(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/52 20210101AFI20250609BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20250609BHJP
【FI】
G03B17/52 D
G03B17/02
(21)【出願番号】P 2021189663
(22)【出願日】2021-11-22
【審査請求日】2024-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】若山 富裕
(72)【発明者】
【氏名】関澤 宏治
(72)【発明者】
【氏名】桐原 武久
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-5328(JP,A)
【文献】特開2014-56009(JP,A)
【文献】特開2002-23254(JP,A)
【文献】特開昭51-124922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/48-17/55
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、
前記バレル部が取り付けられるベースフレームであって、
写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、
前記フィルム収容部の前記フィルム収容空間から送り出される前記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部と
を含むベースフレームと、
前記フィルム排出部の前記排出口から前記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、前記ベースフレームの前記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、
前記フィルムガイドフレームと前記ベースフレームの前記フィルム排出部との間に位置する固定部と、前記フィルム排出部の前記排出口の一部及び前記フィルムガイドフレームの前記フィルム通路の一部を塞ぐように前記固定部から延びる舌部とを有する遮光フィルムと
を備え、
前記ベースフレームの前記フィルム排出部は、前記フィルムガイドフレームに向かって延びる第1のボスを有し、
前記フィルムガイドフレームには、前記フィルム排出部の前記第1のボスを受け入れ可能な第1の凹部が形成され、
前記遮光フィルムの前記固定部には、前記フィルム排出部の前記第1のボスが挿通可能な第1の挿通孔が形成される、
カメラ装置。
【請求項2】
前記フィルムガイドフレームは、前記遮光フィルムの前記固定部の一部を前記ベースフレームの前記フィルム排出部に向かって押圧する押圧部をさらに有する、請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記フィルムガイドフレームは、前記ベースフレームの前記フィルム排出部に向かって突出する突起を有し、
前記ベースフレームの前記フィルム排出部には、前記フィルムガイドフレームの前記突起を受け入れ可能な第2の凹部が形成される、
請求項1又は2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記遮光フィルムの前記固定部には、前記フィルムガイドフレームの前記突起及び前記フィルム排出部の前記第2の凹部を避けるための切欠きが形成される、請求項3に記載のカメラ装置。
【請求項5】
少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、
前記バレル部が取り付けられるベースフレームであって、
写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、
前記フィルム収容部の前記フィルム収容空間から送り出される前記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部と
を含むベースフレームと、
前記ベースフレームの前記フィルム排出部に取付可能なフィルムガイドユニットと
を備え、
前記フィルムガイドユニットは、
前記フィルム排出部の前記排出口から前記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、前記ベースフレームの前記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、
前記フィルムガイドフレームに貼付される貼付部と、前記フィルム排出部の前記排出口の一部及び前記フィルムガイドフレームの前記フィルム通路の一部を塞ぐように前記貼付部から延びる舌部とを有する遮光フィルムと
を含むフィルムガイドユニットと
を備える、カメラ装置。
【請求項6】
前記フィルムガイドフレームは、前記ベースフレームの前記フィルム排出部に向かって延びる第2のボスを有し、
前記ベースフレームの前記フィルム排出部には、前記フィルムガイドフレームの前記第2のボスを受け入れ可能な第3の凹部が形成される、
請求項5に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記遮光フィルムの前記貼付部には、前記フィルムガイドフレームの前記第2のボスが挿通可能な第2の挿通孔が形成される、請求項6に記載のカメラ装置。
【請求項8】
前記遮光フィルムの前記貼付部は、前記フィルムガイドフレームに面する側に両面テープを有する、請求項5から7のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項9】
前記フィルムガイドフレームの前記フィルム通路の出口に配置され、前記フィルム通路から排出される写真フィルムが通過させるためのスリットが形成された繊維部材をさらに備え、
