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特許7692031検査システム、カートリッジ、検査方法、および検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-04
(45)【発行日】2025-06-12
(54)【発明の名称】検査システム、カートリッジ、検査方法、および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20250605BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20250605BHJP
   G16H 40/40 20180101ALI20250605BHJP
【FI】
G16H10/40
G01N35/02 A
G16H40/40
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2023221815
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2022509328の分割
【原出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2024038182
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2020058361
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西薗 和博
(72)【発明者】
【氏名】大西 弘二
(72)【発明者】
【氏名】池田 豊
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530509(JP,A)
【文献】特開2015-161521(JP,A)
【文献】特表2020-500295(JP,A)
【文献】特開2019-100829(JP,A)
【文献】特開2017-097543(JP,A)
【文献】特開2020-034424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報が付与されたカートリッジと、
前記識別情報の取得、および前記カートリッジが内部に取り込んだ検体に含まれる検査対象の検査を行う検査装置と、を含み、
前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否に係る判定を行い、前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行い、
前記カートリッジは、前記検査対象を測定し、信号を出力する測定デバイスを有し、
前記識別情報は、前記測定デバイスごとに特定される複数のパラメータに関するパラメータ情報を含み、
前記パラメータ情報により特定した演算式を用いて前記測定デバイスからの出力値を解析して検査結果を算出する、検査システム。
【請求項2】
前記カートリッジは、チップを有し、
前記識別情報は、前記チップに付与されており、
前記カートリッジの破壊は、前記チップを破壊することにより実行され、
前記情報の書き込みは、前記チップに使用済である旨の情報を書き込むことにより実行される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記カートリッジの破壊または前記情報の書き込みは、前記カートリッジの適否に係る判定の後、または前記検査の終了後に行う、請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記判定が前記検査の開始前に行なわれるよう前記検査装置の動作を制御する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記カートリッジは、前記検査対象を検出するセンサ、を備え、
前記判定が前記検体の前記センサへの供給前に行われるよう前記検査装置の動作を制御する、請求項1から4のいずれかに記載の検査システム。
【請求項6】
前記検査装置は、前記判定を行うプログラムをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の検査システム。
【請求項7】
前記検査装置と通信ネットワークを介して前記検査装置から前記識別情報を取得する管理装置、をさらに含み、
前記管理装置は、前記判定を行うプログラムをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の検査システム。
【請求項8】
前記検査装置は、前記検査結果または前記判定の結果を表示する表示部、を備え、
前記検査結果または前記判定の結果を前記表示部に表示する、請求項1から7のいずれかに記載の検査システム。
【請求項9】
前記検査結果または前記判定の結果を表示する表示部を備える表示装置、をさらに含み、
前記検査結果または前記判定の結果を前記表示装置が備える前記表示部に表示する、請求項1から8のいずれかに記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査結果または前記判定の結果を表示する表示部を備えた移動体端末をさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の検査システム。
【請求項11】
前記検査装置は、前記判定の結果を前記移動体端末に送信する、請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
前記検査装置から前記検査結果を取得し、前記検査結果を示すコードを媒体に印字する印刷装置、をさらに含み、
前記移動体端末は、印字された前記コードを読み取る撮像部、をさらに備え、
前記移動体端末は、前記撮像部で読み取った前記コードに基づいて、前記移動体端末が備える前記表示部に前記検査結果を表示する、請求項10または11に記載の検査システム。
【請求項13】
前記識別情報は、前記カートリッジの製品識別情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジが適正な製品であるか否かの判定である、請求項1から12のいずれかに記載の検査システム。
【請求項14】
暗号化された情報を復号する秘密鍵をさらに含み、
前記識別情報は暗号化されており、
前記カートリッジが適正な製品であるか否かの判定において、前記識別情報が前記秘密鍵によって復号できるかどうかを判定する、請求項1から12のいずれかに記載の検査システム。
【請求項15】
前記識別情報は、前記検査の種類に関する情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジが、前記検査装置の前記検査の種類に合致しているか否かの判定である、請求項1から14のいずれかに記載の検査システム。
【請求項16】
前記識別情報は、前記カートリッジの有効期限に関する情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジの有効期限が切れているか否かの判定である、請求項1から15のいずれかに記載の検査システム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の検査システムにおいて用いられるカートリッジであって、
前記カートリッジに対応する前記検査装置を特定する特定情報が付与されており、
前記カートリッジが、前記カートリッジの前記特定情報と対応する前記検査装置に用いられる場合に、前記検査が開始されるように前記特定情報が付与された、カートリッジ。
【請求項18】
識別情報が付与されたカートリッジを用いて、前記カートリッジが内部に取り込んだ検体に含まれる検査対象の検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、
前記カートリッジは、前記検査対象を測定し、信号を出力する測定デバイスを有し、
前記識別情報は、前記測定デバイスごとに特定される複数のパラメータに関するパラメータ情報を含み、
前記検査方法は、
前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、
前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否の判定を行う工程と、
前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行う工程と、
前記パラメータ情報により特定した演算式を用いて前記測定デバイスからの出力値を解析して検査結果を算出する工程と、を含む、検査方法。
【請求項19】
前記判定を行う工程は、前記検査装置の動作を制御する工程において前記検査を開始する前に行われる、請求項18に記載の検査方法。
【請求項20】
識別情報が付与されたカートリッジを用いて、前記カートリッジが内部に取り込んだ検体に含まれる検査対象の検査を行う検査装置であって、
前記カートリッジと接続する接続部と、
前記識別情報を読取る読取部と、
前記識別情報に基づく前記カートリッジの適否に係る判定の結果に応じて動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行う制御部と、を備え、
前記カートリッジは、前記検査対象を測定し、信号を出力する測定デバイスを有し、
前記識別情報は、前記測定デバイスごとに特定される複数のパラメータに関するパラメータ情報を含み、
前記検査装置は、前記パラメータ情報により特定した演算式を用いて前記測定デバイスからの出力値を解析して検査結果を算出する演算部を備える、検査装置。
【請求項21】
前記判定は、前記検査の開始前に行われる、請求項20に記載の検査装置。
【請求項22】
情報を表示する表示部、をさらに備え、
前記検査結果を前記表示部に表示する、請求項20または21に記載の検査装置。
【請求項23】
識別情報が付与されたカートリッジと、
前記識別情報の取得、および前記カートリッジが内部に取り込んだ検体に含まれる検査対象の検査を行う検査装置と、を含み、
前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項24】
前記カートリッジは、前記検査対象を測定し、信号を出力する測定デバイスを備えており、
前記識別情報は、前記測定デバイスの感度を示す感度情報を含み、
前記感度情報を利用して前記測定デバイスからの出力値を補正して検査結果を算出する、請求項23に記載の検査システム。
【請求項25】
前記識別情報は、製品識別情報を含み、
