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特許7692085ハードディスクドライブ用インターポーズスエージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-04
(45)【発行日】2025-06-12
(54)【発明の名称】ハードディスクドライブ用インターポーズスエージ
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20250605BHJP
   G11B 21/02 20060101ALI20250605BHJP
【FI】
G11B21/21 A
G11B21/02 630A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076315
(22)【出願日】2024-05-09
(65)【公開番号】P2025073056
(43)【公開日】2025-05-12
【審査請求日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】18/383,836
(32)【優先日】2023-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 寿久
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ハンロン
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0264941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0295864(US,A1)
【文献】米国特許第05717545(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B21/00-21/06
21/16-21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)であって、
スエージ加工穴を備えるアームと、
第1のサスペンションアセンブリと、
前記第1のサスペンションアセンブリが結合される第1のスエージプレートであって、前記第1のサスペンションアセンブリを前記アームの第1の側に結合し、第1のベースプレートから前記第1のベースプレート内の貫通孔の周りに延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造を備える、第1のスエージプレートと、
第2のサスペンションアセンブリと、
前記第2のサスペンションアセンブリが結合される第2のスエージプレートであって、前記第2のスエージプレートは、前記第2のサスペンションアセンブリを前記アームの第2の反対側に結合し、第2のベースプレートから前記第2のベースプレート内の貫通孔の周りに延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造を備える、第2のスエージプレートと、を備え、
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の各断続的なスエージボス構造は、前記第2の一連の断続的なスエージボス構造の隣接する断続的なスエージボス構造間に位置付けられた、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)。
【請求項2】
前記第1のスエージプレートは、前記アームの前記スエージ加工穴の中へ一方向に延在する前記第1の一連の断続的なスエージボス構造を介して、前記第1のサスペンションアセンブリを前記アームの前記第1の側に結合し、
前記第2のスエージプレートは、前記アームの前記スエージ加工穴の中へ反対方向に延在する前記第2の一連の断続的なスエージボス構造を介して、前記第2のサスペンションアセンブリを前記アームの第2の側に結合し、前記第2の一連の断続的なスエージボス構造が前記第1の一連の断続的なスエージボス構造と干渉しないようにする、請求項1に記載のHGA。
【請求項3】
前記アームの前記スエージ加工穴の中へ一方向に延在する、前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造の高さは、前記アームの前記スエージ加工穴の中へ反対方向に延在する、前記第2の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造の高さと実質的に等しい、請求項1に記載のHGA。
【請求項4】
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造は等距離である、請求項1に記載のHGA。
【請求項5】
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造は等距離ではない、請求項1に記載のHGA。
【請求項6】
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造の各々は、実質的に等しい円周方向スパンを有する、請求項1に記載のHGA。
【請求項7】
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造のうちの少なくとも2つは、等しくない円周方向スパンを有する、請求項1に記載のHGA。
【請求項8】
請求項1に記載のHGAを含む、ハードディスクドライブ。
【請求項9】
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドル上に回転可能に装着された複数の記録ディスク媒体と、
前記複数の記録ディスク媒体のうちの第1の記録ディスク媒体に対して書き込み及び読み取りを行うための手段と、
前記書き込み及び読み取りを行うための手段を動かして前記第1の記録ディスク媒体の部分にアクセスするように構成されたボイスコイルアクチュエータと、
前記ボイスコイルアクチュエータに結合されたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)とを備え、前記HGAは、
スエージ加工穴を有するキャリッジアームと、
ロードビーム及びフレクシャを含む第1のサスペンションアセンブリと、
前記第1のサスペンションアセンブリが結合される第1のスエージプレートであって、前記第1のスエージプレートは、前記第1のサスペンションアセンブリを前記キャリッジアームの第1の側に結合し、第1のベースプレートから前記第1のベースプレート内の貫通孔の周りに延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造を備える、第1のスエージプレートと、
