(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】表示システム、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3225 20160101AFI20250610BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20250610BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20250610BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20250610BHJP
H10K 59/129 20230101ALI20250610BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20250610BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20250610BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250610BHJP
H10D 84/83 20250101ALI20250610BHJP
H10D 84/85 20250101ALI20250610BHJP
H10D 86/40 20250101ALI20250610BHJP
H10D 30/67 20250101ALI20250610BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20250610BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20250610BHJP
H10B 63/00 20230101ALI20250610BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20250610BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20250610BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 631A
G09G3/20 611A
G09G3/20 641P
G09G3/20 650J
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G09G3/20 680H
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H10K59/123
H10K59/129
H10K77/10
H10K59/95
H10D84/80 101
H10D84/83 E
H10D84/83 101E
H10D84/85 H
H10D86/40 101Z
H10D30/67 103B
H10B12/00 801
H10B12/00 671Z
H10B41/70
H10B63/00
H10B63/10
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2022566513
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 IB2021060993
(87)【国際公開番号】W WO2022118151
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2024-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2020202341
(32)【優先日】2020-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020205918
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】大貫 達也
(72)【発明者】
【氏名】木村 肇
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225620(JP,A)
【文献】特開2014-78234(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096425(WO,A1)
【文献】特開2019-035957(JP,A)
【文献】特開2002-108308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0014904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3225
G09G 3/20
G09F 9/30
H10K 59/123
H10K 59/129
H10K 77/10
H10K 59/95
H10D 84/80
H10D 84/83
H10D 84/85
H10D 86/40
H10D 30/67
H10B 12/00
H10B 41/70
H10B 63/00
H10B 63/10
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と、第2層と、表示部と、を有し、
前記表示部は、前記第1層に重畳する領域に位置し、
前記第2層は、前記第1層に重畳する領域に位置し、
前記第1層は、シリコンを材料とする半導体基板を有し、
前記第1層は、前記シリコンをチャネル形成領域に含む、複数の第1トランジスタ、及び複数の第2トランジスタを有し、
前記第2層は、金属酸化物をチャネル形成領域に含む複数の第3トランジスタを有し、
前記第1層は、第1回路と、第2回路とを有し、
前記第1回路は、それぞれに前記第1トランジスタが含まれている、ソースドライバ回路、及びゲートドライバ回路を有し、
前記第2回路は、それぞれに前記第2トランジスタが含まれている、記憶装置と、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、を有し、
前記第3トランジスタは、前記第1層に含まれる前記記憶装置が有するトランジスタとして機能し、
前記表示部は、画素を有し、
前記画素は、有機ELを含む発光デバイスを有し、
前記画素は、前記ソースドライバ回路と、前記ゲートドライバ回路と、に電気的に接続され、
前記記憶装置は、画像データを保持する機能を有し、
前記GPUは、前記記憶装置から読み出された前記画像データを、デコードする機能を有し、
前記ソースドライバ回路は、デコードされた前記画像データを前記画素に送信する機能を有し、
前記EL補正回路は、前記発光デバイスが発光する光の輝度を補正する機能を有し、
前記タイミングコントローラは、前記表示部に画像を表示させるフレームレートを増減させる機能を有する、
表示システム。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第2層は、メモリセルを有する、
表示システム。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2において、
前記第2回路は、前記第2トランジスタが含まれている、CPUを有し、
前記CPUは、前記記憶装置と、前記GPUと、前記EL補正回路と、前記タイミングコントローラと、から選ばれた一又は二以上に制御信号を送信する機能を有する、
表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3において、
前記GPUは、人工ニューラルネットワークの演算を行って、前記表示部に表示された画像を前記演算の結果に基づいて補正を行う機能を有する、
表示システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4において、
前記金属酸化物は、インジウム酸化物である、
表示システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項
5のいずれか一の表示システムと、筐体と、を有する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示システム、及び電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、駆動方法、又は、製造方法に関するものである。又は、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、信号処理装置、プロセッサ、電子機器、システム、それらの駆動方法、それらの製造方法、又はそれらの検査方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などのXR(VR、ARなどの総称)向けに適用可能な表示装置が求められている。具体的には、例えば、現実感、及び没入感を高めるために、当該表示装置としては、精細度の高いこと、色再現性の高いことなどが望まれている。
【0004】
また、当該表示装置に適用可能なものとしては、例えば、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光デバイスを備える発光装置などが挙げられる。また、特許文献1には、有機ELが含まれる発光デバイスを備えた、高画素数、高精細の表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、XR向けの機器としては、表示品位が高い表示装置が求められている。また、XR向けの表示装置としては、例えば、眼鏡型の筐体、ゴーグル型の筐体に備える必要があるため、表示装置のサイズを概ね対角2インチ以下、対角1インチ以下などまでに小さくする必要がある。
【0007】
また、表示装置には、ドライバ回路、表示させる画像をあらかじめ保存する記憶装置、デジタルアナログ変換回路(DAC)、エンコードされた画像を復元するためのデコーダ、などの周辺回路が必要となる。さらに、表示品位を高める場合には、画像データを補正する回路が備わっていることが好ましい。このため、これらの周辺回路を設ける場合、筐体サイズが大きくなり、当該筐体の装着者への負担が大きくなる場合がある。また、周辺回路が増えると、表示装置内において画素と周辺回路との信号のアクセスが増加するため、アクセス時間、及び消費電力も増加する場合がある。
【0008】
本発明の一態様は、回路面積が低減された表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、消費電力が低減された表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、表示品位が高い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、上述したいずれかの半導体装置を有するシステムを提供することを課題の一とする。
【0009】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解決するものである。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題の全てを解決する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
本発明の一態様は、第1層と、表示部と、を有する表示システムである。また、表示部は、第1層に重畳する領域に位置している。第1層は、シリコンを材料とする半導体基板を有し、また、第1層は、シリコンをチャネル形成領域に含む、複数の第1トランジスタ、及び複数の第2トランジスタを有する。第1層は、第1回路と、第2回路とを有し、第1回路は、それぞれに第1トランジスタが含まれている、ソースドライバ回路、及びゲートドライバ回路を有し、第2回路は、それぞれに第2トランジスタが含まれている、記憶装置と、CPUと、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、高周波回路と、を有する。表示部は、画素を有し、画素は、有機ELを含む発光デバイスを有する。また、画素は、ソースドライバ回路と、ゲートドライバ回路と、に電気的に接続されている。記憶装置は、画像データを保持する機能を有し、CPUは、記憶装置と、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、高周波回路と、から選ばれた一又は二以上に制御信号を送信する機能を有し、GPUは、記憶装置から読み出された画像データを、デコードする機能を有し、ソースドライバ回路は、デコードされた画像データを画素に送信する機能を有し、EL補正回路は、発光デバイスが発光する光の輝度を補正する機能を有し、タイミングコントローラは、表示部に画像を表示させるフレームレートを増減させる機能を有する。また、高周波回路は、CPU、GPU、及び記憶装置のいずれか一で生成された電気信号をRF信号に変換して外部に送信する機能と、外部から取得したRF信号を電気信号に変換してCPU、GPU、及び記憶装置のいずれか一に送信する機能を有する。
【0011】
(2)
又は、本発明の一態様は、第1層と、表示部と、を有する表示システムである。また、表示部は、第1層に重畳する領域に位置している。第1層は、シリコンを材料とする半導体基板を有し、また、第1層は、シリコンをチャネル形成領域に含む複数の第1トランジスタ、及び複数の第2トランジスタを有する。第1層は、第1回路と、第2回路とを有し、第1回路は、それぞれに第1トランジスタが含まれている、ソースドライバ回路、及びゲートドライバ回路を有し、第2回路は、それぞれに第2トランジスタが含まれている、記憶装置と、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、を有する。表示部は、画素を有し、画素は、有機ELを含む発光デバイスを有する。また、画素は、ソースドライバ回路と、ゲートドライバ回路と、に電気的に接続されている。記憶装置は、画像データを保持する機能を有し、GPUは、記憶装置から読み出された画像データを、デコードする機能を有し、ソースドライバ回路は、デコードされた画像データを画素に送信する機能を有し、EL補正回路は、発光デバイスが発光する光の輝度を補正する機能を有し、タイミングコントローラは、表示部に画像を表示させるフレームレートを増減させる機能を有する。
【0012】
(3)
又は、本発明の一態様は、第1層と、第2層と、表示部と、を有する表示システムである。また、表示部は、第1層に重畳する領域に位置し、第2層は、第1層に重畳する領域に位置している。第1層は、シリコンを材料とする半導体基板を有し、また、第1層は、シリコンをチャネル形成領域に含む複数の第1トランジスタ、及び複数の第2トランジスタを有する。また、第2層は、金属酸化物をチャネル形成領域に含む複数の第3トランジスタを有する。第1層は、第1回路と、第2回路とを有し、第1回路は、それぞれに第1トランジスタが含まれている、ソースドライバ回路、及びゲートドライバ回路を有し、第2回路は、それぞれに第2トランジスタが含まれている、記憶装置と、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、を有する。また、第3トランジスタは、第1層に含まれる記憶装置が有するトランジスタとして機能する。表示部は、画素を有し、画素は、有機ELを含む発光デバイスを有する。また、画素は、ソースドライバ回路と、ゲートドライバ回路と、に電気的に接続されている。記憶装置は、画像データを保持する機能を有し、GPUは、記憶装置から読み出された画像データを、デコードする機能を有し、ソースドライバ回路は、デコードされた画像データを画素に送信する機能を有し、EL補正回路は、発光デバイスが発光する光の輝度を補正する機能を有し、タイミングコントローラは、表示部に画像を表示させるフレームレートを増減させる機能を有する。
【0013】
(4)
又は、本発明の一態様は、上記(3)において、第2層がメモリセルを有する構成としてもよい。
【0014】
(5)
又は、本発明の一態様は、上記(2)乃至(4)のいずれか一において、第2回路が、第2トランジスタを含むCPUを有する構成としてもよい。また、CPUは、記憶装置と、GPUと、EL補正回路と、タイミングコントローラと、から選ばれた一又は二以上に制御信号を送信する機能を有することが好ましい。
【0015】
(6)
又は、本発明の一態様は、上記(1)乃至(5)のいずれか一において、GPUは人工ニューラルネットワークの演算を行って、表示部に表示された画像を演算の結果に基づいて補正を行う機能を有する構成としてもよい。
【0016】
(7)
又は、本発明の一態様は、上記(1)乃至(6)のいずれか一の表示システムと、筐体と、を有する電子機器である。
【0017】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(トランジスタ、ダイオード、フォトダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えたチップ、及びパッケージにチップを収納した電子部品は、半導体装置の一例である。また、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及び電子機器等は、それ自体が半導体装置である場合があり、半導体装置を有している場合がある。
【0018】
また、本明細書等において、XとYとが接続されていると記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に開示されているものとする。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層など)であるとする。
【0019】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示デバイス、発光デバイス、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。
【0020】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(デジタルアナログ変換回路、アナログデジタル変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きくできる回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0021】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。
【0022】
また、例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。又は、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。又は、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0023】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0024】
また、本明細書等において、「抵抗素子」とは、例えば、0Ωよりも高い抵抗値を有する回路素子、0Ωよりも高い抵抗値を有する配線などとすることができる。そのため、本明細書等において、「抵抗素子」は、抵抗値を有する配線、ソース-ドレイン間に電流が流れるトランジスタ、ダイオード、コイルなどを含むものとする。そのため、「抵抗素子」という用語は、「抵抗」、「負荷」、「抵抗値を有する領域」などの用語に言い換えることができる場合がある。逆に「抵抗」、「負荷」、「抵抗値を有する領域」という用語は、「抵抗素子」などの用語に言い換えることができる場合がある。抵抗値としては、例えば、好ましくは1mΩ以上10Ω以下、より好ましくは5mΩ以上5Ω以下、更に好ましくは10mΩ以上1Ω以下とすることができる。また、例えば、1Ω以上1×109Ω以下としてもよい。
【0025】
また、本明細書等において、「容量素子」とは、例えば、0Fよりも高い静電容量の値を有する回路素子、0Fよりも高い静電容量の値を有する配線の領域、寄生容量、トランジスタのゲート容量などとすることができる。また、「容量素子」、「寄生容量」、「ゲート容量」などという用語は、「容量」などの用語に言い換えることができる場合がある。逆に、「容量」という用語は、「容量素子」、「寄生容量」、「ゲート容量」などの用語に言い換えることができる場合がある。また、「容量」の「一対の電極」という用語は、「一対の導電体」、「一対の導電領域」、「一対の領域」などに言い換えることができる場合がある。なお、静電容量の値としては、例えば、0.05fF以上10pF以下とすることができる。また、例えば、1pF以上10μF以下としてもよい。
【0026】
また、本明細書等において、トランジスタは、ゲート、ソース、及びドレインと呼ばれる3つの端子を有する。ゲートは、トランジスタの導通状態を制御する制御端子である。ソース又はドレインとして機能する2つの端子は、トランジスタの入出力端子である。2つの入出力端子は、トランジスタの導電型(nチャネル型、pチャネル型)及びトランジスタの3つの端子に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。このため、本明細書等においては、ソース及びドレインの用語は、互いに言い換えることができる場合がある。また、本明細書等では、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)、「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)という表記を用いる。なお、トランジスタの構造によっては、上述した3つの端子に加えて、バックゲートを有する場合がある。この場合、本明細書等において、トランジスタのゲート又はバックゲートの一方を第1ゲートと呼称し、トランジスタのゲート又はバックゲートの他方を第2ゲートと呼称することがある。更に、同じトランジスタにおいて、「ゲート」と「バックゲート」の用語は互いに入れ換えることができる場合がある。また、トランジスタが、3以上のゲートを有する場合は、本明細書等においては、それぞれのゲートを第1ゲート、第2ゲート、第3ゲートなどと呼称することがある。
【0027】
例えば、本明細書等において、トランジスタの一例としては、ゲート電極が2個以上のマルチゲート構造のトランジスタを用いることができる。マルチゲート構造にすると、チャネル形成領域が直列に接続されるため、複数のトランジスタが直列に接続された構造となる。よって、マルチゲート構造により、オフ電流の低減、トランジスタの耐圧向上(信頼性の向上)を図ることができる。または、マルチゲート構造により、飽和領域で動作する時に、ドレインとソースとの間の電圧が変化しても、ドレインとソースとの間の電流があまり変化せず、傾きがフラットである電圧・電流特性を得ることができる。傾きがフラットである電圧・電流特性を利用すると、理想的な電流源回路、又は非常に高い抵抗値をもつ能動負荷を実現することができる。その結果、特性のよい差動回路又はカレントミラー回路などを実現することができる。
【0028】
また、回路図上では、単一の回路素子が図示されている場合でも、当該回路素子が複数の回路素子を有する場合がある。例えば、回路図上に1個の抵抗が記載されている場合は、2個以上の抵抗が直列に電気的に接続されている場合を含むものとする。また、例えば、回路図上に1個の容量が記載されている場合は、2個以上の容量が並列に電気的に接続されている場合を含むものとする。また、例えば、回路図上に1個のトランジスタが記載されている場合は、2個以上のトランジスタが直列に電気的に接続され、かつそれぞれのトランジスタのゲート同士が電気的に接続されている場合を含むものとする。また、同様に、例えば、回路図上に1個のスイッチが記載されている場合は、当該スイッチが2個以上のトランジスタを有し、2個以上のトランジスタが直列、又は並列に電気的に接続され、それぞれのトランジスタのゲート同士が電気的に接続されている場合を含むものとする。
【0029】
また、本明細書等において、ノードは、回路構成、又はデバイス構造に応じて、端子、配線、電極、導電層、導電体、不純物領域等と言い換えることが可能である。また、端子、配線等をノードと言い換えることが可能である。
【0030】
また、本明細書等において、「電圧」と「電位」は、適宜言い換えることができる。「電圧」は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、「電圧」を「電位」に言い換えることができる。なお、グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。また、電位は相対的なものであり、基準となる電位が変わることによって、配線に与えられる電位、回路などに印加される電位、回路などから出力される電位なども変化する。
【0031】
また、本明細書等において、「高レベル電位」、「低レベル電位」という用語は、特定の電位を意味するものではない。例えば、2本の配線において、両方とも「高レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの高レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。また、同様に、2本の配線において、両方とも「低レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの低レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。
【0032】
「電流」とは、電荷の移動現象(電気伝導)のことであり、例えば、「正の荷電体の電気伝導が起きている」という記載は、「その逆向きに負の荷電体の電気伝導が起きている」と換言することができる。そのため、本明細書等において、「電流」とは、特に断らない限り、キャリアの移動に伴う電荷の移動現象(電気伝導)をいうものとする。ここでいうキャリアとは、電子、正孔、アニオン、カチオン、錯イオン等が挙げられ、電流の流れる系(例えば、半導体、金属、電解液、真空中など)によってキャリアが異なる。また、配線等における「電流の向き」は、正電荷となるキャリアが移動する方向とし、正の電流量で記載する。換言すると、負電荷となるキャリアが移動する方向は、電流の向きと逆の方向となり、負の電流量で表現される。そのため、本明細書等において、電流の正負(又は電流の向き)について断りがない場合、「素子Aから素子Bに電流が流れる」等の記載は「素子Bから素子Aに電流が流れる」等に言い換えることができるものとする。また、「素子Aに電流が入力される」等の記載は「素子Aから電流が出力される」等に言い換えることができるものとする。
【0033】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
【0034】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている場合がある。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書等で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現では、示している図面の向きを180度回転することによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
【0035】
また、「上」又は「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0036】
また、本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」、「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0037】
