(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20250610BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20250610BHJP
D06F 39/04 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F25/00 A
D06F39/04 Z
(21)【出願番号】P 2021133855
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡凜
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 重幸
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-023574(JP,A)
【文献】中国実用新案第213804463(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 25/00
D06F 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前記外槽を支持する筐体と、前記洗濯兼脱水槽に乾燥用の空気が流通する送風通路と、前記送風通路の途中に設けられ空気を加熱する空気加熱手段と、前記送風通路の途中に設けられ空気を送風するための送風手段とを備えた洗濯乾燥機において、
前記送風手段の下流側に位置する前記送風通路には、前記送風手段から下流側に向かって下るように傾斜した第1傾斜部を備え、
前記第1傾斜部は、前記送風手段の吸込部よりも下方に位置させ
、
前記空気加熱手段は前記送風手段の下流側に位置し、
前記空気加熱手段の上流側に位置する前記送風通路には、前記空気加熱手段側から上流側に向かって下るように傾斜すると共に、前記第1傾斜部と接続する第2傾斜部を備えたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項
1に記載の洗濯乾燥機において、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との接続部に窪み部を備えたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の洗濯乾燥機において、
前記送風手段は、遠心ファンと、前記遠心ファンを回転駆動するファンモータと、前記遠心ファン及び前記ファンモータを収容するファンハウジングを備え、
前記第1傾斜部は、前記ファンハウジングに形成したことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項
1に記載の洗濯乾燥機において、
前記第2傾斜部の側方には、前記第2傾斜部より下がった水抜き流路を形成したことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項
3に記載の洗濯乾燥機において、
前記ファンハウジングの流路断面積は、下流側に向かうに従い大きくしたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前記外槽を支持する筐体と、前記洗濯兼脱水槽に乾燥用の空気が流通する送風通路と、前記送風通路の途中に設けられ空気を加熱する空気加熱手段と、前記送風通路の途中に設けられ空気を送風するための送風手段とを備えた洗濯乾燥機において、
前記送風手段の下流側に位置する前記送風通路には、前記送風手段から下流側に向かって下るように傾斜した第1傾斜部を備え、
前記第1傾斜部は、前記送風手段の吸込部よりも下方に位置させ、
前記送風手段は、遠心ファンと、前記遠心ファンを回転駆動するファンモータと、前記遠心ファン及び前記ファンモータを収容するファンハウジングを備え、
前記第1傾斜部は、前記ファンハウジングに形成したことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関し、特に乾燥風を供給する送風機及び加熱部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風機と熱源によって高温の乾燥風を作り、これを洗濯槽内に吹き込んで衣類の温度を高くして、衣類からの水分を蒸発させている。
【0003】
衣類から蒸発した水分は、除湿機構を通過する際に除湿され、再度送風機に流入する。除湿機構における除湿の方法は様々あるが、共通する課題として水の飛散があげられる。
【0004】
高温多湿の乾燥風が通過するダクト内に冷却水を流し、この冷却水と熱交換して除湿を行う水冷除湿においては、乾燥運転条件によっては冷却水が乾燥風に巻き上げられ、送風機内に流入する。この流入した冷却水は、送風機内または乾燥風路内に溜まるため、送風機の電動機やヒータ等の電気部品の周囲に流れ込む可能性がある。
【0005】
一方、熱交換器を用いて除湿を行う場合においては、熱交換器表面で結露した水分が飛散し、乾燥風路内に溜まる。乾燥風路内に溜まった水は、送風機の電動機等の電気部品の周囲に流れ込む可能性がある。そのため、送風機内をはじめとした乾燥風路内にたまった水を適切に排除・排出する必要がある。
【0006】
洗濯乾燥機の乾燥風路内に溜まった水への対処方法として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の技術が提案されている。
【0007】
