(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】突出フィーチャを有するステントのための送達システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20250610BHJP
A61F 2/848 20130101ALI20250610BHJP
A61F 2/90 20130101ALI20250610BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/848
A61F2/90
(21)【出願番号】P 2019554854
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 US2018026581
(87)【国際公開番号】W WO2018187761
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-01-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512052775
【氏名又は名称】リフロー メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス、テオドロ、エス.
(72)【発明者】
【氏名】フルカーソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リズク、アイザ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ、ジハード、アリ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511023号公報(JP,A)
【文献】特表2010-504821号公報(JP,A)
【文献】特開平8-299456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
A61F 2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント・システムであって、
外側シャフト内腔(266)を有する細長い外側シャフト(120,220,420)と、
前記外側シャフト内腔内に摺動可能に配置された細長いプッシャ・シャフト(280)であって、第1のプッシャ・シャフト内腔(282)及び第2のプッシャ・シャフト内腔(284)を有する細長いプッシャ・シャフト(280)と、
前記第1のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置された、内腔(516)を有する細長い内側シャフト(110,410)と、
前記第2のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置されたステント引張りワイヤ(118
,182,228)と、
複数の棘を有するステント(190)であって、前記ステントは前記細長いプッシャ・シャフトの遠位端部より遠位側に配置され、前記細長い内側シャフトは前記ステントの内腔を通って延び、前記ステント引張りワイヤはその遠位端部で前記ステントの近位端部に固定的に連結され、それにより、前記ステント引張りワイヤが前記細長い外側シャフトに関して摺動しているときに前記ステント引張りワイヤ及び前記ステントは一体に連結されたままになるように構成され、また前記ステントは、前記細長いプッシャ・シャフトで遠位方向に押されることによって、又は前記細長い外側シャフトを近位方向に引き込むことによって、前記外側シャフト内腔内から前記細長い外側シャフトの遠位端部を越えるように動かされることができ、前記ステントは、患者内の目標位置へ送達されると前記棘が径方向外向きに延出して一時的な期間体腔の一部を貫通するように、展開された状態へと自己拡張する、ステント(190)と
を有するステント・システム。
【請求項2】
前記細長い外側シャフトを通して延びる細長いシャフトに連結されるバルーンをさらに有し、前記バルーンは、前記ステントの前記内腔内に配置されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステント引張りワイヤに連結されたステント引張りワイヤ・ハブと、
前記プッシャ・シャフトに連結されたプッシャ・シャフト・ハブと
をさらに有し、
前記プッシャ・シャフト・ハブは第1の結合フィーチャをさらに有し、前記ステント引張りワイヤ・ハブは第2の結合フィーチャをさらに有し、前記第1の結合フィーチャは、前記第2の結合フィーチャと係合するサイズ及び形状になされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記内側シャフトの内側シャフト内腔は、前記内側シャフトの断面「C」字形状によって部分的にのみ覆われており、それによりその中で運ばれるシャフトの迅速な取外しを可能にしている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のプッシャ・シャフト内腔は、前記プッシャ・シャフトの一部の断面「C」字形状によって部分的にのみ覆われており、それにより前記ステント引張りワイヤの迅速な取外しを可能にしている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ステントは、
複数のストラットを有する、径方向に拡張可能な円筒形フレームと、
前記ストラットによって担持された前記棘と
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
患者の体腔内でステント(190)を送達するシステムであって、
ステント内腔を有する前記ステントと、
前記ステントの少なくとも一区域を覆うように構成された細長い外側シャフト(120,220,420)と、
前記細長い外側シャフト内の細長いプッシャ・シャフト(280)であって、前記細長いプッシャ・シャフトは第1のプッシャ・シャフト内腔(282)及び第2のプッシャ・シャフト内腔(284)を有し、前記ステントは前記細長いプッシャ・シャフトの遠位端部より遠位側に配置される、細長いプッシャ・シャフト(280)と、
前記第2のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置されたステント引張りワイヤ(11
8)であって、前記ステントは前記ステント引張りワイヤに固定的に結合されている、ステント引張りワイヤ(11
8)と、
前記第1のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置され、且つ前記ステント内腔を通して延びる細長い内側シャフト(110,410)と
を有し、
前記ステントは、前記細長いプッシャ・シャフトで遠位方向に押されることによって、又は前記細長い外側シャフトを近位方向に引き込むことによって、前記外側シャフトの内腔内から前記細長い外側シャフトの遠位端部を越えるように動かされることができ、
前記ステントは、薄型の送達状態と、一時的な期間の拡張展開された状態との間で変形するように自己拡張し、また
前記展開された状態において、
前記ステントが有する1つ又は複数のストラットによって担持された複数の突出フィーチャが、前記ストラットから離れて径方向外方へ延びており、且つ前記体腔の第1の部分と係合するように構成されている、
システム。
【請求項8】
前記細長い外側シャフトを通して延びるバルーンであって、前記ステント内腔内に配置されたときに膨張するように構成されたバルーンをさらに有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ステント引張りワイヤ・ハ
ブをさらに有し、前記引張りワイヤ・ハブは、前記ステント引張りワイヤに連結され
ている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ステントは、前記展開された状態から薄型の取外し状態に変形するようにさらに構成されており、前記取外し状態において、前記外側シャフトは前記ステントを再び覆うように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
ステントのための送達システムであって、
細長い外側シャフト(120,220,420)と、
前記細長い外側シャフトの遠位部分内に担持される前記ステント(190)であって、前記ステントは、一時的な期間の患者の体内の目標位置への送達のために構成され、且つ複数のストラット及び前記ストラットによって担持される棘を有する径方向に自己拡張可能な円筒形フレームを有し、前記棘は、前記ストラットによって形成される周囲に沿って互いに周方向に離間し、且つ体腔の一部を貫通するために前記ステントの展開された状態において径方向に延出する、前記ステント(190)と、
前記細長い外側シャフト内の細長いプッシャ・シャフト(280)であって、前記細長いプッシャ・シャフトは前記ステントを遠位方向に前進させるように構成され、前記ステントは前記細長いプッシャ・シャフト
に連結され、前記プッシャ・シャフトは、第1のプッシャ・シャフト内腔(282)及び第2のプッシャ・シャフト内腔(284)を有する、細長いプッシャ・シャフト(280)と、
前記第2のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置されたステント引張りワイヤ(118
,182,228)であって、その遠位部分が溶接によって前記ステントと固定的に連結されるステント引張りワイヤ(118
,182,228)と、
前記第1のプッシャ・シャフト内腔内に摺動可能に配置された、前記ステントを通って延びる細長い内側シャフト(110,410)であって、前記ステント引張りワイヤ及び前記ステントは、前記細長い外側シャフトに関し
て一体に摺動可能である、細長い内側シャフト(110,410)と
を有する、送達システム。
【請求項12】
前記ステント、前記ステントの一部、前記棘、前記棘の一部、前記棘のそれぞれの一部、又はそれらの組合せが、生物分解性である、請求項11に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年4月6日に出願された「突出する薬剤送達フィーチャを有するステントの送達システム、並びに関連するデバイス及び方法」という名称の米国仮特許出願第62/482,600号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本説明は、広義には、患者の体内で薬剤を送達し、且つ/又は目標組織へ貫入するためのスパイク、フレール、又は他の突出フィーチャ(protruding feature)を有するステント又はスキャフォールドなどの拡張可能な要素の送達システム(デリバリ・システム)に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なデバイスを使用して、人間である患者の体内の所望の治療位置に薬剤を送達することができる。例えば、薬剤溶出性ステント(DES:drug-eluting stent)を、動脈硬化で生じる狭窄症(動脈狭窄)の位置に配置することができる。DESは、一般に、金属ステント又はスキャフォールドを覆うようにコーティングされる薬剤含有ポリマー、又は薬剤含有ポリマーからなる生体吸収性ステント又はスキャフォールドを含む。DESは、体腔(例えば脈管)内の治療位置に送達された後、体腔の壁(例えば脈管壁)に対して拡張され、壁との直接接触を経て薬剤が放出される。脈管壁への薬剤の直接的な送達により、他の送達手段(例えば丸薬又は注射)による必要な用量よりも大幅に少ない用量が可能になる。しかし、ステント又はスキャフォールドの基礎となる設計によっては、ステント留置された脈管壁の面積の85%以上がステントのストラットと接触していない場合がある。従って、脈管壁のかなりの疾患部分が、所望の用量を受け取らない場合があるか、又は薬剤が、治療部位全体にわたって均一に送達されないことになる。さらに、DESのいくつかの部分が、血液、動脈プラーク、及び/又は薬剤の所期の送達部位ではない、脈管腔内の他の流体又は物質と接触している可能性がある。こうした問題により、結果として薬剤組織の濃度が所望の値より低くなる、又は所望の値より不均一になる可能性がある。
【0004】
薬剤溶出性バルーン(DEB:drug-eluting balloon)及び非薬剤溶出性バルーンは、DESの代替手段を提供し、先に論じた制限のいくつかに対処することができる。例えば、DEBはやはり、所望の治療位置に送達され、脈管壁に対して膨張されて薬剤を放出することができる。ただしDEBは、脈管壁と均一に接触するように膨張するバルーンの表面積全体にわたる薬剤のコーティングを有することができる。従ってDEBは、隣接する脈管組織に、より均一な用量を与えることができる。さらに、血管形成術と組み合わせて使用するとき、手技中に発生するいかなる脈管損傷の位置及び時間にも、薬剤を送達することができる。それでも、DEBにはやはりいくつかの制限がある。例えば、薬剤の送達中(すなわちバルーンが膨張したとき)、関連する脈管内の血流が停止するか、又はひどく閉塞され、他の治療デバイスは脈管を通過することができない。さらに、DEBと既存のDESとの両方が、隣接する脈管壁に沿ったすべての位置で薬剤を送達できるわけではない。具体的には、不均一な脈管壁、閉塞、外径、又は他の形体が、バルーン表面又はステントのストラットが脈管壁の部分に到達するのを妨げる可能性がある。さらに、既存のDES及びDEBは、脈管壁内への薬剤送達(すなわち組織自体の中への薬剤送達のための脈管壁への貫入)はできない。
【0005】
本技術の多くの態様を、以下の図面を参照して、よりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも原寸に比例しない。その代わりに、現在の技術の原理を明確に示すことに重点が置かれている。参照を容易にするために、この開示全体を通して、同一の参照番号を使用して、同一又は少なくとも概ね同様又は類似の構成要素又はフィーチャ(構成部分)を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本技術の実施例に従って構成される、送達状態(例えば薄型又は潰れた構成)での送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図2A】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図2B】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図2C】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図2D】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図2E】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図2F】線2-2に沿って切り取った、
