(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】ロックアップクラッチの異常検知装置
(51)【国際特許分類】
F16H 61/14 20060101AFI20250604BHJP
【FI】
F16H61/14 601L
(21)【出願番号】P 2021054260
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮原 英和
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-167974(JP,A)
【文献】特開2019-152302(JP,A)
【文献】特開2016-023651(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00-61/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと自動変速機との間に介装されたトルクコンバータのタービンの回転数を検出するタービン回転数検出手段と、
前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
前記トルクコンバータのロックアップクラッチの締結、解放を制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、前記自動変速機のシフトレンジを駐車レンジ又は中立レンジから前進走行レンジ又は後進走行レンジに切り替えた際、及び、車両が減速して停止する際に、
前記エンジンがストールするまでの間における前記タービン回転数と前記エンジン回転数とが交差する回数をカウントし、該回数が所定回数以上となった場合に、前記ロックアップクラッチの締結固着異常が生じていると判定することを特徴とするロックアップクラッチの異常検知装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記回数が前記所定回数以上となることなく、前記タービン回転数がゼロの状態で所定時間以上経過した場合に、前記ロックアップクラッチは正常であると判定することを特徴とする請求項1に記載のロックアップクラッチの異常検知装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記自動変速機のシフトレンジを駐車レンジ又は中立レンジから前進走行レンジ又は後進走行レンジに切り替えた際、及び、車両が減速して停止する際、前記タービン回転数が所定回転数を下回った場合に、
前記エンジンがストールするまでの間における前記タービン回転数と前記エンジン回転数とが交差する回数をカウントし、該回数が所定回数以上となった場合に、前記ロックアップクラッチの締結固着異常が生じていると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のロックアップクラッチの異常検知装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記エンジン回転数の低下速度、及び、車速の減速度に基づいて前記エンジン回転数を補正し、
前記エンジンがストールするまでの間における前記タービン回転数と補正後のエンジン回転数とが交差する回数をカウントし、該回数が所定回数以上となった場合に、前記ロックアップクラッチの締結固着異常が生じていると判定
し、
前記制御ユニットは、前記エンジン回転数の低下速度が大きくなるほど減少補正量を大きくし、前記エンジン回転数の低下速度が小さくなるほど減少補正量を小さくし、前記車速の減速度が大きくなるほど減少補正量を大きくし、前記車速の減速度が小さくなるほど減少補正量を小さくすることを特徴とする請求項3に記載のロックアップクラッチの異常検知装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、車両が減速して停止する際、該車両の減速度が所定の減速度以下の場合に、前記ロックアップクラッチが締結固着しているか否かの異常判定を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のロックアップクラッチの異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクコンバータのロックアップクラッチの異常検知装置に関し、特に、ロックアップクラッチの締結固着異常を検知するロックアップクラッチの異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される有段自動変速機(ステップAT)や無段変速機(CVT)等と組み合わせて、流体(オイル)を利用し、エンジントルク(エンジン駆動力)を増幅させるトルクコンバータが広く利用されている。トルクコンバータは、オイルを介してエンジントルクを伝達し、かつトルク増幅機能を有するため、スムーズな車両発進を可能とする。また、トルクコンバータは、エンジンから生じる振動の吸収機能も有している。一方、トルクコンバータでは、エンジントルクの伝達にオイルを介しているため、滑りによる伝達損失が生じる(すなわち、伝達効率が低下する)。
【0003】
