(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-03
(45)【発行日】2025-06-11
(54)【発明の名称】バックアップ回路を有するエンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20250604BHJP
【FI】
G01D5/12 C
(21)【出願番号】P 2023551008
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2021036504
(87)【国際公開番号】W WO2023053456
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】戸野 博史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋平
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-145266(JP,A)
【文献】特開平10-257691(JP,A)
【文献】特開平7-271681(JP,A)
【文献】特開2018-11447(JP,A)
【文献】特開2020-187904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0020421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源とバックアップ用外部バッテリとが接続
可能なコネクタを有するエンコーダであって、
前記外部電源からの電力の供給がないときに駆動されるバックアップ回路と、
バックアップ用内部バッテリと、
前記外部電源からの電力の供給がないときにおいて前記バックアップ回路を駆動するための電力の供給元を、前記バックアップ用内部バッテリの電圧に応じて、前記バックアップ用内部バッテリと前記バックアップ用外部バッテリとの間で選択的に切り替える電源切替回路と、
を備え
、
前記電源切替回路は、
前記外部電源からの電力の供給がなくなったときにおいて、前記バックアップ回路を駆動するための電力を、前記バックアップ用内部バッテリの電圧が第1の閾値よりも高い場合は前記バックアップ用内部バッテリから供給し、前記バックアップ用内部バッテリの電圧が前記第1の閾値よりも低い場合は前記バックアップ用外部バッテリから供給し、
前記バックアップ回路を駆動するための電力を前記バックアップ用内部バッテリから供給しているときにおいて、前記バックアップ用内部バッテリの電圧が、第2の閾値よりも低くなった場合は、前記バックアップ回路を駆動するための電力を、前記バックアップ用外部バッテリから供給し、
前記バックアップ用内部バッテリの電圧が前記第2の閾値よりも低くなったことにより前記バックアップ回路を駆動するための電力を前記バックアップ用外部バッテリから供給しているときにおいて、前記バックアップ用外部バッテリの電圧が、第3の閾値よりも低くなった場合は、前記バックアップ回路を駆動するための電力を、前記バックアップ用内部バッテリから供給する、エンコーダ。
【請求項2】
前記バックアップ用内部バッテリは、二次電池である、請求項
1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記二次電池は、全固体電池である、請求項
2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
回転体の回転位置検出を行う位置検出回路を備え、
前記バックアップ回路は、前記外部電源からの電力の供給がないときにおいて、前記外部電源からの電力よりも少ない電力にて前記位置検出回路に前記回転体の回転位置検出を行わせる回路である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
回転体の回転位置検出を行う位置検出回路を備え、
前記バックアップ回路は、前記外部電源からの電力の供給がないときにおいて、バックアップ動作用のクロックにて前記位置検出回路を間歇動作させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記位置検出回路は、LEDと、前記回転体の回転軸が取り付けられる回転スリットと、受光素子とを備え、
前記バックアップ回路は、前記電源切替回路から駆動電力の供給を受けるバックアップ用クロックと、LSIと、コンパレータとを備える、請求項5に記載のエンコーダ。
【請求項7】
前記バックアップ用クロックは、前記バックアップ回路に前記外部電源からの電力の供給がない間は、前記LSIにて指定された間歇駆動のためのクロック周波数に基づき前記LSIを間歇駆動させ、
間歇駆動される前記LSIの制御によりLEDが間歇点灯し、
間歇点灯する前記LEDからの光は、前記回転スリットの回転に応じて前記回転スリットにて透過または遮断され、間歇点灯する前記LEDから発せられた光のうち、前記回転スリットを透過した光は、前記受光素子にて受光され、
前記受光素子は、受光した光の強度に応じた振幅を有するアナログ電気信号に変換して出力し、
前記コンパレータは、前記受光素子から出力された前記アナログ電気信号をディジタル電気信号に変換する、請求項6に記載のエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ回路を有するエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械やロボットなどに設けられるモータの回転軸やロボットの可動部などの回転体の回転位置情報を検出するために、エンコーダが用いられる。エンコーダ(例えばアブソリュートエンコーダ)では、当該エンコーダが設けられた機械の主電源がオンの間に当該主電源から駆動電力の供給を受けて高精度の回転位置検出を行う主回路の他に、主電源がオフの間にも低消費電力にて回転位置検出が可能なバックアップ回路が設けられる。主電源がオフの間は、主電源とは別のバックアップ用外部バッテリから駆動電力の供給を受けてバックアップ回路を動作させ、主電源がオフの間であっても外力により回転体が回転したときの回転位置情報を検出することで、当該機械の原点情報が消失することを防いでいる。このようなバックアップ用外部バッテリから駆動電力の供給を受けてバックアップ回路を動作させるエンコーダは、「バッテリバックアップ式エンコーダ」と称されることがある。
【0003】