前記繊維部材の前記スリットは、前記スリットを通過する前記写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項10】
少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、
前記バレル部が取り付けられるベースフレームであって、
写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、
前記フィルム収容部の前記フィルム収容空間から送り出される前記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部と
を含むベースフレームと、
前記フィルム排出部の前記排出口から前記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、前記ベースフレームの前記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、
前記フィルムガイドフレームの前記フィルム通路の出口に配置され、前記フィルム通路から排出される写真フィルムが通過させるためのスリットが形成された繊維部材と
を備え、
前記繊維部材の前記スリットは、前記スリットを通過する前記写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲する、
カメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に係り、特に撮影後に自動的に現像を行うことができる写真フィルムを用いたカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から撮影後に自動的に現像を行うことができる写真フィルムを用いたカメラ、いわゆるインスタントカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカメラにおいては、現像処理後の写真フィルムが排出スロットから排出されるようになっているが、この排出スロットを通じて外部の光がカメラ内部に入射し、現像前の写真フィルムを露光させてしまうおそれがある。したがって、写真フィルムから排出される部分から外部の光が現像前の写真フィルムに入射することを効果的に防止できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームと上記ベースフレームの上記フィルム排出部との間に位置する固定部と、上記フィルム排出部の上記排出口の一部及び上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の一部を塞ぐように上記固定部から延びる舌部とを有する遮光フィルムとをさらに備える。上記ベースフレームの上記フィルム排出部は、上記フィルムガイドフレームに向かって延びる第1のボスを有する。上記フィルムガイドフレームには、上記フィルム排出部の上記第1のボスを受け入れ可能な第1の凹部が形成される。上記遮光フィルムの上記固定部には、上記フィルム排出部の上記第1のボスが挿通可能な第1の挿通孔が形成される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に取付可能なフィルムガイドユニットをさらに備える。上記フィルムガイドユニットは、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームに貼付される貼付部と、上記フィルム排出部の上記排出口の一部及び上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の一部を塞ぐように上記貼付部から延びる舌部とを有する遮光フィルムとを含む。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の出口に配置され、上記フィルム通路から排出される写真フィルムが通過させるためのスリットが形成された繊維部材とをさらに備える。上記繊維部材の上記スリットは、上記スリットを通過する上記写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すカメラ装置のフロントカバー、リアカバー、及びトップカバーにより形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すベースフレームとこれに取り付けられる構成部品を示す部分分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す遮光フィルムの取付状態を説明するための部分断面図である。
【
図8A】
図8Aは、
図6に示す遮光フィルムの取付過程を説明するための分解斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示す遮光フィルムをベースフレームのフィルム排出部の凹部に配置した状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す遮光フィルムの取付状態を説明するための部分断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態に係るカメラ装置における一部の構成部品を示す部分分解斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施形態に係るカメラ装置における一部の構成部品を示す部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るカメラ装置の実施形態について
図1から
図18を参照して詳細に説明する。
図1から