ロードビーム及びフレクシャを含む第2のサスペンションアセンブリと、
前記第2のサスペンションアセンブリが結合される第2のスエージプレートであって、前記第2のスエージプレートは、前記第2のサスペンションアセンブリを前記キャリッジアームの第2の側に結合し、第2のベースプレートから前記第2のベースプレート内の貫通孔の周りに延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造を備える、第2のスエージプレートと、を備え、
前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の各断続的なスエージボス構造は、前記第2の一連の断続的なスエージボス構造の隣接する断続的なスエージボス構造間に位置付けられた、ハードディスクドライブ(HDD)。
【請求項10】
前記HGAの前記第1のスエージプレートは、前記キャリッジアームの前記スエージ加工穴の中へ一方向に延在する前記第1の一連の断続的なスエージボス構造を介して、前記第1のサスペンションアセンブリを前記キャリッジアームの前記第1の側に結合し、
前記HGAの前記第2のスエージプレートは、前記キャリッジアームの前記スエージ加工穴の中へ反対方向に延在する前記第2の一連の断続的なスエージボス構造を介して、前記第2のサスペンションアセンブリを前記キャリッジアームの前記第2の側に結合し、前記第2の一連の断続的なスエージボス構造が前記第1の一連の断続的なスエージボス構造と干渉しないようにする、請求項9に記載のHDD。
【請求項11】
前記キャリッジアームの前記スエージ加工穴の中へ一方向に延在する、前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造の高さは、前記キャリッジアームの前記スエージ加工穴の中へ反対方向に延在する前記第2の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造の高さと実質的に等しい、請求項9に記載のHDD。
【請求項12】
前記HGAの前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造は、等距離である、請求項9に記載のHDD。
【請求項13】
前記HGAの前記第1の一連の断続的なスエージボス構造の前記スエージボス構造は等距離ではない、請求項9に記載のHDD。
【請求項14】
ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)を組み立てる方法であって、
第1のスエージプレートの第1のインターポーズスエージボスを介してアクチュエータアームの第1の側に第1のサスペンションをスエージ加工することであって、前記第1のインターポーズスエージボスは、前記第1のスエージプレート内の貫通孔の周りに延在する延在スエージボス構造の第1の断続的なグループを備える、第1のサスペンションをスエージ加工することと、
第2のスエージプレートの第2のインターポーズスエージボスを介して前記アクチュエータアームの対向する第2の側に第2のサスペンションをスエージ加工することであって、前記第2のインターポーズスエージボスは、前記第2のスエージプレート内の貫通孔の周りに延在する延在スエージボス構造の第2の断続的なグループを備える、第2のサスペンションをスエージ加工することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のサスペンションをスエージ加工することは、前記第1の断続的なグループの各延在スエージボス構造が、前記第2の断続的なグループの隣接する延在スエージボス構造間に位置付けられるように、前記第1のインターポーズスエージボスを介してスエージ加工することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のサスペンションをスエージ加工することは、前記第2の断続的なグループの各延在スエージボス構造が、前記第1の断続的なグループの隣接する延在スエージボス構造間に位置付けられるように、前記第2のインターポーズスエージボスを介してスエージ加工することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のサスペンションをスエージ加工することは、前記第1の側から一方向に延在する延在スエージボス構造の前記第1の断続的なグループを前記アクチュエータアームのスエージ加工穴の中にスエージ加工することを含み、
前記第2のサスペンションをスエージ加工することは、前記第2の断続的なグループが前記第1の断続的なグループと干渉しないように、前記第2の側から反対方向に延在する延在スエージボス構造の前記第2の断続的なグループを前記アクチュエータアームの前記スエージ加工穴内にスエージ加工することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、ハードディスクドライブに関し、特にインターポーズスエージボスの手法に関し得る。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)は、保護エンクロージャ内に収容され、磁気表面を有する1つ以上の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する、不揮発性記憶デバイスである。HDDが動作中のとき、各磁気記録ディスクは、スピンドルシステムによって急速に回転される。データは、アクチュエータによってディスクの特定の場所の上に位置付けられた読み取り-書き込みヘッド(又は「トランスデューサ」)を使用して磁気記録ディスクから読み取られ、磁気記録ディスクに書き込まれる。読み取り-書き込みヘッドは、磁場を使用して、磁気記録ディスクの表面にデータを書き込み、この表面からデータを読み取る。書き込みヘッドは、書き込みヘッドのコイルを通って流れる電流を使用して磁場を生成することによって機能する。異なるパターンの正及び負の電流を伴って、書き込みヘッドに電気パルスが送られる。書き込みヘッドのコイル内の電流は、ヘッドと磁気ディスクとの間の間隙にわたる局所的な磁場を生成し、次いで、この磁場は、記録媒体上の小領域を磁化する。
【0003】
