(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】アクセル及びブレーキ連動動力伝達機構
(51)【国際特許分類】
G05G 7/04 20060101AFI20250610BHJP
F16D 11/08 20060101ALI20250610BHJP
F16D 23/12 20060101ALI20250610BHJP
B60T 13/12 20060101ALI20250610BHJP
B60W 10/02 20060101ALI20250610BHJP
B60K 23/02 20060101ALI20250610BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20250610BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20250610BHJP
G05G 1/01 20080401ALI20250610BHJP
B60T 7/04 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
G05G7/04 Z
F16D11/08
F16D23/12 Z
B60T13/12
B60W10/02
B60K23/02 P
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G1/01 F
B60T7/04 A
(21)【出願番号】P 2021549514
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 KR2020009550
(87)【国際公開番号】W WO2021071068
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0124670
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0166488
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521353610
【氏名又は名称】オートディン シス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン ユン
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0313732(KR,Y1)
【文献】特開2011-235764(JP,A)
【文献】実開平06-078052(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 7/04
F16D 11/08
F16D 23/12
B60T 13/12
B60W 10/02
B60K 23/02
G05G 1/30
G05G 1/38
G05G 1/01
B60T 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して、(A)アクセルペダルを踏み込む場合、(B)アクセルペダルの踏込みを解除した場合、(C)ブレーキペダルを踏み込む場合、及び(D)ブレーキペダルの踏込みを解除した場合のそれぞれにおいて、内部に装着された駆動部材がそれぞれの対応位置に移動する、動力伝達機構であって、
動力伝達機構は、アクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルアクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルアクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備え、前記駆動部材はそれぞれのアクチュエーターの作動によってそれぞれの位置に移動し、
前記駆動部材はクラッチアセンブリーに動力を伝達する駆動軸に連結された連結部材と連結され
、
運転者がアクセルペダルを踏み込めばアクセルペダルアクチュエーターの作動によって動力伝達機構の駆動部材は第1方向に移動し、アクセルペダルの踏込みを解除すればアクセルペダルアクチュエーターの作動解除によって動力伝達機構の駆動部材は前記第1方向と反対方向の第2方向に移動し、
前記連結部材が
前記第1方向に線形移動すると、前記クラッチアセンブリーはエンジンの回転力を変速機に伝達する状態となり、前記連結部材が
前記第2方向に線形移動すると、前記クラッチアセンブリーはエンジンの回転力を変速機に伝達しない状態となる、動力伝達機構。
【請求項2】
運転者がブレーキペダルを踏み込めばブレーキペダルアクチュエーターの作動によって動力伝達機構の駆動部材は
前記第2方向に移動し、ブレーキペダルの踏込みを解除すればブレーキペダルアクチュエーターの作動解除によって動力伝達機構の駆動部材は
前記第2方向と反対方向の
前記第1方向に移動する、請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項3】
運転者がアクセルペダルを踏み込めばアクセルペダルアクチュエーターの作動によって動力伝達機構の駆動部材は第1方向に移動し、アクセルペダルの踏込みを解除すればアクセルペダルアクチュエーターの作動解除によって動力伝達機構の駆動部材は前記第1方向と反対方向の第2方向に移動し、
車両のアクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルアクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルアクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備え、それぞれのアクチュエーターの作動によってクラッチアセンブリーの有する方向である