図18において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図18においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置1を示す斜視図である。本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が可能な写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなインスタントカメラ以外にも適用できることは言うまでもない。なお、本実施形態では、便宜的に、
図1における+X方向を「前」又は「前方」、-X方向を「後」又は「後方」、+Z方向を「上」又は「上方」、-Z方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0011】
図1に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、フロントカバー2とリアカバー3とに挟まれるトップカバー4とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓5が形成されており、このファインダ窓5に隣接してフラッシュ窓6が配置されている。また、ファインダ窓5の-Z方向側にはレリーズボタン7が配置されている。トップカバー4には、Y方向に延びる排出スリット4Aが形成されており、この排出スリット4Aから撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。
【0012】
図2は、フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図2に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2の筒状部2A(
図1参照)の内側に収容されるレンズ鏡筒10と、レンズ鏡筒10を保持する筒状のバレル部20と、バレル部20の後方に配置される略直方体状のベースフレーム30と、ベースフレーム30の上端に取り付けられるフィルムガイドフレーム40とを含んでいる。ベースフレーム30は、矩形枠状のフィルム収容部31と、フィルム収容部31の上部に設けられたフィルム排出部32とを含んでいる。フィルム収容部31の内部には、現像液を内包した写真フィルム(図示せず)を収容可能なフィルム収容空間Sが形成されている。バレル部20は、ベースフレーム30のフィルム収容部31の前面にネジ21により取り付けられる。
【0013】
本実施形態におけるレンズ鏡筒10は、+X方向に伸長可能な構造となっており、内部にレンズ(図示せず)が収容されている。このレンズ鏡筒10の後端部には半径方向外側に突出する係合突起12が形成されており、この係合突起12は、バレル部20に形成されたガイド溝24にガイドされつつ、ガイド溝24の内部で光軸Pの方向(X方向)に移動するようになっている。
【0014】
バレル部20の近傍には操作ボタン8が配置されており、ユーザがこの操作ボタン8を-X方向に押し込むと、バレル部20に取り付けられた鏡筒繰出機構9によってレンズ鏡筒10の係合突起12が+X方向に押し出され、レンズ鏡筒10が+X方向(繰出方向)に繰り出されるようになっている。このようにレンズ鏡筒10がバレル部20から+X方向に飛び出すと、図示しないスイッチ機構によりカメラ装置1の電源が入る。
【0015】
図3は、ベースフレーム30とこれに取り付けられる構成部品を示す部分分解斜視図である。
図3に示すように、ベースフレーム30とフィルムガイドフレーム40との間には、全体としてY方向に延びる遮光フィルム50が配置されている。また、フィルムガイドフレーム40の上面に形成された凹部41には、Y方向に延びる繊維部材60が嵌め込まれている。
【0016】
図4Aはベースフレーム30の平面図、
図4Bは
図4AのA-A線断面図、
図4Cは
図4AのB-B線断面図である。
図4Aから
図4Cに示すように、ベースフレーム30のフィルム収容部31の+Z方向側に配置されたフィルム排出部32の内部には、Y方向に沿って延びる1対のローラ33A,33Bが収容されている。一方のローラ33Bは、ねじりコイルバネ(図示せず)によって+X方向に付勢されている。
【0017】
撮影により露光した写真フィルムは、図示しない送り出し機構によってフィルム収容部31内のフィルム収容空間Sからフィルム排出部32の1対のローラ33A,33Bの間に送り出される。写真フィルムがこれらのローラ33A,33Bに両側から押圧されることで、内包されていた現像液が写真フィルム内で展開し、写真フィルムの現像処理が行われる。
【0018】
ベースフレーム30のフィルム排出部32の上部には凹部34が形成されており、この凹部34の底面34Aには、ローラ33A,33Bの間を通って送り出される写真フィルムが通過する排出口35が形成されている。また、
図4A及び
図4Bに示すように、凹部34の-X方向側には、係合孔36Aが形成された2つの係合部36と、これらの係合部36の間で+Z方向に延びる突起37とが形成されている。さらに、
図4A及び
図4Cに示すように、凹部34の+X方向側には、係合孔38Aが形成された2つの係合部38が形成されている。
【0019】
図4A及び
図4Bに示すように、フィルム排出部32の排出口35の+X方向側には、凹部34の底面34Aから+Z方向に突出する3つのボス71(第1のボス)が形成されている。また、排出口35の+X方向側の凹部34の底面34Aには、-Z方向に延びる2つの凹部72A,72Bが形成されている。また、上述した係合部38に隣接する位置にはそれぞれ凹部74が形成されている。
【0020】
図5Aはフィルムガイドフレーム40の平面図、
図5Bは底面図、
図5Cは
図5AのC-C線断面図、
図5Dは
図5BのD-D線断面図である。フィルムガイドフレーム40は、上述したベースフレーム30のフィルム排出部32の凹部34に取り付けられるものであり、フィルム排出部32の排出口35を通って送り出される写真フィルムをガイドするものである。