このようなトルクコンバータによる伝達効率の低下を抑制し、燃料消費率(燃費)を向上させるため、例えば所定車速以上で入力(エンジンのクランク軸)と出力(変速機の入力軸)とを直結するロックアップ機構(ロックアップクラッチ)が広く採用されている。すなわち、発進時にはロックアップクラッチが解放されることにより、増幅されたエンジントルクがトルクコンバータを介して変速機の入力軸に入力される一方、例えば定常走行時にはロックアップクラッチが締結されることにより、エンジンのクランク軸から変速機の入力軸にエンジントルクが直接的に入力される。
【0004】
ところで、このようなロックアップクラッチに締結状態での固着が生じると、例えば、車両が停止する際等にエンジンがストールするおそれがある。そこで、ロックアップクラッチの締結固着を検知する技術として、例えば特許文献1には、車両の発進時においてLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を検知することが可能な車両用自動変速機の制御装置が開示されている。
【0005】
より具体的には、この装置では、車両の発進時に、実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えた時から検知実行タイマーTを作動させ、検知実行タイマーTの設定時間ΔT1内に、実トルコンスリップ率ETR1が第2の閾値L1を下回った時に、LC圧制御用リニアソレノイドはオンスタック故障であると判定し、故障検知カウンタFCのカウント数をアップする。そして、故障検知カウンタFCのカウント数がNG閾値を超えた時に、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確定し、フェールセーフアクションを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に開示された技術では、車両の発進時にロックアップクラッチが締結固着しているか否かの診断が行われる。そのため、例えば、走行中にロックアップクラッチの締結固着が発生した場合には、車両が停止し、再度、発進するまで、その異常を検知することができない。そのため、誤検知を防止しつつ、ロックアップクラッチの締結固着異常の診断頻度を高め、より迅速に締結固着異常を検知したいという要望があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、誤検知を防止しつつ、トルクコンバータ内のロックアップクラッチの締結固着異常の診断頻度を高めることが可能なロックアップクラッチの異常検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るロックアップクラッチの異常検知装置は、エンジンと自動変速機との間に介装されたトルクコンバータのタービンの回転数を検出するタービン回転数検出手段と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、トルクコンバータのロックアップクラッチの締結、解放を制御する制御ユニットとを備え、該制御ユニットが、自動変速機のシフトレンジを駐車レンジ又は中立レンジから前進走行レンジ又は後進走行レンジに切り替えた際、及び、車両が減速して停止する際に、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数をカウントし、該回数が所定回数以上となった場合に、ロックアップクラッチの締結固着異常が生じていると判定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るロックアップクラッチの異常検知装置によれば、自動変速機のシフトレンジが駐車レンジ又は中立レンジから前進走行レンジ又は後進走行レンジに切り替えられた際に、ロックアップクラッチの締結固着異常を検知することができる。すなわち、停車状態での異常検知が可能となる。また、車両が減速して停止する際にもロックアップクラッチの締結固着異常を検知することができ、検知頻度(診断頻度)を増すことができる。一方、本発明に係るロックアップクラッチの異常検知装置によれば、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数(上下関係が入れ替わる回数)がカウントされ、該回数が所定回数以上となった場合に、ロックアップクラッチの締結固着異常が生じていると判定される。そのため、より正確にロックアップクラッチの締結固着異常を検知することができる。
【発明の効果】
【0011】
その結果、本発明によれば、誤検知を防止しつつ、トルクコンバータ内のロックアップクラッチのオン固着異常(締結固着異常)の診断頻度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るロックアップクラッチの異常検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】ロックアップクラッチの締結固着異常の検知手法を説明するための図である(締結固着時)。
【
図3】ロックアップクラッチの締結固着異常の検知手法を説明するための図である(正常時)。
【
図4】エンジン回転数の補正について説明するための図である。
【
図6】締結固着時の実測データの一例を示す図である。
【
図8】締結固着時におけるカウント値のリセット動作について説明するための図である。
【
図9】正常時におけるカウント値のリセット動作について説明するための図である。
【