また、本明細書等において「電極」、「配線」、「端子」などの用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」、又は「配線」の用語は、複数の「電極」又は「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。更に、「端子」の用語は、複数の「電極」、「配線」、「端子」などが一体となって形成されている場合なども含む。そのため、例えば、「電極」は「配線」又は「端子」の一部とすることができ、また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部とすることができる。また、「電極」、「配線」、「端子」などの用語は、場合によって、「領域」などの用語に置き換える場合がある。
【0038】
また、本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」などの用語は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」という用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語を、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号線」、「電源線」などの用語を、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」などの用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、配線に印加されている「電位」という用語を、場合によっては、又は、状況に応じて、「信号」などという用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号」などの用語は、「電位」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0039】
本明細書等において、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体の欠陥準位密度が高くなること、キャリア移動度が低下すること、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。具体的には、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素など(但し、酸素、水素は含まない)がある。
【0040】
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。又は、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。そのため、スイッチは、制御端子とは別に、電流を流す端子を2つ、又は3つ以上有する場合がある。一例としては、電気的なスイッチ、機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0041】
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、例えば、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に短絡されているとみなせる状態、ソース電極とドレイン電極との間に電流を流すことができる状態、をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
【0042】
機械的なスイッチの一例としては、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0043】
また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
【0044】
なお、本明細書等において、各色の発光デバイス(ここでは青(B)、緑(G)、及び赤(R))で、発光層を作り分ける、または発光層を塗り分ける構造をSBS(Side By Side)構造と呼ぶ場合がある。また、本明細書等において、白色光を発することのできる発光デバイスを白色発光デバイスと呼ぶ場合がある。なお、白色発光デバイスは、着色層(例えば、カラーフィルタ)と組み合わせることで、フルカラー表示の表示装置とすることができる。
【0045】
また、発光デバイスは、シングル構造と、タンデム構造とに大別することができる。シングル構造のデバイスは、一対の電極間に1つの発光ユニットを有し、当該発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ましい。白色発光を得るには、2以上の発光層の各々の発光が補色の関係となるような発光層を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光デバイス全体として白色発光する構成を得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光デバイスの場合も同様である。
【0046】
タンデム構造のデバイスは、一対の電極間に2以上の複数の発光ユニットを有し、各発光ユニットは、1以上の発光層を含む構成とすることが好ましい。白色発光を得るには、複数の発光ユニットの発光層からの光を合わせて白色発光が得られる構成とすればよい。なお、白色発光が得られる構成については、シングル構造の構成と同様である。なお、タンデム構造のデバイスにおいて、複数の発光ユニットの間には、電荷発生層などの中間層を設けると好適である。
【0047】
また、上述の白色発光デバイス(シングル構造またはタンデム構造)と、SBS構造の発光デバイスと、を比較した場合、SBS構造の発光デバイスは、白色発光デバイスよりも消費電力を低くすることができる。消費電力を低く抑えたい場合は、SBS構造の発光デバイスを用いると好適である。一方で、白色発光デバイスは、製造プロセスがSBS構造の発光デバイスよりも簡単であるため、製造コストを低くすることができる、又は製造歩留まりを高くすることができるため、好適である。
【0048】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」又は「概略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」又は「概略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【発明の効果】
【0049】
本発明の一態様によって、回路面積が低減された表示装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、消費電力が低減された表示装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、表示品位が高い表示装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、新規な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、上述したいずれかの半導体装置を有するシステムを提供することができる。
【0050】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1Aは表示装置の構成例を示す図であり、
図1Bは表示システムの構成例を示す図である。
図2は、表示システムの構成例を示したブロック図である。
図3Aは表示装置の構成例を示す図であり、
図3Bは表示システムの構成例を示す図である。
図4は、表示システムの構成例を示したブロック図である。
図5A乃至
図5Gは、メモリセルの構成例を示した回路図である。
図6は、表示システムの構成例を示したブロック図である。
図7A、及び
図7Bは、表示システムの構成例を示した断面模式図である。
図8は、表示システムの構成例を示したブロック図である。
図9A、及び
図9Bは、表示システムの構成例を示す図である。
図10は、表示システムの構成例を示す図である。
図11A、及び
図11Bは、表示システムの構成例を示す図である。
図12は、表示システムの構成例を示す図である。
図13は、表示システムの構成例を示したブロック図である。
図14A、及び
図14Bは、表示装置、又は表示システムの構成例を示した断面模式図である。
図15A乃至
図15Cは、発光デバイスの構成例を示す図である。
図16は、表示装置、又は表示システムの構成例を示した断面模式図である。
図17A、及び
図17Bは、トランジスタの構成例を示した断面模式図である。
図18A、及び
図18Bは、トランジスタの構成例を示した断面模式図である。
図19は、表示装置、又は表示システムの構成例を示した断面模式図である。
図20は、表示装置、又は表示システムの構成例を示した断面模式図である。
図21AはIGZOの結晶構造の分類を説明する図であり、
図21Bは結晶性IGZOのXRDスペクトルを説明する図であり、
図21Cは結晶性IGZOの極微電子線回折パターンを説明する図である。
図22A乃至
図22Fは、電子機器の構成例を示す図である。
図23A及び
図23Bは、表示モジュールの構成例を示す図である。
図24A及び
図24Bは、電子機器の構成例を示す図である。
図25A乃至
図25Cは、電子機器の構成例を示す図である。
図26A乃至
図26Dは、電子機器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物が含まれている場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有するトランジスタのチャネル形成領域を構成し得る場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)と呼称することができる。また、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0053】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0054】
また、本明細書等において、各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0055】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。
【0056】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0057】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)との少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。
【0058】
本明細書に記載の実施の形態について図面を参照しながら説明している。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態の発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
【0059】
本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に“_1”、“[n]”、“[m,n]”等の識別用の符号を付記して記載する場合がある。また、図面等において、符号に“_1”、“[n]”、“[m,n]”等の識別用の符号を付記している場合、本明細書等において区別する必要が無いときには、識別用の符号を記載しない場合がある。
【0060】
また、本明細書の図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0061】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、及び表示システムについて説明する。
【0062】
<表示装置の構成例>
図1Aは、本発明の一態様の表示装置を模式的に表した図である。
図1Aに示す表示装置100は、表示部DSPと、回路部SICと、を有する。また、表示装置100は、基板上に回路部SICが形成され、更に回路部SIC上に表示部DSPが形成された構成となっている。
【0063】
表示部DSPは、表示装置100において画像を表示する領域を有し、回路部SICから送信されるデータ信号を基に画像を表示する機能を有する。また、表示部DSPは、画素が規則的に配置されている構成とすることができる。例えば、表示部DSPに配置されている画素は、マトリクス状に配置されていてもよい。また、表示部DSPの複数の画素の配置は、ストライプ型配列としてもよいし、モザイク型配列としてもよいし、デルタ型配列としてもよい。そのため、本実施の形態では、表示部DSPを画素アレイと呼ぶ場合がある。なお、表示部DSPの画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示部DSPとしては、1:1(正方形)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することができる。
【0064】
回路部SICは、表示装置100におけるソースドライバ回路、ゲートドライバ回路、デジタルアナログ変換回路、及びレベルシフタを含む周辺回路DRVを有する。つまり、周辺回路DRVは、表示部DSPに画像を表示させるための駆動回路として機能する。
【0065】
回路部SICは、一例として、基板上にトランジスタ、容量などを設けることによって構成することができる。当該基板としては、シリコン、ゲルマニウムなどを材料とした半導体基板(例えば、単結晶基板)を用いることができる。また、半導体基板以外では、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、サファイアガラス基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムを用いることができる。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。なお、表示装置100の作製工程において熱処理が含まれている場合、基板としては、熱に対して耐性の高い材料を選択することが好ましい。
【0066】
なお、本実施の形態では、回路部SICに含まれる基板は、シリコンなどを材料として有する半導体基板として説明する。
【0067】
回路部SICに含まれる基板を、例えば、シリコンを材料とする半導体基板とすることによって、周辺回路DRVに含まれるトランジスタを当該半導体基板に形成することができる。このとき、当該トランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ(以後、Siトランジスタと呼称する)となる。Siトランジスタは、高い電界効果移動度を有するため、大きいオン電流を流すことができる。これにより、周辺回路DRVの駆動速度を速くすること、信号のレンジの幅を広げること、などが可能となる。
【0068】
また、回路部SICとして、単結晶シリコンを有する材料を用いる場合、回路部SICのサイズとしては、対角0.1インチ以上5インチ以下、好ましくは対角0.5インチ以上3インチ以下、さらに好ましくは、対角1インチ以上2インチ以下とすることができる。なお、回路部SICの上方に表示部DSPが設けられるため、表示部DSPのサイズは、回路部SICのサイズに応じて決めることができる。また、表示部DSPから射出される光量は、表示部DSPのサイズに依存する。例えば、回路部SICのサイズを対角1インチとした場合、対角0.5インチのサイズと比較して4倍程度の光量を表示部DSPから取り出すことができるので好適である。
【0069】
<表示システムの構成例>
次に、本発明の一態様の表示システムについて説明する。
【0070】
図1Bは、本発明の一態様の表示システムを模式的に表した図である。
図1Bに示す表示システム200は、
図1Aの表示装置100の回路部SICに機能回路MFNCが設けられている点で、表示装置100と異なっている。そのため、
図1Bの表示システム200において、表示部DSPと周辺回路DRVの説明については、
図1Aの表示装置100の記載を参酌する。
【0071】
なお、本明細書等において、表示システムとは、表示装置に機能回路を設けた構成を言うものとする。また、表示システムは画像を表示する構成であるため、表示システムを表示装置と言い換えることができるものとする。
【0072】
機能回路MFNCには、例えば、表示部DSPに表示させるための画像データが保存されている記憶装置、エンコードされている画像データを復元するためのデコーダ、画像データを処理するためのGPU(Graphics Processing Unit)、電源回路、補正回路、CPU(Central Processing Unit)などを設けることができる。
【0073】
具体的な構成例として、
図2に、表示システム200のブロック図を示す。
【0074】
なお、
図2において、太い配線(例えば、配線GL、配線SL、及び配線BSL)は、複数の配線、又はバス配線として記載している。
【0075】
図2の表示システム200において、表示部DSPは、一例として複数の画素PXがマトリクス状に配置されている。画素PXとしては、例えば、液晶表示デバイス、有機ELを含む発光デバイス、マイクロLEDなどの発光ダイオードを含む発光デバイスの少なくとも一が適用された画素とすることができる。なお、本実施の形態では、表示部DSPの画素PXには、有機ELが含まれる発光デバイスが適用されたものとして説明する。また、複数の画素PXのそれぞれは、同一の色ではなく、異なる色を発光する画素としてもよい。例えば、複数の画素PXは、赤、緑、及び青の三色を発光する画素としてもよい。このため、本明細書等では、画素を副画素として説明することができる場合がある。
【0076】
また、
図2の表示システム200において、回路部SICに含まれる周辺回路DRVは、一例として、ソースドライバ回路11、デジタルアナログ変換回路12、ゲートドライバ回路13、及びレベルシフタ14を有する。
【0077】
また、
図2の表示システム200において、回路部SICに含まれる機能回路MFNCは、一例として、記憶装置21、GPU(AIアクセラレータ)22、EL補正回路23、タイミングコントローラ24、CPU(NoffCPU(登録商標))25、センサコントローラ26、及び電源回路27を有する。
【0078】
また、
図2の表示システム200は、周辺回路DRVに含まれる回路、及び機能回路MFNCに含まれる回路のそれぞれには、一例として、バス配線BSLが電気的に接続されている構成となっている。
【0079】
ソースドライバ回路11は、一例として、表示部DSPに含まれる画素PXに対して、画像データを送信する機能を有する。そのため、ソースドライバ回路11は、配線SLを介して、画素PXに電気的に接続されている。
【0080】
デジタルアナログ変換回路12は、一例として、後述するGPU、後述するEL補正回路などによってデジタル処理された画像データをアナログデータに変換する機能を有する。アナログデータに変換された画像データは、ソースドライバ回路11を介して、表示部DSPに送信される。なお、デジタルアナログ変換回路12は、ソースドライバ回路11に含まれていてもよいし、ソースドライバ回路11、デジタルアナログ変換回路12、表示部DSPの順に画像データが送信される構成としてもよい。
【0081】
ゲートドライバ回路13は、一例として、表示部DSPにおいて、画像データの送信先となる画素PXを選択する機能を有する。そのため、ゲートドライバ回路13は、配線GLを介して、画素PXに電気的に接続されている。
【0082】
レベルシフタ14は、一例として、ソースドライバ回路11、デジタルアナログ変換回路12、ゲートドライバ回路13などに対して入力される信号を適切なレベルに変換する機能を有する。
【0083】
記憶装置21は、一例として、表示部DSPに表示させる画像データを保存する機能を有する。なお、記憶装置21は、画像データをデジタルデータ又はアナログデータとして保存する構成とすることができる。
【0084】
また、記憶装置21に画像データを保存する場合、記憶装置21としては不揮発性メモリとすることが好ましい。この場合、記憶装置21としては、例えば、NAND型メモリなどを適用することができる。
【0085】
また、記憶装置21にGPU22、EL補正回路23、CPU25などで生じる一時データを保存する場合、記憶装置21としては揮発性メモリとすることが好ましい。この場合、記憶装置21としては、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などを適用することができる。
【0086】
GPU22は、一例として、記憶装置21から読み出された画像データを、表示部DSPに描画するための処理を行う機能を有する。特に、GPU22は、並列にパイプライン処理を行う構成となっているため、表示部DSPに表示させる画像データを高速に処理することができる。また、GPU22は、エンコードされた画像をデコードするためのデコーダとしての機能も有することができる。
【0087】
また、機能回路MFNCには、表示部DSPの表示品位を高めることができる回路が複数含まれていてもよい。当該回路としては、例えば、表示部DSPに表示された画像の色ムラを検知して、当該色ムラを補正して最適な画像にする補正回路(調色、調光)を設けてもよい。また、表示部DSPの画素に液晶表示デバイスが適用されている場合、機能回路MFNCには、ガンマ補正回路を設けてもよい。また、表示部DSPの画素に有機ELが用いられた発光デバイスが適用されている場合、機能回路MFNCには、EL素子の輝度のばらつきを補正するEL補正回路を設けてもよい。なお、本実施の形態では、表示部DSPの画素PXには、有機ELが含まれる発光デバイスが適用されたものとして説明しているため、機能回路MFNCには、一例として、EL補正回路23を含めている。なお、表示部DSPに含まれる有機ELとしては、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)がそれぞれ、独立に設けられた構造(SBS、Side By Side構造)、またはタンデム構造(R、G、Bなどの複数の色が中間層(電荷発生層)を介して直列に接続された構造)と、着色層(例えば、カラーフィルタ)と、を組み合わせた構造などを用いることができる。なお、タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。なお、表示部DSPから発光される光の輝度としては、例えば、500cd/m2以上、好ましくは1000cd/m2以上10000cd/m2以下、さらに好ましくは2000cd/m2以上5000cd/m2以下とすることができる。
【0088】
また、上記で説明した画像補正には、人工知能を用いてもよい。例えば、画素に備えられている表示デバイスに流れる電流(又は表示デバイスに印加される電圧)をモニタリングして取得し、表示部DSPに表示された画像をイメージセンサなどで取得し、電流(又は電圧)と画像を人工知能の演算(例えば、人工ニューラルネットワークなど)の入力データとして扱い、その出力結果で当該画像の補正の有無を判断させてもよい。
【0089】
また、人工知能の演算は、画像補正だけでなく、画像データのアップコンバート処理にも応用することができる。これにより、解像度の小さい画像データを表示部DSPの解像度に合わせて、アップコンバート処理を行うことで、表示品位の高い画像を表示部DSPに表示させることができる。
【0090】
なお、上述した人工知能の演算は、機能回路MFNCに含まれるGPU22を用いて行うことができる。つまり、GPU22を用いて、各種補正の演算を行うことができる。各種補正の演算としては、例えば、色ムラ補正、及びアップコンバートが挙げられる。また、GPU22は、
図2に示すとおり、色ムラ補正する回路22a、及びアップコンバートを行う回路22bを有する構成としてもよい。
【0091】
なお、本明細書等において、人工知能の演算を行うGPUをAIアクセラレータと呼称する。つまり、本明細書等では、機能回路MFNCに備えられているGPUをAIアクセラレータと置き換えて説明する場合がある。
【0092】
タイミングコントローラ24は、一例として、表示部DSPに画像を表示させるフレームレートを増減する機能を有する。例えば、表示部DSPに静止画を表示させる場合、表示システム200は、タイミングコントローラ24によってフレームレートを下げて駆動させることができ、また、例えば、表示部DSPに動画を表示させる場合、表示システム200は、タイミングコントローラ24によってフレームレートを上げて駆動させることができる。つまり、表示システム200にタイミングコントローラ24を設けることによって、静止画、又は動画に応じてフレームレートを変化させることができる。特に、表示部DSPに静止画を表示させる場合には、フレームレートを下げて動作させることができるため、表示システム200の消費電力の低減を図ることができる。
【0093】
CPU25は、一例として、オペレーティングシステムの実行、データの制御、各種演算、プログラムの実行などの汎用の処理を行う機能を有する。表示システム200では、CPU25は、例えば、記憶装置21における画像データの書き込み動作又は読み出し動作、画像データの補正動作、後述するセンサへの動作、などの命令を行う役割を有する。また、例えば、CPU25は、記憶装置21と、GPU22と、EL補正回路23と、タイミングコントローラ24と、高周波回路と、機能回路MFNCに含まれる回路などから選ばれた一又は二以上に制御信号を送信する機能を有してもよい。
【0094】
また、CPU25は、一時的にデータをバックアップする回路(以下、バックアップ回路と呼称する)を有してもよい。バックアップ回路は、例えば、電源電圧の供給が停止したとしても、当該データを保持することができることが好ましい。例えば、表示部DSPで静止画を表示した場合、現在の静止画と異なる画像を表示するまでは、CPU25は機能を停止することができる。そのため、CPU25で処理中のデータをバックアップ回路に一時的に退避させて、その後CPU25への電源電圧の供給を停止して、CPU25を停止させることによって、CPU25における動的な消費電力を低くすることができる。また、本明細書等では、バックアップ回路を有するCPUをNoffCPUと呼称する。
【0095】
センサコントローラ26は、一例として、センサを制御する機能を有する。また、
図2では、当該センサに電気的に接続するための配線として、配線SNCLを図示している。
【0096】
当該センサとしては、例えば、表示部DSPの上方、下方、又は表示部DSPの内部に備えることができるタッチセンサとすることができる。
【0097】
また、当該センサとしては、例えば、照度センサとすることができる。特に、表示部DSPを照らす外光の強さを照度センサによって取得することで、外光に合わせて、表示部DSPに表示する画像の明るさ(輝度)を変化させることができる。例えば、外光が明るい場合、表示部DSPに表示する画像の輝度を高くして、当該画像の視認性を高めることができる。逆に、外光が暗い場合、表示部DSPに表示する画像の輝度を低くして、消費電力を低くすることができる。
【0098】
電源回路27は、一例として、周辺回路DRVに含まれている回路、機能回路MFNCに含まれている回路、表示部DSPに含まれている画素などに対して供給する電圧を生成する機能を有する。なお、電源回路27は、電圧を供給する回路を選択する機能を有してもよい。例えば、電源回路27は、表示部DSPに静止画を表示させている期間では、CPU25、GPU22などに対しての電圧供給を停止することによって、表示システム200全体の消費電力を低減することができる。
【0099】
<表示装置、及び表示システムの変形例1>
ところで、
