第2被接触部146(
図10)と接触する面である。
【0045】
図8に示されるように、カバーユニット34が後述する内ユニット108、中ユニット112及び外ユニット114(
図10)に近づく移動方向の一例としての-Y方向において、第1接触面67の一部は、第2接触面73、77のそれぞれ一部より下流に位置する。また、第2接触面73は、カバーユニット34の-Y方向において、第2接触面77より下流に位置する。換言すると、第1接触面67の第1延出部64からの突出量をd1〔mm〕、第2接触面73の第2延出部68からの突出量をd2〔mm〕、第2接触面77の第2延出部74からの突出量をd3〔mm〕とした場合、一例として、d1>d2>d3である。
【0046】
図6に示されるように、可動ユニット78は、第3ユニットの一例であり、カバーユニット34に対して-Z方向に位置する。可動ユニット78は、原稿Gの搬送方向のカバーユニット34より下流において、円弧部Trの外側を構成する。可動ユニット78は、本体ユニット22に対して進退可能となるように、第1回転軸86を中心に回転可能に設けられる。可動ユニット78は、後述するローラー支持ユニット102から力を受けることで、本体ユニット22に対して退避する方向に回転可能である。
可動ユニット78は、具体的には、X方向から見てL字形状の断面を有する外カバー79と、外カバー79の内側に設けられた内カバー81と、-Y方向に見た場合に内カバー81に一部が覆われる本体部82とを含んで構成される。
【0047】
図12に示されるように、外カバー79は、一例として、材質が樹脂であり、後述する本体部82の+Y方向の端部に取り付けられる。外カバー79は、Z方向に所定の厚さを有する板状の底壁79Aと、底壁79Aの+Y方向の端部において+Z方向に直立する縦壁79Bとを有する。
【0048】
内カバー81は、一例として、材質が金属であり、本体部82に取り付けられる。内カバー81は、Z方向に所定の厚さを有する底板部81Aと、底板部81Aの+A方向の端部において+Z方向に直立する縦板部81Bと、縦板部81Bの+Z方向の端部から-Y方向に延びる上板部81Cとを有する。縦板部81Bには、Y方向に貫通する窓部81Dが形成される。
従動ローラー54の円筒部54Bは、窓部81Dから+Y方向に露出される。
【0049】
図6に示されるように、本体部82は、X方向に延びる直方体の一部が円弧状に切り取られた形状の部材から成る。本体部82のX方向の両端部には、X方向の外側に向けて開口する円筒状で且つ有底の第1回転軸86が設けられる。
第1回転軸86は、X方向に沿った軸中心を有する。第1回転軸86は、本体ユニット22に設けられたピン49(
図5)が挿入されることで、本体ユニット22に回転可能に支持される。このように、可動ユニット78は、第1回転軸86を中心に回転可能に設けられる。第1回転軸86は、一例として、第3回転軸42とZ方向に並び且つ第3回転軸42に対して-Z方向に位置する。
【0050】
本体部82におけるX方向の両端部には、一例として、縦壁部91及び突出部93が設けられる。
縦壁部91は、本体部82における第1回転軸86に対する-Y方向且つ+Z方向の位置において、X方向の外側に張り出される。縦壁部91は、Y方向に所定の厚さを有する板状に形成される。
突出部93は、縦壁部91におけるX方向の外側の端部から、-Y方向に突出された部位である。突出部93は、X方向に所定の厚さを有する板状に形成される。突出部93は、可動ユニット78が回転された場合、制限部32(
図5)と接触することで移動が制限される。
【0051】
図9に示されるように、可動ユニット78の本体部82は、反転経路Tの一部を構成する経路面84を有する。また、本体部82には、一例として、X方向に間隔をあけて6つの孔部87が形成される。
経路面84は、一例として、曲面であり、円弧部Trの一部を構成する。
6つの孔部87は、それぞれ、経路面84と交差する方向に本体部82を貫通する。6つの孔部87のそれぞれには、後述するローラー支持ユニット102が、1つずつ収容される。孔部87は、貫通方向から見た場合、X方向の幅が広い幅広部87Aと、幅広部87Aに対して+Z方向に位置し、且つX方向の幅が幅広部87AのX方向の幅より狭い幅狭部87Bとから成る。
経路面84のうち、隣り合う孔部87の間に位置する部分には、一例として、2枚のシート部材88が設けられる。
