(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-05
(45)【発行日】2025-06-13
(54)【発明の名称】組換えコラーゲン、調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/78 20060101AFI20250606BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20250606BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20250606BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20250606BHJP
A61L 15/32 20060101ALI20250606BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20250606BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250606BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250606BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20250606BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250606BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20250606BHJP
【FI】
C07K14/78 ZNA
A61K8/65
A61K9/06
A61K38/39
A61L15/32 300
A61P17/02
A61P43/00 105
C12N1/19
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
(21)【出願番号】P 2024533060
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(86)【国際出願番号】 CN2022133595
(87)【国際公開番号】W WO2023098523
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-11-11
(31)【優先権主張番号】202111470250.8
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 21891
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 21892
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522314304
【氏名又は名称】江蘇創健医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU TRAUTEC MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】28 Shuanglong Road,JintanDevelopment Zone,Changzhou,Jiangsu 213251,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】王 麗萍
(72)【発明者】
【氏名】劉 慧敏
(72)【発明者】
【氏名】蒋 ▲ウェン▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】銭 晨明
(72)【発明者】
【氏名】程 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】銭 松
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110747198(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110003324(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109988234(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106554410(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第00699752(EP,A2)
【文献】米国特許第05710252(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110029111(CN,A)
【文献】特表2023-521531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00-14/825
C12N 15/00-90
C12N 1/00-38
C12P 21/00-08
A61K 38/00-58
A61K 8/00-99
A61K 9/00-72
A61L 15/00-64
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α1(I)M1又はα1(II)M6である組換えコラーゲンのα1鎖であって、前記のα1(I)M1は、ヒトI型のコラーゲンのα1鎖の天然の全長アミノ酸配列がアミノ酸変異することにより得られ、前記のα1(II)M6は、ヒトII型のコラーゲンのα1鎖天然の全長アミノ酸配列がアミノ酸変異することにより得られ、前記のα1(I)M1の配列は、SEQ ID NO:2に示され、前記のα1(II)M6の配列は、SEQ ID NO:5に示されることを特徴とする、組換えコラーゲンのα1鎖。
【請求項2】
請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖をコードする、ヌクレオチド。
【請求項3】
前記のコードα1(I)M1のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:3に示され、前記のコードα1(II)M6のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:6に示されることを特徴とする、請求項2に記載のヌクレオチド。
【請求項4】
請求項2に記載のヌクレオチドを含む、組換え発現ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載の組換え発現ベクターを含むピキアパストリス(Pichia pastoris)である、エンジニアリング菌。
【請求項6】
請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖を発現するピキアパストリス(Pichia pastoris)である、エンジニアリング菌。
【請求項7】
前記のエンジニアリング菌は、中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託されており、寄託番号は、CGMCC NO.21891又はCGMCC NO.21892であり、その中で、寄託番号がCGMCC NO.21891であるエンジニアリング菌は、組換えα1(I)M1コラーゲンのα1鎖を発現し、寄託番号がCGMCC NO.21892であるエンジニアリング菌は、組換えα1(II)M6コラーゲンのα1鎖を発現することを特徴とする、請求項5に記載のエンジニアリング菌。
【請求項8】
前記のエンジニアリング菌は、中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託されており、寄託番号は、CGMCC NO.21891又はCGMCC NO.21892であり、その中で、寄託番号がCGMCC NO.21891であるエンジニアリング菌は、組換えα1(I)M1コラーゲンのα1鎖を発現し、寄託番号がCGMCC NO.21892であるエンジニアリング菌は、組換えα1(II)M6コラーゲンのα1鎖を発現することを特徴とする、請求項6に記載のエンジニアリング菌。
【請求項9】
前記の組換えコラーゲンのα1鎖を調製するための、請求項4に記載の組換え発現ベクター又は請求項5~8のいずれか一項に記載のエンジニアリング菌の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項11】
医薬品、医療機器、生体材料、組織工学製品又は化粧品であって、請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖
、又は請求項
10に記載の組成物を含むことを特徴とする、製品。
【請求項12】
細胞に接着、支持、成長・遊走の空間を提供する材料又は栄養物質や代謝産物を輸送するチャネルである材料であることを特徴とする、請求項
11に記載の製品。
【請求項13】
前記の製品は、コラーゲンヒドロゲルであることを特徴とする、請求項
12に記載の製品。
【請求項14】
請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖、請求項2~3のいずれか一項に記載のヌクレオチド、請求項4に記載の組換え発現ベクター、請求項5~8のいずれか一項に記載のエンジニアリング菌
、又は請求項
10に記載の組成物の、医薬品、医療機器、生体材料、組織工学製品、又は化粧
品を調製するための使用。
【請求項15】
請求項1に記載の組換えコラーゲンのα1鎖、請求項2~3のいずれか一項に記載のヌクレオチド、請求項4に記載の組換え発現ベクター、請求項5~8のいずれか一項に記載のエンジニアリング菌
、又は請求項
10に記載の組成物の、創傷修復又は組織再生の促進用製品を調製するための使用。
【請求項16】
前記
医薬品、医療機器、生体材料、組織工学製品、又は化粧品は、コラーゲンヒドロゲルであることを特徴とする、請求項
14に記載の使用。
【請求項17】
前記の製品は、コラーゲンヒドロゲルであることを特徴とする、請求項
15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えコラーゲン、調製方法及びその使用に関し、特に組換え発現した全長コラーゲンのα1鎖、調製方法及びその使用に関し、コラーゲン発現の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
I、II型のコラーゲンは、ヒト体内の典型的な線維芽細胞コラーゲンであり、3本のαペプチド鎖で構成されており、各αペプチド鎖にはアミノ末端のペプチド領域、特徴的な(G-X-Y)nトリプレット反復配列領域、及びカルボキシ末端のペプチド領域という3つの部分が含まれる。
【0003】
I型のコラーゲンは、2本のα1鎖と1本のα2鎖で構成されており、ヒト体内に最も豊富なタイプのコラーゲンで、筋肉、皮膚、動脈壁、線維軟骨に含まれている。II型のコラーゲンは、3本のα1鎖で構成されており、主に軟骨組織、硝子体、角膜に分布し、成人の軟骨基質コラーゲンの総量の90%以上を占め、軟骨と骨の形成、骨の成長、成熟した軟骨の維持などに不可欠な成分である。
【0004】
重要な天然生体タンパク質であるコラーゲンは、良好な生体適合性、生体活性、分解性などの独特の機能的特徴を有し、化学工業、医薬品、食品、化粧品などの多くの分野で広く使用され、特に様々な生体医療機器の調製に適しており、最も理想的な生体材料源であり、幅広い適用の可能性がある。
【0005】
市販されているコラーゲンは、主に動物組織を酸、アルカリ、酵素加水分解法で処理して得られるコラーゲンの抽出物であり、加工中に激しく分解され、生物活性が失われ、抽出されたコラーゲンペプチドは、長さが異なり、性質が不均一で、品質が不安定であり、狂牛病や口蹄疫などのウイルス感染の安全性リスクをもたらす。同時に、動物由来とヒト由来のコラーゲンのアミノ酸配列は、大きく異なり、免疫拒絶やアレルギー症状を引き起こす可能性がある異種タンパク質である。
【0006】
組換えコラーゲンを遺伝子工学技術により生成すれば、これらの欠陥を効果的に回避できる。既存の組換えコラーゲン発現法では、哺乳動物細胞の発現系、昆虫細胞(バキュロウイルス)の発現系、トランスジェニック動植物などの発現系は、コストが高く、収量が低く、サイクルが長いため、科学研究レベルで主に使用されている。大規模工業生産では、ヒトコラーゲンは、主に原核生物(大腸菌)発現系とピキアパストリス発現系によって発現される。大腸菌では、タンパク質の翻訳後修飾がなく、大規模発現は細胞内発現であり、細胞の溶解が必要で、大量に生成される不純物の宿主タンパク質と天然に存在する(細胞壁成分)エンドトキシン、ペプチドグリカンの除去は、複雑な精製が必要である。しかし、ピキアパストリスにとって、ヒトコラーゲンは結局のところ外因性タンパク質であり、発現するとより多くの細胞内リソース(依存するメタノール代謝経路は、最大30%の細胞可溶性タンパク質を発現することができ)を占有し、細胞は外因性タンパク質に対応する調整を行うことになり、典型的な状況として、組換えタンパク質は激しい分解を受けるが、ヒトI型及びII型のコラーゲンのα1鎖は1000個のアミノ酸を超える長いペプチド鎖であり、分解されやすくなっている。
【0007】
