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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】撮影管理システム及び撮影管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20250610BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20250610BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250610BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250610BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/60 300
H04N23/63 300
G06Q50/10
G03B15/00 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023072688
(22)【出願日】2023-04-26
(65)【公開番号】P2024157975
(43)【公開日】2024-11-08
【審査請求日】2024-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健良
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】小野 功一朗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 進一
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-64102(JP,A)
【文献】特開2020-91727(JP,A)
【文献】特開2019-200478(JP,A)
【文献】特開2017-4527(JP,A)
【文献】特開2021-125051(JP,A)
【文献】特開2020-102694(JP,A)
【文献】特開2016-139957(JP,A)
【文献】特開2012-230523(JP,A)
【文献】特開2020-109593(JP,A)
【文献】特開2008-217831(JP,A)
【文献】特開2019-16100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
H04N 7/18
G03B 15/00
G08G 1/00 -99/00
G06Q 10/00 -10/30
G06Q 30/00 -30/08
G06Q 50/00 -50/20
G06Q 50/26 -99/00
G16Z 99/00
G01C 21/36
G01C 23/00 -25/00
G06T 7/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との連携を制御可能な通信制御部を有し、
前記通信制御部は、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得する撮影像取得機能と、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別する対象認識機能と、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する撮影対象指示機能と、
を備える撮影管理システム。
【請求項2】
前記撮影対象指示機能は、前記特定車両であることを表す表示の画面への重畳表示を前記第2の通信端末に対して指示する、
請求項1に記載の撮影管理システム。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記撮影者が撮影対象を確認したことを表す情報を受信した後で、前記特定車両上の照明の点灯指示を前記第1の通信端末に対して送信する撮影照明制御部を有する、
請求項1に記載の撮影管理システム。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記撮影者が撮影対象を確認したことを表す情報を受信した後で、前記撮影者のカメラが前記撮影希望者を捉えていることを表す通知を前記第1の通信端末に対して送信する撮影準備通知部を有する、
請求項1に記載の撮影管理システム。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記特定車両の位置情報および前記第2の通信端末側のカメラの位置情報に基づいて、前記特定車両が撮影可能な領域に入ったことを検知した場合に、前記特定車両上の照明を制御して前記撮影者に対して撮影対象の車両であることを通知する、通知照明制御部を有する、
請求項1に記載の撮影管理システム。
【請求項6】
車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との間で連携できるように通信経路を確保し、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得し、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別し、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する、
