(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-06
(45)【発行日】2025-06-16
(54)【発明の名称】電源装置および電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20250609BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20250609BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20250609BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20250609BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02M3/00 C
H02M3/00 W
H02M7/48 M
H02M7/493
(21)【出願番号】P 2024520416
(86)(22)【出願日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2023016956
(87)【国際公開番号】W WO2023219022
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2024-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2022077335
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】神山 知之
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-034047(JP,A)
【文献】特開2014-007868(JP,A)
【文献】特開2019-126256(JP,A)
【文献】特開2006-006019(JP,A)
【文献】特開2012-249450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H02M 3/00
H02M 7/48
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備え、Nは
3以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化し、
初期化後の起動からの前記電源回路の前記累積出力電力量を算出
し、
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
前記第N電源ユニットの前記制御回路は、第(N-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、前記第1電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、電源装置。
【請求項2】
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備え、Nは2以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させる、電源装置。
【請求項3】
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備え、Nは
3以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力
し、
前記第N電源ユニットの前記制御回路は、第(N-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、前記第1電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、電源装置。
【請求項4】
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第N電源ユニットの前記制御回路は、第(N-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、前記第1電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、請求項
4に記載の電源装置。
【請求項6】
Nは、前記負荷に定格電力を供給するために必要な台数よりも1大きい数である、請求項
1、3および5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記各電源ユニットは、前記電源ユニットの状態を表示するための表示回路をさらに含み、
前記表示回路は、前記電源回路の動作が停止したことに応じて、前記電源ユニットが停止状態であることを表示する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、電源システム。
【請求項9】
請求項2に記載の電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、電源システム。
【請求項10】
請求項3に記載の電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、電源システム。
【請求項11】
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化する一方で、
メンテナンスが実行される前に前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させるように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第1の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの保護が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信し、
当該電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第2の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が再び停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの交換が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信する、請求項
8から10のいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項12】
前記各電源ユニットは、前記管理装置と通信接続される通信回路をさらに含み、
前記通信回路は、前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、請求項
8から10のいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項13】
前記電源装置は、前記管理装置と通信接続される制御装置をさらに含み、
前記各電源ユニットは、前記制御装置と通信接続される通信回路をさらに含み、
前記制御回路は、前記各電源ユニットの前記通信回路とのデータの遣り取りに基づいて前記状態データを生成し、生成した前記状態データを前記管理装置へ送信する、請求項
8から10のいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項14】
電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備え、Nは3以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化し、
初期化後の起動からの前記電源回路の前記累積出力電力量を算出し、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信し、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化する一方で、