成熟ヒトI、II型のコラーゲンのα1鎖配列は、アミノテロペプチド、三重らせん領域、及びカルボキシルテロペプチドという3つの部分が含まれ、ヒトI型のコラーゲンのα1鎖(以下、本明細書ではα1(I)という)の全長は1057個のアミノ酸(AA、amino acid)であり、ヒトII型のコラーゲンα1鎖(以下、本明細書ではα1(II)という)の全長は1060AAである。ピキアパストリスを用いたヒトα1(I)鎖の発現に関する研究や特許は数多くあるが、ヒトα1(II)鎖の発現に関する研究や特許は少ない。全長α1(I)鎖及び全長α1(II)鎖を発現するピキアパストリスに対する既存の研究結果のうち、ほとんどの研究は、成熟した全長α1(I)鎖ではなく、α1(I)鎖の配列の一部のみを発現していた。いくつかの開示された結果は、全長のα1(I)鎖を発現しているが、それらはすべて発現中に標的生成物と基本的に同じ割合を占める主な分解生成物を生成し、ラウリル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE、sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis)では、全長α1鎖の標的バンド(標的生成物)と基本的に同じ割合を占める主な分解バンド(主な分解生成物)として表示される。このような分解は、発現によって生成される全長α1鎖の収量を減少させるだけでなく、その特性が全長α1鎖の関わる特性に近いため、高純度の単一全長α1鎖生成物を得るには、2段階の二重親和性の精製が必要であるが、精製プロセスの複雑さが増加するため、精製コストが増加する。したがって、全長ペプチド鎖を無傷に保ち、分解を減らし、コラーゲンの生体活性を変化させずに維持することは、ピキアパストリスを使用した組換えコラーゲンの生産にとって重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術に存在するいくつかの技術的問題を克服し、ピキアパストリス組換え発現した全長コラーゲンのα1鎖、調製方法及びその使用を提供する。本発明における組換えヒトI型のコラーゲンのα1鎖の変異体(α1(I)M1と表記する)と組換えヒトII型のコラーゲンのα1鎖の変異体(α1(II)M6と表記する)は、天然の全長α1(I)鎖とα1(II)鎖に比べて、ピキアパストリスで発現する場合、全長α1鎖の標的バンド(標的生成物)と基本的に同じ割合を占める主な分解バンド(主な分解生成物)が除去され、標的生成物の収率が向上し、ピキアパストリスで発現させた天然の全長α1(I)鎖のコラーゲン、α1(II)鎖のコラーゲン、及び市販ヒトコラーゲンと類似の物理的・化学的特性や同じ生物学的活性があり、生体医学材料の分野に利用される価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の本発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
本発明は、α1(I)M1又はα1(II)M6である組換えコラーゲンのα1鎖であって、上記のα1(I)M1は、ヒトI型のコラーゲンのα1鎖の天然の全長アミノ酸配列がアミノ酸変異することにより得られ、上記のα1(II)M6は、ヒトII型のコラーゲンのα1鎖天然の全長アミノ酸配列がアミノ酸変異することにより得られる、組換えコラーゲンのα1鎖を提供する。
【0010】
好ましくは、上記のα1(I)M1のアミノ酸の変異部位の数は4個であり、上記のα1(II)M6のアミノ酸の変異部位の数は9個である。
好ましくは、上記のヒトI型のコラーゲンのα1鎖は、SEQ ID NO:1に示され、上記のアミノ酸の変異部位は、106番目のM、109番目のR、190番目のM、193番目のRであり、具体的にいずれもPに変更される。
【0011】
上記のヒトII型のコラーゲンのα1鎖は、SEQ ID NO:4に示され、上記のアミノ酸の変異部位は、67番目のV、68番目のM、72番目のM、75番目のM、78番目のR、108番目のM、111番目のR、162番目のM、165番目のRであり、具体的にいずれもPに変更される。
【0012】
さらに、上記のα1(I)M1のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示され、上記のα1(II)M6のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:5に示される。
【0013】
本発明において、アミノ酸配列の変異部位において、対応するアミノ酸の変更の種類に何らかの変化があり、すなわち、変異部位が同じであるが、変更されるアミノ酸の種類が異なる場合にも本特許と同様の技術的効果を得ることができ、1つ又はいくつかの部位を変異処理することにより、本特許と同様の技術的効果も得ることができる。
【0014】
本発明は、上記のコード組換えコラーゲンのα1鎖のヌクレオチド配列がα1(I)M1又はα1(II)M6をコードするヌクレオチド配列を含む、上記の組換えコラーゲンのα1鎖をコードするヌクレオチドをさらに提供する。
【0015】
さらに、上記のコードα1(I)M1をコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:3に示され、コードα1(II)M6のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:6に示される。
【0016】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖をコードするヌクレオチドを含む組換え発現ベクターをさらに提供する。
【0017】
本発明は、上記の組換え発現ベクターを含む又は上記の組換えコラーゲンのα1鎖を発現する、上記の組換え発現ベクターで構築したエンジニアリング菌をさらに提供する。
【0018】
上記のエンジニアリング菌の宿主菌は、ピキアパストリスが好ましく、上記のエンジニアリング菌は、中国典型培養物寄託センターにブタペスト条約に基づく国際寄託がなされ、寄託日期が2021年03月11日であり、寄託番号がCGMCC NO.21891又はCGMCC NO.21892であり、分類命名がピキアパストリス(Pichia pastoris)であり、寄託機関が中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターであり、住所が北京市朝陽区北辰西路1号院3号である。ここで、寄託番号がCGMCC NO.21891であるエンジニアリング菌は、組換えα1(I)M1コラーゲンのα1鎖を発現し、寄託番号がCGMCC NO.21892であるエンジニアリング菌は、組換えα1(II)M6コラーゲンのα1鎖を発現する。
【0019】
なお、本発明の宿主菌は、ピキアパストリスに限定されなく、本発明の方法に従ってピキアパストリスや他の種類の酵母菌において分泌・発現できる限り、理論的には本発明と同様の技術的効果が得られる。
【0020】
本発明は、上記の組換え発現ベクター又は上記のエンジニアリング菌の、上記の組換えコラーゲンのα1鎖を発現するための使用をさらに提供する。
【0021】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖の調製方法をさらに提供し、該当調製方法は、以下の工程が含まれる。
【0022】
(1)組換えコラーゲンのα1鎖をコードするヌクレオチド配列を合成すること、
天然コラーゲンのα1鎖配列のアミノ酸配列部位の対応するアミノ酸を変更することにより、I型コラーゲンのα1鎖を4個のアミノ酸変更してα1(I)M1取得し、II型コラーゲンのα1鎖を9個のアミノ酸変更してα1(II)M6を取得し、配列のアミノ基末端とカルボキシ末端に親和性精製タグを付加し、α1(I)M1、α1(II)M6をコードするDNA配列が二重特異性親和性精製標識を含むように合成され、2つのタグ配列に基づいて免疫学的抗体の検出に寄与する。
α1(I)M1、α1(II)M6は、全長α1(I)鎖、全長α1(II)鎖がピキアパストリスで発現する場合に生成される全長α1鎖の標的バンド(標的生成物)と基本的に同じ割合を占める主な分解バンド(主な分解生成物)がそれぞれ除去されている。
α1(I)M1、α1(II)M6は、元の天然配列に比べて、特徴的な(G-X-Y)nの三重反復領域に位置するアミノ酸が変異するが、いずれもX、Yに位置するアミノ酸であり、コラーゲン(G-X-Y)nの三重反復のアミノ酸配列の構造的特徴が変更しておらず、元のコラーゲンと類似の物理的・化学的特性や生物学的活性を依然として維持している。
【0023】
(2)組換え発現ベクターを構築すること
合成したDNAを発現ベクターpPIC9Kにライゲーションし、組換えα1(I)M1コラーゲンを発現するpPIC9K-COL1A1M1と組換えα1(II)M6コラーゲンを発現するpPIC9K-COL2A1M6の2つの組換え発現ベクターをそれぞれ構築する。
【0024】
(3)組換えエンジニアリング菌株を構築し、発現を誘導し、菌株をスクリーニングすること
組換え発現ベクターをSac Iで直線化し、ピキアパストリスのコンピテント細胞に電気的形質転換し、MDプレートに移して予備スクリーニングし、異なる濃度のG418を含むYPDプレートによりスクリーニングし、コロニーをつついてBMGY培地に接種し、BMMY培地で発現を誘導し、高発現のエンジニアリング菌株をスクリーニングする。
上記のスクリーニングされた高発現のエンジニアリング菌は、ピキアパストリス(Pichia pastoris)であり、寄託番号は、それぞれCGMCC NO.21891、CGMCC NO.21892である。
【0025】
(4)高密度で発酵・培養すること
タンパク質発現により同定された高発現のエンジニアリング菌を、発酵槽を用いて高密度で発酵・培養する。
【0026】
(5)タンパク質を精製すること
発酵上澄みを一次陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥により高純度のα1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンを取得した。
【0027】
本発明によって得られたピキアパストリスで発現されたα1(I)M1、α1(II)M6組換えコラーゲンをタンパク質の特性の特徴付け及びインビトロ実験によって分析し、本発明で得られたタンパク質は、組換えコラーゲンの構造的特徴に適合し、細胞接着活性を有し、市販のヒトコラーゲンと基本的に一致するが、より重要なことに、2つの変異体タンパク質及び変異前のコラーゲンの構造的特徴及び細胞接着活性が類似又は同一である。
【0028】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖又は上記の方法によって調製されたコラーゲンのα1鎖を含む組成物をさらに提供する。
【0029】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖又は上記の方法によって調製されたコラーゲンのα1鎖又は上記の組成物を含む製品をさらに提供する。上記の製品は、医薬品、医薬品組成物、医療器材、生体材料、組織工学製品、化粧品、又は保健品などが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
さらに、上記の製品は、細胞に接着、支持、成長・遊走の空間を提供する材料又は栄養物質や代謝産物を輸送するチャネルである材料が含まれる。
【0031】
さらに、上記の製品は、コラーゲンヒドロゲルである。
【0032】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖、ヌクレオチド、組換え発現ベクター、エンジニアリング菌、組成物などの完成品を調製するための使用をさらに提供し、医薬品、医療器材、生体材料、組織工学製品、化粧品又は保健品のための使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明は、上記の組換えコラーゲンのα1鎖、ヌクレオチド、組換え発現ベクター、エンジニアリング菌又は組成物の、創傷修復又は組織再生の促進用製品を調製するための使用をさらに提供し、さらに、上記の製品は、コラーゲンヒドロゲルである。
【発明の効果】
【0034】
(1)本発明におけるコラーゲンのα1鎖変異体は、元の天然配列における変更されるアミノ酸部位の割合が極めて少なく(変異したアミノ酸の割合が1%未満であり、変異前後のアミノ酸配列の相同性が99%以上である)、完全組換えα1鎖のコラーゲンを得ながら、元のタンパク質自体の性質(物理的・化学的特性、生物学的活性)を変えることなく、関連製品に調製した場合も天然配列の組換えタンパク質と同じ性質、生物学的活性などがある。
α1(I) M1は、α1(I)と比較して、α1(II)M6は、α1(II)と比較して、類似の物理的・化学的特性や生物学的活性があり、生体医学材料の分野に利用される価値がある。本発明は、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)の細胞接着実験を行うことにより、α1(I)はα1(I)M1と比較して、α1(II)M6はα1(II)と比較して、細胞接着活性に有意差がなく、且つα1(I)M1及びα1(II)M6は、細胞接着活性が市販のヒトコラーゲンと基本的に同じである。ピキアパストリスで発現されたα1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)コラーゲンを用いてコラーゲンヒドロゲルを調製し、ヒドロゲルの液体機械特性を検出し、α1(I)はα1(I)M1と比較して、α1(II)M6はα1(II)と比較して、調製されたヒドロゲルが粘度、弾性率、膨潤度に有意差がない。走査型電子顕微鏡を用いて凍結乾燥のコラーゲンヒドロゲルをスキャンし、いずれも多孔質ネットワーク構造を有し、孔径の範囲が100~200μmであり、生体医学材料の分野で使用される可能性があることが示されている。4つのコラーゲンヒドロゲルとNIH/3T3細胞とをインビトロで共培養し、カルセインAMを添加すると、ヒドロゲルに接着、成長する緑色蛍光を発する生細胞が検出され、MTT検出に加え、いずれもヒドロゲル内で生細胞が接着、遊走、成長して形成される青紫色の結晶が観察され得る。
【0035】
(2)本発明では、SDS-PAGE電気泳動、ウエスタンブロット(Western Blot)を使用して発現されたタンパク質を同定し、その結果、全長α1(I)鎖とα1(II)鎖に対して、α1(I)M1とα1(II)M6は、ピキアパストリスで発現する場合、全長α1鎖の標的バンド(標的生成物)と基本的に同じ割合を占める主な分解バンド(主な分解生成物)が除去され、標的生成物の収率が向上した。そして、発酵槽によって高密度で発酵実験を行い、発酵生成物をSDS-PAGE電気泳動で検出し、α1(I)M1、α1(II)M6は、高密度の発酵条件下でも標的バンドの完全性を維持でき、主な分解バンドは依然として生成されなく、同じ高密度の発酵条件の下で発酵して生成された組換えヒトα1(I)、α1(II)は、明らかな主な分解バンドが生成される。
【0036】
さらに、本発明の組換えコラーゲンは、陽イオン交換クロマトグラフィーを1段階で行うだけで発酵上澄みを精製し、凍結乾燥により高純度のα1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンの凍結乾燥スポンジを取得し、SDS-PAGE電気泳動検出では、主な分解バンドがなく、標的生成物である単一バンドのみが検出されるため、高純度の標的生成物が得られ、精製コストも削減できる。