また、エンコーダと、当該エンコーダが設けられる機械の主電源及びバックアップ用外部バッテリとは、コネクタを介して接続される。機械の保守の際にエンコーダから主電源及びバックアップ用外部電源が取り外されている間は、エンコーダ内のバックアップ回路に電力を供給する手段がなくなる。この間、外力により回転する回転体の回転位置情報を検出できないと当該エンコーダが設けられる機械の原点情報が消失してしまう。このため、エンコーダから主電源及びバックアップ用外部電源が取り外されている間もバックアップ回路を動作させるために、エンコーダ内にはバックアップ回路用の内部電源として電気二重層キャパシタが設けられる。バックアップ用の電気二重層キャパシタは、当該エンコーダが設けられた主電源がオンの間に充電され、エンコーダから主電源及びバックアップ用外部電源が取り外されている間も、電気二重層キャパシタに蓄電された電力によるバックアップ回路の動作を短時間ではあるが可能としている。
【0004】
例えば、歩行ロボットの関節の回動位置を検出するエンコーダの出力信号を記憶する記憶手段に主電源とバックアップ電源とを供給する電源装置において、前記歩行ロボットにそれぞれ搭載された主バッテリおよび予備バッテリと、前記主電源の供給回路に前記主バッテリを接続するとともにその主バッテリ側への電流の逆流を防止する第1のダイオードと、前記バックアップ電源の供給回路にバックアップ回路を接続するとともにそのバックアップ回路側への電流の逆流を防止する第2のダイオードと、前記第2のダイオードの出力電圧が前記第1のダイオードの出力電圧より低くなるように調整するバックアップ用コンバータと、前記バックアップ回路に前記主バッテリを接続するとともにその主バッテリ側への電流の逆流を防止する第3のダイオードと、前記バックアップ回路に前記予備バッテリを接続するとともにその予備バッテリ側への電流の逆流を防止する第4のダイオードと、前記第4のダイオードの出力電圧が前記第3のダイオードの出力電圧より低くなるように調整するバッテリ用コンバータと、を具えてなる、歩行ロボットの関節エンコーダ用電源装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
例えば、被測定物の変位量を測定するエンコーダ本体と、このエンコーダ本体に電源を供給する主電源遮断時にバックアップ用電源を供給するバックアップ電源とを有し、前記バックアップ電源の主バッテリー交換時に、この主バッテリーに代わってバックアップ用電源を供給する補助電源を前記エンコーダ本体外部に有するエンコーダ装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-223985号公報
【文献】特開2005-221476号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バッテリバックアップ式のエンコーダにおいては、当該エンコーダが設けられた主電源がオフの間に、バックアップ用外部バッテリからバックアップ回路に電力が供給される。エンコーダが設けられた機械は、例えば毎週末の2日程度などといったように比較的長時間にわたって主電源がオフされることがあり、バックアップ用外部バッテリによる電力供給時間は長く、このためバックアップ用外部バッテリの消耗(劣化)も早い。バックアップ用外部バッテリが消耗した場合には、新しいバックアップ用外部バッテリに交換する必要がある。バックアップ用外部バッテリの価格は高く、また、バックアップ用外部バッテリの交換作業も手間がかかる。したがって、バッテリバックアップ式のエンコーダにおいては、バックアップ用外部バッテリの交換頻度を低減する技術の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、外部電源とバックアップ用外部バッテリとが接続可能なコネクタを有するエンコーダは、外部電源からの電力の供給がないときに駆動されるバックアップ回路と、バックアップ用内部バッテリと、外部電源からの電力の供給がないときにおいてバックアップ回路を駆動するための電力の供給元を、バックアップ用内部バッテリの電圧に応じて、バックアップ用内部バッテリとバックアップ用外部バッテリとの間で選択的に切り替える電源切替回路と、を備え、電源切替回路は、外部電源からの電力の供給がなくなったときにおいて、バックアップ回路を駆動するための電力を、バックアップ用内部バッテリの電圧が第1の閾値よりも高い場合はバックアップ用内部バッテリから供給し、バックアップ用内部バッテリの電圧が第1の閾値よりも低い場合はバックアップ用外部バッテリから供給し、バックアップ回路を駆動するための電力をバックアップ用内部バッテリから供給しているときにおいて、バックアップ用内部バッテリの電圧が、第2の閾値よりも低くなった場合は、バックアップ回路を駆動するための電力を、バックアップ用外部バッテリから供給し、バックアップ用内部バッテリの電圧が第2の閾値よりも低くなったことによりバックアップ回路を駆動するための電力をバックアップ用外部バッテリから供給しているときにおいて、バックアップ用外部バッテリの電圧が、第3の閾値よりも低くなった場合は、バックアップ回路を駆動するための電力を、バックアップ用内部バッテリから供給する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、バッテリバックアップ式のエンコーダにおいて、バックアップ用外部バッテリの交換頻度を低減することができ、保守性及び経済性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態によるエンコーダを示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるエンコーダ内に設けられるバックアップ回路を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作フローを示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その1)である。
【
図5】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その2)である。
【
図6】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その3)である。
【
図7】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その4)である。
【
図8】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その5)である。
【
図9】本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して、バックアップ回路を有するエンコーダについて説明する。各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。図示される形態は実施をするための1つの例であり、これらの形態に限定されるものではない。
