(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】テールパイプ触媒を含有する自動車用三元触媒系
(51)【国際特許分類】
B01D 53/94 20060101AFI20250610BHJP
B01J 23/63 20060101ALI20250610BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20250610BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20250610BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 300
B01J23/63 A ZAB
B01J23/89 A
F01N3/10 A
F01N3/24 C
F01N3/24 J
F01N3/24 B
(21)【出願番号】P 2021574955
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 US2020038035
(87)【国際公開番号】W WO2020257220
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-30
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】524318674
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ モバイル エミッションズ カタリスツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BASF Mobile Emissions Catalysts LLC
【住所又は居所原語表記】33 Wood Avenue South, Iselin, New Jersey 08830, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ユノフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ディーバ,マイケル
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-508515(JP,A)
【文献】特表2005-505403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0168161(US,A1)
【文献】特表2018-513784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
B01J 21/00-38/74
F01N 3/00-3/02,3/04-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用触媒系であって、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、前記三元変換触媒物品が、i)第1の支持体上に担持された第1の白金族金属、およびii)第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
b)前記第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、前記触媒物品が、i)第2の支持体上に担持された第2の白金族金属、およびii)第2の基材を含む、触媒物品、
c)i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物のうちの1つの上に担持された第3の白金族金属および/またはニッケルと銅との組み合わせを含む非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
前記第3の白金族金属の充填量が、存在する場合、1.0~10.0g/ft
3(35.315~353.15g/m
3)の範囲にあり、
前記テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、前記レゾネーターと前記マフラーとの間、前記マフラーの内側、前記レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、前記触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート(0.3048~3.048m)離して配列されている、自動車用触媒系。
【請求項2】
第3の白金族金属の量が、前記触媒系に存在する前記白金族金属の総量の10重量%未満である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記第1の白金族金属の充填量が、50~300g/ft
3(
1765.75~10594.5g/m
3)の範囲にある、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
前記第2の白金族金属の充填量が、1.0g/ft
3~50.0g/ft
3(35.315~
1765.75g/m
3)である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項5】
前記第3の白金族金属の前記充填量が、1.0~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項6】
前記第1、第2、および第3の白金族金属の各々が、白金、パラジウム、ロジウム、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項7】
前記第3の白金族金属が、白金である、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項8】
前記自動車用触媒系が、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、前記物品が、第1の支持体上に担持された50~300g/ft
3(
1765.75~10594.5g/m
3)の第1の白金族金属、および第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
b)前記第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、前記物品が、第2の支持体上に担持された1.0g/ft
3(35.315g/m
3)~50g/ft
3(1765.75g/m
3)の第2の白金族金属、および第2の基材を含む、触媒物品、
c)i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物の1つの上に担持された1.0~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)の第3の白金族金属および/または非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
前記テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、前記レゾネーターと前記マフラーとの間、前記マフラーの内側、前記レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、前記触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート(0.3048~3.048m)離して配列されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項9】
前記第1または第2の支持体が、アルミナ成分、酸素貯蔵成分、ジルコニア成分、およびセリア成分からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項10】
前記アルミナ成分が、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の触媒系。
【請求項11】
前記酸素貯蔵成分が、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項9に記載の触媒系。
【請求項12】
前記セリア成分が、少なくとも85重量%の酸化セリウム含有量を有するセリアまたは安定化セリアから選択され、前記セリア成分が、任意選択で、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントを含み、前記ドーパントの量が、前記セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20.0重量%である、請求項9に記載の触媒系。
【請求項13】
前記触媒物品(b)が、床下触媒物品または第2の密結合触媒物品である、請求項1~12のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項14】
前記第1の密結合三元変換触媒物品(a)および/または前記触媒物品(b)が、単層または二層の触媒物品である、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項15】
前記第1の密結合三元変換触媒物品(a)および/または前記触媒物品(b)が、底層および最上層を含む二層触媒物品であり、前記底層および/または最上層が、前部ゾーンおよび後部ゾーンを含む、請求項14に記載の触媒系。
【請求項16】
前記第1、第2、および第3の基材の各々が、セラミック基材、金属基材、コーティングされたセラミック発泡基材、ポリマー発泡基材、または織物繊維基材である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項17】
前記自動車用触媒系が、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft
3(3178.35~3531.5g/m
3)のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~10g/ft
3(35.315~353.15)のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材を含む第1の密結合三元変換触媒物品、
