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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】組織カセットリーダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20250610BHJP
   G01N 1/36 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N1/36
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023021343
(22)【出願日】2023-02-15
(65)【公開番号】P2024072751
(43)【公開日】2024-05-28
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】17/988,685
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504462571
【氏名又は名称】サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホェイジー マイケル ヤン
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-537127(JP,A)
【文献】国際公開第2022/117094(WO,A1)
【文献】米国特許第10706247(US,B1)
【文献】特表2022-508799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組織カセットの容器内の組織カセット上の識別子を識別するための装置であって、
テーブルの上に取り付けることができる基部と、
前記基部に結合され、前記基部の上方で、所定距離突出し、カメラアレイを備える携帯電話を、前記カメラアレイが前記基部の方向に向くような位置に収容するように動作可能であるキャリッジと、
前記キャリッジに接続され、前記キャリッジおよび前記基部のうちの一方を他方に対して移動させるように動作可能である機械可読命令を含むコントローラと、
前記キャリッジに収容された前記携帯電話は、前記基部内に配置された前記複数の組織カセットの前記容器内に含まれる各前記組織カセット上の各識別子のそれぞれ複数の画像を、連続的に撮影できる速度で自動的に撮影し、各画像の捕捉は前記容器の領域よりも小さい視野を包含し、捕捉された各画像内の各組織カセット上の識別子を読み取り、捕捉された画像のうち前の画像から読み取られた識別子を破棄または無視するように指示する機械可読命令を含む、装置。
【請求項2】
前記基部は、前記容器の配向指定部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記キャリッジに接続されたセンサバーをさらに備え、前記センサバーは、1つ以上の光電センサを備え、前記1つ以上の光電センサは、前記キャリッジ内に収容された携帯電話のカメラアレイの視野内で光を放射するエミッタと、反射した放射光を受信する受信機と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記センサバーは、前記センサバー上に直線状に配置され、かつ前記キャリッジ内の携帯電話の下方に位置するバスケット内で行状に配置された組織カセットの間隔に対応して間隔が空いた複数の光電センサを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記キャリッジは、前記基部に対して前記方向に移動するように動作可能であり、前記センサバーは、前記キャリッジと共に移動されるように動作可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記キャリッジに接続された少なくとも1つの光源であって、前記少なくとも1つの光源から前記基部に光を放射するように動作可能である少なくとも1つの光源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基部内に取り外し可能に位置するように動作可能であるトレイをさらに備え、前記トレイは、前記容器を収容する寸法を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記トレイは、前記キャリッジおよび前記基部のうちのいずれかの移動方向と直交する方向に移動するように動作可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャリッジに接続され、前記携帯電話を充電するように動作可能である充電器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記充電器は、携帯電話にワイヤレス充電接続を提供するように動作可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャリッジの機械可読命令は、前記携帯電話から受信された命令に基づいて、前記キャリッジおよび前記基部のうちの一方を他方に対して所定方向に移動させる命令を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
方法であって、
基部に接続され、前記基部の上方で、ある距離突出したキャリッジ内に携帯電話を配置することと、
前記キャリッジの下方に容器を配置することであって、前記容器は、複数の組織カセットを備え、前記複数の組織カセットの各々の前面上に識別子を含み、複数の組織カセットの各々の前面が前記キャリッジに面している状態である、ことと、
前記複数の組織カセットが前記容器内に残っている状態で、前記キャリッジおよび前記基部のうちの一方が他方に対して移動し、前記複数の組織カセットの各識別子の複数の画像のそれぞれが携帯電話の別個の視野内に連続的に捕捉されることと、
前記容器の面積よりも小さい領域を読み取り、複数の組織カセットのそれぞれにある識別子の連続的に捕捉された複数の画像のそれぞれを読み取り、以前に捕捉された画像によって読み取られた識別子を破棄または無視することと、を含む方法。
【請求項13】
前記複数の組織カセットの各々の前記捕捉された識別子を前記携帯電話によって読み取ることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の画像を連続的に捕捉することは、前記容器の第2の領域の第2の画像を捕捉する前に、前記容器の第1の領域の第1の画像を捕捉することを含み、前記第2の領域の一部は、前記第1の領域の一部に重複する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の画像および前記第2の画像の各々の前記複数の組織カセットの各々の前記捕捉された識別子を読み取ることと、
前記第1の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子を、前記第2の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子と比較することと、
前記第1の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子、および前記第2の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子の任意の重複を識別することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
連続的に捕捉された前記画像から、前記容器内の複数の前記カセットの全体画像を前記携帯電話によってスティッチングすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
複数の画像を連続的に捕捉することは、前記容器上の第1のフォーカス位置で識別子の第1の画像を、前記容器上の第2のフォーカス位置で前記識別子の第2の画像を捕捉することを含み、前記第1のフォーカス位置から前記第2のフォーカス位置への変更の方向は、前記キャリッジおよび前記基部のいずれかの移動の方向と異なる、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
携帯電話によって実行されるときの方法を含む非一時的命令を含む機械可読媒体であって、前記方法は、
基部に接続され、前記基部の上方で、ある距離突出したキャリッジを備える装置に、前記キャリッジおよび前記基部のうちの一方を他方に対して所定方向に移動させるように指示することと、
前記移動に応じて、前記キャリッジ内の前記携帯電話によって、容器を含む前記キャリッジの下の領域の連続する画像を捕捉し、前記容器は複数の組織カセットを含み、前記複数の組織カセットの各々は、その前面に識別子を含み、前記複数の組織カセットの各々の前面は前記キャリッジに面しており、前記連続する画像は、前記キャリッジと前記基部のうちの一方が他方に対して移動している間に捕捉された前記容器内の複数の組織カセットの各々の複数の画像を含み、複数の組織カセットの各々の識別子の複数の画像の各々が、別個に前記容器の面積よりも小さい前記携帯電話の視野内で捕捉されることと、
複数の組織カセットのそれぞれにある識別子の連続的に捕捉された複数の画像のそれぞれを読み取ることと、
以前に捕捉された画像によって読み取られた識別子を破棄または無視することと、
前記連続する画像を全体画像にスティッチングすることと、
を含む、機械可読媒体。
【請求項19】
連続する画像を捕捉することを含む画像を捕捉することは、第2の領域の第2の画像を捕捉する前に、第1の領域の第1の画像を捕捉することを含み、前記第2の領域の一部は、前記第1の領域の一部に重複する、請求項18に記載の機械可読媒体。
【請求項20】
前記携帯電話は、捕捉された画像を再現するための1つ以上のカラーフィルタを備えるデジタル処理を含み、前記複数のカセットの少なくとも1つの前記識別子の読み取りの前に、方法は、前記1つ以上のカラーフィルタを除去することを含む、請求項18に記載の機械可読媒体。
【請求項21】
前記実行される非一時的命令は、
前記スティッチングされた画像を外部システムに送信することをさらに含む方法を含む、請求項18に記載の機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組織処理および担体識別。
【背景技術】
【0002】
病気の経過の診断のために身体から取られる組織は、多くの場合、当該組織を包埋するパラフィンブロックを生成してから薄い組織切片に切断するように組織実験室で処理される。当該組織切片は、分析のために病理医によって、スライド上に載せられ、染色され、顕微鏡下で見られ得る。これらの分析前処置は、一般に、順に、肉眼的検査、固定、脱水、透徹、パラフィン浸潤、および包埋を含む。当該処置は、生検材料を含む組織、手術で除去される大きな試料、または検死からの組織を処理するために使用される。
【0003】
肉眼的検査は、一般に、巨視的試料を説明すること、および当該巨視的試料のすべてまたは選択された部分を小さいプラスチックカセットなどのサンプル担体内に配置することで構成されている。当該プラスチックカセットは、組織がパラフィンブロックに処理されている間、当該組織を保持している。最初に、カセットを固定剤内に配置する。