図1Bでは、周辺回路DRV、及び機能回路MFNCに含まれるトランジスタは、半導体基板上に形成されたトランジスタが用いられている。本実施の形態では、シリコンを材料とした半導体基板上にトランジスタが形成され、周辺回路DRV、及び機能回路MFNCにはSiトランジスタが含まれている例を示しているが、本発明の一態様の表示装置、又は表示システムは、Siトランジスタとは特性が異なるトランジスタを
図1A、及び
図1Bに適用することができる。
【0100】
例えば、本発明の一態様の表示装置は、
図3Aに示すとおり、回路部SICと、表示部DSPと、の間に層OSCが形成された構成(表示装置100A)としてもよい。また、例えば、本発明の一態様の表示システムは、
図3Bに示すとおり、
図3Aと同様に、回路部SICと、表示部DSPと、の間に層OSCが形成された構成(表示システム200A)としてもよい。
【0101】
層OSCは、例えば、OSトランジスタを含む構成とすることができる。OSトランジスタのチャネル形成領域は、実施の形態4で説明する金属酸化物を有する。当該金属酸化物は、例えば、インジウム、元素M(アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種の元素)、亜鉛から選ばれる一又は複数の材料とすることができる。特に、インジウム、ガリウム、亜鉛からなる金属酸化物が、OSトランジスタの半導体層に含まれることによって、当該半導体層のバンドギャップを大きくすることができる。そのため、OSトランジスタのオフ電流を小さくすることができる。
【0102】
OSトランジスタは、半導体基板上だけでなく、絶縁体基板、導電体基板、更には導電膜、絶縁膜、半導体膜上に形成することができるため、Siトランジスタが形成された半導体基板上(回路部SIC上)に容易に設けることができる。
【0103】
また、層OSCは、OSトランジスタだけでなく、容量などの回路素子を有してもよい。また、層OSCは、内部に回路を有してもよい。
【0104】
回路部SIC上に層OSCを設けることにより、回路部SICで形成された回路に、層OSCに含まれるOSトランジスタを用いることができるため、当該回路において、OSトランジスタのオフ電流が小さい特性を利用することができる。
【0105】
層OSCに含まれるOSトランジスタは、例えば、パワーゲーティングを行うためのスイッチとして適用することができる。具体的には、例えば、当該スイッチは、周辺回路DRV、及び機能回路MFNCに含まれる回路に備えることができる。当該回路を一時的に停止させるとき、当該スイッチをオフ状態にすることによって、電源回路27などから当該回路への電源電圧の供給を停止させることができる。
【0106】
層OSCに含まれるOSトランジスタは、例えば、記憶装置21のメモリセルに含まれる書き込みトランジスタとして適用することができる。メモリセルに含まれる書き込みトランジスタにOSトランジスタを適用することによって、書き込みトランジスタのソース-ドレイン間のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができるため、当該メモリセルに書き込まれているデータを長時間保持することができる。これにより、メモリセルに保持されているデータのリフレッシュ動作の間隔を長くすることができるため、表示システム200の消費電力を低減することができる。
【0107】
また、層OSCには、周辺回路DRVに含まれる回路、機能回路MFNCに含まれる回路などで扱われるデータを一時的に保存する記憶装置を設けてもよい。例えば、
図4に示す表示システム200Aのブロック図のとおり、層OSCに記憶装置MDVを設けてもよい。また、
図4に示す記憶装置MDVでは、複数のメモリセルMCがマトリクス状に配置されている例を示している。また、
図4の表示システム200Aの機能回路MFNCには、一例として、メモリセルMCにおけるデータの書き込み動作、読み出し動作、消去動作などを行うメモリ制御回路31を設けている。
【0108】
メモリ制御回路31は、一例として、記憶装置MDVに含まれるメモリセルMCに対する、ワード線ドライバ回路、ビット線ドライバ回路などを有する。そのため、層OSCに含まれているメモリセルMCと、メモリ制御回路31と、は、配線MLによって、電気的に接続されている。
【0109】
<<メモリセルの構成例1>>
次に、メモリセルMCに適用することができる、メモリセルの回路構成例について説明する。メモリセルMCには、例えば、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)(登録商標)、又はNOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)(登録商標)と呼ばれる記憶回路のメモリセルを適用することができる。
【0110】
図5Aには、DOSRAMのメモリセルの回路構成の例を示している。メモリセルMC1は、トランジスタM1と、容量CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、フロントゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。
【0111】
トランジスタM1の第1端子は、容量CAの第1端子と電気的に接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと電気的に接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと電気的に接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと電気的に接続されている。容量CAの第2端子は、配線CVLと電気的に接続されている。
【0112】
トランジスタM1は、メモリセルMC1における書き込みトランジスタとして機能する。また、上述したとおり、トランジスタM1は、一例として、OSトランジスタとしている。
【0113】
また、配線BIL、配線WOL、配線CAL、配線BGLは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0114】
配線BILは、一例として、ビット線として機能し、配線WOLは、一例として、ワード線として機能する。配線CALは、一例として、容量CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。なお、データの書き込み時、及び読み出し時において、配線CVLには、低レベル電位(基準電位という場合がある。)を印加することが好ましい。
【0115】
配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
【0116】
なお、
図5AのメモリセルMC1では、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLに電気的に接続されている構成としているが、トランジスタM1のオン電流を高くする目的として、メモリセルMC1は、トランジスタM1のゲートとバックゲートとを電気的に接続した構成としてもよい。また、
図5AのメモリセルMC1において、トランジスタM1にはバックゲートが設けられていなくてもよい。
【0117】
データの書き込み及び読み出しは、配線WOLに高レベル電位を印加し、トランジスタM1をオン状態にし、配線BILと容量CAの第1端子との間を導通状態にすることによって行われる。
【0118】
具体的には、データの書き込みは、配線BILに書き込むデータに応じた電位を印加し、トランジスタM1を介して、容量CAの第1端子に当該電位を書き込むことで行われる。データの書き込み後は、配線WOLに低レベル電位を印加して、トランジスタM1をオフ状態にすることで、当該電位をメモリセルMC1に保持することができる。
【0119】
また、データの読み出しは、初めに、配線BILを適当な電位、例えば、低レベル電位と高レベル電位の中間の電位にプリチャージして、次に配線BILを電気的に浮遊状態にする。そして、その後に、配線WOLに高レベル電位を印加して、トランジスタM1をオン状態にして、配線BILの電位を変化させる。配線BILの電位の変化は、容量CAの第1端子に書き込まれた電位に応じて決まるため、変化した配線BILの電位から、メモリセルMC1に保持されたデータを読み出すことができる。
【0120】
また、上述したメモリセルMC1は、
図5Aに図示した回路構成に限定されず、メモリセルMC1の回路の構成を適宜変更してもよい。
【0121】
図5Bは、NOSRAMのメモリセルの回路構成の例を示している。メモリセルMC2は、トランジスタM2と、トランジスタM3と、容量CBと、を有する。なお、トランジスタM2は、フロントゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。
【0122】
トランジスタM2は、メモリセルMC2における書き込みトランジスタとして機能する。なお、上述したとおり、当該書き込みトランジスタは、一例として、OSトランジスタとしている。
【0123】
また、トランジスタM3は、メモリセルMC2における読み出しトランジスタとして機能する。当該読み出しトランジスタは、上述したとおり、OSトランジスタとしている。なお、本動作例において、トランジスタM3は、特に断りのない場合は、飽和領域で動作するものとする。すなわち、トランジスタM3のゲート電圧、ソース電圧、及びドレイン電圧は、飽和領域で動作する範囲での電圧に適切にバイアスされているものとする。
【0124】
ところで、トランジスタM2、トランジスタM3の少なくとも一は、Siトランジスタとしてもよい。つまり、メモリセルMC2に含まれるSiトランジスタとするトランジスタを回路部SICに形成し、メモリセルMC2に含まれる残りのトランジスタをOSトランジスタとして層OSCに形成することができる。
【0125】
トランジスタM2の第1端子は、容量CBの第1端子と電気的に接続され、トランジスタM2の第2端子は、配線WBLと電気的に接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WOLと電気的に接続され、トランジスタM2のバックゲートは、配線BGLと電気的に接続されている。容量CBの第2端子は、配線CALと電気的に接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと電気的に接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SOLと電気的に接続され、トランジスタM3のゲートは、容量CBの第1端子と電気的に接続されている。
【0126】
また、配線RBL、配線WBL、配線WOL、配線CAL、配線BGL、及び配線SOLは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0127】
配線WBLは、書き込みビット線として機能し、配線RBLは、読み出しビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量CBの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データ保持の最中において、配線CALには、低レベル電位(基準電位という場合がある)を印加するのが好ましく、データの書き込み時、データの読み出し時において、配線CALには、高レベル電位を印加するのが好ましい。
【0128】
配線BGLは、トランジスタM2のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM2のしきい値電圧を増減することができる。なお、
図5AのトランジスタM1と同様に、トランジスタM2は、トランジスタM2のゲートとバックゲートとを電気的に接続された構成としてもよいし、バックゲートが設けられていない構成としてもよい。
【0129】
データの書き込みは、配線WOLに高レベル電位を印加し、トランジスタM2をオン状態にし、配線WBLと容量CBの第1端子との間を導通状態にすることによって行われる。具体的には、トランジスタM2がオン状態のときに、配線WBLに記録する情報に対応する電位を印加し、容量CBの第1端子、及びトランジスタM3のゲートに該電位を書き込む。その後、配線WOLに低レベル電位を印加し、トランジスタM2をオフ状態にすることによって、容量CBの第1端子の電位、及びトランジスタM3のゲートの電位が保持される。
【0130】
データの読み出しは、配線SOLに所定の電位を印加することによって行われる。トランジスタM3のソース-ドレイン間に流れる電流、及びトランジスタM3の第1端子の電位は、トランジスタM3のゲートの電位、及びトランジスタM3の第2端子の電位によって決まるので、トランジスタM3の第1端子に電気的に接続されている配線RBLの電位を読み出すことによって、容量CBの第1端子(又はトランジスタM3のゲート)に保持されている電位を読み出すことができる。つまり、容量CBの第1端子(又はトランジスタM3のゲート)に保持されている電位から、このメモリセルに書き込まれている情報を読み出すことができる。
【0131】
また、上述したメモリセルMC2は、
図5Bに図示した回路構成に限定されず、メモリセルMC2の回路の構成を適宜変更してもよい。例えば、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。そのメモリセルの回路構成例を
図5Cに示す。メモリセルMC2Aは、メモリセルMC2の配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとして、トランジスタM2の第2端子、及びトランジスタM3の第1端子が、配線BILと接続されている構成となっている。つまり、メモリセルMC2Aは、書き込みビット線と、読み出しビット線と、を1本の配線BILとして動作する構成となっている。
【0132】
<<メモリセルの構成例2>>
また、層OSCのメモリセルMCに適用することができる、DOSRAM、NOSRAM以外の記憶回路のメモリセルとしては、例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、相変化メモリ(PCM、PRAMなどと呼称する場合がある)、強誘電メモリが挙げられる。以下に、これらの回路構成について説明する。
【0133】
図5Dに示すメモリセルMC3は、STT-MRAM(Spin Transfer Torque-Magnetoresistive Random Access Memory)の一例である。
【0134】
メモリセルMC3は、トランジスタM10と、MTJ(磁気トンネル接合)素子MEと、を有する。
【0135】
トランジスタM10としては、例えば、トランジスタM1、及びトランジスタM2と同様に、OSトランジスタを適用することができる。
【0136】
MTJ素子MEは、自由層を有する層FLと、トンネル絶縁体を有する層TISと、固定層を有する層RLと、を有し、層TISを介して層FLと層RLとが重畳している。
【0137】
トランジスタM10の第1端子は、MTJ素子MEの層RLに電気的に接続され、トランジスタM10の第2端子は、配線SLに電気的に接続され、トランジスタM10のゲートは配線WLに電気的に接続されている。MTJ素子MEの層FLは、配線BLに電気的に接続されている。
【0138】
また、配線BL、配線WL、及び配線SLは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0139】
配線BLは、一例として、メモリセルMC3に対する書き込みビット線、又は読み出しビット線として機能する。
【0140】
配線WLは、一例として、メモリセルMC3に対するワード線として機能する。
【0141】
配線SLは、一例として、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、低レベル電位とすることができる。
【0142】
なお、図面には図示していないが、層OSCのメモリセルMCには、STT-MRAMだけでなく、SOT-MRAM(Spin Orbit Torque-Magnetoresistive Random Access Memory)を適用することができる。
【0143】
図5Eに示すメモリセルMC4は、ReRAM(Resistive Random Access Memory)の一例である。
【0144】
メモリセルMC4は、トランジスタM10と、抵抗変化素子RMと、を有する。
【0145】
トランジスタM10としては、例えば、トランジスタM1、及びトランジスタM2と同様に、OSトランジスタを適用することができる。
【0146】
図5Eに示す通り、メモリセルMC4は、
図5DのメモリセルMC3のMTJ素子MEを抵抗変化素子RMに置き換えた構成となっている。なお、
図5EのメモリセルMCでは、抵抗変化素子RMの第1端子は、トランジスタM10の第1端子に電気的に接続され、抵抗変化素子RMの第2端子は、配線BLに電気的に接続されているものとする。
【0147】
また、配線BL、配線WL、及び配線SLは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0148】
配線BLは、一例として、メモリセルMC4に対する書き込みビット線、又は読み出しビット線として機能する。
【0149】
配線WLは、一例として、メモリセルMC4に対するワード線として機能する。
【0150】
配線SLは、一例として、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、基準電位とすることができる。
【0151】
図5Fに示すメモリセルMC5は、相変化メモリを有する記憶回路の一例である。
【0152】
メモリセルMC5は、トランジスタM10と、相変化メモリPCM1と、を有する。
【0153】
トランジスタM10としては、例えば、トランジスタM1、及びトランジスタM2と同様に、OSトランジスタを適用することができる。
【0154】
相変化メモリPCM1は、一例として電極TEと、相変化層CHLと、電極BEと、を有し、電極TE、相変化層CHL、電極BEの順に電気的に接続されている。
【0155】
また、相変化層CHLとしては、例えばカルコゲナイドガラスを適用することができる。なお、本実施の形態では、相変化層CHLは、カルコゲナイドガラスを適用したものとして説明する。
【0156】
電極TEと、電極BEと、は互いに相変化層CHLと接触する面積が異なることが好ましい。例えば、
図5Fでは、電極TEと相変化層CHLの接触面積は、電極BEと相変化層CHLの接触面積よりも大きく図示している。電極BEと相変化層CHLの接触面積を小さくすることで、相変化層CHLに対して局所的に熱を与えることができるため、電極TE付近の相変化層CHLよりも電極BE付近の相変化層CHLでの相変化が起こりやすくなる。
【0157】
図5Fに示す通り、メモリセルMC5は、
図5DのメモリセルMC3のMTJ素子MEを相変化メモリPCM1に置き換えた構成となっている。なお、
図5FのメモリセルMCでは、相変化メモリPCM1の電極BEは、トランジスタM10の第1端子に電気的に接続され、相変化メモリPCM1の電極TEは、配線BLに電気的に接続されているものとする。
【0158】
また、配線BL、配線WL、及び配線SLは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0159】
配線BLは、一例として、メモリセルMC5に対する書き込みビット線、又は読み出しビット線として機能する。
【0160】
配線WLは、一例として、メモリセルMC5に対するワード線として機能する。
【0161】
配線SLは、一例として、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、低レベル電位とすることができる。
【0162】
図5Gに示すメモリセルMC6は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)の一例である。
【0163】
メモリセルMC6は、トランジスタM11と、強誘電キャパシタFEAと、有する。
【0164】
トランジスタM11としては、例えば、トランジスタM1、及びトランジスタM2と同様に、OSトランジスタを適用することができる。
【0165】
トランジスタM11の第1端子は、配線BLに電気的に接続され、トランジスタM11の第2端子は、強誘電キャパシタFEAの第1端子に電気的に接続され、トランジスタM11のゲートは、配線WLに電気的に接続されている。また、強誘電キャパシタFEAの第2端子は、配線FCAに電気的に接続されている。
【0166】
また、配線BL、配線WL、配線FCAは、
図4の表示システム200Aにおける、配線MLに相当する。
【0167】
配線BLは、一例として、メモリセルMC6に書き込まれるデータを送信する配線として機能する。
【0168】
配線WLは、一例として、データの書き込み先となるメモリセルMC6を選択するための配線として機能する。
【0169】
配線FCAは、一例として、メモリセルMC6にデータを書き込むときに、強誘電キャパシタFEAに含まれる、強誘電性を有しうる材料に分極を生じさせる程度の可変電位を与える配線として機能する。
【0170】
ここで、強誘電キャパシタFEAに含まれる強誘電性を有しうる材料について説明する。
【0171】
強誘電性を有しうる材料としては、例えば、酸化ハフニウムとすることが好ましい。また、強誘電キャパシタFEAに含まれる誘電体として酸化ハフニウムを用いる場合、酸化ハフニウムの膜厚は、10nm以下とすることが好ましく、5nm以下とすることがより好ましく、2nm以下とすることがさらに好ましい。
【0172】
または、強誘電性を有しうる材料としては、酸化ハフニウム以外としては、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrOX(Xは0よりも大きい実数とする))などの金属酸化物が挙げられる。または、強誘電性を有しうる材料としては、酸化ハフニウムに元素J1(ここでの元素J1は、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)などから選ばれた一つ又は複数。)を添加した材料が挙げられる。ここで、ハフニウム原子と元素J1の原子数の比は適宜設定することができ、例えば、ハフニウム原子と元素J1の原子数を1:1またはその近傍にすればよい。又は、強誘電性を有しうる材料としては、酸化ジルコニウムに元素J2(ここでの元素J2は、ハフニウム(Hf)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)などから選ばれた一つ又は複数。)を添加した材料などが挙げられる。また、ジルコニウム原子と元素J2の原子数の比は適宜設定することができ、例えば、ジルコニウム原子と元素J2の原子数を1:1またはその近傍にすればよい。また、強誘電性を有しうる材料として、チタン酸鉛(PbTiOX)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)、ビスマスフェライト(BFO)、チタン酸バリウム、などのペロブスカイト構造を有する圧電性セラミックを用いてもよい。
【0173】
また、強誘電性を有しうる材料としては、窒化アルミニウムスカンジウム(Al1-aScaNb(aは0より大きく、0.5より小さい実数であり、bは1またはその近傍の値である。))、Al-Ga-Sc窒化物、Ga-Sc窒化物などが挙げられる。また、強誘電性を有しうる材料としては、元素M1と、元素M2と、窒素と、を有する金属窒化物が挙げられる。ここで、元素M1は、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などから選ばれた一つまたは複数である。また、元素M2は、ホウ素(B)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)などから選ばれた一つまたは複数である。なお、元素M1の原子数と元素M2の原子数の比は適宜設定することができる。また、元素M1と、窒素と、を有する金属酸化物は、元素M2を含まなくても、強誘電性を有する場合がある。また、強誘電性を有しうる材料としては、上記金属窒化物に元素M3が添加された材料が挙げられる。なお、元素M3は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)などから選ばれた一つまたは複数である。ここで、元素M1の原子数、元素M2の原子数、および元素M3の原子数の比は適宜設定することができる。なお、上記の金属窒化物は、少なくとも、第13族元素と、第15族元素である窒素とを含むため、当該金属窒化物を、III-V族の強誘電体、III族窒化物の強誘電体などと呼ぶ場合がある。
【0174】
また、強誘電性を有しうる材料としては、SrTaO2N、BaTaO2Nなどのペロブスカイト型酸窒化物、κアルミナ型構造のGaFeO3などが挙げられる。
【0175】
また、強誘電性を有しうる材料としては、例えば、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料からなる混合物又は化合物とすることができる。又は、強誘電性を有しうる材料としては、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料からなる積層構造とすることができる。ところで、上記に列挙した材料などは、成膜条件だけでなく、各種プロセスなどによっても結晶構造(特性)が変わり得る可能性があるため、本明細書等では強誘電性を発現する材料を強誘電体と呼ぶだけではなく、強誘電性を有しうる材料または強誘電性を有せしめる材料とも呼んでいる。また、強誘電体には、強誘電性を発現する材料のみでなく、強誘電性を有しうる材料も含まれるものとする。
【0176】
中でも強誘電性を有しうる材料として、酸化ハフニウム、あるいは酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムを有する材料は、数nmといった薄膜に加工しても強誘電性を有しうることができるため、好ましい。ここで、強誘電性を有しうる材料の膜厚は、100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下(代表的には、2nm以上9nm以下)にすることができる。例えば、膜厚を、8nm以上12nm以下にすることが好ましい。薄膜化することができる強誘電体層とすることで、容量素子の一対の電極に当該強誘電体層を挟むことができ、また、当該容量素子を微細化されたトランジスタなどの半導体素子に組み合わせて半導体装置を形成することができる。なお、本明細書等において、強誘電性を有しうる材料を層状にしたものを指して、強誘電体層、金属酸化物膜、または金属窒化物膜と呼ぶ場合がある。また、このような、強誘電体層、金属酸化物膜、または金属窒化物膜を有する装置を、本明細書等において、強誘電体デバイスと呼ぶ場合がある。
【0177】
また、強誘電性を有しうる材料としてHfZrOXを用いる場合、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、特に熱ALD法を用いて成膜することが好ましい。また、熱ALD法を用いて、強誘電性を有しうる材料を成膜する場合、プリカーサとして炭化水素(Hydro Carbon、HCともいう)を含まない材料を用いると好適である。強誘電性を有しうる材料中に、水素、及び炭素のいずれか一方または双方が含まれる場合、強誘電性を有しうる材料の結晶化を阻害する場合がある。このため、上記のように、炭化水素を含まないプリカーサを用いることで、強誘電性を有しうる材料中の、水素、及び炭素のいずれか一方または双方の濃度を低減することが好ましい。例えば、炭化水素を含まないプリカーサとしては、塩素系材料があげられる。なお、強誘電性を有しうる材料として、酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムを有する材料(HfZrOx)を用いる場合、プリカーサとしては、HfCl4ZrCl4の少なくとも一を用いればよい。