【0037】
α1(I)、α1(II)については、陽イオン交換クロマトグラフィーを1段階で行うと、標的バンド(標的生成物、全長α1鎖)と主な分解バンド(主な分解生成物)とが混合する精製タンパク質のみが得られる。そのため、高純度のα1(I)、α1(II)コラーゲンを得るには、2段階目のアフィニティークロマトグラフィーが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、α1(I)M1とα1(I)アミノ酸配列の違いを示す図であり、図中の灰色のバックグラウンドと太字のアミノ酸が相違箇所である。
【
図2】
図2は、α1(II)M6とα1(II)アミノ酸配列の違いを示す図であり、図中の灰色のバックグラウンドと太字のアミノ酸が相違箇所である。
【
図3】
図3は、pPIC9K-COL1A1M1ベクターのパターンである。
【
図4】
図4は、pPIC9K-COL2A1M6ベクターのパターンである。
【
図5】
図5は、α1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンの誘導発現を24時間行った上澄みのSDS-PAGEの図である。
【
図6】
図6は、α1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンの誘導発現を24時間行った上澄みのWB図であり、図中の左側は抗6×His Tag抗体のWB図であり、右側は抗Strep-Tag II抗体のWB図である。
【
図7】
図7は、α1(I)、α1(II)コラーゲンSDS-PAGEの検出結果における標的バンド、主な分解バンドの質量分析結果である。
【
図8】
図8は、α1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンSDS-PAGEの検出結果における標的バンドの質量分析結果である。
【
図9】
図9は、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)コラーゲンの誘導発酵を48時間行った上澄みのSDS-PAGEの図である。
【
図10】
図10は、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)の精製した凍結乾燥スポンジのSDS-PAGEの図である。
【
図11】
図11は、α1(I)、α1(II)コラーゲンのフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)の分析図である。
【
図12】
図12は、α1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンのフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)の分析図である。
【
図13】
図13は、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)コラーゲンの細胞接着活性の検出である。
【
図14】
図14は、凍結乾燥させたα1(I)、α1(I)M1コラーゲンヒドロゲルの表面の走査型電子顕微鏡図(上の2枚はα1(I)コラーゲンヒドロゲルであり、下の2枚はα1(I)M1コラーゲンヒドロゲルである)である。
【
図15】
図15は、凍結乾燥させたα1(II)、α1(II)M6コラーゲンヒドロゲルの表面の走査型電子顕微鏡図(上の2枚はα1(II)コラーゲンヒドロゲルであり、下の2枚はα1(II)M6コラーゲンヒドロゲルである)。
【
図16】
図16は、α1(I)、α1(I)M1コラーゲンヒドロゲルにおけるNIH/3T3の細胞接着成長の結果図である。図中、上の3枚の図は左から右にα1(I)コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(明視野顕微鏡で撮影)、α1(I)コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(カルセインAM染色、明るい部分は緑色蛍光の細胞であり、蛍光顕微鏡で撮影)、α1(I)コラーゲンヒドロゲルに成長したNIH/3T3細胞に形成された青紫色の結晶(MTT染色、黒い部分歯は結晶であり、明視野顕微鏡で撮影)である。下の3枚の図は左から右にα1(I)M1コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(明視野顕微鏡で撮影)、α1(I)M1コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(カルセインAM染色、明るい部分は緑色蛍光の細胞であり、蛍光顕微鏡で撮影)、α1(I)M1コラーゲンヒドロゲルに成長したNIH/3T3細胞形成の青紫色の結晶(MTT染色、黒い部分は結晶であり、明視野顕微鏡で撮影)。
【
図17】
図17は、α1(II)、α1(II)M6コラーゲンヒドロゲルにおけるNIH/3T3の細胞接着成長の結果図である。図中、上の3枚の図は左から右にα1(II)コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(明視野顕微鏡で撮影)、α1(II)コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(カルセインAM染色、明るい部分は緑色蛍光の細胞であり、蛍光顕微鏡で撮影)、α1(II)コラーゲンヒドロゲルに成長したNIH/3T3細胞形成の青紫色の結晶(MTT染色、黒い部分は結晶であり、明視野顕微鏡で撮影)である。下の3枚の図は左から右にα1(II)M6コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(明視野顕微鏡で撮影)、α1(II)M6コラーゲンヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞(カルセインAM染色、明るい部分は緑色蛍光の細胞であり、蛍光顕微鏡で撮影)、α1(II)M6コラーゲンヒドロゲルに成長したNIH/3T3細胞形成の青紫色の結晶(MTT染色、黒い部分は結晶であり、明視野顕微鏡で撮影)である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
当業者が本発明の技術的解決手段をよりよく理解できるように、本発明の好ましい実施例を以下に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の実施例では、従来の分子生物学の実験方法を特に説明することなく使用しており、実施例に含まれるPCR、酵素消化、ライゲーション、コドン最適化などのプロセスは、すべて製品の明細書又は当該分野の基礎知識に基づいて当業者であれば理解でき、容易に実施することができるため、詳しくは説明しない。
【0040】
実施例1.アミノ酸配列の設計と合成
ヒトI型のコラーゲンのα1鎖(α1(I)と表記する)のアミノ酸配列は、UniprotデータベースP02452-1(https://www.uniprot.org/uniprot/P02452)配列中の162~1218部分(PRO_0000005720)を参照し、成熟ヒトI型のコラーゲンのα1鎖アミノ酸配列であり、シグナルペプチド、C末端プロペプチド、N末端プロペプチドなどのα1(I)前駆体タンパク質におけるプロセシングされて脱落する部分が含まれておらず、その配列は、SEQ ID NO:1に示される。
【0041】
SEQ ID NO:1:
QLSYGYDEKSTGGISVPGPMGPSGPRGLPGPPGAPGPQGFQGPPGEPGEPGASGPMGPRGPPGPPGKNGDDGEAGKPGRPGERGPPGPQGARGLPGTAGLPGMKGHRGFSGLDGAKGDAGPAGPKGEPGSPGENGAPGQMGPRGLPGERGRPGAPGPAGARGNDGATGAAGPPGPTGPAGPPGFPGAVGAKGEAGPQGPRGSEGPQGVRGEPGPPGPAGAAGPAGNPGADGQPGAKGANGAPGIAGAPGFPGARGPSGPQGPGGPPGPKGNSGEPGAPGSKGDTGAKGEPGPVGVQGPPGPAGEEGKRGARGEPGPTGLPGPPGERGGPGSRGFPGADGVAGPKGPAGERGSPGPAGPKGSPGEAGRPGEAGLPGAKGLTGSPGSPGPDGKTGPPGPAGQDGRPGPPGPPGARGQAGVMGFPGPKGAAGEPGKAGERGVPGPPGAVGPAGKDGEAGAQGPPGPAGPAGERGEQGPAGSPGFQGLPGPAGPPGEAGKPGEQGVPGDLGAPGPSGARGERGFPGERGVQGPPGPAGPRGANGAPGNDGAKGDAGAPGAPGSQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGDRGDAGPKGADGSPGKDGVRGLTGPIGPPGPAGAPGDKGESGPSGPAGPTGARGAPGDRGEPGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEPGDAGAKGDAGPPGPAGPAGPPGPIGNVGAPGAKGARGSAGPPGATGFPGAAGRVGPPGPSGNAGPPGPPGPAGKEGGKGPRGETGPAGRPGEVGPPGPPGPAGEKGSPGADGPAGAPGTPGPQGIAGQRGVVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGPSGASGERGPPGPMGPPGLAGPPGESGREGAPGAEGSPGRDGSPGAKGDRGETGPAGPPGAPGAPGAPGPVGPAGKSGDRGETGPAGPAGPVGPVGARGPAGPQGPRGDKGETGEQGDRGIKGHRGFSGLQGPPGPPGSPGEQGPSGASGPAGPRGPPGSAGAPGKDGLNGLPGPIGPPGPRGRTGDAGPVGPPGPPGPPGPPGPPSAGFDFSFLPQPPQEKAHDGGRYYRA
【0042】
長期にわたる実験研究の結果、α1(I)M1と表記する組換えヒトI型のコラーゲンのα1鎖の変異体が得られた。α1(I)に対して、α1(I)M1は、アミノ酸配列におけるアミノ酸を4個変更し、それらの4個のアミノ酸をプロリン(Pro、Pと略称する)に変異し、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列の106番目のM、109番目のR、190番目のM、193番目のRは、Pに変更され、残りのアミノ酸配列は変化しなかった。α1(I)M1とα1(I)との相同性は、99.6%である。
【0043】
変更されたアミノ酸配列(α1(I)M1)の全長は1057AAであり、配列はSEQ ID NO:2に示される。
【0044】
SEQ ID NO:2:
QLSYGYDEKSTGGISVPGPMGPSGPRGLPGPPGAPGPQGFQGPPGEPGEPGASGPPGPPGPPGPPGKNGDDGEAGKPGRPGERGPPGPQGARGLPGTAGLPGMKGHRGFSGLDGAKGDAGPAGPKGEPGSPGENGAPGQPGPPGLPGERGRPGAPGPAGARGNDGATGAAGPPGPTGPAGPPGFPGAVGAKGEAGPQGPRGSEGPQGVRGEPGPPGPAGAAGPAGNPGADGQPGAKGANGAPGIAGAPGFPGARGPSGPQGPGGPPGPKGNSGEPGAPGSKGDTGAKGEPGPVGVQGPPGPAGEEGKRGARGEPGPTGLPGPPGERGGPGSRGFPGADGVAGPKGPAGERGSPGPAGPKGSPGEAGRPGEAGLPGAKGLTGSPGSPGPDGKTGPPGPAGQDGRPGPPGPPGARGQAGVMGFPGPKGAAGEPGKAGERGVPGPPGAVGPAGKDGEAGAQGPPGPAGPAGERGEQGPAGSPGFQGLPGPAGPPGEAGKPGEQGVPGDLGAPGPSGARGERGFPGERGVQGPPGPAGPRGANGAPGNDGAKGDAGAPGAPGSQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGDRGDAGPKGADGSPGKDGVRGLTGPIGPPGPAGAPGDKGESGPSGPAGPTGARGAPGDRGEPGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEPGDAGAKGDAGPPGPAGPAGPPGPIGNVGAPGAKGARGSAGPPGATGFPGAAGRVGPPGPSGNAGPPGPPGPAGKEGGKGPRGETGPAGRPGEVGPPGPPGPAGEKGSPGADGPAGAPGTPGPQGIAGQRGVVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGPSGASGERGPPGPMGPPGLAGPPGESGREGAPGAEGSPGRDGSPGAKGDRGETGPAGPPGAPGAPGAPGPVGPAGKSGDRGETGPAGPAGPVGPVGARGPAGPQGPRGDKGETGEQGDRGIKGHRGFSGLQGPPGPPGSPGEQGPSGASGPAGPRGPPGSAGAPGKDGLNGLPGPIGPPGPRGRTGDAGPVGPPGPPGPPGPPGPPSAGFDFSFLPQPPQEKAHDGGRYYRA
【0045】
α1(I)M1とα1(I)アミノ酸配列の違いは、
図1における灰色のバックグラウンドと太字のアミノ酸に示される。
【0046】
SEQ ID NO:2に示されるα1(1)M1をコードする遺伝子(COL1A1M1と表記する)DNA配列は、SEQ ID NO:3に示される。
【0047】
SEQ ID NO:3:
CAACTTAGTTATGGATACGATGAAAAATCCACAGGTGGAATCAGTGTTCCTGGACCTATGGGTCCATCAGGTCCAAGAGGTTTACCAGGACCTCCAGGTGCCCCAGGTCCCCAGGGATTTCAAGGTCCACCAGGAGAGCCTGGTGAGCCAGGAGCTTCTGGTCCACCTGGTCCCCCTGGACCACCTGGTCCTCCAGGAAAGAATGGAGATGATGGTGAAGCTGGAAAACCTGGAAGACCTGGAGAAAGAGGACCACCAGGACCCCAGGGTGCCAGAGGACTGCCAGGTACCGCAGGTCTGCCTGGAATGAAAGGTCATAGAGGATTTTCAGGATTAGACGGTGCAAAGGGAGACGCTGGACCTGCAGGACCAAAGGGTGAGCCAGGAAGTCCAGGAGAGAATGGTGCACCAGGACAGCCAGGTCCACCTGGACTGCCCGGTGAAAGAGGTAGACCCGGAGCACCAGGACCAGCAGGTGCAAGAGGAAATGATGGAGCTACAGGTGCTGCAGGACCCCCAGGTCCAACAGGACCAGCCGGTCCTCCCGGTTTCCCAGGTGCCGTTGGAGCAAAAGGTGAAGCTGGTCCACAGGGTCCAAGAGGTTCTGAAGGTCCACAGGGAGTTAGAGGAGAACCAGGACCCCCTGGACCAGCTGGTGCAGCAGGACCAGCTGGTAACCCTGGTGCTGACGGTCAGCCAGGTGCTAAGGGAGCAAATGGAGCACCAGGAATAGCTGGTGCCCCAGGATTTCCCGGTGCTAGAGGTCCAAGTGGTCCACAAGGACCAGGAGGTCCACCCGGTCCCAAAGGAAACAGTGGAGAACCAGGTGCACCCGGTTCAAAGGGAGATACAGGAGCTAAAGGAGAGCCCGGTCCAGTGGGTGTTCAGGGACCACCCGGACCTGCTGGAGAGGAAGGTAAAAGAGGTGCAAGAGGTGAGCCAGGACCAACAGGTCTGCCTGGTCCCCCTGGTGAAAGAGGTGGTCCAGGTAGTAGAGGATTTCCAGGAGCTGATGGTGTTGCAGGACCAAAGGGACCCGCAGGTGAGAGAGGATCACCCGGTCCAGCCGGACCAAAAGGATCACCAGGAGAAGCTGGTAGACCAGGAGAAGCTGGTCTGCCAGGTGCTAAAGGATTGACAGGATCACCCGGTTCACCTGGTCCTGATGGAAAGACAGGACCTCCAGGTCCCGCTGGTCAGGACGGTAGACCAGGACCCCCAGGACCCCCAGGTGCAAGAGGTCAGGCAGGTGTAATGGGTTTCCCCGGACCTAAAGGAGCAGCTGGAGAACCTGGTAAAGCTGGAGAGAGAGGAGTGCCTGGACCCCCTGGAGCTGTTGGTCCAGCAGGAAAGGATGGTGAGGCAGGTGCACAAGGTCCACCTGGACCCGCTGGACCTGCAGGTGAGAGAGGAGAGCAAGGTCCCGCAGGTTCTCCAGGTTTTCAGGGTTTGCCAGGTCCAGCCGGTCCTCCTGGAGAGGCAGGAAAGCCAGGAGAACAAGGAGTTCCAGGAGACCTGGGTGCACCAGGACCCTCTGGTGCAAGAGGAGAGAGAGGATTTCCTGGAGAAAGAGGTGTGCAGGGACCACCAGGTCCCGCCGGTCCAAGAGGAGCAAATGGAGCCCCTGGAAATGACGGAGCTAAGGGTGACGCTGGTGCACCAGGAGCACCAGGTTCTCAAGGTGCTCCCGGATTGCAGGGTATGCCTGGAGAGAGAGGTGCAGCTGGACTGCCAGGTCCAAAAGGTGACAGAGGAGACGCCGGTCCTAAGGGAGCTGACGGTTCTCCTGGAAAGGACGGTGTGAGAGGTTTGACAGGACCAATAGGTCCACCCGGTCCTGCTGGAGCCCCTGGAGACAAAGGTGAATCAGGTCCTTCCGGTCCAGCCGGACCAACAGGAGCAAGAGGAGCACCTGGAGACAGAGGAGAGCCAGGTCCTCCAGGACCTGCAGGTTTCGCTGGTCCTCCCGGAGCAGATGGACAGCCAGGAGCTAAGGGAGAACCCGGTGACGCTGGTGCTAAGGGAGATGCAGGTCCACCAGGTCCTGCTGGTCCTGCTGGACCTCCCGGACCAATAGGTAATGTTGGAGCACCCGGAGCAAAAGGTGCCAGAGGTTCCGCAGGTCCTCCCGGAGCAACTGGTTTTCCAGGAGCTGCCGGAAGAGTGGGTCCACCTGGTCCTTCTGGAAATGCAGGACCACCAGGTCCTCCTGGTCCAGCCGGAAAGGAAGGTGGAAAGGGACCTAGAGGAGAAACAGGTCCCGCAGGTAGACCCGGTGAGGTGGGTCCACCTGGTCCACCCGGTCCAGCTGGTGAGAAAGGAAGTCCTGGAGCAGACGGACCAGCTGGTGCCCCTGGTACACCAGGACCCCAAGGAATAGCTGGTCAAAGAGGTGTTGTTGGTTTACCAGGTCAGAGAGGAGAAAGAGGTTTTCCAGGATTACCAGGTCCCTCAGGTGAGCCCGGAAAACAGGGTCCCTCAGGAGCAAGTGGTGAAAGAGGACCACCAGGACCAATGGGACCTCCAGGATTAGCTGGTCCACCAGGAGAATCAGGAAGAGAGGGTGCTCCTGGAGCAGAAGGTTCACCAGGAAGAGACGGTTCACCCGGAGCCAAGGGAGACAGAGGTGAAACAGGTCCCGCAGGTCCACCAGGAGCACCCGGAGCCCCTGGTGCTCCAGGACCTGTCGGACCAGCAGGAAAATCCGGTGACAGAGGTGAGACTGGACCCGCAGGTCCTGCTGGTCCTGTTGGACCAGTGGGTGCAAGAGGACCAGCAGGTCCACAAGGTCCAAGAGGTGACAAAGGTGAGACAGGTGAGCAGGGTGACAGAGGAATTAAAGGTCACAGAGGATTTTCAGGACTGCAGGGACCACCCGGTCCTCCCGGTTCCCCAGGAGAGCAAGGTCCATCCGGTGCATCCGGTCCAGCTGGACCCAGAGGACCACCTGGTTCTGCTGGTGCACCAGGTAAAGATGGATTGAACGGTTTGCCTGGTCCAATAGGACCTCCTGGTCCAAGAGGAAGAACTGGTGACGCCGGTCCCGTCGGACCACCCGGTCCACCAGGTCCCCCAGGTCCACCCGGACCACCATCCGCAGGATTTGATTTCTCATTCCTTCCTCAACCTCCTCAAGAGAAAGCACATGATGGAGGTAGATACTATAGAGCC
【0048】
ヒトII型のコラーゲンのα1鎖(α1(II)と表記する)のアミノ酸配列は、UniprotデータベースP02458(https://www.uniprot.org/uniprot/P02458)配列中の182~1241部分(PRO_0000005730)を参照し、成熟ヒトII型のコラーゲンのα1鎖アミノ酸配列であり、シグナルペプチド、C末端プロペプチド、N末端プロペプチドなどのα1(II)前駆体タンパク質におけるプロセシングされて脱落する部分が含まれておらず、その配列は、SEQ ID NO:4に示される。
【0049】
SEQ ID NO:4:
QMAGGFDEKAGGAQLGVMQGPMGPMGPRGPPGPAGAPGPQGFQGNPGEPGEPGVSGPMGPRGPPGPPGKPGDDGEAGKPGKAGERGPPGPQGARGFPGTPGLPGVKGHRGYPGLDGAKGEAGAPGVKGESGSPGENGSPGPMGPRGLPGERGRTGPAGAAGARGNDGQPGPAGPPGPVGPAGGPGFPGAPGAKGEAGPTGARGPEGAQGPRGEPGTPGSPGPAGASGNPGTDGIPGAKGSAGAPGIAGAPGFPGPRGPPGPQGATGPLGPKGQTGEPGIAGFKGEQGPKGEPGPAGPQGAPGPAGEEGKRGARGEPGGVGPIGPPGERGAPGNRGFPGQDGLAGPKGAPGERGPSGLAGPKGANGDPGRPGEPGLPGARGLTGRPGDAGPQGKVGPSGAPGEDGRPGPPGPQGARGQPGVMGFPGPKGANGEPGKAGEKGLPGAPGLRGLPGKDGETGAAGPPGPAGPAGERGEQGAPGPSGFQGLPGPPGPPGEGGKPGDQGVPGEAGAPGLVGPRGERGFPGERGSPGAQGLQGPRGLPGTPGTDGPKGASGPAGPPGAQGPPGLQGMPGERGAAGIAGPKGDRGDVGEKGPEGAPGKDGGRGLTGPIGPPGPAGANGEKGEVGPPGPAGSAGARGAPGERGETGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEQGEAGQKGDAGAPGPQGPSGAPGPQGPTGVTGPKGARGAQGPPGATGFPGAAGRVGPPGSNGNPGPPGPPGPSGKDGPKGARGDSGPPGRAGEPGLQGPAGPPGEKGEPGDDGPSGAEGPPGPQGLAGQRGIVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGAPGASGDRGPPGPVGPPGLTGPAGEPGREGSPGADGPPGRDGAAGVKGDRGETGAVGAPGAPGPPGSPGPAGPTGKQGDRGEAGAQGPMGPSGPAGARGIQGPQGPRGDKGEAGEPGERGLKGHRGFTGLQGLPGPPGPSGDQGASGPAGPSGPRGPPGPVGPSGKDGANGIPGPIGPPGPRGRSGETGPAGPPGNPGPPGPPGPPGPGIDMSAFAGLGPREKGPDPLQYMRA
【0050】
長期にわたる実験研究の結果、α1(II)M6と表記する組換えヒトII型のコラーゲンのα1鎖の変異体が得られた。α1(II)に対して、α1(II)M6は、アミノ酸配列におけるアミノ酸を9個変更し、それらの9個のアミノ酸をプロリン(Pro、Pと略称する)に変異し、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列の67番目のV、68番目のM、72番目のM、75番目のM、78番目のR、108番目のM、111番目のR、162番目のM、165番目のRは、Pに変更され、残りのアミノ酸配列は変化しなかった。α1(II)M6とα1(II)との相同性は、99.2%である。
【0051】
変更された配列(α1(II)M6)の全長は1060AAであり、配列は、SEQ ID NO:5に示される。
【0052】
SEQ ID NO:5:
QMAGGFDEKAGGAQLGPPQGPPGPPGPPGPPGPAGAPGPQGFQGNPGEPGEPGVSGPPGPPGPPGPPGKPGDDGEAGKPGKAGERGPPGPQGARGFPGTPGLPGVKGHRGYPGLDGAKGEAGAPGVKGESGSPGENGSPGPPGPPGLPGERGRTGPAGAAGARGNDGQPGPAGPPGPVGPAGGPGFPGAPGAKGEAGPTGARGPEGAQGPRGEPGTPGSPGPAGASGNPGTDGIPGAKGSAGAPGIAGAPGFPGPRGPPGPQGATGPLGPKGQTGEPGIAGFKGEQGPKGEPGPAGPQGAPGPAGEEGKRGARGEPGGVGPIGPPGERGAPGNRGFPGQDGLAGPKGAPGERGPSGLAGPKGANGDPGRPGEPGLPGARGLTGRPGDAGPQGKVGPSGAPGEDGRPGPPGPQGARGQPGVMGFPGPKGANGEPGKAGEKGLPGAPGLRGLPGKDGETGAAGPPGPAGPAGERGEQGAPGPSGFQGLPGPPGPPGEGGKPGDQGVPGEAGAPGLVGPRGERGFPGERGSPGAQGLQGPRGLPGTPGTDGPKGASGPAGPPGAQGPPGLQGMPGERGAAGIAGPKGDRGDVGEKGPEGAPGKDGGRGLTGPIGPPGPAGANGEKGEVGPPGPAGSAGARGAPGERGETGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEQGEAGQKGDAGAPGPQGPSGAPGPQGPTGVTGPKGARGAQGPPGATGFPGAAGRVGPPGSNGNPGPPGPPGPSGKDGPKGARGDSGPPGRAGEPGLQGPAGPPGEKGEPGDDGPSGAEGPPGPQGLAGQRGIVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGAPGASGDRGPPGPVGPPGLTGPAGEPGREGSPGADGPPGRDGAAGVKGDRGETGAVGAPGAPGPPGSPGPAGPTGKQGDRGEAGAQGPMGPSGPAGARGIQGPQGPRGDKGEAGEPGERGLKGHRGFTGLQGLPGPPGPSGDQGASGPAGPSGPRGPPGPVGPSGKDGANGIPGPIGPPGPRGRSGETGPAGPPGNPGPPGPPGPPGPGIDMSAFAGLGPREKGPDPLQYMRA
【0053】
α1(II)M6とα1(II)アミノ酸配列の違いは、
図2における灰色のバックグラウンドと太字のアミノ酸に示される。
【0054】
SEQ ID NO:5に示されるα1(II)M6をコードする遺伝子(COL2A1M6と表記する)DNA配列は、SEQ ID NO:6に示される。
【0055】
SEQ ID NO:6:
CAAATGGCTGGTGGATTCGATGAAAAGGCTGGTGGAGCCCAATTAGGTCCTCCACAAGGTCCTCCCGGTCCACCTGGTCCTCCCGGTCCTCCAGGTCCCGCCGGTGCTCCTGGACCACAGGGTTTCCAAGGAAACCCCGGTGAACCAGGTGAGCCTGGTGTTTCAGGTCCTCCCGGTCCTCCAGGACCACCTGGACCACCAGGAAAGCCTGGTGACGACGGAGAAGCTGGTAAACCAGGAAAGGCAGGAGAGAGAGGTCCACCTGGACCTCAGGGTGCCAGAGGTTTCCCAGGTACCCCTGGTCTTCCTGGTGTCAAGGGTCATAGAGGTTACCCCGGTTTGGATGGTGCCAAGGGTGAAGCCGGTGCCCCTGGTGTTAAGGGTGAATCAGGAAGTCCCGGTGAAAATGGAAGTCCCGGTCCACCCGGTCCACCTGGACTGCCAGGTGAGAGAGGAAGAACCGGACCAGCTGGTGCTGCAGGTGCTAGAGGAAATGACGGACAGCCCGGACCAGCCGGACCTCCCGGTCCTGTTGGGCCCGCAGGTGGTCCTGGTTTCCCtgGTGCTCCTGGAGCCAAAGGAGAAGCCGGACCCACCGGAGCCAGAGGTCCCGAGGGAGCACAGGGACCTAGAGGAGAACCAGGTACACCAGGTAGTCCCGGTCCTGCTGGTGCATCAGGAAATCCCGGAACTGACGGTATTCCAGGAGCAAAGGGATCTGCAGGAGCACCAGGAATAGCTGGTGCTCCTGGATTTCCAGGTCCCAGAGGACCTCCCGGTCCTCAAGGAGCAACAGGTCCTTTGGGACCAAAAGGTCAAACAGGAGAACCAGGTATTGCTGGATTCAAAGGAGAGCAAGGTCCAAAGGGAGAGCCCGGTCCCGCAGGTCCCCAAGGAGCCCCAGGACCAGCTGGTGAAGAAGGAAAAAGAGGAGCCAGAGGTGAACCTGGAGGAGTAGGACCTATTGGTCCTCCTGGTGAGAGAGGTGCTCCCGGAAACAGAGGTTTTCCTGGTCAAGATGGTCTGGCTGGACCTAAAGGTGCTCCAGGAGAGAGAGGACCTTCAGGACTTGCTGGTCCAAAAGGTGCTAACGGAGATCCAGGAAGACCCGGTGAACCTGGTCTGCCTGGAGCTAGAGGATTAACAGGAAGACCAGGTGACGCAGGTCCCCAGGGTAAAGTGGGTCCCAGTGGTGCCCCAGGTGAAGATGGAAGACCTGGTCCTCCCGGACCCCAAGGTGCAAGAGGTCAGCCTGGAGTGATGGGATTTCCTGGACCCAAGGGTGCTAACGGAGAACCTGGAAAAGCTGGTGAGAAAGGACTGCCCGGTGCCCCAGGTCTTAGAGGTTTGCCAGGTAAAGATGGAGAAACAGGAGCCGCAGGACCACCCGGTCCAGCCGGACCAGCAGGAGAGAGAGGTGAACAAGGAGCACCTGGTCCAAGTGGTTTTCAGGGTCTTCCAGGTCCCCCTGGTCCACCAGGAGAGGGAGGTAAACCAGGTGACCAAGGTGTCCCTGGAGAAGCAGGTGCACCCGGTCTTGTGGGTCCAAGAGGTGAAAGAGGATTCCCTGGTGAGAGAGGATCTCCCGGAGCCCAGGGACTTCAAGGTCCTAGAGGTCTGCCAGGTACCCCTGGTACAGACGGACCAAAGGGAGCATCAGGACCCGCTGGACCTCCCGGAGCCCAAGGTCCTCCAGGTTTACAAGGTATGCCTGGTGAAAGAGGTGCTGCAGGTATAGCTGGACCAAAAGGAGACAGAGGTGACGTTGGTGAGAAGGGTCCCGAAGGAGCCCCTGGAAAAGATGGTGGAAGAGGATTAACAGGTCCTATAGGACCACCCGGTCCAGCCGGTGCTAATGGAGAAAAAGGAGAAGTAGGTCCTCCAGGTCCAGCAGGATCTGCAGGTGCTAGAGGTGCCCCTGGAGAGAGAGGTGAAACAGGACCACCTGGTCCAGCTGGTTTCGCTGGTCCCCCAGGAGCTGATGGACAGCCCGGTGCAAAAGGTGAACAAGGAGAAGCCGGACAGAAGGGAGATGCTGGAGCCCCCGGTCCACAAGGTCCCTCAGGAGCACCAGGTCCTCAAGGTCCAACTGGTGTGACCGGGCCAAAGGGTGCAAGAGGAGCACAGGGACCTCCAGGAGCAACAGGTTTCCCAGGAGCTGCTGGTAGAGTCGGTCCACCCGGATCTAATGGTAACCCCGGACCACCAGGACCACCTGGACCATCTGGAAAGGATGGACCCAAAGGAGCAAGAGGAGATTCAGGACCACCCGGAAGAGCAGGAGAACCTGGATTACAGGGTCCCGCCGGTCCACCAGGAGAGAAAGGAGAGCCCGGAGATGATGGTCCCTCAGGTGCAGAGGGACCCCCAGGACCCCAAGGTCTGGCAGGTCAAAGAGGTATAGTGGGTCTTCCAGGTCAAAGAGGTGAAAGAGGATTTCCAGGACTTCCAGGTCCTTCAGGTGAACCCGGTAAACAGGGAGCCCCCGGAGCCTCAGGTGACAGAGGTCCTCCAGGACCAGTAGGACCCCCAGGTTTAACCGGACCAGCAGGTGAGCCAGGAAGAGAAGGTTCTCCTGGAGCCGATGGACCTCCAGGAAGAGACGGTGCAGCTGGTGTTAAGGGTGACAGAGGTGAAACTGGAGCCGTAGGAGCCCCAGGTGCCCCCGGACCACCCGGATCACCCGGACCTGCAGGTCCTACTGGTAAACAAGGAGATAGAGGAGAAGCCGGTGCCCAGGGTCCTATGGGTCCTTCTGGTCCTGCAGGAGCAAGAGGTATACAAGGTCCACAGGGTCCCAGAGGTGACAAGGGTGAAGCAGGAGAACCCGGTGAGAGAGGTCTGAAGGGTCATAGAGGATTCACCGGGTTACAGGGTTTGCCAGGACCCCCTGGACCAAGTGGTGACCAGGGTGCATCCGGTCCAGCAGGTCCTTCTGGACCAAGAGGTCCTCCCGGTCCAGTTGGTCCATCAGGTAAAGACGGAGCCAACGGTATCCCAGGTCCCATCGGTCCTCCAGGTCCTAGAGGAAGAAGTGGAGAGACTGGTCCTGCTGGACCTCCTGGAAACCCTGGTCCTCCAGGACCTCCAGGTCCTCCAGGTCCCGGAATAGATATGTCCGCTTTCGCTGGATTGGGACCAAGAGAGAAAGGTCCTGACCCTCTTCAATATATGAGAGCA
【0056】
α1(I)M1をコードするDNA配列の両末端には、アミノ基末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加した後、α1(I)M1が最終的に発現して得たのは、タグ含有タンパク質であり、合計1071個のアミノ酸があり、SEQ ID NO:7に示される。
【0057】
SEQ ID NO:7:
WSHPQFEKQLSYGYDEKSTGGISVPGPMGPSGPRGLPGPPGAPGPQGFQGPPGEPGEPGASGPPGPPGPPGPPGKNGDDGEAGKPGRPGERGPPGPQGARGLPGTAGLPGMKGHRGFSGLDGAKGDAGPAGPKGEPGSPGENGAPGQPGPPGLPGERGRPGAPGPAGARGNDGATGAAGPPGPTGPAGPPGFPGAVGAKGEAGPQGPRGSEGPQGVRGEPGPPGPAGAAGPAGNPGADGQPGAKGANGAPGIAGAPGFPGARGPSGPQGPGGPPGPKGNSGEPGAPGSKGDTGAKGEPGPVGVQGPPGPAGEEGKRGARGEPGPTGLPGPPGERGGPGSRGFPGADGVAGPKGPAGERGSPGPAGPKGSPGEAGRPGEAGLPGAKGLTGSPGSPGPDGKTGPPGPAGQDGRPGPPGPPGARGQAGVMGFPGPKGAAGEPGKAGERGVPGPPGAVGPAGKDGEAGAQGPPGPAGPAGERGEQGPAGSPGFQGLPGPAGPPGEAGKPGEQGVPGDLGAPGPSGARGERGFPGERGVQGPPGPAGPRGANGAPGNDGAKGDAGAPGAPGSQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGDRGDAGPKGADGSPGKDGVRGLTGPIGPPGPAGAPGDKGESGPSGPAGPTGARGAPGDRGEPGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEPGDAGAKGDAGPPGPAGPAGPPGPIGNVGAPGAKGARGSAGPPGATGFPGAAGRVGPPGPSGNAGPPGPPGPAGKEGGKGPRGETGPAGRPGEVGPPGPPGPAGEKGSPGADGPAGAPGTPGPQGIAGQRGVVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGPSGASGERGPPGPMGPPGLAGPPGESGREGAPGAEGSPGRDGSPGAKGDRGETGPAGPPGAPGAPGAPGPVGPAGKSGDRGETGPAGPAGPVGPVGARGPAGPQGPRGDKGETGEQGDRGIKGHRGFSGLQGPPGPPGSPGEQGPSGASGPAGPRGPPGSAGAPGKDGLNGLPGPIGPPGPRGRTGDAGPVGPPGPPGPPGPPGPPSAGFDFSFLPQPPQEKAHDGGRYYRAHHHHHH
【0058】
最適化された設計の後、SEQ ID NO:7アミノ酸配列(α1(I)M1)をコードする遺伝子(COL1A1M1と表記する)のDNA配列は、SEQ ID NO:8に示される。
【0059】
SEQ ID NO:8:
TGGTCTCATCCACAATTTGAAAAGCAACTTAGTTATGGATACGATGAAAAATCCACAGGTGGAATCAGTGTTCCTGGACCTATGGGTCCATCAGGTCCAAGAGGTTTACCAGGACCTCCAGGTGCCCCAGGTCCCCAGGGATTTCAAGGTCCACCAGGAGAGCCTGGTGAGCCAGGAGCTTCTGGTCCACCTGGTCCCCCTGGACCACCTGGTCCTCCAGGAAAGAATGGAGATGATGGTGAAGCTGGAAAACCTGGAAGACCTGGAGAAAGAGGACCACCAGGACCCCAGGGTGCCAGAGGACTGCCAGGTACCGCAGGTCTGCCTGGAATGAAAGGTCATAGAGGATTTTCAGGATTAGACGGTGCAAAGGGAGACGCTGGACCTGCAGGACCAAAGGGTGAGCCAGGAAGTCCAGGAGAGAATGGTGCACCAGGACAGCCAGGTCCACCTGGACTGCCCGGTGAAAGAGGTAGACCCGGAGCACCAGGACCAGCAGGTGCAAGAGGAAATGATGGAGCTACAGGTGCTGCAGGACCCCCAGGTCCAACAGGACCAGCCGGTCCTCCCGGTTTCCCAGGTGCCGTTGGAGCAAAAGGTGAAGCTGGTCCACAGGGTCCAAGAGGTTCTGAAGGTCCACAGGGAGTTAGAGGAGAACCAGGACCCCCTGGACCAGCTGGTGCAGCAGGACCAGCTGGTAACCCTGGTGCTGACGGTCAGCCAGGTGCTAAGGGAGCAAATGGAGCACCAGGAATAGCTGGTGCCCCAGGATTTCCCGGTGCTAGAGGTCCAAGTGGTCCACAAGGACCAGGAGGTCCACCCGGTCCCAAAGGAAACAGTGGAGAACCAGGTGCACCCGGTTCAAAGGGAGATACAGGAGCTAAAGGAGAGCCCGGTCCAGTGGGTGTTCAGGGACCACCCGGACCTGCTGGAGAGGAAGGTAAAAGAGGTGCAAGAGGTGAGCCAGGACCAACAGGTCTGCCTGGTCCCCCTGGTGAAAGAGGTGGTCCAGGTAGTAGAGGATTTCCAGGAGCTGATGGTGTTGCAGGACCAAAGGGACCCGCAGGTGAGAGAGGATCACCCGGTCCAGCCGGACCAAAAGGATCACCAGGAGAAGCTGGTAGACCAGGAGAAGCTGGTCTGCCAGGTGCTAAAGGATTGACAGGATCACCCGGTTCACCTGGTCCTGATGGAAAGACAGGACCTCCAGGTCCCGCTGGTCAGGACGGTAGACCAGGACCCCCAGGACCCCCAGGTGCAAGAGGTCAGGCAGGTGTAATGGGTTTCCCCGGACCTAAAGGAGCAGCTGGAGAACCTGGTAAAGCTGGAGAGAGAGGAGTGCCTGGACCCCCTGGAGCTGTTGGTCCAGCAGGAAAGGATGGTGAGGCAGGTGCACAAGGTCCACCTGGACCCGCTGGACCTGCAGGTGAGAGAGGAGAGCAAGGTCCCGCAGGTTCTCCAGGTTTTCAGGGTTTGCCAGGTCCAGCCGGTCCTCCTGGAGAGGCAGGAAAGCCAGGAGAACAAGGAGTTCCAGGAGACCTGGGTGCACCAGGACCCTCTGGTGCAAGAGGAGAGAGAGGATTTCCTGGAGAAAGAGGTGTGCAGGGACCACCAGGTCCCGCCGGTCCAAGAGGAGCAAATGGAGCCCCTGGAAATGACGGAGCTAAGGGTGACGCTGGTGCACCAGGAGCACCAGGTTCTCAAGGTGCTCCCGGATTGCAGGGTATGCCTGGAGAGAGAGGTGCAGCTGGACTGCCAGGTCCAAAAGGTGACAGAGGAGACGCCGGTCCTAAGGGAGCTGACGGTTCTCCTGGAAAGGACGGTGTGAGAGGTTTGACAGGACCAATAGGTCCACCCGGTCCTGCTGGAGCCCCTGGAGACAAAGGTGAATCAGGTCCTTCCGGTCCAGCCGGACCAACAGGAGCAAGAGGAGCACCTGGAGACAGAGGAGAGCCAGGTCCTCCAGGACCTGCAGGTTTCGCTGGTCCTCCCGGAGCAGATGGACAGCCAGGAGCTAAGGGAGAACCCGGTGACGCTGGTGCTAAGGGAGATGCAGGTCCACCAGGTCCTGCTGGTCCTGCTGGACCTCCCGGACCAATAGGTAATGTTGGAGCACCCGGAGCAAAAGGTGCCAGAGGTTCCGCAGGTCCTCCCGGAGCAACTGGTTTTCCAGGAGCTGCCGGAAGAGTGGGTCCACCTGGTCCTTCTGGAAATGCAGGACCACCAGGTCCTCCTGGTCCAGCCGGAAAGGAAGGTGGAAAGGGACCTAGAGGAGAAACAGGTCCCGCAGGTAGACCCGGTGAGGTGGGTCCACCTGGTCCACCCGGTCCAGCTGGTGAGAAAGGAAGTCCTGGAGCAGACGGACCAGCTGGTGCCCCTGGTACACCAGGACCCCAAGGAATAGCTGGTCAAAGAGGTGTTGTTGGTTTACCAGGTCAGAGAGGAGAAAGAGGTTTTCCAGGATTACCAGGTCCCTCAGGTGAGCCCGGAAAACAGGGTCCCTCAGGAGCAAGTGGTGAAAGAGGACCACCAGGACCAATGGGACCTCCAGGATTAGCTGGTCCACCAGGAGAATCAGGAAGAGAGGGTGCTCCTGGAGCAGAAGGTTCACCAGGAAGAGACGGTTCACCCGGAGCCAAGGGAGACAGAGGTGAAACAGGTCCCGCAGGTCCACCAGGAGCACCCGGAGCCCCTGGTGCTCCAGGACCTGTCGGACCAGCAGGAAAATCCGGTGACAGAGGTGAGACTGGACCCGCAGGTCCTGCTGGTCCTGTTGGACCAGTGGGTGCAAGAGGACCAGCAGGTCCACAAGGTCCAAGAGGTGACAAAGGTGAGACAGGTGAGCAGGGTGACAGAGGAATTAAAGGTCACAGAGGATTTTCAGGACTGCAGGGACCACCCGGTCCTCCCGGTTCCCCAGGAGAGCAAGGTCCATCCGGTGCATCCGGTCCAGCTGGACCCAGAGGACCACCTGGTTCTGCTGGTGCACCAGGTAAAGATGGATTGAACGGTTTGCCTGGTCCAATAGGACCTCCTGGTCCAAGAGGAAGAACTGGTGACGCCGGTCCCGTCGGACCACCCGGTCCACCAGGTCCCCCAGGTCCACCCGGACCACCATCCGCAGGATTTGATTTCTCATTCCTTCCTCAACCTCCTCAAGAGAAAGCACATGATGGAGGTAGATACTATAGAGCCCATCACCACCATCATCATTAA
【0060】
α1(II)M6をコードするDNA配列の両末端には、アミノ基末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加した後、α1(II)M6が最終的に発現して得たのは、タグ含有タンパク質であり、合計1076個のアミノ酸があり、配列は、SEQ ID NO:9に示される。
【0061】
SEQ ID NO:9:
EFWSHPQFEKQMAGGFDEKAGGAQLGPPQGPPGPPGPPGPPGPAGAPGPQGFQGNPGEPGEPGVSGPPGPPGPPGPPGKPGDDGEAGKPGKAGERGPPGPQGARGFPGTPGLPGVKGHRGYPGLDGAKGEAGAPGVKGESGSPGENGSPGPPGPPGLPGERGRTGPAGAAGARGNDGQPGPAGPPGPVGPAGGPGFPGAPGAKGEAGPTGARGPEGAQGPRGEPGTPGSPGPAGASGNPGTDGIPGAKGSAGAPGIAGAPGFPGPRGPPGPQGATGPLGPKGQTGEPGIAGFKGEQGPKGEPGPAGPQGAPGPAGEEGKRGARGEPGGVGPIGPPGERGAPGNRGFPGQDGLAGPKGAPGERGPSGLAGPKGANGDPGRPGEPGLPGARGLTGRPGDAGPQGKVGPSGAPGEDGRPGPPGPQGARGQPGVMGFPGPKGANGEPGKAGEKGLPGAPGLRGLPGKDGETGAAGPPGPAGPAGERGEQGAPGPSGFQGLPGPPGPPGEGGKPGDQGVPGEAGAPGLVGPRGERGFPGERGSPGAQGLQGPRGLPGTPGTDGPKGASGPAGPPGAQGPPGLQGMPGERGAAGIAGPKGDRGDVGEKGPEGAPGKDGGRGLTGPIGPPGPAGANGEKGEVGPPGPAGSAGARGAPGERGETGPPGPAGFAGPPGADGQPGAKGEQGEAGQKGDAGAPGPQGPSGAPGPQGPTGVTGPKGARGAQGPPGATGFPGAAGRVGPPGSNGNPGPPGPPGPSGKDGPKGARGDSGPPGRAGEPGLQGPAGPPGEKGEPGDDGPSGAEGPPGPQGLAGQRGIVGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGAPGASGDRGPPGPVGPPGLTGPAGEPGREGSPGADGPPGRDGAAGVKGDRGETGAVGAPGAPGPPGSPGPAGPTGKQGDRGEAGAQGPMGPSGPAGARGIQGPQGPRGDKGEAGEPGERGLKGHRGFTGLQGLPGPPGPSGDQGASGPAGPSGPRGPPGPVGPSGKDGANGIPGPIGPPGPRGRSGETGPAGPPGNPGPPGPPGPPGPGIDMSAFAGLGPREKGPDPLQYMRAHHHHHH
【0062】
最適化された設計の後、SEQ ID NO:9(α1(II)M6)アミノ酸配列をコードする遺伝子(COL2A1M6と表記する)のDNA配列は、SEQ ID NO:10に示される。
SEQ ID NO:10:
GAATTCTGGAGTCATCCTCAATTCGAAAAACAAATGGCTGGTGGATTCGATGAAAAGGCTGGTGGAGCCCAATTAGGTCCTCCACAAGGTCCTCCCGGTCCACCTGGTCCTCCCGGTCCTCCAGGTCCCGCCGGTGCTCCTGGACCACAGGGTTTCCAAGGAAACCCCGGTGAACCAGGTGAGCCTGGTGTTTCAGGTCCTCCCGGTCCTCCAGGACCACCTGGACCACCAGGAAAGCCTGGTGACGACGGAGAAGCTGGTAAACCAGGAAAGGCAGGAGAGAGAGGTCCACCTGGACCTCAGGGTGCCAGAGGTTTCCCAGGTACCCCTGGTCTTCCTGGTGTCAAGGGTCATAGAGGTTACCCCGGTTTGGATGGTGCCAAGGGTGAAGCCGGTGCCCCTGGTGTTAAGGGTGAATCAGGAAGTCCCGGTGAAAATGGAAGTCCCGGTCCACCCGGTCCACCTGGACTGCCAGGTGAGAGAGGAAGAACCGGACCAGCTGGTGCTGCAGGTGCTAGAGGAAATGACGGACAGCCCGGACCAGCCGGACCTCCCGGTCCTGTTGGGCCCGCAGGTGGTCCTGGTTTCCCtgGTGCTCCTGGAGCCAAAGGAGAAGCCGGACCCACCGGAGCCAGAGGTCCCGAGGGAGCACAGGGACCTAGAGGAGAACCAGGTACACCAGGTAGTCCCGGTCCTGCTGGTGCATCAGGAAATCCCGGAACTGACGGTATTCCAGGAGCAAAGGGATCTGCAGGAGCACCAGGAATAGCTGGTGCTCCTGGATTTCCAGGTCCCAGAGGACCTCCCGGTCCTCAAGGAGCAACAGGTCCTTTGGGACCAAAAGGTCAAACAGGAGAACCAGGTATTGCTGGATTCAAAGGAGAGCAAGGTCCAAAGGGAGAGCCCGGTCCCGCAGGTCCCCAAGGAGCCCCAGGACCAGCTGGTGAAGAAGGAAAAAGAGGAGCCAGAGGTGAACCTGGAGGAGTAGGACCTATTGGTCCTCCTGGTGAGAGAGGTGCTCCCGGAAACAGAGGTTTTCCTGGTCAAGATGGTCTGGCTGGACCTAAAGGTGCTCCAGGAGAGAGAGGACCTTCAGGACTTGCTGGTCCAAAAGGTGCTAACGGAGATCCAGGAAGACCCGGTGAACCTGGTCTGCCTGGAGCTAGAGGATTAACAGGAAGACCAGGTGACGCAGGTCCCCAGGGTAAAGTGGGTCCCAGTGGTGCCCCAGGTGAAGATGGAAGACCTGGTCCTCCCGGACCCCAAGGTGCAAGAGGTCAGCCTGGAGTGATGGGATTTCCTGGACCCAAGGGTGCTAACGGAGAACCTGGAAAAGCTGGTGAGAAAGGACTGCCCGGTGCCCCAGGTCTTAGAGGTTTGCCAGGTAAAGATGGAGAAACAGGAGCCGCAGGACCACCCGGTCCAGCCGGACCAGCAGGAGAGAGAGGTGAACAAGGAGCACCTGGTCCAAGTGGTTTTCAGGGTCTTCCAGGTCCCCCTGGTCCACCAGGAGAGGGAGGTAAACCAGGTGACCAAGGTGTCCCTGGAGAAGCAGGTGCACCCGGTCTTGTGGGTCCAAGAGGTGAAAGAGGATTCCCTGGTGAGAGAGGATCTCCCGGAGCCCAGGGACTTCAAGGTCCTAGAGGTCTGCCAGGTACCCCTGGTACAGACGGACCAAAGGGAGCATCAGGACCCGCTGGACCTCCCGGAGCCCAAGGTCCTCCAGGTTTACAAGGTATGCCTGGTGAAAGAGGTGCTGCAGGTATAGCTGGACCAAAAGGAGACAGAGGTGACGTTGGTGAGAAGGGTCCCGAAGGAGCCCCTGGAAAAGATGGTGGAAGAGGATTAACAGGTCCTATAGGACCACCCGGTCCAGCCGGTGCTAATGGAGAAAAAGGAGAAGTAGGTCCTCCAGGTCCAGCAGGATCTGCAGGTGCTAGAGGTGCCCCTGGAGAGAGAGGTGAAACAGGACCACCTGGTCCAGCTGGTTTCGCTGGTCCCCCAGGAGCTGATGGACAGCCCGGTGCAAAAGGTGAACAAGGAGAAGCCGGACAGAAGGGAGATGCTGGAGCCCCCGGTCCACAAGGTCCCTCAGGAGCACCAGGTCCTCAAGGTCCAACTGGTGTGACCGGGCCAAAGGGTGCAAGAGGAGCACAGGGACCTCCAGGAGCAACAGGTTTCCCAGGAGCTGCTGGTAGAGTCGGTCCACCCGGATCTAATGGTAACCCCGGACCACCAGGACCACCTGGACCATCTGGAAAGGATGGACCCAAAGGAGCAAGAGGAGATTCAGGACCACCCGGAAGAGCAGGAGAACCTGGATTACAGGGTCCCGCCGGTCCACCAGGAGAGAAAGGAGAGCCCGGAGATGATGGTCCCTCAGGTGCAGAGGGACCCCCAGGACCCCAAGGTCTGGCAGGTCAAAGAGGTATAGTGGGTCTTCCAGGTCAAAGAGGTGAAAGAGGATTTCCAGGACTTCCAGGTCCTTCAGGTGAACCCGGTAAACAGGGAGCCCCCGGAGCCTCAGGTGACAGAGGTCCTCCAGGACCAGTAGGACCCCCAGGTTTAACCGGACCAGCAGGTGAGCCAGGAAGAGAAGGTTCTCCTGGAGCCGATGGACCTCCAGGAAGAGACGGTGCAGCTGGTGTTAAGGGTGACAGAGGTGAAACTGGAGCCGTAGGAGCCCCAGGTGCCCCCGGACCACCCGGATCACCCGGACCTGCAGGTCCTACTGGTAAACAAGGAGATAGAGGAGAAGCCGGTGCCCAGGGTCCTATGGGTCCTTCTGGTCCTGCAGGAGCAAGAGGTATACAAGGTCCACAGGGTCCCAGAGGTGACAAGGGTGAAGCAGGAGAACCCGGTGAGAGAGGTCTGAAGGGTCATAGAGGATTCACCGGGTTACAGGGTTTGCCAGGACCCCCTGGACCAAGTGGTGACCAGGGTGCATCCGGTCCAGCAGGTCCTTCTGGACCAAGAGGTCCTCCCGGTCCAGTTGGTCCATCAGGTAAAGACGGAGCCAACGGTATCCCAGGTCCCATCGGTCCTCCAGGTCCTAGAGGAAGAAGTGGAGAGACTGGTCCTGCTGGACCTCCTGGAAACCCTGGTCCTCCAGGACCTCCAGGTCCTCCAGGTCCCGGAATAGATATGTCCGCTTTCGCTGGATTGGGACCAAGAGAGAAAGGTCCTGACCCTCTTCAATATATGAGAGCACACCATCACCATCATCACTAA
【0063】
DNA配列の合成は、南京金斯瑞生物科技株式会社(Nanjingjinsirui Science & Technology Biology Corp.)に依頼されて完成され、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10の2つの遺伝子のDNA断片を合成した。
【0064】
実施例2.組換え発現ベクターの構築、菌種選別
(1)組換え発現ベクターの構築
合成された遺伝子断片のSEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10をpPIC9K空ベクター(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific, Inc.)から購入)に組換え、標的断片を分泌シグナルα-因子を含む分泌型ベクターの読み枠内に正確に挿入し、α1(II)M6を発現するpPIC9K-COL2A1M6とα1(I)M1を発現するpPIC9K-COL1A1M1の2つの組換え発現ベクタープラスミドを取得した。