メンテナンスが実行される前に前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させるように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第1の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの保護が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信し、
当該電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第2の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が再び停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの交換が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信する
、電源システム。
【請求項15】
電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備え、Nは3以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信し、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化する一方で、
メンテナンスが実行される前に前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させるように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第1の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの保護が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信し、
当該電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第2の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が再び停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの交換が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信する
、電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-34047号公報(特許文献1)には、負荷に対して並列に接続された複数の電源ユニットを備えた電源装置が開示されている。この電源装置において、各電源ユニットは、定電流動作を動作範囲に含んでいる。電源装置の立ち上げ時、投入信号により第1順位の電源ユニットを起動させ、第1順位の電源ユニットの定電流動作の検知により、第2順位の電源ユニットを起動させる。次いで、第2順位の電源ユニットの定電流動作の検知により、第3順位の電源ユニットを起動させる。このようにして、複数の電源ユニットを予め設定された順位に従って、順次起動させていくように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される電源装置は、必ず上位の順位の電源ユニットを優先的に起動させるため、電源装置の運転期間が長くなるに従って、複数の電源ユニットの使用時間にばらつきが生じてしまう。その結果、電源装置全体の寿命が、最上位の電源ユニットの寿命に左右されてしまうことが懸念される。
【0005】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、負荷に対して並列に接続された複数の電源ユニットを備えた電源装置の寿命を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電源装置は、外部電源に接続される入力端子と、負荷に接続される出力端子と、入力端子と出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットを備える。Nは2以上の整数である。各電源ユニットは、入力端子から供給される電力に基づいて負荷に供給する電力を生成する電源回路と、電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含む。制御回路は、起動信号を受けて電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出する。制御回路は、累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、電源回路の動作を停止させる。電源回路の動作を停止させた電源ユニットにおいて、制御回路は、メンテナンスが実行されたことに応じて累積出力電力量を初期化し、初期化後の起動からの電源回路の累積出力電力量を算出する。
【0007】
本開示の別の一態様に係る電源装置は、外部電源に接続される入力端子と、負荷に接続される出力端子と、入力端子と出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備える。Nは2以上の整数である。各電源ユニットは、入力端子から供給される電力に基づいて負荷に供給する電力を生成する電源回路と、電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含む。制御回路は、起動信号を受けて電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出する。制御回路は、累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、電源回路の動作を停止させる。電源回路の動作を停止させた電源ユニットにおいて、制御回路は、起動信号を受けた場合には、電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの累積出力電力量を算出する。制御回路は、累積出力電力量が第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、電源回路の動作を再び停止させる。
【0008】
本開示のさらに別の一態様に係る電源装置は、外部電源に接続される入力端子と、負荷に接続される出力端子と、入力端子と出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットとを備える。Nは2以上の整数である。各電源ユニットは、入力端子から供給される電力に基づいて負荷に供給する電力を生成する電源回路と、電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含む。制御回路は、起動信号を受けて電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出する。制御回路は、累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、電源回路の動作を停止させる。N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数である。第1電源ユニットの制御回路は、電源投入時に起動信号を受けて電源回路を起動させるとともに、電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの制御回路に起動信号を出力する。第I電源ユニットの制御回路は、第(I-1)電源ユニットの制御回路から起動信号を受けて電源回路を起動させるとともに、電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの制御回路に起動信号を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、負荷に対して並列に接続された複数の電源ユニットを備えた電源装置において、各電源ユニットをその使用状態に応じた適当なタイミングでメンテナンスを行うことができる。その結果、電源装置の寿命を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図1に示した電源ユニットの構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】制御回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】電源装置の動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る電源装置に適用される電源ユニットの回路ブロック図である。