【0004】
肉眼的検査の後、組織の固定が続く。固定の目的は、自己分解による劣化が生じないようにタンパク質の構造を変更することによって、可能な限り生きているような状態で組織を永久に保存することである。一度、組織が固着または固定されると、組織が微視的検査のために薄い切片にされ得る形態に組織を処理する必要がある。これが行われる通常の方法には、パラフィンが用いられる。パラフィン内への組織の包埋により、組織に固体支持マトリックスが提供され、1~20ミクロンのオーダーの厚さで当該組織を切片化することが可能になる。切片化するために、固着された組織をパラフィン内に入れることは、組織処理と呼ばれ、この処置の主なステップは、脱水、透徹、浸潤、その後、包埋である。
【0005】
水溶液で固着される組織は、パラフィンで直接浸潤させることができない。まず、脱水によって、組織から水を除去する必要がある。これは、異なる濃度(例えば、70パーセント→95パーセント→100パーセント)の一連のアルコールを用いて行われ得る。代替的には、脱水は、ホルマリンおよびアルコールの混合物で行われ得る。アセトンまたは異なる溶媒の混合物などの他の脱水剤も使用され得る。
【0006】
脱水の後、組織を透徹する。「透徹」は、包埋媒体(例えば、パラフィン)と混和できる物質を用いた、脱水剤および脂質の一部の除去で構成されている。最も一般的な透徹剤は、キシレンである。
【0007】
一度、透徹すると、組織は、パラフィンなどの包埋剤で浸潤される。最後に、カセット内の組織または当該カセットから除去される組織は、溶融パラフィン内に配置され、次いで、パラフィンが冷却されて、組織を切片化できるように組織を包埋またはカプセル化する固化ブロックを形成する。代替的には、組織は、切片化可能なカセットで処理され、カセットと共にパラフィンで包埋され、切片化され得る。一度、組織が固体パラフィンブロックで包埋されると、組織は、1つまたは複数のスライド上に配置され得る切片に切断され得る。これは、ミクロトームを用いて行われる。一度、切片が切断されると、当該切片は、任意のしわを除去するのに役立つ温水バスに浮かべられる。次いで、パラフィン内の組織切片は、ウォーターバスからピックアップされ、ガラスの顕微鏡スライド上に配置される。
【0008】
カセットなどのサンプル担体には、識別情報および/または処置情報が表示され得る。バーコードの導入により、組織のサンプル処理、包埋、切片化、生成から保管までの任意の検証ステップ中に、サンプル担体に印刷されたバーコードを機械で読み取り、サンプル担体を追跡することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面の図では、実施形態は、限定ではなく例示として示されている。本開示の「ある」または「一」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対してではなく、当該言及は、少なくとも1つを意味することに留意されたい。
図1】組織処理のために、被験者から取られた組織を準備する例示的な処置フローを示す。
図2】アレイ(例えば、マガジン、バスケット、または他の容器)からサンプル担体を取り出すことなく、バスケット、マガジン、または他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの上方斜視図を示す。
図3】携帯電話がデバイスのキャリッジに配置されており、組織カセットを収容したバスケットがデバイスの基部に収容された図2のデバイスを示す。
図4図2のデバイスの上方後方斜視図を示す。
図5図5Aから図5Cは、バスケットまたは容器内のカセットの画像の代表的な段階的捕捉を示す。
図6】バスケットまたは他の容器からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例の上方斜視図を示す。
図7】アレイ(例えば、マガジン、バスケット、または他の容器)からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例の上方斜視図を示す。
図8】アレイ(例えば、マガジン、バスケット、または他の容器)からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例の上方斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
組織カセットなどのサンプル担体上の識別子などの、サンプル担体からの情報を取得するように動作可能である自動化デバイスまたは装置が開示される。一実施形態では、デバイスは、単一のカセットの表示領域上のバーコードなどの識別情報(識別子)を、当該カセットがマガジン、バスケット、または容器などのアセンブリ内の他のカセットと共に存在する状態で検知するように動作可能である。別の実施形態では、デバイスまたは装置は、アセンブリ内の複数のカセット上の識別子の画像(例えば、2次元画像)を捕捉するように動作可能である。次いで、個々に検知されるか、複数のカセットの識別子の画像で捕捉されるかに関わらず、各識別子が読み取られ、マガジン、バスケット、または容器の内側のカセットの相対位置に関連付けられ、任意で記憶される。識別子に関して読み取られ、関連付けられ、任意で記憶された情報は、実験室(例えば、組織病理実験室)でのカセットの品質管理、ルーティング、およびトラッキングに使用され得る。
【0011】
図1は、上述の組織サンプル処理の代表的な初期の処置フロー(例えば、脱水、透徹、パラフィン浸潤、および包埋の前)を例示的に示す。図1は、例えば、身体(例えば、人体)から取られて容器15内に配置され、ホルマリンなどの固定剤20に浸漬された組織サンプル10を示す。一例では、組織サンプル10は、診断または法医学の目的で組織サンプルを評価する(例えば、病気の存在について評価する)ことを望む医師による医療処置で取得され得る。本実施形態では、容器15は、代表的に、組織が抽出された患者の名前、医師識別情報、および任意で所望の処理プロトコルなどの情報を含むかまたは表す、バーコードなどの識別子25を含む。
【0012】
診断または法医学の目的の評価の前に、組織サンプル10は、組織処理を受ける。組織処理の準備のために、組織サンプル10の全部または一部は、容器15からカセットに移され得る。図1は、カセットの2つの例を示す。カセット30Aは、一般に、側壁および基部によって定められる内部空間を有し、かつ格納可能でヒンジ式の蓋を有する硬質ポリマー材料の矩形の箱である。カセット30の前側壁または前面は、例えば、基部に対して45度の角度などの30度~50度の角度で配置され、他の側壁は、基部に対して約90度の角度で配置され得る。カセット30Aの一例は、カリフォルニア州トーランスのSakura Finetek USA,Inc.から市販で入手可能なTissue-Tek(登録商標)Uni-Cassette(登録商標)である。Tissue-Tek(登録商標)Uni-Cassette(登録商標)は、28ミリメートル(mm)の外形幅寸法、41mmの外形長さ、6mmの外形高さを有する。カセット30Bは、矩形フレーム31Bと、パラフィンと同様の切片化特性を有する材料のカセットと、を含む2パーツのカセットシステムまたはアセンブリである。フレーム31Bは、硬質ポリマー材料の側壁を含むが、蓋または基部を含まない。フレーム31Bの前側壁または前面は、例えば、基部に対して45度の角度などの30度~50度の角度で配置され、他の側壁は、基部に対して約90度の角度で配置され得る。カセットは、側壁および基部によって定められる内部空間を含む矩形状の本体と、格納可能でヒンジ式の蓋と、を含む。カセット側壁は、上方外向きに突出したフランジを含み、カセットがフレーム内に挿入されてアセンブリを形成するとき、フランジは、フレーム上の内向きの突起に引っ掛かって、カセットをフレーム内に保持する。カセット30Bの一例は、Tissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)フレーム内に嵌まるTissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)切片化可能カセットであり、カセットおよびフレームの両方がSakura Finetek USA,Inc.から市販で入手可能である。Tissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)切片化可能カセットおよびフレームアセンブリは、Tissue-Tek(登録商標)Uni-Cassette(登録商標)のカセットと同様の外形幅寸法および外形長さ寸法を有するが、硬質ポリマーの蓋がないため、少し低い外形高さ寸法を有し得る。本明細書の説明では、特に断らない限り、カセット30Aやカセット30Bなどの「カセット」は、Tissue-Tek(登録商標)Uni-Cassette(登録商標)のような一体型カセット、またはTissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)フレーム内に嵌まるTissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)切片化可能カセットのようなカセットアセンブリを含む。
【0013】
図1に示すように、カセット30Aおよびカセット30Bの各々は、患者情報、医師情報、および任意で組織サンプルについての処理プロトコルなどの情報を含むかまたは表すバーコードなどの識別子35を含む。識別子35は、技師によってカセット30の前側壁または前面に貼付される。代表的なバーコードは、1次元(1D)バーコードであってもよく、または2次元(2D)バーコードであってもよい。識別子35は、1Dバーコードとして示されている。識別子35は、カセットアセンブリ(例えば、フレーム31B)の場合、カセットもしくはフレームの前側壁もしくは前面に直接印刷されてもよく、カセットもしくはフレームの前側壁もしくは前面に接着剤で貼付されたラベルに印刷されてもよく、またはカセットもしくはフレームの前側壁もしくは前面の材料に刻まれてもよい。
【0014】
組織サンプル10またはその一部が、カセット30Aまたはカセット30B/フレーム31B内に収容され、対応する蓋が閉じられると、当該カセットは、例えば、同様の組織処理プロトコルを受け得る他のカセットと共にアレイ内に配置され得る。あるタイプのアレイは、マガジン40である。マガジン40は、対向する側壁および基部によって定められる空間を含む、金属またはポリマー材料の矩形容器である。マガジン40は、横方向に位置するわずか1つのカセットを収容するための内部の横方向または幅寸法(z寸法)と、複数のカセット(例えば、16個のカセット、20個のカセット)を各々、基部から上部/蓋に向けて整列または積層して収容するための縦方向または長さ寸法(x寸法)を有する。代表的なマガジンには、Sakura Finetek USA,Inc.のTissue-Tek AutoTEC(登録商標)マガジンおよびTissue-Tek Xpress(登録商標)マガジンが含まれる。Tissue-Tek Xpress(登録商標)マガジンは、6 1/8インチ(156ミリメートル(mm))の長さ(z)寸法、1 3/8インチ(35mm)の幅(x)寸法、および1 7/8インチ(48mm)の高さ(y)寸法を有する。
