(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】パワーモジュール、及びパワーモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250609BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250609BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20250609BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20250609BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/28 K
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2021064919
(22)【出願日】2021-04-06
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】江積 匡彦
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-052068(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198019(JP,U)
【文献】特開2019-129201(JP,A)
【文献】特開2000-183281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/28
H01L 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電力を変換して出力するパワーモジュールであって、
パワー半導体素子が実装された回路基板と、
前記回路基板が固定されるベースプレートと、
前記回路基板の外面のうち、前記ベースプレートとは反対側を向く面に固定された基端面と、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面と、前記回路基板の表面から離間する方向に延びて前記基端面と前記先端面とを電気的に接続する中間部とを有する端子ブロックと、
前記回路基板と前記ベースプレートとの少なくとも一方に固定されて、前記端子ブロックの前記先端面を外部に露出させながら前記端子ブロックを補強する補強部と、を備え、
前記端子ブロックの前記中間部は、前記先端面側を向く受け面を有し、
前記補強部は、
前記中間部の延びる方向で前記受け面と対向するように設けられて、前記回路基板の前記表面から離間する方向への前記端子ブロックの変位を規制する抑え面を有するパワーモジュール。
【請求項2】
前記端子ブロックは、前記回路基板の外周縁部の内側に収まるように配置されている請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記補強部は、前記回路基板の周囲を囲むケースを兼ねる請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記補強部は、ポッティング材からなる請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記中間部は、前記回路基板に沿う方向に延びる凹部を有し、
前記凹部が前記受け面を備えている請求項1から4のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記端子ブロックとして、PN端子を成す第一端子ブロック及び第二端子ブロックを備え、
前記第一端子ブロックと前記第二端子ブロックとは、前記回路基板に沿う方向に互いに間隔をあけて並設され、
前記第一端子ブロックの前記受け面は、前記第一端子ブロックの前記先端面よりも前記第二端子ブロック側に設けられ、
前記第二端子ブロックの前記受け面は、前記第二端子ブロックの前記先端面よりも前記第一端子ブロック側に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記ベースプレートの前記回路基板が固定される面とは反対側を向く面に接触するように設けられて、少なくとも前記回路基板を冷却する冷却器をさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
回路基板に固定可能な基端面と、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面と、前記基端面と前記先端面とを電気的に接続する中間部と、を備え、前記先端面側を向く受け面を有した凹部を前記中間部に備えた端子ブロックを成形する端子ブロック成形工程と、
液状の合成樹脂を、前記凹部の内部に入り込むように供給するとともに、前記端子ブロックの前記中間部を覆うように、かつ、前記先端面を外部に露出させるように供給して硬化させて補強部を成形する補強部成形工程と、
を含むパワーモジュールの製造方法。
【請求項9】
前記補強部
成形工程では、前記端子ブロックを前記回路基板の外周縁部の内側に収まるように前記回路基板上に配置した状態で前記
