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特許7693713ヘッドスペース・バイアルの存在を感知する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】ヘッドスペース・バイアルの存在を感知する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/04 20060101AFI20250610BHJP
   G01N 30/20 20060101ALI20250610BHJP
   G01N 30/24 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
G01N30/04 A
G01N30/20 A
G01N30/24 E
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022566692
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021026556
(87)【国際公開番号】W WO2021225746
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】63/021,822
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】フレンツェル,ジョナサン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プライス,トーマス・イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブッシー,ジャレド・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドライデン,ポール・シー.
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/080333(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0103068(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03561477(EP,A1)
【文献】特開平11-094811(JP,A)
【文献】特開2015-179016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 1/00- 1/44
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルバイアルに流体的に接続可能なサンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して、流体的に接続されたサンプルバイアルを前記サンプルプローブから取り外すステップと、
(b)前記圧力センサから1組の信号を受信するステップと、
(c)前記1組の信号から、排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(d)前記検出ステップで排出処理が失敗したことを検出したことに応答して、修復処理または知を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブから前記サンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項3】
前記修復処理は、排出処理が失敗したことを前記プロセッサが検出した場合に、クロマトグラフィー機能を終了することをさらに含む、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項4】
前記1組の信号のうちの圧力値の読み取りが、ステップ()の間に、排出処理が成功しているときに、所定の閾値未満または所定の閾値の範囲内であるか、または、大気圧に到達しているかのいずれかを測定することであり、前記所定の閾値は、バイアルの容量、溶媒組成、ヘッドスペース組成、加圧ガス組成、流路制限、テストバイアルの流量または圧力の測定値、またはこれらの組み合わせから前記プロセッサによって決定される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、
前記サンプルプローブからの前記サンプルバイアルの取り外しが失敗したか、前記サンプルバイアルのセプタム内で前記サンプルプローブが動かなくなっているか、または前記サンプルプローブが詰まっているかを前記1組の信号から判定する、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記ステップ(d)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、前記サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、
前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項7】
さらに、前記サンプルバイアルと熱伝導するヒータを含み、前記ヒータは、前記サンプルバイアルが加熱された状態を発生するように構成され、前記プロセッサは、さらに、
前記圧力センサから第1の組の信号を受信し、
前記第1の組の信号から、前記加熱された状態にある前記サンプルバイアルの初期圧力を判定し、
前記サンプルバイアルの内容物の抽出処理を実行し、
前記抽出処理の後に前記圧力センサから第2の組の信号を受信し、
前記サンプルバイアルの第2の圧力を判定し、
前記サンプルバイアルと流体連通する流体源または排出口を制御して前記サンプルバイアルの前記第2の圧力を前記初期圧力に戻す、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項8】
サンプルバイアルに流体的に接続可能なサンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して、流体的に接続されたサンプルバイアルを前記サンプルプローブから取り外すステップと、
(b)ステップ(a)の間に前記流体源を介して流体を前記サンプルプローブに流すステップと、
(c)ステップ(b)の間に前記圧力センサから1組の信号を受信するステップと、
(d)前記1組の信号から前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(e)前記検出ステップで排出処理が失敗したことを検出したことに応答して、修復処理または知を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項9】
さらに、前記サンプルプローブと流体連通する流量センサを含み、前記流量センサから前記1組の信号の一部が受信される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブから前記サンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の変化率を判定し、
変化率が所定の閾値未満であると判定し、
前記排出処理が成功したと判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内での変化率を判定し、
前記変化率が所定の閾値を超えるかまたは所定の閾値の範囲内であるかを判定し、
前記1組の信号から、前記サンプルプローブから前記サンプルバイアルの取り外しが失敗していることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の変化率を判定し、
前記変化率が所定の閾値を超えていることを判定し、
前記1組の信号から、前記サンプルプローブが前記サンプルバイアルのセプタム内で引っかかっている、または、前記サンプルプローブが詰まっていることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、前記サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことに応答して発生する、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項15】
前記サンプルバイアルと熱伝導するヒータを含み、前記ヒータは、前記サンプルバイアルが加熱された状態を発生するように構成され、前記プロセッサは、さらに、
前記圧力センサから第1の組の信号を受信し、
前記第1の組の信号から、前記加熱された状態にある前記サンプルバイアルの初期圧力を判定し、
前記サンプルバイアルの内容物の抽出処理を実行し、
前記抽出処理の後に前記圧力センサから第2の組の信号を受信し、
前記サンプルバイアルの第2の圧力を判定し、
前記サンプルバイアルと流体連通する流体源または排出口を制御して前記サンプルバイアルの前記第2の圧力を前記初期圧力に戻す、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項16】
サンプルバイアルに流体的に接続可能なサンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する流量センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して、流体的に接続されたサンプルバイアルを前記サンプルプローブから取り外すステップと、
(b)前記流量センサから1組の信号を受信するステップと、
(c)前記1組の信号から、前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(d)前記検出ステップで排出処理が失敗したことを検出したことに応答して、修復処理または知を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブから前記サンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項18】
請求項16記載のガスクロマトグラフィー・システムにおいて、前記システムは、ステップ(a)およびステップ(b)の間に前記サンプルプローブ内で一定の圧力レベルを維持することを試行する、前記ガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項19】
前記修復処理は、排出処理が失敗したことをプロセッサが検出する場合にクロマトグラフィー機能を終了することをさらに含む、請求項16に記載のクロマトグラフィー・システム。
【請求項20】
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、前記1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、
前記サンプルプローブからの前記サンプルバイアルの取り外しが失敗したか、前記サンプルバイアルのセプタム内で前記サンプルプローブが動かなくなっているか、または、前記サンプルプローブが詰まっているか、を前記1組の信号から判定する、
ように構成される、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項21】
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、前記サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項22】
サンプルバイアルに流体的に接続可能なサンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する流量センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して、流体的に接続されたサンプルバイアルを前記サンプルプローブから取り外すステップと、
(b)前記流体源を介して流体を前記サンプルプローブに流すステップと、
(c)前記ステップ(b)の間に前記流量センサから1組の信号を受信するステップと、
(d)前記1組の信号から前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(e)前記検出ステップで排出処理が失敗したことを検出したことに応答して、修復処理または知を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項23】
さらに、前記サンプルプローブと流体連通する圧力センサを含み、前記1組の信号のうちの一部が前記圧力センサから受信される、請求項22に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【請求項24】