前記検査装置は、前記製品識別情報に対応する前記測定条件を、通信ネットワークを介して取得する、請求項23または24に記載の検査システム。
【請求項26】
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、
前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、
前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する工程と、
前記測定条件に応じて前記検査装置の動作を制御する工程と、を含む、請求項18に記載の検査方法。
【請求項27】
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置であって、
前記カートリッジと接続する接続部と、
前記識別情報を読取る読取部と、
前記識別情報に基づいて特定された測定条件に応じて動作を制御する制御部と、を備える、請求項20に記載の検査装置。
【請求項28】
前記検査装置は、前記演算式を記憶する記憶部を有する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項29】
前記測定デバイスは弾性波を利用するセンサであり、
前記演算式は、下記式(1)と前記パラメータ情報とを利用して、特定され、
【数1】
上記式中、xは、前記測定デバイスに入力された電気信号の絶対位相と前記測定デバイスから出力された電気信号の絶対位相との差分から求められる位相差信号であり、yは前記検査対象の濃度であり、a~eは、前記複数のパラメータである、請求項1に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査システム、カートリッジ、検査方法、および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体に含まれる検査対象を検出する検査装置または検査システムでは、適切な検査結果を得るために、適切なカートリッジが検査装置に装着されることが求められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開2013-186097号」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような検査装置または検査システムにおいて、カートリッジが未使用である場合も含めて、カートリッジを検査装置において使用することの適否を適切に判定することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る検査システムは、識別情報が付与されたカートリッジと、前記識別情報の取得、および検査を行う検査装置と、を含み、前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否に係る判定を行い、前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行う。
【0006】
また、本開示の一態様に係る検査方法は、識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否の判定を行う工程と、前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行う工程と、を含む。
【0007】
また、本開示の一態様に係る検査装置は、識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置であって、前記カートリッジと接続する接続部と、前記識別情報を読取る読取部と、前記識別情報に基づく前記カートリッジの適否に係る判定の結果に応じて動作を制御し、前記カートリッジの破壊、または前記カートリッジに対して使用済である旨の情報の書き込みを行う制御部と、を備える。
【0008】
また、上記検査システムは、識別情報が付与されたカートリッジと、前記識別情報の取得、および検査を行う検査装置と、を含み、前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する。
【0009】
また、上記検査方法は、識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する工程と、前記測定条件に応じて前記検査装置の動作を制御する工程と、を含む。
【0010】
また、上記検査装置は、識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置であって、前記カートリッジと接続する接続部と、前記識別情報を読取る読取部と、前記識別情報に基づいて特定された測定条件に応じて動作を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る発明によれば、カートリッジが未使用である場合も含めて、簡便な構成によりカートリッジを検査装置において使用することの適否を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る検査システムの構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る検査システムが備える検査装置およびカートリッジの外観を示す図である。
図3】一実施形態に係る検査装置のセンサの構成を示す平面図である。
図4】一実施形態に係る検査装置において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係る携帯端末において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】他の実施形態に係る検査システムの構成を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る検査装置において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】他の実施形態に係る検査システムの構成を示すブロック図である。
図9】他の実施形態に係る検査システム1Cの構成を示すブロック図である。
図10】カートリッジの識別情報に含まれる項目を示すテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<検査システム1の構成>
以下、本開示に係る発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る検査システム1の構成を示すブロック図である。図2は、一実施形態に係る検査システム1が備える検査装置3およびカートリッジ2の外観を示す図である。なお、図2に示す検査装置3では、カートリッジ2が検査装置3に完全に装着されていない。すなわち、図2は、検査装置3にカートリッジ2を挿入する途中の様子を示している。
【0014】
一実施形態に係る検査システム1は、検体Pに含まれる検査対象についての検査を行い、当該検査の結果を、検査装置3のオペレータおよび検査を依頼した依頼者に提示することができるシステムである。一実施形態に係る検査システム1は、カートリッジ2、検査装置3、印刷装置4、および携帯端末(移動体端末)5を備える。検査システム1では、検査装置3にカートリッジ2が接続されると、検査装置3は当該カートリッジ2が適正であるか否かを判定してよい。また、検査装置3は、当該判定の結果を出力してよい。検査装置3は、カートリッジ2が適正であると判定された場合に検体Pについてカートリッジ2を用いて検査を開始してよい。すなわち、カートリッジ2は、検査装置3が検査を開始するための認証に用いられてよい。検査装置3は、当該検査の検査結果を表示してよい。
【0015】
以下、本明細書では、検査システム1の一例として、検体Pとして尿を使用し、検体Pに含まれる検査対象物の濃度を測定する構成について説明する。なお、検査システム1の適用対象は、具体的には、各種癌の腫瘍マーカー、インフルエンザなどのウイルス、細菌または特定疾病を検査するための物質(例えば、糖尿病であればヘモグロビンA1cなど)の検査であってもよい。すなわち、検査システム1は、例えば、検体Pに含まれる検査対象の濃度の測定等の定量分析、あるいは検体Pに含まれている物質等の種類を特定する定性分析に用いられてよい。
【0016】
また、例えば、検査システム1は、検査結果に基づいて被検体の生理的な傾向、または病気の診断等に用いられてよい。検査システム1の結果は、例えば、ウイルスの有無、または血中の特定の物質(コレステロール等)の濃度などであってもよいし、それらに基づく被検体の生理的な傾向、または病気の診断等であってもよい。生理的な傾向とは、例えば、被検体がある特定の物質を産生しやすい体質であるか否か、被検体がある特定の病気にかかりやすい体質か否か、および被検体がある特定の病気にかかった場合に重篤化しやすい体質であるか否か等の被検体の体質に関する傾向であってよい。
【0017】
また、検査システム1の結果は、検査装置3で検査された結果と、被検体の生体情報などと組み合わせた結果であってもよい。また、検査装置3が導出する検査結果は、例えば検査装置3を被検体に装着することによって得られる生体情報等であってもよい。生体情報としては、例えば血圧、心拍、脈波、血中酸素濃度、血液粘度、エコー画像およびレントゲン画像等であってもよい。また、検査結果には、人や動物といった被検体に対して行った検査の結果も含まれてよい。具体的に、検査システム1の結果は、例えば、検査装置3が導出する検査結果と、母体を被検体としたエコー検査を行って得たエコー画像とを組み合わせた結果に基づいて判定した胎児の成長度合であってもよい。また、検査システム1の結果は、検査装置3が導出する検査結果と、患者を被検体としたレントゲン撮影によるレントゲン画像とを組み合わせた結果に基づいて推定した骨密度であってもよい。これらの場合、検査システム1は、必ずしもカートリッジ2は用いなくともよい。つまり、検査装置3は、例えば、他の検査装置から検査のデータを取込んで、当該検査のデータに基づいてさらに検査を行ってもよい。生体情報は検査装置3と他の検査装置やデータベース等から入手すればよく、例えば、検査装置3は有線または無線により従来周知の方法で他の検査装置やデータベース等と接続されてよい。
【0018】
また、検査装置3は、交換可能なカートリッジ2を利用するものであればよい。また、検査の種類に応じて、複数種のカートリッジ2が用意されてよい。つまり、検査装置3が行う検査の種類は、特に限定されない。例えば、検体Pの例は尿に限られず、生体由来の物質であればよく、例えば血液、汗、唾液、または鼻汁等であってもよい。カートリッジ2は、検査装置3がこれらの検体Pを検出できるように適宜構成されればよい。