合成樹脂を供給する請求項8に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーモジュール、及びパワーモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、インバータ等の電力変換装置に用いられるパワー半導体モジュール(以下、パワーモジュールと称する)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたようなパワーモジュールにおいては、付加価値向上のために更なる小型化が望まれている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のパワーモジュールの入力端子や出力端子には、導体の締結による荷重や振動等の外乱による荷重が加わる場合がある。そのため、これらの荷重に耐えられる十分な強度を有する必要があり、端子の信頼性を低下させることなく更なる小型化を図ることが困難になっている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、端子の信頼性を低下させることなく小型化を図ることが可能なパワーモジュール、及びパワーモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るパワーモジュールは、入力された電力を変換して出力するパワーモジュールであって、パワー半導体素子が実装された回路基板と、前記回路基板が固定されるベースプレートと、前記回路基板の外面のうち、前記ベースプレートとは反対側を向く面に固定された基端面と、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面と、前記回路基板の表面から離間する方向に延びて前記基端面と前記先端面とを電気的に接続する中間部とを有する端子ブロックと、前記回路基板と前記ベースプレートとの少なくとも一方に固定されて、前記端子ブロックの前記先端面を外部に露出させながら前記端子ブロックを補強する補強部と、を備え、前記端子ブロックの前記中間部は、前記先端面側を向く受け面を有し、前記補強部は、前記中間部の延びる方向で前記受け面と対向するように設けられて、前記回路基板の前記表面から離間する方向への前記端子ブロックの変位を規制する抑え面を有する。
【0007】
また、本開示に係るパワーモジュールの製造方法は、回路基板に固定可能な基端面と、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面と、前記基端面と前記先端面とを電気的に接続する中間部と、を備え、前記先端面側を向く受け面を有した凹部を前記中間部に備えた端子ブロックを成形する端子ブロック成形工程と、合成樹脂材料を、前記凹部の内部に入り込むように供給するとともに、前記端子ブロックの前記中間部を覆うように、かつ、前記先端面を外部に露出させるように供給して硬化させる補強部成形工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端子の信頼性を低下させることなく小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るパワーモジュールの斜視図であって、補強部を除いた状態を示している。
【
図3】本開示の第一実施形態に係るパワーモジュールの斜視図であって、補強部を設けた状態を示している。
【
図5】本開示の第一実施形態に係るパワーモジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の第二実施形態に係るパワーモジュールの斜視図である。
【
図7】本開示の第二実施形態に係るパワーモジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態に係るパワーモジュールの端子ブロックの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
(パワーモジュール)
以下、本開示の第一実施形態に係るパワーモジュール、及びパワーモジュールの製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態のパワーモジュールは、入力された電力を変換して出力するインバータやコンバータ等の電力変換器の一部を構成している。本実施形態においては、パワーモジュールが、直流電流を入力とし、交流電流を出力とするインバータの一部を構成する場合を一例にして説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るパワーモジュールの斜視図であって、補強部を除いた状態を示している。
図1に示すように、本実施形態のパワーモジュール1は、ベースプレート10と、回路基板15と、端子ブロック20と、パワー半導体素子12と、冷却器40と、出力導体30と、補強部50(
図3参照)と、を備えている。
【0012】
(ベースプレート)
ベースプレート10は、平板状を成す部材である。ベースプレート10は、第一面10a及び該第一面10aの裏側に位置する第二面10bを有している。即ち、ベースプレート10の第一面10aと第二面10bとは背合わせになっている。本実施形態において、ベースプレート10には、例えば銅が採用される。なお、ベースプレート10には、銅以外の金属が採用されてもよい。
【0013】
(回路基板)
回路基板15は、回路基板本体16と、回路パターンCと、を有している。
回路基板本体16は、平板状を成している。この回路基板本体16は、表面16aと、この表面16aの裏側に位置する裏面16bと、を有している。回路基板本体16の裏面16bは、ベースプレート10の第一面10aに接合材等を介して固定されている。回路基板本体16は、例えばセラミック等の絶縁材料により形成されている。なお、回路基板本体16を形成する絶縁材料としては、上記セラミック以外にも、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド、フッ素樹脂等を用いることができる。
【0014】
回路パターンCは、回路基板本体16の表面16aに形成された銅箔等のパターンである。より詳しくは、回路パターンCは、回路基板本体16の表面16aに接着等で固定された後、エッチング等を行うことで形成されている。本実施形態の回路パターンCには、入力回路(図示無し)と、出力回路(図示無し)と、制御回路(図示無し)と、が形成されている。入力回路(図示無し)は、後述の端子ブロック20から入力された電流を後述のパワー半導体素子12に入力するための回路パターンである。出力回路(図示無し)は、パワー半導体素子12が変換した電流を出力するための回路パターンである。制御回路(図示無し)は、パワー半導体素子12の挙動を制御するための制御信号を生成する制御部(図示無し)が接続される回路パターンである。