HDDは、読み書きトランスデューサ(又は「読み書きヘッド」)及びサスペンションを収容するスライダを一般に含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(HGA)を含む。各スライダはサスペンションの自由端に取り付けられ、次いでサスペンションはアクチュエータの剛性アームから片持ち支持される。いくつかのアクチュエータアームを組み合わせて、単一の可動ユニット、通常は回転ピボット軸受システムを有するヘッドスタックアセンブリ(HSA)を形成することができる。従来のHDDのサスペンションは、典型的には、そのベース端部にマウントプレートを有する比較的剛性のロードビームを含み、マウントプレートはアクチュエータアームに取り付けられ、その自由端部は、スライダ及びその読み取り書き込みヘッドを担持するフレクシャを搭載する。マウントプレートとロードビームの機能端との間には、垂直曲げ方向(ディスク表面に対して垂直)にコンプライアントな「ヒンジ」が位置付けられている。ヒンジは、ロードビームが、回転するディスク表面に向かってスライダ及び読み書きヘッドを吊り下げ、ロードすることを可能にする。次に、フレクシャの機能は、スライダがその向きを調整するために前後左右に揺れることができるように、スライダにジンバル支持を提供することである。
【0004】
本セクションに説明され得るいずれの手法も、追求され得る手法であるが、必ずしも以前に考案又は追求されている手法ではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに記載された手法のいずれも、それらが本セクションに含まれることによって単に先行技術として適格であると仮定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として示されており、同様の参照番号は類似の要素を指す。
図1】実施形態によるハードディスクドライブを示す平面図である。
図2A】スエージプレートを示す斜視図である。
図2B図2Aのスエージプレートを利用したスエージ加工されたサスペンションアームアセンブリを示す側断面図である。
図3】従来のスエージボスを示す分解斜視図である。
図4A】一実施形態による例示的なインターポーズスエージボスを示す分解斜視図である。
図4B】一実施形態による、別の例示的なインターポーズスエージボスを示す分解斜視図である。
図5】一実施形態による、ヘッドジンバルアセンブリを製造する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)においてインターポーズスエージボスを採用することによって、薄いキャリッジアーム先端を可能にする手法が説明される。以下の明細書では、説明を目的として、本明細書に記載された本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載された本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、本明細書に説明された本発明の実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形態で表され得る。
【0007】
導入
用語
本明細書における「実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、記載されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが意図される。しかしながら、そのような語句の実例は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0008】
「実質的に」という用語は、大部分又はほぼ構造化された、構成された、寸法決めされたなどの特徴を記載していることが理解されるであろうが、その製造公差などは、実際には、構造、構成、寸法などが、常には又は必ずしも正確に述べられない状況を結果として生じ得る。例えば、「実質的に垂直な」として構造を記載するとすれば、側壁は全ての実用上の目的で垂直であるが、正確に90度ではない場合があるように、その用語にはその明白な意味が割り当てられる。
【0009】
「最適な」、「最適化する」、「最小の」、「最小化する」、「最大の」、「最大化する」などの用語は、それと関連付けられた特定の値を有しない場合があるが、そのような用語が本明細書で使用される場合、当業者であれば、そのような用語が、本開示の全体と一致する有益な方向に、値、パラメータ、メトリックなどに影響を及ぼすことを含むと理解することが意図される。例えば、何かの値を「最小」として記載することは、値が実際に理論上の最小値(例えば、ゼロ)に等しいことを必要としないが、対応する目標が理論上の最小値に向かって有益な方向に値を移動させることになるという点で、実際的な意味で理解されるべきである。
【0010】
コンテキスト
ハードディスクドライブ(HDD)の記憶容量を増加させることは、HDD技術進化の現在進行中の目標の1つである。一形態では、この目標は、所与のHDD内に実装されるディスクの数を増加させることに現れる。しかしながら、多くの場合、顧客の要求は、HDDのz高さによって部分的に特徴付けられるような標準フォームファクタを維持することを要求する。これは、隣接するディスク間に介在するヘッドジンバルアセンブリ(HGA)に対してz高さ方向に高密度の機械的構造を必要とすることなどによって、より多くのディスクを所与のHDDに適合させることに関して本質的に難題をもたらす。より詳細には、顧客仕様及び/又は共通設計並びに動作制約は、動作衝撃(又は「op-shock」)要件を含み、これは一般に、機械的衝撃事象に対するHDDの動作抵抗又は動作公差に関連する。HDDのサスペンションは、典型的には、そのベース端にマウントプレートを有する比較的剛性のロードビームを含み、マウントプレートはアクチュエータアームに取り付けられ、その自由端は、スライダ及びその読み書きヘッドを担持するフレクシャを搭載することを想起されたい。したがって、標準的なフォームファクタを維持しながらディスクの数を増加させ、それによってディスクスタックの各ディスク間の距離を減少させ、同時に動作衝撃要件を確実に満たすことが依然として課題である。特に、ディスクスタック内のディスクとともに介在する各サスペンションの動作位置決めに対するような、HGAに関連する制限された機械的クリアランスは、そのような要件を満たすための課題を提起する。別の言い方をすれば、ディスク間の間隔が小さくなると、論理的には、典型的に構成されたHGAのコンテキストにおいて、動作衝撃性能が低下し得る。
【0011】