【0012】
本開示の一実施形態によるエンコーダは、例えば工作機械やロボットなどに設けられるモータの回転軸やロボットの可動部などの回転体に取り付けられ、回転体の回転位置(回転角度)や回転速度などの回転位置情報を生成する。本開示の一実施形態によるエンコーダは、光学式であってもよく、磁気式であってもよい。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態によるエンコーダを示すブロック図である。
【0014】
本開示の一実施形態によるエンコーダ1は、バックアップ回路11と、バックアップ用内部バッテリ12と、電源切替回路13と、位置検出回路14と、コネクタ15と、電圧生成回路16と、電圧比較器17と、充電回路18と、主回路19とを備える。
【0015】
外部電源2及びバックアップ用外部バッテリ3には、ケーブル20が接続されている。ケーブル20は、外部電源2の電力をエンコーダ1内の主回路19、充電回路18及び電源切替回路13に供給するための第1の電流経路20-1と、バックアップ用外部バッテリ3の電力をエンコーダ1内の電圧生成回路16に供給するための第2の電流経路20-2とを有する。第1の電流経路20-1と第2の電流経路20-2とは電気的に独立しているが、これらは同一のケーブル20内に設けられる。
【0016】
ケーブル20がコネクタ15に接続されることで、エンコーダ1と外部電源2及びバックアップ用外部バッテリ3とが電気的に接続される。ケーブル20がコネクタ15から取り外されると、エンコーダ1と外部電源2及びバックアップ用外部バッテリ3の両方との電気的接続が断たれる。
【0017】
外部電源2は、エンコーダ1が設けられた機械の主電源であり、適用される機械によっては制御電源と称されることもある。外部電源2の例としては、例えばエンコーダ1が設けられたモータを駆動するためのサーボアンプの主電源、あるいは、エンコーダ1が設けられたモータを有する工作機械の数値制御装置の主電源などがある。サーボアンプや数値制御装置内にはバックアップ用外部バッテリ3の電力をエンコーダ1内の電圧生成回路16に供給するための第2の電流経路20-2が通っている。なお、外部電源2が出力する電圧としては、例えば5Vなどがあるが、これ以外の大きさの電圧であってもよい。ケーブル20がコネクタ15に接続されかつ外部電源2のオンの間は、高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせる主回路19を動作させるための駆動電力が、外部電源2からコネクタ15を介して供給される。
【0018】
バックアップ用外部バッテリ3は、エンコーダ1の外部に設けられたバッテリであり、例えば一次電池にて構成される。バックアップ用外部バッテリ3が出力する電圧としては、例えば6Vなどがある。バックアップ用外部バッテリ3がコネクタ15に接続されかつ外部電源2がオフの間において、特に所定の要件を満たす場合に、簡易的な回転位置検出を位置検出回路14に行わせるバックアップ回路11を動作させるための駆動電力が、バックアップ用外部バッテリ3からコネクタ15を介して供給される。バックアップ用外部バッテリ3がバックアップ回路11に駆動電力を供給する要件の詳細については後述する。
【0019】
バックアップ回路11は、外部電源2からの電力の供給がないとき、すなわち外部電源2がオフのときまたはケーブル20がコネクタ15から取り外されているときに駆動される。
【0020】
図2は、本開示の一実施形態によるエンコーダ内に設けられるバックアップ回路を示すブロック図である。
【0021】
図2では、一例としてエンコーダ1が透過型光学式エンコーダとして構成される場合を示しており、この場合、位置検出回路14は、LED(発光ダイオード)31と、回転体の回転軸が取り付けられる回転スリット32と、フォトダイオードからなる受光素子33とを備える。回転体の回転に応じて回転スリット32が回転する。LED31から発生した光は、回転スリット32の回転に応じて回転スリット32にて透過または遮断される。LED31から発せられた光のうち、回転スリット32を透過した光は、受光素子33にて受光される。受光素子33は、受光した光の強度に応じた振幅を有するアナログ電気信号に変換して出力する。なお、ここでは図示しないが、エンコーダ1が反射型光学式のエンコーダとして構成される場合は、LEDと受光素子とが同一の平面上に配置され、LED及び受光素子の上部にコードホイールが設けられる。また、ここでは図示しないが、エンコーダ1が磁気式のエンコーダとして構成される場合には、回転体の回転軸が取り付けられるセンサギアと、磁石および当該磁石が発生する磁界を電気信号に変換する磁気センサが設けられたセンサヘッドとが設けられる。
【0022】
コネクタ15に接続された外部電源2がオンの間は、高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせる主回路19を動作させるための駆動電力が、外部電源2からコネクタ15を介して供給される。主回路19には、LED31を常時点灯させる制御部、及び受光素子33から出力されたアナログ電気信号をアナログ-ディジタル変換してディジタル電気信号を出力するADコンバータなどが設けられる。
【0023】
外部電源2からの電力の供給がない間、すなわちコネクタ15に接続された外部電源2がオフの間またはケーブル20がコネクタに接続されていない間に、外力により回転体が回転したとき、エンコーダ1が設けられた機械の原点情報が消失しないようにするためには位置検出回路14による位置検出処理を継続する必要がある。バックアップ回路11は、外部電源2からの電力の供給がないときにおいて、外部電源2からの電力よりも少ない電力にて位置検出回路14に簡易的な回転体の回転位置検出を行わせる回路であり、バックアップ動作用のクロックにて位置検出回路14を間歇動作させるためのものである。
【0024】
バックアップ回路11は、電源ICからなるバックアップ用クロック21と、LSI(大規模集積回路)22と、コンパレータ23とを備える。バックアップ用クロック21は、回転スリット32が高速で回転している時もミスカウントしないようにクロック周波数をいくつか選択できるようになっている。バックアップ用クロック21は、電源切替回路13から駆動電力の供給を受け、LSI22にて指定された間歇駆動のためのクロック周波数に基づきLSI22を間歇駆動させる。外部電源2がコネクタ15に接続されかつ外部電源2のオンの間はLED31は常時点灯するが、バックアップ回路11が動作する間(すなわち外部電源2からの電力の供給がない間)はLSI22の制御によりLED31が間歇点灯する。間歇点灯するLED31からの光は、回転スリット32の回転に応じて回転スリット32にて透過または遮断される。間歇点灯するLED31から発せられた光のうち、回転スリット32を透過した光は、受光素子33にて受光される。受光素子33は、受光した光の強度に応じた振幅を有するアナログ電気信号に変換して出力する。コンパレータは、受光素子33から出力されたアナログ電気信号をディジタル電気信号に変換する。LED31の間歇点灯及びコンパレータ23によるディジタル信号の生成は、LED31の常時点灯及びADコンバータによるアナログ-ディジタル変換に比べて、低消費電力である。このように、外部電源2からの電力の供給がないときにおいては、低消費電力でバックアップ回路11が動作することで、位置検出回路14に対して簡易的な回転体の回転位置検出を行わせる。