【0021】
図5Aから
図5Dに示すように、フィルムガイドフレーム40は、フィルム排出部32の排出口35から写真フィルムが導入されるフィルム通路Qが形成された枠部42と、フィルム排出部32の係合部36の係合孔36Aに係合可能な係合片43と、フィルム排出部32の係合部38の係合孔38Aに係合可能な係合片44とを有している。また、枠部42には、フィルム排出部32の突起37が挿入される位置決め孔45が形成されている。枠部42は、Z方向に対して傾斜したガイド面46を有しており、フィルム通路Q内に導入された写真フィルムはこのガイド面46にガイドされつつ上方に送り出される。
【0022】
フィルムガイドフレーム40の位置決め孔45をフィルム排出部32の突起37に対して位置合わせし、フィルムガイドフレーム40の係合片43,44をそれぞれフィルム排出部32の係合部36,38の係合孔36A,38Aに係合させることにより、フィルムガイドフレーム40がベースフレーム30のフィルム排出部32に固定される。このとき、フィルム排出部32の突起37がフィルムガイドフレーム40の位置決め孔45に挿入された状態となる。
【0023】
図5B、
図5C、及び
図5Dに示すように、フィルムガイドフレーム40の枠部42は、ベースフレーム30に対向する面42Aを有しており、この面42Aには、ベースフレーム30のフィルム排出部32のボス71を受け入れることができる大きさの凹部47(第1の凹部)が3つ形成されている。これらの凹部47は、ベースフレーム30のフィルム排出部32のボス71に対応した位置に形成されており、フィルムガイドフレーム40がベースフレーム30のフィルム排出部32に固定されたときに、フィルム排出部32のボス71がフィルムガイドフレーム40の凹部47に挿入されるようになっている。
【0024】
また、上述したフィルムガイドフレーム40の枠部42の面42Aには、-Z方向に突出する2つの突起48と、-Z方向にわずかに突出する4つの押圧部49が形成されている。突起48は、ベースフレーム30のフィルム排出部32の凹部72A,72B(第2の凹部)に対応した位置に形成されており、フィルムガイドフレーム40がベースフレーム30のフィルム排出部32に固定されたときに、フィルムガイドフレーム40の突起48がフィルム排出部32の凹部72A,72Bに挿入されるようになっている。なお、フィルム排出部32の凹部72Aの内径は、フィルムガイドフレーム40の突起48の外径と略同一に形成されているが、突起48の寸法公差を吸収するために、凹部72Bは突起48の外径よりも大きく形成されている(
図4A参照)。
【0025】
図6は、遮光フィルム50を示す平面図である。この遮光フィルム50は、例えば樹脂から形成される柔軟性のある部材であり、Z方向に薄くて全体としてY方向に延びている。
図6に示すように、遮光フィルム50は、フィルムガイドフレーム40の枠部42の面42A(
図5C参照)とベースフレーム30のフィルム排出部32の凹部34の底面41A(
図4B参照)との間に位置する固定部51と、固定部51から-X方向に延びる舌部52とを含んでいる。
【0026】
また、
図6に示すように、遮光フィルム50の固定部51には、フィルム排出部32のボス71が挿通可能な挿通孔53A,53B(第1の挿通孔)が形成されている。また、遮光フィルム50の固定部51には、ベースフレーム30のフィルム排出部32の凹部72A,72B及びフィルムガイドフレーム40の突起48を避けるための切欠き54が形成されている。
【0027】
図7に示すように、このような遮光フィルム50は、ベースフレーム30のフィルム排出部32の排出口35に隣接して配置され、遮光フィルム50の舌部52がフィルム排出部32の排出口35の一部及びフィルムガイドフレーム40のフィルム通路Qの一部を塞ぐようになっている。したがって、ベースフレーム30のフィルム排出部32から上方に送り出される写真フィルムFは、遮光フィルム50の舌部52に接触しながら上方に送り出される。これにより、写真フィルムFと遮光フィルム50の舌部52及びフィルムガイドフレーム40のガイド面46との間に隙間が生じにくくなり、カメラ装置1の外部の光がベースフレーム30のフィルム収容部31に入射することが防止される。
【0028】
従来のカメラ装置においても、排出される写真フィルムに柔軟な遮光フィルムを接触させて外部の光が露光前の写真フィルムに入射することを防止しているが、このような遮光フィルムは、本実施形態におけるフィルム排出部32の凹部34内に両面テープで貼り付けて固定されることが多い。このとき、ベースフレーム30に取り付けられた他の多くの部品に配慮しながら両面テープによる貼付作業を行う必要があり、また、薄くて細長い遮光フィルムを空間的余裕の少ないフィルム排出部32の凹部34内で長手方向に沿って端から端まで順に貼付していく必要があるため、貼付作業中に遮光フィルムの一部が適切な位置からずれてしまうことが多く、これが原因で遮光フィルムの遮光機能が低下し、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射することが考えられる。
【0029】
このような両面テープを用いた貼付作業による遮光フィルムの遮光機能の低下を防止するために、本実施形態における遮光フィルム50は両面テープを用いずに固定できるようになっている。すなわち、遮光フィルム50を組み付ける際には、
図8Aに示すように、遮光フィルム50の挿通孔53A,53Bの位置をベースフレーム30のフィルム排出部32のボス71の位置に合わせ、遮光フィルム50の挿通孔53A,53Bにフィルム排出部32のボス71を挿入することで、
図8Bに示すように、遮光フィルム50をフィルム排出部32の凹部34内の適切な位置に正確に配置することができる。なお、遮光フィルム50の挿通孔53Aの内径は、フィルム排出部32のボス71の外径と略同一に形成されているが、ボス71の寸法公差を吸収するために、挿通孔53Bはボス71の外径よりも大きく形成されている。