図2Aは、スエージプレートを示す斜視図であり、図2Bは、図2Aのスエージプレートを利用するスエージ加工されたサスペンションアームアセンブリを示す側断面図である。スエージプレート200は、HDDサスペンションを対応するアクチュエータアームに結合するために使用される典型的なスエージプレートとみなし得るもの、を示す。スエージプレート200は、スエージボス206によって周囲が囲まれた、貫通するスエージ貫通孔204を含む本体202を含む。典型的には、スエージプレート200は、対応するアクチュエータアーム(図1のアーム132又は「キャリッジアーム132」など)へのサスペンションのスエージ加工(又はスエージ結合)の前に、溶接された、又は他の方法で機械的に結合された(並びに電気的に結合された)サスペンション(図1のリードサスペンション110cなど)を有する。スエージ加工は、周知の鍛造プロセスであり、典型的には、スエージボール210を貫通孔204に押し込んでスエージボス206の寸法を変形又は変更し(例えば、回転スエージ加工)、金属を冷間加工してスエージプレート200/サスペンション110cサブコンポーネント及びアクチュエータアーム132サブコンポーネントの結合又は相互結合を形成することによって行われる。すなわち、スエージボス206は、アクチュエータアーム132のアパーチャ132a(又は「スエージ加工穴132a」)に挿入され、スエージボス206の内径よりも大きい直径を有するスエージボール210は、スエージボス206のスエージ貫通孔204に挿入されて、スエージボス206の内面に圧縮力を加えることによってスエージボス206をアパーチャ132aにスエージ結合し、スエージボス206が膨張してアクチュエータアーム132をサスペンション110cに保持するようにする。
【0012】
図2Bから分かるように、「アップ」サスペンション(例えば、対応する上方ディスクの下面と相互作用する「アップ」(UP)ヘッドを収容する上部サスペンション110c)及び「ダウン」サスペンション(例えば、対応する下方ディスクの上面と相互作用する「ダウン」(DN)ヘッドを収容する下部サスペンション110c)の外面からの距離(D)は、各サスペンション110cと対応する読み書きトランスデューサが動作する対応するディスク表面との間に与えられる寸法クリアランス(C)の量に関する駆動寸法である。したがって、このクリアランスCは、衝撃事象の結果として、HGA(又は構成サブコンポーネント)のいずれかがその対応するディスク表面と機械的に相互作用する(例えば、「衝突する」)可能性に影響を及ぼすことになり、これは同様にHDDの全体的な動作衝撃性能に影響を及ぼす可能性がある。上記及びディスクスタック内の記録ディスクの数を増加させるという目標を考慮すると、対応するディスク表面との間に必要なクリアランスCを維持しながら、所与のアクチュエータアームにスエージ加工された一対のサスペンション間の距離Dを減少させる手法が望ましい場合がある。
【0013】
前述の空間問題の手法は、例えば、スエージボス蓄積によって許容される制約内でアーム先端厚さを低減すること、スタンピングされたスエージプレート部品の全厚さを低減すること(しかし、これは、焼鈍後のより低い降伏強度に起因して容易な屈曲をもたらす可能性がある)、及び媒体の厚さを低減して、媒体とアーム搭載表面との間のより大きいクリアランスを可能にすることを含み得る。
【0014】
より薄いキャリッジアーム先端を可能にするインターポーズスエージボス
示唆されるように、現在、HGAアセンブリに対する一般的な手法は、スエージ加工を含み、それによって、両方のUP/DNヘッドが、端部アーム及び対応するヘッドを除いて、キャリッジアーム(又は「アクチュエータアーム」又は単に「アーム」)の同じ穴でスエージ加工される。しかしながら、より多くのディスクを組み込むことによってHDDの記憶容量を増加させようとする動きに伴って、アーム先端部の厚さはより薄くなる傾向にあり、したがってスエージボスの高さはより低くなる傾向にある。これは、スエージ継手のより低い保持トルクをもたらす可能性が高く、また、製造に困難をもたらす。
【0015】
図3は、従来のスエージボスを示す分解斜視図である。各スエージプレート300は、ベースプレート302と、貫通孔305の周りにベースプレート302から延在するスエージボス304とを備える。組み立てられると、下部スエージプレート300(DNヘッド用)のスエージボス304は、アーム132(例えば、図1図2Bのアーム132を参照)の対応するスエージ加工穴(例えば、図2Bのスエージ加工穴132aを参照)内に上向きに延在し、一方、上部スエージプレート300(UPヘッド用)のスエージボス304は、アーム132の対応するスエージ加工穴132a内に下向きに延在する。より薄いアーム132先端、すなわち、対応するサスペンション(例えば、図1、2Bのリードサスペンション110cを参照)がスエージプレート300を介してアーム132にスエージ加工されるスエージ加工穴132aを含む部分に向かう傾向のために、より短いスエージボス304に向かう傾向が生じる。すなわち、各スエージボス304がスエージ加工穴132aの高さの一部を占有するので、各スエージボス304の高さhは、アーム132先端の厚さ、したがってアーム132のスエージ加工穴132aの同等の高さ(例えば、約2倍の高さ2h)によって、制限される。
【0016】
図4Aは、一実施形態による、例示的なインターポーズスエージボスを示す分解斜視図である。この実施形態の第1のスエージプレート410a(UPヘッド用)は、ベースプレート412と、例えば、ベースプレート412から貫通孔415の周りに延在し、スロットによって分離された第1の一連の断続的なスエージボス構造414a、414b、414cとを備える。同様に、この実施形態の第2のスエージプレート410b(DNヘッド用)は、ベースプレート412と、例えば、ベースプレート412から貫通孔415の周りに延在し、スロットによって分離される、第2の一連の断続的なスエージボス構造414d、414e、414fとを備える。各スエージプレート412a、412bの各それぞれの第1及び第2の一連の断続的なスエージボス構造に対応するスエージボス構造(例えば、412a~412c及び412d~412f)の数は、実装ごとに異なり得て、ここでは、例示の目的で、それぞれ3つ(410aに対して412a~412c、及び410bに対して412d~412f)が示されていることに留意されたい。
【0017】