図1の送達システムの領域の、様々な構成のうちの1つを拡大した断面図である。
【
図3】本技術の実施例に従って構成される、
図1の送達システムの遠位部分の拡大した部分的な概略側面図である。
【
図4】本技術の実施例に従って構成される、送達状態(例えば薄型又は潰れた構成)での別の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図5】線5-5に沿って切り取った、
図4の送達システムの領域の等角側面図である。
【
図6A】本技術の実施例による、送達手順の様々な段階のうちの1つにおける
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図6B】本技術の実施例による、送達手順の様々な段階のうちの1つにおける
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図6C】本技術の実施例による、送達手順の様々な段階のうちの1つにおける
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図6D】本技術の実施例による、送達手順の様々な段階のうちの1つにおける
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図7】体腔内で送達状態での、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの領域の部分的な概略側面図である。
【
図8A】体腔内で展開された状態での、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの領域の断面図である。
【
図8B】体腔内で薬剤溶出性の拡張可能な構造体が拡張された状態での、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの領域の断面図である。
【
図9】治療状態での、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの領域の断面図である。
【
図10】本技術の実施例に従って構成される取外し状態での、
図4の送達システムの領域の部分的な概略側面図である。
【
図11】本技術の実施例に従って構成される回収システムの、部分的な概略側面図である。
【
図12A】部分的に引き込まれた状態の様々な段階のうちの1つでの、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図12B】部分的に引き込まれた状態の様々な段階のうちの1つでの、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図12C】部分的に引き込まれた状態の様々な段階のうちの1つでの、本技術の実施例に従って構成される、
図4の送達システムの部分的な概略側面図である。
【
図13】体腔内で展開された状態の薬剤送達フィーチャを有し、本技術の実施例に従って構成される、薬剤溶出性拡張可能構造体の部分的な概略側面図である。
【
図14A】本技術の実施例に従って構成される薬剤送達フィーチャを有する、薬剤溶出性拡張可能構造体の部分の等角図である。
【
図14B】本技術の実施例に従って構成される薬剤送達フィーチャを有する、薬剤溶出性拡張可能構造体の部分の等角図である。
【
図15】体腔内で展開された状態の薬剤送達フィーチャを有し、本技術の実施例に従って構成される、薬剤溶出性拡張可能構造体の部分的な概略側面図である。
【
図16】本技術の実施例による、拡張可能な構造体を送達及び回収する方法を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1つ又は複数の実施態様では、各図に示す構成要素のすべてが必要とされ得るわけではなく、1つ又は複数の実施態様は、図に示していない追加の構成要素を有する場合がある。本開示の範囲から逸脱することなく、構成要素の構造及び種類を変更することができる。追加の構成要素、相異なる構成要素、又はより少ない構成要素が、本開示の範囲内で利用され得る。
【0008】
以下に示す詳細な説明は、様々な実施態様の説明として意図しており、本技術が実施され得る唯一の実施態様を表すことを意図していない。当業者が理解することになるように、説明する実施態様は、すべて本開示の範囲から逸脱することなく、様々な相異なるやり方で修正され得る。従って、図面及び説明は、本質的に、限定的ではなく例示的とみなされるべきである。
【0009】
以下の開示は、薬剤を患者の体内で送達するため、及び/又は目標組織へ貫入するためのスパイク、フレール、又は他の突出フィーチャを有するステント又はスキャフォールドなどの拡張可能な構造体の送達システム、並びに関連するデバイス及び方法の様々な実施例を説明する。送達システムは、体腔(例えば脈管)内に拡張可能構造体を送達し配置するように構成され得る。さらに、こうした送達システムは、体腔内で拡張可能な構造体を展開及び拡張するようにも構成され得る。送達システムはさらに、拡張された構造体と係合し、体腔から取り外すために構造体を潰す(collapse;折り畳む)ように構成され得る。ある実施例では、送達システムは、1回の手技で、又は複数回の手技の間に、別の拡張可能な構造体又は同じ拡張可能な構造体を、別の体腔又は同じ体腔に送達するように構成され得る。かかる送達システムは、経管的手技を簡素化してはかどらせ、目標組織内に拡張可能な構造体をより効果的に送達及び配置することが期待される。さらに、送達システムが、展開された拡張可能な構造体を再度取り込むように構成されると、拡張可能な構造体の展開など、複数の手技で使用され得る。本技術に従って構成される送達システムのさらに他の実施例は、かかるシステムを使用する様々な特徴及び/又は手順を含み得る。
【0010】
この開示の様々な実施例の完全な理解をもたらすために、特定の詳細を以下の説明及び
図1~
図16に示す。開示の様々な実施例の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、拡張可能な構造体、薬剤送達フィーチャ、及びかかる構造体の製造に関する構成要素又はデバイスにしばしば関係する、よく知られた構造体及びシステムを説明する他の詳細は、以下では示していない。さらに、図に示す詳細及び特徴の多くは、この開示の特定の実施例の単なる例示にすぎない。従って、他の実施例は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の詳細及び特徴を有することができる。従って関連する業界の技術者は、関連するデバイス、システム、及び手順を含む本技術が、さらなる要素又はステップを有する他の実施例を含むことができ、且つ/或いは
図1~
図16を参照して以下に示し説明する特徴又はステップのいくつかがない他の実施例を含むことができることを、理解するであろう。さらに、開示の様々な実施例は、図に示す構造体以外の構造体を含むことができ、図に示す構造体に明示的に限定されない。
【0011】
I.薬剤送達フィーチャ及び他の構造体を備えるステントの送達システム、並びに関連するデバイス及び方法
図1は、送達状態(例えば薄型又は潰れた構成)の薬剤送達フィーチャを有するステントの送達システム100(「システム100」)の部分的な概略側面図である。
図1に示す実施例では、システム100は、細長い外側シャフト120(例えばカテーテル)内腔の中に配置された細長い内側シャフト110(例えばガイドワイヤ・チューブ又はガイドワイヤ)を備える。システム100は、細長い内側シャフト110の近位部分110aに連結されたルアー・コネクタ175などの近位コネクタも備える。ルアー・コネクタ175は、単一部品構成要素、又は互いに組み合わさるように構成された2つ以上の構成要素を備える複数部品構成要素を有することができる。2つ以上の構成要素で構成されるとき、ルアー・コネクタ175はさらに、細長い内側シャフト110の、細長い外側シャフト120の中への挿入を容易にするように適合され得る。さらに、ルアー・コネクタ175は、2つ以上の構成要素で構成されるとき、システム100の少なくとも一部への1種又は複数の流体の送達など、システム100の流し込みを容易にするように適合され得る。内側シャフト110は、コイル状チューブ、編組チューブ、強化チューブ、又はその組合せなどの管状構造体(スリットの有無にかかわらない)として形成することができ、ポリイミドなどのポリマー材料で構成することができる。しかし、他の実施例では、内側シャフト110はガイドワイヤを有し、かかる実施例では、システム100は任意選択で、細長い外側シャフト120の内腔の中又は外側シャフト120の外壁の一部に沿って、横方向に配置された第2のガイドワイヤ(図示せず)を備えてもよい。ある実施例では、外側シャフト120は、1つ又は複数の層を有することもできる。こうした実施例では、例えば、外側シャフト120の層は、内層、外層、ライナ、又はその組合せを含むことができる。各層は、ポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE:high-density polyethylene)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、Pebex(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、又はその組合せを含む材料から形成することができる。ある実施例では、外側シャフト120のそれぞれの層は同じ材料で形成される。しかし他の実施例では、1つ又は複数の層は、相異なる材料で形成されてもよい。
【0012】
システムの遠位部分100bの分解図では、先端部115(例えば非侵襲的先端部)が、細長い内側シャフトの遠位末端(図示せず)に配置されている。図示するように、先端部115は、細長い外側シャフト120の遠位末端に隣接している。先端部115は、細長い外側シャフトと同じ断面寸法(例えば5フレンチ(直径1.7mm))を有してもよく、又は先端部115は、異なる断面寸法を有してもよい。ある実施例では、先端部115の遠位端部115bは、先端部の近位端部115aと比較して、遠位端部115bがより小さい断面寸法を有するように先細になっている。先端部115の遠位縁部及び/又は近位縁部は、送達、配置、展開などの間に先端部115がシステム100の他の部分に引っ掛かる(例えば刺さる)のを防ぐように、湾曲して/丸みを帯びていてもよい。先端部115は、細長い外側シャフト120と同じ材料で形成されてもよい。しかし、他の実施例では、先端部115は、外側シャフト120とは相異なる材料で形成されてもよい。
【0013】
細長い内側シャフト110及び細長い外側シャフト120は、患者の血管内の目標部位(例えば治療部位)に入るサイズ及び形状であり得る。ある実施例では、例えば、細長い外側シャフト110は、約150cmから約180cmの長さと、対象者の脈管構造内に配置するための好適な断面寸法を有する。細長い内側シャフト110の長さは、対象者の脈管構造内に配置できる長さなどの作動長さであり得る。ある実施例では、作動長さは、例えば、約70cmから約300cm、約150cmから約250cm、或いは約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約220cm、約230cm、約240cm、約250cm、約260cm、約270cm、約280cm、約290cm、又は約300cmである。他の実施例では、細長い外側シャフト120は、約130センチメートル(cm)から約140cmの長さ、及び4フレンチ、5フレンチ、又は6フレンチの断面寸法を有する。細長い外側シャフト120の長さは、対象者の脈管構造内に配置できる長さなどの作動長さであり得る。ある実施例では、作動長さは、約50cmから約200cm、約100cmから約150cm、或いは約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約125cm、約130cm、約135cm、約140cm、約145cm、約150cm、約155cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、又は約200cmである。
【0014】
図1のシステム100の近位部分100aの分解図では、細長い外側シャフトの近位端部120cが、外側シャフト・ハブ140に連結されている。図示した実施例では、外側シャフト・ハブ140は、外側シャフト120に固定的に(例えば接合によって)連結される。外側シャフト・ハブ140は、成形などの当業者に知られている様々な技法を使用して、ポリカーボネートで形成することができる。システム100は、任意選択で、外側シャフト・ハブ140の遠位端部に直接且つ固定的に連結された歪み緩和要素などの力要素130を備えることができる。ある実施例では、力要素130は、外側シャフトの近位部分120aの一部を少なくとも部分的に覆うことができる。力要素130は、システム100が送達状態又は拡張された状態のときに、例えば、どんなねじれ、折れ、曲がり、潰れた部分、及び/又はそれらの組合せの形成も防止することにより、ガイドワイヤ160、内側シャフト110、及び外側シャフト120をほぼ線形の構造を維持するように構成される。力要素130は、ポリウレタン及びPebex(登録商標)(例えばPebex(登録商標)35D)を含む1種又は複数の可撓性材料で成形された、収縮チューブなどのチューブで形成することができる。しかし、他の実施例では、外側シャフトの近位端部120cは、外側シャフト・ハブ140に直接連結される。
【0015】