【
図6】実施の形態3に係る電源装置の回路ブロック図である。
【
図7】実施の形態5に係る電源システムの構成例を示す図である。
【
図8】
図7に示した電源装置の第1構成例を示す回路ブロック図である。
【
図9】各電源ユニットにおける通信回路の動作を説明するための図である。
【
図10】
図7に示した電源装置の第2構成例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
(電源装置の構成)
図1は、実施の形態1に係る電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図1に示すように、電源装置1は、入力部11と、出力部12と、N台の電源ユニット10(1)~10(N)と、通信線13とを備える。Nは2以上の整数である。
【0013】
N台の電源ユニット10(1)~10(N)は、第1電源ユニット10(1)から第N電源ユニット10(N)により構成される。以下の説明では、電源ユニット10(1)~10(N)を総称して電源ユニット10と称する場合がある。
【0014】
第1電源ユニット10(1)から第N電源ユニット10(N)には、起動の優先順位が予め定められている。各電源ユニット10に付された番号は、自装置の優先順位を表している。すなわち、第1電源ユニット10(1)の優先順位は第1位であり、第N電源ユニット10(N)の優先順位は第N位である。
【0015】
入力部11は、図示しない外部電源に接続されている。外部電源は、交流電源であっても直流電源であってもよい。出力部12は、負荷2に接続されている。
【0016】
N台の電源ユニット10(1)~10(N)は、入力部11と出力部12との間に互いに並列に接続されている。各電源ユニット10は、入力端子T1と、出力端子T2と、通信端子T3,T4とを含む。
【0017】
各電源ユニット10の入力端子T1は、入力部11に接続される。外部電源は、入力部11を介して入力端子T1に電力を供給する。各電源ユニット10は、入力端子T1に供給される電力に基づいて負荷2に供給する電力を生成し、生成した電力を出力端子T2へ出力する。各電源ユニット10の出力端子T2は、出力部12に接続される。負荷2は、各電源ユニット10の出力端子T2から出力部12を介して供給される電力によって駆動される。
【0018】
各電源ユニット10の通信端子T3,T4は、通信線13を介して他の電源ユニット10の通信端子T3,T4に接続される。具体的には、第1電源ユニット10(1)の通信端子T4は、通信線13を介して第2電源ユニット10(2)の通信端子T3に接続される。第2電源ユニット10(2)の通信端子T4は、通信線13を介して第3電源ユニット10(3)の通信端子T3に接続される。第N電源ユニット10(N)の通信端子T3は、通信線13を介して第(N-1)電源ユニット10(N-1)の通信端子T4(図示せず)に接続される。このように第I電源ユニット10(I)の通信端子T3は、通信線13を介して第(I-1)電源ユニット10(I-1)の通信端子T4に接続される。Iは2以上N以下の整数である。
【0019】
(電源ユニットの構成)
図2は、
図1に示した電源ユニット10の構成を示す回路ブロック図である。
図2に示すように、電源ユニット10は、電源回路101、電流検出回路102、累積出力電力量検出回路103、および起動信号出力回路104を含む。
【0020】
電源回路101は、入力端子T1から供給される電力に基づいて負荷2に供給する電力を生成する。電源回路101は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチング素子を含んで構成されており、当該半導体スイッチング素子のオンオフを制御することにより、入力電力から出力電力を生成する。
【0021】
電源回路101は、例えば、入力端子T1から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ、および/または、入力端子T1から供給される直流電力の電圧値を変換するDC/ACコンバータなどの電力変換器と、当該電力変換器を制御するための制御回路とを含んで構成される。電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。
【0022】
電流検出回路102は、電源回路101から出力部12に出力される電流Ioを検出するための回路である。電流検出回路102は、例えば、出力電流Ioを測定するための電流計と、電流計に並列に接続される抵抗器(シャント抵抗器)とを含んで構成される。電流検出回路102は、抵抗器を用いて、出力電流Ioをその大きさに応じた電圧Voに変換する。電流検出回路102は、生成した電圧Voを電源回路101および起動信号出力回路104へ出力する。
【0023】
電源回路101は、特許文献1に記載の電源装置に含まれている電源ユニットと同様に、定電流動作を動作範囲に含むように構成することができる。例えば、各電源ユニットの定電流動作の制御は、電流検出回路102から入力される電圧Voと予め設定した基準電圧とを比較して行われる。さらに、電源回路101からの出力電圧の定電圧制御は、例えば、回路に並列接続させた抵抗によって出力電圧を分割し、その分割電圧と基準電圧とを比較して一定に保持する制御が行われる。
【0024】
起動信号出力回路104は、電流検出回路102の出力電圧Voと、予め定められている基準電圧Vrefとを比較する。出力電圧Voが基準電圧Vref以上になった場合、すなわち出力電流Ioが基準電流以上になった場合に起動信号STを生成し、生成した起動信号STを通信端子T4に出力する。第1電源ユニット10(1)から第(N-1)電源ユニット10(N-1)の各々では、通信端子T4に出力された起動信号STは、通信線13を介して、自装置よりも起動の優先順位が1つ低い電源ユニット10の通信端子T3に入力される。
【0025】
なお、基準電圧Vrefは、基準電流の大きさに応じた電圧であり、電源ユニット10の内部もしくは外部に設けられた基準電圧生成回路によって生成することができる。あるいは、基準電圧Vrefは、電源ユニット10に内蔵されるメモリまたは外部の記憶装置に予め記憶されていてもよい。
【0026】
累積出力電力量検出回路103は、電源回路101の起動後、初回の起動からの電源回路101の出力電力の累積値である累積出力電力量AEを算出する。具体的には、累積出力電力量検出回路103は、出力端子T2に接続され、電源回路101から出力端子T2に出力される電力を計測するように構成される。累積出力電力量検出回路103は、初回の起動からの電源回路101の出力電力の計測値を積算することにより、累積出力電力量AEを求める。
【0027】
累積出力電力量AEは、電源ユニット10の使用期間が0時間のとき、すなわち、電源ユニット10が新品のときには0Whとなる。電源ユニット10の使用期間が長くなるに従って、累積出力電力量AEは大きくなる。累積出力電力量検出回路103は、累積出力電力量AEと予め定められた閾値E1とを比較する。閾値E1は、例えば、電源ユニット10の寿命および電源装置1の使用環境などを考慮して、電源ユニット10のメンテナンスが必要とされる使用期間に応じて設定することができる。
【0028】
なお、閾値E1は、電源ユニット10の内部もしくは外部に設けられた閾値生成回路によって生成することができる。あるいは、閾値E1は、電源ユニット10に内蔵されるメモリまたは外部の記憶装置に予め記憶されていてもよい。
【0029】
