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特許7691208パワーモジュール及びその製造方法、コンバータ、並びに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】パワーモジュール及びその製造方法、コンバータ、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20250604BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250604BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20250604BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20250604BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20250604BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/28 B
H01L23/34 B
H01L23/12 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023516656
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2020115360
(87)【国際公開番号】W WO2022056679
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ルゥオ,ウエンガン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ジャオジォン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジュンホ
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-108955(JP,A)
【文献】特開2006-093255(JP,A)
【文献】特開2017-028174(JP,A)
【文献】特開2005-197435(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229894(WO,A1)
【文献】特開2012-119618(JP,A)
【文献】特開2010-103343(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101494175(CN,A)
【文献】特開2014-057004(JP,A)
【文献】特開2017-022346(JP,A)
【文献】特開2018-074088(JP,A)
【文献】特開2008-042086(JP,A)
【文献】特開2008-135422(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084589(WO,A1)
【文献】特開2002-076257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/28
H01L 23/34
H01L 23/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーアセンブリとドライブボードとを有するパワーモジュールであって、前記パワーアセンブリは、基板、パワーチップ、及びパッケージボディを有し、前記パワーチップが前記基板の実装面上に配置され、前記パッケージボディが前記基板上の前記パワーチップをパッケージングし、前記ドライブボードが、前記基板とは反対側の前記パワーチップの表面側に位置して部分的に前記パッケージボディ内に配置され、前記ドライブボードが前記パワーチップに電気的に接続され、
前記ドライブボード及び前記パワーアセンブリは、パッケージングされた構造体を構成し、前記パワーチップとは反対側の前記基板の表面が裏面であり、該裏面は前記パッケージボディから露出され、当該パワーモジュールは更にヒートシンクを有し、該ヒートシンクが、前記裏面と接触して、前記パッケージングされた構造体に固定され、
前記ドライブボードは、中央領域と該中央領域を取り囲むエッジ領域とを有し、前記中央領域は、前記パワーアセンブリに対向して前記パッケージボディ内に配置され、前記パッケージングされた構造体は取り付け穴を有し、該取り付け穴は、前記エッジ領域に位置して、前記ドライブボードから前記パワーチップへの方向に前記ドライブボードと前記パッケージボディとを貫通し、前記ヒートシンクは、前記取り付け穴を介して前記パッケージングされた構造体に接続され、
前記パワーチップとは反対側の前記エッジ領域の表面が前記パッケージボディから露出され、前記エッジ領域の前記露出された表面から前記取り付け穴を通じてネジが前記ヒートシンクに締め付けられる、
パワーモジュール。
【請求項2】
前記実装面に対して垂直な方向において、前記ドライブボードと前記パワーチップとの間の距離が、前記ドライブボードと前記基板とは反対側の前記パッケージボディの表面との間の距離よりも小さい、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記パワーアセンブリは更にピンを有し、該ピンは前記ドライブボードと前記パッケージボディの一部とを貫通し、前記ピンの一端が前記実装面上に配置されて前記パワーチップに電気的に接続され、前記ピンの他端が前記パッケージボディから露出される、請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記ドライブボードは前記ピンを介して前記パワーチップに電気的に接続されている、請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
当該パワーモジュールは更に導電体を有し、該導電体は前記パワーチップと前記ドライブボードとの間に位置し、前記パワーチップは前記導電体を介して前記ドライブボードに接続されている、請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記導電体は銅棒であり、該銅棒の両端が、それぞれ、前記パワーチップ及び前記ドライブボードに電気的に接続されている、請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記導電体はリードフレームであり、該リードフレームは、互いに接続された第1端子及び第2端子を有し、前記第1端子が前記パワーチップに電気的に接続され、前記第2端子が前記ドライブボードに電気的に接続されている、請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記リードフレームは更に、前記第1端子に電気的に接続された第3端子を有し、該第3端子は前記ピンに電気的に接続されている、請求項7に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
回路ボードと、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパワーモジュールとを有し、前記パワーモジュールが前記回路ボードに電気的に接続されている、コンバータ。
【請求項10】
請求項9に記載のコンバータを有する電子機器であって、前記コンバータが当該電子機器の電気信号を変換するように構成されている、電子機器。
【請求項11】
第1のパワーボードを用意し、該第1のパワーボードは、基板と、該基板の実装面上に配置されたパワーチップとを有し、
ドライブボードを用意し、該ドライブボードを前記基板とは反対側の前記パワーチップの表面側に配置し、且つ該ドライブボードを前記パワーチップに電気的に接続することで、パッケージング対象の構造体を形成し、前記ドライブボードは、前記第1のパワーボードに対向して配置される中央領域と、該中央領域を取り囲むエッジ領域とを有し、
パッケージボディを用いて前記パッケージング対象の構造体をパッケージングすることで、パッケージングされた構造体を形成し、前記パッケージボディは、前記基板の裏面から、前記パワーチップとは反対側の前記ドライブボードの側までの領域にパッケージングされ、前記基板の前記裏面は、前記実装面とは反対側の前記基板の表面であり、前記ドライブボードの前記中央領域は前記パッケージボディ内に配置され、前記パワーチップとは反対側の前記ドライブボードの前記エッジ領域の表面は前記パッケージボディから露出され、前記パッケージングされた構造体は、前記ドライブボードの前記エッジ領域及び前記パッケージボディを貫通する取り付け穴を有し、
前記ドライブボードの前記エッジ領域の前記露出された表面から前記取り付け穴を通じてネジをヒートシンクに締め付けることにより、前記基板の前記裏面に接触させて前記パッケージングされた構造体に前記ヒートシンクを固定する、
ことを有する、パワーモジュールの製造方法。
【請求項12】
当該製造方法は更に、前記ドライブボードを前記基板とは反対側の前記パワーチップの表面側に前記配置することの前に、前記基板とは反対側の前記パワーチップの前記表面上に、前記パワーチップに電気的に接続された導電体を形成することを有し、前記ドライブボードが前記基板とは反対側の前記パワーチップの表面側に配置されるときに、前記ドライブボードが前記導電体に電気的に接続される、請求項11に記載のパワーモジュールの製造方法。
【請求項13】
前記導電体は銅棒であり、又は前記導電体はリードフレームである、請求項12に記載のパワーモジュールの製造方法。
【請求項14】
当該製造方法は更に、前記パワーチップが前記基板の前記実装面上に配置されるときに、ピンを前記実装面に固定することを有し、前記ドライブボードが前記基板とは反対側の前記パワーチップの表面側に配置されるときに、前記ピンが前記ドライブボードを貫通する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のパワーモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、チップパッケージング技術の分野に関し、特に、パワーモジュール及びその製造方法、コンバータ、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールは、特定の機能に基づいて複数の電子パワーデバイスを組み合わせてパッケージングすることによって得られるモジュールである。従来技術では、パワーモジュールがドライブボードに接続され、パワーモジュールにパッケージングされたパワーチップのスイッチが、ドライブボードを用いることによって制御される。しかしながら、従来技術では、ドライブボードとパワーモジュール内のパワーチップとの間の寄生パラメータが過大であり、パワーモジュールの電気性能に影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【0003】
この出願の実施形態は、ドライブボードとパワーモジュールとの間の寄生パラメータを低減させ、パワーモジュールの電気性能を向上させるためのパワーモジュールを保護する。
【0004】
この出願の実施形態は更に、パワーモジュールの製造方法、パワーモジュールを含むコンバータ、及びコンバータを含む電子機器を保護する。
【0005】
一態様によれば、この出願はパワーモジュールを保護する。当該パワーモジュールは、パワーアセンブリ及びドライブボードを含む。パワーアセンブリは、基板、パワーチップ、及びパッケージボディを含む。パワーチップは、基板の実装面上に配置される。パッケージボディが、基板上のパワーチップをパッケージングする。ドライブボードは、実装面とは反対側のパワーチップの側に位置してパッケージボディ内に配置される。ドライブボードがパワーチップに電気的に接続される。