【0178】
なお、強誘電性を有しうる材料を用いた膜を成膜する場合、膜中の不純物、ここでは水素、炭化水素、及び炭素の少なくとも一以上を徹底的に排除することで、高純度真性な強誘電性を有する膜を形成することができる。なお、高純度真性な強誘電性を有する膜と、後述する実施の形態に示す高純度真性な酸化物半導体とは、製造プロセスの整合性が非常に高い。よって、生産性が高い半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0179】
また、強誘電性を有しうる材料としてHfZrOX用いる場合、熱ALD法を用いて酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとを1:1の組成になるように交互に成膜すると好ましい。
【0180】
また、熱ALD法を用いて、強誘電性を有しうる材料を成膜する場合、酸化剤はH2OまたはO3を用いることができる。ただし、熱ALD法の酸化剤としては、これに限定されない。例えば、熱ALD法の酸化剤としては、O2、O3、N2O、NO2、H2O、及びH2O2の中から選ばれるいずれか一または複数を含んでもよい。
【0181】
また、強誘電性を有しうる材料の結晶構造は、特に限定されない。例えば、強誘電性を有しうる材料の結晶構造としては、立方晶系、正方晶系、直方晶系、及び単斜晶系の中から選ばれるいずれか一または複数とすればよい。特に強誘電性を有しうる材料としては、直方晶系の結晶構造を有すると、強誘電性が発現するため好ましい。または、強誘電性を有しうる材料として、アモルファス構造と、結晶構造とを有する複合構造としてもよい。
【0182】
なお、
図5GのメモリセルMC6では、強誘電キャパシタFEAを用いたFeRAMを一例として説明したが、層OSCに適用できるメモリセルMCとしては、FTJ(Ferroelectric Tunnel Junction、又はFerroelectric Transportation Junction)素子、及び/又はFeFET(Ferroelectric FET)を用いたメモリセルとしてよい(図示しない)。
【0183】
上記のとおり、表示装置を構成することによって、つまり、表示部DSPの下部に周辺回路DRVを設けることによって、表示部DSPと周辺回路DRVとの間の配線の引き回しを、従来よりも短くすることができるため、画像データなどの送信にかかる時間を短くすることができる。また、配線の長さを従来よりも短くできるため、表示装置の消費電力を低くすることができる。
【0184】
また、表示部DSPと、回路部SICと、の間に層OSCを設けることにより、表示部DSPが受ける回路部SICで発生した熱の影響を緩和することができる。特に表示部DSPに含まれる表示素子が熱に対する耐性が低い場合は、
図3A、
図3B、
図4などに示す構成にすることにより、表示部DSPに含まれる表示素子の寿命を長くすることができる。また、回路部SICの下方に冷却機構を設けることによって、回路部SICで発生する熱の影響を少なくすることができる(図示しない)。当該冷却機構としては、例えば、熱伝導の高い材料を用いたヒートシンク、冷却水を用いた水冷式ヒートシンク、ファンなどが挙げられる。
【0185】
<表示装置、及び表示システムの変形例2>
また、
図4では、回路部SICと、表示部DSPと、の間の層OSCに記憶装置MDVを設けた例を示したが、層OSCでは、記憶装置以外の回路、装置などを備えてもよい。例えば、周辺回路DRV、及び/又は機能回路MFNCに含まれる回路の一部を層OSCに形成してもよい。
【0186】
図6の表示システム200Bは、
図4の表示システム200Aにおいて、周辺回路DRVの一部の回路を層OSCに形成した一例を示している。なお、
図6では、配線SLと配線GLとが交わっている部分があるが、両者の配線は互いに直接的に接続されていない。
【0187】
図6の表示システム200Bは、
図4の表示システム200Aにおける周辺回路DRVの一部を、回路DRVaとして回路部SICに形成し、
図4の表示システム200Aにおける周辺回路DRVの残りを、回路DRVbとして層OSCに形成した一例を示している。具体的には、表示システム200Bは、回路DRVaがソースドライバ回路11と、デジタルアナログ変換回路12と、を有し、回路DRVbがゲートドライバ回路13と、レベルシフタ14と、を有する構成となっている。
【0188】
OSトランジスタは、Siトランジスタよりも電気的に高耐性である。そのため、層OSCに形成するトランジスタをOSトランジスタとすることで、層OSCに含まれる回路(例えば、ゲートドライバ回路13、レベルシフタ14など)は、電圧に対して高い耐性を得ることができる。このため、当該回路を層OSCに形成することにより、当該回路にかかる電気的な負荷を低減することができる。
【0189】
<表示装置、及び表示システムの変形例3>
図1Bに示した表示システム200は、回路部SICに周辺回路DRVと、機能回路MFNCとが含まれている構成としたが、本発明の一態様の表示システムは、回路部SICに機能回路MFNCを設けた構成とし、表示部DSPの駆動は、表示システム200の外部回路によって行ってもよい。
【0190】
例えば、本発明の一態様の表示システムは、
図7Aに示す構成とすることができる。表示システム200Cは、表示部DSPと、回路部SICと、を有し、回路部SICは、機能回路MFNCを有する構成となっている。また、表示部DSPは、回路部CHPに電気的に接続されており、回路部CHPは周辺回路DRVを有する。回路部CHPは、例えば、外付けのドライバICとすることができる。
【0191】
また、回路部CHPを表示システム200Cへ実装する方法としては例えば、COG(Chip On Glass)方式、COF(Chip On Film)方式などがある。
【0192】
また、表示システム200Cにおいて、表示部DSPと、回路部SICと、に含まれるトランジスタは、例えば、Siトランジスタとすることができる。また、Siトランジスタ以外としては、OSトランジスタとしてもよい。
【0193】
また、表示システム200Cは、回路部CHPと表示部DSPとが電気的に接続する構成ではなく、
図7Bに示すとおり、回路部CHPと回路部SICとが電気的に接続する構成としてもよい。
【0194】
また、
図7A、又は
図7Bに示す表示システム200Cの具体的な構成の一例を、
図8に示す。なお、
図8では、表示システム200Cに含まれる機能回路MFNCのバス配線BSLと、回路部CHPのバス配線と、が電気的に接続されている構成としている。
【0195】
上記のとおり、
図1Bの表示システム200において、表示部DSPを駆動させる周辺回路DRVを回路部SICに設けず、ドライバICなどとして表示システム200の外部に設けてもよい。
【0196】
本実施の形態で述べたとおり、表示装置、又は表示システムを構成することによって、つまり、表示部DSPの下部に周辺回路DRV及び機能回路MFNCを設けることによって、画像データの送信時間の低減、消費電力の低減に加え、回路面積を増やさずに補正回路、GPUなども設けることができる。これにより、表示部DSPの表示品位を高めることができる。また、回路面積が増えないため、後の実施の形態で説明する電子機器の筐体におけるサイズなどの制約を受けにくくなる。
【0197】
ところで、従来の表示装置(例えば、Siトランジスタが用いられた表示装置)では、画素アレイと周辺回路とが同じ平面上に設けられている構成となっているが、OSトランジスタを表示装置のトランジスタに適用することにより、画素回路、周辺回路の微細化が可能となる。これにより、画素回路、及び画素回路の周辺部分(額縁と呼ばれる場合がある)の面積を小さくすることができる。例えば、従来のXR向けの表示装置(例えば、Siトランジスタが用いられた表示装置)では、概ね3000ppi以下の解像度であるが、OSトランジスタをXR向けの表示装置に適用することにより、5000ppi以上の解像度を実現することができる。
【0198】
また、有機ELを含む発光デバイスを表示装置の画素に用いた場合の、当該発光デバイスの輝度についても考える。Siトランジスタで定電流源を構成した場合、Siトランジスタは耐圧が低いため、現実的には、3000ppiの表示装置において1000cd/m2以下の輝度しか出力できない。一方、OSトランジスタで定電流源を構成した場合、OSトランジスタは耐圧が高いため、例えば、5000ppi以上7000ppi以下の表示装置において、概ね10000cd/m2前後の輝度を出力することができる。
【0199】
また、例えば、
図1Bの表示システム200などにおいて、回路部SICの半導体基板をシリコンとしたとき、システム(インターフェイス、コンバータ、ドライバ、メモリ、CPU、GPU)をテクノロジーノード6nmから7nmで内装することができる。これにより、表示システム200を構成する回路の面積を低減することができる。
【0200】
上述したとおり、Siトランジスタ又はOSLSIが用いられた表示システムの内容を、下記の表にまとめる。なお、本明細書などにおいて、OSLSIとは、半導体基板上に形成されたSiトランジスタの上方にさらにOSトランジスタを形成した集積回路をいう。
【0201】
【0202】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0203】
(実施の形態2)
本実施の形態では、高周波(RF)回路を備える、表示システムの構成について説明する。
【0204】
図9Aは、本発明の一態様の表示システムを模式的に表した図である。
図9Aに示す表示システム200Dは、
図1Bの表示システム200の回路部SICに含まれる機能回路MFNCに、高周波回路41を設けた構成となっている。なお、
図9Aには、高周波回路41と無線通信を行う装置EXDVも図示している。
【0205】
また、本実施の形態では、表示システム200Dと装置EXDVとを切り分けて説明しているが、本発明の一態様の表示システムは、表示システムと無線通信を行う外部装置も含めることができる。つまり、本発明の一態様の表示システムは、装置EXDVが含まれていてもよい。
【0206】
高周波回路41は、例えば、アンテナ、デュプレクサ、ローノイズアンプ、パワーアンプ、ローカルオシレータ、ダウンコンバージョンミキサ、アップコンバージョンミキサ、バンドパスフィルタ、アナログデジタル変換回路などを有する。
【0207】
特に、高周波回路41は、デュプレクサを有することによって、送信用のRF信号経路と受信用のRF信号経路とを電気的に分離することができる。このため、高周波回路41に備えられるアンテナを、送信用アンテナと受信用アンテナとを共用した1個のアンテナとすることができる。これにより、表示システム200Dの回路面積をより低減することができる。
【0208】
なお、本実施の形態において、高周波回路41は、第1層に含まれる回路(例えば、CPU、GPU、記憶装置など)のいずれか一で生成された電気信号をRF信号に変換して、表示システム200Dの外部に送信する機能を有する。また、高周波回路41は、外部から取得したRF信号を電気信号に変換して、第1層に含まれる回路(例えば、CPU、GPU、記憶装置など)のいずれか一に送信する機能を有する。
【0209】
なお、装置EXDVとしては、様々な電子機器などを適用することができる。例えば、装置EXDVが表示システム200Dに備えられている筐体の外部に存在する場合、装置EXDVとしては、例えば、スピーカ(イヤホン、ヘッドホンなども含む)、スマートフォンなどの携帯情報端末、ウェアラブル型情報端末、タブレット型情報端末、デスクトップ型情報端末、サーバ、IoT(Internet of Things)搭載の装置などの電子機器とすることができる。
【0210】
例えば、
図10に示すとおり、表示システム200Dをヘッドマウント型ディスプレイである電子機器HMDの表示部とし、装置EXDVをクラウドコンピューティングCLD上に存在するサーバである装置EXDV1としてもよい。また、装置EXDVを携帯情報端末(例えば、スマートフォンなど)である装置EXDV2としてもよい。また、装置EXDVをウェアラブル型情報端末である装置EXDV3としてもよい。
【0211】
表示システム200Dの機能回路MFNCに高周波回路41を設けることによって、
図10に示すとおり、サーバ、携帯情報端末、ウェアラブル型情報端末などの電子機器と無線通信を行うことができる。これにより、装置EXDV1、装置EXDV2などから送信される画像データを、電子機器HMDの表示システム200Dの高周波回路41によって受信することができ、当該画像データを表示システム200Dの表示部DSPに表示することができる。
【0212】
また、表示システム200Dと装置EXDVとの間に通信される情報は、画像データに限定されない。例えば、
図11Aに示すとおり、電子機器HMDを装着しているユーザ(電子機器HMDを身につけていない人間でもよい)が、指FGで装置EXDV2、又は装置EXDV3を入力インターフェイスとして、装置EXDV2、又は装置EXDV3から表示システム200Dに対して、表示システム200Dを操作するためのRF信号を送信してもよい。このとき、装置EXDV2、又は装置EXDV3の表示部を非表示状態にして、かつ電子機器HMDの表示システム200Dの表示部DSPには、装置EXDV2、又は装置EXDV3の表示部に、ARによって、本来、装置EXDV2、又は装置EXDV3に表示させる画像を当てはめるように表示させてもよい。具体的には、一例として、
図11Aに示すとおり、実際に指FGで操作される装置EXDV2、又は装置EXDV3の表示部は非表示となっており、電子機器HMDの表示システム200Dの表示部DSPには、装置EXDV2、又は装置EXDV3に操作画面が映し出されているような表示画像DPCを表示させてもよい。
【0213】
また、例えば、
図11Bに示すとおり、電子機器HMDを装着しているユーザが、自身の手HNDを動かすことによって、装置EXDV2、又は装置EXDV3を操作するためのRF信号を電子機器HMDから装置EXDV2、又は装置EXDV3に送信してもよい。このとき、電子機器HMDは、手HNDの動作を認識するための撮像装置、赤外線センサなどを備えていることが好ましい。また、手HND(指FG、手首などを含む)には、動作を認識するセンサ機器を身につけておき、電子機器HMDが当該センサ機器からのセンシング情報を受け取ることで、手HNDの動作を認識させてもよい。これにより、装置EXDV2、又は装置EXDV3が電子機器HMDを装着しているユーザから離れていても、当該ユーザが装置EXDV2、又は装置EXDV3を操作することが可能となる。具体的には、例えば、
図11Bに示すとおり、電子機器HMDの表示システム200Dの表示部DSPには、電子機器HMDの外界の景色と、操作領域OPAと操作領域OPA内のアイコンICNが合成された表示画像DPCを表示することができる。このとき、手HND(
図11Bでは指FG)によって、アイコンICNに触れるなどのジェスチャーで操作を行うことで、遠隔で装置EXDV2、又は装置EXDV3を操作することができる。
【0214】
また、
図11A、又は
図11Bの場合において、電子機器HMDの表示システム200Dの表示部DSPに映し出す画像としては、電子機器HMDの外界の景色ではなく装置EXDV2、又は装置EXDV3が本来表示させる画像としてもよい。また、当該画像は、4K2Kで表示されることが好ましく、8K4Kで表示されることがより好ましく、16K8Kで表示されることがさらに好ましい。
【0215】
また、表示システム200Dと、装置EXDVと、の間との通信は、無線中継器を介して、行われていてもよい。これにより、表示システム200Dは、表示システム200Dの近くに存在する電子機器だけでなく、遠方に存在する電子機器と通信を行うことができる。また、この場合、容量の大きいデータを送信するため、遅延時間を短くするため、通信速度を速くするため、第5世代(5G)の通信規格が用いられることが好ましい。なお、5G(第5世代移動通信システム)では、例えば、3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯などの通信周波数が使用される。
【0216】
5Gに対応する半導体装置は、シリコンなど1種類の元素を主成分として用いる半導体を用いて作製される場合が多いため、
図9Aの表示システム200Dのとおり、機能回路MFNCに含まれる高周波回路41は、回路部SICの半導体基板(特にシリコンを材料とした半導体基板)上に作製することができる。
【0217】
また、装置EXDVが、表示システム200Dに備えられている筐体の外部でなく、表示システム200Dと同じ筐体に備えられている場合、装置EXDVとしては、例えば、
図1Bの表示システム200の機能回路MFNCに含まれている一部の回路としてもよい。
【0218】
具体的には、
図9Bに示すとおり、機能回路MFNCの一部の回路を機能回路MFNCaとして回路部SIC側に設け、機能回路MFNCの残りの回路を機能回路MFNCbとして装置EXDVに設けてもよい。また、
図9Bでは、機能回路MFNCaには、高周波回路41aが設けられ、機能回路MFNCbには、高周波回路41bが設けられており、高周波回路41aと高周波回路41bとが無線通信を行っている例を示している。なお、
図9Bでは、機能回路MFNCaと機能回路MFNCbとをまとめて機能回路MFNCとしている。つまり、
図9Bに示す機能回路MFNCの内部で無線通信を行う構成となっている。
【0219】
図9Bに示す表示システム200Dの構成を適用することによって、機能回路MFNCの内部で無線通信を行うことができる。これにより、機能回路MFNCaと機能回路MFNCbとの間に電気信号を送受信するための配線を設ける必要が無くなるため、筐体内部の回路面積を低減することができる。
【0220】
図9Bの構成を適用できる例としては、ヘッドマウントディスプレイとそれに備え付けられているヘッドホンの構成が挙げられる。具体的には、
図12に示すとおり、表示システム200Dは、ヘッドマウントディスプレイである電子機器HMDの表示部に適用し、装置EXDVはヘッドホン部HPに適用して、高周波回路41aから高周波回路41bに無線通信で音声データを送信することによって、当該表示部に映し出された画像に合わせて、装置EXDVを有するヘッドホンが当該音声データを再生することができる。
【0221】
また、
図9A、又は
図9Bに示す表示システム200Dの具体的な構成の一例を、
図13に示す。
図13に示すとおり、高周波回路41は、バス配線BSLに電気的に接続されており、高周波回路41によって、RF信号RFSを電気信号に変換して、CPU25などの所定の回路に送信する、また、CPU25などの所定の回路からの電気信号をRF信号RFSに変換して装置EXDVに送信することができる。
【0222】
なお、本実施の形態で説明した
図9A、
図9B、
図13は、
図1の表示システム200の回路部SICの機能回路MFNCに高周波回路41を設けた例として説明したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、
図3の表示システム200Aの回路部SICの機能回路MFNCに高周波回路41を設けた構成としてもよい(図示しない)。
【0223】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0224】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置、又は表示システムの構成について、説明する。
【0225】
図14Aは、
図1Aに示した表示装置、又は
図1B、及び
図2に示した表示システムの構成例を示した断面図である。なお、
図14Aにおける表示システムは、回路部SICにトランジスタ170が含まれ、表示部DSPにトランジスタ180と、発光デバイス260Rと、発光デバイス260Gと、発光デバイス260Bと、が含まれている構成となっている。なお、本明細書では、発光デバイス260Rと、発光デバイス260Gと、発光デバイス260Bと、をまとめて発光デバイス260と呼称する。また、
図14Aには、トランジスタ170及びトランジスタ180のチャネル長方向の断面図を示している。
【0226】
トランジスタ170は、基板101上に設けられ、素子分離層171、導電体175、絶縁体174、基板101の一部からなる半導体領域173、ソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域172a、及び低抵抗領域172bを有する。なお、トランジスタ170は、例えば、上記実施の形態で説明した周辺回路DRVに含まれるソースドライバ回路11、又はゲートドライバ回路13に適用することができる。また、例えば、トランジスタ170は、機能回路MFNCに含まれる記憶装置21、GPU22などに適用することができる。
【0227】
また、基板101としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)を用いることが好ましい。
【0228】
トランジスタ170は、一例として、半導体領域173の上面及びチャネル幅方向の側面が絶縁体174を介して導電体175に覆われている。このように、トランジスタ170をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ170のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ170のオフ特性を向上させることができる。
【0229】
なお、トランジスタ170は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0230】
半導体領域173のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、又はドレイン領域となる低抵抗領域172a、及び低抵抗領域172bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)、GaN(窒化ガリウム)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ170をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0231】
ゲート電極として機能する導電体175は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0232】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタン、窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステン、アルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0233】
素子分離層171は、基板101上に形成されている複数のトランジスタ同士を分離するために設けられている。素子分離層171は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法、STI(Shallow Trench Isolation)法、メサ分離法などを用いて形成することができる。
【0234】
なお、
図14Aに示すトランジスタ170は一例であり、その構造に限定されず、回路構成、駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、トランジスタ170は、FIN型ではなく、プレーナ型の構造としてもよい。
【0235】
図14Aに示すトランジスタ170には絶縁体116、絶縁体117、及び絶縁体118が順に積層されている。
【0236】
絶縁体116、及び絶縁体117として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0237】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0238】
絶縁体117は、絶縁体116及び絶縁体117に覆われているトランジスタ170などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体117の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0239】
また、絶縁体118には、基板101、又はトランジスタ170などから、絶縁体118より上方の領域に、水素、不純物などが拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0240】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、絶縁体118より上方に設けられている回路素子に、水素が拡散することで、当該回路素子の特性が低下する場合がある。したがって、当該回路素子と、トランジスタ170との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0241】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体118の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体118の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0242】
なお、絶縁体118は、絶縁体117よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体118の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体118の比誘電率は、絶縁体117の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0243】
また、絶縁体116、絶縁体117、及び絶縁体118には、絶縁体118より上方に設けられている回路素子(例えば、表示部DSPに含まれるトランジスタ180、発光デバイス260R乃至発光デバイス260Bなど)と接続する導電体126等が埋め込まれている。なお、導電体126は、プラグ又は配線としての機能を有する。また、プラグ又は配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0244】
各プラグ、及び配線(導電体126、後述する導電体127、導電体128等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステン、モリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウム、銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0245】
なお、絶縁体118よりも上層には、配線層を設けてもよい(図示しない)。
【0246】
図14Aにおいて、絶縁体118よりも上方には、絶縁体221が積層されている。絶縁体221は、トランジスタ180の下地膜として機能する。
【0247】
また、絶縁体221上には、トランジスタ180のゲート電極、又は配線として機能する導電体211が形成されている。
【0248】
また、絶縁体221上、及び導電体211上には、トランジスタ180のゲート絶縁膜として機能する絶縁体222が形成されている。
【0249】
また、絶縁体221、及び絶縁体222には、トランジスタ180、及び回路部SICに含まれる回路素子などと接続する導電体127等が埋め込まれている。なお、導電体127は、プラグ又は配線としての機能を有する。
【0250】
また、絶縁体222上には、半導体231が形成されている。なお、
図14Aにおいて、半導体231は、導電体211に重畳する領域を含むように形成されている。
【0251】
