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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-04
(45)【発行日】2025-06-12
(54)【発明の名称】改装建具用の調整部材及び改装建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20250605BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20250605BHJP
   E06B 1/34 20060101ALI20250605BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/56 A
E06B1/34 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021117155
(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公開番号】P2023013172
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大前 貴義
(72)【発明者】
【氏名】谷本 悠輔
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-128652(JP,A)
【文献】特開2016-211291(JP,A)
【文献】特開2016-033282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の切断用凹溝を有し任意の切断用凹溝により切断することにより長さを調整可能な板状の改装建具用の調整部材であって、
前記切断用凹溝は、表面から厚さ方向にU字状に凹んで形成され、U字の開放側の両端部が手前側に配置されると共にU字の閉鎖側の部分が奥側に配置され、長さ方向に沿って切断した場合の断面において、U字の開放側の両端部に形成される一対の手前側端部曲線部と、U字の閉鎖側に形成される奥側曲線部と、前記一対の手前側端部曲線部と前記奥側曲線部とを接続して直線状に延びる一対の直線部と、を有し、
前記切断用凹溝の断面形状は、前記調整部材を厚さ方向に沿って切断する場合における切断予定仮想ラインに対して対称の形状に形成され、
前記一対の直線部は、いずれも、前記切断予定仮想ラインと平行に形成される、
改装建具用の調整部材。
【請求項2】
前記調整部材の厚さに対する前記切断用凹溝の深さの比は、0.3~0.5である、請求項1に記載の改装建具用の調整部材。
【請求項3】
前記調整部材は、一方面及び他方面の両方が平面状の平板により構成される、請求項1又は2に記載の改装建具用の調整部材。
【請求項4】
前記調整部材は、アルミニウム材料により形成される、請求項1~3のいずれかに記載の改装建具用の調整部材。
【請求項5】
前記奥側曲線部の曲率半径は、0.6~1.0cmである、請求項1~4のいずれかに記載の改装建具用の調整部材。
【請求項6】
前記一対の手前側端部曲線部の曲率半径は、いずれも、0.1~0.3cmである、請求項1~5のいずれかに記載の改装建具用の調整部材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の改装建具用の調整部材を備える改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具用の調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改装建具において、現場の納まりに合わせて長さを調整可能な額縁(調整部材)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。額縁は、複数の切断用凹溝を有し、現場の納まりに合わせて任意の切断用凹溝において切断することにより長さを調整可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-128652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改装建具において、額縁等の調整部材を切断用凹溝において切断して長さを調整する場合、切断用凹溝の深さが小さい場合には、切断することが困難である。そのため、改装建具用の調整部材において、容易に切断することが可能な切断用凹溝が求められている。
【0005】