【0025】
バックアップ回路11の駆動電力は、バックアップ用内部バッテリ12またはバックアップ用外部バッテリ3により供給される。
【0026】
バックアップ用内部バッテリ12は、充電により繰り返し使用することができる二次電池にて構成される。バックアップ用内部バッテリ12の例としては、例えば、全固体電池、リチウムイオン電池、及びニッケルカドミウム電池などがある。特に全固体電池は、エンコーダ1内のプリント基板への実装が可能であり、また内部に電解液が存在しないことから安全性及び信頼性が高いので、バックアップ用内部バッテリ12として好適である。外部電源2がコネクタ15に接続されかつ外部電源2のオンの間は、コネクタ15を介して外部電源2から供給された電力は充電回路18に入力され、充電回路18は、バックアップ用内部バッテリ12を充電する。また、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は電圧比較器17にも入力される。
【0027】
電圧生成回路16は、コネクタ15を介してバックアップ用外部バッテリ3から供給された電圧を任意の値に降圧して出力する。電圧生成回路16が電圧を出力するのはバックアップ用外部バッテリ3がコネクタ15に接続されているときであり、バックアップ用外部バッテリ3がコネクタ15に接続されていないときは電圧生成回路16が電圧を出力しない。バックアップ用外部バッテリ3が出力する電圧が例えば6Vである場合に、電圧生成回路16は例えば4Vに降圧して出力する。電圧生成回路16から出力される電圧は、電源切替回路13に入力されるとともに、電圧比較器17における比較処理に用いられる。
【0028】
電源切替回路13は、外部電源2からの電力の供給がないときにおいてバックアップ回路11を駆動するための電力の供給元を、バックアップ用内部バッテリ12の電圧に応じて、バックアップ用内部バッテリ12とバックアップ用外部バッテリ3との間で選択的に切り替える。
【0029】
電圧比較器17は、外部電源2からの電力の供給がないときにおいて、バックアップ用内部バッテリ12の電圧と第1の閾値とを比較する。第1の閾値は、バックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されているか否かを判定するために用いられるものである。本開示の一実施形態では、第1の閾値は、例えば電圧生成回路16から出力される電圧に設定される。従来は、外部電源及びバックアップ用外部バッテリがエンコーダに接続されている場合において、外部電源がオンのときにバックアップ用外部バッテリが消費されることを防ぐために電圧生成回路でバックアップ用外部バッテリから供給された電圧を降圧していた。これに対し、本開示の一実施形態では、電圧生成回路16にて降圧されて出力される電圧を、バックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されているか否かを判定するための第1の閾値として用いる。なお、この代替例として、第1の閾値を、固定値に設定してもよく、この場合は固定値である第1の閾値を書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶すれば、第1の閾値を一旦設定した後であっても、必要に応じて適切な値に変更することもできる。
【0030】
電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。電圧比較器17による判定結果を受信した電源切替回路13は、外部電源2からの電力の供給がなくなったときにおいて、バックアップ回路11を駆動するための電力を、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第1の閾値よりも高い場合(例えば第1の閾値以上の場合)はバックアップ用内部バッテリ12から供給し、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第1の閾値よりも低い場合(例えば第1の閾値未満の場合)はバックアップ用外部バッテリ3から供給するよう動作する。このように電源切替回路13が動作することにより、外部電源2からの電力の供給がなくなったときにおいて、バックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されている場合はバックアップ用内部バッテリ12が選択されてバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動され、バックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されていない場合はバックアップ用外部バッテリ3が選択されてバックアップ用外部バッテリ3によりバックアップ回路11が駆動される。本開示の一実施形態によれば、外部電源2からの電力の供給がなくなったときにおいてバックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されている場合は、バックアップ用外部バッテリ3ではなくバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動されるので、バックアップ用外部バッテリ3による電力供給時間を短くすることができ、バックアップ用外部バッテリの消耗(劣化)を抑制することができる。すなわち、バッテリバックアップ式のエンコーダにおいて、バックアップ用外部バッテリの交換頻度を低減することができ、保守性及び経済性が向上する。
【0031】