【0015】
別の例では、カセット30Aまたはカセット30B/フレーム31B(それぞれの蓋が閉じた状態)は、Sakura Finetek USA,Inc.から市販で入手可能なTissue-Tek VIP(登録商標)組織プロセッサで使用されるカセットバスケットなどの組織カセットバスケット41であるアレイ内に配置され得る。バスケット41は、空間を定める、対向する側壁のペアおよび基部を含む金属またはプラスチックの矩形容器であり得る。バスケット41は、蓋を有していない。対向する側壁および基部の一方には穴が開けられて、バスケット41の側壁および基部が、ある容量の液体を内部に保持することを防ぎ得る。バスケット41はまた、同様の材質の(穴が開けられ得る)仕切りを空間内に含む。図1は、代表的に、縦5列を作る4つの縦仕切り405と、横3行を作る2つの横仕切り410と、を含むバスケット41を示す。仕切り405および仕切り410は、バスケット41の側壁と共にセグメントを定め、各セグメントは、横方向に位置するわずか1つのカセットを収容するための内部の横方向または幅寸法(z寸法)と、複数のカセット(例えば、各セグメント内に10個のTissue-Tek(登録商標)Uni-Cassette(登録商標)または12個のTissue-Tek(登録商標)Paraform(登録商標)カセット)を収容するための縦方向または長さ寸法(x寸法)と、を含む。Tissue-Tek VIP(登録商標)組織プロセッサバスケットは、8.7インチ(222mm)の長さ(x)寸法と、5.9インチ(151mm)の幅(z)寸法と、1.8インチ(46mm)の高さ(y)寸法と、を有する。
【0016】
図1に示すように、各カセットは、各カセットの前側壁または前面が、マガジン40またはバスケット41の上部を向いて見えるように、直立または縦方向の位置に、マガジン40またはバスケット41内に配置される。カセットは、好ましくは、各カセットの角度のついた前側壁または前面が同様に配向される(例えば、カセットの基部は、隣接するカセットの上部/蓋に隣接して配向されるかまたは当該上部/蓋と接触する)ように配置される。
【0017】
図1を参照すると、マガジン40またはバスケット41は、個々のカセット内の組織サンプルが乾燥するのを抑制し、および/または組織サンプルが継続して固着または固定されることを可能にするために、ある容量の固定剤(固定剤55)を内部の空間に含む容器50内に配置され得る。マガジン40またはバスケット41は、場合により、カセットをマガジンまたはバスケット内に装填する前に、容器50内に配置され得る。マガジン40は、単独で、または他のマガジンと共に、容器50内に存在し得る。Tissue-Tek VIP(登録商標)組織プロセッサバスケットなどのバスケット41は、容器50の領域の実質的にすべてを占める寸法を有し得るため、容器50内に単独で存在し得る。Tissue-Tek VIP(登録商標)組織プロセッサバスケットよりも小さいバスケットは、寸法が許せば、別のバスケットと共に容器50内に存在し得る。容器50は、容器内のマガジンを整列させる、タブなどの特徴を含み得る。一実施形態では、容器50は、空間を定める側壁および基部を含む。容器50の上面は、露出し得る(蓋なし)。容器50は、内側に配置されるカセット容器のタイプ、すなわちマガジン40かバスケット41かを識別するための特徴をさらに含み得る。
【0018】
一例によれば、各々が組織サンプルを収容したカセットが、マガジンまたはバスケット内に収容され、任意で容器50内に収容されると、個々のカセット上の識別子を識別するように動作可能であるデバイスまたは装置によって、(前側壁または前面上の)各カセットに対応付けられた識別子が自動的に検知され得る(ブロック60、図1)。各カセット上の識別子は、カセットが容器50内のマガジンまたはバスケット内に残っている状態で検知され得る。容器50内の液位は、必要であれば、識別子を検知する前に下げられ得る。カセット上の識別子の検知は、例えば、容器50内のマガジンまたはバスケット内の各カセットの上にカメラを自動的に位置付けることによって個々に行われ得るか、または、例えば、マガジン内の複数のカセット、複数のマガジン内の個々のもしくは複数のカセット、もしくはバスケット内の複数のカセット(例えば、個々のマガジンによって区別されるか、もしくはバスケット41の縦仕切り405によって区別されるz方向行のカセット)の画像を検知(例えば、撮影)することによってまとめて検知され得る。この時、カセットに対応付けられた識別子を検知することで、組織処理の前に各組織サンプルが識別される。このような特徴は、特定の組織処理プロトコル用のマガジンまたはバスケット内のカセットまたは複数のカセットが、そのプロトコルを意図したものであることの確認を提供することによって品質管理機能を提供する。例えば、参照カセットが、マガジンまたはバスケット内に配置され得る。参照カセットは、マガジンまたはバスケットを特定の組織処理プロトコルに対応付ける識別子を含み得る(例えば、カセット30E、図1)。参照カセットから読み取られる識別子情報は、特定のマガジンまたはバスケット内の他の組織カセットの各々の識別子情報と比較され得る。比較後、マガジンまたはバスケット内のすべてのカセット上の識別子が参照カセットと同じ組織処理プロトコルを共有している場合、すべてのカセットで組織処理プロトコルが開始される。マガジン内の1つ以上のカセット上の識別子が参照カセットと同じ組織処理プロトコルを共有しない場合、当該1つ以上のカセットは、組織処理の前にマガジンまたはバスケットから取り出され得る。組織処理の前の識別子の検知は、組織サンプルの位置が分かるという意味でトラッキング機能も提供する。組織処理の前の識別子の検知は、カセットが、カセットで実行されるプロトコルについて技師に警告するのに役立ち得る特定の組織処理プロトコルについて識別されるルーティング機能も提供する。組織処理の前の識別子の検知はまた、同じ識別子が2つのカセット上に存在し得る(識別子の重複印刷)リスクを最小化する。各カセットが固有の識別子を含むことが望ましい。2つのカセットが誤って同じ識別子(例えば、同じバーコード)を含む場合、識別子を検知することによって、処理の前に誤りが特定および修正され得る。
【0019】
マガジン40またはバスケット41内の各カセットについての識別子の検知に続いて、マガジンまたはバスケットは、Tissue-Tek VIP(登録商標)組織プロセッサまたはXpress(登録商標)などの組織プロセッサ70内に配置され得る。組織プロセッサ70などの組織プロセッサは、組織サンプルを固着する1つ以上のステップ(例えば、脱水、透徹、浸潤)を進め得る。
【0020】
図2は、サンプル担体(例えば、組織カセット)上のバーコードなどの情報またはサンプル担体上のバーコードに含まれる情報を検知、読み取り、記憶、および出力することができる電子デバイスまたは装置の上側斜視図を示す。デバイス100は、テーブルまたは他の面上に取り付けられ、かつカセットなどのサンプル担体がデバイスに入れられるように動作可能である。デバイス100は、基部110と、支持体または台座115を介して基部110に接続されたキャリッジ120と、を含む。キャリッジ120は、携帯電話200などの携帯電話を収容するように動作可能であり得る。携帯電話またはスマートフォンは、ソフトウェアプログラムまたはアプリケーションを実行することができる無線携帯デバイスである。携帯電話またはスマートフォンは、iOS(Apple)、Android(Google)、またはWindows Phone(Microsoft)などのオペレーティングシステムと、プログラムまたはアプリケーションおよびデータを記憶することができるメモリ(例えば、フラッシュメモリ)と、(1つ以上のレンズ、オートフォーカス、フラッシュ、および集束した光子を電気信号に変換するセンサを含むが、これらに限定されない)カメラと、を有する。携帯電話の例には、Apple iPhone(登録商標)(例えば、iPhone12、iPhone13、iPhone13 Mini、iPhone14)、Google Pixel7、Samsung Galaxy S22、およびASUS ZenFone9が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される携帯電話またはスマートフォンには、基本電話通信を有していても有していなくてもよい、Apple iPad(登録商標)またはiPad Pro、Samsung Galaxy S8、およびMicrosoft(登録商標)Surface Pro8などのタブレットが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
デバイス100のキャリッジ120は、例えば、代表的に、6センチメートル(cm)~25cmの幅寸法(x寸法)および15cm~31cmの長さ寸法(z寸法)を有し得るクレードルを含む。クレードルは、携帯電話が水平方向(xz平面)に配置および支持され得るフレームを定める。フレーム内には、携帯電話がクレードルに配置されたときに、携帯電話のカメラレンズまたは複数のレンズがクレードルの下方の領域を見る/検知/撮像することを妨げられないようにし得る開口がある。代替的には、図2に示すように、キャリッジ120のクレードルのz寸法は、携帯電話200がクレードルに取り付けられたときに、レンズまたは複数のレンズを含む携帯電話の長さの一部がキャリッジ120を越えてz方向に延び、キャリッジ120によってカンチレバー式で支持されるように構成され得る。図2に示すように、キャリッジ120は、支持体または台座115の長さによって定められる、基部110からの垂直方向またはy寸法の距離、突出している。距離は、クレードルの下方のマガジン、バスケット、または他の容器内にカセットがあるときにカセット上の識別子の画像を捕捉するために、携帯電話のカメラについての距離によって決定され得る。一例では、距離は、1つのスクリーン画像がバスケット41または容器50の幅全体(z寸法)プラス多少の余裕を含むことができるように、携帯電話のレンズまたは複数のレンズによって決定され得る。代表的には、携帯電話の1倍レンズについて、代表的な距離は、例えば、iPhone12については14cmなど、12cm~16cmなどの10cm~18cmである。
【0022】
現在市販で入手可能な携帯電話には、様々なメーカーが存在することが理解される。当該電話は、例えば、1つのスクリーン画像がバスケット41または容器50の幅全体プラス多少の余裕を含むことができるように、デバイス100内に配置されたバスケット41または容器50からの、特定の電話が必要とする距離を変更し得るレンズを含むカメラ機能を有し得る。台座115は、そのy方向の長さを、キャリッジ120に配置される電話モデルに応じて変更することを可能にする特徴を含み得る。当該特徴は、台座115の本体内でy方向に延びるボールねじ1205を含み得る。ボールねじ1205は、台座115の本体およびモータ1206に接続され得る。モータ1206によるボールねじ1205の回転は、台座115(およびキャリッジ120)を上方または下方に移動させ得る。代替的には、キャリッジ120は、特定の携帯電話用に構成され得る。デバイス100内に配置されたバスケット41または容器50からの、携帯電話のレンズまたは複数のレンズの距離は、キャリッジ120によって決定され得る。例えば、あるキャリッジは、デバイス100内のバスケット41または容器50からの電話(例えば、電話200)の距離が、別のキャリッジよりも大きくなるように台座115に取り付けられ得る。
