(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-05
(45)【発行日】2025-06-13
(54)【発明の名称】燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20250606BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20250606BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20250606BHJP
【FI】
F23N5/24 101E
B64D45/00 Z
F23N5/26 101B
(21)【出願番号】P 2020187245
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高正
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/157095(WO,A1)
【文献】特開2009-008416(JP,A)
【文献】特開2008-174193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00-5/26
B64D 45/00-45/08
G01F 23/00-23/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給ラインを介して直列に接続する複数の燃料容器に残存する燃料残量の計測値の合計値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、合計値の概算値を周期的に算出して記憶する燃料残量演算部と、
前記複数の燃料容器の各々の前記燃料残量の計測値を出力する各々の燃料残量計が故障しているか否かを判定する故障判定部と、
表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記燃料残量計の全てが故障していない場合は、前記燃料残量の計測値を表示させる通常表示を行い、
前記燃料残量計が故障している場合であっても、前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空である場合は、前記通常表示を行い、
前記燃料残量計が故障している場合であって、前記故障している燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空でない場合は、前記合計値の概算値を表示させるバックアップ表示を行うように制御する、
燃料演算装置。
【請求項2】
前記燃料残量演算部は、
前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空か否かを判定する判定式を、前記燃料容器の、
直列に接続される全ての前記燃料容器
の上流又は下流位置
関係に基づいて設定し、
前記表示制御部は、
前記燃料残量計が故障している場合であっても、前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が前記判定式により空であると判定された場合は、前記通常表示を行い、
前記故障している燃料残量計が設けられた前記燃料容器が前記判定式により空でない判定された場合は、前記バックアップ表示を行う、
請求項1に記載の燃料演算装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記燃料残量計が故障している場合であっても、前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空の場合は、故障していない前記燃料残量計の計測値の合計値を用いて前記通常表示を行い、
前記燃料残量計が故障している場
合、前記合計値の概算値と、前記故障していない前記燃料残量計の計測値の合計値と、の差によって前記故障している燃料残量計が設けられた前記燃料容器の燃料残量の概算値を算出し、前記故障している燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空でない場合は
、バックアップ表示を行うように制御する、
請求項1又は2に記載の燃料演算装置。
【請求項4】
前記燃料残量演算部は、前記燃料残量の計測値の合計値から前記燃料流量の積分値を減算することによって、前記合計値の概算値を算出する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料演算装置。
【請求項5】
前記燃料残量演算部は、前記燃料残量計が故障している場合、記憶された前記合計値の概算値と、前記燃料流量とに基づいて、新たな合計値の概算値を再算出して記憶する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料演算装置。
【請求項6】
燃料供給ラインを介して直列に接続する複数の燃料容器に残存する燃料残量の計測値を、各燃料容器に設けられた燃料残量計より取得し、前記計測値の合計値を算出するステップと、
前記合計値と前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、前記合計値の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、
前記燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、