外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動していると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していく。そこで、電圧比較器17は、外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動しているときにおいて、バックアップ用内部バッテリ12の電圧と第2の閾値とを比較する。第2の閾値は、バックアップ用外部バッテリ3の交換作業時や、ケーブル20が断線あるいはコネクタ15から外れた際に、バックアップ用内部バッテリ12を原点情報の消失を防ぐための非常用電源として用いるために、短時間のバックアップが可能な電力を残すためのものである。第2の閾値は、バックアップ用内部バッテリ12として使用するバッテリの放電特性に応じて任意の値に設定される。第2の閾値は、記憶部(図示せず)に記憶されるが、その記憶部を書き換え可能なものとすることで第2の閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更することもできる。
【0032】
電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。電圧比較器17による判定結果を受信した電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動するための電力をバックアップ用内部バッテリ12から供給しているときにおいて、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が、第2の閾値よりも低くなった場合(例えば第2の閾値未満の場合)は、バックアップ回路11を駆動するための電力を、バックアップ用外部バッテリ3から供給するよう切り替える。このように電源切替回路13が動作することにより、外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動しているときにおいて、バックアップ用内部バッテリ12が十分に充電されていない場合はバックアップ用外部バッテリ3が選択されてバックアップ用外部バッテリ3によりバックアップ回路11が駆動される。なお、上述したように、バックアップ用内部バッテリ12は、外部電源2がコネクタ15に接続されかつ外部電源2のオンの間に充電される。
【0033】
このように、本開示の一実施形態では、外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用外部バッテリ3によりバックアップ回路11が駆動するのは、バックアップ回路11を駆動するための電力をバックアップ用内部バッテリ12から供給しているときにおいてバックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値よりも低くなった場合に限られる。ただし、外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用外部バッテリ3によりバックアップ回路11が駆動している場合においては、バックアップ用外部バッテリ3の電圧が低下して、バックアップ回路11を駆動することができる最低電圧を下回る可能性がある。また、外部電源2からの電力の供給がないときにバックアップ用外部バッテリ3によりバックアップ回路11が駆動している場合において、機械の保守の際にコネクタ15からバックアップ用外部バッテリ3が取り外されることもある。これらの場合には、バックアップ回路11を駆動するための電力の供給元を、バックアップ用外部バッテリ3からバックアップ用内部バッテリ12に切り替える必要がある。そこで、電圧比較器17は、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値よりも低くなったことによりバックアップ回路11を駆動するための電力をバックアップ用外部バッテリ3から供給しているときにおいて、バックアップ用外部バッテリ3の電圧と第3の閾値とを比較する。第3の閾値は、バックアップ用外部バッテリ3がバックアップ維持に必要な電圧を保てているかを監視するために設けられるものである。LSI22の駆動に必要な電圧が供給できなくなるとLSI22は誤動作を起こし、原点情報が消失してしまうので、第3の閾値を設けてバックアップ用外部バッテリ3の電圧を監視する。第3の閾値は、例えばバックアップ回路11を駆動することができる最低電圧(例えば3.5V)よりもマージンを取って若干大きい値(例えば3.7V)に設定される。第3の閾値は、記憶部(図示せず)に記憶されるが、その記憶部を書き換え可能なものとすることで第3の閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更することもできる。
【0034】
電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。電圧比較器17による判定結果を受信した電源切替回路13は、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値よりも低くなったことによりバックアップ回路11を駆動するための電力をバックアップ用外部バッテリ3から供給しているときにおいて、バックアップ用外部バッテリ3の電圧が、第3の閾値よりも低くなった場合(例えば第3の閾値未満の場合)は、バックアップ回路を駆動するための電力を、バックアップ用内部バッテリ12から供給するよう切り替える。このように電源切替回路13が動作することにより、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値よりも低くなったことによりバックアップ回路11を駆動するための電力をバックアップ用外部バッテリ3から供給しているときにおいて、機械の保守など何らかの理由でコネクタ15からバックアップ用外部バッテリ3が取り外されたとき、バックアップ回路11を駆動するための電力の供給元をバックアップ用内部バッテリ12に切り替えてバックアップ回路11が駆動される。
【0035】
図3は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作フローを示すフローチャートである。
【0036】
コネクタ15に接続された外部電源2がオンの間は、外部電源2からの電力がコネクタ15を介して、主回路19、充電回路18、電源切替回路13に供給される。主回路19は、高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせる。充電回路18は、バックアップ用内部バッテリ12を充電する。
【0037】
外部電源2からエンコーダ1への電力の供給がなくなると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始する。
【0038】
ステップS101において、電圧比較器17は、バックアップ用内部バッテリ12の電圧と第1の閾値とを比較し、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第1の閾値以上であるか否かを判定する。電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第1の閾値以上の場合はステップS102へ進み、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第1の閾値未満の場合はステップS104へ進む。
