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特許7693322農業情報管理システム、プログラム、及び農業情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】農業情報管理システム、プログラム、及び農業情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20250610BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021014320
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117691
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/262301(WO,A1)
【文献】特開2020-197662(JP,A)
【文献】特開2013-140632(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003851(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圃場領域における農作物の栽培に関する農業データを保持するデータ保持部と、
集計区画と、前記集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成する表示画像生成部と、
前記表示画像に表示する地図の縮尺に応じて前記集計区画を決定し、前記農業データに基づき前記評価データを算出するデータ算出部と、
を備え、
前記データ算出部は、前記地図の縮尺が第1縮尺以上であるとき、前記複数の圃場領域に関係なく前記集計区画を決定する
農業情報管理システム。
【請求項2】
前記データ算出部は、前記地図の縮尺が前記第1縮尺以上であるとき、前記表示画像に表示される地域を複数に分割した領域を前記集計区画として決定する
請求項1に記載の農業情報管理システム。
【請求項3】
前記集計区画は、前記地図の縮尺が前記第1縮尺以上であるとき、2つの平行な第1直線と、前記第1直線に交差する2つの平行な第2直線とにより囲まれた領域を表す
請求項1または2に記載の農業情報管理システム。
【請求項4】
前記データ算出部は、前記複数の圃場領域のうち、複数の前記集計区画に含まれる第1圃場領域において、前記第1圃場領域のうちの前記集計区画に含まれる面積と、前記第1圃場領域の面積との比率に基づき、前記農業データから前記評価データを算出する
請求項1から3のいずれか1項に記載の農業情報管理システム。
【請求項5】
前記データ保持部は、前記複数の圃場領域のうちの第2圃場領域において、前記第2圃場領域を分割した複数の分割領域における前記農業データを保持し、
前記データ算出部は、前記地図の縮尺が第2縮尺より小さいとき、前記分割領域を前記集計区画として決定する
請求項1から4のいずれか1項に記載の農業情報管理システム。
【請求項6】
前記データ算出部は、前記地図の縮尺が前記第1縮尺より小さく、かつ、第2縮尺以上であるとき、前記圃場領域を前記集計区画として決定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の農業情報管理システム。
【請求項7】
前記データ保持部は、前記複数の圃場領域において行われた農作業に使用された作業車両の軌跡を保持し、
前記表示画像生成部は、
前記地図の縮尺が第3縮尺以上であるとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表さずに、前記複数の圃場領域以外における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成し、
前記地図の縮尺が第3縮尺より小さいとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成する
請求項1から6のいずれか1項に記載の農業情報管理システム。
【請求項8】
前記評価データは、施肥量、農薬散布量、燃料消費量、収穫量、土壌養分値のうち、少なくとも1つを表すデータである
請求項1から7のいずれか1項に記載の農業情報管理システム。
【請求項9】
複数の圃場において行われた農作業に使用された作業車両の軌跡を保持するデータ保持部と、
前記作業車両の軌跡を地図上に表した表示画像を生成する表示画像生成部と、
を備え、
前記表示画像生成部は、
前記地図の縮尺が第3縮尺以上であるとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表さずに、前記複数の圃場領域以外における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成し、
前記地図の縮尺が第3縮尺より小さいとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成する
農業情報管理システム。
【請求項10】
集計区画と、前記集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成することと、
前記地図の縮尺に応じて前記集計区画を決定し、複数の圃場領域における農作物の栽培に関する農業データに基づき前記評価データを算出することと、
を演算装置に実行させ、
前記評価データを算出することは、
