IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-集積光モジュール 図1
  • 特許-集積光モジュール 図2
  • 特許-集積光モジュール 図3
  • 特許-集積光モジュール 図4
  • 特許-集積光モジュール 図5
  • 特許-集積光モジュール 図6
  • 特許-集積光モジュール 図7
  • 特許-集積光モジュール 図8
  • 特許-集積光モジュール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】集積光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20250609BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20250609BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/026 650
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023543538
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2021031073
(87)【国際公開番号】W WO2023026380
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加治屋 哲
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄大
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083597(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143725(WO,A1)
【文献】特開2010-066514(JP,A)
【文献】特開2001-230274(JP,A)
【文献】特開2013-123016(JP,A)
【文献】特開2009-218280(JP,A)
【文献】特開2019-087656(JP,A)
【文献】特開2014-095843(JP,A)
【文献】特開2016-195222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0189314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載面(26)と、この搭載面からそれぞれ連続し互い向かい合う第一の側壁(17)及び第二の側壁(18)とを有する筐体(12)と、
それぞれ異なる波長の光信号(2i)を出射する複数の発光素子(1i)と、
前記複数の発光素子を積載する積載部(6)と、
前記複数の発光素子から出射された複数の前記光信号を合波する光合波器(7)と、を備え、
前記筐体の前記搭載面は、
前記筐体の前記搭載面と前記積載部を接合する第一の接合剤が塗布される第一の接合領域(15)と、
前記筐体の前記搭載面と前記光合波器を接合し、前記第一の接合剤と材質が異なる第二の接合剤が塗布される第二の接合領域(16)と、を有し、
前記搭載面と接合する前記光合波器の接合面(24)は、前記複数の光信号の前記光合波器への入射方向と直交はしない交差する方向に平行な第一の辺(19)を有し、
前記搭載面と接合する前記積載部の接合面(23)は、前記第一の辺に面する第二の辺(20)を有し、
前記積載部及び前記光合波器は、それぞれの前記接合面が前記第一の側壁及び前記第二の側壁の向かい合う方向に重ならないように前記第一の側壁及び前記第二の側壁の間に配置され、
前記第一の辺は、前記第一の辺に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記第二の辺との距離(L1)が大きくなり、
前記筐体の前記搭載面には、接合剤の流出を阻止する接合剤流出阻止部(27)が前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に設けられ、
前記接合剤流出阻止部は、前記入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、前記部分の延びる方向に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記積載部の接合面から前記部分までの距離(L2)が大きくなるように構成され、
前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に蓄積しており、
前記積載部と前記接合剤流出阻止部との間の領域が、前記接合剤流出阻止部の端から中央に向かうにつれて拡大して、前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記接合剤流出阻止部との間に蓄積するよう前記接合剤流出阻止部は湾曲して構成されていることを特徴とする集積光モジュール。
【請求項2】
搭載面(26)と、この搭載面からそれぞれ連続し互い向かい合う第一の側壁(17)及び第二の側壁(18)とを有する筐体(12)と、
それぞれ異なる波長の光信号(2i)を出射する複数の発光素子(1i)と、
前記複数の発光素子を積載する積載部(6)と、
前記複数の発光素子から出射された複数の前記光信号を合波する光合波器(7)と、を備え、
前記筐体の前記搭載面は、
前記筐体の前記搭載面と前記積載部を接合する第一の接合剤が塗布される第一の接合領域(15)と、
前記筐体の前記搭載面と前記光合波器を接合し、前記第一の接合剤と材質が異なる第二の接合剤が塗布される第二の接合領域(16)と、を有し、
前記搭載面と接合する前記光合波器の接合面(24)は、前記複数の光信号の前記光合波器への入射方向と直交はしない交差する方向に平行な第一の辺(19)を有し、
前記搭載面と接合する前記積載部の接合面(23)は、前記第一の辺に面する第二の辺(20)を有し、
