特許 7691873 媒体排出装置、制御方法及び制御プログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2025-06-04

(45)【発行日】2025-06-12

(54)【発明の名称】媒体排出装置、制御方法及び制御プログラム

(51)【国際特許分類】

   B65H 31/36 20060101AFI20250605BHJP

【ＦＩ】

B65H31/36

【請求項の数】 12

(21)【出願番号】P 2021115957

(22)【出願日】2021-07-13

(65)【公開番号】P2023012358

(43)【公開日】2023-01-25

【審査請求日】2024-06-11

(73)【特許権者】

【識別番号】000136136

【氏名又は名称】株式会社ＰＦＵ

(74)【代理人】

【識別番号】100099759

【弁理士】

【氏名又は名称】青木 篤

(74)【代理人】

【識別番号】100123582

【弁理士】

【氏名又は名称】三橋 真二

(74)【代理人】

【識別番号】100114018

【弁理士】

【氏名又は名称】南山 知広

(74)【代理人】

【識別番号】100180806

【弁理士】

【氏名又は名称】三浦 剛

(72)【発明者】

【氏名】扇子 悠

【審査官】倉田 和博

(56)【参考文献】

【文献】特開２０２１－０９５２８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１７／０２４０３７３（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｈ ３１／００－３１／４０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、
前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、
媒体の長さを検出する検出部と、
前記媒体規制部を、前記媒体の長さが第１閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の長さが前記第１閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。

【請求項2】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、
前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、
媒体の幅を検出する検出部と、
前記媒体規制部を、前記媒体の幅が第２閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の幅が前記第２閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。

【請求項3】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、
前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、
媒体の厚さを検出する検出部と、
前記媒体規制部を、前記媒体の厚さが第３閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の厚さが前記第３閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。

【請求項4】

前記制御部は、前記媒体規制部を、前記媒体の長さが前記第１閾値以下である場合は、前記媒体の幅が第２閾値より大きい場合に限り、又は、前記媒体の厚さが第３閾値より大きい場合に限り、前記第１位置に配置するように、揺動させる、請求項１に記載の媒体排出装置。

【請求項5】

前記媒体規制部は、前記媒体規制部の揺動と連動して媒体排出方向にスライド移動可能に設けられた移動部を含む、請求項１～４の何れか一項に記載の媒体排出装置。

【請求項6】

搬送される媒体を載置する載置台と、
前記載置台に設けられたセンサと、をさらに有し、
前記検出部は、前記センサからの出力信号に基づいて、媒体の長さを検出する、請求項１～５の何れか一項に記載の媒体排出装置。

【請求項7】

媒体排出装置の制御方法であって、
筐体の排出口から媒体を排出し、
前記排出口の下方に設けられたトレイに、前記排出口から排出された媒体を積載し、
媒体の長さを検出し、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、前記媒体の長さが第１閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の長さが前記第１閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを特徴とする制御方法。

【請求項8】

媒体排出装置の制御方法であって、
筐体の排出口から媒体を排出し、
前記排出口の下方に設けられたトレイに、前記排出口から排出された媒体を積載し、
媒体の幅を検出し、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、前記媒体の幅が第２閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の幅が前記第２閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを特徴とする制御方法。

【請求項9】

媒体排出装置の制御方法であって、
筐体の排出口から媒体を排出し、
前記排出口の下方に設けられたトレイに、前記排出口から排出された媒体を積載し、
媒体の厚さを検出し、
一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、前記媒体の厚さが第３閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の厚さが前記第３閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを特徴とする制御方法。

【請求項10】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
媒体の長さを検出し、
前記媒体規制部を、前記媒体の長さが第１閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の長さが前記第１閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを前記媒体排出装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。

【請求項11】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
媒体の幅を検出し、
前記媒体規制部を、前記媒体の幅が第２閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の幅が前記第２閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを前記媒体排出装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。

【請求項12】

媒体を排出する排出口を有する筐体と、前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が前記筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、
媒体の厚さを検出し、
前記媒体規制部を、前記媒体の厚さが第３閾値より大きい場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、前記媒体の厚さが前記第３閾値以下である場合は前記トレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる、
ことを前記媒体排出装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、排出された媒体を積載するトレイを有する媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、スキャナ等の媒体排出装置では、名刺、レシート、ＰＰＣ（Plain Paper Copier）用紙、パスポート等の様々な種類の媒体を搬送させて撮像し、排出することが要求されている。媒体排出装置において、複数の媒体が連続して搬送されて排出される場合、利用者は、通常、撮像が完了した媒体を整理するために、排出された媒体の先端を揃える。利用者が媒体の先端を揃えやすいように、媒体排出装置において、排出された各媒体の位置は揃っていることが望ましい。

【0003】

シートの排出方向に直交する幅方向に波打たせて腰を付けられたシートが排出トレイに向けて排出される際にシートを押さえる押さえ部材を有する画像形成装置が開示されている（特許文献１を参照）。

【0004】

排出トレイの支持面に支持される用紙の上面を押さえるための当接面を有する後端押え部材が設けられた画像形成装置が開示されている（特許文献２を参照）。後端押え部材は、排出方向に関して排出口よりも上流側に位置する支持軸を中心に回動可能であり、且つ、排出トレイに用紙が支持されていない場合に、当接面が支持面と当接する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】特開２０１９－８９６０８号公報

【文献】特開２０１４－１９８６１６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

媒体排出装置では、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが望まれている。

【0007】

本発明の目的は、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能な媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、媒体の長さを検出する検出部と、媒体規制部を、媒体の長さが第１閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の長さが第１閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、を有する。
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、媒体の幅を検出する検出部と、媒体規制部を、媒体の幅が第２閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の幅が第２閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、を有する。
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、媒体の厚さを検出する検出部と、媒体規制部を、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の厚さが第３閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる制御部と、を有する。

【0009】

本発明の一側面に係る制御方法は、媒体排出装置の制御方法であって、筐体の排出口から媒体を排出し、排出口の下方に設けられたトレイに、排出口から排出された媒体を積載し、媒体の長さを検出し、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、媒体の長さが第１閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の長さが第１閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる。
本発明の一側面に係る制御方法は、媒体排出装置の制御方法であって、筐体の排出口から媒体を排出し、排出口の下方に設けられたトレイに、排出口から排出された媒体を積載し、媒体の幅を検出し、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、媒体の幅が第２閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の幅が第２閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる。
本発明の一側面に係る制御方法は、媒体排出装置の制御方法であって、筐体の排出口から媒体を排出し、排出口の下方に設けられたトレイに、排出口から排出された媒体を積載し、媒体の厚さを検出し、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部を、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の厚さが第３閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させる。