組み立てられると、上部スエージプレート410aの第1の一連の断続的なスエージボス構造414a、414b、414cの各々は、キャリッジアーム132(例えば、図1図2Bのアーム132を参照)の第1の側からキャリッジアーム132の対応するスエージ加工穴(例えば、図2Bのスエージ加工穴132aを参照)内に下向きに延在し、下部スエージプレート410b(DNヘッド用)の第2の一連の断続的なスエージボス構造414d、414e、414fの各々は、キャリッジアーム132の第2の側から対応するスエージ加工穴132a内に上向きに延在する。一実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造414a、414b、414cの各断続的なスエージボス構造は、第2の一連の断続的なスエージボス構造414d、414e、414fの隣接する断続的なスエージボス構造間に、すなわち、他の一連の対応するスロット内に位置付けられている。スエージプレート410a及びスエージプレート410bのそれぞれのスエージボス構造は、それぞれのスエージボス構造がクロックされ、インターロックするようにキー止めされ、互いに介在するので、「インターロックされる」と考えられる。したがって、第1のスエージプレート410aは、第1のサスペンションアセンブリ(例えば、図1のリードサスペンション110c参照)を、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に一方向に延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造414a、414b、414cを介してキャリッジアーム132の第1の側に結合し、第2のスエージプレート410bは、第2のサスペンションアセンブリ(例えば、図1のリードサスペンション110c参照)を、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に反対方向に延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造414d、414e、414fを介してキャリッジアーム132の第2の反対の側に結合し、それぞれの第1及び第2の一連の断続的なスエージボス構造414a~414c、414d~414fが互いに干渉しないようにする。
【0018】
ここで、介在する断続的なスエージボス構造414a~414c、414d~414fの第1の一連及び第2の一連の両方が、同じスエージ加工穴132aの高さを効果的に占有するので、各スエージボス414a~414fの高さHは、図3の高さhから効果的に約2倍、例えば、H=約2hであり得る。したがって、図3のスエージプレート300の構成と比較して、より薄いアーム先端及びより短い対応するスエージ加工穴を考慮しても、スエージ結合のより高い保持トルクが可能になる。図3のスエージプレート300のスエージボス304の高さh及び図4Aの各スエージボス414a~414fの高さHは、正確な縮尺で描かれることを意図するものではなく、高さ/サイズの倍増という一般的な意味を描くように描かれていることに留意されたい。一実施形態によれば、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に一方向に延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造414a~414cのスエージボス構造の高さは、アーム132のスエージ加工穴132a内に反対方向に延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造414d~414fのスエージボス構造の高さに実質的に等しい。
【0019】
他の変形例が考慮される。一実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造414a~414cのスエージボス構造及び第2の一連の断続的なスエージボス構造414d~414fのスエージボス構造は等距離であり、代替実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造414a~414c、414d~414fのスエージボス構造は等距離ではない。更に、一実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造414a~414cのスエージボス構造の各々及び/又は第2の一連の断続的なスエージボス構造414d~414fのスエージボス構造の各々は、実質的に等しい円周方向スパンを有し、代替実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造414a~414cのスエージボス構造の各々及び/又は第2の一連の断続的なスエージボス構造414d~414fのスエージボス構造の各々は、実質的に等しくない円周方向スパンを有する。したがって、スエージプレート410a、410bは、例えば、機械的構成及び制約、負荷、設計目標等に基づいて、特定の設計シナリオのために最適化され得る。
【0020】
上述したように、各スエージプレート412a、412bの各それぞれの第1及び第2の一連の断続的なスエージボス構造に対応するスエージボス構造(例えば、412a~412c及び412d~412f)の数は、例えば、機械的構成及び制約、負荷、設計目標などに基づいて、実装ごとに異なり得る。図4Bは、一実施形態による別の例示的なインターポーズスエージボスを示す分解斜視図である。この実施形態の第1のスエージプレート420a(UPヘッド用)は、ベースプレート422と、スロットによって分離された第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-nとを備え、ここでnは、ベースプレート422から貫通孔425の周りに延在する、実装ごとに異なり得る任意の数の断続的なスエージボス構造(ここでは8つ)を表す。同様に、この実施形態の第2のスエージプレート420b(DNヘッド用)は、ベースプレート422と、貫通孔425の周りにベースプレート422から延在するスロットによって分離された第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nとを備える。
【0021】
組み立てられると、上部スエージプレート420aの第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-nの各々は、キャリッジアーム132(例えば、図1図2Bのアーム132を参照)の第1の側からキャリッジアーム132の対応するスエージ加工穴(例えば、図2Bのスエージ加工穴132aを参照)内に下向きに延在する一方、下部スエージ板420b(DNヘッド用)の第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nの各々は、キャリッジアーム132の第2の側から対応するスエージ加工穴132a内に上向きに延在する。一実施形態によれば、ここでも、第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-nの各断続的なスエージボス構造は、第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nの隣接する断続的なスエージボス構造間に、すなわち、他の一連の対応するスロット内に位置付けられている。スエージプレート420a及びスエージプレート420bのそれぞれのスエージボス構造は、介在又は「連結」されていると考えられる。