外側シャフト・ハブ140はさらに、それを貫いて延在する内腔(図示せず)を有するコネクタ150(例えばyコネクタ)に固定的に連結される。特に、コネクタ150の遠位端部150bは、結合フィーチャ及び受容フィーチャ(図示せず)を介して外側シャフト・ハブ140に連結することができる。結合フィーチャ及び受容フィーチャは、外側シャフト120の近位部分又はコネクタ150の遠位端部150bに連結することができる。コネクタ150の近位端部150aは、システム100内の1つ又は複数のシャフトの場所にしっかり留めるように構成されるテューイ・ボルスト・シール(touhy bourst seal)を備えることができる。コネクタ150は、そこから径方向及び/又は長手方向に延出する出口ポート152をさらに備える。システム100は、任意選択で、yコネクタ150の近位端部150aに連結された止血コネクタ170を備えることができる。
【0016】
システム100は、薬剤溶出性ステント(図示せず)を、細長い外側シャフト120の遠位部分内に送達/潰れた状態で運ぶように構成される。以下でより詳細に説明するように、本技術に従って構成されるシステムはさらに、非薬剤溶出性ステントを運ぶように構成され得る。ある実施例では、ステントを、細長い外側シャフト120によって、少なくとも部分的に覆うことができる。ステントは、任意の好適なプロセスにより、作動機構(例えば安定化ワイヤ160)に固定的又は取り外し可能に連結することができる。ある実施例において、作動機構は、近位部分などステントの一部の中に、一体に形成される。他の実施例では、作動機構の遠位部分は、クランプを使用してステントの近位部分に溶接又は装着される。
図3を参照してより詳細に図示し説明するように、視覚マーカを、ステントの近位部分、例えば作動機構がステントに連結される位置に配置することができる。システム100を、ステントの送達システムとして図示しているが、本技術の実施例は、ケージ、メッシュ、バルーン、膜、管状構造体、円柱体、拡張可能な要素、拡張可能な膜、拡張可能な構造体、拡張可能な管状構造体、及びガイドワイヤの内腔の有無にかかわらず円周方向に拡張可能なカテーテル先端部も含み得ることが理解されよう。
図6A~
図6Dに関してより詳細に説明するように、本技術に従って構成されるシステムは、患者の体腔(例えば血管)を通って管腔内を送達し、ステント(図示せず)を体腔内の所望の治療位置に配置するように構成され得る。
【0017】
上記のように、
図1に示す実施例では、安定化ワイヤ160がステントに連結されている。安定化ワイヤ160は、細長い外側シャフト120内に摺動可能に配置され、外側シャフトの近位端部から遠位方向に延出し、出口ポートの近位端部から近位方向に延出するサイズ及び形状である。安定化ワイヤ160は、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)、金属、ニチノールなどの金属合金、及び/又はその組合せを含む高デュロメータ・プラスチックなどのプラスチックで形成することができる。安定化ワイヤ160は、以下で
図16を参照してより詳細に説明するように、ステント(図示せず)を所望の治療位置(例えば
図7の脈管720参照)に配置し、細長い外側シャフト120が引き抜かれる間に、少なくとも概ねステントの場所を維持するように構成され得る。
【0018】
安定化ワイヤ160は、ステントが目標部位に配置されたとき、出口ポートの近位端部から近位方向に延出するサイズ及び形状であり得る。例えば、安定化ワイヤ160は、約150cmから約180cmの長さ、及び患者の体腔内に配置するための好適な断面寸法を有することができる。安定化ワイヤ160は、約70cmから約300cm、約150cmから約250cm、或いは約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約220cm、約230cm、約240cm、約250cm、約260cm、約270cm、約280cm、約290cm、又は約300cmの作動長さ(すなわち標的体腔内に配置され得る長さ)を有することができる。
【0019】
図2A~
図2Fは、線2-2に沿って切り取った、
図1の薬剤送達システム100の領域の様々な構成の断面図である。
図2Aに示すように、細長い内側シャフト110(例えばガイドワイヤ・チューブ及び/又はガイドワイヤ)並びに安定化ワイヤ160は、細長い外側シャフト120の内腔の中に少なくとも部分的に配置される。ある実施例では、外側シャフト120、内側シャフト110、及び安定化ワイヤ160はそれぞれ、円形の断面形状を有する。しかし他の実施例では、外側シャフト120、内側シャフト110、及び安定化ワイヤ160は、卵形、「C」字形、長方形、三角形など、他の断面形状を有することができる。
【0020】
安定化ワイヤ160及び内側シャフト110は、図示のように前方及び後方、又は内側及び外側などの任意の構成で、外側シャフト120の内腔の中に配置することができる。さらに、安定化ワイヤ160及び内側シャフト110は、外側シャフト120の内腔の中で、図示のように互いに対して配置することができ、又は安定化ワイヤ160及び内側シャフト110は、安定化ワイヤ160が、内側シャフト110が図示されている位置に配置される、反対の構造で配置することができ、逆も同様に可能である。さらなる実施例では、
図4の薬剤送達システムは、
図2Aに示す構成及び/又は構造か、或いはそれを参照して本明細書で説明する構成及び/又は構造のいずれかを有することができる。
【0021】
図2B~
図2Fに示すように、本技術の実施例に従って構成されるシステムは、任意選択で、安定化ワイヤ160ではなくプッシャ・シャフト280を備えることができる。これらの実施例に従ってシステムが構成されるとき、プッシャ・シャフト280は、外側シャフト120の内腔の中に少なくとも部分的に配置される。これらの実施例では、プッシャ・シャフト280は、それぞれが円形の断面形状を有し、プッシャ・シャフト280によって覆われた第1のプッシャ・シャフト内腔282、及び任意選択で第2のプッシャ・シャフト内腔284を備える(
図2B~
図2D)。他の実施例では、第1のプッシャ・シャフト内腔282及び第2のプッシャ・シャフト内腔284は、断面「C」字形状を有し、ここでプッシャ・シャフト内腔282及び284は、プッシャ・シャフト280によって部分的に覆われている(
図2B~
図2D)。「C」字形プッシャ・シャフト内腔282及び284は、例えば内側シャフト110及び/又はステント引張りワイヤ・シャフト(図示せず)など、「C」字型の開口を通るいずれかのシャフトの少なくとも一部を長手方向に進めることにより、その中で運ばれるシャフトの迅速な取外しを可能にするように構成される。さらに、ある構成では、内側シャフト内腔284を有するのではなく、プッシャ・シャフト280は半円形の断面形状を有してもよい(
図2E及び
図2F)。これらの構成では、ステント引張りワイヤ118は、外側シャフト220によって運ばれる。ステント引張りワイヤ228の場所は、プッシャ・シャフト280の形状により、外側シャフト内腔266の中で少なくとも部分的に維持される。他の実施例では、第1及び第2のプッシャ・シャフト内腔282及び284は、当業者に知られている、任意の数の他の好適な形状を有することができる。さらなる実施例では、
図1に示すシステム100及び
図4に示し、
図4を参照して以下で論じるシステム400は、
図2B~
図2Fに示すか、又はそれを参照して説明する構成のいずれかを有することができる。
【0022】
図3は、展開された状態である
図1の、薬剤送達システムの遠位部分100bの部分的な概略側面図である。図示する実施例では、ステント190は、安定化ワイヤ160に固定的に連結され、細長い外側シャフトの遠位部分120bから外されている。近位視覚化マーカ192は、安定化ワイヤ160上のステント190の近位部分の近くに配置され、遠位視覚化マーカ197は、ステントの遠位端部190c上に配置される。ある実施例では、近位視覚化マーカ192及び/又は遠位視覚化マーカ197は、安定化ワイヤ160上に配置されてもよい。視覚化マーカ192/197は、ステント190が血管内に(例えば目標血管内に)配置される間に視覚化できる任意の材料で形成することができる。一実施例では、視覚化マーカ192/197は、例えばX線造影マーカである。先端部115は、細長い内側シャフト(例えばガイドワイヤ)の末端110cに配置され、遠位部分110bに沿って近位方向に、且つ/又は末端110cから遠位方向に延出する末端110cを覆うことができる。内側シャフト110(
図1)は、外側シャフトの遠位端部からステント190の内腔を通って遠位方向に延出し、任意選択で、ステントの遠位端部から遠位方向に延出する。展開された構成では、薬剤送達フィーチャ194は、ステント190の長手方向の軸から径方向に延出する。
【0023】
図4は、本技術の実施例に従って構成される、送達状態(例えば薄型(ロープロファイル)又は潰れた構成)のステントの送達システム400(「システム400」)の部分的な概略側面図である。
図4に示す実施例では、システム400は、例えば細長い外側シャフト420(例えばカテーテル)内腔の中に配置された細長い内側シャフト410(例えばガイドワイヤ・チューブ)を備える。内側シャフト410及び外側シャフト420は、それぞれ近位部分410a及び420a、並びにそれぞれ遠位部分410b及び420bを有する。内側シャフト410は、チューブ(スリットの有無にかかわらない)として形成することができ、ポリイミドなどのポリマー材料で構成することができる。他の実施例では、内側シャフト410はガイドワイヤであり、こうした実施例では、システム400は任意選択で第2のガイドワイヤを備えることができる。外側シャフト420は、
図1を参照して先に説明した外側シャフト120の特性で形成され、外側シャフト120の特性を有し得る。
【0024】
図4に示すように、細長い外側シャフト420の近位端部は、外側シャフト・ハブ440に連結されている。外側シャフト・ハブ440を、外側シャフト420に固定的に(例えば接合によって)連結することができる。外側シャフト・ハブ440は、成形などの当業者に知られている任意の数の技法を使用して、ポリカーボネートで形成することができる。システム400は、任意選択で、外側シャフト・ハブ440の遠位端部に直接且つ固定的に連結された歪み緩和要素などの力要素430を備えることができる。力要素430は、ポリウレタン及びPebex(登録商標)(例えば、Pebex(登録商標)35D)を含む1種又は複数の可撓性材料で成形された、収縮チューブなどのチューブで形成することができる。外側シャフト・ハブ440も、コネクタ450(例えばyコネクタ)に固定的に連結される。特に、コネクタ450の遠位端部450bは、結合フィーチャ及び受容フィーチャ(図示せず)を介して外側シャフト・ハブ440に連結することができる。結合フィーチャ及び受容フィーチャは、外側シャフト420の近位部分又はコネクタ450の遠位端部450bに連結することができる。コネクタ450の近位端部450aは、システム400内の1つ又は複数のシャフトの場所にしっかり留めるように構成されるテューイ・ボルスト・シールを備えることができる。ある実施例では、コネクタ450は、そこから径方向及び/又は長手方向に延出する出口ポート452も備えることができる。
【0025】
システム400はさらに、コネクタ内腔の中に配置され、外側シャフトの内腔の中へ遠位方向に、且つコネクタ450の近位端部450aから近位方向に延出するプッシャ・シャフト280を備えることができる。プッシャ・シャフト280は、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び/又はそれらの組合せを含む高デュロメータ・プラスチックなどのプラスチックで形成することができる。コネクタ450の近位部分450aにあるテューイ・ボルスト・シールは、プッシャ・シャフト280を所望の位置(例えば脈管壁、
図5の520参照)に固定的に配置する(例えば、しっかり留める)ように構成され得る。この実施例では、プッシャ・シャフト280は、プッシャ・シャフトの近位部分でプッシャ・シャフト・ハブ480に固定的に連結される。しかし、他の実施例では、プッシャ・シャフト・ハブ480を、プッシャ・シャフト280に取り外し可能に連結することができる。上記で
図2に関してより詳細に論じたように、プッシャ・シャフト280は、ガイドワイヤ又はガイドワイヤ・チューブを運ぶように構成される第1のプッシャ・シャフト内腔(例えば内側シャフト410)、及びステント引張りワイヤなどのワイヤを運ぶように構成される第2のプッシャ・シャフト内腔(図示せず)など、プッシャ・シャフトを貫いて延在する2つ以上のプッシャ・シャフト内腔、溝、又はそれらの組合せを有することができる。
【0026】
ある実施例では、システム400はさらに、ステント引張りワイヤの近位部分に連結されたステント引張りワイヤ・ハブ470を備えることができる。ステント引張りワイヤ・ハブ470及びプッシャ・シャフト・ハブ480はそれぞれ、システム400に連結される場合、互いに係合し、ステント引張りワイヤ・ハブ470をプッシャ・シャフト・ハブ480に取り外し可能に連結するように構成される、結合フィーチャ及び受容フィーチャ(いずれも図示せず)を備えることができる。ステント引張りワイヤ・ハブ470及びプッシャ・シャフト・ハブ480の両方が、任意の好適な材料から成形又は機械加工することができる。
【0027】
システム400は、ステント(図示せず)を、細長い外側シャフト420の遠位部分420b内に送達/潰れた状態で運ぶように構成され、作動機構(例えばステント引張りワイヤ)に連結される。システム400を、ステントの送達システムとして図示しているが、本技術の実施例は、ケージ、メッシュ、バルーン、膜、管状構造体、円柱体、拡張可能な要素、拡張可能な膜、拡張可能な構造体、拡張可能な管状構造体、及びガイドワイヤの内腔の有無にかかわらず円周方向に拡張可能なカテーテル先端部を備えることもできることが理解されよう。
図4A~
図4Dに関してより詳細に説明するように、システム400は、患者の体腔(例えば脈管腔)を通って血管内を送達し、ステント(図示せず)を所望の治療位置に配置するように構成される。
【0028】
図5は、線5-5に沿って切り取った、
図4のシステム400の領域の等角側面図である。