本開示は、容易に切断することが可能な切断用凹溝を備える改装建具用の調整部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の切断用凹溝を有し任意の切断用凹溝により切断することにより長さを調整可能な板状の改装建具用の調整部材であって、前記切断用凹溝は、表面から厚さ方向にU字状に凹んで形成され、U字の開放側の両端部が手前側に配置されると共にU字の閉鎖側の部分が奥側に配置され、長さ方向に沿って切断した場合の断面において、U字の開放側の両端部に形成される一対の手前側端部曲線部と、U字の閉鎖側に形成される奥側曲線部と、前記一対の手前側端部曲線部と前記奥側曲線部とを接続して直線状に延びる一対の直線部と、を有する、改装建具用の調整部材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る建具を室外側から視た図である。
図2】本実施形態に係る建具が建物の開口に納められた状態の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る建具が建物の開口に納められた状態の横断面図である。
図4】調整用平板部材の断面図である。
図5】切断用凹溝の断面図である。
図6】切断用凹溝の奥側にカッターにより切れ目を入れた状態を示す図である。
図7】カッターにより切れ目を入れた切断用凹溝をペンチにより折る状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具におけるドア本体の幅方向(すなわち、左右方向)を意味し、「見込方向」とは、上記ドア本体の奥行き方向を意味する。また、図面において、建具1の室外側を室外側X1とし、建具1の室内側を室内側X2とする。
【0009】
本実施形態における建具1は、建物100に既に取り付けられていた建具1を構成する既設の部材のうち、脱着が可能な部分を交換するとともに、建物100に固定されている既設の部材を建物100に取り付けたままで、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
【0010】
図1に示すように、建具1は、玄関ドア等のドアであり、建物100に形成された開口101に納められる。建具1は、新設枠としてのドア枠2と、戸体としてのドア本体4と、外額縁5と、調整用平板部材7(調整部材、平板)と、を備える。
【0011】
ドア本体4は、長方形の板材により構成され、開口101(図2及び図3参照)を開閉するように取り付けられる。ドア本体4は、丁番41を介して室外側X1(図1における手前側、図2における左側、図3における奥側)に開閉可能に吊り込まれる。そして、ドア本体4の戸先側には、シリンダー錠42及びハンドル43が取り付けられている。
【0012】
ドア枠2及び外額縁5は、図2及び図3に示すように、建物100の開口101における開口縁102に沿って、ドア本体4の周囲に配置されている。ドア枠2及び外額縁5については、後に詳述する。
【0013】
以下説明において左右とは、ドア本体4を正面から見た場合の左右を意味する。具体的には、図1において、吊元側が右側、戸先側が左側である。
【0014】
図2及び図3に示すように、開口101は、建物100の躯体としての梁部材111及び左右の柱部材112と、室内側X2の床材113と、により四周を区画されている。梁部材111及び左右の柱部材112の内面側には、室内側額縁材114が配置されている。室内側額縁材114は、梁部材111に対してはスペーサ115を介して固定され、左右の柱部材112に対しては直接固定される。
【0015】
梁部材111と左右の柱部材112の少なくとも室内側X2には、断熱材119が配置される。断熱材119と梁部材111の間には、スペーサ115が配置される。梁部材111及び左右の柱部材112の室外側X1には、外装パネル118が配置されている。この外装パネル118の端縁により、開口101の縁としての開口縁102が区画されている。
【0016】
床材113は、図2に示すように、化粧材116及びモルタル117により構成されている。化粧材116は、建具1の室外側X1及び室内側X2ともに、モルタル117の上面側に水平に配置されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、ドア枠2が、既設枠としての既設ドア枠3の幅方向の内側且つ室外側X1に取り付けられる。図2及び図3において、既設ドア枠3は、破線で示されている。
【0018】