前記地図の縮尺が第1縮尺以上であるとき、前記集計区画の境界が前記複数の圃場領域の境界を越えて、前記複数の圃場領域に関係なく前記集計区画を決定すること
を含むプログラム。
【請求項11】
集計区画と、前記集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成することと、
前記地図の縮尺に応じて前記集計区画を決定し、複数の圃場領域における農作物の栽培に関する農業データに基づき前記評価データを算出することと、
を含み、
前記評価データを算出することは、
前記地図の縮尺が第1縮尺以上であるとき、前記集計区画の境界が前記複数の圃場領域の境界を越えて、前記複数の圃場領域に関係なく前記集計区画を決定すること
を含む農業情報管理方法。
【請求項12】
複数の圃場において行われた農作業に使用された作業車両の軌跡を保持することと、
前記作業車両の軌跡を地図上に表した表示画像を生成することと、
を含み、
前記表示画像を生成することは、
前記地図の縮尺が第3縮尺以上であるとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表さずに、前記複数の圃場領域以外における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成することと、
前記地図の縮尺が第3縮尺より小さいとき、前記複数の圃場領域内における前記作業車両の軌跡を表した前記表示画像を生成することと、
を含む農業情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業情報管理システム、プログラム、及び農業情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における農作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、事前に登録された圃場における収穫量を圃場の位置情報と関連付けて表すシステムが開示されている。また、圃場の微小区画における収穫量を表すシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-102924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、圃場ごとの収穫量を表すことができるが、所定の地域における収穫量を表すことができない。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、表示する地図の縮尺に応じた情報、例えば収穫量などの農業データをユーザに提供する農業情報管理システムを提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による農業情報管理システム(1000)は、データ保持部(150)と、表示画像生成部(170)と、データ算出部(160)とを備える。データ保持部(150)は、複数の圃場領域(400)における農作物の栽培に関する農業データ(300)を保持する。表示画像生成部(170)は、集計区画と、集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成する。データ算出部(160)は、表示画像に表示する地図の縮尺に応じて集計区画を決定し、農業データ(300)に基づき評価データを算出する。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態によるプログラムは、集計区画と、集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成することを演算装置(120、220)に実行させる。また、プログラムは、地図の縮尺に応じて集計区画を決定し、複数の圃場領域(400)における農作物の栽培に関する農業データ300に基づき評価データを算出することを演算装置(120)に実行させる。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による農業情報管理方法は、集計区画と、集計区画における農作物の栽培に関する評価データとを関連づけて、地図上に表した表示画像を生成する。また、農業情報管理方法は、地図の縮尺に応じて集計区画を決定し、複数の圃場領域(400)における農作物の栽培に関する農業データ(300)に基づき評価データを算出する。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、ユーザは、表示する地図の縮尺に応じた情報を確認することで、表示された情報を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態における農業情報管理システムの構成図である。
図2】一実施の形態における端末が表示する表示画像を表す図である。
図3】一実施の形態における端末が表示する表示画像を表す図である。
図4】一実施の形態における端末が表示する表示画像を表す図である。
図5】一実施の形態における農業情報管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図6】一実施の形態における農業情報管理システムによる処理を表すフローチャートである。
図7】一実施の形態における評価データを算出する処理を表すフローチャートである。
図8】一実施の形態における圃場領域が複数の集計区画に含まれるときの評価データを算出する処理を説明するための図である。