【0019】
(カートリッジ2の構成)
カートリッジ2は検査装置3に着脱可能な使い捨てのカートリッジであってよい。一実施形態に係るカートリッジ2は、液体を保持する保持部21、検体Pをカートリッジ2の内部に取込む受液部22、および検体Pに含まれる検査対象を検出するセンサ23(測定デバイス)を備える。また、カートリッジ2の内部には、不図示の流路が形成されている。流路は、保持部21および受液部22と接続してよい。すなわち、流路には、検体Pと保持部21が保持する液体が供給されてよい。例えば、検体Pと液体は流路内で混合されてよい。また、例えば、保持部21に保持された液体によって、流路に供給された検体Pが洗い流されてもよい。流路は、従来周知の技術によって形成されてよい。
【0020】
カートリッジ2は、例えば樹脂で形成されてよい。樹脂は、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、およびポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリジメチルシロキサン等であってよい。一実施形態に係るカートリッジ2は、ポリメタクリル酸メチル樹脂で構成されている。
【0021】
カートリッジ2は、検査装置3と電気信号を相互に入出力することができる。つまり、カートリッジ2と検査装置3は、電気的に接続可能であればよい。カートリッジ2と検査装置3を電気的に接続する端子等は、従来周知の方法によって作製されてよい。
【0022】
なお、カートリッジ2は、検査装置3に物理的に装着されなくともよい。例えば、カートリッジ2は検査装置3と通信可能な通信部を備えていてもよい。この場合、カートリッジ2は、有線または無線通信によって、検査に係る電気信号等の種々の情報を検査装置3と相互に送受信してよい。
【0023】
また、カートリッジ2には、識別情報が付与されてよい。識別情報は、個々のカートリッジ2を識別するための情報である製品識別情報を含んでよい。製品識別情報は、例えば、カートリッジ2の製造番号(シリアルナンバー)であってよい。また、識別情報は、検査装置3がカートリッジ2を用いて検査を行うために利用する情報である検査情報を含んでよい。例えば検査情報は、検査の種類についての情報(検査対象についての情報を含む)および/または当該検査の種類に応じた条件(例:反応温度および反応時間等)についての情報であってよい。
【0024】
カートリッジ2には、識別情報を示すコード(例:バーコード、またはQRコード(登録商標))が貼付または印字されてよい。この場合、検査装置3は、カートリッジ2の筐体に貼り付けられているコードを読取ることにより、当該コードから識別情報を取得することができる。
【0025】
なお、識別情報は暗号化されていてよい。すなわち、カートリッジ2に貼付または印字される上記コードは、暗号化された識別情報に基づいて生成されたものであってよい。暗号化の方式は特に限定されないが、例えば、秘密鍵による暗号化であってよい。製造工程において、識別情報を秘密鍵で暗号化し、暗号化された識別情報をコード化(例:バーコード化、またはQRコード(登録商標)化)してよい。これにより、暗号化された識別情報を含むコードを生成することができる。また、暗号化に用いられた秘密鍵は、検査装置3の記憶部33に予め格納されていてもよいし、検査装置3が外部の装置から取得してもよい。
【0026】
カートリッジ2において、コードが貼付けまたは印字される位置は、特に限定されない。例えば、カートリッジ2が検査装置3によって加熱される場合、コードは、カートリッジ2の加熱される部分から離れた位置に貼付けまたは印字されてよい。すなわち、コードは、カートリッジ2において、他の部分よりも熱が伝わりにくい位置に貼付けまたは印字されてよい。例えば、カートリッジ2の下面が加熱される場合、コードはカートリッジの上面(加熱される面と反対の面)に貼付けまたは印字されてよい。この場合、検査中または検査後に熱によりコードが消えるまたは薄れる可能性が低減される。したがって、検査システム1は、検査中または検査後にカートリッジの適否に係る判定を行うことができる。また、検査システム1は、検査装置3によるコードの読取りミスを低減し得る。すなわち、一実施形態に係るカートリッジ2によれば、検査装置3の誤動作を低減し得る。なお、コードは、例えば、熱によって色が消えにくいインクで作成されてよい。または、コードは、例えば、カートリッジ2を加熱する温度よりも高い温度で変色するインクを用いればよい。
【0027】
また、例えば、カートリッジ2が検査装置3によって加熱される場合、コードは、カートリッジ2の加熱される部分に近い位置に貼付けまたは印字されてよい。すなわち、コードは、カートリッジ2において、他の部分よりも熱が伝わりやすい位置に貼付けまたは印字されてよい。例えば、カートリッジ2の下面が加熱される場合、コードはカートリッジ2の下面(加熱される面と同じ面)に貼付けまたは印字されてよい。この場合、検査装置3は、熱によりコードを消すまたは薄れさせることができる。したがって、検査装置3で一度使用されたカートリッジ2が、同じ検査装置3または他の検査装置3で再使用される可能性を低減できる。すなわち、一実施形態に係るカートリッジ2によれば、検査装置3の誤動作を低減し得る。なお、コードは、例えば、熱によって色が消えるまたは薄くなるインクで作成されてよい。また、カートリッジ2の加熱(コードへの加熱)は、カートリッジ2の適否に係る判定後であればよい。具体的には、カートリッジ2への加熱(コードへの加熱)は、検査前であってもよいし、検査と同時であっても良いし、検査後であってもよい。
【0028】
但し、別の態様によって、識別情報が、カートリッジ2に付与されてもよい。例えば、カートリッジ2の内部に、識別情報が記録されたチップが、予め埋め込まれていてもよい。チップは、周知の技術によって構成することができ、例えば、SSD(Solid State Drive)などのメモリを用いてもよい。この場合、カートリッジ2内のチップの識別情報は、検査装置3によって直接的または間接的(非接触的)に読み出される。具体的に、検査装置3には、カートリッジ2の内部と電気的に接続可能なリーダが設けられていればよい。当該リーダは、カートリッジ2と電気的に接続された場合に、前記チップから識別情報を取得してよい。なお、チップは、カートリッジ2の適否に係る判定または検査の終了後に任意の方法で破壊されてよい。例えば、検査装置3は、チップを短絡等により電気的に破壊してもよい。また、例えば、検査装置3は、装置内に設けたドリルなどの工具によってチップを物理的に破壊してもよい。また、例えば、検査装置3は、チップに使用済みである旨の情報を書込み、当該情報を検査装置3が読取った場合に検査結果を出力させないように制御してもよい。
【0029】
保持部21は、種々の液体を保持することができる。つまり、保持部21の内部に種々の液体が封入されている。保持部21は、検査に用いる液体の種類に応じた任意の材料によって形成されればよい。例えば、酸化しやすい液体を封入する場合は、保持部21は、酸素の透過率が小さい材料で形成されればよい。例えば、酸性の液体を用いる場合は、保持部21は、耐酸性の材料で形成されればよい。したがって、保持部21は、例えば、アルミニウム、ポリプロピレン、およびポリエチレンなどで形成されればよい。一実施形態において、保持部21は、ポリプロピレンで形成されている。なお、保持部21は、鋳造など、従来公知の技術によって形成されてよい。
【0030】
保持部21の形状は、液体を保持することができるのであれば、特定の形状に限定されない。保持部21は、例えば、円錐台、三角錐台、および四角錐台などの錐台、あるいは円錐、三角錐、および四角推などの錐体、あるいは円柱、三角柱、および四角柱などの柱体、またはこれらの組合せなど、任意の形状であればよい。一実施形態において、保持部21は円錐台である。また、保持部21は、検査装置3のロッド(不図示)により押下されることによって、保持部21が保持する液体をセンサ23に供給してもよい。
【0031】
受液部22は、検体Pをカートリッジ2の内部に取込み、センサ23に供給することができる。すなわち、受液部22は、カートリッジ2の流路と接続している。受液部22の形状は、特に限定されない。受液部22は、カートリッジ2の流路と一体として形成されてもよい。または、受液部22は、カートリッジ2の流路と別体として形成されてもよい。受液部22は、従来周知の技術によって形成されてよい。
【0032】
図3は、センサ23の構成を示す平面図である。一実施形態に係るセンサ23は、弾性波を利用したセンサであり、検出部24、参照部25、一対の第1IDT(Inter Digital Transducer)電極26A、一対の第2IDT電極26B、および基板27を備える。検出部24、参照部25、一対の第1IDT電極26A、および一対の第2IDT電極26Bは、基板27上に位置してよい。
【0033】
センサ23は、例えば、弾性波、QCM(Quartz Crystal Microbalance)、SPR(Surface Plasmon Resonance)、またはFET(Field Effect Transistor)等を利用するセンサであればよい。すなわち、センサ23は、電気信号と弾性波、QCM、SPR、FET等を相互に変換することができればよい。なお、センサ23は、従来周知の方法によって作製すればよい。一実施形態に係るセンサ23は、弾性波を利用するセンサである。つまり、センサ23は、電気信号と弾性波を相互に変換することができる。また、この場合、識別情報に含まれる検査情報には、弾性波の初期位相、および基板27の方位など、弾性波を利用するセンサに特有の情報が含まれてよい。
【0034】
検出部24には、検査対象と反応する物質(反応物質)が固定されてよい。したがって、検体Pに含まれる検査対象は、検出部24において、反応物質と反応することができる。検出部24は、例えば金属で構成されればよい。具体的には、検出部24は、例えば金、クロム、およびチタン等の金属、またはこれらの金属の組合せで構成されればよい。また、検出部24は、単一の材料で構成された単層の金属膜、または複数の材料で構成された多層の金属膜であってもよい。なお、検出部24は、反応物質を固定することができるのであれば、これらの金属に限定されない。すなわち、検出部24は、反応物質を固定可能な任意の材料で構成されればよい。検出部24は、従来周知の方法により作製されればよい。
【0035】
