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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/02 20060101AFI20250609BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20250609BHJP
   F16D 23/12 20060101ALI20250609BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20250609BHJP
【FI】
B60W10/00 124
F16D23/12 E
B62B3/00 B
B60W10/02
B60W10/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021155553
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046771
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 美徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋
(72)【発明者】
【氏名】伊福 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-125472(JP,A)
【文献】実開平03-118123(JP,U)
【文献】実開昭62-194180(JP,U)
【文献】実開昭59-014766(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/02
F16D 23/12
B62B 3/00
B60W 10/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に接地する第1接地部と、
前記第1接地部を駆動させる駆動部と、
前記駆動部からの駆動力が前記第1接地部に伝達される伝達状態と、前記駆動力が前記第1接地部に伝達されない非伝達状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能なクラッチ機構と、
前記クラッチ機構の状態を切替えるためのクラッチ操作部と、
前記第1接地部を制動している制動状態と、前記第1接地部を制動していない非制動状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能制動機構と、
前記制動機構の状態を切替えるための制動操作部と、を備え、
前記制動機構の状態が前記制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作することによって、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができ、
前記制動機構の状態が前記非制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作しても、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができない、
作業機。
【請求項2】
前記クラッチ操作部は、ユーザの操作に応じて、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替える、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記クラッチ操作部は、前記ユーザが操作可能なクラッチ操作レバーを備え、
前記クラッチ操作レバーへの前記ユーザの操作に応じて、前記クラッチ機構の状態が前記非伝達状態から前記伝達状態に切替えられる、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記制動操作部は、ユーザの操作に応じて、前記制動機構の状態を前記非制動状態から前記制動状態に切替える、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記制動操作部は、前記ユーザが操作可能な制動操作レバーを備え、
前記制動操作レバーへの前記ユーザの操作に応じて、前記制動機構の状態が前記非制動状態から前記制動状態に切替えられる、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記作業機は、さらに、
ユーザが把持可能な把持部を備え、
前記ユーザが前記把持部を把持しており、かつ、前記クラッチ機構の状態が前記非伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部は、前記ユーザが、前記クラッチ操作部の少なくとも一部を視認可能な位置に配置されており、
前記ユーザが前記把持部を把持しており、かつ、前記クラッチ機構の状態が前記伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部は、前記ユーザが、前記クラッチ操作部を視認できない位置に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記作業機は、さらに、
前記第1接地部よりも前方又は後方に設けられており、前記地面に接地する第2接地部を備え、
前記クラッチ機構の状態が前記非伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部の少なくとも一部が、前記第1接地部と前記第2接地部との間に配置されている、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記作業機は、さらに、
支持フレームを備え、
前記クラッチ機構の状態が前記非伝達状態である場合において、前記作業機を上方から見た場合に、前記クラッチ操作部の少なくとも一部が、前記支持フレームの外側に配置されている、請求項6又は7に記載の作業機。
【請求項9】
前記作業機は、運搬車である、請求項1から8のいずれか一項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地面に接地する接地部と、接地部を駆動させる駆動部と、駆動部からの駆動力が接地部に伝達される伝達状態と、駆動力が接地部に伝達されない非伝達状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能なクラッチ機構と、クラッチ機構の状態を切替えるためのクラッチ操作部と、接地部を制動している制動状態と、接地部を制動していない非制動状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能な制動機構と、制動機構の状態を切替えるための制動操作部と、を備える作業機が開示されている。この作業機では、制動機構の状態が非制動状態である場合において、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替え可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-94561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、作業機を坂道に停止させたいことがある。このような状況において、制動機構の状態が非制動状態であっても、クラッチ機構の状態が伝達状態であれば、駆動部が停止しているので、作業機は坂道に停止する。しかしながら、制動機構の状態が非制動状態である場合において、クラッチ機構の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられると、駆動部が停止していても、作業機が意図せず坂道を移動してしまうおそれがある。
【0005】
本明細書では、クラッチ機構の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、作業機が停止している状態を維持することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する作業機は、地面に接地する第1接地部と、前記第1接地部を駆動させる駆動部と、前記駆動部からの駆動力が前記第1接地部に伝達される伝達状態と、前記駆動力が前記接地部に伝達されない非伝達状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能なクラッチ機構と、前記クラッチ機構の状態を切替えるためのクラッチ操作部と、前記第1接地部を制動している制動状態と、前記第1接地部を制動していない非制動状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能な制動機構と、前記制動機構の状態を切替えるための制動操作部と、を備えてもよい。前記制動機構の状態が前記制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作することによって、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができ、前記制動機構の状態が前記非制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作しても、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができなくてもよい。