【0015】
(端子ブロック)
端子ブロック20は、パワーモジュール1外部に設けられている電流供給源(図示無し)からコンデンサ等(図示無し)を介して入力される電流を受け入れる。
図1、
図2に示すように、端子ブロック20は、銅などの金属からなり、回路基板本体16の表面16a上に形成された回路パターンCに固定されている。端子ブロック20は、基端面20aと、先端面20bと、中間部20cと、を有している。
【0016】
基端面20aは、回路基板15の外面のうちベースプレート10とは反対側を向く面に固定されている。より詳しくは、基端面20aは、回路基板本体16の表面16aに形成された回路パターンCの入力回路に接触して、回路パターンCの入力回路に電気的に接続されている。
【0017】
先端面20bは、上記基端面20aとは反対側に位置する面である。即ち、先端面20bと基端面20aとは、互いに背合わせの関係になっている。この先端面20bには、外部に電気的に接続された外部導体としてのバスバー(図示無し)等を固定することが可能になっている。本実施形態の先端面20bには、ボルト締結用のネジ穴Tが形成されている。このボルト締結用のネジ穴Tが形成されていることで、電流入力用の外部導体である入力バスバー(図示無し)が、ボルト等(図示無し)を用いて先端面20bに締結可能となっている。
【0018】
中間部20cは、回路基板15の表面16aから離間する方向に延びて基端面20aと先端面20bとを接続している。本実施形態における中間部20cは、基端面20aから回路基板15の表面16aと垂直な方向に延びて、先端面20bに至っている。端子ブロック20の先端面20bから流入する電流は、中間部20cを経由して基端面20aに至り、基端面20aから回路パターンCの入力回路に流入する。なお、本実施形態においては、中間部20cの延びる方向と垂直な断面における端子ブロック20の輪郭は、矩形状(具体的には、略正方形状)をなしている。
【0019】
中間部20cには、回路基板15に沿う方向に延びる凹部20dが形成されている。凹部20dは、先端面20b側を向く受け面20eを有している。さらに、本実施形態における凹部20dは、受け面20eと対向するように配置された対向面20gと、対向面20gと受け面20eとを繋ぐ底面20fとを有している。本実施形態において、一つの端子ブロック20に対して、二つの凹部20dが形成されている。これら二つの凹部20dは、一つの端子ブロック20において、互いに対称となる位置に配置されている。
【0020】
本実施形態のパワーモジュール1は、PN端子を成す二つの端子ブロック20として、第一端子ブロック21と、第二端子ブロック22と、を有している。第一端子ブロック21と、第二端子ブロック22とは、回路基板15に沿う方向に互いに間隔をあけて並設されている。
【0021】
より具体的には、本実施形態の第一端子ブロック21と、第二端子ブロック22とは、平面視矩形状に形成された回路基板15の四辺のうちの一辺の延びる方向に間隔をあけて配置されるとともに、この一辺に沿って並んで配置されている。
【0022】
これら第一端子ブロック21と第二端子ブロック22とは、インダクタンスの観点から、回路基板15に沿う方向において、接触しない限りで近接していることが望ましい。即ち、回路基板15に沿う方向における第一端子ブロック21と第二端子ブロック22との間隙が小さいほど、これら第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22を流れる電流が発生させる磁界の影響を大きくすることができるため、インダクタンスをより有効に低減できる。
【0023】
(パワー半導体素子)
パワー半導体素子12は、例えば、IGBTやMOSFET、FWD等である。本実施形態においては、六つのパワー半導体素子12が回路基板15に実装されている場合を例示している。パワー半導体素子12は、入力用端子(図示無し)と、出力用端子(図示無し)とを備えている。入力用端子(図示無し)は、ベースプレート10の回路基板本体16の表面16aに形成されている回路パターンCの入力回路に、接合材等を介して電気的に接続されている。
【0024】
出力用端子(図示無し)には、例えば、導線としてのリードフレーム(図示無し)の一端が電気的に接続されている。リードフレームの他端は、回路パターンCの出力回路に電気的に接続されている。つまり、入力用端子(図示無し)には、回路パターンCを介して電流が流入し、パワー半導体素子12により変換された電流が、出力用端子(図示無し)から出力される。また、パワー半導体素子12には、制御部(図示無し)によって生成された制御信号が入力される。パワー半導体素子12は、この制御信号に従ってスイッチングを行う。
【0025】
(冷却器)
冷却器40は、回路基板15を冷却する装置である。冷却器40は、接合材等を介して、ベースプレート10の第二面10bに設けられている。本実施形態における冷却器40は、冷却器筐体41と、冷媒入口部42と、冷媒出口部43と、を有している。
【0026】
冷却器筐体41は、接合材等を介してベースプレート10の第二面10bに接合されている。この冷却器筐体41の内部には、冷媒Wの流れる流路が形成されている。冷媒入口部42は、パワーモジュール1の外部に設けられている冷媒供給装置(図示無し)から供給された冷媒Wを冷却器筐体41の内部に導く。冷媒出口部43は、冷媒入口部42から流入して冷却器筐体41の内部を流れた冷媒Wを外部に排出する。この冷媒出口部43から排出された冷媒は、例えば、冷媒供給装置へ戻される。