前記燃料残量計の全てが故障していない場合、又は前記燃料残量計が故障している場合であっても前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空である場合には、前記合計値を表示させる通常表示を行い、前記燃料残量計が故障している場合であって前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空でない場合には、前記合計値の概算値を表示させるバックアップ表示を行うステップと、
を含む、燃料演算方法。
【請求項7】
燃料演算装置として動作するコンピュータに、
燃料供給ラインを介して直列に接続する複数の燃料容器に残存する燃料残量の計測値を、各燃料容器に設けられた燃料残量計より取得し、前記計測値の合計値を算出するステップと、
前記合計値と前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、前記合計値の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、
前記燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、
前記燃料残量計の全てが故障していない場合、又は前記燃料残量計が故障している場合であっても前記故障している前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空である場合には、前記合計値を表示させる通常表示を行い、前記燃料残量計が故障している場合であって前記燃料残量計が設けられた前記燃料容器が空でない場合には、前記合計値の概算値を表示させるバックアップ表示を行うステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、航空機は、複数に分かれた燃料タンクと、各々の燃料タンク内の燃料残量を計測する燃料残量計と、燃料残量計による計測値に基づいて飛行中の燃料タンク内の燃料残量を監視及び制御するコンピュータと、を有する。特許文献1には、燃料使用形態に対して現在の目的地で残っているだろう燃料残量を予測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料残量計に故障が生じた場合、計器表示されなくなる又は表示精度が低下する等、操縦者等が燃料タンク内の燃料残量を正確に把握できなくなり、航空機の安全性が低下してしまう可能性があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、燃料残量計が故障した際であっても精度よく燃料残量を把握することができる燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の燃料演算装置は、燃料容器に残存する燃料残量の計測値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶する燃料残量演算部と、前記燃料残量の計測値を出力する燃料残量計が故障しているか否かを判定する故障判定部と、前記燃料残量計が故障していない場合には前記燃料残量の計測値を表示させ、前記燃料残量計が故障している場合には前記燃料残量の概算値を表示させるように制御する表示制御部と、を備える。
【0007】
また、本開示の燃料演算方法は、燃料容器に残存する燃料残量の計測値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、前記燃料残量の計測値を出力する燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、前記燃料残量計が故障していない場合には前記燃料残量の計測値を表示させ、前記燃料残量計が故障している場合には前記燃料残量の概算値を表示させるステップと、を含む。
【0008】
また、本開示のプログラムは、燃料演算装置として動作するコンピュータに、燃料容器に残存する燃料残量の計測値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、前記燃料残量の計測値を出力する燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、前記燃料残量計が故障していない場合には前記燃料残量の計測値を表示させ、前記燃料残量計が故障している場合には前記燃料残量の概算値を表示させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、燃料残量計が故障した際であっても精度よく燃料残量を把握することができる燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る燃料演算装置を含む燃料管理システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、通常表示時の表示部の表示画面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、バックアップ表示時の表示部の表示画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る燃料演算装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【0011】
