IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7691026環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム
<>
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図1
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図2
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図3
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図4
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図5
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図6
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図7
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図8
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図9
  • 特許-環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】環境構築支援装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/30 20180101AFI20250604BHJP
【FI】
G06F8/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024502775
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008392
(87)【国際公開番号】W WO2023162260
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】脇谷 徹
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-39393(JP,A)
【文献】特開2020-61019(JP,A)
【文献】特開2020-17053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/30ー8/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える環境構築支援装置。
【請求項2】
前記受付手段は、前記所定の環境構築ツールにおけるバージョンの選択をさらに受け付け、
前記特定手段は、前記環境構築ツールにおける特定のバージョンでサポートされる前記コード用文字列及び前記付随文字列の組が登録された第2の登録情報の中から、前記所定の環境構築ツールにおける前記選択されたバージョンに対応する第2の組を特定し、
前記生成手段は、前記特定された第2の組に含まれる前記コード用文字列において前記付随文字列を除いて、前記ひな形コードを生成する
請求項1に記載の環境構築支援装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記所定の環境構築ツールにおける記述ルールを満たすように、前記ひな形コードを生成する
請求項1又は2に記載の環境構築支援装置。
【請求項4】
前記第1の登録情報は、複数の環境構築ツールのそれぞれにおける前記処理目的ごとに、各環境構築ツールで実行させるために記述可能な前記コード用文字列及び前記付随文字列の組が登録されており、
前記受付手段は、前記複数の環境構築ツールのうち1つを前記所定の環境構築ツールの選択として受け付け、
前記特定手段は、前記選択された環境構築ツールにおける処理目的の候補を特定し、
前記表示手段は、前記特定された処理目的の候補に関する前記表記を選択可能に前記画面の処理目的選択欄へ表示し、
前記受付手段は、前記処理目的選択欄の中から、前記表記の選択を受け付ける
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記第1の登録情報の中から、前記選択された環境構築ツールに対応する1以上の前記コード用文字列を、前記処理目的の候補に関する表記として特定する
請求項4に記載の環境構築支援装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記表記の選択を受け付けた場合、前記画面の処理フロー表示欄に、当該表記を追加して表示する
請求項4又は5に記載の環境構築支援装置。
【請求項7】
出力要求に応じて前記コード表示欄に表示された内容を要求元へ出力する出力手段をさらに備える
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
【請求項8】
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置と接続された環境構築支援装置と、を備え、
前記環境構築支援装置は、
前記所定の環境構築ツールにおける前記処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える環境構築支援システム。
【請求項9】
コンピュータが、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付け、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定し、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成し、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する、
環境構築支援方法。
【請求項10】
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付処理と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定処理と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成処理と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示処理と、
