(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】誘導支援システム、親局装置、子局装置、誘導支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20250611BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B21/10
(21)【出願番号】P 2021039818
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩明
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-257332(JP,A)
【文献】特開2018-017616(JP,A)
【文献】特開2003-219448(JP,A)
【文献】特開2015-195030(JP,A)
【文献】特開2014-078884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0003659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00
G08B 19/00-31/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する特定手段と、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する出力手段と、を備える、
誘導支援システム。
【請求項2】
前記一の親局装置及び前記他の親局装置を含む複数の親局装置と、
前記子局装置と、を有し、
前記一の親局装置において、
前記特定手段は、前記子局装置から前記他の親局装置の識別情報を取得し、前記複数の親局装置の識別情報の組み合わせと、前記進行指示情報と、が関連付けられた指示パターン情報に基づいて、前記他の親局装置の識別情報と、前記一の親局装置の識別情報と、の組み合わせに関連付けられた前記進行指示情報を特定する、
請求項1に記載の誘導支援システム。
【請求項3】
前記一の親局装置及び前記他の親局装置を含む複数の親局装置と、
前記子局装置と、を有し、
前記子局装置において、
前記特定手段は、前記一の親局装置から前記一の親局装置の識別情報を取得し、前記複数の親局装置の識別情報の組み合わせと、前記進行指示情報と、が関連付けられた指示パターン情報に基づいて、前記子局装置が有する前記他の親局装置の識別情報と、前記一の親局装置の識別情報と、の組み合わせに関連付けられた前記進行指示情報を特定する、
請求項1に記載の誘導支援システム。
【請求項4】
前記子局装置を所持するユーザの属性に応じて目的地を選択する目的地選択手段を備え、
前記特定手段は、選択された前記目的地に対応する前記進行指示情報を特定する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の誘導支援システム。
【請求項5】
前記一の親局装置と前記子局装置とが、所定の閾値以上の受信電界強度において通信可能となった場合、前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入したことを検知する侵入検知手段をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれかに記載の誘導支援システム。
【請求項6】
前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入するまでに、前記子局装置が経由した通信範囲を有する前記他の親局装置の識別情報と、前記子局装置が経由した順番と、が関連付けられた経由情報を管理する経由情報管理手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記一の親局装置の識別情報と、前記経由情報に含まれる情報であって、前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入する直前に、前記子局装置が存在していた通信範囲を有する前記他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記進行指示情報を特定する、
請求項1乃至5のいずれかに記載の誘導支援システム。
【請求項7】
子局装置が、自装置が有する通信範囲に侵入した場合に、自装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する、特定手段を備える、
親局装置。
【請求項8】
自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じ
て、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を
特定する特定手段と、
前記進行指示情報を出力する出力手段
と、を備える、
子局装置。
【請求項9】
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定し、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する、
誘導支援方法。
【請求項10】
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する処理と、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの移動の誘導を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの目的に応じて、ユーザに経路を提供する技術がある。例えば特許文献1には、ユーザが乗車する車両に対して、交通状況に応じた目的地までの経路を表示することが記載されている。
【0003】
例えば、災害時において、ユーザに避難誘導を行うとする。この場合、ユーザはどこに移動すればよいか事前に把握できていない可能性がある。特許文献1の技術では、予めユーザが目的地を把握する必要がある。そのため、災害時等の、ユーザが事前に目的地を把握していない可能性がある場合において、特許文献1の技術を適用することは困難である。
【0004】
これに対して、特許文献2には、災害が発生した場合に、アクセスポイントの通信範囲に、ユーザの所有する通信端末が存在すると、アクセスポイントから避難所までの経路を通信端末に送信し、通信端末において経路を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平02-002496号公報
【文献】特開2008-257332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術では、地図上に、目的地である避難所までの経路を表示している。しかしながら、特許文献2の技術では、ユーザが正しく地図を把握できることが前提となっている。例えば、災害が発生した場所がユーザにとって土地勘がない場所である場合、ユーザは、地図の見方がわからなかったり、移動方向を勘違いしていたりする虞がある。このような場合、ユーザを迅速に避難所まで誘導することができない可能性がある。
【0007】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、適切にユーザを誘導することが可能な誘導支援システム等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる誘導支援システムは、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する特定手段と、前記進行指示情報を前記子局装置において出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本開示の一態様にかかる親局装置は、子局装置が、自装置が有する通信範囲に侵入した場合に、自装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する、特定手段を備える。
【0010】
本開示の一態様にかかる子局装置は、自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて特定された、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を出力する出力手段を備える。
【0011】
本開示の一態様にかかる誘導支援方法は、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定し、前記進行指示情報を前記子局装置において出力する。
【0012】
