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  • 特許-カプセルマーキング装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】カプセルマーキング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20250610BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20250610BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/00 G
G01N21/85 A
A61J3/07 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022575164
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047188
(87)【国際公開番号】W WO2022153796
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2024-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2021004673
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】大北 幸輔
(72)【発明者】
【氏名】松谷 和明
(72)【発明者】
【氏名】安井 淳祐
(72)【発明者】
【氏名】櫻本 博
【審査官】齋藤 健児
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-126309(JP,A)
【文献】特表2014-534903(JP,A)
【文献】特開2004-340770(JP,A)
【文献】特開2020-182828(JP,A)
【文献】特開2020-108965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
G01N 21/85、21/89
A61J 3/06、3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルを搬送路に沿って搬送する搬送部と、搬送されるカプセルを撮像して第1撮像データを取得する第1撮像部と、搬送されるカプセルにマーキングを行うマーキング部と、前記第1撮像データに基づきカプセルにマーキング領域を設定して前記マーキング部の作動制御により前記マーキング領域にマーキングパターンを形成する制御部とを備えるカプセルマーキング装置であって、
搬送中のカプセルを前記搬送路から選択的に離脱させる離脱部を更に備え、
前記制御部は、前記離脱部の作動制御により、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準以上のカプセルを、マーキングパターンを形成することなく離脱させるカプセルマーキング装置。
【請求項2】
前記マーキングパターンが形成されたカプセルを撮像して第2撮像データを取得する第2撮像部を更に備え、
前記制御部は、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準未満の場合に、前記第1画像データと前記第2画像データとの差分データに基づいて前記マーキングパターンの良否を判別する請求項1に記載のカプセルマーキング装置。
【請求項3】
前記搬送路は、直線状に形成されており、
前記第1撮像部は、撮像方向が前記搬送路と直交するように配置されたカメラと、前記搬送路に対して前記カメラと同じ側に配置された反射照明部と、前記搬送路に対して前記カメラと反対側に配置された透過照明部とを備える請求項1または2に記載のカプセルマーキング装置。
【請求項4】
前記反射照明部は、リング照明と、前記リング照明と前記搬送路との間に配置された第1偏光板と、前記カメラと前記搬送路との間に配置されて偏光軸が前記第1偏光板の偏光軸と直交する第2偏光板とを備える請求項3に記載のカプセルマーキング装置。
【請求項5】
前記反射照明部は、前記第2偏光板を移動させる偏光板駆動部を更に備える請求項4に記載のカプセルマーキング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1撮像データにおけるカプセルの輪郭により特定したカプセルの姿勢に基づき前記マーキング領域を設定する請求項1から5のいずれかに記載のカプセルマーキング装置。