【0052】
シート部材88は、隣り合う孔部87、換言すると、隣り合うローラー支持ユニット102の間に位置する部位から、搬送方向において可動ユニット78より下流へ延びる。つまり、シート部材88の一端部は、本体部82よりも搬送方向の下流へ延びている。本実施形態では、一例として、2枚のシート部材88が、X方向に間隔をあけて設けられる。具体的には、後述する内ユニット108と中ユニット112との間に設けられる。
【0053】
図10に示されるように、本体部82の裏側の部位となる+Y方向の端部には、規制部92が設けられる。
規制部92は、幅狭部87Bに対する+Y方向に位置する。また、規制部92は、6つの幅狭部87Bに跨るように、X方向に沿って直線状に延びる。規制部92は、一例として、Z方向に所定の厚さを有する板状の部位である。規制部92は、後述するローラー支持ユニット102の第2延長部134が接触することで、第2延長部134が必要以上に+Y方向に移動することを規制する。
【0054】
図11に示されるように、本体部82における規制部92に対する-Z方向の位置で且つ幅広部87AのX方向両側の縁部には、軸受部94が設けられる。
軸受部94は、X方向から見た場合、+Y方向に開口するC字形状に切り欠かれた部位であり、後述する第2回転軸118を回転可能に支持する。
【0055】
図6に示されるように、原稿搬送装置20におけるX方向の両端部には、一例として、2つの捩りばね96が設けられる。
捩りばね96は、巻線部96Aと、巻線部96Aから一方に延びる直線部96Bと、巻線部96Aから他方に延びる直線部96Cとを有する。
直線部96Bは、カバーユニット34のX方向の両端部に、+Y方向に接触される。直線部96Cは、可動ユニット78の縦壁部91における+Y方向の側面に接触される。
【0056】
2つの捩りばね96は、カバーユニット34の開状態及び閉状態に関わらず、可動ユニット78及びカバーユニット34に対して弾性力である押圧力を付与する。
カバーユニット34が閉状態において、2つの捩りばね96から可動ユニット78に作用する押圧力を第1押圧力F1〔N〕とする。カバーユニット34が開状態において、2つの捩りばね96から可動ユニット78に作用する押圧力を第2押圧力F2〔N〕とする。ここで、第1押圧力F1>第2押圧力F2である。押圧力は、捩りばね96の押圧力と、後述するコイルばね125の弾性力とによって実現される。なお、第1押圧力F1及び第2押圧力F2の図示は省略する。
【0057】
図10に示されるように、ローラー支持ユニット102は、従動ローラー54を回転可能に支持する支持ユニットの一例である。ローラー支持ユニット102は、一例として、X方向の中央側に位置する2つの内ユニット108と、内ユニット108に対するX方向の外側に位置する2つの中ユニット112と、中ユニット112に対するX方向の外側に位置する2つの外ユニット114とにより構成される。つまり、X方向の中央から外側へ、+X方向及び-X方向に向けて順番に、内ユニット108、中ユニット112、外ユニット114が位置する。
【0058】
内ユニット108は、第1支持ユニットの一例である。中ユニット112及び外ユニット114は、第2支持ユニットの一例である。なお、中ユニット112及び外ユニット114について、中ユニット112を第1支持ユニットの一例とみなし、外ユニット114を第2支持ユニットの一例とみなしてもよい。
本実施形態では、一例として、内ユニット108、中ユニット112及び外ユニット114が、同様の形状及び同程度の大きさとなるように構成されている。このため、以後の説明において、ローラー支持ユニット102の具体的な構成を説明する場合、内ユニット108を挙げて説明し、中ユニット112及び外ユニット114の説明を省略する場合がある。また、内ユニット108を単にローラー支持ユニット102として説明する場合がある。
【0059】
内ユニット108は、第1被接触部135を備える。第1被接触部135には、第1接触部66(
図7)が接触可能である。
中ユニット112は、内ユニット108において、第1被接触部135に換えて、第2被接触部142を備える。第2被接触部142には、第2接触部72(
図7)が接触可能である。