【0006】
この実施形態におけるパワーモジュールでは、ドライブボードがパワーアセンブリのパッケージボディ内に配置され、実装面とは反対側のパワーチップの側にドライブボードが位置することで、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が短縮される。また、パワーチップとドライブボードとの間の接続ラインが短くなり、それにより、パワーチップとドライブボードとの間の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、すなわち、パワーモジュールの寄生パラメータが低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。さらに、パワーアセンブリのパッケージボディ内にドライブボードが配置され、すなわち、パワーアセンブリの内部にドライブボードが配置される。同一平面上にドライブボード及びパワーアセンブリを配置するのと比較して、これはパワーモジュールの平面的な面積を効果的に小さくすることができる。パワーアセンブリのためにパッケージボディが形成されるとき、パワーアセンブリの強度を確保するために、パワーアセンブリの厚さは通常5mmよりも大きい。この厚さは、パワーアセンブリの厚さを増やすことなくパワーアセンブリのパッケージボディにドライブボードを埋め込むのを可能にするのに十分である。すなわち、パッケージボディ内にドライブボードを配置することはパワーアセンブリの厚さには影響せず、それにより、パワーモジュールの一体化が効果的に向上され、パッケージサイズが縮小され、パワーモジュールのコストが低減される。
【0007】
理解され得ることには、寄生パラメータには主に、寄生インダクタンスと寄生抵抗との2つが存在する。寄生インダクタンスの大きさは主に2つの要因に影響され、1つは接続ラインの長さであり、接続ラインが長いほど大きい寄生インダクタンスをもたらし、もう1つは接続ラインで囲まれた面積であり、接続ラインで囲まれた面積が大きいほど大きい寄生インダクタンスをもたらす。寄生抵抗の場合、接続ラインが長いほど大きい寄生抵抗をもたらす。従って、この出願において、ドライブボードとパワーチップとの間のより短い距離は、ドライブボードとパワーチップとの間のより短い接続ラインを示し、接続ラインで囲まれる面積も小さくなり、それによりパワーモジュールの寄生インダクタンス及び寄生抵抗が効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0008】
一部の実施形態では、実装面に対して垂直な方向において、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が、ドライブボードと実装面とは反対側のパッケージボディの表面との間の距離よりも小さい。この実施形態では、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が、ドライブボードと実装面とは反対側のパッケージボディの表面との間の距離よりも小さいことを必要とすることで、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が十分に短いことが確保され、それにより、ドライブボードとパワーチップとの間の接続ラインの寄生パラメータが十分に小さいことが確保され、パワーモジュールの電気性能が効果的に向上される。
【0009】
一部の実施形態において、パワーアセンブリは更にピンを含む。ピンはドライブボードとパッケージボディの一部とを貫通する。ピンの一端が実装面上に配置されてパワーチップに電気的に接続され、ピンの他端がパッケージボディから露出される。ピンは、パワーチップと回路ボードとの間の電気接続を実現するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、パワーチップのピンは代わりに、パワーチップとドライブボードとの間の電気接続を実現するように構成されてもよい。あるいは、ピンはドライブボードを貫通しなくてもよい。あるいは、ピン以外の構造を用いてパワーチップを回路ボードに接続してもよい。
【0010】
一部の実施形態において、ドライブボードはピンを介してパワーチップに電気的に接続される。具体的には、ピンがドライブボードに電気的に接続されることで、ドライブボードがパワーチップに電気的に接続される。ピンは、パワーチップとドライブボード上のドライブチップとの間の電気接続を実現することができ、また、パワーチップと外部の回路ボードとの間の電気接続を実現することもでき、それによりパワーモジュールの構造が単純になる。
【0011】
一部の実施形態において、パワーモジュールは更に導電体を含む。導電体はパワーチップとドライブボードとの間に位置する。パワーチップは導電体を介してドライブボードに接続される。パワーアセンブリのパッケージボディ内にドライブボードが配置されるので、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が短縮される。また、ドライブボードとパワーチップとの間に接続される接続ライン(導電体)が短くなり、それによりパワーモジュールの接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0012】
一部の実施形態において、導電体は銅棒であり、該銅棒の両端が、それぞれ、パワーチップ及びドライブボードに電気的に接続される。銅棒の長さは、ドライブボードとパワーチップとの間の距離に等しい。理解され得ることには、銅棒の長さ方向は銅棒内の電流の流れ方向であり、それ故に銅棒の長さは最短であり、それによりパワーモジュールの接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0013】
一部の実施形態において、導電体はリードフレームである。リードフレームは、互いに接続された第1端子及び第2端子を含む。第1端子がパワーチップに電気的に接続される。第2端子がドライブボードに電気的に接続される。この実装において、リードフレームはかなり良い通電能力を持ち、それによりパワーモジュールの寄生パラメータが効果的に低減されるとともに、パワーチップの放熱能力が効果的に向上される。また、リードフレームを介して2つのパワーチップを電気的に接続することもでき、それによりパワーモジュールの製造工程が効果的に削減され、パワーモジュールの生産効率が向上される。
【0014】
一部の実施形態において、リードフレームは更に、第1端子に電気的に接続された第3端子を含み、第3端子はピンに電気的に接続される。具体的には、リードフレームは、ピンとパワーチップとの間の電気接続も実現することができ、それ故に、パワーチップとピンとを接続するために追加のリードを導入する必要がない。従って、パワーモジュールの構造がいっそう単純になり、パワーモジュールの製造工程が削減され、パワーモジュールの生産効率が向上される。また、リードと比較して、リードフレームの方が強力な通電能力及び小さい寄生パラメータを持ち、それ故に、パワーチップの放熱効果を更に向上させることができる。
【0015】
一部の実施形態において、パッケージボディは、プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成される。プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成されたパッケージボディは良好な封止性能を持ち、それ故に、パッケージングされた構造体の耐湿性及び信頼性を向上させることができる。
【0016】
一部の実施形態において、パワーモジュールは更にパッケージハウジングを含む。パワーアセンブリ及びドライブボードはパッケージハウジング内に収容される。パワーチップとは反対側のピンの端部がパッケージハウジングの外に延びる。パッケージボディは、ハウジングパッケージングプロセスを用いてパッケージハウジング内の隙間に注入される。この出願において、パッケージボディは、ハウジングパッケージングプロセスを用いて形成される。このプロセスは単純であり、それによりパワーモジュールの生産効率が効果的に向上される。
【0017】
一部の実施形態において、ドライブボード及びパワーアセンブリは、パッケージングされた構造体を構成する。パワーチップとは反対側の基板の表面が裏面である。裏面はパッケージボディから露出される。パワーモジュールは更にヒートシンクを含む。ヒートシンクは、裏面と接触して、パッケージングされた構造体に固定される。基板の裏面がヒートシンクと直接接触することで、パワーチップの熱を素早くヒートシンクに伝え、そしてヒートシンクによって外部に伝えることができ、それによりパワーチップの放熱効率が効果的に向上される。
【0018】
一部の実施形態において、ドライブボードは、中央領域と該中央領域を取り囲むエッジ領域とを含む。中央領域は、パワーアセンブリに対向して配置される。パッケージングされた構造体は取り付け穴を含む。取り付け穴は、エッジ領域に位置して、ドライブボードからパワーチップへの方向にドライブボードとパッケージボディとを貫通する。ヒートシンクは、取り付け穴を介してパッケージングされた構造体に接続される。エッジ領域及びエッジ領域に位置するパッケージボディは、パッケージングされた構造体の取り付け部として理解されることができ、それ故に、パッケージングされた構造体は、該取り付け部を用いて別のコンポーネントに固定される。
【0019】
一部の実施形態において、パワーチップとは反対側のエッジ領域の表面を通じてネジが固定されるように、パワーチップとは反対側のエッジ領域の表面がパッケージボディから露出される。パッケージボディは脆い材料で作製され、パッケージボディは大きい応力の下で破損しやすい。エッジ領域にパッケージボディは配置されないので、ネジが締め付け力を直接的にドライブボードに伝え、それにより、パッケージボディにかかる応力が低減され、ネジが締め付け力を直接的にパッケージボディに伝えることによってパッケージボディが割れるリスクが回避される。
【0020】
一部の実施形態において、2つのパワーアセンブリが存在する。2つのパワーアセンブリの実装面が、互いに対向して配置されて互いに電気的に接続される。2つのパワーアセンブリのパッケージボディが接続される。ドライブボードは、2つのパワーアセンブリの間に配置されて少なくとも一方のパワーアセンブリに電気的に接続される。この実施形態では、2つのパワーアセンブリの間にドライブボードが埋め込まれて、ドライブボードと2つのパワーアセンブリのパワーチップとの間の距離が短縮され、ドライブボードと2つのパワーアセンブリのパワーチップとの間の接続ラインが更に短縮され、それにより接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0021】
第2の態様によれば、この出願はコンバータを保護する。当該コンバータは、回路ボードと、上述の実施形態のうちのいずれかの実施形態に従ったパワーモジュールとを含む。パワーモジュールが回路ボードに電気的に接続される。この出願で提供されるパワーモジュールを有するコンバータの一体化及び電気性能が効果的に向上される。
【0022】
第3の態様によれば、この出願は電子機器を保護する。当該電子機器は上述のコンバータを含み、コンバータが当該電子機器の電気信号を変換するように構成される。この出願で提供されるコンバータを有する電子機器の一体化及び電気性能が効果的に向上される。
【0023】
第4の態様によれば、この出願はパワーモジュールの製造方法を保護する。当該製造方法は、
