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特許7691237改善された溶融強度および熱安定性を有するエチレン系ポリマー
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  • 特許-改善された溶融強度および熱安定性を有するエチレン系ポリマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】改善された溶融強度および熱安定性を有するエチレン系ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/02 20060101AFI20250604BHJP
【FI】
C08F210/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020569794
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019039289
(87)【国際公開番号】W WO2020006104
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】62/691,238
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オズビー、ジョン オー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ハーレー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】デミロール、メフメト
(72)【発明者】
【氏名】ペレス、カルメロデクレ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0109643(US,A1)
【文献】特表2015-524857(JP,A)
【文献】特表平11-506150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、および少なくとも1種の以下の構造1の非対称ポリエンを反応させてエチレン系ポリマーを形成する方法であって、
【化1】

式中、Rは、HまたはC~Cアルキルから選択され、
前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、1.5重量%以下の非対称ポリエンを含み、および、
前記エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび1種の非対称ポリエンを含む、
方法。
【請求項2】
構造1が構造1Aである、請求項1に記載の方法
【化2】

【請求項3】
前記エチレン系ポリマーが、800,000g/モル~1,200,000g/モルのz平均分子量(Mz)を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記エチレン系ポリマーが、(190℃で)10cN以上~40cN以下の溶融強度(MS)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記エチレン系ポリマーが、145,000~175,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマーが、8.0~12の分子量分布(MWD)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが、5.0g/10分~10g/10分のメルトインデックス(I)を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エチレン系ポリマーが、50g/10分~90g/10分のメルトインデックス(I10)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記エチレン系ポリマーが、9.0~13のメルトインデックス比(I10/I)を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エチレン系ポリマーが、2.0~4.0の溶融強度対メルトインデックスの比(MS/I)を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーが、0.905g/cc~0.935g/ccの密度を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記エチレン系ポリマーの重量に基づいて、0.01重量%以上~0.20重量%以下の前記非対称ポリエンを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エチレン系ポリマーが、2以下の検出された酸素化種(OS)ランク、および2以下の総揮発性有機化合物(VOC)ランクを有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
方法であって、
エチレン、および少なくとも1種の以下の構造1の非対称ポリエンを反応させてエチレン系ポリマーを形成するステップであって、
【化3】

式中、Rは、HまたはC~Cアルキルから選択され、
前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、1.5重量%以下の非対称ポリエンを含み、および、
前記エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび1種の非対称ポリエンを含み、
前記エチレン系ポリマーは、以下の構造Iから選択される少なくとも1種の構造を含む、ステップと、
【化4】

前記エチレン系ポリマーを基材上に押出コーティングするステップと、
前記エチレン系ポリマーから構成されるコーティングを、前記基材上に形成するステップ、を含む、方法。
【請求項15】
440fpmのライン速度および90rpmのスクリュー速度で押出コーティングすることと、
2.0インチ以下のネックインでコーティングを形成することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、改善された溶融強度および改善された熱安定性を有し、味および臭いを低減するための、LDPEタイプのポリマーなどのエチレン系ポリマーに関する。そのようなポリマーは、押出コーティングおよびフィルム用途に有用である。従来の低密度ポリエチレン(LDPE)は、良好な加工性を有しているが、押出コーティングおよびフィルム用途で使用される場合、溶融強度の向上および熱安定性の向上が依然として求められている。
【0002】
低密度ポリエチレンは、以下の参考文献に開示されている。米国特許公開第2015/0197590号は、少なくとも以下のエチレン、および少なくとも1種の「アルファ、ベータ不飽和末端」および「C-C二重結合末端」を含む非対称ポリエンを反応させて形成されるエチレン系ポリマーであって、反応は、少なくとも1種のフリーラジカル開始剤の存在下で行われる、エチレン系ポリマーを開示している。米国特許公開第2008/0242809号は、エチレンとコモノマーとのコポリマーを調製するためのプロセスを開示しており、コモノマーは、ジまたはそれ以上の官能性(メタ)アクリレートである。米国特許第3,542,749号は、重合エチレンおよび重合オレイルアクリレート、エルシルアクリレート、N-オレイルアクリルアミド、ネルシルアクリルアミド、またはそれらの任意の混合物を含有するエチレンコポリマーを開示している。
【0003】
追加の重合は、以下の参考文献:Tung,L.H.,et al.,Preparation of Polystyrene with Long Chain Branches via Free Radical Polymerization,J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,(1981),19,2027-39;Tung,L.H.,Branching Kinetics in Copolymerization of Styrene with a Chain-Transfer Monomer,J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,(1981),19,3209-3217;Liu,J.,et al.,Branched Polymer via Free Radical Polymerization of Chain Transfer Monomer:A Theoretical and Experimental Investigation,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,(2007),46,1449-59;米国特許公開第2009/0253878号;米国特許第5,763,629号;米国特許第5,539,075号;国際特許公開第WO 2012/084787号;国際特許公開第WO 2007/110127号;国際特許公開第WO 97/45465号に開示されている。
【0004】
しかしながら、議論されたように、押出コーティングおよびフィルム用途で使用されるために、改善された溶融強度および改善された熱安定性を有するエチレン系ポリマーの必要性が残っている。これらの必要性は、以下の発明によって満たされている。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも以下の、エチレン、および少なくとも1種の以下の構造1の非対称ポリエンを反応させて形成されたエチレン系ポリマーであって、
【化1】

式中、R1は、Hまたはアルキルから選択される、エチレン系ポリマー。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】管状反応器を含有する模擬高圧重合プラント構成の一般化されたフロースキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載されるエチレン系ポリマーが発見され、それは、優れた溶融強度および熱安定性を有する(例えば、ポリプロピレングリコールアリルエーテルメタクリレート(PPG AEMA)の存在下で重合されたLDPEよりも、溶融処理中に熱的に安定であるイソプレニルメタクリレート(IPMA)の存在下で重合されたLDPE)。これらのポリマーは、押出コーティングおよびフィルム用途に十分に好適である。
【0008】
上述のように、エチレン系ポリマーが提供され、エチレン系ポリマーは、少なくとも以下の、エチレン、および少なくとも1種の以下の構造1の非対称ポリエンを反応させて形成され、
【化2】

式中、R1は、Hまたはアルキル、さらにはHまたはC1~C5アルキルから選択される。
【0009】
エチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0010】
非対称ポリエンは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0011】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、非対称ポリマーは、非対称ジエンである。
【0012】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、構造1は、構造1Aである。
【化3】