前記プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、前記サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項22に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年5月8日に出願された米国特許出願第63/021,822号の利益を主張するものである。この米国特許出願の開示内容全体を引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー(headspace gas chromatography)では、通常、まずサンプルバイアル(sample vial)の内容物を加熱し、次に加圧し、それに続いて、揮発性の内容物をサンプリングする。サンプリングが完了した後、サンプルプローブからバイアル(vial)が排出または取り外される。しかしながら、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが成功しない場合があり、それによって、ガスクロマトグラフィー・システムやサンプルバイアルなどが損傷する可能性がある。
【0003】
さらに、サンプリング終了後、バイアルが元の室温にまで冷却される。バイアルの内容物には、依然として圧力がかかっていることもあるし、部分的には真空となっている可能性もある。バイアルの内容物によっては、バイアルが破損して危険なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願明細書において、ヘッドスペース・バイアルの存在を感知する方法およびシステムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブと、サンプルプローブに流体連通する流体源と、サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、プロセッサとを含むことができる。プロセッサは、
(a)排出処理を実行してサンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、
(b)圧力センサから1組の信号を受信するステップと、
(c)1組の信号から排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(d)検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップと
を行うように構成される。
【0006】
この態様は、様々な実施形態を含むことができる。一実施形態においては、プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、1組の信号内の値の変化を判定し、値の変化から、サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されていることを判定するように構成される。
【0007】
別の実施形態においては、修復は、排出処理が失敗したことをプロセッサが検出した場合に、クロマトグラフィー機能を終了することをさらに含むことができる。
【0008】
別の実施形態においては、1組の信号のうちの圧力値の読み取りを、ステップ(a)の間に、排出処理が成功しているときに、所定の閾値未満または所定の閾値の範囲内であるか、または、大気圧に到達しているか、のいずれかを測定することとすることができ、所定の閾値は、バイアルの容量、溶媒組成、ヘッドスペース組成、加圧ガス組成、流路制限、テストバイアルの流量または圧力の測定値、またはこれらの組み合わせから、プロセッサによって決定される。
【0009】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが失敗したか、サンプルバイアルのセプタム内でサンプルプローブが動かなくなっているか、またはサンプルプローブが詰まっているかを、1組の信号から判定する、ように構成される。
【0010】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢(activate)するか、または、バイアルラックを制御して付勢するように構成され、付勢は、排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する。
【0011】
別の態様においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブと、サンプルプローブに流体連通する流体源と、サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、プロセッサとを含むことができ、プロセッサは、(a)排出処理を実行してサンプルプローブからサンプル・サンプルバイアルを取り外すステップと、(b)ステップ(a)の間に前記流体源を介して流体をサンプルプローブに流すステップと、(c)ステップ(b)の間に圧力センサから1組の信号を受信するステップと、(d)1組の信号から、排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、(e)検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップとを行うように構成される。
【0012】
この態様は、様々な実施形態を含むことができる。一実施形態においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、さらに、サンプルプローブと流体連通する流量センサを含むことができ、流量センサから1組の信号の一部が受信される。
【0013】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、1組の信号内の値の変化を判定し、値の変化から、サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されていることを判定するように構成される。
【0014】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、1組の信号内の変化率を判定し、変化率が所定の閾値未満であると判定し、排出処理が成功したと判定するように構成される。
【0015】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、1組の信号内での変化率を判定し、変化率が所定の閾値を超えるかまたは所定の閾値の範囲内であるかを判定し、1組の信号から、サンプルプローブからサンプルバイアルの取り外しが失敗していることを判定するように構成される。
【0016】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、1組の信号内の変化率を判定し、変化率が所定の閾値を超えていることを判定し、1組の信号から、サンプルプローブがサンプルバイアルのセプタム内で引っかかっている、または、サンプルプローブが詰まっていることを判定する、ように構成される。場合によっては、プロセッサは、さらに、所定の閾値を、流体源の組成、サンプルバイアルのサンプルの組成、サンプルバイアルの容量、テストバイアルの流量または圧力の測定値、またはこれらの組み合わせから、決定することができる。
【0017】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢するか、または、バイアルラックを制御して付勢するように構成され、付勢は、排出処理が失敗したことに応答して発生する。
【0018】
別の実施形態においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、さらに、サンプルバイアルと熱伝導するヒータを含むことができ、ヒータは、サンプルバイアルが加熱された状態を発生するように構成され、プロセッサは、さらに、圧力センサから第1の組の信号を受信し、第1の組の信号から、加熱された状態にあるサンプルバイアルの初期圧力を判定し、サンプルバイアルの内容物の抽出処理を実行し、抽出処理の後に圧力センサから第2の組の信号を受信し、サンプルバイアルの第2の圧力を判定し、サンプルバイアルと流体連通する流体源または排出口を制御してサンプルバイアルの第2の圧力を初期圧力に戻す、ように構成される。
【0019】
さらに別の態様においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブと、サンプルプローブに流体連通する流体源と、サンプルプローブに流体連通する流量センサと、プロセッサとを含むことができ、プロセッサは、(a)排出処理を実行してサンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、(b)流量センサから1組の信号を受信するステップと、(c)1組の信号から、排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、(d)検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップとを行うように構成される。
【0020】
この態様は、様々な実施形態を含むことができる。一実施形態においては、プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、1組の信号内の値の変化を判定し、値の変化から、サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されていることを判定する、ように構成される。
【0021】
別の実施形態においては、システムは、ステップ(a)およびステップ(b)の間にサンプルプローブ内で一定の圧力レベルを維持することを試行する。
【0022】
別の実施形態においては、修復は、排出処理が失敗したことをプロセッサが検出する場合にクロマトグラフィー機能を終了することをさらに含むことができる。
【0023】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが失敗したか、サンプルバイアルのセプタム内でサンプルプローブが動かなくなっているか、または、サンプルプローブが詰まっているか、を1組の信号から判定する、ように構成される。
【0024】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢するか、または、バイアルラックを制御して付勢するように構成され、付勢は、排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する。
【0025】
さらに別の態様においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブと、サンプルプローブに流体連通する流体源と、サンプルプローブに流体連通する流量センサと、プロセッサとを含むことができ、プロセッサは、(a)排出処理を実行してサンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、(b)流体源を介して流体をサンプルプローブに流すステップと、(c)ステップ(b)の間に流量センサから1組の信号を受信するステップと、(d)1組の信号から、排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、(e)検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップとを行うように構成される。
【0026】
この態様は、様々な実施形態を含むことができる。一実施形態においては、ガスクロマトグラフィー・システムは、さらに、サンプルプローブと流体連通する圧力センサを含むことができ、1組の信号のうちの一部が圧力センサから受信される。
【0027】
別の実施形態においては、プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢するか、または、バイアルラックを制御して付勢するように構成され、付勢は、排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態に係るガスクロマトグラフィー・システムを示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの流路を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラのためのバイアル加圧流路の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラのためのサンプルループ充填流路の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの注入流路の構成を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るサンプルバイアルのためのバイアルサンプリング機構を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るサンプルバイアルのためのバイアルサンプリング機構を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るガスクロマトグラフィー・システムの制御システムを示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るへッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