【0007】
上記の構成によれば、制動機構の状態が制動状態である場合にのみ、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができ、制動機構の状態が非制動状態である場合には、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができない。このため、クラッチ機構の状態が伝達状態から非伝達状態に切り替わる時には、駆動部が制動機構によって制動されている。従って、クラッチ機構の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、作業機が停止している状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る運搬車2を前方左方上方から見た斜視図である。
図2】実施例に係る車台ユニット4を前方左方上方から見た斜視図である。
図3】実施例に係る運搬車2の制御構成を示す図である。
図4】実施例に係る左側ハンドル24を左方から見た断面図である。
図5】実施例に係るブレーキ操作機構56を前方左方上方から見た斜視図である。
図6】実施例に係るブレーキ操作機構56を後方右方下方から見た斜視図である。
図7】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態の左側ハンドル24を左方から見た断面図である。
図8】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態の左側ハンドル24を左方から見た断面図である。
図9】実施例に係る前輪ユニット16を上方から見た上面図である。
図10】実施例に係るモータ170と電磁ブレーキケース171とギヤボックス172との横断面図である。
図11】実施例において、モータ170と、アーマチェア412が押し付けられている状態における電磁ブレーキケース171と、クラッチロッド260が押込操作された状態におけるギヤボックス172と、の横断面図である。
図12】実施例に係るブレーキイコライザ168を後方右方上方から見た斜視図である。
図13】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態におけるブレーキイコライザ168を後方右方上方から見た斜視図である。
図14】実施例に係る支持プレート210、回動プレート212、及び、クラッチ操作機構174を後方左方上方から見た斜視図である。
図15】実施例に係る回動プレート212を前方右方上方から見た斜視図である。
図16】実施例に係る支持ブラケット272を後方左方上方から見た斜視図である。
図17】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態における支持プレート210及び回動プレート212と、クラッチ操作レバー270が引出し操作された状態におけるクラッチ操作機構174と、を後方左方上方から見た斜視図である。
図18】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されており、かつ、クラッチ操作レバー270が引出し操作された状態における運搬車2を後方左方上方から見た斜視図である。
図19】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態における支持プレート210及び回動プレート212と、クラッチ操作機構174と、を後方左方上方から見た斜視図である。
図20】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されている状態における支持プレート210及び回動プレート212と、クラッチ操作機構174と、を前方から見た前面図である。
図21】実施例において、ブレーキレバー58が引き上げ操作されており、かつ、クラッチ操作レバー270が引出し操作されている状態における車台ユニット4及び荷台フレーム502を上方から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された作業機、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業機は、地面に接地する第1接地部と、前記第1接地部を駆動させる駆動部と、前記駆動部からの駆動力が前記第1接地部に伝達される伝達状態と、前記駆動力が前記接地部に伝達されない非伝達状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能なクラッチ機構と、前記クラッチ機構の状態を切替えるためのクラッチ操作部と、前記第1接地部を制動している制動状態と、前記第1接地部を制動していない非制動状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能な制動機構と、前記制動機構の状態を切替えるための制動操作部と、を備えてもよい。前記制動機構の状態が前記制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作することによって、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができ、前記制動機構の状態が前記非制動状態である場合において、前記クラッチ操作部を操作しても、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えることができなくてもよい。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記クラッチ操作部は、ユーザの操作に応じて、前記クラッチ機構の状態を前記伝達状態から前記非伝達状態に切替えてもよい。
【0014】
例えば、クラッチ操作部が、電力を利用して、クラッチ機構を伝達状態から非伝達状態に切替える構成の場合、クラッチ操作部に関連する電力系統に異常が発生すると、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができなくなる。上記の構成によると、クラッチ操作部に関連する電力系統の一部に異常が発生した場合でも、ユーザは、クラッチ操作部を手動操作して、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、前記クラッチ操作部は、前記ユーザが操作可能なクラッチ操作レバーを備えてもよい。前記クラッチ操作レバーへの前記ユーザの操作に応じて、前記クラッチ機構の状態が前記非伝達状態から前記伝達状態に切替えられてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、クラッチ機構を操作するための構成を簡単化することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制動操作部は、前記ユーザの操作に応じて、前記制動機構の状態を前記非制動状態から前記制動状態に切替えてもよい。
【0018】
例えば、制動操作部が、電力を利用して、制動機構を非制動状態から制動状態に切替える構成の場合、制動操作部に関連する電力系統に異常が発生すると、制動機構の状態を非制動状態から制動状態に切り替えるができなくなり、その結果、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができなくなる。上記の構成によると、制動操作部に関連する電力系統に異常が発生した場合でも、ユーザは、制動機構の状態を非制動状態から制動状態に切り替えることができ、その結果、クラッチ機構の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記制動操作部は、ユーザが操作可能な制動操作レバーを備えてもよい。前記制動操作レバーへの前記ユーザの操作に応じて、前記制動機構の状態が前記非制動状態から前記制動状態に切替えられてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、制動機構を操作するための構成を簡単化することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業機は、さらに、前記ユーザが把持可能な把持部を備えてもよい。前記ユーザが前記把持部を把持しており、かつ、前記クラッチ機構が前記非伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部は、前記ユーザが、前記クラッチ操作部の少なくとも一部を視認可能な位置に配置されており、前記ユーザが前記把持部を把持しており、かつ、前記クラッチ機構が前記伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部は、前記ユーザが、前記クラッチ操作部を視認できない位置に配置されていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、ユーザは、クラッチ操作部の少なくとも一部が視認できるか否かに応じて、クラッチ機構の状態を把握することができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業機は、さらに、前記第1接地部よりも前方又は後方に設けられており、前記地面に接地する第2接地部を備えてもよい。