図10】実施形態に係るロックアップクラッチの異常検知装置による締結固着異常診断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
まず、
図1を用いて、実施形態に係るロックアップクラッチの異常検知装置1の構成について説明する。
図1は、ロックアップクラッチの異常検知装置1の構成を示すブロック図である。
【0015】
エンジン10は、どのような形式のものでもよいが、例えば水平対向型の筒内噴射式4気筒ガソリンエンジンである。エンジン10では、エアクリーナ(図示省略)から吸入された空気が、吸気管に設けられた電子制御式スロットルバルブ(以下、単に「スロットルバルブ」という)13により絞られ、インテークマニホールドを通り、エンジン10に形成された各気筒に吸入される。ここで、エアクリーナから吸入された空気の量はエアフローメータにより検出される。さらに、スロットルバルブ13には、該スロットルバルブ13の開度を検出するスロットル開度センサ14が配設されている。各気筒には、燃料を噴射するインジェクタが取り付けられている。また、各気筒には混合気に点火する点火プラグ、及び、該点火プラグに高電圧を印加するイグナイタ内蔵型コイルが取り付けられている。エンジン10の各気筒では、吸入された空気とインジェクタによって噴射された燃料との混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは排気管を通して排出される。
【0016】
上述したエアフローメータ、スロットル開度センサ14に加え、エンジン10のカムシャフト近傍には、エンジン10の気筒判別を行うためのカム角センサが取り付けられている。また、エンジン10のクランクシャフト15近傍には、クランクシャフト15の回転位置を検出するクランク角センサ61が取り付けられている。これらのセンサは、後述するエンジン・コントロールユニット(以下「ECU」という)60に接続されている。また、ECU60には、アクセルペダルの踏み込み量すなわちアクセルペダルの開度を検出するアクセルペダルセンサ62、及び、エンジン10の冷却水の温度を検出する水温センサ等の各種センサも接続されている。
【0017】
エンジン10のクランクシャフト(出力軸)15には、クラッチ機能とトルク増幅機能を持つトルクコンバータ21、及び、前後進切替機構27を介して、エンジン10からの駆動力を変換して出力する無段変速機20が接続されている。
【0018】
トルクコンバータ21は、主として、ポンプインペラ22、タービンランナ23、及び、ステータ24から構成されている。クランクシャフト15に接続されたポンプインペラ22がオイルの流れを生み出し、ポンプインペラ22に対向して配置されたタービンランナ23がオイルを介してエンジン10の動力を受けて出力軸を駆動する。両者の間に位置するステータ24は、タービンランナ23からの排出流(戻り)を整流し、ポンプインペラ22に還元することでトルク増幅作用を発生させる。
【0019】
また、トルクコンバータ21は、入力と出力とを直結状態にするロックアップクラッチ25を有している。トルクコンバータ21は、ロックアップクラッチ25が締結されていないとき(非ロックアップ状態のとき)はエンジン10の駆動力をトルク増幅して無段変速機20に伝達し、ロックアップクラッチ25が締結されているとき(ロックアップ時)はエンジン10の駆動力を無段変速機20に直接伝達する。
【0020】
ここで、ロックアップクラッチ25の締結、解放は、ロックアップクラッチ25(アプライ室)に供給される油圧(ロックアップ・アプライ圧)を調節することによって行われる。このロックアップ・アプライ圧はトランスミッション・コントロールユニット(以下「TCU」という)40により制御される。また、トルクコンバータ21を構成するタービンランナ23の回転数(タービン回転数)は、タービン回転数センサ56により検出される。検出されたタービン回転数はTCU40に出力される。タービン回転数センサ56は、特許請求の範囲に記載のタービン回転数検出手段として機能する。
【0021】
前後進切替機構27は、駆動輪の正転と逆転(車両の前進と後進)とを切り替えるものである。前後進切替機構27は、主として、ダブルピニオン式の遊星歯車列28、前進クラッチ29及び後進ブレーキ30を備えている。前後進切替機構27では、前進クラッチ29、及び後進ブレーキ30それぞれの状態を制御することにより、エンジン駆動力の伝達経路を切り替えることが可能に構成されている。
【0022】
より具体的には、前進クラッチ29を締結して後進ブレーキ30を解放することにより、タービン軸26の回転がそのまま後述するプライマリ軸32に伝達され、車両を前進走行させることが可能となる。また、前進クラッチ29を解放して後進ブレーキ30を締結することにより、遊星歯車列28を作動させてプライマリ軸32の回転方向を逆転させることができ、車両を後進走行させることが可能となる。なお、前進クラッチ29及び後進ブレーキ30を解放することにより、タービン軸26とプライマリ軸32とは切り離され、前後進切替機構27はプライマリ軸32に動力を伝達しないニュートラル状態となる。なお、前進クラッチ29及び後進ブレーキ30の動作は、TCU40、及び、バルブボディ(コントロールバルブ)50によって制御される。
【0023】
無段変速機20は、前後進切替機構27を介してトルクコンバータ21のタービン軸(出力軸)26と接続されるプライマリ軸32と、該プライマリ軸32と平行に配設されたセカンダリ軸37とを有している。
