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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】外添剤粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/22 20060101AFI20250610BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20250610BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20250610BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20250610BHJP
   C08F 8/12 20060101ALI20250610BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
C08F2/22
G03G9/097 372
G03G9/097 374
C08F230/08
C08F212/08
C08F8/12
C08G77/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020207879
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094792
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】白川 潤
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晶夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 圭
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和香
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 幸雄
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139138(JP,A)
【文献】特開2017-128706(JP,A)
【文献】特開平04-013704(JP,A)
【文献】特開2016-142787(JP,A)
【文献】特開2015-161858(JP,A)
【文献】特開2011-090297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/22
G03G 9/097
C08F 230/08
C08F 212/08
C08F 8/12
C08G 77/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含む外添剤粒子の製造方法であって、
前記製造方法が、
6.0≦pH≦8.0の条件下で、乳化剤の存在下において、下記式(2)で示される化合物である、カルボキシ基を有するラジカル重合開始剤を用いて、下記式(3)で示される化合物を含有するモノマー原料のラジカル重合反応を行うラジカル重合工程、及び
前記ラジカル重合工程の後、下記式(3)中の加水分解性基Xの、加水分解反応及び重縮合反応を行い、ポリマーを含む粒子を得る縮合工程、
を含み、
該乳化剤が、ラジカル重合性カルボン酸、ラジカル重合性カルボン酸塩及びp-スチレンスルホン酸ナトリウムからなる群より選択されるいずれかの化合物である、ことを特徴とする外添剤粒子の製造方法。



(式(2)中、R は、炭素数1~12のアルキレン基である。)
SiX4-m ・・・ (3)
(式(3)中、Xは加水分解性基であり、mは1~3の整数であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~20の有機基であり、Rのうち少なくとも1つがラジカル重合性基である。)
【請求項2】
前記式(3)中の加水分解性基Xが、アルコキシ基である請求項1に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項3】
前記式(3)で示される化合物が、下記式(1)で示される化合物である請求項1に記載の外添剤粒子の製造方法。
【化2】

(式(1)中、Rは、炭素数1~10のアルキレン基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基の何れかであり、R’は、水素又はメチル基である。)
【請求項4】
前記外添剤粒子中の炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対して、ケイ素原子の原子数の割合が、4.0%以上25.0%以下である、
請求項1~の何れか一項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項5】
前記外添剤粒子中の炭素原子の原子数の割合が、前記外添剤粒子中のケイ素原子の原子数に対して、6.5以上である請求項1~の何れか一項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマーを含む粒子をアミン化合物で表面処理を行う工程、を有する請求項1~の何れか一項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項7】
前記アミン化合物がアミノシランである請求項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項8】
前記外添剤粒子の表面に対してX線光電子分光分析をおこなったとき、
炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対して、窒素原子の原子数の割合が、1.0%以上2.5%以下である、
請求項1~の何れか一項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項9】
前記外添剤粒子の体積分布基準の50%粒径をD50としたとき、
前記D50が、50nm以上200nm以下である請求項1~の何れか一項に記載の外添剤粒子の製造方法。
【請求項10】
前記乳化剤が、4-ビニル安息香酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム又はp-スチレンスルホン酸ナトリウムである請求項1~の何れか一項に記載の外添剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外添剤粒子及びその製造方法、並びにトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真法を用いた画像形成装置には、更なる高速化、高画質化が要求されている。これらの要求に伴い、現像装置内での摺擦に長時間耐える耐ストレス性を持ち、且つ高速の印字においても高画質を得るため、優れた流動性・現像性を有するトナーが検討されている。
【0003】