図10図10は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
図11図11は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
図12図12は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
図13図13は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
図14図14は、本発明の実施形態に係るヘッドスペースサンプラの圧力および流量の測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の性質および所望の目的をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照されたい。各図面では、同様の参照符号は、対応する部分を示している。
【0030】
[定義]
本発明は、以下の定義を参照することにより、最も明確に理解される。
【0031】
本願明細書において、単数形の表現は、文脈上明らかに異なる記述がない限り、複数形のものを含むものとする。
【0032】
特に明記する場合または文脈から明らかな場合を除き、本願明細書で使用する用語「約」は、当該技術分野における通常の許容範囲内、例えば平均値の2標準偏差以内であると理解される。「約」とは、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または、0.01%以内と理解することができる。文脈から明らかな場合を除き、本願明細書で記載される全ての数値には「約」という用語が付けられているものとする。
【0033】
本願明細書および特許請求の範囲で使用される用語「構成される」、「からなる」、「包含する」、「有する」などは、米国特許法上での用語「comprises」、「comprising」、「containing」、「having」などの解釈に従った意味を有することがあり、「含む(「includes」、「including」)」などを意味することがある。
【0034】
特に明記する場合または文脈から明らかな場合を除き、本願明細書で使用される「または(や)」という用語は、包含的な意味を有するものと理解される。
【0035】
本願明細書および特許請求の範囲で使用される「セット(組)」という用語は、その中に1つまたは複数のものを含むことがある。
【0036】
本願明細書で示される範囲は、その範囲内の全ての値を示したものと理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50(文脈上から明確に規定される場合を除き、その端数も含む)からなる群のうちの任意の数、数の組み合わせ、または、小範囲を含むものと理解される。
【0037】
[ガスクロマトグラフィー・システム]
本願明細書に記載の方法は、ガスクロマトグラフィー・システムによって実施することができ、本願明細書に記載のシステムは、ガスクロマトグラフィー・システムの一部とすることができる。図1は、例示的なガスクロマトグラフィー・システムを示す。ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルの成分を注入、気化、分離、および検出することができる。このシステムを通る流体の流れは、矢印175のような一本線の矢印で描かれている。しかしながら、当業者であれば、本願明細書に記載の発明が、図1に描かれたガスクロマトグラフィー・システムの特定の実施形態、さらに、図2図8に記載された特定の構成要素の実施形態に限定されず、本願明細書に記載の発明が、様々なガスクロマトグラフィー・システムおよび様々なシステム設計によって実施できることを理解するであろう。例えば、ガスクロマトグラフィー・システムは、1つ以上のサンプラー、注入口、カラム、検出器、弁、ガス制御装置、およびヒータなどを含むことができる。
【0038】
[サンプル源]
ヘッドスペースサンプル源105は、部分的に気化し、揮発性の低い周囲環境との平衡を確立する揮発性成分で構成される任意のサンプルを含むことができる。ヘッドスペースサンプルの分析に関わる典型的な温度に基づいて、サンプル源105としてかなりの数の化学分析物を利用することができる。場合によっては、サンプル源105は、ソースを抽出(extraction)する前に、バイアルや容器内などに保存することができる。バイアルや容器は、キャップを用いて容器にセプタム(septum)を押し付けて密封する(実質的に気密にする)こともできるし、他の方法を用いて実質的に気密に密封することもできる。ヘッドスペースサンプラ120は、サンプル源105を受け取り、サンプル源105内に含まれるサンプルの揮発性部分とサンプル源105内の揮発性のより低い成分との間の平衡を確立する。平衡状態にあるサンプル源105のシールを、シリンジ、ニードル、または他のサンプルプローブによって穿孔し、サンプル源105内のヘッドスペースの揮発性部分のアリコート(aliquot)をガスクロマトグラフ180に移送するための管路を作ることができる。ガスクロマトグラフ180で、アリコートは、同定および/または定量化(つまり、固定または定量化あるいはそれらの両方)のために各構成成分に分離される。
【0039】
ヘッドスペースサンプラ120は、場合によっては、保存されているサンプルを取り出し、容器から抽出されるサンプルを位置決めする装置を含むことができる。例として、図6は、サンプルバイアル610をサンプルプローブ615に隣接して位置決めするためのラック605を含むサンプルのバイアルサンプリング機構を描いている。この例では、ラック605は、プローブ615の長さ方向に対して回転方向および直交方向に動作する(activate:付勢される)円形のカルーセルである。しかしながら、当業者であれば、リニアラックや他のバイアルを取り扱うロボットシステムなど、サンプルの抽出のためにサンプルバイアルの取り出しおよび/または位置決め(つまり、取り出しまたは位置決めあるいはそれらの両方)を行う他の形態のものを本システムの範囲内で実施できることを理解するであろう。さらに、ラック605には、1組のカートリッジを含めることができ、各カートリッジは、サンプルバイアルを保持可能である。
【0040】
ヘッドスペースサンプラ120には、抽出前および/または抽出中(つまり、抽出前または抽出中あるいはそれらの両方)のサンプルの温度を制御するための加熱要素(例えば、抵抗性(オーミックまたはジュール)ヒータ)を含めることもできる。例えば、ラック605全体を、加熱された領域内に収容することができる。ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー分析においては、サンプルプローブは、サンプルが収容されたバイアルのヘッドスペースを通してサンプルを抽出することができる。場合によっては、サンプルバイアル内の液体または固体のサンプルの温度を上昇させることで、サンプリングするヘッドスペースを生成することができる。加熱素子は、これをサンプル源105の温度を上昇させることによって行うことができる。他の場合には、サンプルは室温で気体相で存在することができるので、サンプルバイアルの加熱が不要なことがある。通常の温度は、周囲温度から300℃まである。
【0041】
分析のためにサンプルバイアルからサンプルを抽出するべく、そして抽出処理の一部として、カルーセル605をサンプルバイアル610がサンプルプローブ615と並ぶように位置決めされるまで回転させることができる。次に、アクチュエータ620は、サンプルプローブ615に向かって動作することができる。場合によっては、アクチュエータ620は、所定の長さを有するリフターロッド(lifter rod)を含むことができ、リフターロッドの長さ方向は、サンプルプローブ615の長さ方向に平行である。しかしながら、当業者であれば、サンプルプローブに向かって、さらに/または、サンプルプローブから離間する方向に(つまり、サンプルプローブに向かってまたはサンプルプローブから離間する方向にあるいはそれらの両方で)動作する、他のタイプのアクチュエータを用いることができることを理解するであろう。アクチュエータ620がサンプルプローブ615に向かって動作すると、アクチュエータ620は、サンプルバイアル610を保持するカートリッジの底部のキャビティを通過し、サンプルバイアル610をサンプルプローブ615に強制的に向かわせることができる。サンプルプローブ615をサンプルバイアル610の上部で貫通させ(例えば、バイアル610のセプタムを通過させ)、サンプルプローブ615をサンプルバイアル610に収容された内容物にアクセスさせることができる。なお、これはサンプルプローブをサンプルバイアルに収容された内容物にアクセスさせる機構の一実施形態に過ぎない。モータ、運動変換装置(motion converting device)などの様々な組み合わせを含む追加的な機構でこの作業を行うことができる。さらに、サンプルバイアルを動かし、サンプルプローブを静止させたままではなく、サンプルプローブとサンプルバイアル間の相対的な運動を、サンプルバイアルを動かすと共にサンプルプローブを動かすか、サンプルバイアルを静止させたまま、サンプルプローブを動かすことにより発生させてもよい。
【0042】
ヘッドスペースサンプラ120は、ガス源110およびガスクロマトグラフ180に接続された一連の流路を含むことができる。流路は、サンプル源から或る量のサンプルを抽出し、抽出されたサンプルを分析のためにガスクロマトグラフに移送するための流体連通路を提供する。さらに、比例弁、切替弁、および/または6ポート弁(つまり、比例弁、切替弁、または6ポート弁あるいはそれらの全て)により、任意の時点でどの流路を接続するかを制御することができる。例示的なヘッドスペースサンプラ流路が図2に描かれている。
【0043】
図2に例示されるヘッドスペースサンプラ流路の実施形態は、様々な入口/出口経路を含むことができる。例えば、ヘッドスペースサンプラは、排出口205に接続された流路、バイアル加圧ガス源210に接続された流路、キャリアガス源215に接続された流路、移送ライン220に接続された流路、およびサンプルプローブ225に接続された流路を含むことができる。バイアル加圧ガス源210およびキャリアガス源215は、図1のガス源110の一部であってもよい。これらの流路の1つ以上がサンプルループ230のようなサンプルループを含んでいてもよい。あるいは、サンプルループの代わりに、またはサンプルループに加えて、サンプルトラップを設けてもよい。
【0044】
ヘッドスペースサンプラの流路には、各種センサや弁を組み込むことができる。組み込まれたセンサと弁は、ヘッドスペースサンプラ内の流れの制御と管理を補助することができる。例えば、センサおよび弁(図示せず)は、キャリアガス源215へのキャリアガスの流れを制御することができる。 バイアル加圧ガス源210に接続された流路に、流量センサ240、圧力センサ245、および比例弁(PV1)250を連結することができる。熱式質量流量センサを含む様々なタイプの流量センサ240を使用することができる。
【0045】
さらに、切替弁255は、バイアル加圧源210に接続された流路を6ポート弁265に連結することができる。比例弁(PV2)260は、排出口205に接続された流路を6ポート弁265および/またはバイアル加圧ガス源210(つまり、6ポート弁265またはバイアル加圧ガス源210あるいはそれらの両方)に連結することができる。これらの弁と上述した弁、さらに、6ポート弁により、ヘッドスペースサンプラへの各種ガスの導入および抽出を制御することができる。
【0046】
流路の1つ以上の構成要素、例えば、サンプルプローブ225、6ポート弁265、サンプルループ230、および/または移送ライン220(つまり、サンプルプローブ225、6ポート弁265またはサンプルプローブ230あるいはそれらの全て)を加熱してもよい。通常の温度範囲は、周囲温度から300℃までである。
【0047】
ヘッドスペースサンプラは、場合によっては、サンプルを抽出する前にサンプルバイアルを加圧することができる。通常の圧力は、周囲圧力から75psig(517kPa)の範囲である。バイアル加圧流路が図3に例示されている。加圧ステージの間、図2に描かれた6ポート弁および各弁は、サンプルプローブをバイアル加圧ガス源210に接続する向きにすることができる。加圧ガスを(例えば、サンプルループ310および6ポート弁315を通して)流路に流入させ、サンプルプローブ320を通して、サンプルバイアルに流入させることができる。このガス流によって、サンプルバイアルおよび接続された流路の圧力を上昇させることができる。バイアルを加圧するために使用される代表的なガスとして、ヘリウムと窒素が挙げられる。さらに、キャリアガスは、移送ライン305に連結された流路を通ってガスクロマトグラフに流入することができる。
【0048】