第1のパワーボードを用意し、該第1のパワーボードは、基板と、該基板の実装面上に配置されたパワーチップとを含み、
ドライブボードを用意し、該ドライブボードを実装面とは反対側のパワーチップの側に配置し、且つ該ドライブボードをパワーチップに電気的に接続することで、パッケージング対象の構造体を形成し、
パッケージボディを用いてパッケージング対象の構造体をパッケージングすることで、パワーモジュールを形成する、ことを含む。
【0024】
この出願におけるパワーモジュールの製造方法では、実装面とは反対側のパワーチップの側にドライブボードが配置され、ドライブボードがパワーチップに電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体を形成し、そして、パッケージング対象の構造体がパッケージングされて、パッケージングされた構造体を形成する。具体的には、ドライブボードとパワーチップとを共にパッケージングすることで、ドライブボードとパワーチップとの間の距離を短くすることができる。また、パワーチップとドライブボードとの間の接続ラインが短くなり、それによりパワーチップとドライブボードとの間の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、すなわち、パワーモジュールの寄生パラメータが低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。さらに、ドライブボードと第1のパワーボードとが共にパッケージングされる。同一平面上にドライブボード及び第1のパワーボードを配置するのと比較して、これはパワーモジュールの平面的な面積を効果的に小さくすることができる。第1のパワーボードのパッケージングの際に、パッケージング後の第1のパワーボードの強度を確保するために、パッケージング後の第1のパワーボードの厚さは通常5mmよりも大きい。この厚さは、第1のパワーボードの厚さを増やすことなくドライブボード及び第1のパワーボードが共にパッケージングされることを可能にするのに十分である。すなわち、ドライブボード及び第1のパワーボードを共にパッケージングすることは、パッケージング後に得られる厚さには影響せず、それにより、パワーモジュールの一体化が効果的に向上され、パッケージサイズが縮小され、パワーモジュールのコストが低減される。
【0025】
一部の実施形態において、当該製造方法は更に、ドライブボードを実装面とは反対側のパワーチップの側に配置することの前に、実装面とは反対側のパワーチップの表面上に、パワーチップに電気的に接続された導電体を形成することを含み、ドライブボードが実装面とは反対側のパワーチップの側に配置されるときに、ドライブボードが導電体に電気的に接続される。導電体は、後続プロセスでパワーチップをドライブボードに接続して、パワーモジュールの寄生パラメータを低減させるとともに、パワーモジュールの電気性能を向上させるように構成される。
【0026】
一部の実施形態において、導電体は銅棒であり、又は導電体はリードフレームである。銅棒の長さは、ドライブボードとパワーチップとの間の距離に等しい。理解され得ることには、銅棒の長さ方向は銅棒内の電流の流れ方向であり、それ故に、銅棒の長さは最短であり、すなわち、ドライブボードとパワーチップとの間の接続ラインが最短であり、それによりパワーモジュールの接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。導電体がリードフレームである場合、リードフレームが、ピンとパワーチップとの間の電気接続と2つのパワーチップの間の電気接続との両方を実現し、それ故に、パワーチップとピンとを接続するため及び2つのパワーチップ同士を接続するために追加のリードを導入する必要がない。従って、パワーモジュールの構造がいっそう単純になり、パワーモジュールの製造工程が削減され、パワーモジュールの生産効率が向上される。また、リードと比較して、リードフレームの方が強力な通電能力及び小さい寄生パラメータを持ち、それ故に、パワーチップの放熱効果を更に向上させることができる。
【0027】
一部の実施形態において、当該製造方法は更に、パワーチップが基板の実装面上に配置されるときに、ピンを実装面に固定することを含み、ドライブボードが実装面とは反対側のパワーチップの側に配置されるときに、ピンがドライブボードを貫通する。これは、パワーモジュールの製造工程を削減し、生産コストを低減させ、パワーモジュールの生産効率を向上させる助けとなる。
【0028】
一部の実施形態において、当該製造方法は更に、ドライブボードが第1のパワーボードに電気的に接続された後に、第2のパワーボードを用意し、該第2のパワーボードを第1のパワーボードとは反対側のドライブボードの側に配置し、且つ該第2のパワーボードを第1のパワーボードに電気的に接続することで、パッケージング対象の構造体を形成することを含む。この実施形態では、2つのパワーボードの間にドライブボードが埋め込まれて、ドライブボードと2つのパワーボードのパワーチップとの間の距離が短縮され、ドライブボードと2つのパワーボードのパワーチップとの間の接続ラインが更に短縮され、それにより接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0029】
一部の実施形態において、パッケージング対象の構造体は、プラスチックパッケージングプロセスを用いてパッケージングされる。この実施形態において、プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成されたパワーモジュールは良好な封止性能を持ち、それ故に、パワーモジュールの耐湿性及び信頼性を向上させることができる。
【0030】
一部の実施形態において、パッケージング対象の構造体をパッケージングするための特定の一方法は次のとおりである:パッケージハウジングを用意し、パッケージハウジング内にパッケージング対象の構造体を固定し、そして、パッケージハウジング内の隙間を充たすようにパッケージハウジング内に接着剤を注入する。この実施形態では、ハウジングパッケージングプロセスを用いてパッケージボディが形成される。このプロセスは単純であり、それによりパワーモジュールの生産効率が効果的に向上される。
【0031】
一部の実施形態において、パッケージボディとパッケージング対象の構造体とで、パッケージングされた構造体を構成し、パワーチップとは反対側の基板の表面が裏面であり、当該製造方法は更に、ヒートシンクを用意し、パッケージングされた構造体にヒートシンクを固定し、ヒートシンクを裏面と接触させてパワーチップの放熱効率を向上させることを含む。
【0032】
一部の実施形態において、ドライブボードは、中央領域と該中央領域を取り囲むエッジ領域とを含み、中央領域は、パワーアセンブリに対向して配置され、エッジ領域はビアを含み、当該製造方法は更に、パッケージング対象の構造体のパッケージングに際し、ビア及びパッケージボディを貫通する取り付け穴を形成することを含む。パッケージングされた構造体にヒートシンクを固定する具体的な一工程は次のとおりである:ネジが取り付け穴を通り抜けて、ヒートシンクに締め付けられる。確かなことには、他の一実施形態において、ヒートシンクは代わりに、ネジを用いて又は別の固定方式で、パッケージングされた構造体に固定されてもよい。あるいは、パッケージングされた構造体は代わりに、例えばボンディング又はクランピングなどの別の接続方式でヒートシンクに固定されてもよい。
【0033】
この実施形態におけるパワーモジュールでは、ドライブボードがパワーアセンブリのパッケージボディ内に配置され、実装面とは反対側のパワーチップの側にドライブボードが位置することで、ドライブボードとパワーチップとの間の距離が短縮される。また、パワーチップとドライブボードとの間の接続ラインが短くなり、それにより、パワーチップとドライブボードとの間の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、すなわち、パワーモジュールの寄生パラメータが低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】この出願の一実施形態に従った電子機器の構造の概略図である。
図2図1に示した電子機器のコンバータの部分構造の概略図である。
図3図2に示したコンバータのパワーモジュールの第1実施形態の構造の概略図である。
図4図3に示したパワーモジュールの他の一実装の構造の概略図である。
図5図2に示したコンバータのパワーモジュールの第2実施形態の構造の概略図である。
図6図2に示したコンバータのパワーモジュールの第3実施形態の構造の概略図である。
図7図2に示したコンバータのパワーモジュールの第4実施形態の構造の概略図である。
図8図3に示したパワーモジュールの製造方法の概略フローチャートである。
図9図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図10図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図11図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図12図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図13図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図14図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図15図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図16図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図17図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図18図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図19図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図20図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
図21図9図21は、図8に示した製造方法の具体的な概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この出願の実施形態内の添付図面を参照して、この出願の実施形態を説明する。
【0036】
図1は、この出願の一実施形態に従った電子機器100の構造の概略図である。
【0037】
電子機器100は、コンバータ1とハウジング2とを含む。コンバータ1はハウジング2に収容され、コンバータ1は電子機器100の電気信号を変換するように構成される。この実施形態における電子機器100は、以下に限られないが、例えば風力タービン、太陽光発電機、電気自動車、及び大型家電などの、コンバータ1を備えた電子機器100を含む。この出願で提供されるコンバータ1を備えた電子機器100の一体化及び電気性能が効果的に向上される。
【0038】
図2は、図1に示した電子機器100のコンバータ1の部分構造の概略図である。
【0039】
コンバータ1は、パワーモジュール10と回路ボード20とを含む。パワーモジュール10は回路ボード20に取り付けられ、回路ボード20がパワーモジュール10に電気的に接続されてパワーモジュール10を制御する。この実施形態におけるコンバータ1は、以下に限られないが、例えば直流-交流変換器及び直流-直流変換器などの、パワーモジュール10を備えたコンバータを含む。この出願で提供されるパワーモジュール10を備えたコンバータ1の一体化及び電気性能が効果的に向上される。