【0030】
この状態で、繊維部材60が嵌め込まれたフィルムガイドフレーム40をフィルム排出部32の凹部34の上方から取り付ける。すなわち、フィルムガイドフレーム40の凹部47の位置をフィルム排出部32のボス71の位置に合わせ(同時にフィルムガイドフレーム40の突起48の位置をフィルム排出部32の凹部72A,72Bの位置に合わせ)、フィルムガイドフレーム40の係合片43,44をそれぞれフィルム排出部32の係合部36,38の係合孔36A,38Aに係合させることで、フィルムガイドフレーム40がベースフレーム30のフィルム排出部32に固定されるとともに、
図7及び
図9に示すように、フィルム排出部32のボス71がフィルムガイドフレーム40の凹部47に挿入され、フィルムガイドフレーム40の突起48がフィルム排出部32の凹部72A,72Bに挿入される。
【0031】
これにより、遮光フィルム50は、両面テープを用いてベースフレーム30のフィルム排出部32に貼付しなくても、遮光フィルム50の固定部51がフィルム排出部32とフィルムガイドフレーム40との間に挟み込まれて固定される。このとき、遮光フィルム50は、フィルム排出部32のボス71が遮光フィルム50の挿通孔53A,53Bに挿入されるため、フィルム排出部32に対して適切な位置に位置決めされる。このように、本実施形態によれば、両面テープを用いることなく、遮光フィルム50を適切な位置に固定することができるので、ベースフレーム30内での遮光フィルム50の位置ずれによる遮光機能の低下が生じにくく、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい。
【0032】
本実施形態では、フィルム排出部32とフィルムガイドフレーム40との間に挟み込まれている遮光フィルム50の固定部51は、
図9に示すように、フィルムガイドフレーム40の押圧部49によってフィルム排出部32の凹部34の底面34Aに対して押圧される。このような押圧部49によって遮光フィルム50の固定部51の一部をフィルム排出部32の凹部34の底面34Aに向かって押圧することで、押圧部49と凹部34の底面34Aとの間で遮光フィルム50を強固に挟み込んで固定することができるため、遮光フィルム50の位置ずれをより効果的に抑制することができる。なお、このような押圧部49を形成せずに、フィルムガイドフレーム40の枠部42の面42Aが直接凹部34の底面34Aに接触するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フィルム排出部32のボス71がフィルムガイドフレーム40の凹部47に挿入されるだけではなく、フィルムガイドフレーム40の突起48がフィルム排出部32の凹部72A,72Bに挿入されるため、フィルムガイドフレーム40とベースフレーム30との間の位置ずれがより低減される。
【0034】
図10は、繊維部材60を示す平面図である。繊維部材60は、例えばフェルトのような生地から形成され、フィルムガイドフレーム40の上部の凹部41、すなわちフィルム通路Qの出口に配置されるものである。
図7及び
図10に示すように、繊維部材60には、フィルムガイドフレーム40のフィルム通路Qから排出される写真フィルムFを通過させるためのスリット61がY方向に延びるように形成されている。本実施形態においては、Y方向におけるスリット61の中央部61Aは両端部61Bよりも-X方向側に位置しており、-X方向に沿って見ると凸状に湾曲している。上述したようにフィルムガイドフレーム40のフィルム通路Qに導入された写真フィルムFは、繊維部材60のスリット61を通ってトップカバー4の排出スリット4A(
図1参照)からカメラ装置1の外部に排出される。
【0035】
このような繊維部材のスリットを写真フィルムが通過する際にも繊維部材と写真フィルムとの間に間隙が生じる可能性がある。このような間隙が生じると、この間隙を通って外部からの光がベースフレーム30のフィルム収容部31に入射するため、写真フィルムが繊維部材のスリットを通過する際に繊維部材と写真フィルムとの間で間隙がなるべく生じないようにすることが求められる。
【0036】
ここで、撮影後の写真フィルムは、ベースフレーム30のフィルム排出部32内のローラ33A,33Bによって押圧されることで、写真フィルムに内包されていた現像液が写真フィルム内で展開し、写真フィルムの現像処理が行われるが、本発明者等は、この現像処理によって写真フィルムが現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲しやすいことを発見した。この知見に基づいて、本発明者等は、繊維部材60のスリット61の形状を現像後の写真フィルムFの形状に対応させることで、繊維部材60と写真フィルムFとの間で間隙がなるべく生じないようにすることができることを見出した。本実施形態では、繊維部材60のスリット61の形状は、現像後の写真フィルムFの形状に対応して、写真フィルムFの現像面とは反対側に向かって、すなわち-X方向に向かって凸状に湾曲している。このような構成により、現像後の写真フィルムFと繊維部材60との間に間隙が生じにくくなり、外部からの光がベースフレーム30のフィルム収容部31に入射しにくくなる。
【0037】
図11は、本発明の第2の実施形態に係るカメラ装置における一部の構成部品を示す部分分解斜視図である。上述した第1の実施形態においては、遮光フィルム50の固定部51をフィルム排出部32とフィルムガイドフレーム40との間に挟み込んで固定することによって、ベースフレーム30内での遮光フィルム50の位置ずれを抑制しているが、本実施形態においては、以下に述べるように、遮光フィルムとフィルムガイドフレームとを一体化することによってベースフレーム30内での遮光フィルム50の位置ずれを抑制している。以下、より詳細に説明する。