をコンピュータに実行させる環境構築支援プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境構築支援装置、システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報システムの環境構築を自動化する手法としてIaC(Infrastructure as Code)と呼ばれる手法が普及しつつある。IaCを実現する環境構築ツール(又はオーケストレータ)は、IaCコードと呼ばれるプログラムコードを用いて、環境構築処理を実行する。IaCコードは、環境構築処理や環境ごとの設定値等が記述されたスクリプトファイルである。
【0003】
特許文献1には、環境構築支援システムに関する技術が開示されている。環境構築支援システムは、特定の環境構築ツールの書式と定義に従って記述された定数設計書や定義ファイル雛形を必要とする。環境構築ツールにより提供される変換ツールは、定数設計書及び定義ファイル雛形等から所定形式の定数設定値ファイルへ変換する。環境構築ツールは、変換された定数設定値ファイルを入力として定義ファイル及び構築スクリプトを生成する。そして、環境構築支援システムは、生成された定義ファイル及び構築スクリプトを、構築対象のサーバ上で実行し、環境を構築する。
【0004】
特許文献2には、システム構築パラメータ管理システムに関する技術が開示されている。当該システムは、対象システムの動作環境を定義するシステム定義情報を収集し、システム定義情報からパラメータを抽出し、既存のIaCコード内のパラメータを、抽出したパラメータへ更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-017053号公報
【文献】特開2020-061019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、環境構築ツールは、バージョンアップの頻度が高く、バージョンアップの度にIaCコードの構文の仕様変更がなされることが多い。そのため、環境構築ツールのバージョンアップに伴い、エンジニアによるIaCコードの修正が発生し、メンテナンスが煩雑であるという問題がある。例えば、特許文献1にかかる技術では、定数設計書及び定義ファイル雛形内の定義ファイルの設定項目等のメンテナンスが煩雑となり得る。尚、特許文献2にかかる技術は、作成済みのIaCコードのパラメータを更新する技術であって、環境構築ツールのバージョン変更によるIaCコードの構文の仕様変更は考慮されていない。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、環境構築ツールに応じたIaCコードの作成を効率的に行うことを支援するための環境構築支援装置、システム、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様にかかる環境構築支援装置は、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える。
【0009】
本開示の第2の態様にかかる環境構築支援システムは、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置と接続された環境構築支援装置と、を備え、
前記環境構築支援装置は、
前記所定の環境構築ツールにおける前記処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える。
【0010】
本開示の第3の態様にかかる環境構築支援方法は、
コンピュータが、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付け、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定し、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成し、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する。
【0011】
本開示の第4の態様にかかる環境構築支援プログラムは、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付処理と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定処理と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成処理と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示処理と、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示により、環境構築ツールに応じたIaCコードの作成を効率的に行うことを支援するための環境構築支援装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態1にかかる環境構築支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態1にかかる環境構築支援方法の流れを示すフローチャートである。
図3】本実施形態2にかかる環境構築支援システムの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態2にかかる環境構築支援装置の構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態2にかかるツールリストの例を示す図である。
図6】本実施形態2にかかるモジュール登録情報の例を示す図である。
図7】本実施形態2にかかるサポートオプション登録情報の例を示す図である。
図8】本実施形態2にかかるIaCコード作成支援処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本実施形態2にかかるIaCコード作成支援画面の例を示す図である。
