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特許7692309ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステム
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  • 特許-ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステム 図1
  • 特許-ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステム 図2
  • 特許-ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-05
(45)【発行日】2025-06-13
(54)【発明の名称】ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/78 20060101AFI20250606BHJP
【FI】
G06F15/78 514
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021135347
(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公開番号】P2023030295
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2024-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 一夫
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113127063(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0097444(US,A1)
【文献】特開2008-257549(JP,A)
【文献】特開平4-304549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータに対する入力信号をラッチするラッチ回路と、
前記マイクロコンピュータがスリープ状態にあるスリープ期間中に前記入力信号が前記ラッチ回路に入力されたことを検出する検出回路と、
前記スリープ期間中に前記入力信号の入力が検出された場合に,前記マイクロコンピュータにウェイクアップ信号を送信するウェイクアップ回路と、
前記入力信号を前記ラッチ回路から読み出すサンプリング回路と、
前記サンプリング回路によって読み出された前記入力信号を前記ウェイクアップ信号に基づいて前記スリープ状態から復帰した前記マイクロコンピュータへ送信する送信回路と、
前記入力信号の読み出し後、前記ラッチ回路のラッチ状態を解除する解除回路と、
を備えるラッチ回路装置。
【請求項2】
前記送信回路が、前記ラッチ回路から読み出された複数の入力信号をシリアル信号に変換し、シリアル通信回線を介して前記マイクロコンピュータへ送信する請求項1に記載のラッチ回路装置。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータが前記スリープ状態ではない通常状態にある場合に、
前記サンプリング回路が、前記マイクロコンピュータから定期的に読み出し要求信号を受信し、前記読み出し要求信号を契機に前記ラッチ回路から前記入力信号を読み出し、
前記送信回路が、前記サンプリング回路によって読み出された前記入力信号を前記マイクロコンピュータへ送信し、
前記入力信号が前記マイクロコンピュータに受信された後、前記解除回路が前記ラッチ回路のラッチ状態を解除する、
請求項1又は2に記載のラッチ回路装置。
【請求項4】
前記解除回路が、前記入力信号を受信したマイクロコンピュータから解除信号を受信した場合に、前記ラッチ回路のラッチ状態を解除する、
請求項1~3の何れか1項に記載のラッチ回路装置。
【請求項5】
マイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータへの入力信号をラッチした後、前記マイクロコンピュータへ送信するラッチ回路装置と、を備えるポートサンプリングシステムであって、
前記マイクロコンピュータが、
当該マイクロコンピュータを通常状態又はスリープ状態に移行させる制御部と、
前記ラッチ回路装置から前記入力信号を受信する受信回路と、を備え、
前記ラッチ回路装置が、
前記マイクロコンピュータに対する入力信号をラッチするラッチ回路と、
前記マイクロコンピュータがスリープ状態にあるスリープ期間中に前記入力信号が前記ラッチ回路に入力されたことを検出する検出回路と、
前記スリープ期間中に前記入力信号の入力が検出された場合に,前記マイクロコンピュータにウェイクアップ信号を送信するウェイクアップ回路と、
前記入力信号を前記ラッチ回路から読み出すサンプリング回路と、