そして、ヘッドスペースサンプラ120には、サンプルループ充填流路を実装することができ、その一例が図4に描かれている。6ポート弁415は、サンプルプローブ420を排出口に接続する向きにすることができ、バイアルよりも低い圧力(例えば、大気圧)にすることができる。サンプルプローブを排気することで、サンプルをサンプルバイアルからサンプルループ流路410に抽出することができる。あるいは、サンプルプローブは、サンプルをサンプルバイアルからトラップ内に抽出することもできる。サンプルバイアル内のヘッドスペースからサンプルループ内に排気させると、サンプルバイアル内の圧力を低下させることができる。さらに、6ポート弁415を介して移送ライン405をキャリアガス入口に連結させることができる。
【0049】
そして、ヘッドスペースサンプラ120には、図5に例示される注入流路を実装することができる。6ポート弁515は、サンプルループ510を介して移送ライン505にキャリアガス源を接続する向きにすることができる。代表的なキャリアガスとしては、水素、ヘリウム、窒素、およびアルゴン-メタンが挙げられる。キャリアガスを流路に流入させることで、サンプルループ510内のサンプルを移送ライン505に強制的に送り込むことができる。サンプルは、移送ライン505から、図1のガスクロマトグラフ180など、分析のためのガスクロマトグラフ(GC)に流れることができる。場合によっては、6ポート弁は、サンプルプローブ520を排出口(例えば、図2の排出口205)に接続する向きにすることもできる。このような場合、排出口は、サンプルプローブに連結されたサンプルバイアルを排気することができる(例えば、バイアルのヘッドスペースの圧力を周囲圧力にする、またはバイアルのヘッドスペースのサンプリングの間に達した圧力よりも低い圧力にする)。
【0050】
[カラム]
サンプル成分の分離は、ガスクロマトグラフ180のカラム135で行うことができる。カラム135の内側表面は、異なるサンプル成分に対して異なる相互作用をする塗膜(例えば、固定相)を有することができる。この相互作用は、化学的なものでなく、性質上、物理的なもの(例えば、吸着、「溶媒和」、ふるい分けなど)であってもよい。代表的なカラムとしては、キャピラリーチューブ(例えば、長さ5~100m、直径0.1~0.5mm)の壁面に適切な高分子膜を塗布したものを挙げることができる。また、カラムは、サンプルと直接相互作用する粒子または粒子への塗布によりサンプルと相互作用する粒子を含有することができる。いずれの場合も、サンプル成分がカラムを通過する際に、或る成分が他の成分よりも強く固定相と相互作用することで、より長い時間保持される。このようにして、サンプル成分はキャリアガスによって、カラム135の検出器側に運ばれるが、終了時間は、固定相との相互作用の違いにより異なる。
【0051】
[カラム温度制御]
(例えば、ガスクロマトグラフ180のカラム温度制御装置140を介して)カラム135の温度を制御することにより、サンプル成分とカラムとの相互作用を調整することができる。サンプルによっては、所定の温度でカラム135と最小限の相互作用をする成分と、その同一の温度で永久的に保持される成分を含むことがある。従って、カラム温度制御装置140は、サンプル成分がカラム135内を移動している間、カラム温度を正確に(かつ再現性よく)制御する。こうした温度制御は、サンプルの溶出中にカラム135の温度を上昇させることを含むものであってもよい。最後の成分がカラムから溶出したとき、次のサンプルが導入される前に温度を開始温度に戻すことができる。サンプルによっては、所望の開始温度が室温未満となったり、所望の開始温度が室温または室温近くとなったりする。そして別のサンプルでは、所望の開始カラム温度が室温より高いことがある。
【0052】
[検出器]
ガスクロマトグラフ180の検出器145によってサンプルの分離された成分を受領または特定することができる。検出器145は、一部または全部のサンプル成分がカラム135から溶出したときに、電気信号を変化させることができる。
【0053】
[信号処理装置とデータ分析装置]
信号処理装置150は、検出器145によって生成された電気信号を受信し、その信号を処理することができる。信号処理装置150は、検出器145のアナログ出力をデータ分析装置155が使用できるディジタル信号に変換するアナログ-ディジタル変換器とすることができる。データ分析装置155は、信号処理装置150から受信したガスクロマトグラフィー信号を、化合物の同定量および検量に変換することができる。場合によっては、ガスクロマトグラフ180の外部に信号処理装置150および/またはデータ分析装置(つまり、信号処理装置150またはデータ分析装置あるいはそれらの両方)を設けることができる。
【0054】
[入出力装置]
入出力装置165は、ガスクロマトグラフィー・システムからの入力を受信し、さらに/または、ガスクロマトグラフィー・システムからの出力を表示すること(つまり、ガスクロマトグラフィー・システムからの入力を受信することまたはガスクロマトグラフィー・システムからの出力を表示することあるいはそれらの両方)ができる。入出力装置165は、アナログスイッチ、キーボード、およびディスプレイとすることができる。あるいは、設定値の入力とシステムの監視を適切なソフトウェアを用いて外部のコンピュータで行うこともできる。場合によっては、入出力装置165は、ヘッドスペースサンプラやガスクロマトグラフの様々な構成部品上に収容してもよいし、クロマトグラフの外部に設けてもよい。
【0055】
[制御システム]
制御システム160は、所望の結果を得るためにガスクロマトグラフィー・システムの動作を制御するようにプログラムされた電子装置とすることができる。制御システム160は、(フィードバック装置またはユーザからの)入力を必要とせずにガスクロマトグラフィーのレジメン(regimen)を自律的に実行するようにプログラムされてもよいし、そのような入力を受け入れてもよい。構成部品の動作を調整するためにフィードバック(温度センサーなど)を使用する方法の原理は、例えば、「Karl Johan Astrom & Richard M. Murray, Feedback Systems: An Introduction for Scientists & Engineers (2008)」に記載されている。
【0056】
制御システム160は、マイクロコントローラ(例えば、ARDUINO(登録商標)またはIOIO(商標)で入手可能)、汎用コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータまたはPC)、ワークステーション、メインフレームコンピュータシステムなどの演算装置とすることができる。例示的な制御システムが図8に示されている。制御システム800は、プロセッサ装置(例えば、中央演算処理装置または「CPU」)802、メモリ装置804、記憶装置806、ユーザインタフェース808、システムバス810、および通信インタフェース812を含むことができる。
【0057】
プロセッサ802は、命令の実行やデータの処理などを行うものであれば、どのようなタイプの処理装置でもよい。
【0058】
メモリ装置804は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、リードオンリーメモリ(「ROM」)、フラッシュメモリ、電気的消去可能なプログラム可能読取り専用メモリ(「EEPROM」)などのうちのいずれか1つ以上を含むどのようなタイプのメモリ装置であってもよい。
【0059】
記憶装置806は、任意の取り外し可能なおよび/または組み込まれた(つまり、取り外し可能なまたは組み込まれたあるいはそれらの両方の)光、磁気、および/または光磁気(つまり、光、磁気、または光磁気あるいはそれらの全ての)記憶媒体などに対して読み取り/書き込みするどのようなデータ記憶装置であってもよい(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ「CD-ROM」、書き換え可能CD「CDRW」ディジタル多機能ディスクROM「DVD-ROM」、DVD-RWなどが挙げられる)。記憶装置806は、システムバス810に接続するためのコントローラ/インタフェースを含むこともできる。したがって、メモリ装置804および記憶装置806は、データだけでなく、プロセッサ802上での実行のためにプログラムされた処理のための命令を格納するのにも適している。
【0060】
ユーザインタフェース808は、タッチスクリーン、制御パネル、キーボード、キーパッド、ディスプレイ、または他のどのようなタイプのインタフェースを含んでもよく、各インタフェースは、対応する入出力装置のインタフェース/アダプタを介してシステムバス810に接続可能である。
【0061】
通信インタフェース812は、任意のタイプの外部装置と、またはガスクロマトグラフィー・システムの他の構成要素と通信するように適合させ、構成することができる。例として、図1の矢印170などの二重線の矢印は、制御システム160とガスクロマトグラフィー・システムの他の構成要素との間の電子的な通信を示している。さらに、ローカルエリアネットワーク(「LAN」、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネット上などの1つまたは複数の演算装置などの任意のシステムまたはネットワークと通信するように通信インタフェース812を適合させ、構成することができる。通信インタフェース812は、システムバス810に直接、または、適切なインタフェースを介して接続することができる。
【0062】
制御システム800は、したがって、それ自体で、さらに/または1つ以上の追加の装置と協働して(つまり、それ自体でまたは1つ以上の追加の装置と協働してあるいはそれらの両方により)、本発明に係るガスクロマトグラフィー・システムの構成要素を制御するためのアルゴリズムを含め、処理の実行が可能である。任意のプラットフォーム上の任意の通信プロトコルおよび/またはプログラミング言語(つまり、通信プロトコルまたはプログラミング言語あるいはそれらの両方)に従って、これらの処理を実行するように制御システム800をプログラムし、または、命令することができる。したがって、各処理は、データとしてだけでなく、メモリ装置804および/または記憶装置806(つまり、メモリ装置804または記憶装置806あるいはそれらの両方)に格納された命令、またはプロセッサ802上での実行のためにユーザインタフェース808および/または通信インタフェース812で受信された命令として実施することができる。
【0063】
場合によっては、ヘッドスペースサンプラの制御システムおよびガスクロマトグラフの制御システムは、同一の制御システムでもよいし、異なる制御システムでもよく、制御システムは、ヘッドスペースサンプラ、ガスクロマトグラフ、またはその両方に収容してもよいし、または外部の装置に収容してもよい。
【0064】
[サンプルバイアルの取り外し]
サンプルがサンプルバイアルから抽出処理を行って抽出された後、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しを試行することができる。上述したように、図6は、アクチュエータ620がサンプルバイアル610を上方に動かすことにより、サンプルプローブ615がサンプルバイアル610の内容物にアクセスできるようにすることを描いている。図7は、サンプルプローブ615からのサンプルバイアル610の取り外しが成功した様子を描いている。アクチュエータ620は、サンプルプローブ615から離間して遠ざかるように動作することができる。場合によっては、アクチュエータ620は、所定の速度で動作して、制御によってサンプルプローブ615から離間するように下降することができる。さらに、サンプルプローブ615は、圧縮ばね(図7に示す)を含むことができる。(例えば、図6に示すように)サンプルプローブ615がサンプルバイアル610の内容物にアクセスする位置にあるとき、圧縮ばねは圧縮することができる。アクチュエータ620がサンプルプローブ615から離間するように後退すると、圧縮ばねは伸長することができる。この伸長により、サンプルプローブ615から離間して遠ざかる力が発生し始め、それによって、サンプルバイアル610がサンプルプローブ615から強制的に離間される。図7は、圧縮ばね625を伸長モードで示す図である。さらに、当業者であれば、図6および図7に描かれた圧縮ばねは、サンプルバイアルホルダー内のサンプルバイアルを取り外すための手段の一例に過ぎず、サンプルプローブから離間して遠ざかる力を提供する他の形態のもの(例えば、重力、エラストマー、ピストン、流体ブラダー、ベルビル・ワッシャーなど)を、本願明細書中で説明されるガスクロマトグラフィー・システムによって使用できることを理解するであろう。
【0065】