b)前記第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft
3(35.315g/m
3)~5.0g/ft
3(176.575g/m
3)のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)の白金、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
前記テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、前記レゾネーターと前記マフラーとの間、前記マフラーの内側、前記レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、前記触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート(0.3048~3.048m)離して配列されている、請求項1~
16のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項18】
前記自動車用触媒系が、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft
3(
3178.35~3531.5g/m
3)のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~10g/ft
3(35.315~353.15g/m
3)のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材を含む二層物品である、第1の密結合三元変換触媒物品、
b)前記第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft
3~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)のパラジウム、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
前記テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、前記レゾネーターと前記マフラーとの間、前記マフラーの内側、前記レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、前記触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート(0.3048~3.048m)離して配列されている、請求項1~
16のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項19】
前記自動車用触媒系が、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft
3(
3178.35~3531.5g/m
3)のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~10g/ft
3(35.315~353.15g/m
3)のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材を含む第1の密結合三元変換触媒物品、
b)前記第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、前記物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft
3~5.0g/ft
3(35.315~176.575g/m
3)のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリアおよびランタナ-ジルコニア上に担持された0.5重量%のCuOおよび10重量%のNiO、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
前記テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、前記レゾネーターと前記マフラーとの間、前記マフラーの内側、前記レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、前記触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート(0.3048~3.048m)離して配列されている、請求項1~
16のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項20】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を請求項1~
19のいずれか一項に記載の触媒系と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
ガス状排気流中の一酸化炭素レベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を請求項1~
19のいずれか一項に記載の触媒系と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月20日に出願された米国仮特許出願第62/863983号、および2019年7月18日に出願された欧州特許出願第19186977.5号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
特許請求される本発明は、排気ガスを処理し、その中に含有される汚染物質を低減するのに有用な触媒系に関する。具体的には、特許請求される本発明は、一酸化炭素を選択的に低減するために使用することができるテールパイプ触媒を含有する触媒系に関する。
【背景技術】
【0003】
三元変換(TWC)触媒などの自動車用触媒は、内燃機関からの排気ガス流の処理に数年間利用されてきた。三元変換触媒は、典型的には、未燃の炭化水素および一酸化炭素を酸化し、窒素酸化物を還元することが知られている。様々な汚染物質の中で、テールパイプの排気ガスエミッションにおいて観察される一酸化炭素レベルの上昇は、近年、米国などの様々な国の政府規制が、一酸化炭素のエミッションに関して厳しい制限を課しており、すなわち、テールパイプからのCOエミッションの許容値は着実に下がっているが、自動車メーカーにとっては依然として問題である。したがって、非メタン炭化水素(NMHC)およびNOx値は、多くの場合、触媒の主な焦点であるが、CO低減機能は現在ますます注目されている。
【0004】
従来技術では、COおよび他の汚染物質を低減するためのニッケルまたはニッケルと銅との組み合わせを含む三元触媒の使用が開示されている。しかし、そのような触媒の実用性は、ニッケルと銅の両方がアルミナなどの支持体と反応してニッケル-アルミネートおよび銅-アルミネートを形成する可能性があり、それは、そのような設計の商業的成功に影響を与える場合がある。それぞれのアルミネートの形成は、典型的には、厳しいエージング条件中に起こり、触媒の失活を引き起こし得る。さらに、卑金属の存在は、白金族金属(PGM)の被毒(poisoning)を引き起こすことがあり、および/または低い熱安定性の原因となることがある。さらに、一酸化炭素と反応するニッケルは有毒なニッケルテトラカルボニルを場合によっては形成する可能性があるため、欧州連合では、自動車用触媒でのニッケルの使用には制限がある。
【0005】
したがって、COエミッションを選択的にターゲットにしながら、エミッションスペクトル全体にわたって肯定的な結果を提供することができる触媒系が必要である。したがって、本発明の目的は、最適化された追加の触媒を、エンジンから離して配置し、かつ密結合触媒(CC)-1および床下触媒/密結合触媒-2(CC-2)と共に使用して、エージングの影響を最小限に抑え、高いPGM分散を維持し、それによってCOエミッションを削減する自動車用触媒系を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
特許請求される本発明は、
a.エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該三元変換触媒物品が、i)支持体上に担持された第1の白金族金属、およびii)第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
b.第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、当該触媒物品が、i)支持体上に担持された第2の白金族金属、およびii)第2の基材を含む、触媒物品、
c.i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物のうちの1つの上に担持された第3の白金族金属および/または非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含む、自動車用触媒系であって、
第3の白金族金属の充填量が、1.0~20.0g/ft3の範囲にあり、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている、自動車用触媒系を提供する。
【0007】
別の態様では、特許請求される本発明は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法を提供し、方法は、排気流を、特許請求される本発明による触媒系と接触させることを含む。
【0008】
なお別の態様では、特許請求される本発明は、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法を提供し、方法は、ガス状排気流を特許請求される本発明による触媒系と接触させることを含む。
【0009】
さらに別の態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、特許請求される本発明による触媒系の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面が参照され、これらは、必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の構成要素を指す。図面は、単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求される本発明の上記および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになろう。