外ユニット114は、内ユニット108において、第1被接触部135に換えて、第2被接触部146を備える。第2被接触部146には、第2接触部76(
図7)が接触可能である。
【0060】
図11は、ローラー支持ユニット102の一例として、内ユニット108を拡大した図である。内ユニット108は、揺動部材116から成る。
揺動部材116は、従動ローラー54を回転可能に支持する。揺動部材116は、第2回転軸118を中心に回転可能に設けられる。
揺動部材116は、反転経路Tの円弧部Tr(
図4)の外側を構成する。揺動部材116は、カバーユニット34(
図4)から力を受けることで、従動ローラー54が搬送ローラー52(
図4)から離れる方向に、第2回転軸118を中心として回転可能である。
【0061】
揺動部材116は、X方向から見て、基部117に支持された第2回転軸118と、第2回転軸118から一方となる-Z方向に延び従動ローラー54を支持する第1延長部124と、第2回転軸118から他方となる+Z方向に延びカバーユニット34(
図4)と接触可能な第2延長部134とを有する。
【0062】
基部117は、一例として、第1ガイド壁119と、2つの第1側壁121と、第1下壁122と、第1上壁123とを有する。基部117は、第1ガイド壁119を底部とし+Y方向に開口する箱状に構成される。
第1ガイド壁119は、X方向の寸法がZ方向の寸法より長い矩形状の壁であり、反転経路T(
図4)の外側の一部を構成する。
2つの第1側壁121は、第1ガイド壁119のX方向の両端部から+Y方向に直立する。第1下壁122は、第1ガイド壁119の-Z方向の端部から+Y方向に直立する。第1上壁123は、第1ガイド壁119の+Z方向の端部から+Y方向に直立する。
第2回転軸118は、X方向に沿った軸中心を有する円柱状の部位である。第2回転軸118は、2つの第1側壁121のそれぞれからX方向の外側へ延びる。既述の通り、第2回転軸118は、軸受部94に回転可能に支持される。
【0063】
第1延長部124は、一例として、2つの第2側壁127と、第2ガイド壁128と、第2下壁129とを有する。
2つの第2側壁127は、2つの第1側壁121の-Z方向の端部から-Z方向に延びる壁である。2つの第2側壁127は、従動ローラー54のX方向の両端部を回転可能に支持する。
第2ガイド壁128は、X方向の寸法がZ方向の寸法より長い矩形状の壁であり、反転経路T(
図4)の外側の一部を構成する。第2ガイド壁128は、2つの第2側壁127の-Z方向の端部における-Y方向の端部をX方向に繋ぐ。第2ガイド壁128は、第1ガイド壁119に対して-Z方向に位置する。換言すると、第2ガイド壁128は、第1ガイド壁119より原稿Gの搬送方向の下流に位置する。第1ガイド壁119と第2ガイド壁128との間の部位を開口部131(
図12)とする。従動ローラー54は、開口部131から反転経路Tへ露出される。
【0064】
第2下壁129は、2つの第2側壁127の-Z方向の端部と、第2ガイド壁128の-Z方向の端部とを繋ぐ。第2下壁129及び第2ガイド壁128には、保護部132が設けられる。
保護部132は、Y方向に延び且つ+Y方向及び-Z方向に開口する半円筒状の部位である。保護部132の内側には、後述するコイルばね125が位置する。
第1延長部124と第1下壁122とで、収容部126が構成される。収容部126は、従動ローラー54が収容される空間部である。
【0065】
第2延長部134は、一例として、2つの第3側壁136と、第3ガイド壁138と、第2上壁141と、リブ144とを有する。第2延長部134のZ方向の長さは、一例として、第1延長部124のZ方向の長さより短い。第2延長部134のX方向の幅は、第1延長部124のX方向の幅より狭い。
2つの第3側壁136は、第1上壁123から+Z方向に延びる壁である。
【0066】
第3ガイド壁138は、2つの第3側壁136をX方向に繋ぐと共に、反転経路T(
図4)の外側の一部を構成する。第3ガイド壁138は、第1ガイド壁119に対して+Z方向に位置する。換言すると、第3ガイド壁138は、第1ガイド壁119より原稿Gの搬送方向の上流に位置する。
第2上壁141は、2つの第3側壁136の+Z方向の端部をX方向に繋ぐ。
リブ144は、2つの第3側壁136の間において第3ガイド壁138から+Y方向に突出されており、第2延長部134を補強する。