前記クラッチ機構が前記非伝達状態である場合において、前記クラッチ操作部の少なくとも一部が、前記第1接地部と前記第2接地部との間に配置されていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、クラッチ操作部の少なくとも一部が、前記第1接地部と前記第2接地部との間に設けられているので、ユーザは、クラッチ操作部の少なくとも一部を容易に視認することができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業機は、さらに、支持フレームを備えてもよい。前記クラッチ機構が前記非伝達状態である場合において、前記作業機を上方から見た場合に、前記クラッチ操作部の少なくとも一部が、前記支持フレームの外側に配置されていてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、クラッチ操作部の少なくとも一部が、支持フレームの外側に設けられているので、ユーザは、クラッチ操作部の少なくとも一部を容易に視認することができる。
【0027】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業機は、運搬車であってもよい。
【0028】
運搬車は、重量物(例えば、大量の砂等)を運搬するために利用される。このため、坂道に停止している運搬車のクラッチ機構が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、運搬車が停止している状態が維持されることが望ましい。上記の構成によれば、クラッチ機構の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、運搬車が停止している状態を維持することができる。
【0029】
(実施例)
図1図21を参照して、運搬車2について説明する。運搬車2は、手押し式の運搬車である。図1に示すように、運搬車2は、車台ユニット4と、荷台ユニット6と、を備えている。荷台ユニット6は、バケット500と、前後方向に延びる荷台フレーム502と。を備えている。荷台ユニット6では、荷台フレーム502が車台ユニット4にネジ止めによって固定されている。また、荷台ユニット6では、バケット500が荷台フレーム502に固定されておらず、ユーザはバケット500を荷台フレーム502に載置することもできるし、バケット500を持ち上げて荷台フレーム502から取り外すこともできる。ユーザは、土、肥料などをバケット500に積んで運搬することができる。
【0030】
(車台ユニット4の構成)
図2に示すように、車台ユニット4は、ハンドルユニット10と、バッテリボックス12と、車台フレーム14と、前輪ユニット16と、後輪ユニット18と、を備えている。
【0031】
(バッテリボックス12の構成)
バッテリボックス12は、ハンドルユニット10に固定されている。バッテリボックス12には、バッテリパック12a(図3参照)、及び、制御装置12b(図3参照)が収容されている。制御装置12b(図3参照)は、後述するモータ170(図3参照)の動作などを制御する。バッテリボックス12には、バッテリパック12a(図3参照)の残量を表示する残量表示部(図示省略)等が配されている。
【0032】
(ハンドルユニット10の構成)
ハンドルユニット10は、ハンドルベース20と、右側ハンドル22と、左側ハンドル24と、を備えている。右側ハンドル22、及び、左側ハンドル24は、ハンドルベース20にネジ止めされている。ハンドルベース20は、後述する車台フレーム14のフレームプレート150にネジ止めされている。ハンドルベース20には、バッテリボックス12がネジ止めされている。
【0033】
右側ハンドル22は、右側パイプ30と、右側グリップ32と、スイッチボックス34と、駆動レバー36と、を備えている。右側パイプ30は、上下方向に伸びる右側支持部30aと、右側支持部30aの上端から後方に屈曲した右側ハンドル部30bと、を備えている。右側グリップ32及びスイッチボックス34は、右側パイプ30の右側ハンドル部30bに取り付けられている。右側グリップ32は、スイッチボックス34の後方に設けられている。
【0034】
スイッチボックス34は、右側ケーシング38と、操作パネル40と、を備えている。操作パネル40は、右側ケーシング38の上面に設けられている。操作パネル40には、主電源スイッチ40a、前進/後退切替スイッチ40b、速度切替スイッチ40c等が配されている。右側ケーシング38の後部には、駆動レバー36が取り付けられている。スイッチボックス34内には、駆動レバー36が引き上げ操作されたことを検出する駆動スイッチ42(図3参照)が収容されている。図3に示すように、主電源スイッチ40a、前進/後退切替スイッチ40b、速度切替スイッチ40c、及び、駆動スイッチ42は、バッテリボックス12(図2参照)内の制御装置12bに接続されている。制御装置12bは、駆動レバー36(図2参照)が引き上げ操作されたことを示す信号を受信すると、後述するモータ170を駆動させる。
【0035】
図2に示すように、左側ハンドル24は、左側パイプ50と、左側グリップ52と、左側ケーシング54と、ブレーキ操作機構56と、を備えている。左側パイプ50は、上下方向に伸びる左側支持部50aと、左側支持部50aの上端から後方に屈曲した左側ハンドル部50bと、を備えている。図4に示すように、左側グリップ52及び左側ケーシング54は、左側パイプ50の左側ハンドル部50bに取り付けられている。左側グリップ52は、左側ケーシング54の後方に設けられている。
【0036】
ブレーキ操作機構56は、ブレーキレバー58と、第1リンク部材60と、ケーブル保持部62と、固定用レバー64と、を備えている。ブレーキレバー58は、操作部66と、支持部68と、ベアリング保持部70と、を備えている。操作部66、支持部68、及び、ベアリング保持部70は、一体的に形成されている。支持部68、及び、ベアリング保持部70は、左側ケーシング54の内部に収容されている、操作部66は、左側ケーシング54の後面に形成された開口54aを介して、左側ケーシング54の内部から外部に突出している。支持部68は、左側ケーシング54に対して、左右方向に伸びる回動軸72周りに回動可能に支持されている。図5に示すように、操作部66の前部の下面には、上方に陥凹した凹部66aが設けられている。凹部66aの前部には、下方に突出する第1突出部66bと、下方に突出する第2突出部66cと、が設けられている。第2突出部66cの下端は、第1突出部66bの下端よりも下方に位置している。支持部68の左側には、左側バネ受部68aが設けられている。図6に示すように、支持部68の右側には、右側バネ受部68bが設けられている。左側バネ受部68a及び右側バネ受部68bには、捩りバネ74が設けられている。捩りバネ74の付勢力によって、ブレーキレバー58は、左側ケーシング54に対して、ブレーキレバー58の後部が下方に向かうように付勢されている。ベアリング保持部70は、支持部68の前部に接続されている。ベアリング保持部70は、右壁部70aと、左壁部70b(図5参照)と、シャフト70cと、を備えている。シャフト70cは、左右方向に延びており、右壁部70aと左壁部70bとを連通している。ブレーキレバー58は、さらに、ベアリング76を備えている。ベアリング76は、右壁部70aと左壁部70bとの間において、シャフト70cに取り付けられている。
【0037】
図4に示すように、第1リンク部材60は、支持部80と、支持部80から前方上方に延びる第1延伸部82と、支持部80から後方上方に延びる第2延伸部84と、を備えている。支持部80は、左側ケーシング54に対して、左右方向に伸びる回動軸86周りに回動可能に支持されている。第2延伸部84の上面84aには、ベアリング76が当接している。第1延伸部82において、支持部80側とは反対側の端部には、第1延伸部82を左右方向に貫通する貫通孔82aが設けられている。
【0038】
図5に示すように、ケーブル保持部62は、右壁部90と、左壁部92と、前壁部94と、シャフト96と、を備えている。右壁部90、左壁部92、及び、前壁部94は、一体的に形成されている。シャフト96は、左右方向に延びており、第1リンク部材60の貫通孔82a(図4参照)を貫通して、右壁部90と左壁部92を接続している。シャフト96によって、第1リンク部材60とケーブル保持部62とが回動可能に連結されている。前壁部94には、前壁部94の右端から左方に延びる切欠部94aが設けられている。図4に示すように、ケーブル保持部62には、ブレーキケーブル100が接続されている。ブレーキケーブル100は、インナケーブル100aと、インナケーブル100aの周囲を覆うアウタケーブル100bと、を備えている。インナケーブル100aは、切欠部94aを貫通しており、インナケーブル100aの端部は、ケーブル保持部62によって保持されている。アウタケーブル100bの端部は、左側ケーシング54によって保持されている。