前記サンプリング回路によって読み出された前記入力信号を前記ウェイクアップ信号に基づいて前記スリープ状態から復帰した前記マイクロコンピュータへ送信する送信回路と、
前記入力信号の読み出し後、前記ラッチ回路のラッチ状態を解除する解除回路と、を備える、
ポートサンプリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ回路装置及びポートサンプリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、CPUによりレジスタに設定されたサンプリング周期に基づいて出力ポートの出力レベルを周期的に変化させ、データラッチ部が、出力レベルの変化を起点とし、タイミング信号に基づいて入力ポートに与えられるデータをラッチすると、そのラッチしたデータをデータレジスタに格納する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-171927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば車載装置に用いられるマイクロコンピュータにおいては、装置の多機能化などに伴い、入力される信号の数が増加する傾向にある。しかしながらマイクロコンピュータの入力ポートの数には限りがあり、所要の信号を全て入力できるとは限らないという問題があった。このため複数の入力信号をパラレル/シリアル変換し、シリアル通信路を介してマイクロコンピュータへ入力することも考えられるが、スリープ状態のマイクロコンピュータへの入力を行う場合、マイクロコンピュータをスリープ状態から復帰させ、入力信号を変換してマイクロコンピュータへ入力するまでの間に入力信号の値が変化してしまうことが考えられ、適切に入力が行えるとは限らないという問題があった。
【0005】
本発明は、複数の入力信号をマイクロコンピュータへ入力する場合に、入力のために占有する入力ポートの数を抑制すると共に、マイクロコンピュータのスリープ中に生じた信号をウェイクアップ後に入力することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示のラッチ回路装置は、
マイクロコンピュータに対する入力信号をラッチするラッチ回路と、
前記マイクロコンピュータがスリープ状態にあるスリープ期間中に前記入力信号が前記ラッチ回路に入力されたことを検出する検出回路と、
前記スリープ期間中に前記入力信号の入力が検出された場合に,前記マイクロコンピュータにウェイクアップ信号を送信するウェイクアップ回路と、
前記入力信号を前記ラッチ回路から読み出すサンプリング回路と、
前記サンプリング回路によって読み出された前記入力信号を前記ウェイクアップ信号に基づいて前記スリープ状態から復帰した前記マイクロコンピュータへ送信する送信回路と、
前記入力信号の読み出し後、前記ラッチ回路のラッチ状態を解除する解除回路と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の入力信号をマイクロコンピュータへ入力する場合に、入力のために占有する入力ポートの数を抑制すると共に、マイクロコンピュータのスリープ中に生じた信号をウェイクアップ後に入力することが可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ポートサンプリングシステムの構成を示す図である。
図2】入力信号をパラレル/シリアル変換する処理の説明図である。
図3】ポートサンプリングシステムにおけるシリアル通信、ポートサンプリング、ラッチクリア、ウェイクアップのタイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0010】
図1は、ポートサンプリングシステム1の構成を示す図である。本実施形態のポートサンプリングシステム1は、マイクロコンピュータ10と、当該マイクロコンピュータ10への入力信号をラッチし、このラッチした入力信号をマイクロコンピュータ10へ送信するラッチ回路装置20とを備える。ラッチ回路装置20は、ラッチ回路21及びマルチ入力IC22を備える。また、ポートサンプリングシステム1は、電源を備えても良いし、外部の電源から電力の供給を受ける構成であってもよい。本実施形態のポートサンプリングシステム1は、車載装置に用いられ、車側のバッテリーから電力の供給を受け、ECU(Electronic Control Unit)から入力信号が入力される。なお、ポートサンプリングシ
ステム1は、車載装置に用いられるものに限定されない。
【0011】
<マイクロコンピュータ>
マイクロコンピュータ10は、制御部11と、割り込み回路12と、シリアル通信回路13と、出力回路14と、ポートP11~P19とを備える。マイクロコンピュータ10は、これらの構成が1つのICに備えられた所謂ワンチップマイコンである。
【0012】
制御部11は、プロセッサやメモリから構成され、マイクロコンピュータ10における各種の演算処理を統括的に実行する。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing
Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの演算処理手段である。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などであり、主記憶部や補助記憶部として用いられる。
【0013】
制御部11は、シリアル通信回路13を介して入力信号の読み出し要求を定期的にラッチ回路装置20へ送信する。また、制御部11は、読み出し要求に応じて読み出された入力信号をマルチ入力IC22からシリアル通信回路13を介して取得し、入力信号に応じた処理を実行する。更に、制御部11は、ウェイクアップ信号やスリープ信号といった割り込み信号に応じて、マイクロコンピュータ10を通常状態又はスリープ状態へ移行させるための処理を行う。なお、スリープ状態への移行については、制御部11がラッチ回路装置20やその他の入力信号によって総合的に判断し移行するようにしてもよい。
【0014】
割り込み回路12は、割り込み信号を受けた場合に、これを制御部11に入力する。例えば、割り込み信号としてウェイクアップ信号を受けた場合、これを制御部11に通知し、スリープ状態から通常状態へ移行するためのウェイクアップ処理を行わせる。また、割り込み信号としてスリープ信号を受けた場合、これを制御部11に通知し、通常状態からスリープ状態へ移行するためのスリープ処理を行わせる。なお、割り込み回路12は、スリープ中であっても割り込み信号の監視を行う。また、割り込み回路12は、ウェイクアップ信号を受けた場合、電力供給用のリレーを動作させて制御部11やシリアル通信回路13、出力回路14といった各機能部への電力の供給を開始させてもよい。また、割り込み回路12は、制御部11によるスリープ処理が完了した場合に、電力供給用のリレーを開き、制御部11やシリアル通信回路13、出力回路14といった各機能部への電力の供
給を停止させてもよい。
【0015】
シリアル通信回路13は、ラッチ回路装置20のマルチ入力IC22との間でシリアル通信を行う。シリアル通信回路13は、マルチ入力IC22から入力信号を受信する受信回路、又はマルチ入力IC22へ信号を送信する送信回路の一形態である。
【0016】
出力回路14は、外部の装置へ信号を出力する回路である。例えば、マイクロコンピュータ10が、マルチ入力IC22から入力信号を受信した場合に、ラッチクリア信号(解除信号)をラッチ回路21へ送り、ラッチ状態を解除させる。
【0017】
ポートP11~P19は、外部の信号線と接続し、マイクロコンピュータ内への信号の入力、又はマイクロコンピュータ内から外部への信号の出力を行う端子である。
【0018】
<ラッチ回路装置>
ラッチ回路装置20は、マイクロコンピュータ10に対する複数の入力信号D1~D9が、ECU等の他の装置から入力される。このうち入力信号D4~D9は、マイクロコンピュータ10がスリープ状態のときに入力された場合に、ウェイクアップ信号を送出してマイクロコンピュータ10をウェイクアップさせる信号(以下、ウェイクアップ対象信号とも称す)である。図1では、入力信号D1~D3が、信号線L1~L3を介してマルチ入力IC22の入力ポートP21~P23に直接入力される。一方、入力信号D4~D9は、信号線L4~L9を介してラッチ回路21に入力され、ラッチ回路21からマルチ入力IC22のポートP24~P29に入力される。
【0019】
ラッチ回路21は、入力信号が入力された場合に、この入力信号を保持する回路であり、例えば、入力信号が入力されていない状態がLoであって、入力信号が入力されたことでHiとなった場合に、このHiの状態を保持する。また、ラッチ回路21は、入力信号が入力されていない状態をHiとし、入力信号が入力されたことでLoとなった場合に、このLoの状態を保持する構成であってもよい。ラッチ回路21は、例えばフリップフロップである。また、ラッチ回路21は、クリア端子211を備え、このクリア端子211がマイクロコンピュータ10の出力ポートP19と接続され、マイクロコンピュータ10が入力信号の受信を完了した際にクリア信号をラッチ回路21へ送信する。ラッチ回路21は、マイクロコンピュータ10の出力ポートP19からクリア端子211にクリア信号を受けた場合に、ラッチ回路21のラッチ状態を解除し、入力信号が入力されていない状態(初期状態)とする解除回路212を備える。
【0020】
マルチ入力IC22は、ポートサンプリング回路23と、CR発振回路24と、シリアル通信回路25と、ポートP21~P29、P31~P34を備えている。
【0021】
ポートサンプリング回路23は、読み出し要求に応じて入力信号D1~D9の読み出しを行う。また、ポートサンプリング回路23は、CR発振回路24によって生成されたクロック信号に基づくタイミングで、入力信号D1~D9の読み出しを行う。マイクロコンピュータ10は、シリアル通信回路13を介して定期的に読み出し要求をマルチ入力IC22へ送信するので、ポートサンプリング回路23は、定期的に入力信号D1~D9の読み出しを行う。