以下に、本開示に係る燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラムについて、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、実質的に同一のもの、あるいは均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。以下の実施形態では、本開示に係る燃料演算装置、燃料演算方法及びプログラムの実施形態を例示する上で、必要となる構成要素を説明し、その他の構成要素を省略する。なお、以下の実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付し、異なる構成には異なる符号を付すものとする。
【0012】
(実施形態)
まず、
図1から
図3までを用いて、実施形態の燃料演算装置30を含む燃料管理システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る燃料演算装置30を含む燃料管理システム1の一例を示すブロック図である。
図2は、通常表示時の表示部90の表示画面の一例を示す図である。
図3は、バックアップ表示時の表示部90の表示画面の一例を示す図である。通常表示及びバックアップ表示については、後述にて説明する。
【0013】
燃料管理システム1は、実施形態において、航空機等に搭載される燃料を管理するシステムである。燃料管理システム1は、供給ライン10と、第1燃料容器12と、第2燃料容器14と、第3燃料容器16と、燃料流量計20と、第1燃料残量計22と、第2燃料残量計24と、第3燃料残量計26と、燃料演算装置30と、表示部90と、を含む。
【0014】
供給ライン10は、第1燃料容器12内の燃料、第2燃料容器14内の燃料、及び第3燃料容器16内の燃料を、エンジン100へ供給するラインである。供給ライン10は、第1燃料容器12と、第2燃料容器14と、第3燃料容器16と、を直列に接続するとともに、第1燃料容器12と、航空機のエンジン100と、を接続する。なお、燃料管理システム1は、実施形態において、第1燃料容器12、第2燃料容器14及び第3燃料容器16の3つの燃料容器を含むが、1つ、2つ、又は4つ以上の燃料容器を含んでもよい。
【0015】
実施形態の第1燃料容器12は、供給ライン10において、第2燃料容器14及び第3燃料容器16より下流に設けられる。第1燃料容器12内の燃料残量は、第2燃料容器14及び第3燃料容器16の燃料残量がゼロである状態で、燃料がエンジン100へ供給されることによって減少する。
【0016】
実施形態の第2燃料容器14は、供給ライン10において、第1燃料容器12より上流かつ第3燃料容器16より下流に設けられる。第2燃料容器14内の燃料残量は、第3燃料容器16の燃料残量がゼロである状態で、燃料がエンジン100へ供給されることによって減少する。
【0017】
実施形態の第3燃料容器16は、供給ライン10において、第1燃料容器12及び第2燃料容器14より上流に設けられる。第3燃料容器16内の燃料残量は、燃料がエンジン100へ供給されることによって減少する。すなわち、供給ライン10において燃料がエンジン100へ供給される際には、まず、第3燃料容器16から燃料残量が減少し、第3燃料容器16の燃料残量がゼロになると第2燃料容器14の燃料残量が減少し始め、さらに、第2燃料容器14の燃料残量がゼロになると第1燃料容器12の燃料残量が減少し始める。
【0018】
燃料流量計20は、供給ライン10からエンジン100へ供給される燃料流量を計測する。燃料流量計20は、例えば、流路中に設けられたプロペラによって流路内に燃料が流れる際に発生する回転を捉えることによって、供給ライン10からエンジン100へ供給される燃料流量を計測する。燃料流量計20は、供給ライン10において、第1燃料容器12より下流の所定の位置に設けられる。より詳しくは、燃料流量計20は、供給ライン10における複数の燃料容器(第1燃料容器12、第2燃料容器14、及び第3燃料容器16)のうち、最も下流に設けられる第1燃料容器12よりさらに下流に設けられる。燃料流量計20は、計測した燃料流量の計測値の情報信号を、燃料演算装置30へ出力する。
【0019】
第1燃料残量計22は、第1燃料容器12内の燃料残量を計測する。第1燃料残量計22は、例えば、静電容量方式で燃料液面位置に応じた静電容量を計測することによって、第1燃料容器12内に残存する燃料残量を計測する。第1燃料残量計22は、計測した第1燃料容器12内の燃料残量の計測値の情報信号を、燃料演算装置30へ出力する。
【0020】
第2燃料残量計24は、第2燃料容器14内の燃料残量を計測する。第2燃料残量計24は、第1燃料残量計22と同様に、例えば、静電容量方式で燃料液面位置に応じた静電容量を計測することによって、第2燃料容器14内に残存する燃料残量を計測する。第2燃料残量計24は、計測した第2燃料容器14内の燃料残量の計測値の情報信号を、燃料演算装置30へ出力する。
【0021】
第3燃料残量計26は、第1燃料容器12内の燃料残量を計測する。第3燃料残量計26は、第1燃料残量計22及び第2燃料残量計24と同様に、例えば、静電容量方式で燃料液面位置に応じた静電容量を計測することによって、第3燃料容器16内に残存する燃料残量を計測する。第1燃料残量計22は、計測した第1燃料容器12内の燃料残量の計測値の情報信号を、燃料演算装置30へ出力する。
【0022】