【0024】
プライマリ軸32には、プライマリプーリ34が設けられている。プライマリプーリ34は、プライマリ軸32に接合された固定シーブ34aと、該固定シーブ34aに対向して、プライマリ軸32の軸方向に摺動自在に装着された可動シーブ34bとを有し、それぞれのシーブ34a,34bのコーン面間隔、すなわちプーリ溝幅を変更できるように構成されている。一方、セカンダリ軸37には、セカンダリプーリ35が設けられている。セカンダリプーリ35は、セカンダリ軸37に接合された固定シーブ35aと、該固定シーブ35aに対向して、セカンダリ軸37の軸方向に摺動自在に装着された可動シーブ35bとを有し、プーリ溝幅を変更できるように構成されている。
【0025】
プライマリプーリ34とセカンダリプーリ35との間には駆動力を伝達するチェーン36が掛け渡されている。プライマリプーリ34及びセカンダリプーリ35の溝幅を変化させて、各プーリ34,35に対するチェーン36の巻き付け径の比率(プーリ比)を変化させることにより、変速比が無段階に変更される。ここで、チェーン36のプライマリプーリ34に対する巻き付け径をRpとし、セカンダリプーリ35に対する巻き付け径をRsとすると、変速比iは、i=Rs/Rpで表される。よって、変速比iは、プライマリプーリ回転数Npをセカンダリプーリ回転数Nsで除算する(i=Np/Ns)ことにより求められる。
【0026】
ここで、プライマリプーリ34(可動シーブ34b)には油圧室34cが形成されている。一方、セカンダリプーリ35(可動シーブ35b)には油圧室35cが形成されている。プライマリプーリ34、セカンダリプーリ35それぞれの溝幅は、プライマリプーリ34の油圧室34cに導入されるプライマリ油圧と、セカンダリプーリ35の油圧室35cに導入されるセカンダリ油圧とを調節することにより設定・変更される。
【0027】
無段変速機20を変速させるための油圧、すなわち、上述したプライマリ油圧及びセカンダリ油圧は、バルブボディ(コントロールバルブ)50によってコントロールされる。バルブボディ50は、スプールバルブと該スプールバルブを動かすソレノイドバルブ(電磁弁)を用いてバルブボディ50内に形成された油路を開閉することで、オイルポンプ(図示省略)から吐出された油圧を調整して、プライマリプーリ34の油圧室34c及びセカンダリプーリ35の油圧室35cに供給する。また、バルブボディ50は、ロックアップクラッチ25や前後進切替機構27等にも油圧を供給する。
【0028】
無段変速機20の変速制御は、TCU40によって実行される。すなわち、TCU40は、上述したバルブボディ50を構成するソレノイドバルブ(電磁弁)の駆動を制御することにより、プライマリプーリ34の油圧室34c及びセカンダリプーリ35の油圧室35cに供給する油圧を調節して、無段変速機20の変速比を変更する。また、TCU40は、前進クラッチ29に供給、排出するATF(Automatic Transmission Fluid)量を調節して、前進クラッチ29の締結、解放を行う。同様に、TCU40は、後進ブレーキ30に供給、排出するATF量を調節して、後進ブレーキ30の締結、解放を行う。さらに、TCU40は、バルブボディ50を構成するロックアップクラッチ・デューティソレノイド50aの駆動を制御することにより、ロックアップクラッチ25(アプライ室)に供給する油圧(ロックアップ・アプライ圧)を調節して、ロックアップクラッチ25の締結、解放を行う。TCU40は、特許請求の範囲に記載の制御ユニットとして機能する。
【0029】
ここで、車両のフロア(センターコンソール)等には、運転者による、無段変速機20の動作状態(レンジ)を択一的に切り替える操作を受付けるシフトレバー(セレクトレバー)51が設けられている。シフトレバー51には、該シフトレバー51と連動して動くように接続され、該シフトレバー51の選択位置を検出するレンジスイッチ59が取り付けられている。レンジスイッチ59は、TCU40に接続されており、検出されたシフトレバー51の選択位置が、TCU40に読み込まれる。なお、シフトレバー51では、「D」レンジ、「M」レンジの他、パーキング「P」レンジ、リバース「R」レンジ、ニュートラル「N」レンジを選択的に切り替えることができる。なお、シフトレバー51に代えて、例えば、スイッチタイプのセレクト機構を用いてもよい。
【0030】
ここで、シフトレバー51が操作されてDレンジ(前進走行レンジ)が選択された場合には、前進クラッチ29の油圧室にATFが供給されるとともに、後進ブレーキ30の油圧室からATFが排出される。これにより、前進クラッチ29が締結状態、後進ブレーキ30が解放状態となり、車両は前進可能となる。一方、シフトレバー51が操作されてRレンジ(後進走行レンジ)が選択された場合には、後進ブレーキ30の油圧室にATFが供給されるとともに、前進クラッチ29の油圧室からATFが排出される。これにより、後進ブレーキ30が締結状態、前進クラッチ29が解放状態となり、車両は後進可能となる。なお、シフトレバー51が操作されてNレンジ又はPレンジが選択された場合には、前進クラッチ29の油圧室、及び後進ブレーキ30の油圧室それぞれからATFが排出される。これにより、前進クラッチ29及び後進ブレーキ30それぞれが解放状態となり(エンジン駆動力の伝達が遮断され)、車両は中立状態となる。
【0031】
