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7693882欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システム
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  • -欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-09
(45)【発行日】2025-06-17
(54)【発明の名称】欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250610BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250610BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20250610BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20250610BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01R31/396
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039884
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2023514012の分割
【原出願日】2022-07-27
(65)【公開番号】P2024069467
(43)【公開日】2024-05-21
【審査請求日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100431
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボキュン
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-520388(JP,A)
【文献】特開2009-089488(JP,A)
【文献】特表2022-551451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0262180(US,A1)
【文献】特開2015-029388(JP,A)
【文献】特開平11-055866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/396
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出するバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)であって、
複数のバッテリーセルそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルそれぞれのセル電圧を測定するセルモニタリングICと、
前記バッテリーの充電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に到達した充電バッテリーセルを検出し、前記バッテリーの放電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に到達した放電バッテリーセルを検出し、前記充電バッテリーセルとして検出された第1回数および前記放電バッテリーセルとして検出された第2回数を足した総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出するメイン制御回路とを含む、バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記メイン制御回路は、
前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了する、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記メイン制御回路は、
前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了する、請求項1または2に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出するバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)であって、
複数のバッテリーセルそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルそれぞれのセル電圧を測定するセルモニタリングICと、
前記バッテリーの充電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に到達した充電バッテリーセルを検出し、前記バッテリーの放電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に到達した放電バッテリーセルを検出し、 N番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出するメイン制御回路とを含む、バッテリー管理システム。
【請求項5】
前記メイン制御回路は、
N番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する、請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記メイン制御回路は、
前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了する、請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
前記メイン制御回路は、
前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了する、請求項4から6のいずれか一項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項8】
バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)が複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法であって、
前記バッテリーの充電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に到達した充電バッテリーセルを検出する段階と、
前記バッテリーの放電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に到達した放電バッテリーセルを検出する段階と、