【0010】

本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、媒体の長さを検出し、媒体規制部を、媒体の長さが第１閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の長さが第１閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させることを媒体排出装置に実行させる。
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、媒体の幅を検出し、媒体規制部を、媒体の幅が第２閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の幅が第２閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させることを媒体排出装置に実行させる。
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、一端が筐体に取り付けられ、他端が揺動可能に設けられた媒体規制部と、を有する媒体排出装置の制御プログラムであって、媒体の厚さ検出し、媒体規制部を、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の厚さが第３閾値以下である場合はトレイ上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように、揺動させることを媒体排出装置に実行させる。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムは、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】実施形態に係る媒体排出装置１００を示す斜視図である。

【図2】媒体排出装置１００を側方から見た模式図である。

【図3】媒体排出装置１００を側方から見た模式図である。

【図4】媒体排出装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。

【図5】媒体排出装置１００の概略構成を示すブロック図である。

【図6】記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。

【図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。

【図8】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。

【図9】他の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【図10】他の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【図11】他の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【図12】媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。

【図13】他の処理回路３５０の概略構成を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。

【0014】

図１は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置１００を示す斜視図である。

【0015】

媒体排出装置１００は、原稿である媒体を搬送し、撮像し、排出する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。用紙又は厚紙には、名刺又はレシート等の小型媒体が含まれる。小型媒体は、例えば、サイズがＡ４サイズ以下の媒体である。特に、小型媒体は、長手方向のサイズが、Ａ８の縦サイズ（７４ｍｍ）以下である媒体である。なお、小型媒体は、短手方向のサイズが、Ａ８の横サイズ（５２ｍｍ）以下である媒体等でもよい。また、用紙には、Ａ４サイズ又はＡ３サイズ等のＰＰＣ用紙が含まれる。媒体排出装置１００は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機（ＭＦＰ、Multifunction Peripheral）等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置１００はプリンタ等でもよい。

【0016】

図１において矢印Ａ１は媒体排出方向を示し、矢印Ａ２は媒体排出方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体排出方向Ａ１の上流のことをいい、下流とは媒体排出方向Ａ１の下流のことをいう。

【0017】

媒体排出装置１００は、下側筐体１０１、上側筐体１０２、載置台１０３、排出台１０４、媒体規制部材１０５、操作装置１０６及び表示装置１０７等を備える。

【0018】

下側筐体１０１及び上側筐体１０２は、筐体の一例である。上側筐体１０２は、媒体排出装置１００の上面を覆う位置に配置され、ヒンジにより下側筐体１０１に係合している。下側筐体１０１及び上側筐体１０２は、媒体を排出する排出口１０１ａを有する。

【0019】

載置台１０３は、搬送される媒体を載置するように、下側筐体１０１に係合している。

【0020】

排出台１０４は、トレイの一例であり、排出口１０１ａの下方に設けられ、排出口１０１ａから排出された媒体を積載するように、下側筐体１０１に係合している。なお、排出台１０４は、上側筐体１０２に係合していてもよい。排出台１０４は、第１トレイ１０４ａ、第２トレイ１０４ｂ、第３トレイ１０４ｃ及びストッパ１０４ｄを有する。

【0021】

第１トレイ１０４ａは、媒体排出装置１００が使用されないときには下側筐体１０１内部に収納され、媒体排出装置１００が使用されるときに下側筐体１０１から媒体排出方向Ａ１に引き出され、排出口１０１ａから排出された媒体を積載する。第２トレイ１０４ｂは、サイズが大きい媒体が排出台１０４に載置されるように、第１トレイ１０４ａから媒体排出方向Ａ１に引き出し可能に設けられる。第３トレイ１０４ｃは、さらにサイズが大きい媒体が排出台１０４に載置されるように、第２トレイ１０４ｂから媒体排出方向Ａ１に引き出し可能に設けられる。第１トレイ１０４ａ、第２トレイ１０４ｂ及び第３トレイ１０４ｃは、それぞれ排出される媒体を載置する第１載置面１０４ｅ、第２載置面１０４ｆ及び第３載置面１０４ｇを有する。

【0022】

ストッパ１０４ｄは、第３トレイ１０４ｃの下流側の端部に、折り畳み可能に設けられる。ストッパ１０４ｄは、立ち上げられることにより、排出台１０４に排出された、媒体排出装置１００がサポートする最大サイズ（例えばＡ４サイズ又はＡ３サイズ）の媒体の先端を停止させ、各媒体の先端を揃える。一方、ストッパ１０４ｄが折り畳まれることにより、第１トレイ１０４ａ、第２トレイ１０４ｂ及び第３トレイ１０４ｃは、下側筐体１０１に収納可能となる。

【0023】

なお、排出台１０４は、引き出し及び収納可能でないように、下側筐体１０１又は上側筐体１０２に固定されていてもよい。また、第２トレイ１０４ｂ及び／又は第３トレイ１０４ｃは、省略されてもよい。第３トレイ１０４ｃが省略される場合、ストッパ１０４ｄは、第２トレイ１０４ｂに設けられる。第２トレイ１０４ｂ及び第３トレイ１０４ｃが省略される場合、ストッパ１０４ｄは、第１トレイ１０４ａに設けられる。

【0024】

媒体規制部材１０５は、媒体規制部の一例であり、小型媒体用のスタッカサポータ（ストッパ）である。媒体規制部材１０５は、排出台１０４上で媒体の媒体排出方向Ａ１の先端（下流側の端部）位置を規制する。媒体規制部材１０５は、一端（上流側の端部）が上側筐体１０２に取り付けられ、他端（下流側の端部）が揺動可能に設けられる。

【0025】

媒体規制部材１０５は、本体部１０５ａ及び媒体接触部１０５ｂを有する。本体部１０５ａ及び媒体接触部１０５ｂは、それぞれ樹脂材料又は金属材料等で形成される。本体部１０５ａ及び媒体接触部１０５ｂは一体の部材で形成される。なお、本体部１０５ａ及び媒体接触部１０５ｂは、それぞれ別個の部材で形成されてもよい。

【0026】

本体部１０５ａの上流側の端部は、上側筐体１０２に取り付けられ、本体部１０５ａの下流側の端部には、媒体接触部１０５ｂが設けられる。

【0027】

媒体接触部１０５ｂは、排出台１０４上で媒体の媒体排出方向Ａ１の先端位置を規制可能に設けられる。媒体接触部１０５ｂは、両端にわたって、排出台１０４に排出された媒体の先端と接触するように、媒体排出方向と直交する幅方向Ａ２に沿って直線状に形成される。これにより、媒体接触部１０５ｂは、排出される小型媒体の先端が直線状に整列するように、小型媒体を停止させることが可能となる。