燃料演算装置30は、実施形態において、燃料管理システム1の機能の1つとして実装される。燃料演算装置30は、各種の制御プログラム及び各種の制御処理に用いられるデータが記憶される記憶装置、及び予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。記憶装置は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD等である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、システムLSI(Large Scale Integration)等である。燃料演算装置30は、1つの記憶装置又は複数の記憶装置と、1つの演算処理装置又は複数の演算処理装置と、から実装される。
【0023】
燃料演算装置30は、第1燃料容器12、第2燃料容器14及び第3燃料容器16に残存する燃料残量を算出して表示部90表示させる。燃料演算装置30は、実施形態において、燃料流量取得部40と、第1燃料残量取得部42と、第2燃料残量取得部44と、第3燃料残量取得部46と、第1故障情報取得部52と、第2故障情報取得部54と、第3故障情報取得部56と、燃料残量演算部60と、故障判定部70と、表示制御部80と、を含む。
【0024】
燃料流量取得部40は、エンジン100へ供給される燃料の燃料流量の計測値を取得する。より詳しくは、燃料流量取得部40は、燃料流量計20が計測した燃料流量の計測値を取得する。燃料流量取得部40は、所定の周期毎に燃料流量の計測値を取得する。燃料流量取得部40は、取得した燃料流量の計測値の情報を、燃料残量演算部60へ出力する。
【0025】
第1燃料残量取得部42は、第1燃料容器12内の燃料残量の計測値を取得する。より詳しくは、第1燃料残量取得部42は、第1燃料残量計22が計測した第1燃料容器12内の燃料残量の計測値を取得する。第1燃料残量取得部42は、所定の周期毎に第1燃料容器12内の燃料残量の計測値を取得する。第1燃料残量取得部42は、取得した第1燃料容器12内の燃料残量の計測値の情報を、燃料残量演算部60へ出力する。
【0026】
第2燃料残量取得部44は、第2燃料容器14内の燃料残量の計測値を取得する。より詳しくは、第2燃料残量取得部44は、第2燃料残量計24が計測した第2燃料容器14内の燃料残量の計測値を取得する。第2燃料残量取得部44は、所定の周期毎に第2燃料容器14内の燃料残量の計測値を取得する。第2燃料残量取得部44は、取得した第2燃料容器14内の燃料残量の計測値の情報を、燃料残量演算部60へ出力する。
【0027】
第3燃料残量取得部46は、第3燃料容器16内の燃料残量の計測値を取得する。より詳しくは、第3燃料残量取得部46は、第3燃料残量計26が計測した第3燃料容器16内の燃料残量の計測値を取得する。第3燃料残量取得部46は、所定の周期毎に第3燃料容器16内の燃料残量の計測値を取得する。第3燃料残量取得部46は、取得した第3燃料容器16内の燃料残量の計測値の情報を、燃料残量演算部60へ出力する。
【0028】
第1故障情報取得部52は、第1燃料残量計22が故障しているか否かの診断情報を示す故障診断情報を取得する。第1燃料残量計22の故障判定は、公知の方法で行われる。第1燃料残量計22の故障とは、例えば、第1燃料残量取得部42が第1燃料残量計22から情報信号を検出不可である、又は情報信号の値が所定の範囲外である等の現象が発生している状態を示す。第1故障情報取得部52は、取得した故障診断情報を、故障判定部70へ出力する。
【0029】
第2故障情報取得部54は、第2燃料残量計24が故障しているか否かの診断情報を示す故障診断情報を取得する。第2燃料残量計24の故障判定は、公知の方法で行われる。第2燃料残量計24の故障とは、例えば、第2燃料残量取得部44が第2燃料残量計24から情報信号を検出不可である、又は情報信号の値が所定の範囲外である等の現象が発生している状態を示す。第2故障情報取得部54は、取得した故障診断情報を、故障判定部70へ出力する。
【0030】
第3故障情報取得部56は、第3燃料残量計26が故障しているか否かの診断情報を示す故障診断情報を取得する。第3燃料残量計26の故障判定は、公知の方法で行われる。第3燃料残量計26の故障とは、例えば、第3燃料残量取得部46が第3燃料残量計26から情報信号を検出不可である、又は情報信号の値が所定の範囲外である等の現象が発生している状態を示す。第3故障情報取得部56は、取得した故障診断情報を、故障判定部70へ出力する。
【0031】
燃料残量演算部60は、第1燃料容器12、第2燃料容器14及び第3燃料容器16内の燃料残量の概算値を周期的に算出して一時的に記憶する。燃料残量の概算値は、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の少なくともいずれかが故障した際であっても、燃料残量を把握するためのバックアップ用の概算値である。
【0032】
燃料残量演算部60は、燃料流量取得部40から燃料流量の計測値を取得する。燃料残量演算部60は、第1燃料残量取得部42から第1燃料容器12内の燃料残量の計測値を取得する。燃料残量演算部60は、第2燃料残量取得部44から第2燃料容器14内の燃料残量の計測値を取得する。燃料残量演算部60は、第3燃料残量取得部46から第3燃料容器16内の燃料残量の計測値を取得する。
【0033】
燃料残量演算部60は、取得した燃料流量の計測値と、燃料流量取得部40から燃料流量の計測値を取得する周期とに基づいて、燃料流量の積分値を算出する。燃料残量演算部60は、取得した各燃料容器の燃料残量の計測値に基づいて、燃料残量の計測値の合計値を算出する。
【0034】