【0027】
即ち、パワー半導体素子12の熱が、回路パターンC、回路基板本体16、ベースプレート10、冷却器筐体41等を介して冷媒Wに伝わり、パワー半導体素子12が冷却されることとなる。
【0028】
ベースプレート10と回路基板本体16との接合、パワー半導体素子12と回路パターンCとの接合、及びベースプレート10と冷却器筐体41との接合には、例えば、半田や焼結材(金属やセラミック等の粉末)や接着剤等の接合材を用いることができる。また、本実施形態において、冷却器筐体41、冷媒入口部42、及び冷媒出口部43の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、セラミック等を採用できる。
【0029】
(出力導体)
出力導体30は、パワー半導体素子12によって変換された電流を出力する導体である。出力導体30は、基部31と、接続部32と、を有している。
【0030】
基部31は、ベースプレート10の外側から第一面10aに設けられている回路基板15に向かって延出する、電流出力用の出力バスバーとしての導体である。基部31の外側端部には、ボルト締結孔Bが形成されている。基部31の外側端部には、電流出力用の出力配線(図示無し)がボルト締結される。
【0031】
接続部32は、基部31の内側端部に接続され、該内側端部から回路パターンC領域に至るように延びて、基板本体の表面16aに形成された回路パターンCの出力回路に電気的に接続されている。
【0032】
(補強部)
図3は、本実施形態に係るパワーモジュールの斜視図であって、補強部を設けた状態を示している。
図3に示すように、補強部50は、回路基板15の一部、及びベースプレート10に固定されて端子ブロック20を補強している。補強部50は、合成樹脂材料により形成されている。補強部50は、端子ブロック20の中間部20cを外側から覆うとともに、回路基板15を少なくとも外側から囲っている。即ち、補強部50は、回路基板15に沿う方向において、回路基板15の周囲を囲むケースを成している。補強部50は、ベースプレート10の第一面10a及び回路基板本体16の一部の表面16aに接着剤等を介して固定されている。
【0033】
本実施形態において、補強部50には、例えば、合成樹脂材料としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の絶縁材料を採用できる。なお、PPS以外の絶縁材料を、補強部50に採用してもよい。
【0034】
補強部50は、回路基板15を外側から囲んでいる。これら補強部50と回路基板15とによって空間が画成される。以下、本実施形態において、これら補強部50及び回路基板15により画成された空間をポッティング空間Pと称する。ポッティング空間Pには、外部からポッティング材が流し込まれ(ポッティング)、少なくとも回路基板本体16の表面16aに設けられた回路パターンC及びパワー半導体素子12が封止される。
【0035】
図4は、
図3のIV-IV線方向の断面図である。
図4に示すように、本実施形態における補強部50は、端子ブロック20の中間部20cに形成された凹部20d内に入り込むように成形されている。これにより、補強部50には、端子ブロック20の中間部20cの延びる方向で受け面20eと対向する抑え面50aが形成されている。抑え面50aは、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位を規制している。
【0036】
なお、本実施形態における補強部50には、凹部20dの対向面20gと対向する規制面50bも形成されている。この対向面20gと対向する規制面50bが形成されていることにより、回路基板15の表面16aに近づく方向への端子ブロック20の変位も規制されている。
【0037】
(パワーモジュールの製造方法)
次に、本実施形態のパワーモジュール1の製造方法について
図5に示すフローチャートを用いて説明する。当該製造方法は、少なくとも、端子ブロック成形工程S1と、補強部成形工程S2と、回路基板実装工程S3と、ポッティング工程S4と、を含む。
【0038】
(端子ブロック成形工程)
端子ブロック成形工程S1は、上述の端子ブロック20を成形する工程である。
この端子ブロック成形工程S1においては、はじめに、略直方体形状の金属を用意する。本実施形態においては、二つの略直方体形状の金属を用意する。
【0039】
次に、略直方体形状の金属の長手方向を向く二つの面のうち一方の面にネジ穴Tを形成する。この段階で、ネジ穴Tの形成された方の面が先端面20bとなり、ネジ穴Tの形成されていない方の面が基端面20aとなる。
【0040】
次に、上記ネジ穴Tの形成された略直方体形状の金属の基端面20aと先端面20bとの間、即ち、中間部20cに溝状の凹部20dを形成する。
【0041】
これにより、回路基板15に固定することが可能な基端面20aと、外部に電気的に接続された外部導体を固定することが可能な先端面20bと、基端面20aと先端面20bとを電気的に接続する中間部20cと、を備え、先端面20b側を向く受け面20eを有した凹部20dを中間部20cに備えた上述の端子ブロック20が二つ形成される。
【0042】
(補強部成形工程)
補強部成形工程S2においては、端子ブロック成形工程S1により形成された二つの端子ブロック20に対して、合成樹脂である補強部50を覆うように一体に成形する。
【0043】
この補強部成形工程S2においては、はじめに、合成樹脂材料を用意する。本実施形態の補強部成形工程S2で用いられる合成樹脂には、例えばPPSが採用される。なお、PPSではない合成樹脂を補強部成形工程S2において採用してもよい。
【0044】
次に、例えば、上記合成樹脂材料を加熱して溶融されて、専用の金型等を用いて、二つの端子ブロック20の凹部20d内に合成樹脂を入り込ませ、端子ブロック20の中間部20cを外側から覆うように供給させる。その後、合成樹脂を硬化させる。これにより、二つの端子ブロック20に対して補強部50が一体に成形される。