撮影管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両を利用するユーザの写真等を車両外の撮影者が撮影する場合に利用可能な撮影管理システム及び撮影管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、写真を撮ってもらいたいと望む者(写真希望者)と写真を撮影する者(撮影者)との仲介を行うサービスを実現するための技術を開示している。また、特許文献1の段落「0033」に記載されているように、サーバー1は、ロギングしているユーザー位置情報と撮影者位置情報を用いて、各写真希望者2の周辺に存在する撮影者5を抽出し、その撮影者5の情報を周辺撮影者情報としてユーザーデバイス3に発信でき、ユーザーデバイス3は周辺に存在する撮影者5の情報を表示することができる。また、写真希望者2はこの場所において写真が撮られる可能性があるかを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-16100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、旅行で様々な観光地などを訪れる観光客などの人々は、旅行の思い出を残すために、自分が映っている観光地での写真を含む日記を作成したいと希望する場合が多いと考えられる。また、観光地では交通が不便な場合が多いので、各々の観光客は現地でレンタカーの車両を借り、自分で車両を運転しながら観光地巡りをする機会も多いと考えられる。
【0005】
したがって、各観光客が各地で自分の映っている写真を撮影する場合には、観光客自身が車両を運転し走行している状態や、観光客自身が車両に乗降する状態や、自分の借りたレンタカーの近傍で観光客が見物している状態などのシーンが多くなると想定される。
【0006】
しかし、例えば観光客自身が車両を運転している状態では、自分で自分自身の写真を撮ることはできない。そこで、例えば特許文献1の技術のようなサービスを利用して、撮影を希望する観光客が現地の撮影者に写真撮影して貰うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、走行している車両を運転している撮影希望者(観光客)や、停車している車両のそばにいる撮影希望者を、見ず知らずの現地の撮影者が特定してカメラで撮影する場合を想定すると、例えば以下のような課題がある。
【0008】
(1)同じ道路上を複数台の車両が連なって同じ方向に向かって走行している状態だと、撮影者は複数台の車両のうちどちらが撮影希望者が搭乗している目的の車両なのかを区別しにくい。
(2)撮影希望者が車両を運転している状態で車両外の撮影者が車内の撮影希望者を撮影する場合、撮影者は被写体の車両が撮影希望者のもので間違いないかどうかを確認できないので不安を覚えることになる。また、撮影者は撮影希望者が撮影に気づいているかどうかを確認できないので、シャッターを押すべき適切な撮影タイミングの判断に迷いを生じることになる。
(3)観光地の駐車場などにおいて、複数の車両が複数の人物と共に停車しているような状態だと、距離の離れた位置に存在し且つ撮影希望者の顔も知らない撮影者は、複数台の車両のうちどちらが撮影希望者の車両なのか、及びどちらの人物が撮影希望者なのかを容易に特定できない。
(4)撮影希望者が車両を運転している状態で、又は停車している状態で、車両外の撮影者が車内の撮影希望者を撮影する場合、車外と比べて車室内は暗いので、車内の撮影希望者を写真として鮮明に撮影することが難しい。したがって、撮影される写真の品質が低下する。
(5)撮影希望者が車両を運転している状態で車両外の撮影者が撮影する場合、撮影希望者が撮影者の存在位置や撮影位置等を事前に認識していないと、撮影希望者の顔の向きなどが撮影に適した状態でない状態で撮影される可能性が高くなる。その結果、撮影された写真の価値が低下する。
(6)撮影希望者が車両を運転している状態で車両外の撮影者が撮影する場合、撮影希望者が運転しながら周囲を見渡して撮影者を探す状態になりやすく、脇見運転により安全な運転状態を維持するのが困難になる。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両上の撮影希望者、又は車両のそばにいる撮影希望者を離れた位置から現地の撮影者がカメラで撮影する場合に、撮影者の撮影操作を容易にするために役立つ撮影管理システム及び撮影管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との連携を制御可能な通信制御部を有し、
前記通信制御部は、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得する撮影像取得機能と、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別する対象認識機能と、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する撮影対象指示機能と、
を備える撮影管理システム。
【0011】
(2) 車両を利用して移動可能な特定の撮影希望者が使用する第1の通信端末と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者が使用する第2の通信端末との間で連携できるように通信経路を確保し、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得し、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別し、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する、