前記充電バッテリーセルとして検出された第1回数および前記放電バッテリーセルとして検出された第2回数を足した総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階とを含む、欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項9】
前記充電バッテリーセルを検出する段階は、
前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了する、請求項8に記載の欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項10】
前記放電バッテリーセルを検出する段階は、
前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了する、請求項8または9に記載の欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項11】
バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)が複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法であって、
前記バッテリーの充電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に到達した充電バッテリーセルを検出する段階と、
前記バッテリーの放電サイクルにおいて、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に到達した放電バッテリーセルを検出する段階と、
N番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階とを含む、欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項12】
前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階は、
N番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する、請求項11に記載の欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項13】
前記充電バッテリーセルを検出する段階は、
前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了する、請求項11に記載の欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【請求項14】
前記放電バッテリーセルを検出する段階は、
前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了する、請求項11から13のいずれか一項に記載の欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年7月30日付韓国特許出願第10-2021-0100431号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーを構成する複数のバッテリーセルのうちの欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法およびその方法を提供するバッテリー管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気車両は、所定の個数、例えば、2~4個のバッテリーパック(battery pack)から構成されるバッテリーから出力される電気エネルギーで動作する車両である。バッテリーは、充/放電の可能な複数のバッテリーセル(battery cell)を含み、外部環境および自体特性によって状態変化を起こすことがある。よって、バッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)は、バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルをモニタリングし管理する。
【0004】
複数のバッテリーセルそれぞれが既に設定されている範囲内の性能を有する場合(以下、正常範疇内にあるバッテリーセル)、充電サイクルでおよび放電サイクルで複数のバッテリーセルそれぞれのセル電圧は所定の範囲内で類似に変動する。したがって、BMSが、セル電圧が充電上限電圧(charge final voltage)に到達するバッテリーセルが最初発生する時に充電サイクルを終了しても、バッテリーは可用なバッテリー容量を全て使用することができる。
【0005】
一方、バッテリーを長期間使用すると、バッテリーセルが退化(劣化)して既に設定されている範囲内の性能を逸脱したバッテリーセル(以下、欠陥のあるバッテリーセルと記載)が発生することがある。充電サイクルでまたは放電サイクルで、欠陥のあるバッテリーセルのセル電圧は他の正常範疇内にあるバッテリーセルのセル電圧より充電上限電圧(charge final voltage)または放電下限電圧(discharge final voltage)にはやく到達する特性を示すことがある。
【0006】
欠陥のあるバッテリーセルのセル電圧が充電上限電圧に到達する時に充電サイクルが終了する場合、他の正常範疇内にあるバッテリーセルは十分に充電されていない状態で充電が終了することがある。これにより、バッテリーは可用なバッテリー容量を全て使用することができない問題が発生する。また、欠陥のあるバッテリーセルは可用な容量全区間を繰り返して使用するようになって、退化が加速化される問題がある。それだけでなく、バッテリーを構成する基本単位であるバッテリーセルに欠陥が発生する場合、バッテリーの全体電圧は下がり、頻繁なセルバランシング(Cell Balancing)およびUV(Under Voltage)診断を誘発してバッテリー全体の安定性を威嚇することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バッテリーの性能を低下させる欠陥のあるバッテリーセルを検出することができる欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一特徴によるバッテリー管理システムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出するバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)であって、複数のバッテリーセルそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルそれぞれのセル電圧を測定するセルモニタリングIC、そして前記バッテリーの充電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出し、前記バッテリーの放電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出し、前記充電サイクル回数および前記放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足すれば、前記充電バッテリーセルとして検出された第1回数および前記放電バッテリーセルとして検出された第2回数を足した総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出するメイン制御回路を含む。