【請求項7】
前記マーキング部は、COレーザを照射してマーキングを行う請求項1から6のいずれかに記載のカプセルマーキング装置。
【請求項8】
搬送路を搬送されるカプセルを第1撮像部により撮像して第1撮像データを取得し、前記第1撮像データに基づきカプセルにマーキング領域を設定する第1撮像ステップと、
前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準以上のカプセルを前記搬送路から離脱させる離脱ステップと、
前記離脱ステップを経て搬送されるカプセルの前記マーキング領域にマーキングパターンを形成するマーキングステップとを備えるカプセルマーキング方法。
【請求項9】
前記マーキングステップは、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準未満の場合に、前記シームを避けて前記マーキングパターンを形成する請求項8に記載のカプセルマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルマーキング装置および方法に関し、より詳しくは、ソフトカプセルやハードカプセル等の可食カプセルへのマーキングに好適なカプセルマーキング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルへのマーキングを行うことができる装置として、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。この装置は、錠剤やカプセル等の可食体を搬送する搬送手段と、可食体を撮像して方向データを取得する検出手段と、可食体にマーキングパターンを形成するマーキング手段と、可食体に形成されたマーキングパターンを検査するマーキング検査手段とを備えている。この装置は、可食体の方向データに基づいてマーキングを行うことができるため、可食体が割線錠の場合には、割線と交差しないように割線に沿ってマーキングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6402105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カプセルからなる可食体については、表面にシーム(継ぎ目)が存在する場合があり、例えば、ソフトカプセルについては、ロータリー式で成形される皮膜間のヒートシール部がシームとして現れる。このシームは、割線錠の割線のようにマーキング領域に常に現れるものではなく、マーキング領域に重ならない場合には、マーキングの視認性に影響を与えない。ところが、マーキング領域にシームが重なった場合には、シームを回避してマーキングを行うことが困難であり、マーキングの視認性が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、視認性が良好なマーキングを効率よく行うことができるカプセルマーキング装置および方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、カプセルを搬送路に沿って搬送する搬送部と、搬送されるカプセルを撮像して第1撮像データを取得する第1撮像部と、搬送されるカプセルにマーキングを行うマーキング部と、前記第1撮像データに基づきカプセルにマーキング領域を設定して前記マーキング部の作動制御により前記マーキング領域にマーキングパターンを形成する制御部とを備えるカプセルマーキング装置であって、搬送中のカプセルを前記搬送路から選択的に離脱させる離脱部を更に備え、前記制御部は、前記離脱部の作動制御により、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準以上のカプセルを、マーキングパターンを形成することなく離脱させるカプセルマーキング装置により達成される。
【0007】
このカプセルマーキング装置は、前記マーキングパターンが形成されたカプセルを撮像して第2撮像データを取得する第2撮像部を更に備えることが好ましく、前記制御部は、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準未満の場合に、前記第1画像データと前記第2画像データとの差分データに基づいて前記マーキングパターンの良否を判別することが好ましい。
【0008】