撮影管理方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮影管理システム及び撮影管理方法によれば、車両上の撮影希望者、又は車両のそばにいる撮影希望者を離れた位置から現地の撮影者がカメラで撮影する場合に、撮影者の撮影操作が容易になる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態における撮影管理システムの構成概要を示すブロック図である。
図2図2は、サービス利用者と撮影者との位置関係の例を示す平面図である。
図3図3は、撮影管理システムにおける動作状態-1を示す模式図である。
図4図4は、撮影管理システムにおける動作状態-2を示す模式図である。
図5図5は、撮影管理システムにおける動作状態-3を示す模式図である。
図6図6は、撮影管理システムにおける主要な機能と通信経路の例を示すブロック図である。
図7図7は、1番目の状態における撮影管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、2番目の状態における撮影管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、3番目の状態における撮影管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
本発明の実施形態における撮影管理システム100の構成の概要を図1に示す。
図1に示した撮影管理システム100は、サービス利用者10が使用するユーザ端末12と、撮影者20が使用する撮影者端末21と、管理サービスの主要な機能を提供するクラウド30とを備えている。
【0017】
図1に示した例では、サービス利用者10は観光地で観光する観光者であり、観光地の各地を移動するための手段としてユーザ車両11を使用する。このユーザ車両11は例えばレンタカーであり、それぞれの車両を区別可能なバーコード11aが車体の外表面に付加されている。このバーコード11aの情報は、カメラ等を利用して光学的に読み取ることができる。
【0018】
なお、特定のユーザ車両11を区別するために一次元パターンの一般的なバーコード11aの代わりに、二次元パターンやそれ以外の固有のパターンを利用することも可能である。撮影者20は、観光地の各地に居住している一般の地域住民や、その場所にたまたま居合わせたプロカメラマンなどである。
【0019】
ユーザ端末12は、例えばスマートフォンであり、一般的なスマートフォンと同様に各種の通信機能、カメラ、ディスプレイ、各種入力装置、GPS(Global Positioning System)受信機、制御ユニット(CPU)、記憶装置などを搭載している。
【0020】
また、クラウド30の機能を利用するためのサービス専用アプリ13が、ユーザ端末12に予め組み込んである。このサービス専用アプリ13は、位置情報送信、写真アップ、撮影要望、写真閲覧/評価、アルバムリクエストなどの機能を有している。
【0021】
例えば、サービス利用者10はユーザ車両11を利用して移動しているときに、自分自身の写真を任意の撮影者20に撮影して貰うためのサービス要求を、ユーザ端末12及びサービス専用アプリ13を利用してクラウド30に送信することができる。
【0022】
撮影者20が使用する撮影者端末21は、例えばスマートフォンであり、一般的なスマートフォンと同様に各種の通信機能、カメラ、ディスプレイ、各種入力装置、GPS受信機、制御ユニット、記憶装置などを搭載している。
【0023】
また、クラウド30の機能を撮影者20が利用するための撮影専用アプリ22が、撮影者端末21に予め組み込んである。この撮影専用アプリ22は、位置情報送信機能、写真の撮影機能、撮影した写真のクラウド保存機能、バーコード認識機能、マーキング/AR(拡張現実)表示機能などを有している。
【0024】
一方、クラウド30は例えば所定のデータセンターに設置されたサーバ装置上に組み込まれたアプリケーションソフトウェア(アプリ)により構成されている。また、このサーバ装置は公衆通信回線40を経由してユーザ端末12および撮影者端末21とそれぞれ通信するための機能を有している。また、本実施形態のクラウド30はマッチング処理部31、写真データ保存部32、及びアルバム作成処理部33を備えている。
【0025】
マッチング処理部31は、撮影して貰うことを希望するサービス利用者10と、事前に登録した各地の撮影者20との間で写真撮影のための円滑なマッチングを実現するために必要な処理機能を有している。写真データ保存部32は、撮影者20が撮影した写真等のデータを保存することができる。アルバム作成処理部33は、写真のアルバムを作成するための処理を実施する。
【0026】
<サービス利用者と撮影者との位置関係>
サービス利用者10と撮影者20との位置関係の例を図2に示す。
サービス利用者10は、例えば図2に示すようにレンタカーなどのユーザ車両11を利用して、道路50上をA地点からZ地点まで観光しながら移動する。移動する途中の道路50上の各地点において、サービス利用者10は思い出となる写真の撮影を要望する可能性がある。
【0027】
また、観光地などでは各地に地域住民などが撮影者20として存在している可能性がある。また、各撮影者20が所持している撮影者端末21は、スマートフォンのように写真を撮影するカメラの機能や、GPSにより撮影者の現在位置を把握する機能や、クラウド30と通信する機能などを有している。
【0028】
サービス利用者10が写真撮影を希望する場合、サービス利用者10がユーザ端末12のサービス専用アプリ13を操作することで、写真撮影のリクエストを自車両の位置情報と共にクラウド30に送信することができる。