【0038】
本実施形態においては、第1の実施形態の遮光フィルム50に対応する遮光フィルム150と、第1の実施形態のフィルムガイドフレーム40に対応するフィルムガイドフレーム140と、繊維部材60とをユニット化してフィルムガイドユニット110とし、このフィルムガイドユニット110を予め組み立てた上でベースフレーム130のフィルム排出部132に取り付ける。このようにすることで、遮光フィルム50をベースフレーム130のフィルム排出部132に取り付ける必要がなくなる。
【0039】
図12Aはベースフレーム130の平面図、
図12Bは
図12AのE-E線断面図である。
図12A及び
図12Bに示すように、ベースフレーム130のフィルム排出部132の上部には凹部34が形成されており、この凹部34の底面34Aには排出口35が形成されている。この排出口35の+X方向側の凹部34の底面34Aには、-Z方向に延びる3つの凹部172A,172B(第3の凹部)が形成されている。
【0040】
図13Aはフィルムガイドフレーム140の平面図、
図13Bは
図13AのF-F線断面図である。フィルムガイドフレーム140の枠部42は、ベースフレーム130に対向する面142Aを有しており、この面142Aには、-Z方向に突出する3つのボス148(第2のボス)が形成されている。これらのボス148は、ベースフレーム130のフィルム排出部132の凹部172A,172Bに対応した位置に形成されており、フィルムガイドユニット110がベースフレーム30のフィルム排出部132に固定されたときに、フィルムガイドフレーム140のボス148がフィルム排出部132の凹部172A,172Bに挿入されるようになっている。なお、フィルム排出部132の凹部172Aの内径は、フィルムガイドフレーム140のボス148の外径と略同一に形成されているが、ボス148の寸法公差を吸収するために、凹部172Bはボス148の外径よりも大きく形成されている(
図12A参照)。
【0041】
図14は、遮光フィルム150を示す平面図である。この遮光フィルム150は、例えば樹脂から形成される柔軟性のある部材であり、Z方向に薄くて全体としてY方向に延びている。
図14に示すように、遮光フィルム150は、フィルムガイドフレーム140に面する側に両面テープが貼付された貼付部151と、貼付部151から-X方向に延びる舌部152とを含んでいる。また、
図14に示すように、遮光フィルム150の貼付部151には、フィルムガイドフレーム140のボス148を避けるための切欠き154が形成されている。
【0042】
このような構成において、
図15に示すように、遮光フィルム150の貼付部151の両面テープを用いて、フィルムガイドフレーム140のベースフレーム130に対向する面142Aに遮光フィルム150の貼付部151を貼付する。このとき、遮光フィルム150の切欠き154内にフィルムガイドフレーム140のボス148が位置するように遮光フィルム150の位置を調整する。このようにして遮光フィルム150が取り付けられたフィルムガイドフレーム140の凹部41に繊維部材60を嵌め込むことでフィルムガイドユニット110が完成する。
【0043】
そして、このフィルムガイドユニット110におけるフィルムガイドフレーム140のボス148の位置をフィルム排出部132の凹部172A,172Bの位置に合わせ、フィルムガイドフレーム140の係合片43,44をそれぞれフィルム排出部132の係合部36,38の係合孔36A,38Aに係合させることで、フィルムガイドユニット110がベースフレーム130のフィルム排出部132に固定されるとともに、フィルムガイドフレーム140のボス148がフィルム排出部132の凹部172A,172Bに挿入される。これにより、遮光フィルム150をベースフレーム130のフィルム排出部132とフィルムガイドフレーム140との間に固定することができる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、遮光フィルム150の貼付部151が他の部材によって空間的な影響を受けにくいフィルムガイドフレーム140に貼付されるため、遮光フィルム150がフィルムガイドフレーム140上の適切な位置に正確に貼付されたフィルムガイドユニット110を得ることができる。このようなフィルムガイドユニット110をベースフレーム130のフィルム排出部132に取り付けることにより、遮光フィルム150をベースフレーム130のフィルム排出部132の凹部34の底面34Aとフィルムガイドフレーム140の面142Aとの間の適切な位置に正確に固定することができる。このため、遮光フィルム150の位置ずれによる遮光機能の低下が生じにくく、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい。
【0045】
図16は、本発明の第3の実施形態に係るカメラ装置における一部の構成部品を示す部分分解斜視図である。本実施形態におけるフィルムガイドユニット210は、遮光フィルム250を除いて、第2の実施形態のフィルムガイドユニット110と同一の構成を有している。
【0046】
図17は、本実施形態の遮光フィルム250を示す平面図である。この遮光フィルム250も、遮光フィルム50,150と同様に、例えば樹脂から形成される柔軟性のある部材である。
図17に示すように、遮光フィルム250は、フィルムガイドフレーム140に面する側に両面テープが貼付された貼付部251と、貼付部251から-X方向に延びる舌部252とを含んでいる。また、
図17に示すように、遮光フィルム250の貼付部251には、フィルムガイドフレーム140の両側のボス148が挿通可能な挿通孔253A,253B(第2の挿通孔)と、フィルムガイドフレーム140の中央のボス148を避けるための切欠き254とが形成されている。
【0047】
このような構成において、