なお、補強部成形工程S2においては、インサート成型等の成形方法を用いることができるが、インサート成型以外の成形方法を採用してもよい。
【0045】
(回路基板実装工程)
回路基板実装工程S3においては、ベースプレート10に固定されている回路基板15に対して、補強部成形工程S2により補強部50を一体に成形した二つの端子ブロック20を実装する。
【0046】
この回路基板実装工程S3においては、はじめに、端子ブロック20の実装先である、ベースプレート10に固定された回路基板15を用意する。
次に、回路基板15に形成された回路パターンCの所定の実装箇所に接合材を塗布する。回路基板実装工程S3で用いられる接合材としては、例えばクリーム半田等を例示できるが、クリーム半田以外の材料を回路基板実装工程S3における接合材に採用してもよい。
【0047】
次に、端子ブロック20の基端面20aが、回路基板15の実装箇所に塗布された接合材に接触するように、補強部50をベースプレート10に搭載する。そして、これらを所定の温度に温められた炉の内部に所定の時間入れる。これにより、基端面20aと回路パターンCとの間の接合材が溶けて半田付けが完了する。
【0048】
本実施形態において、回路基板実装工程S3で用いられる炉には、例えばリフロー炉等が採用される。なお、リフロー炉以外の炉を回路基板実装工程S3において採用してもよい。
上記手順により、回路基板15に対して、補強部50が成形された端子ブロック20が実装される。
【0049】
(ポッティング工程)
ポッティング工程S4においては、ポッティング空間Pに液状のポッティング材を所定量流し込み、ポッティング材を硬化させる。
【0050】
ポッティング工程S4においては、はじめに、ポッティング材を用意する。ポッティング材としては、例えばシリコンゲルやエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シリコンゲルやエポキシ樹脂以外の合成樹脂を、ポッティング材としてもよい。
【0051】
その一方で、ポッティング工程S4においては、接着剤等で補強部50とベースプレート10とを隙間なく接着させる。これにより、補強部50がベースプレート10に固定されるとともに、補強部50とベースプレート10との間が封止される。つまり、ポッティング材をポッティング空間Pに流し込んだ際に、ポッティング材がポッティング空間Pから漏出しないようになる。
【0052】
次に、ポッティング空間Pにポッティング材を所定量流し込む。ここでいう所定量とは、少なくとも回路基板本体16の表面16aに形成された回路パターンC及び該回路パターンCに実装されたパワー半導体素子12が露出しない程度に覆うことができる量を意味する。
【0053】
上記一連の工程を経ることで、パワーモジュール1が製造される。
【0054】
(作用効果)
上記第一実施形態に係るパワーモジュール1は、入力された電力を変換して出力するパワーモジュール1であって、パワー半導体素子12が実装された回路基板15と、回路基板15が固定されるベースプレート10と、回路基板15の外面のうち、ベースプレート10とは反対側を向く面に固定された基端面20aと、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面20bと、回路基板15の表面16aから離間する方向に延びて基端面20aと先端面20bとを電気的に接続する中間部20cとを有する端子ブロック20と、回路基板15とベースプレート10との少なくとも一方に固定されて、端子ブロック20を補強する補強部50と、を備え、端子ブロック20の中間部20cは、先端面20b側を向く受け面20eを有し、補強部50は、中間部20cの延びる方向で受け面20eと対向するように設けられて、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位を規制する抑え面50aを有している。
【0055】
上記構成によれば、補強部50の抑え面50aによって、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位を規制することができる。そのため、例えば、インバータの稼働中に回路基板15に振動が生じる場合や、パワーモジュール1の製造時に端子ブロック20に応力がかかる場合においても、端子ブロック20が回路基板15から外れてしまうことを抑制できる。さらに、端子ブロック20を回路基板15上に実装できるため、例えば、入力端子が回路基板15の外縁よりも外側に延出することがなくなる。したがって、端子の信頼性を低下させることなく小型化を図ることが可能となる。
【0056】
また、上記第一実施形態に係るパワーモジュール1において、補強部50は、回路基板15の周囲を囲むケースを兼ねている。
上記構成によれば、補強部50と回路基板15を囲むケースとを個別に設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。また、補強部50によって回路基板15を囲むことで、パワーモジュール1を安全に保つことができる。
【0057】
また、上記第一実施形態に係るパワーモジュール1において、中間部20cは、回路基板15に沿う方向に延びる凹部20dを有し、凹部20dが受け面20eを備えている。
【0058】
上記構成によれば、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位だけではなく、回路基板15に近づく方向への端子ブロック20の変位も規制することが可能となる。したがって、回路基板15に掛かる荷重をさらに軽減できる。
【0059】
また、上記第一実施形態に係るパワーモジュール1は、ベースプレート10の回路基板15が固定される面とは反対側を向く面に接触するように設けられて、少なくとも回路基板15を冷却する冷却器40をさらに備えている。