本開示の一態様にかかるプログラムは、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する処理と、前記進行指示情報を前記子局装置において出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、適切にユーザを誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の第1の実施形態の誘導支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態の誘導支援システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図3】本開示の第1の実施形態の誘導支援システムの他の例の構成を模式的に示す図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態の誘導支援システムの他の例の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態の経由情報の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第1の実施形態の指示パターン情報の一例を示す図である。
【
図7】本開示の第1の実施形態の親局装置が設置された箇所が示された図の一例を示す図である。
【
図8】本開示の第1の実施形態の誘導支援システムの他の例の動作の一例を説明するシーケンス図である。
【
図9】本開示の変形例2の誘導支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】本開示の変形例2の指示パターン情報の一例を示す図である。
【
図11】本開示の変形例2の誘導支援システムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
【
図12】本開示の第2の実施形態の誘導支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図13】本開示の第2の実施形態の誘導支援システムによって出力される情報の一例を示す図である。
【
図14】本開示の第2の実施形態の誘導支援システムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
【
図15】本開示の第3の実施形態の誘導支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図16】本開示の第3の実施形態の属性情報の一例を示す図である。
【
図17】本開示の第3の実施形態の複数の指示パターン情報の一例を示す図である。
【
図18】本開示の第3の実施形態の誘導支援システムの動作の一例を説明するシーケンス図である。
【
図19】本開示の変形例9の誘導支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図20】本開示の変形例10の誘導支援システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図21】本開示の第1、第2、及び第3の実施形態の誘導支援システムを実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の誘導支援システムの概要について説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態の誘導支援システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、誘導支援システム1000は、特定部1100と出力部1200とを備える。なお特定部1100と、出力部1200は、互いに通信ネットワークを介して接続された、独立した装置であってもよい。
【0018】
互いに通信可能な子局装置と親局装置とが存在するとする。このとき、特定部1100は、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。例えば、特定部1100は、親局装置の通信範囲に子局装置が侵入した場合に、当該通信範囲を有する親局装置の識別情報を取得する。ここで、識別情報とは、親局装置を識別する情報である。また、例えば、特定部1100は、子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報を取得する。そして、特定部1100は、例えば、取得した識別情報の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。このとき、特定部1100は、例えば、識別情報の組み合わせと方向の情報とが関連付けられた所定の情報を読み出す。方向の情報は、例えば、目的地に向かうために当該通信範囲から移動すべき方向の情報である。特定部1100は、例えば、当該所定の情報に基づいて、取得した識別情報の組み合わせに対応する方向の情報を、進行指示情報として特定する。なお、当該所定の情報は、例えば、誘導支援システム1000が予め有している。
【0019】
このように、特定部1100は、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、一の親局装置の識別情報と、子局装置が通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。特定部1100は、特定手段の一例である。
【0020】
出力部1200は、進行指示情報を子局装置において出力する。出力部1200は、出力手段の一例である。
【0021】
次に、誘導支援システム1000の動作の一例を、
図2を用いて説明する。本開示において、フローチャートまたはシーケンス図の各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0022】
図2は、誘導支援システム1000の動作の一例を説明するフローチャートである。特定部1100は、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、一の親局装置の識別情報と、子局装置が通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する(S1)。そして、出力部1200は、進行指示情報を子局装置において出力する(S2)。
【0023】
このように、本開示の誘導支援システム1000は、子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、一の親局装置の識別情報と、子局装置が通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。そして、誘導支援システム1000は、進行指示情報を子局装置200において出力する。この構成により、本開示の誘導支援システム1000は、例えば、子局装置200を所持するユーザが移動した経路に応じて、適切に、移動すべき方向を提供することができる。すなわち、本開示の誘導支援システム1000は、適切にユーザを誘導することができる。
【0024】
[誘導支援システム1000の他の例]
次に、本開示の誘導支援システム1000の他の例について詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態の誘導支援システム1000の他の例の構成を模式的に示す図である。具体的には、
図3に示す構成の例は、
図1の誘導支援システム1000を、親局装置と子局装置とを有する通信システムに適用した例である。
図3に示すように、誘導支援システム1000は、親局装置100-1、100-2、・・・、100-n(nは2以上の自然数)と、子局装置200と、を含む。親局装置100-1、100-2、・・・、100-nのそれぞれと、子局装置200と、は通信可能に接続することが可能である。また、親局装置100-1、100-2、・・・、100-nは、それぞれ互いに通信可能に接続されてもよい。本明細書において、親局装置100-1、100-2、・・・、100-nを区別しない場合、親局装置100とも称する。
図3の破線部は、親局装置100のそれぞれの通信範囲を示す。
【0025】
親局装置100は、例えば基地局であるがこの例に限らない。親局装置100は、ネットワーク接続においてアクセスポイントとして機能する装置であってよい。また、親局装置100は、通信キャリアの移動式基地局であってもよい。また、親局装置100は、無人航空機または飛行船に搭載されてもよい。無人航空機は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、小型無人機またはドローンと呼ばれることもある。
【0026】
子局装置200は、例えば、携帯電話、スマートフォン、及びタブレット端末等であるが、この例に限らない。例えば、子局装置200は、ウェアラブル端末であってもよい。また、子局装置200は、親局装置100と通信可能であって、後述する進行指示情報を、所定の形態で出力できる装置であればよい。子局装置200は、親局装置100を介してインターネットに接続することができる。
【0027】
図4は、第1の実施形態の誘導支援システム1000の他の例の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、誘導支援システム1000は、親局装置100と、子局装置200と、を備える。
図4に示す他の例は、
図1に示す誘導支援システム1000の機能構成を含む。
【0028】
[子局装置200の詳細]
子局装置200は、通信部210と、侵入検知部220と、出力部230と、経由情報管理部240と、を備える。さらに子局装置200は、記憶装置290を備える。
【0029】