燃料残量演算部60は、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26のいずれも故障していない場合、燃料残量演算部60は、燃料残量の計測値の合計値から燃料流量の積分値を減算することによって、燃料残量の概算値を算出する。燃料残量演算部60は、算出した燃料残量の概算値を一時的に記憶する。燃料残量演算部60は、所定の周期で燃料残量の概算値の算出を実行し、新たに算出した燃料残量の概算値を最新の燃料残量の概算値として更新して一時的に記憶する。
【0035】
燃料残量演算部60は、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の少なくともいずれかが故障した際には、記憶している燃料残量の概算値から燃料流量の積分値を減算することによって、燃料残量の概算値を再算出する。燃料残量演算部60は、再算出した燃料残量の概算値を一時的に記憶する。燃料残量演算部60は、所定の周期で燃料残量の概算値の再算出を実行し、新たに算出した燃料残量の概算値を最新の燃料残量の概算値として更新して一時的に記憶する。
【0036】
故障判定部70は、第1故障情報取得部52、第2故障情報取得部54及び第3故障情報取得部56が取得した故障診断情報に基づいて、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の各々が故障しているか否かの故障状況を判定する。故障判定部70は、判定結果を、燃料残量演算部60及び表示制御部80へ出力する。
【0037】
表示制御部80は、燃料残量演算部60から取得した燃料残量の計測値の合計値又は燃料残量の概算値と、故障判定部70から取得した判定結果とに基づいて、燃料残量を表示部90に表示させるように制御する。表示制御部80は、通常表示又はバックアップ表示によって、燃料残量を表示部90に表示させる。通常表示とは、各燃料残量計が計測した燃料残量の計測値を表示することである。バックアップ表示とは、燃料残量演算部60が算出した燃料残量の概算値を表示することである。
【0038】
表示制御部80は、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26のいずれも故障していない場合に、燃料残量の計測値を表示部90に通常表示させる。
表示制御部80は、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の少なくともいずれかが故障した場合に、燃料残量の概算値を表示部90にバックアップ表示させる。
【0039】
表示部90は、燃料演算装置30の表示制御部80から出力された制御信号に基づいて、各燃料容器に残存する燃料残量の合計値を表示する。表示部90は、各燃料容器に残存する各々の燃料残量を別個に表示してもよい。表示部90は、例えば、コックピット内に搭載され、操縦士が目視可能な位置に配置される計器に含まれる。
【0040】
表示部90は、
図2及び
図3に示す実施形態において、デジタル方式で燃料残量を表示する。表示部90は、例えば、視覚的な通知情報等の種々の映像を表示する表示画面を含む表示装置である。表示装置は、例えば、燃料管理システム1固有の表示装置、又はコックピット内に搭載される他のシステムと共用した表示装置等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含むディスプレイ等である。なお、表示部90は、実施形態において、デジタル方式で燃料残量を表示するが、例えば、アナログ式メータであってもよい。
【0041】
図2及び
図3に示すように、表示部90は、実施形態において、燃料残量表示部92と、単位表示部94と、表示形式表示部96と、を含む。燃料残量表示部92は、燃料残量の計測値の合計値又は燃料残量の概算値を表示する領域である。表示部90が通常表示中である場合、燃料残量表示部92には、燃料残量の計測値の合計値が表示される。表示部90がバックアップ表示中である場合、燃料残量表示部92には、燃料残量の概算値が表示される。単位表示部94は、燃料残量表示部92に表示される燃料残量の物理単位を表示する領域である。
【0042】
表示形式表示部96は、表示部90が通常表示中かバックアップ表示中かを示す文字、記号、色等を含む識別子を領域である。実施形態において、表示形式表示部96は、燃料残量表示部92を囲む枠形状である。表示形式表示部96は、実施形態において、表示部90が通常表示中である場合、
図2に示すように枠を表示し、表示部90がバックアップ表示中である場合、
図3に示すように枠を表示しない。なお、表示部90がアナログ式メータの場合には、例えば、針の色や形状を変更させる等によって、通常表示中かバックアップ表示中かを示してもよい。
【0043】
次に、
図4を用いて、実施形態に係る燃料演算装置30における処理の流れについて説明する。
図4は、実施形態に係る燃料演算装置30の処理の一例を示すフローチャートである。
図4に示す処理は、燃料演算装置30が、予め定められた制御プログラム及びデータに基づいて実行する。燃料演算装置30は、例えば、エンジン100が始動されたことによって、
図4に示すステップS201に移行して処理を開始する。また、
図4に示す処理は、例えば、エンジン100が停止する、電力の供給が停止する、又は操縦者等の操作によって処理を終了させる所定の操作信号を受け付けるまで、所定の周期毎にステップS201から繰り返し実行される。
【0044】
ステップS201において、燃料演算装置30は、燃料流量の計測値を取得する。具体的には、燃料流量取得部40が、燃料流量計20が計測した燃料流量の計測値を取得する。燃料流量の計測値は、燃料残量演算部60へ出力される。燃料演算装置30は、ステップS202へ移行する。