図10】本実施形態2にかかるIaCコード作成支援画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる環境構築支援装置1の構成を示すブロック図である。環境構築支援装置1は、情報システムの環境構築を支援するための情報処理装置である。環境構築支援装置1は、受付部11、特定部12、生成部13及び表示部14を備える。
【0016】
受付部11は、情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける。例えば、受付部11は、ユーザにより選択された表記を受け付けても良い。ここで、「情報システム」とは、1以上のサーバ、ネットワーク機器、ストレージ装置等を含む。また、「情報システム」は、オンプレミス、クラウド基盤もしくは仮想基盤又はこれらの組合せであるシステム環境上に構築される。「環境構築ツール」とは、システム環境上に情報システムの環境構築処理を行うためのソフトウェアである。「環境構築ツール」は、IaCコードと呼ばれるプログラムコードを用いて、環境構築処理を実行する。また、「処理目的」とは、環境構築ツールで実行される各種処理の目的を示す。そして、「処理目的に関する表記」とは、処理目的を示す表示情報、処理目的に対応するプログラムコードの文字列(コード用文字列)等である。
【0017】
特定部12は、第1の登録情報の中から、選択された表記に対応する第1の組を特定する。ここで、「第1の登録情報」とは、環境構築ツールにおける処理目的ごとにコード用文字列及び付随文字列の組が登録された情報である。「コード用文字列」とは、環境構築ツールで実行させるために記述可能なプログラムコードの文字列である。「付随文字列」とは、コード用文字列に付随して記述可能なプログラムコードの文字列である。
【0018】
生成部13は、特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する。ここで、「ひな形コード」とは、IaCコードの部分的な記述である。つまり、「ひな形コード」は、環境構築の際の環境に固有の設定値等が入力される前の未完成のIaCコードである。表示部14は、生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する。
【0019】
図2は、本実施形態1にかかる環境構築支援方法の流れを示すフローチャートである。まず、受付部11は、所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける(S11)。次に、特定部12は、第1の登録情報の中から、選択された表記に対応する第1の組を特定する(S12)。そして、生成部13は、特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する(S13)。その後、表示部14は、生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する(S14)。
【0020】
このように、本実施形態にかかる環境構築支援装置1は、例えば、IaCコードの作成担当者により選択された所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記に応じて、当該環境構築ツールで記述可能なプログラムコードの文字列を補完して表示する。そのため、IaCコードの作成担当者は、環境構築ツールで実行可能な構文や記述ルール等を把握していなくても、環境構築ツールに応じたIaCコードの作成を行うことができる。そのため、本実施形態により、環境構築ツールに応じたIaCコードの作成を効率的に行うことを支援することができる。
【0021】
尚、環境構築支援装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態にかかる環境構築支援方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラム等を前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、受付部11、特定部12、生成部13及び表示部14の機能を実現する。
【0022】
または、環境構築支援装置1の各構成要素は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0023】
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。図3は、本実施形態2にかかる環境構築支援システム1000の構成を示すブロック図である。環境構築支援システム1000は、情報システム100の環境構築を支援するための情報システムである。環境構築支援システム1000は、情報システム100、環境構築装置200、環境構築支援装置300及び管理端末301を備える。情報システム100、環境構築装置200及び環境構築支援装置300のそれぞれは、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、無線通信回線網、携帯電話回線網等を含む通信ネットワークである。ネットワークNは、インターネットを含んでも良い。また、通信ネットワークは、通信プロトコルの種別を問わない。情報システム100は、開発時、試験時、運用時等の情報システムである。
【0024】
環境構築装置200は、環境構築ツール201から20n(nは2以上の自然数。)を備える情報処理装置である。環境構築ツール201等は、例えば、Ansible(登録商標)、Teraform等が挙げられるが、これらに限定されない。環境構築装置200は、環境構築支援装置300から環境構築ツールの指定と、IaCコードの入力とを受け付け、指定された環境構築ツールにIaCコードを実行させる。これにより、情報システム100の環境が構築される。
【0025】
環境構築支援装置300は、上述した環境構築支援装置1の一例である。環境構築支援装置300は、情報システム100の環境構築を支援するための情報処理装置である。環境構築支援装置300は、複数台のコンピュータに冗長化されていても良く、各機能ブロックが複数台のコンピュータで実現されてもよい。
【0026】
管理端末301は、IaCコードの作成担当者や環境構築ツールの管理者等が操作を行う端末装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ等である。管理端末301は、ネットワーク等を介して環境構築支援装置300と通信可能に接続されており、管理者等の操作に応じ環境構築支援装置300へアクセスし情報の入力等を行う。尚、管理端末301は、環境構築装置200やネットワークNとも接続されていてもよい。
