(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-05
(45)【発行日】2025-06-13
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250606BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651G
H01L21/304 651H
H01L21/304 651J
H01L21/304 651K
(21)【出願番号】P 2021125536
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 滋
(72)【発明者】
【氏名】岩田 敬次
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】枝光 建治
(72)【発明者】
【氏名】川井 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健一
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056155(JP,A)
【文献】特開平10-321586(JP,A)
【文献】特開平04-026123(JP,A)
【文献】特開2000-183011(JP,A)
【文献】特開平10-209110(JP,A)
【文献】特開2016-001753(JP,A)
【文献】特開2002-110621(JP,A)
【文献】特開2016-072446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのチャンバに収容される複数の基板を一度に処理する基板処理方法であって、
前記チャンバの内部が減圧された状態において、有機溶剤を含む第1ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第1減圧工程と、
前記第1減圧工程の後、有機溶剤と不活性ガスを含む混合ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給し、かつ、前記チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと加圧する第1加圧工程と、
前記第1加圧工程の後、前記チャンバの内部を常圧状態に保ち、かつ、排液処理および基板処理の少なくともいずれかを行う第1常圧工程と、
を備える、
基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記混合ガスは、前記有機溶剤の気体および前記有機溶剤の液体の少なくともいずれかを含む、
基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記第1加圧工程では、前記混合ガスが生成され、かつ、生成された前記混合ガスが第1吐出部によって前記チャンバ内に供給される、
基板処理方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1加圧工程では、さらに、前記チャンバ内において前記基板が上下動または揺動される、
基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法であって、
前記第1減圧工程の前に、前記チャンバ内に設置される処理槽に貯留される第1液に前記基板を浸漬する第1浸漬工程と、
をさらに備え、
前記第1常圧工程は、
前記第1液を前記チャンバ外に排出する第1排液工程と、
をさらに含む、
基板処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理方法であって、
前記第1排液工程では、前記チャンバおよび前記処理槽のいずれかに連通接続される排液管が前記チャンバ外の大気に開放され、前記排液管を通じて前記第1液が前記チャンバ外に排出される、
基板処理方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の基板処理方法であって、
前記第1減圧工程では、前記チャンバの内部が減圧された状態において、前記基板が前記第1液から前記処理槽の上方に引き上げられる、
基板処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理方法において、
前記第1減圧工程の前に、前記第1液に前記基板を浸漬した状態で、前記チャンバ内に前記第1ガスの雰囲気を形成する第1雰囲気形成工程と、
をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項9】
請求項5から8のいずれかに記載の基板処理方法であって、
前記第1常圧工程は、
前記第1排液工程の後、前記処理槽に
第2液を供給する供給工程と、
をさらに含む、
基板処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の基板処理方法であって、
前記第1常圧工程は、
前記処理槽に貯留される前記第2液に前記基板を浸漬する第2浸漬工程と、
をさらに含む、
基板処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理方法であって、
前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬させるまで、前記チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を含む、
基板処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理方法であって、
前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬されるまで、前記混合ガスは、さらに、前記チャンバ内の前記基板に供給される、
基板処理方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれかに記載の基板処理方法であって、
第2浸漬工程では、さらに、前記第2液が前記チャンバ外に排出される、
基板処理方法。
【請求項14】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法であって、
前記第1常圧工程は、
前記チャンバ内に設置される処理槽に貯留される第2液に前記基板を浸漬する第2浸漬工程と、
をさらに含む、
基板処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理方法であって、
前記第2浸漬工程では、さらに、前記第2液が前記チャンバ外に排出される、
基板処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理方法であって、
前記第2浸漬工程では、前記第2液が前記処理槽からオーバーフローし、かつ、前記処理槽からオーバーフローした前記第2液が前記チャンバ外に排出される、
基板処理方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の基板処理方法であって、
前記第2浸漬工程では、前記チャンバおよび前記処理槽のいずれかに連通接続される排液管が前記チャンバ外の大気に開放され、前記排液管を通じて前記第2液が前記チャンバ外に排出される、
基板処理方法。
【請求項18】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法であって、
前記第1常圧工程の後、前記チャンバの内部が減圧された状態において、前記チャンバ内に設置される処理槽に貯留される第2液に前記基板を浸漬する第2減圧工程と、
をさらに備える、
基板処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の基板処理方法であって、
前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬されるまで、前記チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を含む、
基板処理方法。
【請求項20】
複数の基板を収容するチャンバと、
前記チャンバの内部を減圧する減圧ユニットと、
有機溶剤を含む第1ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第1供給ユニットと、
有機溶剤と不活性ガスを含む混合ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第2供給ユニットと、
前記減圧ユニットと前記第1供給ユニットと前記第2供給ユニットを制御して、第1減圧処理と第1加圧処理を実行させる制御部と、
を備え、
前記第1減圧処理では、前記減圧ユニットが前記チャンバの内部を減圧し、かつ、前記第1供給ユニットが前記第1ガスを前記基板に供給し、
前記第1加圧処理では、前記減圧ユニットが前記チャンバの内部を減圧せずに、かつ、前記第2供給ユニットが前記混合ガスを前記基板に供給する、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板処理方法および基板処理装置に関する。基板は、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、チャンバ内に収容される基板を処理する基板処理方法を開示する。基板処理方法は、第1工程と第2工程と乾燥工程を備える。第1工程では、チャンバの内部が減圧された状態(decompressed state)において、疎水化剤の蒸気が基板に供給される。第2工程では、チャンバの内部が減圧された状態において、有機溶剤の蒸気が基板に供給される。乾燥工程では、チャンバの内部が減圧された状態において、不活性ガスが基板に供給される。
【0003】
ここで、第1工程および第2工程では、基板は乾燥されない。乾燥工程では、基板は乾燥される。
【0004】
基板処理方法では、チャンバの内部を減圧された状態にするため、排気ポンプが使用される。排気ポンプは、チャンバ内の気体を、チャンバ外へ排出する。排気ポンプは、第1工程と第2工程と乾燥工程において作動する。
【0005】
乾燥工程の後、チャンバ3内は減圧された状態から常圧状態(atmospheric pressure state)へと加圧される。チャンバ3内を減圧された状態から常圧状態へと加圧するために、以下の動作A、Bが実行される。動作A:排気ポンプの作動を停止すること。動作B:不活性ガスをチャンバ内に供給すること。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、第1工程の後で乾燥工程の前に、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと加圧することを、開示していない。特許文献1は、基板に対する処理が始まった後で基板が乾燥される前に、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと加圧することを、開示していない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと適切に加圧できる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。例えば、第1工程の後で第2工程の前において排液処理を行うために、第1工程の後で第2工程の前においてチャンバの内部が常圧状態であることが好ましいことがある。例えば、第2工程における基板処理の品質を向上させるために、第2工程ではチャンバの内部が常圧状態であることが好ましいことがある。そこで、本発明者等は、第1工程の後で第2工程の前において、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと加圧することを検討した。例えば、本発明者等は、第1工程の後で第2工程の前に、追加工程を実行することを検討した。追加工程は、上述の動作A、Bを含む。
【0010】
しかしながら、追加工程が新たな問題を有することを、本発明者等は知見した。新たな問題は、追加工程において、基板が、不活性ガスに晒されて、乾燥されることである。追加工程は、第1工程の後で、第2工程の前に、実行される。第1工程の後で第2工程の前に基板が乾燥された場合、第2工程では基板は適切に処理されないおそれがある。第2工程における基板処理の品質を維持することが困難になるおそれがある。第2工程における基板処理の品質が低下するおそれがある。
【0011】
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに鋭意検討することによって得られたものであり、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、1つのチャンバに収容される複数の基板を一度に処理する基板処理方法であって、前記チャンバの内部が減圧された状態において、有機溶剤を含む第1ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第1減圧工程と、前記第1減圧工程の後、有機溶剤と不活性ガスを含む混合ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給し、かつ、前記チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと加圧する第1加圧工程と、前記第1加圧工程の後、前記チャンバの内部を常圧状態に保ち、かつ、排液処理および基板処理の少なくともいずれかを行う第1常圧工程と、を備える、基板処理方法である。