まず、既設ドア枠3の構成について説明する。既設ドア枠3は、開口101の内側に設けられる。既設ドア枠3は、既設上枠31と、既設下枠32と、左右の既設縦枠33、34と、により構成され、気密材取付部313、333、343を有する。既設ドア枠3は、躯体(梁部材111、柱部材112)の開口101側における見込面から室外側面を覆うように、いわゆる半外納まりで取り付けられる。
【0019】
図2に示すように、既設上枠31は、断面方形(ホロー構造)に形成され、梁部材111の下方にスペーサ115を介して固定されている。既設上枠31は、室内部分311と、室外部分312と、気密材取付部313と、を有する。
【0020】
既設下枠32は、平板状の部材が屈曲して形成されている。既設下枠32は、室内側水平面321と、室外側水平面322と、段差部323と、室外側段差部324と、を有する。既設下枠32は、既設上枠31に対向する位置で、モルタル117の上面に直接固定され、一部がモルタル117に埋め込まれている。
【0021】
図3に示すように、左右の既設縦枠33、34は、室内部分331、341と、室外部分332、342と、気密材取付部333、343と、を有する。
【0022】
次に、ドア枠2の構成について説明する。ドア枠2は、開口101の内側に配置され、長方形の枠状に形成される。ドア枠2は、既設ドア枠3の内周面を覆って既設ドア枠3に部分的に重なるように取り付けられる。ドア枠2は、既設ドア枠3のみに固定される。ドア枠2は、既設ドア枠3の室外側X1、詳細には、既設ドア枠3の気密材取付部313、333、343の見込方向外側に取り付けられる。ドア枠2は、上枠21と、下枠22と、左右の縦枠23、24と、内額縁25と、を有する。
【0023】
図2に示すように、上枠21は、断面方形(ホロー構造)に形成され、その下面がドア本体4の上面に対向している。上枠21は、既設上枠31にスペーサを介して上枠取付ねじ61で固定されている。上枠21は、下方に延びる上枠パッキン取り付け部21aを有し、ドア本体4を傷つけないように受け止めるシールパッキン91が上枠パッキン取り付け部21aに取り付けられている。
【0024】
下枠22は、上枠21に対向して配置され、水平面221と、立ち上がり部222と、室外側段差部223と、を有する。立ち上がり部222は、室外側X1の面に下枠パッキン取り付け部22aを有し、上枠21の場合と同様に、シールパッキン91が下枠パッキン取り付け部22aに取り付けられている。
【0025】
図3に示すように、左右の縦枠23、24は、断面方形(ホロー構造)に形成され、その内側の側面がドア本体4の見込方向の面に対向している。左右の縦枠23、24は、縦枠取付ねじ62が既設縦枠33、34の室外部分332、342に締結されることで固定される。左右の縦枠23、24は、それぞれドア本体4の内側に向かって延びる縦枠パッキン取り付け部23a、24aを有し、上枠21及び下枠22の場合と同様に、シールパッキン91が縦枠パッキン取り付け部23a、24aに取り付けられている。
【0026】
内額縁25は、図2及び図3に示すように、ドア枠2の内側の面から室内側X2に向かって延びるよう上枠21と、左右の縦枠23、24の三方に設けられている。内額縁25は、既設ドア枠3の室内側X2の一部と、室内側額縁材114の一部とを覆うように配置される。
【0027】
内額縁25は、内額縁内側面251と、室内側側面部252と、を有する。内額縁内側面251は、室外側X1から室内側X2に向かって延びる平板状の面である。室内側側面部252は、内額縁内側面251から垂直方向に屈曲する平板状の面である。内額縁25は、ねじにより室内側額縁材114に固定されている。
【0028】
外額縁5は、上枠21及び左右の縦枠23、24に連結され、既設ドア枠3の室外部分312、332、342を覆うように取り付けられる額縁部材である。外額縁5は、断面視で略コの字状の形状を有する。外額縁5は、建具1の開口101の開口縁102に沿ってドア枠2に取り付けられる直線的な縦長の形状を有する。外額縁5は、化粧面部51と、長さ調整部52と、嵌合部53と、を有する。外額縁5は、例えばアルミニウム材料により形成されている。
【0029】
化粧面部51は、ドア枠2の見付面の少なくとも一部を覆うように配置される。化粧面部51は、断面視で略コの字状の形状を有し、既設ドア枠3の室外部分312、332、342を覆うように配置される。
【0030】
長さ調整部52は、縦枠23、24における化粧面部51の見付方向外側の端部、及び上枠21における化粧面部51上方端部に連結され、建具1の見込方向を覆うように延びる縦長の平板状の部材である。長さ調整部52は、長手方向が開口縁102の各辺に沿うように配置される。
【0031】
嵌合部53は、化粧面部51と、長さ調整部52にそれぞれ形成され、互いを連結可能に構成されている。