しかしながら、場合によっては、サンプルバイアルをサンプルプローブから取り外せないことがある。例えば、サンプルバイアルのヘッドスペース内またはサンプルバイアルのセプタム内でサンプルプローブの開口部が引っかかることがある。これは、サンプルプローブとセプタムとの間の摩擦、イジェクタ・スプリングの力不足、バイアルと周辺の構成部品との間の摩擦、バイアルラックの位置ずれなどのアライメントの問題、またはその他の理由によるものと考えられる。場合によっては、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが部分的なものになることがある(例えば、バイアルがカルーセルのカートリッジ内に部分的に戻って再位置決めされる)。図7の例示的な機構では、サンプルバイアル610がサンプルプローブ上で動かなくなっても、アクチュエータ620は依然としてその静止位置まで完全に後退することが可能である。したがって、リフターロッドの位置をエンコーダなどの当該技術分野で知られている位置センサで感知するだけでは、サンプルバイアルがサンプルプローブから取り外されているかどうかを判定するのには不十分である。なぜならば、従来のシステムでは、プローブからのバイアルの取り外しが成功しなかったことを認識できず、(例えば、別のクロマトグラフィー実行のためのシステムの準備を行う、別のサンプルバイアルをサンプルプローブに対して付勢しようとする、など)通常のシステムの処理が続けられてしまうため、このような取り外しの試行の失敗によってガスクロマトグラフィー・システムに重大な問題が発生する可能性がある。 取り外しの失敗が判明しなければ、最終的には、ガスクロマトグラフィー・システムの損傷、バイアルの破損、メンテナンスの追加が必要となる、などの問題が発生する可能性がある。
【0066】
[ヘッドスペース・バイアルの存在感知]
ガスクロマトグラフィー・システムを構成してサンプルプローブ上にサンプルバイアルが存在するかどうかを感知することができる。サンプルバイアルからサンプルが抽出された後、ガスクロマトグラフィー・システムは、流路の流体パラメータセンサを利用して、各流路内のパラメータ値を検出することができる。その後、ガスクロマトグラフィー・システムは、感知したパラメータ値から、バイアルがサンプルプローブ上に残っているか、プローブからのバイアルの取り外しが成功したたか、などを特定することができる。場合によっては、ガスクロマトグラフィー・システムは、ヘッドスペースサンプラ(例えば、6ポート弁、切替弁、比例弁など)をさらに構成して、サンプルプローブを、図3に描かれたバイアル加圧流路などの、構成済の流路のうちの1つに接続することができる。以下の例は、図1および図2に描かれた物理的な構成要素および流路に基づくものである。しかしながら、当業者であれば、様々なガスクロマトグラフィー・システム、特に、流路構成および流体パラメータセンサの位置または有無が異なるシステムによっても本願明細書に記載の発明が実施できることを理解するであろう。例えば、サンプルプローブと流体連通している圧力センサおよび/または流量センサ(つまり、圧力センサまたは流量センサあるいはそれらの両方)を含むシステムで本願明細書に記載されている技術を実施することができる。
【0067】
[流路構成]
ガスクロマトグラフィー・システムのセンサは、ヘッドスペースサンプラの流路内の圧力および/または流量(つまり、圧力または流量あるいはそれらの両方)を監視することができる。ヘッドスペースサンプラを構成して、ガスクロマトグラフィー・システムの圧力センサまたは流量センサの少なくとも1つが、サンプルプローブに接続された流路にアクセスすることができる。例えば、図2において、ヘッドスペースサンプラを構成して、切替弁255を開き、流量センサ240および/または圧力センサ245(つまり、流量センサ240または圧力センサ245あるいはそれらの両方)が、サンプルプローブに流体的に接続された流路の圧力および/または流量(つまり、圧力または流量あるいはそれらの両方)を測定することができる。
【0068】
上記の例に従って、ヘッドスペースサンプラを構成して、図2の比例弁250および/または比例弁260(つまり、比例弁250または比例弁260あるいはそれらの両方)を使用して、サンプルプローブに接続された流路内のガスの圧力や流量を変更することができる。流量センサ240や圧力センサ245などのセンサからのフィードバックを弁の制御に使用できる。
【0069】
[パッシブな空気圧の監視によるバイアルの存在確認]
ガスクロマトグラフィー・システムは、バイアル排出処理の間に測定を行うことにより、プローブ225からのバイアルの取り外しが成功しているかどうかを検出することができる。
【0070】
サンプルバイアルからサンプルを取り出した後、またはサンプルの取り出しを中止した後、ガスクロマトグラフィー・システムはサンプルプローブからのサンプルバイアルの排出を試行することができる。例えば、図6および図7を参照して上述したように、リフターロッドは、サンプルプローブから離間して遠ざかるように動作することができる。
【0071】
サンプルバイアルからサンプルを取り出した後、ガスクロマトグラフィー・システムは、バイアルの圧力を上げるか、バイアルの圧力を下げるか、またはバイアルの圧力をループ充填の終了時の圧力と実質的に同じにして、排出処理の開始時に、バイアルが周囲圧力でない圧力で加圧されるようにすることができる。排出処理の間には、サンプルプローブの流路に連結されたセンサにより、流路を流れる流体の圧力および/または流量(つまり、圧力または流量あるいはそれらの両方)などのパラメータを測定することができる。場合によっては、ガスクロマトグラフィー・システムは、次に、バイアルがサンプルプローブ上に依然として存在すると予想されるとき(例えば、排出処理を開始する頃)の排出処理の間に得られた測定値を、バイアルがサンプルプローブから取り外されていると予想されるとき(例えば、排出処理を終了する頃)の排出処理の間に得られた測定値と比較することができる。バイアルがサンプルプローブから取り外されたと予想される時点は、排出開始の試行からの経過時間や、エンコーダなどの位置センサで監視したリフタ位置などに基づいて得ることができる。他の場合には、ガスクロマトグラフィー・システムは、バイアルがサンプルプローブから取り外されていると予想されるとき(例えば、排出処理を終了する頃)の排出処理の間に得られた測定値を、所定の値または閾値(例えば、周囲圧力程度など)と比較することができる。他の場合には、ガスクロマトグラフィー・システムは、排出処理の間の測定値の変化(例えば、段階的な変化、閾値を超える変化など)を探ることができる。センサが感知する測定値は、サンプルプローブからサンプルバイアルの排出が成功しているかどうかに依存することがある。サンプルプローブからのバイアルの排出が成功している場合、サンプルプローブに流体的に接続された流路は、加圧されたバイアル内で封止されているのではなく、大気圧に開放された状態となる。
【0072】
例えば、サンプルプローブを圧力センサに流体接続し、サンプルプローブを流れるガスを実質的にゼロにし、排出処理の開始時に周囲圧力よりバイアルを高い圧力に加圧することが可能である。図2に示す流路の例では、比例弁250および比例弁260を閉じ、切替弁255を開き、6ポート弁265をサンプルプローブが圧力センサ245に流体的に接続される向きにすることでこれを行うことができる。サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが成功している場合、圧力センサ(例えば、圧力センサ245)は、サンプルプローブに流体的に接続された流路が大気圧に開放されるので、圧力変化(例えば、減少変化)を感知できる。感知されるパラメータの初期値は、バイアルがサンプルプローブ上に依然として存在すると予想される感知中に発生する。この圧力変化は、サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されると、圧力センサがサンプルバイアル内の加圧環境(ヘッドスペース)と流体的に接続された状態から、大気に開放された状態に移行するために発生する。
【0073】
別の例では、サンプルプローブを流量センサおよび圧力センサに流体的に接続し、サンプルプローブにガスを流し、排出処理の開始時にバイアルを周囲圧力でない圧力に加圧することができる。ガスの流れは実質的に一定であってもよい。図2に示す例の流路では、切替弁255を開き、任意選択的に比例弁260を開き、6ポート弁265をサンプルプローブが圧力センサ245および流量センサ240に流体的に接続される向きにすることによってこれを行うことができる。流量センサ240を使用して比例弁250を制御することにより、流路を通る流れを制御することができる。サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが成功している場合、圧力センサ(例えば、圧力センサ245)は、サンプルプローブに流体的に接続された流路が、大気圧に開放状態になるので、圧力変化(例えば減少変化)を感知することができる。ここで、感知パラメータの初期値は、バイアルがサンプルプローブ上に依然として存在すると予想される感知中に発生する(例えば、サンプルプローブが加圧されるサンプルバイアルの内部に流体的に接続されている)。ガスが流路を流れるため、圧力センサ245とサンプルプローブの開口部との間の流路に流体的な制限があると、圧力センサ245によって感知される圧力が大気圧より高くなることがある。
【0074】
あるいは、別の例では、サンプルプローブを流量センサと圧力センサに流体接続し、排出処理の間にサンプルバイアル内の圧力を設定値に制御することもできる。図2に示す例の流路では、比例弁260を閉じ、切替弁255を開き、6ポート弁265をサンプルプローブが圧力センサ245および流量センサ240に流体的に接続される向きにすることによってこれを行うことができる。比例弁250を使用して、圧力センサ245の設定値に従ってバイアル加圧ガスを調節することにより、サンプルプローブに流体的に接続されたサンプルバイアル内の圧力を制御することができる。サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが成功している場合、流量センサ240によって測定される流量が増加する(例えば、増加する変化)。これは、サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されると、流路が大気圧に開放されるので、コントローラがサンプルプローブに接続された流路の圧力を維持しようとするからである。ここで、感知パラメータの初期値は、バイアルがサンプルプローブ上に依然として存在すると予想される感知中に発生する(例えば、サンプルプローブは、加圧サンプルバイアル内のヘッドスペースに流体的に接続されている)。圧力設定値、接続流路の制限、ガスの粘度によっては、ヘッドスペースサンプラが圧力設定値を維持できないことがある。また、場合によっては、このことがバイアルの排出が成功していることを示すこともある。
【0075】
サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功していない場合、センサはバイアル排出処理の間に検出されたパラメータの静的な値を感知できる。または、排出中のバイアルへの流量が一定である例では、センサは、システムが許容する最大値までの圧力の増加を感知できる(例えば、バイアル加圧中に適用される最大値が75psiであってもよいが、システムが許容する最大値が100psiであってもよい)。別の場合では、サンプルプローブがサンプルバイアルのセプタム内で引っかかるか、サンプルプローブが詰まると、バイアルの排出処理の間に感知されたパラメータの中で、センサは、実質的に静的な値を感知できる。図9図11は、上述した方法の例を実施するガスクロマトグラフィー・システムの流量および圧力の測定値を示すグラフである。流量と圧力の測定値は、ガスクロマトグラフィー・システムのサンプルプローブに流体的に連結された流路のものである。図9は、サンプルバイアルの排出が成功している場合を示し、図10は、サンプルバイアルの排出が成功していない場合を示し、図11は、(例えば、サンプルプローブにセプタムやサンプルの一部が残ることによって)サンプルプローブが詰まっているか、またはサンプルプローブの開口部がサンプルバイアルのセプタム内で動かなくなる場合を示している。
【0076】
[サンプルバイアル排出の成功例]
図9は、本発明の実施形態に係る、サンプルバイアル排出成功時の圧力および流量の測定値を示すタイミング図である。上述したように、ガスクロマトグラフィー・システムは、イベントAおよびBにおいて、サンプルバイアルをサンプルプローブ流路およびバイアル加圧ガスに接続し、サンプルバイアル内の内容物を加圧することが可能である。そして、ヘッドスペースサンプラは、イベントCで描かれているように、サンプルプローブとサンプルループを排出口に流体的に連結するなどして、サンプルループにサンプルを充填することができる。イベントDでは、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルループをキャリアガス源に流体的に接続することによって、サンプルループの内容物を移送ラインおよびガスクロマトグラフに搬送することができる。
【0077】