【0012】
基板処理方法は、1つのチャンバに収容される複数の基板を一度に処理することである。基板処理方法は、第1減圧工程と第1加圧工程と第1常圧工程を備える。第1減圧工程と第1加圧工程と第1常圧工程は、この順で実行される。
【0013】
第1減圧工程では、チャンバの内部が減圧された状態にある。第1減圧工程では、第1ガスがチャンバ内の基板に供給される。第1ガスは、有機溶剤を含む。第1ガスの有機溶剤は、基板に付着し、基板を濡らす。このため、第1減圧工程では、基板は乾燥されない。
【0014】
第1加圧工程では、チャンバの内部は減圧された状態から常圧状態へと加圧される。第1加圧工程では、混合ガスがチャンバ内の基板に供給される。混合ガスは、有機溶剤と不活性ガスを含む。混合ガスの不活性ガスは、チャンバの内部を、減圧された状態から常圧状態へと速やかに加圧する。混合ガスの有機溶剤は、基板に付着して、基板を濡らす。このため、第1加圧工程では、基板を乾燥させずに、チャンバの内部は速やかに常圧状態になる。よって、第1減圧工程の後で第1常圧工程の前に、基板は乾燥されない。
【0015】
第1常圧工程では、チャンバの内部は常圧状態に保たれる。第1常圧工程では、排液処理および基板処理の少なくともいずれかが行われる。第1常圧工程で排液処理が行われる場合、第1常圧工程の排液処理を行うことは容易である。チャンバの内部が常圧状態に保たれるからである。より詳しくは、チャンバの内部が常圧状態にあるとき、チャンバ内における気体の圧力はチャンバ外の気体の圧力に近いからである。第1常圧工程で基板処理が行われる場合、第1常圧工程の基板処理は適切な品質で行われる。第1減圧工程の後で第1常圧工程の前に基板が乾燥されないからである。
【0016】
以上の通り、基板処理方法は、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと適切に加圧できる。具体的には、基板処理方法は、基板を乾燥させずに、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと速やかに加圧できる。したがって、チャンバの内部が常圧状態になった後、第1常圧工程は好適に実行される。
【0017】
上述の基板処理方法において、前記混合ガスは、前記有機溶剤の気体および前記有機溶剤の液体の少なくともいずれかを含むことが好ましい。混合ガスが有機溶剤の気体を含む場合、混合ガスにおける有機溶剤の気体は、基板の表面において結露し、基板の表面において有機溶剤の液体に変わる。混合ガスが有機溶剤の液体を含む場合、混合ガスにおける有機溶剤の液体は、基板の表面に付着する。混合ガスが有機溶剤の気体を含む場合であっても、混合ガスが有機溶剤の液体を含む場合であっても、混合ガス由来の有機溶剤は基板を好適に濡らす。よって、基板が乾燥されることを混合ガスは好適に防止する。
【0018】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程では、前記混合ガスが生成され、かつ、生成された前記混合ガスが第1吐出部によって前記チャンバ内に供給されることが好ましい。第1加圧工程では、チャンバ内に供給される不活性ガスは、有機溶剤を伴う。第1加圧工程では、チャンバ内に供給される不活性ガスは、有機溶剤から分離されていない。このため、第1加圧工程では、基板の乾燥は、一層確実に防止される。
【0019】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程では、さらに、前記チャンバ内において前記基板が上下動または揺動されることが好ましい。第1加圧工程では、混合ガス由来の有機溶剤は、基板の全体に、一層均一に付着する。
【0020】
上述の基板処理方法において、前記第1減圧工程の前に、前記チャンバ内に設置される処理槽に貯留される第1液に前記基板を浸漬する第1浸漬工程と、をさらに備え、前記第1常圧工程は、前記第1液を前記チャンバ外に排出する第1排液工程と、をさらに含むことが好ましい。第1常圧工程は、第1排液工程を含む。第1常圧工程では、チャンバの内部は常圧状態に保たれる。このため、第1排液工程でも、チャンバの内部は常圧状態に保たれる。したがって、第1排液工程では、チャンバ内の第1液をチャンバの外部に排出することは容易である。
【0021】
なお、第1排液処理は、第1常圧工程の排液処理に相当する。よって、第1常圧工程の排液処理を行うことは容易である。
【0022】
上述の基板処理方法において、前記第1排液工程では、前記チャンバおよび前記処理槽のいずれかに連通接続される排液管が前記チャンバ外の大気に開放され、前記排液管を通じて前記第1液が前記チャンバ外に排出されることが好ましい。第1排液工程では、排液管はチャンバ外の大気に開放される。上述の通り、第1排液工程では、チャンバの内部は常圧状態にある。よって、第1排液工程では、排液管を通じて、チャンバ内の第1液をチャンバ外に排出することは容易である。
【0023】
ここで、チャンバ内の第1液は、例えば、処理槽に貯留される第1液を含む。排液管が処理槽に連通接続される場合、処理槽に貯留される第1液は、排液管を通じてチャンバ外に排出される。チャンバ内の第1液は、例えば、処理槽から放出され、チャンバに溜まった第1液を含む。排液管がチャンバに連通接続される場合、チャンバに溜まった第1液は、排液管を通じてチャンバ外に排出される。
【0024】
上述の基板処理方法において、前記第1減圧工程では、前記チャンバの内部が減圧された状態において、前記基板が前記第1液から前記処理槽の上方に引き上げられることが好ましい。第1減圧工程において基板が処理槽内の第1液から引き上げられるときまで、処理槽は第1液を貯留する。ここで、第1減圧工程において基板が処理槽内の第1液から引き上げられるとき、チャンバの内部は既に減圧された状態にある。チャンバの内部が減圧された状態になるまで、処理槽は第1液を貯留する。チャンバの内部が減圧された状態にある限り、チャンバの内部からチャンバの外部に第1液を排出することは困難である。しかしながら、第1加圧工程が、第1減圧工程の後で第1排液工程の前に実行される。このため、第1排液工程を実行することは容易である。このように、チャンバの内部が減圧された状態になるまで処理槽が第1液を貯留する場合、第1加圧工程は著しく有用である。
【0025】
上述の基板処理方法において、前記第1減圧工程の前に、前記第1液に前記基板を浸漬した状態で、前記チャンバ内に前記第1ガスの雰囲気を形成する第1雰囲気形成工程と、をさらに備えることが好ましい。第1減圧工程では、基板が処理槽内の第1液から引き上げられたときから、基板は第1ガスの雰囲気に晒される。よって、第1減圧工程における基板処理の品質は好適に向上される。
【0026】
上述の基板処理方法において、前記第1常圧工程は、前記第1排液工程の後、前記処理槽に第2液を供給する供給工程と、をさらに含むことが好ましい。第1排液工程の後に供給工程は実行される。このため、チャンバ内の第1液がチャンバ外に排出された後に、第2液が処理槽に供給される。よって、供給工程において第2液を処理槽に供給することは、容易である。供給工程は第1常圧工程に含まれる。このため、供給工程ではチャンバの内部は常圧状態にある。よって、供給工程において第2液を処理槽に供給することは、一層容易である。その結果、供給工程において第2液を処理槽に貯留させることは、容易である。第1排液工程と供給工程の組み合わせによって、処理槽において第1液から第2液に置換することは、容易である。
【0027】
上述の基板処理方法において、前記第1常圧工程は、前記処理槽に貯留される前記第2液に前記基板を浸漬する第2浸漬工程と、をさらに含むことが好ましい。上述の通り、第1減圧工程の後で第1常圧工程の前に、基板は乾燥されない。第1常圧工程は第2浸漬工程を含む。よって、第2浸漬工程では、基板は適切な品質で処理される。
【0028】
なお、第2浸漬工程の処理は第1常圧工程の基板処理に相当する。よって、第1常圧工程の基板処理は適切な品質で行われる。その結果、第1常圧工程において、排液処理および基板処理は好適に行われる。
【0029】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬させるまで、前記チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を含むことが好ましい。第1加圧工程から基板が第2液に浸漬させるまで、チャンバ内の雰囲気に含まれる有機溶剤は基板を濡らす。よって、第1減圧工程の後で第2浸漬工程の前に、基板は乾燥されない。したがって、第2浸漬工程では、基板は適切な品質で処理される。
【0030】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬されるまで、前記混合ガスは、さらに、前記チャンバ内の前記基板に供給されることが好ましい。このため、第1加圧工程から基板が処理槽内の第2液に浸漬させるまで、チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を好適に含む。
【0031】
上述の基板処理方法において、第2浸漬工程では、さらに、前記第2液が前記チャンバ外に排出されることが好ましい。第2浸漬工程は、第1常圧工程に含まれる。このため、第2浸漬工程では、チャンバの内部は常圧状態にある。よって、第2浸漬工程では、チャンバ内の第2液をチャンバ外に排出することは容易である。
【0032】
なお、第2浸漬工程において第2液をチャンバ外に排出することは、第1常圧工程の排液処理に相当する。よって、第1常圧工程の排液処理を行うことは容易である。
【0033】
上述の基板処理方法において、前記第2浸漬工程では、前記第2液が前記処理槽からオーバーフローし、かつ、前記処理槽からオーバーフローした前記第2液が前記チャンバ外に排出されることが好ましい。第2浸漬工程において、処理槽の第2液を清浄に保つことは容易である。よって、第2浸漬工程における基板処理の品質は好適に向上する。
【0034】
上述の基板処理方法において、前記第2浸漬工程では、前記チャンバおよび前記処理槽のいずれかに連通接続される排液管が前記チャンバ外の大気に開放され、前記排液管を通じて前記第2液が前記チャンバ外に排出されることが好ましい。第2浸漬工程では、排液管はチャンバ外の大気に開放される。上述の通り、第2浸漬工程では、チャンバの内部は常圧状態にある。よって、第2浸漬工程では、排液管を通じて、チャンバ内の第2液をチャンバ外に排出することは容易である。
【0035】
ここで、チャンバ内の第2液は、例えば、処理槽に貯留される第2液を含む。排液管が処理槽に連通接続される場合、処理槽に貯留される第2液は、排液管を通じてチャンバ外に排出される。チャンバ内の第2液は、例えば、処理槽から放出され、チャンバに溜まった第2液を含む。排液管がチャンバに連通接続される場合、チャンバに溜まった第2液は、排液管を通じてチャンバ外に排出される。
【0036】
上述の基板処理方法において、前記第1常圧工程の後、前記チャンバの内部が減圧された状態において、前記チャンバ内に設置される処理槽に貯留される第2液に前記基板を浸漬する第2減圧工程と、をさらに備えることが好ましい。上述の通り、第1加圧工程では基板は乾燥されない。さらに、第1常圧工程ではチャンバの内部が常圧状態に保たれる。このため、第1常圧工程では基板は乾燥され難い。第1常圧工程の後に、第2減圧工程は実行される。よって、第1減圧工程の後で第2減圧工程の前に、基板は乾燥され難い。したがって、第2減圧工程では、基板を適切な品質で処理することは容易である。
【0037】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬されるまで、前記チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を含むことが好ましい。第1加圧工程から基板が第2液に浸漬させるまで、チャンバ内の雰囲気に含まれる有機溶剤は基板を濡らす。よって、第1減圧工程の後で第2減圧工程の前に、基板は乾燥されない。したがって、第2減圧工程では、基板は適切な品質で処理される。
【0038】
上述の基板処理方法において、前記第1加圧工程から前記基板が前記第2液に浸漬させるまで、前記混合ガスは、さらに、前記チャンバ内の前記基板に供給されることが好ましい。このため、第1加圧工程から基板が処理槽内の第2液に浸漬させるまで、チャンバ内の雰囲気は有機溶剤を好適に含む。
【0039】
本発明は、基板処理装置において、複数の基板を収容するチャンバと、前記チャンバの内部を減圧する減圧ユニットと、有機溶剤を含む第1ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第1供給ユニットと、有機溶剤と不活性ガスを含む混合ガスを前記チャンバ内の前記基板に供給する第2供給ユニットと、前記減圧ユニットと前記第1供給ユニットと前記第2供給ユニットを制御して、第1減圧処理と第1加圧処理を実行させる制御部と、を備え、前記第1減圧処理では、前記減圧ユニットが前記チャンバの内部を減圧し、かつ、前記第1供給ユニットが前記第1ガスを前記基板に供給し、前記第1加圧処理では、前記減圧ユニットが前記チャンバの内部を減圧せずに、かつ、前記第2供給ユニットが前記混合ガスを前記基板に供給する、基板処理装置である。