【0027】
尚、環境構築装置200は、少なくとも1つの環境構築ツールを備えればよい。つまり、環境構築装置200は、複数台のコンピュータで実現されてもよい。または、環境構築装置200、環境構築支援装置300及び管理端末301の一部又は全ては、同一のハードウェアで構成されてもよい。または、環境構築装置200及び環境構築支援装置300は、複数台のコンピュータで冗長化されてもよい。また、管理端末301は、複数台であってもよい。
【0028】
図4は、本実施形態2にかかる環境構築支援装置300の構成を示すブロック図である。環境構築支援装置300は、記憶部310、メモリ320、通信部330及び制御部340を備える。記憶部310は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部310は、環境構築支援プログラム311、ツールリスト312、モジュール登録情報313及びサポートオプション登録情報314を記憶する。環境構築支援プログラム311は本実施形態2にかかる環境構築支援処理等が実装されたコンピュータプログラムである。
【0029】
ツールリスト312は、環境構築支援装置300がIaCコード作成を支援する環境構築ツールのリストである。図5は、本実施形態2にかかるツールリスト312の例を示す図である。ツールリスト312は、ID、環境構築ツール(の名称)、コード種別等を対応付けた情報である。コード種別とは、対応する環境構築ツールで実行可能なプログラミング言語の種別である。例えば、環境構築ツールがAnsible(登録商標)の場合、コード種別はYAML(YAML Ain’t Markup Language)で記述されたplaybook、環境構築ツールがTeraformの場合、コード種別はHCL(HashiCorp Configuration Language)が挙げられるが、これらに限定されない。また、ツールリスト312は、環境構築ツールやコード種別のバージョン、コード種別における構文規則、記述ルール(コーディングルール)等をさらに対応付けていてもよい。
【0030】
図4に戻り説明を続ける。
モジュール登録情報313は、上述した第1の登録情報の一例である。モジュール登録情報313は、複数の環境構築ツールにおける処理目的ごとに、各環境構築ツールのコード種別に規定されたコード用文字列と付随文字列の組を登録した情報である。「コード用文字列」は、コード種別によっては「モジュール」と呼ばれるため、以下では、「メインモジュール」と称するものとする。「付随文字列」は、メインモジュールで指定可能なオプション文字列と、オプションと設定値とを接続するための接続文字列とを含む。
【0031】
図6は、本実施形態2にかかるモジュール登録情報313の例を示す図である。モジュール登録情報313は、ID、処理目的、コード種別、メインモジュール、オプション、接続文字列等を対応付けた情報である。処理目的は、環境構築ツール及びコード種別における処理の目的を示す表記である。メインモジュールは、対応する処理目的においてコード種別で記述可能なコード用文字列の表記である。オプションは、オプション文字列の表記である。接続文字列は、オプションと設定値とを接続するための文字列の表記である。
【0032】
図4に戻り説明を続ける。
サポートオプション登録情報314は、第2の登録情報の一例である。サポートオプション登録情報314は、環境構築ツールにおける特定のバージョンでサポートされるコード用文字列及び付随文字列の組を登録した情報である。図7は、本実施形態2にかかるサポートオプション登録情報314の例を示す図である。サポートオプション登録情報314は、ID、処理目的、コード種別、メインモジュール、オプション、バージョン、属性等を対応付けた情報である。「バージョン」は、コード種別又はコード種別に対応付けられた環境構築ツールがサポートするバージョン番号等である。「属性」は、サポートするバージョン「のみ適用」されるか、当該バージョン「以降で適用」されるか、当該バージョン「まで適用」されるか等を示す情報である。または、「属性」は、当該バージョンにおいて「適用外」又は「サポート外」であることを示す情報であってもよい。
【0033】
図4に戻り説明を続ける。
メモリ320は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部340の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部330は、環境構築支援装置300の内部と、外部との通信インタフェースである。
【0034】
制御部340は、環境構築支援装置300の各構成を制御するプロセッサつまり制御装置である。制御部340は、記憶部310から環境構築支援プログラム311をメモリ320へ読み込ませ、環境構築支援プログラム311を実行する。これにより、制御部340は、受付部341、特定部342、生成部343、表示部344及び出力部345の機能を実現する。
【0035】
受付部341は、上述した受付部11の一例である。受付部341は、後述するIaCコード作成画面から、複数の環境構築ツールのうち1つを所定の環境構築ツールの選択として受け付ける。さらに、受付部341は、IaCコード作成画面から、選択された所定の環境構築ツールにおけるバージョンの選択を受け付ける。また、受付部341は、IaCコード作成画面内の処理目的選択欄の中から、選択された環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける。
【0036】
特定部342は、上述した特定部12の一例である。特定部342は、選択された環境構築ツールに対応付けられた1以上の処理目的の候補の表記を、モジュール登録情報313の中から特定する。または、特定部342は、選択された環境構築ツールに対応する1以上のコード用文字列を、処理目的の候補に関する表記として、モジュール登録情報313の中から特定してもよい。これにより、作成者は、コーディングをイメージしながら、IaCコードを作成できる。また、特定部342は、選択された表記に対応する第1の組を、モジュール登録情報313の中から特定する。具体的には、特定部342は、処理目的選択欄の中から選択された処理目的に対応付けられたメインモジュール、オプション及び接続文字列を特定する。または、特定部342は、処理目的選択欄の中から選択されたメインモジュールに対応付けられたオプション及び接続文字列を特定する。さらに、特定部342は、所定の環境構築ツールにおける選択されたバージョンに対応する第2の組を、サポートオプション登録情報314の中から特定する。