図5に示す実施例では、プッシャ・シャフト280は、第1のプッシャ・シャフト溝284及び第2のプッシャ・シャフト溝282を有する。図示のように、内側シャフト410の一部は、第1のプッシャ・シャフト溝284(例えば内側シャフト溝)内に配置される。この実施例では、内側シャフト410は、ガイドワイヤ(図示せず)を運ぶように構成されるガイドワイヤ溝516を有する。第2のプッシャ・シャフト溝282(例えばステント引張り溝の内腔)は、ステント引張りワイヤ(図示せず)を運ぶように構成される。第1のプッシャ・シャフト溝284及び第2のプッシャ・シャフト溝282はそれぞれ、プッシャ・シャフト280内に任意の数の配置及び向きを有することができる(
図2B~
図2F)。こうした配置及び向きは、内側シャフト410及び/又はステント引張りワイヤ(図示せず)など、その中を運ばれるシャフトの解放、異なるシャフトとの係合(例えばカテーテル交換)を円滑にするように構成される。
【0029】
図6A~
図6Dは、本技術の実施例による送達手順の様々な段階におけるシステム400の部分的な概略側面図である。
図6Aに示すように、システム400は、最初は薄型の(low-profile)送達状態で構成される。この初期構造では、内側シャフト410の遠位部分410b及び外側シャフト420の遠位部分420bを含むシステム400の遠位領域は、体腔(例えば大腿動脈などの脈管腔)を通って遠位方向に、ガイドワイヤに沿って所望の位置へ前進するように構成される。ある実施例では、システム400の少なくとも一部は、好適なサイズ(例えば5フレンチ又は6フレンチ)のガイド・シース内を送達されてもよい。
【0030】
次に
図6Bを参照すると、システム400の遠位領域が所望の位置に配置されると、外側シャフト420は、外側シャフト・ハブ440を引き込むことで、少なくとも部分的に近位方向に引き込まれるように構成される。外側シャフト420が部分的に引き込まれると、ステント490の一部がシースを外され、薬剤送達フィーチャ494がシステム400から径方向外向きに拡張するように構成される。外側シャフト420によって運ばれるプッシャ・シャフト280は、ステントの近位端部490aと係合し、ステント490を遠位方向に前進させ、解放するように構成される。
図2B~
図2Fを参照して先に説明したように、プッシャ・シャフト280は、内側シャフト410及びステント引張りワイヤ182を運ぶように構成される。この実施例では、プッシャ・シャフト280は、外側シャフト420が部分的に近位方向に引き込まれる前、最中、又は後に、遠位方向に前進するように構成される。
【0031】
図6Cに示すように、外側シャフト420は引き込まれており、ステント490はシースを外されている。この構成において、ステント490は、プッシャ・シャフト280によって遠位方向に前進するように構成され、前進後、プッシャ・シャフト280は、例えばプッシャ・シャフト・ハブ480を使ってステント490の場所を維持するよう保持される、又は動けなくされることで、固定されるように構成される。
【0032】
次に
図6Dを参照すると、プッシャ・シャフト280はさらに、ステント490が適位置に配置されると、プッシャ・シャフト・ハブ480を近位方向に進めることにより取り外されるように構成される。
図6Dに示す実施例では、プッシャ・シャフト280が取り外された後、システム400は、外側シャフト420の近位部分420aへバルーン(図示せず、
図8Aのバルーン840参照)を挿入し、バルーンを遠位方向に、外側シャフト420の遠位部分420bまで前進させるように構成される。
【0033】
以下でさらに説明するように、拡張可能なステント490は、ステント490によって装備される複数の薬剤送達フィーチャ494を備える。ある実施例では、複数の薬剤送達フィーチャ494は、ステント490が外側シャフト420から外された後に径方向へ拡張するように構成される。さらに、いくつかの実施例は、ステント上へ、又はステントが所望の位置(例えば目標部位、治療部位)で拡張されると、薬剤を受け取り、薬剤を放出するように構成された薬剤送達フィーチャ上へ、薬剤を塗布するよう設計され得る。ある実施例では、外側シャフト420は、ステント490の薬剤送達フィーチャ494から放出された残渣が外側シャフトの内腔に入るのを防ぐように構成される内層を有することができる。
【0034】
システム400、システム400の様々な構成、及び本明細書で説明する他のシステムを使用して、本明細書で説明する手順及び方法ばかりでなく、当業者に知られている手順及び方法に従って、ステント190、他のステント、又は他の好適な要素を送達、配置、展開、及び/又は再捕獲することができる。例えば、
図7は、本技術の実施例による送達状態にあるシステム400の遠位部分の部分的な概略側面図である。
図7に示すように、システム400は、患者の体腔710(例えば血管)内で送達状態にある。この実施例では、システム400は、患者の血管(例えば大腿動脈)を通って管腔内(例えば血管内)で送達するように構成される。大腿動脈に入るには、シース(例えば5F又は6F)及びガイドワイヤを大腿動脈の内腔内に導入する。システム400は、ガイドワイヤを覆う内側シースの遠位部分410bを追跡し、システム400を遠位方向に脈管内の所望の位置720まで前進させることにより、体腔内に送達される。多くの実施例では、システム400が所望の位置720まで前進する前に、血管形成術手技が所望の位置720で実行される。こうした実施例では、ガイドワイヤは、血管形成用に使用されたものと同じガイドワイヤであってもよい。
【0035】
システム400が所望の位置720に配置されると、外側シースの遠位部分420bが近位方向に引き込まれ、ステント490のシースが外される。図示する実施例では、ステント490の本体は、シースが外され、薬剤送達フィーチャ494が潰れているときに、少なくとも部分的に拡張される。ただし薬剤送達フィーチャ494は、外側シースの遠位部分420bが引き込まれると拡張するように構成され得る。他の実施例では、安定化ワイヤ(図示せず)は、外側シースが近位方向に引き込まれてステントを展開する前、最中、及び/又は後に、遠位方向に前進して、保持される、又は動けなくされるなど、固定され得る。すなわち、ステントを配置する所望の位置で固定され得る。図示するように、システム400の遠位先端部419は、ステントの遠位端部より遠位方向に配置され、内側シャフト410は、ステント190の内腔の少なくとも一部内に配置されたままである。
【0036】
展開された状態では、ステント490の薬剤送達フィーチャ494は、径方向に拡張するように構成され、さらに展開されたステント490が拡張され脈管壁と接触すると、所望の位置で管腔壁を突き刺すように構成される(
図8A及び
図8B参照)。以下により詳細に説明するように、ステント及び他の拡張可能な構造体は、ステント及び他の拡張可能な構造体が、少なくとも部分的に外側シャフトから外されるとき、少なくとも部分的に、潰れた/送達状態から展開された且つ/又は拡張された状態へ、外側に拡張するなど、自己拡張するように構成され得る。ある実施例では、ステント及び他の拡張可能な構造体は、バルーンなどの膨張可能な要素又は仕組みと動作可能に連結されると、拡張するように構成される。さらなる実施例では、自己拡張するステント及び他の構造体は、膨張可能な仕組みに連結されるとさらに拡張するように構成される。ステント及び他の拡張可能な構造体が膨張可能な要素に連結されたときに自己拡張又は拡張するかどうかにかかわらず、ステント及び他の拡張可能な構造体は、径方向に(対称又は非対称に)拡張するように構成され得る。ある実施例では、少なくとも部分的に拡張されたステント及び他の拡張可能な構造体は、脈管壁に対して垂直に薬剤送達フィーチャの少なくともいくつかを配置するように構成され得る。
【0037】
図8A及び8Bに示す実施例では、システム400は、ワイヤなどの細長いシャフトに連結されたバルーン840をステントの内腔に挿入するように構成される(
図8A及び8Bの細長いシャフト820参照)。バルーン840はさらに、ステントの内腔の中に配置され、その中で膨張して、送達状態から拡張され展開された状態へ、ステント490をさらに拡張するように構成される。ある実施例では、バルーン840を、本明細書で説明する被覆物及び薬剤などの、薬剤送達被覆物及び薬剤でコーティングすることができる。本明細書の他の箇所でさらに論じるように、ステント490は、ステント490を体腔に配置、拡張、引込、再配置、及び/又は取外しするように構成される、機械的な作動の仕組み(例えば安定化ワイヤ、ステント引張りワイヤ、プッシャ・シャフト、又はそれらの組合せ)などの作動の仕組みと動作可能に連結され得る。
【0038】
図8Aは、本技術の実施例による、体腔内の展開された状態でのシステム400の領域の断面図である。
図8Aに示す実施例では、ステント490は、バルーン840によって血管720内で拡張される。展開されたステント490を拡張するために、バルーン840は、細長いシャフト820に連結され、細長いシャフト820の遠位先端部830が展開されるステント490の遠位端部490bの近くに配置されるまで、展開されるステント490の内腔の中を遠位方向に前進する。図示するように、ステント490の遠位端部490bは、X線造影マーカ810を備える。しかし他の実施例では、X線造影マーカ810は、システム400の他の場所に配置されてもよく、又はシステム400から省略されてもよい。
【0039】
図8Bは、展開された状態のシステム400の一部の断面図であり、ステント490は、脈管壁の一部内で拡張され、血管壁の一部を突き刺す薬剤送達フィーチャ494を備える。
図8Bに示すように、バルーン840は、ステント490と係合し、ステント490をさらに拡張して管腔脈管と接触するよう展開され、径方向に拡張される。ステント490が拡張されると、薬剤送達フィーチャ494はさらに壁へ貫入する。
【0040】
図9は、本技術の実施例による、治療状態でのシステム400の断面図である。治療状態において、バルーン840(
図8A)は収縮され、内側シャフト410に沿って近位方向に引き込まれ、体腔から取り外されている。図示するように、内側シャフト410の遠位部分410bは、体腔内に残る。バルーン840を取り外した後、ステント490は、拡張されたままで管腔壁と接触し、薬剤送達フィーチャ494は壁へ貫入したままである。薬剤送達フィーチャ494を使って運ばれるどんな薬剤も、治療状態で、少なくとも部分的に体腔壁内に放出される。他の実施例では、バルーン840を少なくとも部分的に囲繞するためにステント490を圧着することなどにより、ステント490をバルーン840に固定することができ、バルーン840を膨張させることでステント490を拡張し、収縮させることで潰すことができる。
【0041】
ある実施例では、ステント490が拡張された後、システム400の一部の要素が体腔からさらに取り外される。例えば
図10は、本技術の実施例による、取外し状態にあるシステム400の領域の部分的な概略側面図である。
図10に示すように、ステント490は、内側シャフト410及び外側シャフト420の遠位部分が近位方向に引き込まれるとき、脈管720の壁と接触するよう拡張されたままである。回収システム、並びに関連するデバイス及び方法については、
図11、
図12、及び
図16を参照して以下でさらに論じる。
【0042】
図11は、本技術の実施例に従って構成される回収システム(「システム1100」)の部分的な概略側面図である。
図11に示す実施例では、システム1100は、外側シャフトの遠位部分1120bに先端部1115を有する細長い外側シャフト1120を備える(遠位部分1100bの分解図参照)。ある実施例では、先端部1115は、遠位端部が近位端部と比較してより小さい断面寸法を有するように先細になっている。さらに、先端部1115の少なくとも一部は、細長い外側シャフト1120と同じ断面寸法(例えば、5フレンチ)を有することができる。先端部1115は、ステントの近位部分(図示せず)と係合するように構成される。先端部1115の遠位端部及び/又は近位端部を、ステントの回収、又はシステム1100がそのために構成され得る他のどんな使用の間にも、先端部1115がシステム1100の他の部分に引っ掛かる(例えば刺さる)のを防ぐように丸くすることができる。
【0043】
図11に示す実施例では、先端部1115は外側シャフト1120と連続している。しかし他の実施例では、先端部1115は、外側シャフトの遠位端部に連結された個別の要素であり得る。先端部1115は、細長い外側シャフト1120と同じ材料で形成することができる。他の実施例では、先端部1115は、外側シャフト1120とは異なる材料で形成することができる。
【0044】
先端部1115は、先端部の遠位端部の開口1118及び外側シャフト内腔(図示せず)に流体連結された溝(図示せず)を有する。溝は、
図1を参照して先に論じた内側シャフト110、ガイドワイヤ、及び/又は安定化ワイヤ160の少なくとも一部を運ぶように構成される。先端部の遠位端部は、拡張されたステント190の少なくとも一部と係合するように構成され、係合すると、外側シャフト1120が前進して潰れたステント190の少なくとも一部を再び覆うにつれて、先端部1115は、拡張されたステント190を潰すように構成される。以下でより詳細に説明するように、外側シャフト1120は、安定化ワイヤ160(及び任意選択でガイドワイヤ)の一部を少なくとも部分的に囲繞するように構成され、一方ステント190は、目標位置で適位置に保持され、潰れ、少なくとも部分的にシースで覆われる。薬剤送達フィーチャ194は、ステントのフレーム193に向かって潰れるように構成され得る。或いは、薬剤送達フィーチャは、ある時間(1、2、5、10、15分、20分などの短時間、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間などの長時間)、管腔壁の一部に少なくとも部分的に貫入したままになるように適合され得る。
【0045】
近位部分1110aの分解図に示すように、システム1100はさらに、細長い外側シャフト1120の近位部分1120aに連結された、
図1を参照して先に説明した力要素130及び外側シャフト・ハブ140を備える。
図1の外側シャフト120と同様に、外側シャフト1120はまた、1つ又は複数の層を有することができる。こうした実施例では、例えば、外側シャフト1120の層は、内層、外層、ライナ、又はそれらの組合せを含むことができる。各層は、例えばポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、Pebex(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、又はそれらの組合せを含む材料から形成することができる。ある実施例では、外側シャフト1120のそれぞれの層は、同じ材料で形成される。しかし他の実施例では、1つ又は複数の層は、相異なる材料で形成されてもよい。