【0032】
調整用平板部材7(調整部材、平板)は、長さが調整された状態で、図2及び図3に示すように、室内側額縁材114の表面に設けられる。調整用平板部材7は、調整部材として、現場の納まりに応じて長さを調整可能に構成され、様々な箇所に汎用的に用いることができる。
【0033】
調整用平板部材7は、例えば、室内側額縁材114の表面において内額縁25により覆うことができない部分や部材間の隙間を覆うように配置される。本実施形態においては、調整用平板部材7は、図2及び図3に示すように、厚みを有する長方形状の平板であり、所定幅を有し、長尺状に形成される。調整用平板部材7は、一方面及び他方面の両方が平面状に形成される。調整用平板部材7は、例えば、アルミニウム材料により形成される。例えば、調整用平板部材7は、金型を用いて成形される。
【0034】
図4に示すように、調整用平板部材7は、複数の切断用凹溝71を有する。複数の切断用凹溝71は、調整用平板部材7の長手方向に離れて配置され、調整用平板部材7の幅方向の全域に亘って直線状に延びる溝状に形成される。切断用凹溝71は、一方側の表面から厚さ方向にU字状に凹んで形成される。調整用平板部材7は、任意の切断用凹溝71により切断することで、任意の長さに調整可能である。
【0035】
切断用凹溝71は、図5に示すように、U字の開放側の両端部が手前側に配置されると共に、U字の閉鎖側の部分が奥側に配置される。切断用凹溝71の断面形状は、調整用平板部材7を厚さ方向に沿って切断する場合における切断予定仮想ラインLに対して左右対称の形状に形成される。
【0036】
切断用凹溝71は、調整用平板部材7を長さ方向及び厚さ方向に沿って切断した場合の断面において、U字の開放側の両端部に形成される一対の手前側端部曲線部711,711と、U字の閉鎖側に形成される奥側曲線部713と、一対の手前側端部曲線部711,711と奥側曲線部713とを接続して直線状に延びる一対の直線部712,712と、を有する。
【0037】
調整用平板部材7の厚さTに対する切断用凹溝71の深さDの比(D/T)は、例えば0.3~0.5である。調整用平板部材7の厚さTは、調整用平板部材7の厚さ方向において、手前側端面701から奥側端面702までの長さである。切断用凹溝71の深さDは、調整用平板部材7の厚さ方向において、手前側端面701から奥側曲線部713の最も奥側の端部までの距離である。
【0038】
切断用凹溝71の深さDは、切断用凹溝71が形成される調整用平板部材7の長手方向の位置において、切断予定仮想ラインLに沿う方向における調整用平板部材7の厚さTに対して残りの部分の長さEを考慮して設定される。調整用平板部材7の厚さTに対して残りの部分の長さEを多くすることで、切断用凹溝71において切断しない場合における調整用平板部材7の強度を確保しつつ、調整用平板部材7の厚さTに対して残りの部分の長さEを少なくすることで、切断しやすさを実現する。本実施形態においては、調整用平板部材7の厚さTは、例えば1.6~2.2cmであり、切断用凹溝71の深さDは、例えば0.6~1.0cmである。
【0039】
切断用凹溝71の一対の手前側端部曲線部711は、それぞれ、切断用凹溝71の手前側の端部において、手前側に凸となる円弧状に形成されている。手前側端部曲線部711は、例えば、曲率半径r1が0.1~0.3cmの円の円弧により形成されている。
【0040】
切断用凹溝71の奥側曲線部713は、切断用凹溝71の奥側において、奥側に凹となる円弧状に形成されている。奥側曲線部713は、例えば、直径Rの円の円弧の一部により構成されている。奥側曲線部713は、例えば、曲率半径r2が0.6~1.0cmの円の円弧により形成されている。
【0041】
一対の直線部712,712は、調整用平板部材7の長辺(手前側端面701、奥側端面702)に対して90°の角度をもって、直線状に延びる。一対の直線部712,712のうちの一方の直線部712は、一方の手前側端部曲線部711から奥側曲線部713の一方の端部まで直線状に延びる。一対の直線部712,712のうちの他方の直線部712は、他方の手前側端部曲線部711から奥側曲線部713の他方の端部まで直線状に延びる。
【0042】
調整用平板部材7を切断用凹溝71において切断する場合について説明する。図6に示すように、調整用平板部材7を長手方向の任意の位置において切断する場合に、切断する切断用凹溝71において、カッター10の刃の先端を奥側曲線部713の最も奥側に挿入して、カッター10の刃を、切断予定仮想ラインLに沿うように奥側に移動させる。これにより、切断用凹溝71における奥側曲線部713よりも奥側の一部を切断して、カッター切断部713aを形成する。