【
図1】
図1Aは参照の触媒系設計の概略図であり、
図1Bは、特許請求される本発明の一実施形態による例示的な構成における触媒系設計の概略図である。
図1Cは参照の密結合触媒物品設計を示し、
図1Dは床下触媒物品設計を示し、
図1Eはテールパイプ触媒物品設計を示している。
【
図2AB】参照の触媒系に関するFTP-72試験におけるTHC、CO、およびNOの発生を示している。
【
図3】参照系の利用後に測定したFTP-72試験におけるラムダトレースを示している。
【
図4】特許請求される本発明による触媒系の性能評価のために使用された2つの温度トレースを示している。
【
図5】様々な触媒系設計の比較のCOエミッション性能の比較を示している。
【
図7】様々な触媒系のライトオフ性能を示している。
【
図8A】特許請求される本発明の一実施形態による触媒組成物を含み得るハニカム型基材担体の斜視図である。
【
図8B】
図8Aについて拡大され、かつ
図8Aの基材担体の端面に平行な平面に沿って取られた部分断面図であり、
図8Aに示した複数のガス流路の拡大図を示している。
【
図9】
図8Aについて拡大された断面の破断図であり、
図8Aのハニカム型基材は、ウォールフローフィルター基材モノリスを表している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、以下で特許請求される本発明をさらに十分に説明する。特許請求される本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、特許請求される本発明が綿密で完全であるように、かつ本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように、提供される。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求されていない要素を、開示された材料および方法の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0013】
本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を説明し、釈明するために使用される。例えば、「約」という用語は、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下を指す。すべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾される。もちろん、「約」という用語によって修飾される値には、特定の値が含まれる。例えば、「約5.0」には、5.0が含まれる必要がある。
【0014】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で別途指示がない限り、またはそうでなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、材料および方法をよりよく説明することのみを意図したものであり、別途請求されない限り、範囲を限定するものではない。
【0015】
本発明は、自動車からの高いCOエミッションを制御する問題に取り組み、第1の密結合および床下(CC+UF)触媒または第1の密結合および第2の第1の密結合(CC1+CC2)触媒構成の後ろに位置することができる追加の触媒物品が提供される自動車用触媒系を提供する。したがって、複数の反応が活性部位をめぐって競合する密結合触媒を変更する代わりに、特許請求される本発明は、PGMおよび/または非PGM含有触媒を車両のエンジンから離して配置し、それによってエージングの影響を最小限に抑え、高いPGM/非PGM分散を維持することによって、COエミッションを制御するための効果的な解決策を提供する。本発明の文脈におけるそのような触媒は、特定の位置において、例えば、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端において、触媒物品(CC2/UF)から下流に、かつ離して配列されているテールパイプ触媒と称される。
【0016】
テールパイプ触媒物品は、主に車両の加速中のブレークスルー(breakthrough)であるCOを選択的に変換することがわかっている。一実施形態では、テールパイプ触媒は、非常に低いPGM充填量(1~10g/ft3)を使用して調製される。すなわち、テールパイプ触媒中のPGMの量は、CC1およびCC2(またはUF)触媒中に存在する全PGMの10%未満である。一実施形態では、本触媒系は、追加の触媒物品(テールパイプ触媒物品)を含有するが、CC1およびUF/CC2を含有する従来の触媒系のPGM充填量と同等の全PGM充填量を有し得る。テールパイプ触媒で利用される白金族金属は、CC触媒物品から取られた少量フラクション(minor fraction)であることができる。PGMの再分配または置換(例えば、PtをPdで置換)は、系全体のPGMコストが同等になるように行われる。テールパイプ触媒は、THCおよびNOエミッションに悪影響を及ぼさないことが実証されている。テールパイプ(TP)触媒は、水性ガスシフト(WGS)触媒として機能し、主にCOおよび水をCO2および水素に変換する。WGS触媒は、酸素に依存しないため、酸素を消費するTWC+TWC系の背後で運転することができる。
【0017】
特許請求される本発明の主な焦点は、典型的なドライビングサイクル中のCOエミッションに対処することである。これは、エンジンがリッチで作動し、CC+UF系の効率が「ホットエミッション」を軽減するのに十分でないとき、例えば、エンジンが化学量論モードまたはリッチモードの下で作動している場合のとき、すなわち、空気/燃料比が1以下の場合のとき、車両加速中のCOブレークスルーを軽減するのに十分でないとき、急速な車両加速中に特に重要である。テールパイプの配置は、触媒上で行われるWGS反応の最適な作動温度範囲と関係がある。したがって、その配置は、床下のすぐ後ろの位置と、テールパイプの先端との間のどこにでもあり得、ベッド温度に左右される。さらに、テールパイプ触媒は、マフラーの前に配置することができ、またはマフラーアセンブリ内にも配置することができる。作動モードおよび化学的作用は、テールパイプ触媒の配置を決定する。
【0018】
一実施形態では、自動車用触媒系は、
(a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該三元変換触媒物品が、i)支持体上に担持された第1の白金族金属、およびii)第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
(b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、当該触媒物品が、i)支持体上に担持された第2の白金族金属、およびii)第2の基材を含む、触媒物品、
(c)i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物のうちの1つの上に担持された第3の白金族金属および/または非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
第3の白金族金属の充填量は、存在する場合、1.0~10.0g/ft3の範囲にあり、
テールパイプ触媒物品(c)は、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0019】
一実施形態では、第3の白金族金属の量は、触媒系に存在する白金族金属の総量の10重量%未満であり、すなわち、第3の白金族金属の量は、第1、第2、および第3の白金族金属の総量の10重量%未満である。一実施形態では、第3の白金族金属の量は、触媒系に存在する白金族金属の総量の5.0重量%未満である。
【0020】
「触媒」、「触媒物品(catalytic article)」、または「触媒物品(catalyst article)」という用語は、基材が、所望の反応を促進するために使用される触媒組成物でコーティングされた成分を指す。一実施形態では、触媒物品は、層状触媒物品である。層状触媒物品という用語は、基材が、PGM組成物で層状にコーティングされた触媒物品を指す。これらの組成物は、ウォッシュコートと称され得る。
【0021】
白金族金属(PGM)は、PGM(Ru、Rh、Os、Ir、Pd、およびPt)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、原子価がゼロの金属形態であってもよく、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」についての言及は、任意の価電子状態でのPGMの存在を考慮に入れている。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」、「イリジウム(Ir)成分」、「ルテニウム(Ru)成分」などの用語は、触媒の焼成または使用時に分解するか、他の方法で触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に変換する、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。
【0022】
「NOx」という用語は、NOおよび/またはNO2などの窒素酸化物化合物を指す。
【0023】
白金族金属は、アルミナ成分、セリア成分、ジルコニア成分、および酸素貯蔵成分などの支持体材料上に担持または含浸される。本明細書で使用される場合、「含浸させた」または「含浸」とは、支持体材料の細孔性構造に触媒材料を浸透させることを指す。
【0024】
触媒材料もしくは触媒組成物または触媒ウォッシュコートにおける「支持体」は、沈殿、会合、分散、含浸、または他の好適な方法によって金属(例えば、PGM)、安定剤、促進剤、結合剤などを受容する材料を指す。例示的な支持体としては、本明細書で以下に記載されるような耐熱金属酸化物支持体が挙げられる。
【0025】
「耐火性金属酸化物支持体」は、例えば、バルクアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、ネオジミア、およびそのような使用で知られている他の材料、ならびに原子ドープされた組み合わせを含み、かつ高表面積または活性化アルミナなどの活性化合物を含む、それらの物理的混合物または化学的組み合わせを含む金属酸化物である。