前記積載部及び前記光合波器は、それぞれの前記接合面が前記第一の側壁及び前記第二の側壁の向かい合う方向に重ならないように前記第一の側壁及び前記第二の側壁の間に配置され、
前記第一の辺は、前記第一の辺に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記第二の辺との距離(L1)が大きくなり、
前記筐体の前記搭載面には、接合剤の流出を阻止する接合剤流出阻止部(27)が前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に設けられ、
前記接合剤流出阻止部は、前記入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、前記部分の延びる方向に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記積載部の接合面から前記部分までの距離(L2)が大きくなるように構成され、
前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に蓄積しており、
前記接合剤流出阻止部は、屈折して、前記第二の側壁へ向かうにつれ前記距離(L2)が大きくなるように構成され、前記第一の接合剤が、前記第二の側壁の側に流れて蓄積していることを特徴とする集積光モジュール。
【請求項3】
前記接合剤流出阻止部はレーザマーキングであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集積光モジュール。
【請求項4】
前記接合剤流出阻止部は前記第一の側壁及び前記第二の側壁から離れて設けられていることを特徴とする請求項に記載の集積光モジュール。
【請求項5】
前記第一の接合剤ははんだであり、前記第二の接合剤はUV硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集積光モジュール。
【請求項6】
前記光合波器(7)は、
複数のフィルタ(8i)と、
ミラー(9)と、
前記複数のフィルタと前記ミラーを固定するホルダ(10)とを有し、
前記複数のフィルタ及び前記ミラーは、前記複数の光信号の合波を行うことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の集積光モジュール。
【請求項7】
前記積載部(6)は、温度調整素子(5)を具備していることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の集積光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用したサービスの拡大に伴い、情報通信量の急激な増大に対応するため、光ファイバ通信の導入が進められている。光ファイバ通信において、高速・大容量伝送を実現する光伝送システムの需要が増加しており、特に、複数の波長の異なる光信号を一本の光ファイバに束ねて送受信する波長多重光伝送方式が広く採用されている。波長多重光伝送方式では、光伝送装置内に設置され、波長の異なる複数の発光素子と、複数の発光素子から出射される複数の光信号を合波する光合波器を同一パッケージに内蔵し、複数の光信号を一本の光ファイバに束ねて通信する集積光モジュールを使用している。更なる光伝送システムの大容量化を実現するため、光伝送装置内に多数の集積光モジュールを実装する必要があり、光伝送装置内の部品の実装密度を大きくするために集積光モジュールの小型化が要求される。そのため集積光モジュール内の実装の高密度化も加速している。
【0003】
例えば、特許文献1では、隣り合う発光素子をペアにして、互いの実装基板上で近接させて実装することにより光合波器の小型化を実現する。これにより集積光モジュールの小型化を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6804698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集積光モジュールを小型化するには複数の発光素子を搭載する積載部と光合波器とを近接して配置するのが好適である。ここで積載部と光合波器とは、それぞれ異なる接合剤によって筐体の搭載面に接合される。積載部と光合波器を筐体の接合面に接合する際に一方の接合剤が流れ出して他方の接合剤に混ざると他方の接合剤の接合性が低下し、このため集積光モジュールの組立て不良が生じる。そこで筐体の搭載面において、積載部と光合波器の間に、接合剤が流れ出しを阻止する構造を設ける必要がある。しかし阻止構造を設けてもなお接合剤の流れ出しの阻止効果は十分に果さない場合がある。
【0006】
例えば、阻止構造を、レーザが搭載面に描画されたレーザ痕すなわちレーザマーキングで形成する場合、筐体の壁面が真上から筐体の搭載面に描画されるレーザマーキングの障害物となるため、筐体壁面とレーザマーキングの間に隙間が生じる。従ってこの隙間から一方の接合剤が他方の接合剤の塗布される領域に流れ出し、接合剤が混合してしまう恐れがある。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、異なる接合剤の混合を阻止し、それによって搭載部品の組立不良率を低減した集積光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される集積光モジュールは、
搭載面と、この搭載面からそれぞれ連続し互い向かい合う第一の側壁及び第二の側壁とを有する筐体と、
それぞれ異なる波長の光信号を出射する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を積載する積載部と、
前記複数の発光素子から出射された複数の前記光信号を合波する光合波器と、を備え、
前記筐体の前記搭載面は、
前記筐体の前記搭載面と前記積載部を接合する第一の接合剤が塗布される第一の接合領域と、
前記筐体の前記搭載面と前記光合波器を接合し、前記第一の接合剤と材質が異なる第二の接合剤が塗布される第二の接合領と、を有し、