【0028】

操作装置１０６は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置１０７は、液晶、有機ＥＬ（Electro-Luminescence）等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。

【0029】

図２は、媒体排出装置１００を側方から見た模式図である。

【0030】

図２に示すように、媒体排出装置１００は、第１モータ１０８をさらに有する。第１モータ１０８は、後述する処理回路からの制御信号によって、図２の矢印Ａ３の方向に回転する。第１モータ１０８の回転軸１０８ａには、媒体規制部材１０５の本体部１０５ａの上流側の端部が取り付けられる。これにより、媒体規制部材１０５の下流側の端部に設けられた媒体接触部１０５ｂは、回転軸１０８ａの回転に従って揺動する。図２では、媒体規制部材１０５は、排出台１０４の載置面に当接し、排出台１０４上に排出される媒体の先端位置を規制する第１位置に配置されている。

【0031】

媒体接触部１０５ｂは、媒体規制部材１０５が第１位置に配置された場合に、第１トレイ１０４ａの第１載置面１０４ｅに当接し且つ第２トレイ１０４ｂの第２載置面１０４ｆに当接しないように設けられている。これにより、媒体接触部１０５ｂが第１トレイ１０４ａに当接したまま、第２トレイ１０４ｂが第１トレイ１０４ａに収納されても、媒体接触部１０５ｂが第２載置面１０４ｆに引きずられることはなく、媒体規制部材１０５が破損されることが抑制される。

【0032】

媒体規制部材１０５は、排出台１０４に小型媒体Ｍ１が排出された場合に、小型媒体Ｍ１の先端を停止させるために使用される。したがって、媒体規制部材１０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部１０５ｂまでの第１距離Ｌ１は、媒体排出装置１００がサポートする媒体の最大サイズ未満であり、且つ、小型媒体Ｍ１のサイズ以上となるように設定される。媒体排出装置１００がサポートする媒体の最大サイズは、例えばＡ４の縦サイズ（２９７ｍｍ）又はＡ３の縦サイズ（４２０ｍｍ）等である。小型媒体Ｍ１のサイズは、例えばＡ８の縦サイズ（７４ｍｍ）又はＡ８の横サイズ（５２ｍｍ）等である。これにより、媒体接触部１０５ｂは、排出台１０４に小型媒体Ｍ１が排出された場合に小型媒体Ｍ１の先端を停止させることができる。

【0033】

一方、排出口１０１ａからストッパ１０４ｄまでの第２距離Ｌ２は、媒体排出装置１００がサポートする媒体の最大サイズと略同一となるように設定される。これにより、ストッパ１０４ｄは、排出台１０４に媒体排出装置１００がサポートする最大サイズの媒体が排出された場合に、その媒体の先端を停止させることができる。

【0034】

図３は、媒体規制部材１０５が持ち上げられた状態の媒体排出装置１００を側方から見た模式図である。

【0035】

図３に示すように、第１モータ１０８が矢印Ａ３の方向に回転すると、第１モータ１０８の回転軸１０８ａに取り付けられた媒体規制部材１０５は揺動し、媒体規制部材１０５の下流側の端部に設けられた媒体接触部１０５ｂは上方に持ち上げられる。これにより、媒体規制部材１０５は、排出台１０４の載置面から離間し、排出台１０４上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置される。

【0036】

これにより、排出台１０４に小型媒体Ｍ１より大きいサイズの媒体Ｍ２が排出された場合に、媒体Ｍ２の排出は媒体規制部材１０５によって阻止されない。そのため、媒体排出装置１００は、媒体Ｍ２が撓んでしまって、媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0037】

図４は、媒体排出装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。

【0038】

媒体排出装置１００内部の搬送経路は、移動量センサ１１１、第１媒体センサ１１２、給送ローラ１１３、分離ローラ１１４、超音波センサ１１５、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第２媒体センサ１１８、撮像装置１１９、第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１等を有している。

【0039】

なお、給送ローラ１１３、分離ローラ１１４、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第１排出ローラ１２０及び／又は第２排出ローラ１２１のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ１１３、分離ローラ１１４、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第１排出ローラ１２０及び／又は第２排出ローラ１２１は、それぞれ幅方向Ａ２に間隔を空けて並べて配置される。

【0040】

下側筐体１０１の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド１０９ａを形成し、上側筐体１０２の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド１０９ｂを形成する。

【0041】

移動量センサ１１１は、センサの一例であり、載置台１０３に、即ち給送ローラ１１３と分離ローラ１１４のニップ位置より上流側に設けられる。移動量センサ１１１は、例えば給送ローラ１１３と分離ローラ１１４のニップ位置から第１距離Ｌ１より離れた位置、即ち小型媒体Ｍ１のサイズより離れた位置に配置される。なお、移動量センサ１１１は、給送ローラ１１３と分離ローラ１１４のニップ位置から第１距離Ｌ１以内の位置に配置されてもよい。移動量センサ１１１は、例えばローラ、円板、発光器及び受光器を含むエンコーダを有する。ローラは、載置台１０３に載置された媒体のうちの最も下側に載置された媒体と接触するように設けられ、媒体の移動に従って回転する。円板には、多数のスリット（光の透過穴）が形成され、ローラの回転に従って回転するように設けられる。発光器及び受光器は、円板を挟んで対向するように設けられる。発光器は、ＬＥＤ（Light Emitting Diode）等であり、円板を介して受光器に向けて光を照射する。受光器は、フォトダイオード等であり、一定期間毎に、発光器と受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態との変化回数に基づいて媒体の移動量を検出する。移動量センサ１１１は、検出した媒体の移動量を示す移動量信号を生成して出力する。移動量信号は、移動量センサ１１１からの出力信号の一例である。

【0042】

第１媒体センサ１１２は、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４より上流側に配置される。第１媒体センサ１１２は、接触検出センサを有し、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを検出する。第１媒体センサ１１２は、載置台１０３に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第１媒体信号を生成して出力する。なお、第１媒体センサ１１２は接触検知センサに限定されず、第１媒体センサ１１２として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。

【0043】

給送ローラ１１３は、下側筐体１０１に設けられ、載置台１０３に載置された媒体を下側から順に給送する。分離ローラ１１４は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体１０２に、即ち給送ローラ１１３の上方に、給送ローラ１１３と対向して配置され、媒体給送方向の反対方向に回転する。なお、給送ローラ１１３が上側筐体１０２に、分離ローラ１１４が下側筐体１０１に設けられ、給送ローラ１１３は、載置台１０３に載置された媒体を上側から順に給送してもよい。