【0026】
金属酸化物の例示的な組み合わせとしては、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリアランタナ-ネオジミアアルミナ、およびアルミナ-セリアが挙げられる。例示的なアルミナは、大きい細孔のベーマイト、ガンマ-アルミナ、およびデルタ/シータアルミナを含む。例示的なプロセスにおいて出発材料として使用される有用な市販のアルミナとしては、高嵩密度ガンマ-アルミナ、低または中嵩密度大細孔ガンマ-アルミナ、ならびに低嵩密度大細孔ベーマイトおよびガンマ-アルミナなどの、活性アルミナが挙げられる。そのような材料は、一般に、得られる触媒に耐久性を提供すると考えられている。
【0027】
「高表面積の耐火性金属酸化物支持体」という用語は、具体的には、20Åより大きい細孔および広い細孔分布を有する担体粒子を指す。高表面積の耐熱金属酸化物担体、例えば、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも称されるアルミナ支持体材料は、典型的には、1グラム当たり60平方メートル(「m2/g」)を超える、しばしば約300m2/g以上の新鮮な材料のBET表面積を示す。そのような活性アルミナは、通常、アルミナのガンマ相とデルタ相との混合物であるが、相当量のエータ、カッパ、およびシータアルミナ相も含有し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「酸素貯蔵成分」(OSC)という用語は、多価状態を有し、かつ還元条件下で一酸化炭素(CO)および/または水素などの還元剤と能動的に反応し、次いで酸化条件下で酸素または窒素酸化物などの酸化剤と反応することができる実体を指す。酸素貯蔵成分の例としては、前周期遷移金属酸化物、特にジルコニア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、ニオビア、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、およびそれらの混合物で任意選択的にドープされたセリア複合材料が挙げられる。
【0029】
一実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせを含み、酸素貯蔵成分の量は、第1の層または第2の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。一例示的実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニアを含む。
【0030】
一実施形態では、アルミナ成分は、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0031】
一実施形態では、酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量でセリアを含む。一実施形態では、第1の層の酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、20.0~50.0重量%の量でセリアを含む。一実施形態では、第2の層の酸素貯蔵成分は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~15.0重量%の量でセリアを含む。
【0032】
本発明の文脈において、ジルコニア成分という用語は、ランタナまたはバリアまたはセリアによって安定化または促進されるジルコニア系支持体である。実施例は、ランタナ-ジルコニア、およびバリウム-ジルコニアを含む。
【0033】
一実施形態では、セリア成分は、少なくとも85重量%の酸化セリウム含有量を有するセリアまたは安定化セリアを含み、当該セリア成分は、任意選択で、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントを含み、そのドーパントの量は、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20.0重量%である。
【0034】
一実施形態では、第1、第2、または第3の白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0035】
一実施形態では、第1の白金族金属の充填量は、50~300g/ft3の範囲にある。一実施形態では、第2の白金族金属の充填量は、1.0g/ft3および50.0g/ft3である。一実施形態では、第3の白金族金属の充填量は、1.0~10.0g/ft3である。一実施形態では、第3の白金族金属の充填量は、1.0~5.0g/ft3である。一実施形態では、第3の白金族金属の充填量は、3g/ft3である。一実施形態では、第3の白金族金属は白金である。一実施形態では、第3の白金族金属はパラジウムである。一実施形態では、第3の白金族金属はロジウムである。
【0036】
一実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、支持体上に担持された50~300g/ft3の第1の白金族金属、および第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、当該物品が、支持体上に担持された1g/ft3~50g/ft3の第2の白金族金属、および第2の基材を含む、触媒物品、
c)i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物のうちの1つの上に担持された1.0~10g/ft3の第3の白金族金属および/または非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0037】
一実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、支持体上に担持された50~300g/ft3の第1の白金族金属、および第1の基材を含む、第1の密結合三元変換触媒物品、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している触媒物品であって、当該物品が、支持体上に担持された1g/ft3~50g/ft3の第2の白金族金属、および第2の基材を含む、触媒物品、
c)i)セリア-ジルコニア、セリア、セリア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナとセリアとの混合物、およびアルミナとセリア-ジルコニアとの混合物のうちの1つの上に担持された1.0~10g/ft3の第3の白金族金属および/または非白金族金属、ならびにii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、第3の白金族金属の量が、触媒系に存在する白金族金属の総量の5.0重量%未満であり、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0038】
一実施形態では、セリア-ジルコニアは5.0~60重量%の酸化セリウムを含み、セリアアルミナは1.0~40重量%の酸化セリウムを含み、ランタナ-ジルコニアは70~99重量%のジルコニアを含み、アルミナジルコニアは1~40重量%のジルコニアを含む。
【0039】
一実施形態では、触媒物品(b)は、床下触媒物品または第2の密結合触媒物品である。1つの例示的な実施形態では、エンジン(22)、密結合触媒物品(CC1、24)、床下触媒物品(26)、および床下触媒物品(26)から下流に離して配列されているテールパイプ触媒物品(28)を含む、特許請求される本発明の自動車用触媒系が、
図1Bに示されている。参照触媒系は、エンジン(22)、密結合触媒物品(CC1、24)、および床下触媒物品(26)を含む
図1Aに示されている。
【0040】
一実施形態では、第1の密結合三元変換触媒物品(a)および/または触媒物品(b)は、単層または二層の触媒物品である。一実施形態では、第1の密結合三元変換触媒物品(a)および/または触媒物品(b)は、前部ゾーンおよび後部ゾーンを含む単層触媒物品である。
【0041】
一実施形態では、第1の密結合三元変換触媒物品(a)および/または触媒物品(b)は、底層および最上層を含む二層触媒物品であり、当該底層および/または最上層は、前部ゾーンおよび後部ゾーンを含む。
【0042】
一実施形態では、テールパイプ触媒物品は、支持体上に担持された、ニッケル、銅、鉄、マンガン、亜鉛、チタン、バナジウム、クロム、またはそれらの組み合わせから選択される非白金族金属を含み、当該支持体はセリア成分、ジルコニア成分、および酸素貯蔵成分から選択される。非白金族金属の充填量は、0.1~20重量%または10~500g/ft3の範囲にある。非白金族金属は、PGMの代わりにテールパイプ触媒で単独で使用することができ、またはPGMと組み合わせて使用することができる。一例として、非白金族金属(一種または複数種)、例えば、ニッケルおよび/または銅を、エンジンから離して置くと、厳しいエージング条件への曝露を軽減し、それによって触媒の失活を低減することができる。一実施形態では、ニッケル(Ni)と銅(Cu)との組み合わせが使用される。一実施形態では、使用されるニッケルの量は5.0~15重量%であり、使用される銅の量は0.2~1.0重量%である。1つの好ましい実施形態では、使用されるニッケルの量は10重量%であり、使用される銅の量は0.5重量%である。さらに、アルミナ成分に加えて、またはその代わりに、セリア成分、ジルコニア成分、および酸素貯蔵成分などの支持体を使用すると、ニッケル-アルミネートおよび銅-アルミネートなどの活性の低い非白金族金属混合酸化物の形成を制限または完全に防止することができる。なおさらに、非白金族金属を別々に置くことにより、PGMの被毒(poising)の可能性を回避することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、典型的には、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するウォッシュコートの形態のモノリス材料を指し、モノリシック材料上に触媒組成物が置かれている。
【0044】