【0040】
制御部は、第1減圧処理と第1加圧処理を実行させるように、構成される。第1減圧処理では、減圧ユニットはチャンバの内部を減圧する。このため、第1減圧処理では、チャンバの内部は減圧された状態になる。第1減圧処理では、第1供給ユニットは第1ガスをチャンバ内の基板に供給する。第1ガスは、有機溶剤を含む。第1ガスの有機溶剤は、基板に付着し、基板を濡らす。このため、第1減圧工程では、基板は乾燥されない。第1加圧処理では、減圧ユニットはチャンバの内部を減圧しない。第1加圧処理では、第2供給ユニットは混合ガスを基板に供給する。混合ガスは、有機溶剤と不活性ガスを含む。混合ガスの不活性ガスは、チャンバ内における気体の圧力を速やかに上昇させる。混合ガスの有機溶剤は、基板に付着して、基板を濡らす。このため、第1加圧処理では、基板を乾燥させずに、チャンバの内部は減圧された状態から常圧状態へと速やかに加圧される。
【0041】
以上の通り、基板処理装置は、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと適切に加圧できる。具体的には、基板処理装置は、基板を乾燥させずに、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと速やかに加圧できる。したがって、第1加圧処理の後に基板に追加処理が行われる場合であっても、追加処理を適切な品質で行うことは容易である。
【発明の効果】
【0042】
本発明の基板処理方法および基板処理装置によれば、チャンバの内部を減圧された状態から常圧状態へと適切に加圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】第1実施形態の基板処理装置の内部を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)-4(e)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【
図5】第2実施形態の基板処理装置の内部を示す正面図である。
【
図6】第2実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)-7(d)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【
図8】第3実施形態の基板処理装置の内部を示す正面図である。
【
図9】第3実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)-11(e)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【
図12】
図12(a)-12(e)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【
図13】
図13(a)-13(e)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【
図14】
図14(a)-14(b)はそれぞれ、基板処理方法における基板処理装置1を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の基板処理方法および基板処理装置を説明する。
【0045】
<1.第1実施形態>
<1-1.基板処理装置の概要>
図1は、第1実施形態の基板処理装置1の内部を示す正面図である。基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。基板処理装置1が行う処理は、乾燥処理を含む。基板処理装置1が行う処理は、さらに、洗浄処理を含んでもよい。基板処理装置1は、バッチ式に分類される。基板処理装置1は、複数枚の基板Wを一度に処理する。
【0046】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【0047】
基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、正面視で略円形状を有する。
【0048】
基板Wは、表面を有する。基板Wの表面は、シリコン酸化膜、ポリシリコン膜、シリコン窒化膜および金属膜の少なくともいずれかを含む。
【0049】
図示を省略するが、基板Wはパターンを有する。パターンは、基板Wの表面に形成される。パターンは、凹凸形状を有する。パターンが形成される基板Wの表面を、パターン形成面と呼ぶ。
【0050】
基板処理装置1は、チャンバ3を備える。チャンバ3は、複数の基板Wを収容する。チャンバ3は、複数の基板Wを一度に収容する。基板Wはチャンバ3の内部に配置される。具体的には、チャンバ3は、空間5を区画する容器である。空間5は、チャンバ3の内部に相当する。基板Wは、空間5に配置される。
【0051】
チャンバ3は、開閉可能に構成される。チャンバ3が開くとき、空間5は開放される。チャンバ3が開くとき、空間5とチャンバ3の外部の間で基板Wが移動することを、チャンバ3は許容する。チャンバ3が閉じるとき、空間5は密閉される。すなわち、チャンバ3は密閉可能に構成される。
【0052】
基板処理装置1は、処理槽11を備える。処理槽11は、チャンバ3内に設置される。処理槽11は、処理液を貯留する。処理槽11は、上方に開放される。
【0053】
具体的には、処理槽11は、開口12aと排出口12bを有する。開口12aは処理槽11の上部に配置される。排出口12bは処理槽11の底部に配置される。
【0054】
基板処理装置1は、保持部13を備える。保持部13は、チャンバ3内に設置される。保持部13は、複数の基板Wを一度に保持する。保持部13は、各基板Wを略垂直姿勢で保持する。保持部13が基板Wを保持するとき、基板Wのパターン形成面は略鉛直である。保持部13が複数の基板Wを保持するとき、複数の基板Wは方向Xに1列に並ぶ。方向Xは、水平である。方向Xは、基板Wのパターン形成面に対して略垂直である。
【0055】
図1は、方向Xに加えて、方向Yと方向Zを示す。方向Yは、水平である。方向Yは、方向Xに垂直である。方向Zは、鉛直である。方向Zは、方向Xに垂直である。方向Zは、方向Yに垂直である。方向Zを適宜に鉛直方向Zと呼ぶ。
【0056】
基板処理装置1は、昇降機構15を備える。昇降機構15は、保持部13を昇降させる。昇降機構15は、例えば鉛直方向Zに、保持部13を移動させる。昇降機構15が保持部13を昇降させるとき、保持部13に保持される基板Wは保持部13と一体に昇降する。
【0057】
昇降機構15は、基板Wを、第1位置P1と第2位置P2に移動させる。基板Wが第1位置P1と第2位置P2の間を移動するとき、基板Wは開口12aを通過する。
図1は、第1位置P1にある基板Wを実線で示す。
図1は、第2位置P2にある基板Wを破線で示す。第1位置P1は、チャンバ3内に位置する。第1位置P1は、処理槽11の上方に位置する。基板Wが第1位置P1に位置するとき、基板Wの全体は、処理槽11内の処理液と接しない。第2位置P2は、チャンバ3内に位置する。第2位置P2は、第1位置P1の下方に位置する。第2位置P2は、処理槽11内に位置する。基板Wが第2位置P2に位置するとき、基板Wの全体は、処理槽11内の処理液中に浸漬される。
【0058】
基板処理装置1は、供給ユニット21、31、41、61を備える。供給ユニット21は、不活性ガスをチャンバ3に供給する。供給ユニット31は、処理ガスをチャンバ3に供給する。供給ユニット41は、混合ガスをチャンバ3に供給する。供給ユニット61は、第1液および第2液を処理槽11に供給する。
【0059】
基板Wが位置P1に位置するとき、供給ユニット21は不活性ガスを基板Wに供給する。基板Wが位置P1に位置するとき、供給ユニット31は処理ガスを基板Wに供給する。基板Wが位置P1に位置するとき、供給ユニット41は混合ガスを基板Wに供給する。
【0060】
供給ユニット31は、本発明における第1供給ユニットの例である。供給ユニット41は、本発明における第2供給ユニットの例である。
【0061】
供給ユニット21が供給する不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。
【0062】
供給ユニット31が供給する処理ガスについて説明する。処理ガスは、有機溶剤を含む。処理ガスは、有機溶剤の気体を含む。例えば、有機溶剤の気体は、有機溶剤の蒸気である。例えば、処理ガスにおける有機溶剤の濃度は、高い。例えば、処理ガスは、実質的に、有機溶剤の気体のみからなる。例えば、処理ガスは、実質的に、水(水蒸気)を含まない。処理ガスの有機溶剤は、親水性を有することが好ましい。例えば、処理ガスの有機溶剤は、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0063】
供給ユニット41が供給する混合ガスについて説明する。混合ガスは、有機溶剤と不活性ガスとを含む。混合ガスは、有機溶剤と不活性ガスの混合物である。混合ガスの有機溶剤は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。混合ガスの不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。
【0064】
第1実施形態では、混合ガスは、有機溶剤の液体を含む。すなわち、混合ガスの有機溶剤は、液相である。混合ガスにおける有機溶剤は、例えば、有機溶剤の液滴または有機溶剤のミストの少なくともいずれかである。
【0065】
供給ユニット61が供給する第1液について説明する。例えば、第1液は、リンス液である。例えば、第1液は、純水(DIW)である。
【0066】
供給ユニット61が供給する第2液について説明する。第2液は、希釈された有機溶剤である。第2液は、例えば、純水によって希釈された有機溶剤である。第2液は、例えば、純水と有機溶剤の混合液である。第2液の有機溶剤は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0067】
供給ユニット21の構造を例示する。供給ユニット21は、吐出部22を有する。吐出部22は、チャンバ3内に設置される。吐出部22は、処理槽11よりも高い位置に配置される。吐出部22は、方向Yにおいて、第1位置P1に位置する基板Wの両側に配置される。吐出部22は、不活性ガスをチャンバ3内に吐出する。吐出部22は、管状部材を含む。管状部材は、方向Xに延びる。管状部材は、複数の吐出口(不図示)を有する。複数の吐出口は、方向Xに並ぶ。吐出部22は、複数の吐出口から不活性ガスを吹き出す。
【0068】
供給ユニット21は、配管23と弁24を備える。配管23は、吐出部22に接続される。配管23は、さらに、供給源25に接続される。供給源25は、不活性ガスを貯留する。弁24は配管23に設けられる。弁24が開くとき、不活性ガスは配管23を通じて供給源25から吐出部22に流れる。弁24が開くとき、吐出部22は不活性ガスを吐出する。弁24が閉じるとき、不活性ガスは配管23を通じて供給源25から吐出部22に流れない。弁24が閉じるとき、吐出部22は不活性ガスを吐出しない。
【0069】
供給ユニット31の構造を例示する。供給ユニット31は、吐出部32を有する。吐出部32は、チャンバ3内に設置される。吐出部32は、処理槽11よりも高い位置に配置される。吐出部32は、方向Yにおいて、第1位置P1に位置する基板Wの両側に配置される。吐出部32は、処理ガスをチャンバ3内に吐出する。吐出部32は、例えば、吐出部22の構造と類似する構造を有する。
【0070】
供給ユニット31は、配管33と弁34を備える。配管33は、吐出部32に接続される。配管33は、さらに、供給源35に接続される。供給源35は処理ガスを貯留する。弁34は配管33に設けられる。弁34は、吐出部32による処理ガスの吐出を制御する。
【0071】
供給源35は、さらに、処理ガスを生成してもよい。図示を省略するが、供給源35は、例えば、タンクとヒータを備える。タンクは、配管33に連通接続される。タンクは、有機溶剤の液体を貯留する。ヒータは、タンク内の有機溶剤の液体を暖める。タンク内において、有機溶剤の液体は、気化して、有機溶剤の蒸気になる。すなわち、タンク内において、処理ガスが生成される。
【0072】
供給ユニット41の構造を例示する。供給ユニット41は、吐出部42を有する。吐出部42は、チャンバ3内に設置される。吐出部42は、処理槽11よりも高い位置に配置される。吐出部42は、方向Yにおいて、第1位置P1に位置する基板Wの両側に配置される。吐出部42は、混合ガスをチャンバ3内に吐出する。吐出部42は、複数(例えば20個)の二流体ノズルを含む。複数の二流体ノズルは、方向Xに2列に並ぶ。各二流体ノズルは、有機溶剤の液体と不活性ガスを混合して混合ガスを生成する。例えば、各二流体ノズルは、有機溶剤の液滴および有機溶剤のミストの少なくともいずれかを生成する。各二流体ノズルは、1つの吐出口(不図示)を有する。各二流体ノズルは、吐出口から混合ガスを吐出する。各二流体ノズルは、吐出口から有機溶剤と不活性ガスの両方を吹き出す。各二流体ノズルは、有機溶剤の液滴および有機溶剤のミストの少なくともいずれかを、不活性ガスとともに、噴射する。