【0040】
図3は、図2に示したコンバータ1のパワーモジュール10の第1実施形態の構造の概略図である。
【0041】
パワーモジュール10は、パワーアセンブリ11及びドライブボード12を含む。パワーアセンブリ11は、基板111、パワーチップ112、及びパッケージボディ113を含む。パワーチップ112は、基板111の実装面1110上に配置される。パッケージボディ113が、基板111上のパワーチップ112をパッケージングする。ドライブボード12は、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側に位置してパッケージボディ113内に配置され、パワーアセンブリ11とともにパッケージングされた構造体13を形成する。ドライブボード12がパワーチップ112に電気的に接続され、動作させるべくパワーチップ112を駆動する。理解され得ることには、パッケージボディ113がドライブボード12及び基板111上のパワーチップ112をパッケージングして、パッケージングされた構造体13を形成する。
【0042】
この実施形態におけるパワーモジュール10では、ドライブボード12がパワーアセンブリ11のパッケージボディ113内に配置され、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側にドライブボード12が位置することで、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が短縮される。また、パワーチップ112とドライブボード12との間の接続ラインが短くなり、それにより、パワーチップ112とドライブボード12との間の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、すなわち、パワーモジュール10の寄生パラメータが低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。さらに、パワーアセンブリ11のパッケージボディ113内にドライブボード12が配置され、すなわち、パワーアセンブリ11の内部にドライブボード12が配置される。同一平面上にドライブボード12及びパワーアセンブリ11を配置するのと比較して、これはパワーモジュール10の平面的な面積を効果的に小さくすることができる。パワーアセンブリ11のためにパッケージボディ113が形成されるとき、パワーアセンブリ11の強度を確保するために、パワーアセンブリ11の厚さは通常5mmよりも大きい。この厚さは、パワーアセンブリ11の厚さを増やすことなくパワーアセンブリ11のパッケージボディ113にドライブボード12を埋め込むのを可能にするのに十分である。すなわち、パッケージボディ113内にドライブボード12を配置することはパワーアセンブリ11の厚さには影響せず、それにより、パワーモジュール10の一体化が効果的に向上され、パッケージサイズが縮小され、パワーモジュール10のコストが低減される。
【0043】
理解され得ることには、寄生パラメータには主に、寄生インダクタンスと寄生抵抗との2つが存在する。寄生インダクタンスの大きさは主に2つの要因に影響され、1つは接続ラインの長さであり、接続ラインが長いほど大きい寄生インダクタンスをもたらし、もう1つは接続ラインで囲まれた面積であり、接続ラインで囲まれた面積が大きいほど大きい寄生インダクタンスをもたらす。寄生抵抗の場合、接続ラインが長いほど大きい寄生抵抗をもたらす。従って、この出願において、ドライブボード12とパワーチップ112との間のより短い距離は、ドライブボード12とパワーチップ112との間のより短い接続ラインを示し、接続ラインで囲まれる面積も小さくなり、それによりパワーモジュール10の寄生インダクタンス及び寄生抵抗が効果的に低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。
【0044】
基板111は、支持板a1、ライン層a2、及び金属層a3を含む。ライン層a2及び金属層a3は、それぞれ、支持板a1の2つの反対側の表面に形成され、ライン層a2及び金属層a3がそれぞれ支持板a1の2つの面に位置することで、支持板a1の平坦性を確保して支持板a1の反りを防止する。支持板a1とは反対側のライン層a2の表面が実装面1110であり、すなわち、支持板a1とは反対側のライン層a2の表面にパワーチップ112が配置される。パワーチップ112とは反対側の基板111の表面は裏面1111であり、すなわち、支持板a1とは反対側の金属層a3の表面が裏面1111であり、裏面1111はパッケージボディ113から露出される。ライン層a2は、パワーチップ112と別のデバイスとの間の電気接続を実現するように構成されることができ、あるいは、パワーチップ112同士間の電気接続を実現するように構成されることができる。金属層a3の裏面1111がパッケージボディ113から露出されるので、金属層a3はパワーチップ112の熱を外部に効果的に伝えることができ、それによりパワーチップ112の放熱効率が向上される。また、金属層a3は更に基板111の強度を効果的に高めることができる。
【0045】
この実施形態において、支持板a1は、例えばセラミックなどの絶縁放熱材料で作製され得る。セラミックは、例えば、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、又は窒化アルミニウムなどのセラミック材料とし得る。セラミック材料は良好な放熱効果を有し、パワーチップ112に関する熱を素早く放散することができる。ライン層a2及び金属層a3は、例えば、銅、ニッケル、又はアルミニウム材料などの金属材料で作製され、パワーチップ112に関する熱を素早く放散することができる。ライン層a2と金属層a3は同じ材料で作製されてもよいし、異なる材料で作製されてもよい。また、ライン層a2は更に、パワーチップ112と別のラインとの間の電気接続を実現するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、支持板a1は代わりに他の絶縁材料で作製されてもよい。
【0046】
この実施形態において、ライン層a2は第1ラインa21及び第2ラインa22を含んでいる。第2ラインa22は第1ラインa21の両側に位置する。支持板a1とは反対側の第1ラインa21及び第2ラインa22の表面が一緒になって実装面1110を構成する。第1ラインa21上にパワーチップ112が配置され、パワーチップ112はリードを介して第2ラインa22に接続される。確かなことには、パワーチップ112は代わりに他の導電構造を用いて第2ラインa22に接続されてもよく、第2ラインa22は別の素子に接続される。すなわち、第2ラインa22は、パワーチップ112と別の素子との間の接続を実現するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、ライン層a2の構造は上述の説明に限定されず、ライン層a2の具体的な構造はパワーチップ112の接続要件に従って構成され得る。
【0047】
この実施形態において、1つ以上のパワーチップ112が存在し得る。例えば、図3では、2つのパワーチップ112がある。2つのパワーチップ112は間隔を置いて第1ラインa21上に配置され、2つのパワーチップ112同士がリードを介して電気的に接続される。リード接続プロセスは成熟したものであり且つ単純であり、低いコストを有する。パワーチップ112は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide semiconductor field-effect transistor、MOSFET)、及び/又はダイオードとし得る。パワーチップ112は、溶接、ボンディング、又はこれらに類するものによって第1ラインa21に固定され得る。例えば、パワーチップ112を第1ラインa21に電気接続する必要がある場合、パワーチップ112は溶接によって第1ラインa21に固定され得る。パワーチップ112を第1ラインa21に電気接続する必要がない場合、例えばボンディングなどの他の方式でパワーチップ112が第1ラインa21に固定され得る。確かなことには、他の一実施形態において、2つのパワーチップ112は代わりに例えばリードフレームなどの接続構造を用いて接続されてもよい。
【0048】
この実施形態におけるパッケージボディ113は、プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成される。パッケージボディ113は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコーンなどのプラスチック材料で作製され得る。プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成されたパッケージボディ113は良好な封止性能を持ち、それ故に、パッケージングされた構造体13の耐湿性及び信頼性を向上させることができる。具体的には、パッケージボディ113は、基板111の裏面1111から、パワーチップ112とは反対側のドライブボード12の側までの領域にパッケージングされ、パッケージボディ113は、パワーチップ112とは反対側のドライブボード12の側のエッジには配置されず、それにより、パワーチップ112と関連構造との間のフィッティングが容易となる。他の一実施形態において、パッケージボディ113は代わりに例えばハウジングパッケージングプロセスなどの他のプロセスを用いて形成されてもよい。
【0049】
パワーアセンブリ11は更にピン114を含む。ピン114はドライブボード12とパッケージボディ113の一部とを貫通する。ピン114の一端が実装面1110上に配置されてパワーチップ112に電気的に接続され、ピン114の他端がパッケージボディ113から露出される。具体的には、ピン114が、当該ピン114に対応する第2ラインa22上に配置されることで、ピン114は、第2ラインa22を介して、当該ピン114に対応するパワーチップ112に電気的に接続される。ピン114は、パワーチップ112と回路ボード20(図2)との間の電気接続を実現するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、パワーチップ112のピン114は代わりに、パワーチップ112とドライブボード12との間の電気接続を実現するように構成されてもよい。あるいは、ピン114はドライブボード12を貫通しなくてもよい。あるいは、ピン114以外の構造を用いてパワーチップ112を回路ボード20に接続してもよい。
【0050】
実装面1110に対して垂直な方向において、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が、ドライブボード12と実装面1110とは反対側のパッケージボディ113の表面との間の距離よりも小さい。この実施形態では、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が、ドライブボード12と実装面1110とは反対側のパッケージボディ113の表面との間の距離よりも小さいことを必要とすることで、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が十分に短いことが確保され、それにより、ドライブボード12とパワーチップ112との間の接続ラインの寄生パラメータが十分に小さいことが確保され、パワーモジュール10の電気性能が効果的に向上される。
【0051】