【0065】
pPIC9K-COL2A1M6、pPIC9K-COL1A1M1プラスミドをコンピテント大腸菌DH5α(生工生物工程(上海)株式会社(Sangon Biotech (Shanghai) Co., Ltd.)から購入)に形質転換し、アンピシリンを含むLB抗性プレートに陽性クローンをスクリーニングし、組換えプラスミドを抽出し、配列を同定により決定し(生工生物工程(上海)株式会社によって完成)、正確に検証した。pPIC9K-COL1A1M1、pPIC9K-COL2A1M6のプラスミドのパターンは、それぞれ
図3と
図4に示される。
【0066】
(2)菌種選別
上記の組換え発現ベクタープラスミド10μgをSacI(中国大連TaKaRa社から購入、具体的な操作は、キットの明細書に従って行った)で37℃で一晩酵素消化し、直線化させ、PCR生成物精製キット(生工生物工程(上海)株式会社から購入)により直線化プラスミドを回収し、容積を10μL程度に調整した。
【0067】
直線化プラスミドを宿主菌種のピキアパストリスSMD1168(サーモフィッシャーサイエンティフィックから購入)のコンピテント細胞に電気的形質転換化し、電気的形質転換した菌液を100μL~200μLずつ1つのMDプレートにコートし、室温で10分間放置し、単一コロニー(陽性形質転換体)が現れるまで30℃で2~5日反転培養した。
【0068】
MDプレートの表面に滅菌再蒸留水を2mL添加して、滅菌三角スプレッダーを使用してプレート表面のHis+形質転換体を軽くこすり落とし、50mLの遠心分離管に移した。菌懸濁液を滅菌再蒸留水で希釈し、105個の細胞を0.5mg/mLG418を含むYPDプレートにコートし、単一コロニーが現れるまで30℃で3~4日反転培養した。YPDプレートからコロニーを滅菌96ウェルプレート(200μLのYPD/ウェル)につつき、均一に混合し、30℃で48時間培養し、ウェル中の菌液をよく混合し、1つの新しい滅菌96ウェルプレートに10μLずつ接種し、30℃で24時間培養してから、この操作を再び繰り返し、24時間の後で、3枚目の96ウェルプレートから1μLを採取し、それぞれ1.0mg/mL及び4mg/mLのG418を含むYPDプレートに接種し、30℃で96時間~120時間の培養を続けた。ピキアパストリスの形質転換体が高濃度(4mg/mL)G418を含むプレートで成長できる場合、該形質転換体は、複数のコピーの標的遺伝子を含んでおり、つまり、複数の組換え断片が酵母に入り、同じ組換えにより酵母の染色体に組み込まれたことを意味する。この段階のスクリーニングにより、高コピー、高発現性の組換え酵母エンジニアリング菌種が得られた。
【0069】
pPIC9K-COL1A1M1、pPIC9K-COL2A1M6を含む2つのエンジニアリング菌サンプルを構築し、中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託した。
【0070】
組換え発現ベクターpPIC9K-COL1A1M1を含むエンジニアリング菌発現組換えα1(I)M1コラーゲンは、中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託され、寄託番号はCGMCC NO.21891であり、住所は北京市朝陽区北辰西路1号院3号であり、寄託日期は2021年03月11日であり、分類命名はピキアパストリス(Pichia pastoris)である。
【0071】
組換え発現ベクターpPIC9K-COL2A1M6を含むエンジニアリング菌発現組換えα1(II)M6コラーゲンは、中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託され、寄託番号はCGMCC NO.21892である。住所は北京市朝陽区北辰西路1号院3号であり、寄託日期は2021年03月11日であり、分類命名はピキアパストリス(Pichia pastoris)である。
【0072】
実施例3.誘導発現と組換えコラーゲンの同定
実施例2で得られた発現α1(I)M1、α1(II)M6の組換えエンジニアリング菌をそれぞれ取り、既存の特許における全長I型コラーゲンα1鎖タンパク質を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌株と全長II型コラーゲンα1鎖タンパク質を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌株をコントロールとし、2つのコントロールのエンジニアリング菌株は、いずれも発明者チームの既存の研究結果であり、発現した全長コラーゲンα1鎖は同様にペプチド鎖のアミノ基末端にStrep-Tag IIタグを付加し、カルボキシ末端に6×His Tagタグを添加し、残りは出願番号201911135958.0(名称は、酵母組換えヒトI型コラーゲンα1鎖タンパク質、合成方法及びその使用であり、特許における全長α1(I)鎖を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌種は中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託され、寄託番号はCGMCC NO.17150である)、出願番号201911088025.0(名称は、ピキアパストリスによる組換えヒトII型コラーゲン単鎖の調製方法、特許における全長α1(II)鎖を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌種は中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センターに寄託され、寄託番号はCGMCC NO.17149である)の特許から由来した。4つのエンジニアリング菌を10mLのBMGY培地を含む100mL三角フラスコに入れ、28~30℃、220rpmでOD600が2~6になるまで培養し(16~18日)。室温、1500~3000gで5分間遠心分離し、菌体を集め、OD600が2程度まで菌体をBMMY培地に再懸濁し、28~30℃、220rpmのシェーカーに置き、引き続き3日成長させ、培地中のメタノールの最終濃度が1.0%になるまで24時間毎に培地に100%メタノールを添加した。メタノールを添加して16時間以上誘導してから、菌液サンプルを1mLのサンプリング量で採取し、1.5mLのEP管に置き、4℃、12000gで5分間遠心分離し、発現上澄みを集め、後で使用するために検出するサンプルを-80℃で保管した。
【0073】
取得した発現上澄みに5×ローディングバッファー(250mMのTris-HCl、pH値6.8、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロール、5%β-メルカプトエタノール)を添加し、100℃金属浴に入れて10分間加熱し、SDS-PAGE検出を行った。発現した標的タンパク質は、アミノ基末端にSrtep-Tag IIタグがあり、カルボキシ末端に6×His Tagタグがあるため、抗Srtep-Tag II、抗6×His Tagの抗体(南京金斯瑞生物科技株式会社から購入)を使用してウエスタンブロット(Western Blot)検出を行った(具体的な操作は、明細書を参照して行われる)。
【0074】
発現上澄みのSDS-PAGEは、下の
図5に示され、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)は、いずれも24時間誘導発現することで細胞外の発現上澄みに効率的に分泌発現でき、α1(I)、α1(II)は、予想される標的バンド(>116kDa)で明確の主な分解バンド(<116kDa)を示しており、本発明のα1(I)M1、α1(II)M6は、予想される標的バンド(>116kDa)のみを有した。
【0075】
Image Labソフトウェア(Bio-Rad Gel Doc XR+イメージャー)を使用して計算した結果は、次の通りである。
(1)α1(I)M1標的バンドの見かけ分子量(116.3kDa)はα1(I)標的バンドの見かけ分子量(116.4kDa)と比較して、α1(II)M6標的バンドの見かけ分子量(118.2kDa)はα1(II)標的バンドの見かけ分子量(118.1kDa)と比較して基本的に一致し、α1(I)の主な分解バンドの見かけ分子量(104.5kDa)とα1(II)の主な分解バンドの見かけ分子量(106.9kDa)よりも著しく多い。
(2)α1(I)電気泳動結果における標的バンドと主な分解バンドとの比は、51.5%:48.3%であり、α1(II)電気泳動結果における標的バンドと主な分解バンドとの比は、52.1%:47.8%であり、主な分解生成物は、標的生成物の割合と基本的に同じである。
【0076】
図6のECL化学発光発色結果(全自動の化学発光画像解析システムTanon 5200がタンパク質の分子質量標準を画像に合成する)からわかるように、アミノ基末端にSrtep-TagIIタグが、カルボキシ末端に6×His Tagタグが検出され得、標的バンドは、SDS-PAGEにおける見かけ分子量の大きさと同じであり、α1(I)M1、α1(II)M6の2つの組換えコラーゲンは全長配列を効率的に分泌発現できており、標的バンドの発現は予期通りであり、α1(I)、α1(II)の2つのコラーゲンの標的バンド配列は全長であるが、主な分解バンドがアミノ基末端の配列を欠如し、カルボキシ末端6×His Tagタグのみ検出された。
【0077】
SDS-PAGEにおけるα1(I)M1とα1(II)M6の標的バンド、SDS-PAGEにおけるα1(I)とα1(II)の標的バンドと主な分解バンドバンドを切り取り、トリプシンで酵素消化し、Nano-HPLC-MS/MS質量分析により組換えコラーゲンのトリプシン分解ペプチド断片(蘇州普泰生物技術有限会社(Suzhou Putai Bio-Technology Co., Ltd.)に依頼して完成され)を検出し、検出したペプチド断片を配列比較し(Uniprotデータベース)、データの比較結果及び同定ペプチド断片と天然配列の比較重ね図(バックグラウンドの色が灰色である部分は、バンドにおいて質量分析で同定されたペプチド断片が天然配列と完全に同じ部分)は、
図7と
図8に示され、その結果は次の通りである。
(1)α1(I)M1、α1(I)の標的バンド及びα1(I)の主な分解バンドにおいて酵素消化した後で検出されたペプチド断片は、いずれもI型コラーゲンα1鎖の配列に属する。
(2)α1(II)M6とα1(II)の標的バンド及びα1(II)の主な分解バンドにおいて酵素消化した後で検出されたペプチド断片は、いずれもヒトII型コラーゲンα1鎖の配列に属する。
【0078】
以上の結果より、α1(I)M1、α1(II)M6は、α1(I)、α1(II)と同様に発現することができ、それぞれヒトI型コラーゲンα1鎖、ヒトII型コラーゲンα1鎖の組換えコラーゲンに属するが、α1(I)、α1(II)は、発現する場合に分解が発生し、主な分解バンドも対応する種類のコラーゲンに属することが分かった。
【0079】
実施例4.高密度で発酵、精製すること
(1)遺伝子のエンジニアリング菌を高密度で発酵すること
組換えα1(I)M1、α1(II)M6コラーゲンを大規模に発現、生産し、組換えコラーゲンを含む発酵液を得た。
種培地YPG(酵母粉末10g/L、酵母ペプトン20g/L、無水グリセロール10g/Lを含む)、発酵培地(NH4H2PO4 190.4 g/L、KH2PO4 10.06 g/L、CaSO4・2H2O 1.18 g/L、K2SO4 18.2 g/L、MgSO4・7H2O 14.9 g/L、グリセロール40 g/Lを含む)、フィード培地(50%W/Vグリセロールを含み、1リットルあたり12mL PTM1微量元素を加えて)、誘導培地(100%メタノールを含み、1リットルあたり12mL PTM1微量元素を加えて)、PTM1を0.22μmのフィルター膜でろ過・滅菌し、4℃で保管した。発酵培地を高温殺菌した後、室温まで下がった後にPTM1を加え、アンモニア水でpH5.0に調整した。
【0080】
エンジニアリング菌株のバッチ培養条件及び誘導発現条件は、次の通りである。
流加培養法を採用し、培養温度が30℃である。
エンジニアリング菌を種含有培地YPGの1L振盪ボトルに接種し、220rpm、30℃でOD600=2~10になるまで18~20時間培養した。5Lの発酵槽(保興生物社(Guangzhou Baoxing Biological Technology Co., Ltd.))を使用して、発酵培地(2%グリセロールを含む)を2L投入して別途滅菌し、接種前に回転数300rpm、通気量4L/min、温度30℃に調整し、濃アンモニア水で調製されたアルカリ液によりpHを4.5に調整した。そして、0.9mLのPTM1を接種して、調製された200mLの種液をタンク(フレイムリングによる接種)に接種し、溶存酸素電極の100校正(hundred calibration)をクリックし、100校正後に発酵を開始した。成長溶存酸素が初めて30%に下がったら、溶存酸素量・回転速度のカスケード機能(dissolved oxygen/rotational speed cascade function)により成長溶存酸素を30%に保ち、グリセロールが消費され、溶存酸素がリバウンドし、溶存酸素が70%(OD600値約20)を超えると、溶存酸素のカスケード速度制御を解除し、攪拌を650rpmに調整し、グリセロールを30%連結供給し、供給量は80mLである。グリセロールの補充を停止し、溶存酸素が70%以上にリバウンドしてから、pH4、温度29℃とし、メタノールとグリセロールとの混合炭素源(メタノール:50%グリセロール=7:3)を使用して誘導培養した。手動で上記の混合炭素源を5mL追加し、溶存酸素が70%以上にリバウンドしてから、供給速度を8mL/hとし、1時間後に10mL/hに上げ、1時間後に再び20mL/hに上げた。溶存酸素の値が30%未満の場合、供給を停止し、溶存酸素がリバウンドし、溶存酸素が30%戻って連結供給した。40~60時間誘導し、UV測定によってタンパク質濃度が大幅に増加しない又は減少すると、タンクに入れる。UVによるタンパク質の定量式は、C(mg/mL)=0.144*(A215-A225)であり、A215<1.5である。同時に、全長α1(I)鎖を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌種(中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センター菌種の寄託番号はCGMCC NO.17150である)、全長α1(II)鎖を発現するピキアパストリスのエンジニアリング菌種(中国微生物菌種保蔵管理委員会の一般微生物学センター菌種の寄託番号はCGMCC NO.17149である)をそれぞれ取得して高密度で発酵した。
