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特許7693156オーダー出力方法、オーダー出力プログラム及びオーダー出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】オーダー出力方法、オーダー出力プログラム及びオーダー出力システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20250610BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024121033
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-10-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712005584
【氏名又は名称】株式会社Donuts
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【弁護士】
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】西村 啓成
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮一
(72)【発明者】
【氏名】田口 博直
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 崇
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-161267(JP,A)
【文献】特開2008-225548(JP,A)
【文献】特許第7441391(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0301982(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105787844(CN,A)
【文献】坂本任駿ほか,頻度と実施時刻によるグループ化を採り入れたシーケンス解析に基づく医療指示推薦,DEIM Forum 2021 [Online],日本データベース学会ほか,2021年05月06日,[検索日 2021.05.06], Internet<URL: https://proceedings-of-deim.github.io/DEIM2021/papers/C25-1.pdf >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カルテに入力された情報を用いたオーダー出力のための方法であって、
前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する関連情報取得ステップと、
前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案する提案ステップと、
をコンピュータ実行するオーダー出力方法であって、
診療情報として少なくとも10文字以上の診療情報の入力を認めた場合にコンピュータが前記提案ステップを実行するオーダー出力方法。
【請求項2】
前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、
前記受け付けた選択結果に応じて、さらに一又は複数のオーダーを提案する二次提案ステップと、
をさらにコンピュータ実行する請求項1に記載のオーダー出力方法。
【請求項3】
前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、
前記受け付けた選択内容を、前記提案ステップにおける提案内容と区別可能に同一画面上に表示するオーダー表示出力ステップと、
をさらにコンピュータ実行する請求項1に記載のオーダー出力方法。
【請求項4】
前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、
前記選択の受付元に応じて、オーダーの表示形式の変換処理を行う表示形式変換ステップと、
をさらにコンピュータ実行する請求項1に記載のオーダー出力方法。
【請求項5】
電子カルテに入力された情報を用いたオーダーを出力するためのプログラムであって、
前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する関連情報取得ステップと、
前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案する提案ステップと、
をコンピュータにて実行可能とするオーダー出力プログラムであって、
診療情報として少なくとも10文字以上の診療情報の入力を認めた場合にコンピュータにて前記提案ステップを実行可能とするオーダー出力プログラム
【請求項6】
電子カルテに入力された情報を用いたオーダーを出力するシステムであって、
前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する関連情報取得部と、
前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案する提案部と、
を備えるオーダー出力システムであって、