半導体231としては、例えば、実施の形態4で説明する金属酸化物を適用することができる。また、半導体231としては、例えば、Si、Geなどの半導体材料を適用することができる。また、半導体231としては、例えば、ZnSe、CdS、GaAs、InP、GaN、SiGeなどの化合物半導体を用いることができる。また、半導体231としては、例えば、カーボンナノチューブ、有機半導体を用いることができる。
【0252】
また、絶縁体222上、導電体127上、及び半導体231上には、導電体212が形成されている。なお、導電体212は、導電体212が一対として、半導体231を介するように形成されている。また、導電体212の一対のうちの一方は、トランジスタ180のソース又はドレインの一方として機能し、導電体212の一対のうちの他方は、トランジスタ180のソース又はドレインの他方として機能する。また、
図14Aにおいて、導電体212の一対のうちの一方は、導電体127に電気的に接続されるように形成されている。
【0253】
なお、
図14Aでは、導電体127は、トランジスタ180のソース又はドレインの一方に電気的に接続されている例を示しているが、導電体127は、トランジスタ180のソース又はドレインの他方に電気的に接続されていてもよいし、トランジスタ180のゲートに電気的に接続されていてもよい。
【0254】
絶縁体222上、導電体212上、及び半導体231上には、絶縁体223、及び絶縁体224が順に形成されている。
【0255】
次に、絶縁体224上に備えることができる、発光デバイス260R、発光デバイス260G、発光デバイス260Bについて、説明する。なお、それぞれの発光デバイスは、異なる色を発光することが好ましい。本実施の形態では、一例として、発光デバイス260Rが赤色を呈し、発光デバイス260Gが緑色を呈し、発光デバイス260Bが青色を呈する構成とし、また、各発光デバイスの区別を簡単にするため、各発光デバイスの発光領域内にR、G、Bの符号を付すこととする。
【0256】
絶縁体224上には、絶縁体251が形成されている。
【0257】
また、絶縁体224、及び絶縁体251には、トランジスタ180、及び回路部SICに含まれる回路素子などと接続する導電体128等が埋め込まれている。なお、導電体128は、プラグ又は配線としての機能を有する。
【0258】
絶縁体251上、導電体128上には、発光デバイス260R、発光デバイス260G、及び発光デバイス260Bのそれぞれの画素電極261が形成されている。
【0259】
また、画素電極261の端部を覆って、絶縁体272が設けられている。絶縁体272の端部は、テーパー形状であることが好ましい。
【0260】
画素電極261の上面と、絶縁体272の一部の表面には、EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bが形成されている。また、形成時には、EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bの端部は、絶縁体272上に位置することが好ましい。
【0261】
なお、
図14Aでは、複数の画素電極261上に、赤色(R)の発光を呈するEL層262R、緑色(G)の発光を呈するEL層262G、及び青色(B)の発光を呈するEL層262Bがそれぞれ独立に設けられている。このように、複数の画素電極261上に色毎に異なる発光層を形成する構造を、本明細書等では、SBS(Side By Side)構造と呼称する。
【0262】
また、
図14Aの表示装置(表示システム)では、SBS構造となっているが、当該表示装置(当該表示システム)は、複数の画素電極261上に、連なるように白色の発光を呈する発光層を形成し、当該複数の画素電極261上に、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の着色層(例えば、カラーフィルタ)を設けた構造としてもよい。特に、白色の発光層を後述するタンデム構造で形成することによって、高輝度かつ長寿命の白色の発光デバイスとすることができる。
【0263】
EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bは、それぞれ発光性の有機化合物を含む層(発光層)のほかに、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、及び正孔輸送層のうち、一以上を有していてもよい。
【0264】
例えば、EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bとしては、
図15Aに示すように、層4420、発光層4411、層4430などの複数の層で構成することができる。層4420は、例えば電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)および電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)などを有することができる。発光層4411は、例えば発光性の化合物を有する。層4430は、例えば正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)および正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)を有することができる。
【0265】
一対の電極間に設けられた層4420、発光層4411および層4430を有する構成は単一の発光ユニットとして機能することができ、本明細書等では
図15Aの構成をシングル構造と呼ぶ。
【0266】
なお、
図15Bに示すように層4420と層4430との間に複数の発光層(発光層4411、発光層4412、発光層4413)が設けられる構成もシングル構造のバリエーションである。
【0267】
また、
図15Cに示すように、複数の発光ユニット(EL層262a、EL層262b)が中間層(電荷発生層)4440を介して直列に接続された構成を本明細書ではタンデム構造と呼ぶ。なお、本明細書等においては、
図15Cに示すような構成をタンデム構造として呼称するが、これに限定されず、例えば、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。なお、タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。
【0268】
発光デバイス260の発光色は、EL層262を構成する材料によって、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄または白などとすることができる。また、発光デバイス260にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度をさらに高めることができる。
【0269】
白色の光を発する発光デバイスは、発光層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。白色発光を得るには、2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるような発光物質を選択すればよい。
【0270】
発光層には、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質を2以上含むことが好ましい。または、発光物質が2以上有し、それぞれの発光物質の発光は、R、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含むことが好ましい。
【0271】
また、
図14Aに示すように、異なる色の発光デバイス間において、2つのEL層の間に隙間が設けられている。このように、EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bが、互いに接しないように設けられていることが好ましい。これにより、隣接する2つのEL層を介して電流が流れ、意図しない発光が生じること(クロストークともいう)を好適に防ぐことができる。そのため、コントラストを高めることができ、表示品位の高い表示装置を実現できる。
【0272】
EL層262R、EL層262G、及びEL層262Bは、メタルマスクなどのシャドーマスクを用いた真空蒸着法などにより、作り分けることができる。または、フォトリソグラフィ法により、これらを作り分けてもよい。フォトリソグラフィ法を用いることで、メタルマスクを用いた場合では実現することが困難である高い精細度の表示装置を実現することができる。
【0273】
絶縁体272上、EL層262R上、EL層262G上、及びEL層262G上には、共通電極263が設けられている。共通電極263は、各発光デバイスに共通な一続きの層として設けられている。
【0274】
この場合、発光デバイス260R、発光デバイス260G、及び発光デバイス260Bは、画素電極261、及び共通電極263との間に、それぞれEL層262R、EL層262G、及びEL層262Bが設けられる構成となる。EL層262Rは、少なくとも赤色の波長域に強度を有する光を発する発光性の有機化合物を有する。また、発光デバイス260Gが有するEL層262Gは、少なくとも緑色の波長域に強度を有する光を発する発光性の有機化合物を有する。発光デバイス260Bが有するEL層262Bは、少なくとも青色の波長域に強度を有する光を発する発光性の有機化合物を有する。
【0275】
また、
図14Aに示すとおり、画素電極261は、発光デバイス毎に設けられている。ここで、例えば、反対に画素電極261を、反射性を有する導電体材料を選択し、共通電極263を、透光性を有する導電体材料を選択することで、上面射出型(トップエミッション型)の表示装置とすることができる。
【0276】
また、共通電極263上には、発光デバイス260R、発光デバイス260G、及び発光デバイス260Bを覆って、保護層271が設けられている。保護層271は、上方から各発光デバイスに水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。
【0277】
保護層271としては、例えば、少なくとも無機絶縁膜を含む単層構造または積層構造とすることができる。無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物膜または窒化物膜が挙げられる。または、保護層271としてインジウムガリウム酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの半導体材料を用いてもよい。なお、保護層271としては、ALD法、CVD法、及びスパッタリング法を用いて形成すればよい。なお、保護層271として、無機絶縁膜を含む構成について例示したがこれに限定されない。例えば、保護層271として、無機絶縁膜と、有機絶縁膜との積層構造としてもよい。
【0278】
上述した発光デバイス260R、発光デバイス260G、及び発光デバイス260Bは、一例として、それぞれマトリクス状に配列することができる。なお、発光デバイスの配列方法はこれに限られず、デルタ配列、ジグザグ配列などの配列方法を適用してもよいし、ペンタイル配列を用いることもできる。
【0279】
また、発光デバイス260R、発光デバイス260G、及び発光デバイス260Bとしては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。
【0280】
また、本発明の一態様の表示装置、又は表示システムは、
図14Aの構成に限定されない。
図14Aでは、3種の色の発光デバイスを用いた表示装置、又は表示システムについて説明したが、本発明の一態様の表示装置、又は表示システムは、例えば、白色の発光デバイスと、各色の着色層を用いた表示装置、又は表示システムとしてもよい。また、この場合、白色の発光デバイスとしては、例えば、
図15A、又は
図15Bに示すシングル構造の発光層を用いてもよく、又は
図15Cに示すタンデム構造の発光層を用いてもよい。
【0281】
図14Bでは、白色の光を呈する発光デバイス260Wを有する。発光デバイス260Wは、画素電極と共通電極263との間に白色の光を呈するEL層262Wを有する。
【0282】
EL層262Wとしては、例えば、それぞれの発光色が補色の関係になるように選択された、2以上の発光層を積層した構成とすることができる。また、発光層間に電荷発生層を挟持した、積層型のEL層を用いてもよい。
【0283】
図14Bには、3つの発光デバイス260Wを並べて示している。左の発光デバイス260Wの上部には着色層264Rが設けられている。着色層264Rは、赤色の光を透過するバンドパスフィルタとして機能する。同様に、中央の発光デバイス260Wの上部には緑色の光を透過する着色層264Gが設けられ、右の発光デバイス260Wの上部には、青色の光を透過する着色層264Bが設けられている。これにより、表示装置はカラーの画像を表示することができる。
【0284】
ここで、隣接する2つの発光デバイス260W間において、EL層262Wと、共通電極263とがそれぞれ分離されている。これにより、隣接する2つの発光デバイス260Wにおいて、EL層262Wを介して電流が流れ、意図しない発光が生じることを好適に防ぐことができる。特に、EL層262Wとして、2つの発光層の間に電荷発生層が設けられる、積層型のEL素子を用いた場合では、精細度が高いほど、すなわち隣接画素間の距離が小さいほど、クロストークの影響が顕著となり、コントラストが低下してしまうといった問題がある。そのため、このような構成とすることで、高い精細度と、高いコントラストを兼ね備える表示装置を実現できる。
【0285】
EL層262W及び共通電極263の分離は、フォトリソグラフィ法により行うことが好ましい。これにより、発光デバイス間の間隔を狭めることができるため、例えばメタルマスク等のシャドーマスクを用いた場合と比較して、高い開口率の表示装置を実現することができる。
【0286】
図16は、
図3Aに示した表示装置、又は
図4、及び
図6に示した表示システムの構成例を示した断面図である。なお、
図16における表示システムは、回路部SICにトランジスタ170が含まれ、層OSCにトランジスタ500が含まれ、表示部DSPにトランジスタ180と、発光デバイス260Rと、発光デバイス260Gと、発光デバイス260Bと、が含まれている構成となっている。また、
図16には、トランジスタ170、トランジスタ180、トランジスタ500のチャネル長方向の断面図を示している。
【0287】
また、回路部SICと表示部DSPについては、
図14Aの説明を援用できるため、以下では、層OSCに含まれるトランジスタ500とその周辺の構成について説明する。
【0288】
回路部SICの絶縁体118の上方には、絶縁体512が形成されている。絶縁体512は、酸素、水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0289】
また、絶縁体512としては、例えば、絶縁体116と同様の材料を用いることができる。
【0290】
また、
図17A、及び
図17Bに示すように、絶縁体512上には、絶縁体514、及び絶縁体516が形成されている。
【0291】
絶縁体514には、基板101、又はトランジスタ170を設ける領域などから、トランジスタ500が設けられている領域に、水素、不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体514には、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。
【0292】
また、絶縁体516としては、例えば、絶縁体116と同様の材料を用いることができる。
【0293】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0294】
図17A、及び
図17Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514上の絶縁体516と、絶縁体514または絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503(導電体503a、および導電体503b)と、絶縁体516上、および導電体503上の絶縁体522と、絶縁体522上の絶縁体524と、絶縁体524上の酸化物530aと、酸化物530a上の酸化物530bと、酸化物530b上の導電体542aと、導電体542a上の絶縁体571aと、酸化物530b上の導電体542bと、導電体542b上の絶縁体571bと、酸化物530b上の絶縁体552と、絶縁体552上の絶縁体550と、絶縁体550上の絶縁体554と、絶縁体554上に位置し、酸化物530bの一部と重なる導電体560(導電体560a、および導電体560b)と、絶縁体522、絶縁体524、酸化物530a、酸化物530b、導電体542(導電体542a、および導電体542b)、絶縁体571(絶縁体571a、および絶縁体571b)上に配置される絶縁体544と、を有する。ここで、
図17A、及び
図17Bに示すように、絶縁体552は、絶縁体522の上面、絶縁体524の側面、酸化物530aの側面、酸化物530bの側面および上面、導電体542の側面、絶縁体571の側面、絶縁体544の側面、絶縁体580の側面、および絶縁体550の下面と接する。また、導電体560の上面は、絶縁体554の上部、絶縁体550の上部、絶縁体552の上部、および絶縁体580の上面と高さが概略一致するように配置される。また、絶縁体574は、導電体560の上面、絶縁体552の上部、絶縁体550の上部、絶縁体554の上部、および絶縁体580の上面の少なくともいずれかの一部と接する。
【0295】
絶縁体580、および絶縁体544には、酸化物530bに達する開口が設けられる。当該開口内に、絶縁体552、絶縁体550、絶縁体554、および導電体560が配置されている。また、トランジスタ500のチャネル長方向において、絶縁体571a、および導電体542aと、絶縁体571b、および導電体542bと、の間に導電体560、絶縁体552、絶縁体550、および絶縁体554が設けられている。絶縁体554は、導電体560の側面と接する領域と、導電体560の底面と接する領域と、を有する。
【0296】
酸化物530は、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、を有することが好ましい。酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0297】
なお、トランジスタ500では、酸化物530が、酸化物530a、および酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、トランジスタ500は、酸化物530bの単層、または3層以上の積層構造を有する構成とすることができる。又は、酸化物530a、および酸化物530bのそれぞれが積層構造を有する構成とすることができる。
【0298】
導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能し、導電体503は、第2のゲート(バックゲートともいう。)電極として機能する。また、絶縁体552、絶縁体550、及び絶縁体554は、第1のゲート絶縁体として機能し、絶縁体522、および絶縁体524は、第2のゲート絶縁体として機能する。なお、ゲート絶縁体は、ゲート絶縁層、またはゲート絶縁膜と呼ぶ場合もある。また、導電体542aは、ソースまたはドレインの一方として機能し、導電体542bは、ソースまたはドレインの他方として機能する。また、酸化物530の導電体560と重畳する領域の少なくとも一部はチャネル形成領域として機能する。
【0299】
ここで、
図17Aにおけるチャネル形成領域近傍の拡大図を
図18Aに示す。酸化物530bに酸素が供給されることで、導電体542aと導電体542bの間の領域にチャネル形成領域が形成される。よって、
図18Aに示すように、酸化物530bは、トランジスタ500のチャネル形成領域として機能する領域530bcと、領域530bcを挟むように設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域530baおよび領域530bbと、を有する。領域530bcは、少なくとも一部が導電体560と重畳している。言い換えると、領域530bcは、導電体542aと導電体542bの間の領域に設けられている。領域530baは、導電体542aに重畳して設けられており、領域530bbは、導電体542bに重畳して設けられている。
【0300】
チャネル形成領域として機能する領域530bcは、領域530baおよび領域530bbよりも、酸素欠損(本明細書等では、金属酸化物中の酸素欠損をVO(oxygen vacancy)と呼称する場合がある。)が少なく、または不純物濃度が低いため、キャリア濃度が低い高抵抗領域である。よって領域530bcは、i型(真性)または実質的にi型であるということができる。
【0301】
金属酸化物を用いたトランジスタは、金属酸化物中のチャネルが形成される領域に不純物または酸素欠損(VO)が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損(VO)近傍の水素が、酸素欠損(VO)に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼称する場合がある。)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域では、不純物、酸素欠損、およびVOHはできる限り低減されていることが好ましい。
【0302】
また、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域530baおよび領域530bbは、酸素欠損(VO)が多く、または水素、窒素、金属元素などの不純物濃度が高い、ことでキャリア濃度が増加し、低抵抗化した領域である。すなわち、領域530baおよび領域530bbは、領域530bcと比較して、キャリア濃度が高く、低抵抗なn型の領域である。
【0303】
ここで、チャネル形成領域として機能する領域530bcのキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域として機能する領域530bcのキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
【0304】
また、領域530bcと領域530baまたは領域530bbとの間に、キャリア濃度が、領域530baおよび領域530bbのキャリア濃度と同等、またはそれよりも低く、領域530bcのキャリア濃度と同等、またはそれよりも高い、領域が形成されていてもよい。つまり、当該領域は、領域530bcと領域530baまたは領域530bbとの接合領域として機能する。当該接合領域は、水素濃度が、領域530baおよび領域530bbの水素濃度と同等、またはそれよりも低く、領域530bcの水素濃度と同等、またはそれよりも高くなる場合がある。また、当該接合領域は、酸素欠損が、領域530baおよび領域530bbの酸素欠損と同等、またはそれよりも少なく、領域530bcの酸素欠損と同等、またはそれよりも多くなる場合がある。
【0305】
なお、
図18Aでは、領域530ba、領域530bb、および領域530bcが酸化物530bに形成される例について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、上記の各領域が酸化物530bだけでなく、酸化物530aまで形成されてもよい。
【0306】
また、酸化物530において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0307】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530(酸化物530a、および酸化物530b)に、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
【0308】
また、半導体として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0309】
酸化物530として、例えば、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物530として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、インジウム酸化物を用いてもよい。
【0310】
ここで、酸化物530bに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0311】
このように、酸化物530bの下に酸化物530aを配置することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物からの、酸化物530bに対する、不純物および酸素の拡散を抑制することができる。
【0312】
また、酸化物530aおよび酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、酸化物530aと酸化物530bの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
【0313】
酸化物530bは、結晶性を有することが好ましい。特に、酸化物530bとして、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。
【0314】
CAAC-OSは、結晶性の高い、緻密な構造を有しており、不純物、及び欠陥(例えば、酸素欠損(VOなど)が少ない金属酸化物である。特に、金属酸化物の形成後に、金属酸化物が多結晶化しない程度の温度(例えば、400℃以上600℃以下)で加熱処理することで、CAAC-OSをより結晶性の高い、緻密な構造にすることができる。このようにして、CAAC-OSの密度をより高めることで、当該CAAC-OS中の不純物または酸素の拡散をより低減することができる。
【0315】
一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0316】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に不純物および酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損近傍の水素が、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域では、不純物、酸素欠損、およびVOHはできる限り低減されていることが好ましい。言い換えると、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域は、キャリア濃度が低減され、i型(真性化)または実質的にi型であることが好ましい。
【0317】
これに対して、酸化物半導体の近傍に、加熱により脱離する酸素(以下、過剰酸素と呼ぶ場合がある。)を含む絶縁体を設け、熱処理を行うことで、当該絶縁体から酸化物半導体に酸素を供給し、酸素欠損、およびVOHを低減することができる。ただし、ソース領域またはドレイン領域に過剰な量の酸素が供給されると、トランジスタ500のオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を引き起こすおそれがある。さらに、ソース領域またはドレイン領域に供給される酸素の量が基板面内でばらつくことで、トランジスタを有する半導体装置の特性にばらつきが出ることになる。
【0318】
よって、酸化物半導体中において、チャネル形成領域として機能する領域530bcは、キャリア濃度が低減され、i型または実質的にi型であることが好ましいが、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域530baおよび領域530bbは、キャリア濃度が高く、n型であることが好ましい。つまり、酸化物半導体の領域530bcの酸素欠損、およびVOHを低減し、領域530baおよび領域530bbには過剰な量の酸素が供給されないようにすることが好ましい。