【0029】
クラウド30のマッチング処理部31は、各地点に存在する撮影者20の現在位置をそれぞれ把握しているので、写真撮影のリクエストを送信したサービス利用者10のユーザ車両11の現在位置、各撮影者20の現在位置、道路地図の情報などを利用して、それぞれのサービス利用者10と特定の撮影者20とをマッチングさせることができる。
【0030】
例えば、クラウド30のマッチング処理部31が特定のサービス利用者10のユーザ車両11について室内照明、ヘッドライトなどの点灯を自動制御することで、撮影者20は撮影すべきユーザ車両11を目視により確認しやすい状態になる。
【0031】
また、図1に示すように撮影者20は撮影者端末21のカメラでユーザ車両11上のバーコード11aを読み取り、バーコード11aの情報を撮影者端末21からクラウド30に送信することができる。
【0032】
クラウド30のマッチング処理部31は、事前にユーザ車両11のバーコード11aの情報を把握しているので、この情報と撮影者20が送信したバーコード11aの情報とを比較することで、撮影者20がカメラを向けている被写体の車両が、サービス利用者10のユーザ車両11と一致するか否かを識別できる。
【0033】
撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、マッチング処理部31から送信された情報に基づき、撮影者端末21のディスプレイ内で撮影対象のユーザ車両11に対してマーキングの情報を付加し、被写体のユーザ車両11の映像とマーキングの情報とを重畳した状態でAR表示を実行する。このAR表示により、撮影者20は撮影対象のユーザ車両11を間違えることなくサービス利用者10を容易に撮影できる。
【0034】
なお、ユーザ端末12および撮影者端末21は通常はそれぞれが公衆通信回線40を利用してクラウド30にアクセスし、クラウド30を経由して通信する状態になる。一方、ユーザ端末12と撮影者端末21との距離が接近した場合には、クラウド30で中継せずにダイレクト通信42を行うこともできる。
【0035】
一方、撮影者20が走行中のユーザ車両11およびサービス利用者10を実際に撮影する場合には、様々な要因により綺麗な写真を撮影できない場合がある。例えば、ユーザ車両11の走行速度が速すぎる状態で撮影すると、撮影のタイミング、位置合わせ、ピント合わせ、光量調整などの失敗が生じやすくなる。更に、撮影対象のユーザ車両11の前方を他の先行車両が走行している場合に、ユーザ車両11と先行車両との車間距離が近いと、先行車両がユーザ車両11と被さった状態で同時に撮影される可能性が高く、撮影される写真の品質が低下する。
【0036】
そこで、撮影管理システム100は、クラウド30とユーザ車両11とが連携して適切な撮影環境を実現するための車両制御システムも搭載している。例えば、ユーザ車両11が撮影する場所に近づいた時に、ユーザ車両11の走行速度が早くならないように、アクセル操作を制限したり、自動ブレーキ操作を実施する。あるいは、ユーザ車両11の運転者がそのような運転をするように表示や音声などで案内を実施する。また、ユーザ車両11と先行車両との車間距離が近い場合には、車間距離を大きくするように制御する。
【0037】
<状況の違いに応じたシステムの動作>
図1の撮影管理システム100の3種類の状況におけるそれぞれの動作状態の概要を図3図5に示す。
【0038】
<ユーザ車両11と撮影者20との距離が大きく離れている場合>
図3に示すように、ユーザ車両11上のサービス利用者10はユーザ端末12及び公衆通信回線40を介してクラウド30と通信し、クラウド30のサービスに対して写真撮影のリクエストをユーザ車両11の現在位置の情報と共に送信できる。ユーザ車両11の現在位置はGPSを利用した測位により例えば定期的に更新され、定期的にクラウド30に送信される。
【0039】
また、各地に存在する撮影者20が撮影者端末21上の撮影専用アプリ22を起動している場合には、公衆通信回線40を利用して撮影者20の位置情報がクラウド30に送信される。クラウド30は、サービス利用者10側の位置情報と撮影者20側の位置情報とに基づいて互いの距離を把握し、距離に応じてマッチングを実行する。
【0040】
<ユーザ車両11が撮影者20の位置に近づいた場合>
ユーザ車両11が撮影者20の位置に近づくと、撮影者20の位置からユーザ車両11を視認できるので、図4に示すように撮影者20は撮影者端末21のカメラでユーザ車両11を撮影し、ユーザ車両11のバーコード11aを読み取ることができる。
【0041】
撮影者端末21の撮影専用アプリ22は、ユーザ車両11から読み取ったバーコード11aの情報を公衆通信回線40を介してクラウド30へ送信する。
クラウド30は、サービス利用者10に対応付けられたユーザ車両11のバーコード11aの内容を事前に把握しているので、撮影者20から送信されたバーコード11aの情報とサービス利用者10のユーザ車両11とが一致するか否かを識別できる。
【0042】
バーコード11aの情報とサービス利用者10のユーザ車両11とが一致した場合は、クラウド30及び撮影専用アプリ22の制御により、撮影者端末21のディスプレイ上で対象車両のAR表示が実行される。すなわち、撮影者端末21のカメラで撮影しているリアルタイムの被写体の映像と、バーコード11aにより認識したユーザ車両11が撮影対象車両であることを表すマークとが重畳した状態で表示される。これにより、撮影者20は撮影対象のユーザ車両11を容易に認識できる。
【0043】
<サービス利用者10がユーザ車両11から降車している場合>