【0009】
前記メイン制御回路は、前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了することができる。
【0010】
前記メイン制御回路は、前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了することができる。
【0011】
本発明の他の特徴によるバッテリー管理システムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出するバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)であって、複数のバッテリーセルそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルそれぞれのセル電圧を測定するセルモニタリングIC、そして前記バッテリーの充電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出し、前記バッテリーの放電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出し、前記充電サイクル回数および前記放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足すれば、N番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出するメイン制御回路を含む。
【0012】
前記メイン制御回路は、N番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出することができる。
【0013】
前記メイン制御回路は、前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了することができる。
【0014】
前記メイン制御回路は、前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了することができる。
【0015】
本発明のまた他の特徴による欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法は、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)が複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法であって、前記バッテリーの充電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出する段階、前記バッテリーの放電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出する段階、前記充電サイクル回数および前記放電サイクル回数の合計が第1基準回数に到達したかどうかを判断する段階、そして前記判断の結果、到達したら、前記充電バッテリーセルとして検出された第1回数および前記放電バッテリーセルとして検出された第2回数を足した総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階を含む。
【0016】
前記充電バッテリーセルを検出する段階は、前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了することができる。
【0017】
前記放電バッテリーセルを検出する段階は、前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了することができる。
【0018】
本発明のまた他の特徴による欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法は、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)が複数のバッテリーセルを含むバッテリーで欠陥のあるバッテリーセルを検出する方法であって、前記バッテリーの充電サイクルごとに、前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が充電上限電圧に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出する段階、前記バッテリーの放電サイクルごとに前記複数のバッテリーセルのうちのセル電圧が放電下限電圧に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出する段階、前記充電サイクル回数および前記放電サイクル回数の合計が第1基準回数に到達したかどうかを判断する段階、そして前記判断の結果、到達したら、N番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階を含む。
【0019】
前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出する段階は、N番目放電サイクルで前記放電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目充電サイクルで前記充電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルを前記欠陥のあるバッテリーセルとして検出することができる。
【0020】
前記充電バッテリーセルを検出する段階は、前記充電バッテリーセルが検出されると、前記充電サイクルを終了することができる。
【0021】
前記放電バッテリーセルを検出する段階は、前記放電バッテリーセルが検出されると、前記放電サイクルを終了することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、欠陥のあるバッテリーセルを迅速且つ精密度高く検出してバッテリーの安定性を高め、バッテリーの性能が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態によるバッテリーシステムを説明する図である。
図2】一実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法を説明するフローチャートである。