【0045】
ステップS202において、燃料演算装置30は、燃料流量の積分値を算出する。具体的には、燃料残量演算部60が、ステップS201で取得した燃料流量の計測値と、燃料流量の計測値を取得する周期とに基づいて、燃料流量の積分値を算出する。燃料演算装置30は、ステップS203へ移行する。
【0046】
ステップS203において、燃料演算装置30は、各燃料残量計の故障情報を取得する。具体的には、第1故障情報取得部52が、第1燃料残量計22の故障診断情報を取得する。また、第2故障情報取得部54が、第2燃料残量計24の故障診断情報を取得する。また、第3故障情報取得部56が、第3燃料残量計26の故障診断情報を取得する。各燃料残量計の故障診断情報は、故障判定部70へ出力される。燃料演算装置30は、ステップS204へ移行する。
【0047】
ステップS204において、燃料演算装置30は、燃料残量計に故障があるか否かを判定する。具体的には、故障判定部70が、ステップS203で取得した故障診断情報に基づいて、第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の各々が故障しているか否かの故障状況を判定する。故障判定部70は、判定結果を、燃料残量演算部60及び表示制御部80へ出力する。
【0048】
燃料残量計に故障がない場合(ステップS204;No)、燃料演算装置30は、ステップS211へ移行し、ステップS211からステップS214までを実行する。燃料残量計に故障がある場合(ステップS204;Yes)、燃料演算装置30は、ステップS221へ移行し、ステップS221からステップS224までを実行する。
【0049】
ステップS211において、燃料演算装置30は、各燃料容器の燃料残量の計測値を取得する。具体的には、第1燃料残量取得部42が、第1燃料残量計22から第1燃料容器12内の燃料残量の計測値を取得する。また、第2燃料残量取得部44が、第2燃料残量計24から第2燃料容器14内の燃料残量の計測値を取得する。また、第3燃料残量取得部46が、第3燃料残量計26から第3燃料容器16内の燃料残量の計測値を取得する。各燃料容器の燃料残量の計測値は、燃料残量演算部60へ出力される。燃料演算装置30は、ステップS212へ移行する。
【0050】
ステップS212において、燃料演算装置30は、燃料残量の計測値の合計値から燃料流量の積分値を減算して燃料残量の概算値を算出する。具体的には、まず、燃料残量演算部60が、ステップS211で取得した各燃料容器の燃料残量の計測値に基づいて、燃料残量の計測値の合計値を算出する。燃料残量演算部60は、次に、燃料残量の計測値の合計値から、ステップS202で算出した燃料流量の積分値を減算することによって、燃料残量の概算値を算出する。燃料演算装置30は、ステップS213へ移行する。
【0051】
ステップS213において、燃料演算装置30は、燃料残量の概算値を更新して記憶する。具体的には、燃料残量演算部60が、ステップS212で算出した燃料残量の概算値を一時的に記憶する。燃料残量演算部60が既に燃料残量の概算値を記憶している場合は、新たに算出した燃料残量の概算値を最新の燃料残量の概算値として更新して一時的に記憶する。燃料演算装置30は、ステップS214へ移行する。
【0052】
ステップS214において、燃料演算装置30は、燃料残量の計測値を通常表示する。具体的には、表示制御部80が、燃料残量演算部60から取得した燃料残量の計測値の合計値を表示部90の燃料残量表示部92に表示させる。この際、表示制御部80は、表示形式表示部96に枠を表示させる。燃料演算装置30は、
図4に示すフローチャートの一連の処理を終了し、例えば、エンジン100が停止する、電力の供給が停止する、又は操縦者等の操作によって処理を終了させる所定の操作信号を受け付けるまで、所定の周期毎にステップS201に戻って、
図4に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0053】
ステップS221において、燃料演算装置30は、燃料残量の概算値を取得する。具体的には、繰り返し実行される
図4に示すフローチャートの処理において、ステップS204で初めて故障ありと判定された場合、燃料残量計が故障する直前のステップS212で算出された最新の燃料残量の概算値を取得する。以前にも故障ありと判定され、ステップS221からステップS224の処理を実行済みである場合は、ステップS222で再算出された最新の燃料残量の概算値を取得する。燃料演算装置30は、ステップS222へ移行する。
【0054】
ステップS222において、燃料演算装置30は、燃料残量の概算値から燃料流量の積分値を減算して燃料残量の概算値を再算出する。具体的には、燃料残量演算部60が、ステップS221で取得した燃料残量の概算値から、ステップS202で算出した燃料流量の積分値を減算することによって、新たな燃料残量の概算値を再算出する。燃料演算装置30は、ステップS223へ移行する。
【0055】
ステップS223において、燃料演算装置30は、燃料残量の概算値を更新して記憶する。具体的には、具体的には、燃料残量演算部60が、ステップS222で再算出した燃料残量の概算値を最新の燃料残量の概算値として更新して一時的に記憶する。燃料演算装置30は、ステップS224へ移行する。
【0056】