【0039】
図7に示すように、ユーザがブレーキレバー58の操作部66を引き上げ操作すると、ブレーキレバー58のベアリング保持部70が下方に移動する。ベアリング保持部70が下方に移動することによって、第1リンク部材60の第2延伸部84が下方に移動すると共に、第1リンク部材60の第1延伸部82が後方に移動する。第1リンク部材60の第1延伸部82が後方に移動することによって、ケーブル保持部62が後方に移動する。ケーブル保持部62が後方に移動することによって、ブレーキケーブル100のインナケーブル100aがアウタケーブル100bに対して相対的に引き出される(即ち後方側に移動する)。
【0040】
図4に示すように、ユーザがブレーキレバー58の操作部66から手を離すと、捩りバネ74の付勢力によってブレーキレバー58の操作部66が押し下げられ、ブレーキレバー58のベアリング保持部70が上方に移動する。ベアリング保持部70が上方に移動することによって、第1リンク部材60の第2延伸部84が上方に移動すると共に、第1リンク部材60の第1延伸部82が前方に移動する。第1リンク部材60の第1延伸部82が前方に移動することによって、ケーブル保持部62が前方に移動する。ケーブル保持部62が前方に移動することによって、ブレーキケーブル100のインナケーブル100aがアウタケーブル100bに対して相対的に押し込まれる(即ち前方側に移動する)。
【0041】
図5に示すように、固定用レバー64は、操作部110と、支持部112と、突起部114と、バネ受部116(図6参照)と、を備えている。図4に示すように、固定用レバー64は、ブレーキレバー58の下方に設けられている。操作部110は、左側ケーシング54の後面に形成された開口54aを介して、左側ケーシング54の内部から外部に突出している。支持部112は、左側ケーシング54に対して、左右方向に伸びる回動軸118周りに回動可能に支持されている。図5に示すように、突起部114は、支持部112から上方に突出している。突起部114の上部は、ブレーキレバー58の凹部66aに当接している。図6に示すように、バネ受部116は、支持部112の右側に設けられている。バネ受部116には、捩りバネ120が設けられている。捩りバネ120の付勢力によって、固定用レバー64は、左側ケーシング54に対して、固定用レバー64の後部が下方に向かうように付勢されている。
【0042】
図5に示すように、ユーザによってブレーキレバー58が操作されていない状態において、固定用レバー64の突起部114の上部は、ブレーキレバー58の凹部66aに当接している。この状態において、ユーザが固定用レバー64を引き上げ操作しようとすると、固定用レバー64の突起部114の前面が、ブレーキレバー58の第1突出部66bの後面に接触するので、固定用レバー64を引き上げ操作することができない。また、ユーザが、ブレーキレバー58の操作部66を引き上げ操作した後に、ブレーキレバー58から手を離すと、捩りバネ74の付勢力によって、左側ケーシング54に対してブレーキレバー58の操作部66の後部が押し下げられる。
【0043】
図8に示すように、ユーザがブレーキレバー58の操作部66を引き上げ操作し、さらに固定用レバー64の操作部110を引き上げ操作すると、固定用レバー64の突起部114がブレーキレバー58の凹部66aよりも前方に移動すると共に、突起部114が操作部66の第1突出部66bの下面に当接するようになる。この状態において、固定用レバー64の突起部114は、捩りバネ120の付勢力によって、左側ケーシング54に対して後方上方に付勢されている。一方、ブレーキレバー58のうち固定用レバー64の突起部114と接触している部分は、捩りバネ74の付勢力によって、左側ケーシング54に対して後方下方に付勢されている。しかしながら、固定用レバー64の突起部114と、ブレーキレバー58のうち固定用レバー64の突起部114と接触している部分と、が干渉することによって、固定用レバー64とブレーキレバー58は、それぞれの左側ケーシング54に対する回動が禁止される。このように、固定用レバー64によって、ブレーキレバー58が引き上げられている状態で固定される。この状態において、ユーザがブレーキレバー58の操作部66をさらに引き上げ操作すると、捩りバネ120の付勢力によって、固定用レバー64の後部が下方に移動し、突起部114が後方に移動する。これにより、固定用レバー64によるブレーキレバー58の固定が解除される。そして、ユーザがブレーキレバー58の操作部66から手を離すと、捩りバネ74の付勢力によって、左側ケーシング54に対してブレーキレバー58の操作部66の後部が押し下げられる。
【0044】
図4に示すように、左側ケーシング54には、さらに、停止スイッチ130と、第2リンク部材132と、が収容されている。第2リンク部材132の一端132aは停止スイッチ130に接続されており、第2リンク部材132の他端132bはブレーキレバー58の第2突出部66cの近傍に設けられている。第2リンク部材132の他端132bは、図示しないバネによって、停止スイッチ130から離間する方向に付勢されている。ブレーキレバー58が操作されていない状態では、第2リンク部材132によって、停止スイッチ130のスイッチ部130a(図7参照)は押圧されている。図7に示すように、ユーザがブレーキレバー58を引き上げ操作すると、第2リンク部材132の他端132bが停止スイッチ130のスイッチ部130aから離間する方向に移動することによって、第2リンク部材132が停止スイッチ130のスイッチ部130aから離反する。これにより、ブレーキレバー58が引き上げ操作されたことが検出される。図3に示すように、停止スイッチ130は、信号ケーブル134(図4参照)を介して、バッテリボックス12(図2参照)内の制御装置12bに接続されている。制御装置12bは、ブレーキレバー58が引き上げ操作されことを示す信号を受信すると、後述するモータ170の駆動を停止する。
【0045】
(車台フレーム14の構成)
図2に示すように、車台フレーム14は、フレームプレート150と、右側フレームパイプ152と、左側フレームパイプ154と、中央フレームパイプ156と、を備えている。フレームプレート150には、後輪ユニット18が取り付けられている。右側フレームパイプ152と左側フレームパイプ154は、後端がフレームプレート150に溶接されており、前方に向けて伸びている。右側フレームパイプ152と左側フレームパイプ154の間隔は、後方から前方に向かうにつれて広がっている。右側フレームパイプ152の前端と左側フレームパイプ154の前端には、前輪ユニット16が取り付けられている。中央フレームパイプ156は、前輪ユニット16の近傍に配置されており、右端が右側フレームパイプ152に溶接されており、左端が左側フレームパイプ154に溶接されている。右側フレームパイプ152には、バッテリボックス12と、後述する右前照灯176及び左前照灯178と、を接続する給電ケーブル(図示省略)や、バッテリボックス12と、後述するモータ170と、を接続する電力ケーブル(図示省略)を保護するケーブルカバー158が取り付けられている。
【0046】
(後輪ユニット18の構成)
後輪ユニット18は、ベースプレート320と、ヒンジ322と、右側後輪324と、左側後輪326と、を備えている。右側後輪324及び左側後輪326は、従動輪である。ベースプレート320の右端部には、右側後輪324が接続されており、左端部には、左側後輪326が接続されている。ヒンジ322は、ベースプレート320の上面に溶接されている。
【0047】
(前輪ユニット16の構成)
図9に示すように、前輪ユニット16は、右側前輪160と、左側前輪162と、右前輪ブレーキ164と、左前輪ブレーキ166と、ブレーキイコライザ168と、モータ170と、電磁ブレーキケース171と、ギヤボックス172と、クラッチ操作機構174と、右前照灯176と、左前照灯178と、を備えている。ギヤボックス172には、右側アクスルケース180と左側アクスルケース182とがネジ止めされて固定されている。右側前輪160は、右側アクスルケース180内を伸びる右側駆動シャフト184(図10図11参照)を介して、ギヤボックス172に接続している。左側前輪162は、左側アクスルケース182内を伸びる左側駆動シャフト186(図10図11参照)を介して、ギヤボックス172に接続している。右側アクスルケース180は、右側フレームパイプ152に溶接された右側ブラケット188を介して、右側フレームパイプ152に保持されている。左側アクスルケース182は、左側フレームパイプ154に溶接された左側ブラケット190を介して、左側フレームパイプ154に保持されている。図10に示すように、右側駆動シャフト184は、右側アクスルケース180内を左右方向に伸びており、右側アクスルケース180に回転可能に支持されている。左側駆動シャフト186は、左側アクスルケース182内を左右方向に伸びており、左側アクスルケース182に回転可能に支持されている。
【0048】