【0013】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、≧0.900、または≧0.905、または≧0.910グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm)の密度を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0014】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、≦0.950、または≦0.945、または≦0.940グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm)の密度を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0015】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、0.900~0.940g/cc、または0.905~0.935g/cc、または0.910~0.930g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0016】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、0.10~100g/10分、または0.50~80g/10分、または1.0~60g/10分、または5.0~40g/10分、または10~20g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0017】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、0.5~60g/10分、または1.0~40g/10分、または2.0~20g/10分、または5.0~10g/10分のメルトインデックス(I)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0018】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、45~100g/10分、または50~90g/10分、または55~85g/10分、または60~80g/10分のメルトインデックス(I10)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0019】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、8.0~14.0、または9.0~13、または10~11のメルトインデックス比(I10/I)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0020】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、≧10、または≧11、または≧12、または≧13の溶融強度(MS)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0021】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、≦50、または≦40、または≦30、または≦20の溶融強度(MS)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0022】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、2.0~4.0、または2.4~3.8、または2.6~3.6、または2.8~3.4の溶融強度対メルトインデックスの比(MS/I)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0023】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、7.0~13、または8.0~12、または9.0~11の分子量分布(MWD)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0024】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、10,000~22,000g/モル、または12,000~20,000g/モル、または14,000~18,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0025】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、140,000~180,000g/モル、または145,000~175,000g/モル、または150,000~170,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0026】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、800,000~1,200,000g/モル、または850,000~1,150,000g/モル、または900,000~1,100,000g/モルのz平均分子量(Mz)を有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0027】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、≦2の本明細書に記載されるようなOSランク、および≦3の本明細書に記載されるようなVOCランクを有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0028】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、440fpmのライン速度および90rpmのスクリュー速度で、≦2.0のネックインを有する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0029】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、反応において、非対称ポリエンは、エチレンの総量に基づいて、≧100質量ppm、または≧150質量ppm、または≧200質量ppmの量で存在する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0030】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、反応において、非対称ポリエンは、エチレンの総量に基づいて、≦5,000質量ppm、または≦2,000質量ppm、または≦1,000質量ppmの量で存在する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0031】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリエンを含む低密度ポリエチレンである。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0032】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、重合した形態で、唯一のモノマー種類として、エチレンおよびポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0033】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、構造Iから選択される少なくとも1種の構造を含み、
【化4】

式中、R1は、Hまたはアルキルから選択される。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0034】
上記構造lでは、表記
【化5】
は、エチレン系ポリマーの炭化水素主鎖中の共有結合性の炭素-炭素結合の中心での切断を表す。
【0035】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、1000モルのエチレン系ポリマー主鎖炭素当たり、≧0.075モル、または≧0.100モル、または≧0.150モル、または≧0.200モルの非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0036】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、1000モルのエチレン系ポリマー主鎖炭素当たり、≦10.0モル、または≦5.00モル、または≦2.00モル、または≦1.00モルの非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0037】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、1000モルのエチレン系ポリマー主鎖炭素当たり、≦2.00モル、または≦1.50モル、または≦1.00モル、または≦0.500モルの非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0038】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、≧0.03重量%、または≧0.04重量%、または≧0.05重量%の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0039】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、≦1.5重量%、または≦1.2重量%、または≦1.0重量%、または≦0.8重量%、または≦0.6重量%、または≦0.4重量%の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0040】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、反応した形態で、ポリマーの重量に基づいて、≦0.50重量%、または≦0.20重量%、または≦0.10重量%の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0041】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび少なくとも1種の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0042】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび少なくとも2種の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、各非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0043】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび1種の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0044】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび2種の非対称ポリエンを含む。さらなる実施形態では、各非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0045】
本明細書に記載される任意の1種以上の実施形態のエチレン系ポリマーを含む組成物も提供される。