累積出力電力量検出回路103は、累積出力電力量AEと閾値E1との比較結果から、電源ユニット10のメンテナンスが必要であるか否かを判断する。累積出力電力量AEが閾値E1以上となった場合、累積出力電力量検出回路103は、電源ユニット10のメンテナンスが必要であると判断する。この場合、累積出力電力量検出回路103は、停止信号STPを生成して電源回路101へ出力する。
【0030】
電源回路101は、累積出力電力量検出回路103からの停止信号STPを受けると、その動作を停止する。電源回路101は、内蔵する電力変換器を停止させることにより、負荷2に供給する電力の生成を停止する。このようにして実施の形態1に係る電源装置1では、メンテナンスが必要と判断された電源ユニット10を、故障に至る前に自発的に停止させる。
【0031】
なお、電源回路101の動作を停止させる際には、電源回路101の出力電力(出力電流Io)を100%から0%へ瞬時に減少させてもよく、出力電力(出力電流Io)を100%から0%へ徐々に減少させてもよい。
【0032】
電源回路101の停止後に電源ユニット10のメンテナンスが実行された場合、当該電源ユニット10の累積出力電力量検出回路103は初期化(リセット)される。すなわち、累積出力電力量AEは初期値である0Whとされる。メンテナンス後に電源ユニット10が再起動されたことに応じて、累積出力電力量検出回路103は、再起動からの電源回路101の累積出力電力量AEを算出する。
【0033】
図2に示した電源ユニット10において、電流検出回路102、累積出力電力量検出回路103および起動信号出力回路104は、電源回路101の起動および停止を制御するための「制御回路」を構成する。
図3は、制御回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図3に示すように、制御回路は、プロセッサ20、RAM(Random Access Memory)21、ROM(Read Only Memory)22、I/F(Interface)装置23、および記憶装置24を含む。プロセッサ20、RAM21、ROM22、I/F装置23および記憶装置24は、通信バス25を通じて各種データを遣り取りする。
【0035】
プロセッサ20には、例えばCPU(Central Processing Unit)が採用される。プロセッサ20は、記憶装置24からROM22にプログラムを読み出す。RAM21は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。I/F装置23には、通信端子T3,T4が接続される。これにより、電源ユニット10は、他の電源ユニット10とデータを遣り取りする。記憶装置24は、例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリなどの記憶媒体であり、プロセッサ20で実行されるプログラムを記憶する。なお、記憶装置24には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(例えば、基準電圧Vref、閾値E1)が記憶されている。
【0036】
実施の形態1では、記憶装置24に記憶されているプログラムをプロセッサ20が実行することで、制御装置による各種制御が実行される。ただし、制御装置による各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0037】
(電源装置の動作)
次に、
図4を用いて、実施の形態1に係る電源装置1の動作について説明する。
【0038】
図4は、電源装置1の動作の一例を示すタイムチャートである。
図4には、電源装置1を起動させるときの各電源ユニット10の動作が示されている。
【0039】
図4(A)は、電源装置1から負荷2に供給される電力の波形を示す。
図4(B)は第1電源ユニット10(1)における電流検出回路102の出力電圧Vo1の波形を示す。
図4(C)は第2電源ユニット10(2)における電流検出回路102の出力電圧Vo2の波形を示す。
図4(D)は第3電源ユニット10(3)における電流検出回路102の出力電圧Vo3の波形を示す。
図4(E)は第4電源ユニット10(4)における電流検出回路102の出力電圧Vo4の波形を示す。
図4(F)は、第1電源ユニット10(1)の累積出力電力量AE1の波形を示す。
【0040】
時刻t0にて、電源装置1に電源が投入されると、最初に第1電源ユニット10(1)が起動する。入力部11は、外部電源から電力が供給されたことに応じて、第1電源ユニット10(1)に起動信号STを出力する。第1電源ユニット10(1)において、電源回路101は、入力部11からの起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。電流検出回路102は、電源回路101の出力電流Io1を電圧Vo1に変換し、電源回路101および起動信号出力回路104へ出力する。
【0041】
時刻t0以降、負荷2に供給される電力が増加するに従って第1電源ユニット10(1)の出力電流Io1が増加し、電流検出回路102の出力電圧Vo1も増加する。起動信号出力回路104は、出力電圧Vo1と基準電圧Vrefとを比較する。
【0042】
時刻t1にて、出力電圧Vo1が基準電圧Vrefに到達すると、起動信号出力回路104は、通信端子T4に起動信号STを出力する。起動信号STは、通信線13を介して第2電源ユニット10(2)の通信端子T3に入力される。
【0043】
第2電源ユニット10(2)において、電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。すなわち、第1電源ユニット10(1)の出力電力および第2電源ユニット10(2)の出力電力の合計値が負荷2に供給されることになる。
【0044】
負荷2への電力供給が2台の電源ユニット10(1),10(2)で分担されることによって、時刻t1にて、第1電源ユニット10(1)の出力電流Io1が減少する。その結果、出力電圧Vo1も減少する。一方、第2電源ユニット10(2)の出力電流Io2が増加するため、出力電圧Vo2が増加する。なお、出力電流Io1と出力電流Io2とは互いに等しいため、出力電圧Vo1および出力電圧Voも互いに等しくなる。
【0045】
時刻t1以降、第2電源ユニット10(2)において、起動信号出力回路104は、出力電圧Vo2と基準電圧Vrefとを比較する。時刻t2にて、出力電圧Vo2が基準電圧Vrefに到達すると、起動信号出力回路104は、通信端子T4に起動信号STを出力する。起動信号STは、通信線13を介して第3電源ユニット10(3)の通信端子T3に入力される。
【0046】
第3電源ユニット10(3)において、電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。その結果、第1電源ユニット10(1)の出力電力、第2電源ユニット10(2)の出力電力および第3電源ユニット10(3)の出力電力の合計値が負荷2に供給される。
【0047】
負荷2への電力供給が3台の電源ユニット10(1),10(2),10(3)で分担されることによって、時刻t2にて、第1電源ユニット10(1)の出力電流Io1が再び減少するため、出力電圧Vo1も再び減少する。第2電源ユニット10(2)の出力電流Io2も減少するため、出力電圧Vo2も減少する。
【0048】
一方、第3電源ユニット10(3)の出力電流Io3が増加するため、出力電圧Vo3が増加する。なお、出力電流Io1,Io2,Io3は互いに等しいため、出力電圧Vo1,Vo2,Vo3も互いに等しくなる。
【0049】
時刻t3にて負荷2に供給される電力の増加が止まり、電力が一定値となると、3台の電源ユニット10(1),10(2),10(3)の各々の出力電流Ioも一定値となる。そのため、出力電圧Vo1,Vo2,Vo3も一定値となる。
【0050】
以上説明したように、時刻t0にて電源装置1に電源が投入されると、負荷2に供給する電力の増加に伴って、予め定められた優先順位に従って、第1電源ユニット10(1)から順番に起動する。各電源ユニット10の累積出力電力量検出回路103は、電源回路101の起動後、初回の起動からの電源回路101の出力電力の累積値である累積出力電力量AEを算出する。
【0051】