【0046】
細長い外側シャフト1120は、患者の体内の血管内の目標部位に入るサイズ及び形状であり得る。例えば、細長い外側シャフト1120は、約130cmから約140cmの長さ、及び4フレンチ、5フレンチ、又は6フレンチの断面寸法を有する。細長い外側シャフト1120の長さは、作動長さ(すなわち、対象者の脈管構造内に配置できる長さ)であり得る。ある実施例では、作動長さは、例えば約50cmから約200cm、約100cmから約150cm、或いは約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約125cm、約130cm、約135cm、約140cm、約145cm、約150cm、約155cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、又は約200cmである。
【0047】
他の実施例では、ステント490などのステントを、
図4に示す送達システムを取外し構成で使用して、薬剤送達手技の後に潰して体腔から取り外すことができる。例えば、
図12A~
図12Cは、本技術の実施例による、部分的に引き込まれた状態の様々な段階を示す、回収構成における送達システムの部分的な概略側面図である。
図12Aに示すように、ステント490及び薬剤送達フィーチャ494は、外側シャフト420の遠位部分420bに向かって潰され、プッシャ・シャフト280の遠位先端部と係合する。
図12Bは、潰れたステント490を部分的に再び覆う外側シャフト420の遠位部分420bを示す。ステント490を再びシースで覆う、又は部分的に再びシースで覆うために、外側シャフト・ハブ440を潰れたステント490に向かって遠位方向に前進させることができ、且つ/又はステント引張りワイヤ・ハブ470を
図12Cに示すように近位方向に引き込むことができる。再びシースで覆う間に、薬剤送達フィーチャ494は、体腔の壁に突き刺さったままであるか、取り外すために径方向に引き込む/フレーム493に向かって潰すことができる。
【0048】
さらに、本技術のいくつかの実施例は、ステント又は薬剤送達フィーチャを有する他の構造体の、体腔内での分離を実現することができる。例えば、いくつかの実施例では、ワイヤ又は取付け部材は、機械的手段、熱的手段、電気的手段、又は他の手段によってステントを解放することができる。ある実施例において、ステントを、本明細書で説明するシステム内でステントを解放する、且つ/又は再捕獲するように構成された、円形又は非円形の長手方向の部材に動作可能に連結することができる。この部材を、直接的又は間接的にステントのフレームに連結することができる。これらの実施例の一部において、ステント又は他の構造体を、患者の体内に恒久的に配置されるよう設計することができる。
【0049】
II.ステント及び他の構造体、薬剤送達フィーチャ、並びに関連するシステム及び方法
図13は、体腔内で展開された状態の薬剤送達フィーチャを有し、本技術の実施例に従って構成された薬剤溶出性拡張可能構造体(例えばステント)1300の部分的な概略側面図である。ステント1300は、径方向に拡張可能な円筒形フレーム1330を形成する複数のストラット1310、及びストラット1310と係合し、2列以上のストラット1310間を延在する部材を備える。薬剤送達フィーチャ1350は、ストラット1310を一体に形成した部分であり、ステント1300の外寸の少なくとも一部にわたって配置され、ステント1300から離れて体腔の標的部分に向かって径方向外向きに延出する。図示するように、拡張されたステント1300のストラット1310は、体腔520の壁と並置されている。ある実施例では、ステント1300は、自己拡張する構造体、又は部分的に自己拡張する構造体である。他の実施例では、ステント1300をバルーン840に連結することができ(
図7~
図9を参照)、又は当業者に知られている他の好適な技法及び/又は構造体を使用して、ステント1300を薄型の送達状態から
図7~
図9に示す展開され且つ/又は拡張された状態へ変形させることができる。
【0050】
フレーム1330、ストラット1313、及び/又は薬剤送達フィーチャ1350を、例えばニチノール、コバルト・クロム、ステンレス鋼、他の様々な金属又は金属合金のいずれか、又はそれらの組合せを含む様々な材料から構成又は形成することができる。フレーム1330、ストラット1313、及び/又は薬剤送達フィーチャ1350を、例えば1種又は複数のポリマー、ニチノール、プラスチック材料など、又はそれらの組合せを含む、生体吸収性、生物分解性、ナノ多孔性又は非生体吸収性、非生物分解性、非ナノ多孔性材料からも構成又は形成することができる。ある実施例では、フレーム1330及びストラット1392を、生体吸収性材料から形成することができ、薬剤送達フィーチャ1350を、ニチノールなどの非生体吸収性材料から形成することができる。こうした実施例では、薬剤送達フィーチャ1350は、拡張されたフレーム1330及びストラット1313が生体吸収された後、体腔の一部と係合したまま、又は貫入したままにすることができる。拡張されたフレーム1330及びストラット1313が生体吸収された後、ステント1300が拡張された体腔は、フレーム1330及びストラット1313によって部分的にもはや閉塞されなくなり、水性医薬組成物などのより大きいボリュームの流体が体腔を通過して管腔壁に接触することが可能となる。薬剤送達フィーチャ1350はまた、生体吸収性材料で形成されてもよく、ステント1300が生体吸収されると、薬剤送達フィーチャ1350によって空にされた体腔壁内の空間は、体腔を通過する流体と接触することができる。このようにして、ステント1300は、流体と接触する体腔壁の表面積を増加させることができる。
【0051】
図13に示すように、ステント1300は、ストラット1310によって装備される薬剤送達フィーチャ1350を備える。薬剤送達フィーチャ1350は、2つ以上のストラット1310、フレーム1330、又はそれらの組合せによって装備されてもよい。薬剤送達フィーチャ1350は、例えば1つ又は複数のストラット及び/又はフレーム1330の一部を、ステント1300の長手方向軸から離して曲げるか又はねじることにより、ストラット1310と一体に形成されてもよく、或いは代替的に、薬剤送達フィーチャ1350は、ストラット1310及び/又はフレーム1330に沿った所望の位置に取り付けられる分離した個別の構成要素であってもよい。
【0052】
図14A及び
図14Bは、本技術のさらなる実施例に従って構成される薬剤送達フィーチャを有する薬剤溶出性拡張可能構造体(例えばステント)の部分の等角図である。例えば
図14Aに示す実施例では、薬剤送達フィーチャ1460は、径方向に細長い湾曲した針状の構造を有する。フレーム1430及び複数のストラット1410を備え、突出フィーチャ1460(例えばスパイク、鋭利な/先細にされた部材、棘、針)を備えるステント1400の一部は、脈管などの体腔の一部に係合し、且つ/又は貫入するように構成される。突出フィーチャ1460は、ストラット1410の一体に形成された部分であり、ステント1400から離れて体腔の標的部分に向かって径方向外向きに延出する。ある実施例では、薬剤送達フィーチャ1460は、脈管壁を越えて目標組織内に薬剤を直接送達するために、体腔壁(例えば脈管壁)を貫通することができる。他の実施例では、薬剤送達フィーチャ1460は、フレーム1430から分離し、脈管壁内に少なくとも部分的に貫入したままであるように構成され得る。こうした実施例では、分離された薬剤送達フィーチャ1460は、短期又は長期に、脈管壁内の目標組織へ薬剤を送達するように構成され得る。脈管及び目標組織は、本明細書の他の場所で説明する。
【0053】
図14Bに示す実施例では、例えばステント1470は、1つ又は複数の液溜め1480を有する薬剤送達フィーチャ1482を備えるストラット1410、及び液溜めによって運ばれる薬剤を備える。液溜め1480は、薬剤を少なくとも部分的に収容し、(例えばカテーテルを通して関連するステントを送達する際の擦過による)薬剤の早過ぎる放出がないよう保護することができる。様々な実施例において、液溜め1480及び/又は薬剤送達フィーチャ1482は、ストラット1410から分離して脈管壁内に残るように構成されてもよく、又は壁と係合して薬剤を送達し、ストラット1410に固定的に連結されたままになるように構成されてもよい。さらに、薬剤送達フィーチャ1482は、様々に相異なる形状、サイズ、及び構成を有することができる。本明細書で開示する薬剤送達フィーチャは、管腔壁との係合及び/又は管腔壁への貫入を強化し、薬剤送達を強化し、所望の位置でのより良い治療を可能にする。非薬剤溶出性ステントなどの、ある実施例では、薬剤送達フィーチャ1482は突出フィーチャであり得る。
【0054】
本明細書で説明するフレーム、ストラット、及び/又は薬剤送達フィーチャを形成するための材料は、強度、延性、硬度、弾性、可撓性、曲げ弾性率、曲げ強度、可塑性、剛性、放射率、熱伝導率、比熱、熱拡散率、熱膨張性、他の任意の様々な特性、又はそれらの組合せなどの機械的及び/又は熱的特性に基づいて選択することができる。熱的特性を有する材料で形成される場合、材料を活性化して、所望の治療部位に熱治療を提供することができる。材料にかかわらず、フレーム、ストラット、及び/又は薬剤送達フィーチャは、レーザ切断又は他の好適な技法によって、チューブ又は硬いワイヤなどのワイヤで形成することができる。ワイヤで形成されるとき、ワイヤの一部を、化学エッチング又は別の好適な方法で取り外し、ステントの内寸を作成することができる。
【0055】
本技術によれば、ステント(例えばフレーム及びストラット)は、脈管を破裂させずに、血管を含む様々な体腔内に配置するためのサイズ及び形状であり得る。例えば、本技術に従って構成されるいくつかのステント及び他の構造体は、体腔(例えば脈管壁)の形体が、体腔への切開又は損傷なしに薬剤を受け入れることを可能にする径方向の強度を有することができる。本明細書で説明するステントがその中に配置されるサイズ及び形状であり得る脈管は、冠状動脈、末梢動脈、頸動脈、ウィリス輪、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、任意のレンチキュロ線条動脈、腎動脈、大腿動脈などの動脈、大脳静脈、伏在静脈などの静脈、動静脈瘻、又は治療部位を含む可能性のあるどんな他の脈管をも含む。ステントは、立方体、直方体、円柱、円錐、ピラミッド、又はそれらの変形形態を含む様々な形状を有することができる。
【0056】
本技術に従って構成される薬剤送達フィーチャを有するステント及び他の構造体は、(薄型の送達状態及び拡張され展開された状態の両方で)様々な寸法を有することができる。こうした実施例は、治療するため、及び/又は切開を妨げるために、様々な状況で広範囲の寸法をカバーする使用を可能にする拡張性をもたらすことができる。ステントは、形状にかかわらず、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、又は約100mmの長さを有することができる。さらに、立方体、直方体、又はピラミッド型に形作られたステントは、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約25mm、又は約30mmの幅を有することができる。さらに、円柱又は円錐に形作られたステントは、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、又は約50mmの直径を有することができる。ステントの幅又は直径は、ステントの長さに従って、減少して短くなり得る。さらにステントは、体腔に、ステント留置手技など特定の手技の準備をさせるようなサイズ及び形状であり得る。
【0057】
ステント1300、他のステント、及び拡張された状態にあり、本技術に従って構成される他の拡張可能な構造体は、拡張された薬剤送達フィーチャを含め、約2mmから約10mmの断面寸法を有することができる。例えば、本技術に従って構成されるフレーム(フレーム1330など)は、約1mmから約9mmの断面寸法を有することができ、薬剤送達フィーチャはそれぞれ、約0.1mmから約1.5mmの長さを有することができる。ある実施例では、ステントは約4mmの全体の断面寸法を有し、フレーム1330は約2mmの断面寸法を有し、薬剤送達フィーチャはそれぞれ約1mmの長さを有する。ある実施例では、ステントは約6mmの全体の断面寸法を有し、フレーム1330は約4mmの断面寸法を有し、薬剤送達フィーチャはそれぞれ約1mmの長さを有する。さらなる実施例では、薬剤送達フィーチャは、ステント又は他の拡張可能な構造体の薬剤送達フィーチャの長さが異なるように、複数の長さを有することができる。例えば、ステントは、約0.2mm、約0.5mm、及び約1mmの長さを有する薬剤送達フィーチャを有することができる。
【0058】
ステント又は他の構造体の外形は、ステント又は他の構造体が広範囲のカテーテルのサイズに適合するようなサイズであり得る。本技術による実施例は、0.25mm(0.010インチ)、0.36mm(0.014インチ)、0.46mm(0.018インチ)、0.89mm(0.035インチ)、又は0.97mm(0.038インチ)の直径を有するガイドワイヤなど、ガイドワイヤを受け入れるよう設計されたステント又は他の構造体を含むことができる。いくつかの実施例では、ステント又はスキャフォールド構造体を、それが押されて通過するマイクロ・カテーテルを通して送達されるようにサイズ決めして設計することができる。ある実施例では、本技術に従って構成されるステント又は構造体を、モジュール式の、又は単一ユニットの送達システムを含む、送達システムの中に組み込むことができる。
【0059】
本明細書で説明するステント及び他の構造体は、1つ又は複数のX線造影マーカ(
図8A、
図8B、及び
図9のX線造影マーカ810参照)などの、体腔内のステントを視覚化するための標識を備えることができる。X線造影マーカは、Clearfil Photo Core PLT(登録商標)、タンタル、チタン、タングステン、硫酸バリウム、及び酸化ジルコニウム、又は別の好適なX線造影標識で形成され得る。標識を、ステントの近位部分、遠位部分、中間部分、又はその組合せによって形成することができる。標識は、バンド、コイル、クリップであり、ステント内のチューブの1つ又は複数の部分の中に充填される、ステントの1つ又は複数の部分上にめっきされる、又はそれらの組合せであり得る。標識の種類にかかわらず、標識を、ステントの任意の部分に沿って、又はステントの任意の部分上に、鋳造、スエージ加工、巻き付け、又は包むことができる。