【0046】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、組成物は、少なくとも1種の他のポリマーをさらに含む。さらなる実施形態では、1つ以上の特性、例えば、密度、メルトインデックス(I2)、Mw、Mn、またはMw/Mnにおいて、本発明のエチレン系ポリマーとは異なる他のポリマー。
【0047】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、少なくとも1種の他のポリマーは、線状低密度エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。さらなる実施形態では、線状低密度エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、0.910~0.940g/ccの密度、および0.5~50g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0048】
本発明はまた、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。
【0049】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、物品は、フィルムまたはコーティングである。
【0050】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、物品は、フィルムである。
【0051】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、物品は、コーティングである。
【0052】
本発明のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0053】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0054】
本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0055】
本発明はまた、本明細書に記載されるような本発明のエチレン系ポリマーの形成方法も提供し、本方法は、上記に記載されるような非対称ポリエンの存在下でエチレンを重合することを含む。
【0056】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレンは、(反応供給物中の総モノマーの量に基づいて)少なくとも50モルppmの非対称ポリエンの存在下で重合する。さらなる実施形態では、非対称ポリエンは、非対称ジエンである。
【0057】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合圧力は、≧100MPaである。さらなる実施形態では、重合は、150MPa~350MPaの圧力で行われる。さらなる実施形態では、重合は、100℃~380℃の温度で行われる。さらなる実施形態では、本方法は、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成で行われる。
【0058】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、100℃~380℃の温度で行われる。さらなる実施形態では、本方法は、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成で行われる。
【0059】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、少なくとも1つの管状反応器または少なくとも1つのオートクレーブを含む反応器構成で行われる。
【0060】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、少なくとも1つのオートクレーブを含む反応器構成で行われる。
【0061】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成で行われる。
【0062】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、少なくとも1つの管状反応器および少なくとも1つのオートクレーブ反応器を含む反応器構成で行われる。
【0063】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、非対称ジエンは、重合に添加されるエチレンおよび非対称ジエンの総モル数に基づいて、0.002~0.300モルパーセント、さらに0.005~0.300モルパーセントの量で重合に添加される。
【0064】
本発明のプロセスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0065】
プロセス
本発明のエチレン系ポリマーを生成するためには、高圧のフリーラジカル開始重合プロセスが典型的に使用される。2つの異なる高圧フリーラジカル開始重合プロセスの種類が知られている。第1の種類では、1つ以上の反応ゾーンを有する撹拌オートクレーブ容器が使用される。オートクレーブ反応器は、通常、開始剤もしくはモノマー供給物、またはその両方のためのいくつかの注入点を有する。第2の種類では、ジャケット付き管が、1つ以上の反応ゾーンを有する反応器として使用される。好適であるが、これに限定するものではない反応器の長さは、100~3000メートル(m)または1000~2000メートルであり得る。反応ゾーンの始まりは、どちらの種類の反応器とも、典型的には反応開始剤、エチレン、連鎖移動剤(またはテロマー)、コモノマー(複数可)、ならびにそれらの組み合わせのいずれかの側部注入によって定義される。高圧プロセスは、各々が1つ以上の反応ゾーンを有するオートクレーブもしくは管状反応器において、または各々が1つ以上の反応ゾーンを有するオートクレーブおよび管状反応器の組み合わせにおいて実行され得る。
【0066】
多くの場合、従来の連鎖移動剤は、分子量を制御するために使用される。好ましい実施形態では、1種以上の従来の連鎖移動剤(CTA)が本発明の重合プロセスに添加される。使用され得る典型的なCTAとしては、プロピレン、イソブタン、n-ブタン、1-ブテン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、プロピオンアルデヒド、ISOPAR(エクソンモービルケミカル)、およびイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、プロセスで使用されるCTAの量は、全反応混合物の0.03~10重量パーセントである。
【0067】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、プロセスは、変換効率を改善するために、再循環ループプロセスを含む。一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、2012年10月10日出願の国際特許出願第PCT/US12/059469号に記載されているような管状反応器内で行われ得る。この特許出願は、複数ゾーン反応器を記載し、エチレン対CTAの比を制御、したがってポリマー特性を制御するための、新鮮なエチレンを供給する代替の位置を記載している。新鮮なエチレンは、所望のエチレン対連鎖移動の比を達成するために、複数の位置に同時に添加され得る。同様に、国際出願第PCT/US12/064284(2012年11月9日出願)に記載されているように、ポリマー特性を制御するために、新鮮なCTAの添加が慎重に選択され得る。新鮮なCTAは、所望のCTA対エチレンの比を達成するために、複数の位置で同時に添加され得る。同様に、向上した溶融強度の所望の特性および目的とする用途における性能を最大化させながら、ゲル形成を制御するために、本明細書に記載される新鮮なポリレンの添加点および量が使用され得る。新鮮なポリレンは、所望のポリレン対エチレンの比を達成するために、複数の位置に同時に添加され得る。分子量分布を広げるため、かつ溶融強度を向上させるためのポリレンの使用は、例えば、ゲル形成、反応器の汚損、プロセスの不安定性、ポリレンの低い効率等の潜在的な悪影響を最小限しながら、生成物特性の所望の変化を達成するために、反応器システムに沿ったCTAおよびポリレンの分布にさらなる要求を課す。
【0068】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、重合は、少なくとも1つのオートクレーブ反応器および少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成で行われる。複数反応器システムにおいて、オートクレーブ反応器は、通常、管状反応器の前にある。供給物中の、および/または反応ゾーン内のCTA対エチレン、およびポリレン対エチレンの所望の比を達成するために、新鮮なエチレン、新鮮なCTA、および新鮮なポリレンの添加点および量が適切に制御され得る。
【0069】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、非対称ジエンは、重合に添加されるエチレンおよび非対称ジエンの総モル数に基づいて、0.002~0.300モルパーセント、さらに0.005~0.300モルパーセントの量で重合に添加される。さらなる実施形態では、重合は、2つの反応器内で行われる。別の実施形態では、重合は、複数または少なくとも2つの反応ゾーンを有する1つの反応器内で行われる。
【0070】
エチレン系ポリマーの生成のために使用されるエチレンは、ループ再循環ストリームから極性成分を除去することによって得られる、または本発明のポリマーを作製するために新鮮なエチレンのみが使用されるように、反応システム構成を使用することによって得られる、精製エチレンであり得る。エチレン系ポリマーを作製するために、精製エチレンが必要とされることは典型的ではない。そのような場合、再循環ループからのエチレンを使用してもよい。
【0071】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、エチレンおよび1種以上のコモノマー、好ましくは1種のコモノマーを含む。コモノマーは、限定されないが、α-オレフィン、アクリレート、メタクリレートおよび無水物を含み、各々が、典型的には20個以下の炭素原子を有する。α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子を有し得るか、または代替として、α-オレフィンコモノマーは、3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、エチレン系ポリマーは、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび少なくとも1種の非対称ポリエンを含む。
【0073】
開始剤
フリーラジカル開始剤は、一般に、本発明のエチレン系ポリマーを生成するために使用される。例示的な有機ペルオキシドとしては、環状ペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、およびペルオキシケタールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい開始剤は、t-ブチルペルオキシピバレート、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルオキシアセテートおよびt-ブチルペルオキシ-2-ヘキサノエート、またはそれらの混合物である。一実施形態では、これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、0.001~0.2重量パーセントの量で使用される。