【0022】
また、ポートサンプリング回路23は、マイクロコンピュータ10がスリープ状態にあるスリープ期間中に、入力信号D4~D9がラッチ回路21に入力されたことを検出する。即ち本実施形態のポートサンプリング回路23は、検出回路の一形態である。更に、ポートサンプリング回路23は、スリープ期間中に入力信号D4~D9の入力が検出された場合に,マイクロコンピュータ10にウェイクアップ信号を送信する。即ち、ポートサン
プリング回路23は、ウェイクアップ回路の一形態である。
【0023】
シリアル通信回路25は、ポートサンプリング回路23によって読み出された入力信号をマイクロコンピュータへ送信する。ここで、入力信号が、マイクロコンピュータ10のスリープ期間中に入力された場合、ウェイクアップ信号に応じてマイクロコンピュータ10がウェイクアップ処理を行い、スリープ状態から復帰したマイクロコンピュータ10へ送信する。本実施形態のシリアル通信回路25は、送信回路の一形態である。
【0024】
マルチ入力IC22のシリアル通信回路25と、マイクロコンピュータ10のシリアル通信回路13とは、シリアル通信回線30によって接続されている。シリアル通信回線30は、通信線31~35を有し、このうち通信線31~34の一端がマイクロコンピュータ10のポートP11~P14と接続され、他端がマルチ入力IC22のポートP31~P34と接続されている。通信線31は、通信の同期をとるためのクロック信号が、マイクロコンピュータ10から送信される。通信線32は、マイクロコンピュータ10がデータを送信する線、即ち、マルチ入力IC22がデータを受信する線である。通信線33は、マルチ入力IC22がデータを送信する線、即ち、マイクロコンピュータ10がデータを受信する線である。通信線34は、マイクロコンピュータ10が通信相手を示すためにチップセレクト信号を送信する線である。
【0025】
このように本実施形態では、マイクロコンピュータ10とマルチ入力IC22とのシリアル通信のために、4本の通信線31~34を用いたが、この構成に限定されるものではない。例えば通信線31~34の一部を省略してもよい。通信線35は、一端がマイクロコンピュータ10のポートP15と接続され、他端が他のICチップ39に接続されている。通信線31~33は、ICチップ39とも接続され、ICチップ39とマルチ入力IC22とで共用される。通信線35は、マイクロコンピュータ10がICチップ39と通信する場合にチップセレクト信号を送出する線(セレクト用通信線)である。このようにマルチ入力IC22以外のICチップと通信する場合、通信線31~33を共用し、セレクト用通信線をICチップの数だけ追加すればよい。マイクロコンピュータ10は、例えば、通信相手のセレクト用通信線にチップセレクト信号を送信し、チップセレクト信号を受信しているICチップが、通信線31~33を用いてマイクロコンピュータ10と通信する。
【0026】
また、シリアル通信回路25は、入力ポートP21~P29を介して読み出した入力信号をパラレル/シリアル変換する。図2は、入力信号をパラレル/シリアル変換する処理の説明図である。図2に示すように、シリアル通信回路25は、入力ポートP21~P29からパラレルに読み出した入力信号D1~D9を所定の順序でシリアルに並べてシリアル信号42とする。パラレル/シリアル変換する。読み出した入力信号をシリアル信号に変換し、この返還後のシリアル信号をマイクロコンピュータ10へ通信線33を介して送信する。これにより9種類の入力信号を1本の通信線33を介して1つの入力ポートに入力することができ、複数の入力信号を送信する場合に占有する入力ポートの数を抑制することができる。
【0027】
<動作>
図3は、ポートサンプリングシステム1におけるシリアル通信、ポートサンプリング、ラッチクリア、ウェイクアップのタイミングを示すタイムチャートである。図3では横軸が時間の経過を示す図である。図3において、タイミングT1は、ポートサンプリングシステム1に電源を接続した時点である。例えば、ポートサンプリングシステム1のラッチ回路装置20やマイクロコンピュータ10を備えた車載装置を車輌に搭載し、車載装置と車輛側のバッテリーとを接続したタイミングがT1である。この電源の接続により、ラッチ回路装置20やマイクロコンピュータ10は、初期設定を行う。例えば、マルチ入力I
C22のポートP24~P29のうち、どのポートに入力があった場合にマイクロコンピュータ10をウェイクアップさせるか、入力信号D4~D9がLoからHiとなったエッジを有効エッジとするか若しくはHiからLoとなったエッジを有効エッジとするか、又は入力信号D1~D9がどのようになった場合にマイクロコンピュータ10をスリープ状態に移行させるか等の設定情報をレジスタに設定する。
【0028】