診療情報として少なくとも10文字以上の診療情報の入力を認めた場合に前記提案部における提案を行うオーダー出力システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテを用いる医師の負担軽減のためのオーダー出力方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において患者の検査結果や医師により作成された電子カルテの情報を適時に関係者間で共有し、各種処理を効率化するための技術ないしサービスが広く知られている。具体的には、特許文献1記載のように、患者等の情報と診療報酬等算定基準とを利用して、当該患者等に施すべき医療行為の情報等をオーダーとして出力する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-119118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、特許文献1記載の技術を用いると、患者等の情報を入力することで診療報酬を踏まえたオーダーが出力されるため、対価請求の適正が担保されうる。
【0005】
ただ、当該技術はあくまで診療報酬等の対価請求の便宜に着目してなされた技術であって、現場で様々なオペレーションのもとはたらく医師等の負担を真に軽減することになるとは言い難かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、電子カルテに入力された情報を用いたオーダー出力のための方法であって、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する関連情報取得ステップと、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案する提案ステップと、をコンピュータにて実行するオーダー出力方法などを提案する。
【0007】
また、上記発明に関連して、前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、前記受け付けた選択結果に応じて、さらに一又は複数のオーダーを提案する二次提案ステップと、をさらにコンピュータにて実行するオーダー出力方法なども提案する。
【0008】
また、上記発明に関連して、前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、前記受け付けた選択内容を、前記提案ステップにおける提案内容と区別可能に同一画面上に表示するオーダー表示出力ステップと、をさらにコンピュータにて実行するオーダー出力方法なども提案する。
【0009】
また、上記発明に関連して、前記提案ステップにて提案されたオーダーの選択を受け付ける選択受付ステップと、前記選択の受付元に応じて、オーダーの表示形式の変換処理を行う表示形式変換ステップと、をさらにコンピュータにて実行するオーダー出力方法なども提案する。
【0010】
さらに、上記各方法に関連したプログラムやシステムなどに関する発明も提案する。
【発明の効果】
【0011】
主に以上のような構成をとる本発明によって、電子カルテを作成する医師にとりオーダー作成の思考負荷や作業負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の概略図
図2a】本発明のシステムを用いてオーダー入力をおこなう医師端末の表示画面の一例を示す図
図2b】本発明のシステムを用いてオーダー入力をおこなう医師端末の表示画面の別の一例を示す図
図3】実施形態1のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図
図4】本発明のオーダー出力システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
図5】実施形態1のオーダー出力システムの処理の流れの一例を示す図
図6】実施形態2のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図
図7】実施形態2のオーダー出力システムの処理の流れの一例を示す図
図8】実施形態3のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図
図9】実施形態3のオーダー出力システムの処理の流れの一例を示す図
図10】実施形態4のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図
図11】実施形態4のオーダー出力システムの処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず図1を示す。図1は本発明の概略を示す図であり、同図に示されているように、本発明は、一又は複数のサーバコンピュータ0101、0102が、医療機関内で電子カルテを取り扱うための医師等が管理する端末(医師端末)0111、0112と、当該医療機関内で前記電子カルテの内容の共有を受ける医師等以外の医療従事者が管理する端末(医療従事者端末)0121、0122との間で、それぞれネットワークを介して行われる種々の情報の送受信を通じて実現されうる。
【0014】
なお、サーバコンピュータ0101、0102では、本発明を実行する各種の処理を実行するための機構を備えるほか、当該医療機関内における患者や利用者等に関する情報(患者情報)を、当該患者等を識別するための情報(患者識別情報)と紐づけて保持している。また、後述する診療情報や関連情報を適宜のタイミングで取得し、記録保持する。
【0015】