通信部210は、親局装置100と各種の通信を行う。例えば、通信部210は、後述する経由情報を親局装置100に送信する。また、例えば、通信部210は、親局装置100から送信された進行指示情報及び識別情報を取得する。
【0030】
侵入検知部220は、子局装置200が、親局装置100のいずれかの通信範囲に侵入したことを検知する。例えば、侵入検知部220は、親局装置100が発する信号を受信する。このとき、侵入検知部220は、当該信号の強度を算出する。侵入検知部220が受信した信号の強度の値は、受信電界強度、または、受信信号強度と呼ばれることもある。本開示において、侵入検知部220が受信した信号の強度の値を受信電界強度と称する。侵入検知部220は、例えば、受信電界強度が所定の閾値以上である場合、子局装置200が、受信した信号を発する親局装置100の通信範囲に侵入したことを検知する。すなわち、通信範囲は、親局装置100と子局装置200とが、所定の閾値以上の受信電界強度において通信可能な範囲であってよい。侵入検知部220は、通信範囲に侵入したことを親局装置100に通知してもよいし、算出された受信電界強度を親局装置100に通知してもよい。このように、侵入検知部220は、一の親局装置と子局装置とが、所定の閾値以上の受信電界強度において通信可能となった場合、子局装置が一の親局装置の通信範囲に侵入したことを検知する。侵入検知部220は、侵入検知手段の一例である。なお、本開示において、子局装置200が通信範囲に侵入したことを検知するために設定される、受信電界強度の閾値を第1の閾値とも称する。
【0031】
出力部230は、出力部1200に対応する。出力部230は、進行指示情報を出力する。具体的には、出力部230は、子局装置200が備えるディスプレイ等の表示装置において、方向を示す情報を出力する。例えば、進行指示情報に右折を示す情報が含まれていた場合、出力部230は、「右折をしてください」といった文字情報を表示装置に表示する。このとき、出力部230は、進行方向を示す矢印等の図形を表示してもよい。なお、出力部230が進行指示情報を出力する例はこの例に限らない。例えば、出力部230は、子局装置200が有するスピーカを用いて、音声として進行指示情報を出力してもよい。また、例えば、子局装置200に、進行方向ごとに対応づけられたランプが備えられている場合、出力部230は、進行指示情報に応じて点灯するランプを変えることにより、出力してもよい。また、子局装置200がウェアラブル端末である場合、出力部230は、進行指示情報に応じて、進行すべき方向に引っ張るような力(引張力と称する)を加えたり、進行すべき方向を向いたときに振動を行ったり、進行すべき方向に対して光を照射したりすることによって、進行指示情報を出力してもよい。すなわち、出力部230は、子局装置200の移動すべき方向に応じた音声、子局装置200の移動すべき方向に応じた振動、及び、子局装置200の移動すべき方向に応じた引張力、の少なくともいずれかを、子局装置200において発生させることにより、進行指示情報を出力してもよい。
【0032】
経由情報管理部240は、経由情報の管理を行う。経由情報は、子局装置200が、移動した際に経由した通信範囲に関する情報である。経由情報は記憶装置290に格納される。
図5は、経由情報の一例である。経由情報には、子局装置200が過去に侵入した通信範囲について、侵入した順番である経由番号と、通信範囲を有する親局装置100の識別情報とが関連付けられている。
図5の例では、子局装置200は、1番目に、識別情報が「D」である親局装置100の通信範囲に侵入し、2番目に、識別情報が「A」である親局装置100の通信範囲に侵入したことが示されている。なお、経由情報の構成は、この例に限らず、子局装置200が移動する際に経由した通信範囲の順番がわかる構成であればよい。
【0033】
経由情報管理部240は、子局装置200が新たに通信範囲に侵入したことに応じて、記憶装置290に格納される経由情報を更新する。例えば、
図5に示す経由情報が記憶装置290に格納されているとする。そして、子局装置200が、新たに識別情報が「C」である親局装置100の通信範囲に侵入したとする。この場合、経由情報管理部240は、
図5の経由情報に対して、3番目に、識別情報が「C」である親局装置100の通信範囲に侵入したことを示す情報を追加する。このように、
図5の例では、経由情報の経由番号が最も大きいレコードが最新のレコードとなる。経由情報の最新のレコード、すなわち、子局装置200が直近で侵入した通信範囲を有する親局装置100の識別情報を、経由情報管理部240は特定することも可能である。以降、子局装置200が直近で侵入した通信範囲を有する親局装置100の識別情報を、最新識別情報とも称する。
【0034】
経由情報管理部240は、最新識別情報を含む経由情報を、通信部210を介して、親局装置100に送信する。
【0035】
[親局装置100の詳細]
親局装置100は、通信部110と、特定部120と、を備える。さらに親局装置100は、記憶装置190を備える。
【0036】
通信部110は、子局装置200と各種の通信を行う。例えば、通信部110は、進行指示情報及び自装置の識別情報を、子局装置200に送信する。また、例えば、通信部110は、子局装置200から送信された経由情報を取得する。
【0037】
特定部120は、特定部1100に対応する。特定部120は、進行指示情報を特定する。具体的には、特定部120は、子局装置200が、自装置の通信範囲に侵入する前に侵入した通信範囲を有する親局装置100の識別情報(すなわち、最新識別情報)を取得する。特定部120は、最新識別情報を、例えば、通信部110を介して子局装置200から取得する。
【0038】
そして、特定部120は、指示パターン情報に基づいて、最新識別情報に応じた進行指示情報を特定する。ここで、指示パターン情報とは、自装置の通信範囲に子局装置200が侵入するまでに、子局装置200が経由した通信範囲の経路と、進行指示情報と、が関連付けられた情報である。指示パターン情報は、記憶装置190に格納されている。
図6は、指示パターン情報の一例を示す図である。
図6の1行目のレコードには、識別情報が「A」である親局装置100の通信範囲の次に、識別情報が「B」である親局装置100の通信範囲に侵入した場合、「右折」を示す進行指示情報が対応づけられていることが示されている。したがって、例えば、親局装置100において、自装置の識別情報が「B」であり、最新識別情報として識別情報「A」を取得した場合、特定部120は、「右折」を示す進行指示情報を特定する。
【0039】
ここで、
図6及び
図7を用いて、子局装置200の経路と進行指示情報との関係を説明する。
図7は、地図に親局装置100が設置された箇所が示された図である。
図7において、親局装置100のそれぞれの上部に記載されたアルファベットA乃至Gは、親局装置100のそれぞれの識別情報を示す。地点Pは、識別情報「B」である親局装置100の通信範囲内の地点を示し、地点Qは、識別情報「A」である親局装置100の通信範囲内の地点を示し、地点Rは、識別情報「E」である親局装置100の通信範囲内の地点を示し、地点Sは、識別情報「C」である親局装置100の通信範囲内の地点を示している。この例においては、誘導支援システム1000は、子局装置200を所持するユーザを、目的地である避難所まで誘導するとする。ユーザが地点Pに存在するとする。この場合、誘導支援システム1000は、目的地である避難所にユーザを誘導するために、ユーザを地点Pから地点Rに誘導する。
【0040】
ここで、最新識別情報が「A」である場合、ユーザは、地点Qから地点Pに移動したと考えられる。この場合、ユーザは地点S方面を向いていることが推測されるため、右折の指示をユーザに行うことで、ユーザを地点Rに誘導することができる。そのため、
図6の指示パターン情報の1行目のレコードには、識別情報が「A」である親局装置100の通信範囲を経由して、識別情報が「B」である親局装置100の通信範囲に侵入した場合、「右折」を示す進行指示情報が対応づけられている。同様に、最新識別情報が「C」である場合、ユーザは地点Sから地点Pに移動したと考えられる。そのため、当該ユーザに左折の指示を行うために、指示パターン情報には、識別情報が「C」である親局装置100の通信範囲を経由して、識別情報が「B」である親局装置100の通信範囲に侵入した場合、「左折」を示す進行指示情報が対応づけられている。また、最新識別情報が「E」である場合、ユーザは地点Rから地点Pに移動したと考えられる。そのため、当該ユーザに反対方向に進む指示を行うために、指示パターン情報には、識別情報が「E」である親局装置100の通信範囲を経由して、識別情報が「B」である親局装置100の通信範囲に侵入した場合、「反対」を示す進行指示情報が対応づけられている。
【0041】
なお、ユーザが目的地付近の親局装置の通信範囲に存在する場合に対しては、指示パターン情報には、進行指示情報として、目的地が近くにあることを示す情報が対応づけられていてもよい。
【0042】