イベントEでは、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルの排出処理を実行することができる。システムは、ヘッドスペースサンプラを構成して、図2の比例弁250および比例弁260を閉じることができる。したがって、ヘッドスペースサンプラでは、サンプルプローブに流体的に連結されたセンサに対するガスの入力値はないが、排出処理の開始時にはサンプルバイアル内に大気圧を超える圧力が存在する。イベントEの間にサンプルプローブからサンプルバイアルが離れると、例えば図2の圧力センサ245を用いて、ガスクロマトグラフィー・システムによって圧力の低下が測定される。ガスクロマトグラフィー・システムは、圧力の低下に基づいて、サンプルバイアルの取り外しが成功していると判定し、通常の処理で動作を継続することができる。イベントFでは、システムは、サンプルプローブおよび排出口をパージすることができる。その後、システムは、イベントGでサンプルプローブのみをパージし、イベントHでスタンバイ・モードを開始して別のサンプルバイアルを待機することができる。
【0078】
[プローブで動かなくなったバイアルの例]
図10は、本発明の実施形態に係る、サンプルバイアルの排出の失敗時の圧力および流量の測定値を示す。図10に示された測定値は、ヘッドスペースサンプラによって実行される排出処理の後にサンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っている状況に関するものである。
【0079】
イベントA、B、C、およびDについては、図9について上述した通りである。
【0080】
イベントEにおいて、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルの排出処理を実行することができる。システムは、ヘッドスペースサンプラを構成して図2の比例弁250および比例弁260を閉じることができる。排出処理の間には、ヘッドスペースサンプラでは、サンプルプローブに流体的に連結されたセンサに対するガスの入力値はないが、サンプルバイアル内には大気圧を超える圧力が存在する。排出処理の間には、サンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っているため、ガスクロマトグラフィー・システムでは、排出処理の間には、サンプルプローブに流体的に接続された流路の圧力は実質的に静圧である。したがって、ガスクロマトグラフィー・システムは、例えば、図2の圧力センサ245を用いて、プローブに連結された流路の静圧値を特定することができる。静圧測定値(例えば、所定の閾値内にある圧力値、所定の閾値の範囲内にある圧力変化率など)に基づき、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っており、バイアル排出が失敗したと判定することができる。システムがイベントF、G、Hの通常のパージ動作を続けると、サンプルプローブがサンプルバイアルに流体的に接続される(例えば、密閉した空間にガスが流れ込む)ため、圧力測定値が増加する。
【0081】
[プローブが詰まったり、プローブがセプタム内で動かなくなったりしている例]
図11は、本発明の実施形態に係る、プローブが詰まっているか、プローブの開口部がバイアルのセプタム内で動かなくなっている場合の圧力および流量の測定値を示している。図11に示された測定値は、ガスクロマトグラフィー・システムによって実行される排出処理の間に、サンプルプローブが詰まっているか、サンプルプローブの開口部がバイアルのセプタム内で動かなくなっている状況に関するものである。
【0082】
イベントA、B、C、Dは、図9および図10について前述した通りである。
【0083】
イベントEにおいて、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルを排出する処理を実行することができる。システムは、ヘッドスペースサンプラを構成して、図2の比例弁250および比例弁260を閉じることができる。排出処理の間に、ヘッドスペースサンプラでは、サンプルプローブに流体接続されたセンサに対するガスの入力値はないが、サンプルバイアル内には大気圧を超える圧力が存在する。排出処理の間に、サンプルプローブが詰まっているか、サンプルプローブの開口部がバイアルのセプタム内で動かなくなっているため、ガスクロマトグラフィー・システムの圧力は、実質的に静圧である。したがって、ガスクロマトグラフィー・システムは、例えば、図2の圧力センサ245を用いて、プローブに連結された流路の静圧値を測定することができる。静圧測定値(例えば、所定の閾値の範囲内に収まっている圧力値、所定の閾値の範囲内に収まっている圧力変化率など)に基づいて、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っていてバイアルの排出が失敗したと判定することができる。あるいは、このことは、プローブが詰まっていることを意味することもある。システムがイベントF、G、Hの通常動作を続けると、サンプルプローブが大気に開放されておらず、システム内の空間が制限されるため、システム内の圧力測定値が増加する。サンプルプローブが詰まっていたり、サンプルプローブの開口部がセプタム内で動かなくなったりしている場合、サンプルプローブの開口部がサンプルバイアルの内部空間(ヘッドスペース)で引っかかっている場合と比較して、サンプルプローブに連結した流路内の空間がさらに制限されているため、圧力測定値はさらに速く増加する(例えば、サンプルプローブに連結された流路の空間は、圧力センサ245とサンプルプローブの先端との間の流路となり、サンプルバイアルプローブが詰まっている場合やサンプルプローブの開口部がサンプルバイアルのセプタム内で動かなくなっている場合は、サンプルバイアル内の空間は含まれない)。
【0084】
さらに、場合によっては、サンプルバイアルをサンプルプローブに接続する前に制限テストを行うことで、プローブが詰まるリスクを低減することができる。例えば、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブにガスを流し、サンプルプローブの圧力の変化率を監視することができる。圧力変化率が所定の閾値を超える場合、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブが詰まっていると判定することができる(例えば、サンプルプローブが詰まっておらず、周囲環境に開放されている場合と比較して、圧力変化率が高くなる)。他の場合には、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブにガスを流しながら、サンプルプローブの圧力値を監視することができる。特定の流量で圧力値が所定の閾値を超える場合には、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブが詰まっていると判定することができる(例えば、サンプルプローブが詰まっておらず周囲環境に開放されている場合と比較して、サンプルプローブが高い圧力値に到達する)。さらに別の場合には、ガスクロマトグラフィー・システムは、待機流から発生する定常的な背圧を監視することができる。背圧が所定の閾値を超える場合、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブが詰まっていると判定することができる。
【0085】
ガスクロマトグラフィー・システムが、(例えば、制限処理を通じて)サンプルプローブが詰まっていないと判定した場合、次に、システムは、サンプルバイアルをサンプルプローブに接続することができる。バイアルに接続する直前にサンプルプローブが詰まっていなければ、サンプリング中にサンプルプローブが詰まった可能性は低い。
【0086】
[バイアルの存在確認のためのアクティブな空気圧テスト]
あるいは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功したかどうかを判定するために、サンプルプローブからバイアルが排出されたと予想された後に、ガスクロマトグラフィー・システムは、ヘッドスペースサンプラを構成してサンプルプローブに接続された流路に加圧ガスを流入させることができる。この構成により、場合によっては、サンプルプローブからのバイアルの取り外しを試行する前に、サンプルバイアルを常圧まで排気することを可能にし、一旦排出されたバイアルを破棄したり取り扱ったりする前に排気するというさらなる利点も得られる。
【0087】
バイアルを排出する前に、システムは、バイアルを大気圧または最終的なサンプリング圧力より低い別の圧力まで排気してもよく、バイアルをサンプリング処理からの残圧のままにしてもよく、あるいは、バイアル内の圧力をサンプリング処理の終了時と比較して増加、または減少させてもよく、変化させないままにしてもよい。ガスクロマトグラフィー・システムは、バイアルの排出処理を実行し、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出を試行することができる。(排出試行の開始からの経過時間、エンコーダなどのセンサによって監視されるリフタ位置などに基づいて)サンプルプローブからバイアルが取り外されたと予想された後のバイアル排出処理の間、ガスクロマトグラフィー・システムを構成して、バイアル加圧ガスを接続された流路に流入させ、サンプルプローブを通って流れるようにすることができる。例えば、図2に示す流路の切替弁255を開いておき、比例弁250でサンプルプローブを通るガスの流量またはサンプルプローブに接続された流路の圧力を制御してもよい。場合によっては、加圧ガスを一定の流量で流路に流すことができる。サンプルプローブ流路に連結された1つまたは複数のセンサ(例えば、図2の圧力センサ245および流量センサ240)は、流量および/または圧力(つまり、流量または圧力あるいはそれらの両方)など、流路の様々なパラメータを測定することが可能である。
【0088】
連結された1つまたは複数のセンサは、排出処理の間、さらに、ガスが接続された流路に流入している間、接続された流路の圧力または流量の変化率を感知することができる。測定したパラメータの変化率は、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功したかどうかに影響されることがある。例えば、1つまたは複数のセンサは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功しているときに、(例えば、圧力値の)ゆるやかな増加を測定することができる。あるいは、1つまたは複数のセンサは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功していないときに、サンプルプローブがサンプルバイアルのセプタム内で引っかかっている場合、またはサンプルプローブが詰まっている場合に、(例えば、圧力値の)急速な増加を測定することができる。バイアルをサンプリングする前に制限テストを行うことで、プローブの詰まりが発生する状況を抑制することができる。これらの変化率の違いは、ガスが流入する空間に依存することがある。
【0089】
例えば、バイアルがサンプルプローブから取り外されたと予想された後、システムは、(例えば、流量センサ240および比例弁250を用いるなどで)サンプルプローブを通るガスの流量を設定値に制御しようと試行することができ、(例えば、図2における圧力センサ245などを用いて)サンプルプローブに連結された流路内の圧力を測定できる。サンプルバイアルが依然としてサンプルプローブ上に残っていたり、サンプルプローブが詰まっていたり、バイアルのセプタム内で引っかかったりしていると、ガスは密閉された空間(流路、サンプルプローブ、場合によってはバイアル・サンプルなど)に流入することになる。したがって、感知される圧力が急速に上昇する。あるいは、サンプルバイアルの取り外しが成功すると、ガスはサンプルプローブから周囲環境(つまり、より大きな空間)に流れ出る。したがって、感知される圧力は、(測定可能であるとすれば)よりゆっくりと増加することになる。また、測定開始から一定時間後の圧力の値は、バイアルの排出が成功したどうかを示すことができる。例えば、バイアルの排出が成功した場合、サンプルプローブを通るガスの流量が一定であれば、圧力センサとサンプルプローブの出口間の制限、ガスの粘度、および流量に依存した値まで圧力が上昇する。あるいは、サンプルバイアルの排出が成功しなかった場合、密閉されたシステムにガスが流入するため、圧力はより高い値に上昇する。
【0090】
場合によっては、サンプルバイアルがサンプルプローブから取り外されたと予想された後に圧力設定値に達するように、サンプルプローブに流体的に接続された流路内の圧力を制御することができ、この設定値を達成するために必要なガスの流量を(例えば、図2の流量センサ240を監視することによって)測定することができる。このような場合、ガスクロマトグラフィー・システムは、圧力設定値に達するまで(例えば、図2の圧力センサ245など、サンプルプローブの流路に連結された圧力センサからの圧力値を監視することにより)、流れるガスの流量を増加させることができる。圧力設定値に到達した場合、そのとき、ガスクロマトグラフィー・システムは、圧力設定値に到達するために必要な流量を特定することができる。設定圧力、接続流路の制限、およびガスの粘度によっては、ヘッドスペースサンプラが設定圧力を達成できない場合がある。場合によっては、このことがバイアルの排出が成功していることを示すこともある。サンプルバイアルの排出が成功せず、サンプルプローブが依然としてサンプルバイアルに流体的に接続されている場合、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功した場合と比較して、圧力設定値を達成するために必要な流量が少なくなる。例によっては、排出が成功しない場合、流量は実質的にゼロであってもよい。