【0067】
第2延長部134は、カバーユニット34(
図4)と接触可能である。具体的には、第2延長部134の+Z方向の端部には、第1被接触部135が設けられる。
第1被接触部135は、2つの第3側壁136におけるZ方向の中央より+Z方向の部位によって構成される。カバーユニット34の閉状態において、第1被接触部135の+Y方向の端面は、一例として、X-Z面に沿って配置される。
第2延長部134における第1被接触部135より-Z方向の部位は、規制部92と接触可能な位置にある。
【0068】
図12に示されるように、第2延長部134が第1接触部66から-Y方向の押圧力を受けた場合、第2延長部134は、搬送ローラー52に向かうように移動される。そして、第1延長部124は、従動ローラー54が搬送ローラー52から離れる方向に移動される。つまり、揺動部材116は、+R方向に回転される。
第2延長部134に対して第1接触部66が+Y方向に退避された場合、捩りばね96(
図6)及び後述するコイルばね125の作用により、第2延長部134は、搬送ローラー52から離れるように移動される。そして、第1延長部124は、従動ローラー54が搬送ローラー52に近づく方向に移動される。つまり、揺動部材116は、-R方向に回転される。
【0069】
内ユニット108は、弾性部材の一例としてのコイルばね125を備える。
コイルばね125は、第1延長部124の第2ガイド壁128と、可動ユニット78の底板部81AとでY方向に挟まれる。コイルばね125は、カバーユニット34が反転経路Tの外側を構成する状態、即ちカバーユニット34の閉状態において、従動ローラー54が搬送ローラー52に近づくように、ローラー支持ユニット102に弾性力を付与する。
X方向から見た場合、第2回転軸118の中心を回転中心C2とする。本実施形態では、X方向から見た場合、可動ユニット78の回転中心C1(
図5)の位置と、揺動部材116の回転中心C2の位置とがほぼ一致している。
【0070】
カバーユニット34が閉状態の場合、換言すると原稿Gが反転経路Tに沿って搬送される場合、ローラー支持ユニット102の搬送方向の上流端部104は、本体ユニット22に対して、可動ユニット78の反転経路Tを構成する経路面84より遠い位置にある。
原稿Gが反転経路Tに沿って搬送される場合、ローラー支持ユニット102の搬送方向の下流端部106は、本体ユニット22に対して、経路面84より近い位置にある。換言すると、下流端部106は、経路面84より反転経路Tへ突出されている。
【0071】
図4に示されるように、装置本体部21が下部装置12の上面14を閉じ、且つカバーユニット34が反転経路Tを構成する状態を、原稿搬送装置20の第1設定状態とする。
また、装置本体部21が下部装置12の上面14を閉じ、且つカバーユニット34が反転経路Tを開放する状態を、原稿搬送装置20の第2設定状態とする。
さらに、装置本体部21が下部装置12の上面14を開放し、且つカバーユニット34が反転経路Tを開放する状態を、原稿搬送装置20の第3設定状態とする。
【0072】
本体ユニット22と可動ユニット78とで構成される反転経路Tの間隔をS〔mm〕で表す。本実施形態では、一例として、搬送ローラー52と従動ローラー54とで形成されるニップ形成位置より下流で且つ可動ユニット78の下流端部に対応する位置において、間隔S〔mm〕が設定される。
なお、第1設定状態における間隔Sを第1間隔S1〔mm〕、第2設定状態における間隔Sを第2間隔S2〔mm〕、第3設定状態における間隔Sを第3間隔S3〔mm〕とする。
【0073】
図12、
図13及び
図14に示されるように、原稿搬送装置20は、第2設定状態における第2間隔S2が、第1設定状態における第1間隔S1より広くなるように構成される。さらに、原稿搬送装置20は、第3設定状態における第3間隔S3が、第2間隔S2より広くなるように構成される。
第3間隔S3と第2間隔S2との差は、第2間隔S2と第1間隔S1との差より大きい。
【0074】
次に、スキャナー10の作用について説明する。なお、スキャナー10を構成する各部及び各部材については、
図1から
図14までを参照することとし、個別の図番の記載を省略する。
【0075】