また、親局装置100のそれぞれが有する記憶装置190には、親局装置100ごとに異なる指示パターン情報が格納されていてもよい。例えば、親局装置100のそれぞれは、自装置の通信範囲からの進行指示情報のみを含む指示パターン情報を有していてもよい。言い換えると、親局装置100のすべてが、目的地の位置情報、及び目的地までの進行指示情報を有していなくてもよいので、記憶装置190の容量の圧迫を抑えることができる。なお、親局装置100のそれぞれが有する記憶装置190に、識別情報の組み合わせのパターンを網羅した指示パターン情報が格納されていてもよい。なお、指示パターン情報は、例えば、親局装置100のそれぞれと通信可能な外部の装置(図示せず)によって予め作成される。指示パターン情報は、例えば、目的地の位置情報と、親局装置100の位置情報と、道路を含む地図の情報とに基づいて作成される。親局装置100は、当該外部の装置から、ネットワークを介して指示パターン情報を予め受信することにより、記憶装置190に指示パターン情報を格納してもよい。
【0043】
さらに特定部120は、上述したように、進行指示情報の特定の際に親局装置100の識別情報を用いている。つまり、親局装置100は、必ずしも親局装置100の位置情報、及び地図の情報等を保持していなくてもよい。そのため、親局装置100の記憶装置190の容量をさらに抑えることができる。
【0044】
そして、特定部120は、特定した進行指示情報と自装置の識別情報を、通信部110を介して、子局装置200に送信する。なお、特定部120は、記憶装置190に、自装置の通信範囲から目的地までの距離を示す情報が格納されている場合、当該距離を示す情報を子局装置200に送信してもよい。
【0045】
[誘導支援システム1000の動作]
次に、誘導支援システム1000の動作の一例を、
図8を用いて説明する。なお、本動作例において説明する親局装置100は、子局装置200が通信範囲に侵入した際に、当該通信範囲を有する親局装置である。
【0046】
図8は、誘導支援システム1000の他の例の動作の一例を説明するシーケンス図である。侵入検知部220は、子局装置200が、いずれかの親局装置100の通信範囲に侵入したことを検知する(S101の「Yes」)。そして、経由情報管理部240は、経由情報を読み出し、読み出した経由情報を、通信部210を介して、親局装置100に送信する(S102)。このとき、経由情報管理部240は、経由情報を親局装置100に送信してもよいし、経由情報のうち最新識別情報を抽出し、抽出した最新識別情報を親局装置100に送信してもよい。なお、親局装置100の通信範囲に侵入していない場合(S101の「No」)、子局装置200は処理を進めない。
【0047】
親局装置100の特定部120は、通信部110を介して、最新識別情報を取得する(S103)。特定部120は、最新識別情報に応じて進行指示情報を特定する(S104)。例えば、特定部120は、指示パターン情報を記憶装置190から読み出し、子局装置200が最新識別情報の親局装置の通信範囲から自装置の通信範囲に移動した場合に対応する進行指示情報を特定する。そして、通信部110は、特定された進行指示情報と、自装置の識別情報と、を子局装置200に送信する(S105)。
【0048】
子局装置200の出力部230は、通信部210を介して進行指示情報を受信すると、進行指示情報を所定の方法で出力する(S106)。例えば、進行指示情報に「右折」を示す情報が含まれていた場合、出力部230は、「右折をしてください」という文字情報を、子局装置200の表示装置に表示する。経由情報管理部240は、通信部210を介して、親局装置の識別情報を受信すると、受信した識別情報を用いて経由情報を更新する(S107)。例えば、経由情報管理部240は、受信した識別情報を最新識別情報とするように、経由情報を更新する。なお、S106及びS107の処理は、逆の順番で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0049】
なお、S102の処理において、経由情報にいずれの親局装置100の識別情報も含まれていない場合、経由情報管理部240は、通信部210を介して、経由情報に識別情報が含まれていないことを親局装置100に通知する。この場合、親局装置100は、当該通知を受け取ると、S103乃至S105の処理に代わり、通信部110が、自装置の識別情報を子局装置200に送信する。そして、子局装置200の経由情報管理部240は、S107の処理を行う。
【0050】
このように、第1の実施形態の誘導支援システム1000は、子局装置が一の親局装置の通信範囲に侵入した場合に、一の親局装置の識別情報と、子局装置が通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。そして、誘導支援システム1000は、進行指示情報を子局装置200において出力する。この構成により、誘導支援システム1000は、子局装置200を所持するユーザが移動した経路に応じて、目的地に向かうために移動すべき方向を、ユーザに提供することができる。さらに、誘導支援システム1000は、ユーザが移動すべき方向の情報を提供することができるので、ユーザが地図を読むことに不慣れな場合であっても、迅速にユーザの誘導を行うことができる。すなわち、第1の実施形態の誘導支援システム1000は、適切にユーザを誘導することができる。
【0051】
また、第1の実施形態の親局装置100は、子局装置200が、自装置が有する通信範囲に侵入した場合に、自装置の識別情報と、子局装置200が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。これにより、親局装置100は、子局装置200に進行指示情報を送信することで、子局装置200のユーザに対して移動すべき方向の情報を提供することが可能となる。すなわち、親局装置100は、ユーザの誘導を支援することができる。
【0052】
そして、子局装置200は、自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて特定された、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を出力する。これにより、子局装置200のユーザに対して、移動すべき方向の情報を提供することができる。すなわち、子局装置200は、ユーザの誘導を支援することができる。
【0053】
また、例えば、災害発生時に、親局装置100と通信可能に接続される通信回線網であって、通信キャリアの拠点間及び事業者間を結ぶ通信回線網(コアネットワーク、バックボーンネットワーク、または基幹通信網等と呼ばれることもある)が遮断してしまう場合がある。つまり、子局装置200が、親局装置100を介してインターネットに接続できない場合がある。このような場合であっても、第1の実施形態の誘導支援システム1000の処理は、親局装置100と子局装置200との通信が可能であれば実行可能である。すなわち、子局装置200がインターネットに接続できないような場合であっても、ユーザに目的地までの誘導を行うことができる。
【0054】
[変形例1]
侵入検知部220は、親局装置100に備えられていてもよい。この場合、侵入検知部220は、子局装置200が発する信号を受信し、受信電界強度を算出する。そして、受信電界強度が所定の閾値以上である場合、侵入検知部220は、子局装置200が親局装置100(自装置)の通信範囲に侵入したことを検知する。そして、子局装置200が通信範囲に侵入した場合、侵入検知部220は、通信範囲に侵入した旨を示す通知を送る。子局装置200の経由情報管理部240は、当該通知を、通信部210を介して取得し、当該通知に応じて、経由情報を親局装置100に送信する。
【0055】
[変形例2]
第1の実施形態では、親局装置100が、進行指示情報を特定していたが、子局装置200が進行指示情報を特定してもよい。
【0056】
図9は、変形例2の誘導支援システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、変形例2において子局装置200は、通信部210、出力部230、経由情報管理部240、及び特定部120、並びに記憶装置290を備える。また、変形例2において親局装置100は、通信部110、及び侵入検知部220、並びに記憶装置190を備える。なお、本変形例において、侵入検知部220は親局装置100が備えるが、上述のように、侵入検知部220は子局装置200が備えていてもよい。
【0057】
図10は、変形例2の指示パターン情報の一例を示す図である。変形例2において、指示パターン情報は、子局装置200の記憶装置290に格納されている。子局装置200は、指示パターン情報を、例えば、予め図示しない装置からネットワークを介して取得していてもよいし、いずれかの親局装置100から取得してもよい。
【0058】
図11は、変形例2の誘導支援システム1000の動作の一例を説明するシーケンス図である。親局装置100の侵入検知部220は、親局装置100の通信範囲に子局装置200が侵入したことを検知する(S201の「Yes」)。そして、通信部110は、自装置の識別情報を子局装置200に送信する(S202)。なお、親局装置100の通信範囲に子局装置200が侵入していない場合(S201の「No」)、親局装置100は、処理を進めない。
【0059】
子局装置200の特定部120は、経由情報から最新識別情報を取得し、通信部110を介して受信した識別情報を取得する(S203)。特定部120は、取得した識別情報の組み合わせに応じて進行指示情報を特定する(S204)。そして、出力部230は、進行指示情報を出力する(S205)。経由情報管理部240は、受信した識別情報を用いて経由情報を更新する(S206)。