【0319】
そこで、本実施の形態では、酸化物530b上に導電体542aおよび導電体542bを設けた状態で、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行い、領域530bcの酸素欠損、およびVOHの低減を図る。ここで、マイクロ波処理とは、例えばマイクロ波を用いて高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いた処理のことを指す。
【0320】
酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、マイクロ波、またはRF等の高周波を用いて酸素ガスをプラズマ化し、当該酸素プラズマを作用させることができる。このとき、マイクロ波、またはRF等の高周波を領域530bcに照射することもできる。プラズマ、マイクロ波などの作用により、領域530bcのVOHを分断し、水素Hを領域530bcから除去し、酸素欠損VOを酸素で補償することができる。つまり、領域530bcにおいて、「VOH→H+VO」という反応が起きて、領域530bcの水素濃度を低減することができる。よって、領域530bc中の酸素欠損、およびVOHを低減し、キャリア濃度を低下させることができる。
【0321】
また、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う際、マイクロ波、またはRF等の高周波、酸素プラズマなどの作用は、導電体542aおよび導電体542bに遮蔽され、領域530baおよび領域530bbには及ばない。さらに、酸素プラズマの作用は、酸化物530b、および導電体542を覆って設けられている、絶縁体571、および絶縁体580によって、低減することができる。これにより、マイクロ波処理の際に、領域530baおよび領域530bbで、VOHの低減、および過剰な量の酸素供給が発生しないので、キャリア濃度の低下を防ぐことができる。
【0322】
また、絶縁体552となる絶縁膜の成膜後、または絶縁体550となる絶縁膜の成膜後に、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うとことが好ましい。このように絶縁体552、または絶縁体550を介して、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、効率良く領域530bc中へ酸素を注入することができる。また、絶縁体552を導電体542の側面、および領域530bcの表面と接するように配置することで、領域530bcへ必要量以上の酸素の注入を抑制し、導電体542の側面の酸化を抑制することができる。また、絶縁体550となる絶縁膜の成膜時に導電体542の側面の酸化を抑制することができる。
【0323】
また、領域530bc中に注入される酸素は、酸素原子、酸素分子、酸素ラジカル(Oラジカルともいう、不対電子をもつ原子または分子、あるいはイオン)など様々な形態がある。なお、領域530bc中に注入される酸素は、上述の形態のいずれか一または複数であれば好ましく、特に酸素ラジカルであると好適である。また、絶縁体552、および絶縁体550の膜質を向上させることができるので、トランジスタ500の信頼性が向上する。
【0324】
このようにして、酸化物半導体の領域530bcで選択的に酸素欠損、およびVOHを除去して、領域530bcをi型または実質的にi型とすることができる。さらに、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域530baおよび領域530bbに過剰な酸素が供給されるのを抑制し、導電性を維持することができる。これにより、トランジスタ500の電気特性の変動を抑制し、基板面内でトランジスタ500の電気特性のばらつきを少なくすることができる。
【0325】
以上のような構成にすることで、トランジスタ特性のばらつきが少ない半導体装置を提供することができる。また、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。また、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0326】
また、
図17Bに示すように、トランジスタ500のチャネル幅方向の断面視において、酸化物530bの側面と酸化物530bの上面との間に、湾曲面を有してもよい。つまり、当該側面の端部と当該上面の端部は、湾曲してもよい(以下、ラウンド状ともいう。)。
【0327】
上記湾曲面での曲率半径は、0nmより大きく、導電体542と重なる領域の酸化物530bの膜厚より小さい、または、上記湾曲面を有さない領域の長さの半分より小さいことが好ましい。上記湾曲面での曲率半径は、具体的には、0nmより大きく20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下とする。このような形状にすることで、絶縁体552、絶縁体550、絶縁体554、および導電体560の、酸化物530bへの被覆性を高めることができる。
【0328】
酸化物530は、化学組成が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0329】
また、酸化物530bは、CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物であることが好ましい。CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物は、不純物、及び欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物530bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物530bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ500は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0330】
ここで、酸化物530aと酸化物530bの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530aと酸化物530bの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0331】
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-M-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、元素Mの酸化物、In-Zn酸化物、インジウム酸化物などを用いてもよい。
【0332】
具体的には、酸化物530aとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530bとして、In:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、またはIn:M:Zn=4:2:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。また、元素Mとして、ガリウムを用いることが好ましい。
【0333】
なお、金属酸化物をスパッタリング法により成膜する場合、上記の原子数比は、成膜された金属酸化物の原子数比に限られず、金属酸化物の成膜に用いるスパッタリングターゲットの原子数比であってもよい。
【0334】
また、
図17Aなどに示すように、酸化物530の上面および側面に接して、酸化アルミニウムなどにより形成される絶縁体552を設けることにより、酸化物530と絶縁体552の界面およびその近傍に、酸化物530に含まれるインジウムが偏在する場合がある。これにより、酸化物530の表面近傍が、インジウム酸化物に近い原子数比、またはIn-Zn酸化物に近い原子数比になる。このように酸化物530、特に酸化物530bの表面近傍のインジウムの原子数比が大きくなることで、トランジスタ500の電界効果移動度を向上させることができる。
【0335】
酸化物530aおよび酸化物530bを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は大きいオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
【0336】
絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、及び絶縁体581の少なくとも一は、水、水素などの不純物が、基板側から、または、トランジスタ500の上方からトランジスタ500に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581の少なくとも一は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0337】
なお、本明細書において、バリア絶縁膜とは、バリア性を有する絶縁膜のことを指す。本明細書において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、および固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0338】
絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581としては、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどを用いることができる。例えば、絶縁体512、絶縁体544、および絶縁体576として、より水素バリア性が高い、窒化シリコンなどを用いることが好ましい。また、例えば、絶縁体514、絶縁体571、絶縁体574、および絶縁体581として、水素を捕獲および水素を固着する機能が高い、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどを用いることが好ましい。これにより、水、水素などの不純物が絶縁体512、および絶縁体514を介して、基板側からトランジスタ500側に拡散することを抑制できる。または、水、水素などの不純物が絶縁体581よりも外側に配置されている層間絶縁膜などから、トランジスタ500側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体524などに含まれる酸素が、絶縁体512、および絶縁体514を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体580などに含まれる酸素が、絶縁体574などを介してトランジスタ500より上方に、拡散するのを抑制することができる。この様に、トランジスタ500を、水、水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体512、絶縁体514、絶縁体571、絶縁体544、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581で取り囲む構造とすることが好ましい。
【0339】
ここで、絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581として、アモルファス構造を有する酸化物を用いることが好ましい。例えば、AlOx(xは0より大きい任意数)、またはMgOy(yは0より大きい任意数)などの金属酸化物を用いることが好ましい。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物では、酸素原子がダングリングボンドを有しており、当該ダングリングボンドで水素を捕獲または固着する性質を有する場合がある。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ500の構成要素として用いる、またはトランジスタ500の周囲に設けることで、トランジスタ500に含まれる水素、またはトランジスタ500の周囲に存在する水素を捕獲または固着することができる。特にトランジスタ500のチャネル形成領域に含まれる水素を捕獲または固着することが好ましい。アモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ500の構成要素として用いる、またはトランジスタ500の周囲に設けることで、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ500、および半導体装置を作製することができる。
【0340】
また、絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581は、アモルファス構造であることが好ましいが、一部に多結晶構造の領域が形成されていてもよい。また、絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581は、アモルファス構造の層と、多結晶構造の層と、が積層された多層構造であってもよい。例えば、アモルファス構造の層の上に多結晶構造の層が形成された積層構造でもよい。
【0341】
絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581の成膜は、例えば、スパッタリング法を用いて行えばよい。スパッタリング法は、成膜ガスに水素を含む分子を用いなくてよいので、絶縁体512、絶縁体514、絶縁体544、絶縁体571、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体581の水素濃度を低減することができる。なお、成膜方法は、スパッタリング法に限られるものではなく、化学気相成長(CVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法、パルスレーザ堆積(PLD)法、原子層堆積(ALD)法などを適宜用いてもよい。
【0342】
また、絶縁体512、絶縁体544、および絶縁体576の抵抗率を低くすることが好ましい場合がある。例えば、絶縁体512、絶縁体544、および絶縁体576の抵抗率を概略1×1013Ωcmとすることで、半導体装置作製工程のプラズマ等を用いる処理において、絶縁体512、絶縁体544、および絶縁体576が、導電体503、導電体542、導電体560などのチャージアップを緩和することができる場合がある。絶縁体512、絶縁体544、および絶縁体576の抵抗率は、好ましくは、1×1010Ωcm以上1×1015Ωcm以下とする。
【0343】
また、絶縁体516、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体581は、絶縁体514よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体516、絶縁体580、および絶縁体581として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。
【0344】
また、絶縁体581は、一例として、層間膜、平坦化膜などとして機能する絶縁体とすることが好ましい。
【0345】
導電体503は、酸化物530、および導電体560と、重なるように配置する。ここで、導電体503は、絶縁体516に形成された開口に埋め込まれて設けることが好ましい。また、導電体503の一部が絶縁体514に埋め込まれる場合がある。
【0346】
導電体503は、導電体503a、および導電体503bを有する。導電体503aは、当該開口の底面および側壁に接して設けられる。導電体503bは、導電体503aに形成された凹部に埋め込まれるように設けられる。ここで、導電体503bの上部の高さは、導電体503aの上部の高さおよび絶縁体516の上部の高さと概略一致する。
【0347】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0348】
導電体503aに、水素の拡散を低減する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体503bに含まれる水素などの不純物が、絶縁体524等を介して、酸化物530に拡散するのを防ぐことができる。また、導電体503aに、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体503aとしては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。例えば、導電体503aは、窒化チタンを用いればよい。
【0349】
また、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。例えば、導電体503bは、タングステンを用いればよい。
【0350】
導電体503は、第2のゲート電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0351】
なお、酸化物530を高純度真性とし、酸化物530から不純物が極力排除された状態であるとする場合、導電体503、及び/または導電体560に電位を与えずに、トランジスタ500をノーマリーオフとする(トランジスタ500のしきい値電圧を0Vより大きくする)ことが期待できる場合がある。この場合においては、導電体560と、導電体503とを接続し、同一電位が与えられるようにすると好適である。
【0352】
また、導電体503の電気抵抗率は、上記の導電体503に印加する電位を考慮して設計され、導電体503の膜厚は当該電気抵抗率に合わせて設定される。また、絶縁体516の膜厚は、導電体503とほぼ同じになる。ここで、導電体503の設計が許す範囲で導電体503および絶縁体516の膜厚を薄くすることが好ましい。絶縁体516の膜厚を薄くすることで、絶縁体516中に含まれる水素などの不純物の絶対量を低減することができるので、当該不純物が酸化物530に拡散するのを低減することができる。
【0353】
なお、導電体503は、上面から見て、酸化物530の導電体542aおよび導電体542bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、
図17Bに示すように、導電体503は、酸化物530aおよび酸化物530bのチャネル幅方向の端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物530のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体503と、導電体560とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、第1のゲート電極として機能する導電体560の電界と、第2のゲート電極として機能する導電体503の電界によって、酸化物530のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート、および第2のゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0354】
なお、本明細書等において、S-channel構造のトランジスタとは、一対のゲート電極の一方および他方の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を表す。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0355】
トランジスタ500を、ノーマリーオフとして、且つ上記のS-Channel構造とすることで、チャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。そのため、トランジスタ500をGAA(Gate All Around)構造、またはLGAA(Lateral Gate All Around)構造と捉えることもできる。トランジスタ500をS-Channel構造、GAA構造、またはLGAA構造とすることで、酸化物530と、ゲート絶縁膜との界面または界面近傍に形成されるチャネル形成領域を、酸化物530のバルク全体とすることができる。別言すると、トランジスタ500をS-Channel構造、GAA構造、またはLGAA構造とすることで、キャリアパスをバルク全体として用いる、いわゆるBulk-Flowタイプとすることができる。Bulk-Flowタイプのトランジスタ構造とすることで、トランジスタに流れる電流密度を向上させることが可能となるため、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度を高めることが期待できる。
【0356】
また、
図17Bに示すように、導電体503は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体503の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体503は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体503を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
【0357】
なお、トランジスタ500では、導電体503は、導電体503a、および導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0358】
絶縁体522、および絶縁体524は、ゲート絶縁体として機能する。
【0359】
絶縁体522は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体522は、絶縁体524よりも水素および酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。
【0360】
絶縁体522は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530から基板側への酸素の放出と、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の拡散と、を抑制する層として機能する。よって、絶縁体522を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ500の内側へ拡散することを抑制し、酸化物530中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電体503が、絶縁体524、又は酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0361】
または、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁体522は、これらの絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0362】
また、絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムなどの、いわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、絶縁体522として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、(Ba,Sr)TiO3(BST)などの誘電率が高い物質を用いることができる場合もある。
【0363】
酸化物530と接する絶縁体524は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。
【0364】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上600℃以下、より好ましくは350℃以上550℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0365】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「VO+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0366】
なお、絶縁体522、および絶縁体524が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。また、絶縁体524は、酸化物530aと重畳して島状に形成してもよい。この場合、絶縁体544が、絶縁体524の側面および絶縁体522の上面に接する構成になる。
【0367】
導電体542a、および導電体542bは酸化物530bの上面に接して設けられる。導電体542aおよび導電体542bは、それぞれトランジスタ500のソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0368】
導電体542(導電体542a、および導電体542b)としては、例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタルおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物などを用いることが好ましい。本発明の一態様においては、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0369】
なお、酸化物530bなどに含まれる水素が、導電体542aまたは導電体542bに拡散する場合がある。特に、導電体542aおよび導電体542bに、タンタルを含む窒化物を用いることで、酸化物530bなどに含まれる水素は、導電体542aまたは導電体542bに拡散しやすく、拡散した水素は、導電体542aまたは導電体542bが有する窒素と結合することがある。つまり、酸化物530bなどに含まれる水素は、導電体542aまたは導電体542bに吸い取られる場合がある。
【0370】
また、導電体542の側面と導電体542の上面との間に、湾曲面が形成されないことが好ましい。当該湾曲面が形成されない導電体542とすることで、チャネル幅方向の断面における、導電体542の断面積を大きくすることができる。これにより、導電体542の導電率を大きくし、トランジスタ500のオン電流を大きくすることができる。
【0371】
絶縁体571aは、導電体542aの上面に接して設けられており、絶縁体571bは、導電体542bの上面に接して設けられている。絶縁体571は、少なくとも酸素に対するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体571は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体571は、絶縁体580よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体571としては、例えば、窒化シリコンなどのシリコンを含む窒化物を用いればよい。また、絶縁体571は、水素などの不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。その場合、絶縁体571としては、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどの絶縁体を用いればよい。特に、絶縁体571として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウム、またはアモルファス構造の酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲または固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ500、および半導体装置を作製することができる。