前記搬送路は、直線状に形成されていることが好ましく、前記第1撮像部は、撮像方向が前記搬送路と直交するように配置されたカメラと、前記搬送路に対して前記カメラと同じ側に配置された反射照明部と、前記搬送路に対して前記カメラと反対側に配置された透過照明部とを備えることが好ましい。この構成において、前記反射照明部は、リング照明と、前記リング照明と前記搬送路との間に配置された第1偏光板と、前記カメラと前記搬送路との間に配置されて偏光軸が前記第1偏光板の偏光軸と直交する第2偏光板とを備えることが好ましく、前記第2偏光板を移動させる偏光板駆動部を更に備えることが好ましい。
【0009】
前記制御部は、前記第1撮像データにおけるカプセルの輪郭により特定したカプセルの姿勢に基づき前記マーキング領域を設定することが好ましい。
【0010】
前記マーキング部は、COレーザを照射してマーキングを行うことが好ましい。
【0011】
また、本発明の前記目的は、 搬送路を搬送されるカプセルを第1撮像部により撮像して第1撮像データを取得し、前記第1撮像データに基づきカプセルにマーキング領域を設定する第1撮像ステップと、前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準以上のカプセルを前記搬送路から離脱させる離脱ステップと、前記離脱ステップを経て搬送されるカプセルの前記マーキング領域にマーキングパターンを形成するマーキングステップとを備えるカプセルマーキング方法により達成される。前記マーキングステップは、前記第1撮像データにおける前記マーキング領域内のシームの大きさが所定基準未満の場合に、前記シームを避けて前記マーキングパターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視認性が良好なマーキングを効率よく行うことができるカプセルマーキング装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るカプセルマーキング装置の概略正面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1に示すカプセルマーキング装置の要部を示す平面図である。
図4図1に示すカプセルマーキング装置の他の要部を示す平面図である。
図5図1に示すカプセルマーキング装置のブロック図である。
図6図1に示すカプセルマーキング装置の作動を説明するための図である。
図7図1に示すカプセルマーキング装置の他の作動を説明するための図である。
図8図1に示すカプセルマーキング装置の更に他の作動を説明するための図である。
図9図1に示すカプセルマーキング装置の更に他の作動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、 本発明の一実施形態に係るカプセルマーキング装置の概略正面図である。図1に示すように、カプセルマーキング装置1は、搬送部2と、第1撮像部30と、マーキング部40と、第2撮像部50と、離脱部60とを備えている。
【0015】
図2図1のA-A断面図であり、図3図1に示す搬送部2の要部平面図である。図1から図3に示すように、搬送部2は、第1搬送装置10および第2搬送装置20を備えている。第1搬送装置10は、笠状のディスク11と、ディスク11を収容する中間リング12と、中間リング12を収容する回転リング13とを備えている。
【0016】
ディスク11および回転リング13の回転軸11a,13aが鉛直方向に延びるのに対し、中間リング12の回転軸12aは、回転軸11a,13aに対して若干傾斜するように配置されている。回転軸11a,12a,13aは、それぞれ減速機11b,12b,13bを介して、個別に設けられたモータ等の駆動源(図示せず)に接続されており、ディスク11、中間リング12および回転リング13を、それぞれ独立に回転駆動することができる。
【0017】
中間リング12および回転リング13の上部には、周方向に沿って搬送面12c,13cがそれぞれ形成されている。回転リング13の搬送面13cは、径方向外側がリング状の突部13dにより覆われている。
【0018】
第2搬送装置20は、それぞれの回転軸21a,22aが水平に配置された第1プーリ21および第2プーリ22と、第1プーリ21および第2プーリ22に巻き掛けられた無端状のベルト体23と、ベルト体23の搬送方向に沿って配置されたガイド部材24とを備えている。第2プーリ22の径は、第1プーリ21の径よりも小さい。第1プーリ21と第2プーリ22との間に位置するベルト体23の直線部は、第1プーリ21および第2プーリ22の上方で水平に配置されて直線状の搬送路2aが形成される一方、第1プーリ21および第2プーリ22の下方において傾斜している。
【0019】