【0074】
一実施形態または本明細書に記載される実施形態の組み合わせでは、開始剤は、少なくとも1つの重合の反応ゾーンに添加され、そこで、開始剤は、255℃超、好ましくは260℃超の「1秒での半減期温度」を有する。さらなる実施形態では、かかる開始剤は、320℃~350℃のピーク重合温度で使用される。別の実施形態において、開始剤は、環状構造中に組み込まれた少なくとも1つのペルオキシド基を含む。このような開始剤の例は、TRIGONOX 301(3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン)およびTRIGONOX 311(3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン)であって、その両方がAkzo Nobelより入手可能であるもの、ならびにUnited Initiatorsより入手可能なHMCH-4-AL(3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトロキソナン)を含むがこれらに限定されない。国際特許出願公開第WO02/14379号および同第WO01/68723号を参照できる。
【0075】
添加剤
本発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤としては、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、滑剤、難燃剤、加工助剤、発煙防止剤、粘度制御剤、およびブロッキング防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー組成物は、例えば、本発明のポリマーの重量に基づいて、1種以上の添加剤の組み合わせた重量の10パーセント未満を含み得る。
【0076】
一実施形態では、本発明のエチレン系ポリマーは、1種以上の安定剤、例えば、IRGANOX 1010、IRGANOX 1076、およびIRGAFOS 168などの酸化防止剤で処理される。一般に、ポリマーは、押出または他の溶融プロセスの前に1つ以上の安定剤で処理される。
【0077】
本発明の組成物は、本発明のエチレン系ポリマーに加えて、少なくとも1種の他のポリマーをさらに含むことができる。本発明のポリマーと他のポリマーとのブレンドおよび混合物を調製することができる。本発明のポリマーとブレンドするのに好適なポリマーには、天然および合成ポリマーが挙げられる。例示的なブレンドするためのポリマーとしては、プロピレン系ポリマー(両衝撃改質ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムプロピレン/エチレンコポリマー)、様々な種類のエチレン系ポリマー、例えば高圧、フリーラジカルLDPE、不均質に分岐したLLDPE(典型的には、チーグラー・ナッタ触媒を介して)、均質に分岐した直鎖または実質的に直鎖PE(典型的には、シングルサイト、例えばメタロセン触媒を介して)、例えば複数反応器PE(「反応器内において」不均質に分岐したPEおよび均質に分岐したPEの組成物、例えば米国特許第6,545,088号(Kolthammerら)、同第6,538,070号(Cardwellら)、同第6,566,446号(Parikhら)、同第5,844,045号(Kolthammerら)、同第5,869,575号(Kolthammerら)、および同第6,448,341号(Kolthammerら)に開示されている生成物)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、衝撃改質ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー、およびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)、および熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。他のエチレン系ポリマーとしては、均質なポリマー、例えばオレフィンプラストマーおよびエラストマー(例えば商品名AFFINITY PlastomersおよびENGAGE Elastomers(The Dow Chemical Company)、およびEXACT(ExxonMobil Chemical Co.)で入手可能なポリマー)が挙げられる。プロピレン系コポリマー(例えば商品名VERSIFY Plastomers&Elastomers(The Dow Chemical Company)およびVISTAMAXX(ExxonMobil Chemical Co.)で入手可能なポリマー)もまた、本発明のポリマーを含むブレンドにおいて成分としても有用であり得る。
【0078】
用途
本発明のポリマーは、単層および多層フィルム;ブロー成形、射出成形、または回転成形物品などの成形物品;押出コーティングなどのコーティング;繊維;ならびに織布または不織布を含む、有用な物品を生成するための様々な従来の熱可塑性製造プロセスに用いられ得る。
【0079】
本発明のポリマーとしては、透明シュリンクフィルム、コレーションシュリンクフィルム、キャスト延伸フィルム、サイレージフィルム、延伸フード、シーラント、およびおむつバックシートが挙げられるが、これらに限定されない、様々なフィルムとして使用され得る。他の好適な応用としては、ワイヤおよびケーブル、ガスケットおよびプロファイル、接着剤、履物構成要素、自動車内装部品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
定義
反対の記載がないか、文脈から含意されるか、または当該技術分野において慣例的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本出願の出願日現在で最新のものである。
【0081】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、その組成物、ならびにその組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。ブレンドは、混和性であってもなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していてもよく、またはしていなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知である他の方法から決定して、1つ以上のドメイン構成を含有しても含有しなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂もしくは配合)またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内での同時成形)で2つ以上のポリマーを物理的に混合することによって達成され得る。
【0083】
「ポリマー」という用語は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという一般名称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指す)、および以下に定義される「インターポリマー」という用語を包含する。微量の不純物が、ポリマーにおよび/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0084】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般名称は、コポリマー(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指す)と、2つを超える異なる種類のモノマーとから調製されるポリマーを含む。
【0085】
「エチレン系ポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含み、任意選択的に、少なくとも1種のコモノマーを含む得るポリマーを指す。
【0086】
「エチレン系インターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレンを含み、少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。
【0087】
「エチレン系コポリマー」という用語は、コポリマーの重量に基づいて、50重量%または過半量の重合エチレン、および唯一のモノマー種類として、コモノマーを含むコポリマーを指す。
【0088】
「プロピレン系ポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて、過半数の量の重合プロピレンを含み、任意選択的に、少なくとも1種のコモノマーを含む得るポリマーを指す。
【0089】
「反応ゾーン」という用語は、本明細書で使用される場合、フリーラジカル、またはフリーラジカルに解離する、かつ/もしくはフリーラジカルを発生させる成分の添加によって、重合反応が開始または再開される、反応ゾーンを指す。典型的には、反応媒体は、反応器の周囲のジャケットを通って流れる熱伝達媒体によって加熱および/または冷却される。反応ゾーンは、新鮮なエチレンおよび/または再循環されたエチレン、およびフリーラジカル、またはフリーラジカルに解離する、かつ/もしくはフリーラジカルを発生させる成分の添加によっても開始し得る。
【0090】
「新鮮な」という用語は、エチレン系供給物成分(すなわち、「新鮮なエチレン」、「新鮮なCTA」、「新鮮なポリエン」)に関連して本明細書で使用される場合、外部供給源(複数可)から提供され、再循環された供給源(複数可)から内部提供されない反応物質を指す。
【0091】
「反応器システム」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリマーを重合および単離するために使用されるデバイスを指す。かかるデバイスとしては、1つ以上の反応器、反応器予熱器(複数可)、モノマー反応器冷却デバイス(複数可)、ハイパー圧縮機(複数可)、一次圧縮機(複数可)、および/またはブースタ圧縮機(複数可)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0092】
「反応器構成」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリマーを重合するために使用される、1つ以上の反応器、および任意選択的に、1つ以上の反応器予熱器、エチレン供給物冷却デバイスを指す。かかる反応器としては、オートクレーブ反応器(複数可)、管型反応器(複数可)、およびオートクレーブと管型反応器との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑義も避けるために、用語「含む」の使用を通じて主張される全ての組成物は、矛盾する記載がない限り、任意の追加の添加剤、補助剤、またはポリマー化合物であるかにかかわらず化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、任意の後続の引用の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。
【0094】
試験方法
密度