【0043】
この場合、切断用凹溝71には一対の直線部712が設けられているため、切断用凹溝が円弧のみで形成されるよりも、カッター10の先端を直線部712にガイドさせてスムーズに挿入できる。これにより、調整用平板部材7の切断を容易に行うことができる。
【0044】
次に、切断用凹溝71及びカッター切断部713aを利用して、調整用平板部材7の切断予定仮想ラインLに沿って切断して折り取るように、図7に示すように、ペンチ11により調整用平板部材7を折り曲げる。これにより、切断用凹溝71及びカッター切断部713aにおいて、切断予定仮想ラインLに沿ってペンチ11により折り取ることができる。このように、調整用平板部材7の長さを任意の長さに調整することができる。
【0045】
ここで、切断用凹溝71には一対の直線部712が設けられているため、切断用凹溝が円弧のみで形成されるよりも、切断用凹溝71は、奥側への深さが大きく形成される。そのため、切断用凹溝71を奥側への深さDを大きくして調整用平板部材7の残りの部分の長さEを少なくすることで、切断性を向上できる。
【0046】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の調整用平板部材7は、複数の切断用凹溝71を有し任意の切断用凹溝71により切断することにより長さを調整可能な板状の改装建具用の調整部材7であって、切断用凹溝71は、表面から厚さ方向にU字状に凹んで形成され、長さ方向に沿って切断した場合の断面において、一対の手前側端部曲線部711と、奥側曲線部713と、一対の手前側端部曲線部711と奥側曲線部713とを接続して直線状に延びる一対の直線部712と、を有する。
【0047】
これにより、切断用凹溝71において手前側端部曲線部711と奥側曲線部713との間に直線部712を設けることで、切断用凹溝71の深さを大きくできるため、切断用凹溝71が形成される調整用平板部材7の長手方向の位置において、調整用平板部材7の厚さTに対して残りの部分の長さEを少なくすることができる。これにより、カッター等による調整用平板部材7の切断を容易に行うことができる。また、切断用凹溝71が一対の直線部712を有するため、カッター等を挿入する場合のガイドとなるため、調整用平板部材7の切断を容易に行うことができる。また、切断用凹溝71が一対の直線部712を有しており、金型を用いて調整用平板部材7を成形する場合に、金型の押出金型(ダイス)を製作しやすいため、調整用平板部材7の製造コストを低減できる。
【0048】
また、本実施形態においては、調整用平板部材7の厚さTに対する切断用凹溝71の深さDの比(D/T)は、0.3~0.5である。これにより、調整用平板部材7を切断用凹溝71において切断しやすく、かつ、調整用平板部材7の切断用凹溝71における強度を確保できる。
【0049】
また、本実施形態においては、調整用平板部材7は、一方面及び他方面の両方が平面状の平板により構成される。これにより、改装建具1に用いる場合に、取り扱いが容易である。
【0050】
また、本実施形態においては、切断用凹溝71の断面形状は、調整用平板部材7を厚さ方向に沿って切断する場合における切断予定仮想ラインLに対して対称の形状に形成される。これにより、調整用平板部材7の左右の向きを区別して使用しなくてよいため、取り扱いが容易である。
【0051】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0052】
例えば、前記実施形態では、調整部材を、調整用平板部材(平板)に適用した場合について説明したが、これに限定されない。調整部材を、内額縁や外額縁に適用してもよい。例えば、調整部材を、前記実施形態の外額縁5の長さ調整部52に適用してもよい。
【0053】
また、前記実施形態においては、調整部材を、平板により構成したが、これに限定されない。調整部材は、厚さを有する長尺の平板に限定されず、例えば、L字状の部材でもよい。また、調整部材は、一方面及び他方面の両方が平面状の平板でなくてもよく、例えば、表面に凹凸が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 改装建具、2 既設のドア枠、3 既設のドア本体、4,5 新設のドア本体、7 調整用平板部材(調整部材、平板)、71 切断用凹溝、711 手前側端部曲線部、712 直線部、713 奥側曲線部、D 深さ、L 切断予定仮想ライン、T 厚さ、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7