「モノリシック基材」、または「ハニカム基材」への言及は、入口から出口まで均質かつ連続的な単一構造を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に多孔性である、ハニカム型担体部材などの基材材料に適用される触媒または他の材料の薄い接着性のコーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固体含有量(例えば、15~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0046】
本明細書において使用され、Heck,Ronald,and Farrauto,Robert,Catalytic Air Pollution Control,New York:Wiley-Interscience,2002,pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層は、モノリス基材または下側のウォッシュコート層の表面に配置された材料の、組成的に区別される層を含む。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの方式で異なる(例えば、粒径または結晶子相などの、例えば、その物理的特性において異なり得る)、および/または化学的触媒機能が異なり得る。
【0047】
触媒物品は、「未使用」であってもよく、これは、触媒物品が新しく、任意の熱または熱的ストレスに長期間の間曝露されていないことを意味する。「未使用」とはまた、触媒が最近調製され、任意の排気ガスまたは高温にさらされていないことを意味し得る。同様に、「エージングした」触媒物品は、未使用ではなく、長期間(すなわち、3時間超)の間、排気ガスおよび高温(すなわち、500℃超)に曝露される。
【0048】
1つ以上の実施形態によれば、特許請求される本発明の触媒物品の基材は、自動車用触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料で構築することができ、典型的にはセラミックまたは金属モノリシックハニカム構造を含む。一実施形態では、基材は、セラミック基材、金属基材、セラミック発泡体基材、ポリマー発泡体基材、または織物繊維基材である。一実施形態では、基材の密度は400cpsi未満である。
【0049】
基材は、典型的には、上記で本明細書に記載の触媒組成物を含むウォッシュコートが塗布および接着される複数の壁面を提供し、それにより触媒組成物用の担体として作用する。
【0050】
例示的な金属基材は、チタンおよびステンレス鋼ならびに鉄が実質的なまたは主な成分である他の合金などの耐熱性金属および金属合金を含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含有し得、これらの金属の総量は、有利には、合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケルを含み得る。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、およびチタンなどの、少量または微量の1つ以上の金属を含有し得る。金属基材の表面は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層を形成してもよく、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にする。
【0051】
基材の構築に使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。
【0052】
通路が流体フローに開放されるように、基材の入口から出口面まで延在する複数の微細で平行なガス流路を有するモノリシックフロースルー基材などの、任意の好適な基材を用いることができる。入口から出口への本質的に直線の経路である通路は、通路を通して流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされる壁によって画定される。モノリシック基材の流路は、例えば、台形、長方形、正方形、正弦波形状、六角形、楕円形、および円形などの任意の好適な断面形状のものであり得る薄壁チャネルである。そのような構造は、断面の1平方インチ当たり約60~約1200以上のガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には、約300~900cpsiを含有する。フロースルー基材の壁厚は、変動する可能性があり、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiで6ミルの壁厚、または600cpsiで4ミルの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、基材は、各通路が、基材本体の一端で非多孔性プラグによって閉塞され、交互の通路が反対側の端面で閉塞されている、壁流基材であってもよい。これは、出口に到達するために、ガス流が壁流基材の多孔質壁を通ることを必要とする。そのようなモノリシック基材は、約100~400cpsi、より典型的には、約200~約300cpsiなどの、最大約700またはそれよりも多いcpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記に説明されているように、変動する可能性がある。壁流基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販の壁流基材は、多孔性コーディエライトから構築され、その例は、200cpsiおよび10ミルの壁厚、または8ミルの壁厚を有する300cpsi、ならびに45~65%の壁の多孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料もまた、壁流フィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材の種類、材料、または形状には限定されないことが理解されるであろう。基材が壁流基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配設されることに加えて、多孔質壁の細孔構造内に浸透し得る(すなわち、細孔開口部を部分的または完全に塞ぐ)ことに留意されたい。一実施形態では、基材は、フロースルーセラミックハニカム構造、壁流セラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を有する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンが上流位置にあり、テールパイプならびにフィルタおよび触媒などの任意の汚染物軽減物品は、エンジンの下流にある。
【0055】
図8Aおよび8Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を例示している。
図8Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4、上流端面6、および端面6と同一である対応している下流端面8を有する。基材2は、内部に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。
図8Bに見られるように、流路10は、壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延び、通路10は、流体の流れ、例えば、ガス流の流れを、基材のガス流路10を介して基材2を通して長手方向に可能にするように遮断されていない。
図8Bでより容易に認められるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形形状を有するように寸法決めされ、構成されている。示されるように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて、複数の別個の層で適用され得る。示される実施形態において、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14および第1のウォッシュコート層14の上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16からなる。一実施形態では、特許請求される本発明はまた、2つ以上(例えば、3または4つ)のウォッシュコート層で実施され、示される2層の実施形態に限定されない。
【0056】
図9は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたウォールフローフィルター基材の形態の例示的な基材2を例示している。
図9に認められるように、例示的な基材2は、複数の流路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53により管状に囲まれている。基材は、入口端54および出口端56を有する。交互の通路は、入口端で入口プラグ58により、出口端で出口プラグ60により塞がれて、入口54および出口56で逆となる市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通して入り、出口プラグ60によって止められ、(多孔性である)チャネル壁53を通して出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58を理由に、壁の入口側に戻って通ることができない。本発明で使用される多孔質ウォールフローフィルターは、その上にまたはその中に1つ以上の触媒材料を有するかまたは含有する当該要素の壁に触媒作用を有する。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側および出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、触媒材料からすべてまたは一部が構成されてもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁における1つ以上の触媒材料層の使用を含む。
【0057】
1つの例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された50~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~50g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft3白金、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0058】