上記構成によれば、冷却器40を用いて回路基板15に固定された端子ブロック20も冷却することができる。したがって、端子ブロック20を介して、端子ブロック20に接続された外部導体も冷却することが可能となる。
【0060】
また、上記第一実施形態に係るパワーモジュール1では、補強部50と回路基板15とによってポッティング空間Pを画成している。
したがって、補強部50と回路基板15とによって画成されたポッティング空間Pにポッティング材を流し込むことで、回路基板本体16の表面16aに設けられた回路パターンC及びパワー半導体素子12を容易に封止することができる。
【0061】
また、上記第一実施形態に係るパワーモジュール1の製造方法は、回路基板15に固定可能な基端面20aと、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面20bと、基端面20aと先端面20bとを電気的に接続する中間部20cと、を備え、先端面20b側を向く受け面20eを有した凹部20dを中間部20cに備えた端子ブロック20を成形する端子ブロック成形工程S1と、合成樹脂材料を、凹部20dの内部に入り込むように供給するとともに、端子ブロック20の中間部20cを覆うように供給して硬化させて補強部50を成形する補強部成形工程S2と、を含む。
【0062】
上記構成によれば、端子ブロック20を補強する補強部50を容易に成形することができる。
【0063】
[第二実施形態]
以下、本開示の第二実施形態に係るパワーモジュール、及びパワーモジュールの製造方法について
図6及び
図7を参照して説明する。第二実施形態で説明する補強部は、第一実施形態のパワーモジュール1が備える補強部50の構成が一部異なる。第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
図6は、第二実施形態に係るパワーモジュールの斜視図である。
図6に示すように、本実施形態のパワーモジュール1Aの補強部150は、ポッティング材からなり、パワーモジュール1Aは、絶縁ケース60をさらに備えている。
【0065】
(絶縁ケース)
絶縁ケース60は、回路基板15を外側から囲んでいる。これら絶縁ケース60と回路基板15とによってポッティング空間Pが画成されている。本実施形態におけるポッティング空間Pには、端子ブロック20、パワー半導体素子12、及び出力導体30の接続部32が配置されている。絶縁ケース60は、ベースプレート10の第一面10aに接着剤等を介して接着されている。絶縁ケース60は、例えば、合成樹脂であるPPS等の絶縁材料により形成することができる。なお、PPS以外の絶縁材料により絶縁ケース60を形成してもよい。
【0066】
(補強部)
本実施形態における補強部150は、ポッティング材からなる。補強部150は、ポッティング空間Pに形成されている。
より詳しくは、補強部150は、回路基板本体16の表面16aから、少なくとも端子ブロック20の凹部20dが有する受け面20eよりも回路基板15の表面16aから離間した位置まで、ポッティング空間Pを満たすように形成されている。
【0067】
さらに、補強部150は、第一実施形態の補強部150と同様に、端子ブロック20の中間部20cに形成された凹部20dに入り込むように形成されている。言い換えれば、補強部150は、端子ブロック20の中間部20cの延びる方向で受け面20eと対向する抑え面50aを有している。なお、補強部150は、例えば、エポキシ樹脂等を採用できるが、エポキシ樹脂以外の材料を採用してもよい。
【0068】
(パワーモジュールの製造方法)
次に、本実施形態のパワーモジュール1Aの製造方法について、
図7に示すフローチャートを用いて説明する。当該製造方法は、少なくとも、端子ブロック成形工程S1と、回路基板実装工程S2aと、ケース取り付け工程S3aと、補強部成形工程S4aと、を含む。なお、端子ブロック成形工程S1については、第一実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0069】
(回路基板実装工程)
端子ブロック成形工程S1の後に、回路基板実装工程S2aを実行する。
回路基板実装工程S2aにおいては、ベースプレート10に固定されている回路基板15に対して、端子ブロック20を実装する。
【0070】
この回路基板実装工程S2aにおいては、はじめに、端子ブロック20の実装先である、ベースプレート10に固定されている回路基板15を用意する。
次に、回路基板15に形成された回路パターンCにおける所定の実装箇所に接合材を塗布する。そして、端子ブロック20の基端面20aが、回路基板15の実装箇所に塗布された接合材に接触するように、端子ブロック20を回路基板15に搭載する。その後、これらを所定の温度に温められた炉の内部に所定の時間入れる。これにより、基端面20aと回路パターンCとの間の接合材が溶けて半田付けが完了し、回路基板15に対して、端子ブロック20が実装される。
【0071】
(ケース取り付け工程)
ケース取り付け工程S3aにおいては、端子ブロック20が実装された上記回路基板15に対して絶縁ケース60を取り付ける。
このケース取り付け工程S3aにおいては、はじめに、絶縁ケース60を用意する。絶縁ケース60は、専用の金型等を用いた射出成型等によって成形することができる。なお、絶縁ケース60の作製方法は、射出成型ではない他の成形方法であってもよい。
【0072】
そして、絶縁ケース60を、端子ブロック20が実装された上記回路基板15を外側から覆うようにベースプレート10に接着剤等を介して接着する。
上記手順により、ベースプレート10に対して絶縁ケース60が取り付けられる。
【0073】
(補強部成形工程)
補強部成形工程S4aにおいては、ポッティング空間Pに、液状のポッティング材を所定量流し込み、ポッティング材を硬化させて補強部150を成形する。