反応物質は、例えば抗体、および酵素等であればよい。つまり、検査対象は、抗原、および基質等であればよい。なお、検査対象はこれらの例に限定されない。例えば、検査対象は、抗体、および酵素等であってもよい。つまり、反応物質は、例えば抗原、および基質等であってもよい。すなわち、検査装置3によって検査したい症状、または病気等に応じて、検査対象と反応物質との組合せが適宜選択されればよい。
【0036】
一対の第1IDT電極26Aは、一対の第1IDT電極26A間に弾性波を発生させることができる。発生した弾性波のうち、基板27の表面を伝搬する弾性波は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)ともいう。一対の第1IDT電極26Aは、基板27において、検出部24を挟むように位置していればよい。一実施形態に係るセンサ23では、検査装置3の制御により一対の第1IDT電極26Aの一方に電気信号が入力される。入力された電気信号は、検出部24に向かって伝搬する弾性波に変換されて一方の第1IDT電極26Aから発信される。発信された弾性波は、検出部24を通過する。他方の第1IDT電極26Aは、検出部24を通過した弾性波を受信することができる。受信された弾性波は、電気信号に変換される。変換された電気信号は、検査装置3に出力される。一対の第1IDT電極26Aは、例えば、金、クロムまたはチタン等の金属、またはこれの金属の組合せで形成されればよい。また、一対の第1IDT電極26Aは、単一の材料で構成された単層の電極、または複数の材料で構成された多層の電極であってもよい。
【0037】
検出部24において、検査対象と反応物質とが反応することによって、基板27上を伝播する弾性波の伝搬特性が変化する。具体的には、検査対象と反応物質とが反応することで、基板27にかかる重量、あるいは基板27の表面に接触する液体の粘度が変化する。これらの変化の大きさは、検査対象と反応物質の反応量に相関する。また、弾性波の特性(例えば位相、振幅、あるいは周期等)は、検出部24を伝搬することで変化する。特性の変化の大きさは、基板27にかかる重量の大きさ、あるいは基板27の表面に接触する液体の粘度の大きさと相関する。したがって、検査装置3は、センサ23を用いることで、弾性波の特性の変化に基づいて、検査対象を検出することができる。具体的には、検査装置3は、例えば検体Pに含まれる検査対象の濃度を測定することができる。
【0038】
なお、センサ23は、検出部24および一対のIDT電極26Aの組合せを2つ以上有していてもよい。この場合、検査装置3は、例えば、組合せごとに異なる種類の標的物質を検出してもよい。または、検査装置3は、例えば、同じ種類の標的物質を複数の組合せで検出し、それぞれの検出結果を比較してもよい。
【0039】
参照部25には、検出部24と異なり反応物質が固定されていない。すなわち、参照部25では、検査対象と反応物質との反応が起こらない。そのため、参照部25は、検出部24のコントロールとして機能することができる。参照部25は、検出部24と同一または類似に構成されればよい。
【0040】
一対の第2IDT電極26Bは、一対の第2IDT電極26B間に弾性波を発生させることができる。一対の第2IDT電極26Bは、基板27において、参照部25を挟むように位置していればよい。一実施形態に係るセンサ23では、検査装置3の制御により一対の第2IDT電極26Bの一方に電気信号が入力される。入力された電気信号は、参照部25に向かって伝搬する弾性波に変換されて一方の第2IDT電極26Bから発信される。発信された弾性波は、参照部25を通過する。他方の第2IDT電極26Bは、参照部25を通過した弾性波を受信することができる。受信された弾性波は、電気信号に変換される。変換された電気信号は、検査装置3に出力される。一対の第2IDT電極26Bは、一対の第1IDT電極26Aと同一または類似に構成されればよい。
【0041】
基板27は、例えば圧電性を有する基板である。具体的には、基板27は、例えば水晶基板である。なお、基板27は、弾性波を伝搬することができるのであれば、水晶基板に限られない。すなわち、基板27は、弾性波を伝搬することができる任意の材料で構成されればよい。また、基板27は、従来周知の手法により作製されればよい。
【0042】
(検査装置3の構成)
検査装置3は、制御部31、接続部32、記憶部33、表示部34(表示装置)、通信部35、および入力部36を備える。また、制御部31は、情報取得部37、検査制御部38、演算部39、コード生成部40、および出力制御部41を備える。また、記憶部33は、データベース42を有してよい。
【0043】
情報取得部37は、カートリッジ2から識別情報を取得してよい。情報取得部37は、識別情報を検査制御部38および演算部39に出力してよい。情報取得部37は、例えば、カートリッジ2にコードが印字されている場合は、当該コードを撮像した画像から各情報を読取ることができる。また、情報取得部37は、カートリッジ2が交換されると、再度識別情報の取得を行うことができる。
【0044】
データベース42は、カートリッジ2の識別情報を含んでよい。そして、検査制御部38は、情報取得部37からカートリッジ2の識別情報を取得した場合に、記憶部33のデータベース42を参照し、カートリッジ2の識別情報とデータベース42に登録された識別情報とを照合してよい。これにより、検査制御部38は、カートリッジ2の適否に係る判定を行うことができる。検査制御部38は、当該判定の結果に応じた動作を行ってよい。換言すると、検査制御部38は、当該判定の結果に応じて検査装置の動作を制御する。なお、検査制御部38は、記憶部33に予め記憶されている、判定を行うための判定プログラムを実行することにより当該判定を行ってよい。また、検査制御部38は、検査装置3のオペレータによって検査を開始する入力が行われると、検査情報に含まれる検査条件の情報に基づいてカートリッジ2の検査環境を制御してよい。
【0045】
例えば、検査制御部38は、データベース42に含まれるカートリッジ2の製品識別情報と、カートリッジ2に付与された識別情報に含まれる製品識別情報とを照合して、カートリッジ2が適正な製品であるか否かを判定してよい。
【0046】
カートリッジ2に、暗号化された識別情報を含むコードが貼付けられている場合、カートリッジ2が検査装置3と接続されると、情報取得部37は、当該コードを読取る。検査制御部38は、読取られたコードに含まれる暗号化された識別情報を、記憶部33に格納されている秘密鍵により復号する。秘密鍵による復号ができなかった場合、検査制御部38は、当該カートリッジ2が適正な製品でないと判定してよい。すなわち、検査制御部38は、カートリッジ2が適正な製品であるか否かの判定において、暗号化された識別情報が秘密鍵によって復号できるかどうかを判定してもよい。秘密鍵による復号ができた場合、検査制御部38は、当該カートリッジ2は適正な製品であるとみなして検査を開始してもよいし、復号した識別情報とデータベース42の製品識別情報とを照合してさらなる適正判定を行ってもよい。
【0047】
適正な製品とは、例えば、検査装置3の検査に用いられる専用品、法律(例えば、日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律など)に基づく認証機関の承認を受けた製品、または正規のルートで製造された純正品などを含む。すなわち、検査制御部38は、カートリッジ2が専用品、あるいは純正品などの適正な製品であれば、カートリッジ2が適正であると判定してよい。
【0048】
また、検査制御部38は、カートリッジ2が他の検査に用いられる専用品、あるいは非正規のルートで製造された模造品などの適正な製品以外の製品であれば、カートリッジ2が適正でないと判定してよい。検査装置3は、カートリッジ2が適正であると判定した場合に、検査を開始してよい。また、カートリッジ2が適正でないと判定した場合、検査制御部38は、検査を開始せずに、当該判定結果を、出力制御部41に出力し、カートリッジ2の交換を促す表示を表示部34に表示させてよい。
【0049】
例えば、検査制御部38は、データベース42に含まれる検査情報と、カートリッジ2に付与された識別情報に含まれる検査情報とを照合して、カートリッジ2が検査の種類に合致しているか否かを判定してよい。つまり、検査制御部38は、カートリッジ2を検査装置3の検査に用いることができるか否かを判定してよい。すなわち、検査制御部38は、カートリッジ2を検査装置3の検査に用いることができる場合は、カートリッジ2が適正であると判定してよい。また、検査制御部38は、カートリッジ2を検査装置3の検査に用いることができない場合は、カートリッジ2が適正でないと判定してよい。例えば、検査制御部38は、適正な製品であっても検査装置3が行なう検査とは異なる検査(例えば、カートリッジ2がインフルエンザウイルスを検査するものであるが、検査装置3が血糖値を検査するものである場合など)のものであるときは、カートリッジ2が適正でないと判定してよい。検査制御部38は、カートリッジ2を検査装置3の検査に用いることができる場合は、カートリッジ2が適正であると判定してよい。検査装置3は、カートリッジ2が適正であると判定した場合に、検査を開始してよい。また、カートリッジ2が適正でないと判定した場合、検査制御部38は、検査を開始せずに、当該判定結果を、出力制御部41に出力し、カートリッジ2の交換を促す表示を表示部34に表示させてよい。
【0050】
なお、検査装置3は、データベース42に含まれる識別情報を定期的に更新してよい。例えば、検査システム1がネットワークに接続している場合、検査装置3は、ネットワークを介して識別情報を更新してよい。検査装置3は、データベース42に含まれる識別情報を、カートリッジ2を判定する度に更新してもよく、その場合は、判定の前にデータベース42の識別情報を更新する。また、例えば、検査装置3に新しい識別情報を記憶したUSB(Universal Serial Bus)などの外部機器を接続して識別情報を更新してよい。この場合、検査装置3は、外部機器を接続するポートを適宜有していればよい。検査装置3は、識別情報を定期的に更新することにより、新たな検査項目、新たなカートリッジ、および新たな認証アルゴリズムなどを取得することができる。すなわち、検査システム1では、当該検査システム1利用時の利便性を向上させることができる。
【0051】
演算部39は、センサ23から電気信号を取得すると、検査結果として検査対象の濃度を算出してよい。演算部39は、算出した検査結果をコード生成部40および出力制御部41に出力してよい。
【0052】