【0023】
デバイス100の基部110は、1つ以上のマガジン40を収容するように動作可能であり、および/またはバスケット41を収容するように動作可能である、バスケット41または容器50などの容器についての配向指定部を含む。デバイス100の基部110は、バスケット41または容器50の幅を収容するために、容器の長さよりも少し大きい長さ分(例えば、0.2インチ大きい、0.5インチ大きい)、x方向に突出したスパイン1105の形態であり得る。スパイン1105の各端には、スパイン1105から垂直方向(z方向)に突出した脚1110がある。各脚1110は、脚の間に配向されるように動作可能である容器またはバスケットのz方向幅よりも小さい、当該z方向幅と同等、または当該z方向幅よりも大きいz方向距離、突出し得る。脚1110の間のx方向距離は、例えば、台座115および電話200の所望のx方向移動に対応して、容器またはバスケット内にあり得、レンズまたは複数のレンズがカセットの真上になければ読み取ることができない可能性があるカセット識別子の上にレンズまたは複数のレンズを位置付けるために、容器またはバスケットのx方向幅よりも大きくてもよい。スパイン1105および脚1110は、容器(例えば、容器50)またはバスケット(例えば、バスケット41)が3つの側面で囲まれ得る2つの隣接する矩形の角を定める。図3は、スパイン1105および脚1110によってデバイス100内に収容されたバスケット41を内部に含む、図2のデバイスまたは装置100を示す。バスケット41は、カセット(例えば、カセット30Aおよび/またはカセット30B/フレーム31B)で満たされたバスケットの内容物の全体部分を含む部分を含み得る。
【0024】
デバイス100は、脚1110の間に嵌まる寸法(xz寸法)を有するドリップトレイ131も含み得る。ドリップトレイ131は、まとめて内部の空間を定める、対向する側壁のペアおよび基部を含み得る。ドリップトレイ131の長さ寸法(x寸法)および幅寸法(z寸法)は、図3(ドリップトレイ131内のバスケット41)に示すように、容器(例えば、容器50)またはバスケット(例えば、バスケット41(これも容器))がドリップトレイの空間内に嵌まるように選択され得る。基部110の脚1110の間に位置するとき、ドリップトレイ131は、一方または両方の脚1110および/またはスパイン1105に接続され得る。例えば、ドリップトレイ131の1つ以上の側壁は、脚1110および/またはスパイン1105内の溝に対応する上縁リップまたは外部に突出した突起もしくはフランジを含み得る。
【0025】
ドリップトレイ131は、容器50および/またはバスケット41単独(すなわち、バスケットは容器50内にない)についての配向指定部を含み得る。配向指定部は、ドリップトレイ131の内側の側壁上の突起1315であり得る。代表的には、ドリップトレイ131は、内部の空間を定める、対向する側壁を有し得る。突起1315は、側壁の角の基部に配置され得る。突起1315は、突起によって囲まれた領域内で、ドリップトレイ131内のバスケット41についてのxz直径を定め得る。容器50は、バスケット41よりも大きいxz寸法を有し得る。容器50は、突起1315上の(上方の)ドリップトレイ131の空間内に位置し得る。一例での容器50またはバスケット41は、カセットについて単一の配向でドリップトレイ内に配置され得る。図3で分かるように、当該配向は、(図3ではドリップトレイ131内に取り付けられる)バスケット41の仕切り405がx方向に延びることであり得る。バスケット41または容器50が、長方形(すなわち、正方形でない等角四角形)である矩形である場合、仕切り405は、長辺の長さ分延びる。ドリップトレイ131は、例えば、z方向長さよりも大きいx方向長さを有することによって、所望の単一の配向にのみバスケット41または容器50を収容する寸法であり得る。
【0026】
一例では、ドリップトレイ131は、z方向に移動するように動作可能であり得る。図2の挿入図は、外壁が除去された一方の脚1110(向かって右側の脚)を示す。脚1110の内側には、電動モータ1116によって駆動される親ねじ1115がある。挿入図は、ねじ切コネクタ1117(例えば、親ねじ1115の雄ねじと一致する雌ねじ切コネクタ)によって親ねじ1115に接続されたドリップトレイ131を示す。同様の親ねじおよびねじ切コネクタが、他方の脚1110(向かって左側の脚)に存在し得る。電動化親ねじシステムは、ドリップトレイ131をスパイン1105から離れる方向またはスパイン1105に向かう方向に移動(z方向移動)させるように動作可能である。親ねじシステムが示されているが、ドリップトレイ131の電動化z方向移動の他の形態が利用されてもよいことが理解される。他の例には、ボールねじシステムまたはベルト駆動システムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
支持体または台座115(およびそれに応じてカルーセル120)ならびに基部110の一方は、他方に対して縦方向(x方向)に移動するように動作可能であり得る。図4は、基部110の一部(スパイン1105の一部)、および支持体または台座115を切断して内側の構成要素を露出させたデバイス100の裏側斜視図を示す。この例では、支持体または台座115は、基部110に対して縦方向(x方向)に移動する。図4は、基部110の裏側の切断図を示す。例えば、スパイン1105の長さ分延びる基部110の本体の内側には、親ねじ1106がある。親ねじ1106は、実質的にスパイン1105の長さ(x方向)分延び、ブラケット1107およびブラケット1108によって各端でそれぞれ支持されている。親ねじ1106は、モータ1109に接続されており、モータ1109は、親ねじ1106を回転させるように動作可能である。モータ1109は、コントローラ130および電源(図示せず)に電気的に接続されている。図4は、親ねじ1106、および支持体または台座115に接続されたブラケット1103も示す。モータ1109による親ねじ1106の回転(時計回りまたは反時計回り)は、支持体または台座115の縦(x方向)移動をもたらす。支持体または台座115を固定し、親ねじを使用して横方向に基部を移動させることなどによって、基部110に対する支持体または台座115の縦移動を逆にしてもよいことが理解される。親ねじシステムが示されているが、台座115または基部110の電動化z方向移動の他の形態が利用されてもよいことが理解される。他の例には、ボールねじシステムまたはベルト駆動システムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
上述したように、デバイス100は、キャリッジ120に携帯電話を支持および/または収容するように動作可能である。図3に示すように、携帯電話200は、xz平面内にあるようにキャリッジ120内に位置している。図3は、スクリーン側が上向きの構成の、キャリッジ120内の携帯電話200を示す。携帯電話200は、レンズまたは複数のレンズ、およびセンサ(複数可)を含む、携帯電話200の裏側(見えていない)に延びるカメラアレイを含む。携帯電話200は、起動時に携帯電話の裏側から光を向けるフラッシュまたはライトも含み得る。デバイス100は、携帯電話200を充電/再充電するための電源も含み得る。図2および図3は、支持体または台座115に接続された充電器150を示す。キャリッジ120の基部は、携帯電話200のワイヤレス充電器である充電ポッド125を含む。充電ポッド125は、例えば、電線接続により充電器150に接続されている。充電ポッド125は、携帯電話200が充電ポッド上に配置されたときにエネルギーを得るために吸収する磁場を生成する。充電ポッド125によって生成される磁場はまた、キャリッジ120内で所望の配向に携帯電話200を位置付けるために使用され得る。
【0029】
携帯電話200を含むデバイス100は、カセット上の識別子(カセット30Aまたはカセット30B上の識別子35)を検知、捕捉、および解釈するように動作可能である。デバイス100は、図4の台座115内に示されるコントローラ130を含む。コントローラ130は、電力源に接続され得る。コントローラ130は、実行されると、携帯電話200と通信し、かつ支持体または台座115(したがって、キャリッジ120)および基部110の一方の、他方に対する縦方向(x方向、図3)の移動、ならびにドリップトレイ131のz方向移動および場合によってはキャリッジ120のy方向移動を指示できる機械可読の非一時的命令を含み得る。x方向、y方向、およびz方向移動に対応付けられたモータまたは移動軸は各々、内部に設置されたエンコーダ(コントローラ130によって受信可能なパルスを生成するエンコーダ)を有し得る。例えば、台座115または基部110の縦移動(x方向)のためにモータ1109が回転すると、生成されたエンコーダパルスの数を数えることによって、移動した距離をコントローラ130に知らせることができる。移動した距離は、コントローラ130によって、バスケット、マガジン、または容器の内側のカセットの位置をマッピングするために使用され得る。
【0030】
携帯電話200は、キャリッジ120内に配置され、電気コードにより、またはIEEE802.15.1によって識別される無線技術規格Bluetooth(登録商標)もしくはIEEE802.11に基づくWiFi(登録商標)などの無線技術により、コントローラ130(図4参照)に接続され得る。携帯電話200は、実行されると、コントローラ130との通信を可能にし、かつキャリッジ120内に収容された携帯電話200に、カメラのカメラアレイの視野内の複数の組織カセット上の識別子の画像を捕捉するように指示する非一時的な機械可読命令を含み得る。当該命令は、識別子の捕捉画像を読み取り、マガジンまたはバスケットの内側のカセットの相対位置に当該画像を関連付け、複数のサブ画像から全体画像を生成し、任意で当該画像および識別子情報を記憶する命令も含み得る。
【0031】
図2を参照すると、デバイス100、およびデバイス100の基部110内で配向されたバスケット41を含むアセンブリが示されている。携帯電話200は、デバイス100のキャリッジ120内に位置している。示されるバスケット41は、x寸法によって定められる長さ寸法およびz寸法によって定められる幅寸法を有するxz平面内でトレイ131内に位置している。このように、バスケット41は、5列および数十行を含み、列および行アレイは、各セルがカセット(例えば、カセット30Aまたはカセット30B)についての位置を表すセルを定める。上述したように、バスケット41は、個々に定められたセルを有していなくてもよい。代わりに、バスケット41は、バスケットをセクションに分割するがセルには分割しない仕切り405および410などの仕切りを含み、仕切り405は、本段落に記載されるような列を定め得る。本明細書で使用される「セル」は、他のカセットとの積層配置でバスケット内のカセットが占める空間、または列にカセットがない場合には、カセットが存在した場合に占めるであろう空間であり得る。バスケット41がデバイス100内に示されているが、代替的に、カセットが別の容器(例えば、容器50、図1)またはデバイス内の容器内のマガジン(例えば、マガジン40、図1)もしくは複数のマガジン内に収容され得ることが理解される。