別の例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された50~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~50g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft3のパラジウム、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0059】
別の例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された50~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~50g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびに第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft3ロジウム、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0060】
別の例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された50~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~50g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリアおよびランタナ-ジルコニア上に担持された0.5重量%のCuOおよび10重量%のNiO、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0061】
1つの例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1~10g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft3白金、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0062】
1つの例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~10g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリア-アルミナ上に担持された1.0~5.0g/ft3のパラジウム、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0063】
別の例示的な実施形態では、自動車用触媒系は、
a)エンジン排気口と流体連通している第1の密結合三元変換触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された90~100g/ft3のパラジウムを含む底層、ii)アルミナ成分上に担持された1.0~10g/ft3のロジウムを含む最上層、ならびにiii)第1の基材、
b)第1の密結合三元変換触媒物品の下流に位置し、かつそれと流体連通している床下触媒物品であって、当該物品が、i)アルミナ成分および酸素貯蔵成分上に担持された1.0g/ft3~5.0g/ft3のロジウム、ならびにii)第2の基材を含む、床下触媒物品、
c)i)セリアおよびランタナ-ジルコニア上に担持された0.5重量%のCuOおよび10重量%のNiO、およびii)第3の基材を含むテールパイプ触媒物品を含み、
テールパイプ触媒物品(c)が、レゾネーターの前または後ろ、マフラーの前または後、レゾネーターとマフラーとの間、マフラーの内側、レゾネーターの内側、およびテールパイプの末端から選択される位置で、触媒物品(b)と流体連通して下流に、かつ1.0~10フィート離して配列されている。
【0064】
第1の密結合三元変換触媒物品を調製するためのプロセスも提供する。一実施形態では、プロセスは、第1の層のスラリーを調製することと、基材上に第1の層のスラリーを堆積させて、第1の層を得ることと、第2の層のスラリーを調製することと、第1の層上に第2の層のスラリーを堆積させて、400~700℃の範囲の温度における焼成が続く、第2の層を得ることと、を含み、第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製する工程は、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技術を含む。一実施形態では、プロセスは、白金もしくはパラジウム、またはその両方を支持体上に熱的または化学的に固定する前工程を含む。
【0065】
熱固定は、例えば、インシピエントウェットネス含浸法を介して支持体上にPGMを堆積させ、続いて得られたPGM/支持体混合物を熱焼成することを伴う。一例として、混合物は、1.0~25℃/分のランプ速度で400~700℃において1.0~3.0時間焼成する。
【0066】
化学的固定には、PGMを支持体上に堆積させ、続いて追加の試薬を使用してPGMを化学的に変換する固定を伴う。一例として、水性硝酸Pdは、アルミナに含浸される。含浸された粉末は、乾燥または焼成されるのではなく、代わりに、水酸化Baの水溶液に添加される。添加の結果、酸性の硝酸Pdが塩基性の水酸化Baと反応して、水に不溶性の水酸化Pdおよび硝酸Baを得る。したがって、Pdは、細孔中およびアルミナ支持体の表面上に不溶性成分として化学的に固定される。あるいは、支持体に、最初に酸性成分を含浸させ、続いて第2の塩基性成分を含浸させることができる。支持体、例えば、アルミナ上に堆積した2つの試薬間の化学反応は、支持体の細孔および表面上にも堆積する不溶性またはほとんど不溶性の化合物の形成につながる。
【0067】
毛細管含浸または乾式含浸とも称されるインシピエントウェットネス含浸技術は、一般的に、不均一材料、すなわち触媒の合成に使用される。典型的には、活性金属前駆体を水溶液または有機溶液に溶解させ、次いで触媒支持体に金属含有溶液を添加し、触媒支持体は、添加された溶液の体積と同じ細孔容積を含有する。毛細管現象により、溶液が支持体の細孔に引き込まれる。支持体の細孔容積を超えて添加された溶液により、溶液輸送が、毛細管現象プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスに変わる。触媒を乾燥および焼成して、溶液内の揮発性成分を除去し、触媒支持体の表面上に金属を堆積させる。含浸させられた材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥中の細孔内の物質移動条件に依存する。適切に希釈した後、複数の活性金属前駆体を触媒支持体に共含浸させてもよい。あるいは、活性金属前駆体は、スラリー調製のプロセス中に撹拌下で後添加を介してスラリーに導入される。
【0068】
支持体粒子は、典型的には、溶液の実質的にすべてを吸収して、湿潤固体を形成するのに十分に乾燥している。典型的には、(ロジウムが活性金属である場合)塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、および(パラジウムが活性金属である場合)硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの活性金属の水溶性化合物または錯体の水溶液が利用される。活性金属溶液による支持体粒子の処理後、粒子を、高温(例えば、100~150℃)で一定時間(例えば、1.0~3.0時間)、熱処理などによって乾燥させ、次いで、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換するために焼成する。例示的な焼成プロセスは、約400~550℃の温度で、10分間~3.0時間、空気中で熱処理することを含む。必要に応じて、含浸の手段によって上のプロセスを繰り返して、所望の活性金属の充填レベルに到達させることができる。
【0069】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のように触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的でスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択的に、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、ジルコニア、もしくは水酸化ジルコニウム、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性の界面活性剤を含む)の形態の結合剤を含有してもよい。他の例示的な結合剤としては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。結合剤は、存在する際には、典型的には、約1.0~5.0重量%の量の全ウォッシュコート充填量で使用する。スラリーに酸性または塩基性の種の添加を行い、それによりpHを調整する。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加により調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3~12である。
【0070】
スラリーを粉砕して、粒径を低減させ、粒子の混合を促進してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固形分は、例えば、約20~60重量%、より具体的には、約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、約3~約40マイクロメートル、好ましくは10~約30マイクロメートル、より好ましくは約10~約15マイクロメートルのD90粒径によって特徴付けられる。D90は、専用の粒径分析装置を使用して決定される。この実施例で用いられている機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリーの粒径を測定する。典型的にはミクロン単位のD90は、粒子の数の90%が、引用値よりも小さな直径を有することを意味する。
【0071】