コード生成部40は、演算部39から検査結果を取得し、当該検査結果を示すコード(例:QRコード(登録商標)、バーコード)を生成してよい。コード生成部40は、生成したコードを出力制御部41に出力してよい。
【0053】
出力制御部41は、検査装置3の各種出力を制御する。具体的には、出力制御部41は、検査制御部38からカートリッジ2の適否に関する判定結果を取得すると、当該判定結果を表示部34に表示させてよい。また、出力制御部41は、演算部39から検査結果を取得すると、当該検査結果を表示部34に表示させてよい。また、出力制御部41は、コード生成部40から取得したコードおよび検査結果を、通信部35を介して印刷装置4に出力してよい。なお、出力制御部41は、検査結果を表示部34に表示させてもよい。
【0054】
接続部32は、カートリッジ2と接続し、各種情報を授受してよい。具体的には、接続部32は例えば無線、あるいは有線通信を行うための通信モジュール、または接続部32にカートリッジ2が装着されることで検査装置3とカートリッジ2とが電気的に接続し、電気信号によって情報の授受が可能となる機構(端子)であってよい。接続部32が、通信モジュールである場合、接続部32は、カートリッジ2の識別情報を読取る読取部として機能することができる。
【0055】
記憶部33には、データベース42が予め記憶されてよい。データベース42は、適正なカートリッジ2の識別情報に関するデータベースであってよい。データベース42には、使用可能なカートリッジ2の識別情報を特定するための情報、または、使用できないカートリッジ2(例えば、一度使用されたカートリッジ2)の識別情報を特定するための情報が格納されてよい。また、記憶部33には、カートリッジ2の適否に係る判定を行うための判定プログラムが記憶されてよい。また、記憶部33には、演算部39が演算に用いるための演算式および検量線データ等の情報が記憶されてよい。
【0056】
カートリッジ2に識別情報等の情報を示すコードが印字されている場合、検査装置3は、カートリッジ2に付されているコードを読み取る読取部としての撮像部43(カメラ)をさらに備えてよい。
【0057】
(印刷装置4の構成)
印刷装置4は、受信部45、制御部46、出力部47、および印字部48を備える。印刷装置4の制御部46は、受信部45を介して検査結果および検査結果を示すコードを取得してよい。また、制御部46は、出力部47を制御し、紙等の媒体を出力させてよい。制御部46は、印字部48を制御し、出力部47から出力される媒体に検査結果およびコードを印字させてよい。
【0058】
(携帯端末5の構成)
携帯端末5は、検査結果を示すコードを取得し、当該コードが示す検査結果を表示する移動体端末装置である。携帯端末5は、例えばスマートフォン、またはタブレット端末等の汎用携帯型情報処理端末装置であるが、その種類は特に限定されない。携帯端末5は、制御部51、通信部52、入力部53、撮像部54、および表示部55を備える。
【0059】
制御部51は、撮像制御部56、検査結果読取部57、出力制御部58を備える。撮像制御部56は、入力部53から撮像部54を起動する入力操作が行われると、撮像部54を起動してよい。また、撮像制御部56は、入力部53からの入力に従って撮像部54を制御し、印刷装置4によって印字されたコードを撮像してよい。
【0060】
検査結果読取部57は、撮像部54によって撮像されたコードの画像を取得してよい。検査結果読取部57は、コードの画像を解析し、当該コードに含まれる検査結果を読取ることができる。出力制御部58は、検査結果読取部57から検査結果を取得した後、表示部55を制御し、当該検査結果を表示さてよい。
【0061】
入力部53は、検査装置3のオペレータからの入力操作を受け付ける入力装置であり、例えばタッチパネルであってよい。撮像部54は、撮像制御部56の制御により撮像を行うデジタルカメラである。表示部55は、検査結果を表示する表示装置であり、例えば入力部53のタッチパネルが表示部55を兼ねてよい。
【0062】
<検査装置の処理の流れの一例>
図4は、検査装置3において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、検査装置3の接続部32にカートリッジ2が接続されると、情報取得部37は、接続部32を介してカートリッジ2に付与されている識別情報を取得する(S1)。情報取得部37は、識別情報を検査制御部38および演算部39に出力する。
【0063】
検査制御部38は、識別情報を取得すると、記憶部33のデータベース42を参照し、カートリッジ2の適否を判定する(S2)。具体的には、カートリッジ2の識別情報が適正なカートリッジ2の識別情報としてデータベース42に登録されている場合、検査制御部38は、カートリッジ2が適正なカートリッジであると判定する。
【0064】
検査制御部38は、当該判定の結果に応じた動作を行う。具体的には、カートリッジ2が適正なカートリッジでないと判定された場合(S2でNO)、検査制御部38は、当該判定の判定結果およびカートリッジ2の交換を促すメッセージを、出力制御部41を介して、表示部34に表示させる(S3)。
【0065】
カートリッジ2が交換された場合(S4でYES)、S1の処理に戻り、情報取得部37は、カートリッジ2の識別情報を再度取得し(S1)、検査制御部38は、カートリッジ2の適否を再度判定する(S2)。
【0066】
一方、カートリッジ2が適正なカートリッジであると判定された場合(S2でYES)、検査制御部38は当該判定結果を出力制御部41に出力する。出力制御部41は、判定結果を取得すると表示部34を制御し、判定結果として検査装置3に装着されたカートリッジ2が適正であることを示す画面および検査の開始操作を行うことを促す画面を表示させる(S5)。
【0067】
S5の後、検査装置3のオペレータによって入力部36から検査を開始する操作が行われると、検査装置3において検査が開始される。検査制御部38は、検査情報に基づいてカートリッジ2を制御し、検査の条件を調節する(S6)。具体的には、検査制御部38は、検査装置3のロッドを制御し、カートリッジ2の保持部21を押下させ、保持部21が保持する液体(検体P)をセンサ23に供給する。また、流路を介して受液部22から検体Pをセンサ23に供給する。また、検査制御部38は検査に適した温度となるようカートリッジ2の温度を調節する。また、検査制御部38はセンサ23上での検体Pの反応時間を設定する。その後、検査制御部38は、センサ23を制御し、弾性波を発生させる。
【0068】
演算部39は、情報取得部37から識別情報に含まれる検査情報を、センサ23から弾性波を示す電気信号を取得する。演算部39は、記憶部33を参照し、検査情報が示す検査の種類に応じた演算式等、検査結果を得るための演算に必要な情報を取得する。演算部39は、演算に必要な情報および弾性波の電気信号に基づいて、検査結果として検査対象の濃度を算出する(S7)。
【0069】
例えば、演算部39は、参照部25を通過した弾性波に基づく電気信号(参照信号)を基準として、検出部24を通過した弾性波に基づく電気信号(検出信号)に基づいて検査対象を検出することができる。具体的には、検体Pに検査対象が含まれていれば、検査対象と反応物質とが反応するため検出信号と参照信号とに差が生じる。したがって、例えば、演算部39は、検出信号から、参照信号の差を取ることで、検査対象を検出することができる。演算部39は、算出した検査結果をコード生成部40および出力制御部41に出力する。
【0070】
コード生成部40は検査結果を取得すると、当該検査結果を示すコードを生成してよい。コード生成部40は、生成したコードを出力制御部41に出力してよい。
【0071】
出力制御部41は、演算部39から検査結果を取得すると、表示部34を制御し、当該検査結果を表示させる(S8)。また、出力制御部41は、検査結果および検査結果を示すコードを取得すると、通信部35を介して印刷装置4に出力する。
【0072】
印刷装置4の制御部46は、受信部45を介して検査装置3から検査結果および当該検査結果を示すコードを取得すると、出力部47および印字部48を制御し、紙等の媒体に検査結果およびコードを印字し、出力する。
【0073】
<携帯端末5の処理の流れ>
図5は、携帯端末5において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。携帯端末5の撮像制御部56は、ユーザ(検査を依頼した依頼者)の入力操作によって撮像部54を起動し、紙等の媒体に印字されたコードを撮像する(S11)。検査結果読取部57は、コードの画像を取得し、当該コードが示す情報(検査結果)を読取る(S12)。検査結果読取部57は、読み取った検査結果を出力制御部58に出力する。出力制御部58は、検査結果を取得すると表示部55を制御し、当該検査結果を表示させる(S13)。
【0074】
なお、検査装置3が通信部35を介して携帯端末5の通信部52に検査結果を直接送信してもよい。この場合、S11~S13の処理は省略されてもよい。
【0075】
<検査システム1の効果>
一実施形態に係る検査システム1は、識別情報が付与されたカートリッジ2と、当該カートリッジ2を用いて検査を行う検査装置3とを備える。また、検査装置3は、カートリッジ2の識別情報を取得し、当該識別情報に基づいてカートリッジ2の適否に係る判定を、検査の開始前に行うことができる。前記構成によれば、カートリッジ2に付与された識別情報を読み取り、一連の検査が開始される前にカートリッジ2の適否に係る判定が行われてよい。そのため、簡便な構成によりカートリッジ2の適否を判定することができる。
【0076】
一実施形態に係るカートリッジ2は、検体Pに含まれる検査対象を検出するセンサ23を備える。また、検査装置3における判定は、当該検体Pのセンサ23への供給前に行われてよい。前記構成により、一連の検査に係る動作の開始前にカートリッジ2の適否の判定が行われるため、不適切な検査のための動作が行われることを防止できる。
【0077】
また、検査システム1は、検査装置3から検査の結果を取得し、検査の結果および当該検査の結果を示すコードを媒体に印字する印刷装置4を備える。また、検査システム1が備える携帯端末5は、印字されたコードを読み取る撮像部54を備える。検査システム1は、撮像部54で読み取った当該コードに基づいて、携帯端末5の表示部55に表示することができる。
【0078】
前記構成では、検査結果を示すコードが印字されるため、検査結果を医師等が検査の依頼者に紙として手渡すことができる。依頼者は、携帯端末5を用いてコードを読み取ることで、検査結果を携帯端末5に入力し、表示させることができる。