撮影を目的として撮影者20がサービス利用者10に近づくと、図5に示すように撮影者端末21とユーザ端末12との間で短距離無線通信を行うことが可能になる。短距離無線通信の具体例としては、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)やWi-Fi(登録商標)などを利用できる。
【0044】
したがって、撮影管理システム100は撮影者端末21とユーザ端末12との間の直接通信と、クラウド30を利用した通信とを併用して撮影サービスの処理を実行できる。撮影者端末21の撮影専用アプリ22は、撮影者端末21のディスプレイ上でサービス利用者10のAR表示を実行する。例えば、撮影者端末21のカメラで撮影した被写体のリアルタイム映像上に、撮影対象の人物が撮影を希望しているサービス利用者10であることを表す矩形枠などの対象者マークを映像中のサービス利用者10を囲む領域に重畳した状態で表示する。
【0045】
<主要な機能と通信経路>
撮影管理システム100における主要な機能と通信経路の例を図6に示す。
図6に示すように、撮影者20とクラウド30との間は通信C01、C02、C03の各経路で接続できる。すなわち、撮影者端末21又は撮影専用アプリ22は、撮影者20の位置情報、撮影者端末21のカメラ映像、各種リクエスト情報などをC03の経路でクラウド30のマッチング処理部31に送信できる。また、撮影者端末21又は撮影専用アプリ22は、撮影者20が自分のカメラで撮影した写真のデータを通信C01の経路でクラウド30の写真データ保存部32に送信できる。
【0046】
また、クラウド30のマッチング処理部31は、サービス登録情報、マッチング結果情報、AR処理結果、インセンティブ情報などを撮影者端末21又は撮影専用アプリ22に送信できる。
【0047】
また、撮影者20とサービス利用者10の距離が近い場合は、ダイレクト通信42を利用した通信C04の経路で、メールメッセージ、各種依頼や案内情報を撮影専用アプリ22とサービス専用アプリ13との間で相互に送受信できる。また、撮影専用アプリ22は撮影者端末21のカメラで撮影したカメラ映像CPにより、サービス利用者10が使用しているユーザ車両11のバーコード11aを読み取ることができる。
【0048】
また、サービス利用者10のユーザ端末12、サービス専用アプリ13、又はユーザ車両11とクラウド30との間は、公衆通信回線40を利用して通信C05~C10の各経路で接続できる。
【0049】
クラウド30のマッチング処理部31は、ユーザ車両11に対するヘッドライト及びルームランプのオンオフ指示を通信C05の経路で送信できる。また、ユーザ車両11は車両情報、車両の現在位置の情報、走行履歴情報などを通信C06の経路でマッチング処理部31に送信できる。なお、ユーザ車両11とクラウド30との間の通信については、ユーザ端末12及びサービス専用アプリ13で中継してもよい。
【0050】
ユーザ端末12又はサービス専用アプリ13は、サービス登録情報、位置情報、アルバムリクエスト、写真評価、サービス終了リクエストなどを通信C07の経路でクラウド30のマッチング処理部31に送信できる。
【0051】
また、マッチング処理部31はマッチング処理結果を通信C08の経路でユーザ端末12又はサービス専用アプリ13に送信できる。クラウド30のアルバム作成処理部33は、通信C09の経路でクラウド30上のアルバムデータや写真データをサービス専用アプリ13に提供できる。また、サービス専用アプリ13はユーザ端末12が撮影した写真データを通信C10の経路でクラウド30の写真データ保存部32に送信できる。
【0052】
また、クラウド30のマッチング処理部31は、サービス専用アプリ13からのアルバムリクエストに従い、アルバム作成処理部33に対するアルバム作成指示を通信C11の経路で送出できる。アルバム作成処理部33は、マッチング処理部31からのアルバム作成指示に従い、写真データ保存部32が保持している写真のアルバムを作成できる。作成したアルバムは写真データ保存部32に保存できる。
【0053】
<撮影管理システムの処理手順>
3種類の状態における撮影管理システム100の処理手順の例を図7図9にそれぞれ示す。図7図9に示した処理手順について以下に説明する。
【0054】
<ユーザ車両11と撮影者20の距離が大きく離れている場合>
図7に示すように、撮影者20の撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、撮影者端末21の現在位置の情報を例えは定期的にクラウド30に送信する(S11)。
【0055】
サービス利用者10が所持しているユーザ端末12上のサービス専用アプリ13は、ユーザ端末12の現在位置、又はユーザ車両11の現在位置の情報を例えば定期的にクラウド30に送信する(S12)。
【0056】
クラウド30のマッチング処理部31は、サービス利用者10の現在位置を撮影者20の撮影者端末21にリアルタイムで通知すると共に、撮影者20の現在位置をサービス利用者10のユーザ端末12にリアルタイムで通知する(S13)。
【0057】
マッチング処理部31、サービス専用アプリ13、又は撮影専用アプリ22は、サービス利用者10の位置と、撮影者20の位置との間の距離を把握し、この距離をS14で規定値(例えば500m)と比較する。距離が規定値以下の場合はS15に進み、規定値を超える場合はS11の処理に戻る。
【0058】
撮影管理システム100はサービス利用者10のユーザ車両11が撮影ポイントに接近しつつあることをサービス利用者10および撮影者20の双方に通知する(S15)。この処理は、マッチング処理部31、サービス専用アプリ13、及び撮影専用アプリ22の少なくとも1つが実行する。
