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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】含フッ素重合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20250604BHJP
【FI】
C08G61/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021182936
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2022135908
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2021034126
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【弁理士】
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 友宏
(72)【発明者】
【氏名】福元 博基
(72)【発明者】
【氏名】塚田 大翔
(72)【発明者】
【氏名】白井 智大
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-139359(JP,A)
【文献】特開2003-335712(JP,A)
【文献】特開平07-247343(JP,A)
【文献】特開2020-125446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造単位を含む、含フッ素重合体。
【化11】
(式(1)中、nは2~10の整数であり、Arは2価の芳香族基である)
【請求項2】
一般式(1)におけるnが、4、6または8である、請求項1に記載の含フッ素重合体。
【請求項3】
一般式(1)におけるArが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載の含フッ素重合体。
【請求項4】
下記一般式(2)で示される化合物と、下記一般式(3)で示される化合物を、遷移金属触媒及び塩基の存在下重合させることを特徴とする、下記一般式(4)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造方法。
【化12】
(式(2)中、nは2~10の整数である)
X-Ar-X (3)
(式(3)中、Arは2価の芳香族基であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメタンスルホニル基である)
【化13】
(式(4)中、n及びArは前記式(1)と同じ)
【請求項5】
一般式(2)におけるnが、4、6または8である、請求項4に記載の含フッ素重合体の製造方法。
【請求項6】
一般式(3)におけるArが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4または請求項5に記載の含フッ素重合体の製造方法。
【請求項7】
前記遷移金属触媒が、パラジウム触媒またはニッケル触媒である、請求項4~6のいずれか一項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
【請求項8】
前記塩基が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び有機塩基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素重合体は、炭素-フッ素結合の性質に起因して、耐薬品性、撥水撥油性、可視光透過性、低屈折率、低誘電率等の優れた性能を有しており、工業的に使用されている。中でも、主鎖にパーフルオロアルキレン基を有する含フッ素重合体は、高い化学的安定性や低誘電率を示すことが知られている。
【0003】
非特許文献1には、パーフルオロアルキレン鎖を有するポリアリールエーテルが開示されている。また、特許文献1、2には主鎖にパーフルオロアルキレン基を有するポリアリールチオエーテル及びポリウレアが開示されている。しかし、これらの含フッ素重合体は、原料となるモノマーの合成が煩雑である、重合体の製造の際に150℃以上の高温条件が必要である等の課題があった。
【0004】
特許文献3には、パーフルオロアルキレン基を有するジエンのメタセシス重合による含フッ素重合体の製造方法が開示されている。しかし、重合には特殊な触媒を必要とするなどの課題があり、入手容易なパーフルオロアルキレン基を有する原料から簡便に製造できる含フッ素重合体が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-112649号公報
【文献】欧州特許第3031848号公報
【文献】国際公開第2016/129606号広報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Macromolecules,1990年,第23巻,項5371-5373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の背景技術に鑑み、高い耐熱性を備え、簡便に製造可能な新規含フッ素重合体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、以下に示す含フッ素重合体が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下に係る。
[1] 下記一般式(1)で示される構造単位を含む、含フッ素重合体。
【化1】
(式(1)中、nは2~10の整数であり、Arは2価の芳香族基である)
[2] 一般式(1)におけるnが、4、6または8である、[1]に記載の含フッ素重合体。
[3] 一般式(1)におけるArが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の含フッ素重合体。
[4] 下記一般式(2)で示される化合物と、下記一般式(3)で示される化合物を、遷移金属触媒及び塩基の存在下、重合させることを特徴とする、下記一般式(4)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造方法。
【化2】
(式(2)中、nは2~10の整数である)
X-Ar-X (3)
(式(3)中、Arは2価の芳香族基であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメタンスルホニル基である)
【化3】
(式(4)中、n及びArは前記式(1)と同じ)
[5] 一般式(2)におけるnが、4または6である、[4]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[6] 一般式(3)におけるArが、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種である、[4]または[5]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[7] 前記遷移金属触媒が、パラジウム触媒またはニッケル触媒である、[4]~[6]のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