特許文献1では、トナー用添加剤として有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を有する有機質-無機質複合体粒子の製造方法が開示されている。該トナー用添加剤をトナーに含有させることにより、トナーの転写特性等が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-197706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法で製造された粒子が外添されたトナーについて本発明者らが検討した結果、トナーの流動性についてより一層の改善が必要であることを認識した。
【0006】
本発明の一態様は、優れた流動性を有し得るとともに、連続した画像出力を行った場合においても流動性が変化しにくいトナーを与える外添剤粒子及びその製造方法の提供に向けたものである。
【0007】
また、本発明の他の態様は、優れた流動性を有し得るとともに、連続した画像出力を行った場合においても流動性が変化しにくいトナーの提供に向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ポリマーを含む外添剤粒子の製造方法であって、
前記製造方法が、
6.0≦pH≦8.0の条件下において、カルボキシ基を有するラジカル重合開始剤を用いて、下記式(3)で示される化合物を含有するモノマー原料のラジカル重合反応を行うラジカル重合工程、及び
前記ラジカル重合工程の後、下記式(3)中の加水分解性基Xの、加水分解反応及び重縮合反応を行い、ポリマーを含む粒子を得る縮合工程、
を含む外添剤粒子の製造方法が提供される。
【0009】
SiX4-m ・・・ (3)
(式(3)中、Xは加水分解性基であり、mは1~3の整数であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~20の有機基であり、Rのうち少なくとも1つがラジカル重合性基である。)
また、本発明の他の態様によれば、ポリマーを含む外添剤粒子の製造方法であって、
前記製造方法が、
6.0≦pH≦8.0の条件下において、ラジカル重合性カルボン酸及びラジカル重合性カルボン酸塩の少なくとも一方、並びに、下記式(3)で示される化合物、を含有するモノマー原料のラジカル重合反応を行うラジカル重合工程、
前記ラジカル重合工程の後、下記式(3)中の加水分解性基Xの、加水分解反応及び重縮合反応を行い、ポリマーを含む粒子を得る縮合工程、
を含む外添剤粒子の製造方法が提供される。
【0010】
SiX4-m ・・・ (3)
(式(3)中、Xは加水分解性基であり、mは1~3の整数であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~20の有機基であり、Rのうち少なくとも1つがラジカル重合性基である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、優れた流動性を有し得るとともに、連続した画像出力を行った場合においても、優れた流動維持性を維持し得るトナーを与える外添剤粒子を得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、連続した画像出力を行った場合においても、優れた流動維持性を維持し得るトナーを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0013】
<発明に至った経緯>
特許文献1に係る製造方法で製造された粒子を外添したトナーの流動性についてより一層の改善が必要である理由を本発明者らは以下のように考えている。
【0014】
特許文献1に係る製造方法で製造された粒子を外添したトナーは流動性が十分でない場合があることを発見した。該製造方法においては、ケイ素に結合した加水分解性基の加水分解及び重縮合を行った後にビニル基の重合を行うため、主骨格がポリシロキサン骨格である粒子が形成されると考えられる。粒子の主骨格が無機の骨格であるため、トナー粒子への付着力が十分でない場合があり、該粒子がトナー粒子の表面から離れやすくなることが、トナーの流動性低下の一因であると本発明者らは考えている。
【0015】
そこで本発明者らは、ビニル重合を行った後に、加水分解及び重縮合を行う製造方法によって得られる、主骨格がビニル重合体の分子鎖である粒子を検討したところ、該粒子がトナー粒子から離れにくくなり、トナーの流動性について一定の改善が見られた。しかしながら、連続した画像出力を行った場合におけるトナーの流動性の経時的な変化、即ちトナーの流動維持性については、更なる改善の余地があった。
【0016】
上記の考察に基づき本発明者らが鋭意検討した結果、上記の構成要件を有する製造方法により製造される外添剤粒子を外添したトナーは、優れた流動性を有し得るとともに、優れた流動維持性を有し得るトナーが得られやすいことを見出した。以下に、効果発現の推測メカニズム、及びそれぞれの構成要件について詳細に説明する。
【0017】
<本発明の効果が発現する推測メカニズム>
式(3)で示される化合物を含有するモノマー原料を用いて、ラジカル重合を行った後、加水分解及び重縮合を行うことで、ビニル系重合体の分子鎖が主骨格のポリマーが得られ、且つ該分子鎖がシロキサン結合を介して結合した構造が該ポリマーに含有される。
【0018】
ポリマーの主骨格がビニル系重合体の分子鎖であることで、トナー粒子への付着力が大きくなりやすい。また、ビニル系重合体の分子鎖がシロキサン結合を介して結合した構造を有することで、外添剤粒子の機械的強度が大きくなりやすく、塑性変形が生じにくくなると考えられる。
【0019】
その結果、上記ポリマーを含む外添剤粒子は、トナー粒子から離れにくく、塑性変形が生じにくくなると考えられるため、優れた流動性を有するトナーが得られやすい。
【0020】
また、本発明に係る外添剤粒子の製造方法において、下記の(i)及び(ii)の少なくとも一方により、製造される外添剤粒子の表面領域にカルボキシ基が含有されると考えられる。
(i)ラジカル重合工程においてカルボキシ基を有するラジカル重合開始剤を用いる。
(ii)モノマー原料として、ラジカル重合性カルボン酸及びラジカル重合性カルボン酸塩の少なくとも一方を用いる。
【0021】
外添剤粒子の表面領域にカルボキシ基が含有されることで、トナー粒子表面に存在する静電相互作用が可能な部分と強く相互作用しやすくなり、トナー粒子の表面から外添剤粒子がより離れにくくなると本発明者らは推測している。その結果、連続した画像出力を行った場合においても、優れた流動維持性を有し得るトナーが得られやすくなる。
【0022】
<外添剤粒子の製造方法>
本発明に係る外添剤粒子の製造方法は、ラジカル重合性基と、加水分解及び重縮合によりシロキサン結合を形成する加水分解性基と、の両方を含む、下記式(3)で示される化合物を用いてラジカル重合反応を行い、その後、加水分解反応及び重縮合反応を行う。
【0023】
SiX4-m ・・・ (3)
(式(3)中、Xは加水分解性基であり、mは1~3の整数であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~20の有機基であり、Rのうち少なくとも1つがラジカル重合性基である。)