前記第1方向又は前記第1方向と反対方向である
前記第2方向に移動する駆動部材を含み、前記駆動部材は、
(A)アクセルペダルを踏み込む場合の第1位置、
(B)アクセルペダルの踏込みを解除した場合の第2位置、
(C)ブレーキペダルを踏み込む場合の第3位置、及び
(D)ブレーキペダルの踏込みを解除した場合の第4位置に移動することができる、動力伝達機構であって、
前記第1方向から見て、前記駆動部材は順に
前記第1位置、
前記第2位置、
前記第4位置及び
前記第3位置に置かれ
、
前記第1位置では、クラッチアセンブリーがエンジンの回転力を変速機に伝達する状態(第1状態)となり、
前記第2位置では、前記第1状態と異なる、エンジンの回転力を変速機に伝達する状態(第2状態)となり、
前記第3位置では、クラッチアセンブリーがエンジンの回転力を変速機に伝達しない状態(第3状態)となり、
前記第4位置では、クラッチアセンブリーが半クラッチ状態(第4状態)となる、動力伝達機構。
【請求項4】
前記第4位置は
前記第3位置より
前記第1方向にもっと移動してクラッチアセンブリーを半クラッチ状態に転換する、請求項3に記載の動力伝達機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は既存のクラッチシステムとは構造及び作動原理が異なる新概念のクラッチシステムを具現するのに必要なアクセル及びブレーキ連動動力伝達機構に関するものである。より具体的に、加速及び制動状態でアクセルペダル及びブレーキペダルと連結され、クラッチアセンブリーを正確に制御して駆動することができるアクセル及びブレーキ連動動力伝達機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪は、エンジンの回転運動がフライホイール及びクラッチディスクを介して変速機に伝達されて変速され、メイン軸に伝達されることにより回転する。
【0003】
手動変速車両の場合、フライホイールとディスクの断続は、運転席の左側上方のフロアに設けられたクラッチペダルによって遂行される。クラッチペダルを踏み込めば両部材の接続が遮断され、踏込みを解除すれば両部材が連結される。運転者はギア変速のためにクラッチペダルを踏み込み、ペダルを踏み込んだ状態でギアを変速した後、ペダルから徐々に足を離せば、フライホイールとディスクがいま接触し始める状態の半クラッチ状態になる。
【0004】
自動変速車両の場合、クラッチペダルはなく、エンジン回転、車両速度などを感知し、車両負荷によって自動で変速する方式であり、トルクコンバーター、オイルポンプ、油圧クラッチ、遊星ギアセット、回転センサー、減速ギア及びバルブボディーから構成され、遊星ギアセット、湿式多板クラッチ及びブレーキの組合せから変速段が構成される。
【0005】
手動及び自動変速機は両者の利点を互いに模倣しながら発展して来た。例えば、手動変速機は自動変速機に適用された自動制御アルゴリズムを適用して来たし、自動変速機は燃費向上のために手動変速機に適用された機械的な摩擦クラッチ方式を一部適用して来た。しかし、手動及び自動変速機の設計構造は最初に開発されたプラットホーム形態を維持している。
【0006】
手動変速車両の場合、クラッチペダルと同時に連動して変速しなければならなく、傾斜路で再出発するときに滑り現象の発生によって国内及び北米地域で選好度が落ちる方である。よって、ブレーキ及び加速ペダルと連動して別途のクラッチペダルの必要なしに変速ができるようにし、傾斜路での滑り現象を防止することができるシステムの開発が必要である。
【0007】
自動変速車両の場合、流体によるトルク伝達によって燃費効率が下がり、急発進のような異常現象の発生の際、エンジンからトランスミッションに伝達されるトルクの短絡に脆弱な問題がある。よって、ブレーキペダル及び加速ペダルによる加速、半クラッチ、停止(ブレーキ)状態を機械的に作動することにより、自動変速機で発生する急発進現象を除去するシステムの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は車両システム内のエンジンとトランスミッションとの間のトルク伝達率を100%保障し、既存の手動及び自動変速機車両に共に適用することができる新概念のクラッチシステムにおいてアクセル及びブレーキに関連した動力伝達機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述した課題を解決するために、車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して、(A)アクセルペダルを踏み込む場合、(B)アクセルペダルの踏込みを解除した場合(C)、ブレーキペダルを踏み込む場合、及び(D)ブレーキペダルの踏込みを解除した場合のそれぞれにおいて、内部に装着された駆動部材がそれぞれの対応位置に移動する動力伝達機構を提供する。
【0010】
動力伝達機構は、アクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルアクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルアクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備え、前記駆動部材はそれぞれのアクチュエーターの作動によってそれぞれの位置に移動することができる。
【0011】
前記駆動部材はクラッチアセンブリーに動力を伝達する駆動軸に連結された連結部材と連結されることができる。
【0012】