第1電源ユニット10(1)では、時刻t0からの電源回路101の出力電力の累積値である累積出力電力量AE1が算出される。
図4(F)に示すように、累積出力電力量AE1は徐々に増加する。累積出力電力量検出回路103は、累積出力電力量AE1と閾値E1とを比較する。
【0052】
時刻t4にて、累積出力電力量AE1が閾値E1に到達した場合、累積出力電力量検出回路103は、第1電源ユニット10(1)のメンテナンスが必要であると判断して、電源回路101に停止信号STPを出力する。電源回路101は、停止信号STPを受けると、内蔵する電力変換器を停止させることにより、負荷2に供給する電力の生成を停止する。電源回路101の動作が停止したことにより、第1電源ユニット10(1)の出力電流Io1が零に低下するため、出力電圧Vo1も零に低下する。
【0053】
第1電源ユニット10(1)の運転停止によって負荷2に電力を供給する電源ユニット10の台数が3台から2台に減少したことにより、第2電源ユニット10(2)および第3電源ユニット10(3)の分担が増加する。時刻t4にて出力電流Io2,Io3が増加に転じたことに応じて、出力電圧Vo2,Vo3も増加に転じる。
【0054】
第3電源ユニット10(2)において、起動信号出力回路104は、出力電圧Vo3と基準電圧Vrefとを比較する。時刻t5にて、出力電圧Vo3が基準電圧Vrefに到達すると、起動信号出力回路104は、通信端子T4に起動信号STを出力する。起動信号STは、通信線13を介して第4電源ユニット10(4)の通信端子T3に入力される。
【0055】
第4電源ユニット10(4)において、電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。その結果、第2電源ユニット10(2)の出力電力、第3電源ユニット10(3)の出力電力および第4電源ユニット10(4)の出力電力の合計値が負荷2に供給される。
【0056】
時刻t5にて、負荷2に電力を供給する電源ユニット10の台数が3台に復帰したことによって、3台の電源ユニット10(2),10(3),10(4)の各々の出力電流Ioは一定値となり、出力電圧Vo2,Vo3,Vo4も一定値となる。
【0057】
このようにして累積出力電力量AEが閾値E1に達した第1電源ユニット10(1)の運転を停止させたことに伴って、第1電源ユニット10(1)よりも起動の優先順位が低い第4電源ユニット10(4)が新たに起動されて負荷2への電力供給を開始する。これによると、負荷2への電力供給を継続しつつ、運転を停止させた第1電源ユニット10(1)のメンテナンスを実行することができる。
【0058】
このように実施の形態1によれば、電源装置としての機能を果たしつつ、各電源ユニット10をその使用状態に応じた適当なタイミングでメンテナンスを実行することができる。その結果、電源装置全体の寿命を改善することが可能となる。
【0059】
なお、電源装置1に含まれる電源ユニット10の台数Nは、負荷2に定格電力を供給するために必要な台数よりも多いことが好ましい。このようにすると、一部の電源ユニット10のメンテナンスを実行している間も、残りの電源ユニット10から負荷2に安定的に電力を供給し続けることができる。
【0060】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る電源装置1に適用される電源ユニット10の回路ブロック図である。実施の形態2に係る電源装置1の全体構成は、
図1に示した電源装置1の構成と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
図5に示すように、実施の形態2に係る電源ユニット10は、
図2に示した電源ユニット10とは、状態表示回路105を含む点が異なる。状態表示回路105は、累積出力電力量検出回路103に接続されている。
【0062】
累積出力電力量検出回路103は、電源回路101の累積出力電力量AEが閾値E1を以上となったときに、停止信号STPを生成して電源回路101および状態表示回路105へ出力する。
【0063】
状態表示回路105は、例えば、電源ユニット10の筐体に設置されたディスプレイを含む。状態表示回路105は、停止信号STPを受けたことに応じて、電源ユニット10が停止状態であることをディスプレイに表示する。これにより、電源装置1のユーザに対して、電源ユニット10がメンテナンスを必要としていることを知らせることができる。
【0064】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る電源装置1の回路ブロック図である。実施の形態3に係る電源装置1は、
図1に示した実施の形態1に係る電源装置1とは、通信線13の接続が異なる。
図6に示すように、第N電源ユニット10(N)の通信端子T4は、通信線13を介して第1電源ユニット10(1)の通信端子T3に接続されている。各電源ユニット10の構成は、
図2に示した電源ユニット10の構成と同じである。
【0065】
実施の形態3では、第1電源ユニット10(1)は、電源装置1に電源が投入されたこと、もしくは、通信端子T3に起動信号STが入力されたことに応じて起動するように構成されている。
【0066】
第N電源ユニット10(N)において、電源回路101は、第(N-1)電源ユニット10(N-1)から通信端子T3に入力される起動信号STを受けて起動し、負荷2に供給する電力を生成する。起動信号出力回路104は、電流検出回路102の出力電圧Voと基準電圧Vrefとを比較する。
【0067】
起動信号出力回路104は、出力電圧Voが基準電圧Vref以上となった場合に、起動信号STを生成し、生成した起動信号STを通信端子T4に出力する。通信端子T4に出力された起動信号STは、通信線13を介して、第1電源ユニット10(1)の通信端子T3に入力される。第1電源ユニット10(1)において、停止状態となっている電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けて、再び起動する。
【0068】
ここで、起動の優先順位が上位の電源ユニット10(I)の運転が停止されたことによって、第N電源ユニット10(N)の電源回路101が起動されて負荷2への電力供給を開始した場合を想定する。Iは1以上N-1以下の整数である。
【0069】
この場合、第(I+1)電源ユニット10(I+1)から第N電源ユニット10(N)によって負荷2の電力供給が継続される。しかしながら、負荷2へ供給する電力が増加したときには、各電源ユニット10において、電源回路101の出力電流Ioが増加するため、出力電圧Voが基準電圧Vrefを超える可能性がある。そのため、各電源ユニット10の電源回路101が過負荷状態となることが懸念される。
【0070】
実施の形態3によれば、第N電源ユニット10(N)の起動信号出力回路104は、出力電圧Voが基準電圧Vrefに到達したことに応じて、第1電源ユニット10(1)に起動信号STを出力して、第1電源ユニット10(1)の電源回路101を再び起動させる。これにより負荷2に電力を供給する電源ユニット10の台数が増えるため、運転中の各電源ユニット10の電源回路101が過負荷状態となることを回避することができる。
【0071】
なお、さらに負荷2へ供給する電力が増加した場合、もしくは、第(I+1)電源ユニット10(I+1)の運転が停止された場合には、再び各電源ユニット10において出力電圧Voが基準電圧Vrefに到達することがある。この場合、第1電源ユニット10(1)の起動信号出力回路104は、第2電源ユニット10(2)に起動信号STを出力する。第2電源ユニット10(2)が停止状態である場合、起動信号STを受けて電源回路101が再び起動して負荷2への電力供給を開始することになる。
【0072】
このように実施の形態3によれば、メンテナンスのために停止させた電源ユニット10を再び起動させて負荷2に電力を供給することができる。これによると、メンテナンスの実行中の1台の電源ユニット10を除いた(N-1)台の電源ユニット10を運転させて負荷2に電力を供給し続けることができる。したがって、電源ユニット10の台数Nを、負荷2に定格電力を供給するために必要な台数よりも1多い数に抑えることができる。
【0073】
実施の形態4.