【0037】
生成部343は、上述した生成部13の一例である。生成部343は、管理端末301からのIaCコード作成要求に応じて、初期表示用のIaCコード作成画面を生成する。初期表示用のIaCコード作成画面には、少なくとも環境構築ツール選択欄、バージョン選択欄が含まれる。また、生成部343は、特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する。さらに、生成部343は、特定された第2の組に含まれるコード用文字列において付随文字列を除いて、ひな形コードを生成する。これにより、特定のバージョンでサポートされていないオプション文字列をひな形コードから除外できる。そのため、ユーザは、様々な環境構築ツールの各バージョンのオプションのサポート状況に精通していなくても、必要なオプションの記述を行うことが容易にできる。また、生成部343は、所定の環境構築ツールにおける記述ルールを満たすように、ひな形コードを生成する。これにより、ユーザは、様々な環境構築ツール、対象の情報システムや利用プロジェクトのコーディングルールを都度確認することなく、所定の環境構築ツールで動作可能な記述要件を容易に満たすことができる。
【0038】
表示部344は、上述した表示部14の一例である。表示部344は、管理端末301からのIaCコード作成要求に応じて生成されたIaCコード作成画面を管理端末301へ送信し、管理端末301にIaCコード作成画面を表示させる。また、表示部344は、特定された処理目的の候補に関する表記を、選択可能にしてIaCコード作成画面内の処理目的選択欄へ表示する。また、表示部344は、生成されたひな形コードをIaCコード作成画面内のコード表示欄に表示する。このとき、表示部344は、ひな形コードを編集可能にコード表示欄へ表示してもよい。また、表示部344は、表記の選択を受け付けた場合、IaCコード作成画面内の処理フロー表示欄に、当該表記を追加して表示する。
【0039】
出力部345は、所定の要求元からの出力要求に応じて、コード表示欄に表示された内容を要求元へ出力する。例えば、出力部345は、コード表示欄に表示された編集中のひな形コードを、管理端末301へダウンロードさせる。
【0040】
図8は、本実施形態2にかかるIaCコード作成支援処理の流れを示すフローチャートである。尚、以下の説明では、適宜、図9及び図10を参照するものとする。
【0041】
まず、管理端末301は、IaCコードの作成担当者の操作に応じて、IaCコード作成要求を環境構築支援装置300へ送信する。これに応じて、環境構築支援装置300の生成部343は、初期表示用のIaCコード作成画面を生成する。そして、表示部344は、生成されたIaCコード作成画面を管理端末301へ送信し、管理端末301にIaCコード作成画面を表示させる(S21)。
【0042】
図9は、本実施形態2にかかるIaCコード作成支援画面4の例を示す図である。IaCコード作成支援画面4は、環境構築ツール選択欄41、バージョン選択欄42、処理目的選択欄43、処理フロー表示欄44、IaCコード表示欄45及びダウンロードボタン46を備える。
【0043】
尚、ステップS21の時点、つまり初期表示の段階では、IaCコード作成支援画面4は、環境構築ツール選択欄41及びバージョン選択欄42を少なくとも表示していればよい。この時点では、環境構築ツール選択欄41及びバージョン選択欄42等の表示内容は空(未選択)であるか、デフォルト値が表示されていてもよい。また、この時点では、処理目的選択欄43の表示内容は空であるか、環境構築ツール選択欄41のデフォルト値に応じた表示内容であってもよい。また、この時点では、処理フロー表示欄44は、処理441及び442が非表示であり、IaCコード表示欄45の表示内容は空であるものとする。
【0044】
環境構築ツール選択欄41は、ツールリスト312の環境構築ツールの名称をプルダウンで選択可能とした欄である。バージョン選択欄42は、環境構築ツール選択欄41で選択された環境構築ツールでサポートされるバージョン番号を選択可能とした欄である。つまり、バージョン選択欄42で選択可能なバージョン番号のリストは、環境構築ツール選択欄41で選択された環境構築ツールの種別に応じて、動的に変更される。
【0045】
処理目的選択欄43は、環境構築ツール選択欄41で選択された環境構築ツール(コード種別)に対応する1以上の処理目的の候補に関する表記が表示され、選択操作を受け付ける欄である。処理フロー表示欄44は、処理目的選択欄43で選択された表記を処理フロー内に表示する欄である。IaCコード表示欄45は、処理目的選択欄43で選択された表記及びバージョン選択欄42で選択されたバージョンに対応するひな形コードを表示する欄である。尚、IaCコード表示欄45は、コードが編集可能であってもよい。ダウンロードボタン46は、押下されると、IaCコード表示欄45に表示された内容をダウンロードさせる処理を実行させるボタンである。
【0046】
次に、管理端末301は、作成担当者の操作に応じて、ツール種別及びバージョン情報の選択を受け付ける(S22)。例えば、作成担当者は、管理端末301を介して、環境構築ツール選択欄41から「Tool1」を選択し、バージョン選択欄42から「2.11.2」を選択する。これに応じて、管理端末301は、環境構築ツール選択欄41の選択内容をツール種別とし、バージョン選択欄42の選択内容をバージョン情報として、環境構築支援装置300へ送信する。そして、受付部341は、管理端末301からツール種別及びバージョン情報の選択を受け付ける。
【0047】
そして、特定部342は、処理目的の候補を特定する(S23)。具体的には、特定部342は、ツールリスト312を参照して、選択されたツール種別に対応するコード種別を特定する。そして、特定部342は、特定したコード種別に対応付けられた処理目的の表記を、モジュール登録情報313の中から特定する。例えば、環境構築ツール(ツール種別)「Tool1」の場合、特定部342は、コード種別「PGlang1」を特定し、処理目的「ファイルコピー」及び「ファイル操作」を処理目的の候補として特定する。
【0048】