図9】一実施の形態における端末が表示する表示画像を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による農業情報管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、農業情報管理システム1000は、農業情報管理装置100と、端末200とを備える。農業情報管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業車両30と通信可能に接続されている。
【0014】
作業車両30は、圃場内を移動することで、農作業を行う。農業情報管理装置100は、作業車両30から圃場での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、作業領域、植付量、散布した農薬量、収穫量などを表す農業データを格納する。稼働情報は、圃場で作業を行っているときの作業車両30の状態を表す情報を含み、例えば作業車両30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業車両30の各時刻の位置情報、作業期間などを表す情報を含む。作業車両30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。作業車両30は、作業機械と一体に形成された車両、例えばコンバインなどでもよい。
【0015】
農業情報管理装置100は、端末200から要求に応じて、格納した農業データに関する情報を出力する。端末200は、出力された情報を表示する。例えば、端末200は、図2に示すように、地図上に複数の圃場領域400を表す表示画像を表示する。表示画像は、2つの平行な第1直線と、第1直線と交差し2つの平行な第2直線とに囲まれた領域での地域農業データ410を表す。例えば、表示画像は、東西方向に延びる複数の直線、例えば複数の緯線450と、南北方向に延びる複数の直線、例えば複数の経線455とに囲まれた領域での地域農業データ410を表す。なお、第1直線は地図上の任意の方向に延びる直線でもよい。また、第2直線は第1直線と直交しなくてもよい。
【0016】
また、端末200は、表示画像に表示される地図の縮尺を拡大する操作が入力されると、農業情報管理装置100に入力された縮尺を表す情報を送信する。農業情報管理装置100は、入力された縮尺に応じた表示画像を生成する。例えば、農業情報管理装置100は、図3に示すように、圃場領域400における圃場農業データ420を表す表示画像を生成する。端末200は、生成された表示画像を表示する。
【0017】
さらに、端末200は、表示画像に表示される地図の縮尺を拡大する操作が入力されると、農業情報管理装置100に入力された縮尺を表す情報を送信する。農業情報管理装置100は、入力された縮尺に応じた表示画像を生成する。例えば、農業情報管理装置100は、図4に示すように、圃場領域400を複数に分割した小領域における小領域農業データ430を表す表示画像を生成する。端末200は、生成された表示画像を表示する。
【0018】
このように、農業情報管理システム1000は、ユーザに、表示される地図の縮尺に応じた農業データ300を提供することができる。これにより、ユーザは、効率的に農業データ300を確認することができる。
【0019】
(農業情報管理システムの構成)
農業情報管理システム1000に含まれる農業情報管理装置100の構成を説明する。農業情報管理装置100は、図1に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。農業情報管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0020】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業車両30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
記憶装置140は、農作物の栽培に関する情報を地図上に表した表示画像を生成するための様々なデータ、例えば農業データ300と、農業情報管理プログラム310とを格納する。記憶装置140は、農業情報管理プログラム310を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。農業情報管理プログラム310は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0022】
農業データ300は、各圃場における農作物の栽培に関する情報、例えば植え付けられた苗の植付量、散布された農薬量、収穫量、単位面積当たりの収穫量、作業種別ごとの総作業時間、作業効率(例えば単位時間あたりの作業面積)、植付条件(例えば株間、畝間、条間などの距離)などを含む。農業データ300は、例えば作業車両30から取得する稼働情報に基づき、算出される。また、作業車両30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、移動した各時刻の位置を表す位置情報を取得する。農業データ300は、作業車両30の位置情報と関連付けられ、所定の位置に植え付けられた苗の植付量、所定の位置に散布された農薬量、所定の位置で収穫された収穫量、所定の位置における草丈、所定の位置における刈り取り高さなどを表す。農業データ300は、圃場内の土壌を調査することで得られる土壌情報、例えば土壌に含まれる肥料養分を表す土壌養分値、例えばEC値を含んでもよい。また、農業データ300は、生育情報(例えばSPAD値(Soil and Plant Analyzer Development))、植生情報(例えば正規化植生指数(NDVI;Normalized Difference Vegetation Index)、被植率、可視光画像、推定窒素含有量)などを含んでもよい。例えば、植生情報は、上空から圃場を観察して取得される。