【0044】

超音波センサ１１５は、給送ローラ１１３より下流側且つ第１搬送ローラ１１６より上流側に配置される。超音波センサ１１５は、超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂを含む。超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器１１５ａは、超音波を発信する。一方、超音波受信器１１５ｂは、超音波発信器１１５ａにより発信され、媒体を透過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。

【0045】

第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７は、給送ローラ１１３より下流側に、相互に対向して配置される。第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７は、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４によって給送された媒体を撮像装置１１９に搬送する。

【0046】

第２媒体センサ１１８は、第１搬送ローラ１１６より下流側且つ撮像装置１１９より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第２媒体センサ１１８は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、ＬＥＤ等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第２媒体センサ１１８と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第２媒体センサ１１８の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第１媒体信号を生成して出力する。

【0047】

なお、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第２媒体センサ１１８は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。

【0048】

撮像装置１１９は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第１撮像装置１１９ａ及び第２撮像装置１１９ｂを含む。第１撮像装置１１９ａは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）による撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳ（Contact Image Sensor）によるラインセンサを有する。また、第１撮像装置１１９ａは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第１撮像装置１１９ａは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。即ち、ライン画像の垂直方向（副走査方向）の画素数は１であり、水平方向（主走査方向）の画素数は複数である。

【0049】

同様に、第２撮像装置１１９ｂは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサを有する。また、第２撮像装置１１９ｂは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第２撮像装置１１９ｂは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。

【0050】

なお、媒体排出装置１００は、第１撮像装置１１９ａ及び第２撮像装置１１９ｂを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、ＣＭＯＳによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサの代わりに、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）による撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサが利用されてもよい。また、ＣＭＯＳ又はＣＣＤによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。

【0051】

第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１は、撮像装置１１９より下流側に、相互に対向して配置される。第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１は、第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７によって搬送され、撮像装置１１９によって撮像された媒体を排出口１０１ａから排出する。排出台１０４は、第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１によって排出口１０１ａから排出された媒体を積載する。

【0052】

載置台１０３に載置された媒体は、給送ローラ１１３が図４の矢印Ａ１１の方向に回転することによって、下側ガイド１０９ａと上側ガイド１０９ｂの間を媒体排出方向Ａ１に向かって搬送される。分離ローラ１１４は、媒体搬送時、矢印Ａ１２の方向に回転する。給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４の働きにより、載置台１０３に複数の媒体が載置されている場合、載置台１０３に載置されている媒体のうち給送ローラ１１３と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される（重送の防止）。

【0053】

媒体は、下側ガイド１０９ａと上側ガイド１０９ｂによりガイドされながら、第１搬送ローラ１１６と第２搬送ローラ１１７の間に送り込まれる。媒体は、第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７がそれぞれ矢印Ａ１３及び矢印Ａ１４の方向に回転することによって、第１撮像装置１１９ａと第２撮像装置１１９ｂの間に送り込まれる。第１撮像装置１１９ａ及び第２撮像装置１１９ｂにより読み取られた媒体は、第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１がそれぞれ矢印Ａ１５及び矢印Ａ１６の方向に回転することによって排出台１０４上に排出される。

【0054】

図５は、媒体排出装置１００の概略構成を示すブロック図である。

【0055】

媒体排出装置１００は、前述した構成に加えて、第２モータ１３１、インタフェース装置１３２、記憶装置１４０及び処理回路１５０等をさらに有する。

【0056】

第２モータ１３１は、一又は複数のモータを有し、処理回路１５０からの制御信号によって、給送ローラ１１３、分離ローラ１１４、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１を回転させて媒体を搬送させる。なお、第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第１排出ローラ１２０及び第２排出ローラ１２１のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。

【0057】

インタフェース装置１３２は、例えばＵＳＢ等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置（例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等）と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置１３２の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線ＬＡＮ（Local Area Network）である。通信部は、有線ＬＡＮ等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。

【0058】

記憶装置１４０は、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置１４０には、媒体排出装置１００の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置１４０にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばＣＤ－ＲＯＭ（compact disc read only memory）、ＤＶＤ－ＲＯＭ（digital versatile disc read only memory）等である。

【0059】

処理回路１５０は、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）である。処理回路１５０として、ＤＳＰ（digital signal processor）、ＬＳＩ（large scale integration）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）等が用いられてもよい。

【0060】

処理回路１５０は、操作装置１０６、表示装置１０７、移動量センサ１１１、第１媒体センサ１１２、超音波センサ１１５、第２媒体センサ１１８、撮像装置１１９、第２モータ１３１、インタフェース装置１３２及び記憶装置１４０等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路１５０は、第１媒体センサ１１２から受信した第１媒体信号に基づいて、第２モータ１３１の駆動制御、撮像装置１１９の撮像制御等を行って入力画像を生成し、インタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路１５０は、移動量センサ１１１から受信した移動量信号、撮像装置１１９から受信したライン画像、超音波センサ１１５から受信した超音波信号に基づいて、第１モータ１０８を制御し、媒体規制部材１０５を揺動させる。

【0061】

図６は、記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。

【0062】

図６に示すように、記憶装置１４０には、制御プログラム１４１及び検出プログラム１４２等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路１５０は、記憶装置１４０に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路１５０は、制御部１５１及び検出部１５２として機能する。

【0063】

図７及び図８は、媒体排出装置１００の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。

【0064】

以下、図７及び図８に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置１００の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路１５０により媒体排出装置１００の各要素と協働して実行される。

【0065】

最初に、制御部１５１は、利用者により操作装置１０６又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置１０６又はインタフェース装置１３２から受信するまで待機する（ステップＳ１０１）。

【0066】

次に、制御部１５１は、第１媒体センサ１１２から第１媒体信号を取得し、取得した第１媒体信号に基づいて、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを判定する（ステップＳ１０２）。載置台１０３に媒体が載置されていない場合、制御部１５１は、一連のステップを終了する。

【0067】

一方、載置台１０３に媒体が載置されている場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を駆動して、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制する第１位置に配置する（ステップＳ１０３）。なお、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置してもよい。

【0068】

次に、制御部１５１は、第２モータ１３１を駆動して、給送ローラ１１３、分離ローラ１１４、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第１排出ローラ１２０及び／又は第２排出ローラ１２１を回転させて、媒体を搬送させる（ステップＳ１０４）。

【0069】

次に、制御部１５１は、搬送された媒体の先端が第２媒体センサ１１８の位置を通過するまで待機する（ステップＳ１０５）。制御部１５１は、第２媒体センサ１１８から定期的に第２媒体信号を取得し、第２媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第２媒体センサ１１８の位置を通過したと判定する。