TCU40には、プライマリプーリ34の回転数を検出するプライマリプーリ回転センサ57や、セカンダリプーリ35の回転数(車速に対応)を検出するセカンダリプーリ回転センサ58などが接続されている。また、TCU40は、例えばCAN(Controller Area Network)100を介して、エンジン10を総合的に制御するECU60、ビークルダイナミクス・コントロールユニット(以下「VDCU」という)70、及び、メータ・コントロールユニット(以下「MCU」という)90等と相互に通信可能に接続されている。
【0032】
TCU40、ECU60、及び、VDCU70は、それぞれ、演算を行うマイクロプロセッサ、該マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するEEPROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、バッテリ等によってその記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び、入出力I/F等を有して構成されている。
【0033】
ECU60では、上述したカム角センサの出力から気筒が判別され、クランク角センサ61の出力によって検出されたクランクシャフト15の回転位置の変化からエンジン回転数が求められる。すなわち、クランク角センサ61は、特許請求の範囲に記載のエンジン回転数検出手段として機能する。より詳細には、ECU60は、クランク角センサ61により検出されたクランクシャフト15の回転位置の時間変化に基づいて、予め定められた所定クランク角度間における平均エンジン回転数である行程平均回転数を求める。例えば、ECU60は、燃焼行程(膨張行程)終了下死点BDC(4気筒エンジンの場合には点火順序が一つ後の気筒の圧縮行程上死点TDCと同じ)に対してBBDC10°のクランク信号入力時に、該信号入力前180°期間(すなわち、BTDC10°CA~BBDC10°CA)の行程時間T180に基づいて、行程平均回転数(以下「エンジン回転数」という)を算出する。
【0034】
また、ECU60では、上述した各種センサから入力される検出信号に基づいて、吸入空気量、アクセルペダル開度、混合気の空燃比、及び、水温等の各種情報が取得される。そして、ECU60は、取得したこれらの各種情報に基づいて、燃料噴射量や点火時期、並びに、スロットルバルブ13等の各種デバイスを制御することによりエンジン10を総合的に制御する。
【0035】
また、ECU60では、エアフローメータにより検出された吸入空気量に基づいて、エンジン10のエンジン軸トルク(出力トルク)が算出される。そして、ECU60は、CAN100を介して、エンジン回転数、エンジン軸トルク、及び、アクセルペダル開度等の情報をTCU40に送信する。
【0036】
VDCU70には、ブレーキアクチュエータのマスタシリンダ圧力(ブレーキ液圧)を検出するブレーキ液圧センサ71が接続されている。また、VDCU70には、車両の各車輪の回転速度(車速)を検出する車輪速センサ72等も接続されている。さらに、VDCU70には、車両に作用する前後方向の加速度を検出する前後加速度(前後G)センサ73、車両に作用する横方向の加速度を検出する横加速度(横G)センサ74なども接続されている。
【0037】
VDCU70は、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキアクチュエータを駆動して車両を制動するとともに、車両挙動を各種センサ(例えば、車輪速センサ72、加速度センサ73、74、操舵角センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等)により検知し、自動加圧によるブレーキ制御とエンジン10のトルク制御により、横滑りを抑制し、旋回時の車両安定性を確保する。また、VDCU70は、検出したブレーキ液圧等の制動情報(ブレーキ操作情報)や、前後加速度(前後G)、横加速度(横G)、車輪速(車速)等を、CAN100を介してTCU40に送信する。
【0038】
TCU40は、変速マップに従い、車両の運転状態(例えば、車速、エンジン回転数、及び、アクセルペダル開度等)に応じて自動で変速比を無段階に変速する。なお、自動変速モードに対応する変速マップはTCU40内のEEPROM等に格納されている。また、TCU40は、ロックアップクラッチ・デューティソレノイド50aに印加する電圧(電力)のデューティ比を制御することにより、ロックアップクラッチ25のアプライ室に供給されるオイルの油圧を調節し、ロックアップクラッチ25の締結、解放を制御する。
【0039】
特に、TCU40は、誤検知を防止しつつ、トルクコンバータ21内のロックアップクラッチ25の締結固着異常(オン固着異常)の診断頻度を高める機能を有している。TCU40では、EEPROM等に記憶されているプログラムがマイクロプロセッサによって実行されることにより、当該機能が実現される。
【0040】
TCU40は、無段変速機20のシフトレンジを駐車(P)レンジ又は中立(N)レンジから前進走行(D)レンジ又は後進走行(R)レンジに切り替えた際、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm:エンスト判定しきい値)を下回った場合に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常診断を実行する。また、TCU40は、車両が減速して停止する際、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)を下回った場合に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常診断を実行する。