図2に示すように、第1プーリ21は、2つの円板21b,21cが互いに間隔をあけた状態で回転軸21aにより連結されて構成されている。第2プーリ22も、第1プーリ21と同様に、互いに間隔をあけて回転軸22aにより連結された2つの円板を備えている。本実施形態においては、第1プーリ21を駆動モータ(図示せず)に接続された駆動プーリとして、第2プーリ22を従動プーリとしているが、第1プーリ21を従動プーリとして第2プーリ22を駆動プーリとしてもよい。
【0020】
ベルト体23は、帯状の2つの搬送ベルト23a,23bを備えており、各搬送ベルト23a,23bが、第1プーリ21の円板21b,21cにそれぞれ巻き掛けられている。2つの搬送ベルト23a,23bの間には、微細な隙間からなる開口部23cが、ベルト体23の全周にわたって形成されている。搬送ベルト23a,23bは、例えば、シリコンゴム等の軟質材料からなる平ベルトにより形成することができるが、Vベルトや歯付きベルト等を使用してもよい。
【0021】
図1に示すように、ガイド部材24は、第1プーリ21と第2プーリ22との間で搬送路2aに沿って水平に延びるベルト体23の近傍直下に配置された直線部24aと、直線部24aの搬送方向両側にそれぞれ設けられた円弧部24b,24cとを備えている。各円弧部24b,24cは、第1プーリ21および第2プーリ22が備える2つの円板の間にそれぞれ挿入されており、第1プーリ21および第2プーリ22に巻き掛けられたベルト体23に沿って円弧状に湾曲するように形成されている。
【0022】
図2に示すように、ガイド部材24は中空筒状に形成されており、ガイド部材24がベルト体23の開口部23cに対向する部分には、開口部23cに沿ってスリット状の吸引部25が形成されている。ガイド部材24の内部は、真空ポンプ(図示せず)の作動により減圧可能とされており、ベルト体23の開口部23cを介してカプセルCを吸引部25に吸引することにより、カプセルCをベルト体23に吸着させた状態でベルト体23と共に搬送することができる。本実施形態のベルト体23の開口部23cは、2つの搬送ベルト23a,23bの間に長手方向に沿って連続的に形成されているが、ベルト体23を単一の帯状ベルトとして、この帯状ベルトの長手方向に沿って円形状、楕円形状、スリット状などの開口部を断続的に形成してもよい。
【0023】
図4は、図1の搬送路2aの近傍を拡大して示す平面図である。図4に示すように、第1撮像部30は、カメラ31と、反射照明部32と、透過照明部33とを備えている。カメラ31は、CCDエリアカメラやCCDラインカメラ等からなり、撮像方向が搬送路2aと平面視で直交するように配置されて、搬送路2aを搬送されるカプセルCを、ベルト体23の上面に沿って水平方向に撮像する。カメラ31の撮像方向は、ベルト体23の上面と略平行であることが好ましいが、カプセルCの最下部がベルト体23の開口部23cに入り込んでいる場合には、ベルト体23の上方から斜め下方に撮像してもよい。一例として、カメラ31の撮像方向とベルト体23の上面とのなす角度は、0~15度の範囲に設定することができる。
【0024】
反射照明部32は、搬送路2aに対してカメラ31と同じ側に配置されて、カプセルCをカメラ31と同じ側から白色LED等により照明する。本実施形態の反射照明部32は、カプセルCを全周から均一に照明することができるリング照明32aと、第1偏光板32bと、第2偏光板32cとを備えている。リング照明32aの照明光は、可視光以外に赤外線等であってもよい。
【0025】
第1偏光板32bは、リング状に形成されて、リング照明32aの近傍に配置されており、リング照明32aと搬送路2aとの間に介在されることで、リング照明32aからの出射光が直線偏光となってカプセルCに照射される。第2偏光板32cは、カメラ31のレンズ部を覆うようにカメラ31の近傍に配置されており、カメラ31と搬送路2aとの間に介在されることで、カプセルCの表面反射光が通過してカメラ31で観測される。 第2偏光板32cは、偏光軸が第1偏光板32bの偏光軸と直交するように配置されている。第2偏光板32cは、アクチュエータ等の偏光板駆動部32dにより移動可能に構成されており、偏光板駆動部32dの駆動軸の回転により、図4に2点鎖線で示すように、第2偏光板32cをカメラ31の前方から退避させることができる。偏光板駆動部32dは、第2偏光板32cを直線的に移動させてカメラ31の前方から退避させる構成であってもよい。
【0026】
透過照明部33は、搬送路2aに対してカメラ31と反対側に配置されて、カプセルCをカメラ31と反対側から白色LED等により照明する。本実施形態の透過照明部33は、複数の発光素子がマトリクス状に配置された面光源である。透過照明部33の照明光は、可視光以外に赤外線等であってもよい。