特許文献1に記載の発明では、 送風機とヒータの接続部に排水のための流路を設けることで、ヒータに水が溜まらないようにした技術が提案されている。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明では、ヒートポンプ装置を使用した衣類乾燥機において、ヒートポンプ装置を本体下部に設置することで、凝縮水が送風機まで到達することを防ぐようにした技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2003-245489号公報
【文献】特開2014-18446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、ヒータに溜まる水には配慮がなされているが、送風機の電動機周囲に溜まる水には配慮がなされていなかった。このため、乾燥システムの信頼性が劣るといった課題があった。
【0011】
また、特許文献2に記載の発明では、除湿機構としてヒートポンプ式を採用するものにおいてのみ有効であり、その他の除湿機構(例えば水冷除湿)を備える洗濯乾燥機において採用することができなかった。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決し、乾燥風路に流入する除湿冷却水や凝縮水が送風機等の電気部品に流入するのを抑制し、製品の信頼性を向上させた洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すために本発明は、外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前記外槽を支持する筐体と、前記洗濯兼脱水槽に乾燥用の空気が流通する送風通路と、前記送風通路の途中に設けられ空気を加熱する空気加熱手段と、前記送風通路の途中に設けられ空気を送風するための送風手段とを備えた洗濯乾燥機において、前記送風手段の下流側に位置する前記送風通路には、前記送風手段から下流側に向かって下るように傾斜した第1傾斜部を備え、前記第1傾斜部は、前記送風手段の吸込部よりも下方に位置させ、前記空気加熱手段は前記送風手段の下流側に位置し、前記空気加熱手段の上流側に位置する前記送風通路には、前記空気加熱手段側から上流側に向かって下るように傾斜すると共に、前記第1傾斜部と接続する第2傾斜部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乾燥風路に流入する除湿冷却水や凝縮水が送風機等の電気部品に流入するのを抑制し、製品の信頼性を向上させた洗濯乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る乾燥ユニットの外観を示す斜視図ある。
【
図4】本発明の実施例に係る乾燥ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る送風機の内部構造を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る送風機の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0017】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す縦断面図である。
図2は、本発明の実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す斜視図である。なお、以下に示す実施例では、前面側に洗濯物の出し入れ口が形成され、洗濯槽の回転軸が水平に設けられたドラム式洗濯乾燥機を例に挙げて説明する。
【0019】
図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機Sは、筐体である外枠1と、洗濯水を貯留する外槽2と、衣類を投入する回転槽3と、回転槽3を回転駆動させる駆動モータ10(駆動手段)と、送風機22などを備える。外槽2は、外枠1内に内蔵されると共に外枠1に防振支持されている。回転槽3は、洗浄、乾燥される衣類などの洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽であり、外槽2の内部に設けられている。また、回転槽3は、外槽2内に回転可能に支持される。
【0020】
回転槽3の図中右側面には、金属製フランジ4が備えられている。金属製フランジ4には、プーリを備えた回転軸が取り付けられている。駆動モータ10の駆動力はベルトを介してプーリに伝達され、駆動モータ10の駆動力により回転槽3が回転する。
【0021】
また、外枠1内には、上部に給水ユニット7が設けられている。この給水ユニット7は、内部に複数の水路を有し、水道水や浴槽から吸い上げた風呂水を外槽2に供給する。また給水ユニット7内には、洗剤、仕上剤の投入装置(図示せず)が設けられている。洗剤、仕上剤は、外槽2と回転槽3の間に注がれる。
【0022】
また、ドラム式洗濯乾燥機Sは、乾燥機構を備えている。この乾燥機構は、回転槽3内の洗濯物を乾燥する乾燥用空気の循環送風や除湿を行う。また、乾燥機構は、外枠1内の上部に配置された乾燥ユニット9と、一端が乾燥ユニット9と接続された除湿用縦通路21を備えている。除湿用縦通路21は外枠1内において上下方向に延びるように配置され、他端が外槽2の底部と接続され、外槽2と連通する。除湿用縦通路21では、上方向から下方向に向かって冷却水が流れる。外槽2から吐出された水分を含んだ空気は、除湿用縦通路21を通過する際に冷却水で冷却され、除湿される。
【0023】