【0060】
本技術に従って構成されるステント及び他の構造体は、湾曲を有するものを含む様々な解剖学的形体を追跡するのに十分な可撓性を有することができる。ステント及び他の構造体の可撓な特性は、それらが形成される材料によってもたらされ得る。さらに、可撓な特性は、ストラットと係合し、ストラットの2つ以上の列間に延在する1つ又は複数の部材を破断することによっても、もたらされ得る。さらに、ステント又は他の構造体は、容易に展開され拡大され、そして引き込まれ収縮され得る。ステント又は他の構造体はまた、脈管又は他の体腔内で容易に再配置され得る。
【0061】
いくつかの実施例では、薬剤溶出性化合物は、薬剤送達フィーチャ、フレーム、ストラット、及び/又はバルーンの少なくとも一部にコーティングされる。コーティングは、薬剤を壁に送達するのに好適な、当業者に知られている任意の好適なコーティングであり得る。例えば、好適なコーティングには、壁内に残るように構成されるエッジを有する雪コーティング(snow coating)又は結晶コーティングが含まれるが、それらに限定されるものではない。薬剤溶出性化合物は、その中に含まれる薬剤を送達するのに好適な様々な異なるパターン及び厚さにコーティングされる合成又は生物学的ポリマーであり得る。他の実施例では、薬剤送達フィーチャ自体が薬剤溶出性材料から構成されてもよい。本技術による薬剤溶出性化合物及び/又は薬剤送達フィーチャによって運ばれる薬剤は、ステントが配置されることになる治療部位の治療に好適などんな薬剤であってもよく、賦形剤を含んでも含まなくてもよい。薬剤は、例えば抗増殖剤、抗腫瘍剤、遊走阻害剤、強化された治癒因子(enhanced healing factor)、免疫抑制剤、抗血栓剤、血液希釈剤、又は放射性化合物であり得る。抗腫瘍剤の実例には、シロリウム、タクロリムス、エベロリムス、レフルノミド、M-プレドニゾロン、デキサメタゾン、シクロスポリン、ミコフェノール酸、ミゾリビン、インターフェロン、及びトラニラストが含まれるが、それらに限定されるものではない。抗増殖剤の実例には、タキソール/パクリタキセル、アクチノマイシン、メトトレキサート、アンジオペプチン、ビンクリスチン、ミトマイシン、スタチン、c-mycアンチセンス、Abbot ABT-578、RestinASE、2-クロロ-デオキシアデノシン、及びPCNAリボザイムが含まれるが、それらに限定されるものではない。遊走阻害剤の実例には、バチミスタット、プロリルヒドロシラーゼ、ハロファンジノン、c-プレテイナーゼ阻害剤、及びプロブコールが含まれるが、それらに限定されるものではない。強化された治癒因子の実例には、BCP671、VEGF、エストラジオール、NOドナー化合物、及びEPC抗体が含まれるが、それらに限定されるものではない。放射性化合物の実例には、塩化ストロンチウム89(Metastron(登録商標))、サマリウム-153(Quadramet(登録商標))、二塩化ラジウム223(Xofigo(登録商標))、イットリウム-90、及びヨウ素-131が含まれるが、それらに限定されるものではない。ある実施例では、薬剤溶出性化合物及び/又は薬剤送達フィーチャは、複数種類の薬剤を運ぶことができる。
【0062】
ある実施例では、薬剤送達フィーチャは、薬剤送達のためにより大きな表面積をもたらすことが期待されるテクスチャード加工された(例えば畝模様付き)表面を有することができる。さらに、どの薬剤送達フィーチャも、(薬剤送達フィーチャの長手方向平面に対して垂直、水平、放射状、又は円形の)畝模様付き表面、クロスハッチ掛け表面、等方性表面(isotropic surface)、又は薬剤送達のためにより大きな表面積をもたらすのに好適な他の表面の種類などの、テクスチャード加工された表面を有することができる。
【0063】
薬剤送達フィーチャは閉塞、新生内膜、内膜、内弾性板(IEL)、中膜、外弾性板(EEL)、外膜、又はそれらの組合せに係合及び/又は貫入するサイズ及び形状であり得る。薬剤送達フィーチャはまた、体腔を破裂させずに、ステントが配置されるべき体腔に隣接する組織及び/又は構造体に係合及び/又は貫入するサイズ及び形状でもあり得る。例えば、ステントは、体腔の内膜及び/又は中膜に貫入するようサイズ決めされ構成されら正方形の薬剤送達フィーチャ、中膜及び/又はIELに貫入して延出するようサイズ決めされ構成された尖った薬剤送達フィーチャを有する場合がある。さらに、薬剤送達フィーチャは、ステントの長手方向軸に対して1方向又は複数の方向に曲がって、本明細書で説明する体腔の一部に係合及び/又は貫入するように構成され得る。いくつかの実施例では、薬剤送達フィーチャは、薬剤送達フィーチャのないステントと比較して、脈管などの疾患のある体腔の壁の中に、より深く貫入することができる。さらに、ステントは、拡張された場所にあり、薬剤溶出が進行中であっても、血液が流れることを可能にし得る。
【0064】
本明細書で説明する様々な薬剤送達フィーチャは、血管形成バルーン又は他の既存のデバイスによって可能な深さよりも一層脈管壁の深くに薬剤を送達することができる。部位の治療のために1種又は複数の薬剤を運ぶことに加えて、薬剤送達フィーチャは、閉塞、新生内膜、及び/又は内膜の一部を分解し、薬剤送達フィーチャが、その分子がない場合よりも脈管壁内に深く貫入することを可能にする、好適な分子も運ぶことができる。例えば分解に適した分子は、エラスターゼ、コラゲナーゼなどの酵素、又はメタロプロテイナーゼ、セリンプロテイナーゼ、システインプロテイナーゼ、細胞外スルファターゼ、ヒアルロニダーゼ、リシルオキシダーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、又はそれらの組合せなどのプロテイナーゼであり得る。
【0065】
さらに、本技術に従って構成されるステントは、ステントの一部又は複数の部分上に1つ又は複数の薬剤送達フィーチャを装備することができることも理解されよう。例えば、ステントは、約5つの薬剤送達フィーチャ、約10の薬剤送達フィーチャ、約15の薬剤送達フィーチャ、約20の薬剤送達フィーチャ、約30の薬剤送達フィーチャ、約40の薬剤送達フィーチャ、約50の薬剤送達フィーチャ、約60の薬剤送達フィーチャ、約70の薬剤送達フィーチャ、約80の薬剤送達フィーチャ、約90の薬剤送達フィーチャ、又は約100の薬剤送達フィーチャを装備することができる。薬剤送達フィーチャは、フレーム、ストラット、又はそれらの組合せによって装備することができる。薬剤送達フィーチャの数は、例えば、標的治療部位、送達される薬剤の種類、ステントのサイズなどに応じて異なり得る。さらに、ステントによって装備される薬剤送達フィーチャは、本明細書で開示する薬剤送達フィーチャの様々な種類であり得る。
【0066】
ある実施例では、組織及び/又は流体は、体腔壁(例えば脈管壁)に接して配置されると、薬剤送達フィーチャと相互作用して薬剤を溶解し、薬剤を液溜めから選択的に放出させることができる。他の実施例では、薬剤送達フィーチャは、ステントが拡張されると、様々な手段によって薬剤を送達するように構成され得る。従って、薬剤送達フィーチャは、薬剤の故意でない損失又は放出を低減しながら薬剤を所望の位置に選択的に送達するための効果的な手段を提供することが期待される。他の実施例では、ステントは、複数の薬剤送達フィーチャ、又は複数の液溜めを備える1つの薬剤送達フィーチャを有することができる。いくつかの実施例では、本技術に従って構成される薬剤送達フィーチャを有するステントは、ステントが治療部位に配置されるまで、被覆物又は液溜めを隠す(例えば引き込む)などの薬剤送達フィーチャを有することができる。目標部位に配置されると、ステントの拡張中及び/又は拡張後に、薬剤送達フィーチャをあらわにする(例えば拡張する/突き出すなど)ことができる。これにより、治療部位への送達中に薬剤送達フィーチャによって運ばれる薬剤のどんな損失も減らすことが期待される。
【0067】
図13及び
図14A~
図14Bに示す実施例は、様々な形状を有する薬剤送達フィーチャなどの突出フィーチャを有していないが、他の実施例は薬剤送達フィーチャを有することができることを理解されたい。例えば、薬剤送達フィーチャは、本明細書で説明する脈管を含む様々な体腔内に配置するためのサイズ及び形状である突出フィーチャを含むことができる。サイズ及び形状は、ステントが配置されることになる体腔の特定の形体(例えば目標組織)との所望の係合又は貫入を実現させるように選択され得る。突出フィーチャは、立方体、正方形、直方体、円柱、円、円錐、ピラミッド、湾曲したスパイク、又は他の尖った形状を含むがこれらに限定されない、いくつかの形状を有することができる。これらの形状はいずれも、平らな、鈍い、尖った、及び/又は鋭い遠位部分を有することができる。
【0068】
ある実施例では、ステントはさらに、ステント、スキャフォールド、又は外表面積の少なくとも一部を覆う薬剤送達フィーチャを有する他の構造体を覆って配置される材料(例えばPTFE、ダクロン、ナイロン及び/又はポリウレタン系材料などのポリアミド、シリコーンなど)を有することができる。ある実施例では、材料は外表面積全体を覆う。材料は、メッシュ又は編組であり得る。ある実施例では、材料は、ステントの表面積を増加させるように構成されてもよく、これは薬剤でコーティングするためにステントにさらなる表面積をもたらすのに有用である。他の実施例では、材料はさらに、血流がステントの内径を通ることを可能にし、且つ/又は血流をステントの外径までに制限するように構成され得る。さらなる実施例では、材料は、流体の流れ(例えば、血流)と薬剤送達位置との間に障壁を作り出すことができる。さらに材料は、体腔の壁からの残渣が血流に入るのを防ぐように構成され得る。かかる実施例では、関連するシステム及びデバイスは、手技中に穿孔が生じた可能性のある領域の一時的な切離部分の追跡又は填補に使用することができる。
【0069】
図15は、チャンバ1540及び体腔510内で展開された状態の薬剤送達フィーチャ1590を備え、本技術の実施例に従って構成されたステント1500の部分的な概略側面図である。図示された実施例では、ステント1500は、外層1520(例えばカバー)及び内層1530(例えばライナ)で覆われている。外層1520及び内層1530はそれぞれ、ポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、Pebex(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、又はそれらの組合せを含む材料から形成することができる。ある実施例では、それぞれの層は、同じ材料で形成される。他の実施例では、それぞれの層は、相異なる材料で形成される。
【0070】
図示の実施例では、外層1520は内層1530と隣接しており、脈管壁内に送達するための1種又は複数の薬剤を運ぶように構成されたチャンバ1540を少なくとも部分的に画定する。他の実施例では、ステント1500は、外層1520及び内層1530で形成されるさらなるチャンバを備えることができるか、又はステント1500は、1つ又は複数のチャンバを形成するように構成される、さらなる層を備えることができる。図示されるように、チャンバ1540は、ステント1500の近位区域1500aに入口ポート1550を備える。他の実施例では、ステント1500は、ステント1500の他の区域(例えば遠位区域1500b、及び/又は近位区域1500a)に配置された入口ポート及び/又は出口ポートなどのさらなるポートを備えることができる。
【0071】
チャンバ1540はさらに、チャンバに流体連結され、複数の薬剤送達フィーチャ1590を覆う導管1560をさらに備える。図示するように、導管1560はそれぞれ、末端に出口ポート1580を備える。他の実施例では、出口ポート1580は、導管1560上の他の場所に配置することができる。さらなる実施例では、チャンバ1540及び導管1560は、システム100のコネクタ150に流体連結することができる。コネクタ150は、ポート152(例えば流し込みポート)を介して薬剤を含む流体をチャンバ1540内に注入し、チャンバ1540から流体を放出するように構成され得る。
【0072】
導管1560は、薬剤送達フィーチャ1590が管腔壁に突き刺された後、薬剤をチャンバ1540から出口ポート1580を通して壁内に放出するように構成される。1つ又は複数の導管1560は、薬剤を少なくとも部分的に封じ込み、(例えば、カテーテルを通して関連するステントを送達する際の擦過による)管腔壁内への薬剤の早過ぎる放出がないよう保護することができる。体腔壁(例えば脈管壁)に接して位置する、又は体腔壁内に突き刺されると、組織及び/又は流体は、薬剤送達フィーチャ1590、1つ又は複数の導管1560、及び/又は1つ又は複数の開口1580と相互作用し、チャンバ1540から薬剤を選択的に放出させることができる。他の実施例では、薬剤送達フィーチャ1590は、ステント1500が拡張されると、様々な手段によって薬剤を送達するように構成され得る。従って薬剤送達フィーチャ1590は、薬剤の故意でない損失又は放出を低減しながら薬剤を所望の位置に選択的に送達するための効果的な手段を提供することが期待される。
【0073】
いくつかの実施例では、本技術に従って構成される薬剤送達フィーチャ1590を備えるステント1500は、ステント1500が所望の位置(例えば目標部位又は治療部位)に配置されるまで隠される(例えば引き込まれる)薬剤送達フィーチャ1590、チャンバ1540、導管1560、及び/又は導管の開口1580を備えることができる。治療部位に配置されると、ステント1500の拡張中及び/又は拡張後に、薬剤送達フィーチャ1590、チャンバ1540、導管1560、及び/又は導管の開口1580をあらわにする(例えば拡張する/突き出すなど)ことができる。これにより、治療部位への送達中に薬剤送達フィーチャ1590によって運ばれる薬剤のどんな損失も減らすことが期待される。
【0074】
III.ステント及び他の構造体を送達及び回収する方法、並びに関連するシステム及び方法