【0023】
農業データ300は、演算装置120に読み出され、農作物の栽培に関する情報を地図上に表した表示画像を生成するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、農業情報管理プログラム310を記憶装置140から読み出し実行する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0024】
演算装置120は、農業情報管理プログラム310を読み出し実行することで、図5に示すように、データ保持部150と、データ算出部160と、表示画像生成部170と応答部180とを実現する。データ保持部150は、農業データ300を保持する。データ算出部160は、農業データ300に基づき、表示画像に表示される地図の縮尺に応じた農作物の栽培に関する評価データを算出する。表示画像生成部170は、算出された評価データを地図上に表す表示画像を生成する。応答部180は、端末200の表示部250からの要求に応じて、生成された表示画像を表す情報を送信する。
【0025】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0026】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、農業情報管理装置100から取得する表示画像を表す情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を農業情報管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0027】
記憶装置240は、表示画像を端末200の入出力装置210に表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム320を格納する。記憶装置240は、表示プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。表示プログラム320は、記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0028】
演算装置220は、表示プログラム320を読み出し実行することで、図5に示すように、入出力装置210と協働して、農業情報管理装置100から取得する表示画像を表示する表示部250を実現する。表示部250は、農業情報管理装置100から表示画像を取得して、表示画像を表示する。また、表示部250は、ユーザの操作により、表示画像の地図の縮尺を更新する。
【0029】
(農業情報管理システムの動作)
図1に示す農業情報管理装置100の演算装置120は、作業車両30から稼働情報を受信すると、各圃場領域における農業データ300を算出する。算出した農業データ300は記憶装置140に格納される。農業データ300は、圃場領域を複数に分割した小領域における農業データ300を含んでもよい。
【0030】
端末200の入出力装置210に農業データ300を表示する表示操作が入力されると、端末200の演算装置220は、記憶装置240から表示プログラム320を実行して、農業情報管理方法である図6に示す処理を開始する。ステップS110において、演算装置220により実現される表示部250は、入出力装置210に入力された表示操作に基づき、農業情報管理装置100の演算装置120に表示画像を要求するための要求信号を生成する。要求信号には、表示画像に表示される地図の縮尺を表す情報が含まれている。
【0031】
農業情報管理装置100の演算装置120は、要求信号を受信すると、農業情報管理プログラム310を実行して、図6に示す処理を行う。ステップS120において、演算装置120により実現されるデータ算出部160は、要求信号に含まれる表示画像の地図の縮尺を表す情報に応じて、農作物の栽培に関する評価データを算出する。データ算出部160は、表示画像の地図の縮尺に応じて、評価データを算出する領域を表す集計区画を決定し、決定された集計区画ごとに評価データを算出する。集計区画は、図2に示す例における緯線450と経線455とに囲まれた領域であり、図3に示す例における圃場領域400である。また、集計区画は、図4に示す例における圃場領域400を分割した小領域である。評価データを算出するための詳細な処理については、後述する。
【0032】
図6に示すステップS130において、表示画像生成部170は、決定された集計区画と、算出された評価データとを関連付けて、地図上に表した表示画像を生成する。例えば、生成される表示画像は、図2に示すように、集計区画を緯線450と経線455とに囲まれた領域として表し、集計区画における評価データを地域農業データ410として表してもよい。また、表示画像は、図3に示すように、集計区画を圃場領域400として表し、集計区画における評価データを圃場農業データ420として表してもよい。さらに、表示画像は、図4に示すように、集計区画を圃場領域400を分割した小領域として、集計区画における評価データを小領域農業データ430として表してもよい。
【0033】