【0073】
吐出部42は、本発明における第1吐出部の例である。
【0074】
供給ユニット41は、配管43、47と弁44、48を備える。配管43、47はそれぞれ、吐出部42に接続される。配管43は、さらに、供給源45に接続される。供給源45は有機溶剤の液体を貯留する。弁44は配管43に設けられる。弁44は、吐出部42に対する有機溶剤の供給を制御する。配管47は、さらに、供給源49に接続される。供給源49は不活性ガスを貯留する。弁48は配管47に設けられる。弁48は、吐出部42に対する不活性ガスの供給を制御する。弁44、48が同時に開くとき、吐出部42は混合ガスを吐出する。
【0075】
供給ユニット61の構造を例示する。供給ユニット61は、吐出部62を有する。吐出部62は、チャンバ3内に設置される。吐出部62は、処理槽11内に設置される。吐出部62は、第1液および第2液を処理槽11に吐出する。
【0076】
供給ユニット61は、配管63と弁64を備える。配管63は、吐出部62に接続される。配管63は、さらに、供給源65に接続される。供給源65は第1液を貯留する。弁64は配管63に設けられる。弁64は、吐出部62による第1液の吐出を制御する。同様に、供給ユニット61は、配管67と弁68を備える。配管67は、吐出部62に接続される。配管67は、さらに、供給源69に接続される。供給源69は第2液を貯留する。弁68は配管67に設けられる。弁68は、吐出部62による第2液の吐出を制御する。
【0077】
基板処理装置1は、減圧ユニット81を備える。減圧ユニット81は、チャンバ3の内部を減圧する。具体的には、減圧ユニット81は、チャンバ3内の気体をチャンバ3の外部に排出する。ここで、減圧ユニット81がチャンバ3の内部を減圧するとき、チャンバ3内における気体の圧力は、減少し続けてもよいし、減少し続けなくてもよい。減圧ユニット81がチャンバ3の内部を減圧するとき、チャンバ3内における気体の圧力は、例えば、所定の負圧の範囲内に維持されてもよい。
【0078】
減圧ユニット81の構造を例示する。減圧ユニット81は、配管82と排気ポンプ83を含む。配管82および排気ポンプ83はチャンバ3の外部に設けられる。配管82はチャンバ3に連通接続される。排気ポンプ83は配管82に設けられる。排気ポンプ83は、例えば、真空ポンプである。減圧ユニット81が作動するとき、排気ポンプ83は、配管82を介して、チャンバ3内の気体をチャンバ3の外部に排出する。減圧ユニット81が作動を停止するとき、排気ポンプ83は、チャンバ3内の気体をチャンバ3の外部に排出しない。
【0079】
基板処理装置1は、圧力センサ89を有する。圧力センサ89は、チャンバ3内に設置される。圧力センサ89は、チャンバ3内における気体の圧力を検出する。
【0080】
基板処理装置1は、排液ユニット95を備える。排液ユニット95は、チャンバ3内の処理液を、チャンバ3の外部に排出する。第1実施形態では、排液ユニット95は、処理槽11内の処理液を、チャンバ3の外部に排出する。排液ユニット95は、配管96とドレイン弁97を備える。配管96は、処理槽11に連通接続される。配管96は、第1端と第2端を有する。配管96の第1端は、チャンバ3内に位置する。配管96の第1端は、処理槽11に連通接続される。配管96の第1端は、排出口12bに接続される。配管96は、処理槽11から下方に延びる。配管96は、チャンバ3を貫通し、チャンバ3の内部からチャンバ3の外部に延びる。配管96の第2端は、チャンバ3外に位置する。配管96の第2端は、チャンバ3外の大気に開放される。ドレイン弁97は、配管96に設けられている。ドレイン弁97は、配管96を開閉する。ドレイン弁97が開くとき、配管96はチャンバ3の外部に開放される。ドレイン弁97が開くとき、処理槽11の内部は、配管96を通じてチャンバ3の外部に開放される。ドレイン弁97が開くとき、処理槽11内の処理液が配管96を通じてチャンバ3の外部に流出することを、排液ユニット95は許容する。ドレイン弁97が閉じるとき、処理槽11が処理液を貯留することを、排液ユニット95は許容する。
【0081】
配管96は、本発明における排液管の例である。
【0082】
図2は、基板処理装置1の制御ブロック図である。基板処理装置1は、制御部101を備える。制御部101は、基板処理装置1の各要素を制御する。具体的には、制御部101は、昇降機構15を制御する。制御部101は、供給ユニット21、31、41、61を制御する。制御部101は、弁24、34、44、48、64、68を制御する。制御部101は、減圧ユニット81を制御する。制御部101は、排気ポンプ83を制御する。制御部101は、圧力センサ89の検出結果を取得する。制御部101は、排液ユニット95を制御する。制御部101は、ドレイン弁97を制御する。
【0083】
制御部101は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。制御部101は、記憶媒体に予め格納される各種の情報を有する。制御部101が有する情報は、例えば、基板処理装置1を制御するための処理情報である。処理情報は、処理レシピとも呼ばれる。
【0084】
処理情報は、基準値を含む。基準値は、チャンバ3内における気体の圧力に関する。基準値は、基板処理方法の実行前に、予め設定されている。
【0085】
<1-2.基板処理装置の動作例>
基板処理装置1とは異なる装置(不図示)においてウェットエッチング処理を基板Wに行う。ウェットエッチング処理は、例えば、基板Wにエッチング液を供給する処理である。その後、基板Wは基板処理装置1に搬送される。チャンバ3は開く。複数の基板Wがチャンバ3内に入る。保持部13は、複数の基板Wを受ける。チャンバ3が基板Wを収容した状態で、チャンバ3は閉じる。
【0086】
チャンバ3が閉じた状態で、基板処理装置1は基板Wに基板処理方法を実行する。基板処理方法は、チャンバ3内に収容される複数の基板Wは一度に処理することである。具体的な基板処理方法を以下に例示する。
【0087】
図3は、第1実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、第1浸漬工程と第1減圧工程と第1加圧工程と判定工程と第1排液工程と第2減圧工程と乾燥工程を備える。第1浸漬工程と第1減圧工程と第1加圧工程と判定工程と第1排液工程と第2減圧工程と乾燥工程は、この順番で実行される。
【0088】
図4(a)は、第1浸漬工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図4(b)は、第1減圧工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図4(c)は、第1加圧工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図4(d)は、第1排液工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図4(e)は、第2減圧工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図4(a)-4(e)はそれぞれ、基板処理装置1を簡素に示す。例えば、
図4(a)-4(e)はそれぞれ、保持部13および昇降機構15の図示を省略する。以下の説明において、基板処理装置1の各要素は、制御部101の制御に従って、動作するものとする。
【0089】
ステップS1:第1浸漬工程
図4(a)を参照する。処理槽11は、供給ユニット61から供給された第1液L1を貯留する。昇降機構15は、基板Wを第2位置P2に移動させる。基板Wは処理槽11内の第1液L1に浸漬される。
【0090】
ステップS2:第1減圧工程(第1減圧処理)
図4(b)を参照する。供給ユニット41は処理ガスをチャンバ3内に供給する。本明細書では、第1減圧工程においてチャンバ3に供給される処理ガスを、適宜に、「第1ガスG1」と呼ぶ。減圧ユニット81は作動する。すなわち、減圧ユニット81はチャンバ3の内部を減圧する。
図4(b)中の「VAC」は、減圧ユニット81が作動中であることを示す。チャンバ3の内部は、減圧された状態(decompressed state)Dになる。チャンバの内部が減圧された状態Dであるとき、チャンバ内の気体の圧力は負圧である。第1ガスG1の雰囲気がチャンバ3内に形成される。昇降機構15は、基板Wを第2位置P2から第1位置P1に移動させる。基板Wは、処理槽11内の第1液L1から引き上げられる。チャンバ3内が減圧された状態Dにおいて、供給ユニット41は第1ガスG1をチャンバ3内の基板Wに供給する。
【0091】
基板Wは、第1ガスG1に晒される。第1ガスG1に含まれる有機溶剤の気体は、基板Wの表面において結露する。すなわち、第1ガスG1に含まれる有機溶剤の気体は、基板Wの表面において有機溶剤の液体に変わる。第1ガスG1由来の有機溶剤の液体は、基板W上に付着し、基板Wを濡らす。このため、基板Wは乾燥されない。第1ガスG1由来の有機溶剤は、基板W上の第1液L1を除去する。チャンバ3内が減圧された状態Dにあるので、基板W上において第1液L1から第1ガスG1由来の有機溶剤に速やかに置換される。第1ガスG1由来の有機溶剤は、基板Wの表面を覆う。
【0092】
ステップS3:第1加圧工程(第1加圧処理)
図4(c)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動を停止する。すなわち、減圧ユニット81はチャンバ3の内部を減圧しない。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。具体的には、供給ユニット41は、混合ガスKを生成し、かつ、生成された混合ガスKを吐出部42によってチャンバ3内に供給する。これにより、チャンバ3の内部は、減圧された状態Dから常圧状態Jへと加圧される。具体的には、混合ガスKの不活性ガスは、チャンバ3の内部を、減圧された状態Dから常圧状態Jへと速やかに加圧する。言い換えれば、混合ガスKの不活性ガスは、チャンバ3内における気体の圧力を速やかに上昇させる。不活性ガスは凝縮し難いからである。
【0093】
チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。基板Wは混合ガスKの有機溶剤を受ける。具体的には、混合ガスKに含まれる有機溶剤の液体は、基板Wに付着して、基板Wを濡らす。混合ガスKにおける有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。このため、基板Wは乾燥されない。基板Wを乾燥させずに、チャンバ3の内部は常圧状態(atmospheric pressure state)Jになる。
【0094】
常圧状態Jについて説明する。チャンバ3の内部が常圧状態Jであるとは、チャンバ3内における気体の圧力が常圧であることを意味する。常圧は、特定の1つの値ではなく、2つの異なる値で規定される範囲である。常圧は、チャンバ3の内部が減圧された状態Dにあるときのチャンバ3内における気体の圧力よりも高い。常圧は、チャンバ3の外部における気体の圧力に近い。例えば、常圧は、チャンバ3の外部における気体の圧力と実質的に等しい。例えば、常圧は、標準大気圧(1気圧、101325Pa)を含む。
【0095】
第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを第1位置P1に静止させてもよい。あるいは、第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、第1位置P1の近くで、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、基板Wを鉛直方向Zに上下動させてもよい。あるいは、昇降機構15は、さらに、基板Wを揺動させる図示しない機構を備えたものであってもよい。昇降機構15は、当該機構によって、基板Wを揺動させてもよい。基板Wが上下動または揺動する場合、基板Wの全体は、混合ガスKを好適に受ける。基板Wが上下動または揺動する場合、混合ガスKの有機溶剤は、基板Wの表面の全体に、一層均一に付着する。
【0096】
ステップS4:判定工程
制御部101は、圧力センサ89の検出結果に基づき、チャンバ3の内部が常圧状態Jになったか否かを判定する。例えば、制御部101は、圧力センサ89の検出結果に基づいて、チャンバ3内における気体の圧力の計測値を取得する。制御部101は、計測値と基準値と比較する。計測値が基準値未満であるとき、チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101は判定しない。計測値が基準値以上であるとき、チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101は判定する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定しない場合、ステップS3に戻り、第1加圧工程を継続する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定した場合、第1加圧工程を終了し、ステップS5に進む。
【0097】
ステップS5:第1排液工程 <第1常圧工程>