前記搭載面と接合する前記光合波器の接合面は、前記複数の光信号の前記光合波器への入射方向と直交はしない交差する方向に平行な第一の辺を有し、
前記搭載面と接合する前記積載部の接合面は、前記第一の辺に面する第二の辺を有し、
前記積載部及び前記光合波器は、それぞれの前記接合面が前記第一の側壁及び前記第二の側壁の向かい合う方向に重ならないように前記第一の側壁及び前記第二の側壁の間に配置され、
前記第一の辺は、前記第一の辺に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記第二の辺との距離が大きくなり、
前記筐体の前記搭載面には、接合剤の流出を阻止する接合剤流出阻止部が前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に設けられ、
前記接合剤流出阻止部は、前記入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、前記部分の延びる方向に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記積載部の接合面から前記部分までの距離が大きくなるように構成され、
前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に蓄積しており、
前記積載部と前記接合剤流出阻止部との間の領域が、前記接合剤流出阻止部の端から中央に向かうにつれて拡大して、前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記接合剤流出阻止部との間に蓄積するよう前記接合剤流出阻止部は湾曲して構成されていることを特徴とする。
また、搭載面と、この搭載面からそれぞれ連続し互い向かい合う第一の側壁及び第二の側壁とを有する筐体と、
それぞれ異なる波長の光信号を出射する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を積載する積載部と、
前記複数の発光素子から出射された複数の前記光信号を合波する光合波器と、を備え、
前記筐体の前記搭載面は、
前記筐体の前記搭載面と前記積載部を接合する第一の接合剤が塗布される第一の接合領域と、
前記筐体の前記搭載面と前記光合波器を接合し、前記第一の接合剤と材質が異なる第二の接合剤が塗布される第二の接合領域と、を有し、
前記搭載面と接合する前記光合波器の接合面は、前記複数の光信号の前記光合波器への入射方向と直交はしない交差する方向に平行な第一の辺を有し、
前記搭載面と接合する前記積載部の接合面は、前記第一の辺に面する第二の辺を有し、
前記積載部及び前記光合波器は、それぞれの前記接合面が前記第一の側壁及び前記第二の側壁の向かい合う方向に重ならないように前記第一の側壁及び前記第二の側壁の間に配置され、
前記第一の辺は、前記第一の辺に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記第二の辺との距離が大きくなり、
前記筐体の前記搭載面には、接合剤の流出を阻止する接合剤流出阻止部が前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に設けられ、
前記接合剤流出阻止部は、前記入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、前記部分の延びる方向に沿って前記第一の側壁の側から前記第二の側壁の側に進むにつれて前記入射方向と平行な方向に沿った前記積載部の接合面から前記部分までの距離が大きくなるように構成され、
前記第一の接合剤が、前記第一の接合領域と前記第二の接合領域との間に蓄積しており、
前記接合剤流出阻止部は、屈折して、前記第二の側壁へ向かうにつれ前記距離が大きくなるように構成され、前記第一の接合剤が、前記第二の側壁の側に流れて蓄積していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、異なる接合剤の混合を阻止できるため、集積光モジュールにおける搭載部品の組立不良率の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る集積光モジュールの全体構造を示す外観の上面図である。
図2本発明の実施の形態1に係る集積光モジュールの全体構造を示す外観の側面図である。
図3本発明の実施の形態1に係る集積光モジュールの光合波器の構成を示す上面図(a)及び斜視図(b)である。
図4】本発明の実施の形態1に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
図6】本発明の実施の形態3に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
図7】本発明の実施の形態4に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
図8】本発明の実施の形態5に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
図9】本発明の実施の形態6に係る集積光モジュールにおける筐体の搭載面の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1図4を用いて実施の形態1における集積光モジュールについて説明する。
【0012】
図1及び図2は集積光モジュール101の外観を示すそれぞれ上面図及び側面図である。ただし図1図2に示す断面A-Aにより筐体12の上部が取り除かれた状態を示している。図2図1に示す断面B-Bにより筐体12の側壁の一部が取り除かれた状態を示している。
【0013】