図9に示すように、右前輪ブレーキ164は、ディスクロータ192と、ブレーキキャリパ194と、を備えている。ディスクロータ192は、右側前輪160よりも左側に配置されており、ハブ160aを介して右側前輪160に固定されている。ブレーキキャリパ194は、ディスクロータ192に対応して配置されている。ブレーキキャリパ194は、右側ブラケット188に保持されている。ブレーキキャリパ194には、右側ブレーキケーブル196が接続されている。右側ブレーキケーブル196は、インナケーブル196aと、インナケーブル196aの周囲を覆うアウタケーブル196bと、を備えている。ブレーキキャリパ194は、右側ブレーキケーブル196のインナケーブル196aがアウタケーブル196bに対して相対的に引き込まれると、図示しない一対のブレーキパッドによってディスクロータ192の外縁近傍を挟持することで、ディスクロータ192に摩擦力を作用させて、右側前輪160にブレーキをかける。右側ブレーキケーブル196のインナケーブル196aがアウタケーブル196bに対して相対的に押し出されると、一対のブレーキパッドがディスクロータ192から離反して、右側前輪160のブレーキが解除される。右前輪ブレーキ164は、上記のようないわゆるディスクブレーキであってもよいし、他の種類のブレーキ、例えばドラムブレーキであってもよいし、バンドブレーキであってもよい。
【0049】
左前輪ブレーキ166は、ディスクロータ198と、ブレーキキャリパ200と、を備えている。ディスクロータ198は、左側前輪162よりも右側に配置されており、ハブ162aを介して左側前輪162に固定されている。ブレーキキャリパ200は、ディスクロータ198に対応して配置されている。ブレーキキャリパ200は、左側ブラケット190に保持されている。ブレーキキャリパ200には、左側ブレーキケーブル202が接続されている。左側ブレーキケーブル202は、インナケーブル202aと、インナケーブル202aの周囲を覆うアウタケーブル202bを備えている。ブレーキキャリパ200は、左側ブレーキケーブル202のインナケーブル202aがアウタケーブル202bに対して相対的に引き込まれると、図示しない一対のブレーキパッドによってディスクロータ198の外縁近傍を挟持することで、ディスクロータ198に摩擦力を作用させて、左側前輪162にブレーキをかける。左側ブレーキケーブル202のインナケーブル202aがアウタケーブル202bに対して相対的に押し出されると、一対のブレーキパッドがディスクロータ198から離反して、左側前輪162のブレーキが解除される。左前輪ブレーキ166は、上記のようないわゆるディスクブレーキであってもよいし、他の種類のブレーキ、例えばドラムブレーキであってもよいし、バンドブレーキであってもよい。
【0050】
(ブレーキイコライザ168)
ブレーキイコライザ168は、支持プレート210と、回動プレート212と、第1リンク部材214と、第2リンク部材216と、を備えている。支持プレート210と回動プレート212との間を、中央フレームパイプ156が貫通している。
【0051】
支持プレート210は、ブラケット218を介して、モータ170に固定されている。図12に示すように、支持プレート210は、ベース部220と、ベース部220の前部の右端から下方に延びる右側延伸部222と、ベース部220の前部の左端から下方に延びる左側延伸部224と、を備えている。ベース部220の後部の左右両側には、開口部220a、220bが設けられている。第1リンク部材214と第2リンク部材216は、上下方向に伸びる回動軸226を介して、支持プレート210に回動可能に保持されている。第1リンク部材214は、回動軸226から前方に伸びる入力アーム214aと、回動軸226から右後方に伸びる出力アーム214bと、を備えている。入力アーム214aの先端には、左側ハンドル24のブレーキ操作機構56から伸びるブレーキケーブル100のインナケーブル100aが連結されている。出力アーム214bの先端には、右側ブレーキケーブル196のインナケーブル196a(図13参照)が連結されている。第2リンク部材216は、回動軸226から右前方に伸びる入力アーム216aと、回動軸226から左後方に伸びる出力アーム216bと、を備えている。入力アーム216aの先端には、左側ハンドル24のブレーキ操作機構56から伸びるブレーキケーブル100のアウタケーブル100bが連結されている。出力アーム216bの先端には、左側ブレーキケーブル202のインナケーブル202a(図13参照)が連結されている。右側ブレーキケーブル196のアウタケーブル196bと、左側ブレーキケーブル202のアウタケーブル202bは、いずれも、支持プレート210に固定されている。
【0052】
図4に示すように、左側ハンドル24のブレーキレバー58が引き上げ操作されていない場合、図12に示すように、第1リンク部材214によって、右側ブレーキケーブル196のインナケーブル196aはアウタケーブル196bに対して相対的に押し込まれており、第2リンク部材216によって、左側ブレーキケーブル202のインナケーブル202aはアウタケーブル202bに対して相対的に押し込まれている。この状態では、右側前輪160と左側前輪162とは、ブレーキが解除されている。以下では、右側前輪160と左側前輪162とのブレーキが解除されている状態を「非制動状態」と記載することがある。
【0053】
図7に示すように、左側ハンドル24のブレーキレバー58がユーザによって引き上げ操作されると、ブレーキケーブル100のインナケーブル100aがアウタケーブル100bに対して相対的に引き込まれる。これによって、図13に示すように、第1リンク部材214は、入力アーム214aが右方向に移動する方向に回動し、出力アーム214bが左方向に移動するので、右側ブレーキケーブル196のインナケーブル196aがアウタケーブル196bに対して相対的に引き出される。それと同時に、第2リンク部材216は、入力アーム216aが左方向に移動する方向に回動し、出力アーム216bが右方向に移動するので、左側ブレーキケーブル202のインナケーブル202aがアウタケーブル202bに対して相対的に引き出される。これによって、右側前輪160と左側前輪162とに、それぞれブレーキがかけられる。以下では、右側前輪160と左側前輪162とのそれぞれにブレーキがかけられている状態を「制動状態」と記載することがある。
【0054】
図14に示すように、回動プレート212は、上壁部230と、右壁部232(図15参照)と、左壁部234と、後壁部236と、延伸部238と、を備えている。上壁部230、右壁部232、左壁部234、後壁部236、及び、延伸部238は、一体的に形成されている。回動プレート212は、支持プレート210に対して、左右方向に伸びる回動軸239周りに回動可能に支持されている。上壁部230は、後方から前方に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜している。上壁部230の後部の左右両側には、上方に突出する突出部230a、230bが設けられている。突出部230a、230bは、支持プレート210の開口部220a、220bに対応する位置に設けられている。上壁部230の前部には、バネ受部230cが設けられている。バネ受部230cには、バネ230dが設けられている。バネ230dによって、支持プレート210に対して、回動プレート212の上壁部230の前部が下方向に付勢されている。延伸部238は、左壁部234の下端から左方に延びる第1延伸部238aと、第1延伸部238aの左端から前方に延びる第2延伸部238bと、を備えている。なお、図4に示すように、左側ハンドル24のブレーキレバー58が引き上げ操作されていない場合、図12に示すように、突出部230a、230bの上面には、第1リンク部材214の出力アーム214bの先端、第2リンク部材216の出力アーム216bの先端が配置されている。そして突出部230a、230bは、出力アーム214bの先端、第2リンク部材216の出力アーム216bによって下方、即ち、開口部220a、220b内に押し下げされている。
【0055】
(クラッチ操作機構174)
クラッチ操作機構174は、クラッチ操作レバー270と、支持ブラケット272と、ロッド動作部274と、を備えている。図16に示すように、支持ブラケット272は、前後方向に延びるベース部280と、ベース部280の後部から右方に延びる右方延伸部282と、右方延伸部282の右端から上方に延びる取付部284と、を備えている。支持ブラケット272は、取付部284を介して、ギヤボックス172(図12参照)にネジ止めされて固定されている。ベース部280の前部には、回動軸286(図12参照)が上下方向に貫通する貫通孔280aが設けられている。ベース部280の後部には、回動軸288(図12参照)が上下方向に貫通する貫通孔280bが設けられている。
【0056】
図12に示すように、クラッチ操作レバー270は、左側フレームパイプ154から右前方に延び、その後に湾曲して、左前方に延びている。クラッチ操作レバー270は、回動軸286周りに回動可能に、支持ブラケット272に保持されている。また、クラッチ操作レバー270は、回動軸290周りに回動可能に、ロッド動作部274と連結している。クラッチ操作レバー270は、クラッチ操作機構174を左側フレームパイプ154に取付けるための取付部270aを備えている。回動軸286には、捩りバネ292が取り付けられている。捩りバネ292は、クラッチ操作レバー270と、支持ブラケット272のベース部280と、の間に設けられている。捩りバネ292の機能について後で説明する。