図3】他の実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳しく説明し、同一であるか類似の構成要素には同一、類似の図面符号を付与し、これに関する重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞"モジュール"および/または"部"は明細書作成の容易さのみが考慮されて付与されるか混用されるものであって、それ自体に互いに区別される意味または役割を有するのではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明することにおいて関連する公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を濁すことがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0025】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用することができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0026】
ある構成要素が他の構成要素に"連結されて"いるとか"接続されて"いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているかまたは接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に"直接連結されて"いるとか"直接接続されて"いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0027】
本出願で、"含む"または"有する"などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0028】
図1は、一実施形態によるバッテリーシステムを説明する図である。
【0029】
図1を参照すれば、バッテリーシステム1は、バッテリー10、電流センサー20、リレー30、そしてバッテリー管理システム(Battery Management System、以下、'BMS'と記載する)40を含む。
【0030】
バッテリー10は、電気的に直列および並列連結されている複数のバッテリーセルCell1-Cellnを含むことができる。一実施形態で、バッテリーセルは充電可能な二次電池であってもよい。所定個数のバッテリーセルが直列連結されてバッテリーモジュール(battery module)を構成し、所定個数のバッテリーモジュールが直列連結されてバッテリーパック(battery pack)を構成し、所定個数のバッテリーパックが並列連結されてバッテリーバンク(battery bank)を構成して、所望の電力を供給することができる。図1には、複数のバッテリーセルCell1-Cellnが直列連結されたバッテリー10を示しているが、これに限定されず、バッテリー10はバッテリーモジュール、バッテリーパック、またはバッテリーバンク単位で構成できる。
【0031】
複数のバッテリーセルCell1-Cellnそれぞれは、配線を通じてBMS40に電気的に連結されている。BMS40は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnに関する情報を含むバッテリーセルに関する多様な情報を取りまとめおよび分析してバッテリーセルの充電および放電、保護動作などを制御し、リレー30の動作を制御することができる。
【0032】
図1では、バッテリー10は直列連結されている複数のバッテリーセルCell1-Cellnを含み、バッテリーシステム1の二つの出力端OUT1、OUT2の間に連結されており、バッテリーシステム1の正極と第1出力端OUT1の間にリレー30が連結されており、バッテリーシステム1の負極と第2出力端OUT2の間に電流センサー20が連結されている。図1に示された構成および構成間の連結関係は一例であって、発明がこれに限定されるのではない。
【0033】
電流センサー20は、バッテリー10と外部装置間の電流経路に直列連結されている。電流センサー20は、バッテリー10に流れるバッテリー電流、即ち、充電電流および放電電流を測定し、測定結果をBMS40に伝達することができる。
【0034】
リレー30は、バッテリーシステム1と外部装置間の電気的連結を制御する。リレー30がオンされれば、バッテリーシステム1と外部装置が電気的に連結されて充電または放電が行われ、リレー30がオフされれば、バッテリーシステム1と外部装置が電気的に分離される。この時、外部装置は、バッテリー10に電力を供給して充電する充電サイクルでは充電器であり、バッテリー10が外部装置に電力を放電する放電サイクルでは負荷であってもよい。
【0035】
BMS40は、セルモニタリングIC41およびメイン制御回路43を含む。
【0036】
セルモニタリングIC41は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnそれぞれの正極および負極に電気的に連結されて、複数のバッテリーセルCell1-Cellnそれぞれのセル電圧を測定する。電流センサー20によって測定されたバッテリー電流値はセルモニタリングIC41に伝達される。セルモニタリングIC41は、測定されたセル電圧およびバッテリー電流に関する情報をメイン制御回路43に伝達する。具体的に、セルモニタリングIC41は、充電および放電が発生しない休息(rest)期間に複数のバッテリーセルCell1-Cellnそれぞれのセル電圧を所定周期ごとに測定し、測定されたセル電圧に基づいてセル電流を計算することができる。セルモニタリングIC41は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnそれぞれのセル電圧およびセル電流をメイン制御回路43に伝達することができる。
【0037】
メイン制御回路43は、充/放電サイクル(charge discharge cycle)の回数が第1基準回数を満足すれば、充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルに基づいて欠陥のあるバッテリーセルを検出することができる。
【0038】
充電バッテリーセルは、充電サイクルでセル電圧が充電上限電圧(charge final voltage)に一番目に到達したバッテリーセルを指し示すことができる。放電バッテリーセルは、放電サイクルでセル電圧が放電下限電圧(discharge final voltage)に一番目に到達した放電バッテリーセルを指し示すことができる。例えば、メイン制御回路43は、バッテリー10でバッテリーセルの電気的位置をバッテリーセルの識別因子として使用することができる。
【0039】
図2は、一実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法を説明するフローチャートである。
【0040】
以下、図1および図2を参照して、一実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システムを詳細に説明する。
【0041】