【0070】

次に、制御部１５１は、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４の回転を停止するように第２モータ１３１を制御する（ステップＳ１０６）。これにより、媒体の先端が第２媒体センサ１１８の位置を通過した後、媒体は、第１搬送ローラ１１６及び第２搬送ローラ１１７によって搬送される。

【0071】

次に、検出部１５２は、搬送される媒体の厚さを検出する（ステップＳ１０７）。検出部１５２は、超音波センサ１１５から受信する超音波信号に基づいて、媒体の厚さを検出する。超音波発信器１１５ａにより発信されて媒体を透過する超音波は、その媒体によって減衰し、その媒体が厚いほど、超音波の減衰量は大きくなる。媒体排出装置１００は、超音波受信器１１５ｂが受信する超音波の大きさ、即ち超音波信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置１４０に記憶しておく。検出部１５２は、記憶装置１４０に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。

【0072】

また、検出部１５２は、超音波センサ１１５から受信する超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生したか否かをさらに判定してもよい。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。したがって、検出部１５２は、超音波信号の信号値が重送閾値以下であるか否かによって、媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。重送閾値は、一枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値と、二枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値との間の値に設定される。検出部１５２が媒体の重送が発生したと判定した場合、制御部１５１は、第２モータ１３１を停止して媒体の搬送及び排出を停止する。なお、制御部１５１は、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。また、制御部１５１は、第２モータ１３１を駆動し、搬送路に残っている媒体を逆送させて載置台１０３に一旦戻してから再給送（分離）するように各ローラを制御してもよい。これにより、利用者は、媒体を載置台１０３に再載置して再給送する必要がなくなり、制御部１５１は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。また、制御部１５１は、媒体の重送が発生したことを示す情報を表示装置１０７に表示し又はインタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。

【0073】

また、検出部１５２は、超音波センサ１１５以外の厚さセンサを用いて、媒体の厚さを検出してもよい。厚さセンサは、超音波センサ１１５が配置される位置に配置される。なお、厚さセンサは、媒体搬送路上の任意の位置に配置されてもよい。厚さセンサは、例えば第１ローラ、第２ローラ、支持部材及び変位計を含む。第１ローラは、下側ガイド１０９ａに面するように固定して配置される。第２ローラは、媒体の搬送路を挟んで第１ローラと対向し且つ上方に移動可能に配置され、ばね等の弾性部材により第１ローラ側に向けて押圧される。支持部材は、第２ローラを支持する板状部材であり、第２ローラと連動して移動する。変位計は、レーザー変位計等であり、支持部材の変位量を測定する。厚さセンサは、変位計により測定された変位量を示す厚さ信号を生成する。媒体排出装置１００は、厚さ信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置１４０に記憶しておく。検出部１５２は、記憶装置１４０に記憶されたテーブルを参照し、受信した厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。なお、厚さセンサは変位量を測定するものに限定されず、厚さセンサとして、光センサ、圧力センサ等の、媒体の厚さを検出可能な他の任意のセンサが用いられてもよい。

【0074】

次に、制御部１５１は、撮像装置１１９に媒体の撮像を開始させる（ステップＳ１０８）。以降、制御部１５１は、撮像装置１１９がライン画像を生成するたびに、生成されたライン画像を取得し、記憶装置１４０に記憶する。

【0075】

次に、検出部１５２は、搬送される媒体の幅（媒体排出方向と直交する幅方向Ａ２の長さ）を検出する（ステップＳ１０９）。検出部１５２は、制御部１５１が撮像装置１１９から取得したライン画像に基づいて、媒体の幅を検出する。検出部１５２は、ライン画像の左端から順に各画素と各画素の右側に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素との階調値の差の絶対値（以下、隣接差分値と称する）を算出する。階調値は、輝度値又は色値である。検出部１５２は、隣接差分値がエッジ閾値以上である最初（最も左側）の画素を左端エッジ画素として抽出する。エッジ閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な階調値の差（例えば20）に設定することができる。同様に、検出部１５２は、ライン画像の右端から順に各画素と各画素の左側の画素との隣接差分値を算出し、隣接差分値がエッジ閾値以上である最初の画素を右端エッジ画素として抽出する。

【0076】

検出部１５２は、左端エッジ画素及び右端エッジ画素として相互に異なる二つの画素を検出した場合、左端エッジ画素と右端エッジ画素の間の距離に相当する長さを、媒体の幅として検出する。なお、検出部１５２は、特定の画素の階調値が閾値未満であり、その特定の画素に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素の階調値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素として抽出してもよい。

【0077】

また、検出部１５２は、画像以外の情報を用いて、媒体の幅を検出してもよい。例えば、媒体排出装置１００は、第２媒体センサ１１８を幅方向Ａ２に間隔を空けて複数並べて配置する。検出部１５２は、各第２媒体センサ１１８から第２媒体信号を受信し、受信した各第２媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示すか否かを判定する。検出部１５２は、信号値が、媒体が存在することを示す第２媒体信号を出力した第２媒体センサ１１８のうち、幅方向Ａ２において最も外側に配置された二つの第２媒体センサ１１８の間の距離を媒体の幅として検出する。

【0078】

次に、検出部１５２は、搬送される媒体の長さ（媒体排出方向Ａ１の長さ）を検出する（ステップＳ１１０）。検出部１５２は、媒体の給送を開始してから移動量センサ１１１が生成した各移動量信号を取得し、取得した各移動量信号の信号値（媒体の移動量）に基づいて、媒体の長さを検出する。例えば、検出部１５２は、各移動量信号の信号値の最大値が移動量閾値以下である場合、媒体の長さが第１距離Ｌ１未満であると判定し、各移動量信号の信号値の最大値が移動量閾値より大きい場合、媒体の長さが第１距離Ｌ１以上であると判定する。移動量閾値は、０又は０よりわずかに大きい値に設定される。

【0079】

このように、検出部１５２は、載置台１０３に設けられた移動量センサ１１１からの移動量信号に基づいて媒体の長さを検出する。検出部１５２は、上流側の位置における媒体の移動の検出結果を利用することにより、媒体の搬送を開始した直後に媒体の長さを検出することができ、制御部１５１は、媒体の搬送を開始した直後に媒体規制部材１０５を制御することができる。

【0080】

なお、載置台１０３上に、媒体排出方向Ａ１に間隔を空けて複数の移動量センサ１１１が並べて配置され、検出部１５２は、複数の移動量センサ１１１を用いて媒体の長さを検出してもよい。その場合、検出部１５２は、出力した移動量信号の信号値が移動量閾値より大きい移動量センサ１１１のうち、最も上流側に配置された移動量センサ１１１の配置位置と、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４のニップ位置との間の距離を媒体の長さとして検出する。