当該技術分野において既知の任意のウォッシュコート技術を使用して、スラリーを触媒基材上にコーティングする。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上浸漬されるか、または別様にスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、高温(例えば、100~150℃)で、一定時間(例えば、10分~3.0時間)乾燥され、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には、約10分~約3時間加熱することによって焼成する。乾燥および焼成後、最終的なウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないと考えられる。焼成後に、上記のウォッシュコート技術により得られる触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量の差を計算することにより求めることができる。当業者に明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変えることにより修正することができる。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填水準または厚さに構築することができ、すなわち2回以上のウォッシュコートを塗布してもよい。
【0072】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材に熱処理を施すことによってエージングされる。一実施形態では、エージングは、10体積%の水分の環境において、約850℃~約1050℃の温度で、50~75時間、交互に炭化水素/空気を供給して実施される。したがって、ある特定の実施形態では、エージングされた触媒物品が提供される。ある実施形態では、特に有効な材料は、エージング時(例えば、約850℃~約1050℃において、交互に炭化水素/空気供給のある、10体積%の水分、50~75時間のエージング)に、細孔容積の高いパーセンテージ(例えば、約95~100%)を維持する金属酸化物系支持体(限定されるものではないが、実質的に100%のセリア支持体を含む)を含む。
【0073】
床下触媒物品を調製するためのプロセスも提供される。一実施形態では、プロセスは、アルミナおよびOSCなどの支持体を使用してスラリーを調製し、スラリーにPGMを添加してウォッシュコートを形成することを含む。一実施形態では、スラリーは、すべての成分がコーディエライト基材上に層として添加およびコーティングされた後に粉砕される。
【0074】
テールパイプ触媒物品を調製するためのプロセスも提供される。一実施形態では、プロセスは、アルミナおよびOSCなどの1つ以上の支持体を使用してスラリーを調製し、PGMをスラリーに添加してウォッシュコートを形成し、ウォッシュコートを基板上に堆積することを含む。
【0075】
一態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法も提供する。方法は、排気流を、特許請求される本発明による触媒系または排気系と接触させることを含む。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得るリーンバーンエンジンの排気である。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素を含む。そのような用語は、本明細書に記載されるような1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物を同様に指す。一実施形態では、一酸化炭素を含有する排気流を処理する方法を提供する。
【0076】
別の態様では、特許請求される本発明はまた、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法も提供する。方法は、ガス状排気流を、特許請求される本発明による触媒系または排気系と接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む。一実施形態では、ガス状排気流を、特許請求される本発明による触媒系または排気系と接触させることを含む、ガス状排気流中の一酸化炭素レベルを低減する方法を提供する。
【0077】
なお別の態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、特許請求される本発明の触媒系の使用も提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、触媒系は、触媒系と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素、炭化水素、および亜酸化窒素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒系は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。いくつかの実施形態では、触媒系は、触媒系と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態において、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒系は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0079】
いくつかの実施形態において、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態において、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、組み合わされた炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物の総量の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【0080】
別の態様では、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、特許請求される本発明による触媒系の使用を提供する。
【実施例】
【0081】
特許請求される本発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に示され、これらは、本発明のある特定の態様を示すために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0082】
実施例1(参照触媒系:CC1+UF)
A.CC1触媒物品の調製:
Pd/Rh系CC1 TWC触媒物品を調製し、密結合参照触媒物品として使用した。全PGM充填量(Pt/Pd/Rh)は0/96/4である。ボトムコートは、96g/ft3のPd、または触媒物品中の全Pdの100%を含有する。トップコートは、4g/ft3のRh、または触媒物品中の全Rhの100%を含有する。ボトムコートは、2.583g/インチ3のウォッシュコート充填量を有し、トップコートは、1.002g/インチ3のウォッシュコート充填量を有する。
【0083】
ボトムコートは、321グラムのアルミナに50%の硝酸Pd溶液(35.65グラム、27%の硝酸Pd水溶液)を含浸させ、454グラムのセリア-ジルコニアに50%の硝酸Pd溶液(35.65グラム、27%の硝酸Pd水溶液)を含浸させることによって、調製された。
【0084】
アルミナ部分は、水中の173グラムの酢酸バリウムの水溶液にPd/アルミナ混合物を添加することによって、化学的に固定された。この成分を、次いで、16μm未満のD90に粉砕した。必要に応じて、硝酸を添加することによりpHを4.0~5.0付近に制御した。セリア-ジルコニア部分を水に添加し、16μm未満のD90に粉砕した。必要に応じて、硝酸を添加することによりpHを約4~5付近に制御した。次いで、2つのスラリー成分をブレンドした。
【0085】
トップコートは、水720グラム中の20.7グラムの硝酸Rh(10%Rh含有量)の混合物を、779グラムのアルミナに含浸させることによって、調製する。次いで、得られた粉末を水と混合し、16μm未満のD90まで粉砕した。必要に応じて、硝酸を添加することによりpHを4.0~5.0付近に制御した。
【0086】
触媒物品は、最初にボトムコートスラリーをセラミック基材上にコーティングすることによって、調製された。次いで、得られたコーティングされた基材を、乾燥させ、500℃で2時間焼成した。次いで、上部コートスラリーを塗布した。得られた生成物を、再び500℃で2時間焼成した。参照触媒物品(RC-CC1)を
図1Cに示す。
【0087】
B.参照UF触媒物品の調製
参照UF触媒物品は、ロジウム系単層触媒である。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhで0/0/3g/ft
3であった。ウォッシュコート充填量は2.8g/インチ
3である。1:2の比でOSC(40%セリナ)およびアルミナを使用して、スラリーを調製した。25.7グラムの酢酸バリウム、30グラムの酢酸ストロンチウム、および8グラムの酢酸ジルコニルを、水および1000グラムの支持体と混合した。9.8重量%のロジウムを含む6.3グラムの硝酸ロジウム溶液および25グラムの酢酸バリウムをスラリーに添加して、ウォッシュコートを形成した。PGMの含浸または予備焼成は行わなかった。すべての成分添加した後、スラリーを粉砕した。粉砕した(16μm未満のD
90)スラリーを、コーディエライト基材上の層としてコーティングした。触媒物品(UF)を
図1Dに示す。
【0088】
実施例2(発明の触媒系A:CC1+UF+Pt系テールパイプ触媒物品A)
Pt系テールパイプ触媒物品の調製
テールパイプ触媒物品Aを、4.25グラムの14.3%硝酸白金溶液を、606グラムのセリア、71.4グラムのアルミナ、176.61グラムの19.8%アルミナ結合剤溶液および696グラムの水と混合することによって、調製した。得られた混合物のpHを、必要に応じて硝酸で4~5まで下げた。続いて、その混合物を16μm未満のD
90まで粉砕した。得られたスラリーをセラミック基材上にウォッシュコートした。このテールパイプ触媒物品は、実施例1に従って調製されたCC1およびUFと組み合わせて使用された。テールパイプ触媒物品は
図1Eに示される。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhについて3/0/0g/ft