上述した実施の形態1から3に係る電源装置1では、各電源ユニット10の累積出力電力量検出回路103は、初回の起動からの電源回路101の累積出力電力量AEを算出するように構成される。そして、電源ユニット10のメンテナンスが実行された場合に、累積出力電力量検出回路103は初期化される。
【0074】
これによると、電源ユニット10のメンテナンスが実行されるまで、累積出力電力量検出回路103は、初回の起動からの累積出力電力量AEを算出し続けることになる。そのため、累積出力電力量検出回路103からの停止信号STPを受けて電源回路101の動作が停止した後、電源ユニット10のメンテナンスを実行することなく、再び電源回路101を起動させようとしても、累積出力電力量検出回路103から停止信号STPが出力されるため、電源回路101を起動させることができない。
【0075】
このことは、電源ユニット10のメンテナンスの実行をユーザに促すことができるという効果がある一方で、何等かの事情によってメンテナンスが遅れた場合には、使用できる電源ユニット10の台数が制限されてしまうため、電源装置1から負荷2に必要な電力を供給することができなくなることが懸念される。また、運転中の電源ユニット10が過負荷状態になることが懸念される。
【0076】
そこで、実施の形態4では、各電源ユニット10の累積出力電力量検出回路103は複数の閾値を有する構成とする。以下の説明では、累積出力電力量検出回路103が2つの閾値E1,E2を有する場合を想定する。なお、閾値E2は、閾値E1よりも大きいものとする。閾値E1は「第1の閾値」の一実施例に対応し、閾値E2は「第2の閾値」の一実施例に対応する。
【0077】
各電源ユニット10において、累積出力電力量検出回路103は、電源回路101の起動後、初回の起動からの電源回路101の累積出力電力量AEを算出する。累積出力電力量検出回路103は、累積出力電力量AEと閾値E1とを比較する。累積出力電力量AEが閾値E1以上となった場合、累積出力電力量検出回路103は、電源ユニット10のメンテナンスが必要であると判断し、停止信号STPを生成して電源回路101へ出力する。電源回路101は、累積出力電力量検出回路103からの停止信号STPを受けると、その動作を停止する。
【0078】
電源回路101の停止後、電源ユニット10のメンテナンスが実行されない場合、累積出力電力量検出回路103は初期化されない。この状態で、電源回路101は、通信端子T3に入力される起動信号STを受けると、電源回路101が再び起動し、負荷2に供給する電力を生成する。累積出力電力量検出回路103は、初回の起動からの電源回路101の累積出力電力量AEを算出し続ける。
【0079】
このとき、累積出力電力量検出回路103は、累積出力電力量AEと閾値E2とを比較する。累積出力電力量AEが閾値E2以上となった場合、累積出力電力量検出回路103は、停止信号STPを生成して電源回路101へ出力する。電源回路101は、停止信号STPを受けて再び動作を停止する。
【0080】
このように累積出力電力量検出回路103は、閾値を二段階で設定し、累積出力電力量AEと比較する閾値を段階的に上げていくように構成されている。これによると、一旦停止させた電源ユニット10のメンテナンスが遅れた場合であっても、累積出力電力量AEが閾値E2に到達するまでは、当該電源ユニット10の使用を継続することができる。
【0081】
例えば、実施の形態1に係る電源装置1では、第N電源ユニット10(N)の累積出力電力量検出回路103において累積出力電力量AEが閾値E1に到達すると、N台の電源ユニット10(1)~10(N)全ての運転が停止する。その後、電源装置1に電源が投入されると、第1電源ユニット10(1)から順番に再び起動する。各電源ユニット10のメンテナンスが実行されていない場合には、再起動した電源ユニット10において、電源回路101は電力の供給を開始し、累積出力電力量AEが閾値E2に到達したことに応じて再び動作を停止することになる。これによると、第N電源ユニット10(N)における累積出力電力量AEが閾値E2に到達するまで、電源装置1は負荷2に電力を供給し続けることができる。
【0082】
あるいは、実施の形態3に係る電源装置1では、第N電源ユニット10(N)の起動信号出力回路104からの起動信号STに応答して、第1電源ユニット10(1)が再び起動する。第1電源ユニット10(1)のメンテナンスが実行されていない場合には、電源回路101は、再起動した後、累積出力電力量AEが閾値E2に到達したときに再び動作を停止する。すなわち、累積出力電力量AEが閾値E2に到達するまで、第1電源ユニット10(1)を使用し続けることができる。
【0083】
なお、累積出力電力量検出回路103は、3つ以上の閾値を有してもよい。この場合、累積出力電力量検出回路103は、初期化を待たずに電源回路101が再起動した後には、前回用いた閾値よりも大きい閾値と累積出力電力量AEとを比較し、その比較結果に応じて停止信号STPを出力するように構成される。これによると、電源ユニット10のメンテナンスが遅れた場合であっても、累積出力電力量AEが最も大きい閾値に到達するまで電源ユニット10を使用し続けることができる。
【0084】
実施の形態5.