評価データは、図4の農業データ凡例435に示すように、集計区画を表す表示形態を変更することで、表されてもよい。例えば、集計区画は、評価データに応じて複数、例えば5つに分類され、分類された区分に応じて色が付される。集計区画の評価データが、第1閾値より大きいとき、この集計区画は第1集計区分群に分類される。集計区画の評価データが、第1閾値以下であり、第2閾値より大きいとき、この集計区画は第2集計区分群に分類される。このように、表示画像生成部170は、評価データに応じて、集計区分を第1集計区分群から第5集計区分群に分類し、分類された集計区分群に応じて、集計区分を表す表示形態を設定する。例えば、表示画像生成部170は、集計区分群に応じて、集計区分を異なる色で表してもよい。また、表示画像生成部170は、集計区分群に応じて、集計区分を異なるテクスチャで表してもよい。
【0034】
図5に示す表示画像生成部170は、表示画像を生成すると、生成された表示画像を表す情報を、端末200の表示部250に送信する。
【0035】
図6に示すステップS140において、端末200の表示部250は、農業情報管理装置100の表示画像生成部170により生成された表示画像を取得して、取得した表示画像を入出力装置210に表示する。ユーザは、入出力装置210に表示された表示画像を確認し、各領域における評価データを確認する。
【0036】
ステップS150において、表示部250は、表示画像の切替操作を受け付けたかを判定する。ユーザが確認したい評価データを表示するための操作を入出力装置210に入力すると、表示部250は、表示画像の切替操作を受け付けたと判定する。例えば、ユーザが表示画像の地図の縮尺を変更するための操作を入出力装置210に入力すると、表示部250は、表示画像の切替操作を受け付けたと判定する。表示部250は、表示画像の切替操作を受け付けたと判定すると、ステップS110の処理に戻り、処理を繰り返す。表示部250は、表示画像の切替操作を受け付けていないと判定すると、ステップS160の処理を実行する。
【0037】
ステップS160において、表示部250は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたかを判定する。ユーザが表示画像の表示を終了するための操作を入出力装置210に入力すると、表示部250は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたと判定する。表示部250は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたと判定すると、表示画像の表示を終了する。表示部250は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けていないと判定すると、ステップS150の処理に戻り、処理を繰り返す。
【0038】
このように、ユーザは、地図の縮尺に応じた評価データを確認することができる。これにより、ユーザは評価データを容易に把握することができる。
【0039】
(評価データの算出方法)
図6のステップS120において、農業情報管理装置100のデータ算出部160が評価データを算出する方法を説明する。データ算出部160は、評価データを算出するために、図7に示す処理を実行する。
【0040】
ステップS122において、データ算出部160は、表示画像に表示する地図の縮尺に応じて、集計区画を決定する。データ算出部160は、地図の縮尺が大きく、図2に示すように、表示画像に地域が表示されるとき、表示画像に表示される地域を複数に分割した領域を集計区画として決定する。例えば、集計区画は、圃場領域400の位置、形状などの地理的情報に関係なく、緯線450と経線455とで囲まれた領域のように圃場領域400(例えば、圃場領域400の位置、形状など)から独立して決定される。
【0041】
また、データ算出部160は、図3に示すように、表示画像に複数の圃場領域400が表示されるような地図の縮尺であるとき、圃場領域400を集計区画として決定する。
【0042】
さらに、データ算出部160は、図4に示すように、表示画像に少数、例えば3つ以下の圃場領域400が表示されるような地図の縮尺であるとき、圃場領域400を分割した小領域を集計区画として決定する。
【0043】
データ算出部160は、表示画像に表示する地図の縮尺を2つの閾値と比較して、集計区画を決定してもよい。例えば、地図の縮尺が第1縮尺以上であるとき、データ算出部160は、図2に示すように、表示画像に表示される地域を複数に分割した領域を集計区画として決定する。地図の縮尺が第1縮尺より小さく、かつ、第2縮尺以上であるとき、データ算出部160は、図3に示すように、圃場領域400を集計区画として決定する。地図の縮尺が第2縮尺より小さいとき、データ算出部160は、図4に示すように、圃場領域400を分割した小領域を集計区画として決定する。
【0044】
図7に示すステップS124において、データ算出部160は、決定した各集計区画に含まれる圃場領域400の面積を算出する。例えば、図2に示すように、集計区画が緯線450と経線455とで囲まれた領域であるとき、データ算出部160は、集計区画に含まれる各圃場領域400の面積を加算する。ここで、図8に示すように、圃場領域400が複数の集計区画に含まれるとき、集計区画の境界線で圃場領域400を分割して、各集計区画に含まれる圃場領域400の面積を算出する。例えば、集計区画の境界線が緯線450と経線455とであるとき、データ算出部160は、圃場領域400を緯線450と経線455とにより分割する。データ算出部160は、分割された第1分割領域401の面積と、第2分割領域402の面積と、第3分割領域403の面積と、第4分割領域404の面積とを算出する。算出した分割領域の面積は、対応する集計区画に含まれる圃場領域400の面積として、集計区画に含まれる他の圃場領域400の面積に加算される。