この実施形態では、2つのピン114があり、2つのピン114は、それぞれ、2つのパワーチップ112の両側で第2ラインa22に配置されている。換言すれば、2つのピン114の間に2つのパワーチップ112が配置されている。ピン114は、当該ピン114に対応する第2ラインaに、はんだペーストを用いて溶接されることができ、あるいは、当該ピン114に対応する第2ラインa22に、超音波溶接、銀焼結、又はこれらに類するものによって固定されることができる。ピン114の形状は、円柱形状、楕円柱形状、直方体形状、多角形形状、又はこれらに類するものとし得る。2つのピン114の形状は同じであってもよいし異なってもよい。ピン114の材料は、例えば、Cu、Ag、又はAlといった、良好な導電性を持つ金属又は合金とし得る。確かなことには、他の一実施形態において、パワーチップ112及びピン114の配置方式並びにピン114の数は代わりに、実際の要求に従ってアレンジされ得る。
【0052】
ドライブボード12は、中央領域121と、中央領域121を取り囲むエッジ領域122とを含む。中央領域121は、パワーアセンブリ11に対向して配置される。中央領域121に、例えばドライブチップ123、抵抗124、キャパシタ、光カプラなどの電子素子が配置されて駆動回路を形成する。パワーアセンブリ11のパワーチップ112は、ドライブチップ123に電気的に接続される。パッケージングされた構造体13は、取り付け穴131を含む。取り付け穴131は、エッジ領域122に位置して、ドライブボード12からパワーチップ112への方向にドライブボード12とパッケージボディ113とを貫通する。関連コンポーネントが、取り付け穴を介してパッケージングされた構造体13に接続される。エッジ領域122及びエッジ領域122に位置するパッケージボディ113は、パッケージングされた構造体13の取り付け部として理解されることができ、それ故に、パッケージングされた構造体13は、該取り付け部を用いて別のコンポーネントに固定される。
【0053】
確かなことには、他の一実施形態の一実装シナリオにおいて、関連コンポーネントは代わりにネジを用いて又は他の固定方式で、パッケージングされた構造体13に固定されてもよい。他の一実施形態の他の一実装シナリオにおいて、パッケージングされた構造体13は代わりに、例えばボンディング又はクランピングなどの別の接続方式で関連コンポーネントに固定されてもよい。他の一実施形態の更なる他の一実装シナリオにおいて、例えば抵抗124、キャパシタ、及び光カプラなどの小さい電子素子は代わりにエッジ領域122に部分的に配置されてもよい。他の一実施形態のなおも他の一実装シナリオにおいて、ドライブボード12を関連コンポーネントに固定する必要がない場合、ドライブボード12は代わりに中央領域121のみを含んでもよく、すなわち、ドライブボード12はエッジ領域122を含まなくてもよい。
【0054】
この実施形態において、パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面を通じてネジ132が固定されるように、パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面がパッケージボディ113から露出され、すなわち、パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面にはパッケージボディ113が配置されない。また、パッケージボディ113は脆い材料で作製され、パッケージボディ113は大きい応力の下で破損しやすい。エッジ領域122にパッケージボディ113は配置されないので、ネジ132が締め付け力を直接的にドライブボード12に伝え、それにより、パッケージボディ113にかかる応力が低減され、ネジ132が締め付け力を直接的にパッケージボディ113に伝えることによってパッケージボディ113が割れるリスクが回避される。
【0055】
ドライブボード12に更に貫通孔125を含む。貫通孔125は、ピン114がドライブボード12を貫通して関連外部素子に接続されるように、ドライブボード12に対応するピン114が通り抜けることを可能にするよう構成される。この実施形態では、ピン114は貫通孔125を通り抜けており、貫通孔125には電気的に接続されない。確かなことには、他の一実施形態において、ピン114は代わりに、ドライブボード12とパワーチップ112との間の電気接続を実現するように、貫通孔125を介してドライブボード12に電気的に接続されてもよい。
【0056】
パワーモジュール10は更にヒートシンク14を含み、ヒートシンク14は、裏面1111と接触して、パッケージングされた構造体13に固定される。具体的には、ネジ132が取り付け穴131を通ってヒートシンク14に接続されて、パッケージングされた構造体13にヒートシンク14を固定する。基板111の裏面1111がヒートシンク14と直接接触することで、パワーチップ112の熱を素早くヒートシンク14に伝え、そしてヒートシンク14によって外部に伝えることができ、それによりパワーチップ112の放熱効率が効果的に向上される。
【0057】
パワーモジュール10は更に導電体15を含む。導電体15はパワーチップ112とドライブボード12との間に位置する。パワーチップ112は導電体15を介してドライブボード12に接続される。具体的には、ドライブボード12上のドライブチップ123が、導電体15を介してパワーアセンブリ11のパワーチップ112に接続される。パワーアセンブリ11のパッケージボディ113内にドライブボード12が配置されるので、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が短縮される。また、ドライブボード12とパワーチップ112との間に接続される接続ライン(導電体15)が短くなり、それによりパワーモジュール10の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。
【0058】
この実施形態における導電体15は、複数の方式で実装され得る。詳細を以下にて説明する。
【0059】
一実装において、図3に示すように、導電体は銅棒15であり、銅棒15の両端が、それぞれ、パワーチップ112及びドライブボード12に電気的に接続される。具体的には、銅棒15の両端は、それぞれ、パワーチップ112とドライブボード12上のドライブチップ123とに電気的に接続される。銅棒15の数はパワーチップ112の数に一致し、1つの銅棒15が1つのパワーチップ112に対応する。銅棒15の長さは、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離に等しい。理解され得ることには、銅棒15の長さ方向は銅棒15内の電流の流れ方向であり、それ故に銅棒15の長さは最短であり、それによりパワーモジュール10の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。確かなことには、他の一実施形態において、パワーチップ112は代わりに、例えばリードなどの別の導電構造を用いてドライブボード12に接続されてもよい。
【0060】
図4は、図3に示したパワーモジュール10の他の一実装の構造の概略図である。
【0061】
他の一実装において、導電体はリードフレーム(Lead Frame、LF)15である。リードフレーム15は、互いに接続された第1端子151及び第2端子152を含む。第1端子151がパワーチップ112に電気的に接続される。第2端子152がドライブボード12に電気的に接続される。具体的には、第2端子152は、ドライブボード12上のドライブチップ123に電気的に接続される。リードフレーム15の数はパワーチップ112の数に一致する。この実装において、リードフレーム15はかなり良い通電能力を持ち、それによりパワーモジュール10の寄生パラメータが効果的に低減されるとともに、パワーチップ112の放熱能力が効果的に向上される。また、リードフレームを介して2つのパワーチップ112を電気的に接続することもでき、それによりパワーモジュール10の製造工程が効果的に削減され、パワーモジュール10の生産効率が向上される。
【0062】
リードフレーム15は更に、第1端子151に電気的に接続された第3端子153を含み、第3端子153はピン114に電気的に接続される。具体的には、第3端子153は、ピン114に電気的に接続されるように、第2ラインa22に電気的に接続される。すなわち、この実装におけるリードフレーム15は、ピン114とパワーチップ112との間の電気接続も実現することができ、それ故に、パワーチップ112とピン114とを接続するために追加のリードを導入する必要がない。従って、パワーモジュール10の構造がいっそう単純になり、パワーモジュール10の製造工程が削減され、パワーモジュール10の生産効率が向上される。また、リードと比較して、リードフレーム15の方が強力な通電能力及び小さい寄生パラメータを持ち、それ故に、パワーチップ112の放熱効果を更に向上させることができる。
【0063】
図5は、図2に示したパワーモジュール10の第2実施形態の構造の概略図である。
【0064】
この実施形態におけるパワーモジュール10の構造は、第1実施形態におけるものと略同じである。違いは、この実施形態では、パワーチップ112がピン114を介してドライブボード12に電気的に接続され、ピン114がドライブボード12に電気的に接続されることで、ドライブボード12がパワーチップ112に電気的に接続されることにある。具体的には、ピン114が、貫通孔125を通ってドライブボード12を貫通する際に貫通孔125の穴壁に電気的に接続されるとともに、貫通孔125の穴壁がドライブボード12上のドライブチップ123に電気的に接続される。実装面1110とは遠い側のピン114の端部が更に回路ボード20(図2)に接続される。すなわち、ピン114は、パワーチップ112とドライブボード12上のドライブチップ123との間の電気接続を実現することができ、また、パワーチップ112と外部の回路ボード20との間の電気接続を実現することもでき、それによりパワーモジュール10の構造が単純になる。確かなことには、他の一実施形態において、ピン114は代わりに、パワーチップ112とドライブボード12上のドライブチップ123との間の電気接続のみを実現するように構成されてもよい。
【0065】
図6は、図2に示したパワーモジュール10の第3実施形態の構造の概略図である。
【0066】
この実施形態におけるパワーモジュール10の構造は、第1実施形態におけるものと略同じである。違いは、この実施形態では、パワーモジュール10が更にパッケージハウジング16を含むことにある。パワーアセンブリ11及びドライブボード12がパッケージハウジング16内に収容される。パワーチップ112とは反対側のピン114の端部がパッケージハウジング16の外に延びる。パッケージボディ113は、ハウジングパッケージングプロセスを用いてパッケージハウジング16内の隙間に注入される。具体的には、例えばシリコンゲル又はエポキシ樹脂などのパッケージング材料がパッケージハウジング16に注入されてパッケージボディ113を形成する。この出願において、パッケージボディ113は、ハウジングパッケージングプロセスを用いて形成される。このプロセスは単純であり、それによりパワーモジュール10の生産効率が効果的に向上される。
【0067】