サーバコンピュータ0101、0102は、上記のとおり医療機関内で管理される各種の端末とネットワークを介して接続されうるが、特に医師端末との間では医療機関内外の外部の端末との間での通信が制限されたセキュアなネットワークにて接続されることが望ましい。例えば、医師端末との間で種々の情報のトランスポートをしている間は暗号化処理を実行するほか、予め所定のIPアドレスからの接続要求に対してのみ応答すべきIPアドレス制限処理を施したり、二段階認証その他の多要素認証処理を採用するなどして、できる限りセキュアな環境での利用がなされるような種々の施策が講じられうる。
【0016】
また、サーバコンピュータは、医師端末や医療従事者端末と接続されるネットワークと同じ又は別のネットワークにて、外部のコンピュータとの間でオンラインにて接続される場合がある。具体的には、診療報酬請求のための外部機関の管理するサーバ(図示せず)や、上述した患者情報及び幹事者識別情報が格納される外部サーバ0103、スマートフォン等の携帯端末を含む患者の管理する端末(患者端末、図示せず)などと接続することで、医療機関運営のための種々の情報を適時のタイミングで取得したり利用したりするべく、各種情報の送受信を行いうる。
【0017】
本発明を実現するサーバコンピュータと接続される各種端末についてはその種別を特に限定することはない。具体的には、デスクトップ又はノートパソコンのほか、タブレットのような携帯端末であってもよい。なお、医療機関内での記録保持の観点から上記サーバコンピュータとは別のサーバコンピュータを用意したうえ、医師端末や医療従事者端末とイントラネット等のプライベートネットワークを介して接続されるような構成も考えられる。
【0018】
次に図2a及び2bを示す。両図はいずれも、本発明のオーダー出力システムを利用する医師端末の画面表示のごく一例を示す図であり、図2aの画面0200が表示されたのち所定の処理をおこなうことにより、図2bの画面0210の表示に遷移する様子を示したものである。まず図2aに示されているように、医師(同図において「田中玲子」)が特定の患者(同図においては患者識別情報としてIDが4406702の「佐藤一郎」)の診療に際して電子カルテの作成をするべく医師端末の画面を表示させると、まず同画面0200上には、あらかじめ同患者の診療時に医療従事者端末を通じて入力された所定の情報が、所定領域0202に表示されている(なお同内容は図2bにおける所定領域0213でも同様に表示され続けている)。ここでいう所定の情報は、患者識別情報や患者情報であってもよいし、当該患者が診察を受けるにあたり医療従事者において簡単に入力可能な情報(当該診療に関する基本診療料の項目や点数、適用回数など)であってもよく、それらの情報が医療従事者端末を通じて入力され、医師端末に表示出力される(なお、当該情報は、最終的には出力されるオーダーの一部を構成する情報となりうる)。医師は、当該情報を視認することにより、当該患者に関する診療情報入力の際の思考負荷を軽減することが可能となる。
【0019】
次に、医師が電子カルテに特定の患者に関する所見をSOAP形式と呼ばれる形式にて所定の領域0201に入力するなどしたうえ、「オーダー提案」と表示されたボタン0203を押して提案要求をおこなう。ここで図1で示したサーバコンピュータにて当該入力情報と過去のオーダー出力の実績とに基づいて患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案するための処理が行われたうえ、当該処理結果が図2bで示した医師端末の画面0210上の所定領域0211、0212に表示する。
【0020】
ここで、過去のオーダー出力の実績をどのように用いるかは後述するが、同一患者の過去のオーダー出力履歴などのほか、他の患者に対する過去のオーダー出力履歴なども参考にする場合がある。図2bで示した例の場合、所定領域0211には入力された診療情報に関連すると判断されるオーダー内容をオーダー候補として表示し、別の所定領域0212には、当該オーダー候補とともに選択される傾向にある他のオーダー内容を異なるオーダー候補として表示する。そして、医師が医師端末を操作し、当該表示内容を参酌してそれぞれの所定領域内に表示される所定のオーダー候補を一又は複数選択することで当該オーダー候補がさらに別の領域0214に転記され、同候補を追記するためのボタン0215をクリックする等の処理をおこなうことでオーダーの追加処理を行うとともに、処理が完了したと判断した医師により「オーダー出力」と表示されたボタン0216をクリックすることにより、医療従事者端末にて閲覧可能な方法で出力するための処理を行うことにより、迅速に電子カルテの作成作業を完了させることができる。
【0021】
なお、本発明では、医療機関における患者に関するオーダー出力という極めて機微な情報を取り扱うものであって、個人情報はもちろん、法令上個人情報に該当しないような情報であっても、それらが不用意に利用されることがないような管理のための構成が必要となる。一例ではあるが、サーバコンピュータにおいて、患者識別情報はもちろん、診療情報その他のいずれの情報からも個人を識別することができなくなるよう、上述した暗号化処理やIPアドレス制限などの処理のほか、あらゆる仮名加工処理や匿名加工情報(法令上の定義に基づく処理に限られない。)を直接または間接的に行う機能を備えていてもよい。当該構成を採用することで、本システム利用に関する情報利用の観点からの健全性を担保することが可能になる。
【0022】