【0060】
なお、S203の処理において、経由情報に最新識別情報が含まれていなかった場合、子局装置200は、S206の処理を行う。
【0061】
このように、変形例2では、子局装置200は、自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。そして、子局装置200は、進行指示情報を出力する。
【0062】
以上の構成により、変形例2の誘導支援システム1000においても、第1の実施形態で説明した誘導支援システム1000と同様の効果を奏する。
【0063】
[変形例3]
上述した子局装置200の機能は、例えば、子局装置200に展開されるアプリケーションによって実行される。当該アプリケーションの起動は、例えば、ユーザの入力によって行われるが、この例に限らない。
【0064】
例えば、子局装置200において、防災関連情報を受信した際に、当該アプリケーションが実行されてもよい。防災関連情報は、例えば、官公庁が配信する緊急地震速報及び津波警報等の各種警報であってもよいし、自治体が発表する、避難の呼びかけを示す避難情報であってもよい。また、防災関連情報は、各種警報または避難情報を含む通知であって、通信キャリアから速報として送信される通知であってもよい。
【0065】
子局装置200が侵入検知部220を備えている場合、例えば、子局装置200において防災関連情報を受信した際に、アプリケーションが起動され、侵入検知部220が処理を開始する。また、親局装置100が侵入検知部220を備えている場合、子局装置200において防災関連情報を受信し、アプリケーションが起動されることによって、子局装置200が、通信範囲に侵入した旨を示す通知を受け取ることが可能となってもよいし、子局装置200が、侵入検知部220が検知を行う際に必要な信号を発するようにしてもよい。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の誘導支援システムについて説明する。
【0067】
図12は、第2の実施形態の誘導支援システム1001の機能構成を含むブロック図である。
図12に示すように、誘導支援システム1001は、親局装置101と、子局装置201と、を備える。ここで、親局装置101は、第1の実施形態の親局装置100と同様に、親局装置101-1、101-2、・・・、101-nを区別しない場合の呼称である。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0068】
[親局装置101の詳細]
親局装置101は、通信部110、特定部120、位置情報推定部130、及び経路算出部140、並びに記憶装置190を備える。
【0069】
位置情報推定部130は、子局装置201の位置情報を推定する。例えば、子局装置201が親局装置101の通信範囲に侵入したとする。位置情報推定部130は、例えば、親局装置101の通信範囲に応じた位置を、子局装置201が存在する位置を示す位置情報として推定する。このとき、通信範囲と位置情報とが関連付けられた情報が記憶装置190に格納されている。
図7の例であれば、例えば、識別情報が「B」である親局装置の通信範囲と地点Pとが関連付けられる。例えば、子局装置201が、識別情報が「B」である親局装置101の通信範囲に侵入した場合、位置情報推定部130は、子局装置201が、地点Pに存在すると推定する。位置情報は、例えば、緯度及び経度であるが、この例に限らない。位置情報は、住所を示す情報であってもよいし、交差点を示す情報であってもよいし、建造物(例えば、公共施設、スーパーマーケット、及びコンビニエンスストア等)を示す情報であってもよい。このように、位置情報推定部130は、親局装置100の通信範囲に基づいて、子局装置200の位置情報を推定する。位置情報推定部130は、位置情報推定手段の一例である。
【0070】
また、さらに、位置情報推定部130は、受信電界強度に応じて子局装置201の位置情報を推定してもよい。例えば、子局装置201と親局装置101との通信において、受信電界強度が大きいほど、子局装置201は親局装置101に近い箇所に存在することが推定される。そこで、受信電界強度が第2の閾値以上である場合に対応する位置情報と、受信電界強度が第2の閾値未満である場合に対応する位置情報と、が予め定められる。第2の閾値は、第1の閾値以上の値である。そして、位置情報推定部130は、侵入検知部220から受信電界強度を示す情報を取得し、受信電界強度が第2の閾値を超えているか否かに応じて異なる位置情報を推定する。このとき、位置情報推定部130は、受信電界強度が第2の閾値を超えているか否かに応じて異なる場所を示すように位置情報を推定してもよいし、範囲が異なる位置情報を推定してもよい。例えば、受信電界強度が第2の閾値未満の場合、位置情報推定部130は、親局装置101から半径50メートル以内の範囲を、位置情報として推定し、受信電界強度が第2の閾値以上の場合、親局装置101から半径20メートル以内の範囲を、位置情報として推定してもよい。なお、第2の閾値は、複数定められてもよい。
【0071】
経路算出部140は、経由情報に基づいて、子局装置201が移動した経路を算出する。記憶装置190には、予め、親局装置101のそれぞれの識別情報と、親局装置101のそれぞれの通信範囲に応じた位置情報とが関連付けられて格納されている。経路算出部140は、通信部110を介して、子局装置201から経由情報を取得する。経路算出部140は、経由情報に基づいて、位置情報推定部130によって推定された位置情報に子局装置201が移動するまでの経路を算出する。例えば、経路算出部140は、経由情報に含まれる識別情報に対応する位置情報を、経由番号の順番に並べ、各位置情報間を、地図の情報を用いて補間することにより、経路を生成する。地図の情報は、例えば、記憶装置190に格納されている。経路算出部140は、算出した経路を示す情報を子局装置201に通信部110を介して送信する。経路算出部140は、例えば、算出した経路と、位置情報推定部130によって推定された位置情報と、を地図上で示した情報を、経路を示す情報として通信部110を介して子局装置201に送信してもよい。このように、経路算出部140は、通信範囲ごとに位置情報が予め関連付けられた情報と、経由情報と、に基づいて、子局装置201が移動した経路を算出する。なお、経路算出部140は、算出した経路と推定された位置情報とに加え、さらに目的地の場所を地図上に示した情報を、経路を示す情報として送信してもよい。この場合、例えば、予め記憶装置190に目的地の位置情報が格納されている。
【0072】
[子局装置201の詳細]
子局装置201は、通信部210、侵入検知部220、出力部231、及び経由情報管理部240、並びに記憶装置290を備える。
【0073】
出力部231は、進行指示情報に加え、親局装置101から送信された経路を示す情報を出力する。
図13は、子局装置201において出力される情報の一例を示す図である。
図13の例では、地図上に、子局装置201が移動した経路が矢印で示され、現在地が星のマークで示されている。また、進行指示情報として、「右折してください」という文字情報が示されている。また、目的地である避難所の場所及び避難所までの距離も示されている。出力部231は、例えば、子局装置201が備える表示装置に、
図13に示すような情報を表示する。
【0074】
[誘導支援システム1001の動作]
次に、誘導支援システム1001の動作の一例を、
図14を用いて説明する。
【0075】
図14は、誘導支援システム1001の動作の一例を説明するシーケンス図である。S301の処理は、
図8のS101と同様である。次に、経由情報管理部240は、経由情報を読み出し、読み出した経由情報を、通信部210を介して、親局装置101に送信する(S302)。
【0076】
親局装置101における、S303及びS304の処理は、
図8のS103及びS104の処理と同様である。次に、位置情報推定部130は、親局装置101の通信範囲に応じて、子局装置201の位置情報を推定する(S305)。そして経路算出部140は、経由情報に基づいて、子局装置201が自装置の通信範囲に侵入するまでに移動した経路を算出する(S306)。通信部110は、進行指示情報と、自装置の識別情報と、経路を示す情報と、を子局装置201に送信する(S307)。このとき、通信部110は、経路を示す情報として、例えば、算出された経路と、位置情報推定部130によって推定された位置情報と、を地図上で示した情報を送信する。なお、S305及びS306の処理は、S303の処理の前に行われてもよいし、S304の処理の前に行われてもよい。
【0077】
子局装置201の出力部231は、親局装置101から受信した情報を出力する(S308)。例えば、出力部231は、
図13に示すような情報を出力する。S309の処理は、
図8のS107の処理と同様である。
【0078】