加水分解及び重縮合を行う前に、中性条件下でラジカル重合反応を行うことで、ビニル系重合体の分子鎖が主骨格であるポリマーが得られる。また、該ラジカル重合反応によってビニル系重合体の分子鎖が形成された後に、加水分解及び重縮合を行うことで、ビニル系重合体の分子鎖がシロキサン結合を介して結合した構造を有するポリマーが得られる。また、加水分解反応及び重縮合反応を後に行うことで、水分子との相互作用が生じやすいカルボキシ基が外添剤粒子の表面領域に含有されやすくなると考えられる。
【0024】
上記の加水分解性基の例としては、たとえば、上記の化合物の加水分解後にヒドロキシ基に変換される官能基、又はヒドロキシ基が挙げられる。
【0025】
また、ラジカル重合性基とは、構造中にラジカル反応性の二重結合を有する置換基を意味する。上記式(3)中のRとしては、炭素数1~15の有機基であることがより好ましく、さらに好ましくは、Rは炭素数1~10の有機基である。
【0026】
ここで、ラジカル重合開始剤として、カルボキシ基を有するラジカル重合開始剤を用いることで、外添剤粒子の表面領域にカルボキシ基を含有させられるため好ましい。該ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物であることが好ましい。
【0027】
カルボキシ基を有するラジカル重合開始剤の好適例として、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。下記式(2)で示されるラジカル重合開始剤として用いられる化合物としては、例えば、2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]などが挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
(式(2)中、Rは、炭素数1~12のアルキレン基である。)
また、上記のラジカル重合開始剤を用いること以外に、外添剤粒子の表面領域にカルボキシ基を含有させる方法として、ラジカル重合性カルボン酸及びラジカル重合性カルボン酸塩の少なくとも一方をモノマー原料に含有させることが挙げられる。
【0030】
ラジカル重合性カルボン酸塩としては、例えば以下のものが挙げられる。4-ビニル安息香酸ナトリウム、4-ビニル安息香酸カリウム、4-ビニル安息香酸リチウム、4-ビニル安息香酸マグネシウム、4-ビニル安息香酸カルシウム、4-ビニル安息香酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなど。これらラジカル重合性カルボン酸塩は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
ラジカル重合性カルボン酸としては、4-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
トナーの流動維持性の観点から、上記のラジカル重合性カルボン酸及びラジカル重合性カルボン酸塩の合計質量は、モノマー原料の合計質量に対して、0.4~7.0質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.6~5.0質量%であり、さらに好ましくは、0.6~2.0質量%である。
【0033】
<ラジカル重合反応>
ラジカル重合反応の方法としては、乳化重合法であることが好ましい。乳化重合法は、水等の媒体と、媒体に難溶なモノマーと、乳化剤(界面活性剤)又はイオン性コモノマーとを混合し、そこに上記媒体に溶解可能な重合開始剤を加えて行う重合法である。また、上記の乳化重合法は、界面活性剤を用いずに重合を行う、ソープフリー乳化重合法であることが好ましい。ソープフリー乳化重合法であることで界面活性剤が外添剤粒子の表面に残留せず、トナー粒子と外添剤粒子の親和性を制御しやすいためであると本発明者らは考えている。
【0034】
上記式(3)中の加水分解性基としては、例えば、ヒドロキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アルコキシ基、アシルオキシ基から選ばれる1価の基が挙げられる。好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アセトキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。これらの加水分解性基は、水により加水分解されやすく、続く重縮合反応が起こりやすいため、ポリシロキサン骨格が、外添剤粒子に含有されやすいと考えられる。
【0035】
トナーの流動性及び流動維持性の観点から、上記式(3)で示される化合物は、モノマー原料の合計質量に対して、50~80質量%であることが好ましい。より好ましくは、60~75質量%である。
【0036】
上記式(3)で示される化合物、即ちラジカル重合性基と加水分解性基の両方を含むモノマーの具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0037】
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン化合物、オルガノトリアセトキシシラン、ビス(γ-アクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ-メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン化合物、トリス(γ-アクリロキシプロピル)メトキシシラン、トリス(γ-アクリロキシプロピル)エトキシシラン、トリス(γ-メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、トリス(γ-メタクリロキシプロピル)エトキシシラン、ビス(γ-アクリロキシプロピル)ビニルメトキシシラン、ビス(γ-メタクリロキシプロピル)ビニルメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン等のトリオルガノアルコキシシラン化合物など。
【0038】
上記モノマーのうち、より好ましくは、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランである。
【0039】
上記式(3)で示される化合物は、下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0040】
【化2】
【0041】
(式(1)中、Rは、炭素数1~10のアルキレン基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基の何れかであり、R’は、水素又はメチル基である。)
<ラジカル重合開始剤>
上述したカルボキシ基を有するラジカル重合開始剤以外に、用いることができるラジカル重合開始剤としては、過硫酸塩、アゾ化合物、及び過酸化物から選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられる。
【0042】
過硫酸塩としては例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ラジカル重合工程におけるラジカル重合開始剤の量は、特に限定されないが、原料モノマーの合計質量に対して、0.1~10.0質量%であることが好ましく、好ましくは、0.3~5.0質量%であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤が上記範囲内であることで、ラジカル重合を十分に進行させることができ、且つ反応系中の発熱量が過大になりにくいため好ましい。