そして、表示部344は、特定された処理目的の候補に関する表記を、選択可能にしてIaCコード作成支援画面4内の処理目的選択欄43へ表示する(S24)。図9の例では、処理目的選択欄43に処理目的表記431として「ファイルコピー」、処理目的表記432として「ファイル操作」が表示されることを示す。
【0049】
その後、管理端末301は、作成担当者から、処理目的選択欄43に対する処理目的の選択操作を受け付ける。例えば、管理端末301は、作成担当者による処理目的表記431の選択操作op1を受け付ける。選択操作op1は、例えば、処理フロー表示欄44へのドラッグアンドドロップであってもよい。これに応じて、管理端末301は、処理目的表記431が選択された旨及び処理フロー表示欄44内の「S」と「E」の間にドラッグアンドドロップされたことを環境構築支援装置300へ送信する。そして、受付部341は、管理端末301から処理目的の選択を受け付ける(S25)。ここでは、受付部341は、処理目的として「ファイルコピー」が選択されたこと及び処理フロー表示欄44内の「S」と「E」の間にドラッグアンドドロップされたことを受け付ける。
【0050】
これに応じて、特定部342は、選択された処理目的に対応付けられたメインモジュール、オプション及び接続文字列を、モジュール登録情報313の中から特定する(S26)。例えば、特定部342は、処理目的「ファイルコピー」に対応付けられたメインモジュール「copy」、オプション「src」、「dest」、「decrypt」及び接続文字列「=」を特定する。併せて、特定部342は、選択されたツール種別及びバージョンに対応するメインモジュール、オプション(及び属性)を、サポートオプション登録情報314の中から特定する。例えば、特定部342は、処理目的「ファイルコピー」及びバージョン「2.10」に対応付けられたメインモジュール「copy」、オプション「decrypt」、属性「のみ適用」を特定する。
【0051】
そして、生成部343は、特定されたメインモジュール、オプション及び接続文字列を用いて、ひな形コードを生成する(S27)。具体的には、まず、特定部342は、環境構築ツール「Tool1」及びコード種別「PGlang1」に規定されたコーディングルールに従って、半角スペース、コロン文字等を特定する。そして、生成部343は、バージョン選択欄42で選択されたバージョン「2.11.2」と、サポートオプション登録情報314から特定されたバージョン「2.10」及び属性「のみ適用」から、メインモジュール「copy」には、オプション「decrypt」が指定できないと判定する。そのため、生成部343は、メインモジュール「copy」、オプション「src」、「dest」及び接続文字列「=」と、コーディングルールに従った半角スペース、コロン文字等を用いて、ひな形コードを生成する。すなわち、生成部343は、選択されたバージョンではサポートされていないオプション「decrypt」を除外して、ひな形コードを生成する。
【0052】
その後、表示部344は、生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する(S28)。具体的には、表示部344は、ひな形コードを管理端末301へ送信する。これに応じて、管理端末301は、IaCコード作成支援画面4のIaCコード表示欄45にひな形コード451として表示する。非表示理由453で示すように、ひな形コード451には、オプション「decrypt」が表示されない。但し、非表示理由453自体は、本実施形態の効果の説明のための記載であり、画面表示の例でなくてもよい。
【0053】
また、このとき併せて、つまり、選択操作op1に応じて、生成部343は、処理441「ファイルコピー」の表記を生成し、表示部344は、処理441の表記を処理フロー表示欄44に表示する。
【0054】
その後、引き続き、管理端末301は、作成担当者による処理目的表記432の選択操作op2を受け付ける。ここでは、選択操作op2は、処理フロー表示欄44の処理441の下の領域へのドラッグアンドドロップであるものとする。
【0055】
これに応じて、上述したステップS25からS28が実行される。例えば、特定部342は、処理目的「ファイル操作」に対応付けられたメインモジュール「file」、オプション「path」、「state」、「owner」、「group」、「mode」及び接続文字列「=」を特定する。併せて、特定部342は、サポートオプション登録情報314の中から、処理目的「ファイル操作」及びバージョン「2.10」に対応付けられたレコードを検索するが、図7の例では存在しないため、特定できない。そして、生成部343はメインモジュール「file」、オプション「path」、「state」、「owner」、「group」、「mode」及び接続文字列「=」と、コーディングルールに従った半角スペース、コロン文字等を用いて、ひな形コードを生成する。表示部344は、生成したひな形コードを管理端末301へ送信する。これに応じて、管理端末301は、IaCコード作成支援画面4のIaCコード表示欄45にひな形コード452として表示する。また、このとき併せて、つまり、選択操作op2に応じて、生成部343は、処理442「ファイル操作」の表記を生成し、表示部344は、処理442の表記を処理フロー表示欄44の処理441の下に表示する。
【0056】
この後、例えば、管理端末301は、作成担当者からIaCコード表示欄45に表示されたコードに対する編集操作に応じて表示内容を更新してもよい。また、管理端末301は、作成担当者からダウンロードボタン46の押下を受け付けた場合、IaCコード表示欄45に表示された編集中のひな形コードを、管理端末301へダウンロードさせる。または、管理端末301は、ダウンロードボタン46の押下を受け付けた場合、その旨とIaCコード表示欄45に現在、表示された表示内容を環境構築支援装置300へ送信しても良い。その場合、環境構築支援装置300の出力部345は、受信した表示内容を管理端末301へ送信する。これにより、管理端末301は、IaCコード表示欄45での編集中のIaCコードをテキストファイルとして内部に保存できる。そして、作成担当者は、引き続き、IaCコードを編集することにより、所望のIaCコードを作成及び完成させることができる。
【0057】