実施の形態5から7では、本実施の形態に係る電源装置1が適用される電源システムの構成について説明する。
【0085】
(電源システムの構成)
図7は、実施の形態5に係る電源システムの構成例を示す図である。
図7に示すように、電源システムは、複数の電源装置1と、サーバ3とを備える。
【0086】
サーバ3は、複数の電源装置1を管理するための管理装置である。サーバ3は、例えば、複数の電源装置1の品質を保ち、故障から守るためのサービスセンターに設置されている。各電源装置1は、通信網5を介してサーバ3と通信可能に接続されている。通信網5は、代表的にはインターネットである。サーバ3は、複数のサービスセンターによって共有されるシェアードサーバであってもよいし、クラウドサーバ管理会社により提供されるクラウドサーバであってもよい。
【0087】
(電源装置の構成)
図8は、
図7に示した電源装置1の第1構成例を示す回路ブロック図である。
図8に示すように、第1構成例に係る電源装置1は、
図2に示した電源ユニット10とは、状態表示回路105および通信回路106を含む点が異なる。状態表示回路105および通信回路106は、累積出力電力量検出回路103に接続されている。
【0088】
累積出力電力量検出回路103は、電源回路101の累積出力電力量AEが閾値E1以上となった場合に、停止信号STPを生成して電源回路101、状態表示回路105および通信回路106へ出力する。
【0089】
状態表示回路105は、停止信号STPを受けたことに応じて、電源ユニット10が停止状態であることをディスプレイに表示する。
【0090】
通信回路106は、電源ユニット10の状態を示す状態データを生成し、生成した状態データをサーバ3へ送信する。
図9は、各電源ユニット10における通信回路106の動作を説明するための図である。
【0091】
図9に示すように、各電源ユニット10の通信回路106は、サーバ3と通信接続されている。累積出力電力量検出回路103から停止信号STPを受けたとき、通信回路106は、停止した電源ユニット10の識別情報、および、当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報を含んだ状態データを生成してサーバ3へ送信する。
【0092】
サーバ3は、電源ユニット10から受信した状態データを図示しない出力部から出力する。これにより、サービスセンターに存在する作業員は、現地に行かずとも離れた場所から、メンテナンスが必要な電源ユニット10を知ることができる。その結果、作業員は、各電源装置1の電源ユニット10のメンテナンスを適切なタイミングで効率的に実行することが可能となる。
【0093】
実施の形態6.
(電源装置の構成)
図10は、
図7に示した電源装置1の第2構成例を示す回路ブロック図である。
図10に示すように、第2構成例に係る電源装置1は、
図8に示した第1構成例に係る電源装置1に制御装置14を追加したものである。
【0094】
制御装置14は、N台の電源ユニット10(1)~10(N)を統括する。制御装置14は、各電源ユニット10の通信回路106に接続されている。制御装置14はさらに、サーバ3とデータを遣り取りするように構成されている。
【0095】
各電源ユニット10の通信回路106は、累積出力電力量検出回路103から停止信号STPを受けた場合には、受信した停止信号STPを制御装置14へ転送する。
【0096】
制御装置14は、各通信回路106と遣り取りされるデータに基づいて、各電源ユニット10の状態を示す状態データを生成し、生成した状態データをサーバ3へ送信する。具体的には、N台の電源ユニット10(1)~10(N)のうちの何れかの電源ユニット10の通信回路106から停止信号STPを受け付けた場合、制御装置14は、停止した電源ユニット10の識別情報、および、当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報を含んだ状態データを生成してサーバ3へ送信する。
【0097】
第2構成例においても、上述した第1構成例と同様の効果を得ることができる。第2構成例ではさらに、制御装置14が各電源ユニット10の状態データを生成するように構成されるため、各電源ユニット10の通信回路106は、電源ユニット10の識別情報を保持しておく必要がない。そのため、通信回路106を簡素化することができる。
【0098】
実施の形態7.
実施の形態4では、電源装置1の各電源ユニット10において、累積出力電力量検出回路103が複数の閾値を有する構成について説明した。実施の形態5および6で示した電源システム(
図7参照)に含まれる電源装置1に実施の形態4に係る電源装置1を適用した場合には、通信回路106または制御装置14は、サーバ3に対して、各電源ユニット10の状態データを段階的に送信するように構成することが可能となる。
【0099】
例えば、累積出力電力量検出回路103が2つの閾値E1,E2を有する場合を想定する。なお、閾値E2は、閾値E1よりも大きいものとする。
【0100】
図8に示す電源ユニット10において、累積出力電力量検出回路103は、初回の起動からの電源回路101の累積出力電力量AEが閾値E1以上となったとき、初回の停止信号STPを生成して電源回路101、状態表示回路105および通信回路106へ出力する。累積出力電力量検出回路103は、さらに、初回の起動からの累積出力電力量AEが閾値E2を超えたときには、2回目の停止信号STPを生成して電源回路101、状態表示回路105および通信回路106へ出力する。
【0101】
図9に示した第1構成例では、通信回路106は、初回の停止信号STPを受けたことに応じて、状態データを生成してサーバ3へ送信する。このとき、通信回路106は、状態データに、停止した電源ユニット10の識別情報および当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報とともに、電源ユニット10の保護が必要な状態であることを示す情報を含める。
【0102】
通信回路106はさらに、2回目の停止信号STPを受けたことに応じて、状態データを生成してサーバ3へ送信する。このとき、通信回路106は、状態データに、停止した電源ユニット10の識別情報および当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報とともに、電源ユニット10の交換が必要な状態であることを示す情報を含める。
【0103】
これによると、各電源ユニット10の通信回路106は、累積出力電力量AEと閾値E1,E2との比較結果に基づいて、電源ユニット10の保護が必要な状態であることを示す情報と、電源ユニット10の交換が必要な状態であることを示す情報とを段階的にサーバ3へ送信することになる。したがって、サービスセンターにいる作業員は、各電源ユニット10の状態データに基づいて、電源ユニット10がどのような状態であるかを詳細に知ることができる。したがって、作業員は、交換が必要な電源ユニット10を、保護が必要な電源ユニット10よりも優先的にメンテナンスを実行することができ、メンテナンスの効率を向上させることが可能となる。
【0104】
図10に示した第2構成例では、制御装置14は、N台の電源ユニット10(1)~10(N)のうちの何れかの電源ユニット10の通信回路106から初回の停止信号STPを受信したときには、停止した電源ユニット10の識別情報および当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報とともに、当該電源ユニット10の保護が必要な状態であることを示す情報を含んだ状態データをサーバ3へ送信する。
