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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20250609BHJP
【FI】
H04B1/10 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023559295
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2021041499
(87)【国際公開番号】W WO2023084680
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小倉 裕史
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊久
(72)【発明者】
【氏名】田口 太樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 大樹
(72)【発明者】
【氏名】森 敦史
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332994(JP,A)
【文献】特開平11-133991(JP,A)
【文献】特開平05-210602(JP,A)
【文献】特開平05-014540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の無線通信装置と無線通信する無線部と、
外部の機器接続する少なくとも1つのインタフェースと、
記インタフェースを制御する制御部と、
を備え
記制御部は、前記無線部が前記外部の無線通信装置から受信中の信号の受信電界強度に基づいて動作中の前記インタフェースの動作を制御する、無線通信装置。
【請求項2】
前記無線部は、前記外部の無線通信装置から受信した信号の受信電界強度に応じて決定した受信電界強度クラスを前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記受信電界強度に応じて決定した前記受信電界強度クラスに基づいて、動作中の前記インタフェースの動作を制御する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信電界強度クラスに基づいて、動作中の前記インタフェースの動作を停止するか否かを決定する、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記インタフェースの動作に起因する受信感度の劣化量である受信感度劣化量が最大となる前記インタフェースの動作を停止する、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記無線部は、前記外部の無線通信装置からプリアンブル信号及びペイロード信号を含む信号を受信し、前記プリアンブル信号または前記ペイロード信号の受信完了後に前記受信電界強度クラスを前記制御部に通知する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記無線部は、前記外部の無線通信装置から受信中の信号の受信電界強度を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記インタフェースの動作に起因する受信感度の劣化量である受信感度劣化量と前記無線通信で使用する無線周波数とに基づいて、受信感度の推定値である受信感度推定値を算出し、前記受信電界強度および前記受信感度推定値に基づいて動作中の前記インタフェースの動作を制御する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線部は、前記外部の無線通信装置から受信中の信号の受信電界強度を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記受信電界強度に応じて決定した受信電界強度クラスに基づいて、動作中の前記インタフェースのうち、前記インタフェースの動作に起因する受信感度の劣化量である受信感度劣化量が最大となる前記インタフェースの動作を停止する、請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信部の受信動作に合わせて制御部の動作を停止することによって、受信部の動作中に制御部から発生するノイズの影響を回避し、良好な受信感度を保つことが可能な無線通信装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-332994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている無線通信装置は、時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式が使用され、TDMAの受信スロットに合わせてノイズ放射源である制御部の一部の動作を停止するようにしている。従って、他の多元接続方式には適用することができないという問題がある。ここで、他の多元接続方式としては、例えば、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)方式、周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)方式、搬送波感知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)などが挙げられる。
【0005】
また、特許文献1に開示されている無線通信装置は、ノイズ放射源である制御部の動作のうち、無線通信には直接必要がないLCDドライバおよび入出力制御部の動作を停止させているため、無線通信の受信動作に対するノイズの影響がない制御部の動作も停止するという問題がある。