まず、BMS40は、外部装置の電力でバッテリー10を充電する充電サイクルごとに、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちでセル電圧が充電上限電圧(charge final voltage、Vmax)に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出する(S110)。
【0042】
充電上限電圧(Vmax)は、バッテリー10が危険でない範囲で充電可能な最大電圧(Max Voltage)であってもよい。充電上限電圧(Vmax)が高いほどバッテリー10の容量は増加できるが、過充電はバッテリー10を危険にすることがある。よって、充電上限電圧はバッテリー10の容量と安定性を考慮して適切に設定することができる。
【0043】
BMS40は、バッテリーセルの電気的位置をバッテリーセルの識別因子として使用することができる。例えば、N番目充電サイクルで、BMS40は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちのセル電圧が充電上限電圧(Vmax)に一番目に到達したバッテリーセルの電気的位置を確認し、当該位置のバッテリーセルに対して検出回数を1回追加することができる。
【0044】
BMS40は、充電バッテリーセルが検出されると、充電サイクルを終了することができる。そうすると、充電バッテリーセルを除いた残りのバッテリーセルのセル電圧が充電上限電圧(Vmax)に到達するまで充電バッテリーセルが継続して充電される過充電状態を遮断して、充電バッテリーセルの退化(劣化)が加速化されるのを予防することができる。
【0045】
その次に、BMS40は、バッテリー10の放電された電力を外部装置に供給する放電サイクルでセル電圧が放電下限電圧(discharge final voltage、Vmin)に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出する(S120)。
【0046】
放電下限電圧(Vmin)は、バッテリー10が危険でない範囲で放電可能な最小電圧(Min Voltage)であってもよい。放電下限電圧(Vmin)が低いほどバッテリー10の容量は増加できるが、過放電はバッテリー10を危険にすることがある。よって、放電下限電圧(Vmin)はバッテリー10の容量と安定性を考慮して適切に設定することがされる。例えば、放電下限電圧は、カットオフ電圧(cut-off voltage)と称することができる。
【0047】
BMS40は、バッテリー10でバッテリーセルの電気的位置をバッテリーセルの識別因子として使用することができる。例えば、N番目放電サイクルで、BMS40は複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちのセル電圧が放電下限電圧(Vmin)に一番目に到達したバッテリーセルの位置を確認し、当該位置のバッテリーセルに対して検出回数を1回追加することができる。
【0048】
BMS40は、放電バッテリーセルが検出されると、放電サイクルを終了することができる。そうすると、放電バッテリーセルを除いた残りのバッテリーセルのセル電圧が放電下限電圧に到達するまで放電バッテリーセルが継続して放電される過放電状態を遮断して、放電バッテリーセルの退化(劣化)が加速化されるのを予防することができる。
【0049】
その次に、BMS40は、充電サイクル回数および放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足するかどうかを判断する(S130)。
【0050】
第1基準回数は、欠陥のあるバッテリーセルを検出するための最適の充放電サイクル回数に対応できる。例えば、第1基準回数は、所定の実験によって導出できる。
【0051】
判断の結果、充放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足しなければ(S130、No)、BMS40はS110段階から繰り返す。
【0052】
判断の結果、充放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足すれば(S130、Yes)、BMS40は充電バッテリーセルとして検出された第1回数および放電バッテリーセルとして検出された第2回数を足した総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルが存在するかどうかを判断する(S140)。
【0053】
例えば、バッテリー10が5個のバッテリーセルCell1、Cell2、Cell3、Cell4、Ce115を含み、第1基準回数500回および第2基準回数300回の場合を仮定しよう。第3バッテリーセルは総400回(例えば、充電バッテリーセルとして200回検出および放電バッテリーセルとして200回検出)、第1、2、4、5バッテリーセルそれぞれは総25回(例えば、充電バッテリーセルとして12回検出および放電バッテリーセルとして13回検出)で検出された場合、BMS40は2基準回数以上に対応するバッテリーセルが存在すると判断することができる。
【0054】
その次に、判断の結果、総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルが存在する場合(S140、Yes)、BMS40は複数のバッテリーセルのうちで欠陥のあるバッテリーセルが存在すると診断する(S150)。
【0055】
例えば、BMS40は、総回数が第2基準回数以上に対応する第3バッテリーセルCell3を欠陥のあるバッテリーセルとして検出することができる。実施形態によって、欠陥のあるバッテリーセルは、バッテリーセルが退化(劣化)されて既に設定されている範囲内の性能を逸脱したバッテリーセルであってもよい。
【0056】
その次に、判断の結果、総回数が第2基準回数以上に対応するバッテリーセルが存在しない場合(S140、No)、BMS40は複数のバッテリーセルのうちで欠陥のあるバッテリーセルが存在しないと診断する(S160)。
【0057】
図3は、他の実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法を説明するフローチャートである。
【0058】
以下、図1および図3を参照して、他の実施形態による欠陥のあるバッテリーセルの検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システムを詳細に説明する。
【0059】
まず、BMS40は、外部装置の電力でバッテリー10を充電する充電サイクルでセル電圧が充電上限電圧(charge final voltage、Vmax)に一番目に到達した充電バッテリーセルを検出する(S210)。
【0060】
充電上限電圧(Vmax)は、バッテリー10が危険でない範囲で充電可能な最大電圧(Max Voltage)であってもよい。充電上限電圧(Vmax)が高いほどバッテリー10の容量は増加できるが、過充電はバッテリー10を危険にすることがある。よって、充電上限電圧はバッテリー10の容量と安定性を考慮して適切に設定することができる。