カバーユニット34が閉状態から開放された場合、第1接触部66と第1被接触部135、第2接触部72と第2被接触部142、第2接触部76と第2被接触部146がそれぞれ接触する。そして、ローラー支持ユニット102が第2回転軸118を中心として、+R方向に回転される。これにより、ローラー支持ユニット102の第2延長部134が搬送ローラー52から離れると共に、従動ローラー54が搬送ローラー52から離れる。このとき、コイルばね125は、第2延長部134から+Y方向の成分を含む押圧力を受けることで、可動ユニット78の内カバー81に対して+Y方向の成分を含む押圧力を作用させる。さらに、捩りばね96の直線部96Bと直線部96Cとの成す角度、即ち開き角が変化する。
【0076】
また、カバーユニット34が閉状態から開放された場合、捩りばね96の開き角の変化は、ばね力がカバーユニット34の閉状態のときのばね力に比べて弱まるように作用する。これにより、捩りばね96から可動ユニット78の+Z方向の端部に付与される+Y方向の成分を含む押圧力が弱まる。
ここで、捩りばね96から作用する押圧力よりもコイルばね125から受ける反力の方が大きいため、可動ユニット78は、搬送ローラー52から離れる方向に回転される。このようにして、搬送ローラー52と従動ローラー54との間隔が広がる。加えて、反転経路Tにおける搬送ローラー52及び従動ローラー54より下流では、本体ユニット22と可動ユニット78との間隔に相当する反転経路Tの間隔が広がる。
カバーユニット34の開放状態において、原稿搬送装置20を下部装置12に対して開放させた場合、下部装置12による可動ユニット78の回転の規制が解除されるので、可動ユニット78はさらに回転される。これにより、反転経路Tの間隔がさらに広がる。
【0077】
一方、カバーユニット34が開状態から閉じられた場合、第1接触部66、第2接触部72及び第2接触部76が、第1被接触部135、第2被接触部142及び第2被接触部146から離れる。これにより、ローラー支持ユニット102を+R方向に回転させる押圧力が弱まると共に、コイルばね125が可動ユニット78の内カバー81に対して作用させている+Y方向の成分を含む押圧力が弱まる。
また、カバーユニット34が開状態から閉じられた場合、捩りばね96の開き角の変化は、ばね力がカバーユニット34の開状態のときのばね力に比べて強まるように作用する。これにより、捩りばね96から可動ユニット78の+Z方向の端部に付与される+Y方向の成分を含む押圧力が強まる。
ここで、捩りばね96から作用する押圧力が、コイルばね125から受ける反力より大きくなるため、ローラー支持ユニット102の第2延長部134は、搬送ローラー52に近づく方向に回転される。
このようにして、搬送ローラー52と従動ローラー54とがニップする。加えて、反転経路Tにおける搬送ローラー52及び従動ローラー54より下流では、本体ユニット22と可動ユニット78との間隔が所定の間隔となる。
【0078】
以上、説明した通り、原稿搬送装置20によれば、反転経路Tにおいて変形した原稿Gが詰まる、所謂ジャム状態となった場合、カバーユニット34が本体ユニット22に対して退避されることで、反転経路Tの一部が開放される。このとき、カバーユニット34は、開放動作に伴ってローラー支持ユニット102に押圧力を付与する。
ローラー支持ユニット102は、カバーユニット34から力を受けることで第2回転軸118を中心に回転される。これにより、従動ローラー54が搬送ローラー52から離れる。
可動ユニット78は、ローラー支持ユニット102から力を受けることで第1回転軸86を中心に回転される。これにより、可動ユニット78は、本体ユニット22から退避する。
以上のように、カバーユニット34の開放動作に伴ってローラー支持ユニット102及び可動ユニット78が回転され、さらに、ローラー支持ユニット102に対して可動ユニット78が相対的に回転されるので、ローラー支持ユニット102及び可動ユニット78の少なくとも一方が固定された構成に比べて、ジャム状態の原稿Gを反転経路Tから取り除き易くすることができる。
【0079】
原稿搬送装置20によれば、第1延長部124が第2回転軸118に対して一方に位置し、第2延長部134が第2回転軸118に対して他方に位置するので、第2延長部134がカバーユニット34から押圧力を受ける方向と、第1延長部124及び従動ローラー54が搬送ローラー52から離れる方向とを、逆方向に設定することができる。