図16は、本技術の実施例による、拡張可能な構造体を送達及び回収する方法(「方法1600」)を示す構成図である。拡張可能な構造体は、1つ又は複数の薬剤送達フィーチャを有するステントなどのステントである。方法1600は、ブロック1610で、拡張可能な構造体に取り付けられた安定化ワイヤを使用して、拡張可能な構造体を患者の体内の目標部位まで遠位方向に前進させるステップを含むことができる。先により詳細に説明したように、安定化ワイヤは、外側シャフト及び/又はガイドワイヤが遠位方向に前進する間、及び/又は近位方向に引き込まれる間に、拡張可能な構造体の場所を目標部位に維持するのに適した長さを有し得る。ある実施例では、例えば、体外に配置された安定化ワイヤの一部を作動させることにより、安定化ワイヤの場所が維持される。ある実施例では、方法1600は、0.36mm(0.014インチ)のガイドワイヤなどのガイドワイヤを目標部位に送達するステップをさらに含む。例えば、ガイドワイヤを、送達カテーテルなどの内側シャフト内に挿入することができ、次いでガイド・カテーテル、導入器シースなどの外側シャフト内に挿入することができる。
【0075】
方法1600は、ブロック1620で、取り付けられた安定化ワイヤ及びガイドワイヤを使用して、血管内の目標部位に拡張可能な構造体を配置するステップを含む。ステントを配置するステップは、外側シャフトを、場合によっては以前に別の手技(例えば経皮的血管形成術)を受けていた可能性がある治療部位まで前進させるステップをさらに含む。ある実施例では、ステントは、X線透視による案内を使用して配置され、臨床医が目標部位に位置合せできるマーカを備えることができる。
【0076】
方法1600は、ブロック1630で、拡張可能な構造体を、取り付けられた安定化ワイヤを係合させながら、薄型の送達状態から、目標部位で拡張され展開された状態へと変形させるステップを含む。例えば、好適な視覚化技法を使用して、ステントの遠位端部にある1つ又は複数のX線造影マーカが検出されるまで、外側シャフトを近位方向に引き込むことができる。遠位端部が見えるようになった後、安定化ワイヤに連結された固定機構を使用して、安定化ワイヤを適位置に固定することができる。ある実施例では、固定機構を調整して、安定化ワイヤ及び安定化ワイヤに取り付けられたステントの固定場所を維持し、一方外側シャフト(及び任意選択で内側シャフト)を、近位方向に引き込み(及び任意選択で遠位方向に前進させ)、体腔から取り外すことができる。
【0077】
ステントが目標部位に送達され、拡張された後、任意の数の標準技法を使用して、バルーンの遠位部分がステントの遠位部分に位置合せされるまで、ガイドワイヤ上にバルーンを挿入することにより、バルーンを、拡張されたステントの内腔の少なくとも一部の中に送達することができる。例えば、バルーンは、X線透視による案内を使用して視覚化され得る遠位のX線造影マーカを備えることができる。ある実施例では、バルーンは、経皮的経管的血管形成バルーン(例えば、0.36mm(0.014インチ)のガイドワイヤ上で約4mm×約60mm)であり得る。ブロック1630に関して論じたように、安定化ワイヤは、バルーンを送達し、拡張(例えば膨張)させ、潰し(例えば収縮させ)、そして引き抜く間、拡張されたステントの場所を維持する位置に固定することができる。
【0078】
方法1600は、ブロック1640で、拡張された構造体に取り付けられた安定化ワイヤ及びガイドワイヤに沿って、目標部位に回収カテーテルを送達するステップを含む。例えば、回収カテーテルを、回収カテーテルが体腔に送達されるときに、先端部の開口などの遠位部分の開口に流体連結された溝が、安定化ワイヤ及びガイドワイヤを運ぶように送達することができる。ある実施例において、回収カテーテルの遠位部分の位置を視覚化するためにX線透視を使用して、回収カテーテルを目標部位に送達することができる。
【0079】
方法1600はまた、ブロック1650で、拡張された構造体を覆って回収カテーテルを遠位方向に前進させて、拡張可能な構造体を潰し、少なくとも部分的に再び覆うステップを含む。ある実施例では、回収カテーテルの先端部の遠位端部は、目標部位で拡張されたステントの近位部分と係合し、ステントを少なくとも部分的に潰すことができる。回収カテーテルを、例えば、潰れたステントが回収カテーテルの遠位部分内に再び覆われるまで、遠位方向に前進させることができる。例えばステントの近位部分及び遠位部分上に配置された1つ又は複数のX線造影マーカを視覚化して、回収カテーテルの遠位部分に連結される1つ又は複数のX線造影マーカの視覚化された近位など、ステントがいつ回収カテーテルの遠位部分内に再び覆われるかを判定することができる。
【0080】
方法1600は、ブロック1660で、安定化ワイヤ及びガイドワイヤを引き込むことにより、回収カテーテル内の潰れた拡張可能な構造体を目標部位から進めるステップをさらに含む。方法1600は、ブロック1660の後、回収カテーテルを体腔から引き抜いて、回収カテーテル内に覆われた潰れたステントを取り外すステップも含むことができる。任意選択で、方法1600は、任意の数の管腔内技法を使用することにより、目標部位へ第2のステント及び/又は第2のバルーンを送達するステップなどを継続することができる。
【0081】
IV.ステント及び他の構造体、並びに関連するシステム及び方法の、さらなる実施例
本明細書で説明する実施例は、脈管構造などの体腔内の特定の領域に薬剤を送達し、一方で流体(例えば血液)が、依然として構造体及び/又は他のデバイス若しくは治療手段が隣接する体腔内に配置された治療エリアを通って流れることを可能にする手段を有する1つ又は複数の構造体の送達システムを提供する。ある実施例では、本技法に従って構成されるシステム(例えばシステム100)の1つ又は複数の領域が送達され、展開され、配置され、且つ/又は体腔から取り外される間、流体が、治療エリアを通って流れることが一時的に妨げられる。さらに送達システムは、治療部位の近位又は遠位で、ステントを傾斜させる、ステントを引っ張る、ステントを回す、又はそれらの組合せによって、体腔に治療の準備をさせるように構成され得る。他の実施例では、送達システムは、機械的な力が加えられたときにステントを回転させるように構成され得る。
【0082】
本明細書に開示されるシステムは、関連するステント又は他の構造体の調整、再取込、及び/又は再展開、並びに/或いは異なるステント又は他の構造体の展開を可能にし、施術者がより効果的に、所望の領域をより正確且つ慎重に治療することを可能にし得る。いくつかの実施例では、ステント又は他の送達構造体を、一時的な期間(例えば24時間未満)に展開し、次いで引き込み、取り外すことができる。こうした実施例では、薬剤送達フィーチャは、管腔壁と係合し、且つ/又は突き刺し、ステント又は他の送達構造体が取り外された後も管腔壁の中に留まるか、又はステント又は他の送達構造体と共に引き込まれ取り外され得る。ステントは、送達システムから展開されると、自己拡張する又は部分的に自己拡張するように構成され得る。またステントは、バルーンがステントの中で膨張すると、体腔内でさらに拡張するようにも構成され得る。ステントは、体腔から取り外されるとき、後に拡張するようにも構成され得る。他の実施例では、ステント又は他の送達構造体を、一時的な長い期間(例えば2週間未満、1ヶ月未満、6ヶ月未満、1年未満)展開し、次いで引き込み、取り外すことができる。ある実施例では、別のステント又は送達構造体を、最初のステント又は送達構造体が引き込まれ取り除かれた後に展開することができる。別のステント又は送達構造体を展開する前の、展開期間及び取外し後の期間は、数分から数時間、数日、数週間、数ヶ月、又は数年まで様々であり得る。こうした実施例では、最初のステント又は送達構造体の取外し及び別のステント又は送達構造体の展開は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回行われ得る。さらに、本明細書で説明する実施例は、現在利用可能なバルーンよりも薄型のシステムを可能にし得る。
【0083】
本技術に従って構成される本明細書で説明する実施例及び他の実施例では、ステント及び他の拡張可能な構造体は、目標位置に薬剤を送達するように構成されていない展開可能及び/又は拡張可能なフィーチャなどの非薬剤送達フィーチャを有することができる。例えば、本技術に従って構成されるステント及び他の拡張可能な構造体は、1つ又は複数の薬剤送達フィーチャ、1つ又は複数の非薬剤送達フィーチャ、又はそれらの組合せを備えることができる。
【0084】
本明細書で説明するステント及び/又は構造体の多くの実施例は、ステントを含む一方で、ステント及び/又は構造体などの拡張可能な要素のさらなる実施例は、非薬剤溶出性ステント及び/又は非薬剤溶出性構造体を含むことができる。こうした実施例では、非薬剤溶出性ステントは、スパイクなどの1つ又は複数の突出する部材を備えることができる。スパイクは、体腔又は脈管の一部と係合し、且つ/又は貫入するように構成され得る。例えば、スパイクは、脈管壁に貫入し、それにより、脈管壁の弾性を低下及び/又はなくすることができる。こうした実施例では、突出する部材は、脈管壁が体腔に向かって内向きに動き、脈管壁内の流れを限定及び/又は制限することを防ぐように構成され得る。突出する部材を、ストラットと一体に形成するか、又はストラットの表面上に配置して、ストラットから目標組織に向かって径方向外向きに延出させることができる。
【0085】
V.さらなる実例
以下の実例は、本技術のいくつかの例示的な実施例である。
1.
コネクタ内腔を有するコネクタと、
コネクタの遠位端部及び外側シャフト・ハブに固定的に連結され、外側シャフト内腔を有する、細長い外側シャフトと、
外側シャフト内腔及びコネクタ内腔の中に摺動可能に配置され、プッシャ・シャフト・ハブに固定的に連結され、第1のプッシャ・シャフト内腔及び第2のプッシャ・シャフト内腔を有する、細長いプッシャ・シャフトと、
第1のプッシャ・シャフト内腔の中に摺動可能に配置され、内腔を有する細長い内側シャフトと、
第2のプッシャ・シャフト内腔の中に摺動可能に配置され、患者の体内の目標位置に送達するようシステムによって運ばれるステントの近位端部に固定的に連結されるステント・シャフトと
を有するステント・システム。
2.内側シャフト内腔の中に摺動可能に配置されるバルーンをさらに有する、実例1のシステム。
3.外側シャフトに固定的に連結される力要素をさらに有する、実例1及び2のシステム。
4.要素は、外側シャフト上で、外側シャフト・ハブから遠位方向に配置される、実例1から3までのシステム。
5.コネクタは、コネクタ内腔に連結されたポートをさらに有する、実例1から4までのシステム。
6.外側シャフト・ハブは、外側シャフト上で、コネクタから遠位方向に配置される、実例1から5までのシステム。
7.プッシャ・シャフト・ハブは、外側シャフト上で、コネクタから近位方向に配置される、実例1から6までのシステム。
8.ステント・シャフトに固定的に又は摺動可能に連結されるステント・シャフト・ハブをさらに有する、実例1から7までのシステム。
9.ステント・シャフト・ハブは、ステント・シャフト上で、コネクタから近位方向に配置される、実例1から8までのシステム。
10.プッシャ・シャフト・ハブは、プッシャ・シャフト上で、ステント・シャフト・ハブから遠位方向に配置される、実例1から9までのシステム。
11.プッシャ・シャフト・ハブは、第1の結合フィーチャをさらに有し、ステント・シャフト・ハブは、第2の結合フィーチャをさらに有し、第1の結合フィーチャは、第2の結合フィーチャと係合するサイズ及び形状である、実例1から10までのシステム。
12.第1の結合フィーチャは、第2の結合フィーチャに係合される、実例1から11までのシステム。
13.内側シャフト内腔は、部分的に内側シャフトで覆われる、実例1から12までのシステム。
14.第2のプッシャ・シャフト内腔は、プッシャ・シャフトの一部で部分的に覆われる、実例1から13までのシステム。
15.内側シャフト内腔の中に摺動可能に配置されるガイドワイヤをさらに有する、実例1から14までのシステム。
16.内側シャフトは、ガイドワイヤ・チューブである、実例1から15までのシステム。
17.要素は、歪み緩和収縮チューブである、実例1から16までのシステム。
18.ステントは、
複数のストラット又はワイヤを備える、径方向に拡張可能な円筒形フレーム又は編組メッシュと、
1つ又は複数のストラットによって装備される複数の突出フィーチャと
を有する、実例1から17までのシステム。
19.複数の突出フィーチャは、第1のストラットによって装備される突出フィーチャの第1の組と、第2の別のストラットによって装備される突出フィーチャの第2の組とを有する、実例1から18までのシステム。
20.複数の突出フィーチャは、ストラットに取り付けられる、分離した個別の構成要素である、実例1から19までのシステム。
21.複数の突出フィーチャは、その中に一体に形成された液溜めを有する、実例1から20までのシステム。
22.複数の突出フィーチャ、ステント、又はその組合せが、基材でコーティングされる、実例1から21までのシステム。
23.ステントは、X線造影マーカをさらに有する、実例1から22までのシステム。
24.ステント、ステントの一部、複数の突出フィーチャ、複数のフィーチャの一部、複数のフィーチャのそれぞれの一部、又はその組合せは生物分解性である、実例1から23までのシステム。
25.患者の体腔内でステントを送達、展開、及び再捕獲するシステムであって、
ステントの少なくとも一区域を覆うように構成される細長い外側シャフトと、
外側シャフトを近位方向に引き込み、且つ/又は遠位方向に前進させるように構成される外側シャフト・ハブ、及びステントを遠位方向に前進させるように構成される細長いプッシャ・シャフトと、
プッシャ・シャフトを近位方向に引き込み、且つ/又は遠位方向に前進させるように構成されるプッシャ・シャフト・ハブと
を有し、ここでステントは、薄型の送達状態と拡張され展開された状態との間で変形するように構成され、展開された状態で、1つ又は複数のストラットによって装備される複数の突出フィーチャは、ストラットから離れて径方向外方へ延出し、体腔の第1の部分と係合するように構成される、システム。
26.体腔内にガイドワイヤを配置するように構成され、部分的に密閉された内側シャフト内腔を有し、ガイドワイヤを解放するよう部分的に構成される、細長い内側シャフトをさらに有する、実例25のシステム。
27.ガイドワイヤは、第1のカテーテルをシステムから取り外すために解放し、システム内に第2のカテーテルを挿入するように構成される、実例25及び26のシステム。