運転者がアクセルペダルを踏み込めばアクセルペダルアクチュエーターの作動によって動力伝達機構の駆動部材は第1方向に移動し、アクセルペダルの踏込みを解除すればアクセルペダルアクチュエーターの作動解除によって動力伝達機構の駆動部材は第1方向と反対方向の第2方向に移動し、運転者がブレーキペダルを踏み込めばブレーキペダルアクチュエーターの作動によって動力伝達機構の駆動部材は第2方向に移動し、ブレーキペダルの踏込みを解除すればブレーキペダルアクチュエーターの作動解除によって動力伝達機構の駆動部材は第2方向と反対方向の第1方向に移動することができる。
【0013】
また、本発明は、車両のアクセルペダルのケーブルと連結されて駆動するアクセルアクチュエーターと、ブレーキペダルのケーブルと連結されて駆動し、前記アクセルアクチュエーターと対向して位置するブレーキアクチュエーターとを備え、それぞれのアクチュエーターの作動によって第1方向又は第2方向に移動する駆動部材を含み、前記駆動部材は、(A)アクセルペダルを踏み込む場合の第1位置、(B)アクセルペダルの踏込みを解除した場合の第2位置、(C)ブレーキペダルを踏み込む場合の第3位置、及び(D)ブレーキペダルの踏込みを解除した場合の第4位置に移動することができる動力伝達機構を提供する。
【0014】
第1方向から見て、前記駆動部材は順に第1位置、第2位置、第4位置及び第3位置に置かれることができる。
【0015】
第4位置は第3位置より第1方向にもっと移動してクラッチアセンブリーを半クラッチ状態に転換することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクラッチシステムの動力伝達機構は、変速の簡素化によって手動変速機車両の底辺層を拡大することができ、アクセルペダル及びブレーキペダルと連動して正確で永久的な使用が可能であるという効果を発揮する。
【0017】
また、本発明の動力伝達機構は、動力伝達と断絶が機械的に作動するから、急発進から自由であり、運転者及び歩行者の両者を保護することができる。
【0018】
また、本発明の動力電圧機構は、全ての乗用車に適用可能であり、ハイブリッド自動車の運営の際、内燃機関が関与することになる時点に内燃機関から発生する動力を伝達する主要部品に代替することができ、電気自動車とその他のパワープラントなど、内燃機関が使われる大型システム内の動力伝達及び断絶が要求される部分に拡大適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の新概念のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図2】運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【
図3】
図2の状態で運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【
図4】
図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した状態でブレーキペダルを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【
図5】
図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【
図6】本発明のアクセルペダルを踏み込んだ場合、本発明の動力伝達機構の構成図である。
【
図7】アクセルペダル踏込みを解除した場合、本発明の動力伝達機構の構成図である。
【
図8】ブレーキペダルを踏み込んだ場合、本発明の動力伝達機構の構成図である。
【
図9】
図8の状態でブレーキペダル踏込みを解除した場合、本発明の動力伝達機構の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的又は辞書的意味に限定して解釈されてはいけなく、本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は本発明の実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想を全部代弁するものではない。
【0021】
図1は本発明の新概念のクラッチシステムの全体構成図である。
【0022】
クラッチシステムは、エンジンEgと、エンジンEgに連結されるか断絶されるクラッチアセンブリーCとを含む。入力軸200が少なくともクラッチアセンブリーCと変速機Trとの間に連結される。エンジンEg、変速機Tr及び入力軸200の構成及び機能は公知となっているが、現在又は将来のいずれも用いることができる。
【0023】
クラッチアセンブリーCは、アクセルペダルEの踏込み及び踏込み解除、そしてブレーキペダルBの踏込み及び踏込み解除によって位置及び状態が変わる。アクセルペダル及びブレーキペダルE、Bの踏込み及び踏込み解除をクラッチアセンブリーCに伝達するために、動力伝達機構1及び駆動軸100が提供される。動力伝達機構1と駆動軸100はロッドのような連結部材Sを介して連結される。動力伝達機構1の動力は駆動軸100に伝達され、駆動軸100の動力はクラッチアセンブリーCに伝達される。駆動軸100は変速機Trとは連結されない。動力伝達機構1の一側はアクセルペダルEと、例えばケーブルを介して連動し、反対側はブレーキペダルBと連動する。
【0024】
図2は運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0025】