したがって、第1のスエージプレート420aは、第1のサスペンションアセンブリ(例えば、図1のリードサスペンション110cを参照)を、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に一方向に延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-nを介してキャリッジアーム132の第1の側に結合し、第2のスエージプレート420bは、第2のサスペンションアセンブリ(例えば、図1のリードサスペンション110cを参照)を、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に反対方向に延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nを介してキャリッジアーム132の第2の反対の側に結合し、それぞれの第1及び第2の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-n及び424b-1~424b-nが互いに干渉しないようにする。
【0022】
ここでも、介在する断続的なスエージボス構造424a-1~424a-n、424b-1~424b-nの第1の一連及び第2の一連の両方が、同じスエージ加工穴132aの高さを効果的に占有するので、各スエージボス424a-1~424b-nの高さHは、図3の高さhから効果的に約2倍にすることができ、例えば、H=約2hである。したがって、図3のスエージプレート300の構成と比較して、より薄いアーム先端及びより短い対応するスエージ加工穴を考慮しても、スエージ結合のより高い保持トルクが可能になる。図3のスエージプレート300のスエージボス304の高さh及び図4Bの各スエージボス424a-1~424b-nの高さHは、正確な縮尺で描かれることを意図しておらず、高さ/サイズが2倍になるという一般的な意味を描くように描かれていることに留意されたい。一実施形態によれば、キャリッジアーム132のスエージ加工穴132a内に一方向に延在する第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424a-nのスエージボス構造の高さは、アーム132のスエージ加工穴132a内に反対方向に延在する第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nのスエージボス構造の高さに実質的に等しい。
【0023】
図4Aの例示的な実施形態と同様に、ここでも図4Bを参照すると、一実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424b-nのスエージボス構造及び第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nのスエージボス構造は等距離であり、代替的な実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424b-n、424b-1~424b-nのスエージボス構造は等距離ではない。更に、一実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424b-nのスエージボス構造の各々及び/又は第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nのスエージボス構造の各々は、実質的に等しい円周方向スパンを有し、代替実施形態によれば、第1の一連の断続的なスエージボス構造424a-1~424b-nのスエージボス構造の各々及び/又は第2の一連の断続的なスエージボス構造424b-1~424b-nのスエージボス構造の各々は、実質的に等しくない円周方向スパンを有する。したがって、スエージプレート420a、420bはまた、例えば、機械的構成及び制約、負荷、設計目標等に基づいて、特定の設計シナリオのために最適化され得る。
【0024】
ヘッドジンバルアセンブリの組立方法
図5は、一実施形態による、ヘッドジンバルアセンブリを製造する方法を示すフロー図である。図5の方法に従って組み立てられ、製造され、生産されるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)は、ハードディスクドライブ(HDD)(例えば、図1参照)への実装のために設計され、構成され、意図される。
【0025】
ブロック502において、第1のスエージプレートの第1のインターポーズスエージボスを介してアクチュエータアームの第1の側に第1のサスペンションをスエージし、第1のインターポーズスエージボスは、第1のスエージプレート内の貫通孔の周りに延在する延在スエージボス構造の第1の断続的なグループを備える。例えば、第1のサスペンション(例えば、図1のリードサスペンション110cを参照)は、第1のスエージプレート410a(図4A)、420a(図4B)の第1のインターポーズスエージボスを介してアクチュエータアーム(例えば、図1のアーム132を参照)の第1の側にスエージ加工され、第1のインターポーズスエージボスは、第1のスエージプレート410a、420aの貫通孔415(図4A)、425(図4B)の周りに延在する延在スエージボス構造414a、414b、414c(図4A)、424a-1~424a-n(図4B)の第1の断続的なグループを含む。一実施形態によれば、第1のサスペンション110aは、第1の断続的なグループ424a~414c、424a-1~414a-nの各延在スエージボス構造414a、414b、414c、424a-1~424a-nが、第2の断続的なグループ414d~414f(図4A)、424b-1~424b-n(図4B)の隣接する延在スエージボス構造間に位置付けられるように、アクチュエータアーム132の第1の側にスエージ加工される。
【0026】
ブロック504において、第2のスエージプレートの第2のインターポーズスエージボスを介してアクチュエータアームの対向する第2の側に第2のサスペンションをスエージ加工し、第2のインターポーズスエージボスは、第2のスエージプレート内の貫通孔の周りに延在する延在スエージボス構造の第2の断続的なグループを備える。例えば、第2のサスペンション(例えば、図1のリードサスペンション110cを参照)は、第2のスエージプレート410b(図4A)、420b(図4B)の第2のインターポーズスエージボスを介してアクチュエータアーム132の対向する第2の側にスエージ加工され、第2のインターポーズスエージボスは、第2のスエージプレート410b、420bの貫通孔415(図4A)、425(図4B)の周りに延在する延在スエージボス構造414d、414e、414f(図4A)、424b-1~424b-n(図4B)の第2の断続的なグループを含む。同様に、一実施形態によれば、第2のサスペンション110aは、第2の断続的なグループ414d~414f、424b-1~424b-nの各延在スエージボス構造414d、414e、414f、424b-1~424b-nが、第1の断続的なグループ414a~414c、424a-1~424a-nの隣接する延在スエージボス構造間に位置付けられるように、アクチュエータアーム132の第2の側にスエージ加工される。