【0027】
マーキング部40は、レーザマーキング装置であり、所定位置に搬送されたカプセルCの表面をレーザスポットの走査により加熱変性させることで、マーキングを行うことができる。カプセルCの表面には、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等の変色誘起酸化物を含有させてもよい。
【0028】
マーキング部40のレーザ光は、YVO レーザ光、YLFレーザ光、YAGレーザ光などの固体レーザ光や、エキシマレーザ光、CO(炭酸ガス)レーザ光などの気体レーザ光、色素レーザ光などの液体レーザ光を例示することができる。特に、COレーザ光は、カプセルCの表面で吸収され易く、カプセルCへの浸透性が低いために、カプセルCの表面に効果的に作用させることができ、カプセルCが透明カプセルである場合にも、表面を白く変性させて鮮明なマーキングを行うことができる。
【0029】
マーキング部40は、基準座標系での座標データを加工座標系での座標データに変換することにより、カプセルCを移動・回転させることなくカプセルCの姿勢に合わせてマーキング可能であることが好ましい。このような装置としては、レーザマーキング装置以外に、インクジェット印刷装置などを例示することができる。
【0030】
第2撮像部50は、第1撮像部30と同様に、カメラ51と、反射照明部52と、透過照明部53とを備えており、反射照明部52は、リング照明52aと、第1偏光板52bと、第2偏光板52cと、偏光板駆動部52dとを備えている。第2撮像部50の各要素の構成や配置は、第1撮像部30の各要素の構成や配置と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0031】
離脱部60は、搬送路2aの近傍において、第1撮像部30とマーキング部40との間に配置されており、搬送路2aを搬送されるカプセルCに対して圧縮エアを噴射することにより、搬送路2aからカプセルCを選択的に離脱させることができる。離脱部60の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、搬送路2a上のカプセルCを物理的に押圧して搬送路2aから離脱させるプッシャ等であってもよい。離脱部60の作動により搬送路2aから離脱したカプセルCは、搬送路2aの下方に配置された第1搬送装置10に直接またはシュータ(図示せず)を介して落下し、搬送路2aに向けて再び搬送される。
【0032】
図5にブロック図で示すように、上記の搬送部2、第1撮像部30、マーキング部40、第2撮像部50および離脱部60の作動は、制御部70により制御される。
【0033】
次に上記の構成を備えるカプセルマーキング装置1の作動を説明する。搬送部2の第1搬送装置10のディスク11、中間リング12および回転リング13を同方向に回転駆動した状態で、ディスク11上にカプセルCを複数供給することにより、カプセルCが遠心力を受けて、中間リング12の搬送面12cを介して回転リング13の搬送面13cに移動する。こうして、搬送面13cにカプセルCを一列に整列させて、回転リング13の回転方向(図3の矢示D1方向)にカプセルCを搬送することができる。ディスク11、中間リング12および回転リング13の回転速度は、ディスク11の回転速度が最も遅く、回転リング13の回転速度が最も速くなるように、それぞれ設定されることが好ましく、これによって回転リング13によるカプセルCの確実な整列搬送を促すことができる。
【0034】
第1搬送装置10は、回転リング13の搬送面13cにカプセルCを整列させて回転リング13の回転方向に搬送する構成であればよく、例えば、中間リング12を設けずに、ディスク11および回転リング13の各回転軸を互いに傾斜させ、ディスク11上に供給されたカプセルCを、回転リング13の搬送面13cに直接移動させる構成であってもよい。回転リング13の回転軸13aは、本実施形態のように鉛直方向に沿って配置することが好ましいが、上下方向に延びる配置であればよく、例えば、鉛直方向に対して回転軸13aが若干傾斜してもよい。
【0035】
第1搬送装置10により第2搬送装置20に向けて整列搬送されたカプセルCは、吸引部25の吸引により、第1プーリ21の下部近傍でベルト体23に順次吸着されて上昇し、吸着状態のまま第1プーリ21および第2プーリ22の上方を、図3の矢示D2方向に直線的に搬送される。こうして、第1搬送装置10で整列したカプセルCが、第2搬送装置20により整列状態を維持しつつ、直線状の搬送路2aに沿って搬送される。