運転者がアクセルペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、例えば左側に線形移動する。すると、駆動軸100が左側に線形移動し、駆動軸100の線形移動はクラッチアセンブリーCの回転運動に変換され、クラッチアセンブリーCはエンジンEgの回転力を入力軸200を介して変速機Trに伝達する状態、すなわち第1状態に転換される。運転者がアクセルペダルEをずっと踏み込めば、エンジンEgの増加した回転力が変速機Trに伝達され、クラッチアセンブリーCは第1状態をずっと維持する。
【0026】
図3は
図2の状態で運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0027】
運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、例えば右側に少し線形移動する。すると、駆動軸100が右側に多少線形移動し、駆動軸100の線形移動は、
図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCの位置は第1状態と少し違うが、エンジンEgの回転力を入力軸200を介して変速機Trに伝達する状態(“第2状態”)はそのまま維持する。
【0028】
一般に、クラッチ機構は、アクセルペダルEを踏み込む場合にもその踏込みを解除する場合にもエンジンと変速機を連結する機能を依然として遂行する。この点で
図2と
図3のクラッチアセンブリーCの機能は根本的に同一であると言える。
【0029】
図4は、例えば
図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した状態でブレーキペダルBを踏み込んだ場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0030】
運転者がブレーキペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、すなわち右側に線形移動する。すると、駆動軸100が右側に線形移動し、駆動軸100の線形移動は、
図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCはエンジンEgと入力軸200の接続を断絶する段階、すなわち変速機Trに動力を伝達しない状態(“第3状態”)に転換される。
図3との相違点は、動力伝達機構1の連結部材がもっと右側に移動し、クラッチアセンブリーCが
図3と同じ方向にもっと回転し、エンジンEgの回転力が入力軸200に伝達されない確かな遮断状態に転換されることにある。
【0031】
図5は、例えば
図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルBを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合、クラッチシステムの全体構成図である。
【0032】
運転者がブレーキペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、すなわち左側に少し線形移動する。すると、駆動軸100が左側に多少線形移動し、駆動軸100の線形移動は、
図2と同じ方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。ここで、本発明のクラッチアセンブリーCはエンジンのフライホイールとディスクがいま接触し始める、いわゆる半クラッチ状態に転換される(“第4状態”)。本発明で、“半クラッチ状態”はエンジンの回転力を変速機に伝達する初期の不安定な状態であるという点で、従来の手動車両でクラッチペダルの踏込みを解除した“半クラッチ状態”と同じ用語を使うが、ブレーキペダルの踏込みを解除した状態である点で根本的に違う。したがって、以下では、説明によって“半クラッチ状態”を“遷移状態(transition condition or status)”又は“中間状態(intermediate condition or status)”と称することにする。
【0033】
運転者は車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む。この場合、本発明のクラッチシステムは、順次
図4、
図5及び
図2の状態、すなわちエンジンEgと変速機Trとの間の動力断絶、初期動力伝達(半クラッチ状態又は遷移状態)及びエンジンEgと変速機Trとの間の動力連結状態に転換される。運転者が走行中にアクセルペダルE及びブレーキペダルBの踏込み及び解除を繰り返す場合、本発明のクラッチシステムが
図2~
図5のいずれか一状態に転換されるか既存の状態を維持する。このように、本発明のクラッチシステムは手動車両のクラッチペダルを無くしながら手動及び自動を含めた全ての車両に適用可能である。
【0034】
また、連結部材Sを基準にすれば、連結部材Sは左側から
図2、
図3、
図4及び
図5の順に位置する。すなわち、アクセルを踏み込む走行状態であるほど連結部材Sは左側の第1方向に偏って位置し、ブレーキペダルを踏み込む減速又は停止状態であるほど右側の第2方向に偏って位置するように移動する。
【0035】
以上の説明から分かるように、本発明でボックスで表示された動力伝達機構1はアクセルペダルE及びブレーキペダルBと連動して連結部材Sを移動させることができる構造であればいずれも採用可能である。よって、
図6以降の実施例は理解を助けるための例示であるだけで、本発明の権利範囲を制限するものに解釈されてはいけない。
【0036】
動力伝達機構1は方形ボックスの外形に規定される。ボックスは、図示のように長方形のフレーム2によって外観が規定される。フレーム2の右側にはアクセルペダルEの油圧ラインと連結されたアクセルアクチュエーターE1が設けられ、左側にはブレーキペダルBの油圧ラインと連結されたブレーキアクチュエーターB1が設けられる。アクセルアクチュエーターE1に連結された螺旋状の回転軸の前方(左側)には第1ヘッド22が設けられ、ブレーキアクチュエーターB1の回転軸の前方(右側)には第2ヘッド32が設けられる。第1ヘッド22と第2ヘッド32との間には円筒状の第1及び第2スプリングS1、S2が順に装着される。第1及び第2ヘッド22、32は、例えば押圧ボルトであることができる。