【0057】
図14に示すように、ロッド動作部274は、カム部300と、連結部302と、カム部300と連結部302とを接続する接続部304と、接続部304の右端から右方に突出する突出部306と、を備えている。突出部306の右端は、連結部302の右端よりも右方に位置している。突出部306の右端の位置と、回動プレート212の第2延伸部238bの右端の位置と、は略同じである。また、突出部306の高さと回動プレート212の第2延伸部238bの高さとは略同じである。カム部300は、回動軸288周りに回動可能に、支持ブラケット272に保持されている。カム部300のカム面300aは、クラッチ操作レバー270が左側フレームパイプ154(図12参照)に取付けられている状態では、後述するクラッチロッド260(図12参照)を左側に移動させ、クラッチ操作レバー270が左側フレームパイプ154から引き出されている状態(図17図18参照)では、後述するクラッチロッド260(図12参照)を右側に移動させる形状を有している。連結部302は、回動軸290周りに回動可能に、クラッチ操作レバー270と連結している。
【0058】
(モータ170)
図10に示すように、モータ170は、ステータ240と、ロータ242と、モータケース244と、を備えている。モータ170は、例えば、ブラシレスDCモータである。ステータ240とロータ242は、モータケース244に収容されている。ステータ240は、モータケース244に固定されている。ロータ242は、モータシャフト246に固定されている。モータシャフト246は、左右方向に伸びており、モータケース244に回転可能に保持されている。モータシャフト246の左端は、ギヤボックス172に接続している。モータシャフト246の右端は、電磁ブレーキケース171に接続している。モータ170は、図示しない電力ケーブルを介して、バッテリボックス12(図2参照)に接続されている。モータ170には、バッテリパック12a(図3参照)から電力が供給される。モータ170の動作は、制御装置12b(図3参照)によって制御される。
【0059】
(電磁ブレーキケース171)
電磁ブレーキケース171には、電磁ブレーキ400が収容されている。電磁ブレーキ400は、キー402と、ハブ404と、ディスクロータ406と、プレート408と、電磁石410と、アーマチェア412と、バネ414と、を備えている。キー402は、モータシャフト246の右端に形成されているキー溝に嵌め込まれている。ディスクロータ406は、キー402及びハブ404を介して、モータシャフト246に固定されている。電磁石410は、ディスクロータ406の左側に設けられている。電磁石410には、バネ受部410aが設けられている。バネ414は、電磁石410のバネ受部410aに設けられている。アーマチェア412は、電磁石410とディスクロータ406との間に設けられている。バネ414は、アーマチェア412を右方向(即ちディスクロータ406)に向けて付勢している。プレート408は、電磁石410の後端部から右方に延びる第1プレート408aと、第1プレート408aの右端部からモータシャフト246側に延びる第2プレート408bと、を備えている。第2プレート408bの左面は、ディスクロータ406の右面に当接している。電磁ブレーキ400は、図示しない電力ケーブルを介して、バッテリボックス12(図2参照)に接続されている。電磁ブレーキ400には、バッテリパック12a(図3参照)から電流が通電される。電磁ブレーキ400の動作は、制御装置12b(図3参照)によって制御される。
【0060】
電磁石410に電流が通電されると、バネ414の付勢力に抗して、アーマチェア412が電磁石410に引き寄せられ、モータシャフト246のブレーキが解除される。図11に示すように、電磁ブレーキ400に電流が通電されていない場合、バネ414によって、電磁石410に対してアーマチェア412が右方向に付勢される。この場合、プレート408とアーマチェア412がディスクロータ406の外縁近傍を挟持することで、ディスクロータ406に摩擦力を作用させて、モータシャフト246にブレーキをかける。本実施例では、図3の制御装置12bは、駆動スイッチ42がオンされたことを示す信号を受信する場合に、モータ170を駆動させるとともに、電磁石410(図10参照)に通電する。そして、制御装置12bは、停止スイッチ130オフされたことを示す信号を受信する場合に、モータ170を駆動させるとともに、電磁石410(図11参照)への通電を停止する。
【0061】
(ギヤボックス172)
図11に示すように、ギヤボックス172は、ギヤケース250と、中間シャフト252と、クラッチ機構256と、差動機構258と、を備えている。中間シャフト252は、左右方向に伸びており、ギヤケース250に回転可能に保持されている。中間シャフト252は、第1ギヤ253と、第2ギヤ254と、ドグクラッチ255と、を備えている。第1ギヤ253は、中間シャフト252に固定されている。第1ギヤ253は、モータシャフト246に設けられたスパーギヤ246aと噛み合っている。第2ギヤ254は、左方向に陥凹した係合凹部254aを備えている。第2ギヤ254は、中間シャフト252に対して、左右方向に移動不能であり、かつ回転可能に保持されている。ドグクラッチ255は、第2ギヤ254に対して、左右方向に移動可能であり、かつ回転不能に保持されている。ドグクラッチ255は、左方向に突出しており、第2ギヤ254の係合凹部254aに係合可能な係合凸部255aと、外周面を周方向に伸びる係合溝255bを備えている。
【0062】
クラッチ機構256は、クラッチロッド260と、セレクタ262と、を備えている。クラッチロッド260は、左右方向に伸びており、ギヤケース250を内部から外部に貫通している。クラッチロッド260は、左右方向にスライド可能に、ギヤケース250に保持されている。クラッチロッド260の左端は、クラッチ操作機構174のカム部300(図12参照)に対向して配置されている。クラッチロッド260の右端には、セレクタ262が固定されている、セレクタ262は、ドグクラッチ255の係合溝255bに係合している。
【0063】
差動機構258は、リングギヤ258aと、ピニオンケース258bと、ピニオンシャフト258cと、ピニオンギヤ258dと、右側駆動ギヤ258eと、左側駆動ギヤ258fと、を備えている。リングギヤ258aは、中間シャフト252の第2ギヤ254に噛み合っている。ピニオンケース258bは、リングギヤ258aにネジ止めされて固定されており、リングギヤ258aと一体的に回転する。リングギヤ258aは、ギヤケース250に回転可能に保持されており、ピニオンケース258bは、ギヤケース250に回転可能に保持されている。ピニオンシャフト258cは、ピニオンケース258bに回転可能に保持されている。ピニオンギヤ258dは、ピニオンシャフト258cに固定されている。右側駆動ギヤ258eは、右側駆動シャフト184に固定されており、ピニオンギヤ258dと噛み合っている。左側駆動ギヤ258fは、左側駆動シャフト186に固定されており、ピニオンギヤ258dと噛み合っている。
【0064】
図10は、クラッチ操作機構174(図12参照)のクラッチ操作レバー270(図12参照)が左側フレームパイプ154(図12参照)に取付けられている状態である。この状態では、ドグクラッチ255の係合凸部255aが第2ギヤ254の係合凹部254aに係合しており、第1ギヤ253が回転すると、第2ギヤ254も回転する。このため、モータシャフト246からの動力が、中間シャフト252を介して、差動機構258のリングギヤ258aに伝達する。この場合、差動機構258は、リングギヤ258aに伝達された動力に応じて、右側駆動シャフト184と左側駆動シャフト186とをそれぞれ回転させる。
【0065】
図11は、クラッチ操作機構174(図18参照)のクラッチ操作レバー270(図18参照)が左側フレームパイプ154(図18参照)から引き出されている状態である。この状態では、ドグクラッチ255の係合凸部255aが第2ギヤ254の係合凹部254aに係合しておらず、第1ギヤ253が回転しても、第2ギヤ254は回転しない。このため、モータシャフト246からの動力が、差動機構258のリングギヤ258aに伝達されない。
【0066】
以下では、ドグクラッチ255の係合凸部255aが第2ギヤ254の係合凹部254aに係合している状態(図10参照)を、「伝達状態」ともいい、ドグクラッチ255の係合凸部255aが第2ギヤ254の係合凹部254aに係合していない状態(図11参照)を、「非伝達状態」ともいう。上述したように、伝達状態では、モータ170からの駆動力が、右側駆動シャフト184及び左側駆動シャフト186を介して、右側前輪160及び左側前輪162に伝達される。一方、非伝達状態では、モータ170からの駆動力は、右側前輪160及び左側前輪162に伝達されない。
【0067】