【0045】
図3に示すように、集計区画が圃場領域400であるとき、データ算出部160は、圃場領域400の面積を算出し、取得した面積を集計区画に含まれる圃場領域400の面積として決定する。
【0046】
図4に示すように、集計区画が圃場領域400を分割した小領域であるとき、データ算出部160は、小領域の面積を算出し、算出した面積を集計区画に含まれる圃場領域400の面積として決定する。
【0047】
図7に示すステップS126において、データ算出部160は、集計区画に含まれる圃場領域400の農業データ300に基づき、集計区画における評価データを算出する。例えば、図2に示すように、集計区画が緯線450と経線455とで囲まれた領域であるとき、データ算出部160は、集計区画に含まれる各圃場領域400の農業データ300に基づき、評価データを算出する。例えば、総収穫量を評価データとして算出するとき、データ算出部160は、集計区画に含まれる各圃場領域400の農業データ300から各圃場領域400の総収穫量を抽出する。抽出した各総収穫量を加算することで、データ算出部160は集計区画における総収穫量を算出する。
【0048】
また、データ算出部160は、単位面積当たりの収穫量を評価データとして算出してもよい。このとき、データ算出部160は、集計区画における総収穫量を算出する。算出した総収穫量を、ステップS124において算出した集計区画内の圃場領域400の面積で割ることで、データ算出部160は、単位面積当たりの収穫量を算出する。
【0049】
図8に示すように、圃場領域400が複数の集計区画に含まれるとき、データ算出部160は、集計区画の境界線で圃場領域400を分割した分割領域の面積と、圃場領域400の面積との比率に応じて、集計区画に含まれる圃場領域400の評価データを算出する。例えば、第1分割領域401を含む集計区画の評価データとして総収穫量を算出するとき、データ算出部160は、評価データに対応する圃場領域400の農業データ300である総収穫量を抽出する。抽出した総収穫量に、圃場領域400の面積に対する第1分割領域401の面積の比率を乗算して、データ算出部160は第1分割領域401の総収穫量を算出する。集計区画の総収穫量は、第1分割領域401の総収穫量に他の圃場領域400の総収穫量を加算することで算出される。第2分割領域402と、第3分割領域403と、第4分割領域404とについても同様に、データ算出部160は、対応する集計区画の評価データを算出する。
【0050】
図3に示すように、集計区画が圃場領域400であるとき、データ算出部160は、圃場領域400における農業データ300を抽出し、抽出した農業データ300を集計区画の評価データとして決定する。例えば、単位面積当たりの収穫量を評価データとして算出するとき、データ算出部160は、圃場領域400における単位面積当たりの収穫量を抽出して、抽出した単位面積当たりの収穫量を集計区画における評価データとして決定する。また、単位面積当たりの総収穫量は、圃場領域400における総収穫量を圃場領域400の面積で割ることで算出されてもよい。
【0051】
図4に示すように、集計区画が圃場領域400を分割した小領域であるとき、データ算出部160は、小領域における農業データ300を抽出し、抽出した農業データ300を集計区画の評価データとして決定する。例えば、単位面積当たりの収穫量を評価データとして算出するとき、データ算出部160は、小領域における単位面積当たりの収穫量を抽出して、抽出した単位面積当たりの収穫量を集計区画における評価データとして決定する。また、単位面積当たりの総収穫量は、小領域における総収穫量を小領域の面積で割ることで算出されてもよい。
【0052】
このように、データ算出部160は、集計区画における評価データを算出する。
【0053】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、データ算出部160は、集計区画における気象情報、例えば気温、降水量などを算出してもよい。このとき、表示画像生成部170は、算出された気象情報を、集計区画に対応付けて表す表示画像を生成する。
【0054】
データ算出部160は、表示画像に表示する地図の縮尺に応じて3種類の集計区画から選択する例を示したが、これに限定されない。データ算出部160は、表示画像に表示する地図の縮尺に応じて2種類の集計区画から選択してもよい。例えば、データ算出部160は、地図の縮尺を1つの閾値と比較して集計区画を決定する。地図の縮尺が第1縮尺以上のとき、データ算出部160は、表示画像に表示される地域を複数に分割した領域を集計区画として決定する。地図の縮尺が第1縮尺より小さいとき、圃場領域400を集計区画として決定する。
【0055】
また、データ算出部160は、地図の縮尺を3つ以上の閾値と比較して、集計区画を決定してもよい。データ算出部160は、地図の縮尺が第1縮尺以上のとき、2つの平行な第1直線と、第1直線に交差し2つの平行な第2直線とに囲まれた領域を集計区画と決定する。データ算出部160は、地図の縮尺が第1縮尺より小さく、かつ、第2縮尺以上のとき、2つの平行な第3直線と、第3直線に交差し2つの平行な第4直線とに囲まれた領域を集計区画と決定する。ここで、互いに隣接する第1直線の間隔は、互いに隣接する第3直線の間隔よりも大きい。また、互いに隣接する第2直線の間隔は、互いに隣接する第4直線の間隔よりも大きい。このように、データ算出部160は、表示画像に表示される地域を分割した領域を集計区画とするときに、地図の縮尺に応じて異なる大きさの集計区画を決定してもよい。