この補強部成形工程S4aにおいては、はじめに、補強部150を成形するため材料としてポッティング材を用意する。補強部成形工程S4aで用いるポッティング材としては、例えばエポキシ樹脂等を採用することができる。なお、エポキシ樹脂以外の合成樹脂を、ポッティング材として採用してもよい。
【0074】
補強部成形工程S4aにおいては、次に、ポッティング空間Pにポッティング材を所定量流し込む。その際、少なくとも端子ブロック20の中間部20cに形成された凹部20dに入り込む位置までポッティング材を注ぎ込む。そして、注ぎ込まれたポッティング材を硬化させる。この硬化したポッティング材が補強部150となる。
上記工程を経ることにより、パワーモジュール1Aが製造される。
【0075】
(作用効果)
上記第二実施形態に係るパワーモジュール1Aにおいて、補強部150は、ポッティング材からなっている。
【0076】
上記構成によれば、ポッティングという簡易な方法で、端子ブロック20の凹部20d内に入り込む補強部150を形成することができる。したがって、パワーモジュール1Aの製造における工数を削減できる。また、ポッティングにより、回路基板15と、端子ブロック20と、パワー半導体素子12と、絶縁ケース60と、が補強部150によって単体になる。これにより、インバータの稼働中に回路基板15に生じる振動等に対するパワーモジュール1Aの強度を向上できる。
【0077】
[実施形態の変形例]
図8は、本開示の実施形態に係るパワーモジュールの端子ブロックの変形例を示す。
図8では、補強部を除いた状態を示している。
上記各実施形態におけるパワーモジュール1,1Aは、端子ブロック20として、
図8に示すような溝状の凹部20dを有していない第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22を備えてもよい。
【0078】
この変形例における第一端子ブロック21と第二端子ブロック22とは、第一、第二実施形態と同様に、回路基板15に沿う方向に互いに間隔をあけて並設されている。この変形例において、第一端子ブロック21の中間部20cが有している凹部20dの受け面20eは、第一端子ブロック21の先端面20bよりも第二端子ブロック22側に設けられている。さらに、第二端子ブロック22の中間部20cが有している凹部20dの受け面20eは、第二端子ブロック22の先端面20bよりも第一端子ブロック21側に設けられている。
【0079】
上記変形例の構成によれば、第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22の先端面20b同士の離間距離を、それぞれの受け面20e同士の離間距離に比べて大きくとることができる。したがって、入力バスバーとの接続部分となるボルト締結孔B同士の絶縁距離を確保しつつ、インダクタンスを低減できる。さらに、第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22は、受け面20eを有しているため、上記実施形態に記載の作用効果を実現することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはない。
【0081】
上記実施形態では、端子ブロック20の先端面20bに、ボルト締結用のネジ穴Tが切られている構成とされているが、ネジ穴Tが切られている構成に限定されることはない。例えば、先端面20bから突出する雄ネジ部が形成されている構成等であってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、二つの端子ブロック20の中間部20cがそれぞれ二つの凹部20dを有している構成であるが、凹部20dは二つに限定されることはない。凹部20dは一つであっても、三つ以上であってもよい。
また、上記実施形態では、中間部20cが有する凹部20dは、回路基板15に沿う方向に延びているが、この構成に限定されることはない。
【0083】
また、上記実施形態では、パワーモジュール1,1Aがインバータに用いられていたが、インバータに限定されることはない。パワーモジュール1,1Aは、交流電流を入力とし、直流電流を出力とするコンバータや、直流電流の電圧の大きさを変更するレギュレータの昇圧回路等の一部を構成してもよい。
【0084】
また、上記第二実施形態の工程の順序は、上記に限定されることはなく、回路基板実装工程S2aとケース取り付け工程S3aとは、順序が異なっていてもよい。
【0085】
[付記]
実施形態に記載のパワーモジュールは、例えば以下のように把握される。
【0086】
(1)第1の態様に係るパワーモジュール1,1Aは、入力された電力を変換して出力するパワーモジュール1,1Aであって、パワー半導体素子12が実装された回路基板15と、前記回路基板15が固定されるベースプレート10と、前記回路基板15の外面のうち、前記ベースプレート10とは反対側を向く面に固定された基端面20aと、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面20bと、前記回路基板15の表面16aから離間する方向に延びて前記基端面20aと前記先端面20bとを電気的に接続する中間部20cとを有する端子ブロック20と、前記回路基板15と前記ベースプレート10との少なくとも一方に固定されて、前記端子ブロック20を補強する補強部50と、を備え、前記端子ブロック20の前記中間部20cは、前記先端面20b側を向く受け面20eを有し、前記補強部50は、前記中間部20cの延びる方向で前記受け面20eと対向するように設けられて、前記回路基板15の前記表面16aから離間する方向への前記端子ブロック20の変位を規制する抑え面50aを有する。
【0087】