ステップS224において、燃料演算装置30は、燃料残量の概算値をバックアップ表示する。具体的には、表示制御部80が、燃料残量演算部60から取得した燃料残量の概算値を表示部90の燃料残量表示部92に表示させる。この際、表示制御部80は、表示形式表示部96に枠を表示させない。燃料演算装置30は、
図4に示すフローチャートの一連の処理を終了し、例えば、エンジン100が停止する、電力の供給が停止する、又は操縦者等の操作によって処理を終了させる所定の操作信号を受け付けるまで、所定の周期毎にステップS201に戻って、
図4に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0057】
以上に示した実施形態においては、いずれかの燃料残量計が故障した場合、以降の燃料残量の表示は、概算値を表示するバックアップ表示で行われるが、故障した燃料残量計に対応する燃料容器が既に空である場合、通常表示に戻してもよい。故障した燃料残量計に対応する燃料容器が空であるか否かは、以下の方法で判断できる。
【0058】
燃料残量演算部60は、燃料残量の概算値を算出する。この燃料残量の概算値とは、供給ライン10に設けられる燃料容器(第1燃料容器12、第2燃料容器14及び第3燃料容器16)内の燃料残量の合計値の概算値である。故障した燃料残量計に対応する燃料容器内の燃料残量の概算値は、燃料残量の合計値の概算値から、故障した燃料残量計に対応する燃料容器より下流の燃料容器が満タンである場合の燃料残量を減算することにより算出できる。この際、算出された概算値が0以下である場合、故障した燃料残量計に対応する燃料容器内は、空である。次に、具体例を以下に説明する。
【0059】
まず、第3燃料残量計26が故障した場合について説明する。計測した燃料流量の積分値に基づいて算出された燃料残量の合計値の概算値をASUMとし、第1燃料残量計22による第1燃料容器12内の燃料残量の計測値をM1とし、第2燃料残量計24による第2燃料容器14内の燃料残量の計測値をM2とする。
【0060】
AA=ASUM-M2-M1に示す式で算出されたAAがAA>0である場合、故障した第3燃料残量計26に対応する第3燃料容器16内に燃料はあり、その燃料残量は、AAであるとみなすことができる。AA=ASUM-M2-M1に示す式で算出されたAAがAA≦0である場合、故障した第3燃料残量計26に対応する第3燃料容器16内に燃料はなく、第3燃料容器16は空である。
【0061】
第3燃料容器16が空である場合、故障していない第1燃料残量計22による第1燃料容器12内の燃料残量の計測値M1と、故障していない第2燃料残量計24による第2燃料容器14内の燃料残量の計測値M2とから、燃料残量の計測値の合計値を算出することができる。したがって、第3燃料容器16及び第3燃料残量計26を処理から除外して、「故障なし」とすることによって、実際の計測値を通常表示させてもよく、また、バックアップ用の燃料残量の概算値の精度をより向上させることができる。
【0062】
次に、第3燃料残量計26に加えて第2燃料残量計24も故障した場合について説明する。計測した燃料流量の積分値に基づいて算出された燃料残量の合計値の概算値をASUMとし、第1燃料残量計22による第1燃料容器12内の燃料残量の計測値をM1とし、
第2燃料容器14が満タンである場合の燃料残量をM2Fとする。
【0063】
AB=ASUM-M2F-M1に示す式で算出されたABがAB>0である場合、故障した第3燃料残量計26に対応する第3燃料容器16内に燃料はあり、その燃料残量は、ABであるとみなすことができる。また、故障した第2燃料残量計24に対応する第2燃料容器14内は満タンである。AB=ASUM-M2F-M1に示す式で算出されたABがAB≦0である場合、故障した第3燃料残量計26に対応する第3燃料容器16内に燃料はなく、第3燃料容器16は空である。
【0064】
ABがAB≦0であって、AC=ASUM-M1に示す式で算出されたACがAC>0である場合、故障した第2燃料残量計24に対応する第2燃料容器14内に燃料はあり、その燃料残量は、ACであるとみなすことができる。ABがAB≦0であって、AC=ASUM-M1に示す式で算出されたACがAC≦0である場合、故障した第2燃料残量計24に対応する第2燃料容器14内に燃料はなく、第2燃料容器14は空である。
【0065】
第2燃料容器14及び第3燃料容器16が空である場合、故障していない第1燃料残量計22による第1燃料容器12内の燃料残量の計測値M1が、燃料残量の計測値の合計値である。したがって、第2燃料容器14及び第2燃料残量計24と、第3燃料容器16及び第3燃料残量計26とを処理から除外して、「故障なし」とすることによって、実際の計測値を通常表示させてもよく、また、バックアップ用の燃料残量の概算値の精度をより向上させることができる。
【0066】
(実施形態の作用効果)
実施形態に記載の燃料演算装置30、燃料演算方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0067】
第1の様態に係る燃料演算装置30は、燃料容器(第1燃料容器12、第2燃料容器14及び第3燃料容器16)に残存する燃料残量の計測値と、燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶する燃料残量演算部60と、燃料残量の計測値を出力する燃料残量計(第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26)が故障しているか否かを判定する故障判定部70と、燃料残量計が故障していない場合には燃料残量の計測値を表示させ、燃料残量計が故障している場合には燃料残量の概算値を表示させるように制御する表示制御部80と、を備える。