【0032】
一例では、コントローラ130に対応付けられた機械可読の非一時的命令は、携帯電話200が、行または複数行の組織カセット上の識別子の画像を捕捉するなど、複数のセル内の組織カセット上の識別子の画像を捕捉(例えば、ある行に5つのセルを有するアレイ内の5つのカセットに対応付けられた識別子を記録)できるように、支持体または台座115、および基部110の一方の、他方に対する縦方向の移動を指示する。コントローラ130に対応付けられた命令は、ある行の任意の識別子が捕捉(例えば、記録)されると、携帯電話200に対応付けられたカメラアレイが、隣接する行または複数行のカセット上の任意の識別子を捕捉(例えば、記録)できるように、支持体または台座115、および基部110の一方の、他方に対する縦方向の移動も指示する。コントローラ130に対応付けられた命令は、支持体または台座115、および基部110の一方の、他方に対する縦方向の移動のプロセスをさらに指示し、すべての行のすべての識別子が捕捉(例えば、記録)されるまで画像捕捉(例えば、記録)を継続する。
【0033】
図5A図5Cは、デバイス100内の携帯電話200による画像の捕捉の例を示す。この例では、バスケット41がデバイス100内に配置されている(例えば、ドリップトレイ131内に単独で、またはバスケット41が容器50内に配置されており、容器50およびバスケット41両方がドリップトレイ131内に配置されている)。バスケット41は、図1に関して上述したように、5列(z方向)および数十行(x方向)を含み、列および行アレイは、各セルがカセット(例えば、カセット30A、カセット30B/フレーム31B)の/当該カセットについての位置を表すセルを定め得る。画像捕捉プロセスを開始するために、携帯電話200がキャリッジ120内に配置され、ユーザは、例えば、アプリケーションまたはプログラムを実行することによって、携帯電話200内の非一時的な機械可読プログラム命令の実行を開始し得る。一例では、携帯電話200の命令は、撮像のために初期位置または開始位置にキャリッジ120および携帯電話200を位置付ける、コントローラ130への命令を含む。当該命令は、携帯電話200内に含まれるアプリケーションまたは他のソフトウェアプログラム内に含まれ得る。ユーザが、バスケット41内の1つ以上のカセット上の識別子を検知、捕捉、および/または解釈する準備ができたとき、ユーザは、携帯電話200上でアプリケーションまたはソフトウェアプログラムを開始する。開始されると、携帯電話200は、デバイス100のコントローラ130と通信する。携帯電話200からの命令を受信すると、初期位置または開始位置への台座115の移動を指示する、コントローラ130に対応付けられた非一時的命令が実行される。開始位置は、例えば、基部110の端(例えば、向かって左端または左側)の台座位置であり得る。キャリッジ120および携帯電話200が初期位置または開始位置にあると、コントローラ130に対応付けられた命令は、キャリッジ120および携帯電話200が初期位置または開始位置にあることを携帯電話200に警告する。次いで、携帯電話200の命令は、携帯電話200にバスケット41内のカセットの画像の捕捉を開始させ得る。図5Aに示すように、携帯電話200のレンズの焦点幅は、1つの画像で、各列(例えば、5列)に複数行(例えば、10行)のカセットを捕捉できてもよい。この例では、携帯電話200の焦点幅は、バスケット41の内部によって定められるカセットを収容した領域全体を包含することができず、または含むことができない。この例では、バスケット41のx方向は、携帯電話200のx方向の焦点幅よりも大きい。初期位置または開始位置は、バスケット41の前縁に先行するか、または当該前縁よりも前の領域(向かってバスケット41の左側のxz領域)を捕捉するように、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズを位置付け得る。例えば、初期位置または開始位置は、バスケット41内の代表的に5行に相当する領域を捕捉するように、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズを位置付け得る。携帯電話200のレンズの焦点幅が、1つの画像で、各列(例えば、5列)に10行のカセットを捕捉でき得る例では、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズによって捕捉される第1の画像は、約5行のサイズのバスケット41の外側の領域、およびバスケット41内の最初の5行を捕捉する。一例として、コントローラ130に対応付けられた命令は、基部110に対する台座115の縦(x方向)移動(例えば、左から右への移動、右から左への移動)を指示する。台座115が移動するとき、台座115内の携帯電話200は、捕捉された行の明瞭な画像(すなわち、実質的にぼやけていない画像)の捕捉を可能にする速度で左から右に移動する。基部110に対する台座115の縦(x方向)移動(例えば、左から右への移動)の代表的な速度は、0.3インチ/秒~0.6インチ/秒などの0.2インチ/秒~0.8インチ/秒のオーダーであり得る。200mmのバスケットを0.3インチ/秒の速度で捕捉またはスキャンを完了するには、約30秒かかる。縦移動の最大速度は、携帯電話200に対応付けられたカメラ構成要素(例えば、個々の画像が順次捕捉され得る速度)によって定められ得る。例えば、毎秒2つ、3つ、4つ以上の速度で画像を捕捉するように携帯電話200に指示する、携帯電話200に対応付けられた命令は、各行のカセットの複数の画像の捕捉を可能にし得る。例えば、携帯電話200のレンズの焦点幅が、各列に10行のカセットを捕捉でき得、開始位置が、最初の5行、およびバスケット41の外側(向かってバスケット41の左側)の約5行のサイズの領域を含む焦点幅を含む場合、携帯電話200を縦方向に移動させるにつれて、後続の位置での焦点幅がよりいっそう多くの行(例えば、1行~6行、1行~7行、1行~8行、1行~9行、および1行~10行)を含むため、第1の行のカセットの画像は、複数回捕捉される。各行の複数の画像は、携帯電話200のレンズを移動させるにつれて様々な角度のカセットの画像も提供する。
【0034】
図5A図5Cは、バスケット41(バスケット41内のカセット)の領域のセグメントまたは一部の画像が携帯電話200によって捕捉される方法を示す。図5Aは、バスケット41の左側、および各列のバスケット41内の1~5行のxz領域(5行×5列=25個のカセット画像)を含む、携帯電話200によって捕捉される1つの画像(捕捉画像を表す携帯電話200のスクリーン参照)を示す。ドリップトレイ131内のバスケット41が、例えば、バスケットの各行のカセットの画像を携帯電話200が捕捉できるように位置していない(例えば、バスケットに対するキャリッジ120/電話200の位置が理由で、携帯電話200の焦点幅がバスケット41のz方向幅全体に及ぶことができない)場合、バスケット41内のカセットの画像の捕捉の前に、コントローラ130に対応付けられた命令は、バスケット41の各行の画像を捕捉できるようにドリップトレイ131およびバスケット41をz方向に内向きまたは外向きへ移動させる命令を含む。
【0035】
携帯電話200に対応付けられた命令は、毎秒2つの画像、毎秒3つの画像、毎秒4つの画像、毎秒5つの画像、または毎秒6つの画像などの代表的な速度で画像を捕捉するように携帯電話200に指示する。コントローラ130に対応付けられた命令は、0.3インチ/秒~0.6インチ/秒などの0.2インチ/秒~0.8インチ/秒のオーダーの速度の、基部110に対する台座115の縦(x方向)移動(例えば、左から右への移動)を指示する。図5Bは、バスケット41内のカセットの第2の画像(例えば、図5Aで捕捉された画像の3秒後)を捕捉する携帯電話200を含むデバイス100を代表的に示す。図5Bでは、台座115が右側に移動したことにより、携帯電話200によって捕捉される画像は、各列のバスケット41内の3~7行の画像となる。図5Cは、各列の5~9行のカセットを含む、携帯電話200によって捕捉される第3の画像を示す。基部110に対する台座115の縦移動、および携帯電話200による連続的な画像捕捉は、バスケット41の領域がカバーされるまで(携帯電話200がバスケット41内のすべての行の画像を捕捉するまで)、記載されるように継続する。
【0036】
一例では、携帯電話200がバスケット41内のカセットの画像を捕捉するとき、携帯電話200は、各カセット上の識別子を読み取り、かつそのカセットをバスケット41内のある位置と対応付ける非一時的命令を含む。捕捉された識別子の読み取りは、図5Aのカセット識別子の捕捉画像が図5Bのカセット識別子の捕捉画像の前に読み取られ、図5Bのカセット識別子の捕捉画像が図5Cのカセット識別子の捕捉画像の前に読み取られるという意味で、順次生じ得る。捕捉されたカセット識別子の読み取りに加えて、携帯電話200に対応付けられた命令は、バスケット内のカセットの座標系(例えば、バスケット41内の各カセットのxz位置)などに係る、バスケット41内のカセットの位置も識別し得る。図5Aに示す携帯電話200による第1の捕捉画像は、固定画像とみなされ得る。第1の画像は、4032ピクセル(x方向)×3024ピクセル(z方向)の代表的なサイズ(12メガピクセル)を有し得る。図5Aの例を使用すると、捕捉画像が、1~5行のカセットと、バスケット41の前縁に先行するか、または当該前縁よりも前の領域と、を含む場合、バスケット41の前縁に先行するか、または当該前縁よりも前の領域は、例えば、x方向ピクセルの半分、または2016ピクセル(x方向)×3024ピクセル(z方向)の領域を占める既知または所定のサイズを有し得る。携帯電話200に対応付けられた命令は、2016ピクセル×3024ピクセル(4032ピクセル-2016ピクセル=2016ピクセル)を占める1~5行の領域に至るバスケット41の前縁に先行するか、または当該前縁よりも前の領域を引く命令を含み得る。携帯電話200の命令は、1~5行のカセットの位置が当該カセットのxzピクセル座標によって識別され得ること、および各々の位置が確立されることを提供し得る。
【0037】
図5A図5Cに記載されるように、携帯電話200による画像の絶え間ない連続的な捕捉は、同じカセットの複数の画像の捕捉につながり得る。例えば、図5Aの携帯電話200によって捕捉される第1の画像では、携帯電話200(携帯電話200のセンサまたは複数のセンサ)の視野は、1~5行のカセットの画像の捕捉を可能にする。台座115を移動させると、携帯電話200の視野が変化して、1~7行のカセットの捕捉を可能になる(図5B)。したがって、1~5行の画像は、2回(第1の画像および第2の画像で)捕捉された。携帯電話200に対応付けられた命令は、特定の位置のカセット上の識別子が以前に捕捉され読み取られたかどうかを判定し、もしそうなら、その識別子の任意の後続の重複した読み取りを無視または破棄する命令を含む。これが行われ得る1つの方法は、(例えば、特定のカセットの識別子の第1の捕捉画像から開始して)様々な捕捉画像で読み取られた同じ位置の識別子を比較し、当該識別子の捕捉画像を有するかどうか、または当該捕捉画像を読み取ることができるかどうかを判定し、その第1の捕捉画像内の識別子を読み取ることができる場合に、その同じカセット上のその同じ識別子が後続の捕捉画像(例えば、第2の捕捉画像)で捕捉されるとき、その後続の捕捉画像を重複として識別し、当該重複を無視または破棄する(例えば、識別子の後続の捕捉画像を保存しない)命令によるものである。