図18に示すように、遮光フィルム250の貼付部251の両面テープを用いて、フィルムガイドフレーム140のベースフレーム130に対向する面142Aに遮光フィルム250の貼付部251を貼付する。このとき、遮光フィルム250の挿通孔253A,253Bの位置をフィルムガイドフレーム140のボス148の位置に合わせ、遮光フィルム250の挿通孔253A,253Bにフィルムガイドフレーム140のボス148を挿入することで、遮光フィルム250をフィルムガイドフレーム140上の適切な位置に正確に貼付することができる。このようにして遮光フィルム250が取り付けられたフィルムガイドフレーム140の凹部41に繊維部材60を嵌め込むことでフィルムガイドユニット210が完成する。なお、遮光フィルム250の挿通孔253Aの内径は、フィルムガイドフレーム140のボス148の外径と略同一に形成されているが、ボス148の寸法公差を吸収するために、挿通孔253Bはボス148の外径よりも大きく形成されている。
【0048】
このように、本実施形態によれば、遮光フィルム250の貼付部251が他の部材によって空間的な影響を受けにくいフィルムガイドフレーム140に貼付されるだけではなく、遮光フィルム250の挿通孔253A,253Bにフィルムガイドフレーム140のボス148が挿入されるので、遮光フィルム250をフィルムガイドフレーム140上の適切な位置に正確に貼付することができる。したがって、遮光フィルム250がフィルムガイドフレーム140上の適切な位置に正確に貼付されたフィルムガイドユニット210を得ることができる。このようなフィルムガイドユニット210をベースフレーム130のフィルム排出部132に取り付けることにより、遮光フィルム250をベースフレーム130のフィルム排出部132の凹部34の底面34Aとフィルムガイドフレーム140の面142Aとの間の適切な位置に正確に固定することができる。このため、遮光フィルム250の位置ずれによる遮光機能の低下が生じにくく、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい。
【0049】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームと上記ベースフレームの上記フィルム排出部との間に位置する固定部と、上記フィルム排出部の上記排出口の一部及び上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の一部を塞ぐように上記固定部から延びる舌部とを有する遮光フィルムとをさらに備える。上記ベースフレームの上記フィルム排出部は、上記フィルムガイドフレームに向かって延びる第1のボスを有する。上記フィルムガイドフレームには、上記フィルム排出部の上記第1のボスを受け入れ可能な第1の凹部が形成される。上記遮光フィルムの上記固定部には、上記フィルム排出部の上記第1のボスが挿通可能な第1の挿通孔が形成される。
【0050】
このような構成によれば、遮光フィルムの第1の挿通孔の位置をベースフレームのフィルム排出部の第1のボスの位置に合わせ、遮光フィルムの第1の挿通孔にフィルム排出部の第1のボスを挿入することで、遮光フィルムをフィルム排出部における適切な位置に配置することができる。この状態で、フィルムガイドフレームの第1の凹部の位置をベースフレームのフィルム排出部の第1のボスの位置に合わせ、フィルムガイドフレームの係合片をフィルム排出部に係合させることで、フィルムガイドフレームがベースフレームのフィルム排出部に固定されるとともに、フィルム排出部の第1のボスがフィルムガイドフレームの第1の凹部に挿入される。これにより、遮光フィルムの固定部がベースフレームのフィルム排出部とフィルムガイドフレームとの間に挟み込まれて固定される。このように、上述した構成によれば、両面テープを用いることなく、遮光フィルムを適切な位置に正確に固定することができるので、遮光フィルムの位置ずれによる遮光機能の低下が生じにくく、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい。
【0051】
上記フィルムガイドフレームは、上記遮光フィルムの上記固定部の一部を上記ベースフレームの上記フィルム排出部に向かって押圧する押圧部をさらに有していてもよい。このような押圧部によって遮光フィルムの固定部の一部をベースフレームのフィルム排出部に向かって押圧することで、押圧部とフィルム排出部との間で遮光フィルムを強固に挟み込んで固定することができるため、遮光フィルムの位置ずれをより効果的に抑制することができる。
【0052】
上記フィルムガイドフレームは、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に向かって突出する突起を有していてもよい。また、上記ベースフレームの上記フィルム排出部には、上記フィルムガイドフレームの上記突起を受け入れ可能な第2の凹部が形成されていてもよい。この場合には、上述したフィルム排出部の第1のボスがフィルムガイドフレームの第1の凹部に挿入されるだけではなく、フィルムガイドフレームの突起がフィルム排出部の第2の凹部に挿入されるため、フィルムガイドフレームとベースフレームとの間の位置ずれがより低減される。このとき、上記遮光フィルムの上記固定部には、上記フィルムガイドフレームの上記突起及び上記フィルム排出部の上記第2の凹部を避けるための切欠きが形成されていてもよい。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に取付可能なフィルムガイドユニットをさらに備える。上記フィルムガイドユニットは、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームに貼付される貼付部と、上記フィルム排出部の上記排出口の一部及び上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の一部を塞ぐように上記貼付部から延びる舌部とを有する遮光フィルムとを含む。