【0059】
マッチング処理部31は、サービス利用者10のサービス専用アプリ13からの撮影サービス要望が存在するか否かをS16で識別する。サービス利用者10が撮影サービスを要望している場合はS16からS17の処理に進み、要望がない場合はS18の処理に進む。
【0060】
マッチング処理部31、又はサービス専用アプリ13は、S17でユーザ車両11の照明系に指示を与え、ユーザ車両11のヘッドライト及びルームランプの両方を自動点灯する。ユーザ車両11のヘッドライトの照明により、撮影者20は撮影すべきサービス利用者10が搭乗しているユーザ車両11を視覚的に容易に認識できる。また、ルームランプの点灯により、室内が明るい状態で鮮明な写真を撮影することが容易になる。
マッチング処理部31、又は撮影専用アプリ22は、サービス利用者10が撮影サービスを拒否していることを撮影者20に通知する(S18)。
【0061】
<ユーザ車両11が撮影者20に近づいた場合>
図8に示すように、撮影者20の撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、撮影者端末21の現在位置の情報を例えは定期的にクラウド30に送信する(S21)。
【0062】
サービス利用者10が所持しているユーザ端末12上のサービス専用アプリ13は、ユーザ端末12の現在位置、又はユーザ車両11の現在位置の情報を例えば定期的にクラウド30に送信する(S22)。
【0063】
クラウド30のマッチング処理部31は、サービス利用者10の現在位置を撮影者20の撮影者端末21にリアルタイムで通知すると共に、撮影者20の現在位置をサービス利用者10のユーザ端末12にリアルタイムで通知する(S23)。
【0064】
撮影者20の撮影者端末21上で撮影専用アプリ22が起動する(S24)。ここで、撮影者20はバーコード11aが貼り付けられ、且つヘッドライト及びルームランプが点灯している目的のユーザ車両11に撮影者端末21のカメラを向けるように操作する。撮影者端末21のディスプレイ上には、カメラで撮影されたリアルタイムの映像が表示される。撮影専用アプリ22は、バーコード11aを含む撮影された映像をリアルタイムでクラウド30に送信する。
【0065】
クラウド30のマッチング処理部31は、撮影者20の撮影専用アプリ22から入力されたリアルタイム映像中のバーコード11aを認識すると共に、バーコードの認識結果とサービス利用者10が使用しているユーザ車両11のバーコードの情報とを比較する(S25)。両者が一致する場合はS25からS26の処理に進み、一致しない場合はS24の処理を繰り返す。
【0066】
クラウド30のマッチング処理部31は、バーコードの情報が一致したユーザ車両11の位置と、撮影者20の位置とがマッチングするように処理して、撮影専用アプリ22及びサービス専用アプリ13に対して相手の位置情報をリアルタイムで通知する(S26)。撮影専用アプリ22は、マッチング処理部31から送信された位置情報に基づき、撮影者端末21のカメラで撮影している画像フレーム内における撮影対象のユーザ車両11の領域を特定し、画像フレーム内のユーザ車両11の動きにリアルタイムで追従するようにAR表示を実行する。例えば、画像フレーム内のユーザ車両11の映像を囲む位置に、矩形パターンなどのマークが重畳した状態で表示される(図4参照)。
【0067】
撮影者20の撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、公衆通信回線40又はダイレクト通信42を利用して、必要な情報をサービス利用者10のサービス専用アプリ13に通知する(S27)。通知する情報の内容は、「撮影者20がAR表示を確認しながらユーザ車両11をカメラで捉えていること」、撮影者20の居場所、及び「サービス利用者10が撮影者20の方向を向くことの要求」をサービス利用者10が理解できるように構成する。
【0068】
したがって、撮影者20は自分がカメラを向けている撮影対象が目的のサービス利用者10の搭乗しているユーザ車両11であることを、撮影者端末21上のディスプレイ画面のAR表示により容易に把握しながら写真の撮影を実行できる。また、撮影対象のユーザ車両11はルームランプを点灯しているので、撮影者20はユーザ車両11の車室内が明るい状態で鮮明な写真を撮影することができる。
【0069】
また、撮影者20が写真を撮影する前に、これからサービス利用者10を写真撮影する予定であること、及び撮影者20の居場所をサービス利用者10に通知する(S27)ので、サービス利用者10は写真撮影に適した行動をすることができる。例えば、安全を確保するためにユーザ車両11の走行速度を低下させたり、サービス利用者10の顔の向きや視線を撮影者20のカメラの方向に向けることを適切なタイミングで実施できる。
【0070】
<サービス利用者10が降車後に撮影者20との距離が近づいた場合>
図9に示すように、撮影者20の撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、撮影者端末21の現在位置の情報を例えは定期的にクラウド30に送信する(S31)。
【0071】
サービス利用者10が所持しているユーザ端末12上のサービス専用アプリ13は、ユーザ端末12の現在位置の情報を例えば定期的にクラウド30に送信する(S32)。
クラウド30のマッチング処理部31は、サービス利用者10の現在位置を撮影者20の撮影者端末21にリアルタイムで通知すると共に、撮影者20の現在位置をサービス利用者10のユーザ端末12にリアルタイムで通知する(S33)。
【0072】