28.ステントは自己拡張する、実例25から27までのシステム。
29.ステントは、送達状態と展開された状態との間でステントを変形するために、機械的に作動するように構成される、実例25から28までのシステム。
30.ステントの内腔の中に配置されたときに膨張するように構成されるバルーンをさらに有する、実例25から29までのシステム。
31.バルーンが膨張したときに、ステントは送達状態から展開された状態に変形する、実例25から30までのシステム。
32.外側シャフトの第1が、外側シャフトの第2の部分上で潰れるのを防ぐように構成される歪み緩和要素をさらに有する、実例25から31までのシステム。
33.プッシャ・シャフトは、ステントが送達状態から展開された状態へ変形する間に、ステントが近位方向に進むのを防ぐように構成される、実例25から32までのシステム。
34.ステント・シャフトと、ステント・シャフトに固定的に連結され、ステントの場所を維持するように構成されるステント・シャフト・ハブとをさらに有する、実例25から33までのシステム。
35.ステントはさらに、展開された状態から薄型の取外し状態に変形するように構成され、取外し状態では、複数の突出フィーチャはストラットに向かって内側へ引っ込み、外側シャフトはステントを再び覆うように構成される、実例25から34までのシステム。
36.ステントが展開状態から取外し状態に遷移するとき、ステント・シャフト・ハブは遷移中にステントの場所を維持する、実例25から35までのシステム。
37.患者の体腔内でステントを送達及び展開する方法であって、
ステントを覆う細長いシャフトを、血管内で患者の体腔内の標的治療部位に送達するステップと、
ステントを少なくとも部分的に外すために、細長いシャフトを近位方向に引き込むステップと、
薄型の送達状態にあるバルーンを、遠位方向に、ステントの内腔の中へ前進させるステップと、
バルーンを薄型の送達状態から膨張した状態に変形することにより、ステントを拡張された状態へ、径方向に拡張するステップと、
1つ又は複数の突出フィーチャで、患者の内腔の壁の一部を貫いて突き刺すステップと
を有し、このステントは、
複数のストラットを備える径方向に拡張可能な円筒形フレームと、
1つ又は複数のストラットによって装備され、患者の体腔内の治療部位に薬剤を送達するように構成される複数の突出フィーチャと
を有する、方法。
38.細長いシャフトの内腔を通してステントの近位端部に連結されたプッシャ・シャフトを遠位方向に前進させることにより、標的治療部位にステントを配置するステップをさらに有する、実例37の方法。
39.細長いシャフトの内腔からプッシャ・シャフトを取り外すステップをさらに有する、実例37及び38の方法。
40.ステントを、拡張された状態から薄型の状態に、径方向に潰すステップをさらに有する、実例37から39までの方法。
41.細長いシャフトの内腔の中にプッシャ・シャフトを配置するステップと、プッシャ・シャフトの遠位末端をステントの近位端部と係合するステップと、ステントを内腔から取り外すステップとをさらに有する、実例37から40までの方法。
42.細長いシャフトを遠位方向に前進させて潰れたステントを覆うステップと、細長いシャフトを近位方向に引き込むステップとをさらに有する、実例37から41までの方法。
43.複数の突出フィーチャのうちの1つ又は複数が、患者の体腔の壁の一部を突き刺した後にフレームから分離する、実例37から42までの方法。
44.複数の突出フィーチャが、その中に一体に形成された液溜めを有し、且つ/又は複数の突出フィーチャ、ステント、又はその組合せが、凝固を防ぐ、ステントの閉塞を防ぐ、又はその組合せのために、その中に運ばれた薬剤を患者に送達するように構成される基材でコーティングされる、実例37から43までの方法。
45.フレームは、ステントに連結され、ステントの長さに沿って延在するチャンバを有する、実例37から44までの方法。
46.複数の突出フィーチャのうちの1つ又は複数が、液溜め、チャンバ、又はその組合せに流体連結された導管を備える、実例37から45までの方法。
47.フレームが体腔内で拡張された状態にあるとき、ステントは、1種又は複数の物質が、液溜め、チャンバ、又はその組合せから、薬剤送達フィーチャの導管のうちの少なくとも1つ及び壁を通って流れることを可能にするように構成される、実例37から46までの方法。
48.拡張可能な要素の送達システムであって、
コネクタ内腔を有するコネクタと、
外側シャフト・ハブと、
コネクタの遠位端部及び外側シャフト・ハブに固定的に連結され、外側シャフト内腔を有する、細長い外側シャフトと、
細長い外側シャフトの遠位部分を使って運ばれ、患者の体内の目標位置に送達されるように構成される、拡張可能な要素と、
外側シャフトの内腔の中に摺動可能に配置され、コネクタの開口を通って延出し、その遠位部分が拡張可能な要素と固定的に連結される細長い位置決めシャフトと、
外側シャフトの内腔の中に摺動可能に配置される、細長い内側シャフトと
を有する、送達システム。
49.内側シャフトは、ガイドワイヤの内腔を有する、実例48の送達システム。
50.ガイドワイヤの内腔の中に摺動可能に配置されるガイドワイヤをさらに有する、実例49の送達システム。
51.拡張可能な要素は、
複数のストラット又はワイヤを備える、径方向に拡張可能な円筒形フレーム又は編組メッシュと、
1つ又は複数のストラットによって装備される複数の突出フィーチャと
を有する、実例48から50までの送達システム。
52.複数の突出フィーチャは、第1のストラットによって装備される突出フィーチャの第1の組と、第2の別のストラットによって装備される突出フィーチャの第2の組とを有する、実例51の送達システム。
53.複数の突出フィーチャは、ストラットに取り付けられる、分離した個別の構成要素である、実例51の送達システム。
54.複数の突出フィーチャは、その中に一体に形成された液溜めを有する、実例51の送達システム。
55.複数の突出フィーチャ、ステント、又はその組合せが、少なくとも部分的に素材で被覆される、実例51の送達システム。
56.拡張可能な要素は、X線造影マーカをさらに有する、実例48から55までの送達システム。
57.X線造影マーカは、細長い位置決めシャフトの近位部分、細長い位置決めシャフトの遠位部分、又はその組合せ上に配置される、実例56の送達システム。
58.位置決めシャフトは、安定化シャフトである、実例48から57までの送達システム。
59.拡張可能な要素、拡張可能な要素の一部、複数の突出フィーチャ、複数のフィーチャの一部、複数のフィーチャのそれぞれの一部、又はその組合せは生物分解性である、実例48から58までの送達システム。
60.細長い位置決めシャフトは、拡張可能な要素の場所を、治療中に患者の体内の目標位置で維持するように構成される、実例48から59までの送達システム。
61.細長い位置決めシャフトは、細長い外側シャフト、細長い内側シャフト、別のシャフト、又はその組合せが、患者の体内で血管内に配置される間、拡張可能な要素の場所を維持するように構成される、実例48から60までの送達システム。
【0086】
単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、1つだけを意味するものではなく、複数を意味することを意図している。例えば、「a」モジュールは複数のモジュールを指す場合がある。「a」、「an」、「the」、又は「said」で始まる要素は、他の制約がなければ、さらなる同じ要素の存在を排除しない。
【0087】
見出し及び小見出しは、もしあれば、便宜上でのみ使用され、発明を限定しない。単語「例示的な」の使用は、実例又は説明として役立つことを意味する。用語「含む」、「持つ」などが使用される範囲内において、かかる用語は、「有する」という用語が、「有する」がクレームの中で転換語として使用されるときに解釈されるのと同様の形で、包括的であることを意図している。「第1の」及び「第2の」などの関係語を使用して、実在物又は動作間の、どんな実際のかかる関係又は順序も必ずしも必要とする又は暗示することなく、1つの実在物又は動作を別の実在物又は動作と区別することができる。
【0088】
「態様」、「前記態様」、「別の態様」、「いくつかの態様」、「1つ又は複数の態様」、「実施態様」、「前記実施態様」、「別の実施態様」、「いくつかの実施態様」、「1つ又は複数の実施態様」、「実施例」、「前記実施例」、「別の実施例」、「いくつかの実施例」、「1つ又は複数の実施例」、「構成」、「前記構成」、「別の構成」、「いくつかの構成」、「1つ又は複数の構成」、「本技術」、「開示」、「本開示」、それらの他の変形などのフレーズは、便宜上のものであり、かかるフレーズに関係する開示が本技術にとって不可欠であること、又はかかる開示が本技術のすべての構成に適用されることを暗示するものではない。かかるフレーズに関係する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に適用され得る。かかるフレーズに関係する開示は、1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「態様」又は「いくつかの態様」などのフレーズは、1つ又は複数の「態様」を指すことができ、逆もまた同様であり、これは他の前述のフレーズにも同様に適用される。
【0089】
一連の項目の前にある「少なくとも1つの」というフレーズは、その項目のいずれかを区切る用語「及び」又は「又は」を伴って、リストの各要素ではなく、リスト全体を修飾する。フレーズ「少なくとも1つの」は、少なくとも1つの項目を選択することが必要であるのではなく、むしろこのフレーズにより、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、項目の任意の組合せの少なくとも1つ、及び/又はそれぞれの項目の少なくとも1つを含むことを意味することができる。実例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」というそれぞれのフレーズは、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、A、B、及びCの任意の組合せ、並びに/或いはA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを指す。
【0090】
開示されたステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、例示的な手法の例であることを理解されたい。特に明記しない限り、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、異なる順序で実行され得ることを理解されたい。一部のステップ、動作、又はプロセスは、同時に実行され得る。添付の方法クレームは、もしあれば、例の順序で、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意味しない。これらは、順次、連続的に、並列に、又は異なる順序で実行され得る。説明している命令、動作、及びシステムは一般に、単一のソフトウェア/ハードウェア製品に一体に統合され得るか、複数のソフトウェア/ハードウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0091】
一態様では、「連結される」などの用語は、直接連結されることを指し得る。別の態様では、「連結される」などの用語は、間接的に連結されることを指し得る。
【0092】
「上部」、「底部」、「前部」、「後部」、「側部」、「水平の」、「垂直の」などの用語は、通常の重力による基準構成ではなく、任意の基準構成を指す。従って、かかる用語は、重力による基準構成の中で上方向、下方向、斜め方向、又は水平方向に延出する場合がある。
【0093】
開示は、当業者のだれもが本明細書で説明する様々な態様を実施できるようにするために提供される。場合によっては、本技術の概念を不明瞭にしないために、よく知られた構造体及び構成要素を構成図形式で示す。開示は、本技術の様々な実例を提供し、本技術は、こうした実例に限定されない。こうした態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなろう。そして本明細書で説明する原理は、他の態様に適用される可能性がある。
【0094】
当業者に知られている、又は後に当業者に知られるようになる開示全体にわたって説明する様々な態様の要素に対する、すべての構造的及び機能的同等物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図している。さらに、本明細書で開示するものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公共に捧げられることを意図しない。クレーム要素は、その要素がフレーズ「~する手段」を使用して明示的に列挙されていない限り、又は方法クレームの場合、その要素がフレーズ「~するステップ」を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条6項に基づいて解釈されるべきではない。
【0095】
名称、背景、図面の簡単な説明、要約、及び図面は、ここに開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。これらがクレームの範囲又は意味を制限するために使用されないであろうことを理解して、提出する。さらに、詳細な説明において、説明は例示的な実例を提供し、様々な特徴は、開示を合理化するために様々な実施態様で一体にグループ化されていることがわかる。開示の方法は、請求された主題が、各クレームに明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作のすべての特徴より少ない部分にある。特許請求の範囲は、ここに詳細な説明に組み込まれ、各クレームは、別個に請求される主題としてそれ自体で成り立つ。
【0096】
特許請求の範囲は、本明細書で説明する態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の言語と一致する全範囲が認められるべきであり、すべての法的同等物を包含すべきである。それにもかかわらず、クレームのいずれも、当該の特許法の要件を満たさない主題を包含することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。