【0372】
絶縁体544は、絶縁体524、酸化物530a、酸化物530b、導電体542、および絶縁体571を覆うように設けられる。絶縁体544として、水素を捕獲および水素を固着する機能を有することが好ましい。その場合、絶縁体544としては、窒化シリコンまたは、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどの絶縁体を含むことが好ましい。また、例えば、絶縁体544として、酸化アルミニウムと、当該酸化アルミニウム上の窒化シリコンの積層膜を用いてもよい。
【0373】
上記のような絶縁体571および絶縁体544を設けることで、酸素に対するバリア性を有する絶縁体で導電体542を包み込むことができる。つまり、絶縁体524、および絶縁体580に含まれる酸素が、導電体542に拡散するのを防ぐことができる。これにより、絶縁体524、および絶縁体580に含まれる酸素によって、導電体542が直接酸化されて抵抗率が増大し、オン電流が低減するのを抑制することができる。
【0374】
絶縁体552は、ゲート絶縁体の一部として機能する。絶縁体552としては、酸素に対するバリア絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁体552としては、上述の絶縁体574に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体552として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、ハフニウムおよびシリコンを含む酸化物(ハフニウムシリケート)などを用いることができる。本実施の形態では、絶縁体552として、酸化アルミニウムを用いる。この場合、絶縁体552は、少なくとも酸素と、アルミニウムと、を有する絶縁体となる。
【0375】
図17Bに示すように、絶縁体552は、酸化物530bの上面および側面、酸化物530aの側面、絶縁体524の側面、および絶縁体522の上面に接して設けられる。つまり、酸化物530a、酸化物530b、および絶縁体524の導電体560と重なる領域は、チャネル幅方向の断面において、絶縁体552に覆われている。これにより、熱処理などを行った際に、酸化物530aおよび酸化物530bで酸素が脱離するのを、酸素に対するバリア性を有する絶縁体552でブロックすることができる。よって、酸化物530aおよび酸化物530bに酸素欠損(Vo)が形成されるのを低減することができる。これにより、領域530bcに形成される、酸素欠損(Vo)、およびV
OHを低減することができる。よって、トランジスタ500の電気特性を良好にし、信頼性を向上させることができる。
【0376】
また、逆に、絶縁体580および絶縁体550などに過剰な量の酸素が含まれていても、当該酸素が酸化物530aおよび酸化物530bに過剰に供給されるのを抑制することができる。よって、領域530bcを介して、領域530baおよび領域530bbが過剰に酸化され、トランジスタ500のオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を起こすのを抑制することができる。
【0377】
また、
図17Aに示すように、絶縁体552は、導電体542、絶縁体571、絶縁体544、および絶縁体580、それぞれの側面に接して設けられる。よって、導電体542の側面が酸化され、当該側面に酸化膜が形成されるのを低減することができる。これにより、トランジスタ500のオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を起こすのを抑制することができる。
【0378】
また、絶縁体552は、絶縁体554、絶縁体550、および導電体560と、ともに、絶縁体580などに形成された開口に設ける必要がある。トランジスタ500の微細化を図るにあたって、絶縁体552の膜厚は薄いことが好ましい。絶縁体552の膜厚は、0.1nm以上、0.5nm以上、又は1.0nm以上とすることが好ましく、かつ1.0nm以下、3.0nm以下、又は5.0nm以下とすることが好ましい。なお、上述した下限値、及び上限値はそれぞれ組み合わせることができるものとする。この場合、絶縁体552は、少なくとも一部において、上記のような膜厚の領域を有していればよい。また、絶縁体552の膜厚は絶縁体550の膜厚より薄いことが好ましい。この場合、絶縁体552は、少なくとも一部において、絶縁体550より膜厚が薄い領域を有していればよい。
【0379】
絶縁体552を上記のように膜厚を薄く成膜するには、ALD法を用いて成膜することが好ましい。ALD法は、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法などがある。PEALD法では、プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。
【0380】
ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるので、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、低温での成膜が可能、などの効果がある。よって、絶縁体552を絶縁体580などに形成された開口の側面などに被覆性良く、上記のような薄い膜厚で成膜することができる。
【0381】
なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などを含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)、またはX線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0382】
絶縁体550は、ゲート絶縁体の一部として機能する。絶縁体550は、絶縁体552の上面に接して配置することが好ましい。絶縁体550は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。この場合、絶縁体550は、少なくとも酸素とシリコンと、を有する絶縁体となる。
【0383】
絶縁体550は、絶縁体524と同様に、絶縁体550中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体550の膜厚は、下限値としては1nm以上、又は0.5nm以上とすることが好ましく、かつ上限値としては15nm以下、又は20nm以下とすることが好ましい。なお、上述した下限値、及び上限値はそれぞれ組み合わせることができるものとする。この場合、絶縁体550は、少なくとも一部において、上記のような膜厚の領域を有していればよい。
【0384】
図17A、及び
図17Bなどでは、絶縁体550を単層とする構成について示したが、本発明はこれに限られず、2層以上の積層構造としてもよい。例えば
図18Bに示すように、絶縁体550を、絶縁体550aと、絶縁体550a上の絶縁体550bの2層の積層構造にしてもよい。
【0385】
図18Bに示すように、絶縁体550を2層の積層構造とする場合、下層の絶縁体550aは、酸素を透過しやすい絶縁体を用いて形成し、上層の絶縁体550bは、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体550aに含まれる酸素が、導電体560へ拡散するのを抑制することができる。つまり、酸化物530へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体550aに含まれる酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。例えば、絶縁体550aは、上述した絶縁体550に用いることができる材料を用いて設け、絶縁体550bは、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、ハフニウムおよびシリコンを含む酸化物(ハフニウムシリケート)などを用いることができる。本実施の形態では、絶縁体550bとして、酸化ハフニウムを用いる。この場合、絶縁体550bは、少なくとも酸素と、ハフニウムと、を有する絶縁体となる。また、絶縁体550bの膜厚は、下限値としては0.5nm以上、又は1.0nm以上とすることが好ましく、かつ上限値としては3.0nm以下、又は5.0nm以下とすることが好ましい。なお、上述した下限値、及び上限値はそれぞれ組み合わせることができるものとする。この場合、絶縁体550bは、少なくとも一部において、上記のような膜厚の領域を有していればよい。
【0386】
なお、絶縁体550aに酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体550bは、比誘電率が高いhigh-k材料である絶縁性材料を用いてもよい。ゲート絶縁体を、絶縁体550aと絶縁体550bとの積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。よって、絶縁体550の絶縁耐圧を高くすることができる。
【0387】
絶縁体554は、ゲート絶縁体の一部として機能する。絶縁体554としては、水素に対するバリア絶縁膜を用いることが好ましい。これにより、導電体560に含まれる水素などの不純物が、絶縁体550、および酸化物530bに拡散するのを防ぐことができる。絶縁体554としては、上述した絶縁体576に用いることができる絶縁体を用いればよい。例えば、絶縁体554としてPEALD法で成膜した窒化シリコンを用いればよい。この場合、絶縁体554は、少なくとも窒素と、シリコンと、を有する絶縁体となる。
【0388】
また、絶縁体554が、さらに酸素に対するバリア性を有してもよい。これにより、絶縁体550に含まれる酸素が、導電体560へ拡散するのを抑制することができる。
【0389】
また、絶縁体554は、絶縁体552、絶縁体550、および導電体560と、ともに、絶縁体580などに形成された開口に設ける必要がある。トランジスタ500の微細化を図るにあたって、絶縁体554の膜厚は薄いことが好ましい。絶縁体554の膜厚は、下限値としては0.1nm以上、0.5nm以上、又は1.0nm以上とすることが好ましく、かつ上限値としては3.0nm以下、又は5.0nm以下とすることが好ましい。なお、上述した下限値、及び上限値はそれぞれ組み合わせることができるものとする。この場合、絶縁体554は、少なくとも一部において、上記のような膜厚の領域を有していればよい。また、絶縁体554の膜厚は絶縁体550の膜厚より薄いことが好ましい。この場合、絶縁体554は、少なくとも一部において、絶縁体550より膜厚が薄い領域を有していればよい。
【0390】
導電体560は、トランジスタ500の第1のゲート電極として機能する。導電体560は、導電体560aと、導電体560aの上に配置された導電体560bと、を有することが好ましい。例えば、導電体560aは、導電体560bの底面および側面を包むように配置されることが好ましい。また、
図17Aおよび
図17Bに示すように、導電体560の上部の高さの位置は、絶縁体550の上部の高さの位置と概略一致している。なお、
図17Aおよび
図17Bでは、導電体560は、導電体560aと導電体560bの2層構造として示しているが、導電体560は、当該2層構造以外としては、単層構造、又は3層以上の積層構造とすることができる。
【0391】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0392】
また、導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体550に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0393】
また、導電体560は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは、積層構造とすることができる。具体的には、例えば、導電体560bは、チタン、または窒化チタンと上記導電性材料との積層構造とすることができる。
【0394】
また、トランジスタ500では、導電体560は、絶縁体580などに形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体560をこのように形成することにより、導電体542aと導電体542bとの間の領域に、導電体560を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
【0395】
また、
図17Bに示すように、トランジスタ500のチャネル幅方向において、絶縁体522の底面を基準としたときの、導電体560の、導電体560と酸化物530bとが重ならない領域の底面の高さは、酸化物530bの底面の高さより低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電体560が、絶縁体550などを介して、酸化物530bのチャネル形成領域の側面および上面を覆う構成とすることで、導電体560の電界を酸化物530bのチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ500のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。絶縁体522の底面を基準としたときの、酸化物530aおよび酸化物530bと、導電体560とが、重ならない領域における導電体560の底面の高さと、酸化物530bの底面の高さと、の差は、下限値としては0nm以上、3nm以上、又は5nm以上とすることが好ましく、かつ上限値としては20nm以下、50nm以下、又は100nm以下とすることが好ましい。なお、上述した下限値、及び上限値はそれぞれ組み合わせることができるものとする。
【0396】
絶縁体580は、絶縁体544上に設けられ、絶縁体550、および導電体560が設けられる領域に開口が形成されている。また、絶縁体580の上面は、平坦化されていてもよい。
【0397】
層間膜として機能する絶縁体580は、誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁体580は、例えば、絶縁体516と同様の材料を用いて設けることが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0398】
絶縁体580は、絶縁体580中の水、水素などの不純物濃度は低減されていることが好ましい。例えば、絶縁体580は、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどのシリコンを含む酸化物を適宜用いればよい。
【0399】
絶縁体574は、水、水素などの不純物が、上方から絶縁体580に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましく、水素などの不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。また、絶縁体574は、酸素の透過を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体574としては、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムなどの絶縁体を用いればよい。この場合、絶縁体574は、少なくとも酸素と、アルミニウムと、を有する絶縁体となる。絶縁体512と絶縁体581に挟まれた領域内で、絶縁体580に接して、水素などの不純物を捕獲する機能を有する、絶縁体574を設けることで、絶縁体580などに含まれる水素などの不純物を捕獲し、当該領域内における、水素の量を一定値にすることができる。特に、絶縁体574として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲または固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ500、および半導体装置を作製することができる。
【0400】
絶縁体576は、水、水素などの不純物が、上方から絶縁体580に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能する。絶縁体576は、絶縁体574の上に配置される。絶縁体576としては、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどの、シリコンを含む窒化物を用いることが好ましい。例えば、絶縁体576としてスパッタリング法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。絶縁体576をスパッタリング法で成膜することで、密度が高い窒化シリコン膜を形成することができる。また、絶縁体576として、スパッタリング法で成膜された窒化シリコンの上に、さらに、PEALD法または、CVD法で成膜された窒化シリコンを積層してもよい。
【0401】
また、トランジスタ500の第1端子、又は第2端子の一方は、プラグとして機能する導電体540aに電気的に接続され、トランジスタ500の第1端子、又は第2端子の他方は、導電体540bに電気的に接続されている。なお、導電体540a、導電体540bなどは、上方の表示部DSP、又は下方の回路部SICに電気的に接続するための配線として機能する場合がある。なお、本明細書等では、導電体540a、及び導電体540bをまとめて導電体540と呼ぶこととする。
【0402】
導電体540aは、一例として、導電体542aと重畳する領域に設けられている。具体的には、導電体542aと重畳する領域において、
図17Aに示す絶縁体571、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体576、及び絶縁体581には開口部が形成されており、導電体540aは、当該開口部の内側に設けられている。また、導電体540bは、一例として、導電体542bと重畳する領域に設けられている。具体的には、導電体542bと重畳する領域において、
図17Aに示す絶縁体571、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体576、及び絶縁体581には開口部が形成されており、導電体540bは、当該開口部の内側に設けられている。
【0403】
さらに、
図17Aに示すとおり、導電体542aと重畳する領域の開口部の側面と導電体540aとの間には、不純物に対してバリア性を有する絶縁体として、絶縁体541aを設けてもよい。同様に、導電体542bと重畳する領域の開口部の側面と導電体540bとの間には、不純物に対してバリア性を有する絶縁体として、絶縁体541bを設けてもよい。なお、本明細書等では、絶縁体541a、及び絶縁体541bをまとめて絶縁体541と呼ぶこととする。
【0404】
導電体540aおよび導電体540bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体540aおよび導電体540bは積層構造としてもよい。
【0405】
また、導電体540を積層構造とする場合、絶縁体574、絶縁体576、絶縁体581、絶縁体580、絶縁体544、および絶縁体571の近傍に配置される第1の導電体には、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水、水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。また、絶縁体576より上層に含まれる水、水素などの不純物が、導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に混入することを抑制することができる。
【0406】
絶縁体541aおよび絶縁体541bとしては、絶縁体544などに用いることができるバリア絶縁膜を用いればよい。例えば、絶縁体541aおよび絶縁体541bとして、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化シリコンなどの絶縁体を用いればよい。絶縁体541aおよび絶縁体541bは、絶縁体574、絶縁体576、および絶縁体571に接して設けられるので、絶縁体580などに含まれる水、水素などの不純物が、導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体580に含まれる酸素が導電体540aおよび導電体540bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0407】
絶縁体541aおよび絶縁体541bを、
図17Aに示すように積層構造にする場合、絶縁体580などの開口の内壁に接する第1の絶縁体と、その内側の第2の絶縁体は、酸素に対するバリア絶縁膜と、水素に対するバリア絶縁膜を組み合わせて用いることが好ましい。
【0408】
例えば、第1の絶縁体として、ALD法で成膜された酸化アルミニウムを用い、第2の絶縁体として、PEALD法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。このような構成にすることで、導電体540の酸化を抑制し、さらに、導電体540に水素が混入するのを低減することができる。
【0409】
なお、トランジスタ500では、絶縁体541の第1の絶縁体および絶縁体541の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体541を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ500では、導電体540の第1の導電体および導電体540の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体540を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0410】
なお、本発明の一態様の半導体装置に含まれるトランジスタの構造は、
図16、
図17A、及び
図17Bに示したトランジスタ500に限定されない。本発明の一態様の半導体装置に含まれるトランジスタの構造は、状況に応じて、変更してもよい。
【0411】
また、本実施の形態において、表示部DSPに含まれるトランジスタ180は、ボトムゲート構造のトランジスタとしたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図14Aに示す表示装置(表示システム)は、
図19に示す表示装置(表示システム)のとおり、表示部DSPに含まれるトランジスタ180を層OSCに適用できるOSトランジスタと同様の構成としてもよい。また、
図19に示す表示装置(表示システム)は、
図16に示す表示装置(表示システム)と同様に、
図20に示す表示装置(表示システム)のとおり、層OSCを設けてもよい。つまり、本発明の一態様の表示システムは、複数積層されたOSトランジスタを有する構成とすることができる。
【0412】
上記のとおり、回路部SICと、回路部SICの上方に表示部DSPを設けることによって、画像を処理する機能、画像を補正する機能、フレームレートを可変する機能、人工知能を利用した機能などを有する表示装置、又は表示システム(本明細書では、当該表示装置、又は当該表示システムを超高精細OLEDシステムディスプレイと呼ぶ)を構成することができる。また、回路部SICと、回路部SICと、の間に層OSCを設けることによって、回路部SICに含まれる半導体基板上に形成されるトランジスタとは別のトランジスタを設けることができるため、回路部SICに含まれる周辺回路DRV、及び機能回路MFNCにおいて設計の幅を広げることができる。また、層OSCに回路を設けることで、超高精細OLEDシステムディスプレイの回路面積の増加を防ぐことができる。
【0413】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0414】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)について説明する。
【0415】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0416】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図21Aを用いて説明を行う。
図21Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0417】
図21Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)が含まれる(excluding single crystal and poly crystal)。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0418】
なお、
図21Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」、及び「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0419】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを
図21Bに示す(縦軸は強度(Intensity)を任意単位(a.u.)で表している)。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図21Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す場合がある。なお、
図21Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図21Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0420】
図21Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、
図21Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0421】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、
図21Cに示す。
図21Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、
図21Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0422】