【0037】
図6で、第1ヘッド22と中心部が接触するようにフレーム2を横切って移動バー4が設けられ、移動バー4の上下両端からは図面の左側に向かってフレーム2の外側から一対の側面バー6が平行に延びている。それぞれの側面バー6の他端にはウェッジのようなガイド8が付着される。ガイド8の下面は傾いた傾斜面8Aとして形成される。
【0038】
フレーム2の左側内部の上下には“
”形の第1支持部12と“
”形の第2支持部14が連続的に形成され、回動バー16が第1支持部12とその内部空間及びフレーム2を通過して外部に突出している。回動バー16の上面は傾斜面8Aと相補する形状に傾いた第1傾斜面16Bとして形成される。回動バー16の内側に位置する一端にも傾いた第2傾斜面16Aが形成される。
【0039】
本発明で、駆動バー10は、右側では第1スプリングS1と接触し、左側では第2スプリングS2と接触するように、フレーム2の内部で上下方向に線形に垂直に設けられている。駆動バー10の上下両端の前面(左側面)には切り取られて第2傾斜面16Aと相補する形状の傾いた傾斜面10Aが形成される。駆動バー10は、図示されていないが、下部又は側面を介して連結部材Sと連結される。
【0040】
以上は本発明の動力伝達機構1の基本構成を説明したものである。特に、
図6は運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合の動力伝達機構1の作動を示す。すなわち、運転者がアクセルペダルEを踏み込めば、油圧ラインを通して流入した油圧によってアクセルアクチュエーターE1が作動し、第1ヘッド22が左側に移動する。これにより、移動バー4と側面バー6が一体に左側に移動し、側面バー6のガイド8が回動バー16を後ろから打撃することにより、回動バー16が反時計方向に回転して駆動バー10が左側に動ける状態になる。駆動バー10は第1スプリングS1によって押圧されて第2スプリングS2の弾性力を克服して押しながら
図6に示す位置に移動する。駆動バー10の上下端の平坦面は第1支持部12の内側面と当接する。連結部材Sは左側に移動し、これにより、前述したように駆動軸100を介してクラッチアセンブリーが所定の位置に回転して第1状態になる。
【0041】
図6の状態で搭乗者がアクセルペダルから足を離せば、アクセルアクチュエーターE1の作動は止まり、第1スプリングS1の押圧力が解除されるので、第2スプリングS2が駆動バー10を右側に押し始める。駆動バー10が右側に移動するに伴って移動バー4と側面バー6も同じ方向に移動するが、傾斜面8Aが第1傾斜面16Bと干渉してそれ以上動けない位置で停止する。この状態は
図7に示されている。この位置で駆動バー10が停止し、駆動バー10は少し右側に移動した状態になる。連結部材Sも駆動バー10の移動距離だけ右側に移動し、これにより駆動軸100を介してクラッチアセンブリーはアクセルペダルEの踏込み解除状態に対応する位置に回転して第2状態になる。
【0042】
図7の状態で、運転者がブレーキペダルBを踏み込めば、油圧ラインを通して流入した油圧によってブレーキアクチュエーターB1が作動し、第2ヘッド32がもっと右側に移動する。これにより、移動バー4と側面バー6が一体に右側に移動し、駆動バー10は第2スプリングS2によって押圧されて第1スプリングS1の弾性力を克服して押しながら
図8に示す位置に移動する。駆動バー10の上下端の平坦面は第2支持部14の内側面と当接する。ロッドSは右側に移動し、これにより駆動軸100を介してクラッチアセンブリーはブレーキペダルBの踏込み状態に対応する位置に回転して第3状態になる。
【0043】
図8の状態で運転者がブレーキペダルBの踏込みを解除すれば、
図6のような方式で駆動バー10は所定距離だけ左側に移動した状態になる。
【0044】
連結部材Sも駆動バー10の移動距離だけ左側に移動し、これにより駆動軸200を介してクラッチアセンブリーはブレーキペダルBの踏込み解除状態に対応する位置に回転して第4状態になる。
【0045】
図6、
図7、
図8及び
図9を総合すると、駆動バー10は左側からアクセルペダル踏込み位置(
図6)、アクセルペダル踏込み解除位置(
図7)、ブレーキペダル踏込み解除位置(
図9)及びブレーキペダル踏込み位置(
図8)の順に置かれる。運転者が車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む場合、本発明の動力伝達機構1は順次
図8、
図9及び
図7の状態になり、前述したように、クラッチアセンブリーCの状態は、それぞれエンジンEgと変速機Trとの間の動力断絶、初期動力伝達(半クラッチ状態又は遷移状態)及びエンジンEgと変速機Trとの間の動力連結状態に転換される。
【0046】
以上で説明した動力伝達機構1及び連結部材Sは多様な変形が可能である。連結部材Sはロッド型の線形部材を例として挙げたが、リンク機構又は先端にトリガー(trigger)があるプッシュ機構などに代替することができる。動力伝達機構1も両アクチュエーターの駆動によって駆動部10を左右の各位置に移動させることができる限り、フレーム2、移動部4、第1及び第2スプリングS1、S2などの部品は他の構成に代替するか変更することができる。
【0047】
以上で本発明の好適な実施例を開示したが、これは例示のためのものであるだけで、本発明の権利範囲を限定するか制限するものではない。