撮影者20の撮影者端末21上で撮影専用アプリ22が起動する(S34)。ここで、撮影者20はクラウド30から通知された情報によりサービス利用者10の現在位置と自分の位置との位置関係を把握しているので、目的のサービス利用者10に撮影者端末21のカメラを向けるように操作できる。
【0073】
したがって、撮影者端末21のディスプレイ上には、カメラで撮影されたサービス利用者10を含むリアルタイムの映像が表示される。また、撮影専用アプリ22は、撮影された映像をリアルタイムでクラウド30に送信する(S34)。
【0074】
クラウド30のマッチング処理部31は、撮影者20の撮影専用アプリ22から入力されたリアルタイム映像を解析して、人物を認識する。更に、サービス専用アプリ13から入力されたサービス利用者10の現在位置と、撮影専用アプリ22から入力された撮影者20の位置およびカメラの向きなどに基づいて、リアルタイム映像中の人物が撮影対象のサービス利用者10と一致するか否かを比較する(S35)。
【0075】
リアルタイム映像中の人物が撮影対象のサービス利用者10と一致する場合は、S35からS36の処理に進み、一致しない場合はS34の処理を繰り返す。
クラウド30のマッチング処理部31は、撮影対象のサービス利用者10と一致した人物と、リアルタイム映像中の人物の位置とがマッチングするように対応付けて、位置情報を撮影専用アプリ22に対してリアルタイムで通知する(S36)。
【0076】
撮影専用アプリ22は、マッチング処理部31から送信された位置情報に基づき、撮影者端末21のカメラで撮影している画像フレーム内における撮影対象のサービス利用者10の領域を特定し、画像フレーム内のサービス利用者10の動きにリアルタイムで追従するようにAR表示を実行する。例えば、画像フレーム内のサービス利用者10の映像を囲む位置に、矩形パターンなどのマークが重畳した状態で表示される(図5参照)。
【0077】
撮影者20の撮影者端末21上の撮影専用アプリ22は、公衆通信回線40又はダイレクト通信42を利用して、必要な情報をサービス利用者10のサービス専用アプリ13に通知する(S37)。通知する情報の内容は、「撮影者20がAR表示を確認しながらサービス利用者10をカメラで捉えていること」、撮影者20の居場所、及び「サービス利用者10が撮影者20の方向を向くことの要求」をサービス利用者10が理解できるように構成する。
【0078】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0079】
例えば、上述の撮影管理システム100では、撮影者20が目的のユーザ車両11を認識するためにユーザ車両11の車体表面に貼り付けられたバーコード11aを利用しているが、カメラで光学的に読み取り可能なバーコード以外の固有パターンをバーコード11aの代わりに利用してもよい。また、例えばカメラで撮影した映像中の外観からユーザ車両11の車体形状や車種の違いなどを認識する機能をバーコード11aの読み取りと併用して利用してもよい。
【0080】
また、上述の撮影管理システム100では、撮影者端末21のカメラで撮影しているリアルタイムの被写体の映像と、バーコード11aにより認識したユーザ車両11が撮影対象車両であることを表すマークとが重畳した状態で表示されるようになっているが、ユーザ車両11のナンバー、色、車種、「手前の車」「右側の車」などの位置を、文字や音声により撮影者端末21に通知するようにしてもよい。あるいは、「正解」などの文字や「〇」「×」などの記号、正解や不正解を表す音声やチャイムにより、重畳した車両が撮影対象のユーザ車両11で合っていることを撮影者端末21に通知するようにしてもよい。
【0081】
以上のように、本実施形態の撮影管理システム100によれば、バーコード11aなどに基づいて撮影者20が撮影対象のユーザ車両11を特定できるので、道路上を複数台の車両が並んで走行している場合でも撮影者20は撮影対象を間違えずに容易に撮影を実行できる。特に、撮影者端末21のディスプレイ画面において撮影対象のユーザ車両11を表すマークなどの表示を被写体映像と共にAR表示したり、撮影対象のユーザ車両11でであることを表す音声を撮影者端末21に出力させるので、ユーザ車両11の近くに他の車両が現れた場合や、撮影者20がカメラの向きを変更したような場合でも、撮影者20が撮影対象のユーザ車両11を見失うのを防止できる。
【0082】
また、撮影対象のユーザ車両11は撮影者20に近づく前にヘッドライトやルームランプを点灯する(S17)ので、撮影者20は比較的距離が離れている状態でも撮影対象のユーザ車両11とそれ以外の車両とを容易に区別できる。また、撮影対象のユーザ車両11はルームランプを点灯するので、撮影者20は車室内が明るい状態でサービス利用者10を撮影できる。これにより、撮影する写真の品質向上が期待できる。
【0083】
また、撮影者20が撮影を実行する前に撮影管理システム100が必要な情報をサービス利用者10に通知する(S27)ので、サービス利用者10は走行中の写真撮影に適した行動を取ることができる。例えば、サービス利用者10は自分の位置に対する撮影者20の相対位置を正確に把握して顔の向きや視線の方向をカメラに向けることができる。また、サービス利用者10が撮影のタイミングを把握してユーザ車両11の走行速度を低減したり、安全確保のために必要な行動をとることができる。