図4(d)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は停止中である。チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。排液ユニット95は、チャンバ3内の第1液L1をチャンバ3外に排出する。具体的には、ドレイン弁97は、配管96をチャンバ3外の大気に開放する。処理槽11に貯留される第1液L1は、配管96を通じて、チャンバ3外に排出される。このように、第1液L1は、配管96を通じて、チャンバ3の内部からチャンバ3の外部に流れる。
【0098】
第1実施形態の第1排液工程は、本発明の第1常圧工程に含まれる。
【0099】
ステップS6:第2減圧工程
図4(e)を参照する。供給ユニット41は混合ガスKを供給する。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。ドレイン弁97は閉じる。供給ユニット61は第2液L2を処理槽11に供給する。処理槽11は第2液L2を貯留する。昇降機構15は、基板Wを第1位置P1から第2位置P2に移動させる。基板Wは処理槽11内の第2液L2に浸漬される。減圧ユニット81は作動を開始する。チャンバ3の内部は常圧状態Jから減圧された状態Dになる。
【0100】
ステップS7:乾燥工程
乾燥工程の図示を省略する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット21は、不活性ガスを基板Wに供給する。不活性ガスは、基板W上の第2液L2を除去する。第2液L2が基板Wから除去されることによって、基板Wは乾燥される。
【0101】
乾燥工程の後、チャンバ3の内部は加圧される。例えば、供給ユニット21は不活性ガスを供給し、かつ、減圧ユニット81は作動を停止する。これにより、チャンバ3の内部は、減圧された状態Dから常圧状態Jになる。
【0102】
チャンバ3が常圧状態Jになった後、チャンバ3は開放される。そして、チャンバ3内の基板Wはチャンバ3外に搬出される。
【0103】
<1-3.第1実施形態の効果>
基板処理方法は、第1減圧工程と第1加圧工程を備える。第1減圧工程では、チャンバ3の内部は減圧された状態にあり、かつ、第1ガスG1がチャンバ3内の基板Wに供給される。第1ガスG1は、有機溶剤を含む。このため、第1減圧工程では基板Wは乾燥されない。第1加圧工程は、第1減圧工程の後に実行される。第1加圧工程では、混合ガスKがチャンバ3内の基板Wに供給され、かつ、チャンバ3の内部は減圧された状態Dから常圧状態Jへと加圧される。混合ガスKは、有機溶剤と不活性ガスを含む。このため、第1加圧工程では、チャンバ3の内部を、減圧された状態Dから常圧状態Jへと適切に加圧できる。具体的には、第1加圧工程において、チャンバ3内の基板Wを乾燥させずに、チャンバ3の内部を減圧された状態Dから常圧状態Jへと速やかに加圧できる。
【0104】
基板処理方法は、第1排液工程を備える。第1排液工程は、第1加圧工程の後に実行される。第1排液工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれ、かつ、排液処理が行われる。チャンバ3の内部が常圧状態Jにあるとき、チャンバ3内における気体の圧力はチャンバ3外の気体の圧力に近い。このため、第1排液工程における排液処理を行うことは容易である。よって、第1排液工程は好適に実行される。
【0105】
混合ガスKは、有機溶剤の液体を含む。混合ガスKにおける有機溶剤の液体は、基板Wの表面に付着して、基板Wを好適に濡らす。よって、基板Wが乾燥されることを混合ガスKは好適に防止する。
【0106】
第1加圧工程では、混合ガスKが生成され、かつ、生成された混合ガスKが吐出部42によってチャンバ3内に供給される。言い換えれば、第1加圧工程では、チャンバ3内において混合ガスKは生成されない。このため、第1加圧工程では、チャンバ3内に供給される不活性ガスは、有機溶剤を伴う。第1加圧工程では、チャンバ3内に供給される不活性ガスは、有機溶剤から分離されていない。このため、基板Wは不活性ガスのみを受けない。基板Wは不活性ガスとともに有機溶剤を受ける。よって、第1加圧工程では、基板Wの乾燥は、一層確実に防止される。例えば、第1加圧工程は、乾燥された部分を基板Wが有することを、好適に防止する。例えば、第1加圧工程では、基板Wの全体的な乾燥のみならず、基板Wの部分的な乾燥も、好適に防止される。例えば、第1加圧工程では、基板Wの全体的な乾燥のみならず、基板Wの局所的な乾燥も、好適に防止される。
【0107】
基板処理方法は、さらに、第1浸漬工程を備える。第1浸漬工程は、第1減圧工程の前に実行される。第1浸漬工程では、基板Wは、処理槽11に貯留される第1液L1に浸漬される。処理槽11は、チャンバ3内に設置される。第1排液工程では、第1液L1がチャンバ3外に排出される。上述の通り、第1排液工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。よって、第1排液工程では、チャンバ3内の第1液L1をチャンバ3の外部に排出することは容易である。
【0108】
第1排液工程では、配管96がチャンバ3外の大気に開放される。配管96は、処理槽11に連通接続される。上述の通り、第1排液工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jにある。このため、第1排液工程では、第1液L1の自重によって、第1液L1は配管96を通じてチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に流れる。第1排液工程では、第1液L1は配管96を通じてチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に、自然に流れる。第1排液工程では、第1液L1をチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に強制的に送ることを要しない。よって、第1排液工程では、配管96を通じて、チャンバ内3の第1液L1をチャンバ3外に排出することは容易である。
【0109】
基板処理方法は、第2減圧工程を備える。第2減圧工程では、チャンバ3の内部が減圧された状態にあり、かつ、基板Wは処理槽11に貯留される第2液L2に浸漬される。上述の通り、第1加圧工程では基板Wは乾燥されない。さらに、第1排液工程ではチャンバ3の内部が常圧状態Jに保たれる。このため、第排液工程では基板Wは乾燥され難い。第2減圧工程は、第1排液工程の後に実行される。よって、第1減圧工程の後で第2減圧工程の前に、基板Wは乾燥され難い。したがって、第2減圧工程では、基板Wを適切な品質で処理することは容易である。
【0110】
第1加圧工程から基板Wが処理槽11の第2液L2に浸漬されるまで、チャンバ3内の雰囲気は有機溶剤を含む。このため、第1加圧工程から基板Wが第2液L2に浸漬させるまで、チャンバ3内の雰囲気に含まれる有機溶剤は基板Wを濡らす。よって、第1減圧工程の後で第2減圧工程の前に、基板Wは乾燥されない。したがって、第2減圧工程では、基板Wは適切な品質で処理される。
【0111】
第1加圧工程から基板Wが処理槽11の第2液L2に浸漬させるまで、混合ガスKは、さらに、チャンバ3内の基板Wに供給される。このため、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬させるまで、チャンバ3内の雰囲気は有機溶剤を好適に含む。
【0112】
基板処理装置1、チャンバ3と、供給ユニット31、41と、減圧ユニット81と、制御部101を備える。チャンバ3は、複数の基板Wを収容する。供給ユニット31は、第1ガスG1をチャンバ3内の基板Wに供給する。供給ユニット41は、混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は、チャンバ3の内部を減圧する。制御部101は、供給ユニット31、41と、減圧ユニット81を制御して、第1減圧処理と第1加圧処理を実行させる。第1減圧処理では、減圧ユニット81がチャンバ3の内部を減圧し、かつ、供給ユニット31が第1ガスG1を基板Wに供給する。第1加圧処理は、第1減圧処理の後に実行される。第1加圧処理では、減圧ユニット81がチャンバ3の内部を減圧せずに、かつ、供給ユニット41が混合ガスKを基板Wに供給する。このため、第1加圧処理は、基板Wを乾燥させずに、チャンバ3の内部を減圧された状態Dから常圧状態Jへと速やかに加圧する。よって、基板処理装置1は、チャンバ3の内部を減圧された状態Dから常圧状態Jへと適切に加圧できる。したがって、第1加圧処理の後、第2減圧工程における基板処理は好適に実行される。
【0113】
<2.第2実施形態>
図面を参照して、第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0114】
<2-1.基板処理装置の概要>
図5は、第2実施形態の基板処理装置1の内部を示す正面図である。
【0115】
上述の通り、混合ガスKは、有機溶剤と不活性ガスとを含む。第2実施形態では、混合ガスKは、有機溶剤の気体を含む。すなわち、混合ガスKの有機溶剤は、気相である。例えば、混合ガスKにおける有機溶剤の気体は、有機溶剤の蒸気である。例えば、混合ガスKは、有機溶剤の蒸気と不活性ガスを含む。例えば、混合ガスKの有機溶剤は、イソプロピルアルコールである。例えば、混合ガスKの不活性ガスは、窒素ガスである。
【0116】
供給ユニット41の構造を例示する。供給ユニット41は、吐出部52を有する。吐出部52は、チャンバ3内に設置される。吐出部52は、処理槽11よりも高い位置に配置される。吐出部52は、方向Yにおいて、第1位置P1に位置する基板Wの両側に配置される。吐出部52は、混合ガスKをチャンバ3内に吐出する。吐出部52は、例えば、吐出部22の構造と類似する構造を有する。
【0117】
吐出部52は、本発明における第1吐出部の例である。
【0118】
供給ユニット41は、配管53と弁54を備える。配管53は、吐出部52に接続される。配管53は、さらに、供給源55に接続される。供給源55は混合ガスKを貯留する。弁54は配管53に設けられる。弁54は、吐出部52による混合ガスKの吐出を制御する。
【0119】
供給源55は、さらに、混合ガスKを生成してもよい。図示を省略するが、供給源55は、例えば、タンクとヒータを備える。タンクは、配管53に連通接続される。タンクは、有機溶剤の液体を貯留する。タンクは、さらに不活性ガスを貯留する。ヒータは、タンク内の有機溶剤の液体を暖める。タンク内において、有機溶剤の液体は、気化して、有機溶剤の蒸気になる。タンク内において、有機溶剤の蒸気と不活性ガスは、混合されて、混合ガスKになる。すなわち、タンク内において、混合ガスKが生成される。
【0120】
第2実施形態では、供給ユニット61は、第1液L1を供給しない。このため、第2実施形態では、供給ユニット61は、配管63と弁64と供給源65を備えない。
【0121】
図示を省略するが、制御部101は、弁54を制御する。
【0122】
<2-2.基板処理装置の動作例>
図6は、第2実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、ステップS11-S14を含む。基板処理方法は、第1減圧工程と第1加圧工程と判定工程と第2浸漬工程と乾燥工程を備える。第1減圧工程と第1加圧工程と判定工程と第2浸漬工程と乾燥工程は、この順番で実行される。
【0123】
図7(a)は、第1減圧工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図7(b)は、第1加圧工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図7(c)は、第2浸漬工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図7(d)は、乾燥工程における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図7(a)-7(d)はそれぞれ、基板処理装置1を簡素に示す。
【0124】
ステップS11:第1減圧工程(第1減圧処理)
図7(a)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81はチャンバ3の内部を減圧する。チャンバ3の内部は、減圧された状態Dになる。チャンバ3内が減圧された状態Dにおいて、供給ユニット31は第1ガスG1をチャンバ3内の基板Wに供給する。基板Wは、第1ガスG1由来の有機溶剤を受ける。基板Wは乾燥されない。
【0125】
ステップS12:第1加圧工程(第1加圧処理)
図7(b)を参照する。第2実施形態の第1加圧工程は、第1実施形態の第1加圧工程と実質的に同じである。要するに、基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は、作動を停止し、チャンバ3の内部を減圧しない。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。具体的には、供給ユニット41は、混合ガスKを生成し、かつ、生成された混合ガスKを吐出部52によってチャンバ3内に供給する。これにより、チャンバ3の内部は、減圧された状態Dから常圧状態Jへと加圧される。
【0126】
チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。基板Wは混合ガスKの有機溶剤を受ける。具体的には、混合ガスKに含まれる有機溶剤の気体は、基板Wの表面において結露する。すなわち、混合ガスKにおける有機溶剤の気体は、基板Wの表面において有機溶剤の液体に変わる。混合ガスK由来の有機溶剤の液体は、基板W上に付着して、基板Wを濡らす。混合ガスK由来の有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。このため、基板Wは乾燥されない。基板Wを乾燥させずに、チャンバ3の内部は常圧状態Jになる。
【0127】
第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを第1位置P1に静止させてもよい。あるいは、第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、第1位置P1の近くで、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、基板Wを鉛直方向Zに上下動させてもよい。あるいは、昇降機構15は、さらに、基板Wを揺動させる図示しない機構を備えたものであってもよい。昇降機構15は、当該機構によって、基板Wを揺動させてもよい。基板Wが上下動または揺動する場合、基板Wの全体は、混合ガスKを好適に受ける。基板Wが上下動または揺動する場合、混合ガスK由来の有機溶剤は、基板Wの表面の全体に、一層均一に付着する。
【0128】
ステップS13:判定工程
制御部101は、圧力センサ89の検出結果に基づき、チャンバ3の内部が常圧状態Jになったか否かを判定する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定しない場合、ステップS12に戻り、第1加圧工程を継続する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定した場合、第1加圧工程を終了し、ステップS14に進む。
【0129】
ステップS14:第2浸漬工程 <第1常圧工程>
図7(c)を参照する。減圧ユニット81は停止中である。チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。供給ユニット41は混合ガスKの供給を停止する。処理槽11は、供給ユニット61から供給された第2液L2を貯留する。昇降機構15は、基板Wを第1位置P1から第2位置P2に移動させる。基板Wは処理槽11内の第2液L2に浸漬される。
【0130】
第2実施形態の第2浸漬工程は、本発明の第1常圧工程に含まれる。
【0131】
ステップS15:乾燥工程
図7(d)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は、作動を開始し、チャンバ3の内部を減圧する。チャンバ3の内部は常圧状態Jから減圧された状態Dになる。供給ユニット21は、不活性ガスNを基板Wに供給する。不活性ガスは、基板W上の第2液L2を除去する。基板Wは乾燥される。
【0132】
<2-3.第2実施形態の効果>
第2実施形態によって、第1実施形態と同様な効果を奏する。例えば、第2実施形態の基板処理方法によっても、チャンバ3の内部を減圧された状態Dから常圧状態Jへと適切に加圧できる。さらに、第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0133】
混合ガスKは、有機溶剤の気体を含む。混合ガスKにおける有機溶剤の気体は、基板Wの表面において結露し、基板Wの表面において有機溶剤の液体に変わる。混合ガスK由来の有機溶剤は、基板Wを好適に濡らす。よって、基板Wが乾燥されることを混合ガスKは好適に防止する。
【0134】
基板処理方法は、第2浸漬工程を備える。第2浸漬工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれ、かつ、基板Wは処理槽11に貯留される第2液L2に浸漬される。第2浸漬工程は、第1加圧工程の後に実行される。第1加圧工程では基板は乾燥されない。このため、第1減圧工程の後で第2浸漬工程の前に、基板Wは乾燥されない。よって、第2浸漬工程では、基板Wは適切な品質で処理される。
【0135】
第1加圧工程から基板Wが処理槽11の第2液L2に浸漬させるまで、チャンバ3内の雰囲気は有機溶剤を含む。このため、第1加圧工程から基板Wが処理槽11の第2液L2に浸漬させるまで、チャンバ3内の雰囲気に含まれる有機溶剤は基板を濡らす。よって、第1減圧工程の後で第2浸漬工程の前に、基板Wは乾燥されない。したがって、第2浸漬工程では、基板Wは適切な品質で処理される。
【0136】
なお、第2実施形態の第2浸漬工程では、混合ガスKはチャンバ3内に供給されないが、チャンバ3内の雰囲気は有機溶剤を含む。その理由は、以下の通りである。第1加圧工程では、混合ガスKの雰囲気がチャンバ3内に形成される。第2浸漬工程では、チャンバ3の内部が減圧されない。このため、第2浸漬工程では、混合ガスKの雰囲気はチャンバ3内に残る。よって、第2浸漬工程においても、チャンバ3の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。
【0137】
<3.第3実施形態>
図面を参照して、第3実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0138】
<3-1.基板処理装置の概要>
図8は、第3実施形態の基板処理装置1の内部を示す正面図である。
基板処理装置1は、供給ユニット71を備える。供給ユニット71は、撥水剤をチャンバ3に供給する。基板Wが位置P1に位置するとき、供給ユニット71は撥水剤を基板Wに供給する。
【0139】
供給ユニット71が供給する撥水剤について説明する。撥水剤は、基板Wの表面を撥水化させる。撥水剤は、基板Wの表面を撥水性に改質する。撥水剤は、基板Wの表面と水との接触角を大きくする。撥水剤は、基板Wの表面に撥水膜を形成する。基板Wの表面は、撥水剤でコーティングされる。撥水剤は、界面改質剤とも呼ばれる。撥水剤は、疎水化剤とも呼ばれる。
【0140】
撥水剤は、例えば、シリコン系撥水剤およびメタル系撥水剤の少なくともいずれかを含む。シリコン系撥水剤は、シリコンを撥水化させる。シリコン系撥水剤は、シリコンを含む化合物を撥水化させる。シリコン系撥水剤は、たとえば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、たとえば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシラン(TMS)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、および、非クロロ系撥水剤の少なくとも一つを含む。非クロロ系撥水剤は、たとえば、ジメチルシリルジメチルアミン、ジメチルシリルジエチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、N-(トリメチルシリル)ジメチルアミン、および、オルガノシラン化合物の少なくとも一つを含む。メタル系撥水剤は、金属を撥水化させる。メタル系撥水剤は、金属を含む化合物を撥水化させる。メタル系撥水剤は、たとえば、疎水基を有するアミン、および、有機シリコン化合物の少なくとも一つを含む。
【0141】
撥水剤は、さらに、溶媒を含んでもよい。例えば、溶媒は、シリコン系撥水剤およびメタル系撥水剤の少なくともいずれかを希釈してもよい。溶媒は、有機溶媒と相溶解性を有することが好ましい。溶媒は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を少なくともいずれかを含む。
【0142】
撥水剤は、撥水剤の気体および撥水剤の液体の少なくともいずれかを含む。供給ユニット71は、撥水剤の気体および撥水剤の液体の少なくともいずれかを供給する。例えば、撥水剤の気体は、撥水剤の蒸気である。
【0143】
供給ユニット71の構造を例示する。供給ユニット71は、吐出部72を有する。吐出部72は、チャンバ3内に設置される。吐出部72は、処理槽11よりも高い位置に配置される。吐出部72は、方向Yにおいて、第1位置P1に位置する基板Wの両側に配置される。吐出部72は、撥水剤をチャンバ3内に吐出する。吐出部72は、例えば、吐出部22の構造と類似する構造を有する。
【0144】
供給ユニット71は、配管73と弁74を備える。配管73は、吐出部72に接続される。配管73は、さらに、供給源75に接続される。供給源75は撥水剤を貯留する。弁74は配管73に設けられる。弁74は、吐出部72による撥水剤の吐出を制御する。
【0145】
基板処理装置1は、ダンプユニット91を備える。ダンプユニット91は、処理槽11内の処理液を放出する。チャンバ3は、処理槽11から放出された処理液を受ける。処理槽11から放出された処理液は、チャンバ3の底部に溜まる。ダンプユニット91は、ダンプ弁92を備える。ダンプ弁92は、チャンバ3の内部に設置される。ダンプ弁92は、処理槽11の底部に取り付けられる。ダンプ弁92は、排出口12bに連通接続する。ダンプ弁92が開くとき、処理液がダンプ弁92を通じて処理槽11の内部から処理槽11の外部に流れ落ちることを、ダンプユニット91は許容する。ダンプ弁92が閉じるとき、処理槽11が処理液を貯留することをダンプユニット91は許容する。
【0146】
排液ユニット95は、チャンバ3内の処理液を、チャンバ3の外部に排出する。第3実施形態では、排液ユニット95は、チャンバ3の底部に溜まった処理液を、チャンバ3の外部に排出する。排液ユニット95は、ドレイン弁97に加えて、配管99を備える。配管99は、チャンバ3の外部に設けられる。配管99は、チャンバ3に連通接続される。配管99は、第1端と第2端を有する。配管99の第1端は、チャンバ3に連通接続される。配管99の第1端は、チャンバ3の底部に接続される。配管99は、チャンバ3から下方に延びる。配管99の第2端は、チャンバ3外の大気に開放される。ドレイン弁97は、配管99に設けられている。ドレイン弁97は、配管99を開閉する。ドレイン弁97が開くとき、配管99はチャンバ3の外部に開放される。ドレイン弁97が開くとき、チャンバ3の内部は、配管99を通じてチャンバ3の外部に開放される。ドレイン弁97が開くとき、チャンバ3内の処理液が配管96を通じてチャンバ3の外部に流れることを、排液ユニット95は許容する。ドレイン弁97が閉じるとき、チャンバ3の内部が減圧された状態Dになることを、排液ユニット95は許容する。
【0147】
配管99は、本発明における排液管の例である。
【0148】
図示を省略するが、制御部101は、供給ユニット71を制御する。制御部101は、弁74を制御する。制御部101は、ダンプユニット91を制御する。制御部101は、ダンプ弁92を制御する。
【0149】
<3-2.基板処理装置の動作例>
図9、10はそれぞれ、第3実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、ステップS21-S38を含む。ステップS21-S27は、この順番で実行される。ステップS28-S29は、ステップS27の後で、ステップS30の前に実行される。ステップS30-S38は、この順番で実行される。
【0150】
図11(a)-11(e)、12(a)-12(e)、13(a)-13(e)、14(a)-14(b)はそれぞれ、ステップS21-S30、S32-S38における基板処理装置1を模式的に示す図である。
図11(a)-11(e)等はそれぞれ、基板処理装置1を簡素に示す。
【0151】
ステップS21:第1供給工程
図11(a)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。チャンバ3の内部は、常圧状態Jにある。供給ユニット61は第2液L2を処理槽11に供給する。ダンプ弁92は閉じられている。処理槽11は第1液L1を貯留する。その後、供給ユニット61は第1液L1の供給を停止する。
【0152】
ステップS22:第1浸漬工程
図11(b)を参照する。チャンバ3の内部は、常圧状態Jにある。昇降機構15は、基板Wを第1位置P1から第2位置P2に移動させる。基板Wは処理槽11内の第1液L1に浸漬される。
【0153】
ステップS23:雰囲気形成工程
図11(c)を参照する。基板Wは、第2位置P2に位置し、処理槽11内の第1液L1に浸漬される。供給ユニット21は、不活性ガスNをチャンバ3内に供給する。減圧ユニット81は作動を開始する。ドレイン弁97は閉じられている。チャンバ3の内部は常圧状態Jから減圧された状態Dになる。第1液L1に基板Wを浸漬した状態において、不活性ガスNの雰囲気がチャンバ3内に形成される。
【0154】
ステップS24:雰囲気形成工程
図11(d)を参照する。基板Wは、第2位置P2に位置し、処理槽11内の第1液L1に浸漬される。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット21は、不活性ガスNの供給を停止する。供給ユニット31は、第1ガスG1をチャンバ3内に供給する。第1液L1に基板Wを浸漬した状態において、第1ガスG1の雰囲気がチャンバ3内に形成される。
【0155】