このように、第2の実施形態の誘導支援システム1001は、子局装置が一の親局装置の通信範囲に侵入した場合に、一の親局装置の識別情報と、子局装置が通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する。そして、誘導支援システム1001は、進行指示情報を子局装置200において出力する。この構成により、誘導支援システム1001は、第1の実施形態の誘導支援システム1000と同様の効果を奏する。すなわち、第2の実施形態の誘導支援システム1001は、適切にユーザを誘導することができる。
【0079】
また、第2の実施形態の誘導支援システム1001は、子局装置が侵入した通信範囲である、一の親局装置の通信範囲に基づいて、子局装置の位置情報を推定し、推定された子局装置の位置情報を出力する。例えば、災害等によって、子局装置201において、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)や、インターネットを用いた位置情報の取得ができない場合がある。このような場合であっても、子局装置201において、位置情報を出力することができる。すなわち、誘導支援システム1001は、GNSSやインターネットを用いて位置情報の取得ができない場合であっても、子局装置を所持するユーザに、位置情報を提供することができる。
【0080】
また、第2の実施形態の誘導支援システム1001は、通信範囲ごとに位置情報が予め関連付けられた情報と、経由情報と、に基づいて、子局装置が移動した経路を算出する。これにより、誘導支援システム1001は、GNSSやインターネットが使用できない場合であっても、子局装置を所持するユーザに、これまでに移動した経路を提供することができる。
【0081】
[変形例4]
上述の例では、親局装置101の通信部110が、経路算出部140によって算出された経路と、位置情報推定部130によって推定された位置情報と、を地図上で示した情報を、経路を示す情報として子局装置201に送信する例を説明した。この例に限らず、例えば、通信部110は、算出された経路と推定された位置情報とを示す情報のみを、子局装置201に送信してもよい。この場合、例えば、子局装置201の出力部231は、記憶装置290に予め格納されている地図情報を取得する。そして、親局装置101から受信した経路と位置情報とを当該地図情報に重畳し、重畳された情報を出力してもよい。
【0082】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の誘導支援システムについて説明する。第3の実施形態では、避難所が複数存在する場合の誘導支援システムの処理について説明する。
【0083】
図15は、第3の実施形態の誘導支援システム1002の機能構成を含むブロック図である。
図15に示すように、誘導支援システム1002は、親局装置102と、子局装置202と、を備える。ここで、親局装置102は、第1の実施形態の親局装置100と同様に、親局装置102-1、102-2、・・・、102-nを区別しない場合の呼称である。なお、第3の実施形態において、第1及び第2の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0084】
[子局装置202の詳細]
子局装置202は、通信部210、侵入検知部220、出力部230、経由情報管理部240、属性情報取得部250、並びに記憶装置290を備える。
【0085】
属性情報取得部250は、子局装置202を所持するユーザの属性情報を取得する。属性情報は、子局を識別する情報である子局識別情報とユーザの属性とが関連付けられた情報である。属性は、例えば、ユーザの年齢、性別、住所、身体的障害の有無、及びユーザに乳幼児の子供がいるか否か等であるが、この例に限らない。
図16は、属性情報の一例を示す図である。
図16の例では、子局識別番号「001」のユーザは、「年齢」が「20歳」であり、「性別」が「男」であり、「住所」が「X県Y市」である。また、
図16の例では、ユーザには、「身体的障害」が「有り」、「乳幼児」の子供は「無し」であることも示されている。属性情報は、ユーザの入力により予め生成される。属性情報は、記憶装置290に格納される。属性情報は、通信部210によって、親局装置102に送信される。
【0086】
[親局装置102の詳細]
親局装置102は、通信部110、特定部121、及び目的地選択部150、並びに記憶装置190を備える。
【0087】
目的地選択部150は、目的地を選択する。具体的には、目的地選択部150は、属性情報に応じた目的地を、目的地情報から選択する。目的地情報は、目的地ごとに、目的地の位置情報、目的地の収容人数、及び目的地がバリアフリー設備であるか否か等を示す情報が関連付けられている情報である。なお、目的地情報に含まれる情報はこの例に限らない。目的地選択部150は、例えば、属性情報に、ユーザに身体的障害があることを示す情報が含まれている場合、複数の目的地のうち、バリアフリー設備である目的地を選択する。また、例えば、属性情報に、ユーザに乳幼児の子供がいることを示す情報が含まれている場合、目的地選択部150は、自装置の位置から近い目的地を選択する。このように、目的地選択部150は、子局装置202を所持するユーザの属性に応じて目的地を選択する。目的地選択部150は、目的地選択手段の一例である。
【0088】
特定部121は、選択された目的地に応じて、進行指示情報を特定する。具体的には、特定部121は、例えば、目的地選択部150において選択された目的地に対応する指示パターン情報を読み出す。そして、特定部121は、読み出した指示パターン情報に基づいて、子局装置201から取得した最新識別情報に応じた、進行指示情報を特定する。
図17は、複数の指示パターン情報の一例を示す図である。
図17に示すように、第3の実施形態では、目的地のそれぞれに対応した指示パターン情報が、記憶装置190に格納される。例えば、目的地選択部150が、「目的地1」を選択した場合、特定部121は、「目的地1」に対応する指示パターン情報から、進行指示情報を特定する。
【0089】
[誘導支援システム1002の動作]
次に、誘導支援システム1002の動作の一例を、
図18を用いて説明する。
【0090】
図18は、誘導支援システム1002の動作の一例を説明するシーケンス図である。S401の処理は、
図8のS101と同様である。次に、通信部210は、経由情報と属性情報とを親局装置102に送信する(S402)。具体的には、経由情報管理部240が、経由情報を取得し、属性情報取得部250が、属性情報を取得する。そして、取得した経由情報と属性情報とを、通信部210が送信する。
【0091】
S403の処理は、
図8のS103の処理と同様である。次に、目的地選択部150は、属性情報に基づいて目的地を選択する(S404)。特定部121は、目的地に応じた指示パターン情報から、最新識別情報に応じた進行指示情報を特定する(S405)。通信部110は、進行指示情報と自装置の識別情報とを送信する(S406)。S407及びS408の処理は、
図8のS106及びS107の処理と同様である。
【0092】
このように、第3の実施形態の誘導支援システム1002は、子局装置を所持するユーザの属性に応じて目的地を選択し、選択された目的地に対応する進行指示情報を特定する。これにより、誘導支援システム1002は、ユーザの属性に応じた目的地に誘導することができる。すなわち、第3の実施形態の誘導支援システム1002は、適切にユーザを誘導することができる。
【0093】
[変形例5]
子局装置202が目的地選択部150を有してもよい。この場合、目的地情報は予め記憶装置290に格納される。例えば、
図18の動作例において、子局装置202が有する目的地選択部150は、S401の「Yes」の処理の後、属性情報に基づいて、目的地を選択する。そして、S402の処理に代わり、通信部210は、経由情報と選択された目的地を識別する目的地識別情報とを親局装置102に送信する。親局装置102は、S403の処理の後、S405以降の処理を行う。
【0094】
また、変形例2と同様に、子局装置202が進行指示情報を特定する場合(すなわち、子局装置202が特定部121を有する場合)であれば、
図11の動作例において、子局装置202が有する目的地選択部150が、S203の処理の後に属性情報に基づいて、目的地を選択する。そして、子局装置202が有する特定部121は、S204の処理に代わり、目的地に応じた指示パターン情報から最新識別情報に応じた進行指示情報を特定する。この場合、目的地のそれぞれに対応する指示パターン情報が記憶装置290に格納されている。そして、子局装置202は、S205以降の処理を行う。
【0095】
[変形例6]
親局装置102の通信部110は、選択された目的地の目的地識別情報を子局装置202に送信してもよい。この場合、目的地選択部150は、選択した目的地の目的地識別情報を特定する。例えば、
図18の動作例のS406の処理において、通信部110は、選択された目的地の目的地識別情報を子局装置202に送信する。
【0096】
そして、子局装置202が他の親局装置102の通信範囲に侵入した場合に、子局装置202の通信部210は、経由情報とともに目的地識別情報を親局装置102に送信してもよい。そして、親局装置102の特定部121は、送信された目的地識別情報から、目的地に応じた指示パターン情報を読み出し、進行指示情報を特定する。これにより、子局装置202のユーザに対応する目的地が1度選択されたら、親局装置102では、目的地を選択する処理を再度行うことなく進行指示情報の特定を行うことができる。