図1及び図2に示すように、集積光モジュール101は、発光素子1i、コリメートレンズ3i、積載部6、光合波器7、コネクタ11、筐体12、集光レンズ13及びレセプタクル14を備える。発光素子1iは、半導体レーザ等で構成され、電気信号を光信号2iに変換する。コリメートレンズ3iは発光素子1iから出射される光信号2iを平行光にする。積載部6は、積載部材4及び温度調整素子5を有し、発光素子1i及びコリメートレンズ3iを積載する。温度調整素子5は、発光素子1i、コリメートレンズ3i及び積載部材4が搭載された状態で筐体12に接合される。温度調整素子5はペルチェ素子等で構成され、発光素子1iの温度を一定に保つ。積載部材4は温度調整素子5の上に設けられ、その上面に発光素子1i及びコリメートレンズ3iを積載する。積載部材4は金属製のブロックで形成される。後述のように発光素子1i及びコリメートレンズ3iはそれぞれ複数個設けられる。
【0014】
外部とのインターフェースとしてコネクタ11は、図示されない2枚のFPC(Flexible Printed Circuit)等と接続される。一方のFPCは高周波の電気信号を伝送するRF(Radio Frequency)接続用であり、他方のFPCは発光素子1i等へ給電するDC(Direct Current)接続用である。コネクタ11で受けた電気信号は発光素子1iに供給される。電気信号は光ファイバを介して送信する情報を示す信号である。光合波器7は、複数のコリメートレンズ3iを介して複数の発光素子1iからそれぞれ出射された光信号2iを受け、合波する。筐体12は、その密閉された内部に発光素子1i、コリメートレンズ3i、積載部6及び光合波器7を収容する。コネクタ11は筐体12の側壁に取り付けられる。
【0015】
レセプタクル14は筐体12及び図示しない光ファイバに結合されて、内部に集光レンズ13を保持する。集光レンズ13は、光合波器7から出射された光信号2をレセプタクル14に集光する。集光レンズ13によって集光された光はレセプタクル14から光ファイバに入射される。
【0016】
図1に示すように、積載部6は、それぞれ異なる波長の光信号2iを出射する複数の発光素子1iと、複数の発光素子1iから出射される複数の光信号2iを平行光化する複数のコリメートレンズ3iとを積載している。サフィックスiは集積光モジュールのレーン番号(チャネル番号とも呼ぶ)を示す数字で、本例では0、1、2または3である。すなわちi=0,1,2,3である。
複数の発光素子1iは光信号の出射する方向に直交する方向に並んで配置され、複数のコリメートレンズ3iも発光素子1iと同じ方向に並んで配置されている。
【0017】
図3は、光合波器7の上面図(a)及び斜視図(b)である。図3に示すように、光合波器7は、レーンiの波長の光信号2iを透過し、それ以外の波長の光信号2iを反射するフィルタ8i、フィルタ8iと反対側に位置し全ての波長の光信号2iを反射するミラー9、及び、平行な2面にフィルタ8iとミラー9を対面に固定するホルダ10を備えている。なおレーン0に対するフィルタ8が設けられてもよいが、本実施の形態ではフィルタ8は設けずに3つのフィルタ8、8、8が設けられている場合を示している。
【0018】
複数の光信号2iは互いに平行に進んで光合波器7に入射する。ホルダ10は、底面が平行四辺形である四角柱の形状をなし、複数の光信号2iの入射方向とは直交はしない交差する方向に沿って平行な二つの面、すなわち第一の面21及び第二の面22を有する。ホルダ10には光信号2iの入射方向に沿って第一の面21、第二の面22を貫通するくり抜き部分25が設けられる。そのくり抜き部分25は光信号の光路となる。3つのフィルタ8、8、8はくり抜き部分25の一部を覆うように、光信号2iを受ける側である第一の面21に並んで固定されている。ミラー9はくり抜き部分25の一部を覆うように第二の面22に固定されている。
【0019】
光信号2はミラー9で反射され、フィルタ8に入射される。フィルタ8は光信号2を透過するとともに入射された光信号2を反射する。その結果フィルタ8から合波された光信号20、が出射される。合波された光信号20、はミラー9で反射され、フィルタ8に入射される。フィルタ8は光信号2を透過するとともに入射された光信号20、を反射する。その結果フィルタ8から合波された光信号2~2が出射される。合波された光信号2~2はミラー9で反射され、フィルタ8に入射される。フィルタ8は光信号2を透過するとともに入射された光信号2~2を反射する。その結果フィルタ8から合波された光信号2~2が光信号2として出射される。
【0020】
このように複数の発光素子1iからそれぞれ出射された複数の光信号2iは、光合波器7に入射し、フィルタ8iとミラー9間を多重反射することにより合波される。
フィルタ8iにはBPF(Band-Pass Filter)等が用いられる。ミラー9はガラス基板への誘電体多層膜の蒸着等により形成される。
【0021】
図1及び図2を再び参照し、筐体12は金属とセラミックが一体となって構成されている。筐体12は、積載部6と光合波器7を搭載する搭載面26と、搭載面26からそれぞれ連続し積載部6と光合波器7とを囲む側壁とを有する。側壁のうち互い向かい合う2つの部分を第一の側壁17及び第二の側壁18とする。筐体12及びレセプタクル14は溶接等によって固定される。
【0022】
図4は、図1から筐体12の搭載面26を抜き出した図である。図4に示すように、搭載面26は、積載部6を接合するために第一の接合剤が塗布される第一の接合領域15と、光合波器7を接合する第二の接合剤が塗布される第二の接合領域16を有する。第一の接合剤及び第二の接合剤は互いに重ならないように塗布される。筐体12の搭載面に対して積載部6及び光合波器7の底面がそれぞれの接合面、第一の接合面23、第二の接合面24として接合される。積載部6及び光合波器7は、それぞれ第一の接合面23、第二の接合面24が第一の側壁17及び第二の側壁18の向かい合う方向に重ならないように第一の側壁17及び第二の側壁18の間に近接して配置されている。また光信号2iの光合波器7への入射方向は第一の側壁17及び第二の側壁18の各面と平行である。
【0023】