【0081】

また、検出部１５２は、移動量信号の信号値の合計に基づいて、媒体の長さを検出してもよい。その場合、検出部１５２は、移動量信号の信号値が０である場合に、媒体の後端が移動量センサ１１１の配置位置を通過したと判定する。検出部１５２は、それまでに取得した各移動量信号の信号値の合計を、移動量センサ１１１の配置位置における媒体の総移動量として算出する。検出部１５２は、算出した総移動量と、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４のニップ位置と移動量センサ１１１の配置位置との間の距離との和を媒体の長さとして検出する。

【0082】

また、検出部１５２は、エンコーダ以外のセンサを用いて、媒体の長さを検出してもよい。例えば、検出部１５２は、光学センサを用いて、媒体の長さを検出する。光学センサは、移動量センサ１１１が配置される位置に配置される。光学センサは、例えば媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器を含む。発光器は、ＬＥＤ等であり、載置台１０３に載置された媒体又は搬送路を搬送する媒体に向けて光を照射する。一方、受光器は、一定期間毎に受光した光に応じた画像を撮像し、最新の画像と直前の画像とから共通部分を検出する。受光器は、検出した共通部分の画像内の位置の変化に基づいて、搬送された媒体の移動方向及び移動量を検出し、検出した移動方向及び移動量を示す信号を生成して出力する。検出部１５２は、移動量信号から算出する場合と同様にして、光学センサから取得した信号に基づいて媒体の長さを検出する。

【0083】

また、検出部１５２は、第２媒体センサ１１８の位置を媒体の先端が通過してから媒体の後端が通過するまでの時間に基づいて、媒体の長さを検出してもよい。

【0084】

次に、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の長さが第１閾値より大きいか否かを判定する（ステップＳ１１１）。第１閾値は、例えば媒体規制部材１０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部１０５ｂまでの第１距離Ｌ１に設定される。

【0085】

媒体の長さが第１閾値より大きい場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させ（ステップＳ１１２）、ステップＳ１１６へ処理を移行する。これにより、制御部１５１は、大きいサイズの媒体が排出された場合に、媒体の排出が媒体規制部材１０５によって阻止されて、媒体が座屈し、媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0086】

一方、媒体の長さが第１閾値以下である場合、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の幅が第２閾値より大きいか否かを判定する（ステップＳ１１３）。一般に、排出される媒体の幅が小さいほど、媒体のコシが弱く、媒体の座屈が発生しやすく、媒体のジャムが発生しやすい。第２閾値は、例えば様々な幅を有する多数の媒体を排出する事前の実験において、ジャムが発生した媒体の幅の平均値と、ジャムが発生しなかった媒体の幅の平均値との間の値に設定される。

【0087】

媒体の幅が第２閾値以下である場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させ（ステップＳ１１２）、ステップＳ１１６へ処理を移行する。これにより、制御部１５１は、幅が小さい媒体が排出された場合に、媒体に負荷がかかって媒体が座屈することを抑制し、媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0088】

一方、媒体の幅が第２閾値より大きい場合、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の厚さが第３閾値より大きいか否かを判定する（ステップＳ１１４）。一般に、排出される媒体の厚さが小さい（薄い）ほど、媒体の剛性が低く、媒体の座屈が発生しやすく、媒体のジャムが発生しやすい。第３閾値は、例えば様々な厚さを有する多数の媒体を排出する事前の実験において、ジャムが発生した媒体の厚さの平均値と、ジャムが発生しなかった媒体の厚さの平均値との間の値に設定される。

【0089】

媒体の厚さが第３閾値以下である場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させ（ステップＳ１１２）、ステップＳ１１６へ処理を移行する。これにより、制御部１５１は、薄い媒体が排出された場合に、媒体に負荷がかかって媒体が座屈することを抑制し、媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0090】

一方、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材１０５を、媒体の先端位置を規制する第１位置に配置するように揺動させる（ステップＳ１１５）。

【0091】

このように、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の長さ、幅又は厚さに基づいて、媒体規制部材１０５を揺動させる。制御部１５１は、排出される媒体の種類に応じて、媒体規制部材１０５による媒体の先端位置を規制するか否かを切り替えることにより、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能となる。

【0092】

特に、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の長さが第１閾値未満である場合は媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の長さが第１閾値以上である場合は媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させる。これにより、制御部１５１は、小型媒体の先端を良好に揃えつつ、大きいサイズの媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0093】

また、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の長さが第１閾値以下である場合は、媒体の幅が第２閾値より大きい場合に限り、媒体の先端位置を規制する第１位置に配置するように揺動させる。これにより、制御部１５１は、コシが強い媒体に限り媒体の先端位置を規制し、コシが弱い媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0094】

また、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の長さが第１閾値以下である場合は、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合に限り、媒体の先端位置を規制する第１位置に配置するように揺動させる。これにより、制御部１５１は、剛性が高い媒体に限り媒体の先端位置を規制し、剛性が低い媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0095】

なお、ステップＳ１１３及び／又はＳ１１４の処理は省略されてもよい。

【0096】

また、ステップＳ１１１及び／又はＳ１１４の処理は省略されてもよい。その場合、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の幅が第２閾値より大きい場合は媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の幅が第２閾値以下である場合は媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させる。これにより、制御部１５１は、コシが強い媒体の先端を良好に揃えつつ、コシが弱い媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0097】

また、ステップＳ１１１及び／又はＳ１１３の処理は省略されてもよい。その場合、制御部１５１は、媒体規制部材１０５を、媒体の厚さが第３閾値より大きい場合は媒体の先端位置を規制する第１位置に配置し、媒体の厚さが第３閾値以下である場合は媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させる。これにより、制御部１５１は、剛性が高い媒体の先端を良好に揃えつつ、剛性が低い媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0098】

次に、制御部１５１は、搬送された媒体の後端が撮像装置１１９の撮像位置を通過するまで待機する（ステップＳ１１６）。制御部１５１は、第２媒体センサ１１８から定期的に第２媒体信号を取得し、第２媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第２媒体センサ１１８の位置を通過したと判定する。制御部１５１は、媒体の後端が第２媒体センサ１１８の位置を通過してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像装置１１９の撮像位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第２媒体センサ１１８の位置から撮像位置まで移動するのに要する時間に設定される。

【0099】

次に、制御部１５１は、撮像装置１１９から取得した各ライン画像を合成して入力画像を生成し、生成した入力画像を、インタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信することにより出力する（ステップＳ１１７）。