【0097】
[変形例7]
第3の実施形態では、目的地選択部150は、子局装置202を所持するユーザの属性に基づいて目的地を選択していたが、他の情報を用いて目的地を選択してもよい。例えば、目的地選択部150は、子局装置202を識別する子局識別情報に基づいて、目的地を選択してもよい。具体的には、目的地選択部150は、子局識別情報に対応する目的地を選択する。この場合、目的地情報には、目的地ごとに、対応する子局識別情報を示す対応情報が含まれている。
【0098】
例えば、子局識別情報が数字で表されている場合、対応情報として奇数や偶数といった情報が設定される。そして、目的地選択部150は、例えば、子局識別情報が奇数の場合、目的地1を選択し、子局識別情報が偶数の場合、目的地2を選択するといった処理を行ってもよい。また、対応情報として、子局識別情報を所定の数で割ったあまりが設定されている場合、目的地選択部150は、当該あまりに応じて目的地を選択してもよい。また、対応情報として、所定の数が設定されている場合、子局識別情報の末尾の数字に応じて目的地を選択してもよい。
【0099】
また、子局識別情報がアルファベット等の文字を含む場合、目的地選択部150は、子局識別情報の末尾の文字に対応する目的地を選択してもよいし、子局識別情報を所定のルールで数値化し、当該数値に対応する目的地を選択してもよい。
【0100】
このように、予め子局装置202に応じてユーザを誘導する目的地を振り分けることにより、一部の目的地に人数が偏らないように人数調整を行うことができる。例えば、このような人数調整をおこなうことにより、変形例7の誘導支援システム1002は、目的地内の人口密度を調整することができるので、感染症対策に貢献することができる。
【0101】
[変形例8]
目的地選択部150は、親局装置102の通信範囲から目的地までの距離に応じて、目的地を選択してもよい。例えば、記憶装置190に、記憶装置190を備える親局装置102の通信範囲から各目的地までの距離を示す情報が格納されているとする。目的地選択部150は、当該距離が最も短い目的地を選択し、特定部121は、当該選択された目的地に応じた指示パターン情報から進行指示情報を特定する。
【0102】
例えば、子局装置202を所持するユーザが、進行方向を間違えて進んでしまっているとする。この場合、ユーザは、当初の目的地から遠ざかっている可能性がある。そのため、ユーザを当初の目的地に誘導すると、目的地に誘導するまでにかかる時間が増大する虞がある。これに対して変形例8の目的地選択部150は、目的地までの距離が最も短い目的地を選択する。つまり、変形例8の誘導支援システム1002は、ユーザが当初の目的地から遠ざかっている場合であって、ユーザが存在する通信範囲から、当初の目的地よりも近い他の目的地がある場合、当該他の目的地に誘導することができる。これにより、例えば、災害時であってユーザを目的地である避難所に誘導する場合に、ユーザをいずれかの避難所まで迅速に誘導することができる。
【0103】
[変形例9]
第1、第2、及び第3の実施形態で説明した誘導支援システムにおいて、第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System:5G)を利用することも可能である。ここで、第5世代移動通信システムに用いられる基地局を5G基地局と称する。
【0104】
図19は、変形例9の誘導支援システム1003の機能構成を含むブロック図である。
図19に示すように、誘導支援システム1003は、親局装置103と子局装置203と5G基地局300とを備える。ここで、親局装置103は、第1の実施形態の親局装置100と同様に、親局装置103-1、103-2、・・・、103-nを区別しない場合の呼称である。5G基地局は複数存在し、5G基地局300のそれぞれは、親局装置103のそれぞれと通信可能に接続される。少なくとも、親局装置103以上の数の5G基地局300が存在する。また、子局装置203は、5G基地局300と通信可能である。5G基地局300は、バックボーンネットワークと呼ばれる通信回線網と接続される。子局装置203は、5G基地局300を介してインターネットに接続する。
【0105】
子局装置203の通信部210は、5G基地局300と各種情報の送受信を行う。また、親局装置103の通信部110は、5G基地局300と各種情報の送受信を行う。すなわち、子局装置203と親局装置103とは、5G基地局を介して各種情報の送受信を行う。
【0106】
子局装置203の侵入検知部222は、5G基地局の通信範囲に侵入したことを検知する。すなわち、誘導支援システム1003は、子局装置203が5G基地局300の通信範囲に侵入した場合に、子局装置203に進行指示情報を出力するシステムである。なお、このとき、進行指示情報を特定するために使用される識別情報は、親局装置103の識別情報であってもよいし、5G基地局を識別する識別情報であってもよい。
【0107】
5G基地局300は、通信部310とモード切替部320とを備える。通信部310は、親局装置103から受信した各種情報を子局装置203に送信する。また、通信部310は、子局装置203から受信した各種情報を親局装置103に送信する。モード切替部320は、5G基地局300に設定されているモードを切り替える。第5世代移動通信システムにおいて、5G基地局300と接続されるバックボーンネットワークが遮断されてしまうと、5G基地局自体も停止する場合がある。そのため、モード切替部320は、バックボーンネットワークが遮断された場合であっても、少なくとも端末との通信ができるように5G基地局300に設定されるモードを切り替える。例えば、モード切替部320は、バックボーンネットワークの遮断を検知した場合にモードを切り替えてもよい。これにより、バックボーンネットワークの遮断時であっても5G基地局300と子局装置203との間の通信を可能とする。
【0108】
このように、第5世代移動通信システムを利用することで、より多くの子局装置203と5G基地局300とを接続することが可能となる。そのため、誘導支援システム1003では、より多くの子局装置203に対して進行指示情報を提示することができる。
【0109】
なお、本変形例において、5G基地局300が親局装置103の機能を備えてもよい。すなわち、5G基地局300が親局装置であってもよい。
【0110】
[変形例10]
第1、第2及び第3の実施形態において、親局装置のそれぞれは、親局センター設備と通信可能に接続されてもよい。
図20は、変形例10の誘導支援システムの構成の一例を模式的に示す図である。親局センター設備は、更新制御部を備える。更新制御部は、親局装置に各種情報を送信することによって、親局装置に格納された情報の更新及び管理を行う。親局装置は、例えば親局センター設備から随時各種情報を受信する。そして、親局装置は、受信した情報に基づいて、指示パターン情報、目的地情報、地図の情報等の情報を更新する。
【0111】
例えば、川の氾濫、家屋の倒壊、及び土砂崩れ等により、通行できない道路が発生した、または、通行できない道路が発生したと予測されたとする。この場合、親局センター設備の更新制御部は、通行できない道路を考慮した、各親局装置の通信範囲における指示パターン情報を作成する。具体的には、更新制御部は、例えば、通行できなくなった道路の情報を含む地図の情報と、親局装置の位置情報と、目的地の位置情報と、に基づいて、通行できない道路を迂回する進行指示情報を含む指示パターン情報を作成する。親局装置は、親局センター設備から指示パターン情報を受信し、指示パターン情報を更新する。これにより、本開示の誘導支援システムは、通行できない道路がある場合でも、当該道路を迂回するようユーザを誘導することができる。なお、上述した指示パターン情報、目的地情報、地図の情報等の情報を更新する処理は、例えば、親局装置に設けられる更新部により行われてもよい。
【0112】
<誘導支援システムのハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、及び第3の実施形態の誘導支援システムを構成するハードウェアについて説明する。
図21は、各実施形態における誘導支援システムを実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置10において、各実施形態及び各変形例で説明した、誘導支援システム及び誘導支援方法が実現される。例えば、各実施形態及び各変形例で説明した、子局装置、親局装置、5G基地局、及び親局センター設備のそれぞれが、
図21に示すハードウェア構成を有していてもよい。また、子局装置、親局装置、5G基地局、及び親局センター設備の少なくとも2つ以上の装置が一体の装置となっている場合、当該一体の装置が、
図21に示すハードウェア構成を有していてもよい。
【0113】
図21に示すように、コンピュータ装置10は、プロセッサ11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、記憶装置14、入出力インタフェース15、バス16、及びドライブ装置17を備える。なお、誘導支援システムは、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0114】