上記構成によれば、補強部50の抑え面50aによって、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位を規制することができる。そのため、例えば、インバータの稼働中に回路基板15に振動が生じる場合や、パワーモジュール1の製造時に端子ブロック20に応力がかかる場合においても、端子ブロック20が回路基板15から外れてしまうことを抑制できる。さらに、端子ブロック20を回路基板15上に実装できるため、例えば、入力端子が回路基板15の外縁よりも外側に延出することがなくなる。したがって、端子の信頼性を低下させることなく小型化を図ることが可能となる。
【0088】
(2)第2の態様に係るパワーモジュール1は、(1)のパワーモジュール1であって、前記補強部50は、前記回路基板15の周囲を囲むケースを兼ねてもよい。
【0089】
上記構成によれば、補強部50と回路基板15を囲むケースとを個別に設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。また、補強部50によって回路基板15を囲むことで、パワーモジュール1を安全に保つことができる。
【0090】
(3)第3の態様に係るパワーモジュール1Aは、(1)のパワーモジュール1Aであって、前記補強部150は、ポッティング材からなってもよい。
【0091】
上記構成によれば、ポッティングという簡易な方法で、端子ブロック20の凹部20d内に入り込む補強部150を形成することができる。したがって、パワーモジュール1Aの製造における工数を削減できる。また、ポッティングにより、回路基板15と、端子ブロック20と、パワー半導体素子12と、絶縁ケース60と、が補強部150によって単体になる。これにより、インバータの稼働中に回路基板15に生じる振動等に対するパワーモジュール1Aの強度を向上できる。
【0092】
(4)第4の態様に係るパワーモジュール1,1Aは、(1)から(3)のいずれかのパワーモジュール1,1Aであって、前記中間部20cは、前記回路基板15に沿う方向に延びる凹部20dを有し、前記凹部20dが前記受け面20eを備えてもよい。
【0093】
上記構成によれば、回路基板15の表面16aから離間する方向への端子ブロック20の変位だけではなく、回路基板15に近づく方向への端子ブロック20の変位も規制することが可能となる。したがって、回路基板15に掛かる荷重をさらに軽減できる。
【0094】
(5)第5の態様に係るパワーモジュール1,1Aは、(1)から(3)のいずれかのパワーモジュール1,1Aであって、前記端子ブロック20として、PN端子を成す第一端子ブロック21と第二端子ブロック22とを、備え、前記第一端子ブロック21と前記第二端子ブロック22とは、前記回路基板15に沿う方向に互いに間隔をあけて並設され、前記第一端子ブロック21の前記受け面20eは、前記第一端子ブロック21の前記先端面20bよりも前記第二端子ブロック22側に設けられ、前記第二端子ブロック22の前記受け面20eは、前記第二端子ブロック22の前記先端面20bよりも前記第一端子ブロック21側に設けられてもよい。
【0095】
上記構成によれば、第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22の先端面20b同士の離間距離を、それぞれの受け面20e同士の離間距離に比べて大きくとることができる。したがって、入力バスバーとの接続部分となるボルト締結孔B同士の絶縁距離を確保しつつ、インダクタンスを低減できる。さらに、第一端子ブロック21及び第二端子ブロック22は、受け面20eを有しているため、上記実施形態に記載の作用効果を実現することができる。
【0096】
(6)第6の態様に係るパワーモジュール1,1Aは、(1)から(5)のいずれかのパワーモジュール1,1Aであって、前記ベースプレート10の前記回路基板15が固定される面とは反対側を向く面に接触するように設けられて、少なくとも前記回路基板15を冷却する冷却器40をさらに備えてもよい。
【0097】
上記構成によれば、冷却器40を用いて回路基板15に固定された端子ブロック20も冷却することができる。したがって、端子ブロック20を介して、端子ブロック20に接続された外部導体も冷却することが可能となる。
【0098】
(7)第7の態様に係るパワーモジュール1,1Aの製造方法は、回路基板15に固定可能な基端面20aと、外部に電気的に接続された外部導体を固定可能な先端面20bと、前記基端面20aと前記先端面20bとを電気的に接続する中間部20cと、を備え、前記先端面20b側を向く受け面20eを有した凹部20dを前記中間部20cに備えた端子ブロック20を成形する端子ブロック成形工程S1,S1aと、液状の合成樹脂を、前記凹部20dの内部に入り込むように供給するとともに、前記端子ブロック20の前記中間部20cを覆うように供給して硬化させて補強部50を成形する補強部成形工程S2,S4aと、を含む。
【0099】
上記構成によれば、端子ブロック20を補強する補強部50を容易に成形することができる。
【符号の説明】
【0100】
1,1A…パワーモジュール 10…ベースプレート 10a…第一面 10b…第二面 12…パワー半導体素子 15…回路基板 16…回路基板本体 16a…表面 16b…裏面 20…端子ブロック 20a…基端面 20b…先端面 20c…中間部 20d…凹部 20e…受け面 20f…底面 20g…対向面 21…第一端子ブロック 22…第二端子ブロック 30…出力導体 31…基部 32…接続部 40…冷却器 41…冷却器筐体 42…冷媒入口部 43…冷媒出口部 50,150…補強部 50a…抑え面 50b…規制面 60…絶縁ケース B…ボルト締結孔 C…回路パターン P…ポッティング空間 S1…端子ブロック成形工程 S2,S4a…補強部成形工程 S3,S2a…回路基板実装工程 S3a…ケース取り付け工程 S4…ポッティング工程 T…ネジ穴 W…冷媒