【0039】
ステップS102において、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動するための電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択する。バックアップ回路は、バックアップ用内部バッテリ12から供給される電力に基づき、位置検出回路14に対して低消費電力で簡易的な回転体の回転位置検出を行わせる。
【0040】
バックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動していると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していく。ステップS103において、電圧比較器17は、バックアップ用内部バッテリ12の電圧と第2の閾値とを比較し、バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値未満であるか否かを判定する。電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値未満の場合はステップS104へ進む。
【0041】
ステップS104において、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動するための電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択する。バックアップ回路は、バックアップ用外部バッテリ3から供給される電力に基づき、位置検出回路14に対して低消費電力で簡易的な回転体の回転位置検出を行わせる。
【0042】
ステップS105において、電圧比較器17は、バックアップ用外部バッテリ3の電圧と第3の閾値とを比較し、バックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値未満であるか否かを判定する。電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。バックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値未満の場合はステップS106へ進む。
【0043】
ステップS106において、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動するための電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択する。バックアップ回路は、バックアップ用内部バッテリ12から供給される電力に基づき、位置検出回路14に対して低消費電力で簡易的な回転体の回転位置検出を行わせる。なお、ステップS105においてバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値未満と判定された場合はステップS106においてバックアップ用内部バッテリ12によりバックアップ回路11が駆動されているので、バックアップ用外部バッテリ3を交換したり、外部電源2をコネクタ15から取り外した保守を行うことも可能である。
【0044】
ステップS107において、電圧比較器17は、バックアップ用外部バッテリ3の電圧と第3の閾値とを比較し、バックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値以上であるか否かを判定する。電圧比較器17による判定結果は電源切替回路13に送信される。バックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値以上の場合はステップS104へ戻る。
【0045】
なお、ステップS101~S107のバックアップ動作期間中において、コネクタ15に接続されている外部電源2がオンした場合には、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。
【0046】
続いて、本開示の一実施形態によるエンコーダ1の具体的な動作例についていくつか列記する。
【0047】
図4は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その1)である。
【0048】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、満充電の状態となる。時刻t2で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していき、時刻t3でバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第2の閾値を下回ると(ステップS103のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、時刻t3以降はバックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動される(ステップS104)。バックアップ回路11がバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していき、時刻t4でバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を下回ると(ステップS105のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、時刻t4以降はバックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。時刻t5で外部電源2がオンすると、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、満充電の状態となる。時刻t6で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t6での時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。
【0049】
図5は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その2)である。