【0044】
<ラジカル重合反応の条件>
ラジカル重合させる際の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類や量によって適宜選択可能であり、30~100℃の範囲であることが好ましく、50~80℃の範囲であることがより好ましい。
【0045】
ラジカル重合工程は、6.0≦pH≦8.0の条件下において、ラジカル重合を行う工程である。より好ましくは、6.5≦pH≦7.5である。反応系のpHが上記範囲内であると、ラジカル重合反応の進行中に、加水分解性基の加水分解及び重縮合反応が起こりにくくなると考えられる。ラジカル重合後に、加水分解及び重縮合反応を行うことで、外添剤粒子中のポリシロキサン骨格の割合を制御しやすく、より高い極性を有するカルボキシ基が外添剤粒子の表面領域に含有されやすくなると考えられる。そのため、ラジカル重合反応は、緩衝溶液中で行われることが好ましい。緩衝溶液としては特に制限されず、りん酸緩衝液、MES緩衝液など、中性付近のpHを示す緩衝溶液であればよい。
【0046】
また、ラジカル重合する際に、ラジカル重合性基と加水分解性基の両方を含むモノマーだけでなく、ラジカル重合可能な基を有するその他のモノマーを用いてもよい。
【0047】
その他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマール酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン、α-スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物等のビニル化合物類等が挙げられる。また、ラジカル重合可能な基を2個以上含有するジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のモノマーを用いてもよい。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0048】
<加水分解反応及び重縮合反応>
上記の加水分解反応及び重縮合反応の方法としては特に制限されないが、ラジカル重合して得られた粒子を含むエマルジョンに酸、塩基などの触媒を添加して、そのまま加水分解、重縮合を行い、ポリマーを含む粒子を得ることが好ましい。即ち、上記縮合工程は、上記ラジカル重合工程の後、式(3)中の加水分解性基Xの、加水分解反応及び重縮合反応を行い、縮合物の粒子を得る工程であることが好ましい。また、ラジカル重合して得られた粒子を瀘過、遠心分離、減圧濃縮等の操作を行ってエマルジョンから単離した後、触媒を添加して加水分解、重縮合させてもよい。
【0049】
ラジカル重合反応による粒子形成後の加水分解や重縮合反応をさせるにあたり、酢酸、塩酸、アンモニア、尿素、アルカノールアミン、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の触媒を用いてもよい。
【0050】
重縮合をより促進させる観点からより好ましい触媒としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジイソプロポキシ-ビス(アセチルアセトネート)チタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec-ブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド-ビスアセチルアセトネート等の有機アルミニウム化合物、ジルコニウムテトラブトキシド、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジマレエート等の有機錫化合物、酸性リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、有機錫化合物及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0051】
また、外添剤粒子の製造時に用いる溶媒中には、水や触媒以外の有機溶剤が含有されてもよい。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
加水分解反応及び重縮合反応は、例えば、ラジカル重合反応で作製したエマルジョンに適宜触媒を添加し、0~100℃、好ましくは0~70℃の範囲で、3~24時間攪拌することによって行うことができる。
【0053】
<アミン化合物による表面処理>
出力画像の濃度安定性の観点から、アミン化合物で上記ポリマーを含む粒子の表面処理を行うことが好ましい。該表面処理を行うことで、低湿環境での画像出力において画像濃度がばらつきにくくなることを見出した。この理由については定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
【0054】
摩擦帯電によるトナーの電荷獲得過程においては、外添剤粒子表面やトナー粒子表面に存在する負帯電性の官能基、例えばカルボキシ基等の影響で、トナーには負の電荷が蓄積されやすい。アミン化合物で表面処理を行うことで、該アミン化合物に由来するアミン部が水素イオンを受け取ることで正の電荷を有しやすく、トナー全体として負電荷の過剰な蓄積が生じにくくなると考えられる。その結果、トナーが過剰に帯電されやすくなる低湿環境においても、トナーの過剰帯電が生じにくく、画像濃度がばらつきにくいトナーが得られやすくなると考えられる。
【0055】
該表面処理で用いられるアミン化合物と、上記ポリマーを含む粒子は化学結合していても、していなくてもよい。
【0056】
上記のアミン化合物としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシジメチルシランなどのアミノシランや、ポリアリルアミンなどのアミノ基含有ポリマー、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0057】
アミン化合物を用いた表面処理によって外添剤粒子の表面領域に含有される、アミン部の含有量は、外添剤粒子の表面に対してX線光電子分光分析を行うことにより、確認することができる。また、該表面処理を行った外添剤粒子の表面に対してX線光電子分光分析をおこなったとき、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対して、窒素原子の原子数の割合が、1.0%以上2.5%以下であることが好ましい。窒素原子の原子数の割合が、上記の範囲内であることで、低湿環境において画像濃度がばらつきにくくなることが分かった。
【0058】
また、トナーの帯電性の観点から、外添剤粒子の表面に残存する水酸基の処理や負の帯電量を調節するために、その他の表面処理剤を用いて、外添剤粒子の表面処理を行うことが好ましい。該その他の表面処理剤としては、オルガノアルコキシシランやヘキサメチルジシラザンなどのケイ素化合物、又はテトラブチルチタネートなどのチタン化合物あるいはこれらの加水分解・縮合物が挙げられる。