【0079】
また、検査装置3は、情報を表示する表示部34を備えてよい。出力制御部41は、検査対象に関する検査の結果を表示部34に表示してよい。前記構成によると、検査の結果を検査装置3のオペレータに知らせることができる。
【0080】
<変形例>
上述した実施形態1では、カートリッジ2の適否に関する判定結果を検査装置3でのみ表示していた。しかし、検査システム1では、検査装置3は判定結果を携帯端末5に送信してもよく、携帯端末5は表示部55に当該判定結果を表示してもよい。
【0081】
この場合には、検査制御部38はカートリッジ2の適否についての判定を行った後、当該判定の結果を、通信部35を介して携帯端末5の通信部52に送信してよい。携帯端末5の制御部51は、判定の結果を取得すると、表示部55を制御し、当該判定の結果を表示させてよい。
【0082】
これにより、携帯端末5の所有者である検査の依頼者に、適切なカートリッジ2を用いて検査が行われたかどうかを知らせることができる。
【0083】
また、カートリッジ2の識別情報は、カートリッジ2に対応する(カートリッジ2を使用可能な)検査装置3を特定する特定情報を含んでもよい。この場合、検査制御部38は、カートリッジ2が、当該カートリッジ2の特定情報と対応する検査装置3に用いられる場合に、カートリッジ2が適正であると判定してよい。検査装置3は、カートリッジ2が適正な場合に検査を開始してよい。すなわち、一実施形態に係る検査システム1は、カートリッジ2が、前記特定情報と対応する検査装置3に用いられる場合に、検査を開始してよい。
【0084】
具体的には、情報取得部37はカートリッジ2の識別情報に含まれる特定情報を取得し、検査制御部38に出力してよい。検査制御部38は、取得した特定情報が示す検査装置が、自装置(適正検査装置)であるか否かを、前記特定情報と自装置の識別情報とを比較することにより判定してよい。また、検査制御部38は、カートリッジ2の識別情報に基づいて当該カートリッジ2の適否について判定を行ってよい。検査装置3が適正検査装置であり、カートリッジ2の識別情報から当該カートリッジ2が適正である場合、検査を開始してよい。一方、検査装置3が適性検査装置でない場合、またはカートリッジ2の識別情報から当該カートリッジ2が適正でないと判定した場合、検査制御部38は、検査を開始せずにカートリッジ2の交換を促す表示を行ってよい。
【0085】
また、記憶部33のデータベース42には、カートリッジ2の有効期限が予め記録されていてもよい。すなわち、例えば、検査制御部38は、データベース42に含まれるカートリッジ2の有効期限と、カートリッジ2に付与された識別情報に含まれる有効期限とを照合して、カートリッジ2が有効期限内に使用されているか否かを判定してよい。つまり、検査制御部38は、カートリッジ2を検査に用いることができるか否かを判定してよい。具体的には、検査制御部38は、データベース42を参照し、カートリッジ2の有効期限についての情報を取得してよい。続いて検査制御部38は、当該有効期限が切れているか否かを判定してよい。検査制御部38は、検査を行う時に、カートリッジ2の有効期限が切れていない場合に、カートリッジ2が検査に適していると判定してよい。また、検査制御部38は、検査を行う時に、カートリッジ2の有効期限が切れている場合、カートリッジ2が適正でないと判定してよい。検査装置3は、カートリッジ2が検査に適していると判定した場合に、検査を開始してよい。また、カートリッジ2が検査に適していないと判定した場合、検査制御部38は、検査を開始せずにカートリッジ2の交換を促す表示を表示部34に表示させてよい。なお、有効期限は、例えば、カートリッジ2においてメーカーが保証する使用期限または使用の推奨期限等であればよい。
【0086】
または、検査制御部38は、カートリッジ2に付与された識別情報に含まれる有効期限に基づいてカートリッジ2が適正であるか否かを判定してよい。この場合、情報取得部37はカートリッジ2の有効期限についての情報を取得し、検査制御部38に出力してよい。検査制御部38は、有効期限についての情報を取得した場合に、カートリッジ2の有効期限が切れているか否かを判定してよい。検査制御部38は、検査を行う時に、カートリッジ2の有効期限が切れていない場合、カートリッジ2が適正であると判定してよい。また、検査制御部38は、検査を行う時に、カートリッジ2の有効期限が切れている場合、カートリッジ2は適正でないと判定してよい。検査装置3は、カートリッジ2が検査に適していると判定した場合に、検査を開始してよい。また、カートリッジ2が検査に適していないと判定した場合、検査制御部38は、検査を開始せずにカートリッジ2の交換を促す表示を表示部34に表示させてよい。
【0087】
また、検査装置3は、カートリッジ2が適正である場合、オペレータによる入力部36からの開始操作を受け付けることなく検査を開始してもよい。前記構成によると、カートリッジ2装着から検査結果表示までの時間を短縮することができる。
【0088】
また、検査装置3は、通信部35を介してデータベース42を管理する外部の管理サーバと通信を行い、データベース42をアップデートしてもよい。これにより、データベース42を最新の状態に保つことができる。当該通信は、定期的に行われてもよいし、ユーザがアップデートを指示する入力操作を行った時に行われてもよい。
【0089】
また、検査情報に演算式、検量線データ等演算に必要な情報が含まれていてもよい。この場合、演算部39は検査情報および電気信号を取得した後、記憶部33を参照せず、検査情報に含まれる情報を用いて検査結果を算出することができる。
【0090】
また、検査システム1は、検査装置3が備える表示部34とは別に、表示部を備える表示装置を含んでもよい。この場合、検査装置3は、当該表示装置にカートリッジ2の適否に関する判定結果または各種検査結果を表示させてもよい。
【0091】
〔実施形態2〕
本開示に係る発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。他の実施形態についても同様である。
【0092】
図6は、他の実施形態に係る検査システム1Aの構成を示すブロック図である。検査システム1Aは、検査システム1とは異なり、判定サーバ(管理装置)6を有している。検査システム1Aの検査装置を検査装置3Aと称する。
【0093】
検査システム1Aにおいて、検査制御部38Aは、カートリッジ2の適否に関する判定を行わず、当該判定は判定サーバ6で行われてよい。そのため、情報取得部37Aは、取得した識別情報を、通信部35を介して判定サーバ6に送信してよい。出力制御部41Aは通信部35を介して判定サーバ6から判定結果を取得することができる。また、出力制御部41Aは表示部34を制御し、取得した判定結果に応じた画面を表示してよい。
【0094】
判定サーバ6は、不図示の通信部を介して検査装置3Aからカートリッジ2の識別情報を受信し、当該カートリッジ2の適否についての判定を行ってよい。判定サーバ6は、制御部61および記憶部62を備える。制御部61は判定部63を備える。判定部63は、検査装置3Aから識別情報を受信し、カートリッジ2の適否に関する判定を行う判定プログラムを実行してよい。また、判定部63は、当該判定の結果を検査装置3Aに送信してよい。記憶部62には、前記判定プログラムおよびデータベース64が予め記憶されてよい。データベース64は、データベース42と同様のデータベースであってよい。
【0095】
<検査装置3Aの処理の流れの一例>
図7は、検査装置3Aにおいて行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、検査装置3Aにカートリッジ2が接続されると、情報取得部37AはS1と同様に、接続部32を介してカートリッジ2の識別情報を取得する(S21)。情報取得部37Aは、取得した検査情報を検査制御部38Aおよび演算部39に出力する。
【0096】
次に、情報取得部37Aは、通信部35を介して判定サーバ6に識別情報を送信する(S22)。判定サーバ6の判定部63は識別情報を取得すると、データベース64を参照し、カートリッジ2の適否に関する判定を行う。当該判定の方法については、S2において検査制御部38が行う方法と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
判定部63は、カートリッジ2の適否についての判定を行うと、当該判定の結果を検査装置3Aに送信する。出力制御部41Aは、通信部35を介して判定サーバ6からカートリッジ2の適否についての判定の結果を取得する(S23)。出力制御部41Aは、取得した判定の結果が「カートリッジ2は適正でない」ことを示す場合(S24でNO)、S3およびS4と同様にS25およびS26の処理を行う。一方、出力制御部41Aは、取得した判定の結果が「カートリッジ2は適正である」ことを示す場合(S24でYES)、S5~S8と同様に、S27からS30までの処理を行う。
【0098】
<検査システム1Aの効果>
他の実施形態に係る検査システム1Aは、検査装置3Aから通信ネットワークを介してカートリッジ2の識別情報を取得する判定サーバ6を備える。また、判定サーバ6は、当該識別情報に基づいてカートリッジ2の適否に係る判定を行うことができる。
【0099】
前記構成では、検査装置3から取得した識別情報に基づいて、判定サーバ6においてカートリッジ2の適否を判定することができる。判定サーバ6が複数の検査装置3とインターネット等を介して接続されていれば、カートリッジ2の識別情報の管理を包括的に行うことができ、ある検査装置3で使用された識別番号を別の検査装置3で使用する等の不正な使用を検出できる。
【0100】
〔実施形態3〕
本開示に係る発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0101】
図8は、一実施形態に係る検査システム1Bの構成を示すブロック図である。検査システム1Bは、検査システム1とは異なり、検査装置3Bを有している。図8に示すように、検査装置3Bは、検査装置3の構成に加え、演算部39B、動作制御部70および破壊部71を有する制御部31Bを備えている。検査システム1Bでは、演算部39Bが検査結果を算出した後、検査に使用したカートリッジ2が破壊される。
【0102】
演算部39Bは、演算部39と同様に検査結果を算出し、コード生成部40および出力制御部41に当該検査結果を出力する。また、演算部39Bは、検査結果の出力と同時に、検査が終了したことを示す情報を動作制御部70に出力する。
【0103】