乾燥ユニット9は、送風機22(送風手段)と、電気ヒータ24(空気加熱手段)と、ヒータケーシング400とを備えている。送風機22の吸込側は、除湿用縦通路21の上側と接続される。送風機22の排出側はヒータケーシング400に接続され、その後戻り接続循環路25と連通するように接続されている。また、戻り接続循環路25は、外槽2の上部に連通するように接続される。そして、除湿用縦通路21、乾燥ユニット9、戻り接続循環路25によって乾燥用の空気が流通する乾燥用空気循環路(送風通路)が形成される。送風機22、電気ヒータ24は乾燥用空気循環路(送風通路)の途中に配置されている。なお、送風機22及び電気ヒータ24を収容するヒータケーシング400の詳細については、後述する。
【0024】
下部蛇腹ホース26は、外槽2の底落込部31に接続される。この底落込部31は、洗濯水の排水路(図示せず)に連通する。洗濯水を排水する際には、外槽2に溜まっている洗浄水やすすぎ水を、異物除去トラップ32を経て、ドラム式洗濯乾燥機Sの外部(機外)に排出する。
【0025】
ドラム式洗濯乾燥機Sでは、送風機22に備えられた遠心ファン300(
図4参照)が回転することによって乾燥用空気が回転槽3内を流通し、回転槽3内の洗濯物を乾燥させる。また、除湿領域で水分が凝縮された乾燥用空気は、電気ヒータ24(
図4参照)によって再加熱されて回転槽3を流れるので、洗濯物の水分はさらに蒸発する。この水分除去が乾燥用空気の循環で繰り返されることにより洗濯物が乾燥される。
【0026】
図3は、本発明の実施例に係る乾燥ユニットの外観を示す斜視図ある。
図4は、本発明の実施例に係る乾燥ユニットの内部構造を示す斜視図である。
図3及び
図4に示すように、送風機22は、遠心ファン300と、遠心ファン300を回転駆動するファンモータ100と、開放部に遠心ファン300が配置され、遠心ファン300の周囲を覆うファンケーシング52と、ファンケーシング52の開放部を覆うファンカバー51を備えている。本実施例ではファンケーシング52とファンカバー51とにより、遠心ファン300を収容するファンハウジングを構成している。また、送風機22には、ヒータケーシング400が接続され、ヒータケーシング400の内部には電気ヒータ24が配置される。
【0027】
乾燥ユニット9をドラム式洗濯乾燥機S(
図1参照)に搭載する場合には、例えば、送風機22のファンカバー51が略下向きとなるようにして外枠1(
図1参照)内に設置する。
【0028】
ファンカバー51には、吸込部57と排出部58が形成されている。吸込部57は、除湿用縦通路21(
図1参照)に接続される。排出部58は、乾燥用空気循環路の戻り接続循環路25(
図1参照)に接続される。
【0029】
本実施例の送風機22は、ドラム式洗濯乾燥機Sの上部に略水平に設置される。これは、水平に設置することで、送風機22の外枠1内での設置領域の体積が最も小さくなるため、ドラム式洗濯乾燥機Sの外枠1をより小さくすることが可能となる。またことのき、送風機22は吸込部57を下に向け、除湿用縦通路21と接続される。すなわち送風機22は、ファンカバー51側が下向きとなるように設置される。
【0030】
ファンカバー51及びファンケーシング52によって構成される送風機のスクロール流路53は、送風通路の一部を形成しており、遠心ファン300の回転方向に流路断面積が変化する。スクロール流路53は、流路巻き始め部500で流路断面積が最も狭くなり、遠心ファン300の回転方向に向かって流路断面積が大きくなる。換言すると、ファンハウジング(ファンカバー51及びファンケーシング52)の流路断面積は、下流側に向かうに従い大きくしている。本実施例では、送風通路を流れる風の風上側を上流、風下側を下流と定義する。
【0031】
図5は、本発明の実施例に係る送風機の内部構造を示す模式図である。
図6は、本発明の実施例に係る送風機の内部構造を示す斜視図である。
【0032】
本実施例の送風機22は、ファンカバー51及びファンケーシング52によって形成されるスクロール流路53が形成され、このスクロール流路53がヒータケーシング400と接続されている。
【0033】
遠心ファン300の下流側に位置するスクロール流路53には、遠心ファン300から下流側に向かって下るように傾斜した第1傾斜部61aを備えている。第1傾斜部61aは、遠心ファン300の吸込部57よりも下方に位置するように配置している。
【0034】
電気ヒータ24は送風機22の下流側に位置している。電気ヒータ24の上流側に位置するスクロール流路53には、電気ヒータ24側から上流側に向かって下るように傾斜すると共に、第1傾斜部61aと接続する第2傾斜部61bを備えている。そして、第1傾斜部61aと第2傾斜部61bとの接続部には窪み部60が備えられている。
【0035】
加えて、第2傾斜部61bの側方には、第2傾斜部61bの位置から下がった位置に水抜き流路62を備えている。水抜き流路62は、ヒータケーシング400から窪み部60に向かうように備えられ、送風機22の直下の位置とほぼ同じ高さに位置している。
【0036】
次に本実施例の効果について説明する。送風機22が主に運転するドラム式洗濯乾燥機Sの乾燥運転中において、乾燥に用いられる乾燥風は送風機22によって駆動される。乾燥風は、基本的にはドラム式洗濯乾燥機Sの内部で内部循環する。ドラム式洗濯乾燥機Sの内部で循環する乾燥風は、除湿用縦通路21を通過する際に除湿に用いられる冷却水を巻き上げる。この冷却水の巻き上げは、主に除湿用縦通路21を通過する乾燥風の風速が大きい時に生じる傾向がある。この巻き上げられた冷却水は送風機22内に流入するが、流入した冷却水は重力によって基本的に送風機内の最下部に溜まる。