【0059】
該その他の表面処理剤を用いた表面処理は、上記のアミン化合物を用いた表面処理と同時に行ってもよいし、上記のアミン化合物を用いた表面処理を行った後に行ってもよい。
【0060】
上記の表面処理を行う方法としては、粒子の表面が、上記の表面処理剤で被覆された状態にすることができるものであれば、特に制限されない。例えば、粒子を適当な容器中に投入し、次いで表面処理剤を投入したのち、攪拌しながら室温(25℃±5℃)~100℃程度の温度で3~24時間混合し、接触させることにより行なうことができる。この場合に、表面処理剤をメタノールなどの溶媒に溶解させ、これを徐々に滴下しながら混合・接触を行なうことによりさらに均一に表面処理を行うことができる。なお、粒子の表面に存在する表面処理剤の量は、表面処理剤の種類、表面処理の時間、及び外添剤粒子の粒径等を適宜選択することにより調整することができる。このようにして表面処理した被処理物を、必要に応じて、例えばアルコール等で洗浄処理することにより、不要物が除去された外添剤粒子を得ることができる。
【0061】
<後処理>
上記のようにラジカル重合、加水分解・重縮合、及び表面処理を行って得られる粒子を、瀘過、遠心分離、減圧濃縮、噴霧乾燥、瞬間真空乾燥等の方法を用いてスラリーより単離した後、30~100℃で乾燥処理を行うことが好ましい。より好ましくは30~80℃、さらに好ましくは50~70℃で乾燥処理を行うことが好ましい。該乾燥処理を行うことで、適当な帯電特性、ならびに適当な機械的強度を有する外添剤粒子が得られやすい。
【0062】
<外添剤粒子の物性>
<炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対するケイ素原子の原子数の割合>
外添剤粒子中の炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対して、ケイ素原子の原子数の割合が4.0%以上25.0%以下であることが好ましい。
【0063】
炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計は、上記のビニル系重合体の分子鎖がシロキサン結合を介して結合した構造を有するポリマーがどれだけ存在しているかの指標であると本発明者らは考えている。また、上記の原子数の合計に対するケイ素原子の原子数の割合はシロキサン結合がどれだけ存在しているかの指標であると本発明者らは考えている。
【0064】
上記の割合が4.0%以上であると、ポリマー中にシロキサン結合が十分に形成されていれ、外添剤粒子の塑性変形が生じにくくなると考えられるため、優れた流動性を有するトナーが得られやすい。また、上記の割合が25.0%以下であると、ポリマー中に主骨格としてのビニル系重合体の分子鎖が十分に含有されており、外添剤粒子がトナー粒子から離れにくくなると考えられるため、優れた流動維持性を有するトナーが得られやすい。そのため、25.0%以下であり、20.0%以下であることが好ましく、15.0%以下であることがより好ましく、10.0%以下であることがさらに好ましい。即ち、上記の割合が、4.0%以上10.0%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
また、優れた流動維持性を有するトナーが得られやすいため、外添剤粒子中の炭素原子の原子数の割合が、外添剤粒子中のケイ素原子の原子数に対して、6.5以上であることが好ましい。より好ましくは、7.5以上であり、さらに好ましくは、13.5以上である。上限としては特に制限されないが、トナーの流動性の観点から、20.0以下であることが好ましい。より好ましくは17.0以下である。
【0066】
上記した原子数の割合は、外添剤粒子を構成するポリマーを製造する際の、ケイ素原子を含有するモノマーユニットの種類と量、及びケイ素原子を含有しないモノマーユニットの種類と量などを調整することによって、制御することができる。
【0067】
<外添剤粒子のD50>
外添剤粒子として、適切な体積平均粒径とするため、外添剤粒子の体積分布基準の50%粒径をD50としたとき、該D50が、50nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0068】
<トナー>
本発明に係る外添剤粒子は、トナー粒子の表面に含有されることが好ましい。即ち、本発明の態様の1つとして、トナー粒子及び該トナー粒子の表面の外添剤を含有するトナーであって、該外添剤が、本発明に係る製造方法により製造された外添剤粒子であるトナーであることが好ましい。
【0069】
また、トナー粒子は結着樹脂を含有することが好ましい。該結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0070】
結着樹脂は、保存安定性の観点から、ガラス転移点(Tg)が45~70℃であることが好ましい。
【0071】
<トナー粒子の製造方法>
本発明に係るトナー粒子の製造方法は特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合法、懸濁重合法及び溶解懸濁法などの重合法を用いることができる。
【0072】
粉砕法について説明する。粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する結着樹脂、着色剤、ワックス、荷電制御剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分に混合する。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行う。これによって、本発明に係るトナー粒子が得られる。
【0073】
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニーダールーダー(日本スピンドル社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
【0074】
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
【0075】
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
【0076】
懸濁重合法について説明する。懸濁重合法では、まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機が挙げられる。次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。その後、該液滴中の重合性単量体を重合してトナー粒子を得る(重合工程)。重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、液滴の造粒中や造粒完了後、即ち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。重合性単量体を重合して結着樹脂を得たあと、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー粒子の分散液を得るとよい。