【0068】
第1の様態に係る燃料演算装置30は、燃料残量計が故障した際に用いるバックアップ用の燃料残量の概算値を周期的に算出する。燃料残量の概算値は、算出する時点における燃料残量の計測値と燃料流量とに基づいて算出されるため、初期の燃料残量から供給した燃料残量の累積値を減算して算出される場合に比べて、実際の燃料残量との誤差を小さくすることができる。したがって、燃料演算装置30は、燃料残量計が故障した際に算出する燃料残量の概算値の精度を向上させることができるので、操縦者等が精度よく燃料残量を把握することができる。
【0069】
第2の様態に係る燃料演算装置30において、燃料残量演算部60は、燃料残量の計測値から燃料流量の積分値を減算することによって、燃料残量の概算値を算出する。すなわち、燃料残量の概算値は、算出する時点における燃料残量の計測値から燃料流量の積分値を減算することによって算出されるため、初期の燃料残量から供給した燃料残量の積分値を減算する方法のように、実際に供給した燃料残量と燃料流量の積分値との誤差が累積されることがない。したがって、燃料残量の概算値と実際の燃料残量との誤差を小さくすることができるので、燃料残量計が故障した際に算出する燃料残量の概算値の精度を向上させることができるので、操縦者等が精度よく燃料残量を把握することができる。
【0070】
第3の様態に係る燃料演算装置30において、燃料残量演算部60は、燃料残量計(第1燃料残量計22、第2燃料残量計24及び第3燃料残量計26の少なくともいずれか)が故障している場合、記憶された燃料残量の概算値と、燃料流量とに基づいて、新たな燃料残量の概算値を再算出して記憶する。このように、燃料残量計が故障した後も、燃料残量の概算値を更新することによって、燃料容器に残存する燃料残量を継続して把握することができる。
【0071】
第4の様態に係る燃料演算方法は、燃料容器に残存する燃料残量の計測値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、前記燃料残量の計測値を出力する燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、前記燃料残量計が故障していない場合には前記燃料残量の計測値を表示させ、前記燃料残量計が故障している場合には前記燃料残量の概算値を表示させるステップと、を含む。
【0072】
第4の様態に係る燃料演算方法は、燃料残量計が故障した際に用いるバックアップ用の燃料残量の概算値を周期的に算出する。燃料残量の概算値は、算出する時点における燃料残量の計測値と燃料流量とに基づいて算出されるため、初期の燃料残量から供給した燃料残量の累積値を減算して算出される場合に比べて、実際の燃料残量との誤差を小さくすることができる。したがって、燃料演算方法は、燃料残量計が故障した際に算出する燃料残量の概算値の精度を向上させることができるので、操縦者等が精度よく燃料残量を把握することができる。
【0073】
第5の様態に係るプログラムは、燃料演算装置30として動作するコンピュータに、燃料容器に残存する燃料残量の計測値と、前記燃料容器から供給される燃料の燃料流量とに基づいて、燃料残量の概算値を周期的に算出して記憶するステップと、前記燃料残量の計測値を出力する燃料残量計が故障しているか否かを判定するステップと、前記燃料残量計が故障していない場合には前記燃料残量の計測値を表示させ、前記燃料残量計が故障している場合には前記燃料残量の概算値を表示させるステップと、を実行させる。
【0074】
第5の様態に係るプログラムは、燃料残量計が故障した際に用いるバックアップ用の燃料残量の概算値を周期的に算出する。燃料残量の概算値は、算出する時点における燃料残量の計測値と燃料流量とに基づいて算出されるため、初期の燃料残量から供給した燃料残量の累積値を減算して算出される場合に比べて、実際の燃料残量との誤差を小さくすることができる。したがって、プログラムは、燃料演算装置30として動作するコンピュータが、燃料残量計が故障した際に算出する燃料残量の概算値の精度を向上させることができるので、操縦者等が精度よく燃料残量を把握することができる。
【0075】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これらの実施形態の記載内容によって実施形態が限定されるものではない。また、本開示は、燃料残量計の故障時のために燃料残量の概算値を都度算出しておく方法を示したが、例えば、機体の重量管理システム又はナビゲーションシステム等に適用して、各計器の故障時のために、機体の重量、重心、方向、位置等を都度算出してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 燃料管理システム
10 供給ライン
12 第1燃料容器
14 第2燃料容器
16 第3燃料容器
20 燃料流量計
22 第1燃料残量計
24 第2燃料残量計
26 第3燃料残量計
30 燃料演算装置
40 燃料流量取得部
42 第1燃料残量取得部
44 第2燃料残量取得部
46 第3燃料残量取得部
52 第1故障情報取得部
54 第2故障情報取得部
56 第3故障情報取得部
60 燃料残量演算部
70 故障判定部
80 表示制御部
90 表示部
92 燃料残量表示部
94 単位表示部
96 表示形式表示部
100 エンジン
S201~S204、S211~S214、S221~S224 ステップ