【0041】
締結固着異常診断を実行する際に、TCU40は、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数(上下関係が入れ替わる回数)をカウントする。そして、TCU40は、
図2及び
図6に示されるように、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数(カウント値)が予め設定された所定回数(例えば4回)以上となった場合に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常(オン固着異常)が生じていると判定する。なお、
図2は、ロックアップクラッチ25の締結固着異常の検知手法を説明するための図である(締結固着時)。
図2の横軸は時間(sec)であり、縦軸はエンジン回転数及びタービン回転数(rpm)である(
図3~
図9も同様)。
図6は、締結固着時の実測データ(タービン回転数及びエンジン回転数の変化)の一例を示す図である。
【0042】
ところで、ロックアップクラッチ25が締結固着している状態で、エンジン始動後、Pレンジ、NレンジからDレンジ、Rレンジに切り替えられた場合、又は、走行中にロックアップクラッチ25が締結固着した状態で減速して停止する場合、エンジン10のアイドリング回転を維持しようとフィードバック制御が働き、エンジンフリクションの発生によってタービン回転数がハンチングする。一方、ECU60からTCU40に送られるエンジン回転数はなまされているため(180°CAの平均値のため)ほとんどハンチングしない。
【0043】
よって、ロックアップクラッチ25が締結固着している場合、エンジン10がストールする際に、タービン回転数がハンチングすることにより、タービン回転数とエンジン回転数とが複数回交差する。このような知見に基づき、エンジンストール間際における、タービン回転数とエンジン回転数との交差回数から締結固着(故障)を判定する。ここで、固着判定に用いられる上記所定回数は、例えば、エンジン10が2回転(720deg)する間の爆発回数に基づいて設定される。よって、4気筒エンジンでは2回爆発するため4回とする。また、6気筒エンジンでは3回爆発するので4回以上(例えば6回)に設定することが好ましい。
【0044】
一方、TCU40は、
図3及び
図7に示されるように、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数(上下関係が入れ替わる回数)が所定回数(例えば4回)以上となることなく、タービン回転数がゼロの状態で所定時間(例えば0.1sec)以上経過した場合に、ロックアップクラッチ25が正常である(すなわち締結固着が生じていない)と判定する。なお、
図3は、ロックアップクラッチ25の締結固着異常の検知手法を説明するための図である(正常時)。
図7は、正常時の実測データ(タービン回転数及びエンジン回転数の変化)の一例を示す図である。
【0045】
ところで、ECU60で計算され、CAN100を経由して取得されるエンジン回転数は、TCU40で計算されるタービン回転数に対して遅れが生じるおそれがある。そのため、異常検知精度を向上する観点から、TCU40では、このような遅れを解消するようにエンジン回転数を補正(オフセット)することが好ましい。より具体的には、
図4に示されるように、TCU40は、例えば、エンジン回転数の低下速度、及び、車速の減速度に基づいてエンジン回転数を補正(オフセット)する。なお、
図4は、エンジン回転数の補正について説明するための図である。
【0046】
TCU40は、エンジン回転数の低下速度が大きくなるほど補正量(オフセット量)を大きくし、エンジン回転数の低下速度が小さくなるほど補正量(オフセット量)を小さくする。また、TCU40は、車速の減速度が大きくなるほど補正量(オフセット量)を大きくし、車速の減速度が小さくなるほど補正量(オフセット量)を小さくする。そして、TCU40は、タービン回転数と補正後のエンジン回転数とが交差する回数(上下関係が入れ替わる回数)をカウントし、該回数(カウント値)が予め設定された所定回数(例えば4回)以上となった場合に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常(オン固着異常)が生じていると判定する。
【0047】
TCU40は、例えば、車速が所定速度以下で且つ低下しており、アクセルペダルの踏み込みが解除されており、ブレーキペダルが踏まれている場合に、車両が減速して停止すると判断する。ただし、TCU40は、誤検知を防止するため、
図5に示されるように、急減速時には異常診断を実行しない。換言すると、TCU40は、車両が減速して停止する際、該車両の減速度が所定の減速度(例えば3m/s^2)以下の場合(すなわち緩減速の場合)に、ロックアップクラッチ25が締結固着しているか否かの異常診断を行う。なお、
図5は、急減速時の動作を説明するための図である。
【0048】