原稿搬送装置20によれば、閉状態において、コイルばね125がローラー支持ユニット102に弾性力を付与することで、従動ローラー54が搬送ローラー52に近づく。これにより、従動ローラー54と搬送ローラー52とで構成されるニップにおいて、原稿Gに作用するニップ圧が確保されるので、ニップにおける原稿Gの搬送不良を抑制できる。
【0080】
原稿搬送装置20によれば、従動ローラー54が1本の場合、従動ローラー54がX方向の複数箇所で支持されるので、従動ローラー54の撓みを抑制できる。従動ローラー54が複数本の場合、従動ローラー54がローラー支持ユニット102によって支持される支点のX方向の間隔が、ローラー支持ユニット102が1つの場合に比べて短くなるので、従動ローラー54の撓みを抑制できる。
原稿搬送装置20によれば、搬送される原稿Gの搬送方向の下流端は、可動ユニット78の反転経路Tを形成する部位を通過する場合、シート部材88に案内される。これにより、可動ユニット78から搬送方向の下流へ搬送される原稿Gの姿勢を安定させることができる。
【0081】
原稿搬送装置20によれば、内ユニット108、中ユニット112及び外ユニット114を支持する部材の撓みなどにより、内ユニット108が中ユニット112及び外ユニット114より+Y方向の下流に位置することがあっても、第1接触面67が第2接触面73、77より下流に位置しているので、第1接触面67が第1被接触部135に接触する時点と、第2接触面73、77が第2被接触部142、146に接触する時点とを合わせることができる。
原稿搬送装置20によれば、ローラー支持ユニット102の搬送方向の上流端部104が、本体ユニット22に対して経路面84より遠い+Y方向の位置にあるので、原稿Gが反転経路Tに沿って搬送される場合、上流端部104が経路面84より近い位置にある構成に比べて、原稿Gの搬送方向の下流端がローラー支持ユニット102に引っ掛かることを抑制できる。
【0082】
原稿搬送装置20によれば、ローラー支持ユニット102の搬送方向の下流端部106が、本体ユニット22に対して経路面84より近い位置にあるので、原稿Gが反転経路Tに沿って搬送される場合、下流端部106が経路面84より遠い位置にある構成に比べて、原稿Gの搬送方向の上流端部が高い位置で支持され易くなる。これにより、原稿Gの搬送方向の上流端部が経路面84から離れるときに原稿Gの上流端部が振動又は跳ね上がることを抑制できる。また、搬送ローラー52と従動ローラー54とで形成されるニップから原稿Gの上流端部が外れるときの、原稿Gの大きな姿勢変化も抑制できる。
【0083】
原稿搬送装置20によれば、第1回転軸86及び第3回転軸42が共通するフレーム部材24によって支持されるので、第1回転軸86及び第3回転軸42が異なる部材に支持される構成に比べて、第1回転軸86と第3回転軸42との相対的な位置精度が高まる。これにより、可動ユニット78に支持されるローラー支持ユニット102と、カバーユニット34との相対的な位置精度も高められるので、カバーユニット34とローラー支持ユニット102との接触における位置ずれを抑制できる。
【0084】
原稿搬送装置20によれば、制限部32がローラー支持ユニット102の一部の回転量を制限することで、ローラー支持ユニット102の一部が本体ユニット22に過剰に近づくことが制限される。これにより、ローラー支持ユニット102の回転に伴って反転経路Tの一部、具体的には従動ローラー54及び搬送ローラー52の上流領域が必要以上に狭くなることを抑制できる。
原稿搬送装置20によれば、既述の第2設定状態では、第2間隔S2が第1間隔S1より広いことで、反転経路Tから原稿Gを取り除き易くなる。既述の第3設定状態では、第3間隔S3が第2間隔S2より広いことで、反転経路Tから原稿Gをさらに取り除き易くなる。
【0085】
スキャナー10によれば、ジャム状態となった原稿Gを反転経路Tから取り除いた場合、反転経路Tに原稿Gの一部が残留することが抑制されるので、第1読取部16、第2読取部27において原稿Gの次の読み取り動作を行った場合、原稿Gの読み取り不良が生じることを抑制できる。
【0086】
本発明の実施形態に係る原稿搬送装置20及びスキャナー10は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更、省略、組合せなどを行うことも勿論可能である。