動作制御部70は、演算部39Bから検査が終了したことを示す情報を取得すると、破壊部71を制御し、検査装置3Bに接続されているカートリッジ2を破壊させる。
【0104】
破壊部71は、動作制御部70の制御に従って、カートリッジ2を破壊する。破壊部71カートリッジ2を破壊する方法は特に限定されるものではなく、破壊されたカートリッジ2が再度検査装置3Bに接続された際、検査装置3Bがカートリッジ2を用いて検査を行えない状態であればよい。例えば、破壊部71は、カートリッジ2の端子を折る、または端子に穴を開けることで物理的にカートリッジ2が検査装置3に接続できない状態にすることでカートリッジ2を破壊してもよい。
【0105】
または、カートリッジ2に、識別情報を含むコードが印字されている場合、破壊部71は、当該コードを読み取れない状態にすることで検査装置3がカートリッジ2を用いて検査できない状態にしてもよい。例えば、破壊部71は、バーコードの上からコードを読み取れないようインクを用いて当該コードを上書きしてもよい。また、コードが熱によって消えるインクを用いて印字されている場合、破壊部71は、加熱を行う加熱部であってもよく、コードを加熱することで当該コードを消してもよい。
【0106】
なお、カートリッジ2が破壊されたことを目視で確認することが容易でない方法を用いる場合、検査装置3は、破壊されたカートリッジ2に、当該カートリッジ2が破壊されたことを目視で確認することができるような情報を付加することが好ましい。例えば、検査装置3は、破壊されたカートリッジ2に「使用済」等の文字を印字してもよい。
【0107】
<検査システム1Bの効果>
他の実施形態に係る検査システム1Bでは、検査終了後に破壊部71がカートリッジ2を破壊する。これにより、使用済みのカートリッジ2が再度使用される可能性を低減することができる。
【0108】
〔実施形態4〕
本開示に係る発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0109】
図9は、他の実施形態に係る検査システム1Cの構成を示すブロック図である。検査システム1Cは、検査装置3Cが信号出力部73を有しており、制御部31が、信号制御部72を有している点が実施形態1の検査システム1と異なる。検査システム1Cの検査装置を検査装置3Cと称する。
【0110】
検査システム1Cでは、検査装置3Cにカートリッジ2が接続されると、検査装置3Cは当該カートリッジ2の識別情報に基づいて検査装置3の測定条件を特定してよい。
【0111】
実施形態4において、識別情報は、検査情報の一部として、カートリッジ2が備えるセンサ23の特性に関連する情報である特性情報を含んでいてよい。当該特性情報は、センサ23の感度情報、センサ23に入力される電気信号の情報(電気信号情報)、またはセンサ23からの出力値を解析するためのパラメータ情報を含んでもよい。電気信号情報は、例えば、センサ23に入力される電気信号の周波数の情報(周波数情報)であってもよい。特性情報は、カートリッジ2を用いた検査の精度を向上させるために利用される。また識別情報は、製品識別情報を含んでいてよい。製品識別情報は、例えば、個々のカートリッジ2に付与されるカートリッジ2の製造番号(シリアルナンバー)であってよい。あるいは、製品識別情報は、カートリッジ2の製造ロットごとに付与されるロット番号であってよい。
【0112】
図10は、カートリッジ2の識別情報に含まれる項目を示すテーブルの一例である。図10に示す例では、識別情報は、感度情報としてセンサ23の感度を示す素子感度(固定化量)、電気信号情報の例としてセンサ23に入力される電気信号の周波数、パラメータ情報として、検量線パラメータa~eを含む。
【0113】
周波数情報とは、例えば、カートリッジ2による測定に好適な周波数を示す情報である。一実施形態において、センサ23では、一対の第1IDT電極26Aの一方に電気信号が入力される。センサ23による測定において入力される電気信号の周波数は、入力信号に対する出力信号の振幅比(振幅減衰量)がより小さい周波数を用いることが有利である。振幅減衰量が最も小さい周波数(最適周波数)は、例えばセンサ23の物理的または機械的な特性に起因して、個々のセンサ23ごと、またはセンサ23の製造ロットごとによって異なる場合がある。そのため、識別情報に含まれる周波数情報は、個々のセンサ23に対する最適周波数を示す情報であってよい。最適周波数を用いて測定することにより、検査システム1Cは、検査精度または検査感度などを含む検査能力を向上させることができる。
【0114】
なお、電気信号情報は、カートリッジ2による測定に好適なセンサ23に入力される電気信号の情報であって周波数情報以外の情報であってもよい。
【0115】
パラメータ情報とは、例えば、検査装置3がセンサ23の出力値から検査対象の濃度を演算するために用いる演算式のパラメータである。一実施形態において、検査装置3C(演算部39C)は、センサ23から出力された電気信号を取得し、センサ23に入力された電気信号との位相差である位相差信号を算出すると、例えば、下記式(1)に示す演算式(近似関数)を用いて検査結果として検査対象の濃度を算出し得る。位相差信号は、センサ23に入力された電気信号の絶対位相と、センサ23から出力された電気信号の絶対位相の差分から求めてもよい。当該演算式は、記憶部33Cに格納されていてよい。
【数1】
式中、xは位相差信号であり、yは濃度であり、a~eはパラメータである。濃度の算出に用いるのに好適な近似関数は、個々のセンサ23またはセンサ23の製造ロットごとで異なる場合がある。そのため、センサ23ごとに適したパラメータa~eの値を代入することにより、各センサ23に最適な近似関数を得ることができる。すなわち、センサ23ごとに特定されるパラメータa~eを用いて演算を行うことにより、より精度の高い濃度の算出が可能となる。
【0116】
感度情報とは、例えば、センサ23の感度を示す情報である。センサ23は、個々のセンサ23またはセンサ23の製造ロットごとに、センサ23へ入力される電気信号に対する感度が異なる場合がある。
【0117】
例えば、センサ23の出力値から検査対象の濃度を演算するために用いる演算式が相似関係にある2つのセンサ23を用いて、同じ濃度の検査対象を測定した場合について考える。入力される電気信号に対するそれぞれの感度が異なると、それぞれのセンサ23からは異なる電気信号が出力される。そのため、電気信号から算出された位相差信号を用いて演算された結果としての濃度が異なって算出される。
【0118】
例えば、上記式(1)は下記式(2)に変換できるが、入力される電気信号に対する感度の異なるセンサ23の場合、位相差信号と濃度の関係は下記式(3)で表される。すなわち、検査対象の濃度は、下記式(3)を変換した下記式(4)によって位相差信号から求められるため、上記式(1)とは濃度が異なって算出される。
【数2】
【数3】
【数4】
上記式(2)および式(3)中、αは感度比であり、x、yおよびa~eは上記式(1)と同じである。
【0119】
感度情報を利用してセンサ23の出力値から検査対象の濃度を演算するために用いる演算式のパラメータを補正することにより、より正確に濃度を算出することができる。例えば、上記式(4)は、上記式(1)のパラメータaおよびdを、それぞれα×aおよびα×dに補正した式ともいうことができる。そのため、演算式のパラメータaおよびdを、それぞれα×aおよびα×dに補正することにより、正確に濃度を算出することができる。
【0120】
実施形態4の検査システム1Cにおいて、信号制御部72は、識別情報に基づいて、検査装置3の測定条件を特定してよい。例えば、信号制御部72は、センサ23に出力する電気信号の周波数として、識別情報に含まれる周波数情報を用いることができる。
【0121】
信号制御部72は、周波数を特定すると、当該周波数を示す信号情報を信号出力部73に出力してよい。信号出力部73は、信号制御部72から受信した信号情報に基づいて、カートリッジ2に電気信号を出力してよい。
【0122】
実施形態4の検査システム1Cにおいて、演算部39Cは、記憶部33Cに記憶されている演算式(例えば、式(1))と、カートリッジ2の識別情報に含まれるパラメータ情報を利用して、当該カートリッジ2に適した演算式を特定してよい。本開示では、このような演算式の特定も測定条件の特定という概念に含まれるものとする。続いて、演算部39Cは、特定した演算式を用いてセンサ23からの出力値を解析してよい。
【0123】
演算部39Cは、センサ23から電気信号を取得すると、特定した演算式を用いて算出した検査結果をコード生成部40および出力制御部41に出力してよい。
【0124】
また、実施形態4の検査システム1Cにおいて、演算部39Cは、カートリッジ2の識別情報に含まれる感度情報を利用して、測定条件の1つとしてのセンサ23の感度を特定し、演算式のパラメータを補正してもよい。
【0125】
カートリッジ2の識別情報に感度情報が含まれる場合、演算部39Cは、センサ23から電気信号を取得すると、特定した感度を用いて演算式のパラメータを補正する。その後、演算部39Cは、位相差信号と、補正したパラメータとを代入した演算式を用いて算出した検査結果をコード生成部40および出力制御部41に出力してよい。
【0126】
なお、信号制御部72または演算部39Cは、識別情報に含まれる製品識別情報に基づいて、測定条件を特定してもよい。具体的には、信号制御部72または演算部39Cは、例えば、製品識別情報に対応する測定条件を、通信ネットワークを介して取得してもよい。この場合、検査システム1Cは、実施形態2において説明した判定サーバ6と同様の構成を有する判定サーバ6C(図示せず)を備えていてもよい(図6参照)。情報取得部37Cは、製品識別情報を、通信部35Cを介して判定サーバ6Cに送信してよい。判定サーバ6Cは、例えば、製品識別情報と測定条件との対応関係を示すテーブルを参照することにより、製品識別情報に対応する測定条件を特定してよい。信号制御部72は、通信部35Cを介して判定サーバ6Cから特定された測定条件を取得することができる。
【0127】
実施形態4では、検査装置3Cは、検査装置3Cにカートリッジ2が接続されたときに、カートリッジ2の識別情報に基づいて検査装置3の測定条件を特定する態様について説明した。しかしながら、測定条件の特定は、例えば、識別情報に基づいてカートリッジの適否が判定された後になされてもよい。具体的には、例えば、図4に示すフローチャートにおける、検査条件を調節するステップ(S6)において行われてもよい。
【0128】
<検査システム1Cの効果>