【0006】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、効率的にノイズの影響を回避することが可能な無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示による無線通信装置は、外部の無線通信装置と無線通信する無線部と、外部の機器と接続する少なくとも1つのインタフェースと、インタフェースを制御する制御部とを備え、制御部は、無線部が外部の無線通信装置から受信中の信号の受信電界強度に基づいて動作中のインタフェースの動作を制御する
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、受信電界強度と受信感度推定値とに基づいて動作中のインタフェースの動作を制御するため、効率的にノイズの影響を回避することが可能となる。
【0009】
本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1による無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1による無線通信装置の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
図3】実施の形態1によるインタフェース動作時における無線部の受信感度劣化量の一例を示す図である。
図4】実施の形態1によるインタフェース動作時における無線部の受信感度劣化量の一例を示す図である。
図5】実施の形態1による無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1の変形例2による無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1の変形例4による無線通信装置の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
図8】実施の形態2による無線通信装置の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
図9】実施の形態2によるRSSIクラスに応じたインタフェース制御方法の一例を示す図である。
図10】実施の形態2の変形例2による無線通信装置の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
図11】実施の形態1による無線通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】実施の形態1による無線通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<構成>
図1は、実施の形態1による無線通信装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
無線通信装置1は、無線部2と制御部3とを備えている。無線部2は、アンテナを有し、外部の無線通信装置と無線通信する。図1では2つのアンテナが示されているが、これらはそれぞれ送信用アンテナおよび受信用アンテナである。このように、無線通信装置1は無線部2を内蔵しており、無線部2によって外部の無線通信装置と無線通信する。
【0013】
制御部3は、無線部2と有線接続されており、無線部2と有線通信する。制御部3は、図示しない制御用のCPU(Central Processing Unit)と、外部の機器と接続する複数のインタフェース4,5,6,7,8(以下、「インタフェース4~8」ともいう)とを有している。制御用のCPUは、各インタフェース4~8の動作および非動作を制御する。
【0014】
<動作>
図2は、無線通信装置1の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
【0015】
図2において、「無線受信開始」は、無線部2が外部の無線通信装置からデータを受信するタイミングを示している。無線部2が外部の無線通信装置から受信するデータは、「プリアンブル」、「SFD+PHR」、および「ペイロード」で構成される。
【0016】
「プリアンブル」は、同期するための信号であって決まったパターンのビット列であり、データ本体の先頭に付加される。無線部2は、プリアンブルを受信することによって、これから外部の無線通信装置からデータが送信されてくることを認識する。以下、「プリアンブル」のことをプリアンブル信号ともいう。
【0017】
「SFD+PHR」は、フレーム開始デリミタ(SFD:Start of Frame Delimiter)と、PHYヘッダー(PHR)とで構成され、プリアンブル長およびデータの形式等の情報を含んでいる。無線部2は、受信するデータのハンドリングを行うために「SFD+PHR」を用いる。
【0018】
「ペイロード」は、ヘッダーおよび宛先の情報を除いた、無線部2が外部の無線通信装置から受信するデータ本体である。以下、「ペイロード」のことをペイロード信号ともいう。
【0019】
無線部2は、外部の無線通信装置から受信したプリアンブル信号の受信電界強度(受信電力)であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を測定する。そして、無線部2は、プリアンブル信号の受信完了後に、測定したプリアンブル信号のRSSI値と、外部の無線通信装置との無線通信で使用している無線周波数とを、有線通信によって制御部3に通知する。
【0020】
制御部3は、無線部2から通知されたプリアンブル信号のRSSI値および無線周波数と、インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量とに基づいて、インタフェース4~8から動作を停止するインタフェースを決定する。そして、制御部3は、決定したインタフェースに対して動作を停止するように制御する。
【0021】
インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量とは、インタフェース4~8の動作時に発生するノイズによる、任意の無線周波数における無線部2の受信感度点の劣化量のことをいう。
【0022】
図3,4は、インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量の一例を示す図である。図3,4において、縦軸は受信感度劣化量[dB]を示し、横軸は無線周波数[MHz]を示している。図3,4に示すような各インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量の情報は、無線通信装置1の運用開始前に、制御部3が予め保持している。