記憶装置14は、プログラム(コンピュータプログラム)18を格納する。プロセッサ11は、RAM12を用いて本誘導支援システムのプログラム18を実行する。具体的には、例えば、プログラム18は、
図2、
図8、
図11、
図14、及び
図18等、各実施形態で説明した処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ11が、プログラム18を実行することに応じて、本誘導支援システムの各構成要素の機能が実現される。プログラム18は、ROM13に記憶されていてもよい。また、プログラム18は、記憶媒体20に記録され、ドライブ装置17を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置10に送信されてもよい。
【0115】
入出力インタフェース15は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)19とデータをやり取りする。入出力インタフェース15は、データを取得または出力する手段として機能する。バス16は、各構成要素を接続する。
【0116】
なお、誘導支援システムの実現方法には様々な変形例がある。例えば、誘導支援システムは、専用の装置として実現することができる。また、誘導支援システムは、複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0117】
各実施形態の機能における各構成要素を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0118】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限らない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0119】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0120】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0121】
<付記>
[付記1]
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する特定手段と、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する出力手段と、を備える、
誘導支援システム。
【0122】
[付記2]
前記一の親局装置及び前記他の親局装置を含む複数の親局装置と、
前記子局装置と、を有し、
前記一の親局装置において、
前記特定手段は、前記子局装置から前記他の親局装置の識別情報を取得し、前記複数の親局装置の識別情報の組み合わせと、前記進行指示情報と、が関連付けられた指示パターン情報に基づいて、前記他の親局装置の識別情報と、前記一の親局装置の識別情報と、の組み合わせに関連付けられた前記進行指示情報を特定する、
付記1に記載の誘導支援システム。
【0123】
[付記3]
前記一の親局装置及び前記他の親局装置を含む複数の親局装置と、
前記子局装置と、を有し、
前記子局装置において、
前記特定手段は、前記一の親局装置から前記一の親局装置の識別情報を取得し、前記複数の親局装置の識別情報の組み合わせと、前記進行指示情報と、が関連付けられた指示パターン情報に基づいて、前記子局装置が有する前記他の親局装置の識別情報と、前記一の親局装置の識別情報と、の組み合わせに関連付けられた前記進行指示情報を特定する、
付記1に記載の誘導支援システム。
【0124】
[付記4]
前記子局装置を所持するユーザの属性に応じて目的地を選択する目的地選択手段を備え、
前記特定手段は、選択された前記目的地に対応する前記進行指示情報を特定する、
付記1乃至3のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0125】
[付記5]
前記一の親局装置の通信範囲から目的地までの距離に応じて前記目的地を選択する目的地選択手段を備え、
前記特定手段は、選択された前記目的地に対応する前記進行指示情報を特定する、
付記1乃至3のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0126】
[付記6]
前記一の親局装置と前記子局装置とが、所定の閾値以上の受信電界強度において通信可能となった場合、前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入したことを検知する侵入検知手段をさらに備える、
付記1乃至5のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0127】
[付記7]
前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入するまでに、前記子局装置が経由した通信範囲を有する前記他の親局装置の識別情報と、前記子局装置が経由した順番と、が関連付けられた経由情報を管理する経由情報管理手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記一の親局装置の識別情報と、前記経由情報に含まれる情報であって、前記子局装置が前記一の親局装置が有する通信範囲に侵入する直前に、前記子局装置が存在していた通信範囲を有する前記他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記進行指示情報を特定する、
付記1乃至6のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0128】
[付記8]
前記一の親局装置の通信範囲に基づいて、前記子局装置の位置情報を推定する位置情報推定手段をさらに備え、
前記出力手段は、推定された前記子局装置の位置情報を出力する、
付記1乃至7のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0129】
[付記9]
前記出力手段は、前記子局装置の移動すべき方向に応じた音声、前記子局装置の移動すべき方向に応じた振動、及び、前記子局装置の移動すべき方向に応じた引張力の少なくともいずれかを、前記子局装置において発生させることにより、前記進行指示情報を出力する、
付記1乃至8のいずれかに記載の誘導支援システム。
【0130】
[付記10]
前記侵入検知手段は、前記子局装置が、警報または避難情報を含む防災関連情報を受信した場合に、検知する処理を行う、
付記6に記載の誘導支援システム。
【0131】
[付記11]
通信範囲ごとに位置情報が関連付けられた情報と、前記経由情報と、に基づいて、前記子局装置が移動した経路を算出する経路算出手段をさらに備える、
付記7に記載の誘導支援システム。
【0132】
[付記12]
子局装置が、自装置が有する通信範囲に侵入した場合に、自装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する、特定手段を備える、
親局装置。
【0133】
[付記13]
自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて特定された、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を出力する出力手段を備える、
子局装置。
【0134】
[付記14]
自装置が侵入した通信範囲を有する一の親局装置の識別情報と、自装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する特定手段と、
前記進行指示情報を出力する出力手段と、を備える、
子局装置。
【0135】
[付記15]
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定し、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する、
誘導支援方法。
【0136】
[付記16]
子局装置が一の親局装置が有する通信範囲に侵入した場合に、前記一の親局装置の識別情報と、前記子局装置が当該通信範囲に侵入する前に存在していた通信範囲を有する、他の親局装置の識別情報と、の組み合わせに応じて、前記子局装置の移動すべき方向の情報を含む進行指示情報を特定する処理と、
前記進行指示情報を前記子局装置において出力する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0137】
10 コンピュータ装置
11 プロセッサ
12 RAM
13 ROM
14 記憶装置
15 入出力インタフェース
16 バス
17 ドライブ装置
18 プログラム
19 周辺機器
20 記憶媒体
100、101、102、103 親局装置
110 通信部
120、121、1100 特定部
130 位置情報推定部
140 経路算出部
150 目的地選択部
190 記憶装置
200、201、202、203 子局装置
210 通信部
220、221、222 侵入検知部
230、231、1200 出力部
240 経由情報管理部
250 属性情報取得部
290 記憶装置
300 5G基地局
310 通信部
320 モード切替部
1000、1001、1002、1003 誘導支援システム