第二の接合面24は平行四辺形の形状をなし、光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に平行な辺を2つ有する。そのうちの積載部6の接合面に面する辺を第一の辺19とする。他方、第一の接合面23は矩形の形状をなし、光信号2iの光合波器7への入射方向と直交する辺を2つ有し、そのうち第一の辺19に面する辺を第二の辺20とする。
【0024】
第一の辺19は、第一の辺19に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて光信号2iの入射方向と平行な方向に沿った第一の辺と第二の辺20との距離L1が大きくなる。
筐体12の搭載面26は例えば金属からなる。他方、第一の接合面23は、温度調整素子5の下面に相当し、金属製である。従って第一の接合剤にはんだが用いられる。また第二の接合面24は、ホルダ10の下面に相当し、ガラス製である。従って第二の接合剤にUV硬化型接着剤が用いられる。このように同じ材質である搭載面26に対して異なる材料の部材を接合する場合は、それぞれの接合剤も異なる。
【0025】
次に、接合剤流出阻止部について説明する。接合剤流出阻止部は、筐体12の搭載面26に設けられ、接合剤の流出を阻止する。この実施の形態では接合剤流出阻止部は特に、第一の接合剤が第二の接合領域16に侵食し、第二の接合剤と混合することを阻止するために設けられる。
例えば、接合剤流出阻止部は、対象部にレーザ光を照射することにより対象物表面の状態が粗くなるように変質させたレーザマーキング27である。レーザマーキング27は搭載面26の他の部分より粗くなるため接合剤を弾くことができる。レーザマーキング27は真上から筐体12の搭載面上に描画され、筐体12の搭載面と光合波器7の接合面の第一の辺19に対して平行な方向に沿って、第一の接合領域15と第二の接合領域16の間に設けられる。
【0026】
すなわち実施の形態1では、図4のとおり、レーザマーキング27は、光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延び、その延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキング27と積載部6の接合面との距離L2が大きくなる。
【0027】
レーザマーキング27の描画には、搭載面26に対し垂直方向にレーザを照射するレーザマーキング装置が使用される。しかし第一の側壁17及び第二の側壁18が障壁となり、第一の側壁17及び第二の側壁18に接する部分にまでレーザを照射することが難しい。よってレーザマーキング27は第一の側壁17及び第二の側壁18から離れて設けられ、レーザマーキング27と第一の側壁17との間、及び、レーザマーキング27と第二の側壁18との間には、接合剤が流れやすい隙間が生じる。
【0028】
なおレーザマーキング27の描画には、集積光モジュール101のシリアル番号あるいは筐体12等の構成部品のシリアル番号の刻印に使用されるレーザマーキング装置を援用することができる。
【0029】
集積光モジュール101の製造方法の一部である筐体12への部品の接合方法を説明する。まず搭載面26にレーザマーキング27の施された筐体12、複数の発光素子1iが搭載された積載部6、及び、光合波器7が用意される。ついで搭載面26に第一の接合材であるはんだを挟んで積載部6を圧着した後、はんだを溶融させる。はんだの溶融により第一の接合領域15は積載部6の接合面からはみ出る。その後はんだが硬化することにより積載部6が搭載面26に接合される。ついで、レーザマーキング27に対し積載部6と反対側の搭載面26に第二の接合材であるUV硬化型接着剤を挟んで光合波器7を圧着する。光合波器7の圧着により、第二の接合領域16は光合波器7の接合面からはみ出る。その後、紫外線を照射することによりUV硬化型接着剤が硬化する。これにより光合波器7が搭載面26に接合される。
第一の接合材が溶融した際、第一の接合剤はレーザマーキング27と側壁との間の隙間を通って、レーザマーキング27の向こう側に流れ出る恐れがある。
【0030】
仮にレーザマーキング27が第一の接合面23の第二の辺20に沿って描画した場合、搭載面26において積載部6とレーザマーキング27との間の領域が狭いため、溶融した第一の接合剤の流れがレーザマーキング27と側壁との間の隙間に集中する。特に第一の側壁17の側に生じる隙間は、第二の接合領域16に近い位置にあるので、溶融した第一の接合材がその隙間から後に第二の接合材が塗布される領域となる第二の接合領域16に流れ出る可能性が高い。流れ出した第一の接合材の上に第二の接合材が塗布される、すなわち第一の接合材と第二の接合材とが混合すると、第二の接合材の接合性が低下し、光合波器7を搭載面26に上手く接合することが困難となる。
【0031】
これに対し実施の形態1においては、レーザマーキング27は第二の接合面24の第一の辺19と平行に描画される。これにより積載部6とレーザマーキング27との間の領域が、第一の側壁17の側から第二の側壁18に向かうにつれて拡大する。積載部6とレーザマーキング27との間に蓄積できる第一の接合剤の量が増加し、第一の接合剤の流れがレーザマーキング27と第一の側壁17との間の隙間に集中することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。
【0032】
なお、接合剤流出阻止部は、第二の接合面24の第一の辺19に対し平行に設けなくても、接合剤流出阻止部の延びる方向と第二の辺20の延びる方向との角度が、第一の辺19の延びる方向と第二の辺20の延びる方向との角度が小さくてもよいし、大きくてもよい。接合剤流出阻止部は光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、当該部分が当該部分その延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて入射方向と平行な方向に沿った積載部6の接合面との距離が大きくなる形状であればよい。レーザマーキング27と第一の側壁17との間の隙間を通して、第一の接合剤が第二の接合領域16への流れ出すのを抑えられる。
【0033】
実施の形態2.