【0038】
重複画像の捕捉は、バスケット41内の各カセット上の識別子を効果的に捕捉して読み取るために利用され得る。携帯電話200のレンズまたは複数のレンズの角度、およびバスケット41内のカセットの位置に応じて、ある画像が、カセット上の識別子の読み取り可能な画像を捕捉しなくてもよいことを理解され得る。台座115が移動すると、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズの角度、およびバスケット41内のカセットの位置が変化する。当該変化は、カセットの第2の画像が、当該カセットの識別子のより良い画像を提供することを可能にし、識別子の読み取りを可能にし得る。図5A図5Cに示す例では、各カセットの画像は、少なくとも2回、2つの異なる電話角度で捕捉される。各カセットの捕捉画像の数は、台座115の速度および携帯電話200の画像捕捉の速度に応じて変わり得ることが理解される。一例では、バスケット41内の各カセットの画像は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回など、毎秒24フレーム(fps)、30fps、または60fpsなどの代表的なフレームレートで捕捉される。
【0039】
カセット上の個々の識別子の捕捉は、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズのダイナミックフォーカスを使用して改善され得る。一例では、携帯電話200に対応付けられた非一時的命令は、コントローラ130がバスケット41内のカセットの画像を捕捉するために携帯電話200の縦(x方向)移動を指示する(例えば、コントローラが、基部110に対する台座115の移動(例えば、左から右への移動)を指示する)とき、バスケット41上で横方向(z方向)に、3つ以上の領域などの2つ以上の領域間で移動するようにフォーカスポイントまたはフォーカス領域を指示し得る。図5A図5Cは、携帯電話200がバスケット41内の識別子の画像を捕捉するときに順次使用し得る、「A」、「B」、および「C」として識別される3つの異なるフォーカスポイントまたはフォーカス領域を代表的に示す。フォーカスポイント「A」、「B」、および「C」は、バスケット41の横方向(z方向)距離または幅の間の異なる領域を表す。例えば、(5~10行のカセットの画像捕捉であり得る)第1の画像について、携帯電話200は、台座115から最も遠いバスケット41の領域(例えば、台座115から最も遠い2列のカセットにフォーカスした領域)である「A」のフォーカスを有し得る。後続の第2の画像(例えば、第1の画像の直後)について、携帯電話200は、バスケット41の中央の領域(例えば、バスケット41内の中間の遠さの列のカセットにフォーカスした領域)である「B」のフォーカスを有し得る。さらに後続の第3の画像(例えば、第2の画像の直後)について、携帯電話は、台座115に最も近いバスケット41の領域(例えば、台座115に最も近い2列のカセットにフォーカスした領域)である「C」のフォーカスを有し得る。携帯電話200のレンズまたは複数のレンズと、バスケット41内のカセットの前側との間の焦点距離は、各フォーカス領域で異なり得る。例えば、携帯電話200のレンズまたは複数のレンズと、バスケット41内のカセットの前側との間の焦点距離は、例えば、デバイス100およびバスケット41の中央のフォーカス領域B内で5.5インチ(約14cm)であり、フォーカス領域Aおよびフォーカス領域C内の焦点距離は、フォーカス領域B内の焦点長さと異なり得る(例えば、5.5インチ(14cm)よりも大きい)。フォーカス領域(例えば、「A」、「B」、および「C」)、ならびに(例えば、各画像捕捉の後、2回以上の画像捕捉の後などの)領域間の切り替えは、バスケット41の領域間の画像捕捉の繰り返し動作、および携帯電話200のメモリ内に記憶された情報によって実験的に決定され得る。
【0040】
一例では、携帯電話200に対応付けられた命令は、捕捉画像の収集を指示し、同じカセット上の識別子の重複が識別され除去されると、捕捉画像のスティッチング、およびすべてのカセットが見える状態のバスケット41の全体の画像を利用可能にすることを指示し得る。捕捉画像のスティッチングは、バスケット内のカセットの座標系(例えば、バスケット41内の各カセットのxz位置)も定め得る。当該スティッチングは、台座115がバスケット41の領域を横断した後に(すなわち、バスケット41内のすべてのカセットの画像(例えば、複数の画像)が取得された後に)、または台座115が当該領域を横断している間に行われ得る。スティッチングが行われ得る1つの方法は、ピクセル位置を使用することによるものである。上述したように、台座115がバスケット41の領域を横断すると、携帯電話200は、携帯電話のセンサまたは複数のセンサの視野、および台座115の横断の速度に起因して重複する画像を捕捉する。携帯電話200によって捕捉される第1の画像は、例えば、バスケット41の一端(開始位置または初期位置)である。携帯電話200によって捕捉される第1の画像は、全体画像を形成するために後続の画像がスティッチングされる固定画像とみなされ得る。第1の画像は、4032ピクセル×3024ピクセルの代表的なサイズ(12メガピクセル)を有し得る。第1の画像が捕捉された後、第2の画像が捕捉される前に、台座115/携帯電話200は、既知の距離(例えば、台座115/携帯電話200の移動した距離に関するモータ1109からのエンコーダ情報に基づく既知の距離)、x方向に移動する。この既知の距離は、ピクセルに変換され得る。当該距離が、例えば、x方向の1000ピクセルと同等である場合、第2の画像は、識別可能な9.17メガピクセル(4032ピクセル-1000ピクセル=3032ピクセル、3032ピクセル×3024ピクセル=9.17メガピクセル)分、第1の画像に重複する。次の画像も同様に重複する。第2の画像から最後の画像までの各々の識別可能な9.17メガピクセルは、バスケット41内のカセット上の識別子を識別する目的で使用され得るが、実行されるときに電話200に対応付けられた命令は、スティッチング目的で当該ピクセルを重複ピクセルとして識別し、重複ピクセルを重複させずにスティッチング画像を形成する。電話200によって捕捉される各画像のピクセルは、既知の座標(すなわち、x座標およびz座標の座標系)のスティッチング画像を提供する。
【0041】
台座115がバスケット41の領域を横断し、バスケット内のすべてのカセットの画像(例えば、各カセットの複数の画像)を捕捉すると、携帯電話200に対応付けられた実行命令は、バスケット41内の各カセットに対応付けられた識別子が読み取られたかどうかを判定する。特定の例では、バスケット41内のカセット上の識別子の読み取り可能な画像を、台座115の縦移動によりバスケット領域を横断することによって取得することが困難である場合がある。携帯電話200からの実行命令によって決定される座標系、および台座115/携帯電話200の移動した距離に関するモータ1109からの、可能性のあるエンコーダ情報を使用して、バスケット41内の任意のカセット上の識別子を読み取ることができないか、または読み取れなかったことが判定される(例えば、台座115の縦(x方向)移動により撮られたカセットの画像が、カセットの識別子の読み取り可能な画像を提供しなかった)場合、電話200に対応付けられた命令は、コントローラ130に指示して、電話200のレンズまたは複数のレンズが、読み取られていない識別子の画像を捕捉し、識別子の1つ以上の画像を捕捉するための所望の位置にあるように、台座115の縦(x方向)移動および/またはドリップトレイ131/バスケット41の横(z方向)移動を指示し得る。所望の位置は、例えば、読み取られていない識別子の真上における、電話200のレンズまたは複数のレンズの位置決めであり得る。所望の位置はまた、読み取られていない識別子に対する電話200のレンズまたは複数のレンズの複数の位置であり得る。例えば、電話200のレンズまたは複数のレンズは、読み取られていない識別子の周囲(例えば、カセットの上方の領域の周囲のステップ)に位置し得る。携帯電話200に対応付けられた命令は、画像を捕捉し、携帯電話200が識別子を読み取ることができるまで、読み取られていない識別子を有すると識別されるカセットの画像を送信するように電話200に指示する。携帯電話200が、読み取られていない識別子を有すると識別されたカセットの識別子を読み取ることができると、コントローラ130に対応付けられた命令は、読み取られていない識別子を有すると識別された任意の他のカセットの上の位置への、台座115および/またはドリップトレイ131/バスケット41の移動を指示し、追加の画像を捕捉するプロセスを繰り返す。1つ以上の追加の画像を捕捉した後でも、読み取られていない識別子をまだ読み取ることができない例では、携帯電話200に対応付けられた命令は、カセットを検査するか、または手動で当該識別子を入力するようにオペレータに警告し得る。携帯電話200は、電話によって読み取られ得る識別子の画像を生成するためにデジタル撮像処理を使用し得る。当該デジタル撮像処理は、デジタル画像のカラーを再現するためにカラーフィルタを使用し得る。特定の例では、カラーフィルタが除去されている場合、携帯電話200がカセット上の識別子を読み取る(例えば、読み取られていない識別子を読み取る)ことの難易度が低くなる場合がある。一例では、カラーフィルタ(例えば、赤、緑、青フィルタ)を使用した携帯電話について、携帯電話200に対応付けられた命令は、デジタル撮像処理および識別子の読み取り中に、当該フィルタのうちの1つ以上を抑制することを指示し得る。
【0042】
いくつかの例では、バスケット41内のアレイの各セルは、組織カセットを収容してもよく、または収容しなくてもよい。組織カセットがセル内に存在するかどうかを識別するために、デバイス100は、センサシステムを含み得る。再び図3を参照すると、デバイス100は、キャリッジ120への接続によって支持体または台座115に直接的または間接的に接続され、かつバスケット41の上方でz方向に突出したセンサバー170を含む。センサバー170は、バスケット41に向かって下向きになるように各々位置する複数のセンサ1705を含む。センサ1705は、バスケット41内の列と整列するようにセンサバー170上に直線配置で位置している。センサ1705は、例えば、列内の個々のセルに向かって見て下向きに光を放射するエミッタ、および反射光を受信する受信機を各々含む光電センサである。センサ1705は、コントローラ130内に含まれる機械可読命令によって起動され得る。起動されると、各センサは、バスケット内のセルの方向に光を向け(放射し)、その光の反射を各センサの受信機で受信する。例えば、光が向けられるセル内にカセットが存在する場合、センサ1705は、送信された光の反射を受信する。セル内にカセットが存在しなかった場合、移動距離が追加されるため、反射は、センサ1705によって、ほとんどまたは全く受信されない。移動した距離および反射センサ出力の有無は一緒に、バスケット41の内側(または、場合により、マガジンもしくは容器の内側)のカセットの位置をマッピングするために、例えば、モータ1109からのエンコーダ情報を介してコントローラ130によって使用され得る。識別子が、バスケット41内の特定の位置で捕捉または読み取りされない場合、その位置の座標を決定し、結果を確認するために使用され得る。例えば、携帯電話200に対応付けられた命令は、一度決定された特定の位置の真上または近くに携帯電話200を(台座115を介して)移動させ、例えば、特定の位置の画像捕捉を介してカセットが存在しないことを検証し、またはカセットが存在する場合、そのカセットに対応付けられた識別子の別の画像を捕捉し得る。