以上で概説した本発明について、以下各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、5、6などに対応する。実施形態2は主に請求項2などに対応する。実施形態3は主に請求項3などに対応する。実施形態4は主に請求項4などに対応する。ただし、各実施形態にて説明する技術的特徴は、他の実施形態にて説明する技術的特徴と組み合わせて用いられることも可能である。
【0023】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0024】
<<実施形態1>>
<概要>
図3は、本実施形態のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「オーダー出力システム」0300は、「関連情報取得部」0301と、「提案部」0302と、を有する。
【0025】
なお、以下で詳しく説明するオーダー出力システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマイク、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペン、各種端末などの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0026】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0027】
<機能的構成>
「関連情報取得部」0301は、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得するように構成される。図2a及び2bを用いて説明したとおり、患者識別情報は医師端末に医療従事者端末を通じて予め表示されるように構成されていてもよいし、医師端末の操作を通じて入力されてもよい。
【0028】
診療情報については、好適な解析処理に資するよう電子カルテの作成に広く一般的に採用されているSOAP形式にて記述されることが望ましい(図2a及び2bの例においても同形式の記述がなされている。)が、その他の形式で記述されることを排除することまでは要しない。具体的な記述内容についても特段の制約はなく、また、SOAP形式の記述に加え、それ以外の情報もともに診療情報として付加して記述することも排除はせず、いずれの情報についても医師の自由な判断による入力を受け付ければよい。
【0029】
患者識別情報と紐づいて入力された診療情報は、医師端末の所定の操作(例えば、図2aに記載されている「オーダー提案」0203のボタンのクリック処理)を通じて最終的に本システムを構成するサーバコンピュータに対し、一の関連情報として送信され関連情報取得部にて取得する。
【0030】
「提案部」0302は、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案するように構成される。ここでオーダー候補の提案処理のために用いる過去のオーダー出力の実績は、関連情報と関連しているオーダー出力の実績であることが想定される。具体的には、関連情報を構成する患者識別情報と同一の患者識別情報と紐づけられた(つまり同一の患者に対してなされた)過去のオーダー出力の実績がこれに該当しうる。また、患者識別情報は異にするものの、関連情報を構成する診療情報と同一又は類似する診療情報に対応して出力された(つまり異なる患者に対してなされた)過去のオーダー出力の実績も該当しうる。
【0031】
診療情報の同一又は類似については、例えば診療情報がSOAP形式にて記述されている場合には、当該形式の構成のうち一の項目ごとに判断するようにしてもよいし、診療情報の記載全体を通じて判断するようにしてもよい。その他、オーダー出力の季節や時期などの時的情報を保持しておきそれらや患者識別情報の類否を用いて提案処理を行ってもよい。過去実績に基づいてオーダー出力に一定の傾向(特定の疾患の流行や患者の性別や年齢、持病や既往歴、過去に選択されたオーダーなど)が認められると判断したオーダーをオーダー候補として出力する構成により、当該出力結果に接した医師が、自身が判断すべきオーダー出力のための思考負荷を軽減することが可能になる。
【0032】
ちなみに、上記は提案処理を行うに際してどのような情報を用いるかについての説明だが、それらの情報を具体的にどのように用いて提案処理を行うかについては、適宜の方法が採用されてよい。ルールベースで判断する場合のほか、自然言語処理などを用いた機械学習ないし深層学習を通じて判断する場合、あるいはその他の統計的手法を採用して判断する場合など様々な手法が考えられ、場合によってはこれらの判断手法を組み合わせるなどの方法により提案処理が行われうる。
【0033】
ちなみに、提案処理をおこなうにあたっては、上記のような各種判断手法を用いた結果、オーダー候補が一のみであるような場合であれば敢えて他のオーダー候補を出力する必要はないが、本発明においては、できる限り複数のオーダー候補を提案出力することが望ましい。むやみにオーダー候補を限定的に出力することで、却って医師の思考及び判断の幅を狭くしてしまい、結果としての誤診や不適切な診療報酬請求といった過誤を生ぜしめる事態が生じるのは避けるべきである。こうした事態を抑止するべく、あくまで提案すべきオーダー候補については複数のオーダーとすることが望ましい。
【0034】