パッケージハウジング16は、ベースプレート161とカバー162とを含む。カバー162がベースプレート161を覆って、ベースプレート161とともに、パワーアセンブリ11及びドライブボード12を収容する空間を形成する。具体的には、基板111の金属層a3が溶接によってベースプレート161に固定され、パワーチップ112とは反対側のピン114の端部がカバー162から外に延びる。この実施形態では、金属層a3が溶接によってベースプレート161に固定される。これは、基板111とベースプレート161との間の接続の強度を確保しつつ、パワーチップ112から基板111に伝わった熱を速やかにベースプレート161に伝える助けとなり、それ故に、ベースプレート161を介して外に熱が伝えられ、それによりパワーモジュール10の放熱効率が効果的に向上される。確かなことには、基板111の金属層a3は代わりに例えばボンディング又はクランピングなどの他の接続方式でベースプレート161に固定されてもよい。
【0068】
この実施形態では、リードを用いて2つのパワーチップ112同士を接続するとともにパワーチップ112をピン114に接続しており、そして、銅棒15を介してパワーチップ112をドライブボード12に接続している。確かなことには、パワーチップ112は代わりにリードを介してドライブボード12に接続されてもよい。また、リードフレーム15を用いて、2つのパワーチップ112同士を接続し、パワーチップ112をピン114に接続し、且つパワーチップ112をドライブボード12に接続してもよい。
【0069】
この実施形態におけるドライブボード12は中央領域121のみを含んでいる。中央領域121に例えばドライブチップ123、抵抗124、キャパシタ、及び光カプラなどの電子素子が配置されて駆動回路を形成する。パワーアセンブリ11のパワーチップ112はドライブチップ123に電気的に接続される。
【0070】
ヒートシンク14が、ベースプレート161に固定されて、基板111とは反対側のベースプレート161の表面と接触しており、それ故に、ベースプレート161はヒートシンク14を介してパワーチップ112の熱を速やかに外部に伝達し、それによりパワーチップ112の放熱効率が向上され、パワーモジュール10の電気性能が更に向上される。具体的には、ヒートシンク14は、例えばネジ止め、クランピング、及びボンディングなどの接続方式のうちの1つでベースプレート161に固定され得る。確かなことには、他の一実施形態において、この実施形態におけるパワーモジュールは代わりにヒートシンクを備えていなくてもよい。
【0071】
図7は、図2に示したパワーモジュール10の第4実施形態の構造の概略図である。
【0072】
この実施形態におけるパワーモジュール10の構造は、第1実施形態におけるものと略同じである。違いは、この実施形態では、パワーアセンブリ11が2つあることにある。2つのパワーアセンブリ11の実装面1110が、互いに対向して配置されて互いに電気的に接続される。2つのパワーアセンブリ11のパッケージボディ113が接続される。ドライブボード12は、2つのパワーアセンブリ11の間に配置されて少なくとも一方のパワーアセンブリ11に電気的に接続される。理解され得ることには、ドライブボード12は、これらパワーアセンブリ11のいずれか一方のパッケージボディ113に埋め込まれることができ、あるいは、ドライブボード12は、これら2つのパワーアセンブリ11のパッケージボディ113間に埋め込まれることができ、具体的には、ドライブボード12の一部が一方のパワーアセンブリ11のパッケージボディ113に埋め込まれ、他の部分が他方のパワーアセンブリ11のパッケージボディ113に埋め込まれる。
【0073】
この実施形態では、2つのパワーアセンブリ11の間にドライブボード12が埋め込まれて、ドライブボード12と2つのパワーアセンブリ11のパワーチップ112との間の距離が短縮され、ドライブボード12と2つのパワーアセンブリ11のパワーチップ112との間の接続ラインが更に短縮され、それにより接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。また、ドライブボード12とは反対側の2つのパワーアセンブリ11の金属層a3の表面がどちらもパッケージボディ113から露出されて、2つのパワーアセンブリ11に対応するパワーチップ112に関する熱を放散させ、それによりパワーチップ112の放熱効率が向上され、パワーモジュール10の電気性能が効果的に向上される。
【0074】
この実施形態では、図7に示すように、区別を容易にするために、2つのパワーアセンブリ11をパワーアセンブリ11aとパワーアセンブリ11bとし、パワーアセンブリ11aがドライブボード12に電気的に接続されている。具体的には、パワーアセンブリ11aのパワーチップ112がリードフレーム15を介してドライブボード12上のドライブチップ123に接続されている。確かなことには、パワーアセンブリ11aのパワーチップ112は代わりに例えばリード又は金属棒などの導電構造を用いてドライブボード12上のドライブチップ123に接続されてもよい。他の一実施形態において、ドライブボード12は代わりに2つのパワーアセンブリ11のパワーチップ112に電気的に接続されてもよい。さらに、ドライブボード12は、パワーアセンブリ11aとパワーアセンブリ11bとに同じ方式で接続されてもよいし、異なる方式で接続されてもよい。
【0075】
パワーモジュール10は導電棒17及びピン114を含んでいる。導電棒17の両端が、それぞれ、導電棒17に対応するパワーアセンブリ11aの実装面1110及び導電棒17に対応するパワーアセンブリ11bの実装面1110に接続される。具体的には、導電棒17の両端は、それぞれ、導電棒17に対応するパワーアセンブリ11aの第2ラインa22及び導電棒17に対応するパワーアセンブリ11bの第2ラインa22に接続され、そして、それぞれ、パワーアセンブリ11aのパワーチップ112及びパワーアセンブリ11bのパワーチップ112に電気的に接続される。ピン114の一端がパワーアセンブリ11aの第2ラインa22の導電棒17に固定され、ピン114の他端が、パワーアセンブリ11aのパッケージボディ113及び/又はパワーアセンブリ11bのパッケージボディ113の側から外に延びて、例えば回路ボードといった関連外部デバイスに接続する。図7に示すように、2つの導電棒17と2つのピン114があり、2つの導電棒17は、それぞれ、2つのパワーチップ112の両側に位置し、2つのピン114は、それぞれ、パッケージボディ113の両側からパッケージボディ113の外に延びる。この出願において、導電棒17は、パワーアセンブリ11aとパワーアセンブリ11bとの間の電気接続を実現するように構成され、ピン114は、パワーアセンブリ11a及びパワーアセンブリ11bを外部デバイスに接続するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、ピン114及び導電棒17の数及び具体的な構造は上述の説明に限定されない。
【0076】
この実施形態では、リードフレーム15を用いて、パワーアセンブリ11aの2つのパワーチップ112同士を接続するとともに、それらパワーチップ112を導電棒17に接続している。リードを用いて、パワーアセンブリ11bの2つのパワーチップ112同士を接続するとともに、それらパワーチップ112を導電棒17に接続している。確かなことには、リード又は他の導電構造を代わりに用いて、パワーアセンブリ11aの2つのパワーチップ112同士を接続するとともに、それらパワーチップ112を導電棒17に接続してもよい。リードフレーム15又は他の導電構造を代わりに用いて、パワーアセンブリ11bの2つのパワーチップ112同士を接続するとともに、それらパワーチップ112を導電棒17に接続してもよい。
【0077】
パワーアセンブリ11aのパッケージボディ113とパワーアセンブリ11bのパッケージボディ113とが一体化されることで、パワーアセンブリ11aと、パワーアセンブリ11bと、ドライブボード12とを含むパッケージングされた構造体13の接続強度が高くなる。具体的には、プラスチックパッケージングプロセスを用いることにより、パワーアセンブリ11aのパッケージボディ113とパワーアセンブリ11bのパッケージボディ113とで、一体成形されたパッケージボディ113を形成する。確かなことには、パワーアセンブリ11aのパッケージボディ113及びパワーアセンブリ11bのパッケージボディ113は代わりにハウジングパッケージングプロセスを用いて形成されてもよい。
【0078】
この出願の保護範囲は、第1実施形態から第4実施形態に限定されず、第1実施形態から第4実施形態の任意の組み合わせもこの出願の保護範囲にある。すなわち、上述の複数の実施形態は代わりに、実際の要求に従って組み合わされてもよい。
【0079】
図8は、図3に示したパワーモジュールの製造方法の概略フローチャートである。図8に示すように、パワーモジュールの製造方法はS110-S130を含む。
【0080】
S110: 基板111と、基板111の実装面1110上に配置されたパワーチップ112と、を含む第1のパワーボードを用意する。
【0081】
具体的には、図9図12に示すように、第1のパワーボード11cを用意する具体的な工程は次のとおりである:先ず、図9に示すように、基板111が用意される。基板111は、支持板a1、ライン層a2、及び金属層a3を含む。ライン層a2及び金属層a3は、それぞれ、支持板a1の2つの反対側の表面に形成され、ライン層a2及び金属層a3がそれぞれ支持板a1の2つの面に位置することで、支持板a1の平坦性を確保して支持板a1の反りを防止する。支持板a1とは反対側のライン層a2の表面が実装面1110であり、すなわち、支持板a1とは反対側のライン層a2の表面にパワーチップが配置される。パワーチップとは反対側の基板111の表面は裏面1111であり、すなわち、支持板a1とは反対側の金属層a3の表面が裏面1111である。ライン層a2は第1ラインa21及び第2ラインa22を含む。第1ラインa21の両側に第2ラインa22が位置する。支持板a1とは反対側の第1ラインa21及び第2ラインa22の表面が一緒になって実装面1110を構成する。確かなことには、他の一実施形態において、ライン層a2の構造は上述の構造に限定されず、ライン層a2の具体的な構造はパワーチップの接続要件に従って構成され得る。
【0082】
この実施形態において、支持板a1は、例えばセラミックなどの絶縁放熱材料で作製され得る。セラミックは、例えば、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、又は窒化アルミニウムなどのセラミック材料とし得る。セラミック材料は良好な放熱効果を有し、後続のプロセスで基板111上に配置されるパワーチップに関する熱を素早く放散することができる。ライン層a2及び金属層a3は、例えば、銅、ニッケル、又はアルミニウム材料などの金属材料で作製され、後続のプロセスで基板111上に配置されるパワーチップに関する熱を素早く放散することができ、さらに、基板111の強度を効果的に高めることができる。ライン層a2と金属層a3は同じ材料で作製されてもよいし、異なる材料で作製されてもよい。また、ライン層a2は更に、後続のプロセスで基板111上に配置されるパワーチップと別のラインとの間の電気接続を実現するように構成される。確かなことには、他の一実施形態において、支持板a1は代わりに他の絶縁材料で作製されてもよい。
【0083】
次いで、図10に示すように、パワーチップ112が用意される。パワーチップ112は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、及び/又はダイオードとし得る。確かなことには、他の一実施形態において、パワーチップ112は基板111の前に用意されてもよい。あるいは、基板111とパワーチップ112は同時に用意されてもよい。
【0084】