密度を測定した試料を、ASTM D1928に従って調製した。試料を、374°F(190℃)、および30,000psi、で3分間、次いで70°F(21℃)、30,000psiで、1分間プレスした。密度測定を、ASTM D792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行った。
【0095】
メルトインデックス
メルトインデックス、またはI2を、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たり溶出したグラム数で報告した。I10をASTM D 1238、条件190℃/10kgに従って測定し、10分当たりの溶出量をグラムで報告した。
【0096】
溶融強度
溶融強度を、Goettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill,SC)を使用して190℃で測定した。溶融試料(約25~50グラム)を、長さ30mm、直径2mmの平坦な入口角度(180度)を備えるGoettfert Rheotester 2000キャピラリレオメータで供給した。試料を、所与のダイ直径で壁せん断速度38.2秒-1に相当する、一定ピストン速度0.265mm/秒で押出される前に、バレル(長さ=300mm、直径=12mm)に供給し、圧縮し、10分間溶融させた。押出物を、ダイ出口の下100mmに位置するRheotensのホイールを通過させ、加速度2.4mm/秒でホイールによって下に引っ張った。ホイールに加えられた力(cN)をホイールの速度(mm/sで)の関数として記録した。試料を、ストランド速度(mm/秒で)の関数としての力(cNで)の2つの曲線が重なり合うまで、少なくとも2回繰り返し、次いでストランドが破断する最高速度を有する曲線を記録した。溶融強度を、ストランドが破断する前のプラトー力(cN)として報告した。
【0097】
動的機械的分光法(DMS)
樹脂を「3mm厚×1インチ」円形プラークに、350°Fで、6.5分間、20,000lb下、空気中で圧縮成形した。その後、試料を圧縮機から取り出し、カウンターに置いて、冷却させた。
【0098】
窒素パージ下、25mm(直径)の平行プレートを備えた、TA Instrumentsの「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を使用して、一定温度周波数掃引を実行した。試料をプレート上に置き、190℃で5分間溶融させた。その後、プレートを2mmの間隔まで閉じ、試料をトリミングし(「25mmの直径」のプレートの円周を越えて延在する余分な試料を除去し)、その後、試験を開始した。この方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分間の遅延を組み込んでいた。この実験を、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたって、190℃で実行した。ひずみ振幅は、10%で一定であった。複素粘度η*、tan(δ)またはタンデルタ、0.1ラジアン/秒での粘度(V0.1)、100ラジアン/秒での粘度(V100)、および粘度比(V0.1/V100)を測定した。
【0099】
三重検出器ゲル透過クロマトグラフィー(TDGPC)
クロマトグラフィーシステムは、Precision Detectors(現Agilent Technologies)二角レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、および続いてPolymerCharの4-キャピラリー粘度検出器に結合された内部IR5赤外検出器(IR5)(直列した3つの検出器)を備えた、PolymerCharのGPC-IR(Valencia,Spain)高温GPCクロマトグラフからなった。全ての光散乱測定について、15度の角度を測定目的で使用した。オートサンプラーオーブンコンパートメントを摂氏160度に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150度に設定した。使用したカラムは、各々30cmで、各々20ミクロンの線状混合床粒子が充填された、4つのAgilent「Mixed A」カラムであった。使用されたクロマトグラフィー溶媒は、200質量ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した、1,2,4-トリクロロベンゼンであった。溶媒源は、窒素注入された。注入量は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0100】
GPCカラムセットの較正は、21の狭い分子量分布、580~8,400,000g/molの範囲の分子量を有するポリスチレン標準物で行った。これらの標準物は、個別の分子量間が少なくとも10離れた、6つの「カクテル」混合物に配置された。標準物はAgilent Technologiesから購入された。ポリスチレン標準物は、1,000,000g/mol以上の分子量について「50ミリリットルの溶媒中0.025グラム」、および1,000,000g/mol未満の分子量について「50ミリリットルの溶媒中0.05グラム」で調製された。ポリスチレン標準液を、穏やかに撹拌しながら、摂氏80度で30分間溶解した。ポリスチレン標準物ピーク分子量(IR5検出器)を、等式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載):
【数1】

式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0101】
第5次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準NBS1475が52,000g/mol(Mw)で得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するために、Aに対してわずかな調整(約0.415~0.44)を行った。
【0102】
GPCカラムセットの合計プレート計数を、(50ミリリットルの「TCB安定化溶媒」中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解させた)EICOSANEで実行した。プレート計数(等式2)および対称性(等式3)を、以下の等式に従って200マイクロリットルの注入で測定した。
【数2】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大の高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数3】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、「ピーク最大値」は、クロマトグラム上の「RV位置」に対応する最大のIRシグナル高さであり、「10分の1の高さ」は、ピーク最大値の1/10の高さであり、「リアピーク」は、ピーク最大よりも後の(ピーク最大値の1/10高さでの)シグナル保持体積でのピークテールを指し、「フロントピーク」は、ピーク最大値よりも前の(ピーク最大値の1/10高さでの)シグナル保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は24,000超であるべきであり、対称性は0.98~1.22であるべきである。
【0103】
試料をPolymerCharの「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、試料の目標重量を2mg/mlとし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素スパージされたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。デカン(流量マーカー)を各試料に添加した(約5マイクロリットル)。試料を、「低速」振盪下、160℃で2時間溶解した。
【0104】
IR5クロマトグラム
Mn(変換)、Mw(変換)、およびMz(変換)の計算は、PolymerCharのGPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用し、等式4~6に従って、PolymerCharのGPCOne(商標)ソフトウェア(バージョン2013G)、等間隔の各データ収集点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および等式1の点(i)の狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン相当分子量を使用した、GPC結果に基づいた。表3は、従来のGPCについての下記の等式4~6を使用して、実施例および比較例の従来のGPC結果を列挙する。
【数4】
【0105】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカ(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM、ここではデカン)を使用して、試料(RV(FM試料))におけるそれぞれのデカンピークのRV値を狭い標準較正(RV(較正済みFM))におけるデカンピークのRV値と整列させることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を直線的に補正した。その後、デカンマーカーピークのいかなる時間変化も、実験全体の流量(流量(実効))の線形シフトに関連すると仮定した。フローマーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗当て嵌めルーチンを使用して、フローマーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当て嵌めた。その後、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求めた。フローマーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)実効流量を、方程式7を用いて計算した。フローマーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行われた。許容可能な流量補正は、実効流量が公称流量の+/-2%以内となるべきものであった。
流量(有効)=流量(公称)*(RV(較正済みFM)/RV(FM試料))(等式7)。
【0106】
多重検出器オフセットを決定するための系統的アプローチは、Balke,Moureyら(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt13,(1992))によって公開されたものと一貫した様式で行った。(広いホモポリマーポリエチレン標準物(Mw/Mn=3)から生成される)三重検出器ログ(MWおよびIV)結果の、(狭い標準較正曲線から生成される)狭い標準カラム較正結果に対する整列は、PolymerCharのGPCOne(商標)ソフトウェアを使用して行った。
【0107】
光散乱クロマトグラム