【0091】
さらに、あるいは、システムは、圧力設定値に到達するまでに要した時間を特定することができる。排出処理が成功している場合、同じ流量で排出処理が失敗している場合よりも、設定圧力に達するまでに時間がかかることがある。この監視された値から、システムは、サンプルプローブからのバイアルの排出が成功したかどうかを識別することができる。
【0092】
図12図14は、上述した測定の例を実施したガスクロマトグラフィー・システムの流量と圧力の測定値を示すグラフである。流量と圧力の測定値は、ガスクロマトグラフィー・システムのサンプルプローブに流体的に連結された流路のものである。図12はサンプルバイアルの排出が成功している場合を、図13はサンプルバイアルの排出が成功していない場合を、図14はサンプルプローブが詰まった場合を、それぞれ示している。
【0093】
[バイアル排出の成功例]
図12は、本発明の実施形態に係る、サンプルバイアルの排出成功時の圧力および流量の測定値を示す図である。上述したように、ガスクロマトグラフィー・システムは、イベントAおよびBにおいて、サンプルバイアルをサンプルプローブ流路およびバイアル加圧ガスに接続し、サンプルバイアル内の内容物を加圧することが可能である。ヘッドスペースサンプラは、その後、サンプルプローブを排出口に流体的に連結させるなどして、サンプルループにサンプルを充填することができる(イベントCで描かれている)。イベントDでは、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルループをキャリアガス源に流体的に接続することによって、サンプルループの内容物を移送ラインおよびGCカラムに搬送することができる。任意選択的に、イベントDにおいて、システムは、バイアルを圧力設定値まで排気するか、またはバイアルを設定値まで加圧することも可能である。
【0094】
イベントEにおいて、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルを排出する処理を実行できる。システムは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しを試行できる。バイアルがサンプルプローブから取り外されると予想された後の排出処理の間、ガスクロマトグラフィー・システムはサンプルプローブに接続された流路にガスを流すことができる。サンプルプローブからのバイアルの排出が成功したので、圧力センサとサンプルプローブの出口間の流路の制限、ガス粘度、および流量に基づいた値まで圧力が上昇する。圧力値は、サンプルプローブが依然としてサンプルバイアル内に存在する場合の圧力値よりも低くすることができる。イベントFで、システムはサンプルプローブおよび排出口をパージすることができる。その後、システムはイベントGでサンプルプローブをパージし、イベントHで別のサンプルバイアルを待機するためにスタンバイ・モードを開始することができる。
【0095】
[バイアルがプローブで動かなくなった例]
図13は、本発明の実施形態に係る、サンプルバイアルの排出の失敗時の圧力および流量の測定値を示すグラフである。図13に示された測定値は、サンプルプローブの開口部がサンプルバイアルの内部空間(ヘッドスペース)に流体的に接続された状態でガスクロマトグラフィー・システムによって行われる排出処理の間、さらにその後にサンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っている状況に関するものである。
【0096】
イベントA、B、C、Dは、図12について前述した通りである。
【0097】
イベントEでは、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルを排出する処理を実行することができる。バイアルがサンプルプローブから取り外されると予想された後の排出処理の間、ガスクロマトグラフィー・システムはプローブに連結された流路を通してガスを流すことができる。サンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っているため、流路は所定の空間(例えば、サンプルバイアルの空間)に連結される。ガスが流路を流れるので、流路内の圧力は、サンプルプローブが周囲環境に開放されている場合よりも大きく上昇する。したがって、ガスクロマトグラフィー・システムは、プローブに連結された流路の圧力値が上昇していると識別することができる。ガスクロマトグラフィー・システムは、流量に対する圧力上昇率または到達した圧力に基づいて、サンプルバイアルがサンプルプローブ上に残っており、排出処理が失敗したと判定することができる。システムがイベントF、G、Hの通常動作を続けると、ガスがシステム内で流れるのは所定の空間であるため、圧力測定値が増加する。
【0098】
[詰まったプローブまたはセプタム内で動かなくなったプローブの例]
図14は、本発明の実施形態に係る、プローブが詰まっている時の圧力および流量の測定値を示す図である。図14に示された測定値は、ガスクロマトグラフィー・システムによって実行される排出処理の間に、サンプルプローブが詰まったか、サンプルプローブの開口部がバイアルのセプタム内で動かなくなった状況に関するものである。
【0099】
イベントA、B、C、Dは、図12および図13ついて前述した通りである。
【0100】
イベントEでは、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルの排出処理を実行することができる。システムは、サンプルプローブからのバイアルの取り外しを試行することができる。バイアルがサンプルプローブから取り外されたと予想された後の排出処理の間、ガスクロマトグラフィー・システムは、加圧ガスをプローブに連結された流路に流すことができる。サンプルプローブが詰まっているか、サンプルプローブの開口部がバイアルのセプタム内で動かなくなっているため、流路は所定の空間(サンプルプローブの開口部がサンプルバイアルの内部空間で動かなくなっている場合よりもさらに小さな空間)に流体的に接続される。ガスが流路を流れるので、流路内の圧力は、サンプルプローブが周囲環境に開放されている場合や、サンプルプローブの開口部がサンプルバイアルの内部空間で動かなくなっている場合よりも高い速度で上昇する。このため、ガスクロマトグラフィー・システムは、プローブに連結された流路の圧力値が上昇していると識別することができる。ガスクロマトグラフィー・システムは、特定の流量に対する圧力上昇率または到達圧力から、サンプルプローブが詰まっているか、バイアルのセプタム内で動かなくなっていて、排出処理が失敗したと判定することができる。システムがイベントF、G、Hの通常動作を続けると、システム内の空間が制限されるため、圧力測定値がシステム内で上昇する
【0101】
なお、プローブの開口部がサンプルバイアル内に残っている状況よりも流路に含まれる空間が小さいため、プローブが詰まったり、セプタムで引っかかったりしているプローブの場合、圧力がより速く上昇する。同様に、圧力設定値に制御する場合、システムが所定の圧力設定値に到達するために必要な流量および/または時間(つまり、流量または時間あるいはそれらの両方)は、サンプルバイアルの空間内にサンプルプローブの開口部が残っている場合と比較して、詰まったり、セプタムで引っかかったりしているプローブの場合にも、少なくなるであろう。
【0102】
[パラメータ閾値]
排出処理を実施する前に、ガスクロマトグラフィー・システムによってパラメータ閾値を決定することができる。場合によっては、パラメータ閾値(例えば、段階的な変化の閾値、変化率閾値など)は、サンプル、サンプルバイアルおよび/またはヘッドスペースサンプラ(つまり、サンプル、サンプルバイアル、またはヘッドスペースサンプラあるいはそれらの全て)の異なる特性に基づいて決定することができる。例えば、バイアルの容量、溶媒組成、ヘッドスペース組成、加圧ガス組成、流路制限などを使用して、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功したかどうかを識別するためにシステムが使用する閾値を決定することができる。場合によっては、ガスクロマトグラフィー・システムのユーザがこれらの特性の一部を入力することができる。さらに、あるいは、ガスクロマトグラフィー・システムがこれらの特性の一部を決定(例えば、感知)することができる。
【0103】
場合によっては、測定されたパラメータ値からパラメータの閾値を算出する必要はない。例えば、プローブが連結された流路にガスが流れておらず、サンプルバイアルが予め加圧されている場合、バイアルの排出が成功していれば、バイアルのパラメータとは無関係に圧力が周囲圧力に下がる。
【0104】
別の場合には、測定されたパラメータに基づいて閾値を計算することができ、または、サンプリング処理の前にテストバイアルをプローブ上に配置することができる。その後に、流量および/または圧力(つまり、流量または圧力あるいはそれらの両方)を測定しながらテストバイアルを排出することができる。その後、この流量および/または圧力(つまり、この流量またはこの圧力あるいはそれらの両方)の値を使用して、閾値を決定することができる。ユーザが手動で、またはシステムの他の部分によって、テストバイアルが排出されたこと(例えば、バイアルが最終的にその保管場所に戻ったことを感知すること)を確認することができる。
【0105】
[システムの修復]
ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルプローブからのサンプルバイアルの排出が成功しなかったことを検出すると、様々な修復処理を行うことができる。例えば、システムは、サンプリングのための別のサンプルバイアルを準備するなどの、クロマトグラフィー機能を終了させることができる。場合によっては、システムは、通知を生成し、(例えば、図1の制御システムを介して)送信することができ、通知は、失敗した排出の試行に対応する情報を含む。場合によっては、図6および図7のリフターロッドを構成してサンプルプローブに向かって付勢させることができ、これにより、圧縮ばね625を再び付勢し、2回目の排出の試行中にサンプルバイアルを解放するか、さらに/または、サンプルバイアルがサンプルプローブから落下する(つまり、サンプルバイアルを解放することまたはサンプルバイアルがサンプルプローブから落下することあるいはそれらの両方)のを防止できる。場合によっては、図6および図7のラックを付勢して回転または振動させることができ、これにより、サンプルバイアル610を軽くタップし、サンプルバイアル610を解放することができる。サンプルバイアルをタップまたは再度係合するのと同様の機能を排出機構が有することができ、当業者であれば、上記に挙げた例自体が限定的でないことを理解するであろう。
【0106】
[サンプルバイアルの圧力復元]
ガスクロマトグラフィー・システムを構成し、サンプル抽出後にサンプルバイアルの圧力を復元することができる。サンプルがサンプルバイアルに装填され、サンプルバイアルが密封されるとき、バイアルは通常、周囲温度および周囲圧力であるか、または周囲温度および周囲圧力に近い状態にある。サンプリング準備のためにヘッドスペースサンプラにサンプルバイアルを配置した後、サンプルバイアルを高温に加熱することができる。これにより、密封されたシステムであるサンプルバイアル内の圧力を上昇させることができる。サンプルバイアルからサンプルを抽出する前に、ヘッドスペースサンプラは、サンプルプローブを少なくとも1つの連結されたセンサが設けられた流路に接続することができる。例えば、システムは、図2の流路のサンプルプローブ225にサンプルバイアルを接続し、その一方で、サンプルバイアルにガスが出入りしないように比例弁250と比例弁260を閉じるが、切替弁255を開くことで圧力センサ245をサンプルプローブ225に流体的に接続することができる。場合によっては、サンプルバイアルをバイアル加圧ガスで加圧し、さらに/またはサンプルを抽出する(つまり、サンプルバイアルをバイアル加圧ガスで加圧するまたはサンプルを抽出するあるいはそれらの両方の)前に、サンプルバイアルをサンプルプローブ上に配置することで、連結されたセンサが流路の圧力、つまり、サンプルバイアル内の圧力を測定することができる。
【0107】