【0023】
図3は、インタフェース4の動作時における無線周波数と無線部2の受信感度劣化量との関係を示している。なお、図3中に示す値は一例である。また、インタフェース4は、25MHzクロックで動作するIC(Integrated Circuit)を有することを想定している。図3の例では、25MHzの逓倍波である925MHzのときに、最も大きなノイズが放射されることを示している。図3に示すように、無線周波数が925MHzであるとき、無線部2の受信感度劣化量は10dBとなる。
【0024】
図4は、インタフェース7の動作時における無線周波数と無線部2の受信感度劣化量との関係を示している。なお、図4中に示す値は一例である。また、図4の例では、インタフェース7の動作時は、無線周波数が925MHzであるときよりも、それ以外の無線周波数であるときの方が大きなノイズが発生することを想定している。図4に示すように、無線周波数が925MHzであるとき、無線部2の受信感度劣化量は2dBとなる。
【0025】
図3,4に例示するように、無線周波数と無線部2の受信感度劣化量との関係は、インタフェース4~8の種類ごとに異なる。
【0026】
図2の説明に戻り、無線部2は、ペイロード信号の受信完了後、制御部3に対して受信完了を通知する。
【0027】
制御部3は、無線部2から受信完了の通知を受けると、動作を停止させたインタフェースに対して動作が復帰するように制御する。
【0028】
図5は、無線通信装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、具体的にはインタフェース4~8の動作を制御する制御部3の動作を示している。
【0029】
ステップS11(第1工程)において、制御部3は、無線部2からRSSI値および無線周波数を取得する。ここで、RSSI値は、無線部2が外部の無線通信装置から受信したプリアンブルのRSSI値である。RSSI値が低いほど、無線部2における受信信号のレベルが低く、信号の受信を失敗する可能性が高くなる。また、無線周波数は、無線部2が外部の無線通信装置との無線通信で使用している無線周波数である。
【0030】
ステップS12において、制御部3は、各インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量[dB]を算出する。具体的には、制御部3は、自身が保持している無線周波数と無線部2の受信感度劣化量との関係を示す情報に基づいて、無線部2から取得した無線周波数で各インタフェース4~8が動作した時における無線部2の受信感度劣化量[dB]を算出する。なお、受信感度劣化量を算出する対象となるインタフェースは、現在動作中のインタフェースのみとしてもよい。
【0031】
ステップS13において、制御部3は、現在動作中のインタフェースを確認し、動作中のインタフェースに関する無線部2の受信感度劣化量の合計値を算出する。
【0032】
ステップS14(第2工程)において、制御部3は、無線部2の受信感度点の実力値(受信感度実力値)に、ステップS13で算出した受信感度劣化量の合計値を加算し、インタフェースが動作している現在の状態における無線部2の受信感度点の推定値を算出する。受信感度点の推定値が低いほど、レベルが低い信号の受信が可能となる。
【0033】
ここで、無線部2の受信感度点の実力値とは、全てのインタフェース4~8が動作していない状態における無線部2の受信感度点のことをいう。無線部2の受信感度点の実力値は、制御部3が予め保持している。
【0034】
ステップS15において、制御部3は、ステップS11で取得したRSSI値と、ステップS14で算出した受信感度点の推定値とを比較する。比較の結果、受信感度の推定値がRSSI値よりも高い場合は、ステップS16に移行する。一方、受信感度の推定値がRSSI値以下である場合は、ステップS17に移行する。
【0035】
ステップS16(第3工程)において、制御部3は、動作中のインタフェースのうち、無線部2の受信感度劣化量が最大となるインタフェースの動作を停止する。その後、ステップS13に移行する。
【0036】
例えば、インタフェース4およびインタフェース7が動作中であり、無線部2が外部の無線通信装置と無線通信する際に用いる無線周波数が925MHzであり、かつインタフェース4,7の動作時における無線部2の受信感度劣化量が図3,4に示す情報である場合、制御部3は、無線部2の受信感度劣化量が最大となるインタフェース4の動作を停止する。
【0037】
ステップS17において、受信感度点の推定値がRSSI値以下である場合は信号の受信が成功すると推定されるため、無線部2はペイロード信号の受信待機状態となる。
【0038】
上記より、動作を停止するインタフェースの数を最小限に抑えてノイズの影響を回避することができる。
【0039】
<効果>
以上のことから、本実施の形態1では、無線部2は、プリアンブル信号を受信してからペイロード信号を受信するまでの間に受信信号のRSSI値および無線周波数を通知し、制御部3は、ペイロード信号の受信開始前にインタフェースの動作の制御を行っている。従って、ペイロード信号の受信時に放射ノイズを回避することができる。
【0040】
また、多元接続方式の種類によらず、放射ノイズの影響を回避することができる。
【0041】
さらに、無線部2が外部の無線通信装置と無線通信する際に用いる無線周波数に基づいてインタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度点の推定値を算出し、算出した受信感度の推定値とRSSI値とに基づいて動作を停止するインタフェースを決める。これにより、動作を停止するインタフェースの数を最小限に抑え、無線部2が信号を受信可能な状態を維持することができる。
【0042】
<変形例1>
上述では、制御部3が受信感度劣化量の情報を予め保持している場合について説明したが、これに限るものではない。制御部3は、受信感度劣化量の情報を予め保持していなくてもよい。
【0043】