【0056】
また、データ算出部160は、表示画像に表示される地域を分割した領域を集計区画とするときに、閾値を用いずに、地図の縮尺に応じて異なる大きさの集計区画を決定してもよい。データ算出部160は、表示画像に表示される地域を所定の数、例えば9つに分割した領域を集計区画として決定してもよい。
【0057】
データ算出部160は、図8に示すように、圃場領域400が複数の集計区画に含まれるとき、圃場領域400に含まれる小領域の農業データ300に基づき、評価データを算出してもよい。例えば、データ算出部160は、第1分割領域401に含まれる小領域を抽出する。データ算出部160は、抽出した小領域における農業データ300に基づき、第1分割領域401に含まれる評価データを算出する。例えば、総収穫量を算出するとき、データ算出部160は、第1分割領域401に含まれる各小領域の総収穫量を加算して、第1分割領域401における総収穫量を算出する。
【0058】
データ算出部160は、集計区画に含まれる圃場領域400の農業データ300から算出した平均値を、集計区画の評価データとして用いてもよい。例えば、データ算出部160は、農業データ300から集計区画に含まれる圃場領域400の単位面積当たりの収穫量を抽出する。データ算出部160は、抽出した単位面積当たりの収穫量の平均値を、集計区画における単位面積当たりの収穫量として算出する。
【0059】
データ算出部160は、集計区画に含まれる圃場領域400の農業データ300から算出した統計量、例えば中央値、最頻値、ばらつきなどを、集計区画の評価データとして用いてもよい。例えば、データ算出部160は、集計区画における収穫量を表すデータとして、単位面積当たりの収穫量に関する統計量、総収穫量などを評価データとして算出する。また、データ算出部160は、集計区画における施肥量を表すデータとして、単位面積当たりの施肥量に関する統計量、総施肥量などを評価データとして算出する。さらに、データ算出部160は、集計区画における農薬散布量を表すデータとして、単位面積当たりの農薬散布量に関する統計量、総農薬散布量などを評価データとして算出する。さらに、データ算出部160は、集計区画における燃料消費量を表すデータとして、単位面積当たりの燃料消費量に関する統計量、総燃料消費量などを評価データとして算出する。
【0060】
表示画像生成部170は、図9に示すように、作業車両30の軌跡440を地図上に表した表示画像を生成してもよい。例えば、表示画像生成部170は、農業データ300から作業車両30の各時刻における位置を取得し、各時刻における位置をつなげることで作業車両30が移動した軌跡440を算出する。表示画像生成部170は、算出した軌跡440を地図上に表した表示画像を生成する。
【0061】
さらに、表示画像生成部170は、表示画像に表示する地図の縮尺に応じて、作業車両30の軌跡440を表示するか否かを決定してもよい。例えば、表示画像生成部170は、地図の縮尺が第1縮尺以上ときに、圃場領域400における作業車両30の軌跡440を表示せず、地図の縮尺が第1縮尺より小さいときに圃場領域400における作業車両30の軌跡440を表示してもよい。また、表示画像生成部170は、地図の縮尺が第1縮尺以上ときに、圃場領域400に含まれない作業車両30の軌跡440を表示して、地図の縮尺が第1縮尺より小さいときに圃場領域400に含まれない作業車両30の軌跡440を表示しなくてもよい。
【0062】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、表示画像生成部170は、端末200で実行されてもよい。この場合、農業情報管理装置100のデータ算出部160は、図6のステップS120で算出した評価データと地図情報とを端末200の表示画像生成部170に送信する。端末200の表示画像生成部170と表示部250とは、図6に示すステップS130以降を実行する。農業情報管理装置100の演算装置120から端末200に評価データを送信することで、農業データ300を送信するときと比較して、通信負荷が低減される。また、表示画像生成部170は、集計区画の評価データを表さずに、作業車両30の軌跡440のみを表す表示画像を生成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業車両
100 :農業情報管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ保持部
160 :データ算出部
170 :表示画像生成部
180 :応答部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
300 :農業データ
310 :農業情報管理プログラム
320 :表示プログラム
400 :圃場領域
401 :第1分割領域
402 :第2分割領域
403 :第3分割領域
404 :第4分割領域
410 :地域農業データ
420 :圃場農業データ
430 :小領域農業データ
435 :農業データ凡例
440 :軌跡
450 :緯線
455 :経線
1000 :農業情報管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9