絶対分子量データ(MW絶対)を、PolymerCharのGPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))およびKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一貫した様式で得た。分子量の決定に使用される全体的な注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物(NBS1475ホモポリマーポリエチレン基準試料へと追跡可能なもの)のうちの1つから導出した、質量検出器面積および質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から誘導される、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを用いて得た。一般に、(GPCOne(商標)を用いて決定される)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/molを超える分子量を有する直鎖状標準物から決定されるべきである。表5は、実施例および比較例の光散乱GPC結果を列挙する。
【0108】
Mw(絶対)の式は、GPCOne(商標)ソフトウェアから決定されるように、ベースラインを差し引いた15度光散乱シグナルおよびベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナルを使用する(質量および光散乱定数を適用する)、面積に基づく結果である:
【数5】
【0109】
Mz(絶対)の等式は、GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、ベースラインを差し引いた15度の光散乱シグナルおよびベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナルの比から導出し、かつ質量定数および光散乱定数について因数分解した、絶対分子量の点ごとの決定に依存した。直線当て嵌めを使用して、いずれかの検出器(IR5またはLS)が約4%未満の相対ピークシグナル高さ(最大ピーク高さ)である、絶対分子量を外挿した。
【数6】
【0110】
粘度クロマトグラム
絶対固有粘度データ(IV(絶対))は、NBS1475の既知の固有粘度に対して較正した場合にPolymerChar粘度計検出器から得られる、比粘度クロマトグラムの面積を使用して得た。固有粘度の決定に使用される全体的な注入濃度は、適切な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または(NBS 1475ホモポリマーポリエチレン基準試料に起因する)既知の固有粘度のポリエチレン標準物のうちの1つから誘導される、質量検出器面積および質量検出器定数から得た。
【0111】
IV(絶対値)の方程式は、GPCOne(商標)ソフトウェアから決定される、ベースラインを差し引いた比粘度信号(DV)およびベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナル(質量および粘度定数を適用する)を用いた面積に基づく結果である。
【数7】
【0112】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融および結晶化挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000DSCを使用して、この分析を実行する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量を使用する。各試料を約190℃で薄いフィルムに溶融プレスし、次いで、溶融試料を室温(約25℃)まで空冷する。「0.5~0.9グラム」の試料を、190℃、20,000lbで10秒間プレスして、「0.1~0.2ミルの厚さ」のフィルムを形成することによって、フィルム試料を形成した。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、アルミニウム皿(約50mg)に置き、圧着して閉じた。その後、その熱特性を決定するために分析を行った。
【0113】
サンプルの熱的挙動は、サンプルの温度を上下させて、熱流対温度プロファイルを作成するによって決定した。その熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、5分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間等温保持した。その後、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。結晶化の開始から-20℃までのベースライン終点を設定することによって、冷却曲線を分析した。-20℃から溶融終了までのベースライン終点を設定することによって、加熱曲線を分析した。決定された値は、ピーク溶融温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(1グラム当たりジュール)、および以下の等式を使用して計算されるエチレン系ポリマー試料の結晶化度%であった:結晶化度%=((Hf)/(292J/g))×100(等式16)。
【0114】
融解熱およびピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告する。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定する。
【0115】
核磁気共鳴(H NMR)
各NMR試料を、約「0.10gのエチレン系ポリマー」を、「NORELL 1001-710mm NMRチューブ」内で、「0.001MのCr(AcAc)(トリス(アセチルアセトナート)-クロム(III))を含有する、「2.7gのテトラクロロエタン-d(TCE)」に添加することによって調製した。試料を、ピペットを介して溶媒に窒素をバブリングすることによってパージし、チューブに約5分間挿入して、酸化を防止し、次いでキャップが付けられ、TEFLONテープで密封され、次いで室温で一晩浸漬して、試料の溶解を促進した。調製前および調製後の保存中は試料を窒素パージボックス内に保持し、酸素への曝露を最小限にした。試料を、加熱し、ボルテックスミキサで115℃で混合して、均質性を確実にした。各試料を視覚的に検査して、均質性を確実にした。
【0116】
データを、BRUKER DUAL DUL高温クライオプローブを装備したBRUKER AVANCE 400MHz NMR分光計を使用して、120℃の試料温度で収集した。各分析を、ZGパルスで、32スキャン、SWH 10,000Hz、AQ 1.64秒、およびD1 14秒で行った。28秒のD1を使用して取得を繰り返して、定量化をチェックし、結果は同じであった。
【0117】
GC分析
ヘッドスペースの水抽出および準備-固相マイクロ抽出(HS-SPME)
各フィルムを、実験項の「押出コーティング」で記載されているように調製した。2グラム(約1インチ×1インチ)の各試料(剥離ライナー上にコーティングされた約1.3ミルのポリマー、剥離ライナーを取り外して、自立型フィルムを提供する)を試料を個々の「20mL」ヘッドスペースバイアルに量り入れて、バイアルを密封した。フィルムを有するバイアルを75℃で10分間平衡化し、ヘッドスペースを、四重極質量分析計(GC/qMS)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析するためにSPMEで抽出した。
【0118】
HS-SPMEの準備
10グラムの各フィルム(上記を参照)を、「40mL」のガラス瓶(I-Chem、高純度)に量り入れた。バイアルを、高純度水(ASTMタイプI、試薬グレード、Mill-Q Integral 3、18.2MΩ、<5ppb TOC)で完全に満たした。バイアルを、PTFEで裏打ちされたキャップで密封し、フィルムを、40℃で48時間抽出した。48時間後、瓶をオーブンから取り出し、内容物を室温に戻した(約4時間)。HS-SPME分析を、20mLのヘッドスペースバイアルを使用して実行した。各バイアルを、「3.5g」の硫酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、ACS試薬グレード、1050°Fの炉内で12時間加熱して精製)および10グラムの水抽出物(フィルムなし)で準備した。混合物を激しく混合し、15分間超音波処理して、硫酸ナトリウムを溶解した。次いでバイアルを75℃で10分間平衡化し、ヘッドスペースを、四重極質量分析計(GC/qMS)を用いたガスクロマトグラフィーによって分析するためにSPMEによって抽出した。
【0119】
GC/ODP/qMS分析条件
各バイアル内のヘッドスペースを、SPMEによってサンプリングし、GC/qMSによって分析した。定量化を、外部標準較正手順を使用して実行した。自動試料分析を、Gerstel Multipurpose Sampler(MPS)、Agilent 7890Aガスクロマトグラフィー、およびAgilent5975C不活性XL四重極質量分析計を使用して実行した。MPSを、GerstelのMaestroソフトウェアを使用して制御した。GC/qMSの制御およびデータ収集を、AgilentのChemstationソフトウェアを使用して実行した。水抽出物のヘッドスペースは、「2cm x 50/30μm」のジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン(Supleco)SPMEファイバーを使用し、75℃で水を平衡化し、10分間攪拌した試料であった。SPMEファイバーの成分を、250℃のスプリット/スプリットレスインレットで脱着し、続いて、50℃(2分間保持)~260℃(6分間保持)、15℃/分、および2.0mL/分のヘリウムの初期カラムフローのオーブン温度プログラムでAgilent、VF-WAXms、「30m x 250μm x 0.5μm」キャピラリカラムを使用して分離した。
【0120】
次いで、試料を、材料内で検出された酸素化種(OS)または総揮発性有機化合物(VOC)の1~5のスケール(1が最小を示し、5が最大を示す)で比較ランク付けした。
【0121】
実験
イソプレニルメタクリレート(IPMA)の合成
【化6】
1000mLの5ネックLabMax反応容器に、オーバーヘッドスターラー、熱電対、8%のO2/N2パージチューブ、および10プレートのOldershaw蒸留カラム/蒸留ヘッドを、自動還流スプリッター/制御器と共に装備した。フラスコに、86.5gのイソプレノール(1.0mol)および321gのMMA(3.2mol)を充填した。抑制剤(MEHQおよび4-HT)を、最終生成物にそれぞれ1040ppmおよび85ppmの濃度でフラスコ内容物に添加した。スパージチューブを、1~2バブル/秒の速度でオンにした。
【0122】
大気圧下での共沸乾燥
反応容器を、蒸留モードで、LabMaxユニットを使用して、Tj=140℃およびTj-Tr=30℃の設定で加熱した。LabMaxユニットを、蒸留の間、約106~107℃の容器温度に維持し、蒸気温度を約92~99℃に維持した。リターンチューブにいくつかの水滴が観察された。30分間の還流後、2.5:1の還流比を使用して55mLの留出物を除去した(40%回収)。次いで、反応容器を40℃に冷却した。
【0123】
エステル交換反応
上記の反応容器内容物に、無水LiOH(0.49g、0.02mol)を添加した。フラスコの圧力を、空気への通気孔を使用して、760mmHgに維持した。Tj=140℃、Tj-Tr=27℃の設定を使用して、ポット内容物を加熱し、留出物が除去されるにつれて容器温度が105℃から120℃まで着実に上昇した。蒸気温度を、最初の還流で71℃から64℃に下げた。蒸気温度が64.0℃に達したたき、MMA-メタノール共沸混合物を30/70の還流比を使用して留去した。1時間後、約50mLの留出物が収集され、蒸気温度は75℃に上昇した。容器内容物を50℃に冷却し、NMR分析のためにサンプリングした。容器内容物のプロトンNMRは、イソプレノール変換が>99%であることを示した。