【0081】
その結果は、表1に示され、48時間誘導した後、α1(I)はα1(I)M1と比較して、α1(II)M6はα1(II)と比較して、菌濃度(OD600)、菌湿重量、発酵液における発現タンパク質の濃度UV定量という3つの指標は、有意差がない。ただし、発酵上澄みを集めてSDS-PAGE電気泳動検出した結果は、
図9に示され、高密度での発酵の条件下でα1(I)、α1(II)の主な分解バンドは極めて明らかであり、振盪ボトルによる誘導発現と変わらなく、α1(I)M1、α1(II)M6の最も主な生成物は依然としてその標的バンドであり、主な分解バンドが現れていないことから、α1(I)M1、α1(II)M6の主な分解バンド(主な分解生成物)の除去効果は、高密度での発酵の条件下でも効果的に維持されることを意味する。
【0082】
【0083】
(2)コラーゲンの精製
バッファーA:20mMのKH
2PO
4、pHは4.0である。
バッファーB:20mMのKH
2PO
4、0.5MのNaCl、pHは4.0である。
発酵液を集め、2000g、30min、4℃で菌体と発酵上澄みを遠心分離した。A215吸光度値と電導率値が変化しないまで陽イオン交換媒体(クロマトグラフィー充填剤は、利穗科技(蘇州)有限会社(Lisure Science (Suzhou) Co., Ltd.)製のGCC-50-400クロマトグラフィーカラムにロードされた蘇州納米微技術株式会社(SUZHOU NANOMICRO TECHNOLOGY CO., LTD.)製のUniGel-80spであり、GE AKTA Pureタンパク質の分離、クロマトグラフィー、精製システムを使用)をバッファーAでバランスさせた後、40us/cmの流速に設定してローディングし、サンプル量を0.5L/回とし、紫外線A215の吸光度値が上昇したことを検出したら、サンプルの採取を開始した。ローディングが完了した後、サンプルの採取を停止し、陽イオンクロマトグラフィー媒体をバッファーAでバランスさせ、A215の吸光度値が低下したら、紫外線と電導率が最小値に低下するまで変化しなくなる。溶出液を集め、成分を個別に検出、定量した後、透析(透析液は超純水であり)を行った後、濃縮、凍結乾燥し、凍結乾燥コラーゲンスポンジを集めた。精製した凍結乾燥スポンジを超純水に溶解し、SDS-PAGE電気泳動を行い、
図10に示す。α1(I)M1、α1(II)M6を一段階のイオン交換で精製した後、不純物タンパク質、小さな分解バンドなどの大部分が除去され、高純度の単一標的タンパク質を取得した(Image Labソフトウェアを使用して算出し、α1(I)M1の純度は90.1%であり、α1(II)M6の純度は88.3%である)。α1(I)、α1(II)に同じ精製工程を行った後、主な分解バンドは依然として現れ、除去できず、主な分解生成物は、サイズ、性質が標的生成物と類似しているため、一段階で精製することによりこれらを分離することが難しく、出願番号201911135958.0と出願番号201911088025.0の特許の内容によれば、単一標的全長α1(I)鎖、全長α1(II)鎖の生成物を得るには、全長α1(I)鎖、全長α1(II)鎖のアミノ基末端にSrtep-TagIIタグがあり、カルボキシ末端に6×Hisタグがある性質によって、Ni-NTA、Strep-Tactinアフィニティークロマトグラフィー媒体を使用して二重親和性の精製することによってのみ達成でき、SDS-PAGEでは、主な分解バンドの主な分解生成物は廃棄され、菌体の生合成資源が無駄になれ、精製工程が増加し、標的生成物の収量が低下した。
【0084】
実施例5.組換えコラーゲンの検出
(1)フーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)の分析
試験では、α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)のコラーゲンの精製後凍結乾燥サンプルを微量取り、それぞれ臭化カリウム(KBr)と混合し、粉末に研磨して打錠し、室温で4000~400cm-1の範囲をスキャンし(Thermo Scientific、NicoletTM iSTM 10 FT-IR分光計)、方法及び結果の分析は、(Jeong、H.J. Venkatesan and S. Kim、Isolation and characterization of collagen from marine fish (Thunnus obesus). Biotechnology and Bioprocess Engineering、2013. 18(6): p. 1185-1191.)を参照する。
【0085】
α1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)のタンパク質精製サンプルをスキャンして得られた赤外スペクトルは、
図11と
図12に示され、特徴的な吸収平均波数は、アミドA(3299cm
-1程度)、アミドB(3081cm
-1程度)、アミドI(1650cm
-1程度)、アミドII(1530~1550cm
-1程度)、アミドIII(1240cm
-1程度)である組換えコラーゲンの構造的特徴と一致していることが分かり、α1(I)M1、α1(II)M6におけるアミノ酸の変異がコラーゲン自体の性質に影響を及ぼさないことを示している(文献[1].陳静涛ら、組換えコラーゲンとウシI型コラーゲン赤外スペクトルに対する検討.材料導報、2008(03):119~121頁.[2].Doyle、B.B.、E.G. Bendit and E.R. Blout、Infrared spectroscopy of collagen and collagen‐like polypeptides. Biopolymers、1975. 14(5): p. 937-957.[3].周愛梅ら、組換えヒトコラーゲンの分離精製及びその構造的特性.食品と発酵工業、2015(03):第46~52頁.を参照)。
【0086】
(2)組換えコラーゲンの細胞接着活性の検出
組換えコラーゲンの細胞接着活性の検出方法は、文献Juming Yao、Satoshi Yanagisawa、Tetsuo Asakura. Design、Expression and Characterization of Collagen-Like Proteins Based on the Cell Adhesive and Crosslinking Sequences Derived from Native Collagens 、J Biochem .136、643-649(2004)を参照する。常州大学薬学部の機能性ナノ材料及び生体医学試験研究室に委託されて完成された。
【0087】
具体的な実施方法は、正常培養NIH/3T3細胞(中国科学院細胞バンクから購入、製品番号はGNM6であり、培養、継代の方法は、細胞の明細書に従って行われる)。組換えα1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)のコラーゲンの凍結乾燥スポンジ、コントロールのヒトコラーゲン(Sigmaから購入、製品番号はC7774である)、及びウシ血清アルブミン(BSA、生工生物(上海)株式会社から購入)を取って溶解し(超純水又は1MのHCl溶液)、UVタンパク質定量の実験式C(mg/mL)=0.144×(A215-A225)に従ってタンパク質の濃度を測定し、PBS(pH7.4)で0.5mg/mLに希釈した。96ウェル細胞培養プレートに様々なタンパク質溶液とブランクPBS溶液のコントロールを100μL添加し、室温で60分間放置し、各ウェルに良好に培養されたNIH/3T3細胞を105個加え、37℃、5%CO2で60分間インキュベートした。PBSでウェル内の細胞を4回洗浄した。LDH検出キット(Roche、04744926001)を使用してOD492nmの吸光度値を検出した(具体的な操作は、明細書に従って行われる)。
【0088】
OD492nmの吸光度に対応する特性は、コラーゲンサンプルの細胞接着活性を表すことができ、OD492nmの吸光度が高いほど、タンパク質がより多くの細胞に接着し、接着活性が高いほど、細胞が壁に接着したり、細胞外マトリックスに短時間で接着するのを助け、より良好な細胞外環境の構築に寄与する。その結果は、
図13に示され、組換えα1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)のコラーゲンは、いずれも市販の天然ヒトコラーゲンと類似の細胞接着活性を有し、いずれもコントロール群よりも高く、α1(I)M1はα1(I)と比較して、α1(II)M6はα1(II)と比較して、細胞接着活性が基本的に一致しており、有意差がない。
【0089】
(3)組換えコラーゲンヒドロゲルの調製と検出
組換えα1(I)M1、α1(II)M6、α1(I)、α1(II)のコラーゲンを取り、10%の濃度で注射用水に溶解し、pHを4~6の範囲に調整し、0.22μmの無菌フィルターでろ過滅菌し、コラーゲン乾燥粉末1gあたり0.1gの10%(w/w)滅菌N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)溶液を添加して均一に混合してから、コラーゲン乾燥粉末1gあたり0.13gの50%(w/w)滅菌1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)溶液を添加し、室温(20~30℃)で放置して2~6時間反応させてヒドロゲルを生成した。ヒドロゲルを滅菌PBS溶液(NaCl 8.5g/L、Na2HPO4 0.5 g/L、NaH2PO4 0.15 g/L、pH 7.2)にて、ゲル:PBS透析液=1:6(m/m)で120時間連続透析し、24時間毎に透析液を完全に交換し、NHS、EDCの残留物が除去された。透析したヒドロゲルを滅菌容器に入れ、室温で放置した。
【0090】
ヒドロゲルを凍結乾燥させて水分を除去し、凍結乾燥したヒドロゲルを量り、再び滅菌PBS溶液に24時間放置し、完全に水を吸収して膨潤した後、ヒドロゲルを取り出し、吸収紙で表面の水分を吸い取って重量を量る。文献における方法に従って、膨潤率:Q膨潤率=(W吸水膨潤質量-W乾燥ゲル重量)/W乾燥ゲル重量を計算した。レオメーター(Discovery HR-2)を使用してヒドロゲルの弾性率(貯蔵弾性率、小振幅周波数スキャン、25℃、応力0.5%、0.1~100.0rad/s)、動粘度(フローピークに保ち、25℃、せん断速度2.0s-1)を検出した。凍結乾燥ヒドロゲルを液体窒素にて急速に凍結させて割り、走査型電子顕微鏡(日立のTM3030PLUS)を使用して凍結乾燥ヒドロゲルの表面をスキャンした。弾性率、動粘度、膨潤率の結果は、表2に示され、α1(I)M1はα1(I)と比較して、α1(II)M6はα1(II)と比較して、同じ条件下で調製されたヒドロゲルの流体力学的特性が基本的に同じであり、大きくは変化していない。
【0091】
【0092】
図14、15に示されるように、α1(I)M1、α1(II)M6で調製されたヒドロゲルは、α1(I)、α1(II)で調製されたヒドロゲルと同じように、いずれも多孔質ネットワーク構造であり、孔径範囲が100~200μmに集まり、透過性がよく、大量の水を維持するための空間構造基盤を有しており、細胞に接着、支持、成長・遊走するための空間又は栄養物質や代謝産物を輸送するチャネルとして生体医学材料分野に利用される可能性がある。
【0093】
(4)組換えコラーゲンヒドロゲルの細胞の検出
無菌的に保存されたヒドロゲルを24ウェル細胞培養プレートに置いた。正常培養NIH/3T3細胞(中国科学院細胞バンクから購入、製品番号GNM6、培養、継代の方法は、細胞の明細書に従って行われ)を取り、PBSで洗浄し、トリプシンで消化し、培地を加え、均一にピペッティングしてカウントし、105個細胞/ウェルでヒドロゲルを含む細胞培養プレートに接種し、24~72時間共培養し、ヒドロゲル上の細胞の接着と増値の状況を観察した。
【0094】
(1)24ウェルプレートを取り、DMSOで1mMのカルセインAM(碧云天生物技術研究所(Beyotime Biotechnology Inc.)から購入)を調製し、D-PBSで50μMのカルセイン作業液に希釈した。ウェル中の培地を吸引し、PBSで複数回洗浄し、1mLの血清含有DMEM培地を添加し、100μLのカルセインAM溶液(培地の1/10)を添加し、30分間インキュベートし、細胞を染色して成長培地を交換し、30分間培養し、ヒドロゲルを軽く取り出し、新しい培養ウェルに置き、蛍光顕微鏡で写真を撮った(最大励起光波長は494nmであり、最大発光波長は514nmである)。
【0095】
(2)別の24ウェルプレートを取り、200μLのMTT溶液(碧云天生物技術研究所から購入)を添加し、NIH/3T3細胞を4時間培養した後、細胞に青紫色の結晶の形成状況を観察し、培地を捨て、PBSでヒドロゲルを洗浄し、ヒドロゲルを縦に切り、新しい培養ウェルに置き、顕微鏡で写真を撮った。
【0096】
この実施例における実験は、常州大学薬学部の機能ナノ材料と生体医学試験研究室に依頼されて完成された。
その結果は、
図16、17に示され、α1(I)M1、α1(II)M6で調製されたヒドロゲルは、α1(I)、α1(II)で調製されたヒドロゲルと同じように、明視野顕微鏡で観察した場合、NIH/3T3細胞の形態は、正常で、典型的な線維芽細胞の形態であり、ヒドロゲルに接着、成長したNIH/3T3細胞をカルセインAMで染色すると、緑色の蛍光を検出し(写真中の明るい部分)、ヒドロゲルに成長したNIH/3T3細胞は、MTTを添加すると、青紫色の結晶を形成し(写真中の黒い部分)、緑色の蛍光と青紫色の結晶は、生細胞によってのみ形成され、NIH/3T3細胞がヒドロゲル内で正常に接着、成長、遊走できることを示しており、α1(I)M1、α1(II)M6で調製されたヒドロゲルは、天然配列のα1(I)、α1(II)で調製されたヒドロゲルと類似の生物学的機能を有し、新規の生物医療機器として創傷修復、組織再生などの分野に適用され得る。
【配列表】