ユーザは、クラッチ操作機構174(図12参照)のクラッチ操作レバー270(図12参照)を操作することによって、クラッチ機構256(図10参照)の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができる。しかしながら、図14に示すように、ロッド動作部274の突出部306の高さと回動プレート212の第2延伸部238bの高さとが同じである状態では、ユーザがクラッチ操作レバー270(図12参照)を左側フレームパイプ154から引き出す操作(以下では、「クラッチ解除操作」と記載することがある)を行おうとしても、ロッド動作部274の突出部306が回動プレート212の第2延伸部238bに接触して、クラッチ操作レバー270を左側フレームパイプ154から引き出すことができない。
【0068】
図7に示すように、ユーザが左側ハンドル24のブレーキレバー58を引き上げ操作すると、ブレーキケーブル100のインナケーブル100aがアウタケーブル100bに対して相対的に引き込まれ、図13に示すように、第1リンク部材214の入力アーム214aが右方向に移動する方向に回動し、第1リンク部材214の出力アーム214bが左方向に移動するので、出力アーム214bが回動プレート212の先端が突出部230aから離反する。それと同時に、第2リンク部材216の入力アーム216aが左方向に移動する方向に回動し、第2リンク部材216の出力アーム216bが右方向に移動するので、出力アーム216bの先端が回動プレート212の突出部230bから離反する。この場合、図19に示すように、回動プレート212のバネ230dの付勢力によって、支持プレート210に対して、回動プレート212の前部が下方に押し下げられる。これにより、図20に示すように、ロッド動作部274の突出部296が、回動プレート212の第2延伸部238bよりも上方に位置するようになる。このため、クラッチ操作レバー270を操作しても、ロッド動作部274の突出部306が回動プレート212の第2延伸部238bに接触しなくなる。このため、ユーザは、クラッチ操作レバー270を左側フレームパイプ154から引き出すことが可能となる。
【0069】
図17に示すように、クラッチ操作レバー270が左側フレームパイプ154から引き出されると、クラッチ操作レバー270が左方向に移動する方向に回動するので、ロッド動作部274の連結部302が、回動軸288を中心に左方向に移動する方向に回動する。連結部302が左方向に移動する方向に回動することにより、ロッド動作部274のカム部300が、カム面300aがクラッチロッド260を右側に移動させる方向に回動する。これにより、図11に示すように、クラッチロッド260がギヤボックス172内に押し込まれ、セレクタ262が右方に移動して、ドグクラッチ255の係合凸部255aが第2ギヤ254の係合凹部254aに係合していない状態になる。これにより、クラッチ機構256の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられる。
【0070】
図21に示すように、クラッチ機構256(図11参照)の状態が非伝達状態である状態において、クラッチ操作レバー270の左端部は、左側前輪162と左側後輪326との間に位置している。また、クラッチ操作レバー270の左端部は、荷台フレーム502の左端部よりも左側に位置している。この場合、図18に示すように、ユーザは、右側グリップ32及び左側グリップ52を把持した状態で、クラッチ操作レバー270の左端部を視認することができる。即ち、クラッチ機構256(図11参照)が非伝達状態であることを知ることができる。一方、図1に示すように、クラッチ操作レバー270が左側フレームパイプ154に取付けられている場合、ユーザは、右側グリップ32及び左側グリップ52を把持した状態で、クラッチ操作レバー270の左端部を視認することができない。なお、上述のクラッチ操作レバー270の捩りバネ292(図12参照)は、クラッチ操作レバー270の左端部が左側前輪162よりも左側に引き出される場合に、クラッチ操作レバー270の左端部を右方向に付勢する。これにより、クラッチ操作レバー270の左端部が左側前輪162よりも左側に位置することが抑制される。
【0071】
1つまたはそれ以上の実施形態において、図2図10図13に示すように、運搬車2(「作業機」の一例)は、地面に接地する左側前輪162(「第1接地部」の一例)と、左側前輪162を駆動させるモータ170(「駆動部」の一例)と、モータ170からの駆動力が左側前輪162に伝達される伝達状態と、モータ170からの駆動力が左側前輪162に伝達されない非伝達状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能なクラッチ機構256と、クラッチ機構256の状態を切替えるためのクラッチ操作機構174(「クラッチ操作部」の一例)と、左側前輪162を制動している制動状態と、左側前輪162を制動していない非制動状態と、のうちのいずれかの状態に切替可能な左前輪ブレーキ166(「制動機構」の一例)と、左前輪ブレーキ166の状態を切替えるためのブレーキ操作機構56(「制動操作部」の一例)と、を備えている。左側前輪162の状態が制動状態である場合において、クラッチ操作機構174を操作することによって、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができ、左側前輪162の状態が非制動状態である場合において、クラッチ操作機構174を操作しても、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができない。上記の構成によれば、左前輪ブレーキ166の状態が制動状態である場合にのみ、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができ、左前輪ブレーキ166の状態が非制動状態である場合には、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができない。このため、クラッチ機構256の状態が伝達状態から非伝達状態に切り替わる時には、左側前輪162が左前輪ブレーキ166によって制動されている。従って、クラッチ機構256の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、運搬車2が停止している状態を維持することができる。特に、運搬車2は、重量物(例えば、大量の砂等)を運搬するために利用される。このため、坂道に停止している運搬車2のクラッチ機構256が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、運搬車2が停止している状態が維持されることが望ましい。上記の構成によれば、クラッチ機構256の状態が伝達状態から非伝達状態に切替えられても、運搬車2が停止している状態を維持することができる
【0072】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図12図21に示すように、クラッチ操作機構174は、ユーザの操作に応じて、クラッチ機構256を伝達状態から非伝達状態に切替える。例えば、クラッチ操作機構174が、電力を利用して、クラッチ機構256を伝達状態から非伝達状態に切替える構成の場合、クラッチ操作機構174に関連する電力系統に異常が発生すると、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができなくなる。上記の構成によると、クラッチ操作機構174に関連する電力系統の一部に異常が発生した場合でも、ユーザは、クラッチ操作機構174を手動操作して、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0073】
また、1つ又はそれ以上の実施形態において、図12に示すように、クラッチ操作機構174は、ユーザが操作可能なクラッチ操作レバー270を備えている。クラッチ操作レバー270へのユーザの操作に応じて、クラッチ機構256の状態が非伝達状態から伝達状態に切替えられる。上記の構成によれば、クラッチ機構256を操作するための構成を簡単化することができる。
【0074】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図12図13に示すように、ブレーキ操作機構56は、ユーザの操作に応じて、左前輪ブレーキ166の状態を非制動状態から制動状態に切替える。例えば、ブレーキ操作機構56が、電力を利用して、左前輪ブレーキ166を非制動状態から制動状態に切替える構成の場合、ブレーキ操作機構56に関連する電力系統に異常が発生すると、左前輪ブレーキ166の状態を非制動状態から制動状態に切り替えるができなくなり、その結果、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができなくなる。上記の構成によると、ブレーキ操作機構56に関連する電力系統に異常が発生した場合でも、ユーザは、左前輪ブレーキ166の状態を非制動状態から制動状態に切り替えることができ、その結果、クラッチ機構256の状態を伝達状態から非伝達状態に切替えることができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0075】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図2に示すように、ブレーキ操作機構56は、ユーザが操作可能なブレーキレバー58を備えている。図12図13に示すように、ブレーキレバー58へのユーザの操作に応じて、左前輪ブレーキ166の状態が非制動状態から制動状態に切替えられる。上記の構成によれば、左前輪ブレーキ166を操作するための構成を簡単化することができる。