図10は、本実施形態2にかかるIaCコード作成支援画面4bの例を示す図である。IaCコード作成支援画面4bは、上述したIaCコード作成支援画面4とは、選択される環境構築ツールが異なる例である。IaCコード作成支援画面4bは、環境構築ツール選択欄41b、バージョン選択欄42b、処理目的選択欄43、処理フロー表示欄44、IaCコード表示欄45及びダウンロードボタン46を備える。環境構築ツール選択欄41bは、環境構築ツール(ツール種別)として「Tool2」が選択され、バージョン選択欄42bは、「Tool2」がサポートするバージョンの中から「1.0」が選択されたことを示す。
【0058】
処理目的選択欄43は、環境構築ツール選択欄41bで選択された環境構築ツールに対応する処理目的の候補として、処理目的表記431b「AWS構築」、処理目的表記432b「Azure構築」が表示されていることを示す。そして、管理端末301は、作成担当者による処理目的表記431bの選択操作op1bを受け付けたものとする。選択操作op1bは、例えば、処理フロー表示欄44へのドラッグアンドドロップであってもよい。これに応じて、処理フロー表示欄44に処理441b「AWS構築」の表記が表示される。また、選択操作op1bに応じて、IaCコード表示欄45にひな形コード451bが表示される。ひな形コード451bは、処理目的「Azure構築」のメインモジュール「aws」、オプション「access_key」、「secret_key」、「region」及び接続文字列「=」と、環境構築ツー「Tool2」コーディングルールに従った「provider」表記、「[]」等を用いて生成されたものである。尚、この例では、サポートオプション登録情報314には、処理目的「Azure構築」、コード種別「PGlang2」のメインモジュール「aws」、オプション「region」が、バージョン「1.0」で属性「のみ適用」として登録されている。そのため、生成部343は、ひな形コード451bの生成時に、オプション「region」がサポートされていると判定し、ひな形コード451bに含めている。
【0059】
ここで、本実施形態が解決しようとする課題について詳細に説明する。
まず、環境構築ツールのバージョンアップによって、サポートされるIaCコードの記述や記法が変更される場合がある。例えば、環境構築ツールの新しいバージョンでは、IaCコードに記述するモジュールの種類や、モジュールで指定可能なオプションのサポートがなくなることもある。また、環境構築ツールが利用するライブラリが変更される場合もある。そのため、環境構築ツール等のバージョンアップに伴い、既存のIaCコードが環境構築ツールで実行できなくなる場合があり、都度、IaCコードの修正が発生し得る。
【0060】
また、同じ環境構築ツールであっても異なるバージョンを使い分ける可能性もあり、バージョンによって、IaCコードで推奨される記法が異なる場合もある。また、IaCコードは、複数人で協調して作成、つまり、同一ファイルを複数人で編集する場合がある。また、IaCコードのコーディングルールは、構築対象のシステムや開発プロジェクトによっても異なる場合がある。さらに、IaCコードの記述の仕方は、人に依存する場合もあり、統一されていないこともある。これらのことから、IaCコードの作成コストやメンテナンスコストは、非常に高くなる場合がある。
【0061】
本実施形態により、環境構築ツール及びバージョンに応じたIaCコードの作成を効率的に行うことを支援することができる。そのため、IaCコードの作成者は、環境構築ツールごと、及び、バージョンごとのIaCコードの記述ルールを熟知していなくても、環境構築ツール及びバージョンに応じたIaCコードを容易にコーディングすることができる。
【0062】
特に、サポートオプション登録情報314に特定の環境構築ツールにおける特定のバージョンでサポートされるオプションの定義を登録しておき、ひな形コード生成時に、オプションのサポート有無を判定することで、サポート外のオプションをひな形コードから除外できる。サポートオプション登録情報314への登録者は、特定の環境構築ツールへの知見のある者、比較的スキルの高い者とすることで、他の作成者は、特定の環境構築ツールにおけるバージョンごとの詳細なサポート内容を熟知することなく、容易に、サポートされた記述のIaCコードを作成できる。
【0063】
また、特定の環境構築ツール、コード種別、利用プロジェクト、対象の情報システム等には、独自の書式、構文や構文エラーではなくてもコーディングルールが規定されていることもある。ツールリスト312の環境構築ツール及びコード種別に、コーディングルール等を対応付けておくことで、やはり作成者は、環境構築ツールごとのコーディングルール等に熟知していなくとも、容易に、コーディングルール等を満たすIaCコードを作成できる。
【0064】
また、本実施形態では、複数種類の環境構築ツール、バージョンを対象として管理している。そのため、構築対象の情報システムにおける環境に依存する複数種類のIaCコードを使い分けて作成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、処理フロー表示欄に、処理目的の流れが自動生成される。これにより、作成者は、処理内容を確認しながら、IaCコードをコーディングできる。さらに、処理フロー表示欄には、条件判定、条件分岐、繰り返し等の制御構造を追加できてもよい。その場合、モジュール登録情報313に、環境構築ツールでサポートする制御構造の記述の定義を登録してもよい。この場合、処理目的を条件判定、条件分岐、繰り返し等としてもよい。
【0066】
<その他の実施形態>
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0067】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0068】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える環境構築支援装置。
(付記A2)
前記受付手段は、前記所定の環境構築ツールにおけるバージョンの選択をさらに受け付け、
前記特定手段は、前記環境構築ツールにおける特定のバージョンでサポートされる前記コード用文字列及び前記付随文字列の組が登録された第2の登録情報の中から、前記所定の環境構築ツールにおける前記選択されたバージョンに対応する第2の組を特定し、
前記生成手段は、前記特定された第2の組に含まれる前記コード用文字列において前記付随文字列を除いて、前記ひな形コードを生成する