【0027】
ブロック502~504を実行した結果、第1のサスペンションをスエージ加工すること(ブロック502)は、アクチュエータアーム132の第1の側(例えば、上側)から一方向(例えば、下向き)に延在する延在スエージボス構造414a~414c、424a-1~424a-nの第1の断続的なグループをアクチュエータアーム132のスエージ加工穴132a(例えば、図2B参照)にスエージ加工することを含み、第2のサスペンションをスエージ加工すること(ブロック504)は、第2の側(例えば、下側)から反対方向(例えば、上向き)に延在する延在スエージボス構造414d~414f、424b-1~424b-nの第2の断続的なグループをアクチュエータアーム132のスエージ加工穴132aにスエージ加工することを含み、第2の断続的なグループ414d~414f、424b-1~424b-nが第1の断続的なグループ414a~414c、424a-1~424a-nと実質的に(例えば、機械的に、構造的に)干渉しないようにする。これは、スエージ加工後に、第1の断続的なスエージボス構造414a-、414b、414c、424a-1~424a-n及び第2の断続的なスエージボス構造414d、414e、414f、424b-1~424b-nのいずれかの間に全く接触がなく、それによって、そのような構造が冷間加工され、構成要素の相互結合を形成するということではない。むしろ、スエージ加工後にいくらかの接触があってもよいが、そのような接触は、実行可能なスエージ結合又は継手を生成するという意図された目的を妨げるとは予想されない。したがって、図3のスエージプレート300の構成と比較して、より薄いアーム先端及びより短い対応するスエージ加工穴を考慮しても、スエージ結合のより高い保持トルクが予想される。
【0028】
例解的な動作コンテキストの物理的説明
実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)などのデジタルデータ記憶デバイス(digital data storage device、DSD)のコンテキストで使用され得る。したがって、実施形態によれば、従来のHDD100を示す平面図は、従来のHDDが典型的にどのように動作するかを記載するのを助長するために図1に示されている。
【0029】
図1は、磁気読み取り-書き込みヘッド110aを含むスライダ110bを含むHDD100の構成要素の機能的配置を示す。まとめて、スライダ110b及びヘッド110aはヘッドスライダと称され得る。HDD100は、ヘッドスライダを含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)110と、典型的にはフレクシャを介してヘッドスライダに装着されたリードサスペンション110cと、リードサスペンション110cに装着されたロードビーム110dとを含む。HDD100はまた、スピンドル124上に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの記録媒体120と、媒体120を回転させるためにスピンドル124に取り付けられた駆動モータ(不可視)と、を含む。トランスデューサとも称され得る読み取り-書き込みヘッド110aは、HDD100の媒体120に記憶された情報をそれぞれ書き込み及び読み取るための書き込み要素及び読み取り要素を含む。媒体120又は複数のディスク媒体は、ディスククランプ128でスピンドル124に固定されてもよい。
【0030】
HDD100は、HGA110に装着されたアーム132と、キャリッジ134と、キャリッジ134に装着されたボイスコイル140を含む電機子136及びボイスコイル磁石(図示せず)を含むステータ144を含むボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)とを更に含む。VCMの電機子136は、キャリッジ134に取り付けられており、アーム132及びHGA110を移動させ、媒体120の部分にアクセスするように構成されており、全てまとめて、介在するピボット軸受アセンブリ152で枢動シャフト148上に装着されている。複数のディスクを有するHDDの場合、キャリッジ134は、キャリッジに櫛の外観を与える連動したアームアレイを搬送するようにキャリッジが配置されているため、「Eブロック」又は櫛と称され得る。
【0031】
ヘッドスライダが結合されたフレクシャと、フレクシャが結合されたアクチュエータアーム(例えば、アーム132)及び/又はロードビームと、アクチュエータアームが結合されたアクチュエータ(例えば、VCM)と、を含む、ヘッドジンバルアセンブリ(例えば、HGA110)を備えるアセンブリは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)と総称され得る。ただし、HSAは、記載されたものよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。例えば、HSAは、電気相互接続部品を更に含むアセンブリを指し得る。一般に、HSAは、読み取り動作及び書き込み動作のために、ヘッドスライダを媒体120の部分にアクセスするように移動させるように構成されたアセンブリである。
【0032】
図1を更に参照すると、ヘッド110aへの書き込み信号及びヘッド110aからの読み取り信号を含む電気信号(例えば、VCMのボイスコイル140への電流)は、可撓性ケーブルアセンブリ(flexible cable assembly、FCA)156(又は「フレックスケーブル」、又は「フレキシブルプリント回路」(flexible printed circuit、FPC))によって送信される。フレックスケーブル156とヘッド110aとの間の相互接続は、読み取り信号用のオンボード前置増幅器、並びに他の読み取りチャネル及び書き込みチャネル電子部品を有し得る、アーム電子機器(arm-electronics、AE)モジュール160を含んでもよい。AEモジュール160は、図示のようにキャリッジ134に取り付けられてもよい。フレックスケーブル156は、いくつかの構成では、HDD筐体168によって提供された電気フィードスルーを通して電気通信を提供する電気コネクタブロック164に結合されてもよい。HDDハウジング168(若しくは「エンクロージャベース」、又は「ベースプレート」若しくは単に「ベース」)は、HDDカバーとともに、HDD100の情報記憶構成要素のための半封止された(又は、いくつかの構成では気密封止された)保護エンクロージャを提供する。