ところで、車両の減速度が大きい場合、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)を下回ってから車両が停止するまでの時間、すなわち、交差回数をカウントアップできる時間が短くなるため、ロックアップクラッチ25が締結固着していたとしても正常であると判定してしまうおそれがある。よって、急減速時には判定を禁止することで誤検知を防止する。より具体的には、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)を下回った後、エンジン10がストールするまでに、エンジン10が2回転(720deg)以上回転できるように(すなわち、タービン回転数とエンジン回転数との交差回数が4回以上担保できるように)、減速度のしきい値は、例えば、3m/s^2に設定される。
【0049】
また、TCU40は、
図8、
図9に示されるように、ロックアップクラッチ25が締結固着しているか否かの異常診断を開始した後、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)よりも大きい状態が所定時間(例えば0.2sec)以上継続した場合に、診断を中止するとともに、カウントした回数(カウント値)をリセットする(ゼロに戻す)。なお、
図8は、締結固着時におけるカウント値のリセット動作について説明するための図である。
図9は、正常時(締結固着したいないとき)におけるカウント値のリセット動作について説明するための図である。
【0050】
以上のようにして取得された締結固着の診断結果は、CAN100を介して、MCU90に送られる。MCU90は、例えば、メータ内やダッシュボードの上部などに配設されたLCDディスプレイ等を有する表示部91と接続されており、該表示部91を駆動して、例えば、車両や、エンジン10、及び、無段変速機20等の状態や各種情報を運転者に提示する。特に、MCU90は、ロックアップクラッチ25の締結固着異常が検知された場合に、運転者に対して警告を発する。その際に、MCU90は、表示部91を駆動し、例えば、警告灯を点灯させたり、「ロックアップクラッチに異常(締結固着)が発生しています」といった文字を表示したりすることが好ましい。また、同時に警告音を出力するようにしてもよい。
【0051】
次に、
図10を参照しつつ、ロックアップクラッチの異常検知装置1の動作について説明する。
図10は、ロックアップクラッチの異常検知装置1による締結固着異常診断処理の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、TCU40において、所定時間毎(例えば10ms毎)に繰り返して実行される。
【0052】
まず、ステップS100では、無段変速機20のシフトレンジが駐車(P)レンジ又は中立(N)レンジから前進走行(D)レンジ又は後進走行(R)レンジにレンジが切り替えられたか否か(インギヤされたか否か)についての判断が行われる。ここで、レンジが切り替えられた場合(インギヤされた場合)には、ステップS106に処理が移行する。一方、レンジが切り替えられていないとき(インギヤされていないとき)には、ステップS102に処理が移行する。
【0053】
ステップS102では、車両が減速して停止するか否かについての判断が行われる。ここで、車両が減速して停止しないと判断された場合には、本処理から一旦抜ける。一方、車両が減速して停止すると判断されたときには、ステップS104に処理が移行する。
【0054】
ステップS104では、車両が急減速しているか否か(例えば減速度が3m/s^2以上であるか否か)についての判断が行われる。ここで、車両が急減速していると判断された場合には、本処理から一旦抜ける。一方、車両が急減速していない(緩減速している)と判断されたときには、ステップS106に処理が移行する。
【0055】
ステップS106では、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)を下回ったか否かについての判断が行われる。ここで、タービン回転数が所定回転数を下回った場合には、ステップS110に処理が移行する。一方、タービン回転数が所定回転数を下回っていないときには、ステップS108に処理が移行する。
【0056】
ステップS108では、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)よりも高い状態が所定時間(例えば0.2sec)以上継続した場合に、診断が中止されるとともに、カウントされた回数(カウント値)がリセットされる(ゼロに戻される)。その後、本処理から一旦抜ける。
【0057】
一方、ステップS110では、エンジン回転数の低下速度、及び、車速の減速度に基づいてエンジン回転数が補正(オフセット)される。
【0058】
次に、ステップS112では、タービン回転数と補正後(オフセット後)のエンジン回転数とが交差したか否か(上下関係が入れ替わったか否か)についての判断が行われる。ここで、双方が交差した場合には、ステップS114において、双方が交差した回数をカウントするカウント値がカウントアップ(例えば+1)された後、ステップS116に処理が移行する。一方、双方が交差していないときには、該カウント値がカウントアップされることなく、ステップS116に処理が移行する。
【0059】