図5を用いて実施の形態2における集積光モジュールの筐体について説明する。図5は、本実施の形態の集積光モジュールが有する筐体12aの搭載面26aを示す。図5を参照して、筐体12aの搭載面26aは、図4の搭載面26と比較して、レーザマーキング27aの形状が異なる。集積光モジュールのそれ以外の構成及び機能は、実施の形態1の集積光モジュール101と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
実施の形態2ではレーザマーキング27aは湾曲して設けられている。図5のとおりレーザマーキング27aは光信号2iの入射方向に湾曲し、レーザマーキング27aの曲率がレーザマーキング27a中央すなわちレーザマーキング27aの両端からレーザマーキング27aに沿って等距離にある地点で一番大きくなり、レーザマーキング27a中央からそれぞれ両端に向かうにつれて小さい。レーザマーキング27aは光信号2iの入射方向に沿ってレーザマーキング27a中央を通る線に関して線対称な形状である。レーザマーキング27aは第一の側壁17及び第二の側壁18から離れて設けられている。
【0035】
レーザマーキング27aの第一の側壁17に最も近い端から中央までの部分が、光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延び、第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて入射方向と平行な方向に沿った積載部6の接合面との距離L2aが大きくなる。これにより積載部6とレーザマーキング27aとの間の領域が、レーザマーキング27aの端から中央に向かうにつれて拡大する。積載部6とレーザマーキング27aとの間に蓄積できる第一の接合剤の量が増加し、第一の接合剤の流れがレーザマーキング27aと第一の側壁17との間の隙間に集中することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。
【0036】
なお、接合剤流出阻止部は、図4に示すレーザマーキング27aの形状に限らない。光信号2iの入射方向と異なる方向に湾曲してもよく、接合剤流出阻止部中央で曲率が最も大きくなる必要はない。また、接合剤流出阻止部は線対称な形状でなくてもよい。湾曲した形状の接合剤流出阻止部は、光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分を有し、当該部分が当該部分の延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて入射方向と平行な方向に沿った第一の接合面23との距離が大きくなる形状であればよい。レーザマーキング27aと第一の側壁17との間の隙間を通して、第一の接合剤が第二の接合領域16への流れ出すのを抑えられる。
【0037】
実施の形態3.