【0100】

次に、制御部１５１は、第１媒体センサ１１２から受信する第１媒体信号に基づいて載置台１０３に媒体が残っているか否かを判定する（ステップＳ１１８）。

【0101】

載置台１０３に媒体が残っている場合、制御部１５１は、給送ローラ１１３及び分離ローラ１１４を再駆動するように、第２モータ１３１を制御する（ステップＳ１１９）。制御部１５１は、処理をステップＳ１０５へ戻し、ステップＳ１０５～Ｓ１１８の処理を繰り返す。

【0102】

一方、載置台１０３に媒体が残っていない場合、制御部１５１は、第１搬送ローラ１１６、第２搬送ローラ１１７、第１排出ローラ１２０及び／又は第２排出ローラ１２１を停止させるように、第２モータ１３１を制御する（ステップＳ１２０）。そして、制御部１５１は、一連のステップを終了する。

【0103】

以上詳述したように、媒体排出装置１００には、排出される媒体の先端位置を規制する媒体規制部材１０５を、排出される媒体の長さ、幅又は厚さに応じて、排出台１０４に当接又は排出台１０４から離間させるように揺動させる。これにより、媒体排出装置１００は、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能となった。

【0104】

特に、媒体排出装置１００は、小型媒体が搬送される場合に、媒体規制部材１０５を排出台１０４に当接させて、媒体の先端を良好に揃えることが可能となった。一方、媒体排出装置１００は、小型媒体より大きいサイズの媒体が搬送される場合に、媒体規制部材１０５を排出台１０４から離間させて、媒体のジャムの発生を抑制することが可能となった。したがって、媒体排出装置１００は、小型媒体と、薄く且つ長い媒体とが載置台１０３に混載されて搬送される場合でも、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、媒体の先端を良好に整列させることが可能となった。

【0105】

さらに、媒体排出装置１００では、小型媒体を停止させつつ小型媒体より大きい媒体を通過させるように媒体規制部材１０５の荷重を設定する必要がない。そのため、開発者は、媒体規制部材１０５を容易に設計することが可能となり、媒体排出装置１００は、装置の開発費用の増大を抑制することが可能となった。

【0106】

図９は、他の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【0107】

媒体排出装置２００は、媒体排出装置１００と同様の構成を有する。但し、媒体排出装置２００は、媒体規制部材１０５の代わりに、媒体規制部材２０５を有する。媒体規制部材２０５は、媒体規制部材１０５と同様の構成及び機能を有する。媒体規制部材２０５は、本体部２０５ａ、媒体接触部２０５ｂ、移動部２０５ｃ、ピニオン２０５ｄ及びラック２０５ｅを有する。

【0108】

本体部２０５ａ、媒体接触部２０５ｂ及び移動部２０５ｃは、それぞれ樹脂材料又は金属材料等で形成される。本体部２０５ａ及び移動部２０５ｃは、それぞれ別個の部材で形成され、媒体接触部２０５ｂは、移動部２０５ｃと一体の部材で形成される。なお、媒体接触部２０５ｂは、移動部２０５ｃと別個の部材で形成されてもよい。

【0109】

本体部２０５ａの上流側の端部は、上側筐体１０２に、第１モータ１０８の回転軸１０８ａに取り付けられる。本体部２０５ａ及び移動部２０５ｃのうちの一方には、媒体排出方向Ａ１に沿って延伸するレールが設けられ、本体部２０５ａ及び移動部２０５ｃのうちの他方には、そのレールと係合する係合部が設けられる。これにより、移動部２０５ｃは、本体部２０５ａに対して媒体排出方向Ａ１にスライド移動可能に設けられる。

【0110】

媒体接触部２０５ｂは、排出台１０４上で媒体の媒体排出方向Ａ１の先端位置を規制可能に、移動部２０５ｃの下流側の端部に設けられる。媒体接触部２０５ｂは、両端にわたって、排出台１０４に排出された媒体の先端と接触するように、媒体排出方向と直交する幅方向Ａ２に沿って直線状に形成される。本体部２０５ａ及び移動部２０５ｃは、第１モータ１０８の回転軸１０８ａの回転に従って揺動（回転）する。したがって、移動部２０５ｃの下流側の端部に設けられた媒体接触部２０５ｂは、第１モータ１０８の回転軸１０８ａの回転に従って揺動する。

【0111】

ピニオン２０５ｄは、第１モータ１０８の回転軸１０８ａの回転に従って回転するように、回転軸１０８ａに設けられる。ラック２０５ｅは、移動部２０５ｃの延伸方向、即ち媒体排出方向Ａ１に延伸するように移動部２０５ｃに固定され、且つ、ピニオン２０５ｄと係合するように設けられる。第１モータ１０８の回転軸１０８ａの回転に従ってピニオン２０５ｄが回転し、ピニオン２０５ｄの回転に従ってラック２０５ｅ及びラック２０５ｅが固定された移動部２０５ｃがスライド移動する。したがって、移動部２０５ｃの下流側の端部に設けられた媒体接触部２０５ｂは、第１モータ１０８の回転軸１０８ａの回転に従ってスライド移動する。

【0112】

図９では、媒体規制部材２０５は、排出台１０４の載置面に当接し、排出台１０４上に排出される小型媒体Ｍ１の先端位置を規制する第１位置に配置されている。媒体規制部材２０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部２０５ｂまでの第１距離Ｌ１は、媒体規制部材１０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部１０５ｂまでの第１距離Ｌ１と同様の長さに設定される。

【0113】

図１０は、媒体規制部材２０５が第１位置から移動した状態の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【0114】

図１０に示すように、第１モータ１０８が矢印Ａ３の方向に回転すると、第１モータ１０８の回転軸１０８ａに取り付けられた媒体規制部材２０５の本体部２０５ａ及び移動部２０５ｃが上方に揺動しつつ、移動部２０５ｃが下流側にスライド移動する。これにより、移動部２０５ｃの下流側の端部に設けられた媒体接触部２０５ｂは、排出台１０４上の載置面に沿って下流側に移動する。図１０では、媒体規制部材２０５は、排出台１０４の載置面に当接し、排出台１０４上に排出される小型媒体Ｍ１より大きいサイズの中型媒体Ｍ３の先端位置を規制する第３位置に配置されている。媒体規制部材２０５が第３位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部２０５ｂまでの第３距離Ｌ３は、媒体規制部材２０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部２０５ｂまでの第１距離Ｌ１より大きくなるように設定される。また、第３距離Ｌ３は、媒体排出装置２００がサポートする媒体の最大サイズ未満になるように設定される。