複数のオーダーをどのように抽出し出力するかについては適宜の設定によることができ、出力対象として選択される可能性が高いと予測されるオーダー候補をより上位に表示させるとかいった処理が考えられる。当該構成を採用することにより、医師に対し、思考や判断の負荷を過度に減ずることなく軽減することが可能となる。
【0035】
なお、提案部でオーダー候補を出力するに際しては、診療情報として少なくとも10文字以上の診療情報の入力を認めない限りオーダーの提案を制御するような構成を採用することも考えられる。上記のとおり提案処理にあたっては、自然言語処理をはじめとする記載されたテキストに一定のオーダー候補抽出のために有意な意味内容が表示されているとの前提に基づいて各種の機械的な処理をおこなうことになるところ、10文字を下回るような記載ではテキストとしての情報量が少ないがゆえに、当該情報に基づいて好適な過去の実績を参照することが困難となり、あるいは不適切な過去のオーダー出力の実績をも参照することとなってしまい、結果として好適なオーダーの提案が困難になるためである。
【0036】
このように提案処理にあたり不十分な情報量の診療情報を取得した場合においては、提案部において当該診療情報に基づく提案処理を行わず例えば「これではオーダー候補が提案できません。10文字以上の入力をお願いします」などのエラーメッセージを出力するような制御を行う場合もあれば、10文字未満の記載を用いて提案処理を行いつつも、「このオーダー候補は、不十分な情報に基づいて抽出されたものです。十分な入力をお願いします」などのエラーメッセージとともにオーダー候補を出力するような制御を行う場合もあり、これらの制御態様については適宜選択可能である。当該構成を採用することにより、医師に対し最低限の作業負荷を求めるとともに、かかる負荷さえ許容すれば以後の判断負荷が軽減されることを把握可能にし、本システムの効用の認識を高めさせることが可能となる。
【0037】
<具体的な構成>
ここで図4を示す。同図は本実施形態のオーダー出力システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0401と、「記憶装置(記憶媒体)」0402と、「メインメモリ」0403と、「入出力インタフェース」0404、「ネットワークインタフェース」0405と、を備え、入出力インタフェースを介して、例えば「ディスプレイ」0406などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。
【0038】
また、本実施形態のオーダー出力システムは、ネットワークインタフェースを介して一又は複数の「医師端末」0407や「医療従事者端末」0408、「患者端末」0409などと情報の送受信を行いうる。
【0039】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0499などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。)。
【0040】
(関連情報取得部の具体的な構成)
関連情報取得部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「関連情報取得プログラム」0410をメインメモリに読み出して実行し、医師端末から、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけて関連情報として取得し、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0041】
(提案部の具体的な構成)
提案部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「提案プログラム」0420をメインメモリに読み出して実行し、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として前記の医師端末に対し出力する。
【0042】
<処理の流れ>
本実施形態のオーダー出力システムにおける処理の流れの一例を示す。同処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0501では、医師端末からの情報出力を通じ、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する(関連情報取得ステップ)。
【0043】
その後ステップS0502では、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として前記医師端末に対し提案出力する(提案ステップ)。その後前記医師端末からオーダー出力を受け付ければ、当該出力内容を取得する。
【0044】
<効果>
以上の構成を採用するオーダー出力システムを利用することにより、電子カルテを作成する医師にとりオーダー作成の思考負荷や作業負荷を軽減することが可能となる。
【0045】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態のオーダー出力システムは、基本的には実施形態1に記載のオーダー出力システムの技術的特徴と同様であるが、提案されたオーダーの選択を受け付け、その結果に応じて、さらに一又は複数のオーダーを提案することを特徴として備えている。
【0046】
<機能的構成>