[8] 前記塩基が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び有機塩基からなる群より選択される少なくとも1種である、[4]~[7]のいずれかに記載の含フッ素重合体の製造方法。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体において、nは2~10の整数であり、Arは2価の芳香族基である。中でも、nが4~8であることが好ましく、製造が容易であることからnが4、6または8であることがより好ましい。
【0011】
本発明の一般式(1)におけるArは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
置換基の具体例としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基、炭素数1~4のパーフルオロアルコキシ基等が挙げられる。
【0012】
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体は、一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示される化合物を、遷移金属触媒及び塩基の存在下重合させることにより得られる。
【0013】
本発明の一般式(2)で示される化合物において、nは2~10の整数であり、nが4~8であることが好ましく、製造が容易であることからnが4、6または8であることがより好ましい。
【0014】
本発明の一般式(3)で示される化合物において、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメタンスルホニル基である。反応性の観点から、Xが臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメタンスルホニル基であることがより好ましい。
本発明の一般式(3)で示される化合物において、Arは置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいフェナントレニレン基及び置換基を有していてもよいメチレンジフェニレン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
置換基の具体例としては、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基、炭素数1~4のパーフルオロアルコキシ基等が挙げられる。
【0015】
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造において、遷移金属触媒は、パラジウム触媒またはニッケル触媒であることが好ましい。
パラジウム触媒の具体例としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリo-トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,1‘-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、テトラフルオロほう酸テトラキス(アセトニトリル)パラジウム、Hermann触媒等並びに、該パラジウム塩またはパラジウム錯体に配位子が配位した錯体等が挙げられる。
ニッケル触媒の具体例としては、塩化ニッケル、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル、アセチルアセトンニッケル水和物、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(ジシクロヘキシルフェニルホスフィン)ニッケル、クロロビス[ジシクロヘキシル(フェニル)ホスフィノ](o-トリル)ニッケル、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル、ジクロロ[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、ジクロロ[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、等並びに、該ニッケル塩またはニッケル錯体に配位子が配位した錯体等が挙げられる。
これらの中でも、反応性の観点からパラジウム触媒が好ましく、中でもHermann触媒がより好ましい。
【0016】
配位子としては、遷移金属に配位可能な配位子であれば特に限定されないが、ホスフィン配位子が好ましく、3級ホスフィン配位子がより好ましい。
具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert-ブチルジフェニルホスフィン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2-フリル)ホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリス(2,5-キシリル)ホスフィン、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
第三級ホスフィンとパラジウム塩又はパラジウム錯体とのモル比は、1:10~10:1が好ましく、1:2~5:1がさらに好ましい。
【0017】
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造において、塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び有機塩基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造においては、溶剤を用いてもよい。用いられる溶剤としては、重合反応に不活性な溶剤であれば特に限定はされないが、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、クメン等の炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム等の(ハロゲン化)炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性溶媒、水等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
本発明において、用いられる溶剤は反応に具する一般式(2)で示される化合物に対して、好ましくは2重量倍量~100重量倍量、さらに好ましくは5重量倍量~50重量倍量使用する。
【0020】
本発明の一般式(1)で示される構造単位を含む含フッ素重合体の製造において、反応温度は0℃~140℃の範囲が好ましく、室温~125℃の範囲がより好ましい。
反応時間は1時間~96時間の範囲が好ましく、4時間~48時間の範囲がより好ましい。
重合反応の終了後、得られた含フッ素重合体を任意の方法で回収し、必要に応じて洗浄等の後処理を行う。反応溶液から含フッ素重合体を回収する方法としては、再沈殿等公知の方法が挙げられる。
【0021】
本発明の含フッ素重合体の重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で好ましくは1,000~1,000,000、より好ましくは3,000~500,000の範囲である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高い耐熱性等を有し、機能性材料として利用可能な新規含フッ素重合体が提供できる。
【実施例
【0023】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0024】
結果の解析に当たっては、下記機器を使用した。
H NMR、19F NMR、13C NMR:ブルカー・バイオスピン株式会社製AVANCE-III NMR分光計