ステップS24の雰囲気形成工程は、本発明における第1雰囲気工程の例である。
【0156】
ステップS25:第1ガス処理工程
図11(e)を参照する。減圧ユニット81は作動中である。すなわち、減圧ユニット81はチャンバ3の内部を減圧する。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット31は、第1ガスG1をチャンバ3内に供給する。昇降機構15は、基板Wを第2位置P2から第1位置P1に移動させる。チャンバ3の内部が減圧された状態Dにおいて、基板Wは、処理槽11内の第1液L1から処理槽11の上方に引き上げられる。供給ユニット31は、第1ガスG1を基板Wに供給する。基板Wは、第1ガスG1由来の有機溶剤を受ける。第1ガスG1由来の有機溶剤は、基板W上の第1液L1を除去する。第1ガスG1由来の有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。
【0157】
第1ガス処理工程は、本発明における第1減圧工程の例である。第1ガス処理工程の処理は、本発明における第1減圧処理の例である。
【0158】
ステップS26:ダンプ工程
図12(a)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。供給ユニット31は、第1ガスG1をチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。ダンプ弁92は開く。ダンプユニット91は第1液L1を処理槽11から放出する。ドレイン弁97は閉じられている。第1液L1は、チャンバ3の底部に溜まる。
【0159】
ステップS27:撥水処理工程
図12(b)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット31は第1ガスG1の供給を停止する。供給ユニット71は撥水剤Hをチャンバ3内の基板Wに供給する。撥水剤Hは、基板Wに付着する。基板W上において、第1ガスG1由来の有機溶剤から撥水剤Hに置換される。撥水剤Hは、基板Wの表面を覆う。撥水剤Hは、基板Wを撥水化する。
【0160】
基板W上の撥水剤Hの一部は、撥水膜に変わる。撥水膜は、基板Wの表面に形成される。基板W上の撥水剤Hの他の一部は、撥水剤Hの未反応分となる。撥水剤Hの未反応分は、反応せず、基板W上にそのまま残る。撥水剤Hの未反応分は、撥水剤Hの残留分、または、撥水剤Hの余剰分とも呼ばれる。さらに、基板W上の撥水剤Hの別の一部は、パーティクルに変わることがある。パーティクルは、異物とも呼ばれる。撥水剤H由来のパーティクルは、例えば、撥水剤Hが有機溶剤と接触することによって生成される。撥水剤H由来のパーティクルは、例えば、撥水剤Hが基板Wと接触することによって生成される。さらに、撥水剤Hの未反応分は、撥水剤H由来のパーティクルになることがある。
【0161】
その後、供給ユニット71は撥水剤Hの供給を停止する。
【0162】
ステップS28:第2ガス処理工程(第1減圧工程/第1減圧処理)
図12(c)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット31は処理ガスをチャンバ3内の基板Wに供給する。本明細書では、第2ガス処理工程においてチャンバ3に供給される処理ガスを、適宜に、「第2ガスG2」と呼ぶ。基板Wは、第2ガスG2由来の有機溶剤を受ける。第2ガスG2由来の有機溶剤は、基板W上における未反応の撥水剤Hを除去する。第2ガスG2由来の有機溶剤は、基板W上における撥水剤H由来のパーティクルを除去する。第2ガスG2由来の有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。その後、供給ユニット31は第2ガスG2の供給を停止する。
【0163】
ステップS29:散布工程
図12(d)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット41は、混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。基板Wは、混合ガスKの有機溶剤を受ける。混合ガスKの有機溶剤は、基板W上における未反応の撥水剤Hを除去する。混合ガスKの有機溶剤は、基板W上における撥水剤H由来のパーティクルを除去する。混合ガスK由来の有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。
【0164】
散布工程では、昇降機構15は、基板Wを第1位置P1に静止させてもよい。あるいは、散布工程では、昇降機構15は、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、第1位置P1の近くで、基板Wを上下動させてもよい。例えば、昇降機構15は、基板Wを鉛直方向Zに上下動させてもよい。あるいは、昇降機構15は、さらに、基板Wを揺動させる図示しない機構を備えたものであってもよい。昇降機構15は、当該機構によって、基板Wを揺動させてもよい。基板Wが上下動または揺動する場合、基板Wの全体は、混合ガスKを好適に受ける。基板Wが上下動または揺動する場合、混合ガスKの有機溶剤は、基板Wの表面の全体に、一層均一に付着する。
【0165】
ここで、第2ガス処理工程と散布工程は、任意の順序で実行されてもよい。例えば、第2ガス処理工程の前に、散布工程が実行されてもよい。例えば、第2ガス処理工程の後に、散布工程が実行されてもよい。例えば、第1散布工程は、第2ガス処理工程と同時に実行されてもよい。
【0166】
第2ガス処理工程は、本発明における第1減圧工程の例である。第2ガス処理工程の処理は、本発明における第1減圧処理の例である。散布工程は、本発明における第1減圧工程の例である。散布工程の処理は、本発明における第1減圧処理の例である。
【0167】
ステップS30:第1加圧工程(第1加圧処理)
図12(e)を参照する。第3実施形態の第1加圧工程は、第1実施形態の第1加圧工程と実質的に同じである。要するに、基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は、作動を停止し、チャンバ3の内部を減圧しない。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。これにより、チャンバ3の内部は、減圧された状態Dから常圧状態Jへと加圧される。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。基板Wは混合ガスKの有機溶剤を受ける。このため、基板Wは乾燥されない。
【0168】
第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを第1位置P1に静止させてもよい。あるいは、第1加圧工程では、昇降機構15は、基板Wを上下動または揺動させてもよい。
【0169】
ステップS31:判定工程
制御部101は、圧力センサ89の検出結果に基づき、チャンバ3の内部が常圧状態Jになったか否かを判定する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定しない場合、ステップS30に戻り、第1加圧工程を継続する。チャンバ3の内部が常圧状態Jになったと制御部101が判定した場合、第1加圧工程を終了し、ステップS32に進む。
【0170】
ステップS32:第1排液工程 <第1常圧工程>
図13(a)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は停止中である。チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。排液ユニット95は、チャンバ3内の第1液L1をチャンバ3外に排出する。具体的には、ドレイン弁97は、配管99をチャンバ3外の大気に開放する。チャンバ3の底部に溜まった第1液L1は、配管99を通じて、チャンバ3外に排出される。このように、第1液L1は、配管99を通じて、チャンバ3の内部からチャンバ3の外部に流れる。
【0171】
第3実施形態の第1排液工程は、本発明の第1常圧工程に含まれる。
【0172】
ステップS33:第2供給工程 <第1常圧工程>
図13(b)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は停止中である。チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。チャンバ内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。ダンプ弁92は閉じる。供給ユニット61は第2液L2を処理槽11に供給する。処理槽11は第2液L2を貯留する。
【0173】
第2供給工程は、本発明における供給工程の例である。第2供給工程は、本発明の第1常圧工程に含まれる。
【0174】
ステップS34:第2浸漬工程 <第1常圧工程>
図13(c)を参照する。供給ユニット41は混合ガスKをチャンバ3内の基板Wに供給する。減圧ユニット81は停止中である。チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれる。チャンバ3内の雰囲気は、混合ガスKの有機溶剤を含む。昇降機構15は、基板Wを第1位置P1から第2位置P2に移動させる。基板Wは処理槽11内の第2液L2に浸漬される。第2液L2は基板Wを洗浄する。例えば、第2液L2は、基板W上における未反応の撥水剤Hを除去する。例えば、第2液L2は、基板W上における撥水剤H由来のパーティクルを除去する。
【0175】
排液ユニット95は、チャンバ3内の第2液L2をチャンバ3外に排出する。排液ユニット95は、処理槽11からオーバーフローした第2液L2をチャンバ3外に排出する。具体的には、供給ユニット61は第2液L2を処理槽11に供給し続ける。ダンプ弁92は閉じている。第2液L2は、処理槽11の開口12aからオーバーフローする。第2液L2が処理槽11からオーバーフローするとき、基板Wから除去された撥水剤Hも、処理槽11からオーバーフローする。第2液L2が処理槽11からオーバーフローするとき、基板Wから除去された撥水剤H由来のパーティクルも、処理槽11からオーバーフローする。処理槽11からオーバーフローした第2液L2は、チャンバ3の底部に溜まる。ドレイン弁97は、開いている。配管99はチャンバ3外の大気に開放されている。チャンバ3の底部に溜まった第2液L2は、配管99を通じてチャンバ3外に流れる。
【0176】
第3実施形態の第2浸漬工程は、本発明の第1常圧工程に含まれる。
【0177】
ステップS35:雰囲気形成工程
図13(d)を参照する。基板Wは、第2位置P2に位置し、処理槽11内の第2液L2に浸漬される。供給ユニット61は第2液L2の供給を停止する。ドレイン弁97は閉じる。供給ユニット41は混合ガスKの供給を停止する。供給ユニット31は処理ガスをチャンバ3内に供給する。本明細書では、第2浸漬工程の後にチャンバ3に供給される処理ガスを、適宜に、「第3ガスG3」と呼ぶ。減圧ユニット81は作動を開始する。チャンバ3の内部は常圧状態Jから減圧された状態Dになる。第3ガスG3の雰囲気がチャンバ3内に形成される。
【0178】
ステップS36:第3ガス処理工程
図13(e)を参照する。供給ユニット31は、第3ガスG3をチャンバ3内に供給する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。昇降機構15は、基板Wを第2位置P2から第1位置P1に移動させる。基板Wは、処理槽11内の第2液L2から引き上げられる。供給ユニット31は、第3ガスG3を基板Wに供給する。基板Wは、第3ガスG3由来の有機溶剤を受ける。第3ガスG3由来の有機溶剤は、基板W上の第2液L2を除去する。第3ガスG3由来の有機溶剤の液体は、基板Wの表面を覆う。
【0179】
ステップS37:乾燥工程
図14(a)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。減圧ユニット81は作動中である。チャンバ3の内部は減圧された状態Dに保たれる。供給ユニット31は第3ガスG3の供給を停止する。供給ユニット21は、不活性ガスNを供給する。不活性ガスNは、基板W上の有機溶剤を除去する。基板Wは乾燥される。
【0180】
ステップS38:第2加圧工程
図14(b)を参照する。基板Wは第1位置P1に位置する。供給ユニット21は、不活性ガスNを供給する。減圧ユニット81は作動を停止する。チャンバ3の内部は、減圧された状態Dから常圧状態Jへと加圧される。
【0181】
<3-3.第3実施形態の効果>
第3実施形態によって、第1実施形態と同様な効果を奏する。例えば、第3実施形態の基板処理方法によっても、チャンバ3の内部を減圧された状態Dから常圧状態Jへと適切に加圧できる。さらに、第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0182】