【0061】
BMS40は、バッテリーセルの電気的位置をバッテリーセルの識別因子として使用することができる。例えば、N番目充電サイクルで、BMS40は複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちのセル電圧が充電上限電圧(Vmax)に一番目に到達したバッテリーセルの電気的位置を確認し、当該位置のバッテリーセルに対して検出回数を1回追加することができる。
【0062】
BMS40は、充電バッテリーセルが検出されると、充電サイクルを終了することができる。そうすると、充電バッテリーセルを除いた残りのバッテリーセルのセル電圧が充電上限電圧(Vmax)に到達するまで充電バッテリーセルが継続して充電される過充電状態を遮断して、充電バッテリーセルの退化(劣化)が加速化されるのを予防することができる。
【0063】
その次に、BMS40は、バッテリー10の放電された電力を外部装置に供給する放電サイクルでセル電圧が放電下限電圧(discharge final voltage、Vmin)に一番目に到達した放電バッテリーセルを検出する(S220)。
【0064】
放電下限電圧(Vmin)は、バッテリー10が危険でない範囲で放電可能な最小電圧(Min Voltage)であってもよい。放電下限電圧(Vmin)が低いほどバッテリー10の容量は増加できるが、過放電はバッテリー10を危険にすることがある。よって、放電下限電圧(Vmin)は、バッテリー10の容量と安定性を考慮して適切に設定することができる。例えば、放電下限電圧は、カットオフ電圧(cut-off voltage)と称することができる。
【0065】
BMS40は、バッテリー10でバッテリーセルの電気的位置をバッテリーセルの識別因子として使用することができる。例えば、N番目放電サイクルで、BMS40は複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちのセル電圧が放電下限電圧(Vmin)に一番目に到達したバッテリーセルの電気的位置を確認し、当該位置のバッテリーセルに対して検出回数を1回追加することができる。
【0066】
BMS40は、放電バッテリーセルが検出されると、放電サイクルを終了することができる。そうすると、放電バッテリーセルを除いた残りのバッテリーセルのセル電圧が放電下限電圧に到達するまで放電バッテリーセルが継続して放電される過放電状態を遮断して、放電バッテリーセルの退化(劣化)が加速化されるのを予防することができる。
【0067】
その次に、BMS40は、充電サイクル回数および放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足するかどうかを判断する(S230)。
【0068】
第1基準回数は、欠陥のあるバッテリーセルを検出するための最適の充放電サイクル回数に対応できる。例えば、第1基準回数は、所定の実験によって導出できる。
【0069】
判断の結果、充放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足しなければ(S230、No)、BMS40はS210段階から繰り返す。
【0070】
判断の結果、充放電サイクル回数の合計が第1基準回数を満足すれば(S230、Yes)、BMS40は充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応するかどうかを判断する(S240)。
【0071】
一実施形態により、BMS40は、N番目充電サイクルで充電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出されたバッテリーセルが存在すれば、充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応すると判断することができる。
【0072】
他の実施形態により、BMS40は、N番目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出された後、N+1番目充電サイクルで充電バッテリーセルが存在すれば、充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応すると判断することができる。
【0073】
バッテリー10が5個のバッテリーセルCell1、Cell2、Cell3、Cell4、Ce115を含み、第1基準回数が500回である場合を仮定しよう。例えば、第4バッテリーセルCell4が35回目充電サイクルで充電バッテリーセルとして検出された以後、36回目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出されると、BMS40は充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応すると判断することができる。他の例を挙げれば、第5バッテリーセルCell5が37回目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出された以後、38回目充電サイクルで充電バッテリーセルとして検出されると、BMS40は充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応すると判断することができる。
【0074】
その次に、判断の結果、充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応する場合(S240、Yes)、BMS40は複数のバッテリーセルのうちで欠陥のあるバッテリーセルが存在すると診断する(S250)。
【0075】
例えば、BMS40は、35回目充電サイクルで充電バッテリーセルとして検出された以後、36回目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出された第4バッテリーセルCell4を欠陥のあるバッテリーセルとして検出することができる。他の例を挙げれば、BMS40は、37回目放電サイクルで放電バッテリーセルとして検出された以後、38回目充電サイクルで充電バッテリーセルとして検出された第5バッテリーセルCell5を欠陥のあるバッテリーセルとして検出することができる。実施形態により、欠陥のあるバッテリーセルは、バッテリーセルが退化(劣化)されて既に設定されている性能以下に対応するバッテリーセルであってもよい。
【0076】
その次に、判断の結果、充電バッテリーセルおよび放電バッテリーセルが連続して同一なバッテリーセルに対応しない場合(S240、No)、BMS40は複数のバッテリーセルのうちで欠陥のあるバッテリーセルが存在しないと診断する(S260)。
【0077】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるのではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3