【0033】
デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor、DSP)を含むディスクコントローラ及びサーボ電子機器を含む他の電子部品は、駆動モータ、VCMのボイスコイル140及びHGA110のヘッド110aに、電気信号を提供する。駆動モータに提供される電気信号は、駆動モータがスピンドル124にトルクを提供しながら回転することを可能にし、次いでトルクはスピンドル124に添設された媒体120に伝達される。その結果、媒体120は、方向172に回転する。回転媒体120は、スライダ110bが、情報が記録された薄い磁気記録層と接触することなく媒体120の表面の上方に浮上するように、スライダ110bの空気軸受表面(ABS)が乗る空気軸受として作用する空気のクッションを形成する。同様に、非限定的な例としてのヘリウムなどの空気より軽いガスが利用されるHDDにおいて、回転する媒体120は、スライダ110bがその上に乗るガス又は流体軸受として作用する、ガスのクッションを生成する。
【0034】
VCMのボイスコイル140に提供される電気信号は、HGA110のヘッド110aが、情報が記録されるトラック176にアクセスすることを可能にする。こうして、弧180を通るVCMスイングの電機子136は、HGA110のヘッド110aが媒体120上の様々なトラックにアクセスすることを可能にする。情報は、セクタ184などの媒体120上のセクタに配置された複数の半径方向に入れ子になったトラック内の媒体120上に記憶される。それに対応して、各トラックは、セクタ化されたトラック部分188などの複数のセクタ化されたトラック部分(又は「トラックセクタ」)から構成されている。各セクタ化されたトラック部分188は、記録された情報と、エラー訂正符号情報、及びトラック176を識別する情報であるABCDサーボバースト信号パターンなどのサーボバースト信号パターンを含むヘッダと、を含んでもよい。トラック176にアクセスする際、HGA110のヘッド110aの読み取り要素はサーボバースト信号パターンを読み取り、サーボバースト信号パターンは、サーボ電子機器に位置誤差信号(position-error-signal、PES)を提供し、サーボ電子機器は、VCMのボイスコイル140に提供される電気信号を制御することによって、ヘッド110aがトラック176に追従することを可能にする。トラック176を見つけ、特定のセクタ化されたトラック部分188を識別すると、ヘッド110aは、トラック176から情報を読み取るか、又は、外部エージェント、例えば、コンピュータシステムのマイクロプロセッサからディスクコントローラによって受信された命令に応じて、トラック176に情報を書き込む。
【0035】
HDDの電子アーキテクチャは、ハードディスクコントローラ(hard disk controller、「HDC」)、インターフェースコントローラ、アーム電子モジュール、データチャネル、モータドライバ、サーボプロセッサ、バッファメモリなどの、HDDの動作のための自体のそれぞれの機能を実行するための、多数の電子部品を含む。そのような部品のうちの2つ以上は、「チップ上のシステム」(system on a chip、「SOC」)と称される単一の集積回路基板上で組み合わされてもよい。そのような電子部品の、全てではないがいくつかは、典型的には、HDD筐体168などのHDDの底部側に結合されたプリント基板上に配置される。
【0036】
図1を参照して示され及び記載されたHDD100などの、本明細書におけるハードディスクドライブへの言及は、「ハイブリッドドライブ」と称されることがある情報記憶デバイスを包含してもよい。ハイブリッドドライブとは、一般に、電気的に消去可能でプログラム可能であるフラッシュ又は他のソリッドステート(例えば、集積回路)メモリなどの不揮発性メモリを使用するソリッドステートデバイス(solid-state storage device、SSD)と組み合わされた従来のHDD(例えば、HDD100を参照)の、両方の機能を有する記憶デバイスを指す。異なるタイプの記憶媒体の動作、管理、及び制御は、通常異なるため、ハイブリッドドライブのソリッドステート部分は、それ自体の対応するコントローラ機能を含んでもよく、コントローラ機能は、HDD機能とともに単一のコントローラに統合され得る。ハイブリッドドライブは、非限定的な例として、頻繁にアクセスされるデータを記憶する、I/O集約データなどを記憶するなどのために、ソリッドステートメモリをキャッシュメモリとして使用するなどによって、ソリッドステート部分をいくつかの方式で動作させて利用するように設計及び構成されてもよい。更に、ハイブリッドドライブは、ホスト接続のための1つ又は複数のインターフェースのいずれかで、単一のエンクロージャの2つの記憶デバイス、すなわち従来のHDD及びSSDとして本質的に設計及び構成されてもよい。
【0037】
拡張物及び代替物
前述の説明において、本発明の実施形態は、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細を参照して記載されてきた。したがって、実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。こうして、本発明であり、本出願人らが本発明であることを意図するものの唯一及び排他的な指示物は、本出願に由来する特許請求の範囲のセットであり、そのような特許請求の範囲が由来し、任意の後続の補正を含む、特定の形態をなす。そのような特許請求の範囲に包含される用語について本明細書に明示的に記載される定義は、特許請求の範囲で使用されるような用語の意味を支配するものとする。それゆえ、特許請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点又は属性は、決してそのような特許請求項の範囲を限定すべきでない。これにより、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく例示的とみなされるものである。
【0038】
加えて、本明細書では、特定のプロセス工程が特定の順序で記載されてもよく、アルファベット及び英数字符号を使用して、特定の工程を識別することができる。本明細書において特記されない限り、実施形態は、そのような工程を実施する任意の特定の順序に必ずしも限定されない。特に、符号は単に工程の簡便な識別に使用され、そのような工程を実施する特定の順序を指定又は必要とすることは意図されていない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5