【0043】
デバイス100は、外部照明を含み得る。図3は、センサバー170の長さに沿った発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの1つ以上の光源1710を含むセンサバー170を示す。光源1710は、ドリップトレイ131内のバスケット41に向けられる。光源1710は、バスケット41内のカセット(カセット上の識別子)を照らすのを助け得る。コントローラ130に対応付けられた命令は、携帯電話200による画像捕捉中に光を放射するように1つ以上の光源に電力を供給する命令を含み得る。例えば、携帯電話200は、カセットのスキャンを開始するボタンをユーザがいつ押したかを知らされる。そのとき、携帯電話200は、コントローラ130にコマンドを送信して、バスケット41および携帯電話200をスキャンの開始位置に位置付けるために様々なモータを動かす(例えば、モータ1206は、台座をy方向(図2参照)に移動させてもよく、モータ1116は、ドリップトレイをz方向(図2参照)に移動させてもよく、およびまたはモータ1109は、台座をx方向(図4参照)に移動させてもよい)。次いで、携帯電話200またはコントローラ130からの命令が、バスケット41のスキャンの前に光源1710を点灯させ得る。光源1710が点灯している状態で、携帯電話200に対応付けられた命令は、最良の画像結果を得るために露出を自動的に調整する(自動露出)命令を含む。命令は、光源1710からの光の強度を調整するように動作可能である命令も含み得る(例えば、暗い周囲では、強度は、明るい周囲よりも大きくなり得る)。光源1710は、画像撮影領域全体に一様または均一の照明を提供し、かつ周囲の光状態に対する強度を調整するために使用され得る。理論に縛られることを所望することなく、シーンがすでに一様または均一に照らされているため、光源1710の使用は、携帯電話の自動露出機能を向上させると考えられる。
【0044】
図3は、センサバー170に接続された光源1710を示すが、1つ以上の光源は、例えば、携帯電話のレンズまたは複数のレンズの視野を妨げないように配置されたライトバーまたはブラケットライトバーなどの独立した接続を介して支持体もしくは台座115またはキャリッジ120に接続され得ることが理解される。センサバー170またはライトバーもしくはブラケットから放射されるような光源は、フラッシュライト機能またはカメラフラッシュなどの携帯電話200の光源構成要素とは別の光源である。携帯電話200の光源構成要素とは別の光源は、スキャンされている、バスケット、容器、またはマガジン内の他のカセットによる識別子の影または遮蔽を低減する。一例では、携帯電話200に対応付けられた命令は、カセットの画像捕捉中に、携帯電話のフラッシュライトを照らし、および/またはカメラフラッシュを使用する命令を含み得る。
【0045】
デバイス100は、様々な動作モードを有し得る。第1の動作モードは、デバイス100に対応付けられた携帯電話200が、バスケット、マガジン、または容器内のカセットに対応付けられた識別子の画像を捕捉し、当該識別子を読み取り、バスケット、マガジン、または容器の内容物(例えば、1つ以上の空の位置を有するバスケット)を特定し、カセットの座標を収集し、カラーを含む、カセットのパノラマまたは概観画像を生成し、捕捉画像、概観画像、およびバーコード情報(内容物、カセットのカラー、座標)ならびに読み取り日時を無線通信リンクによりコントローラ130へ転送することである。コントローラ130は、コントローラ130内のデータベースに識別子を保存する。第2の動作モードでは、携帯電話200は、識別子を捕捉して読み取り、バスケット、マガジン、または容器の内容物(例えば、1つ以上の空の位置を有するバスケット)を特定し、カセットの座標を収集してパノラマまたは概観画像を生成し、搭載されたデータベース内にこの情報を記憶するとともに、ラボラトリ情報システム(Laboratory Information System:LIS)/ラボラトリ情報管理システム(Laboratory Information Management System:LIMS)/ミドルウェアコンピュータソフトウェアなどの外部システムへ当該情報を送信し得る。携帯電話200は、例えば、無線または有線で、LISまたは他のコンピュータシステムへ捕捉情報を送信し得る。第3の動作モードは、第2の動作モードと同様であるが、携帯電話200は、LIS/LIMS/ミドルウェアコンピュータソフトウェアに組織処理プロトコル情報も要求し得るか、または、識別子から組織処理プロトコルを読み取り、カセット間の組織処理プロトコルに関する矛盾が何かあるかを分析し得る。第4の動作モードにより、携帯電話200は、識別子を捕捉して読み取り、バスケット、マガジン、または容器の内容物(例えば、1つ以上の空の位置を有するバスケット)を特定し、カセットの座標を収集してパノラマまたは概観画像を生成し、携帯電話200に対応付けられたデータベース内に当該パノラマまたは概観画像を保存するとともに、カセットのカラーを識別して、カセットのカラーによって定められる組織処理プロトコルに関する矛盾が何かあるかを分析することが可能になる。
【0046】
図6は、バスケットまたは他の容器からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例を示す。この例では、デバイス300は、テーブルまたは他の面上に取り付けられ、かつカセットなどのサンプル担体がデバイスに入れられるように動作可能である。デバイス300は、基部310と、支持体または台座315を介して基部310に接続されたキャリッジ320と、を含む。キャリッジ320は、支持体または台座315の長さによって定められる、基部310からの垂直方向またはy寸法の距離、突出している。キャリッジ320は、携帯電話200などの携帯電話を収容するように動作可能であり得る。基部310内に配置されるのは、(上述のバスケット41と同様の)バスケット341、1つ以上のマガジン、または他の容器を収容するように動作可能であるトレイ331である。
【0047】
この例では、キャリッジ320は、携帯電話398の上側(スクリーン側)をカバーするための覆いを含む。キャリッジ320の下側は、携帯電話398のレンズを露出させるための開口を含む。この例では、バスケット341(トレイ331)は固定されている。バスケット341内のカセット上の識別子の画像捕捉のための携帯電話398のレンズまたは複数のレンズの位置決めは、必要に応じて、キャリッジ320の縦(x)方向の移動および携帯電話398の横(z)方向の移動によって達成される。キャリッジ320の縦移動は、代表的には、基部310の本体の内側に位置する(図4を参照して上述した親ねじ1106/ブラケット1108/モータ1109と同様の)モータ駆動親ねじによって行われ得る。親ねじまたはボールねじ、およびモータ機構は、キャリッジ320内に配置され、携帯電話398を縦方向に移動させるように動作可能であり得る。デバイス300は、台座315または他の位置に位置して、キャリッジ320および携帯電話398の移動を制御し、(デバイス100内のコントローラ130、および一例としての図2図5Cに関する説明と同様の)携帯電話398と通信するようなコントローラを含み得る。
【0048】
図6の例では、デバイス300は、携帯電話398によって取得されるデータを表示するための表示デバイスについての、基部310または基部310の一部に縦方向に隣接する領域360を含み得る。一例として、表示デバイス399は、タブレット(例えば、iPad(登録商標))もしくは他のコンピュータモニタ、またはコンピュータデバイス(例えば、ラップトップ、デスクトップ)であり得る。表示デバイスは、携帯電話398によって捕捉される画像、および携帯電話の移動を表示する(例えば、携帯電話398が左から右または右から左へ移動するときの画像を表示する)ように動作可能であり得る。デバイス300は、表示デバイス399をデバイス300に配線するための接続を有してもよく、または表示デバイス399とデバイス300と携帯電話398との間の接続は、無線であってもよい。領域360が提供され得るが、別の例では、表示デバイス399は、デバイス300と同じ机もしくはテーブルの上、または別の位置(例えば、別の机もしくはテーブル)に設置され得ることが理解される。
【0049】
図7は、バスケットまたは他の容器からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例を示す。この例では、デバイス400は、テーブルまたは他の面上に取り付けられ、かつカセットなどのサンプル担体がデバイスに入れられるように動作可能である。デバイス400は、基部410と、支持体または台座415を介して基部410に接続されたキャリッジ420と、を含む。キャリッジ420は、支持体または台座415の長さによって定められる、基部410からの垂直方向またはy寸法の距離、突出している。キャリッジ420は、携帯電話498などの携帯電話を収容するように動作可能であり得る。基部410内に配置されるのは、(デバイス100に関して上述したバスケット41と同様の)バスケット441、1つ以上のマガジン、または他の容器を収容するように動作可能であるトレイ431である。
【0050】