【0036】
回転リング13からベルト体23へのカプセルCの受け渡し位置においては、本実施形態のように、回転リング13による搬送方向とベルト体23による搬送方向とが一致することが好ましく、これによってカプセルCの受け渡しを確実に行うことができる。また、ベルト体23によるカプセルCの搬送速度を、回転リング13によるカプセルCの搬送速度よりも速くすることで、ベルト体23により整列搬送されるカプセルCの整列ピッチを広げることができる。
【0037】
搬送路2aを搬送されるカプセルCは、第1撮像部30を通過する際に、側面が撮像されて、第1撮像データが取得される。制御部70は、第1撮像データに基づき、カプセルCにマーキング領域を設定する。こうして、カプセルCに対する第1撮像ステップが行われる。
【0038】
カプセルCが無色透明カプセルの場合、制御部70は、図6(a)に示すように、透過照明部33を点灯させる一方で反射照明部32を消灯し、透過照明部33によりカプセルCを照明する。透過照明部33の照明光は、一部がカプセルCを透過してカメラ31に入射するため、第1撮像データには、カプセルCの輪郭が現れると共に、カプセルCの撮像範囲にシーム(継ぎ目)が存在する場合に、シームに対応する部分が影となって現れる。透過照明部33により照明を行う場合には、照明光の光量低下を抑制するため、偏光板駆動部32dを作動させて、第2偏光板32cをカメラ31の前方から退避させることが好ましい。
【0039】
これに対し、カプセルCが有色透明カプセルまたは非透明カプセルの場合、制御部70は、図6(b)に示すように、反射照明部32を点灯させる一方で透過照明部33を消灯し、反射照明部32によりカプセルCを照明する。反射照明部32の照明光は、第1偏光板32bで直線偏光となってカプセルCに照射され、カプセルCの表面反射光が、第2偏光板32cを経てカメラ31に入射する。第2偏光板32cの偏光軸は、第1偏光板32bの偏光軸と直交しているため、カプセルCの表面での正反射光による照明の映り込みが除去されて、拡散反射光のみがカメラ31で観測される。したがって、カプセルCが特に有色透明カプセルである場合に、カプセルCの表面のてかりを効果的に抑制することができ、カプセルCの輪郭およびシームが明瞭な第1撮像データを得ることができる。
【0040】
反射照明部32による反射照明、および、透過照明部33による透過照明のいずれを選択するかは、それぞれの条件で得られた第1撮像データ同士を比較することにより、カプセルCの種類ごとに予め決定してもよい。あるいは、搬送部2による搬送中にカプセルCの照明光透過率を測定し、この測定結果に基づいて制御部70が自動で選択するように構成することもできる。
【0041】
第1撮像データにおけるカプセルCへのマーキング領域の設定は、搬送路2aを搬送されるカプセルCの姿勢に基づいて行われる。図7(a)に示すように、ベルト体23上のカプセルCは、通常は最も安定する姿勢でベルト体23に吸着されるが、カプセルCの吸着箇所によっては、図7(b)に示すように、カプセルCが若干起立した姿勢でベルト体23に吸着される場合がある。制御部70は、カプセルCの種々の姿勢に対応する輪郭およびマーキング領域を予め記憶しておき、第1撮像データに含まれる輪郭を照合することにより、図7(a)および(b)に示すように、カプセルCの姿勢に応じたマーキング領域Mを設定することができる。カプセルCのマーキング領域Mは、第1撮像データに含まれるカプセルCの輪郭を基準輪郭と比較し、基準輪郭に対する回転角度を演算して特定することも可能である。
【0042】
制御部70は、第1の撮像データに設定されたマーキング領域Mにシームが存在するか否かを判別し、シームが存在する場合には、シームの大きさを演算する。搬送路2aを搬送されるカプセルCの表面におけるシームの位置はランダムであるため、図8(a)に示すように、シームSがマーキング領域Mに重ならない場合には、マーキング不良の問題は生じない一方、図8(b)に示すように、シームSがマーキング領域Mに重なると、マーキングの視認性が低下するおそれがある。
【0043】
制御部70は、マーキング領域M内のシームの大きさが、マーキングの視認性に悪影響を与える所定基準以上の場合に、カプセルCが離脱部60を通過するタイミングで離脱部60を作動させ、カプセルCを搬送路2aから離脱させる。こうして、カプセルCの離脱ステップが行われる。搬送路2aから離脱したカプセルCは、第1搬送装置10に落下して搬送路2aに向けて搬送され、第1の撮像ステップが再び行われる。搬送路2aから離脱したカプセルCは、容器等に回収されるように構成してもよく、一定量のカプセルCが貯留された後に、第1搬送装置10に供給してもよい。マーキング領域M内のシームSの大きさは、例えば、マーキング領域Mに占めるシームの面積割合とすることができるが、マーキング領域Mに存在するシームの長さや太さ等をシームの大きさとしてもよい。