図21Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0423】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図21Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0424】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0425】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0426】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0427】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0428】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0429】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0430】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化すること、などによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0431】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0432】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、及び欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物、欠陥(酸素欠損など)などの少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0433】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OS、及び非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0434】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0435】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0436】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0437】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0438】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0439】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0440】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0441】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0442】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0443】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0444】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0445】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0446】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体を呼称する場合がある。
【0447】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0448】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0449】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0450】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0451】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン、炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコン、炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコン、炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0452】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0453】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0454】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0455】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0456】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0457】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器の一例として、表示装置、表示システムの少なくとも一が適用されたヘッドマウントディスプレイの例について説明する。
【0458】
図22A及び
図22Bには、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示している。
【0459】
ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301、表示部8302、操作ボタン8303、及びバンド状の固定具8304を有する。
【0460】
操作ボタン8303は、電源ボタンなどの機能を有する。また操作ボタン8303の他にボタンを有していてもよい。
【0461】
また、
図22Cに示すように、表示部8302と使用者の目の位置との間に、レンズ8305を有していてもよい。レンズ8305により、使用者は表示部8302を拡大してみることができるため、より臨場感が高まる。このとき、
図22Cに示すように、視度調節のためにレンズの位置を変化させるダイヤル8306を有していてもよい。
【0462】
表示部8302に、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することができる。本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一は、極めて精細度が高いため、
図22Cのようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
【0463】
図22A乃至
図22Cには、1枚の表示部8302を有する場合の例を示している。このような構成とすることで、部品点数を削減することができる。
【0464】
表示部8302は、左右2つの領域にそれぞれ右目用の画像と、左目用の画像の2つの画像を並べて表示することができる。これにより、両眼視差を用いた立体映像を表示することができる。
【0465】
また、表示部8302の全域に亘って、両方の目で視認可能な一つの画像を表示してもよい。これにより、視野の両端に亘ってパノラマ映像を表示することが可能となるため、現実感が高まる。
【0466】
ここで、ヘッドマウントディスプレイ8300は、ユーザの頭部の大きさ、または目の位置などに応じて、表示部8302の曲率を適切な値に変化させる機構を有することが好ましい。例えば、表示部8302の曲率を調整するためのダイヤル8307を操作することで、ユーザ自身が表示部8302の曲率を調整してもよい。または、筐体8301にユーザの頭部の大きさ、または目の位置などを検出するセンサ(例えばカメラ、接触式センサ、非接触式センサなど)を設け、センサの検出データに基づいて表示部8302の曲率を調整する機構を有していてもよい。
【0467】
また、レンズ8305を用いる場合には、表示部8302の曲率と同期して、レンズ8305の位置及び角度を調整する機構を備えることが好ましい。または、ダイヤル8306が、レンズの角度を調整する機能を有していてもよい。
【0468】
図22E及び
図22Fには、表示部8302の曲率を制御する駆動部8308を備える例を示している。駆動部8308は、表示部8302の少なくとも一部と固定されている。駆動部8308は、表示部8302と固定される部分が変形または移動することにより、表示部8302を変形させる機能を有する。
【0469】
図22Eには、頭部の大きさが比較的大きなユーザ8310が筐体8301を装着している場合の模式図である。このとき、表示部8302の形状が、曲率が比較的小さく(曲率半径が大きく)なるように、駆動部8308により調整されている。
【0470】
一方、
図22Fには、ユーザ8310と比較して頭部の大きさが小さいユーザ8311が、筐体8301を装着している場合を示している。また、ユーザ8311は、ユーザ8310と比較して、両目の間隔が狭い。このとき、表示部8302の形状は、表示部8302の曲率が大きく(曲率半径が小さく)なるように、駆動部8308により調整される。
図22Fには、
図22Eでの表示部8302の位置及び形状を破線で示している。
【0471】
このように、ヘッドマウントディスプレイ8300は、表示部8302の曲率を調整する機構を有することで、老若男女様々なユーザに、最適な表示を提供することができる。
【0472】
また、表示部8302に表示するコンテンツに応じて、表示部8302の曲率を変化させることで、ユーザに高い臨場感を与えることもできる。例えば、表示部8302の曲率を振動させることで揺れを表現することができる。このように、コンテンツ内の場面に合わせた様々な演出をすることができ、ユーザに新たな体験を提供することができる。さらにこのとき、筐体8301に設けた振動モジュールと連動させることにより、より臨場感の高い表示が可能となる。
【0473】
なお、ヘッドマウントディスプレイ8300は、
図22Dに示すように2つの表示部8302を有していてもよい。
【0474】
2つの表示部8302を有することで、使用者は片方の目につき1つの表示部を見ることができる。これにより、視差を用いた3次元表示等を行う際であっても、高い解像度の映像を表示することができる。また、表示部8302は使用者の目を概略中心とした円弧状に湾曲している。これにより、使用者の目から表示部の表示面までの距離が一定となるため、使用者はより自然な映像を見ることができる。また、表示部からの光の輝度及び色度が見る角度によって変化してしまうような場合であっても、表示部の表示面の法線方向に使用者の目が位置するため、実質的にその影響を無視することができるため、より現実感のある映像を表示することができる。
【0475】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0476】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
【0477】
図23Aに示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005が接続された表示装置6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリ6011を有する。
【0478】
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置、表示システムの少なくとも一を、表示装置6006に用いることができる。表示装置6006により、極めて消費電力の低い表示モジュールを実現することができる。
【0479】
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示装置6006のサイズに合わせて、形状及び寸法を適宜変更することができる。
【0480】
表示装置6006はタッチパネルとしての機能を有していてもよい。
【0481】
フレーム6009は、表示装置6006の保護機能、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断する機能、放熱板としての機能等を有していてもよい。
【0482】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路、バッテリ制御回路等を有する。
【0483】
図23Bは、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
【0484】
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
【0485】
表示装置6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010及びバッテリ6011と重ねて設けられている。表示装置6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
【0486】
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示装置6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指またはスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
【0487】
発光部6015は、例えば表示装置6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
【0488】
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができ、特に、赤外線を発する光源を用いることが好ましい。受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
【0489】
光6018を透過する導光部6017a、導光部6017bにより、発光部6015と受光部6016とを表示装置6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いると、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
【0490】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0491】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用可能な、電子機器の例について説明する。
【0492】
図24Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることができる携帯情報端末機である。
【0493】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0494】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することができる。
【0495】
図24Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0496】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0497】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が図示しない接着層により固定されている。
【0498】
また、表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されている。また、当該折り返された部分に、FPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。またFPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0499】
表示パネル6511には、例えば、フレキシブルディスプレイパネルを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0500】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0501】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製された表示装置、表示システムの少なくとも一を備える電子機器について説明する。
【0502】
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
【0503】
本発明の一態様は、表示装置と、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、タッチセンサ、及び操作ボタンのうち、少なくとも一つと、を有する。
【0504】
本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0505】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
【0506】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像、情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0507】
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0508】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、ノート型のパーソナルコンピュータ、モニタ装置、デジタルサイネージ、パチンコ機、ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0509】
本発明の一態様が適用された電子機器は、家屋、またはビルなどの建物の内壁または外壁、自動車等の内装または外装等が有する平面または曲面に沿って組み込むことができる。
【0510】
図25Aは、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
【0511】
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
【0512】
なおカメラ8000は、レンズ8006と筐体とが一体となっていてもよい。
【0513】
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押す、またはタッチパネルとして機能する表示部8002をタッチすることにより撮像することができる。
【0514】
筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0515】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103を有する。
【0516】
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントにより、カメラ8000に取り付けられている。ファインダー8100はカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
【0517】
ボタン8103は、電源ボタン等としての機能を有する。
【0518】
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することができる。なお、ファインダーが内蔵されたカメラ8000であってもよい。
【0519】
図25Bは、ウェアラブル端末の一例である情報端末5900の外観を示す図である。情報端末5900は、筐体5901、表示部5902、操作ボタン5903、リューズ5904、バンド5905などを有する。
【0520】
ウェアラブル端末は、上記実施の形態で説明した表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することで、表示部5902において、表示品位の高い画像を表示することができる。
【0521】
図25Cは、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5200の外観を示す図である。携帯ゲーム機5200は、筐体5201、表示部5202、ボタン5203等を有する。
【0522】
また、携帯ゲーム機5200の映像は、テレビジョン装置、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ゲーム用ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置によって、出力することができる。
【0523】
携帯ゲーム機5200に上記実施の形態で説明した表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することによって、表示部5202において、表示品位の高い画像を表示することができる。また、低消費電力の携帯ゲーム機5200を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
【0524】
図26Aは、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
【0525】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
【0526】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203はカメラを備え、使用者の眼球またはまぶたの動きの情報を入力手段として用いることができる。
【0527】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に、使用者の眼球の動きに伴って流れる電流を検知可能な複数の電極が設けられ、視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流により、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能、使用者の頭部の動きに合わせて表示部8204に表示する映像を変化させる機能などを有していてもよい。
【0528】
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することができる。
【0529】
図26B、
図26C、及び
図26Dは、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0530】
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると、使用者が高い臨場感を感じることができるため好ましい。また、表示部8302の異なる領域に表示された別の画像を、レンズ8305を通して視認することで、視差を用いた3次元表示等を行うこともできる。なお、表示部8302を1つ設ける構成に限られず、表示部8302を2つ設け、使用者の片方の目につき1つの表示部を配置してもよい。
【0531】
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置、表示システムの少なくとも一を適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、
図26Dのようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
【0532】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0533】
DSP:表示部、OSC:層、SIC:回路部、CHP:回路部、DRV:周辺回路、MFNC:機能回路、MFNCa:機能回路、MFNCb:機能回路、DRVa:回路、DRVb:回路、MDV:記憶装置、PX:画素、MC:メモリセル、GL:配線、SL:配線、SNCL:配線、ML:配線、BSL:バス配線、MC1:メモリセル、MC2:メモリセル、MC2A:メモリセル、MC3:メモリセル、MC4:メモリセル、MC5:メモリセル、MC6:メモリセル、M1:トランジスタ、M2:トランジスタ、M3:トランジスタ、M10:トランジスタ、M11:トランジスタ、CA:容量、CB:容量、ME:MTJ素子、FL:層、TIS:層、RL:層、RM:抵抗変化素子、PCM1:相変化メモリ、TE:電極、CHL:相変化層、BE:電極、FEA:強誘電キャパシタ、WOL:配線、BIL:配線、CVL:配線、BGL:配線、CAL:配線、RBL:配線、WBL:配線、SOL:配線、WL:配線、BL:配線、FCA:配線、HMD:電子機器、EXDV:装置、EXDV1:装置、EXDV2:装置、EXDV3:装置、RFS:RF信号、CLD:クラウドコンピューティング、HP:ヘッドホン部、FG:指、HND:手、DPC:表示画像、OPA:操作領域、ICN:アイコン、11:ソースドライバ回路、12:デジタルアナログ変換回路、13:ゲートドライバ回路、14:レベルシフタ、21:記憶装置、22:GPU、22a:回路、22b:回路、23:EL補正回路、24:タイミングコントローラ、25:CPU、26:センサコントローラ、27:電源回路、31:メモリ制御回路、41:高周波回路、41a:高周波回路、41b:高周波回路、100:表示装置、100A:表示装置、101:基板、116:絶縁体、117:絶縁体、118:絶縁体、126:導電体、127:導電体、128:導電体、170:トランジスタ、171:素子分離層、172a:低抵抗領域、172b:低抵抗領域、173:半導体領域、174:絶縁体、175:導電体、180:トランジスタ、200:表示システム、200A:表示システム、200B:表示システム、200C:表示システム、200D:表示システム、211:導電体、212:導電体、221:絶縁体、222:絶縁体、223:絶縁体、224:絶縁体、231:半導体、251:絶縁体、260R:発光デバイス、260G:発光デバイス、260B:発光デバイス、260W:発光デバイス、261:画素電極、262R:EL層、262G:EL層、262B:EL層、262W:EL層、262a:EL層、262b:EL層、263:共通電極、264R:着色層、264G:着色層、264B:着色層、271:保護層、272:絶縁体、500:トランジスタ、503:導電体、503a:導電体、503b:導電体、512:絶縁体、514:絶縁体、516:絶縁体、522:絶縁体、524:絶縁体、530:酸化物、530a:酸化物、530b:酸化物、530ba:領域、530bb:領域、530bc:領域、540:導電体、540a:導電体、540b:導電体、541:絶縁体、541a:絶縁体、541b:絶縁体、542:導電体、542a:導電体、542b:導電体、544:絶縁体、550:絶縁体、550a:絶縁体、550b:絶縁体、552:絶縁体、554:絶縁体、560:導電体、560a:導電体、560b:導電体、571:絶縁体、571a:絶縁体、571b:絶縁体、574:絶縁体、576:絶縁体、580:絶縁体、581:絶縁体、4411:発光層、4412:発光層、4413:発光層、4420:層、4430:層、5200:携帯ゲーム機、5201:筐体、5202:表示部、5203:ボタン、5900:情報端末、5901:筐体、5902:表示部、5903:操作ボタン、5904:リューズ、5905:バンド、6000:表示モジュール、6001:上部カバー、6002:下部カバー、6005:FPC、6006:表示装置、6009:フレーム、6010:プリント基板、6011:バッテリ、6015:発光部、6017a:導光部、6017b:導光部、6018:光、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、8000:カメラ、8001:筐体、8002:表示部、8003:操作ボタン、8004:シャッターボタン、8006:レンズ、8100:ファインダー、8101:筐体、8102:表示部、8103:ボタン、8200:ヘッドマウントディスプレイ、8201:装着部、8202:レンズ、8203:本体、8204:表示部、8205:ケーブル、8206:バッテリ、8300:ヘッドマウントディスプレイ、8301:筐体、8302:表示部、8303:操作ボタン、8304:固定具、8305:レンズ、8306:ダイヤル、8307:ダイヤル、8308:駆動部、8310:ユーザ、8311:ユーザ