図6は、本実施形態のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「オーダー出力システム」0600は、「関連情報取得部」0601と、「提案部」0602と、「選択受付部」0603と、「二次提案部」0604と、を有する。基本的な構成は、実施形態1で説明したオーダー出力システムと共通するため、以下では相違点である「選択受付部」0603と、「二次提案部」0604の機能について説明する。
【0047】
「選択受付部」0603は、提案部の処理にて提案されたオーダーの選択を受け付けるように構成されている。すでに説明に用いた図2bをあらためて用いると、医師端末にて、オーダー候補として提案される形式にて画面0210の所定領域0211に表示された複数のオーダーのうち、最上位に「検査」のタグとともに表示された「▲▲▲▲▲」とのオーダーを選択するとの処理を受け付けるような構成が一例である。選択受付部にて受け付けるオーダーは複数のオーダー候補のうち一である場合もあれば、複数である場合もあってよい。複数のオーダー候補を選択する構成をも採用することにより、より医師の思考を参酌した提案処理を行うことが可能となる。
【0048】
「二次提案部」0604は、選択受付部にて受け付けた選択結果に応じて、さらに一又は複数のオーダーをオーダー候補として提案するように構成されている。図2bにて示した例の場合で言えば、医師端末にて、オーダー候補として提案される形式にて画面0210の所定領域0211の右隣の領域0212にさらに複数のオーダーをオーダー候補として表示出力するような構成が一例である。ここでの提案処理は、同図にも表示されているように、提案部での処理を通じて提案されたオーダーとともに選択されるオーダーを、選択頻度や医学的見地からの関連性の強弱など種々の要素を踏まえて優先的に一又は複数提案するような構成であることが考えられる。このように、複数のオーダーを相互に関連付けて選択可能とする環境を医師に提供可能とする構成を採用することにより、医師の思考負荷をより一層軽減することが可能となる。
【0049】
<具体的な構成>
本実施形態のオーダー出力システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、図4を用いて説明した実施形態1のオーダー出力システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「選択受付部」、「二次提案部」の具体的な処理について説明する。
【0050】
(選択受付部の具体的な構成)
選択受付部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「選択受付プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、前記提案プログラムの実行により提案されたオーダーの選択を受け付け、当該受付結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0051】
(二次提案部の具体的な構成)
二次提案部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「二次提案プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、前記選択受付プログラムの実行を通じて受け付けた選択に応じて、さらに一又は複数のオーダーを所定の端末に対して提案として出力する。
【0052】
<処理の流れ>
図7は、本実施形態のオーダー出力システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0701では、医師端末から、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する(関連情報取得ステップ)。その後ステップS0702では、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として前記医師端末に提案する(提案ステップ)。
【0053】
そのうえで、ステップS0703として、前記医師端末から当該提案対象となったオーダーに対する選択を受け付けたどうかを判断し、受け付けたとの判断結果に至る場合には、ステップS0704として、前記受け付けた選択結果に応じて、さらに一又は複数のオーダーを当該医師端末に対し提案する(二次提案ステップ)。受け付けたと判断できない場合には、その後の処理を行わない。なお、二次提案ステップの処理結果に応じて医師端末からオーダー出力を受け付ける処理は、実施形態1における処理の流れと同様である。
【0054】
<効果>
本実施形態のオーダー出力システムを用いることにより、実施形態1のオーダー出力システムを用いる場合に比べて、医師の思考負荷をより一層軽減するための手段を提供することが可能となる。
【0055】
<<実施形態3>>
<概要>
本実施形態のオーダー出力システムは、基本的には実施形態1に記載のオーダー出力システムの技術的特徴と同様であるが、提案処理により出力されたオーダーの選択を受け付け、当該受け付けた選択内容を、前記提案内容と区別可能に同一画面上に表示することを特徴として備えている。
【0056】
<機能的構成>
図8は、本実施形態のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「オーダー出力システム」0800は、「関連情報取得部」0801と、「提案部」0802と、「選択受付部」0803と、「オーダー表示出力部」0804と、を有する。基本的な構成は、実施形態1及び2で説明したオーダー出力システムと共通するため、以下では同各実施形態で言及しなかった相違点である「オーダー表示出力部」0804の機能について説明する。