具体的には、無線通信装置1の設置後、無線通信装置1の運用開始前に、無線部2は、各インタフェース4~8の動作時における無線部2の受信感度劣化量を測定し、測定した受信感度劣化量の情報を制御部3に通知する。制御部3は、無線部2から通知された受信感度劣化量の情報を保持する。
【0044】
無線部2は、各インタフェース4~8について、無線周波数を変更しながら動作させて無線周波数に応じた受信感度点(測定受信感度値)を測定する。そして、無線部2は、測定した受信感度点の値と、無線周波数に応じた無線部2の受信感度点の実力値との差をとることによって、無線通信装置1の設置環境下で各インタフェース4~8を動作した時における無線部2の受信感度劣化量を算出することができる(第4工程)。なお、無線部2の受信感度点の実力値は、受信感度点の事前試験、または無線通信装置1の仕様から決定される。無線通信装置1の設置環境によって受信感度劣化量が異なる場合には、上記のように受信感度劣化量を算出する方法が有効である。
【0045】
<変形例2>
上述では、動作中のインタフェースのうち無線部2の受信感度劣化量が最大となるインタフェースの動作を停止する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0046】
制御部3は、動作する優先度(以下、単に「優先度」という)が低いインタフェースから順に動作を停止するように制御してもよい。
【0047】
また、制御部3は、インタフェース4~8の優先度だけでなく、無線部2の優先度も考慮してインタフェース4~8の動作を制御してもよい。この場合、無線通信がノイズの影響を大きく受けてインタフェースの動作に関わらず無線通信ができなくなっても、優先度が高いインタフェースの動作を継続することが可能となる。
【0048】
図6は、変形例2による無線通信装置1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図6のステップS21~S25は、図5のステップS11~ステップS15と同様であるため、ここでは説明を省略する。従って、以下ではステップS26~ステップS28について説明する。また、インタフェース4~8の優先度、および無線部2の優先度は、制御部3が予め保持しているものとする。
【0049】
ステップS26において、制御部3は、インタフェース4~8のうち動作中のインタフェースの優先度と、無線部2の優先度とを比較し、無線部2の優先度が最も低いか否かを判定する。判定の結果、無線部2の優先度が最も低い場合は、ステップS28に移行する。一方、無線部2の優先度が最も低くない場合は、ステップS27に移行する。
【0050】
ステップS27において、制御部3は、動作中のインタフェースのうち優先度が最も低いインタフェースの動作を停止するように制御する。その後、ステップS23に移行する。
【0051】
ステップS28において、受信感度点の推定値がRSSI値以下である場合は信号の受信が成功すると推定されるため、無線部2はペイロード信号の受信待機状態となる。また、ステップS25において受信感度点の推定値がRSSI値よりも高いと判定された場合であっても、ステップS26において無線部2の優先度が最も低いと判定された場合は、無線部2はペイロード信号の受信待機状態となる。
【0052】
このように、優先度が低いインタフェースのみの動作を停止するようにすることによって、無線部2が信号を受信可能な状態を維持することができる。
【0053】
<変形例3>
上述では、制御部3が無線部2からRSSI値および無線周波数を取得する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0054】
無線部2と外部の無線通信装置との無線通信で使用する無線周波数が既知であって変更されない場合、制御部3は、無線部2から無線周波数を取得せず既知の無線周波数を用いる。この場合、制御部3は、既知の無線周波数の情報を予め保持している。
【0055】
また、制御部3が無線部2からRSSI値を取得することができない場合、制御部3は、無線部2が受信した過去の受信データに基づいて算出したビット誤り率(BER:Bit Error Rate)またはパケット誤り率(PER:Packet Error Rate)等を使用して、RSSI値に変換する。ビット誤り率またはパケット誤り率からRSSI値への変換は、誤り率特性に基づいて行われるため、変調方式に合わせて変換する必要がある。
【0056】
<変形例4>
上述では、図2に示すように、プリアンブル信号の受信完了直後に、無線部2が制御部3にRSSI値および無線周波数を通知する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0057】
図7は、変形例4による無線通信装置1の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。図7に示すように、ペイロード信号の受信完了直後に、無線部2が制御部3にRSSI値および無線周波数を通知するようにしてもよい。この場合、プリアンブル信号の受信完了直後に制御することができない無線部2に対して有効であり、無線部2が次に受信する信号に対してノイズの影響を回避することができる。
【0058】
<変形例5>
上述では、図1に示すように、制御部3が5つのインタフェース4~8を有する場合について説明したが、これに限るものではない。制御部3は、単数または複数のインタフェースを有してもよい。
【0059】
<実施の形態2>
実施の形態1では、受信したプリアンブル信号のRSSI値と、外部の無線通信装置との無線通信で使用している無線周波数とを無線部2から制御部3に通知し、通知されたRSSI値および無線周波数に基づいて動作を停止するインタフェースを制御部3が決定する場合について説明した。実施の形態2では、RSSI値および無線周波数に代えてRSSI値のクラス情報(以下、「RSSIクラス(受信電界強度クラス)」という)を無線部2から制御部3に通知し、制御部3が通知されたRSSIクラスに基づいて動作を停止するインタフェースを決定する場合について説明する。
【0060】