【0054】
このような構成によれば、遮光フィルムの貼付部が他の部材によって空間的な影響を受けにくいフィルムガイドフレームに貼付されるため、遮光フィルムがフィルムガイドフレーム上の適切な位置に正確に貼付されたフィルムガイドユニットを得ることができる。このようなフィルムガイドユニットをベースフレームのフィルム排出部に取り付けることにより、遮光フィルムをベースフレームのフィルム排出部とフィルムガイドフレームとの間の適切な位置に正確に固定することができる。このため、遮光フィルムの位置ずれによる遮光機能の低下が生じにくく、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい。
【0055】
上記フィルムガイドフレームは、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に向かって延びる第2のボスを有していてもよい。上記ベースフレームの上記フィルム排出部には、上記フィルムガイドフレームの上記第2のボスを受け入れ可能な第3の凹部が形成されていてもよい。この場合には、フィルムガイドフレームの第2のボスがフィルム排出部の第3の凹部に挿入されるため、フィルムガイドフレームとベースフレームとの間の位置ずれが低減される。
【0056】
この場合において、上記遮光フィルムの上記貼付部には、上記フィルムガイドフレームの上記第2のボスが挿通可能な第2の挿通孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、遮光フィルムの貼付部が他の部材によって空間的な影響を受けにくいフィルムガイドフレームに貼付されるだけではなく、遮光フィルムの第2の挿通孔にフィルムガイドフレームの第2のボスが挿入されるので、遮光フィルムをフィルムガイドフレーム上の適切な位置に正確に貼付することができる。
【0057】
上記遮光フィルムの上記貼付部は、上記フィルムガイドフレームに面する側に両面テープを有することが好ましい。
【0058】
上記カメラ装置は、上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の出口に配置され、上記フィルム通路から排出される写真フィルムが通過させるためのスリットが形成された繊維部材をさらに備えていてもよい。上記繊維部材の上記スリットは、上記スリットを通過する上記写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲していてもよい。このように、繊維部材のスリットを写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲させることにより、繊維部材のスリットの形状を現像後の写真フィルムの形状に対応させることができる。これにより、現像後の写真フィルムと繊維部材との間に間隙が生じにくくなり、外部からの光がベースフレームのフィルム収容部に入射しにくくなる。
【0059】
本発明の第3の態様によれば、外部からの光が現像前の写真フィルムに入射しにくい構造を有するカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、少なくとも1枚のレンズを収容したレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒を保持するバレル部と、上記バレル部が取り付けられるベースフレームとを備える。上記ベースフレームは、写真フィルムを収容可能なフィルム収容空間が内部に形成されるフィルム収容部と、上記フィルム収容部の上記フィルム収容空間から送り出される上記写真フィルムが通過可能な排出口が形成されたフィルム排出部とを含む。上記カメラ装置は、上記フィルム排出部の上記排出口から上記写真フィルムが導入されるフィルム通路が形成された枠部と、上記ベースフレームの上記フィルム排出部に係合可能な係合片とを有するフィルムガイドフレームと、上記フィルムガイドフレームの上記フィルム通路の出口に配置され、上記フィルム通路から排出される写真フィルムが通過させるためのスリットが形成された繊維部材とをさらに備える。上記繊維部材の上記スリットは、上記スリットを通過する上記写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲する。
【0060】
このように、繊維部材のスリットを写真フィルムの現像面とは反対側に向かって凸状に湾曲させることにより、繊維部材のスリットの形状を現像後の写真フィルムの形状に対応させることができる。これにより、現像後の写真フィルムと繊維部材との間に間隙が生じにくくなり、外部からの光がベースフレームのフィルム収容部に入射しにくくなる。
【0061】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー
4 トップカバー
4A 排出スリット
10 レンズ鏡筒
20 バレル部
30,130 ベースフレーム
31 フィルム収容部
32,132 フィルム排出部
33A,33B ローラ
34 凹部
34A 底面
35 排出口
36,38 係合部
36A,38A 係合孔
37 突起
40,140 フィルムガイドフレーム
41 凹部
42 枠部
43,44 係合片
46 ガイド面
47 (第1の)凹部
48 突起
49 押圧部
50,150,250 遮光フィルム
51 固定部
52,152,252 舌部
53A,53B (第1の)挿通孔
54,154 切欠き
60 繊維部材
61 スリット
71 (第1の)ボス
72A,72B (第2の)凹部
110,210 フィルムガイドユニット
148 (第2の)ボス
151,251 貼付部
172A,172B (第3の)凹部
253A,253B (第2の)挿通孔
254 切欠き
F 写真フィルム
Q フィルム通路
S フィルム収容空間