【0057】
「オーダー表示出力部」0804は、選択部での処理を通じて受け付けた選択内容を、前記提案部における提案内容と区別可能に同一画面上に表示するように構成されている。図2bの例の場合で言えば、医師端末の画面0210上、最初に提案出力したオーダー候補の表示領域0211(実施形態2の場合に関しては、二次提案部による提案結果であるオーダー候補の表示領域0212も含まれる)と、当該提案のうち「検査」のタグとともに表示された「▲▲▲▲▲」とのオーダーを選択するとの処理を受け付けるような構成が一例である。かかる例の場合は、選択結果として、上記オーダー候補の表示領域0211とは同一画面上の別の表示領域0214に、当該選択されたオーダー候補を区別可能に表示させる様子が示されている。
【0058】
医師は通常、大量の患者を特定の時間内で診療することを迫られるなど、極めて過酷な環境下で電子カルテの作成を余儀なくされており、いっぽうで電子カルテの作成処理自体は今後の加療の重要な情報源となるほか、適切な診療報酬請求のための資料としても機能するなど、極めて高いレベルの慎重さが要求される。そのようななか、本発明のように複数のオーダー候補のなかから特定のオーダーを選択して最終的なオーダーを出力するような構成を採用する場合、医師端末を操作する医師のわずかな注意力の欠如や操作ミスなどで、誤ったオーダー候補を選択してしまったり、医師において選択したと勘違いして正確なオーダー候補の選択ができていなかったりといった過誤が生じることは避けるべき事態である。そこで、オーダー表示出力部のように、いったん選択したオーダー候補を同一画面上の別の表示領域に表示し直すことより、医師において、自己が当該表示領域に表示されたオーダーを選択した事実及びその内容を個別に視認することが可能となる。そしてかかる視認ののちに最終的な確認のための処理(図2bの例の場合ではオーダーとして追加するためのボタン0215のクリック処理)を受け付けることで、最終的なオーダーとして受け付けることとする。
【0059】
<具体的な構成>
本実施形態のオーダー出力システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、図4を用いて説明した実施形態1のオーダー出力システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「オーダー表示出力部」の具体的な処理について説明する。
【0060】
(オーダー表示出力部の具体的な構成)
オーダー表示出力部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「オーダー表示出力プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、前記選択受付プログラムの実行により受け付けた選択内容を読み出し、所定の端末に対し、前記提案プログラムの実行により得られる提案内容と区別可能に、同一画面上に表示可能に出力する。
【0061】
<処理の流れ>
図9は、本実施形態のオーダー出力システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0901では、医師端末から、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する(関連情報取得ステップ)。その後ステップS0902では、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として前記医師端末に提案する(提案ステップ)。
【0062】
そのうえでステップS0903では、前記医師端末から、当該提案対象となったオーダーに対する選択を受け付けたどうかを判断し、受け付けたとの判断結果に至る場合には、ステップS0904として、前記受け付けた選択内容を、前記提案ステップにおける提案内容と区別可能に前記医師端末の同一画面上に表示する(オーダー表示出力ステップ)。受け付けたと判断できない場合には、その後の処理を行わない。なお、オーダー表示ステップの処理結果に応じて医師端末からオーダー出力を受け付ける処理は、実施形態1における処理の流れと同様である。
【0063】
<効果>
本実施形態のオーダー出力システムを用いることにより、実施形態1のオーダー出力システムを用いる場合に比べて、医師によるオーダー出力の正確さをより確実に担保することが可能となる。
【0064】
<<実施形態4>>
<概要>
本実施形態のオーダー出力システムは、基本的には実施形態1に記載のオーダー出力システムの技術的特徴と同様であるが、前記提案プログラムの実行を通じて提案されたオーダーの選択を受け付けると、前記選択の受付元に応じて、オーダーの表示形式の変換処理を行う点を更なる特徴として備えている。
【0065】
<機能的構成>
図10は、本実施形態のオーダー出力システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「オーダー出力システム」1000は、「関連情報取得部」1001と、「提案部」1002と、「選択受付部」1003と、「表示形式変換部」1004と、を有する。基本的な構成は、実施形態1及び2で説明したオーダー出力システムと共通するため、以下では同各実施形態で言及しなかった相違点である「表示形式変換部」1004の機能について説明する。