【0044】
制御部70は、マーキング領域M内のシームの大きさが所定基準未満の場合には、離脱部60を作動させずにカプセルCを通過させ、マーキング部40にカプセルCが搬送されたタイミングでマーキングを行う。マーキング部40は、文字、数字、記号、図形等やこれらの組み合わせからなるマーキングパターンの基準座標系での座標データが、メモリに予め格納されている。制御部70は、カプセルCの姿勢に応じて設定されたマーキング領域に沿ってマーキングパターンが形成されるように、基準座標系での座標データを加工座標系での座標データに変換し、この加工座標系でマーキング部40のレーザスポットの駆動制御を行う。こうして、カプセルCに対するマーキングステップが行われる。加工座標系での座標データの回転やシフト等により、マーキング領域M内に存在するシームを避けてマーキングパターンを形成することが可能な場合には、このようなマーキング(すなわち、マーキング領域内のシーム以外の箇所へのマーキング)を行うことで、シームによるマーキングパターンの視認性への悪影響を更に抑制することができる。
【0045】
マーキングが行われたカプセルCは、搬送路2aに沿って第2撮像部50に向けて搬送され、第2撮像部50を通過する際にマーキング領域を含む側面が撮像されて、第2撮像データが取得される。制御部70は、第2撮像データに基づき、マーキング領域内のマーキングパターンの良否を判別する。こうして、カプセルCに対する第2撮像ステップが行われる。第2撮像部50の照明条件は、第1撮像部30の照明条件と同じに設定することが好ましく、第1撮像部30で反射照明部32による反射照明を行った場合には、第2撮像部50で反射照明部52による反射照明を行う一方、第1撮像部30で透過照明部33による透過照明を行った場合には、第2撮像部50で透過照明部53による反射照明を行う。
【0046】
制御部70は、マーキングパターンに対応する基準パターンデータがメモリ部に予め格納されており、第2撮像データのマーキング領域からマーキングパターンデータを抽出して基準パターンデータと比較することにより、マーキングパターンの良否を判別する。
【0047】
マーキング領域にシームが存在しない場合には、上記のように第2撮像データに基づいてマーキングパターンの良否を判別することができるが、第2撮像データのマーキング領域には、所定基準未満の大きさのシームが存在する可能性があるため、マーキングパターンの良否の判別は、第1撮像部30が取得した第1画像データと、第2撮像部50が取得した第2画像データとの差分データに基づいて、行ってもよい。
【0048】
例えば、図9(a)に示すように、第1画像データのマーキング領域Mに所定基準未満の大きさのシームSが存在する場合、制御部70は、図9(b)に示す第2画像データのマーキング領域Mから、図9(a)に示す第1画像データのマーキング領域Mを除去することにより、図9(c)に示すマーキング領域Mの差分データを取得することができる。図9(c)に示す差分データには、マーキングパターンPから、図9(a)に示すシームSに相当する部分が欠落するが、シームSの大きさは、マーキングパターンPの視認性に悪影響を与えない所定基準未満の大きさであることから、マーキングパターンPの良否判別を精度よく行うことができる。
【0049】
図1に示すように、マーキングパターンの良否判別が行われたカプセルCは、制御部70が振分ダンパ80の作動を制御することにより、良品ボックス81と不良品ボックス82とに振り分けられる。
【0050】
本実施形態のカプセルマーキング装置1によれば、カプセルCのシームSがマーキング領域Mに重なった場合に、シームSが所定基準以上の大きさか否かを判別し、所定基準以上の大きさの場合に、マーキングパターンを形成することなくカプセルCを搬送路2aから離脱させることができるので、視認性が良好なマーキングを効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 カプセルマーキング装置
2 搬送部
2a 搬送路
30 第1撮像部
40 マーキング部
50 第2撮像部
60 離脱部
70 制御部
C カプセル
S シーム
M マーキング領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9