図7の例では、携帯電話498は、バスケット441内のカセット上の識別子の捕捉を可能にするように、携帯電話498のレンズまたは複数のレンズがキャリッジ420の下側に露出した状態でキャリッジ420内に配置されている。キャリッジ420は、基部410に対して縦(x)方向に移動するように動作可能である。基部410内のトレイ431は、横(z)方向に移動するように動作可能である。バスケット内のカセット上の識別子の画像を捕捉し、当該識別子を読み取るための携帯電話498の位置決めは、デバイス400内のコントローラによって制御されてもよく、キャリッジ420およびトレイ431の各々の移動は、例えば、デバイス100に関して記載されるものと同様の方法で、親ねじ/ブラケット/モータ構成を使用して行われてもよい。図8は、バスケットまたは他の容器からサンプル担体を取り出すことなく、バスケットまたは他の容器などのアレイ内のサンプル担体(例えば、カセットまたはカセット/フレームアセンブリ)上のバーコードなどの識別情報を捕捉、記憶、および出力するために使用され得るデバイスの別の例を示す。この例では、デバイス500は、テーブルまたは他の面上に取り付けられ、かつカセットなどのサンプル担体がデバイスに入れられるように動作可能である。デバイス500は、基部510と、支持体または台座515を介して基部510に接続されたキャリッジ520と、を含む。キャリッジ520は、支持体または台座515の長さによって定められる、基部510からの垂直方向またはy寸法の距離、突出している。キャリッジ520は、この例ではiPad(登録商標)などのタブレットである携帯電話599などの携帯電話を収容するように動作可能であり得る。キャリッジ520は、携帯電話599をキャリッジ520内で様々な角度で保持または支持することを可能にするヒンジ機構を含み得る。例えば、携帯電話599は、水平方向に位置し得るか、または携帯電話の一端(例えば、上端または支持体もしくは台座515に最も近い端)を、当該一端の反対の端に対して角度を付けて上げて、ユーザの視聴および/または画像捕捉を改善し得る。基部510内に配置されるのは、(デバイス100に関して上述したバスケット41と同様の)バスケット541、1つ以上のマガジン、または他の容器を収容するように動作可能であるトレイ531である。
【0051】
図8の例では、携帯電話599は、バスケット541内のカセット上の識別子の捕捉を可能にするように、携帯電話599のレンズまたは複数のレンズがキャリッジ520の下側に露出した状態でキャリッジ520内に配置されている。この例では、キャリッジ520は静止している(すなわち、キャリッジ520は、基部510に対して縦(x)方向または横(z)方向に移動するように動作可能ではない)。基部510内のトレイ531は、縦(x)方向および横(z)方向の両方に移動するように動作可能である。バスケット内のカセット上の識別子の画像を捕捉し、当該識別子を読み取るための携帯電話599の位置決めは、デバイス500内のコントローラによって制御されてもよく、トレイ531の移動は、例えば、デバイス100に関して記載されるものと同様の方法で、親ねじ/ブラケット/モータ構成を使用して行われてもよい。
【0052】
記載された撮像デバイスおよびシステムは、マガジン、バスケット、または他の容器内の他のカセットからカセットを取り出すことなく、他のカセットと共に組み付けられた個々のカセットの識別子(例えば、バーコード)を捕捉し読み取ることを可能にする。本発明の具体的な態様を詳細に記載してきたが、それらの詳細に対する様々な修正および代替が、本開示の教示全体に照らして開発され得ることが、当業者に理解されよう。したがって、開示された特定の配置は、例示にすぎず、添付の特許請求の範囲および態様ならびにその任意のすべての等価物の完全な広がりが与えられる本発明の範囲に関して限定することを意味するものではない。
態様
以下は、本発明の態様である。
【0053】
(態様1)
複数の組織カセットのアセンブリ内の組織カセット上の識別子を識別するための装置であって、
テーブルの上に取り付けることができる基部と、
前記基部に結合され、前記基部の上方で、所定距離突出し、カメラアレイを備える携帯電話を、前記カメラアレイが前記基部の方向に向くような位置に収容するように動作可能であるキャリッジと、
前記キャリッジに接続され、前記キャリッジおよび前記基部の一方の、他方に対する移動を指示するように動作可能である機械可読命令を含むコントローラと、
を備える装置。
【0054】
(態様2)
前記基部は、複数のカセットのアセンブリを収容するように動作可能である容器についての配向指定部を備える、態様1に記載の装置。
【0055】
(態様3)
前記キャリッジおよび前記基部の前記一方の前記方向移動は、前記キャリッジ内の前記携帯電話の下方に位置する容器内の複数の組織カセット上の識別子の、携帯電話のカメラによる画像の捕捉を可能にするように動作可能である、態様2に記載の装置。
【0056】
(態様4)
前記キャリッジに接続されたセンサバーをさらに備え、前記センサバーは、1つ以上の光電センサを備え、前記1つ以上の光電センサは、前記キャリッジ内に収容された携帯電話のカメラアレイの視野内で光を放射するエミッタと、反射した放射光を受信する受信機と、を備える、態様1~3のいずれかに記載の装置。
【0057】
(態様5)
前記センサバーは、前記センサバー上に直線状に配置され、かつ前記キャリッジ内の携帯電話の下方に位置するバスケット内で行状に配置された組織カセットの間隔に対応して間隔が空いた複数の光電センサを備える、態様4に記載の装置。
【0058】
(態様6)
前記キャリッジは、前記基部に対して前記方向に移動するように動作可能であり、前記センサバーは、前記キャリッジと共に移動されるように動作可能である、態様4に記載の装置。
【0059】
(態様7)
前記キャリッジに接続された少なくとも1つの光源であって、前記少なくとも1つの光源から前記基部に光を放射するように動作可能である少なくとも1つの光源をさらに備える、態様1~6のいずれかに記載の装置。
【0060】
(態様8)
前記基部内に取り外し可能に位置するように動作可能であるトレイをさらに備え、前記トレイは、複数のカセットのアセンブリを収容するように動作可能である容器を収容する寸法を有する、態様1~7のいずれかに記載の装置。
【0061】
(態様9)
前記トレイは、前記キャリッジおよび前記基部の一方の前記移動の前記軸に直交する軸に沿った方向に移動するように動作可能である、態様8に記載の装置。
【0062】
(態様10)
前記キャリッジに接続され、前記キャリッジ内に収容された携帯電話を充電するように動作可能である充電器をさらに備える、態様1~9のいずれかに記載の装置。
【0063】
(態様11)
前記充電器は、携帯電話にワイヤレス充電接続を提供するように動作可能である、態様10に記載の装置。
【0064】
(態様12)
前記機械可読命令は、前記キャリッジ内に収容された携帯電話から受信される命令に基づいて、前記キャリッジおよび前記基部の前記一方を、前記軸に沿った前記他方に対する方向に移動させる命令を含む、態様1~11のいずれかに記載の装置。
【0065】
(態様13)
アセンブリであって、
態様1~12のいずれかに記載の装置と、
前記装置の前記キャリッジ内の携帯電話であって、前記携帯電話は、前記キャリッジおよび前記基部の前記一方を、前記軸に沿った前記他方に対する方向に移動させるように前記装置に指示するように動作可能であり、かつ前記移動中に画像を捕捉するように動作可能である非一時的な機械可読命令を含む携帯電話と、
を備えるアセンブリ。
【0066】
(態様14)
方法であって、
基部に接続され、前記基部の上方で、ある距離突出したキャリッジ内に携帯電話を配置することと、
前記キャリッジの下方に容器を配置することであって、前記容器は、複数の組織カセットを備え、前記複数の組織カセットの各々は、前記各々の前面上に識別子を含む、配置することと、
前記複数の組織カセットが前記容器内に残っている状態で、前記複数の組織カセットの各々の前記識別子の画像を前記携帯電話によって捕捉することと、
を含む方法。
【0067】
(態様15)
前記複数の組織カセットの各々の前記捕捉された識別子を前記携帯電話によって読み取ることをさらに含む、態様14に記載の方法。
【0068】
(態様16)
前記複数の組織カセットの各々の前記識別子の画像を前記携帯電話によって捕捉することは、前記キャリッジおよび前記基部の一方が、軸に沿った他方に対する方向に移動しながら、前記識別子の複数の画像を連続的に捕捉することを含む、態様14または態様15に記載の方法。
【0069】
(態様17)
複数の画像を連続的に捕捉することは、前記容器の第2の領域の第2の画像を捕捉する前に、前記容器の第1の領域の第1の画像を捕捉することを含み、前記第2の領域の一部は、前記第1の領域の一部に重複する、態様16に記載の方法。
【0070】
(態様18)
前記第1の画像および前記第2の画像の各々の前記複数の組織カセットの各々の前記捕捉された識別子を読み取ることと、
前記第1の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子を、前記第2の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子と比較することと、
前記第1の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子、および前記第2の画像内の前記複数の組織カセットの各々の前記読み取られ捕捉された識別子の任意の重複を識別することと、
をさらに含む、態様17に記載の方法。
【0071】
(態様19)
連続的に捕捉された前記画像から、前記容器内の1つ以上の前記カセットの全体画像を前記携帯電話によってスティッチングすることをさらに含む、態様14~18のいずれかに記載の方法。
【0072】
(態様20)
複数の画像を連続的に捕捉することは、前記容器上の第1のフォーカス位置で識別子の第1の画像を、前記容器上の第2のフォーカス位置で前記識別子の第2の画像を捕捉することを含み、前記第1のフォーカス位置から前記第2のフォーカス位置への変更の方向は、前記キャリッジおよび前記基部の一方の移動の方向と異なる、態様14~19のいずれかに記載の方法。
【0073】
(態様21)
携帯電話によって実行されるときに方法を含む非一時的命令を含む機械可読媒体であって、前記方法は、
基部に接続され、前記基部の上方で、ある距離突出したキャリッジを備える装置に、前記キャリッジおよび前記基部の一方を、軸に沿った他方に対する方向に移動させるように指示することと、
前記移動に応じて、前記キャリッジの下方の領域の連続する画像を前記キャリッジ内の前記携帯電話によって捕捉することと、
前記連続する画像を全体画像にスティッチングすることと、
を含む、機械可読媒体。
【0074】
(態様22)
連続する画像を捕捉することを含む画像を捕捉することは、第2の領域の第2の画像を捕捉する前に、第1の領域の第1の画像を捕捉することを含み、前記第2の領域の一部は、前記第1の領域の一部に重複する、態様20に記載の機械可読媒体。
【0075】
(態様23)
前記キャリッジの下方の前記領域は、各々が識別子を含む複数のカセットを備え、前記実行される非一時的命令は、
前記複数のカセットの各々の識別子を読み取ることをさらに含む方法を含む、態様20または態様21に記載の機械可読媒体。
【0076】
(態様24)
前記携帯電話は、捕捉された画像を再現するための1つ以上のカラーフィルタを備えるデジタル処理を含み、前記複数のカセットの少なくとも1つの前記識別子の読み取りの前に、方法は、前記1つ以上のカラーフィルタを除去することを含む、態様22に記載の機械可読媒体。
【0077】
(態様25)
前記実行される非一時的命令は、
前記スティッチングされた画像を外部システムに送信することをさらに含む方法を含む、態様20に記載の機械可読媒体。
【0078】
本発明の具体的な態様を詳細に記載してきたが、それらの詳細に対する様々な修正および代替が、本開示の教示全体に照らして開発され得ることが、当業者に理解されよう。したがって、開示された特定の配置は、例示にすぎず、添付の特許請求の範囲および態様ならびにその任意のすべての等価物の完全な広がりが与えられる本発明の範囲に関して限定することを意味するものではない。
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