【0124】
MMAの除去
圧力を40mmHgに低減させ、Tj=140℃、Tj-Tr=27℃の設定を使用して、容器内容物を加熱し、MMAが除去されるにつれて容器温度が50℃から105℃まで着実に上昇した。MMAを、30~32℃の蒸気温度範囲で、30/70の還流比を使用して収集した。注:そのような還流比は、MMAストリッピング段階中のIPMAの損失を低減させる/回避するために重要であることがわかった。蒸気温度が50℃を超えたとき、容器内容物を50℃に冷却し、圧力を大気圧に解放した。約「140グラムのMMA」を収集した。
【0125】
触媒の濾過
容器内容物を、Tr=0℃の設定を使用して、3時間かけて0℃に冷却し、その温度で1時間保持し、次いで中程度の微細なP4濾紙で濾過した。プロトンNMR分光分析によって決定したところ、約146グラム(95%収率)のIPMAが、>97.5%の純度で生成された。
【0126】
IPMAの蒸留
MMAを除去して、圧力を5mmHg未満に低下させ、Tj=110℃、Tj-Tr=27℃を使用して、容器内容物を加熱し、IPMAが49~52℃の蒸気温度範囲でオーバーヘッドで蒸留されるにつれて、容器温度が50℃から75℃まで着実に上昇した。蒸留されたIPMAの重量は147グラム(収率95%)で、純度は>98.5%であった。
【0127】
重合
非対称ジエン-メタクリル酸イソプレニル(IPMA)を、316ステンレス鋼供給槽に投入し、酢酸エチルで希釈し、最終濃度7.8重量%を生成した。この槽を、使用前に3時間窒素パージし、動作中は70psig窒素充填で維持した。
【0128】
開始剤-ペルオキシド開始剤tert-ブチルペルオキシアセテート(TPA、ISOPAR(商標)H中20重量%溶液)、およびペルオキシド開始剤ジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP、ISOPAR(商標)H中20重量%溶液)を、第2の316ステンレス鋼供給槽内で、ISOPAR Eと混合し、「1500質量ppm」TPAおよび「415質量ppm」DTBP(4:1のTPAモル/DTBPモルの比)を生成した。槽を使用前に、70psig窒素充填および除去を5回行い、重合中は窒素充填下で維持した。
【0129】
エチレンを、5480g/時で、1930バールの圧力で、220℃に設定した外側加熱ジャケットを備えた、撹拌した(1600rpm)300mLの高圧CSTR反応器に注入した。混合物を、1930バールに圧縮し、反応器(上記参照)に注入する前に、プロピレン(CTA)を、62バールの圧力で、232g/時の速度で、エチレンストリームに添加した。前記混合物を反応器に注入する前に、IPMAの酢酸エチル溶液を、1930バールの圧力で、エチレン-プロピレン混合物に、2.79g/時の速度でポンプで送った。ペルオキシド開始剤を、1930バールの圧力で、TPAを5.5×10-2g/時(0.42ミリモル/時)の速度、およびDTBPを1.5×10-2g/時(0.1ミリモル/時)の速度で、側壁を通じて反応器に直接添加した。エチレンのポリマーへの変換は、反応器へ流入したエチレンの質量に基づいて、9.2重量%であり、平均反応温度は約220℃であった。エチレン系ポリマー(LDPE/IPMA、本発明の実施例1)を形成した。重合条件を、以下の表1に要約する。ポリマーの特性を、以下の表2~4に示す。
【0130】
対照-上記の反応器(316ステンレス鋼供給容器)および開始剤を参照されたい。エチレンを、5452g/時で、1930バールの圧力で、220℃に設定した外側加熱ジャケットを備えた、撹拌した(1600rpm)300mLの高圧CSTR反応器に注入した。混合物を、1930バールに圧縮し、反応器に注入する前に、プロピレン(連鎖移動剤)を、62バールの圧力で、120グラム/時の速度で、エチレンストリームに添加した。ペルオキシド開始剤混合物を、1930バールの圧力で、TPAを5×10-2グラム/時(0.4ミリモル/時)の速度、およびDTBPを1.4×10-2グラム/時(0.1ミリモル/時)の速度で、CSTR反応器の側壁を通じて反応器に直接添加した。エチレンのポリマーへの変換は、反応器へ流入したエチレンの質量に基づいて、11.2重量%であり、平均反応温度は約221℃であった。反応重合条件を、以下の表1に要約する。ポリマーの特性を、以下の表2~4に示す。
【表1】
【0131】
ポリマー特性
重合条件を以下の表2および3に記載する。
【表2】
【表3】
【0132】
押出コーティング
全てのコーティング実験を、Black-Clawson押出コーティングラインで実行した。押出機は、3.5インチ、30:1 L/D、4:1圧縮比のシングルフライトスクリューと、2つのスパイラルMattock混合セクションとが装備されていた。91cm(36インチ)の公称ダイ幅が、61cm(24インチ)のオープンダイ幅にデッケルされた(ダイの外縁の周りのダイ出口で、ダイ内の流れを遮断し、かつダイ幅を減少させ、したがってダイからのポリマーの流動を減少させるために使用される金属ダム)。押出コーティングでは、デッケルは、スロットダイコーターのコーティング幅または押出ダイの押出幅を設定するダイインサートである。これは、材料がダイを出るときに流動を制限することによって機能する。
【0133】
押出コーティングの評価については、全ての樹脂に一定の15.2cm(6インチ)のエアギャップを設定した。ダイギャップを「20ミル」に設定したが、一定のコーティング厚さを維持するためにわずかな調整が必要であった。押出機の各ゾーンの温度は、それぞれ177、232、288、および316℃(ダイ)(350、450、550、および600°F(ダイ))であり、318℃(605°F)の目標溶融温度につながった。スクリュー速度は「90rpm」で、「250ポンド/時」の出力速度をもたらした。ライン速度は「440ft/分(fpm)」で、「50ポンド/連」のクラフト紙(クラフト紙の幅は61cm(24インチ)、無漂白)上に「1.3ミル」のコーティングをもたらした。樹脂を剥離ライナー上にコーティングすることによって、分析試験用のポリマーフィルムの自立型細片(例えば、HS-SPME)を得た。溶融ポリマーカーテンが紙基材に接触する前に、約「61cm(24インチ)」幅のシリコンコーティングされた剥離ライナーの細片を、ポリマーコーティングと紙基板との間に挿入して、「ポリマーコーティング/剥離ライナー/クラフト紙」構成を形成した、そこで、紙と剥離ライナーは、互いに接着していない。「ポリマーコーティング/剥離ライナー」のサブ構成を巻き取り、食品グレードのアルミホイルで包んだ。固化したポリマーコーティングを、分析試験のために剥離ライナーから剥がした。
【0134】
ネックインの量(実際のコーティング幅とデッケル幅(61cm)との差)は、「440フィート/分」および「880フィート/分(fpm)」のライン速度で測定され、それぞれ「1.3ミル」および「0.65ミル」のコーティング厚さをもたらした。押出機のアンペア数と馬力を記録した。背圧弁の位置を変えずに、各ポリマーの背圧の量も記録した。ドローダウンは、ポリマーコーティング上のエッジ欠陥(典型的には、ポリマーコーティングのエッジに沿って振動するポリマーコーティングの幅)に気付くライン速度、または溶融カーテンがダイから完全に裂けるライン速度である。エッジ欠陥またはウェブの裂けに気付くまで、ライン速度を上げることによって、「45rpm」のスクリュー速度で全ての樹脂の減速ドローダウン(RRDD)を測定した。押出コーティング結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0135】
上記の表2~4に見られるように、本発明のポリマー(本発明の実施例1、LDPE/IPMA)は、優れた溶融強度(MS)、優れた熱安定性(低いOSおよびVOCレベル)、および良好な押出コーティング特性を有する。PPG AEMA含有樹脂と比較して、本発明のポリマー(LDPE/IPMA)は、比較例B(LDPE/PPG AEMA)よりも溶融加工中に熱的に安定であり、加工中に刺激臭を生成する化学種に分解せず、また、食品に悪い味や悪臭を付与し得る。
【0136】
フロー図の説明(管状反応器)
図1は、管状反応器を含有する高圧重合プラント構成の一般化されたフロースキームを示す。ストリーム(1)は新鮮なエチレン補充であり、これは一次圧縮機によりブースタの排出物と共にストリーム(2)に圧縮される。ストリーム(2)は、高圧再循環ストリーム(18)および供給物(3)と合わせられ、ハイパー圧縮機の吸引入口に分配される。ハイパーは、高圧管状反応器(反応器)に供給するのに十分なレベルまでエチレン供給流を加圧する。図示されてはいないが、フロースキームは、ストリーム(2)およびストリーム(18)の部分的組み合わせおよび/またはハイパー圧縮機の入口への分配を含み得る。
【0137】
ストリーム(4)および/または(5)は、CTAシステム補充供給物を示す。CTA補充は、原則的に、側方ストリーム(8)および正面ストリーム(9)に供給および/または分配された主圧縮ストリームに自由に分配され得る。CTA補充ストリーム(4)および/または(5)は、ハイパー圧縮機の入口(複数可)、段階間(複数可)、出口(複数可)および/または反応ゾーンの入口(複数可)において供給され得る。CTAシステムは、単一および/または複数成分からなってもよく、また様々な組成物を含んでもよい。
【0138】
ストリーム(6)および/またはストリーム(7)は、ポリエン供給物を示す。ポリエン供給物は、原則的に、側方ストリーム(8)および/または正面ストリーム(9)に供給および/または分配された主圧縮ストリームに自由に分配され得る。ポリエンストリーム(6)および/または(7)は、ハイパー圧縮機の入口(複数可)、段階間(複数可)、出口(複数可)、反応器への個々のエチレン供給物ストリームにおいて、かつ/または反応ゾーン内に直接供給され得る。ハイパーの放出温度は、典型的には、60から100℃の範囲内である。第1の反応ゾーンへのエチレン供給物は、典型的には、130から180℃の温度に予熱され、一方、側方供給物のエチレンは、ハイパー圧縮機放出温度で反応器に供給されるか、または反応器への供給前に冷却される。
【0139】
反応器の寸法と構成は、以下の通り、40~60mmのチューブの内径、1000~200mのRxゾーンの長さ(分布)であり得る。反応器では、フリーラジカル開始系の補助を得て重合が開始され、各反応区域の入口で注入および/または活性化される。各反応区域の最高温度は、各反応区域の開始時の開始系の濃度および/または供給量を調節することによって設定点で制御される。
【0140】
反応が終了し、複数の冷却ステップを適用した後、反応混合物は、(10)において減圧および/または冷却され、高圧分離機(HPS)内で分離される。HPSは、反応混合物を、少量のワックスおよび/または同伴ポリマーを含むエチレンに富んだストリーム(15)と、さらなる分離のためにLPSへと送られるポリマーに富んだストリーム(11)とに分離する。エチレン流(15)が冷却され、流れ(17)中で洗浄される。流れ(16)は、不純物および/または不活性物質を除去するためのパージ流である。LPSで分離されるポリマーは、(12)でさらに処理される。LPS中の除去されたエチレン(13)は、ブースタに供給され、そこで圧縮中に、溶剤、潤滑油、および他のものなどの凝縮物が収集され、流れ(14)を通して除去される。ブースタの出口は、補給エチレン流(1)と合わされ、一次圧縮機によってさらに圧縮される。
本願は以下の態様にも関する。