ステップS116では、カウント値(タービン回転数とエンジン回転数とが交差した回数)が予め設定された所定回数(例えば4回)以上となったか否かについての判断が行われる。ここで、カウント値が所定回数以上となった場合には、ステップS118に処理が移行する。一方、カウント値が所定回数未満のときには、ステップS120に処理が移行する。
【0060】
ステップ118では、ロックアップクラッチ25が締結固着していると判定される。そして、その後、本処理から一旦抜ける。
【0061】
ステップS120では、タービン回転数がゼロの状態で所定時間(例えば0.1sec)以上経過したか否かについての判断が行われる。ここで、タービン回転数がゼロの状態で所定時間以上経過していない場合には、ステップS106に処理が戻り、上述したステップS106~S120の処理が、再度繰り返して実行される。一方、タービン回転数がゼロの状態で所定時間以上経過した場合には、ステップS122において、ロックアップクラッチ25は正常である(すなわち締結固着が生じていない)と判定される。そして、その後、本処理から一旦抜ける。
【0062】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、無段変速機20のシフトレンジが駐車(P)レンジ又は中立(N)レンジから前進走行(D)レンジ又は後進走行(R)レンジに切り替えられた際に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常を検知することができる。すなわち、停車状態での異常検知が可能となる。また、車両が減速して停止する際にもロックアップクラッチ25の締結固着異常を検知することができ、検知頻度(診断頻度)を増すことができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、タービン回転数とエンジン回転数とが交差する回数(上下関係が入れ替わる回数)がカウントされ、該回数が予め設定された所定回数(例えば4回)以上となった場合に、ロックアップクラッチ25の締結固着異常(オン固着異常)が生じていると判定される。一方、タービン回転数と前記エンジン回転数とが交差する回数が所定回数以上となることなく、タービン回転数がゼロの状態で所定時間以上経過した場合に、ロックアップクラッチ25が正常である(締結固着が生じていない)と判定される。そのため、より正確にロックアップクラッチ25の締結固着異常を検知することができる。
【0064】
その結果、本実施形態によれば、誤検知を防止しつつ、トルクコンバータ21内のロックアップクラッチ25の締結固着異常(オン固着異常)の診断頻度を高めることが可能となる。
【0065】
本実施形態によれば、エンジン回転数の低下速度、及び、車速の減速度に基づいてエンジン回転数が補正(オフセット)される。そのため、ECU60で求められCAN100を経由して取得されるエンジン回転数が、TCU40で計算されるタービン回転数に対して遅れたとしても、当該遅れを補正することにより、固着診断の検知精度を向上することができる。
【0066】
本実施形態によれば、車両が減速して停止する際、該車両の減速度が所定の減速度(例えば3m/s^2)以下の場合に、ロックアップクラッチ25が締結固着しているか否かの異常判定が行われる。そのため、タービン回転数が所定回転数(例えば400rpm)以下になってから車両が停止するまでに、エンジン10が2回転する時間を確保できない急減速時には固着判定を禁止することで誤検知を防止することができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を無段変速機(CVT)20に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、有段自動変速機(ステップAT)などにも適用することができる。
【0068】
上記実施形態では、前後進切替機構27を、プライマリプーリ34の前段に配置したが、セカンダリプーリ35の後段に配置する構成としてもよい。
【0069】
上記実施形態では、ロックアップクラッチ25として油圧式のものを用いたが、例えば電磁式のものを用いることもできる。
【0070】
上記実施形態では、エンジン10を制御するECU60と、無段変速機20を制御するTCU40とを別々のハードウェアで構成し、CAN100を介して相互通信可能に接続したが、双方を一体のハードウェアで構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 ロックアップクラッチの異常検知装置
10 エンジン
20 無段変速機
21 トルクコンバータ
22 ポンプインペラ
23 タービンランナ
24 ステータ
25 ロックアップクラッチ
26 タービン軸
27 前後進切替機構
28 遊星歯車列
29 前進クラッチ
30 後進ブレーキ
34 プライマリプーリ
35 セカンダリプーリ
36 チェーン
40 TCU
50 バルブボディ(コントロールバルブ)
50a ロックアップクラッチ・デューティソレノイド
51 シフトレバー
56 タービン回転数センサ
57 プライマリプーリ回転センサ
58 セカンダリプーリ回転センサ
59 レンジスイッチ
60 ECU
61 クランク角センサ
62 アクセルペダルセンサ
70 VDCU
71 ブレーキ液圧センサ
72 車輪速センサ
73 前後加速度センサ
74 横加速度センサ
90 MCU
91 表示部
100 CAN