【0087】
原稿搬送装置20において、ローラー支持ユニット102は、第2回転軸118から一方のみに延びる延長部を有していてもよい。閉状態において従動ローラー54が搬送ローラー52に近づくようにローラー支持ユニット102に力が作用する構成であれば、コイルばね125が無くてもよい。ローラー支持ユニット102は、X方向に1つのみでもよい。
シート部材88は、樹脂、金属のいずれか一方又は両方によって構成されてもよい。また、シート部材88が設けられていなくてもよい。
【0088】
原稿搬送装置20において、第1接触面67と第2接触面73、77が移動方向において同じ位置にあってもよい。ローラー支持ユニット102の上流端部104は、本体ユニット22に対して経路面84と同じ位置にあってもよい。第1回転軸86と第3回転軸42は、異なる部材に支持されてもよい。制限部32は設けられていなくてもよい。また、制限部32は、本体ユニット22のフレーム部材24とは異なる部材に設けられてもよい。第2間隔S2と第3間隔S3は等しくてもよい。
【0089】
搬送ローラー52は、弾性部52BがX方向に6つあるものに限らず、弾性部52BがX方向に1つ又は6つ以外の複数あってもよい。
従動ローラー54は、円筒部54BがX方向に6つあるものに限らず、円筒部54BがX方向に1つ又は6つ以外の複数あってもよい。なお、円筒部54Bを複数設ける場合は、弾性部52Bの数と同じ数に揃えることが好ましい。第1回転軸86と第2回転軸118は、1本の軸部材を共通に用いることで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…スキャナー、12…下部装置、13…本体カバー、14…上面、
15…原稿台ガラス、16…第1読取部、18…ヒンジ部、19…軸部、
20…原稿搬送装置、21…装置本体部、22…本体ユニット、23…原稿載置部、
23A…エッジガイド、23B…エッジガイド、24…フレーム部材、
25…原稿排出部、26…底部、27…第2読取部、28…側壁部、29…マット、
32…制限部、34…カバーユニット、35…カバー、36…カバー本体、
38…ロック部材、39…ピン、41…ロック解除レバー、42…第3回転軸、
44…ピックローラー、45…分離ローラー対、46…給送ローラー、
47…分離ローラー、48…第1ローラー対、48A…下ローラー、
48B…上ローラー、49…ピン、51…第2ローラー対、52…搬送ローラー、
52A…回転軸部、52B…弾性部、54…従動ローラー、54A…回転軸部、
54B…円筒部、56…第3ローラー対、56A…駆動ローラー、56B…ローラー、
58…排出ローラー対、58A…駆動ローラー、58B…ローラー、62…曲面、
64…第1延出部、64A…リブ、66…第1接触部、67…第1接触面、
68…第2延出部、68A…リブ、72…第2接触部、73…第2接触面、
74…第2延出部、74A…リブ、76…第2接触部、77…第2接触面、
78…可動ユニット、79…外カバー、79A…底壁、79B…縦壁、81…内カバー、
81A…底板部、81B…縦板部、81C…上板部、81D…窓部、82…本体部、
84…経路面、86…第1回転軸、87…孔部、87A…幅広部、87B…幅狭部、
88…シート部材、91…縦壁部、92…規制部、93…突出部、94…軸受部、
96…捩りばね、96A…巻線部、96B…直線部、96C…直線部、
102…ローラー支持ユニット、104…上流端部、106…下流端部、
108…内ユニット、112…中ユニット、114…外ユニット、116…揺動部材、
117…基部、118…第2回転軸、119…第1ガイド壁、121…第1側壁、
122…第1下壁、123…第1上壁、124…第1延長部、125…コイルばね、
126…収容部、127…第2側壁、128…第2ガイド壁、129…第2下壁、
131…開口部、132…保護部、134…第2延長部、135…第1被接触部、
136…第3側壁、138…第3ガイド壁、141…第2上壁、
142…第2被接触部、144…リブ、146…第2被接触部、
C1…回転中心、C2…回転中心、d1…突出量、d2…突出量、d3…突出量、
F1…第1押圧力、F2…第2押圧力、G…原稿、S1…第1間隔、S2…第2間隔、
S3…第3間隔、T…反転経路