実施形態4に係る検査システム1Cは、識別情報が付与されたカートリッジ2と、前記識別情報の取得、および検査を行う検査装置3Cと、を含み、前記識別情報に基づいて検査装置3Cにおける測定条件を特定する。
【0129】
前記構成では、カートリッジ2の特性に応じて測定条件を特定することができるため、より精度の高い測定を行うことができる。
【0130】
〔ソフトウェアによる実現例〕
検査システム1、1A、1Cの制御ブロック(特に情報取得部37~37C、検査制御部38~38A、演算部39、コード生成部40、制御部46、検査結果読取部57、および判定部63)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0131】
後者の場合、検査システム1、1A、1Cは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えてよい。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてよい。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示に係る発明の目的が達成されてよい。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等をさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0132】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0133】
例えば、上記の実施形態において、カートリッジ2がセンサ23を有しており、カートリッジ2によって検査対象を検出する態様を説明した。しかし、本開示に係る発明はこれに限定されるものでない。例えば、センサ23は、検査装置3が有してしてもよい。すなわち、検査対象の検出は検査装置3のみで行ってもよい。この場合、カートリッジ2は認証のために使われる。
【0134】
例えば、カートリッジ2は、検査装置3が検査を開始するための認証に用いられてよい。すなわち、例えば、カートリッジ2に付与された識別情報と検査装置3が有するカートリッジ2の識別情報とが合致した場合に、検査装置3は検査を開始してよい。また、例えば、これらの識別情報が合致しない場合、検査装置3の表示部34および/または携帯端末5の表示部55などにカートリッジ2が適していない旨を表示してよい。
【0135】
また、例えば、カートリッジ2は、検査装置3が検査を開始するための認証に加えて、検査装置3に検体Pおよび検査に用いる試薬などの各種液体を供給するために用いられてもよい。すなわち、例えば、カートリッジ2に付与された識別情報と検査装置3が有するカートリッジ2の識別情報とが合致した場合に、カートリッジ2から検査装置3に各種液体を供給し、検査装置3は検査を開始してよい。
【0136】
(本開示の異なる側面)
(項目1)
識別情報が付与されたカートリッジと、
前記識別情報の取得、および検査を行う検査装置と、を含み、
前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否に係る判定を行い、前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御する、検査システム。
【0137】
(項目2)
前記判定が前記検査の開始前に行なわれるよう前記検査装置の動作を制御する、項目1に記載の検査システム。
【0138】
(項目3)
前記カートリッジは、検体に含まれる検査対象を検出するセンサ、を備え、
前記判定が前記検体の前記センサへの供給前に行われるよう前記検査装置の動作を制御する、項目1または2に記載の検査システム。
【0139】
(項目4)
前記検査装置は、前記判定を行うプログラムをさらに含む、項目1から3のいずれかに記載の検査システム。
【0140】
(項目5)
前記検査装置と通信ネットワークを介して前記検査装置から前記識別情報を取得する管理装置、をさらに含み、
前記管理装置は、前記判定を行うプログラムをさらに含む、項目1から4のいずれかに記載の検査システム。
【0141】
(項目6)
前記検査装置は、前記検査の結果または前記判定の結果を表示する表示部、を備え、
前記検査の結果または前記判定の結果を前記表示部に表示する、項目1から5のいずれかに記載の検査システム。
【0142】
(項目7)
前記検査の結果または前記判定の結果を表示する表示部を備える表示装置、をさらに含み、
前記検査の結果または前記判定の結果を前記表示装置が備える前記表示部に表示する、項目1から6のいずれかに記載の検査システム。
【0143】
(項目8)
前記検査の結果または前記判定の結果を表示する表示部を備えた移動体端末をさらに含む、項目1から7のいずれかに記載の検査システム。
【0144】
(項目9)
前記検査装置は、前記判定の結果を前記移動体端末に送信する、項目8に記載の検査システム。
【0145】
(項目10)
前記検査装置から前記検査の結果を取得し、前記検査の結果を示すコードを媒体に印字する印刷装置、をさらに含み、
前記移動体端末は、印字された前記コードを読み取る撮像部、をさらに備え、
前記移動体端末は、前記撮像部で読み取った前記コードに基づいて、前記移動体端末が備える前記表示部に前記検査の結果を表示する、項目8または9に記載の検査システム。
【0146】
(項目11)
前記識別情報は、前記カートリッジの製品識別情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジが適正な製品であるか否かの判定である、項目1から10のいずれかに記載の検査システム。
【0147】
(項目12)
暗号化された情報を復号する秘密鍵をさらに含み、
前記識別情報は暗号化されており、
前記カートリッジが適正な製品であるか否かの判定において、前記識別情報が前記秘密鍵によって復号できるかどうかを判定する、項目1から10のいずれかに記載の検査システム。
【0148】
(項目13)
前記識別情報は、前記検査の種類に関する情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジが、前記検査装置の前記検査の種類に合致しているか否かの判定である、項目1から12のいずれかに記載の検査システム。
【0149】
(項目14)
前記識別情報は、前記カートリッジの有効期限に関する情報を含み、
前記判定は、前記カートリッジの有効期限が切れているか否かの判定である、項目1から13のいずれかに記載の検査システム。
【0150】
(項目15)
項目1から14のいずれかに記載の検査システムにおいて用いられるカートリッジであって、
前記カートリッジに対応する前記検査装置を特定する特定情報が付与されており、
前記カートリッジが、前記カートリッジの前記特定情報と対応する前記検査装置に用いられる場合に、前記検査が開始されるように前記特定情報が付与された、カートリッジ。
【0151】
(項目16)
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、
前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、
前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否の判定を行う工程と、
前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御する工程と、を含む、検査方法。
【0152】
(項目17)
前記判定を行う工程は、前記検査装置の動作を制御する工程において前記検査を開始する前に行われる、項目16に記載の検査方法。
【0153】
(項目18)
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置であって、
前記カートリッジと接続する接続部と、
前記識別情報を読取る読取部と、
前記識別情報に基づく前記カートリッジの適否に係る判定の結果に応じて動作を制御する制御部と、を備える検査装置。
【0154】
(項目19)
前記判定は、前記検査の開始前に行われる、項目18に記載の検査装置。
【0155】
(項目20)
情報を表示する表示部、をさらに備え、
前記検査の結果を前記表示部に表示する、項目18または19に記載の検査装置。
【0156】
(項目21)
識別情報が付与されたカートリッジと、
前記識別情報の取得、および検査を行う検査装置と、を含み、
前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する、検査システム。
【0157】
(項目22)
前記カートリッジは、測定デバイスを備えており、
前記識別情報を利用して前記測定デバイスからの出力値を解析する、項目21に記載の検査システム。
【0158】
(項目23)
前記カートリッジは、測定デバイスを備えており、
前記識別情報は、前記測定デバイスの感度を示す感度情報を含み、
前記感度情報を利用して前記測定デバイスからの出力値を補正する、項目21または22に記載の検査システム。
【0159】
(項目24)
前記識別情報に基づいて前記カートリッジの適否に係る判定を行い、前記判定の結果に応じて前記検査装置の動作を制御する、項目21から23のいずれか1項に記載の検査システム。
【0160】
(項目25)
前記識別情報は、製品識別情報を含み、
前記検査装置は、前記製品識別情報に対応する前記測定条件を、通信ネットワークを介して取得する、項目21から24のいずれかに記載の検査システム。
【0161】
(項目26)
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置を含む検査システムにおける検査方法であって、
前記カートリッジから前記識別情報を取得する工程と、
前記識別情報に基づいて前記検査装置における測定条件を特定する工程と、
前記測定条件に応じて前記検査装置の動作を制御する工程と、を含む、検査方法。
【0162】
(項目27)
識別情報が付与されたカートリッジを用いて検査を行う検査装置であって、
前記カートリッジと接続する接続部と、
前記識別情報を読取る読取部と、
前記識別情報に基づいて特定された測定条件に応じて動作を制御する制御部と、を備える検査装置。
【符号の説明】
【0163】
1 検査システム
2 カートリッジ
3 検査装置
4 印刷装置
5 携帯端末(移動体端末)
6 判定サーバ(管理装置)
23 センサ(測定デバイス)
31 制御部
32 接続部
34 表示部(表示装置)
54 撮像部
55 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10