図6を用いて実施の形態3における集積光モジュールの筐体について説明する。図6は、本実施の形態の集積光モジュールが有する筐体12bの搭載面26bを示す。図6を参照して、筐体12bの搭載面26bは、図4の搭載面26と比較して、レーザマーキング27bの形状が異なる。集積光モジュール101のそれ以外の構成及び機能は、実施の形態1の集積光モジュール101と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0038】
実施の形態3ではレーザマーキング27bは光信号2iの入射方向とは直交しない交差する方向に沿って延びる部分28と、部分28に連続し、部分28とは異なる方向に屈折して延びる別の部分29を有するように描画されている。すなわち図6のとおり部分28は、部分28の延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキング27bと第一の接合面23との距離L2bが大きくなる。また、別の部分29は第一の接合面23の第二の辺20と平行となり、光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキング27bと第一の接合面23との距離L2bは一定となる。レーザマーキング27bは第一の側壁17及び第二の側壁18から離れて設けられている。
【0039】
これにより積載部6とレーザマーキング27bとの間の領域が、第一の側壁17の側から第二の側壁18に向かうにつれて拡大する。積載部6とレーザマーキング27bとの間に蓄積できる第一の接合剤の量が増加し、第一の接合剤の流れがレーザマーキング27aと第一の側壁17との間の隙間に集中することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。また、第一の接合面23の第二の辺20と平行な別の部分29は部材配置の基準として使用することができる。例えば、温度調整素子5を搭載面26bに接合する際の配置基準となる。
【0040】
なお図6では、部分28の延びる方向と第二の辺20の延びる方向との角度が、第一の辺19の延びる方向と第二の辺20の延びる方向との角度と比較して大きいが、それより小さくてもよいし、同じでもよい。接合剤流出阻止部は光信号2iの光合波器7への入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分28を有し、部分28部分28の延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて入射方向と平行な方向に沿った第一の接合面23との距離が大きくなる形状であればよい。レーザマーキング27bと第一の側壁17との間の隙間を通して、第一の接合剤が第二の接合領域16への流れ出すのを抑えられる。
【0041】
実施の形態4.
図7を用いて実施の形態4における集積光モジュールの筐体について説明する。図7は、本実施の形態の集積光モジュールが有する筐体12cの搭載面26cを示す。図7を参照して、筐体12cの搭載面26cは、図4の集積光モジュール101の搭載面26と比較して、レーザマーキング27cの形状が異なる。集積光モジュールのそれ以外の構成及び機能は、実施の形態1の集積光モジュール101と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
実施の形態4ではレーザマーキング27cは光信号2iの入射方向と直交する方向に沿って延びる第一の部分30と、第一の部分30とは分離して設けられ、第一の部分と同じ方向に沿って延びる第二の部分31が描画されている。レーザマーキング27cは第一の側壁17及び第二の側壁18から離れて設けられている。
すなわち図7のとおり第一の部分30及び第二の部分31は第一の接合面23の第二の辺20と平行となり、光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキング27cと第一の接合面23との距離L2cは一定となる。
【0043】
これにより、レーザマーキング27cと第一の側壁17との間の隙間だけでなく、第一の接合領域15と第二の接合領域16の距離が遠い第一の部分30と第二の部分31との間の隙間にも第一の接合剤が誘導されるので、レーザマーキング27cと第一の側壁17との間の隙間に第一の接合剤が集中することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。
このとき第一の部分30及び第二の部分31の間の隙間は、第一の部分30及び第一の側壁17との間の隙間よりも、光合波器7の第一の辺19から離れた場所にあるので、第一の部分30及び第二の部分31の間の隙間から第一の接合剤が流れ出しても、第二の接合剤への混合はされにくい。なお図7では第二の部分31は第一の部分30と同一直線上に配置されているが、例えば、第一の部分30に対し第二の接合面24から遠い側に配置されてもよい。
さらに、第一の接合面23の第二の辺20と平行な第一の部分30及び第二の部分31は部材配置の基準として使用することができる。例えば、温度調整素子5を搭載面26に接合する際の配置基準となる。
【0044】
実施の形態5.
図8を用いて実施の形態5における集積光モジュールの筐体について説明する。図8は、本実施の形態の集積光モジュールが有する筐体12dの搭載面26dを示す。図8を参照して、筐体12dの搭載面26dは、図4の搭載面26と比較して、レーザマーキング27dの形状が異なる。集積光モジュールのそれ以外の構成及び機能は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0045】
実施の形態5ではレーザマーキング27dは光信号の入射方向と直交はしない交差する方向に沿って延びる部分32と、部分32とは分離して設けられた別の部分33とを有し、別の部分33は第二の辺20と平行に伸びるように描画されている。すなわち図8のとおり部分32は第二の接合面24の第一の辺19に対して、別の部分33は第一の接合面23の第二の辺20に対して平行に描画される。従って光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキング27dと第一の接合面23との距離L2dは、別の部分33では一定であり、部分32ではその延びる方向に沿って第一の側壁17の側から第二の側壁18の側に進むにつれて大きくなる。部分32及び別の部分33のいずれも第一の側壁17及び第二の側壁18と離れて設けられ、部分32は別の部分33よりも第一の側壁17に近い側に配置されている

【0046】
これにより積載部6とレーザマーキング27dとの間の領域が、第一の側壁17の側から第二の側壁18に向かうにつれて拡大する。積載部6とレーザマーキング27dとの間に蓄積できる第一の接合剤の量が増加する。また、レーザマーキング27dと第一の側壁17との間の隙間だけでなく部分32と別の部分33との間の隙間にも第一の接合剤が誘導されるため、第一の接合剤の流れがレーザマーキング27dと第一の側壁17との間の隙間に集中することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。
【0047】
また別の部分33と第二の接合面24の第一の辺19との間の領域は部分32と第一の辺19よりも広い。従って部分32と別の部分33との間の隙間から第一の接合剤が流れ出しても別の部分33と第二の接合面24の第一の辺19との間の領域に第一の接合剤を蓄積することができるので、部分32及び別の部分33の間の隙間から第一の接合剤が流れ出しても、第二の接合剤への混合はされにくい。
さらに、第一の接合面23の第二の辺20と平行な別の部分33は部材配置の基準として使用することができる。例えば、温度調整素子5を搭載面26dに接合する際の配置基準となる。
【0048】
なお、部分32は、第二の接合面24の第一の辺19に対し平行に設けなくても、部分32の延びる方向と第二の辺20の延びる方向との角度が、第一の辺19の延びる方向と第二の辺20の延びる方向角度と比較して小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0049】
実施の形態6.