【0105】
また、制御装置14は、N台の電源ユニット10(1)~10(N)のうち何れかの電源ユニット10の通信回路106から2回目の停止信号STPを受信したときには、停止した電源ユニット10の識別情報および当該電源ユニット10が含まれる電源装置1の識別情報とともに、当該電源ユニット10の交換が必要な状態であることを示す情報を含んだ状態データをサーバ3へ送信する。これによると、第1構成例と同様に、サービスセンターの作業員は、各電源ユニット10からの状態データに基づいて、電源ユニット10がどのような状態であるかを詳細に知ることができる。したがって、第2構成例においても、第1構成例と同様の効果を得ることができる。
【0106】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0107】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットを備え、Nは2以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化し、
初期化後の起動からの前記電源回路の前記累積出力電力量を算出する、電源装置。
【0108】
(付記2)
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットを備え、Nは2以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させる、電源装置。
【0109】
(付記3)
外部電源に接続される入力端子と、
負荷に接続される出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に接続されるN台の電源ユニットを備え、Nは2以上の整数であり、
各電源ユニットは、
前記入力端子から供給される電力に基づいて前記負荷に供給する電力を生成する電源回路と、
前記電源回路の起動および停止を制御する制御回路と含み、
前記制御回路は、
起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、初回の起動からの前記電源回路の出力電力の累積値である累積出力電力量を算出し、
前記累積出力電力量が第1の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を停止させ、
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、電源装置。
【0110】
(付記4)
前記N台の電源ユニットは、第1電源ユニットから第N電源ユニットにより構成され、Iは2以上N-1以下の整数であり、
前記第1電源ユニットの前記制御回路は、電源投入時に前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が基準電流に達したことに応じて、第2電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力し、
第I電源ユニットの前記制御回路は、第(I-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、第(I+1)電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、付記1または2に記載の電源装置。
【0111】
(付記5)
前記第N電源ユニットの前記制御回路は、第(N-1)電源ユニットの前記制御回路から前記起動信号を受けて前記電源回路を起動させるとともに、前記電源回路の出力電流が前記基準電流に達したことに応じて、前記第1電源ユニットの前記制御回路に前記起動信号を出力する、付記3または4に記載の電源装置。
【0112】
(付記6)
Nは、前記負荷に定格電力を供給するために必要な台数よりも1大きい数である、付記5に記載の電源装置。
【0113】
(付記7)
前記各電源ユニットは、前記電源ユニットの状態を表示するための表示回路をさらに含み、
前記表示回路は、前記電源回路の動作が停止したことに応じて、前記電源ユニットが停止状態であることを表示する、付記1から6のいずれか1項に記載の電源装置。
【0114】
(付記8)
付記1から7のいずれか1項に記載の電源装置と、
前記電源装置に通信接続され、前記電源装置を管理する管理装置とを備え、
前記電源装置は、前記各電源ユニットの状態を示す状態データを前記管理装置へ送信するように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて前記電源回路の動作が停止した場合には、前記電源装置は、停止状態である当該電源ユニットの識別情報、および前記電源装置の識別情報を含む前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、電源システム。
【0115】
(付記9)
前記電源回路の動作を停止させた前記電源ユニットにおいて、前記制御回路は、
メンテナンスが実行されたことに応じて前記累積出力電力量を初期化する一方で、
メンテナンスが実行される前に前記起動信号を受けた場合には、前記電源回路を再び起動させるとともに、初回の起動からの前記累積出力電力量を算出し、前記累積出力電力量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に到達したことに応じて、前記電源回路の動作を再び停止させるように構成され、
前記N台の電源ユニットのうちの何れかの電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第1の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの保護が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信し、
当該電源ユニットにおいて、前記累積出力電力量が前記第2の閾値に到達したことに応じて前記電源回路の動作が再び停止した場合には、前記電源装置は、当該電源ユニットの交換が必要な状態であることを示す情報を含んだ前記状態データを生成した前記管理装置へ送信する、付記8に記載の電源システム。
【0116】
(付記10)
前記各電源ユニットは、前記管理装置と通信接続される通信回路をさらに含み、
前記通信回路は、前記状態データを生成して前記管理装置へ送信する、付記8または9に記載の電源システム。
【0117】
(付記11)
前記電源装置は、前記管理装置と通信接続される制御装置をさらに含み、
前記各電源ユニットは、前記制御装置と通信接続される通信回路をさらに含み、
前記制御回路は、前記各電源ユニットの前記通信回路とのデータの遣り取りに基づいて前記状態データを生成し、生成した前記状態データを前記管理装置へ送信する、付記8または9に記載の電源システム。
【符号の説明】
【0118】
1 電源装置、2 負荷、3 サーバ、5 通信網、10,10(1)~10(N) 電源ユニット、11 入力部、12 出力部、14 制御装置、20 プロセッサ、21 RAM、22 ROM、23 I/F装置、24 記憶装置、25 通信バス、101 電源回路、102 電流検出回路、103 累積出力電力量検出回路、104 起動信号出力回路、105 状態表示回路、106 通信回路、T1 入力端子、T2 出力端子、T3,T4 通信端子、ST 起動信号、STP 停止信号。