次いで、パワーチップ112が基板111の実装面1110上に配置される。具体的には、第1ラインa21上にはんだ錫をプリントしてから、第1ラインa21にパワーチップ112が溶接される。この実施形態では、2つのパワーチップ112がある。2つのパワーチップ112は間隔を置いて第1ラインa21上に配置される。確かなことには、他の一実施形態において、代わりに1つ以上のパワーチップ112が第1ラインa21に溶接されてもよい。あるいは、パワーチップ112は、異なる条件に基づいて、溶接、ボンディング、又はこれらに類するものによって第1ラインa21に固定され得る。例えば、パワーチップ112を第1ラインa21に電気接続する必要がある場合、パワーチップ112は溶接によって第1ラインa21に固定され得る。パワーチップ112を第1ラインa21に電気接続する必要がない場合、例えばボンディングなどの他の方式でパワーチップ112が第1ラインa21に固定され得る。
【0085】
基板111の実装面1110上にパワーチップ112が配置されるとき、実装面1110にピン114が固定される。まず、第1ラインa21及び第2ラインa22の両方の上にはんだ錫がプリントされる。次いで、第1ラインa21にパワーチップ112が溶接され、同時に第2ラインa22にピン114が溶接される。具体的には、2つのピン114があり、2つのピン114は、それぞれ、2つのパワーチップ112の両側で第2ラインa22に溶接される。この実施形態では、ピン114は実装面1110に対して垂直である。あるいは、ピン114は、当該ピン114に対応する第2ラインaに、はんだペーストを用いることによる溶接、超音波溶接、銀焼結、又はこれらに類するものによって固定されてもよい。ピン114の形状は、円柱形状、楕円柱形状、直方体形状、多角形形状、又はこれらに類するものとし得る。2つのピン114の形状は同じであってもよいし異なってもよい。ピン114の材料は、例えば、Cu、Ag、又はAlといった、良好な導電性を持つ金属又は合金とし得る。確かなことには、ピン114の数及び配置方式は代わりに、実際の要求に従ってアレンジされ得る。あるいは、ピン114は実装面1110に対して垂直でなくてもよい。
【0086】
この実施形態では、パワーチップ112とピン114が同時に実装面1110に取り付けられる。これは、パワーモジュールの製造工程の減らすこと、生産コストを減らすこと、及びパワーモジュールの生産効率を向上させることの助けとなる。他の一実施形態では、代わりに、ピン114の前にパワーチップ112が実装面1110に取り付けられてもよいし、パワーチップ112の前にピン114が実装面1110に取り付けられてもよい。
【0087】
次いで、図11及び図12に示すように、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に、パワーチップ112と電気的に接続される導電体15が形成され、導電体15は、パワーチップ112を後続のプロセスで取り付けられる関連素子に電気的に接続するように構成される。具体的には、導電体15を形成する工程は複数の方式で実施され得る。詳細を次のとおり説明する。
【0088】
一実装において、図11に示すように、導電体が銅棒15である場合、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に導電体15が形成される前に、先ず、2つのパワーチップ112同士が電気的に接続され、また、パワーチップ112が当該パワーチップ112に対応するピン114に電気的に接続される。2つのパワーチップ112同士はリードを介して接続され、パワーチップ112は当該パワーチップ112に対応するピン114に間接的に電気接続される。具体的には、第2ラインa22とパワーチップ112との間にリードが接続されることで、パワーチップ112が当該パワーチップ112に対応するピン114に間接的に電気接続される。リード接続プロセスは成熟したものであり且つ単純であり、低いコストを有する。確かなことには、他の一実施形態において、例えばリードフレームなどの接続構造を代わりに用いて、2つのパワーチップ112同士を接続するとともに、パワーチップ112を当該パワーチップ112に対応するピン114に接続してもよい。次いで、銅棒15の一端が、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面に固定されて、パワーチップ112に電気的に接続される。銅棒15の数はパワーチップ112の数に一致し、1つの銅棒15が1つのパワーチップ112に対応する。確かなことには、他の一実施形態において、導電体15は代わりに例えばリードなどの他の導電構造を用いて接続されてもよい。
【0089】
他の一実装において、図12に示すように、導電体がリードフレーム15である場合、リードフレーム15が用意される。リードフレーム15は、互いに接続された第1端子151、第2端子152、及び第3端子153を含み、第1端子151が第2端子152及び第3端子153に電気的に接続されている。この実施形態では、2つのリードフレーム15がある。リードフレーム15の第1端子151が、当該リードフレーム15に対応するパワーチップ112に電気的に接続され、また、第3端子153が当該リードフレーム15に対応する第2ラインa22に接続されることで、リードフレーム15が、第2ラインa22を介して、当該リードフレーム15に対応するピン114に接続される。第2端子152は、後続のプロセスにおいて関連素子に接続するように構成される。さらに、リードフレーム15を介して更に2つのパワーチップ112同士を電気的に接続することができる。
【0090】
導電体がリードフレーム15である場合、リードフレーム15は、ピン114とパワーチップ112との間の電気接続及び2つのパワーチップ112間の電気接続の両方を実現し、それ故に、パワーチップ112とピン114とを接続するため及び2つのパワーチップ112同士を接続するために追加のリードを導入する必要がない。従って、パワーモジュールの構造がいっそう単純になり、パワーモジュールの製造工程が削減され、パワーモジュールの生産効率が向上される。また、リードと比較して、リードフレーム15の方が強力な通電能力及び小さい寄生パラメータを持ち、それ故に、パワーチップ112の放熱効果を更に向上させることができる。
【0091】
確かなことには、他の一実施形態では、図13に示すように、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に導電体を形成する必要はなく、リードを用いてパワーチップ112をピン114に直接接続するとともに2つのパワーチップ112同士を接続する。あるいは、他の導電構造を用いてパワーチップ112をピン114に直接接続するとともに2つのパワーチップ112同士を接続する。
【0092】
S120: ドライブボード12を用意し、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側にドライブボード12を配置し、ドライブボード12をパワーチップ112に電気的に接続して、パッケージング対象の構造体13aを形成する。
【0093】
具体的には、図14図16に示すように、先ず、ドライブボード12が用意される。この実施形態では、図14に示すように、ドライブボード12は、中央領域121と、中央領域121を取り囲むエッジ領域122とを含む。中央領域121に、例えばドライブチップ123、抵抗124、キャパシタ、及び光カプラなどの電子素子が配置されて駆動回路を形成する。ドライブボード12は更に貫通孔125及びビア126を含む。貫通孔125は中央領域121に位置し、ビア126はエッジ領域122に位置する。確かなことには、他の一実施形態において、例えば抵抗124、キャパシタ、及び光カプラなどの小さい電子素子は代わりにエッジ領域122に部分的に配置されてもよい。あるいは、ドライブボード12は中央領域121のみを含んでもよく、すなわち、ドライブボード12はエッジ領域122を含まなくてもよい。
【0094】
次いで、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側にドライブボード12が配置され、ドライブボード12がパワーチップ112に電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体13aを形成する。具体的には、ドライブボード12は、パワーチップ112に電気的に接続されたピン114の端部に近くして、ピン114の両端間に配置される。パワーチップ112に電気的に接続されたピン114の端部の近くにドライブボード12を配置することを要求することで、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が十分に短くなることを確保し、それにより、ドライブボード12とパワーチップ112との間の接続ラインの寄生パラメータが十分に小さくなり、パワーモジュールの電気性能が効果的に向上される。
【0095】
具体的には、この工程は複数の方式で実施され得る。一実装において、図14及び図15に示すように、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に銅棒15又はリードフレーム15が配置されるシナリオでは、先ず、パワーチップ112とは反対側の銅棒15の端部に、又はリードフレーム15の第2端子152に、ドライブボード12が配置され、中央領域121が第1のパワーボード11cに対向して配置され、ピン114が、ドライブボード12の貫通孔125を通り抜けるとともに、絶縁されるようにしてドライブボード12に接続される。次いで、パワーチップ112とは反対側の銅棒15の端部又はリードフレーム15の第2端子152がドライブボード12に溶接されることで、ドライブボード12上のドライブチップ123が導電体15を介してパワーチップ112に電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体13aを形成する。
【0096】
この実装において、銅棒15の長さは、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離に等しい。理解され得ることには、銅棒15の長さ方向は銅棒15内の電流の流れ方向であり、それ故に銅棒15の長さは最短であり、すなわち、ドライブボード12とパワーチップ112との間の接続ラインが最短であり、それによりパワーモジュールの接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、パワーモジュールの電気性能が向上される。
【0097】
他の一実装において、図16に示すように、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に銅棒15又はリードフレーム15が配置されないシナリオでは、先ず、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側にドライブボード12が配置され、中央領域121が第1のパワーボード11cに対向して配置され、ピン114がドライブボード12の貫通孔125を通り抜ける。次いで、貫通孔125の穴壁がピン114に電気的に接続されることで、ドライブボード12上のドライブチップ123がピン114を介してパワーチップ112に電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体13aを形成する。
【0098】