図9を用いて実施の形態6における集積光モジュールの筐体について説明する。図9は、本実施の形態の集積光モジュールが有する筐体12eの搭載面26eを示す。図9を参照して、筐体12eの搭載面26eは、図4の搭載面26と比較して、レーザマーキング27eの形状が異なる。集積光モジュールのそれ以外の構成及び機能は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0050】
これまでの実施の形態1~5では、接合剤流出阻止部としてのレーザマーキングが第一の側壁17及び第二の側壁18から離れて設けられた場合を示したが、実施の形態6では図9のように第一の側壁17及び第二の側壁18に接するように設けられもよい。
【0051】
第一の接合剤の塗布量が多い場合、第一の接合剤が接合剤流出阻止部としてのレーザマーキングを飛び越えてしまう恐れがある。特に第一の辺19のうちの第一の側壁17に近接する部分では、第一の辺19と第二の辺20との距離L1が他の部分よりも近く、第一の接合剤がレーザマーキングを飛び越えると第一の接合剤が第二の接合剤と混合する恐れがある。
【0052】
実施の形態6では積載部6とレーザマーキング27eとの間の領域が、第一の側壁17の側から第二の側壁18に向かうにつれて拡大する。これにより積載部6とレーザマーキング27eとの間に蓄積できる第一の接合剤の量が増加する。第一の接合剤はその拡大した領域に誘導されるので、第一の接合剤がレーザマーキング27eを飛び越えて第二の接合領域16に流入することが緩和される。従って第一の接合剤が第二の接合領域16へ流れ出すことを抑制できる。
【0053】
以上の実施の形態は次のように構成することも可能である。
実施の形態1~3では、接合剤流出阻止部が連続して形成された例を示したが、接合剤流出阻止部は分離して形成されてもよい。分離される箇所の一例は、実施の形態1及び2では、接合剤流出阻止部の両端から接合剤流出阻止部に沿って等距離に位置する中央の部分であり、実施の形態3では接合剤流出阻止部の屈折する部分である。
【0054】
また、実施の形態1~6では、接合剤流出阻止部がレーザマーキングにより形成された例を示したが、接合剤流出阻止部の形状は凸部或いは凹部でもよい。凹部は搭載面26にエッチングを施して形成される。凸部は搭載面26に部材を設置して形成される。
【0055】
その他、各実施の形態を適宜、組合せる、変形する或いは省略することも、実施の形態で示された技術的思想の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1i(1、1、1、1) 発光素子、2i(2、2、2、2) 光信号、3i(3、3、3、3) コリメートレンズ、4 積載部材、5 温度調整素子、6 積載部、7 光合波器、8i(8、8、8、8)フィルタ、9 ミラー、10 ホルダ、11 コネクタ、12、12a、12b、12c、12d、12e 筐体、13 集光レンズ、14 レセプタクル、15 第一の接合領域、16 第二の接合領域、17 第一の側壁、18 第二の側壁、19 第一の辺、20 第二の辺、21
第一の面、22 第二の面、23 第一の接合面、24 第二の接合面、25 くり抜き部分、26、26a、26b、26c、26d、26e 搭載面、27、27a、27b、27c、27d、27e レーザマーキング、28 部分、29 別の部分、30 第一の部分、31 第二の部分、32 部分、33 別の部分、101 集積光モジュール、L1 光信号の入射方向と平行な方向に沿った第二の辺との距離、L2、L2a、L2b、L2c、L2d、L2e 光信号の入射方向と平行な方向に沿ったレーザマーキングと第一の接合面との距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9