3である。ウォッシュコート充填量は2.0g/インチ
3である。
【0089】
実施例3(発明系B:CC1+UF+Pd系テールパイプ触媒物品B)
Pd系テールパイプ触媒物品の調製
テールパイプ触媒物品Bは、2.16グラムの28.1%硝酸パラジウム溶液を、339グラムのOSC(40%セリア含有量)、339グラムのランタナ安定化アルミナ、176.61グラムの19.8%アルミナ結合剤溶液、および696グラムの水と混合することによって、調製された。得られた混合物のpHを、必要に応じて硝酸で4~5まで下げた。続いて、その混合物を16μm未満のD90まで粉砕した。得られたスラリーをセラミック基材上にウォッシュコートした。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhについて0/3/0g/ft3である。ウォッシュコート充填量は2.0g/インチ3である。
【0090】
実施例4(発明系C:CC1+UF+Pd系テールパイプ触媒物品C)
Rh系テールパイプ触媒物品Cの調製
テールパイプ触媒物品Cは、6.12グラムの9.9%硝酸パラジウム溶液を、606グラムのOSC(10%セリア含有量)、71グラムのランタナ安定化アルミナ、176.61グラムの19.8%アルミナ結合剤溶液、および696グラムの水と混合することによって、調製された。得られた混合物のpHを、必要に応じて硝酸で4~5まで下げた。続いて、その混合物を16μm未満のD90まで粉砕した。得られたスラリーをセラミック基材上にウォッシュコートした。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhについて0/0/3g/ft3である。ウォッシュコート充填量は2.0g/インチ3である。
【0091】
実施例5(発明系D:CC1+UF+Cu/Ni系テールパイプ触媒物品D)
0.5%CuOおよび10%NiO系テールパイプ触媒の調製
PGMフリーテールパイプ触媒は、761.9グラムのセリア、13.1グラムの硝酸銅(34.2%CuO)、127グラムのランタナ-ジルコニア、127グラムの19.5%アルミナ結合剤溶液、395.5グラムの硝酸ニッケル(25.17%NiO)、および1075グラムの水を混合することによって、調製された。得られた混合物のpHを、必要に応じて硝酸を使用して4~5まで下げた。混合物は、16μm未満のD90まで粉砕し、次いで得られたスラリーをセラミック基材上にコーティングする。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhについて0/0/0g/ft3である。ウォッシュコート充填量は4.0g/インチ3である。
【0092】
実施例6(エージングおよび試験)
すべての触媒物品を、4.16×1.5インチ600/3.5コーディエライト基材上にコーティングした。CC1およびUF触媒物品は、950℃の入口温度で、12時間、交互のリーン/リッチガス供給にサンプルが曝露されるように作動する反応器を使用してエージングした。テールパイプ触媒は、同じプロトコルを使用してエージングしたが、600℃の入口温度であった。後者の温度は、エンジンベンチエージング中の車両排気系内の温度低下の結果として実験的に測定された。CC触媒(既存の2016 SULEV-30車両において)を950℃のエージング入口温度に曝露すると、当該エミッション系のテールパイプ領域で550~580℃の温度になることが判明した。温度降下は、1フィートのマニホールド当たり50℃と測定された。したがって、テールパイプ触媒に関して、反応器エージング入口温度は600℃(入口)に設定した。
【0093】
続いて、触媒物品は、4気筒ガソリンエンジンを搭載した2016 SULEV-30車両のエミッションおよび温度トレースを再現することができるように作動する反応器で、CC1+UF+テールパイプ触媒の系として試験された。参照測定のためにテールパイプ触媒を取り除いた。すべての試験は、FTP-72試験プロトコルを使用して実行された。データの再現性を確保するために、各試験を少なくとも3回繰り返した。すべての場合において同じCC1およびUF触媒物品を使用し、系の性能に関するテールパイプ触媒物品の影響を直接比較することが可能になるようにテールパイプ触媒物品のみを変更した。
【0094】
実施例7:試験結果
CC+UF参照系に関するFTP-72試験におけるTHC、CO、およびNOエミッションの発生を
図2Aおよび2Bに示す。
【0095】
エミッションには主に2つのタイプがある:すなわち、1)触媒ライトオフを完了する前のコールドスタートエミッション(FTP-72試験の約0~100秒)2)車両が加速していて、エンジンがリッチ
【数1】
で作動している間に起こるエミッションも含むコールドスタート後の「ホットエミッション」(FTP-72試験の約150~1200秒)。CC+UF系は、OSCの容量が大きいため、ラムダ振動の軽減に一般的に非常に効率的であるため、典型的なテールパイプ排気ガス組成物ラムダは一般に1に近い。しかしながら、触媒系の性能の有効性に影響を与える可能性のあるリッチ(加速)イベントおよびリーン(燃料カット)イベントがいくつか存在する。CC+UF系の後に測定したこれらのラムダトレースを
図3に報告する。
【0096】
テールパイプ触媒の作動温度は、排気系内の正しい触媒配置の重要性を実証するために変更され、それは、特定の車両および用途向けである。提示した実施例のために、作動の範囲を調査するために車両の排気温度トレースを変更し、続いて、2つの代表的な温度を選択した。それらは
図4に示される。トレース開始温度は、反応器の昇温が約200秒の高速加速中の車両排気の昇温と一致することを可能にするために室温より高い。当該開始温度での全エミッション結果に対する有意な活性の寄与はない。
【0097】
図5は、テールパイプ触媒の設計ならびに参照として使用したブランク基材の両方を使用しているCC+UF系のための累積COエミッションプロットを示している。テールパイプ触媒物品を使用して観察されたTHC、CO、およびNOに関する変換レベルを表1に要約する。
図6にCOエミッション改善領域を示している。
【表1】
【0098】
提案されたテールパイプ触媒物品の設計は、選択した実験条件下で40%もの高い変換を達成し、したがって、ブレークスルーエミッションを軽減するための提案されたアプローチの有効性を実証している。本発明の系の重要な態様は、例えば、車両が急速に加速するときなど、リッチエンジン作動中に発生するCOエミッションを効果的に処理することができることである。
【0099】
高温エミッショントレース条件下では、Pt系配合(テールパイプ触媒物品)は、最大約39%のCOおよび最大約9%のTHCエミッションの削減を可能にするため、特に効率的である。Cu/Ni系金属酸化物(BMO)配合物(テールパイプ触媒物品)もまた効率的であり、36%ものCO変換率および3%ものTHC変換率を達成する。PdおよびRh系触媒物品は、それぞれ約23%および約28%のCO変換率を達成し、いずれの場合も約3%のTHC変換率を達成する。NO値はRhで最高である。しかしながら、一般に、選択した系に関するFTP-72試験ではNOエミッションは非常に低い(150秒)。
図6を参照されたい。活性は排気温度の影響を受けるため、系における触媒物品の配置を調整することによって、変換レベルをさらに有意に高めることができる。したがって、最適な位置を評価することができる。最適な位置は、通常の運転中に、適度なエージング温度と、対応する位置に依存する最高の排気温度との間のバランスを提供する位置である。
【0100】
全体的な傾向はまた、より低い温度トレースでも非常に似ている。Pt系テールパイプ触媒物品は、比較的高い性能を示す。
図7に示したように、Pt-触媒物品(Pt/Pd/Rh:3/0/0、III)もまた、Rh-触媒物品(Pt/Pd/Rh:0/0/3、I)およびPd触媒物品(Pt/Pd/Rh:0/3/0、II)と比較して、最高のライトオフも示し、したがって、エミッショントレースのコールドスタート部分において最高のエミッション削減も示す。これは、Pt系テールパイプ触媒物品設計が、PdおよびRh系のテールパイプ触媒物品設計よりも約50℃低いライトオフT
50値を達成するCOエミッションの場合に、特に顕著である。
【0101】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、特許請求される本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つ以上の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの句が本明細書全体の様々な箇所に出現することは、必ずしも特許請求される本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、およびオプションのすべては、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、すべての変更で組み合わせることができる。特許請求される本発明は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の任意の分けることが可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であることを意図すると考えられるべきであるように、全体として読み取られることが意図される。
【0102】
本明細書に開示される実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、特許請求される本発明の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、特許請求される本発明の方法および装置に対して様々な修正および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、特許請求される本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図され、上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。本明細書で引用されたすべての特許および公開物は、組み込まれた他の記述が具体的に提供されない限り、記載されたその特定の教示について参照によって本明細書に組み込まれる。