なお、実施の形態2による無線通信装置は、実施の形態1による無線通信装置1(図1参照)と同様である。従って、以下では、実施の形態2による無線通信装置は、図1に示す無線通信装置1であるものとして説明する。
【0061】
図8は、実施の形態2による無線通信装置1の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。
【0062】
無線部2は、外部の無線通信装置から受信したプリアンブル信号の受信電界強度(受信電力)であるRSSI値を測定する。そして、無線部2は、プリアンブル信号の受信完了後に、測定したプリアンブル信号のRSSI値からRSSIクラスを決定し(第2工程)、決定したRSSIクラスを制御部3に通知する。
【0063】
制御部3は、無線部2から通知されたRSSIクラスに基づいて、インタフェースの動作を停止するか否かを決定する(第1工程、第2工程)。動作を停止するインタフェースの決定方法は、実施の形態1と同様である。
【0064】
例えば、制御部3は、実施の形態1と同様、受信感度劣化量を算出し(第3工程)、受信感度劣化量が最大となるインタフェースの動作を停止するように制御してもよい(第2工程)。
【0065】
図9は、実施の形態2によるRSSIクラスに応じたインタフェース制御方法の一例を示す図である。RSSIクラスは、無線通信装置1が使用される環境、事前検討、および過去の動作実績を踏まえて決定する。図9の例では、RSSIクラスが「4」である場合のみ、動作中のインタフェースから停止するインタフェースを決定する。
【0066】
<効果>
以上のことから、本実施の形態2では、無線部2は、RSSIクラスのみを通知しているため、無線部2から制御部3に通知するデータ量を実施の形態1と比較して少なくすることができ、処理時間を短縮することができる。なお、実施の形態2では、RSSIクラスの情報は2bitとしている。
【0067】
また、RSSIクラスごとにインタフェースの制御方法を決めているため、動作を停止するインタフェースの数を最小限に抑え、無線部2が信号を受信可能な状態を維持することができる。
【0068】
<変形例1>
上述では、図9に示すようにRSSIクラスが4種類ある場合について説明したが、これに限るものではない。
【0069】
無線部2から制御部3への有線通信の伝送レート、またはインタフェースの制御方法に応じて、任意の種類のRSSIクラスを設定してもよい。
【0070】
<変形例2>
上述では、図8に示すように、プリアンブル信号の受信完了直後に、無線部2が制御部3にRSSIクラスを通知する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0071】
図10は、変形例2による無線通信装置1の無線通信時におけるインタフェースの制御動作を示すタイミングチャートである。図10に示すように、ペイロード信号の受信完了直後に、無線部2が制御部3にRSSIクラスを通知するようにしてもよい。この場合、プリアンブル信号の受信完了直後に制御することができない無線部2に対して有効であり、無線部2が次に受信する信号に対してノイズの影響を回避することができる。
【0072】
<変形例3>
制御部3は、RSSIクラスに基づいてインタフェースの動作を停止するか否かを決定し、実施の形態1と同様、無線周波数に応じた無線部2の受信感度点の推定値を算出し、算出した受信感度点の推定値に基づいて動作を停止するインタフェースを決定するようにしてもよい。この場合、制御部3は、無線部2から無線周波数を取得するか、または既知の無線周波数を予め保持しておいてもよい。
【0073】
<ハードウェア構成>
図1に示す無線通信装置1における無線部2および制御部3の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、無線通信装置1は、外部の無線通信装置と無線通信し、インタフェースの動作を制御するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサ(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)であってもよい。
【0074】
処理回路が専用のハードウェアである場合、図11に示すように、処理回路9は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。無線部2および制御部3の各機能をそれぞれ処理回路9で実現してもよく、各機能をまとめて1つの処理回路9で実現してもよい。
【0075】
処理回路9が図12に示すプロセッサ10である場合、無線部2および制御部3の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ11に格納される。プロセッサ10は、メモリ11に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、無線通信装置1は、外部の無線通信装置と無線通信するステップ、インタフェースの動作を制御するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ11を備える。また、これらのプログラムは、無線部2および制御部3の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0076】
なお、無線部2および制御部3の各機能について、一部の機能を専用のハードウェアで実現し、他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0077】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0078】
なお、本開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0079】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0080】
1 無線通信装置、2 無線部、3 制御部、4,5,6,7,8 インタフェース、9 処理回路、10 プロセッサ、11 メモリ。
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図12