【0050】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、バックアップ用内部バッテリ12が満充電となる前の時刻t2で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していき、時刻t3でバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第2の閾値を下回ると(ステップS103のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、時刻t3以降はバックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動される(ステップS104)。バックアップ回路11がバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していき、時刻t4でバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を下回ると(ステップS105のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、時刻t4以降はバックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。時刻t5で外部電源2がオンすると、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12は徐々に上昇するが、バックアップ用内部バッテリ12が満充電となる前の時刻t6で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始される。時刻t6の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値未満であるので(ステップS101のNo)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択するが(ステップS104)、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は第3の閾値未満であるので(ステップS105のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し直し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。
【0051】
図6は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その3)である。
【0052】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇していき、バックアップ用内部バッテリ12が第1の閾値を超える前の時刻t2で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値未満であるので(ステップS101のNo)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動される(ステップS104)。バックアップ回路11がバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していき、時刻t3でバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を下回ると(ステップS105のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、時刻t3以降はバックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していくが、時刻t4で外部電源2がオンすると、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12は徐々に上昇してバックアップ用内部バッテリ12が第1の閾値を超えた後の時刻t5で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始される。時刻t5の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。
【0053】
図7は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その4)である。この例ではバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を常に下回っているとする。
【0054】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、満充電の状態となる。時刻t2で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していく。時刻t3でバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第2の閾値を下回り(ステップS103のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択するが(ステップS104)、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は第3の閾値未満であるので(ステップS105のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し直し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。時刻t4に外部電源2がオンすると、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、時刻t5で外部電源がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t5の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。
【0055】
図8は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その5)である。