【0076】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図2に示すように、運搬車2は、さらに、ユーザが把持可能な右側ハンドル22及び左側ハンドル24(「把持部」の一例)を備えている。ユーザが右側ハンドル22及び左側ハンドル24を把持しており、かつ、クラッチ機構256が非伝達状態である場合において、クラッチ操作機構174は、ユーザが、クラッチ操作機構174の左端部(「少なくとも一部」の一例)を視認可能な位置に配置されており(図18図21参照)、ユーザが右側ハンドル22及び左側ハンドル24を把持しており、かつ、クラッチ機構256が伝達状態である場合において、クラッチ操作機構174は、ユーザが、クラッチ操作機構174を視認できない位置に配置されている(図1参照)。上記の構成によれば、ユーザは、クラッチ操作機構174の左端部が視認できるのか否かに応じて、クラッチ機構256の状態を把握することができる。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0077】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図21に示すように、運搬車2は、さらに、左側前輪162よりも後方に設けられており、地面に接地する左側後輪326(「第2接地部」の一例)を備えている。クラッチ機構256が非伝達状態である場合において、クラッチ操作機構174の左端部が、左側前輪162と左側後輪326との間に配置されている。上記の構成によれば、クラッチ操作機構174の左端部が、左側前輪162と左側後輪326との間に設けられているために、ユーザは、クラッチ機構256の少なくとも一部を容易に視認することができる。
【0078】
また、1つまたはそれ以上の実施形態において、図18に示すように、運搬車2は、さらに、荷台フレーム502(「支持フレーム」の一例)を備えている。クラッチ機構256が非伝達状態である場合において、運搬車2を上方から見た場合に、クラッチ操作機構174の左端部が、荷台フレーム502の外側に配置されている。上記の構成によれば、クラッチ操作機構174の左端部が、荷台フレーム502の外側に設けられているので、ユーザは、クラッチ操作機構174の左端部を容易に視認することができる。
【0079】
(第1変形例)「作業機」は、運搬車2に限定されず、スプレイヤー、芝刈機であってもよい。
【0080】
(第2変形例)「接地部」は、車輪に限定されず、左右方向に延びるローラ、クローラ等であってもよい。
【0081】
(第3変形例)運搬車2は、ブレーキレバー58に代えて、又は、ブレーキレバー58に加えて、右前輪ブレーキ164及び左前輪ブレーキ166の状態を切替えるためのブレーキ切替スイッチを備えていてもよい。
【0082】
(第4変形例)運搬車2は、クラッチ操作機構174に代えて、又は、クラッチ操作機構174に加えて、クラッチ機構256の状態を切替えるためのクラッチ切替スイッチを備えていてもよい。
【0083】
(第5変形例)右前輪ブレーキ164、及び、左前輪ブレーキ166は、電動パーキングブレーキであってもよい。
【0084】
(第6変形例)右側ハンドル22及び左側ハンドル24を把持しているユーザが、伝達状態及び非伝達状態の両方の状態におけるクラッチ操作機構174の少なくとも一部を視認可能であってもよい。また、別の変形例では、右側ハンドル22及び左側ハンドル24を把持しているユーザが、伝達状態及び非伝達状態の両方の状態におけるクラッチ操作機構174を視認できなくてもよい。
【0085】
(第7変形例)運搬車2は、固定用レバー64を備えていなくてもよい。
【0086】
(第8実施例)運搬車2は、右前輪ブレーキ164及び左前輪ブレーキ166の状態を切替えるためのアクチュエータを備えていてもよい。本変形例では、制御装置12bが、当該アクチュエータの動作を制御するとよい。
【0087】
(第9実施例)運搬車2は、クラッチ機構256の状態を切替えるためのアクチュエータを備えていてもよい。本変形例では、制御装置12bが、当該アクチュエータの動作を制御するとよい。
【符号の説明】
【0088】
2:運搬車、4:車台ユニット、6:荷台ユニット、10:ハンドルユニット、12:バッテリボックス、12a:バッテリパック、12b:制御装置、14:車台フレーム、16:前輪ユニット、18:後輪ユニット、20:ハンドルベース、22:右側ハンドル、24:左側ハンドル、30:右側パイプ、30a:右側支持部、30b:右側ハンドル部、32:右側グリップ、34:スイッチボックス、36:駆動レバー、38:右側ケーシング、40:操作パネル、40a:主電源スイッチ、40b:後退切替スイッチ、40c:速度切替スイッチ、42:駆動スイッチ、50:左側パイプ、50a:左側支持部、50b:左側ハンドル部、52:左側グリップ、54:左側ケーシング、54a:開口、56:ブレーキ操作機構、58:ブレーキレバー、60:第1リンク部材、62:ケーブル保持部、64:固定用レバー、66:操作部、66a:凹部、66b:第1突出部、66c:第2突出部、68:支持部、68a:左側バネ受部、68b:右側バネ受部、70:ベアリング保持部、70a:右壁部、70b:左壁部、70c:シャフト、72:回動軸、74:バネ、76:ベアリング、80:支持部、82:第1延伸部、82a:貫通孔、84:第2延伸部、84a:上面、86:回動軸、90:右壁部、92:左壁部、94:前壁部、94a:切欠部、96:シャフト、100:ブレーキケーブル、100a:インナケーブル、100b:アウタケーブル、110:操作部、112:支持部、114:突起部、116:バネ受部、118:回動軸、120:バネ、130:停止スイッチ、130a:スイッチ部、132:第2リンク部材、132a:一端、132b:他端、134:信号ケーブル、150:フレームプレート、152:右側フレームパイプ、154:左側フレームパイプ、156:中央フレームパイプ、158:ケーブルカバー、160:右側前輪、160a:ハブ、162:左側前輪、162a:ハブ、164:右前輪ブレーキ、166:左前輪ブレーキ、168:ブレーキイコライザ、170:モータ、171:電磁ブレーキケース、172:ギヤボックス、174:クラッチ操作機構、176:右前照灯、178:左前照灯、180:右側アクスルケース、182:左側アクスルケース、184:右側駆動シャフト、186:左側駆動シャフト、188:右側ブラケット、190:左側ブラケット、192:ディスクロータ、194:ブレーキキャリパ、196:右側ブレーキケーブル、196a:インナケーブル、196b:アウタケーブル、198:ディスクロータ、200:ブレーキキャリパ、202:左側ブレーキケーブル、202a:インナケーブル、202b:アウタケーブル、210:支持プレート、212:回動プレート、214:第1リンク部材、214a:入力アーム、214b:出力アーム、216:第2リンク部材、216a:入力アーム、216b:出力アーム、218:ブラケット、220:ベース部、220a:開口部、220b:開口部、222:右側延伸部、224:左側延伸部、226:回動軸、230:上壁部、230a:突出部、230b:突出部、230c:バネ受部、230d:バネ、232:右壁部、234:左壁部、236:後壁部、238:延伸部、238a:第1延伸部、238b:第2延伸部、239:回動軸、240:ステータ、242:ロータ、244:モータケース、246:モータシャフト、246a:スパーギヤ、250:ギヤケース、252:中間シャフト、253:第1ギヤ、254:第2ギヤ、254a:係合凹部、255:ドグクラッチ、255a:係合凸部、255b:係合溝、256:クラッチ機構、258:差動機構、258a:リングギヤ、258b:ピニオンケース、258c:ピニオンシャフト、258d:ピニオンギヤ、258e:右側駆動ギヤ、258f:左側駆動ギヤ、260:クラッチロッド、262:セレクタ、270:クラッチ操作レバー、270a:取付部、272:支持ブラケット、274:ロッド動作部、280:ベース部、280a:貫通孔、280b:貫通孔、282:右方延伸部、284:取付部、286:回動軸、288:回動軸、290:回動軸、292:バネ、300:カム部、300a:カム面、302:連結部、304:接続部、306:突出部、320:ベースプレート、322:ヒンジ、324:右側後輪、326:左側後輪、400:電磁ブレーキ、402:キー、404:ハブ、406:ディスクロータ、408:プレート、408a:第1プレート、408b:第2プレート、410:電磁石、410a:バネ受部、412:アーマチェア、414:バネ、500:バケット、502:荷台フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図21