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定1(以下「GPC測定1」とする。):
装置:東ソー製HLC-8320GPC
カラム:東ソー製TSKgel G4000HXL,G3000HXL,G2500HXL,G2000HXL
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1mL/min
検出器:UV(254nm)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定2(以下「GPC測定2」とする。):
装置:島津製作所製LC-20AD GPC system
カラム:東ソー製TSK-gel GMHHR-M
カラム温度:40℃
溶媒:クロロホルム
流量:1mL/min
検出器:UV(254nm)
熱重量示唆熱分析(TG-DTA):リガク製Thermo plus EVO高分解能作動型熱分解装置
示差走査熱量測定(DSC):TA Instruments製DSC Q2000
【0025】
実施例1
重合体(a)の合成
【化4】
1,4-ジブロモベンゼン0.74g(3.1mmol)、酢酸ナトリウム0.77g(9.4mmol)、trans-ビス(アセタト)ビス[o-(ジ-o-トルイルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)0.15g(上記反応式中、Hermann’s catalyst(Hermann触媒)と記載、0.16mmol)を加えたDMF(6mL)溶液に対し、窒素雰囲気下で1,4-ジビニルパーフルオロブタン0.60mL(3.1mmol)を加え、125℃で24時間攪拌した。反応混合物にメタノール 200mLを加えて再沈殿を行った後、濾過によって茶色の固体として重合体(a)を0.80g(2.4mmol)得た。収率は77%であった。
【0026】
生成物の解析結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,THF-d,ppm)δ=7.52-7.25(4H),7.22-6.96(2H),6.77-6.50(2H)
19F NMR(376MHz,THF-d,ppm)δ=-111.03--12.02(m,4F),-122.92--123.68(m,4F)
=5,400,M=11,000,M/M=1.9(分子量測定はGPC測定1による)
d5%=297℃
=133℃
【0027】
実施例2
重合体(b)の合成
【化5】
実施例1において、1,4-ジブロモベンゼンに替えて1,3-ジブロモベンゼンを用い、反応時間を24時間とした以外、同様の操作で重合体(b)を0.41g(1.2mmol)得た。収率は39%であった。
【0028】
生成物の解析結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,THF-d,ppm)δ=7.52-7.43(4H), 7.18-6.14(2H),6.30-6.24(2H)
19F NMR(376MHz,THF-d,ppm)δ=-111.35--111.37 (m,4F),-122.83--122.85(m,4F)
=2,300,M=3,700,M/M=1.6(分子量測定はGPC測定2
による)
d5%=281℃
【0029】
実施例3
重合体(c)の合成
【化6】
酢酸ナトリウム0.39g(4.7mmol)、trans-ビス(アセタト)ビス[o-(ジ-o-トルイルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)0.074g(上記反応式中、Hermann’s catalyst(Hermann触媒)と記載、0.078mmol)を加えたDMF(6mL)溶液に対し、窒素雰囲気下で、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼン0.40g(1.6mmol)、1,4-ジビニルパーフルオロブタン0.30mL(1.6mmol)を加え、125℃で24時間攪拌した。反応混合物に水150mLを加えて再沈殿を行った後、濾過した後メタノールで洗浄した。その後、ろ過によって黒色の固体として重合体(c)を0.12g(0.34mmol)得た。収率は22%であった。
【0030】
生成物の解析結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,THF-d,ppm)δ=7.31-7.30(1H), 7.17-7.10(4H),6.27-6.24(2H)
19F NMR(376MHz,THF-d,ppm)δ=-111.47--111.67 (m,5F),-122.82(m,4F)
=2,700,M=5,300,M/M=2.0(分子量測定はGPC測定2による)
d5%=358℃
【0031】
実施例4
重合体(d)の合成
【化7】
実施例3において、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼンに替えて3,5-ジブロモベンゾトリフルオリドを用いた以外、同様の操作で重合体(d)を0.058g(0.15mmol)得た。収率は9%であった。
【0032】
生成物の解析結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,THF-d,ppm)δ=7.71(3H),7.18-7.12(2H), 6.40-6.33(2H)
19F NMR(376MHz,THF-d,ppm)δ=-63.07--63.08(m,3F),-111.73(m,4F),-122.71 (m,4F)
=3,800,M=7,000,M/M=1.8(分子量測定はGPC測定2による)
d5%=291℃
【0033】
実施例5
重合体(e)の合成
【化8】
実施例1において、1,4-ジブロモベンゼンに替えて1,4-ジブロモ-2,5-ジフルオロベンゼンを用い、1,4-ジビニルパーフルオロブタンに替えて1,6-ジビニルパーフルオロヘキサンを用い、反応時間を24時間とした以外、同様の操作で重合体(e)を0.45g(0.97mmol)得た。収率は76%であった。
【0034】
生成物の解析結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,Acetone-d,ppm)δ=7.87-7.82(2H), 7.44-7.40(2H),6.92-6.82(2H)
19F NMR(376MHz,Acetone-d,ppm)δ=
-112.19 (m,4F),-121.94--122.09(m,6F), -123.72(m,4F)
=4,800,M=7,500,M/M=1.6(分子量測定はGPC測定1による)
d5%=325℃
【0035】
実施例6
重合体(f)の合成
【化9】
実施例1において、1,4-ジブロモベンゼンに替えて1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼンを用い、1,4-ジビニルパーフルオロブタンに替えて1,6-ジビニルパーフルオロヘキサンを用い、反応時間を24時間とした以外、同様の操作で重合体(f)を0.47g(1.05mmol)得た。収率は82%であった。
【0036】
生成物の解析結果を以下に示す。
d5%=403℃
【0037】
実施例7
重合体(g)の合成
【化10】
実施例1において、1,4-ジブロモベンゼンに替えて3,5-ジブロモベンゾトリフルオリドを用い、1,4-ジビニルパーフルオロブタンに替えて1,6-ジビニルパーフルオロヘキサンを用い、反応時間を24時間とした以外、同様の操作で重合体(g)を0.30g(0.60mmol)得た。収率は47%であった。
【0038】
生成物の解析結果を以下に示す。
d5%=415℃