【0077】
<トナー粒子への外添剤粒子の外添方法>
本発明に係るトナーは、トナー粒子と外添剤粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により、混合して得ることができる。
【0078】
混合機としては、例えば、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
【0079】
また、トナー粒子は、その表面に、上記の外添剤粒子を含有するとともに、その他の外添剤を含有することが好ましい。その他の外添剤としては例えば、以下のものが挙げられる。
【0080】
フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等。
【0081】
<トナーの各種添加剤>
トナーは、必要により、着色剤、ワックス、磁性体、荷電制御剤などから選ばれる1種以上の添加剤を含有してもよい。トナーに用いられる各種添加剤について具体的に記載する。
【0082】
<磁性体>
トナーに磁性粒子を含有させ、磁性トナーとしても使用してもよい。この場合、磁性粒子は着色剤としての役割を有していてもよい。
【0083】
磁性トナー中に含まれる磁性粒子としては、以下のものが挙げられる。
【0084】
マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物。
【0085】
上記磁性粒子の平均粒子径が2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。また、上記磁性粒子の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対し、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは結着樹脂100質量部に対し、40質量部以上150質量部以下である。
【0086】
<着色剤>
着色剤としては例えば以下のものが挙げられる。
【0087】
黒色着色剤として、例えば、カーボンブラック、グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの。
【0088】
イエロー着色剤として、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物。
【0089】
マゼンタ着色剤として、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等。
【0090】
着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。また、着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。
【0091】
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
【0092】
<ワックス>
ワックスとしては例えば以下のものが挙げられる。
【0093】
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物、及びそれらの酸化物。
【0094】
カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
【0095】
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては特に制限されないが、有機金属錯体、キレート化合物であることが好ましい。例えば、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。
【0096】
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T-77、T-95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S-34、S-44、S-54、E-84、E-88、E-89 (オリヱント化学社)が挙げられる。また、荷電制御樹脂も上述の荷電制御剤と併用することもできる。
【0097】
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いてもよい。
【0098】
該磁性キャリアとしては、例えば、表面が酸化された鉄、表面が酸化されていない鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物が好ましく使用される。
【0099】
また、磁性キャリアの表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステルを含有又は被覆させたものが好ましい。
【0100】
<各種測定方法等>
以下、各種の測定方法等に関して記載する。
【0101】
<外添剤粒子中に存在する炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対するケイ素原子の原子数の割合、及び炭素原子とケイ素原子の存在量比の測定方法>
・炭素原子及び酸素原子
外添剤粒子中に存在する炭素原子及び酸素原子の濃度(原子%)は、燃焼による元素分析を用いて算出する。元素分析の装置を以下に示す。
使用装置:PerkinElmer社製 2400II 全自動元素分析装置
・ケイ素原子
外添剤粒子中に存在するケイ素原子の濃度(原子%)は、アルカリ融解による誘導結合プラズマ発光分析(ICP-AES)による元素分析を用いて測定する。ICP-AESの装置を以下に示す。
使用装置:島津製作所社製 ICPS-8100
得られた組成比率をモル%に換算することで、その換算した値を用いて、外添剤粒子中の炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対する、ケイ素原子の原子数の割合を算出する。同様に、外添剤粒子中のケイ素原子の原子数に対する、炭素原子の原子数の割合を算出する。
【0102】
<外添剤粒子の表面領域における炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対する、窒素原子の原子数の割合の測定方法>
外添剤粒子の表面領域に存在する窒素原子の原子数の割合は、X線光電子分光分析により測定する。装置及び測定条件を以下に示す。
・使用装置:ULVAC-PHI社製 PHI Quantera SXM
・X線光電子分光装置測定条件:
X線源 Al Kα(1486.6eV) 200μmφ
PassEnergy:140eV
帯電中和:電子中和銃とArイオン中和銃の併用
Sweep数:C 20回、N 100回、O 20回、Si 20回
測定された各元素のピーク強度から、ULVAC-PHI社提供の相対感度因子を用いて、外添剤粒子の表面領域に存在する炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子濃度(いずれも、原子%)を算出した。この結果から、外添剤粒子の表面の炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対する、窒素原子の原子数の割合を算出する。
【0103】