【0084】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る撮影管理システム及び撮影管理方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両(ユーザ車両11)を利用して移動可能な特定の撮影希望者(サービス利用者10)が使用する第1の通信端末(ユーザ端末12)と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者(20)が使用する第2の通信端末(撮影者端末21)との連携を制御可能な通信制御部(クラウド30)を有し、
前記通信制御部は、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報(バーコード11a)を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得する撮影像取得機能(S24)と、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別する対象認識機能(S25)と、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する撮影対象指示機能(S26)と、
を備える撮影管理システム(100)。
【0085】
上記[1]の構成の撮影管理システムによれば、固有パターン情報の認識により、撮影者が撮影すべき車両を確実に特定できる。また、撮影対象の特定車両を表すマークが撮影者側の画面に表示されたり音声により通知されるので、同時に複数の車両が同じ道路上を走行している場合でも、撮影者は撮影すべき特定車両を容易に識別できる。
【0086】
[2] 前記撮影対象指示機能は、前記特定車両であることを表す表示の画面への重畳表示を前記第2の通信端末に対して指示する、
上記[1]に記載の撮影管理システム。
【0087】
上記[2]の構成の撮影管理システムによれば、撮影対象の特定車両を表すマークが撮影者側の画面に被写体の映像と共に重畳表示されるので、同時に複数の車両が同じ道路上を走行している場合でも、撮影者は撮影すべき特定車両を容易に識別できる。
【0088】
[3] 前記通信制御部は、前記撮影者が撮影対象を確認したことを表す情報を受信した後で、前記特定車両上の照明の点灯指示を前記第1の通信端末に対して送信する撮影照明制御部(S17)を有する、
上記[1]に記載の撮影管理システム。
【0089】
上記[3]の構成の撮影管理システムによれば、少なくとも撮影時には撮影対象の特定車両における照明が自動的に点灯するので、常に撮影者は車両の室内が明るい状態で撮影を実行できる。したがって、車両の室内にいる撮影対象者を鮮明な写真として撮影できる。
【0090】
[4] 前記通信制御部は、前記撮影者が撮影対象を確認したことを表す情報を受信した後で、前記撮影者のカメラが前記撮影希望者を捉えていることを表す通知を前記第1の通信端末に対して送信する撮影準備通知部(S27)を有する、
上記[1]に記載の撮影管理システム。
【0091】
上記[4]の構成の撮影管理システムによれば、撮影希望者は撮影の前に撮影に適した行動を取ることが容易になる。例えば、撮影希望者は自分の位置に対する撮影者の相対位置を正確に把握して顔の向きや視線の方向をカメラに向けることができる。また、撮影希望者が撮影のタイミングを把握して自車両の走行速度を低減したり、安全確保のために必要な行動をとることができる。
【0092】
[5] 前記通信制御部は、前記特定車両の位置情報および前記第2の通信端末側のカメラの位置情報に基づいて、前記特定車両が撮影可能な領域に入ったことを検知した場合に、前記特定車両上の照明を制御して前記撮影者に対して撮影対象の車両であることを通知する、通知照明制御部(S17)を有する、
上記[1]に記載の撮影管理システム。
【0093】
上記[5]の構成の撮影管理システムによれば、撮影対象の車両が撮影者の位置から比較的離れた位置にある場合でも、撮影者は照明の違いにより該当する車両とそれ以外の車両とを容易に区別できる。
【0094】
[6] 車両(ユーザ車両11)を利用して移動可能な特定の撮影希望者(サービス利用者10)が使用する第1の通信端末(ユーザ端末12)と、前記撮影希望者をカメラで撮影可能な撮影者(20)が使用する第2の通信端末(撮影者端末21)との間で連携できるように通信経路(公衆通信回線40、ダイレクト通信42)を確保し、
前記撮影希望者と関連付けられた特定車両に事前に付与された固有パターン情報(バーコード11a)を含む撮影像を前記第2の通信端末側のカメラから取得し(S24)、
前記撮影像と前記第1の通信端末から取得した情報とに基づき、前記撮影像と前記特定車両との一致の有無を識別し(S25)、
前記撮影像と前記特定車両との一致を認識した場合に、前記撮影像中の車両が前記撮影希望者の搭乗している前記特定車両であることを表す表示或いは前記特定車両であることを表す音声の出力の少なくとも一方を前記第2の通信端末に対して指示する(S26)、
撮影管理方法。
【0095】
上記[6]の手順の撮影管理方法によれば、固有パターン情報の認識により、撮影者が撮影すべき車両を確実に特定できる。また、撮影対象の特定車両を表すマークが撮影者側の画面に被写体の映像と共に重畳表示されたり音声により通知されるので、同時に複数の車両が同じ道路上を走行している場合でも、撮影者は撮影すべき特定車両を容易に識別できる。
【符号の説明】
【0096】
10 サービス利用者
11 ユーザ車両
11a バーコード
12 ユーザ端末
13 サービス専用アプリ
20 撮影者
21 撮影者端末
22 撮影専用アプリ
30 クラウド
31 マッチング処理部
32 写真データ保存部
33 アルバム作成処理部
40 公衆通信回線
42 ダイレクト通信
100 撮影管理システム
CP カメラ映像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9