第1ガス処理工程(S25)は、上述の通り、本発明における第1減圧工程の例である。第1ガス処理工程では、チャンバ3の内部が減圧された状態Dにおいて、基板Wが第1液L1から処理槽11の上方に引き上げられる。このため、第1ガス処理工程において基板Wが処理槽11内の第1液L1から引き上げられるときまで、処理槽11は第1液L1を貯留する。ここで、第1ガス処理工程において基板Wが処理槽11内の第1液L1から引き上げられるとき、チャンバ3の内部は既に減圧された状態Dにある。チャンバ3の内部が減圧された状態Dになるまで、処理槽11は第1液L1を貯留する。チャンバ3の内部が減圧された状態Dにある限り、チャンバ3の内部からチャンバ3の外部に第1液L1を排出することは困難である。しかしながら、第1加圧工程が、第1ガス処理工程の後で第1排液工程の前に実行される。このため、第1排液工程を実行することは容易である。このように、チャンバ3の内部が減圧された状態Dになるまで処理槽11が第1液L1を貯留する場合、第1加圧工程は著しく有用である。
【0183】
基板処理方法は、ステップS24の雰囲気形成工程を備える。ここで、ステップS24の雰囲気形成工程を、第1雰囲気形成工程と呼ぶ。第1雰囲気形成工程は、第1ガス処理工程(S25)の前に実行される。第1雰囲気形成工程では、基板Wは第1液L1に浸漬されており、かつ、第1ガスG1の雰囲気がチャンバ3内に形成される。このため、第1ガス処理工程では、基板Wが処理槽11内の第1液L1から引き上げられたときから、基板Wは第1ガスG1の雰囲気に晒される。よって、第1ガス処理工程における基板処理の品質は好適に向上される。
【0184】
基板処理方法は、第2供給工程(S33)を備える。第2供給工程は、第1排液工程の後に実行される。第2供給工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jに保たれ、かつ、第2液L2が処理槽11に供給される。このため、チャンバ3内の第1液L1がチャンバ3外に排出された後に、第2液L2が処理槽11に供給される。よって、第2供給工程において第2液L2を処理槽11に供給することは、容易である。さらに、第2供給工程ではチャンバ3の内部は常圧状態にある。よって、第2供給工程において第2液L2を処理槽11に供給することは、一層容易である。その結果、第2供給工程において第2液L2を処理槽11に貯留させることは、容易である。第1排液工程と第2供給工程の組み合わせによって、処理槽11において第1液L1から第2液L2に置換することは、容易である。
【0185】
第1加圧工程(S30)の後、第2浸漬工程(S34)が実行される。第2浸漬工程では、基板Wは、処理槽11の第2液L2に浸漬される。第1加圧工程から基板Wが処理槽11の第2液L2に浸漬されるまで、混合ガスKは、さらに、チャンバ3内の基板Wに供給される。このため、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬させるまで、チャンバ3内の雰囲気は有機溶剤を好適に含む。よって、第1減圧工程の後で第2浸漬工程の前に、基板Wは乾燥されない。したがって、第2浸漬工程では、基板Wは適切な品質で処理される。
【0186】
第2浸漬工程では、さらに、第2液L2はチャンバ3外に排出される。第2浸漬工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jにある。よって、第2浸漬工程では、チャンバ3内の第2液L2をチャンバ3外に排出することは容易である。
【0187】
第2浸漬工程では、第2液L2は処理槽11からオーバーフローし、かつ、処理槽11からオーバーフローした第2液L2はチャンバ3外に排出される。このため、第2浸漬工程において、処理槽11内の第2液L2を清浄に保つことは容易である。よって、第2浸漬工程における基板処理の品質は好適に向上する。
【0188】
第2浸漬工程では、配管99がチャンバ3外の大気に開放される。配管99は、チャンバ3に連通接続される。上述の通り、第2浸漬工程では、チャンバ3の内部は常圧状態Jにある。このため、第2浸漬工程では、第2液L2の自重によって、第2液L2は配管99を通じてチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に流れる。第2浸漬工程では、第2液L2は配管99を通じてチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に、自然に流れる。第2浸漬工程では、第2液L2をチャンバ3の内部からチャンバ3の外部に強制的に送ることを要しない。よって、第2浸漬工程では、配管99を通じて、チャンバ3内の第2液L2をチャンバ3外に排出することは容易である。
【0189】
本発明は、第1-第3実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0190】
(1)第1、第3実施形態では、混合ガスKは、有機溶剤の液体を含む。第2実施形態では、混合ガスKは、有機溶剤の気体を含む。但し、これに限られない。混合ガスKは、有機溶剤の気体および有機溶剤の液体の少なくともいずれかを含んでもよい。本変形実施形態によっても、混合ガスK由来の有機溶剤は基板Wを好適に濡らす。よって、基板Wが乾燥されることを混合ガスKは好適に防止する。
【0191】
(2)第1-第3実施形態では、混合ガスKは、有機溶剤を含む。ここで、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、希釈された有機溶剤であってもよい。例えば、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、純水によって希釈された有機溶剤である。
【0192】
あるいは、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、希釈されていない有機溶剤であってもよい。例えば、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、実質的に、有機溶剤の液体のみからなる。例えば、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、有機溶剤の原液である。例えば、混合ガスKに含まれる有機溶剤は、実質的に、水を含まない。
【0193】
(3)第1-第3実施形態では、混合ガスKがチャンバ3内に供給される期間を例示した。但し、これに限られない。混合ガスKがチャンバ3内に供給される期間を、変更してもよい。
【0194】
第1実施形態では、第1加圧工程(S3)から第2減圧工程(S6)まで、混合ガスKはチャンバ3内に供給された。但し、これに限られない。例えば、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、混合ガスKはチャンバ3内に供給されてもよい。基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬された後、混合ガスKの供給は停止されてもよい。本変形実施形態によれば、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。
【0195】
第2実施形態の第2浸漬工程(S14)では、混合ガスKはチャンバ3内に供給されなかった。但し、これに限られない。例えば、第2浸漬工程(S14)では、混合ガスKはチャンバ3に供給されてもよい。本変形実施形態によれば、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。
【0196】
あるいは、第1加圧工程(S12)から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、混合ガスKをチャンバ3内に供給されてもよい。基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬された後、混合ガスKの供給は停止されてもよい。本変形実施形態によっても、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。
【0197】
第3実施形態では、第1加圧工程(S30)から第2浸漬工程(S34)まで、混合ガスKはチャンバ3内に供給された。但し、これに限られない。例えば、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、混合ガスKはチャンバ3内に供給されてもよい。基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬された後、混合ガスKの供給は停止されてもよい。本変形実施形態によれば、第1加圧工程から基板Wが処理槽11内の第2液L2に浸漬されるまで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。
【0198】
あるいは、第1加圧工程の後、混合ガスKの供給は停止される。すなわち、第1排液工程(S32)と第2供給工程(S33)と第2浸漬工程(S34)では、混合ガスKはチャンバ3内に供給されない。本変形実施形態によっても、第1加圧工程から第2浸漬工程まで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。本変形実施形態の場合、第1加圧工程では、混合ガスKの雰囲気がチャンバ3内に形成される。第1排液工程と第2供給工程と第2浸漬工程では、チャンバ3の内部は減圧されない。このため、第1加圧工程の後、第2浸漬工程まで、混合ガスKの雰囲気はチャンバ3内に残る。よって、本変形実施形態によっても、第1加圧工程から第2浸漬工程まで、チャンバ3内の雰囲気は混合ガスKの有機溶剤を好適に含む。
【0199】
(4)第1実施形態では、排液ユニット95の配管96は、処理槽11に連通接続される。第1実施形態の第1排液工程(S5)では、処理槽11内の第1液L1は、配管96を通じてチャンバ3外に排出される。但し、これに限られない。例えば、配管96は、チャンバ3に連通接続されてもよい。例えば、配管96は、第3実施形態の配管99と類似の構成に変更されてもよい。例えば、第1実施形態の第1排液工程では、チャンバ3に溜まった第1液L1が、配管96を通じてチャンバ3外に排出されてもよい。
【0200】
(5)第3実施形態では、排液ユニット95の配管99は、チャンバ3に連通接続される。第3実施形態の第1排液工程(S32)では、チャンバ3に溜まった第1液L1は、配管99を通じてチャンバ3外に排出される。第3実施形態の第2浸漬工程(S34)では、チャンバ3に溜まった第2液L2は、配管99を通じてチャンバ3外に排出される。但し、これに限られない。例えば、配管99は、処理槽11に連通接続されてもよい。例えば、配管99は、第1実施形態の配管96と類似の構成に変更されてもよい。例えば、第3実施形態の第1排液工程では、処理槽11内の第1液L1が、配管99を通じてチャンバ3外に排出されてもよい。例えば、第3実施形態の第2浸漬工程では、処理槽11内の第2液L2が、配管99を通じてチャンバ3外に排出されてもよい。
【0201】
(6)第1、第3実施形態では、処理槽11に供給する第1液L1として、リンス液および純水を例示した。但し、これに限られない。例えば、第1液L1は、希釈された有機溶剤であってもよい。例えば、第1液L1は、純水によって希釈された有機溶剤であってもよい。
【0202】
(7)第1-第3実施形態では、処理槽11に供給する第2液L2として、希釈された有機溶剤を例示した。但し、これに限られない。例えば、第2液L2は、リンスであってもよい。例えば、第2液L2は、純水であってもよい。
【0203】
(8)第1-第3実施形態では、供給ユニット21、31、41、61、71の構成を例示した。但し、これに限られない。供給ユニット21、31、41、61、71の構成を適宜に変更してもよい。
【0204】
第1-第3実施形態では、不活性ガスN、第1ガスG1、混合ガスK、撥水剤Hは、互いに異なる吐出部22、32、42、52、72から吐出された。但し、これに限られない。不活性ガスN、第1ガスG1、混合ガスKおよび撥水剤Hの少なくとも2つは、同じ吐出部から吐出されてもよい。
【0205】
供給ユニット61は、生成された第2液L2を処理槽11に供給した。但し、これに限られない。供給ユニット61は、処理槽11内で第2液L2を生成してもよい。例えば、供給ユニット61は、希釈されていない有機溶剤と純水を個別に処理槽11に供給してもよい。
【0206】
第3実施形態の散布工程(S29)では、混合ガスKがチャンバ3内の基板Wに散布された。但し、これに限れない。例えば、散布工程では、第3液が、チャンバ3内の基板Wに散布されてもよい。例えば、散布工程では、第3液が、不活性ガスを伴わずに、散布されてもよい。例えば、散布工程では、第3液が、シャワーヘッドノズルによって、散布されてもよい。ここで、第3液は、例えば、有機溶剤の液体を含む。
【0207】
(9)第1-第3実施形態および上記(1)から(8)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 … 基板処理装置
3 … チャンバ
11 … 処理槽
31 … 供給ユニット(第1供給ユニット)
41 … 供給ユニット(第2供給ユニット)
42 … 吐出部(第1吐出部)
52 … 吐出部(第1吐出部)
61 … 供給ユニット
81 … 減圧ユニット
89 … 圧力センサ
95 … 排液ユニット
96 … 配管(排液管)
99 … 配管(排液管)
101 … 制御部
D … 減圧された状態
G1 … 第1ガス
G2 … 第2ガス
J … 常圧状態
K … 混合ガス
L1 … 第1液
L2 … 第2液
P1 … 第1位置
P2 … 第2位置
W … 基板