さらに、抽出後に、ガスクロマトグラフィー・システムは、サンプルバイアルの圧力を測定することもできる。例えば、バイアルのパラメータ測定と同じ構成を使用して、抽出後のパラメータを測定することもできる。あるいは、抽出後の測定に別の構成を用いることもできる。システムは、サンプルバイアルの抽出前に対する抽出後のサンプルバイアルの圧力の差を(例えば、図1の制御システムを介して)特定することができる。さらに、システムは、サンプルバイアルの圧力を抽出前のレベルに回復させるために、サンプルバイアルに流入させるバイアル加圧ガスまたはキャリアガスを流すことができる。あるいは、抽出後の圧力が抽出前の圧力よりも高い場合には、システムはサンプルバイアルからガスを排気し、サンプルバイアルの圧力を抽出前のレベルに回復させることができる。これは、圧力センサの圧力値を監視し、圧力値が設定圧力に達した時を特定することによって行うことができる。
【0108】
したがって、サンプルバイアルが加熱された場所から取り外され、分析前の温度(例えば、室温)付近に戻ると、サンプルバイアル内の圧力は、周囲圧力に近いレベルに戻ることができる。サンプルバイアル内の圧力が周囲圧力に近いため、圧力差によって発生する力を最小限に抑えることができる。これによりバイアルが構造的に弱くなることによりバイアルのセプタムが折れ曲がったり、サンプルバイアルが破損したりするリスクを低減することができる。さらに、この処理は、抽出前後のサンプルバイアル内の圧力に依存することができるため、処理を内容物に関係なく行うことが可能である。これにより、特にサンプルに関するパラメータ(ガス組成、溶媒組成など)を誤って入力するようなユーザによるエラーを排除することができる。
【0109】
[均等物]
本発明の好ましい実施形態を特定の用語を用いて説明したが、このような説明は例示的なものにすぎず、以下の請求項の精神または請求の範囲から逸脱することなく、変更および変形を行えることが理解されよう。
【0110】
[参照による組み込み]
本願明細書に引用された全ての特許、公開特許出願、および、その他の参考文献は、引用することにより、その開示内容全体を明示的に本明細書の一部をなすものとする。
なお、出願当初の特許請求の範囲の記載は以下の通りである。
請求項1:
サンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して前記サンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、
(b)前記圧力センサから1組の信号を受信するステップと、
(c)前記1組の信号から、排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(d)前記検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
請求項2:
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブから前記サンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項3:
前記修復は、排出処理が失敗したことを前記プロセッサが検出した場合に、クロマトグラフィー機能を終了することをさらに含む、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項4:
前記1組の信号のうちの圧力値の読み取りが、ステップ(a)の間に、排出処理が成功しているときに、所定の閾値未満または所定の閾値の範囲内であるか、または、大気圧に到達しているかのいずれかを測定することであり、前記所定の閾値は、バイアルの容量、溶媒組成、ヘッドスペース組成、加圧ガス組成、流路制限、テストバイアルの流量または圧力の測定値、またはこれらの組み合わせから前記プロセッサによって決定される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項5:
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、
前記サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが失敗したか、前記サンプルバイアルのセプタム内で前記サンプルプローブが動かなくなっているか、または前記サンプルプローブが詰まっているかを前記1組の信号から判定する、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項6:
前記プロセッサは、前記ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、
前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項7:
さらに、サンプルバイアルと熱伝導するヒータを含み、前記ヒータは、前記サンプルバイアルが加熱された状態を発生するように構成され、前記プロセッサは、さらに、
前記圧力センサから第1の組の信号を受信し、
前記第1の組の信号から、前記加熱された状態にある前記サンプルバイアルの初期圧力を判定し、
前記サンプルバイアルの内容物の抽出処理を実行し、
前記抽出処理の後に前記圧力センサから第2の組の信号を受信し、
前記サンプルバイアルの第2の圧力を判定し、
前記サンプルバイアルと流体連通する流体源または排出口を制御して前記サンプルバイアルの前記第2の圧力を前記初期圧力に戻す、
ように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項8:
サンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する圧力センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して前記サンプルプローブからサンプル・サンプルバイアルを取り外すステップと、
(b)ステップ(a)の間に前記流体源を介して流体を前記サンプルプローブに流すステップと、
(c)ステップ(b)の間に前記圧力センサから1組の信号を受信するステップと、
(d)前記1組の信号から前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(e)前記検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
請求項9:
さらに、前記サンプルプローブと流体連通する流量センサを含み、前記流量センサから前記1組の信号の一部が受信される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項10:
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項11:
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の変化率を判定し、
変化率が所定の閾値未満であると判定し、
前記排出処理が成功したと判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項12:
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内での変化率を判定し、
前記変化率が所定の閾値を超えるかまたは所定の閾値の範囲内であるかを判定し、
前記1組の信号から、前記サンプルプローブからサンプルバイアルの取り外しが失敗していることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項13:
前記プロセッサは、ステップ(d)において、さらに、
前記1組の信号内の変化率を判定し、
前記変化率が所定の閾値を超えていることを判定し、
前記1組の信号から、前記サンプルプローブが前記サンプルバイアルのセプタム内で引っかかっている、または、前記サンプルプローブが詰まっていることを判定する、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項14:
前記プロセッサは、前記ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことに応答して発生する、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項15:
サンプルバイアルと熱伝導するヒータを含み、前記ヒータは、前記サンプルバイアルが加熱された状態を発生するように構成され、前記プロセッサは、さらに、
前記圧力センサから第1の組の信号を受信し、
前記第1の組の信号から、前記加熱された状態にある前記サンプルバイアルの初期圧力を判定し、
前記サンプルバイアルの内容物の抽出処理を実行し、
前記抽出処理の後に前記圧力センサから第2の組の信号を受信し、
前記サンプルバイアルの第2の圧力を判定し、
前記サンプルバイアルと流体連通する流体源または排出口を制御して前記サンプルバイアルの前記第2の圧力を前記初期圧力に戻す、
ように構成される、請求項8に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項16:
サンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する流量センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して前記サンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、
前記流量センサから1組の信号を受信するステップと、
(c)前記1組の信号から、前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(d)前記検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
請求項17:
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、
前記1組の信号内の値の変化を判定し、
前記値の変化から、前記サンプルプローブからサンプルバイアルが取り外されていることを判定する、
ように構成される、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項18:
請求項16記載のガスクロマトグラフィー・システムにおいて、前記システムは、ステップ(a)およびステップ(b)の間に前記サンプルプローブ内で一定の圧力レベルを維持することを試行する、前記ガスクロマトグラフィー・システム。
請求項19:
前記修復は、排出処理が失敗したことをプロセッサが検出する場合にクロマトグラフィー機能を終了することをさらに含む、請求項16に記載のクロマトグラフィー・システム。
請求項20:
前記プロセッサは、ステップ(c)において、さらに、前記1組の信号内で値の変化が発生していないことを判定し、
前記サンプルプローブからのサンプルバイアルの取り外しが失敗したか、前記サンプルバイアルのセプタム内で前記サンプルプローブが動かなくなっているか、または、前記サンプルプローブが詰まっているか、を前記1組の信号から判定する、
ように構成される、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項21:
前記プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルをサンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項16に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項22:
サンプルプローブと、
前記サンプルプローブに流体連通する流体源と、
前記サンプルプローブに流体連通する流量センサと、
プロセッサと
を含むガスクロマトグラフィー・システムであって、前記プロセッサは、
(a)排出処理を実行して前記サンプルプローブからサンプルバイアルを取り外すステップと、
(b)前記流体源を介して流体を前記サンプルプローブに流すステップと、
(c)前記ステップ(b)の間に前記流量センサから1組の信号を受信するステップと、
(d)前記1組の信号から前記排出処理が成功しているかどうかを検出するステップと、
(e)前記検出ステップに応答して、修復および警告からなる群より選択される1つ以上の動作を開始するステップと
を行うように構成される、ガスクロマトグラフィー・システム。
請求項23:
さらに、前記サンプルプローブと流体連通する圧力センサを含み、前記1組の信号のうちの一部が前記圧力センサから受信される、請求項22に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
請求項24:
前記プロセッサは、ステップ(e)において、さらに、
バイアルアクチュエータを制御して、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して、サンプルバイアルを前記サンプルプローブに向かって付勢するか、または、
バイアルラックを制御して付勢するように構成され、前記付勢は、前記排出処理が失敗したことの判定に応答して発生する、請求項24に記載のガスクロマトグラフィー・システム。
図1
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