【0115】

これにより、媒体接触部２０５ｂは、排出台１０４に中型媒体Ｍ３が排出された場合に中型媒体Ｍ３の先端を停止させることができる。

【0116】

図１１は、媒体規制部材２０５が持ち上げられた状態の媒体排出装置２００を側方から見た模式図である。

【0117】

図１１に示すように、第１モータ１０８がさらに矢印Ａ３の方向に回転すると、第１モータ１０８の回転軸１０８ａに取り付けられた媒体規制部材２０５は揺動し、媒体規制部材２０５の下流側の端部に設けられた媒体接触部２０５ｂは上方に持ち上げられる。これにより、媒体規制部材２０５は、排出台１０４の載置面から離間し、排出台１０４上に排出される媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置される。

【0118】

これにより、排出台１０４に中型媒体Ｍ３よりさらに大きいサイズの大型媒体Ｍ４が排出された場合に、大型媒体Ｍ４の排出は媒体規制部材２０５によって阻止されない。そのため、媒体排出装置２００は、大型媒体Ｍ４が撓んでしまって、媒体のジャムが発生することを抑制できる。

【0119】

このように、移動部２０５ｃ及び移動部２０５ｃの下流側の端部に設けられた媒体接触部２０５ｂは、媒体規制部材２０５の揺動と連動して媒体排出方向Ａ１にスライド移動可能に設けられる。これにより、媒体規制部材２０５は、それぞれ異なる複数のサイズの媒体の先端を適切に規制することが可能となる。

【0120】

図１２は、媒体排出装置２００の媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。

【0121】

図１２に示したフローチャートは、図８に示したフローチャートの代わりに、図７に示したフローチャートに続けて実行される。図１２のステップＳ２１３～Ｓ２１４、Ｓ２１８～Ｓ２２２は、図８のステップＳ１１３～Ｓ１１４、Ｓ１１６～Ｓ１２０の処理と同様であるため、以下ではステップＳ２１１～Ｓ２１２、Ｓ２１５～Ｓ２１７についてのみ説明する。

【0122】

ステップＳ２１１において、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の長さが第１閾値より大きいか否かを判定する（ステップＳ２１１）。この場合の第１閾値は、例えば媒体規制部材２０５が第３位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部２０５ｂまでの第３距離Ｌ３に設定される。

【0123】

媒体の長さが第１閾値より大きい場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材２０５を、媒体の先端位置を規制しない第２位置に配置するように揺動させ（ステップＳ２１２）、ステップＳ２１８へ処理を移行する。一方、媒体の長さが第１閾値以下である場合、制御部１５１は、ステップＳ２１３へ処理を移行する。

【0124】

ステップＳ２１５において、制御部１５１は、検出部１５２により検出された媒体の長さが第４閾値より大きいか否かを判定する（ステップＳ２１５）。第４閾値は、第１閾値より小さい値に設定される。第４閾値は、例えば媒体規制部材２０５が第１位置に配置された状態での排出口１０１ａから媒体接触部２０５ｂまでの第１距離Ｌ１に設定される。

【0125】

媒体の長さが第４閾値より大きい場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材２０５を、媒体の先端位置を規制する第３位置に配置するように揺動させ（ステップＳ２１６）、ステップＳ２１８へ処理を移行する。

【0126】

一方、媒体の長さが第４閾値以下である場合、制御部１５１は、第１モータ１０８を制御して、媒体規制部材２０５を、媒体の先端位置を規制する第１位置に配置するように揺動させ（ステップＳ２１７）、ステップＳ２１８へ処理を移行する。

【0127】

なお、制御部１５１は、媒体の長さ、幅又は厚さに応じて、媒体規制部材２０５の配置位置を４つ以上の任意の位置の間で変更するように第１モータ１０８を制御してもよい。

【0128】

また、移動部２０５ｃは、第１モータ１０８の代わりに、ソレノイド等の他の駆動装置を用いて、媒体排出方向Ａ１にスライド移動可能に設けられてもよい。その場合、制御部１５１は、第１モータ１０８の駆動と連動してソレノイドの駆動を制御することにより、媒体規制部材２０５の揺動と連動して移動部２０５ｃをスライド移動させる。または、移動部２０５ｃは、媒体規制部材２０５の傾斜角度に応じて、自重によりスライド移動可能に設けられてもよい。その場合も、移動部２０５ｃは、媒体規制部材２０５の揺動と連動して媒体排出方向Ａ１にスライド移動可能に設けられる。

【0129】

以上詳述したように、媒体排出装置２００は、媒体規制部材２０５をスライド移動可能に設ける場合も、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能となった。

【0130】

媒体排出装置２００は、排出される媒体の長さに応じて、媒体規制部材２０５を排出台１０４に当接させる位置を調整することにより、媒体を適切な位置で停止させることが可能となった。特に、媒体排出装置２００は、排出される媒体の長さが長い程、媒体規制部材２０５の先端を下流側に配置することにより、媒体を適切な位置で停止させることが可能となった。

【0131】

図１３は、さらに他の実施形態に係る媒体排出装置における処理回路３５０の概略構成を示す図である。処理回路３５０は、媒体排出装置１００又媒体排出装置２００の処理回路１５０の代わりに使用され、処理回路１５０の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路３５０は、制御回路３５１及び検出回路３５２等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。

【0132】

制御回路３５１は、制御部の一例であり、制御部１５１と同様の機能を有する。制御回路３５１は、操作装置１０６又はインタフェース装置１３２から操作信号を、第１媒体センサ１１２から第１媒体信号を、第２媒体センサ１１８から第２媒体信号を受信する。制御回路３５１は、受信した各情報に基づいて第２モータ１３１を制御し、撮像装置１１９からライン画像を受信する。制御回路３５１は、受信したライン画像を検出回路３５２に出力するとともに、ライン画像から入力画像を生成し、インタフェース装置１３２に出力する。また、制御回路３５１は、検出回路３５２から、媒体の長さ、厚さ及び／又は幅の検出結果を受信し、受信した各情報に基づいて第１モータ１０８を制御する。

【0133】

検出回路３５２は、検出部の一例であり、検出部１５２と同様の機能を有する。検出回路３５２は、移動量センサ１１１から移動量信号を、超音波センサ１１５から超音波信号を、制御回路３５１からライン画像を受信する。検出回路３５２は、受信した各情報に基づいて、媒体の長さ、厚さ及び／又は幅を検出し、検出結果を制御回路３５１に出力する。

【0134】

以上詳述したように、媒体排出装置は、処理回路３５０を用いる場合も、排出される媒体のジャムの発生を抑制しつつ、排出される媒体の先端を良好に揃えることが可能となった。

【符号の説明】

【0135】

１００ 媒体排出装置、１０１ 下側筐体、１０１ａ 排出口、１０２ 上側筐体、１０３ 載置台、１０４ 排出台、１０５、２０５ 媒体規制部材、１１１ 移動量センサ、１５１ 制御部、１５２ 検出部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】