【0056】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源2がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、満充電の状態となる。時刻t2でケーブル20がコネクタ15から取り外されると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していく。バックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値を下回る前の時刻t3でケーブル20がコネクタ15に接続され、さらに時刻t4でバックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値を下回ると(ステップS103のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、時刻t4以降はバックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動される(ステップS104)。バックアップ回路11がバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していき、時刻t5でバックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を下回ると(ステップS105のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、時刻t5以降はバックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。
【0057】
図9は、本開示の一実施形態によるエンコーダの動作のタイミングチャートを例示する図(その6)である。
【0058】
時刻t1でコネクタ15に接続された外部電源2がオンされると、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に上昇して第1の閾値を超えた後、満充電の状態となる。時刻t2で外部電源2がオフされると、バックアップ回路11によるバックアップ動作が開始され、また時刻t2の時点ではバックアップ用内部バッテリ12の電圧は第1の閾値以上であるので(ステップS101のYes)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS102)。バックアップ回路11がバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用内部バッテリ12の電圧は徐々に低下していく。時刻t3でバックアップ用内部バッテリ12の電圧が第2の閾値を下回ると(ステップS103のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、時刻t3以降はバックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動される(ステップS104)。バックアップ回路11がバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動されると、バックアップ用外部バッテリ3の電圧は徐々に低下していき、時刻t4でケーブル20をコネクタ15から取り外し、例えばエンコーダ1が接続された機械に対して何らかの保守作業を行い、バックアップ用外部バッテリ3の電圧が第3の閾値を下回ると(ステップS105のYes)、その時点で電源切替回路13はバックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用内部バッテリ12を選択し、時刻t4以降はバックアップ回路11はバックアップ用内部バッテリ12から供給された電力にて駆動される(ステップS106)。さらに時刻t5でケーブル20をコネクタ15に接続すると、時刻t5でバックアップ用外部バッテリ3の電圧は第2の閾値を上回っているので(ステップS107のNo)、電源切替回路13は、バックアップ回路11を駆動する電力の供給元としてバックアップ用外部バッテリ3を選択し、バックアップ回路11はバックアップ用外部バッテリ3から供給された電力にて駆動する(ステップS104)。時刻t6で外部電源2がオンすると、バックアップ回路11によるバックアップ動作は終了し、外部電源2から供給される電力に基づき、主回路19は高精度の回転位置検出を位置検出回路14に行わせ、充電回路18はバックアップ用内部バッテリ12を充電する。
【0059】
このように、本開示の一実施形態によれば、外部電源2からの電力の供給がないときに実行されるバックアップ回路11によるバックアップ動作を行うための駆動電力の供給元を、可能な限りバックアップ用内部バッテリ12をバックアップ用外部バッテリ3より優先して選択することで、バックアップ用外部バッテリ3による電力供給時間を短くする。また、また、バックアップ用内部バッテリ12を二次電池にて構成することで、コネクタ15を介して外部電源2から供給される電力にて充電可能とする。これにより、バッテリバックアップ式のエンコーダにおいて、バックアップ用外部バッテリの消耗(劣化)を抑制しバックアップ用外部バッテリの交換頻度を低減することができるので、保守性及び経済性が向上する。
【0060】
以上説明したエンコーダ1内には、演算処理装置(プロセッサ)が設けられる。演算処理装置としては、例えばIC、LSI、CPU、MPU、DSPなどがある。バックアップ回路11、電源切替回路13、電圧生成回路16、電圧比較器17、及び主回路19は、アナログ回路と演算処理装置との組み合わせで構成されてもよく、あるいは演算処理装置のみで構成されてもよく、あるいはアナログ回路のみで構成されてもよい。バックアップ回路11、電源切替回路13、電圧生成回路16、電圧比較器17、及び主回路19を構成し得る演算処理装置には、例えばIC、LSI、CPU、MPU、DSPなどがある。例えば、バックアップ回路11、電源切替回路13、電圧生成回路16、電圧比較器17、及び主回路19をソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、演算処理装置をこのソフトウェアプログラムに従って動作させることで、バックアップ回路11、電源切替回路13、電圧生成回路16、電圧比較器17、及び主回路19の機能を実現することができる。またあるいは、バックアップ回路11、電源切替回路13、電圧生成回路16、電圧比較器17、及び主回路19の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路または記憶媒体を構築してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 エンコーダ
2 外部電源
3 バックアップ用外部バッテリ
11 バックアップ回路
12 バックアップ用内部バッテリ
13 電源切替回路
14 位置検出回路
15 コネクタ
16 電圧生成回路
17 電圧比較器
18 充電回路
19 主回路
20 ケーブル
20-1 第1の電流経路
20-2 第2の電流経路
21 バックアップ用クロック
22 LSI
23 コンパレータ
31 LED
32 回転スリット
33 受光素子