付記A1に記載の環境構築支援装置。
(付記A3)
前記生成手段は、前記所定の環境構築ツールにおける記述ルールを満たすように、前記ひな形コードを生成する
付記A1又はA2に記載の環境構築支援装置。
(付記A4)
前記第1の登録情報は、複数の環境構築ツールのそれぞれにおける前記処理目的ごとに、各環境構築ツールで実行させるために記述可能な前記コード用文字列及び前記付随文字列の組が登録されており、
前記受付手段は、前記複数の環境構築ツールのうち1つを前記所定の環境構築ツールの選択として受け付け、
前記特定手段は、前記選択された環境構築ツールにおける処理目的の候補を特定し、
前記表示手段は、前記特定された処理目的の候補に関する前記表記を選択可能に前記画面の処理目的選択欄へ表示し、
前記受付手段は、前記処理目的選択欄の中から、前記表記の選択を受け付ける
付記A1乃至A3のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
(付記A5)
前記特定手段は、前記第1の登録情報の中から、前記選択された環境構築ツールに対応する1以上の前記コード用文字列を、前記処理目的の候補に関する表記として特定する
付記A4に記載の環境構築支援装置。
(付記A6)
前記表示手段は、前記表記の選択を受け付けた場合、前記画面の処理フロー表示欄に、当該表記を追加して表示する
付記A4又はA5に記載の環境構築支援装置。
(付記A7)
出力要求に応じて前記コード表示欄に表示された内容を要求元へ出力する出力手段をさらに備える
付記A1乃至A6のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
(付記A8)
表示手段は、前記ひな形コードを編集可能に前記コード表示欄へ表示する
付記A1乃至A7のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
(付記A9)
前記付随文字列は、対応する前記コード用文字列で指定可能なオプション文字列と接続文字列を含む
付記A1乃至A8のいずれか1項に記載の環境構築支援装置。
(付記B1)
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置と接続された環境構築支援装置と、を備え、
前記環境構築支援装置は、
前記所定の環境構築ツールにおける前記処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付手段と、
前記第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定手段と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成手段と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示手段と、
を備える環境構築支援システム。
(付記B2)
前記記憶装置は、前記環境構築ツールにおける特定のバージョンでサポートされる前記コード用文字列及び前記付随文字列の組が登録された第2の登録情報をさらに記憶し、
前記受付手段は、前記所定の環境構築ツールにおけるバージョンの選択をさらに受け付け、
前記特定手段は、前記第2の登録情報の中から、前記所定の環境構築ツールにおける前記選択されたバージョンに対応する第2の組を特定し、
前記生成手段は、前記特定された第2の組に含まれる前記コード用文字列において前記付随文字列を除いて、前記ひな形コードを生成する
付記B1に記載の環境構築支援システム。
(付記C1)
コンピュータが、
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付け、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定し、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成し、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する、
環境構築支援方法。
(付記D1)
情報システムにおける所定の環境構築ツールにおける処理目的に関する表記の選択を受け付ける受付処理と、
前記環境構築ツールにおける前記処理目的ごとに、当該環境構築ツールで実行させるために記述可能なコード用文字列及び当該コード用文字列に付随して記述可能な付随文字列の組が登録された第1の登録情報の中から、前記選択された表記に対応する第1の組を特定する特定処理と、
前記特定された第1の組に含まれるコード用文字列及び付随文字列を用いて、前記選択された環境構築ツールで実行するためのひな形コードを生成する生成処理と、
前記生成されたひな形コードを画面のコード表示欄に表示する表示処理と、
をコンピュータに実行させる環境構築支援プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0069】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 環境構築支援装置
11 受付部
12 特定部
13 生成部
14 表示部
1000 環境構築支援システム
N ネットワーク
100 情報システム
200 環境構築装置
201 環境構築ツール
20n 環境構築ツール
300 環境構築支援装置
301 管理端末
310 記憶部
311 環境構築支援プログラム
312 ツールリスト
313 モジュール登録情報
314 サポートオプション登録情報
320 メモリ
330 通信部
340 制御部
341 受付部
342 特定部
343 生成部
344 表示部
345 出力部
4 IaCコード作成支援画面
41 環境構築ツール選択欄
42 バージョン選択欄
43 処理目的選択欄
431 処理目的表記
432 処理目的表記
44 処理フロー表示欄
441 処理
442 処理
45 IaCコード表示欄
451 ひな形コード
452 ひな形コード
453 非表示理由
46 ダウンロードボタン
op1 選択操作
op2 選択操作
4b IaCコード作成支援画面
41b 環境構築ツール選択欄
42b バージョン選択欄
431b 処理目的表記
432b 処理目的表記
441b 処理
451b ひな形コード
op1b 選択操作
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10