他の一実施形態において、ドライブボード12は中央領域121のみを含み、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上に銅棒又はリードフレームが配置され、ピン114は実装面1110に対して垂直ではない。このシナリオにおいて、図17に示すように、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の表面上にリードフレーム15が配置される例を、図17での説明に用いる。先ず、リードフレーム15の第2端子152にドライブボード12が配置され、中央領域121が、2つのピン114の間に位置して、第1のパワーボード11cに対向して配置される。次いで、リードフレーム15の第2端子152がドライブボード12に溶接されることで、ドライブボード12上のドライブチップ123がリードフレーム15を介してパワーチップ112に電気的に接続される。最後に、第2のパワーボード11dが用意される。第2のパワーボード11dと第1のパワーボード11cの構造は基本的に同じである。第2のパワーボード11dは、第1のパワーボード11cとは反対側のドライブボード12の側に配置され、第1のパワーボード11cに電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体13aを形成する。具体的には、第2のパワーボード11dの実装面1110が、第1のパワーボード11cの実装面1110に対向して配置される。すなわち、第1のパワーボード11cと第2のパワーボード11dは、ドライブボード12の両側で対称配置される。確かなことには、ピン114、ドライブボード12、第1のパワーボード、及び第2のパワーボードの配置方式は上述の説明に限定されない。代わりに、ピン114以外の構造を用いてパワーチップ112を回路ボードに接続してもよい。
【0099】
S130: パッケージボディ113を用いてパッケージング対象の構造体13aをパッケージングしてパワーモジュールを形成する。
【0100】
具体的には、図18及び図19に示すように、この実施形態では、プラスチックパッケージングプロセスを用いてパッケージング対象の構造体13aがパッケージングされる。パッケージング対象の構造体13aは、図14図15図16、及び図17に示したパッケージング対象の構造体13aとし得る。以下では、パッケージング対象の構造体13aが図14に示したパッケージング対象の構造体13aである例を説明のために用いる。具体的には、先ず、パッケージング対象の構造体13aがパッケージ金型の中に配置される。パワーチップ112から遠い側のピン114の端部はパッケージ金型の外に延在する。パッケージ金型内には回避構造が配設されており、該回避構造は、パワーチップ112とは反対側の、ドライブボード12のエッジ領域122の表面に置かれて、エッジ領域122のビアを通って、基板111の裏面1111が位置する面に向かって延びている。次いで、パッケージ金型がパッケージボディ113で充填される。パッケージボディ113は、例えば、エポキシ樹脂などのプラスチック材料からなり得る。硬化された後、パッケージボディ113が、パッケージング対象の構造体13aとともに、パッケージングされた構造体13を形成して、パワーモジュール10が形成される。最後に、パッケージ金型が取り外される。この実施形態において、プラスチックパッケージングプロセスを用いて形成されたパワーモジュール10は良好な封止性能を持ち、それ故に、パワーモジュール10の耐湿性及び信頼性を向上させることができる。
【0101】
この実施形態において、パッケージボディ113は、基板111の裏面1111から、パワーチップ112とは反対側のドライブボード12の側までの領域にパッケージングされ、パワーチップ112から遠い側の離れたピン114の端部は、関連する外部デバイスと電気的に接続されるべく、パッケージボディ113から露出される。基板111の裏面1111はパッケージボディ113から露出される。金属層a3の裏面1111がパッケージボディ113から露出されるので、金属層a3はパワーチップ112の熱を外部に効果的に伝えることができ、それによりパワーチップ112の放熱効率が向上される。また、形成されたパッケージングされた構造体13は、パッケージボディ113を避ける上記回避構造によって形成されたビア126と、パッケージボディ113の取り付け穴131とを含み、取り付け穴131を介して、パッケージングされた構造体13に関連コンポーネントが接続される。パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面がパッケージボディ113から露出されており、それによりパワーチップ112と関連構造との間の
フィッティングが容易となる。
【0102】
実装面1110に対して垂直な方向において、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が、ドライブボード12と実装面1110とは反対側のパッケージボディ113の表面との間の距離よりも小さい。この実施形態では、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が、ドライブボード12と実装面1110とは反対側のパッケージボディ113の表面との間の距離よりも小さいことを必要とすることで、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離が十分に短いことが確保され、それにより、ドライブボード12とパワーチップ112との間の接続ラインの寄生パラメータが十分に小さいことが確保され、パワーモジュール10の電気性能が効果的に向上される。
【0103】
最後に、図19に示すように、パッケージングされた構造体13にヒートシンク14が固定され、ヒートシンク14が基板111の裏面1111と接触して、パワーチップ112の放熱効率を向上させる。パッケージングされた構造体13にヒートシンク14を固定する具体的な工程は次のとおりである:ネジ132が、パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面から取り付け穴131を通り抜け、ヒートシンク14に締め付けられる。パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面にはパッケージボディ113が配置されておらず、それ故に、パワーチップ112とは反対側のエッジ領域122の表面を通じてネジ132が固定される。また、パッケージボディ113は脆い材料で作製され、パッケージボディ113は大きい応力の下で破損しやすい。エッジ領域122にパッケージボディは配置されないので、ネジ132が締め付け力を直接的にドライブボード12に伝え、それにより、パッケージボディ113にかかる応力が低減され、ネジ132が締め付け力を直接的にパッケージボディ113に伝えることによってパッケージボディ113が割れるリスクが回避される。確かなことには、他の一実施形態において、ヒートシンク14は代わりに、ネジを用いることによって又は他の固定方式で、パッケージングされた構造体13に固定されてもよい。あるいは、パッケージングされた構造体13は代わりに、例えばボンディング又はクランピングなどの他の別の接続方式でヒートシンク14に固定されてもよい。
【0104】
図20に示すように、パッケージング対象の構造体13a(図17)が、第1のパワーボード11c、ドライブボード12、及び第2のパワーボード11dを含む実施形態において、パッケージボディ113を用いることによってパッケージング対象の構造体13aがパッケージングされた後、第1のパワーボード11c及び第2のパワーボード11dの基板111の裏面1111がどちらもパッケージボディ113から露出されており、それ故に、第1のパワーボード11c及び第2のパワーボード11dの基板111が、それぞれ、第1のパワーボード11c及び第2のパワーボード11dの基板111の裏面1111に対応するヒートシンクに接続されて、パワーモジュール10に対する良好な放熱が実現される。
【0105】
他の一実施形態において、図21に示すように、パッケージボディ113を用いることによってパッケージング対象の構造体13aをパッケージングする具体的な方法は代わりに次のとおりとし得る:先ず、パッケージハウジング16が用意され、パッケージング対象の構造体13aがパッケージハウジング16内で固定され、実装面1110から遠い側のピン114の端部がパッケージハウジング16から露出される。パッケージング対象の構造体13aは、(図21に示すように)第1のパワーボード11cとドライブボード12とを含んでもよいし、あるいは、第1のパワーボード11cと、ドライブボード12と、第2のパワーボードとを含んでもよい。次いで、パッケージハウジング16に接着剤が注入されて、パッケージハウジング16内の隙間を充たすことで、パッケージボディ113が形成される。パッケージボディ113、パッケージング対象の構造体13a、及びパッケージハウジング16が一緒になってパッケージングされた構造体13を構成することで、パワーモジュール10が形成される。具体的には、パッケージハウジング16にシリコンゲルが注入されてパッケージボディ113を形成する。この実施形態では、ハウジングパッケージングプロセスを用いてパッケージボディ113が形成される。このプロセスは単純であり、それによりパワーモジュール10の生産効率が効果的に向上される。この実施形態のシナリオでは、パッケージング対象の構造体13aのドライブボード12は中央領域121のみを含む。パワーモジュール10に関する熱を放散するために、パッケージハウジング16上にヒートシンク14が配置される。
【0106】
この出願におけるパワーモジュール10の製造方法では、実装面1110とは反対側のパワーチップ112の側にドライブボード12が配置され、ドライブボード12がパワーチップ112に電気的に接続されて、パッケージング対象の構造体13aを形成し、そして、パッケージング対象の構造体13aがパッケージングされて、パッケージングされた構造体13を形成する。具体的には、ドライブボード12とパワーチップ112とを共にパッケージングすることで、ドライブボード12とパワーチップ112との間の距離を短くすることができる。また、パワーチップ112とドライブボード12との間の接続ラインが短くなり、それによりパワーチップ112とドライブボード12との間の接続ラインの寄生パラメータが効果的に低減され、すなわち、パワーモジュール10の寄生パラメータが低減され、パワーモジュール10の電気性能が向上される。さらに、ドライブボード12と第1のパワーボード11cとが共にパッケージングされる。同一平面上にドライブボード12及び第1のパワーボード11cを配置するのと比較して、これはパワーモジュール10の平面的な面積を効果的に小さくすることができる。第1のパワーボード11cのパッケージングの際に、パッケージング後の第1のパワーボード11cの強度を確保するために、パッケージング後の第1のパワーボード11cの厚さは通常5mmよりも大きい。この厚さは、第1のパワーボード11cの厚さを増やすことなくドライブボード12及び第1のパワーボード11cが共にパッケージングされることを可能にするのに十分である。すなわち、ドライブボード12及び第1のパワーボード11cを共にパッケージングすることは、パッケージング後に得られる厚さには影響せず、それにより、パワーモジュール10の一体化が効果的に向上され、パッケージサイズが縮小され、パワーモジュール10のコストが低減される。
【0107】
以上の説明は、この出願の特定の実装にすぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図していない。この出願で開示された技術的範囲内で当業者が容易に思い付く如何なる変形又は置換もこの出願の保護範囲内にある。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図19
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図21