【0066】
「表示形式変換部」1004は、前記選択受付部における選択処理の受付元に応じて、オーダーの表示形式の変換処理を行うように構成されている。ここでいう選択処理の受付元とは一義的には当該選択処理をおこなった医師端末ということになるが、他にも例えば当該医師端末と紐づけられている医療従事者端末や、さらには当該医療従事者端末が利用している患者情報の管理サーバ(図1で示して説明した例の場合、同図に示された外部サーバ0103など)などのように、選択処理を行った端末と直接または間接的に紐づけられているコンピュータあるいは機構を広く含めてもよい。
【0067】
表示形式の変換処理の一例としては、本システムで提供する電子カルテの表示態様とは異なる表示形式への変換処理を行うようなことが考えられる。例えば、図2aや2bを用いた例の場合、出力対象となるオーダーの表示領域0202、0213には、オーダーとともにいずれも「1回」との表記がなされており、各オーダーの選択回数が1回であることが表示されている。これに対し、例えば他の電子カルテにおいて当該選択回数を表示させない表示形式を採用していたり、選択回数に代わり該当するオーダーに対応する診療点数を表示する方式を採用していたりなど、様々な表示形式の電子カルテが展開されうる。
【0068】
なお、個々の電子カルテに応じた表示形式の変換処理は、予め記録されている個々の電子カルテの表示形式に関する情報を用いて行われ、API連携などの方法によって各電子カルテを利用可能に提供している外部サーバや当該電子カルテを利用するためのプログラムがインストールされている医師端末や医療従事者端末などに対し、当該処理後の表示形式にて出力される。これらの様々な電子カルテの表示形式に対応するような変換処理を可能とする構成を採用することにより、医師端末における電子カルテのユーザインタフェースの影響を最小限に止めつつ本発明の所与の効果を提供することが可能になる。
【0069】
<具体的な構成>
本実施形態のオーダー出力システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、図4を用いて説明した実施形態1のオーダー出力システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「表示形式変換ステップ」の具体的な処理について説明する。
【0070】
(表示形式変換部の具体的な構成)
表示形式変換部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「表示形式変換プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、医師端末からの情報出力に対し前記選択受付プログラムの処理結果に応じて得られた選択の受付元に応じて、オーダー表示形式の変換処理を実行し、当該変換処理結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0071】
<処理の流れ>
図11は、本実施形態のオーダー出力システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS1101では、医師端末から、前記電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する(関連情報取得ステップ)。その後ステップS1102では、前記診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オ―ダー候補として前記医師端末に提案する(提案ステップ)。
【0072】
そのうえでS1103では、前記医師端末から、当該提案対象となったオーダーに対する選択を受け付けたどうかを判断し、受け付けたとの判断結果に至る場合には、ステップS1104として、前記受け付けた選択の受付元に応じて、オーダーの表示形式の変換処理をおこない(表示形式変換ステップ)、ステップS1105として、当該受付元に対し変換処理後の表示形式にてオーダーを出力する。ステップS1103にて受け付けたと判断できない場合には、ステップS1104以下の処理を行わない。
【0073】
<効果>
本実施形態のオーダー出力システムを用いることにより、実施形態1のオーダー出力システムを用いる場合に比べて、異なるコードを用いて管理されている他の電子カルテ等管理のためのシステムとも円滑に連携することができ、医療機関ごとのインフラ環境に依存しない医師等の負担の軽減を実現することができる。
【符号の説明】
【0074】
0300・・・オーダー出力システム、0301・・・関連情報取得部、0302・・・提案部

【要約】      (修正有)
【課題】電子カルテを作成する医師にとりオーダー作成の思考負荷や作業負荷を軽減するオーダー出力方法、プログラム及びシステムを提供する。
【解決手段】電子カルテに入力された情報を用いたオーダー出力のための方法であって、電子カルテに入力された情報のうち、少なくとも患者を識別するための患者識別情報と、SOAP形式の記述を含む診療情報とを相互に紐づけてまとめて関連情報として取得する関連情報取得ステップと、前記関連情報を構成する診療情報と、過去のオーダー出力の実績とに基づいて前記患者に関するオーダーを一又は複数オーダー候補として提案する提案ステップと、をコンピュータで実行する。
【選択図】図5
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11