初期設定が終了したタイミングT2の後、ラッチ回路装置20及びマイクロコンピュータ10は通常動作を行う。例えば、マイクロコンピュータ10が、シリアル通信回路13を介してマルチ入力IC22へ読み出し要求を行う。読み出し要求を受けたマルチ入力IC22は、入力ポートP21~P29に入力される入力信号の読み出し(サンプリング)を行い、シリアル通信回路25を介して読み出した入力信号をマイクロコンピュータ10へ送信する。入力信号の受信を完了した場合に、マイクロコンピュータ10は出力ポートP19からラッチ回路21のクリア端子211へクリア信号41を送信する。クリア信号41を受信したラッチ回路21は、ラッチしている入力信号の状態をクリアする。この読み出し要求からラッチ回路21のクリアまでの処理は、マイクロコンピュータ10が通常状態の間、即ちスリープ状態となるまでの間、所定の周期で繰り返す。
【0029】
マイクロコンピュータ10がスリープ状態となった場合(T3)、マイクロコンピュータ10は、シリアル通信など通常の動作を行わず、マルチ入力IC22が入力ポートP21~P29に入力される入力信号の読み出し(サンプリング)を定期的に行う。そして、マルチ入力IC22は、読み出した入力信号がウェイクアップの条件を満たすか、例えばウェイクアップ対象信号の何れかが入力された場合に、ウェイクアップ信号をマイクロコンピュータ10へ送信する。
【0030】
ウェイクアップ信号を受信したマイクロコンピュータ10が、ウェイクアップ処理を行ってウェイクアップした場合(T4)、マイクロコンピュータ10及びラッチ回路装置20は、通常動作時と同様に読み出し要求からラッチ回路21のクリアまでの処理を行う。
【0031】
<実施形態の効果>
上述のように、本実施形態のポートサンプリングシステム1では、マイクロコンピュータ10のスリープ期間中に入力信号が入力され、ラッチ回路21にラッチされた場合に、マイクロコンピュータ10へウェイクアップ信号を送信してウェイクアップさせ、ウェイクアップ後のマイクロコンピュータ10にラッチした入力信号を送信する。
【0032】
これにより、本実施形態のポートサンプリングシステム1は、マイクロコンピュータ10のスリープ期間中に入力された入力信号を適切にマイクロコンピュータ10へ送ることができる。
【0033】
本実施形態のポートサンプリングシステム1は、ラッチ回路21から読み出された複数の入力信号をシリアル信号に変換し、シリアル通信回線30を介してマイクロコンピュータ10へ送信する。これにより、本実施形態のポートサンプリングシステム1は、多数の入力信号をマイクロコンピュータ10へ入力する場合でも占有する入力ポートの数を抑制することができる。例えば本実施形態では、4本の通信線31~34でシリアル通信を行っており、マイクロコンピュータ10のポートP11~P14を使用して、9つの入力信号(このうち6つがウェイクアップ対象信号)を送信でき、使用するポートP11~P14の数を5つ抑制している。また、本実施形態のポートサンプリングシステム1は、マルチ入力IC22がシリアル通信線31~34を他のICチップと共用しており、入力信号の伝達のために占有するマイクロコンピュータ10のポートP14が、実質的に1つとなっており、効果的に占有する入力ポートの数を抑制することができる。
【0034】
本実施形態のポートサンプリングシステム1は、マイクロコンピュータ10が通常状態にある場合に、ポートサンプリング回路23が、マイクロコンピュータ10から定期的に読み出し要求信号を受信し、読み出し要求信号を契機にラッチ回路から入力信号を読み出し、この読み出された入力信号をマイクロコンピュータへ送信する。また、入力信号がマイクロコンピュータ10に受信された後、解除回路がラッチ回路のラッチ状態を解除する。これにより本実施形態のポートサンプリングシステム1は、通常状態においても前述のスリープ期間中と同様に入力信号をマイクロコンピュータ10へ送ることができ、多数の入力信号をマイクロコンピュータ10へ入力する場合でも占有する入力ポートの数を抑制することができる。
【0035】
本実施形態のポートサンプリングシステム1は、ラッチ回路21の解除回路212が、入力信号を受信したマイクロコンピュータ10から解除信号41を受信した場合に、ラッチ回路21のラッチ状態を解除する。これにより、ウェイクアップ対象信号を一旦ラッチして、マイクロコンピュータ10へ入力するといった処理を繰り返し継続して行うことができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ポートサンプリングシステム
10 マイクロコンピュータ
11 制御部
12 割り込み回路
13 シリアル通信回路
14 出力回路
15 ポート
20 ラッチ回路装置
21 ラッチ回路
23 ポートサンプリング回路
24 CR発振回路
25 シリアル通信回路
30 シリアル通信回線
31~35 通信線
41 クリア信号
42 シリアル信号
211 クリア端子
212 解除回路
D1~D9 入力信号
22 マルチ入力IC
L1~L9 信号線
P11~P19 ポート
P21~P29 ポート
P31~P34 ポート
図1
図2
図3