(1) 少なくとも以下の、エチレン、および少なくとも1種の以下の構造1の非対称ポリエンを反応させて形成されたエチレン系ポリマーであって、
【化7】


式中、R1は、Hまたはアルキルから選択される、エチレン系ポリマー。
(2) 構造1が構造1Aである、上記(1)に記載のエチレン系ポリマー。
【化8】


(3) 前記ポリマーが、0.900~0.940g/ccの密度を有する、上記(1)または上記(2)に記載のエチレン系ポリマー。
(4) 前記ポリマーが、0.10~100g/10分、または0.50~80g/10分、または1.0~60g/10分、または5.0~40g/10分、または10~20g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(5) 前記反応において、前記非対称ポリエンが、エチレンの総量に基づいて、100質量ppm以上の量で存在する、上記(1)~(4)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(6) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリエンを含む低密度ポリエチレンである、上記(1)~(5)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(7) 前記ポリマーが、構造Iから選択される少なくとも1種の構造を含み、
【化9】


式中、R1は、Hまたはアルキルから選択される、上記(1)~(6)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(8) 前記非対称ポリマーが、非対称ジエンである、上記(1)~(7)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(9) 前記エチレン系ポリマーが、≧0.900、または≧0.905、または≧0.910g/ccの密度を有する、上記(1)~(8)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(10) 前記エチレン系ポリマーが、≦0.950、または≦0.945、または≦0.940g/ccの密度を有する、上記(1)~(9)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(11) 前記エチレン系ポリマーが、0.5~60g/10分、または1.0~40g/10分、または2.0~20g/10分、または5.0~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、上記(1)~(10)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(12) 前記エチレン系ポリマーが、45~100g/10分、または50~90g/10分、または55~85g/10分、または60~80g/10分のメルトインデックス(I10)を有する、上記(1)~(11)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(13) 前記エチレン系ポリマーが、8.0~14.0、または9.0~13、または10~11のメルトインデックス比(I 10 /I )を有する、上記(1)~(12)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(14) 前記エチレン系ポリマーが、≧10、または≧11、または≧12、または≧13の溶融強度(MS)を有する、上記(1)~(13)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(15) 前記エチレン系ポリマーが、≦50、または≦40、または≦30、または≦20の溶融強度(MS)を有する、上記(1)~(14)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(16) 前記エチレン系ポリマーが、2.0~4.0、または2.4~3.8、または2.6~3.6、または2.8~3.4の溶融強度対メルトインデックスの比(MS/I2)を有する、上記(1)~(15)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(17) 前記エチレン系ポリマーが、7.0~13、または8.0~12、または9.0~11の分子量分布(MWD)を有する、上記(1)~(16)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(18) 前記エチレン系ポリマーが、10,000~22,000g/モル、または12,000~20,000g/モル、または14,000~18,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、上記(1)~(17)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(19) 前記エチレン系ポリマーが、140,000~180,000g/モル、または145,000~175,000g/モル、または150,000~170,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、上記(1)~(18)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(20) 前記エチレン系ポリマーが、800,000~1,200,000g/モル、または850,000~1,150,000g/モル、または900,000~1,100,000g/モルのz平均分子量(Mz)を有する、上記(1)~(19)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(21) 前記エチレン系ポリマーが、440fpmのライン速度および90rpmのスクリュー速度で、≦2.0インチのネックインを有する、上記(1)~(20)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(22) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリエンを含む低密度ポリエチレンである、上記(1)~(21)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(23) 前記エチレン系ポリマーが、重合した形態で、唯一のモノマー種類として、エチレンおよび前記ポリエンを含む、上記(1)~(22)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(24) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、1000モルのエチレン系ポリマー主鎖炭素当たり、≧0.075モル、または≧0.100モル、または≧0.150モル、または≧0.200モルの前記非対称ポリエンを含む、上記(1)~(23)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(25) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、1000モルのエチレン系ポリマー主鎖炭素当たり、≦10.0モル、または≦5.00モル、または≦2.00モル、または≦1.00モルの非対称ポリエンを含む、上記(1)~(24)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(26) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、≧0.03重量%、または≧0.04重量%、または≧0.05重量%の前記非対称ポリエンを含む、上記(1)~(25)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(27) 前記エチレン系ポリマーが、反応した形態で、前記ポリマーの重量に基づいて、≦0.50重量%、または≦0.20重量%、または≦0.10重量%の前記非対称ポリエンを含む、上記(1)~(26)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(28) 前記エチレン系ポリマーが、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび少なくとも1種の非対称ポリエンを含む、上記(1)~(27)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(29) 前記エチレン系ポリマーが、唯一のモノマー単位として、エチレンおよび1種の非対称ポリエンを含む、上記(1)~(28)のいずれかに記載のエチレン系ポリマー。
(30) 上記(1)~(29)のいずれかに記載のエチレン系ポリマーを含む組成物。
(31) 少なくとも1種の他のポリマーをさらに含む、上記(30)に記載の組成物。
(32) 前記少なくとも1種の他のポリマーが、以下の特性、密度、メルトインデックス(I2)、Mw、Mn、および/またはMw/Mnのうちの1つ以上において、前記エチレン系ポリマーとは異なる、上記(31)に記載の組成物。
(33) 前記少なくとも1種の他のポリマーが、線状低密度エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、さらに、前記線状低密度エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーが、0.910~0.940g/ccの密度、および0.5~50g/10分のメルトインデックス(I )を有する、上記(31)または上記(32)に記載の組成物。
(34) 上記(30)~(33)のいずれかに記載の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品。
(35) 方法が、構造1の非対称ポリエンの存在下で、エチレンを重合することを含む、上記(1)~(29)のいずれかに記載のエチレン系ポリマーの形成方法。
(36) 前記エチレンが、(反応供給物中の総モノマーの量に基づいて)少なくとも50モルppmの前記非対称ポリエンの存在下で重合する、上記(35)に記載の方法。
(37) 重合圧力が、≧100MPa、さらに150MPa~350MPaである、上記(35)または上記(36)に記載の方法。
(38) 前記重合が、100℃~380℃の温度で行われる、上記(35)~(37)のいずれかに記載の方法。
(39) 前記重合が、少なくとも1つの管状反応器または少なくとも1つのオートクレーブを含む反応器構成で行われる、上記(35)~(38)のいずれかに記載の方法。
(40) 前記重合が、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成で行われる、上記(35)~(39)のいずれかに記載の方法。
(41) 前記重合が、少なくとも1つのオートクレーブ反応器を含む反応器構成で行われる、上記(35)~(39)のいずれかに記載の方法。
(42) 前記重合が、少なくとも1つの管状反応器および少なくとも1つのオートクレーブ反応器を含む反応器構成で行われる、上記(35)~(41)のいずれかに記載の方法。
(43) 前記非対称ジエンが、前記重合に添加されるエチレンおよび非対称ジエンの総モル数に基づいて、0.002~0.300モルパーセント、さらに0.005~0.300モルパーセントの量で前記重合に添加される、上記(35)~(42)のいずれかに記載の方法。
図1