<微粒子試料の体積分布基準の50%粒径(D50)の測定方法>
微粒子試料の体積分布基準の50%粒径(D50)の測定には、動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いる。具体的には、レンジを0.001μm~10μmに設定し、以下の手順に従って測定する。
【0104】
測定試料の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)を含む水溶液中に、測定試料が分散した分散液を投入して撹拌する。撹拌後、測定試料を上記装置に注入し、2回測定を行ってその平均値を求める。
【0105】
測定条件としては、測定時間を30秒とし、試料粒子屈折率を1.49とし、分散媒を水とし、分散媒屈折率を1.33とする。
【0106】
測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒子径側からの累積体積が50%になる粒子径を、各微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)とする。
【実施例
【0107】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、実施例中における、それぞれの測定結果は、上記で記載した測定方法で測定した結果である。
【0108】
<外添剤1の製造例>
温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、攪拌器を装着したガラス製反応器に下記材料を投入した。
・りん酸緩衝液(pH=7.0、りん酸二水素ナトリウム二水和物(キシダ化学社製)及びりん酸水素二ナトリウム十二水和物(キシダ化学社製)を用いて調製) 200部
・0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(キシダ化学社製) 1.2部
・乳化剤:4-ビニル安息香酸ナトリウム(東京化成工業社製) 0.18部
・ラジカル重合性基と加水分解性基を有するモノマー:メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(東京化成工業社製) 11.0部
・非加水分解性モノマー:スチレン(東京化成工業社製) 4.7部
続いて、窒素ガスを通気しながら65~70℃に加温し、30分撹拌した後、開始剤として、2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン](VA-057、富士フイルム和光純薬社製)1.5部を添加し、6時間撹拌を続け、粒子のエマルジョンを得た。得られた粒子のエマルジョンに、アンモニア処理として、28質量%アンモニア水(キシダ化学社製)を添加してエマルジョンのpHを11.0にした後、温度50℃にて3時間撹拌することで、粒子中に含まれる加水分解性基の加水分解、及び重縮合を行った。その後、過剰な溶質を除去するために限外濾過を行い、濃縮/濾過を計5回繰り返した。その後、窒素原子源として3-アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.13部、疎水化処理剤として、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(キシダ化学社製)27.0部を添加し、温度50℃にて24時間撹拌した。その後、スプレードライにより乾燥し、体積分布基準の50%粒径(以下、D50とも記載する。)が130nmの外添剤1を得た。外添剤1の物性を表2に示す。
【0109】
<外添剤2~19の製造例>
使用する材料を、表1に示すように変更したこと以外は、外添剤1の製造例と同様の操作を行い、外添剤2~19を得た。外添剤2~19の物性を表2に示す。
【0110】
<外添剤20の製造例>
室温にて、46.7部の28質量%アンモニア水、及び2114部の脱イオン水を混合した溶液中に、下記材料を混合した溶液を添加し2時間撹拌することでメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルの加水分解と重縮合を行った。
・メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル 22.1部
・メタノール(キシダ化学社製) 73.7部
・開始剤:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65、富士フイルム和光純薬社製) 0.12部
次に、窒素ガスを通気しながら70~75℃に加温し、2時間撹拌することでラジカル重合を行った。その後、過剰な溶質を除去するために限外濾過を行い、濃縮/濾過を計5回繰り返し行った。その後、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.22部、疎水化処理剤として、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(キシダ化学社製)27.0部を添加し、温度50℃にて24時間撹拌した。その後スプレードライにより乾燥し、外添剤20を得た。外添剤20の物性を表2に示す。
【0111】
<外添剤21の製造例>
温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、攪拌器を装着したガラス製反応器に下記材料を投入した。
・脱イオン水 200部
・0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(キシダ化学社製) 1.2部
・乳化剤:4-ビニル安息香酸ナトリウム(東京化成工業社製) 0.18部
・非加水分解性モノマー:メタクリル酸ブチル(東京化成工業社製) 6.3部、及びスチレン 4.7部
続いて、窒素ガスを通気しながら65~70℃に加温し、30分撹拌した後、開始剤として、2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン](VA-057、富士フイルム和光純薬社製)1.5部を添加し、6時間撹拌を続け粒子のエマルジョンを得た。得られたエマルジョン中の過剰な溶質を除去するために限外濾過を行い、濃縮/濾過を計5回繰り返し行った。その後、窒素原子源として3-アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.13部、疎水化処理剤として、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(キシダ化学社製)27.0部を添加し、温度50℃にて24時間撹拌した。その後スプレードライにより乾燥し、外添剤21を得た。外添剤21の物性を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1中の略号は以下の通り。
MA-TMSP:メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル
MA-TESP:メタクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピル
AA-TMSP:アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル
VTMS:ビニルトリメトキシシラン
MA-CDMSP:メタクリル酸3-(クロロジメチルシリル)プロピル
St:スチレン
MAB:メタクリル酸ブチル
Na(4-VBA):4-ビニル安息香酸ナトリウム
NaMA:メタクリル酸ナトリウム
NaPSS:p-スチレンスルホン酸ナトリウム
VA-057:2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]
KPS:ペルオキソ二硫酸カリウム
V-65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
AP-TMS:3-アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ基を有するアミノシラン)
DMAP-TMS:[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(ジアルキルアミノ基を有するアミノシラン)
IP-TMS :(3-イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン(イソシアネート構造を持つシラン)
PAA-03E:ポリアリルアミン(重量平均分子量:3000)
【0114】
【表2】
【0115】
表2中、Si/(C+O+Si)は、外添剤粒子中の炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対する、ケイ素原子の原子数の割合であり、C/Siは外添剤粒子中のケイ素原子の原子数に対する、炭素原子の原子数の割合である。また、N/(C+N+O+Si)は、外添剤粒子の表面領域における炭素原子、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子の原子数の合計に対する、窒素原子の原子数の割合である。
【0116】
<トナー粒子1の製造例>
下記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練し、混練物を得た。
・非晶性ポリエステル(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体/テレフタル酸=50/50、数平均分子量:3000、酸価:12) 100部
・磁性酸化鉄粒子 75部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃) 2部
・荷電制御剤(保土谷化学社製、T-77) 2部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、微粉砕粉末を得た。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.2μmのトナー粒子1を得た。
【0117】
<トナー1の製造例>
トナー粒子1への外添剤の外添は乾式で行った。ヘンシェルミキサーに100部のトナー粒子、1、3部の外添剤1及び1.5部のヒュームドシリカ(BET比表面積:200m/g)を添加し、外添混合した。その後、目開き150μmのメッシュで篩い、外添剤1がトナー粒子1に外添されたトナー1を得た。
【0118】
<トナー2~21の製造例>
トナー1の製造例において、外添剤1を、それぞれ外添剤2~21に変更したこと以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~21を得た。
【0119】
<実施例1>
トナー1を用いて下記の評価を実施した。
【0120】
<トナーの流動性の評価>
トナーの流動性は、以下の方法で測定した。
【0121】
まず、パウダテスタ(PT-X、ホソカワミクロン社製)を用いて、目開き150μm、100μm、45μmの篩(平織金網、規格JIS Z8801-1)を強度4.0の条件で振動させながら、3gのトナー1をこれらの篩で10秒間篩い分けを行った。そして、目開き150μmの篩上のトナー残量をA、目開き100μmの篩上のトナー残量をB、目開き45μmの篩上のトナー残量をCとしたときに、下記式で示される流動性指数(%)を用いてトナーの流動性を評価した。評価結果を表3に示す。該流動性指数が30%以下であるものを、本発明の効果が得られているものと判断した。
【0122】
流動性指数(%)=[(A+0.6×B+0.2×C)/測定試料質量]×100
<トナーの流動維持性の評価>
トナーの流動維持性の評価は、上記の評価を行った後に実施した。
【0123】
画像形成装置として、HP LaserJet Enterprise M609dn(HP社製)を用い、カートリッジにトナー1を入れ、以下の条件で5000枚の画像出力を行った。
・紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン社)
・紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm
・プロセススピード:377mm/秒
その後、カートリッジ内に残留トナーを取り出し、残留トナーに対し、上記の流動性指数を算出して、その値を耐久後の流動性指数とした。上記の、トナーの流動性の評価で得られた流動性指数を、耐久前の流動性指数として、下記式で示される変動率を算出し、その値を用いてトナーの流動維持性を評価した。
【0124】
変動率(%)=(耐久後の流動性指数―耐久前の流動性指数)/耐久前の流動性指数×100
該変動率が100%以下であるものを、本発明の効果が得られているものと判断した。
【0125】
<外添剤粒子の潰れ及びトナー粒子からの脱離の評価>
外添剤粒子の潰れ及びトナー粒子からの脱離の評価は、上記のトナーの流動維持性の評価を行った後に実施した。
【0126】
上記の5000枚の画像出力後にカートリッジ内に残留したトナー1を取り出し、取り出したトナー1の表面を、走査型電子顕微鏡(S-4800、日立ハイテクノロジー社製)を用いて観察し、SEMの撮影像を得た。得られた撮影像中、トナーの表面上に破潰した付着物が観察された場合を潰れありとし、外添剤粒子が脱離した凹部がトナーの表面上に観察された場合を脱離あり、とした。
【0127】
<画像濃度安定性の評価>
トナーの流動維持性の評価で用いた画像形成装置を用い、カートリッジにトナー1を入れ、トナーの流動維持性の評価で設定したものと同じ条件において、10000枚の画像出力を行った。
【0128】
10000枚を連続で出力している間は、キャリブレーションが行われないようにし、設定された条件が変更されないようにした。出力された全ての画像の反射濃度を測定し、それらの標準偏差の値で画像濃度安定性を評価した。該標準偏差が0.100未満であったものを本発明の効果が得られているものと判断した。画像の反射濃度の測定には、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を使用した。
【0129】
<実施例2~19、比較例1、2>
トナー2~21を用いて実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表3に示す。尚、実施例4は参考例として記載するものである。
【0130】
【表3】