【0037】
本実施例では、遠心ファン300から下流側に向かって下るように傾斜した第1傾斜部61aを備えている。また、本実施例では、電気ヒータ24側から上流側に向かって下るように傾斜すると共に、第1傾斜部61aと接続する第2傾斜部61bを備えている。そして、第1傾斜部61aと第2傾斜部61bとの接続部には、最下部として窪み部60を備えている。送風機22内に水が流入した場合、その水は第1傾斜部61aに沿って窪み部60に溜まるようにした。これにより、送風機22の電気部品等に水が溜まることを抑制でき、送風機22の故障抑制、及び信頼性を確保することができる。
【0038】
また、電気ヒータ24側に水が流入した場合には、水抜き流路62に沿って水が流れ、窪み部60に溜まる。これにより、電気ヒータ24の故障抑制、及び信頼性を確保することができる。
【0039】
本実施例の構造は、特に送風機を水平に設置する様な洗濯乾燥機の場合において有効である。
【0040】
窪み部60に溜まった水は、乾燥運転中に高温の乾燥風に晒されることで乾燥する。或いは、窪み部60に溜まった水は、洗濯乾燥機停止後に自然蒸発し、乾燥する。窪み部60には確実に乾燥風が流れるので、製品内に溜まり続けることはない。
【0041】
本実施例では、第1傾斜部61aと第2傾斜部61bとの接続部に窪み部60を備えている。遠心ファン300の下側に位置するスクロール流路53は、ヒータケーシング400と接続するまでの間の形状がくの字状となる。その結果、ヒータケーシング400と接続するまでのスクロール流路53の長さは、直線状に接続した場合と比較して長くなる。
【0042】
遠心ファン300の下側に位置するスクロール流路53は、ヒータケーシング400と接続するまで間の流路断面積が変化する。すなわち、ファンハウジング(ファンケーシング52とファンカバー51)の流路断面積は、下流側に向かうに従い大きくなっている。
【0043】
流路断面積が大きくなる過程において、スクロール流路53の長さが短いと、流路断面積の変化率が大きくなるため、スクロール流路53を通過する乾燥風が流路壁から剥離し易くなる。
【0044】
本実施例では、遠心ファン300の下側に位置するスクロール流路53をくの字状とし、スクロール流路53の流路長さを長くしているので、流れの剥離を抑制でき、送風機22の効率を向上することができる。また、ヒータケーシング400に流入する乾燥風の流速分布が均一となるため、電気ヒータ24の温度上昇効率が向上し、ヒータケーシング400の出口でより高温の乾燥風を得ることができる。
【0045】
上記した本実施例の構造を適用すると、送風機22内に流入した水は、最も低い位置である窪み部60に溜まる。除湿機構用の冷却水は主に送風機22内に溜まることが想定されるが、乾燥運転中に生じる結露については、送風機22内のみでなく、ヒータケーシング400内でも生じるため、水はヒータケーシング400内にも溜まる可能性がある。
【0046】
このとき、ヒータケーシング400と接続するまで間のスクロール流路53の断面積変化によっては、スクロール流路53とヒータケーシング400の接続部には段差ができるため、その段差部に水が溜まる可能性がある。ヒータケーシング400内に水が溜まると、たとえば電気ヒータ24の表面でショート等を起こす可能性があり、洗濯乾燥機の故障につながる。
【0047】
そこで本実施例では、ヒータケーシング400から窪み部60をつなぐ水抜き流路62を設けている。この水抜き流路62により、ヒータケーシング400内に溜まった水も、最下部に設けられた窪み部60にまで排出されることとなる。これにより、ヒータケーシング400内の水を除去し、水が溜まることで生じる様々な故障の要因を排除することができ、製品信頼性を向上することができる。
【0048】
また本実施例では、
図6に示すように水抜き流路62は、スクロール流路53の外周側に設けるようにしている。本発明者らは、水抜き流路62の設置位置について多くの検討を行った。その結果、水抜き流路62はスクロール流路53の外周側に設ける方法が、最も送風機22の効率を損なうことなく、また、ヒータケーシング400を通過して吐出される乾燥風の温度が最も高い値を維持できることがわかった。スクロール流路53では、遠心力の効果で、流れは主に外周側の壁面に沿って流れる。外周側の壁面の方が遠心力の効果で流れがはく離しにくいため、水抜き流路62を設けても流れがはく離しないものと考えられる。
【0049】
以上説明したように、本実施例によれば、乾燥風路に流入する除湿冷却水や凝縮水が送風機等の電気部品に流入するのを抑制し、製品の信頼性を向上させた洗濯乾燥機を提供することができる。
【0050】
本実施例ではドラム式洗濯乾燥機に適用した例で説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、縦型の洗濯乾燥機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…外枠、2…外槽、3…回転槽、4…金属製フランジ、7…給水ユニット、9…乾燥ユニット、10…駆動モータ、21…除湿用縦通路、22…送風機、24…電気ヒータ、25…戻り接続循環路、26…下部蛇腹ホース、31…底落込部、32…異物除去トラップ、51…ファンカバー、52…ファンケーシング、53…スクロール流路、57…吸込部、58…排出部、60…窪み部、61a…第1傾斜部、61b…第2傾斜部、62…水抜き流路、100…ファンモータ、300…遠心ファン、400…ヒータケーシング、500…流路巻き始め部、S…ドラム式洗濯乾燥機